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2017/06/26
友人が面白いものを見つけたといってリンクを送ってきました:
こちらのページ

この絵に友人は「Une histoire de grands dadais et de nains malfaisants」なんていう皮肉な題を付けていました。



1958年に始まった第五共和政の歴代大統領と、一部の首相たちの身長を絵で表しています。

絵はオーバーに描いているのですが、数字を見てもかなり差があるのが見えます。

フランス人たちが身長を話題にする大統領の代表は、ノッポのシャルル・ド・ゴール(1.96 m)と、真ん中でカーボーイ姿に描かれているニコラ・サルコジ(1.68 m)でしょう。

ド・ゴール将軍は、ほとんど2メートルという身長。あだ名はgrande aspergeだったのだそう。細身で背が高いと、フランスではよく伸びたアスパラガスに例えられるらしい。右に立っている人ですが、アスパラのイメージかな...。


Sikorski、McNaughton、Churchill、de Gaulle (1941年)


最近大統領になったエマニュエル・マクロンは、テレビで見ていると背は余り高くないなと思っていたのですが、1.73 mとなっています。まあ、フランス人としては普通くらいの背の高さでしょうね。

実物にお目にかかって巨体だなと感じたジャック・シラクは1.89 m。やはり、かなり背が高かったのだ。シラク氏に目の前に立たれると圧倒される体格だと思った想い出があるので、その後にお忍びでトルコに来ていたミッテラン大統領にスークでばったり会った時は、小さいなと思ってしまった。でも、マクロン氏と同じ身長なのでした。


背が高すぎるのは殆ど茶化されせんが、可愛そうなのはチビの方。

「小人」なんていう悪口も言われたニコラ・サルコジ氏は、そんなに特別に小さいというわけではなかったのですよね。ナポレオンと同じに1.68 mです。ナポレオンの方は、この英雄が嫌いな人でもチビとは呼ばないと思います。

サルコジ氏の背が低いことが風刺ニュースで盛んに取り上げられたのは、彼が身長に対して強いコンプレックスを持っていたからだったと思います。

5センチくらい背が高くなる特製の靴を履いていたり、演説するときに小さな台に乗っていたり(後ろからカメラを向けられればバレルのに!)、外国の首相に会うときにはお抱えのカメラマンに彼の方が背が高いように見える角度で写真を撮らせたとか。

からかわれるのに事欠かないほど、ご本人が変なことをやっていたのでした。


Sarkozy, mon nain à moi


描かれている政治家たちの中には、サルコジ氏よりも小さい人がいました。ベルナール・カズヌーヴ首相。この人も背が低いことにコンプレックスを持っていたようなのですが、サルコジが背が低いと散々からかわれた後に首相になったからではないかな?... 風刺ニュースでからかわれていた記憶は私にはありません。

絵を眺めて、1メートル70ないと、フランス人の男性としては小さいと言われるかな、と思いました。ちなみに、フランス人の身長も昔より高くなってきていて、現在に18歳の男性の場合の平均は1.8 mらしいです。

イギリスでは上流階級は背が高くて、下層階級は背が低いのだ、と聞いたことがあります。背の高さを見ただけで、歴然と階級が分かってしまうのだとか。フランスでは、そういうことはないように思うのですけれど。





堂々とした姿の肖像画を見慣れているルイ14世は、サルコジよりさらに5センチ小さい1.63 mだったそうです。昔の平均的な身長は今より低いですから、小さいということはなかったでしょうね。

Louis XIV of France

ヒールのある靴を履いているし、鬘も高くしている。この当時の流行なので、違和感はなかったのでしょうね。


外部リンク:
En images la taille des présidents de la République française
Taille des Présidents  il manque 1 cm à Hollande pour battre Sarkozy
Pour gouverner, la taille, ça compte
☆ Taille moyenne homme
A quoi ressemble le Français moyen?
世界各国の平均身長
☆ Wikipedia: Liste des présidents de la République française » フランスの大統領
Top 10 des tailles de personnages historiques et politiques (pour bien se rendre compte)


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カテゴリー: フランス人 | Comment (8) | Top
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2017/05/30
むかし日本でフランス語を勉強していた頃は、日本語で書かれたフランス語の学習書や、フランス社会を紹介した本は、全部と言えるほど買っていました。それだけ、フランス関係の本が少なかったということですけれど。

最近は、いくらでも本が出版されているのできりがないのと、勉強心がなくなっているので、ちっとも読んでいません。私が見ているフランスは一面だけですから、素直な気持ちで学ばないといけないとは思うのでしょうが、そうも言えるかな?... と考え込んでしまうことがタイトルになっていることもある...。

前回に書いた「フランスにはシャッター通りがない?」の続きです。

こちらは現実とは正反対ではないかと思ってしまった ↓

フランス女性は太らない
― 好きなものを食べ、人生を楽しむ秘訣


ミレイユ・ジュリアーノ (著)


極端なダイエットはしない。頭を使って毎日3食、栄養あるものを適量、心から味わう。そして、歩くことや階段を上ることなどのちょっとした運動を生活にとりいれる。フランスの田舎の四季と食べ物の思い出話とともにカラフルに語られる優雅で健康的な生き方。世界300万部のベストセラーを簡単なレシピ付きで文庫化。

フランスにはスマートな女性もいますが、日常生活で出会う人たちや、テレビに映し出されるフランス女性を見ていると、「太らない」とは絶対に言えないと思うのだけれどな...。少なくとも、太った人が少ない日本人に、フランス女性はスリムです、とは言えないですよ...。

