| Login |
2017/05/21
フランスの地方都市で閉店している商店が軒を連ねている風景には慣れていたのですが、先日行ったディジョンにも同じ状態になっている商店街があったので驚きました。

ディジョンはブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏で最大の都市で、コート・ドール県に住む人たちの約半分がこの都市圏に住んでいます。つまり、ブルゴーニュでは最もにぎわっているはずの町なのに、あれほど賑わっていた通りに閉まった店がたくさん並んでいたのでした。しかも、ディジョンの中心地にある商店街といったら、ここは2番目くらいに代表的なところだったのに...。



この通りでは買い物しなくなってから何年もたっていたように思います。歩行者天国になったので、車で通り抜けることもなくなっていました。



日本には「シャッター通り」という言葉がありますが、フランスでは同じような言い方を聞かない気がします。シャッターは閉めないものかなと思って眺めてみると、あることはあるのでした。



でも、シャッターは下さないで閉店している方が多いかな... と、つまらないことを観察。



この通りで、何割くらいが閉店していたり、閉店セールをしているか知りたいとは思ったのですが、そこまでは計算してはみませんでした。

営業している店を見ると、昔とはかなり変わっているのに気がつきました。以前は洒落たものを売っている衣料品店などが多かった商店街だったのに、今では安物を扱ったりしていて、魅力がない店が目立つのです。不況からの生き残り作戦かな?...


いくらフランスの経済が滞っているといっても、こんな大きな町で商売ができなくなっているほどではないと思うので、フランスが深刻な不況だからというだけの理由ではないかもしれない。

ディジョンの町はずれに大きなショッピングセンターが出来たとき(1990年)、そこに入ったのは町の中心部にある商店でした。2カ所に店舗を構えるのは不経済なので、町中の方は徐々に閉店していったのかも知れません。

 

フランスでは夫婦共働きが普通で、日曜日は商店が営業しないので、買い物をするとなったら土曜日しかない。となると、何でもそろっていて広い駐車場があるショッピングセンターや巨大スーパーに行って買い物する方が便利なのです。


私がフランス語を勉強するためにたまたま選んだのがディジョンだったので、一番初めに住んだのはこの町でした。下宿先の家庭と親しくなったので、東京で就職してからも毎年遊びに通っていました。何年たっても何の変化のない美しい古都という感じで、町の目抜き通りにある一番美味しいケーキ屋さんが閉店して、マクドナルドになるらしい、なんていうのが大ニュースになっていた程度でした。

ところが、21世紀になってから、ディジョンの街並みはずいぶん変わりました。

歩行者天国が増え、道路や広場は美しく整備され、若者の姿も目立つようになって活気づいたのです。昔は、日が暮れると人影もまばらになり、商店が休みの日曜日にはゴーストタウンになるような記憶が残っているのですけれど。

歩行者天国が増えた見返りに、駐車場は激減したので、車で買い物に行くには非常に不便になりました。ディジョンの中心部で大きな朝市が開かれるので時々行くのですが、駐車スペースを見つけるまでに、いつも1時間くらい町の中をグルグル回っているように思います。


ディジョンの町が大きく姿を変えたのは、社会党の市長さんになってからでした。この日、その市長さんが歩いているのを見かけたので、観光客が街並みの写真を撮っているような顔をしてカメラに収めてしまいました。



ブルゴーニュ公国時代の宮殿の裏にある小さな公園。ここも見違えるほど美しく整備されたので、それをご視察なさっていたのかな?...

私はディジョンの町が美しくなったのは良いことだと思っているのですが、この市長さんがすることに反対意見を持っている人もかなりいると聞いています。

パリのような大都会に住むのでない限り、車がないと動きがとれないフランスなので、車立ち入り禁止にされた通りに面した商店などは客が減ったと文句をつけるだろうと思います。フランスで誰が極右政党に投票するかというと、1つのパターンは飲食店や商店を営んでいる人たちだと言えるのです。


この日、ブルゴーニュ最大都市でさえも閉まった店がたくさんあることが目についてしまったのは、こういう本が出ていると知ったからでした。

フランスの地方都市には
なぜシャッター通りがないのか:
交通・商業・都市政策を読み解く


ヴァンソン藤井由実 (著)

日本と同じくクルマ社会で、郊外には巨大なショッピングモールがあるのに、なぜフランスの地方都市の中心市街地は活気に溢れ、魅力的なのか。「駐車場と化した広場」から「歩いて楽しいまちなか」への変化の背景にある、歩行者優先の交通政策、中心市街地と郊外を共存させる商業政策、スプロールを防ぐ都市政策を読み解く。


読んだわけではないので何も言えません。フランスの地方都市が美しく整備されてきているのは確か。でも、シャッター通りは増え続けていると私は感じるのだけれど...。

著者によると、人口10万から80万を地方都市と呼んでいるのだそうです。ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏では、その定義に当てはまる都市はディジョン市(15万人)とブザンソン市(12万人)しかなく、県庁所在地レベルでも人口は5万人を超えません。

フランス全体でみると、パリとマルセイユを除いた40の大都市を対象としているということになります。そのくらい飛びぬけて大きな町々についてのことだったら、「シャッター通りはない」と言い切れるかもしれない...。

でも、パリのシャッター通りについて報告がありました。ルーブル博物館の横にあるアンティークモールは、2割位くらいしか店が開いていないらしい。博物館のように骨董品を眺められるのが好きで、何度も行ったことがあるところなので、あそこがそうなったのかと驚きます。やはり不況の影響かな...。


他にも、そう言えるかなと不思議に思った書籍のタイトルがあったので書きました:
フランス女性は誰でも美しい? 2017/05/30

ブログ内リンク:
★ 目次: ブルゴーニュの古都ディジョンの観光スポットや特産品など
★ シリーズ記事目次: フランスの市町村について 2008/11/19

外部リンク:
☆ AFP: 大都市びいきに怒る「忘れられた」地方部、仏大統領選
☆ 現代ビジネス: 極右マリーヌ・ルペンが握る「EU崩壊」の引き金
☆ 教えて!goo: 欧米の都市にシャッター通りはありますか?
☆ Wikipedia: フランスの都市の一覧


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村

[続きを読む  Lire la suite...]


2017/01/11


地域圏(région)をどう再編成するかが議論さていたのですが、ようやく2016年の始めに、これになったという新しい行政区分が出てきました。その時点では新しくできた地域圏の名称が何になるか分からなかったのですが、秋になって全てがはっきりしたようです。

2015年末には地域圏は22あったのですが、合併して数が減りました。でも、「フランス本土には幾つの地域圏になったのでしょう?」と質問されたら、幾つと答えるのが正解になるのでしょうか?

コルシカ島は、特別地方公共団体(collectivités territoriales)となり、地域圏(région)という呼称は与えられていないのです。だから、フランス本土にある地域圏の数は12あるというべき? でも、コルシカ島も地域圏と同じ機能を果たす行政区分になっています。

地域圏がどうなっているかという以外に、フランスの行政区分は、ひと言では語れないほど複雑な構造になっています。在日フランス大使館のサイトでは、本土の地域圏の数は13だと書いてあるので、それで良いのだろうと思います。


新しい地域圏の地図(2016年以降)

こうなりました。



以前と同じ地域がそのまま残った地域圏もありますが、以前は2つだたり、3つだった地域圏が1つの地域圏を作ったところもあります。その場合、以前の名称を並べて新しい地域圏の名称にしてくれれば分かりやすかったのですが、全く新たな名称を作ったところもあります。

Grand Est(大東部)、Nouvelle-Aquitaine( 新アキテーヌ)なんていう名前は、西部劇を連想してしまう! 広い地域になった「新アキテーヌ」は「大西部」にすれば完璧だったのに...。

Hauts-de-France(フランス上部)は、もっとマシな命名ができなかったのかなと思うけれど、地図で見れば確かに一番上にありますね。私は方向音痴なので「上の方」と言ってしまうのですが、「北」と言えと言われるのですけど。

Occitanieというのはオック地方。オック語が話されるオクシタニアのことなのでしょうが、ちょっと問題がありますよ。この地域圏には、スペインと跨ってカタルーニャ語の言語圏も入っているのですから。地元では問題になったみたい。

大東部(Grand Est)は、アルザス地方とシャンパーニュ地方という、結びつかない地域が一緒になっているので違和感を感じます。その行政中心地はストラスブールになりましたが、この町は最も外れにあります。

シャンパーニュ地方に住む友人は、新しい首府のストラスブールまで来いと呼び出しがかかったら、片道300キロもあるのだと言っていました。フランスのことですから、電車に乗れば行けるというものではないので不便すぎる。この人などは良い方で、シャンパンのメッカのようなのランス市からストラスブール市に行くには400キロ近いのでした。

地域圏が合併して新しい地域圏が誕生しても、私にはどうでも良いのではありますが、困ったことがおこりました。


アルバムソフトで写真を整理するのが不便になった


デジカメで写真を撮るようになってからは、パソコンにアルバムソフトを入れて整理しているのですが、もう長いこと気に入っているのは「Adobe Photoshop Lightroom」です。

キーワードも入れられし、撮影した場所も登録できるので、後で写真を探すときに非常に重宝します。

GPS機能付きのカメラは持っていないので、よく知らない土地を旅行したときには移動先でまずiPhoneで1枚写真を撮って、それをアルバムに入れることにしています。

Adobe Photoshop Lightroomというソフトには、iPhoneのGPS情報が入って、そこをクリックするとGoogleマップが開くのでいたって便利なのです。

それで市町村と県がアルバムに登録し、それに対応する地域圏を探して分類します。私と地域圏名の関係はそこにあります。

フランス本土には96の県があるので、自分がよく知っている県以外は覚えていません。でも、地域圏で言われれば、だいたいどの辺にあるかは分かっていました。

ノルマンディー地方が2つに分かれていたのが1つになったのは大歓迎。もともと、私の写真アルバムでは2つに分けていませんでした。アルザス地方とロレーヌ地方も一緒になったのは、歴史的に運命を同じにした地域なので抵抗がありません。

ところが、合併してして面積が広くなって地域では、地域圏の名前を見ても、どの辺で、どの文化がある地域なのかが私には結びつかないものもあるのです。

例えば、シャンパンの産地のシャンパーニュ地方と、ドイツと国境を接するアルザス地方が合併しました。

アルザス地方に行くと、ドイツに来たかと思うような街並みなのです。そこにいるのはフランス人なのに、「フランス語で話しても良いですか?」と聞きたくなってしまいたくなるほど。

家々の窓辺にはゼラニウムがあり、玄関先にはドイツ人がいる、と冗談を言われる地方なので、他とは全く違う雰囲気があります。

アルザスの街

こういうアルザスらしい風景写真を探し出そうとしたら、やはりシャンパーニュ地方とアルザス・ロレーヌ地方は一緒に整理しない方が好ましい。

迷ったあげく、アルバムに入れる地域圏は、以前のままの名前で登録し続けることにしました。

ところが、地名の辞書代わりに使っているWikipediaでは、もう新しい地域圏名しか教えてくれないのです。日本語ページでは更新が遅れるので助かっていたのですが、だんだん訂正されてきてしまいました。

地域圏名の新旧対照表を誰かが作るはずだと思って、1年前から探していたのですが見つけることができませんでした。写真をアルバムで整理するときに、いちいち複雑に調べるのは面倒なので、あきらめて自分で対象表を作りました。インターネットに載せておけば、いつでも自分でアクセスして参照できるので。


古い地域圏の地図(2015年まで)

県名が入った 旧地域圏区分地図
Départements+régions (France)
Départements+régions (France).svg
県コードが入った 旧地域圏区分地図
Départements et régions de France
Départements et régions de France,svge


県が属する地域圏の新旧対照表

地域圏名
県(県コード)
Auvergne-Rhône-Alpes
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ

圏都:
Lyon
リヨン
Rhône-Alpes
ローヌ=アルプ

圏都: Lyon
Ain (01)
Ardèche (07)
Drôme (26)
Isère (38)
Loire (42)
Rhône (69)
Mètropole de Lyon (69)
Savoie (73)
Haute-Savoie (74)
Auvergne
オーヴェルニュ

圏都:Clermont-Ferrand
Allier (03)
Cantal (15)
Haute-Loire (43)
Puy-de-Dôme (63)
Bourgogne-Franche-Comté
ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ

圏都:
Dijon
ディジョン
Bourgogne
ブルゴーニュ

圏都: Dijon
Côte-d'Or (21)
Nièvre (58)
Saône-et-Loire (71)
Yonne (89)
Franche-Comté
フランシュ・コンテ

圏都: Besançon
Doubs (25)
Haute-Saône (70)
Jura (39)
Territoire de Belfort (90)
Bretagne
ブルターニュ

圏都:
Rennes
レンヌ
Côtes-d'Armor (22)
Finistère (29)
Ille-et-Vilaine (35)
Morbihan (56)
Centre-Val de Loire
サントル=ヴァル・ド・ロワール

圏都:
Orléans
オルレアン

※2015年以前はCentre(サントル)という地域圏名だった
Cher (18)
Eure-et-Loir (28)
Indre (36)
Indre-et-Loire (37)
Loir-et-Cher (41)
Loiret (45)
Grand Est
グラン・テスト

圏都:
Strasbourg
ストラスブール
Alsace
アルザス

圏都:Strasbourg
Bas-Rhin (67)
Haut-Rhin (68)
Lorraine
ロレーヌ

圏都: Metz
Meurthe-et-Moselle (54)
Meuse (55)
Moselle (57)
Vosges (88)
Champagne-Ardenne
シャンパーニュ=アルデンヌ

圏都:Châlons-en-Champagne
Ardennes (08)
Aube (10)
Marne (51)
Haute-Marne (52)
Hauts-de-France
オー=ド=フランス

圏都:
Lille
リール
Nord-Pas-de-Calais
ノール=パ=ド=カレ

圏都:Lille
Nord (59)
Pas-de-Calais (62)
Picardie
ピカルディー

圏都: Amiens
Aisne (02)
Oise (60)
Somme (80)
Île-de-France
イール=ド=フランス

圏都:
Paris
パリ
Paris (75)
Seine-et-Marne (77)
Yvelines (78)
Essonne (91)
Hauts-de-Seine (92)
Seine-Saint-Denis (93)
Val-de-Marne (94)
Val-d'Oise (95)
Normandie
ノルマンディー

圏都:
Rouen
ルーアン
Haute-Normandie
オート=ノルマンディー

圏都:Rouen
Eure (27)
Seine-Maritime (76)
Basse-Normandie
バス=ノルマンディー

圏都: Caen
Calvados (14)
Manche (50)
Orne (61)
Nouvelle-Aquitaine
ヌーヴェル=アキテーヌ

圏都:
Bordeaux
ボルドー
Aquitaine
アキテーヌ

圏都:Bordeaux
Dordogne (24)
Gironde (33)
Landes (40)
Lot-et-Garonne (47)
Pyrenees-Atlantiques (64)
Poitou-Charentes
ポワトゥー=シャラント

圏都: Poitiers
Charente (16)
Charente-Maritime (17)
Deux-Sèvres (79)
Vienne (86)
Limousin
リムーザン

圏都:Limoges
Corrèze (19)
Creuse (23)
Haute-Vienne (87)
Occitanie
オクシタニー

圏都:
Toulouse
トゥールーズ
Midi-Pyrénées
ミディ=ピレネー

圏都:Toulouse
Ariège (09)
Aveyron (12)
Haute-Garonne (31)
Gers (32)
Lot (46)
Hautes-Pyrénées (65)
Tarn (81)
Tarn-et-Garonne (82)
Languedoc-Roussillon
ラングドック=ルシヨン

圏都:Montpellier
Aude (11)
Gard (30)
Hérault (34)
Lozère (48)
Pyrénées-Orientales (66)
Pays de la Loire
ペイ・ド・ラ・ロワール

圏都:
Nantes
ナント
Loire-Atlantique (44)
Maine-et-Loire (49)
Mayenne (53)
Sarthe (72)
Vendée (85)
Provence-Alpes-Côte d'Azur
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール

圏都:
Marseille
マルセイユ
Alpes-de-Haute-Provence (04)
Hautes-Alpes (05)
Alpes-Maritimes (06)
Bouches-du-Rhône (13)
Var (83)
Vaucluse (84)

Corse
コルス(コルシカ島)
Collectivité de Corse

圏都:
Ajaccio
アジャクシオ
Corse-du-Sud (2A)
Haute-Corse (2B)
※ 日本語は在日フランス大使館のサイトにある表記に合わせています。



A quoi servent les régions ?





ブログ内リンク:
★ シリーズ記事目次: フランスの市町村について
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ

外部リンク:
☆ L'Obs: AVANT-APRES. Découvrez les 13 noms des nouvelles régions de France 02/07/2016
☆ Wikipédia: Région française » フランスの地域圏
☆ 在日フランス大使館: フランスの地方制度改革
フランス地域圏の行方 2015年3月
☆ OVNI: 22の地域圏が13に。 2014/12/15


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2016/09/12
前回の日記(ツバメの出発も近い?)の最後に書いた病院に行った友人は、高血圧と血管に詰まっている場所があるという程度で、薬だけで乗り越えられると判断され、翌日にはもう戻ってきました。フランス人の友情は強いものがあるので、友人仲間では大騒ぎしていたのですけど。

大したことはないと言われて退院したのですが、やはり具合は悪そう。病気だと言われると、病人の気分になるものだと思う。


病院の食事が酷かったのですって

1泊だけで退院した友人は、その夜に予定されていた夕食会に参加し、主人公になった感じで病院生活がどうだったかを話していました。

話すことの大半は、食事が酷かった、という報告! 何が出たかを詳細に語っていました。

塩味が全くなかったので、塩がないとどんなに不味いかを認識した、なんて言っていました。心臓の欠陥がある人に出したのだから仕方ないでしょうに。

退院する前の昼食のメニューを見せてもらいました。



7行になっていますけれど、食欲がそそられるメニューではないですね...。

前菜らしきものは、キュウリの生クリームあえ。キュウリは消化できないから食べないというフランス人が多いのに、病院で出しちゃうの?

フランスの大きなキュウリは生クリームであえると食べられると思ってブログに書いていましたけど、これだけで前菜だったら余りにも寂しいですよ~:
フランスのキュウリは生クリームで食べるのが一番? 2013/08/23


デザートとしてフレッシュ・フルーツなんて書いてあったけど、小さなバナナ1本だったのだ! と怒っている。確かに、バナナでデザートというのは余りにもお粗末。

最後に「パン」と書いてあるのが面白いと思いました。日本に来たフランス人とフレンチレストランに入ったとき、メニューにパンと書いてあるので彼は大笑いしていたのです。でも、フランスの病院でもパンと書いてしまっているではないですか!


私がレストランで出される料理の写真を撮っているので、真似してスマホで写真を撮ったと言って、その夕食を見せてくれました。



確かに、これは酷くお粗末な食事です! 飛行機のエコノミークラスの食事より味気ない。こんな食事がフランスで出るとは信じられないけど、証拠写真なのだから信じるしかない!

メイン料理は、「牛肉のブドウ栽培者風煮込み」というようなしゃれた名前が付いていますが、恐ろしく不味い挽肉だったのだそう。赤ワインで煮たから「ブドウ栽培者風」としたのでしょうね。肉が加熱し過ぎていたので最悪だったと言うのに対して、「最近の病院では肉をレアに出せないらしいよ」と言う人がいました。

チーズは極端にい小さかったというのは、写真を見て納得。バナナの下にある四角いパッケージです。

ニンニクとハーブ入りというチーズは、下の商品ですね ↓

日本の店で売っているフランス産チーズを見ると、フランスでは流通していないと思われる小さなサイズのがあるので面白がっていたのですが、外国向けだけに小さいサイズを作っていたわけではないと分かりました。


入院した日は、検査のために朝から何も食べていなかったのでお腹はペコペコ。食前酒やワインを要求したけれど、美人の看護婦さんたちはジョークに笑っているだけで、水さえも飲ませてもらえなかったのだそう。

やっと食べ物にありつけたのは夜。ところが、そのとき出てきた食事は量も少なくて哀れだったので、写真を撮る気などにはならなかったとのこと。夕食と昼食は同じパスタだったので、残り物を使ったのではないか、ジャガイモを何で使わないのだ! などと言って怒っている。もちろん、朝食も哀れなものだったそう。

1泊だけで帰って良いと判断された友人は、健康保険で支払われる救急車兼タクシーをチャーターして帰宅したのですが、車に乗ったら、運転手さんから真っ先に、こう挨拶されたのだそう。

Vous avez bien mangé ?

食べ物はおいしかったですか? お腹がいっぱいになったですか? という感じの質問です。

こう言われて、行ってしまった病院は、地元の医療関係者の中では不味い食事を出す病院だという定評があるのだろう、と思ったそうです。

長く入院していたらどうなったのだろう? 食事制限をする病気だから、友人仲間で食べ物の差し入れをしてあげるわけにもいかないでしょうし。


フランスでも、病院食は不味いと決まっている?