パリのような大都会にはスマートな人たちがいる。それから、生活レベルが高い階層だと、フランス女性はカッコイなと思う体形の人がかなり多いと言えるかもしれない。それと、子どもや若い人たちは、余り食べないからだと感じますが、痩せている場合が多い。

でも、フランスの田舎で見かける女性たちは、30歳過ぎれば太っている方が普通に感じます。

こんな感じ ↓



別のテーマでブログを書くために、先日行ったレストランで撮影していました。こちらに背を向けているのはの利用客らしく、それ以外の2人はレストラン経営者の家族としてお給仕をしていた女性たちです。

私がフランスで付き合っている中年女性は、ほぼ全員が痩せたいと言っています。

無理してダイエットしたり、毎日その辺を散歩をするという努力までしないで良いのではないの... と思いながら観察してしまったら、彼女たちはお尻が大きくなってしまうのだ、と気がつきました。



フランス人が言うには、女性はお尻が大きくなり、男性はお腹が膨らむ、というのが普通の太り方なのだそうです。「私が太ったらお腹が出る」と言ったら、「あなたは変だ」と言われてしまった! でも、日本人の場合はそうではないですか?...

「私のお尻の肉を少しあげたいけどね...」なんて私に言う友達もいました。痩せているのもまた、良いイメージはないのです。

「痩せる」をフランス語に訳すとmaigrir。それから作った単語らしい「maigre」という形容詞があります。それで、若い女性に「あなたはスリムだ」と言うつもりでmaigreを使ったら、「そんなことないわよ~!」と不快な顔をされてしまったことがありました。傍にいた別の友だちが、貶すつもりはないのなら「mince」を使うべきなのだと教えてくれました。


太っていても、痩せていても、ご不満なフランス女性たち...。

ここに写真を入れた女性たちは、理想的な体重を少しオーバーしている、というレベルだと思います。

肥満体とは?...

フランスで「肥満体」と呼ばれる太り方は、このくらいでないといけません ↓

http://www.20minutes.fr/sante/2073071-20170522-video-obesite-efficacite-ballon-gastrique-prouvee-scientifiques-italiens

このレベルになった人たちを見ると、何とかした方が良いのに... と思ってしまいます。歩くのさえ、とても辛そうなので。


太っているかどうかを判断するには、日本でもフランスでもBMI(ボディマス指数)というのを使っていました。

BMI = 体重(Kg) ÷ 身長の2乗(m)

フランスなど欧米諸国では、BMIが25を超えると過体重、30以上は肥満。
日本の厚生労働省は、25を超えたら「肥満」としているそうです。

つまり、身長160cmで体重が65Kgの場合、フランスでは過体重で要注意レベルですが、日本では肥満とされてしまう。この人の体重が78Kgまで増えれば、フランスでも肥満とされる、という違いがありました。


30歳~69歳のフランス人を対象にした最近の調査では、2人に1人が体重オーバーだったのだそう。

フランス人男性の41%が、BMIが25を超える過体重で、そのうち16%がBMI 30を超える肥満体とされたとのこと。女性の場合は、体重オーバーは25%だけですが、その中で肥満体とされたのは男性と同じに16%でした。

女性の方がスマートな人が多いとは言えますが、日本の基準でいったら、フランス女性の4人に1人は肥満体なわけです。

なぜ「フランス女性は太らない」などという断定的な言い方にできたのか不思議だったのですが、この本を書いたのはアメリカ人なのでした。

アメリカ人は太った人が多くて、日本の基準では「肥満」とされるBMI 25以上は7割近いらしい。

OECDが行った成人の肥満率調査(2015年)を見たら、アメリカの肥満率は38.2%でトップですが、フランスは15.3%でした。それからいくと、アメリカ人がフランス人のように太らない方法を知りたがるのは分かります。

でも、日本の肥満率は3.7%と、調査対象とした国々の中で最も肥満率が低くなっていたのです。こちらのPDFの5ページ目に各国の肥満率比較のグラフが入っています。

日本人がこの本を読んで学んだら、太れる方法になってしまうかもしれないではないですか?!...

この本の英語版のタイトルは『French Women Don't Get Fat』 でした。フランスでも翻訳が出ていましたが、フランス人はタイトルをそのまま訳すには気が引けたのではないでしょうか? あるいは、そのまま訳したら、皮肉を言っている、と反感を持たれてしまうと翻訳者は心配した?

フランス語版のタイトルは『Ces Françaises qui ne grossissent pas : Comment font-elles ?』となっていました。「フランス女性」に「Ces(これらの)」を付け、太っていないフランス女性たちのことを書いていると受け取れるようにしたのではないかな?....





もう1つ、こんな言い方ができてしまうの? と思った本もありました。

フランス人は年をとるほど美しい

ドラ・トーザン (著)

年をとることは成熟すること。わがままに生きる、自由に生きる、細かいことは気にしないのが若返りの秘訣。東京在住のフランス人が教える最高にHAPPYな年のとり方。

成熟することで女性は磨かれる。もっとわがままに生きていい。東京在住パリジェンヌの“美”の教科書。

フランスでは、日本のように女性が年をとったことに対する軽蔑的な見方はないので、このタイトルは間違ってはいないと思います。

悲しみよこんにちは』の著者として日本でも知られているフランソワーズ・サガンが来日したときには、インタビューされると必ず年齢のことを言われると怒っていました。彼女は日本人が描くような素敵なフランス女性ということで、美しく年をとることについて日本の記者は聞きたかったのではないかと想像したのですが、彼女には侮辱だったらしい。

歌手のリアーヌ・フォリーに電話インタビューするのを手伝ったときも、質問文の中には年齢に関するものがありました。30歳になった彼女は、もう若い女の子という魅力だけではやっていけなくなったわけだけれど、それをどう考えているか、という質問でした。そういえば、日本には「三十路(みそじ)」というのがあった。でも、30歳になった程度で、もう若くはないのだ、なんてフランス人に言ったら怒りだされてしまうだろうと思って、婉曲な言い方に変えるのに苦労しました!