1泊の病院生活をした友人は、1日3食の食事代が18ユーロだと話していました。国民年金保険の他に相互扶助保険に入っていれば自己負担はないけれど、入っていなかったら食事代は自分で払う。

こんな料理は3ユーロの価値しかないと言ったのですが、深夜まで続いた食事会で病院で食べたものの話しに戻ったときには、「1ユーロの価値しかない!」になっていました。いくらお粗末な食事でも原価が120円なんてあり得ないけれど、食べた人にしてみたら、その価値しかないということなのでしょうね。

私はフランスの病院に6週間滞在した経験があるのですが、見せられた写真のような料理を毎日出されたら泣きだしてしまったと思う。

私がフランスで入院したときは食事に満足したので、病気になるならフランスで、と思っていると話しました。でも、夕食会に参加したフランス人たちの中で入院経験がある人たちは、口をそろえて病院の食事は不味いのだと言っていました。

心臓や内臓の病気で入った人は食事制限があるだろうけど、私の場合は骨折だったからなと思ったのですが、そうでもないらしい。つい最近、膨らんでしまった足の手術で入院した友人も、食事がまずかったと言うのでした。

少し前にいただいたコメントで、フランスの病院食は不味いと言われたので、そんなことはないですよと答えてしまった手前、気になる。

私が骨折してフランスの病院に入ったのは、もう20年くらい前のことです。日本から年に2回くらい行くという時代だったので、私はフランス料理にはうるさくなかったのかも知れない...。でも、友人が見せた写真のような食事ではなかったことは確かです。

病院側が経費節減で質を落とすようになったのではないか、と私に言う人がいました。そうかな?... 20年前と比べると、美味しい家庭料理を作る人も減ったし、自分では作らない料理を出すレストランも多くなったので、フランスの食の乱れの現れではないかとも私は思うのですけど。


私がフランスの病院に入院したときに食べたもの

寝たきりの状態でいた整形外科ではプレートに乗って出てきたので味気ない食事でしたが、チーズが美味しかったのを思い出します。友人の病院食では、小さなパッケージに入ったチーズでしたが、私が入院したときに、こんなのが出たことはなかったはず。少なくとも、私はチーズとパンとサラダを食べれば十分と思うほどチーズは大きかったような気がします。

ブルゴーニュの公立病院の整形外科から出て、小さな私立リハビリ専門病院に入ったときの食事は絶品でした。

車椅子で食堂に降りると、ニンニクの良い香りがしてきたのが記憶に残っているので、大きな病院にいたときには、レストランのような食事はできていなかったのだろうと思います。初めての食事のメイン料理は、ウサギ肉のハンター風だったのも覚えています。木々が茂る庭に面した食堂で食事するようになったので、バカンス気分さえ味わえました。

見舞客も予約しておけば食堂で患者と一緒に食事できたので、頻繁に来る友人もいました。美味しいし、普通のレストランで食べるよりずっと安いからです。かなり食べ物にうるさい人だったのに食べに来ていたということは、病院のシェフが作る料理の質は高かったのだろうと思う。

フランスの場合、市立病院が公立病院より高いということはないようなのです。この時はクレジットカードに付帯していた海外旅行者保険で入院費がカバーされたのですが、保険会社の担当者は、そんなに安い病院だと心配だから、パリの有名な病院に移るようにと勧めてくれました。でも、私の場合は高度な医療が必要なわけではなく、骨が固まるのを待てば良いだけだったので、友人たちが気軽に見舞いに来てくれるブルゴーニュにいたかったのでした。


毎週配られれていた食事のメニューの印刷物を1週間分だけ記念にとっていたので、それを眺めてみました。

前菜、メイン、チーズ、デザートがあり、パンなんて書いてありません。料理にはバラエティがあるし、チーズも毎回違うものが出ていました。

公立病院でも市立病院でも、前菜とメインは、たいてい2つの選択肢から選ぶようになっていました。それで、週の始まりだったか終わりだったかに、1週間分の料理の選択を聞きに来る係りの人が病室にやって来ていました。これが楽しい。1泊入院した友人は、何も聞いてくれなかったと言っていました。緊急で入ったのだから、仕方ないとも思う。

記念に残していたメニューの印刷物を見たら、メイン料理としては魅力的な料理の名前が並んでいたので、今の私が選ぶメイン料理をピックアップしておきます。デジカメを使う前だったので、病院の料理などの写真は撮っていなかったのが残念。

メイン料理イメージ写真
Poulet Gaston Gérard
(鶏肉のガストン・ジェラール風)

付け合わせのチョイスは、
グラタン・ドーフィノワか、カリフラワー。

このメニューの他の料理(夕食):
・前菜: セロリかニンジンのサラダ
・チーズ: ブルサン
・デザート: フラン・パティシエ


ブルゴーニュの郷土料理。ディジョン名物のマスタードを使った鶏肉料理で、ちょっとしたご馳走です。

日本語情報:
ディジョンの代表的料理のひとつ「ガストン・ジェラール」とは?
鶏のクリームソース:ブルゴーニュ風

内部リンク:
名前がない私の得意料理: ジャガイモのグラタン 2013/08/13
Poulet Gaston Gérard
Langue de boeuf sauce piquante Cordon Bleu
(ピカント・ソースの牛タン コルドン・ブルー)

付け合わせのチョイスは、
パスタか、ラタトゥイユ

このメニューの他の料理(夕食):
・前菜: シェフのポタージュ
・チーズ: コンテ
・デザート: 赤ワイン煮の洋梨

ブログ内リンク:
フランスの代表的な牛タン料理はピカント・ソース 2010/11/19
ディジョンらしいデザート 2008/03/31‎


Rosbeef
(ローストビーフ)


付け合わせは、
ポム・ノワゼット(ジャガイモ)。

このメニューの他の料理(昼食):
・前菜: ビーツのサラダ、卵黄のミモザ
・チーズ:シャヴルー(山羊チーズ)
・デザート: チョコレートムース
Roast beef
Jambon braisé
(ジャンボン・ブレゼ  - 豚肉のハム

付け合わせは、
盛り合わせサラダ。

このメニューの他の料理(夕食):
・前菜: リーキのスープ
・ヨーグルト
・デザート: シロップ漬けのミラベル

ジャンボン・ブレゼが美味しかったことを書いた記事:
まともに雨が降らない今年の異常気象 2014/07/05

Pintade rôtie
(ほろほろ鳥のロースト)

付け合わせは、
サヤインゲン。

このメニューの他の料理(昼食):
・前菜: 小エビ入りアボガド
・チーズ盛り合わせ
・デザート: ラズベリーのシャルロット


小エビ入りアボガドの画像

ラズベリーのシャルロットの画像

改めて眺めてみると、そんなに感動する料理ではない。やはり病人食であって、美味しいものを食べたいと思ってレストランの前でお品書きを眺めたら、入るのを躊躇するかな?...

この病院のサイトで確認したら、見舞客が支払う食事代は1食10ユーロとなっていました。千円ちょっと。やっぱり安い。その値段で食べさせてくれるなら文句は言わないと思う。


この回復期で入った病院の食事で唯一の不満は、ワインが付いてこなかったこと。

運が悪いことに、私が入院した直前に飲み過ぎでトラブルをおこした患者がいたので、アルコール度が低いシードル(りんご酒)しか出さないことになったのだと説明されました。

曲芸のように車椅子を操っている両足を失った元気で陽気な若者たちがいましたけれど、落ち込む人もいるでしょうからアルコール中毒になる人がいても不思議はない...。

食事で出てきたのは、とても美味しいシードルなのでたくさん飲みましたけれど、やっぱり物足りない。おかげで、それからはシードルに恨みを持ってしまった...。


ブルゴーニュの巨大な公立病院の整形外科に入っていたときは、寝たきり状態から回復しても、自分の病室から歩いて出られない状態でした。それで、他の患者さんたちとのコンタクトは全くないので、病院生活のサバイバル情報交換は全くできませんでした。

ある日、やたらにボリュームがある料理がのったプレートが届いたので不思議に思ったら、「Petit(プチ)」と書いた紙が付いている。「小さい」という意味なので、??? よく見ると、プチの前にムッシューとある。後で分かったのですが、ムッシュー・プチは隣りの部屋にいる患者で、彼は魚料理か肉料理かというようなチョイスで両方とも注文していたらしいのでした。そんなこともできるの?! と驚いたのでした。

しかも、プレートには機内食で出るようなワインの小さなボトルが付いていたので、ワインを注文すればもらえるのだと分かったのでした。私は見舞客が持ってきてくれるワインが病室のクロークにストックされていたので必要ないのだけれど、フランスの公立病院が出すワインはどんなのか知りたくて注文してみました。

飛行機のエコノミークラスで出されるようなワインとは全く違って、充分に満足して飲めるブルゴーニュワインなので、それを知ってからは毎回ワインを付けてもらうことにしました。

その後のフランスはアルコール飲料の飲み過ぎを制御するようになったので、今の病院ではワインは出さないことになっているのかもしれないですね...。でも、患者が病院を出て車を運転するわけではないから、やはり出しているのかな?... でも、上で紹介した友人の場合は、水しか出なかったと言っていました。


私が始めに入った巨大な公立病院でどのように食事を作っているか見せる動画がありました。


Les repas à l'hôpital - Les cuisines centrales du CHU de Dijon

病院ではフレッシュな食材を使うことを心がけていると話していて、見た限りでは、私が入っていた時代より質を落としているようには感じなかったのですが、どうなのでしょう?

この病院の事務部門で管理職だった友人が話していたのですが、彼の病院の大きな問題は、他の医療機関では引き受けない人たち(国民保険に加入していないから医療費を支払えない人たち)の受け皿になってしまっていることなのだそう。つまり、医療費を払えなくても見捨てられはしない体制になっているのがフランスらしい。

そういう福祉施設的な公立病院で私は始めの3週間で滞在をしたわけなのですが、スタッフの数も多くて、最高水準の医療を受けていると感じました。食事の方も、いまだに心くばりがあるように思えたのですけど...。


日本では、どうなのかな?...

丈夫なだけがとりえの私なので、日本では入院したことがありません。でも、知人のお見舞いに行ったときか何かで、日本の病院の食事は味気ないという印象を持っています。

Wikipediaの「病院食」の項目には、こんな写真が入っていました。



日本の病院で出される食事として私がイメージしているのは、こういう風に、健康には良いのでしょうけれど、なんとも食欲が減退してしまうような料理です。

日本でも、多額の費用を払ったら、懐石料理だろうが、フレンチだろうが、食欲をそそる料理を出してくれる病院はあるのでしょうけれど、貧しい私には無縁です。


フランスの病院はスタッフが親切で、居心地が良い

友人が1泊したのは、ブルゴーニュ地方の中で最大規模の町の中にある病院とはいえ、緑が多くて良い環境だったと言っていました。サニタリー付きの個室。なんだかんだ検査されたのが大変だったそうですけど。

病室からの眺めです ↓



食事会に集まった人たちは病院の食事は不味いものだと言っていたのですが、医師も看護婦さんたちも親切で感じが良かったというのでも意見が一致していました。

本当に、私もそれは痛感しました。「みんな穏やかで優しくて...」と言って、「フランス人じゃないみたいに」と付け加えたら、友人たちが苦笑していた!

骨折で猛烈な痛みを味わったので、同じ痛さは感じない死に方をしたいと思うようになりましたが、6週間の入院体験は楽しい思い出となっています。

ブログ外リンク:
おいしい入院食が食べられる病院(東京都限定)病院食
あなたも入院したくなる 世界の豪華な病院食をウォッチング!
外国人「世界14ヵ国17種類の『病院食』のメニューを比較してみた」
ドッグフードと見間違ったという声も・・・イギリスの悲惨な病院食

内部リンク:
医師の報酬では、麻酔科医がトップ 2012/11/24


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2016/08/06
この冬に、たまたま通りかかった教会で珍しいものを見ていました。教会そのものは、よく田舎にある建物ですが、文句のつけようはない美しさ。




教会でミサをあげるときの料金

目に止まったのは、入り口にあった張り紙です。



めったに出会わないのですが、この教会ではミサのお値段が書いてあったのです。




ミサ:    17ユーロ   (約   2,000円)
結婚ミサ: 140ユーロ   (約 16,000円)
葬儀ミサ:  140ユーロ
※ 1ユーロ=115円で計算

140ユーロの内訳は、62ユーロが小教区へ、61ユーロが司教区へ、17ユーロがミサへの奉献。つまり、この教会で結婚式や葬儀のミサをした場合、教会そのものに入るのは78ユーロ(9,000円)しかないということですか。普通のミサと同じに、賽銭カゴのようなものにお金を入れる習慣はありますけれど。

でも、市町村にあるéglise(教会)は市町村が維持費を負担していますので(大聖堂cathédraleは国の管轄)、建物の修復費用や電気代などは教会がある市町村の住民税で賄われますので、教会自体がお金を集めなくても存続できます。

結婚は役場であげてくれるのが正式な儀式なので、教会で結婚する人はそう多くはないように思います。でも葬儀の方は信者でなくても教会でするのが普通で、ミサをあげずに埋葬だけする人は非常に少ないと思います。

住民が少ない村では教会の維持のためのお金がかかるわけで、美しくない教会などは閉鎖してしまえば良いのだと言っていた友人もありました。彼の村では、敬虔な信者の人が村長になったときに教会に暖房装置をつけたので、暖房費がかなりかかるのだそう。最近は司祭も足りないし、信者も多くないので、小さな村々では回り持ちで日曜ミサをするのですが、暖房が入ってからは冬には頻繁にミサが行われるようになりました。近郊の人たちのために住民税を使われるのはたまらない、というわけ。

普通のフランス人の場合、葬儀でお世話になるのですから、村に教会が1つあるのは悪くない、と私は思います。何しろ、公共施設なので、墓地も日本のように法外な費用がかかるわけではないのですから。

でも、イスラム教とかユダヤ教の人たちは教会がある恩恵は何もないのに住民税が使われるわけですよね。不満に思わないのだろうか? フランスは政教分離の国ですが、こういうところを見ると、カトリックの国ではないかと言いたくなる。もっとも、宗教が違っても墓地を利用したいと申し出たら、拒否されることはないはずですが。


ところで、以前にもミサの料金が書かれているのを教会で見かけたときにブログに記録していました:
教会でミサをあげてもらうお値段 2008/06/2

8年前のことでした。その間に15%くらい値上がりした、という感じ。円に換算すると、今は円高になっているのでで、かえって値下がりしていますね。


葬式にはお金がかかる?

フランス人たちは葬儀にはお金がかかると言います。そう言われると、私は日本はもっとずっと高いのだと答えたくなる。

少し前に近所に住んでいる親しい人の母親が亡くなったので、葬儀の費用について聞いていました。教会でのミサ、土葬の費用、花束、参列者にふるまうカクテルパーティーなど、全部の費用を含めて2,500ユーロという感じだったとのこと。兄弟で葬儀保険のようなものをかけていたので(毎月50ユーロくらい)、それで費用は全て賄われたので、葬儀での出費はゼロでした。墓地は、先に入っている父親の場所なので問題なし。


フランスでは平均どのくらい葬儀費用がかかっているかの統計がありました。
  • 火葬の場合: 地方で2,670~4,190ユーロ。パリ首都圏では2,340~6,270ユーロ
  • 土葬の場合: 地方で1,980~16,090ユーロ、パリ首都圏では4,950~7,530ユーロ

為替レートの変動がありますが、フランスと日本の物価を比較すると1ユーロ=130円と感じています。それで計算した場合、26万円から99万円ですね。

この費用には棺代も入っていますが、墓地や墓石の料金は含まれていません。墓地の委譲権を確保する料金は、期間と市町村によって差があります。最低限に2平方メートルのスペースを確保することが条件なのだそう。

例えば、人口5万人という中程度の規模の町ベルフォールの場合は、こうなっていました(2014年):
  • 30年の期限付き: 277.76ユーロ
  • 永久権:     3,785.28ユーロ

3万円か、44万円のチョイスというところですね。


パリには14カ所の墓地がありますが、飛びぬけて過密地域なので2㎡の墓地委譲権はもっとずっと高いのは当然かもしれない。ただし、200万円近くもするの?!  と驚く永久権を確保できる墓地は稀な存在なのだそうです。
  • 10年の期限付き:    785 ユーロ
  • 30年の期限付き: 2,663 ユーロ
  • 永久権:      14,682 ユーロ

地方なら永久権を確保して、パリなら30年の契約にしたとして、墓地の確保は50万円弱というところですね。高いといえば、高い?...

契約期限が切れると、役場から立ち退きを要求されます。それについて、以前にブログで書いていました:
クイズ解答: 画家ルノワールの墓地 2006/08/19


気取らない墓石が好き

もともと墓地は怖いので嫌いだったのですが、フランスでは教会を見学するのが趣味なの、お墓を歩き回るのには慣れました。教会の外観を見ようとしたら、墓地を歩くしかありませんから。たまには、教会の建物と墓地が分離しいるところもありますが。

大理石なのかどうか知りませんが、ピカピカの墓石が好きではありません。特に、立派なのを見せつけているような黒い石のが嫌い。

こういうのが好きだな、と思う墓石がありました。



ここはブルゴーニュ地方のコート・ドール県の北部。
森には侵食した石灰岩があるのですが、それを墓石にしていました。



社会人類学者クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss 1908~2009年)のお墓です。ここは彼が持っていた城がある、人口50人の静かなリニュロル村(Lignerolles)にある教会の墓地です。


墓地にある遺灰を撒くスペース

フランス人が葬儀にはお金がかかると話すときには、墓石が高いと言っていました。幾らくらいするのか調べてみたら、1,000~3,500ユーロという値段を目安にしている情報がありました。

今の為替レートだと、12万円から40万円。フランスと日本の物価の感覚で1ユーロ=130円として計算しても15~45万円。日本の場合は、墓石代の平均は142万円なのだそうです(東日本:152万円、西日本:132万円)。フランスの方がずっと安いですね。


フランスの場合は、火葬して墓地に遺灰を撒くだけという手もあります。墓地にJardin du souvenir (思い出の庭)というスペースがあるのです。この場合は、墓地の場所代は無料。

人口200人足らずの村にあった教会を見学したとき、墓地の一角にあった「思い出の庭」のスペースの写真を撮っていました ↓



味気ないといえば、味気ない。でも、無料で場所を提供していただければ満足ではないですか?

こういうスペースは最近になって目につくようになりました。上の写真は「思い出の庭」が珍しくて写真を撮ったもので、2010年に撮影していました。そのころから出来始めたのかなという気がします。

Wikipediaには「Jardin du souvenir」 の項目が出来ていなかったのですが、画像は幾つか入っていました。下は人口30万人の大都市ナントの墓地にある「思い出の庭」スペースなので、田舎の墓地で見るのよりずっと広いようです。

Nantes - Cimetière Parc - Jardin du souvenir

だいたいにおいてシンプルなスペースでしょうね。どんなのがあるかを知るために画像検索すると、こちら

私は墓石が嫌いなので、こういう埋葬の仕方が私には好ましいと思うのですが、日本だと無料というわけにはいかないのだろうな
と思って調べてみたら、日本では海に遺灰をまくというシステムがありました。

日にちは指定しないで、適当に海にばらまいてくださいという感じなら5万円程度なのだそう。遺族が船をチャーターしてやると25万円。そこまでやってくれなくて良いです。その予算があるなら、居酒屋さんで友人たちが集まる会を開いて、「フランスなんかに行ったりして、勝手なことをやっていたヤツだったよな...」とか話しながら楽しくやってもらいたい。


カトリック信者に火葬が認められたのは1963年

フランスでは、伝統的に土葬の国です。カトリックでは火葬が禁止されていましたが、1963年の第2バチカン公会議で、火葬は「復活」や「魂の不滅」などのカトリックの教義に違反しないと判断されて許可されたのだそう。

第2バチカン公会議という名前は、現在のフランスではラテン語でミサをあげないということを調べたときにも出てきていました。現代のカトリック教会では節目になる決まり事をつくった出来事だったのですね。

昔ながらにラテン語でミサが行われるパリの教会 2015/11/02

フランスの「生活条件調査研究センター(CREDOC)」のアンケート調査結果によると、1975年にはわずか1%だった火葬は年々増加して、1998年には15%、現在は26%となっていました。2030年には約半数の50%が火葬になると見込まれているとのこと。

フランスで現在4人に1人が火葬というのは信じられない。私がフランスで身近な人では火葬は例外的だと感じているのです。でも、パリでは3人に1人が火葬という高い比率なのだそう。地方部での火葬率は8%以下。パリ首都圏には、フランス人の2割くらいが集中して住んでいるので、全国平均にすればそうなるか...。

火葬がフランスで増加したのは、ローマ法王庁による解禁よりは、むしろ経済的な理由が大きいだろうと思います。火葬にすると3割から4割安上りだという記述もありました。そう言われると、田舎で火葬にするのは豊かでない人たちに多いとも感じます。

ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事 » 墓地
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
Le budget à prévoir pour l’enterrement d’un proche
Mutac - Combien coûtent les obsèques
☆ Dossier Familial: Prévoir le coût des obsèques 
☆ Cimetières de France et d'ailleurs: LÉVI-STRAUSS Claude (1908-2009)
Qu’est-ce qu’un jardin du souvenir ?
Jardin du souvenir principe et coût du jardin du souvenir
Le jardin du souvenir un espace où disperser les cendres
☆ フランスニュースダイジェスト: フランスのお葬式&母国に眠るための豆知識
☆ AFP: カトリック国でも火葬が急増、フランスの法令では「骨つぼは暖炉の上へ」
☆ OVNI: フランスでも火葬が増えている。 2014/10/16
☆ All About: 死んだら遺骨は海にまいて……と言われたら
Mystère autour de Lévi-Strauss
アマゾン「お坊さん便」問題、お布施は寄付なのか対価なのか


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/12/22

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その4


フランスには101の県があります。
海外県が5つあるので、本土にある県の数は96。



フランスに県区分ができたのはフランス革命のときで(1790年実施)、その時の県の数は83だったそうです。


フランスの行政区分... ややっこしい...