日本では、女性が年をとったら女ではなくなるような目で見る傾向がある...。東京都知事だった石原慎太郎が言った「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で、罪です」などというババア発言を、もしもパリ市長がやったら、政治家としての道は完全に閉ざされただろうと思います。


でも、「フランス人は年をとるほど美しい」とまで言えてしまうかな?.. 「美しい」と感じる人になるかどうかは、人によって大きな差がありますよ~。


★ フランス人って、どうしてこんなに食べられるのだろう?...【2】 2006/05/28


高齢になっても、フランスの女性たちが美しくあろうと努力する度合いが強いのは確か。でも、派手な服装やアクセサリーを身につけるのは平気だし、厚化粧もするので、それを下手にやられると化け物だと感じてしまいます!

役場の多目的ホールではよく食事会が開かれて、食事が終わる頃にはダンスを楽しむ時間になります。こういう集まりに来るのは、熟年以上の高齢者たちばかりです。先日も終戦記念日に開かれた集まりに行って、私は踊らないので、高齢者たちが踊っていまるのを眺めていました。フランス女性はセンスが良いというイメージを持っている日本人に見せたら、これがフランス?! と言われてしまうだろうな... と思ったのでした。


ひところの日本では、オバタリアンという言葉が流行りました。1989年に流行語大賞で金賞を取っているので、30年近くも前でしたか。知らない方もあるかもしれないので説明すると、図々しくて、羞恥心がないのがオバサンの特徴だとして、中年女性を貶す言葉です。

でも、フランスの高齢女性たちの図々しさに比べたら、日本のオバタリアンなんて可愛いものですよ~!

フランス女性を京都の案内したとき、お寺の庭でモンペ姿の年取った小柄な女性が掃除をしていたのを見て、「可愛い! なんて可愛らしいのでしょう!」と感激していたのを覚えています。

そう言われたら、フランスの高齢女性には、こういう風に愛らしいと感じる可愛らしさはないはないな、と思いました。威張っていて、憎らしく見える人の方が多いのです。

1970年代に女性解放が進む前に生きたフランス女性たちは、徹底的なレディーファーストを受けて育ってきたので、自分は偉いのだという思いが強いから図々しいのが1つ。さらに、年をとったら大切にされるものだ、と思っているから図々しいのが2つ目の理由。

フランス女性は「わがままに生きている」と言えるかもしれないけれど、それが美しいこととイコールにできるのだろうか? 美しい姿を保っていて、上流階級にいれば、いくらでもチヤホヤしてはもらえるでしょうが、ごく一部のはず。自分勝手で憎らしい高齢女性は、やはりフランス人の男性からは嫌われています。

著者はフランス人らしいので、フランス人向けにはどういう風に言っているのか知りたかったのですが、フランスのアマゾンサイトでDora Tauzinを検索したら、日本語の本しか出していらっしゃらないようでした。


もしも太らなかったり、実際の年齢よりも若く見えるということなら、フランス人の方が日本女性から学ぶことの方が多いはず。... と思ったら、そういう本がフランスでは出版されていました。

日本女性たちはなぜ年をとらず、太らないのか、ということを書いているらしい本 ↓


Pourquoi les Japonaises ne vieillissent pas et ne grossissent pas : L'art de vivre japonais au service de la santé et de la minceur 

他にも、日本人が健康的に痩せていられる秘密は何かという感じで、『Secrets santé et minceur du Japon』という題名の本など、数冊が見つかりました。

最近のフランスで日本食が流行っているのは、健康に良いし、太らない料理だ、ということが大きな魅力になっているからです。タイトルにはしないでも、内容としては日本人を見習おうという本はもっとあるだろうと想像します。


フランス女性は年をとっても美しいと言うよりは、男性たちが高齢でも女性として扱うから、彼女たちは生き生きしていると強調するのなら納得します。でも、それを前面に出したタイトルにすると日本の男性たちには不快感を与えてしまいそう。

最近の日本礼賛ブームの中で、日本に住んでいるフランス人がそんなことを言ったら「反日」とか言われて袋叩きにされるから避けたのかもしれない。もっとも、書籍の批判コメントを見ると、反日扱いしている人たちがいますね。



↓ こちらも、同じようなテーマ?


セクシーに生きる
- 年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密
ジェイミー・キャット・キャラン(著)

フランス女性はファーストフードを好みません。同じように、即席のセックスも好みません。もちろんアバンチュールに身をやつす瞬間はありますが、その際はすべてが秘密のまま終わるよう、細心の注意をはらいます。愛に関するほとんどすべてにおいて、フランス女性は時間をかけ、ふざけ合いや誘惑、相手を惹きつけるプロセスを愉しむのです。


そういうフランス女性もいる、という程度だと思いますけどね...。





ついでに、不思議に思ってしまった本のタイトルを、もう1つ挙げておきます。

フランス人は10着しか服を持たない
~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~


ジェニファー・L・スコット (著)

間食はせず、食事を存分に楽しむ。上質な物を少しだけ持ち、大切に使う。日常のなかに、ささやかな喜びを見つける。典型的なカリフォルニアガールだった著者は、フランスの貴族の家にホームステイすることになる。その家を取り仕切るマダム・シックから学んだ、毎日を“特別な日”のように生きること。

服をたくさん持つか否かは、人によりますけれどね...。頻繁に会う中なのに、会うたびに違う服を来ている友人も多いです。男性でも、女性でも。

フランスはファッションの国と言われますが、素敵だと感心するようなファッションでいる人は例外的だと思う。生活費の中で最も重きを置いているように見えるのは「住」の部分で、経済的に余裕がなかったら、まず衣服費から節約するかもしれない。

服をたくさん持たないことにしているフランス人もいるでしょう。フランスには四季がありますが、真夏でも真冬の服装を着るほど寒い日もあるし、ジメジメと暑い日はほとんどないので、真夏用の服を持たなくても生活できるかもしれない。

でも、10着というのは余りにも少なすぎるではないですか?!