フランス本土の県には2桁の番号で示されます。海外県は、9で始まる3桁。

県コードは郵便番号の始めにある数字にもなっています。自動車のナンバープレートにも県番号が付いています(最近になって義務ではなくなりましたが、付けていない車は見たことがないような気がします)。それで、自分が関係している県の番号くらいは覚えます。パリは町ですが、県としても扱われていて、県番号は「75」。

中には、全県のコード番号を言える人もいます。「すごい」と称賛したら、県のナンバーはアルファベット順に振られているので、覚えるのはそう大変ではないのだと言われました。

なるほど、Ain県の「01」からナンバーが始まっています。
フランス本土の県は96なのだから、県の番号は「96」まである、と思いますよね?

ところが。フランス本土にある県の番号はVal-d'Oise県の「95」までしかありません。

コルシカ島が例外になっているからです。島は2つの県に分けられていて、南にあるCorse-du-Sud県のコードは「2A」、北にあるHaute-Corse県は「2B」。それ以外の県の番号は全て数字だけなのですけど。

新年は南フランスで迎えました
コルシカ島の風景

http://www.lefigaro.fr/automobile/2014/04/09/30002-20140409ARTFIG00321-pourquoi-les-plaques-d-immatriculation-corses-font-fureur-sur-nos-routes.php
↑ これについて書いた日記: フランスで人気のナンバープレートとは? 2014/04/12

フランス革命の時に定められた県区分では、コルシカ島は1つの県でした。間もなく2県に分かれたのですが、また1つになって、さらに1811年から1976年までは1つの県になっていた。そのせいかも知れませんが、コルシカ島は1つとして、「フランス本土の県の数は95だ」と謂う人もいます。

それで「フランスの県は100ある」と言われると、コルシカ島を1つと数えたのだろうと思ってしまうのですが、そうでもなかったりもします。アフリカに浮かぶマイヨット島(Mayotte)が海外県として認められたのがつい最近なので(2011年)、少し古い情報だとこの島を県の数に入れていないのです。

ややっこしい。パリは町でありながら県でもあるのですが、地域圏(州のようなもの)ではありません。ところが、海外にある県は、同時に地域圏になっています。

フランスの海外領土は。メチャメチャと言いたくなるくらいに複雑です。県番号のようなのがつていても県ではなくて共同体だったり、そのいずれかでもなかったり、海外領土とは呼んではいけなかったり...。



フランスの子どもたちは、そんなのを覚えるように教育されるのでしょうか? 地理が苦手な私などはお手上げです!

在日フランス大使館では上手く簡潔に表現しているのではないかと思ってサイトを見てみました(こちら)。海外領土として地名をずらりと並べているのですが、それらがどういう自治制度になっているかは次のようにしか書いてありませんでした:
海外に位置するフランス領土は、多様な地位を有します。グアドループ、マルティニック、ギアナ、レユニオン、マイヨットは県・地域圏の地位を有します。一方、海外自治体の地位を有する自治体は、権限も自治の度合いもさまざまです。

個別に説明しない限りは、「多様」とか「さまざま」とかしか言えないでしょうね...。


ところで、県コード番号の一覧を順番に眺めてみたら、全部がアルファベット順に並んでいるわけではないのでした。

コルシカ島(Corse)のHaute-Corse県は「C」の順番に入れてしまっているように、複数の単語からなる県では、基準になる方で順番を決めたようです。

例えば、Hautes-Alpes(05)は、Alpes-de-Haute-Provence(04)とAlpes-Maritimes(06)に挟まれて番号がついていました。

それだけではない。県コード番号が定められた後に県名が変更した後も依然の番号を残しているのか、新しくできて場所がなかったというのが理由なのか、納得できない順番に入っているものもあるのです。

例えばEssonne県。Eだから始めの方に入っているかと思うと「91」なのです。なぜなのだろう、なんて考えているときりがないのでやめます。県ではないのに県コード番号を持っていたりとか、他にもゾロゾロと例外もあるのですから、気にしないに限る!


地名になっている「ロワール」

前回の日記「フランスで一番長いロワール川の不思議」で、la Loire(ロワール)という名の河川は色々な地域を流れているので、地名でもあちこちで使われているので紛らわしいと書きました。

まず、地域圏(州)の名前に入っているのは Pays de la Loire

県の名前では、Loireの文字は6つの県が使っています。Indre-et-Loire(37)、Loire(42)、Haute-Loire(43)、Loire-Atlantique(44)、Maine-et-Loire(49)、Saône-et-Loire(71)。太字にしたのはコード番号に使われている単語です。Loireをキーワードにして並べて県コードを作ったわけでもないのですね。河川の名前が2つ入っている県では、どちらが県内で重要かということで決めているのかな?...

観光地域なのの呼び名ではVal de Loireがあって、この地域を指定した世界遺産の日本語での呼称は「ロワール渓谷」となっています。この地方にある古城めぐりは有名で、Châteaux de la Loire(ロワールのシャトー)と呼ばれます。

ワイン産地で使われるのはVignoble de la vallée de la Loireで、世界遺産よりずっと広いロワール河の流域を指しています。

市町村の名前では、おびただしいくらいの数で「Loire」の文字が入っているのだろうと思います。フランスの市町村の名前では、そこを流れている川の名前を最後に付けているものが非常に多いのです。でも、市町村の数は36,529もあるので(2015年1月現在)、Loireに関係した市町村がどのくらいあるかなどは調べてみる気になりません。

でも、Wikipediaにはロワール河が通っている市町村の一覧を載せたページがありました(Liste des communes traversées par la Loire)。ページ内ぺ検索で「sur-Loire」をかけるとハイライトしてくれるので、数えようと思えば数えられますね。でも、数えたってなんの意味もない! 川が流れていなくても「Loire」の文字が入っている市町村もあるでしょうから。

本当はその川が流れていないのに市町村の名前に付けているケースもあります。例えば、ブルゴーニュ地方にあるIs-sur-Tilleという名の町。地名に「sur」とあったら、その後が川の名前で、その川が流れているという目印なのですが、この町を流れているのはTille川ではなくて、その支流のIgnon川です。町の名前を付けるときに間違えてしまったらしい。



この町のあちこちに川が流れているので、違う川もあるのだろうと思ってGoogle Mapを眺めてみたら、ぜんぶIgnon川なのでした。

Is-sur-Tilleという名前は、Tille川が流れているIsという意味で、つまり町の名前としては「Is」と短い。それでクロスワードパズルではよく使われるのだそう。

この町に行ったときのことを書いた日記:
トリュフ祭りの巨大なオムレツ 2012/10/23

今年は雨が降らなかったので、トリュフの収穫量はとても少ない年になりました。それでもこの町ではトリュフをたくさん食べるお祭りをしたのかな?...


フランスの県の名前は、ほとんどが河川の名前を付けている

県はフランス革命期に作られました。それまでに存在していた地域区分を取り崩そうという意図はあったでしょう。当たり障りがないようにしたのか、現在のフランスの県の名前は河川の名称がそのまま使われているものが目立ちます。

フランス本土にある96の県のうち、67の県は県内を流れている河川の名前にちなんだ命名になっていました。つまり、河川には関係ない名前の県名になったいえうのは29県だけ。県の7割は、県内に流れている河川の名前を1つか2つ入れた命名になっているということになります。

ヴァンデ県(Vendée)は、フランス革命中におきた反乱で有名なヴァンデなので、そちらの方を連想してしまうのですが、これも県内を流れているヴァンデ川から来ていたのでした。

フランスの県名の由来

県名の由来県の名前(赤字は海外県DOM)
河川67Ain、Aisne、Allier、Ardèche、Ariège、Aube、Aude、Aveyron、Bouches-du-Rhône、Charente、Charente-Maritime、Cher、Corrèze、Creuse、Dordogne、Doube、Drôme、Eure、Eure-et-Loir、Gard、Haute-Garonne、Gers、Gironde、Hérault、Ille-et-Vilaine、Indre、Indre-et-Loire、Isère、Loir-et-Che、Loire、Haute-Loire、Loire-Atlantique、Loiret、Lot、Lot-et-Garonne、Maine-et-Loire、Marne、Haute-Marne、Mayenne、Meurthe-et-Moselle、Meuse、Moselle、Nièvre、Oise、Orne、Bas-Rhin、Haut-Rhin、Rhône、Haute-Saône、Saône-et-Loire、Sarthe、Seine-Maritime、Seine-et-Marne、Deux-Sèvres、Somme、Tarn、Tarn-et-Garonne、Var、Vendée、Vienne、Haute-Vienne、Yonne、Essonne、Hauts-de-Seine、Seine-Saint-Denis、Val-de-Marne、Val-d'Oise
13Alpes-de-Haute-Provence、Hautes-Alpes、Alpes-Maritimes、Ardennes、Cantal、Jura、Lozère、Puy-de-Dôme、Pyrénées-Atlantiques、Hautes-Pyrénées、Pyrénées-Orientales、Vaucluse、Vosges
6Corse-du-Sud、Haute-Corse、GuadeloupeMartiniqueMayotteLa Réunion
海岸など5Calvados(注1)、Côtes-d'Armor、Manche(海峡)、Morbihan(小さな海)、Pas-de-Calais(注2
植物的特徴2Landes(ヒースなど低木しか生えない荒地)、Yvelines(森の名前)
地理的位置2Finistère(地の果て)、Nord(北)
歴史的地名5
(3)
Alpes-de-Haute-Provence、Landes、Savoie、Haute-Savoie、Guyane
町の名前4(2)Paris、Territoire de Belfort、Seine-Saint-Denis、Vaucluse
風景、
詩的表現
1Côte-d'Or(黄金の丘 注3


は重複してリストに入っている県。2度目に出てくるときはの印にしました。

注1:   Calvados(カルヴァドス県)
リンゴで作ったブランデーのカルヴァドスを思い浮かべてしまうのですが、これは県の海岸線に10キロくらい続く白い岸壁「rochers du Calvados」から来ているのだそうです。「Basse-Orne」とか「Orne-infèrieure」と命名されそうになったのを、地元の議員の提案が採用されてカルヴァドスになったとのこと。

注2: Pas-de-Calais(パ・ド・カレ県)
この「Pas」はpassage(通り道)から来ているとのこと。イギリスとの国境になるドーバー海峡を結ぶところにあることからの命名。

注3:Côte-d'Or(コート・ドール県)
この命名を提案したのは、地元の議員で弁護士だったCharles-André-Rémy Arnoult。この地方のブドウ畑が秋に黄葉した風景をイメージしています。

こういうのが黄金の丘「コート・ドール」のイメージでしょうね。ボーヌのブドウ畑の秋の風景です。

Vignoble Beaune

コート・ドールの県名を決める議会では、ご多分に漏れずもれず県内を流れるセーヌ河からHaute-SeineとかSeine-et-Saôneという名前にしようという案があったそうです。セーヌ河はコート・ドール県から流れている川なのですが、セーヌと言われたらパリを思い浮かべてしまうので、それにならなくて良かったと思います。

日本では、南仏の観光地「コート・ダジュール(Côte d'Azur)」がよく知られているので、それにあやかった命名かと思われる方もあるかもしれませんが、フランス革命期に作られた「コート・ドール」の命名から百年もたってからのことです。

コート・ダジュールの名付け親は、コート・ドールの県庁所在地ディジョンで生まれた詩人・作家で、カンヌにある別荘で冬を過ごしていたStéphen Liégeardによるものです(1887年)。「or(黄金)」を「azur(紺碧)」に置き換えただけ。

昔の地方の名前は美しいものが多かったのに、県名は味気ない名前ばかりだと感じます。Haut(上)とかBas(下)を使っているのも考えがなさすぎる。Finistère(地の果て)というのはラテン語から来ているので美しいかなとは思うけれど、Nord(北)というのは可哀想。

地域圏の名前でも、上と下で分けた命名がありますが、「下」にされてしまった地域の人たちは変えて欲しいと言っているのだそう。地域圏の方は合併させる動きが出ているので、「下」というのはなくなるだろうな...。

フランス革命が勃発してすぐに県名を考えたので時間がなかっただろうし、動乱期なので考えたりなんかする余裕がなかったのかもしれない。コート・ドール県に住む人が、「フランスの県で美しい名前がついているのはコート・ドールだけだ」と言っていたのですが、本当なのですね。

★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地
 
ブログ内リンク:
フランスの地域圏名 新旧対照表 2017/01/11
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ » 都市と農村
★ 目次: 乗り物に関して書いた記事 » 車のナンバー

外部リンク:
Wikipédia: Administration territoriale
Wikipédia: Département français | Liste des départements français
Wikipédia: Histoire des départements français
Wikipédia: Liste des départements français de 1790
18 juin 2014 - Régions ou départements
Carte des départements Français
☆ Culture générale: Le Nom des Départements
Origines du Calvados : le musée Baron Gérard lance un appel
よく出る分野をまとめて覚える 仏検イラスト単語集 準1~準2級レベル » 国土 


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/12/20

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その3


前回ロワールワインについて書いたのですが、改めてロワール川流域のブドウ畑が広い地域なのだと気がつきました:
ロワールワインの産地が広いので驚いた

それでロワール川(La Loire)について書きたくなったのですが、この河川の名前を日本語でどう表記するかにつまずきます。


フランス語で「川」と言いたいとき...

フランス人が川を呼ぶときには2つの単語があります。海に流れ込んでいるならfleuve。そうでなかったら rivière

ドライブしていて河川が見えたとき、日本だったら「わあ~、広い川だ」と言えば良いのですが、フランスだと、どっちかの単語を使わないといけないのですよね。fleuveなのにrivièreと言ってしまったら、フランス人に直されます。

例えば、我がブルゴーニュ地方にはSaône(ソーヌ川)が流れています。

ソーヌ・エ・ロワール県(Saône-et-Loire)の県庁所在地マコン(Mâcon)を、ソーヌ川ごしに眺めた風景がWikipediaにあったので入れます。

こういう川を見て、fleuveかrivièreか判断できますか?

Mâcon, le pont Saint-Laurent franchissant la Saône.

ソーヌ川が県境になっていて、この写真はマコン市の対岸にあるSaint-Laurent-sur-Saône(ローヌ・アルプ地方のアン県)でカメラを構えています。この写真を撮った人の後ろにはレストランが軒をつられている場所。

fleuveかrivièreかを考えるとき、海に流れ込むくらい大きな川だったらfleuveだろうと思いがちです。ソーヌ川は立派なのでfleuveと呼んだら、マコン市の高校に通った友達から「rivièreだ」と間違いを指摘されたのを思い出します。「フランス人でもよく間違える」と言ってくれましたけど。

このソーヌ川はフランスで9番目に長い河川ですけれど(全長480km)、ローヌ川(全長812Km)の支流なので rivière。

パリを通って海に流れ込むセーヌ川は、ブルゴーニュ地方のコート・ドール県に水源があるくらいなので、ブルゴーニュ地方の中でセーヌ川を見るときは、マコンの町で見るソーヌ川のような大河ではありません。

それで、セーヌ川をfleuveと呼んで、ソーヌ川をrivièreと呼ぶのは、私にはしっくり来ないのですけど...。


◆ 「ロワール川と書くのが正しいけれど、ロワール河と表記したい

fleuveもrivièreも入る総称としては「cours d'eau」という単語があります。直訳してしまえば「水の流れ」ですが、「河川」というのに対応するように思います。川が流れているのが見えたとき、日本人は「あぁ、河川だ!」とは言わないのと同じように、フランス人も日常会話では「あぁ、cours d'eauだ!」とは言わないと思うのです。

川の名前を知っているなら、fleuveなのかrivièreなのかを知らなくても問題なし。「あぁ、ソーヌ川だ」と言えば良いわけですから。

ところで、フランスで河川の名前には「かわ」という文字が入っていません。住所を見ても、町なのか村なのか全く分からないのと同じ。ただし河川の名前は女性名詞か男性名詞かに分かれています。

フランスで一番長い川で、ロワールワインの地域にも関係するla Loire(ラ・ロワール)。ところが、その支流にle Loir(ル・ロワール)という名前の川があります。最後にEがあるかの違いがありますが、LoireとLoirは同じ発音です。でも、その前に付いている冠詞で女性名詞か男性名詞かで両方は区別できます。なのでフランス人には困らないのでしょうけれど、日本語で書いてしまえば両方とも「ロワール川」なので紛らわしい!

ともかく、la Loireはfleuveで、le Loirの方はrivière。

英語でも、日常会話では河川は「river」を知っていれば良いのではないでしょうか? フランスではどうして海に流れるかどうかで単語を区別するのだろう? 国が大きな6角形をしていて、河川が海に流れつくのが大変だから?

fleuveかrivièreかを間違えると注意されるせいか、いつの頃からか、私は日本語でもそれを区別しないと落ち着かなくなったようです。フランスの河川がfleuveなら「河」で、rivièreなら「川」と、ずっと書いていました。

でも、正しい日本語では、日本の河川は「川」と表記するのだそうなのです。「河」を使うのは中国。「黄河」などにあるように。

フランスの河川に「河」と書いたら間違っていると知ったのですが、直すのはやめようかと悩んでいます。だって、fleuveのla Loireを「ロワール河」として、その支流でrivièreのle Loirの方は「ロワール川」と書けば、2つが区別できるのですから。

でも、「川」としなければいけないのでしょうね。仏和辞典で確認すると、fleuveもrivièreも「川」という訳語になっていました。


ここまで書きながら、河川の名前が女性名詞ならfleuveで、男性名詞ならrivièreかなと思いました。だとすると、大きな発見♪

でも、そうではなかった!

fleuveとして、セーヌ川(la Seine)もロワール川(la Loire)も女性。でも、rivièreのソーヌ川(la Saône)も女性でした。ローヌ川はfleuveだけれど、こちらは男性でLe Rhône...。

フランス人は「フランス語はデカルトの言葉で、論理的なのだ」と言うけれど、それならもっと規則を見つけ出せるような明確な言語にしてもらいたいのだけれどな...。

やはり私は、la Loireは「ロワール河」と書きたい...。


小説谷間の百合の舞台


お城巡りで有名な観光地となっているロワール地方。

バルザック(Honoré de Balzac)の長編小説『谷間の百合』は、この地方が舞台になっています。

小説を読んだ私は、こんな風に思い描いていました。

切り立った山に囲まれた谷。そこに咲く白いユリの花...。
そんなイメージを持つモルソフ伯爵夫人。
Mortsaufという名前に「mort(死)」が入っているので不吉...。

フランス語の原題は『Le Lys dans la vallée』です。

これは英語でスズランを意味する「lily of the valley」をフランス語にした、と聞きました。

スズランは、フランス語ではmuguet。
それでも、イメージはさほど変わりませんでした。

谷間にひっそりと咲くスズランの可憐な花...。

ところが、初めてロワール地方に行ってみると、「谷間」という言葉から連想していたのとはかけ離れた風景が広がっていたのでびっくりしました。

今でも、ロワール河といったら、こういう平野を流れる姿を思い浮かべます。

Vue sur la Loire aux environs de Chaumont-sur-Loire.

私が気に入ったショーモン城のあるChaumont-sur-Loireに流れているロワール河の写真です。

当然ながら、ロワール河も上流の方なら「谷間」と呼べる風景の中に流れていますね。Wikipediaには、こんな写真も入っていました。

Gorges de la Loire (Grangent)

Barrage de Grangentのところ、Saint-Just-Saint-Rambert(ローヌ・アルプ地方のロワール県)で撮影したのだそう。

私が「谷間の百合」からイメージしたのは、こういう山間部にある谷間だったのでした。

小説の題名は「Le Lys dans la vallée」。この「vallée(英語でvalley)」を「谷間」と訳していたわけです。

バルザック(Honoré de Balzac 1799~1850年)は『谷間の百合(1836年)』を、彼が1824年から1837年に滞在していたChâteau de Sachéという城を舞台にして描いていたといわれます。今はバルザック博物館になっているそうです。この城はSachéという名前の村にあって、地図で示すと、こちら。やはり「谷間」のイメージはないですね。

追記: バルザックが時間を過ごしたその城の様子を見せる映像があったので入れておきます。


Val de Loire : Balzac au château de Saché


谷とか、渓谷とか...

ロワールの城巡りで有名な地域は、観光ガイドでもよく登場しますし、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

世界遺産としての登録名は、フランス語では「Val de Loire entre Sully-sur-Loire et Chalonnes」ですが、日本語では「シュリー・シュル・ロワールとシャロンヌ間の ロワール渓谷」となるようです。Wikipediaでは「ロワール渓谷」と題したページで紹介されていました。

渓谷? もっとすごい谷間を想像してしまいませんか?

山が多い日本語では、河川の流域と言われると渓谷になってしまうのでしょうか?

仏和大辞典を中心にして、河川に関係する単語を拾ってみました。


vallée広く谷一般を指すが、普通川の名とともに用いて平野を流れる大河の流域をいい、その場合は日本の谷の概念からは遠い。
※ la vallée de la Loire ロワール川流域(ワイン産地で使われている)

vallon,
val
ともに小さな谷を意味するが、valは地名と結びついた若干の用例。慣用句のほかにはあまり用いられない。
※ le Val de Loire(世界遺産の指定地域名としても使われている)

ravin険しく狭隘な渓谷。日本の渓谷は主としてravinに当たる。

cañon両岸が切りたち、深くえぐれた谷。渓谷。
その大規模な例がコロラド・キャノン。

bassin盆地、流域(bassin versant、bassin fluvialなど)
※ le Bassin parisien(パリ盆地)、le bassin de la Seine(セーヌ河流域)



フランスのワイン地図で、ロワール河の流域の地域は、フランス語だと「Vignoble de la vallée de la Loire」とか「vignoble de la loire」とか呼ばれていました。日本では「ロワールワイン」と呼ばれるようです。「渓谷」なんてのは付ける人はいないのではないでしょうか? 谷間で生産されたワインなんて、日当たりが悪くておいしくないだろうと思ってしまいますから。

ロワール古城めぐりの観光ツアーを募集するときも、「渓谷」の文字は入れないのではないかと思いました。だって、ロワール渓谷のお城と言われたら、こんな風な城を想像してしまうではないですか?

Schloss Neuschwanstein

これはドイツのロマンティック街道のハイライトの1つとなっているノイシュヴァンシュタイン城です。こういう風景だったら、ライン渓谷と呼んでもしっくりしますけど...。


ロワール河はフランスで最も長い河川

前回の日記「ロワールワインの産地が広いので驚いた」で書いたロワール川(Loire)は、全長1,006キロで、フランスで最も長い河川です。

どんな地域を流れているのか、地図をしげしげと眺めてみました。

Cours de la Loire.

太い青で示されているのがロワール河(La Loire)。

ロワール河の流域(bassin versant)は11.7万km2の広さがあり、フランスの総面積の5分の1を占める、という記述がありました。それをワイン産地の区分にしてしまったら、ずいぶん広くなってしまうではないですか。

ロワール河流域のブドウ畑(Vignoble de la vallée de la Loire)の面積は7万ヘクタールで(そのうち52,000ヘクタールが原産地呼称AOC/AOPを持つ)、15の県にまたがっているのだそう。





詳しいロワールワイン地図は、こちら


有名なロワールの古城めぐりの観光地

世界遺産として登録された「Val de Loire entre Sully-sur-Loire et Chalonnes(シュリー・シュル・ロワールとシャロンヌ間の ロワール渓谷)」として選ばれた地域は、ロワール河流域の全てではなくて、280Kmの長さ、いわゆるChâteaux de la Loireと呼ぶ城めぐりで有名な観光地を指定しています。

それが「Le Val de Loire」と呼ばれる地域で、下の地図が赤枠で示しています。

Val de Loire ← クリックすると拡大 ↓

Châteaux de la Loire

ロワール河も上流の方は山岳地帯で、そこなら「ロワール渓谷」と呼んで良いと思うのですが、世界遺産が指定したのは平野部のところだけです。それを「ロワール渓谷」と呼んでしまうのに抵抗を感じるのは私だけでしょうか?...

「ロワール渓谷」と呼ばれた地域を空から見た映像があったので入れておきます。


Des racines & des ailes - Loire Paramoteur


不思議なロワール...

ブルゴーニュ地方にあるソーヌ・エ・ロワール県(Saône-et-Loire)は、ソーヌ川とロワール河が流れているためにつけられている名前です。

その県の中にあるDigoin(ディグワン)という町を流れるロワール河に架かる奇妙な橋について以前に書いていました。


クイズ: ロワール河にかかる珍しい橋とは? 2007/04/27

そのソーヌ・エ・ロワール県ですが、県の名前を変えて欲しいと思う人もいるようです。この地方と無縁の人が「ロワール」と聞いたら、お城巡りで有名なVal de Loireと呼ばれる地域を思い浮かべてしまう。「ソーヌ&ロワール」という県名では、どこにあるのか頭に浮かばないではないか、というわけです。

ソーヌ・エ・ロワールの県観光局では、ブルゴーニュ地方の南部にある県だとして「Bourgogne du Sud」という呼び名を使ってPRしています。観光局のサイトも、www.bourgogne-du-sud.com/というドメイン名を取っています。

フランス本土には96の県があるのですが、そのうち6つの県の名前には「ロワール(Loire)」の文字が入っているのです。

ここから考えて書いた記事:
フランスの県名は味気なさすぎる
「リヨンには3つの川が流れている」と言ったのは誰?

★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地

ブログ内リンク:
★ シリーズ記事目次: ロワール河にかかる珍しい橋 2007/05/13
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学、哲学、映画、テレビ番組
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

外部リンク:
Pourquoi la Vallée de la Loire?
Musée Balzac(Château de Saché)
バルザック研究会サイト
Définition de VAL
☆ 日本語への旅: 川と河
☆ 日本河川協会: 河と川の使い分けを教えてください
「川」と「河」と「河川」の違い


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/10/11
久しぶりにパリに行きました。久しぶりに行ったのを利用すれば良かったのですが、初日に人が多いのに圧倒されてしまって、何か見学する気にはならない。

パリにある美術館や博物館は、大して行きたくなかったところまで見学してしまったので、新鮮味がなくています。そもそも、もう今年最後という感じの素晴らしいお天気だったので、建物の中に入る気になりませんでした。どうせパリ。また行くだろうと思うから、無理をする気にはならない。

この前はいつ行ったかと調べたら、3年半前。パリは疲れるので行くのが嫌いなのですが、文化的な面に触れられるのはパリ。それなのに、そんなに行っていなかったっけ...。
2015年秋 パリ首都圏旅行シリーズ
その3 
目次


チュイルリー公園Jardin des Tuileries

とりあえず、テュイルリー公園に行ってみました。

まず目に飛び込んできたのは、ペタンクをしている人たち。パリのど真ん中で、こんなことができる空間がありましたか...。




池の周りでも日向ぼっこを楽しんでいる人たちがいました。




お花がきれい...

もう9月末というのに、植えられているお花がきれい。私の庭など、花はほとんど無くなっていたのに、プロの庭師だと上手にやるのだろうな... と感心。



日本語で「公園」と訳せるフランス語には、parc、jardin、squareなど色々あります。squareは、街角などにある小さな公園のときに使うのだろうと感じるのですが、parcとjardinのどちらを選ぶのかが私には曖昧です。

jardinは英語にすればガーデンなので、花などを植えたり、フランス式庭園(jardin à la française)にしていたり、つまり整えている公園の場合にjardinと呼ぶかな?...

ここは、日本では「チュイルリー公園」というのが定着しているようですが、フランス語ではJardin des Tuileries。ガーデンなのだから、お花がなければいけないか...。



広い芝生からすると、花畑の面積は小さいですけど...。

ここにあった宮殿の庭として、ルイ14世の時代には、フランス式庭園の様式を完成させた造園家アンドレ・ル・ノートルに造園させているので、その名残りもある公園なのかもしれません。

もっとも、フランス式庭園では、こんな風に花を植えて飾らないので折衷様式?...


芝生が美しいと思ったら、立ち入り禁止になっていました。スピード違反や酒飲み運転の取り締まりが厳しくなってから、フランス人たちは従順になったような気がします。誰も芝生に入っていない!

ところが、男性が一人、芝生の上を歩いているではないですか! 余りに平気な顔で歩いているので、公園の管理の人だろうと思ったのですが、そうだったようです。

こんなところに山羊がいて、そちらの方も問題がないかを確かめているようでした。



動物園に行かなくても、パリ市内で家畜を見ることはできるのですけれど、1区というパリの中心地に山羊がいたので驚きました。

パリは大都会だけれど、心が休まる空間があるのだな...。


昔にあったチュイルリー宮殿の姿は?

これを書きながら、チュイルリー公園についての情報リンクをとって、1つ学びました。

ここには昔はチュイルリー宮殿(Palais des Tuileries)があったのに、パリ・コミューンのときに破壊されたというのは知っていました。でも、興味を持ったのは、ここがJardin des Tuileriesと呼ばれる理由です。

「チュイルリー」という単語と宮殿は結びつかないからのですが、答えがありました。

ここには昔、瓦(tuile)を製造する工場(tuilerie: チュイルリー)があったことに由来するのだそうです。公園の名前になっている瓦製造所を示す単語は複数形ですから、幾つもあったのでしょうね。

私にとってのチュイルリー宮殿は、フランス革命と結びついているので暗いイメージがあります。そんなに暗い宮殿だったのかを確かめるために、宮殿の歴史をメモしてみます。
  • 1564年: カトリーヌ・ド・メディシスが宮殿の建設を命じる。
  • 1683年: 王宮はヴェルサイユ宮殿に移る。
  • 1789年: フランス革命勃発。ルイ16世一家はヴェルサイユ宮殿から連行されて監禁される。
  • 1791年: 国王一家はオーストリアへ脱走を試みるが逮捕されてテュイルリー宮殿に連れ戻される。
  • 1792年: タンプル塔に移されていたルイ14世夫妻は処刑される。
  • 1793年: 国民公会が議会を開く場として利用される。
  • 1800年: ナポレオン1世は、国王のアパルトマンに居を構える。
  • 1815年: ナポレオン1世は去り、代わりにルイ18世が住む。
  • 1524年: ルイ18世の死去に伴い、シャルル10世が入る。
  • 1830年: フランス7月革命により、国王は追い出されて宮殿は略奪される。
  • 1831年: 王位についたルイ=フィリップ1世が入り、修復をする。
  • 1848年: 王家は追い出され、宮殿は再び略奪される。
  • 1852年: ナポレオン3世が入り、皇帝を名乗る。
  • 1870年頃: チュイルリー宮殿とルーブル宮殿を繋ぎ、ヨーロッパ最大の宮殿となる。
  • 1871年: パリ・コミューンがおこり、宮殿は焼失する。
  • 1883年: チュイルリー宮殿は解体される。

色々と楽しくないことばかりの歴史を背負っている場所なので、年代をピックアップするのも嫌になってきました。チュイルリー宮殿を再建しようという動きがあるのだそうですが、なんだか縁起が悪い宮殿のようで、建てなくても良いのではないかと私は思ってしまう。

今はグリーンスペースでしかないので、長閑な公園なのですけれど...。


昔のチュイルリー宮殿の画像を探してみました。

ルーブル宮殿とチュイルリー宮殿が結ばれた図(1615年) ↓


Les Tuileries, le Louvre et la Grande Galerie en 1615. Plan de Merian
On y aperçoit la porte Saint-Honoré et l'Hospice des Quinze-Vingts (à gauche), ainsi que le tour du Bois (à droite). La porte et la tour formant une partie de l'enceinte de Charles V. Ces fortifications seront comblées et détruites sous Louis XIII.


17世紀末のチュイルリー宮殿と庭園 ↓

Tuileries
De gauche à droite : le pavillon de Marsan, la galerie des Machines, le pavillon du Théâtre, l'aile nord, le pavillon de l'Horloge, l'aile sud, le pavillon de Bullant, la Petite-Galerie, le pavillon de Flore. Au premier plan, le bassin octogonal.


パリ・コミューンの数年前に描かれたチュイルリー宮殿(1865年)。ルーブル宮殿から見た姿だそうです。

Les Tuileries vues du Louvre
Le palais des Tuileries vu depuis le Louvre du côté de la place du Carrousel vers 1865.


チュイルリー公園の面積は25.5ヘクタール

現在のチュイルリー公園を上からみた写真もWikipediaに入っていました。遠くに見えるのがルーブル博物館の建物です。

Jardin des Tuileries

歩いてみて、かなり広々していたのですが、この公園の面積は25,5ヘクタールなのだそうです。

ヘクタールという単位を聞くと、知っている人の家の敷地面積や畑の面積で考えます。このチュイルリー公園の面積は、私のお隣さんの庭の7割の広さですね。ちょっと信じられない感じ。つまり、お隣さんちが広いということか...。

もう1つ、ここの倍の広さがあるパリの公園にも行ったので、続きでその公園について書きます:
パリの公園: (2) ラ・ヴィレット公園



ブログ内リンク:
★ 総合目次: 都市と農村 » Parisについて考える
★ 目次: 旅行したときに書いたシリーズ日記のピックアップ
クイズ: この枯れた花には何の意味があるのでしょう? 2007/02/22
ブルボン朝最後の国王シャルル10世の墓はスロヴェニアにあった 2012/01/13
★ 目次: 戦争に触れて書いた日記
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

外部リンク:
☆ Wikipédia: Liste des espaces verts de Paris
☆ Wikipédia: Liste de parcs et jardins publics de France
Comité des Parcs et Jardins de France
☆ 仏文化省: Label Jardin remarquable
テュイルリー公園
☆ Office de tourisme Paris: Jardin des Tuileries
☆ Wikipédia: Jardin des Tuileries
☆ Wikipédia: Palais des Tuileries
Le Palais des Tuileries - Constructions / détruites
Le Palais des Tuileries sous Napoléon III
Comité National pour la Reconstruction des Tuileries
☆ Wikipédia: Testament de Louis XVI (manuscrit)
☆ Wikipedia: History of parks and gardens of Paris


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/07/23
近所に住んでいる男性が、独自の単語を使っているのを知りました。私にすれば会話に知らないフランス語が出てくるのには慣れていて、連想から意味を理解するので、何も気にしていなかった。

「彼が使う言葉は面白い」と言われて、単なるスラングではないと知った次第です。

例えば、失業は「石のスープ」、嫌なヤツのことは「牛にたかる蠅」、きれいな女性は「ジェラルディーヌ」という具合。日常会話で頻繁に使う言葉には独自の単語を作っているようです。

面白いと思ったのは「ヤクヌー」という単語。「Il n'y a que nous(俺たちしかいない)」を短縮したもので、農業者を指すのでした。

通訳(?)してくれた友達は、農業者たちがよくそう言っているからだと説明してくれました。天候が悪かったりするとすぐにテレビのニュースには農業者が登場して、損害を賠償する補助金を出してもらわないとやっていけないと主張するのですが、そういう時に彼らがその言葉を連発していたかな?...

フランスの農業人口は3%を少し超える程度ですが、国土の半分は農地として使われています。ワインの産地のように、それほど広くなくても収入があがる地域は例外とすると、見渡す限り畑が広がっている田舎でさえも、農業をしている家は100軒に1軒かな、という感じ。でも、それだけの広さで農業をやっているのですから、農業者の存在は大きいのです。

フランスの農業者たちは、国民の胃袋を養っているのだという強みが非常に強いです。大規模経営の農家は補助金もたくさんもらっているので、「ブリュッセルの公務員」なんて呼んだりする人もいます。

変な言葉を作っている近所の人ように、石のスープの食事になって、仕事のオファーがあればどんな肉体労働でも引き受ける貧しい生活をしている人から見れば、農業者をやっかみたくなるのは当然。ちなみに、彼の写真を入れたのは、こちらの日記

なにしろ、立派な家が1軒買えるほど高価なトラクターを何台も持っていて、たとえ仕事がなくなっても広大な土地が残るのですから、しがないサラリーマンとは全く違う身分です。


農業者たちのデモ

ここのところ、畜産・酪農関係の農業者たちが大規模なストをしています。

ニュースは追っていなかったのですが、友人が面白い話しをしました。

多くの観光客が訪れる世界遺産モン・サン=ミシェルに島に渡るための道が農業者デモで通行できなくなって、ニュースに出てきたレストランの人が「今日の客は日本人2人しかいなかった」とボヤいていたのだそう。

はるばる日本から、しかもパリからも遠いモン・サン=ミッシェルまで行ったら、苦労してでも観光しようと思いますよね。日本人、あっぱれ♪


Des agriculteurs en colère bloquent l'accès au Mont Saint Michel

農業者たちがトラクターを並べて高速道路を封鎖して、経済活動を麻痺させるデモは昔からあったのですが、観光スポットを狙えというアイディアが登場したのかな?...

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150723-00000030-jij_afp-bus_all
世界遺産観光にも影響、仏農家の封鎖デモ 政府が800億円超支援へ (AFP=時事) - Yahoo!ニュース


国民を養っている農業者たちは何をやっても許す国

フランスはデモによって抗議する行為が認められている国です。お医者さんたちが仕事をストップしてストをするとか、不法滞在の外国人たちが教会を陣取って抗議行動を起こすなどというのは、日本ではありえないと思う。

でも、農業者のデモは、最も派手にやっていると感じます。なにしろ、彼らは大きなトラクターを持っているので、抗議行動は凄まじいです。最近は、消費者の同感も得なければならないと分かったので、ひと頃よりは強硬ではなくなっていますが、それでも凄いです!

今回の農業者デモで、各地でどんなことをやっていたかを見せる動画を入れます:


Colère Crise des Eleveurs - Agriculteurs Incendies,Feux de pneux,Entrées bloquées..villes françaises

ご存じでない方のために言うと、タイヤが燃えると、たまらなく臭いのです!

大規模経営の農業者たちが入っているフランス最大の農業者組合FNSEA(農業組合全国同盟)のマークが入った紙に、こんなフレーズが書いてありました:
「フランス人たちよ、百姓なしに、あなた方は明日何を食べるの?」

それが彼らの強みでしょうね。

普通の人がスーパーに行って施設を壊したり、商品をメチャメチャんにしたら、犯罪者として逮捕されます。でも、農業者のデモでやれば見逃してもらえる。今回はしなかったようですが、農林大臣などのオフィスに暴れこんで、コンピュータや書類など、中にあるものをひっくり返したりもします。

それでも全くお咎めがない。だから、何でもやってしまう農業者たち。農業者がやった破壊行為で逮捕されたのは、建設中のマクドナルドを襲撃したジョゼ・ボヴェくらいではないでしょうか。

上の動画の書き込みが面白かったです。

彼らは自分たちのことをpaysan(百姓)と言っているけれど、農場経営者だ。汚したり破壊したりして、そのつけを払うのは納税者だ。ご先祖さんたちが守って来た土地を台無しにしないで、土壌と河川と人々を汚染するのは止めてくれ。

確かに、デモをやっているのは、細々と昔ながらの農業をやっていて親しみを持たせるpaysan(ペイザン)と呼ぶに相応しい人たちではなくて、大規模経営で農薬を撒き散らしている農業者たちに私も見えました。

フランスの国土の半分は農地として使われています。そこで農薬を撒くわけですから、環境破壊の最大の原因は農業だという主張があるのは納得できます。ブルターニュ地方では豚を集中飼育していて(国内で生産される豚肉の4分の3を生産)、汚水を垂れ流すから、海岸に変な海草が大量発生してしまっているというのは、フランスが遅ればせながらエコロジー・ブームになる前の1970年代から問題になっていました(ブルターニュ地方の海岸が、どうなっているのかの画像同じ汚染が発生している中国の画像も少し混じりこんでいますが)。


動画に入っていたもう1つのコメントも、彼らは何でもやっていいと思っている馬鹿者だ、と書いています。

なるほど。「ヤクヌー」は、自分たちが国を支えているのであって、それ以外の人たちは存在しないも同然だと思っている人たち、というイメージなのだろうな...。


でも、フランスの食品流通の構造には問題があります。巨大スーパー・チェーンがあって、幾つもあるけれど傘下でつながっているので、大量の仕入れをする。いくらでも農業者に売値を引き下げさせられるわけです。農業者たちは、原価を切って売らされていると主張します。

フランスは日曜日には商店が閉まっていて、平日は夫婦で働いている場合が多いので、たいてい土曜日に巨大スーパーに行って買い物をするというパターンがあります。いっぺんに色々なものを買えるし、価格も安いので便利なので。

直売をすれば良いと思うのだけれど、フランスでは宅急便が全く発達していないのですよね。朝市はあるのだけれど、出店するには手間がかかる。それに、朝市では消費者が見比べられるので、質の良いものでないと買ってくれる人がいない。売れている店と、売れていない店の差は驚くほど大きいです。


豚たちも怒って抗議行動?

農業者デモの話しをした友人が、今回のデモで一番面白かったのはスーパーマーケットに豚を連れ込んだことだ、と話していたので、映像を見つけ出しました。


Lot-et-Garonne: des cochons se baladent dans un supermarché

フランスで農業者たちのデモを報道するときには、昔から、それを支持する消費者を見せるというのがフランスの伝統のようです。食道楽のフランスなので、農業者たちは守らなければいけない、という風にまとめないと、視聴者の反感をかってしまうのでしょうか?...