フランス式のかっぽう着のようなものがあって、ひと昔前の田舎では高齢女性たちのユニフォームのように見えるほどでした。


★ フランスのエプロン 2009/02/10


これで毎日を過ごせば10着で足りるかもしれない。でも、そういう話しではないですよね? フランス人は洗濯をほとんどしない、という話しでもないでしょう?...

突拍子もないことを書いたタイトルにすると読んでみたい気にさせるから、というのが狙いではないのかな?...



ところで、ここに並べた書籍の著者は、全て日本人ではないのでした。

特にアメリカではフランスに対する憧れが強いようです。フランス女性は美しいし、子どもの躾けも良いのだという本が最近はたくさん出版されているのだそう。そうなると、アメリカに住んでいるフランス人たちは、イメージを破ってしまわないようにしなければいけないわけで、居心地が悪くて困っているのではないか、なんて書いているフランス人もいました!

いずれにしても、日本でもアメリカでもフランス女性が素晴らしいという主張は、パリなどの大都会で生活するセレブたちに代表させているイメージだと感じます。私はそうではないフランス人たちの方が好きなのだけれどな...。


ブログ内リンク:
スリミ・ダイエットをしている友達 2013/07/08
カフェで「ボクの愛しい人」と呼ばれてしまったのには理由がある 2006/08/14
フランスのイメージは良すぎるのでは? 2013/08/02
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01

外部リンク:
La femme française, un rêve toujours américain
Le surpoids gagne du terrain, l'obésité stagne en France  26-10-2016
Obésité En France, 15% des adultes sont concernés et la tendance va s'aggraver 19.05.2017
☆ Marie Claire: Les Françaises ne grossissent pas : notre silhouette vue par les Américaines
Mensurations à quoi ressemble la (vraie) femme française
☆ OECD: Obesity Update 2017
☆ Wikipedia: ボディマス指数(BMI) » Indice de masse corporelle(IMC)
☆ PRESIDENT Online: なぜフランス女性は「年を取ること」を恐れないのか?


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2016/11/15
アンティークを集めるのを夫婦で趣味にしている友人がいるのですが、家に遊びに行くと博物館のよう。ありったけは飾らないで、戸棚の中に入れているものもたくさんある。

それで眺めていると、色々なものをくれてしまうのです。


昔の洗面台

つい最近も、色々いただいています。

例えば、水道がなかった時代のフランスで使っていた陶器の洗面セット。


⇒ 画像をクリックすると、一部の拡大写真が出ます。

こういうのを何と呼ぶのかと調べたら、nécessaire de toilette、service de toiletteというようです。水差しはbroc。その下に置いた洗面器はcuvette。

左に置いたものは髭剃り用の道具だ、と言われました。

家の中に水道があるようになってからは必要がなくなったわけですが、飾りにしているのはよく見かけます。



ネットオークションでも色々なのを売っていました:
ebayで検索

いただいたセットは寝室の暖炉の上に置きましたが、これを置く洗面台のようなものもあったのですよね:
家具の画像を検索


この友人夫妻が好きなのは、ジアンの陶器。ジアン焼きの食器をたくさんいただいたときのことはブログで書いていました:


ジアン焼きのテーブルウェアをプレゼントされて... 2012/10/27

いただいてから何年もたっていますが、これを使って食事したことは一度もなかった...。食器洗い機には入れない方が良いとのことなので、割ってしまいそうで怖いのですもの。


コレクターは、手に入れる段階が楽しいのかな?...

コレクションが趣味の友人夫妻は、何でもくれてしまう。何か見せてもらったときには褒めたりしないように気をつけています。でも、おしゃべりの中で私が好きなもの、必要なものを察して、お土産に持ってきてくれてしまう。

彼らが食事に来たときに、フォークとナイフを取り換えようとしたら数が足りなかったことがあったら、その次に食事に来たときには銀メッキのカトラリーのセットを持って来てくれてしまった。その他、花瓶、籐で編んだカゴを数個、等々。

余りにももらってしまうと置き場所にも困る。断ると遠慮しているのかと思われて押し付けられちゃう。彼らの家に行ったときには持ち帰らなければ良いのだけれど、持ってきてくれてしまったときには困るのですよね...。

私が好きだと言うと、なんでもくれちゃうわけですが、他の友人にもプレゼントしています。博物館にコレクションを寄付したこともあるのだそう。

コレクションが趣味だったら、持っていることが楽しいのだろうと思うのだけれど、惜しげなくあげてしまうという感覚が不思議でなりません。


私の方も何かプレゼントしたいと思うわけなのですが、日本から持ってきた年代ものといったら、幾つもないのです。少し前、彼らに喜ばれそうなものがあったのを思い出してプレゼントしたものについて続きで書きます。