動画を2つ眺めましたが、登場している農業者たちの顔や表情が攻撃的で、私が農産物の直売を買うときなどにで接している農業者たちとは全く違うのが興味深かったです。

豚のオペレーションの最後で仕入れ価格と売値が違いすぎるとカッカと怒っている人には、良い乳を出す牛を飼いなさいな、と言いたくなる...。大規模経営にはしないで、質の良い農産物を作っていれば、スーパーに買いたたかれるということはないはずだと思うのです。

最近のフランスでは、大規模経営農家のように巨額の補助金はもらえないでも頑張っている地元の小規模生産農家を支える直売運動AMAP(日本有機農業研究会が生んだコンセプト「提携」のフランス版)も都市部では盛んになっているのだし。

彼は、スーパーでは牛乳が1リットル1.03ユーロの価格が付いているけれど、自分は0.33ユーロで売っているのだ、と憤っています。

私がミルクを買っている酪農家は、搾乳量が多いホルシュタイン種ではなくて、モンベリアルド種の牛を飼育しています。そのミルクでデザートを作ると、どうというレシピではないのに素晴らしく美味しくできあがるのです。ヨーグルトとフレッシュチーズも作って販売しているので、販売するミルクの量は少ない。朝市でミルクを買いたいときには、朝一番で行かないと売り切れになっています。

この直売農家の朝市でのミルクの売値は、1リットル0.90ユーロ(ボトル持ち込み価格)。つまり、スーパーが暴利をむさぼっていると動画の中で息巻いていた人の3倍近い値段で売れているわけです。仕事に見合う利益は普通に得ているはずで、こういう酪農家はデモには参加しないだろうと思います。

戦後に大規模経営を進めさせてきたフランス。それに乗ってしまった農業者側にも責任があると思う。めちゃめちゃに高いトラクターを何台も持って借金を抱え、高い農薬を買って... という図式...。

私が豚肉を買うことにしている直売農家は、ここの豚肉を食べたら、他の豚肉は何なのだろうというほど良い味があります。ご主人は穏やかな人柄を感じさせる良い顔をしています。丹精込めて飼育している家畜を食肉にする仕事は辛いだろうけれど、生きている間は心地よく過ごさせてあげようと飼育しているから肉が美味しいのだろうと思っています。

彼に、自分の主張を通すために豚をスーパーに引き出すことができるかと聞いたら、ノンと笑顔で答えるのではないかな。丹精込めて育てている豚にストレスを与えるなんてできないだろうと思う。それでも聞いてみたい気がしますが、朝市ではいつも長蛇の行列ができているので遠慮します。

この絶品の豚肉を売っている農家では放し飼いの家禽類も飼っていて、卵はこの農家のものを買うことにしています。ところが、鶏卵のために飼っているシャラン種というニワトリが大きな卵を産むので、農家の人は困っています。普通の卵ケースに入れるとはみ出してしまって、蓋がしまらない! 先日も、家に帰ったら1個割れていました。

それで、専用のカゴを持って買いに行こうと思いつきました。蓋がついている使わないカゴがあったのです。



カゴの中には、卵のケースを切ったものをクッションとして入れました。飾りもつけたりしたのは、「これに卵を入れてください」と言って差し出したら、農家の人が見せる笑顔が目に浮かんだからです。

でも、もう少し大きいカゴの方が良さそう。1ダースは入るけれど、2ダースの卵を入れると重なって、やはり割れてしまうかもしれない。最近はアイスクリームを作るので、卵もたくさん必要なのです。

それに、カゴの蓋が左右に開くのは可愛いけれど、卵を入れてもらうには不便かもしれない。もっと良い入れ物がないか考えてみようっと。なぜかカゴが好きなので持ちすぎていて、ただ飾りにしているカゴも多々あるのです。写真にも、庭に飾っているブドウ収穫カゴが2つ写っている...。



スーパーが生産者から破格値で買い付けて巨大な利益をあげているという問題は、かなり前から問題にされています。

数年前には南仏で果樹栽培をしていた農業者のPierre Priolet(ピエール・プリオレ)という人が、テレビによく出演して窮状を訴えていました。テレビに出てインタビューされると泣き顔になってしまう。彼が惨状を訴える姿は感動的で、茶の間の人気になっていました。

働けば働くほど借金が増えるというプリオレさんは、ついに果樹園を更地にしてサラダを作り始めたのですが、うまくいかないようすでした。デモのニュースを見て、彼がどうなったのか調べたら、農業のやり方を変えて幸せに暮らしているとのこと。どんな風に変身したかについて書きました:

テレビに出演すると泣き顔で窮状を訴えていた農業者は、どうなった?



追記 (2015-07-29):

農業者のデモは続いています。今日のニュースでも、スーパーを攻撃している映像が映っていました。普通、破壊行為をするときは、テロでもデモでも顔を隠すのではないかと思うのですけれど、堂々としています。

スーパーが破壊されるのは、暴利をむさぼっている代償だから自業自得かもしれない。損害は、また利益を増やして補えば良いわけだし。

でも、税金で賄われている公共事業が受ける損害は、一般の人たちがが負担することになります。フィニステール県の担当者が、今回のデモ被害の県内での推定額を出していました。

7月24日までの段階で、今回の農業者デモによる県内の損害は50万ユーロ(7,000万円)になるだろうとのこと。アスファルトの補修に15~20万ユーロ、道路のガードレールなどを直すのにかかる費用が5万ユーロ、ばらまかれた2,400 ㎡のゴミを除去する費用が30万ユーロなど。デモが長引いたら、もっとお金がかかるとのこと。

ゴミの除去の費用がやたらに高いのですが、燃したタイヤとか、家畜の糞尿と寝藁を混ぜた堆肥などは普通のゴミとしては処理できないからなのかな?...

なにしろ農家の人たちは巨大なトラクターを持っているので、やることが大きいのです。巨大なタイヤがついたトラクターと一緒に道路を走っているときは、戦車のように見えて怖いですから、トラクターが行列を組んでいるのに出会ったらおびえてしまうだろうと思う。

フランス人はフランスの農産物を食べろ、と彼らが怒るのは分かる。でも、同じように輸入品に市場を奪われて倒産が続いている衣服業界の人たちなどは、売れ残りの商品を道路にばらまいたり、国境を封鎖するようなデモはできないですよ...。

さらに追記:

この日の夜、テレビでピレネー山脈の地方のルポルタージュを見ました。旅行で立ち寄ったことはあるのですが、何も面白くないという印象をの残しただけ。ところが、ルポルタージュを見るたびに、こんなに壮大な大自然が残っている地方だったのかと驚いています。アルプス山脈がある地方のようには観光地化はされていないので、普通に観光しただけでは本当の良さは味わえないのだろうと思います。

今夜見た番組の1コマに、マッサージによるセラピーもしている女性の獣医さんが登場していました。車を3時間だったか4時間だったか走らせて、元気がない作業馬の治療を依頼してきた農家に行く場面。村に到着してからは車を降りて、延々と山道を歩いて農家に到着。たどり着いた農家は、素晴らしい山々の景観を望む山の上にありました。急こう配の土地なので、数頭飼っている作業馬でしか農作業ができない様子。

馬の治療が終わった獣医さんを、庭にあるテーブルで飲み物を出してもらっていました。素晴らしい見晴らし。農家の女性は「これが贅沢だと思っています」と言う。日本人が抱くフランス女性のイメージに合わないような素朴な顔だちでしょうが、こういう生き生きとした顔は美しいと私は思います。

こんな山の中で農業をしているのですから、そこそこに生きていけるくらいの収入しかはず。でも、お金儲けは求めずに、与えられた人生を前向きにとらえて生きている人を見ると清々しい気持ちになります。心が洗われた思いがしました。


追記(2015年8月):

農業者のデモは、1カ月たった今も続いています。今の政権は社会党の大統領。大規模経営の農業者たちが伝統的に支持するのは保守党で、間違っても社会党には投票しないから手加減しないのでしょうか?

あちこちで過激なことをするので、その被害額が大きくなっているというニュースが流れていました。損害を支払うのは住民が支払う税金にツケがまわります。


VIDEO. Les éleveurs en colère laissent une lourde facture derrière eux après leurs manifestations 2015/08/19

政府がすることに対してデモを起こす人たちにはエールをおくりたくなる私です。でも、農業者はアンタッチャブルだから犯罪にはならないからといって、ここまでしちゃって良いのかな?... ドイツからの農産物を運ぶトラックを捕まえて荷物を取り出したなどというのは、ドイツ側からしたら損害賠償を請求するだろうと言われますが、どうなるのか?...

戦時中の「産めよ、増やせよ」のように、大規模経営にせよという政府の方針に従って、近代化するために借金を積み重ねてきた農業者たちがデモをしていると感じます。今回のデモ関連でニュースに出てくる農業者たちは、チーズにしたら不味いという定評があるホルシュタイン種の牛を育てている農家とか、小屋に閉じ込めて豚を集中飼育しているばかりなのです。

細々と、誠実に、農業をやっているのに生活が苦しい、と訴える農業者は全く登場しない...。やけになってデモなんかしないで、自分の幸せのために生き方を考えて欲しいと思ってしまう...。質の悪い農産物をつくっていたら、安く売っている外国の農産物に負けてしまうのは当然で、「フランス製を買え」と言っていたって、消費者は選びませんよ...。

ブログ内リンク:
フランスの戦後の農業史を見せるドキュメンタリー番組 2014/08/08
ワインを作る農業者たちの怒りのデモ 2012/11/09
パリのシャンゼリゼが農場になった! 2010/05/23
5月革命を連想してしまう最近のフランス 2010/10/20
憎っくき、菜の花畑 2013/05/14
フランスで問題にされているレストランの手抜き料理 2015/06/12
★ 目次: 乗り物に関して書いた記事(自動車、自転車、トラクター、船など)
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ

外部リンク:
世界遺産観光にも影響、仏農家の封鎖デモ 政府が800億円超支援へ AFP 2015/07/23
Pierre Priolet, une reconversion réussie 2015/06/15
Crise des éleveurs trois graphiques pour comprendre le prix d'un kilo de viande 24/07/2015
フランスの提携運動と地域流通施策の背景
Exploitations agricoles - Panorama de l'agriculture
Suicide les agriculteurs premiers concernés (rapport)


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/06/12
フランスでテレビのコマーシャルを見ていると、不味そうな食品ばかり。フランスが誇るような優れた食材は全くと言って良いほど登場しません。

スーパーで大量に売るような食品でないと宣伝費はかけないでしょうから、そうなるのでしょうね。高品質の食材は、宣伝しなくても売れる。

パッケージに入った不味そうなハムのコマーシャルも多いです。冷凍食品やレトルト食品に、シェフのレシピで作っているなどと宣伝してあるのも多い。

工場で大量生産した食材のコマーシャルに3つ星を持つシェフまで登場するのには驚きます。プライドはないの?! と言いたくなるけれど、3つ星レストランは人件費などがかかり過ぎて収益をあげるのは難しいので、シェフの名前を貸すというのが大きな収益源なのだそうですので仕方ないのでしょうね。


スーパーで売っている質が高いとはいえないようなバターのコマーシャルに、パリの3つ星レストラン「ル・ブリストル」のシェフÉric Fréchonが出ています ↓


Publicité Président Beurre gastronomique


日本食ブームも、フランス人の味覚が乱れた現れでは?

どんなものかをお見せするために、YouTubeに入っていたフランスのコマーシャルを1つ入れてみます。


Les secrets du surimi Fleury Michon

フランスで「surimi」と呼ばれる食品です。変なものから作っているのではないと見せているコマーシャル。蟹も出ていますが、天然の蟹から作ったフレーバーだと言っています。

それにしても、このカニカマは、形からして不味そうに見えませんか?...

日本のは、もう少し蟹に似た感じにして作っていると思うのですけど。

海沿いの地方でもない限り、フランス人には蟹は馴染みが薄い食材なので、形や触感を蟹に似せる必要はないのかもしれない。

スリミは1985年からフランスで製造されていて、日本の伝統的な食材だから(カマゴコ、すり身)カロリーが低くて健康に良いイメージを与えるし、かじりやすい形というのも人気の理由らしい。

Surimiの消費量は、フランスは日本に次いで世界で第2位になっているのだそう。年間に1人300グラムを食べているという計算。私の周りにいるフランス人たちがそんなに食べているようには見えないのですが、食べる人はたくさん食べているからのようです。

フランス人たちに日本食の人気が出てきたときは嬉しくなって、食べたいという友人たちのためにはりきって料理していきました。でも、最近はあまり乗り気でなくなりました。

昔は得体が知れないから食べたくないと言っていたものを喜んで食べるということは、フランス人の味覚がおかしくなってきた現れだと思えてきたからです。

そもそも、フランスにある日本料理店は、大半が安く食べるのを売り物にしているアジア系の店なのです。私が刺身に使うような生魚などは非常に高い食材だし、醤油や味噌などのように欠かせない食材は日本から持ってきています。偽物と一緒にされてはたまらない!

最近は、家に来た友人が、私が出す日本料理を食べないと拒絶すると、あっぱれだと褒めたくなってしまっています。もしも、「日本食が大好きで、パリに行ったらラーメンを食べる」などと言う友達がいたら、絶対に日本料理は作ってあげないつもりです。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ



レストランのホームメード認証

イタリアでスローフード運動が提唱されたのは1996年。フランスでも、1990年代に入った頃から、子どもたちがファーストフードを喜んだりするために味覚の乱れがでてきたと問題視されるようになりました。

最近では、厨房で料理しないものを出すレストランが増えたことに批判の矛先が向くようになったと感じます。

家庭で食べるものに関しては、安いからと質の低い食材を買ったり、手間をはぶくためにレトルトや冷凍の食品を買ったりするのは本人の勝手。そういうのが嫌な人は避ければ良いわけですから。でも、レストランで知らないうちに食べさせられてしまうのには腹がたつ、というわけなのでしょう。

特にヤリ玉になっているのは、自分のところでは調理はしないでレトルト食品を温めて出すだけとか、下ごしらえはしないで済む冷凍食品を使うレストラン。そういうものを売っているところで有名なのは、ドイツの外食企業「Metro(メトロ)」。レストランや商店などのような食料品のプロでないと利用できないのですが、その名前はフランス人なら誰でも知っているように感じます。

ホームメイドでない料理を出すレストランを貶すときには、友人たちは代名詞代わりに使っています。レストランの前にその車が止まっていると、そこで食事したくなくなたりしている。



一度だけ、プロしか入れないメトロの店舗を見学させてもらったことがありました。商品の陳列にはこだわらないので、味気ない巨大なスーパーという感じ。本当に何でも売っている! こういうのを仕入れて、電子レンジで温めた料理を出すのか?... と驚きました。料理を下手に作るよりはマシ、ということもあるでしょうけれど。

外食産業見本市というのには2度ほど行ったことがありますが、食欲を失うものも展示されていました。



見た目にはきれいなのですけど、やはり工場で大量生産されている食べ物には食指が動きません。すごいなと驚いたのは、卵が白身と黄身に分かれて売っていたこと。

フランス人は工場で作られた食べ物を嫌う。と言っても、レストラン側からすれば、調理場の仕事を楽にできるので重宝するようです。特に、2000年頃から始まった週35時間労働制が進んでからは、自分のところで調理をしないレストランが増えた感じがします。

飲食関係の仕事は労働としては大変なので、働き手を見つけるのが大変なそうです。パリなどで調理場で働く人としては、不法滞在者も含めて、アフリカ系の人が多いと感じます。最近は、厳しい労働条件にも耐えてよく働く日本人研修生を使うレストランが非常に多くなりました。修行だと思って将来のキャリアにしてくれれば良いですけど、利用だけはされたくないな...。ほとんどタダで働くのに、高い斡旋料をとる日本の業者までいるのですから。

レトルトや冷凍食品を使っているレストランは、全体の75%を占めているらしいという調査結果がありました。そういう食材だけ使っているというわけではなくて、少しでも使っていると答えたレストランの割合です。この数値をどう読むべきなのかな?... レストランの中で大多数を占めているのは、大都会にある、ともかく安く食事ができれば良いという飲食店が大きな比率を占めているでしょうから。

前回の日記「フランスのレストランにできたホームメイド認証ラベル」に書いたように、フランスでは工場で作られたレトルト食品や冷凍食品を使わない料理に対して「Fait maison(ホームメイド)」という名前を付けることができるという法律ができました。



このマークができたのは昨年の7月。そのときは一部の冷凍食品も認めていたのですが、今年の5月からは生鮮食料品を使わなければダメという風になりました。パンやハム・ソーセージなど、一部の食材は例外として認められていますが。

いちおう、このマークがあれば、レストランが新鮮な材料を使って厨房で調理した料理だと安心できるという目印になります。この表示ができたことによって、フランスのレストランで出す料理の質が向上するのかは疑問ではありますが...。

このホームメイド認証が気になりだした最近、レストランを見るとこのマークがあるかをチェックしてしまうようになりました。気をつけてみると、かなり目につきますね。ホームメイドであることを強調するのはパリのような大都会だろうと思っていたのですが、田舎でもやっている。レストランが林立している観光地では、特に多いと感じました。


フランスのレストラン業界の現状をあばくテレビ番組(2012年)

ホームメイド認証の法案が通る前の時期に、フランスの外食産業界がどうなっているのかを暴露したテレビ番組の動画があったので入れます。一面を捉えているので、フランスのレストランの全てが、こうなのだとは受け取っていただきたくはないのですが。

この報道に出てきたのはパリがほとんどでした。電子レンジで温めただけで出す料理というのは、パリのような大都会でぶつかってしまう確立が高いと感じます。町で生活していたり、仕事や観光で行ったりしたときは、ともかくレストランで食事しなければならない人たちがたくさんいるので許容されるでしょう。それに、忙しい都会生活をしていると、家庭でも冷凍食品を食べている人も多いですから。

面白いことに、この番組では、少し前に私がレストランで食べて褒めて書いていたSouris d'agneau(子羊のすね肉)の料理にスポットを当てていました
こういうレストランが家の近くにあったらな... 2015/04/23

この料理はビストロなどで出す代表的な家庭料理ということで、それを食べ比べて、工場で作られたものを温めているだけかどうかをテストしているのでした。

さすがに、自分のところでは料理しないとか、冷凍食品を使っていると批判しているのはレストランやビストロのような店のみで、ファーストフード店、日本で言えばファミリーレストランのようなところ、カフェテリアなどは対象から除いています。問題外ということ?


Restauration française : un pavé dans l'assiette
France 5 2012年放映番組

パリの立派なレストランで、なかなか美味しそうな料理がメニューに並んでいます。立派な調理場が出てくるのですが、電子レンジしかない! 料理なんかできなくても、温めればよいという工場で作られた食品が出回っているのです。

パリのブラスリーのテラスで出された子羊のすね肉を料理評論家がテストします。

ウエートレスさんはホームメイドだと言うのですが、料理批評家は見破ります。骨が白いので、本来のレシピ通りにオーブンで長時間焼いたはずはない。肉は、見た目からしても、ナイフを入れてみても、食べてみても肉の触感がないので、何度も火を通したのが分かる。古くなったポトフ、と表現していました。真空パックに入っていたか、冷凍のものを仕入れて電子レンジで温めただけだろうと結論。

何も、料理評論家に検証してもらわなくても、見た目にも不自然だし、食べてみれば分かりますけどね...。とはいえ、たまたま開いた在仏日本人の方のブログでお勧めビストロとして入っていたのが、まさに見た目からしてレトロそのものの子羊のすね肉料理。柔らかくて美味しかった、と書いてあるのでした。そういう風に受け取る人もいるという証拠ですよね?... 食事は文句をつけないで美味しくいただくのが一番だと思うので、羨ましくなる...。

まともに調理したものではないと見破れるのは、こういう見た目ということをお見せするために、動画の場面を入れておきます。書いてある文字は「隠しカメラ」です。洗ったまま出てきたような白い骨の部分を見ただけで、おかしいと思われませんか?



動画の続きです。

その翌日、番組はレストランのゴミ箱の中をチェック。パッケージを見つけ出して、子羊のすね肉は冷凍食品だったと判断。その後に食べた牛肉のタルタルステーキも、レストランでミンチにしたのではなくて、パックのものだった。


次に出てくるレストランでは、調理場に運ばれてきたのは冷凍食品ばかり。魚は骨が取り除かれているし、野菜はきれいに形がそろって切られている、というわけ。シェフは言っています。30年くらい前に彼が働いてたときには、調理場のスタッフは週に60~70時間働いていた。今では、他の職種と同じように週35時間労働ですよ、と自慢げ。

デザートは、仕入れたものを電子レンジで温めて、きれいに飾り付けて、仕入れ値の7倍で出しています。儲かるわけですね。

温めれば良いだけという工場生産の食品を作る会社がたくさんあり、この業界に関係する大きな企業5社で、売上は80億ユーロ。有名シェフの名前もPRに役立っている。商品には「ホームメイド」とか「伝統」とか「本物」とかの文字を入れている。今日では、フランスのレストランの7割はそういう食材/料理を使っているとのこと。


レトルト食品を卸している大企業全てから取材を拒否されたので、地方で真空パックの料理をつくっている調理人の工房を訪問しています。ミシュランの星を持っていたシェフですが、採算がとれないのでこの事業を始めたのだそう。ヨーロッパ産の3分の1で買えるニュージーランド産の子羊を使って、味は落ちるので粉末の粉で風味を出して、子羊のすね肉料理を作っています。

その後、新鮮な食材しか使わないパリのレストランが出てきます。またまた子羊のすね肉料理が出てきて、手作りの場合のコストを計算させています。工場生産の料理より15%高い。その前に出てきたレトルト食品の見本市会場では、レトルトだと30%安いのだと宣伝していたのですが。

ここで始めに出てきた料理批評家が再登場して、子羊のすね肉料理の食べ比べをします。工場生産のものは、肉が骨から簡単にはがれるのに対して、自家製はナイフで切らないといけない。匂いを嗅ぐと、自家製はタイムの香草が焼けた匂いが立ち上がってくるけれど、工場生産製は何度も煮た香りしかない。


ホームメイドの表記に対する規制がないので、工場生産の料理を袋から出して電子レンジで温め、そこに少しタイムの葉と塩などを乗せれば「ホームメイド」としてレストランで出せるのだ、などとやっています。

それをやっているのは、『フランスのガストロノミー黒書(Le livre noir de la gastronomie française)』の著者。

美味しいものにこだわる人でしょうに、そういう顔をしていないのが不自然ですけど...。


栄養士も登場して、レトルト食品をチェック。工場製品は伝統的なレシピでは使わない食材で味付けしていることがあるので、アレルギーがある人には危険だと指摘しています。自分で買うなら、何が使われているかをパッケージの表示を読んでチェックできるけれど、レストランだと分からないのが問題。

でも、ひどいアレルギーがある人だったら、レストランで食事するのは避けるべきではないでしょうかね。シェフが創作料理をしていることだってあるのですから...。


ホームメイド表記については業界から強い反対があるので、法案を成立されるのは難しいのだと話しています。しかし、イタリアは成功例。

イタリアのレストランでは、冷凍食品を使っている場合にはメニューに「*」を付けて表示することが1998年から義務付けられているのだそう。出てきているシェフは、この法律ができるまでは冷凍食品を大量に使っていたけれど、今では食材の5%しか使っていないと言っています。フレッシュな食材を使うためには地産地消になるので、地域経済を潤すことにもなる。お客さんは美味しいと評価するので、店は繁盛する。

再びカメラはフランスに戻り、アルザス地方の調理学校。驚いたことに、そういうところで工場生産の食品を使うことが教育プログラムに入っているのでした。先生は、個人的には好きではないけれど、生徒たちが働くようになったときのために工場製品も使うことを学ばなければいけないから、と言っています。

学校の倉庫には、工場生産の食材がたくさんストックされています。メーカーから寄付されたのだそう。そうでしょうね。将来のお客さんにPRすることになりますから!


自分で料理しようと思えば、フランスでは優れた食材が手に入る

フランスの美食術がユネスコの無形文化遺産に選ばれたのは2010年。その少し後のフランスでは、ガストロノミーとは関係ない食品業界の企業などがこれを利用するようになったことが問題視されて、そんなことをしているとユネスコから登録を取り下げられるらしいなどと囁かれていました。噂に過ぎなかったのかも知れませんが、反省するのは良いことだと思う。

ユネスコが世界遺産に指定するのは、努力を怠っていたら消えてしまう危険があるものに対して与えられるべきだと私は思っています。歴史的価値がある地域が世界遺産になると、観光客が急増して昔の良さがなくなってしまうことが多いので、何かしら登録されたことでメリットもないと思うからです。

それで、日本の食文化も登録されたのは(2013年)良いことだと思いました。フランスは食生活が乱れていることを大きな問題として取り上げていますが、日本はそれ以上のレベルなのに、ほとんど騒がれていない感じるからです。

日本では昔からインスタント食品が普及しているし、ファーストフード店、ファミリーレストラン、チェーンの飲食店がたくさんあります。東京でレストランに入ったときには、レトルトを温めているだけのところが多いと感じますが、日本人はそれほど気にしていないのではないでしょうか? レストランが自分のところで調理した料理ではないと貶す友人は、今までに一人もいませんでした。

そもそも、工場で作った料理を表す単語をフランス人は普通に使うのですが、日本語では「レトルト食品」くらいしか思い浮かびません。「工業生産の食べ物」などとは言わないですよね? フランスでは農業に関しても言われて、放牧にしないで建物の中で家畜を飼育する農場などにも「ferme-usine(工場ファーム)」という言葉を使って非難します。

美食の国と言われるフランスでも、本物の食べ物を求めない人が多くなっていると感じます。特に、忙しい生活をしなければならないパリでは進行している。

でも、美味しいものを食べたいとこだわる人たちは存在し続けています。気取っているわけではなくて、情熱というか、病的とも言ってしまいたくなる知人たちがいます。そういう人たちがいる限り、食の乱れは日本のレベルまでには下がらないだろうと感じます。

少なくともフランスは農業国なので、優れた食材を入手するのは簡単にできます。政府公認の高品質食品認定AOC/AOP(原産地と生産法を規定)は、いい加減なのが紛れ込んでいるという批判はありますが、かなり信頼できる基準で、日本の政府公認マークよりはずっと厳格です。

農水省も、消費者が食品に対する正しい知識を持たせるために充実したサイトを作っています:
Portail public de l'alimentation

フランスには直売農家が多いので、自分の家で料理をするときには、農家に直接買い付けに行ったり、農家の出店が多い朝市に行けば、優れた食材を選ぶことができます。特に割高になるわけでもありません。

ミルクやチーズは何の品種の牛なのかでも選べます。家畜は放し飼いなのかどうかも分かる。健康に育った家畜の肉は全く味が異なります。日本では、「地鶏」と呼んでも放し飼いであるわけではないのですよね。それに、さすがに肉食の国なので、肉屋さんは充実していて、自家製の加工食品も作っています。

パリの食の乱れは田舎より進んでいるとは感じますが、さすがに人口が多いので、優れた食材が手に入りやすい街であることも確か。パリの中心地に住んでいるグルメの友達と買い物に行くと、朝市でも商店でも、食材によってお気に入りの店があって、歩いて回るだけで良いものが買えてしまえるのですから羨ましい。

パリの朝市で人気の直売農家です ↓




日本でも深刻に食生活のことを心配するべきでは?

日本でも、田舎に行ったときは本来の味がある野菜に出会えますが、東京はひどい...。それで、最近はやたらに調味料やソースで味付けするようになりました。フランス人は外国から入った農産物を貶しますが、東京で国産だけ食べたいと思ったら、私などは破産してしまいそう...。

この冬に帰国してフランスに戻ったときには、「日本はどうだった?」と聞く友人に、食べたものの話しから始めました。旅行から帰ると、ブルゴーニュの友人たちは何を食べたかに一番興味を持つので。

それで話したのは、すごい鶏肉を食べたというエピソード。日本で買う鶏肉はブロイラーで味がないとは思っていたのですが、あそこまでスゴイのが存在していたというのは、私には大発見でした!

友達の家で私が得意料理を作るということになって、鶏肉のクリーム煮を作ることにしたのでした。スーパーで買った鶏肉のパッケージを開いたとき、底に薄くピンク色に染めたような水がたまっているのでした。気持ち悪いけれど、約束したのだから料理を作らねばならない。生クリームも、一番マシそうに見えたものを買って持って行ったのだし...。

キノコ、玉ねぎ、鶏肉で鍋をフォアグラのラードで炒めてから少し煮ていたら、鍋の底に固形物が少し残るという状態に減ってしまったのでした。特に、鶏肉が水になってしまったのには仰天しました。肉が液体になるなんて、まるで手品のよう! あるいは、ホラー映画を見たような気分...。

フランスの友人たちからは、「フランスでだって、スーパーで買ったブロイラーは、不味くて食べられるものではないのだ」と言われました。でも、水になって溶けてしまう鶏肉を市販するというのはフランスではあり得ないのではないかな...。味にこだわらなくても、フランス人はボリュームだけは求めますので。

ああいうのは、栄養剤を混ぜた水をガブガブのませて、2週間くらいで市場に出せる大きさに育ててしまった鶏なのだろうとしか思えない...。去年にブログを書きながら、今は禁止されているホルモンで育てたニワトリというのを昔のシャンソンで知ったのですが、それはこういう鶏肉のことだったのではないかと思いました。

ジャン・フェラのシャンソン「ふるさとの山」に見る日仏文化の違い 2014/08/10


これを書きながら検索をしていた出てきた記事に驚きました。

フランスの大きな町で見かける冷凍食品専門のスーパー「ピカール(Picard Surgelés)」が、日本にも進出したのだそう。

私のフランスの友人たちとこの店を見かけると、フランスも世も末だという感じで言われるので、中に入ったことは一度もありません。

日本では、フランス料理だ~♪ と大歓迎されている様子です。

ついに日本上陸! フランスの高級冷凍食品「ピカール」は何がすごい? 2015/01/27

企業が海外進出したときに成功するかどうかは、宣伝費を幾らかけるかにもよると思いますけどね。

フランスの巨大スーパーマーケット「カルフール」が日本に入ったときも騒がれたのを記憶していますが、今は消えてしまったのではないですか?

冷凍食品でフランス料理を食べるなんてことより、日本に伝統的にある料理を守って欲しいけどな...。

この冬に長野に行ったときには、久しぶりに会いたい人のお家に行ったときに食べさせてもらった料理は絶品でした。山奥で農業をしていた80歳近い女性が迎えてくれました。近くにあるレストランで食事することになったので、ちょっと寄らせてもらうだけだからと前置きして行ったのに、案の定、お茶と一緒に、色々な食べ物をテーブルに並べてくれてしまいました。

お菓子はどうでも良かったけれど、煮物と漬物に感激したのです。何でもなさそうに見える料理なのに、何がどう違うのか、本当に美味しいのです。こういう料理には10年以上出会っていなかったような気がしました。

こういう日本の素晴らしい食文化を感じさせる手料理は、もう私が死ぬ前には食べられない可能性が高いと思って、レストランに行く前に立ち寄ったのに、お腹がいっぱいになるまで食べてしまいました!

もともと、日本の食事は軽いので、2回食べてしまっても大丈夫なのです。食べ物屋さんに入るときには、果たしてお腹がいっぱいになるほど食べられるだろうか、という強迫観念みたいなものを感じてしまいます。フランスの友人たちからは、私は小鳥のようにしか食べないと笑われるのですが。

ブログ内リンク:
調理チームに入ってみないと、レストランの評価はできない 2014/12/05
スリミ・ダイエットをしている友達 2013/07/08
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
RESTAURATION FRANCAISE : UN PAVE DANS L’ASSIETTE 2012/10/09
Y a-t-il un chef en cuisine ? 2013/04/23


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/05/07
今の時期に庭に咲く植物の中に、なぜか気になる花があります。もう満開は過ぎたのですけれど。


フランスで「マリア様のハート」と呼ばれる花


2015/04/29撮影

白い花もきれいだと思って、ピンクの株の隣りに植えたのですが育ちませんでした。



私はフランスで出会った植物で、フランスでは「Cœur de Marie(マリア様のハート)」と呼ばれて親しまれているので、ずっとヨーロッパ的な花だと思ってました。ところが、原産地は中国や朝鮮半島なのでした。

この植物の学名は、Dicentra spectabilis

日本では、仏堂に飾る華鬘(けまん)に似ていることから「ケマンソウ(華まん草)」、釣竿に鯛がひっかかっているようなところから「タイツリソウ(鯛釣り草)」などとの名前が付いているのだそう。日本には15世紀初期(室町時代)に入ったと書いている情報がありました。

私が知らなかっただけで、日本ではよく知られた植物のようです:
ケマンソウを楽天市場で検索

この植物はアジアからヨーロッパに入ったのは確かなはず。それなのに、なぜ聖母マリアの心臓に例える花になったのか不思議...。

この植物については、以前にもブログで書いていました:
植物も、ところ変われば?: 聖母マリアのハート、法王のコイン 2009/06/07


英語圏では「血を流す心臓」という名前だった

少し前に読んだブログ「消えがてのうた part 2」に入っていた「春の花」の記事に、この植物についてコメントで書いたところ、英語での呼び名は「Bleeding Heart)」だと教えていただき、ますます謎が深まってしまいました。

ふっくらとしたピンク色のハート型の花びらを聖母マリアの心臓に例えるのは違和感がありませんが、「Bleeding Heart(血を流す心臓)」というのは余りにも毒々しい表現ではないですか?!

確かに、この花は、滴のように垂れている部分があって、満開になると、くす玉が開いたように2つに割れます。



血が出ている心臓に見えるかな?...

フランスでは、私の庭に咲いている花のようにピンク色のものが一般的で、白い花もあるという程度です。でも、赤い花が咲く種類もある。



これだと、心臓から血がしたたり落ちているように見えなくもないですけれど、ピンクや白の花からはイメージができません...。

それに、スカートの裾を広げているような姿は、私には愛嬌さえあるように見えるので、これを「血を流す心臓」に例えるのは納得できません。

この花をハート・ブレイクに例えたいなら、ロメオとの愛の道を貫けると明るい気持ちで毒薬を飲んでしまったジュリエットに例えて、「ジュリエットの心臓」と呼べば良かったではないですか? シェイクスピアの国イギリスの命名だったのでしょうから...。

私はヨーロッパの植物だと思っていたケマンソウは、イギリスへは日本から渡ったと言われていました(19世紀半ば)。

フランスでは「マリア様の心臓」という愛らしい名前をつけているのに、なぜ英語圏では「血を流す心臓」というドギツイ呼び方をするのか調べてみたら、この花の名前の謂れはこれだ、という英語情報が出てきました:
Bleeding Heart Flower

日本の昔話を持ち出しているのですが、日本人の私からすると、かなり日本的ではないと思えるお話し...。

若い男性が美しい娘に恋をしたので、高価なプレゼントを贈ってハートを射止めようとします。1つめはペットにして飼うための贅沢な2匹のウサギ。それでは気を引いてもらえないので、シルクで作ったスリッパをプレゼント。ところが、まだ娘の心を射止められなかったので、有り金をはたいて高価なイアリングを贈る。それでも娘は結婚の承諾をしてくれない。もう贈り物はできなくなった男は、ナイフをとって自らの心臓を突いて自殺した。

彼が死んだ場所から、この植物が生えたというわけ。上にリンクしたページでは、プレゼントしたものがこの花にはあるのだと、部分を写真で見せていました。

そんなお話し、日本にあるのでしょうかね?... かぐや姫のお話しの逆でしょう? しかも、兎、シルクの靴、イヤリングが登場する。中国の昔話だと言われたら、それほど違和感を感じませんが...。死んだ後に生えた植物という結末も、フランスではナルシスと呼ぶスイセンや、『トリスタンとイズー』の結末のスイカズラを思いださせるので、ヨーロッパ的なお話しに見えてしまう...。


ケマンソウの花言葉は?

日本でのケマンソウの花言葉を拾ってみました:
あなたに従う、従順、恋心、冷めはじめた恋、失恋

上のお話しと重なっているようにも見えなくもない...。案外、花言葉からでっちあげたお話しだったりして?...

フランスでの花言葉はうまく見つからなかったのですが、失恋とは結び付けていないように見えました。聖母マリアの心臓に見立てているので、愛のシンボルのイメージがあるようです。

フランスのガーデニングのサイトのバレンタインデーに送る花特集で、「Je t'aime」をケマンソウの花1つを入れて表している写真を入れていました(このページの始まりに入っています)。英語にすれば「I love you」の「love」をハートで置き換えるのと同じ。

もしも英語圏でケマンソウが失恋した若者の話しと結びついているとしたら、そんなことはしないでしょうね...。

英語圏の花言葉も探さないといけない。

Elegance(エレガンス)、Fidelity(忠誠、忠実)が最も一般的な感じでした。日本のと重なりますね。でも、犠牲、失恋を挙げている人もいる。犠牲というと、フランスと同じようにキリスト教のイメージも入ってくるので混乱します...。

でも、どうせ花言葉なんて花屋さんのPRに使われるものだと思っているので、気にしないことにします。


カトリックと新教の違い?

ケマンソウは、英語圏でも、フランスのようにマリア様のハートに例える呼び名があるのではないかと思って、「Bleeding Heart」に「キリスト」や「マリア様」もキーワードに加えて検索してみました。

少し出てきました。でも、クリスチャンのサイトばかり...。

例えば、こちら:
Reparation Through Flowers

ケマンソウの花の写真には、「Symbols of both Jesus and Mary, united in redemptive and coredemptive sacrifice」というキャプションを入れていました。フランスでのイメージと同じ発想ですが、キリストも入れているのが不思議...。

これはUniversity of Daytonのサイトなのですが、アメリカのカトリック系大学なのだそう。

それで、はたと閃きました♪ 間違っているかもしれないけれど、これが原因ではないかな?...

フランスの教会でよく見る宗教画や彫像に描かれている心臓のがあるのです。

 

例えば、パリの有名な教会にサクレ・クール寺院(Basilique du Sacré-Cœur de Montmartre)がありますが、この「Sacré-Cœur(聖心)」が、キリストの人類に対する愛の象徴を示すキリストの心臓なのですよね。マリア様の心臓の方は、「cœur immaculé de Marie(マリアの純潔の心臓)」。

「聖心」について調べてみたら、これはカトリックで好んで使われるシンボルで、ルーテル教会を除く大多数のプロテスタント諸派ではキリストの心臓を重んじてはいないとのこと。しかも、カトリックでは聖母マリアを特別扱いしますが、プロテスタントではキリストの母であるマリアを崇敬する概念がないらしい。

となると、ケマンソウを聖母マリアの心臓に例えるのは、非常にカトリック的な連想と受け取るべきなのでしょうね。

イギリスもアメリカも、カトリック教徒が主流の国ではない。とすると、英語圏では、ケマンソウが入ってきた日本と結びつけ、キリストやマリアのハートよりは失恋した人のハートに結び付けたかったのではないか?…

もしそうだとすると、ヨーロッパのカトリック諸国ではケンマソウを「マリアのハート」あるいは「キリストのハート」という愛称を付けても良いはずなのに、Wikipediaのケンマソウから各国語への」リンクのタイトルでは「マリア様のハート」という題を付けたページが見当たらないので不思議...。

スペイン語のページでは、英語から訳したと思われる「corazón sangrante」の呼び名が普及しているようです。Wikipediaはデタラメも平気で書いてあるので信じてはいけないのではありますが、スペインにケマンソウが伝わったのは、日本からイギリスに入ったものが伝わったと書いてありました。

とすると、イギリスの情報と一緒に植物が入ったはずなので、キリストかマリアの心臓とは結び付けなかったのが理解できます。ただし、フランスの呼び名と同じ「corazón de María」という名で売っているスペインの園芸ショップもありました。スペインはフランス以上にカトリック信仰心が残っている国ですから、その方が売れると思うな…。

カトリックの総本山イタリアでは、フランスほどに通称にはなっていないようですが、「cuore di Maria」とも呼ばれている、と書いてありました。イタリアにケマンソウが入った経緯は分かりませんでしたが、たとえイギリス経由だったとしても、今でも敬虔な信者が多いイタリアではカトリックの心臓のイメージを連想はしたはずですもの。

ここでまた気になったので調べてみたら、ケマンソウがフランスに伝わったのは中国からで、19世紀。その植物をもたらしたのはイギリスの植物学者ロバート・フォーチュンだという情報がありました。

Wikipediaの説明では、cœur-de-Jeannette(ジャネットのハート)、cœur-Saignant(出血しているハート)」とも呼ばれるとありました。私は聞いたことがなかい呼び名ですが、後者は英語と同じですね。ジャネットは女性の名前ですけれど、誰のことか分かりません。


マリア様の入浴姿?!

英語圏では「Bleeding Heart」が一般的なようなのですが、「Lady-in-a-bath」とも呼ばれるのだそう。



この花は切って花瓶に入れると、すぐにしおれるので、切らないことにしているのですが、逆さまになって覗くと、こういう風に見えるのかな?... 花弁を無理に開かないと見えないような気もします。マリア様のハートだと思ったら、そんなことはしたくないけれど。

ともかく、こんな風にマントをまとった女性の姿のように見えるとは知りませんでした! 実に不思議な花ですね...。

英語で「Lady」というのはマリア様を指す場合が多いと思うので、ここでフランスの命名と重なってくるのでしょうか?... でも、お風呂を持ち出すなどはキリスト教文化圏では不謹慎なはずなので、ただの貴婦人なのかな?...

2つに割れたところから現れるなら、桃から生まれた桃太郎でも良いと思いましたが、例えるなら女性でしょうね。

ボッティチェリの『ビーナスの誕生』を思い浮かべました。



「ビーナスの誕生」という名前にしても良かったのに、なぜお風呂を持ち出したのだろう?

でも、イギリスは、私が親しんでいるフランスとはかなり違った文化とメンタリティーがある国なので想像がつきません。これ以上は「なぜ?」とは考えないことにします!


追記:

推測を続けても分からないものは分からないのだからと諦めようと思ったのに、やっぱり「Bleeding Heart」という言葉が気になる...。

それで、また少し情報を集めてみたのを続きで書きますが、やはり「Bleeding Heart」というのは、自殺とか他殺とかのイメージになるのであって、キリスト教は想起させないのではないかと思いました。

実は昨日の食事会でイギリス人夫妻とおしゃべりをしたので、聞いてみようかなと思いました。でも、こういうのは人によって違う受け止め方をしているはずなので、2人の意見を聞いても無意味だと思って質問してみませんでした。

続きは、こちらです:
首に傷があるような姿の鳥たち



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ Wikipédia: Cœur de Marie
ケマンソウ
☆ Wikipedia: プロテスタントにおけるマリヤ観


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/05/03
ドイツ人と結婚した友達(フランス人女性)が、ドイツは結婚した女性が働ける国ではない、と不満をもらしていたのを思い出しました。

子どもができた後も仕事を続けられる体制になっていないので、専業主婦になってしまうのは避けたいのに、というのが彼女の言い分。

それを聞いた私は、ドイツのことは知らないけれど、おそらく日本の状況よりは良いのではないかと思いました。それに、ドイツも日本も経済大国です。単純に考えてみると、働きたいという人数が少なくなれば、失業率が下がることになるではないですか? 夫が妻を養える収入を得て、既婚女性が仕事を持てない体制にしておくと、国の経済力は高まるのかもしれない?...

でも、この友達はアフリカでボランティアをして働いていたような活動的な女性で、家で家事と育児に明け暮れることに喜びを見出すような姿は想像できません。数年もたたないうちに、彼女は旦那さんを説得したらしく、二人でフランスに住むようになりました。

ドイツには住みたくないと言った友達の話しはずいぶん前のことなので、その後は事情が変わっているかもしれない。でも、統計を見ると、相変わらずドイツの合計特殊出生率は横ばい状態ですね。

おもな国の合計特殊出生率の動き(欧米)



フランスにも専業主婦はいるけれど...