この話しはだいぶ前に書き始めていたのですが、「下書き」に入れて放置していたままで日がたってしまいました。ブログの更新をしばらくしていなかったのでご心配してくださった方、どうもありがとうございます。ブログを書いていると癖になって頻繁に書いてしまうのですが、少し休んでいると書かないのが癖になってしまう...。

続き:
簪(かんざし)の思い出

ブログ内リンク:
★ 目次: アンティーク、蚤の市などについて書いた記事
★ 目次: プレゼントや土産物に関して書いた記事

外部リンク:
☆ Wikipédia: Service de toilette
☆ Wikipédia: Meuble de toilette
☆ Wikipédia: Nécessaire de voyage
Gien France  ジアン日本公式サイト
ジアンを楽天市場で検索


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2016/09/20
フランス語を勉強するために行って初めて出会ったのは、ブルゴーニュで最も大きい町ディジョン。家族同然に親しくなった家に休みの度に通っていたのですが、全く変化が見えない美しい古都でした。大騒ぎされたのは、目抜き通りにあったケーキ屋さんがマクドナルドになった程度。「十年一日のごとし」という表現はこういうケースで使うのだろうと思っていました。

ところが、21世紀に新しい市長さんになってからは、目覚ましい変化! 

Panoramique palais duc de Bourgogne

このブルゴーニュ公国時代の宮殿の前にある空間は醜い駐車場だったのに、すっきりした広場になりました。歩行者天国もたくさんでき、日が落ちたら死んだような静けさの町だったのに活気づいてきました。

同じような予算を使っていながら、こうも変われるものなのかと驚きました。首都パリも同様に、良い発展をしたと感じています。私が日本で生まれ育ったのは東京都ですが、都知事が変わったら東京が変わったというのは一度も味わったことはありません。


フランスの珍風景?

前回にディジョンに行った日も、町の一角で工事が行われていました。

珍しい光景のサンプルだと思って撮影したのが、こちら ↓



久しくクイズを出していなかったので、「私は何に驚いたのでしょうか?」というクイズにしようかと思ったのですが、止めました。真面目に考えてしまっていただいたら申し訳ないので!


何が珍しいのか、ご想像がつきますでしょうか?

[続きを読む  Lire la suite...]


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2016/08/17
たまたま見たテレビのドキュメンタリー番組のタイトルが不思議でした。

「世界で最も幸せな人」と題されていたのです。

私が人から「幸せね」と言われたら、バカにされたと思います。人から助らることが多いので運が良いとは感じますが、自分が幸福な星のもとに生まれたとは全く思っていません。この世に生まれて良かったとか、まして生んでくれた親に感謝するなんてことを思ったことはありません。

そんな捻くれた思いは抱かずに、自分が幸せだと感じている人はいるとは思います。でも、地球上に70誰人もいる中で、誰が最も幸せかなんて決められるものではないのですから、奇妙ではないですか?


世界で最も幸せな人だと言われるマチウ・リカールとは?

ドキュメンタリーで取材されていたのは、チベット仏教僧となったフランス人、Matthieu Ricard(マチウ・リカール)でした。

その番組のビデオは、インターネットでも見ることができます:
Matthieu Ricard, l’homme le plus heureux du monde 14/08/2016

Matthieu Ricard 2008彼は1946年生まれなので、今年70歳。

父親は哲学者のJean-François Revel(ジャン=フランソワ・ルヴェル)で、母親は画家のYahne Le Toumelin。

パストゥール研究所のフランソワ・ジャコブ教授(ノーベル医学賞受賞者)の指導のもとに分子生物学で博士号を取得後、チベット語を学び、仏教修行の道に入ったのだそう。

番組に映し出されていた彼は、元気で、本当に幸せそう。

笑顔が印象的でした。地震の被災地を訪れた場面でも、彼は笑顔でいるのでした。

でも、偽善的な印象は全く与えません。

日本で田舎に行けば、同じような笑顔を見せる人はたくさんいます。でも、こういう、くったくのない笑顔をするフランス人は非常に稀なのです! フランス人たちは文句を言ってばかりいるので、おしゃべりをしていてウンザリすることが多いのです。

番組を見ていて、彼は幸せなんだろうなと思いました。

僧侶となって、本もたくさん出版し、そういうところにいるのを利用して写真家でもあり、マスコミからも引っ張りだこ。つまり、選んだ道で、ちゃんと生計の道もたてているわけで、好きなことをしながらの生き方を実践できるわけです。映像を見ていて、非常に頭脳明晰な方なのだろうなと感じました。

マチウ・リカールが「世界一幸せな人」と言われるかというと、彼がフランス人だから、フランスでそう言っているだけなのだろうと思ったのですが、そうではなかった。

彼の脳波を測定したら、幸せや肯定的情緒を表すとして知られている左前頭葉が非常に活発だった。他のチベットの修道僧たちも似たような数値だったけれど、マチウ・リカールが最初の実験対象であったために世界初で最も幸せな人と公認されたようです。


幸福学?

マチウ・リカールは、日本でもかなり知られている方のようでした。著書の日本語訳が何冊も出ているのでした。

マチウ・リカールの著書を検索


マチウ・リカールは「幸福学の研究者」だという紹介もありました。

そんな学問があるとは知らなかった。不穏な空気が広がっている21世紀なので、幸福だと感じようとするのが最近は流行っているのでしょうか?