フランスは先進国の中では合計特殊出生率がトップだと騒がれ、少子化問題に悩む日本ではフランスの政策がよく話題になります。フランスは世界で最も早く高齢社会になった国なので、社会保障制度には家族手当という分野があって、子育て支援のための手当てと言ったら、よくこんなにきめ細かに考えたと笑ってしまいたくなるほど、色々な支援もできているのです。

つい最近も、こんな記事がありました東洋経済オンライン 2015/04/29
フランス女性はなぜ仕事を続けられるのか ~ 「母親の仕事」がやたら多い日本と大違い
 
フランスを見ていると、こういう風に見えるな、という内容でした。確かに、女性は結婚しても仕事を続けるのが普通になっています。専業主婦がいないわけではないのですけれど、全く目立たない。田舎では雇用の機会が少ないので、仕事を持っていない妻もかなりいますが、都会では働くのが当たり前のようになっています。

農村に住んでいるフランス人は4分の1に過ぎないので、やはり町での暮らし方でフランスが代表されますね。

前回の記事「「専業主婦」に相当するフランス語を探してみた」を書きながら単語を探していたわけですが、そうしたらフランスの公的機関が専業主婦の実態を調査していたという情報がでてきました。

普通は全く目立たない存在なので、興味を持ちました。その報告書に何が書かれているかをメモしておく前に、面白いなと思ったことがあったので先に書いておきます。


フランスで専業主婦をしていると肩身が狭い?

インターネットに、「専業主婦ネット」のようなサイトがあったのです(La maisonweb des femmes au foye)。妻も職業を持っている方が圧倒的に多いので、専業主婦は低く見られてしまうし、孤立感も感じる。それで団結して、情報交換をしたりして明るく生きようではないか、という趣旨のサイトのようでした。

会費も集めているので、NPO組織のもなっていました。日本の感覚で、そこまで組織化しているの、と驚くにはあたりません。フランスではボランティア活動を保護するために1901年アソシエーション法というのが作られて、お金儲けをしない活動である限りは極めて簡単に国の承認を受けることができるからです。

フランスの社会学者の研究によると、フランスの場合は、働いている主婦の方が専業主婦よりもストレスが少ないのだそう。アメリカやドイツに比べるとフランスでは専業主婦の割合が少なく、夫婦の典型は共働きであるためにプレッシャーを感じることなども原因になっているようです。

もっとも、フランスで仕事を持たない主婦というのは、社会的には両極端なようです。非常に裕福な家なので妻が働く必要がないケース。これは堂々としていられる。それに対して肩身が狭いと感じてしまうのは、経済的に余裕はないので妻も働くべきなのだけれど、仕事がない場合。

日本でも共働きが増えてきているようですが、専業主婦の立場が弱いから団結しようというところまでいく時代が来るのでしょうか?

... と書きながら確認してみたら、『専業主婦でなぜ悪い!?』という題名の本が出版されていたのを発見。でも、日本人が書いたのではなくて、翻訳でした。


「主婦」や「専業主婦」のイメージは国によって違う?

「専業主婦」はフランス語で「femme au foyer」と訳せば良い、と思うことにしました。

単語が存在すれば、インターネットの画像検索でイメージを垣間見ることができます。日本とフランスではかなり違うのではないかと思って検索してみたら、その通りなのでした。

面白いので、訳語が正しいかどうかは分かりませんが、友達が文句を言っていたドイツと、日本に大きな影響を与えているアメリカの検索結果も並べてみます。

検索エンジンとしてはGoogleが好きなのですが、検索画面のトップをキャプチャしやすいYahoo!の検索結果を入れて眺めてみます。言語と地域を指定した条件検索の結果です。


フランス語フランス): Femme au foyer(専業主婦)

 Googleでの画像検索結果

ひと昔前の絵が目立ちます。やはり昔の主婦のイメージが強いのでしょうね。フランス人に「Femme au foyer」の意味を確認しようと思って聞いたら、もうそんな風に呼ばれる既婚女性は存在しないと言われてしまったのも納得できる気がします。

フランス語では「主婦」をずばりと示すキーワードがないので、その検索は省略。


日本日本語): 専業主婦

 Googleでの画像検索結果

はつらつとした若奥様というイメージが私には見えました。フランスの結果のように「専業主婦というのは大変」という説明的な絵は例外的な感じ。


日本日本語): 主婦

 Googleでの画像検索結果

Yahoo!ではイラストをトップに出しているのですが、その後に並ぶのはGoogleと同じに女性の顔。つまり、「専業主婦」の検索結果との違いが見えません。


ドイツ
ドイツ語): Hausfrau(主婦、専業主婦 ?)
 Googleでの画像検索結果

フランスほどではないにしても、ひと昔のイメージがかなり入っています。フランスと比較すると、たくましさが出ていますね...。


英語アメリカ): Housewife(主婦)



英語アメリカ): full-time housewife(専業主婦)


日本に近い明るさを私は感じました。

Google検索では、アメリカのサイトに設定できなかったので、イギリスの画像検索結果のページだけ入れます。アメリカの検索結果にも重複しているのではないかと思うので。
 Google 英語(イギリス): Housewife
 Google 英語(イギリス): full-time housewife


イスラム系の国ではどうなのか知りたいとも思ったのですが、アラビア語は全くわからない。

Wikipediaで「主婦」からリンクされていたアラビア語は「ربة منزل」。それで、アラブ首長国連邦のGoogleに指定して画像検索をして開いたのが、こちらのページです

始めの方には他の国々と同じような主婦らしき画像が入っているのですが、だんだん見るのも怖い写真ばかりになってきました。姦通罪などがあるから、事件に関係した写真なのかな?...


インターネットで検索すると、キーワードに関連しているだけのものもヒットしてしまうので、これがキーワードに直接関係した画像ばかりではないはず。でも、日本語とフランス語の結果を比較すると、ここまで違うの?! と驚きませんか?

画像検索などをして遊んでしまいましたが、次回は真面目な報告書に書いてあった分析結果をご紹介します。

シリーズ記事: フランスの専業主婦の実態 2015年  目次


ブログ内リンク:
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方

外部リンク:
ジェンダーと子育て負担感に関する 日本・ドイツ・イタリアの比較分析(2009年)
20代女性に強まる「専業主婦願望」 理由は「働きたくない」「ラクしたい」
夫への服従、社会との断絶… アラサー女性が「専業主婦になりたくない」3つの理由を分析
なぜ日本は働きづらく産みづらいのか? 少子化は女性が働くからでなく女性が働けないせい
フランスの出生動向と家族政策-少子・高齢化に関する国際研究-


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2015/03/08
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 」を書いたのですが、少し前に、フランスでも「フランス礼賛ブーム」みたいなのがあったことを思い出しました。


「メイド・イン・フランス」キャンペーン

Arnaud Montebourg, en janvier 2013.
Arnaud Montebourg, en janvier 2013
2012年、社会党のフランソワ・オランド(François Hollande)氏が大統領になったとき、Ministre du Redressement productif(生産再建大臣)という変な名前のポジションができました。

生産再建大臣になったのはアルノー・モントブール(Arnaud Montebourg)氏。

危機的状況にあるフランス経済を建て直すために、彼はフランス製品を買いましょうというキャンペーンを行ったのでした。

使ったのは「Made in France」という英語。

フランス製品は優れているのだから、少し値段が高くても買いましょう、というわけなのでした。

工場の閉鎖がニュースを賑わせている昨今。国民がフランス製のものを買うようになれば、フランス企業が存続できる。それはそうかも知れないけれど、なんとなくユーロラスでした。

テレビでも、ひんぱんに、「ボクはフランス製を着ていますよ」と見せるモントブール大臣が登場ていました。


Arnaud Montebourg pose comme un mannequin pour défendre les produits français

この動画の始めに出てきているのは、モントブール大臣がフランス製品を着ている姿が写ったパリジャン誌の表紙。この白地に青のストライブ模様のシャツはブルターニュ地方のメーカーのもので、見るとメイド・イン・フランスと分かるらしいのでした。

私が夏にブルターニュ地方を旅行したときには寒かったので、こういう模様のセーターを買ったので持っていました。それを着ていたら、友人たちから「メイド・イン・フランスを着ている~♪」と茶化されました。

確かに、そのセーターは暖かくて質が良いと思っていました。でも、フランス製だから優れている、とは私は思わないけどな... と、思っていました。電気製品とか、すぐに壊れてしまうメイド・イン・フランスも色々ありますから! 壊れるのは仕方ないとしても、サービスが悪いフランスでは、それを直してもらうのに苦労するのです。

第一、フランスの人口は日本の半分しかないのです。フランス製品は優れていると思ったにしても、高いから買えないという人たちを差し引いたら、どのくらい残る?...


あのブームは、いつだったか?...

「メイド・イン・フランス」でかなり盛り上がっていたので、ブログに書きたいと思ったはずですが、ちゃんと書いていなかったようです。

「Made in France」という流行語については、次の日記でちらりと触れただったようです:
「仔羊の腿肉の七時間煮込み」という料理  2013/05/06

偶然にもモントブールさんの出身校を見学したことは、次の日記で書いていました:
公立高校の敷地内にある城を見学  2013/08/28

つまり、2013年のブームだったかな?...

フランスにも、流行語大賞のようなものがあります。「Mots de l'année(今年の単語)」というもの。日本とは少し違って、政治で騒がれた単語が選ばれています。でも、「Made in France」は流行語としては挙がっていませんでした。英語だから審査対象にならなかったのかもしれませんけど。

モントブール氏が生産再建大臣を務めたのは、2012年5月から2年弱。その後には、経済・生産再建大臣(Ministre de l'Économie, du Redressement productif et du Numérique)になって地位を上げたのですが、半年もたたないうちに大臣の座を降ろさせてしまいました。政権に批判的なことを発言したことや、その後に首相になったマニュエル・ヴァルス氏から嫌われたりしたのが原因らしい。

「Made in France」キャンペーンがあったのは、2012年から2年余りの時期だったはず。でも、いつだったか調べてみたら、動画がでてきました。この時期、フランス政府は、フランスの工業がいかに素晴らしいかを見せるビデオまで作っていたようです。

↓ このスポットらしいです。



こんなのをフランス政府は作っちゃっていたの?! と驚きます。

余りにもオーバーなビデオなので国民はバカにした、と書いてある新聞記事もありました。

そりゃ~、笑っちゃいますよ~。

ドラマチックな音楽を流して、のっけからルイ14世の時代に重商主義政策を遂行した財務総監のコルベールを出してきているのですもの。

その後に、次々とフランスが発明したものが並ぶ。う~ん、今のフランスは全然ダメだな~、という印象しか持てないではないですか?...

その後、モントブールさんは、『メイド・イン・フランスの戦い』という題名の本まで出していました。張り切っていたのですね...。失脚してしまって、お気の毒...。


日本礼賛ブームとは全く違っていた

「Made in France」と、英語でやったのが愉快で受けたのかもしれません。

「マッド・アン・フランス」などと、変にフランス風に発音してみたりして面白がっている友人たちもいました。

フランス語で「Fabriqué en France」と言えるのですけれど、フランス語は間延びして英語にはかなわない単語が色々あります。例えば「Stop(ストップ)!」などは、英語で言うしかないような単語ですよね?

前回の日記に書いた最近の日本礼賛ブームというのと、メイド・イン・フランス・ブームは全く違っていました。

決定的に違うのは、日本では外国人に日本は素晴らしい! と言わせているのに対して、フランスのはフランス人がフランス製品は素晴らしいと自覚するブームだったことでしょうね。

もっとも、みんなでフランス製を買えばフランスの経済は立ち直るかもしれないけれど、フランスの経済はもうダメだよ、と苦笑しているフランスの友人は多かったですが。

「メイド・イン・フランス」が流行っていたころ、インターネットには愉快な動画が流れていました。

自分が使っている物が何処の製品なのか調べてみたら、世界各国で作られたものばかり。それで、メイド・イン・フランスのものだけにしようとやってみた、というジャーナリストの愉快なお話しです。

外国製の衣服を脱ぎ捨てて、フランス製の洋服を買って着る。住んでいるマンションでもフランス製でないものは片付けてしまったので、部屋の中はほとんど空っぽになった。それで、フランス製を求めてあちこちを探し回ります。最もフランス製が見つからなくて苦労したのは冷蔵庫だった、というのを覚えています。

この愉快なビデオを見たいと探してみたら、最近入れ直したらしき動画が見つかりました。フランス語がお分かりになる方がご覧になったら大笑いしてしまうと思うのでリンクを入れておきます。

☆ made in france
partie 1  ⇒ partie 2 ⇒ partie 3 ⇒ partie 4

この動画を入れた人はクイズにしているので、画面に文字を入れているようでした。

そんなにメイド・イン・フランスをフランスで見つけるのは難しいでしょうかね...。ここでは、いくらフランスのブランドでも、50%以上がフランスで生産されていないと認めないということにしていました。専門家に彼のマンションにあるものを判定してもらったら、フランス製として残ったのは、わずか4.5%。

ビデオにはモントブール氏も登場していて、フランス企業がフランス国内で生産を行い、消費者もフランス製品を購入すれば良いのだ、なんて言っています。

ともかく、どのくらい効果があるかは分からないけれど、フランス製品は素晴らしいのだと自覚しようという程度のキャンペーンは可愛かったと思います。

この1月にあったシャルリー・エブドのテロ事件の後、言論の自由を守ろうというデモに参加した人が370万人もいたというニュースを聞いて、少し背筋がぞっくっとしました。もちろん言論の自由は守られるべきことですが、一致団結するのが難しいフランス人が心を一つにしてしまったのが危険な兆候だと感じたのです。真っ先に思ったのは、このテロ事件のすぐ後に大統領選挙があったら、極右政党の候補者が当選してしまっただろうな、ということでした。

実際、今月末に行われる県議会議員選挙前の世論調査では、トップは極右政党の国民戦線(FN)になるだろうというニュースが出てきていました。不景気になると、そうなるわけで、日本も御多分に漏れないのだけれど、暗いな...。長生きはしたくないと思ってしまう...。


元経済相モントブールは、アメリカで「スーパーマン」と呼ばれていた

モントブール氏が経済相を解任されたのは2014年8月。それから、ぴたっと「メイド・イン・フランス」という言葉は聞かなくなりました。

どうしているのかなと思っていたのですが、この2月、ちょっと変わったニュースで彼は登場していました。

20日、モントブール氏がニューヨークの有名レストラン(こちら)で食事していたとき、壁にかかっていた大きな鏡が外れてきたのでした。それに気がついた彼は、とっさに鏡を支えた。鏡の重さ500キロはあると言われる巨大な鏡でしたが、他の人が気がついて助けるまで、彼一人で支えてしまったようです。

http://www.nydailynews.com/new-york/mirror-crashes-customers-trendy-bathlazer-cafe-article-1.2122829
Huge mirror at Balthazar Cafe comes crashing down - NY Daily News

巨大な鏡が揺れだしたので、地震かと思った従業員もいたらしい。

起こるのではないかと思うことは、ある日、突然おこるものですね。レストランの壁に絵や鏡がかかっているというのは見かけますが、鏡が落ちてきて、テーブルにおいていたワインボトルが倒れて割れてしまったという話しを友達がしたことがあるのを思い出しました。ワインが飲めなくなってしまったので注文し直したら、飲めなかったワイン1本の代金もしっかり払わされたと言うので、日本では絶対にありえない話しだな、と聞いていました。

ところで、巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏は、火事場の馬鹿力がでたのかもしれない。この時の彼は、半年くらい前に週刊誌ですっぱ抜かれた彼女と一緒に食事していたのです。

お相手は、元文化大臣のオレリー・フィリペティ(Aurélie Filippetti)さん。彼女は鏡が落ちてくるのに気がついていなかったので、もしもモントブール氏がアクションをとっていなかったら大怪我をしたはず。

フィリペティさんは、日本で最近は話題になっているトマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏と生活していたとき、彼に暴力を振るわれたと訴訟をおこしたことがありました(その後に訴えは引き下げたので不起訴)。その話しを知らなかったはずはないモントブール氏は、身の危険を顧みずにカッコいいところを彼女に見せようとしたのかもしれない。

モントブール氏は病院に運ばれたものの、2時間で出てこれて、無傷だったのだそう。その週明けには、予定されていたプリンストン大学での講義をこなしていました。彼は英語をかなり流暢に話す人だったことも、フランスでは話題になっていました。つい最近は、オランド大統領が酷い英語を話してしまったのとは対照的だし。

倒れてきた巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏を、アメリカ人たちはスーパーマンと呼びました。でも彼は「僕はスーパーマンではありません。フランスの経済を建て直せなかったくらいなのだから」と言ったとのこと。

モントブール氏は若くてなかなか男前だし、押し出しがある発言をする人なので政治家としてもアピール度が高いと感じていました。彼はブルゴーニュの議員さんなので、我がブルゴーニュでは人気があったからかもしれませんが。政治家としての技量がどのくらいあるのかは知りませんが、もしも彼みたいに明るい人が大統領になっていたら、フランスの未来も明るく見えるだろうと思うけど...。

外部リンク:
☆ Wikipédia: Fabriqué en France
今年の単語大賞(Mots de l'année)は、透明と嘘
フランスビジネススクールINSEADとArnaud Montebourg
☆ L'Express: Arnaud Montebourg, ce French superman héros de l'accident du miroir géant 2015/02/20
☆ Paris Match: Sa conférence à Princeton - Arnaud Montebourg Je ne suis pas Superman 2015/02/24
☆ NY Daily News: Huge mirror at Balthazar Cafe in SoHo comes crashing down on customers, saved by former French politician 2015/02/20
☆ Libération: Le génie français la fête du clip version Montebourg 2013/09/12
☆ Le Monde: Montebourg le made in France est son combat 2013/09/19
Arnaud Montebourg: “The American and European Crises in Comparative Perspective”
Aurélie Filippetti : Piketty, Saint-Sernin, Montebourg... Love stories médiatiques 12/09/2014
県議会選の第1回投票ではFNが首位か


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2014/08/16
もう2カ月も前のこと。クラシック音楽のコンサートに行って、演奏が始まるのを待っていたら、次々に舞台にあがってくる人たちがいて、こんなシーンができました。



「En grève」と書いた幕を持っているので、ストだとわかる。
えぇ~! コンサートを妨害して中止にするって言うの?!...

ピアノの横に立って、ちょっとふてくされてポケットに手を入れいる男性が演説を始めました。

フランスにいるんだな... と思う瞬間。

パリで地下鉄に乗ったときにも、突然演説を始める人たちに出会います。「お財布を盗まれてしまって無賃乗車をしているので寄付してください」とか、「子どもが何人もいるのに、生活費に困っている...」とか、みごとに演説なさる。

フランス人って、全員が俳優になれるのではないかと思ってしまう。そういうのに私は白々しくなるのですけど、ちゃんと小銭をあげている人たちがいるので、またまた驚きます。

フランス共和国の標語は、自由、平等、博愛だった、なんて思い出す...。



友達と道を歩いていて物乞いから呼び止められたとき、うまいことを言うと友人はご機嫌になって、かなりの金額を恵んでいたことがありました。びっくりするくらい良い台詞を言う人がいるのです。

つまり、彼らは単なる物乞いではなくて、上手に気持ちを引き付けるテクニックを持つ芸人なんだろうな...。

最近は東欧から来たらしい乞食もよく見かけるのですが、彼らの場合は言葉にハンディキャップがある。うまいことは言えないので、ただ物乞いをするだけ。となると、小銭をあげる人は殆どいないだろうと思ってしまうのですが、それしかすることがないからか、続けているようです。


アンテルミタン

いや、舞台に登場した人たちのことを、都会で出会う物乞いと一緒にしたら、叱られます!

彼らは「アンテルミタンintermittent))」、正確に言えば「スペクタクルのアンテルミタン(intermittent du spectacle)」、と呼ばれる職業についている人たちなのです。

ショービジネスの世界で、仕事がない時期には社会保険で所得を保障される権利を獲得している不定期労働者たちのことを「アンテルミタン(断続的)」と呼びます。

コンサートに行った時期は、アンテルミタンに対する失業保険制度の見直しを行うことになったので、彼らは権利を獲得できる人たちが大幅に減ってしまうとして反対運動をおこしたのでした。全国各地でストをおこしていて、有名なアヴィニョン演劇祭も開催されなくなるかもしれない、とニュースで騒いでいました。

このシステムが私にはすんなり分かりません。この際、少し調べてみました。

所得を失業保険で補って生活できるアンテルミタンの身分が認められるのは、次のような職業だそうです。

俳優、ダンサー、振付師、キャバレーの芸人、大道芸人など。それから、舞台・映画・テレビなどで音響・照明などを担当する技術者も含まれます。

1年中働くわけにはいかないし、練習しているときは労働時間としてはカウントされないでしょうし、サラリーマンのように年最低5週間の有給休暇もないので、働かない時期は失業保険の収入を与えるというシステムなのでしょうね。

こういう特殊な職業に対する失業保険制度ができたのは1936年。当初は、映画産業の技術者や管理者のために作られた制度だったそうですが、現在ではアンテルミタンの数がどんどん増えてしまった。1989年には5万人だったのに、2013年には25万人に増加していたとのこと。それで、失業保険の財源も厳しくなったようです。

ただし、上に書いた職業をする人たちなら全てアンテルミタンとして優遇されるというのではなく、最低限の時間は働いているなどの条件があります。

政府サイトに、アンテルミタンの失業保険を計算する方法が出ていました:
Comment sont calculées les allocations chômage des intermittents du spectacle ? 2014/07/21情報

過去6.5カ月間、技術者は6カ月間に、507時間(3カ月半に相当)の労働を行ったことを証明できる場合にアンテルミタンとなることができるそうです。つまり、実働時間が半分くらいあれば良いということかな?...