「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室


私は「幸せだ」と感じるのは錯覚を持つことだと思っているので、どうやったら幸せになるかなんて勉強したいとは思いませんけど...。

マチウ・リカール氏が英語でした講演に、日本語字幕が入っている動画も見つかりました:
マチュー リシャール 幸せの習慣


同じ講演を文字での解説を入れているページもあります ↓


幸福とは何かについてマチュー・リシャール氏が語る


こういうのを先に見ていたら、彼がどんな生活をしているかを紹介するドキュメンタリーを見る気にはならなかったと思います。

それにしても、彼は流暢に英語を話しますね。と言えるほど私には英語能力がありませんが、少なくともフランス人が英語をしゃべっていると分かるフランス訛りが全く感じられません。

例えば、世界的に活躍している経済学者のトマ・ピケティの英語はフランス人が喋っているというのが丸だしで可愛いのですけど、それとは全然違う。

ところで、上にリンクした日本語字幕入りの講演を紹介する記事では、「マチュー・リシャール」という名前の表記になっていました。インターネットで検索すると、「マチウ・リカール」と「マチュー・リシャール」の両方でヒットしました。

Matthieu Ricardの「Matthieu」というファーストネームをカタカナ表記するなら、「マチウ」よりは「「マチュー」の方が近いと私は思います。

でも、 Ricardを「リシャール」にしたのはなぜなのかな?

フランス人の名前として「リシャール」は存在していて、「Richard」と綴ります。

Ricardはフランスの有名な酒造メーカーの名前でもあり、こちらは日本でもフランス語の発音通りに「リール」となっています。

哲学者として知られているマチウ・リカールの父親の苗字はルヴェルなのですが、もともとの名前はリカールだったのだそう。

お酒のリカールと言えばパスティス。パスティスといえばマルセイユなのですが、リカール氏の父親はマルセイユ生まれでした。そんなことで面白がってはいけない!

「リカール」を「リシャール」にしたのには何か理由があったのかな?...

でも、そんなことは大きな問題ではないと思う。理由を探してみる気にはならないので放置。

気になったのは、こちらです。


フランス人にとっての仏教とはチベット仏教なのだろうか?

ダライ・ラマ14世(2012年10月)マチウ・リカールはダライ・ラマ14世の通訳者なのだそう。

ダライ・ラマはフランスではよく知られた人で、彼はパリの名誉市民にもなっています。

フランス人たちには判官びいきの傾向があるので、中国から弾圧されているチベットの肩を持つのかなとも思いました。

でも、ダライ・ラマのフランスでの人気は、マチウ・リカールによるところが大きいのかも知れない。

ダライ・ラマ14世のお顔は、私には人間くさ過ぎるように見えてしまいます。なんとなく麻原彰晃を思い出させるとまではいわないけれど。

右の写真をWikipediaからお借りしながら記事を読んだら、嘘か本当かは知らないけれど、この二人には関係があるという記述がありました。なんとなく、ありえそうな気もする...。

ー ダライ・ラマ14世は、オウム真理教から布施の名目で1億円にのぼる巨額の寄付金を受領しており、1989年にオウム真理教が東京都で宗教法人格を取得した際には、ダライ・ラマ14世は東京都に推薦状を提出してオウム真理教を支援した。


それはともかく、フランスには仏教徒がかなりいるのだそうです。

フランス仏教徒連合(Union bouddhiste de France)の発表では、フランスにいる仏教徒の数は約80万人(1986年)。フランスの人口は日本の半分くらいなので、この数からいくと、人口の1%が仏教徒というので意外でした。私の知人の中に仏教徒は一人もいないので。

人口の1%といえば、フランスのユダヤ教信者の割合になります。ユダヤ教の方は、パリではよく見かけるし、テロで狙われたりするニュースを聞くので、かなり目立つのですけれど。

仏教に好感を持っているフランス人は500万人くらいいる、と言った社会学区者もあったそうです。

これはあり得るかな。Zenはフランス語になっていて、禅に好意をもっているフランス人はとても多いと感じますので。Taisen Deshimaru

フランスに禅を広めたのは曹洞宗の僧侶Taisen Deshimaru(弟子丸泰仙 1914~1982年)で、彼は1967年に渡仏して布教していました。


フランス人にとっての「禅」は、宗教というより、精神のあり方としてとらえているのではないかという気がします。フランス語のZenは、座禅を離れて、「冷静」という感じの意味でも使われていますので。

禅は日本の文化として捉えられ、仏教といえば、フランス人にはチベット仏教のイメージが大きいのではないかな?...

ブルゴーニュ南部にも、仏教の施設があります。近くを通ったときに友達が立ち寄ろうと言いました。

私を喜ばせようと思って連れていってくれたわけですが、懐かしくなるような気にはなりませんでした。むしろ、違和感でいっぱい...。

私が日本で見慣れているお寺とは全く違う。ともかく、カラフルなのです!


Temple des mille Bouddhas / Dashang Kagyu Ling

Googleマップで見ると、こちら

ここには2回立ち寄っていますが、中に入ったことはありません。名前が「千の仏陀の寺院」となっているので、そんなにたくさん仏様の像があるということなのかな?...

このお寺の動画があったので入れておきます。


Dashang Kagyu Ling -Temple des Mille Bouddhas - Plaige La Boulaye 71 - GMP


ネパールに行ったときの仏教建築物は、この雰囲気だったかな?... でも、こんなにケバケバしい色は使っていなかったように記憶しているのですけど。


不思議な魅力があったネパール

マチウ・リカール氏は、ネパールにある修道院で生活しているとのこと。そこで生活していると言っても、マスコミに頻繁に登場するくらいですから、頻繁にフランスには帰ってきているだろうし、世界中を旅行しているのではないかと思います。

ネパールは日本からの団体旅行で1週間ほど滞在しただけですが、不思議な魅力を感じました。ヒマラヤ山脈が、ヨーロッパのアルプス山脈にはない神々しさを感じたのです。

それに、西洋とアジアの文化の接点になっているような雰囲気も感じられるので興味深い。

リカール僧侶が瞑想しながら心の平安が得られるというのも、ヒッピーが集まったのも理解できる気がします。

発展途上国に行くと、金持ちは先進国より裕福な生活をしているのが目についてしまうのですが、ネパールは誰もが貧しいという感じで、貧富の差が目立たないことにも好感を持ちました。

王様さえお金持ちではないように感じて、平和な国というイメージを持ったのでした。旅行から何年もたったとき、ネパールで王族の殺人事件があったとニュースで聞き、短い旅行しかしなかった私は甘ちょろい感想を持ったのだろうなと思いました。


ネパールで私の目に付いたのは、洗濯物を干すようにあちちこちにあった旗でした。これは祈祷旗で、タルチョーと呼ぶのですね。

 

フランスの友達の娘さん夫婦がヒマラヤに行ったとき、旗をお土産に買ってきて家に飾っていました。



娘さんは仏教が気に入ったそうで、文字が特に気に入ったと言う。日本から筆で書いた文字がある額でも買ってきてプレゼンントしてあげようかと思ったのですが、日本的で地味な白黒の書画をイメージしているのではないような気がしたので止めました。



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★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ Wikipédia: Matthieu Ricard
Matthieu Ricard : halte au “zoocide” !
慈悲の瞑想の神経科学15~慈悲の修行を積めば自分で悩まず相手の苦に対処できる
Matthieu Ricard: How to let altruism be your guide マチウ・リカール: 愛他性に導かれる生き方
☆ NAVER まとめ: 幸福学のまとめ
☆ Wikipédia: Bouddhisme en France
Trouver un centre bouddhiste en France.
チベット仏教の歴史と特色
行く前にこれだけは知っておきたい「チベット仏教」
色と思想について
フランス人がzenというときの意味


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2016/05/20
ここで書こうとしているのは、普通の挨拶でするキスのことです。

Wikipediaから写真を借りると、こんな感じの挨拶。オランダ王ウィレム=アレクサンダーが母親にしている抱擁です。

Koning Koningin en Prinses op balkon Paleis Amsterdam


トミー・ウンゲラーの童話のお話し

前回の日記「トミー・ウンゲラーが描いた仏頂面の猫」は、ママからキスをされるのが大嫌いで、自分もキスなんかしたくないというう男の子の話しでした。

主人公の子猫のジョーが、ママに向かってこんな風に叫んでいます:

- " Des baisers ! Toujours des baisers ! " hurle Jo. " je les déteste, je n'en veux pas! Des baisers pour dire bonjour, bonsoir et merci ! Des baisers humides et poisseux, toujours des baisers ! "

キスばっかりする、と怒っています。こんにちは、こんばんは、ありがとうを言うときのキス、湿ってベトベトしたキス、なんて並べている。

ベタベタという表現を見て、フランスの幼い子がするキスはそれだな、と思いました。ベチャーと頬にキスをしてくるので、その部分がベタ~となる。その子の目がそれたところで、さっと、何気なく、ハンカチで拭いてしまうことが度々あります。よだれが出るのもしれないし、キスの仕方をまだわかっていないのかもしれない。

大人のキスの挨拶はあっさりしていて、ほとんど唇を顔につけてきたりはしないので、顔を拭いたくなったことはありません。

フランス人でも、やたらにキスをする人と、そうでない人があると感じています。スキンシップが好きな人は、やたらに抱きついてくる。でも、それがあるから普通のフランス人が痴漢に変身することはないのかもしれない。それと、一人暮らしのお年寄りでも、抱き合って挨拶することが1日に何回もあるはずなので、寂しくないという効果もあるだろうとも思っています。

トミー・ウンゲラーの自伝的な童話の話しでは、不思議に余り出てこない問題てトミーの家ではそういう強制はされなかったように見えました。キスされるのが嫌いだったら、自分からやるようにと言われるのはもっと腹がたつはずなのに。

親が友達を夕食に招待したときは、子どもたちは早々と食事を済ませられるらしく、招待客が到着するとパジャマ姿で「おやすみなさい」のキスをしに来ます。中には、そういう挨拶が苦手な、はにかみ屋さんもいるのです。フランスの子どもは辛いよ、なんて思ったりもします。


握手をするか、キスの挨拶をするかの問題

『キスなんか だいきらい』の主人公は男の子なので、学校に行ってクラスメートの悪ガキたちとの付き合いでは問題がなかったはず。フランスでは、たいていの人は、男性同士なら握手で済ませるのです。

どっちの挨拶にするかは問題なのですが、女性が選択する権利があると見ています。日本で友達になったフランス人女性で、キスの挨拶が大きらいという人がいました。どうするのかと聞いたら、相手がキスをしそうになって顔を突き出してきたときに、さっと手を出して握手してしまうと答えていました。

握手をするか、キスをするかを観察したことがあります。

女性が男性と挨拶するときには、キスをしてあげた方が喜ぶ。男性の方からはキスをする挨拶をすることに決める権利はないらしいので、気をきかせてあげないといけません。

親しい人の関係者の人の場合は、初対面でもキスの挨拶にしてしまった方が打ち解けた雰囲気になる。田舎の人は、かなり親しくなっても握手しかしない人が多い。逆に、若い世代、特に都会では、初対面でもキスの挨拶をする傾向がある。

田舎で育った中年世代の友達が、自分が若かったことには今のように誰とでもキスの挨拶をすることはなかったと言っていました。現代生活になって、人間関係が希薄になってきたからスキンシップの挨拶をすることが多くなったのではないか、と私は見ています。

フランスの場合には、英語のyouにあたる「あなた」が二通りあって、親しい間柄ならTu、距離を置く間柄ならVousを使い分けるのですが、これが握手で済ますか、抱き合って挨拶するかの違いと一致するとは言えない。ややっこしいです...。


フランス式挨拶は面倒!