何を労働時間と認めるか認めないか、上限額などもあって、複雑。自分には全く関係ないことなので、読む気にはなりませんでした...。


◆ 過去にもアンテルミタンのデモに出会っていた

アンテルミタンのデモには、過去にも何回か出会っています。人が集まるイベントでやるので目立つのです。 さらに、演じることが商売の人たちがやっているので、デモも演劇的で、派手になる。

遠くまで出かけた音楽フェスティバルのときは、大々的なアンテルミタンのデモの年だったので、機動隊の車がたくさんいて、怖くなる雰囲気でした。そのときは、こんなところで写真を撮ったら連行されると思ったので、記録はなし。

写真アルバムを探してみたら、2003年の夏に旅行したときのものが出てきました。古城を舞台にして寸劇を見せるというイベントに行ったときの写真。



城の入口に、「生きたアンテルミタンなしにはスペクタクルはない」などと書いてあるので、アトラクションは無いのかとがっかりしたのですが、垂れ幕をバックにして演劇をしていました。



楽しむための見世物なのに、デモの垂れ幕をバックにやられると違和感でいっぱいになるのですが...。


アンテルミタンになった友達

友人関係の中にも、アンテルミタンをやっている女性がいます。兄弟の中で一番仲が良かった弟が、幸せいっぱいだったはずなのに自殺してしまってから人生を考え直し、一流企業の会社勤めを辞めて、昔からやりたかった俳優になることにしたのでした。

フランスで俳優をやろうとしたら、非常に厳しいと思います。なにしろ、フランス人たちは、ふつ~うの人でも人前で演じてしまうのですから。

知人が納屋で開いた誕生パーティーのときに撮った写真
この写真を入れた記事: フランス人は笑い話が好き 2008/10/12

彼女の新しい俳優業が大成功したとは思えません。台詞を覚えるのは得意なのだそう。始めたことには小さな舞台で立っているのを見たのですが、俳優を職業にしようとしたら、特別な才能がないと日の目を見れないと思います。

地方テレビ局は地域でおこったことを何でも報道するので、演劇のイベントがあると彼女が出てくるのではないかと期待するのですが、出てこない...。一昨年だったかに、ある町で行われたイベントに行ったら、彼女の姿を見つけました。仲間たちとアトラクションをしていて、ガールスカウトの恰好をしておどけて大通りを練り歩いていました。もう50代後半なので、見てしまったのが悪かったような気まずさを私は覚えましたが、演劇が好きな人たちは別の感覚を持っているのでしょうね。

ともかく、昔から夢だった演劇の世界で、アンテルミタンという立場で、会社勤めしていたころと同じくらいの収入を確保できる制度は良いと思います。日本で演劇をやりたい若者たちは、定職を持って昼間は働いて、夜に練習するとかいう厳しい生活を強いられると聞いていますので...。


フランスは、やはりカルチャーを大切にする国なのかな?...

アンテルミタンというのは「断続的」という意味です。こういう仕事をしている人たちは、サラリーマンのように通勤して毎月の給料が入ってくるわけではない。だから仕事がないときには収入を保障してあげようというのは分かります。

でも、私はなぜショービジネス関係だけに与えられているの?... と思ってしまう。

だって、他の職種でも、フリーランスで働いている限り、仕事がない時期があるではないですか? 例えば、通訳、翻訳、本の挿絵を描く仕事とか、色々あると思うのです。

俳優さんは練習するときの時間が労働時間としてカウントされないと言いますが、フリーランスで通訳の人は、仕事を請け負ったら出てきそうな単語を予習します。テーマも理解していないと訳せないので、これも調べる。フランス語同時通訳者のブースを訪れたとき、事前に読む資料が段ボール1箱くらいあるのでびっくりしたことがありました。確かに、英語などでは通訳の仕事が多いので自分の専門を決めておけるでしょうが、それ以外の言語では同時通訳者の数も少ないので、どんな分野も請け負わなければならないのでしょうね。

そういう仕事をしていても、フランスでは仕事がないときに失業手当があるのかどうかは調べていないので分かりません。なさそうに思うのですけど、フランスは福祉国家なのであるのかもしれない...。

さらに拡張して考えたら、注文が入ってこない時期は収入がない会社を経営している人もいるではないですか? でも、それは事業主なのだから社会保護する必要はないか...。

アンテルミタンのように所得を保障する制度があるのはフランスだけなのだそうです。文化の国にするという政策がフランスにはあるからなのでしょうね。

フランス人を見ていると、日本人ほどには美術館やコンサートには行かないと感じるのですけど...。日本人の場合、美術やクラシック音楽に特に興味をもっていない人でも、話題になったらでかけます。フランス人は、自分の趣味でなかったら、お金を払ってまで行きません。

ショービジネスの世界だけでアンテルミタンとしての失業保険をもらえる制度が理解できない、と友人に話したら、演劇には興味がない人なのに、当然与えるべき保護だと返事されました。

そう言われると、私は酷い条件で働いているという僻みでアンテルミタンの人たちを羨んでいるからの発言なのだろうな... と反省。

アンテルミタンのシステムが問題になるのは、テレビ局などがこの制度を利用して、常時必要な照明係りなどをアンテルミタンとして雇って、月の半分だけ報酬を払い、残りの半分は失業保険で収入を得させているような例なのだそう。それから、高い出演料をとっている俳優が、しっかりと失業保険ももらっていることなども問題なのだ、と説明されました。


ストが多い国、フランス...

夏に入ってから、国鉄のストが誘引になり、パリのタクシーがストを始めて、それから色々な職種でストが行われました。 友達が日本からフランスに来る時期だったので、ストにぶつかったら旅行は目茶目茶になるだろうと思って、ニュースをハラハラして見ていました。

その友達もタッチの差でストを潜り抜けてフランス旅行をし、無事に日本に帰った後、もうストは収まったのだろうと思ったら、まだ長期ストを続けていたSNCM(Société nationale Corse Méditerranée)がニュースに登場しました。

マルセイユの港とコルシカ島を結ぶフェリーの会社です。なぜ経営悪化になったかという理由の一つに、この会社から乗客を奪ったイタリアのフェリーと比較すると、船員が優遇されすぎているというのがありました。従業員数も多いし、1年のうち、船に乗る仕事を6カ月間すると、6カ月の有給休暇がもらえるのですって。

Jean Nicoli et Corse SNCM

この会社のフェリーにはコルシカ島に行ったときに乗ったのですが、確かにスタッフの数が多いなと思いました。行きの船はクリスマスイブの日だったので、食事の前にシャンパンでカクテルパーティーを開いてくれました。こんな日に船に乗る人は非常に少なかったので、まるで従業員のパーティーに参加させていただいたような気分でした。

これだけ働かなくても生活が保障される国の仕組みができていて、それでも国の経済がなんとか沈没しないでいるのは凄いと思います。もっとも、フランスの友人たちは、「フランスはもうだめだ」と口癖のように言っていますが。でも、日本の方が危なっかしい船に乗っているのではないかな?...

 シリーズ記事: 「奴隷のように働く」という例え


外部リンク:
☆ Service-public.fr: Comment sont calculées les allocations chômage des intermittents du spectacle ?
☆ Wikipédia: Intermittent du spectacle
山田ひろ美のフランス演劇レポート
アヴィニョン演劇祭のストライキについて:理解するための3つの問いと個人的見解
☆ 文化庁: 諸外国の文化政策に関する調査研究
SNCMの長期ストライキが終結。
☆ 日本経済新聞: アベノミクスに試練 GDP失速で(社説) 2014/8/15

内部リンク:
日本は弱者が生きるには不利な国...  2014/01/28


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2014/03/25
モンベリアールの町のツーリストオフィスから出たら、たくさんの車が数珠つなぎになっているのが見えました。



そこは線路で、新車を乗せた電車がゆっくり走っているのでした。 近くに駅がある様子。

そうか~、モンベリアールはプジョーの工場がある町なのでした。その向こうには、工場地帯のようなところが見えました。


プジョーの工場があるソーショー町

プジョーの工場があるのは、Sochauxソーショー)という地名。モンベリアール市(Montbéliard)の中にある地域の名前なのだろうと思っていたのですが、ソーショーは人口4,000人くらいの独立した町なのでした。

ソーショーが発展したのは20世紀初頭、プジョー社が自動車工場を設置するまでは、長閑な田舎だったようです。ここの自動車工場は、フランスで最大規模なのだそう。

ひところは4万人くらいの従業員が働いていたのだそうです。現在では、プジョーとシトロエンは合併しているので、両方の工場になっているわけですが(PSA Peugeot Citroën)、自動車生産の機械化によって従業員は激減し、現在では125,000人くらいしか働いていないのだそう。

ソーショー町の紋章が面白いので笑ってしまいました。 まるでプジョー社のためのデザインに見えてしまったからです。



ライオンやヒョウは紋章でよく使われる模様です。ソーショー町の紋章にあるのがライオンか豹かは、以前に見分け方を教えてもらっていたので、ライオンだと分ります。

ライオンが入っているのは良いのだけれど、黒いタイヤのようなものが組み込まれているのは行き過ぎではないですか?!

でも、これはタイヤではなくて、歯車なのだそう。ライオンが持っている白いSも文字は、町の名前であるSochaux(ソーショー)の頭文字とのことでした。

気になるのは、ソーショー町の紋章に入っているライオンは、プジョーのロゴから取ったのか? あるいは、町の紋章が先にあって、プジョーはそれを会社のマークにしたのか?

私は後者ではないかと思います。ソーショー町があるのは、フランシュ・コンテ地方のドゥー県。その両方の紋章は同じライオンのデザインになっているからです。

まず、フランシュ・コンテ地方圏の旗は、これです。



ソーショー町があるドゥー県の紋章にも、上の部分に同じライオンのマークが入っています。


プジョーのロゴ

ともかく、プジョーのシンボルマークといえばライオン。そのライオンのデザインが、だんだん穏やかそうな姿になってきたと聞いたのを思い出しました。

道路を暴走するような姿は良くないとか、ライオンが片足で立っている姿は自動車に安定性がないみたいで良くないとか批判されたので、そういうイメージをなくしたのだ、と言われました。

Wikipediaにロゴマークの移り変わりが出ていたので眺めてみました:


☆ Wikipédia: Peugeot ⇒ Identité visuelle : le Lion (logo)

ほんとうだ。今のロゴにはライオンの鋭い爪は見えないし、両足でしっかり地面に立っていますね...。

車がお好きな方だったら、プジョーのロゴの歴史を調べるところでしょうね。私は車には興味がないので、調べる気にはなりません。とは言え、「プジョーのロゴは、プジョー家の拠点であるフランシュ・コンテ地方の紋章から来ているのではないかと思います」とだけ書くのも無責任...。

Wikipediaに入っているプジョーのフランス語ページには、ロゴの歴史について詳しい記述がありました。Wikipediaに書いてあることをそのまま信じるのも問題ではありますが、本当そうに見えるのでメモしておきます。

1810年、プジョー社創業。鉄鋼業、続いて時計製造に使う圧延にも着手。
1832年、ノコギリの刃を製造する会社を設立。
1947年、会社の商標を、フランシュ・コンテの紋章からデザインするようにモンベリアール町の職人に発注し、それをプジョー社の商標として1858年に登録。このロゴは矢の上にライオンがのっているデザインだが、これは同社のノコギリの3つの優れた品質(切断の速度、刃の目の寿命、刃のしやなかさ)を象徴している。

プジョー家のArmand Peugeotが1896年に自動車を製造を始めて会社を発展させました。鋭い歯を持つノコギリにイメージを与えるロゴのデザインが、だんだんおとなしくなって現在の自動車のロゴとなったわけですか...。


Peugeot: Evolución del Logo

プジョー社は、フランシュ・コンテ地方のプジョー家がおこした家族経営企業。ここのところモンベリアール町のことを書きながら、プロテスタントの存在が大きかったことに触れてきたのですが、プジョー家もプロテスタントなのだそうです。


プジョーの存在が大きいモンベリアール

プジョーの工場があるソーショー町は、行政区分としては、ソーショー町はモンベリアール区(Arrondissement de Montbéliard)に入っていました。今回の旅行ではソーショーの方には足を踏み入れなかったのですが、モンベリアールを観光しているときにはプジョー社の存在が目につきました。

例えば、こちら。モンベリアールの博物館に陳列されていたプジョー社製のミシンです。



プジョーがミシンを製造していたのは知らなかった。

プジョーといえば車ですが、現在でも車以外の商品も製造していますね。さすが、もうミシンは製造していないみたいですが。


自転車がなぜそんなに高額なのか分らない。ファンがいるのでしょうか?

私は、塩と胡椒をひくプジョー社製のミールを持っています。性能が良いのだと言われて買ったのでした。単にフランス製だから、フランス人がそう言ったのではないかという気もしたのですが...。


プジョーの博物館には行かなかった

地元の人に観光情報を聞くと、モンベリアールに来て最も見応えがあるのはプジョーの博物館(Musée de l'Aventure Peugeot)だと言われました。でも、私は車には全く興味がないのでパス。

それでも、せっかく行ったのだから博物館に行ってみるべきだったかな... とも思って心残り。

プジョーの博物館の様子を見せる動画があったので入れておきます。


Breve Historia de Peugeot

 シリーズ記事: フランシュ・コンテ旅行記 (2014年3月)  目次




ブログ内リンク:
★ 目次: 乗り物に関して書いた記事 (自動車、自転車、船など)
ヨーロッパの紋章で、ライオンとヒョウを見分ける方法 2009/12/04

外部リンク:
Musée de l'Aventure Peugeot
☆ Wikipédia: Famille Peugeot
☆ Wikipédia: Histoire des bourses de valeurs ⇒ La très forte croissance des « années folles »


にほんブログ村 旅行ブログ フランス旅行へ
にほんブログ村


2013/09/30
むかし受験勉強をしていたころ、ラジオの深夜放送でキリスト教の番組を聞いていました。新約聖書もプレゼントしていただいてしまった...。

近くにあった教会にも行ってみたのですが、そのとき覚えた祈りがあります。


祈りの言葉

主の祈り」というものでした。

天にまします我らの父よ
願わくは
み名をあがめさせたまえ
み国を来たらせたまえ
み心の天に成る如く地にもなさせたまえ
我らの日用の糧を今日も与えたまえ...

フランスでのお祈りの言葉はどうなるのか調べたら、「日用の糧」の部分は「日々のパン」あるいは「今日のパン」となっていました。

Donnez-nous aujourd'hui notre pain quotidien (あるいは pain de ce jour).

上に書いた日本語の祈りの言葉はプロテスタントのものなのですが、カトリック教会でも「わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください」となっていて、パンは登場していません。

考えてみると、パンを「糧(かて)」という言葉になっているのは当然でしょうね。米が主食の日本で、「我らにパンを与えたまえ」と言ったら変でしょうから。


それでは「食前の祈り」ではどうなのだろう?

日本のカトリック教会では、こうなっているようです:

父よ、あなたのいつくしみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、わたしたちの心と体を支える糧としてください。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

フランス語の食前の祈りには色々バリエーションがあったのですが、最もよく言われるのは次のフレーズのようです:

Seigneur, bénis ce repas, ceux qui l'ont préparé, et procure du pain à ceux qui n'en ont pas.

後半の部分は、「パンがない人々にパンを与えてあげてください」です。 つまり、ここでもパンが登場する!...


ところで、祈りの最後に言う「アーメン」はフランス語でもAmenと綴るのですが、フランス人が言うと「アメンヌ」と聞こえます。それをアメーヌと、「メ」に力を入れて発音して笑わせる友人がいました。手のジェスチャーを入れるので「Amène !」と言ったのだと分かるわけですが、これだと「持って来い」という意味になるのです。

つまり、食べ物を出してよ~、ということになってしまう! この人は、子どもの頃に食前の祈りをさせられた食卓で、お腹の中で「アメーヌ!」とお母さんに向かって叫んでいたのかもしれない。


ミサの最後に登場するもの

キリスト教を身近に感じるようになったのは、フランスに来てからです。旅行していて美しい教会があれば必ず見学するので、そこにあるものの意味を知りたくなる。葬儀や結婚式やワイン祭りなどでもミサに参列することもあるので、風習を少しは知っておかなければならない。

普通のミサに出会ったときに気になるのは、最後に行われる聖体拝受の儀式。


ヴェズレー大聖堂で行われる修道院のミサ 2013/06/25

気をつけたことがなかったのですが、結婚や葬儀のミサにはないような気がする...。

この聖体拝受の儀式は、最後の晩餐が関係しているのでした。

Última Cena - Juan de Juanes

イエスはパンをとって「これがわたしの体である」と言い、杯をとって「これがわたしの血である」と言って弟子たちに与えた。キリスト教では、パンとワインが大切なものになっています。

ミサの最後に信者に与える薄いおせんべいのようなものは、最後の晩餐でイエスが分け与えたパンを象徴しているのだそう。

Église Saint Jacques, Reims

教会を見学していたとき、ミサの準備が整っていたので撮影した写真です。器に入っているのが信者に食べさせるホスチア(聖体)。フランス語ではhostie(オスティー)。日本から持ってきたエビせんを出すと、たいていフランス人から「オスティーみたい」と言われます。

ホスチアは、酵母を入れていないパンなのだそう。何にでも興味を持ってしまう悪い癖があるので、パリのノートルダム寺院を観光したときにミサをしていたので、これをいただいてしまったことがありました。

パンの味がしたかな?... 何にも味がない、という記憶しか残っていません。洗礼を受けていない人はホスチアをいただくのを遠慮すべきなのだと友人から教えられたので、再び味わってみることはできません。

ミサの儀式で最後の晩餐を象徴しながら、パンを聖体として与える意味は分かったのですが、「これがわたしの血である」という方のおすそ分けがないのが分からない。

祭壇の上にいる司祭さんだけがワインを飲んでいるのです。上にリンクした日記で書いたヴェズレーのミサでは、聖体とワインの両方を信者さんたちに与えているのを目撃した唯一の例外でした。

それに、まだ分らないことがあります。

血の象徴なら、赤ワインが自然ではないですか? ところが、フランスの司祭さんは白ワインを飲んでいるそうなので、理解できない。昔のミサでは赤ワインを飲んでいたと聞いたこともあるのですが、もしそうだったのなら、どうして白ワインになったのだろう?...  食事の前にワインを飲むなら、私も白ワインの方を好みますけど。


追記

ミサで飲むのが白ワインではおかしいと書いたことに関して、「カトリック教会内では、特に赤か白か、という決まりはないように思います」というコメントをaostaさんからいただいて、ミサで飲むワインの銘柄をしっかりと指定していた人がいたという有名な逸話を思い出しました。

ご所望されたのはブルゴーニュワインなのですが、何だったっけ?  調べてみたら、格言として簡単に出てきました。お気に入りは、ムルソーでした。

Je dis ma messe avec un grand meursault, car je ne veux pas faire de grimaces au Seigneur quand je communie.

「私は偉大なムルソーでミサをあげます。私が聖体拝受の儀式をするとき、イエス様にしかめっ面をしたくはないですから」

こう言ったのは清く正しい聖職者ではなかった方なのですが、これを飲みたいとワインを指定してしまうお気持ちは分かります。

口に含んだだけで、うへぇ~、と顔をしかめてしまうワインは多いですから!

つい最近に行ったレストランでワインを飲んで、私のデイリーワインとは違って深みがあって、やっぱり美味しいな... と感慨にひたったのが、偶然にもムルソーの白ワインだったのでした。

この言葉を残したのは、ルイ15世の時代にローマ大使を務めたCardinal de Bernisという枢機卿。

ムルソーの赤ワインもありますが生産量が非常に少ないし、ムルソーといえば白ワイン。なので、ご所望されたのは白ワインだと思ったのですが、数百年前は赤と白は同量くらい生産されていたのだそう。

ムルソーについての情報

それで、分らなくなってしまいました。あちこちのサイトで、枢機卿とムルソーのことを書いているのですが、そのワインが赤だったのか白だったのかには触れていないのです。

ミサで飲むワインはこれでなければ嫌だと言った枢機卿のことを検索したら、ミサでどのくらいワインが消費されるかを書いているサイトに出会いました。

フランスに関する数値はないけれど、イタリアのは出ているとのこと。年間に80万リットルがイタリアのミサでは消費されているのだそうです。すごい! でも、イタリアはフランスとは比較にならないほどキリスト教信者が多いので、ミサもたくさん行われているはず。

イタリアで行われるミサでは、1回あたり平均35ミリリットルが使われる。大したことないですね...。聖職者が1年で消費するワインを計算すると、1人あたり27.6リットル。計算に弱いので、多いのか少ないのか分かりません!...


クイズ: これは何でしょう? - 城のダイニングルームにあったもの
クイズの出題
   ⇒ ヒント   ⇒ 解答


ホスチア(聖体)をどのように作るのかなどを見せるフランスの番組があったので入れておきます。材料は小麦粉と水だけなのだそう。


L'hostie - Visites privées

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: パン、パン屋、昔のパン焼き窯など
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
☆ Wikipédia: Notre Père (主の祈り)
☆ Wikipédia: Bénédicité (食前の祈り)
Textes de bénédicités et Actions de grâces
ジャン・シメオン・シャルダン-食前の祈り
Vin de messe (ou vin liturgique)
Définition: Vin de messe
☆ Guide Vert Michelin: Bourgogne Le vin et la table


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村