人からキスをされるのが嫌でなければ、されるままにしておけば良いだけのこと。でも、自分から率先してキスをしなければならない場合があるのは、そういう文化で育たなかった私には馴染むのが難しいです。

例えば、大勢の人が集まるパーティーなどの場面。日本のように、全員に対して「こんにちわ~♪」と頭を下げたり、手を振ったりするだけでは挨拶が済ませられないのです。

こういう場合、ひとり1人に挨拶して回るわけですが、その人とは握手の挨拶をする仲だったか、抱き合ってキスをする仲だったかを考えないといけません。今まではキスをしていたのに握手にしてしまったら、何か私が怒っていると受け取られかねませんから。

しかも、キスをする仲の相手の場合には、何回キスをするのかを思い出さなければなりません。たいていは右と左の頬を寄せ合う2回の挨拶なのですけれど、4回の人もいるので注意が必要。3回というのは中途半端なので、つい4回目をやりそうになる。

3回ないし4回する習慣がある人に対して2回で止めてしまうと、続けてやろうとした人は突き出した顔をひっこめなければならないので、変な具合になります。たいていは、数が多い方が勝って、止めようとした人は続けるというパターンが多いと感じています。

ひとり1人と握手なり抱擁なりの挨拶をしなければいけないというのは、非常に面倒です。席についていてくれれば順番に回って挨拶していけば間違えないのですが、立っている場合には、人は動くのですよね。さっき別のところで挨拶していたのに、また挨拶してしまったら、その人を無視してしまったことになるので失礼になります。また、うっかりして挨拶しない人がいたら、これまた、もっと失礼になる...。

私は人の顔をちっとも覚えないので、余り親しくない人たちがたくさんいる場だと、本当に混乱します。「もう挨拶していましたっけ?」などと聞いたりするのですが、フランス人たちは慣れているのか、挨拶した人としていない人はちゃんと把握しているようなので感心します。

「パーティには早く行くことにしている」と言う友達がいました。先に到着していれば、後から来た人たちが回ってきて挨拶するのを待つだけなので楽なのだ、という理由。なるほどね...。でも私は、まだ誰も来ていないところに行くのは、なんとなく好きではない...。


『キスなんか だいきらい』について調べていたら、前々から気になっていたことを知ることができました。抱擁してキスをするというのは、まだ別の問題もあるのです!


相手のどちら側からキスをするか?

キリスト教の教えには、「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」というのがあります。人を平手打ちするときには、右から先にやるものなのでしょうか?

キスの挨拶をするときも、どちらからやるかの問題があります!

私は方向音痴で、右と左をよく間違えるせいなのか、いつも逆から頬を出すようなのです。相手にとっては、どちらから出すかは決まっているらしくて、あわてて方向転換してくれて決着することになります。互いに方向転換しようとすると、右の頬を出したり、あわててひっこめて左の頬を出したりと、不器用な展開になったりもします。

でも、ほとんど痴呆老人という感じの人が相手だと、とっさに方向転換できないのですよ~。間違えた方向に顔を向けてキスの挨拶をしようと、口と口があってしまうことになるのです。友達の家でそれをやってしまったときには、「おじいちゃんは、ずる賢いからね」などと言って笑っていましたけれど。

Wikipediaに、どちらの頬を差し出すか、という図が出ていました。地域によって傾向があるようです。

Joue tendue en premier pour faire la bise en France

青色の地域では、右の頬を出すというもの。赤は、左の頬を出す地域です。

私がいる地域は青色なので、右を出さなければいけないのですね。でも、私はなんとなく、相手の右側の頬を先にキスしたくなるのだけれどな...。南東部なら、私の癖は問題がないらしい。


何回キスをするか?

キスの挨拶は、これも問題になります。1回、2回、3回、4回とあるのです。これも、統計がWikipediaに入っていました。

Nombre de bise(s) en France

圧倒的に多いのは、右と左に1回ずつ、合計2回をするという挨拶です(黄色)。

1回しかしない(ベージュ色)が2つの県であるのが面白い。イギリスは1回が普通なように感じたのを思い出します。

私がいるブルゴーニュ地方では、4回キスする県が入っていました(赤色)。ワインで言えば、シャブリの産地のヨーヌ県です。本当かな?...

Wikipediaが何の統計を入れているのかと思ったら、Combiendebises.comというサイトでアンケートを取っているものを入れていたのでした。

こちら:
Combien de bises fait-on chez les Français 

県ごとの統計を見ることができ、キスの回数ごとに何パーセントがいたかも確かめられました。

ブルゴーニュ地方の4県を比較すると、こういう回答が出ているそうです。
  • コート・ドール県: 94%が2回のキス
  • ソーヌ・エ・ロワール県: 90%が2回のキス
  • ニエーヴル県: 54%が2回のキスで、31%が4回のキス
  • ヨーヌ県: 34%が2回のキスで、56%が4回のキス

思い出したことがあります。だいぶ前に仕事で親しくなった男性と挨拶したとき、キスを2回で止めたら、向こうは4回が習慣だからと続けたのでした。「ブルゴーニュでは2回だから」と言ったら、「ブルゴーニュの人はケチだからね」なんて言っていたのでした。その人の出身地を思い出してチェックしたら、本当に4回が多くなっている県なのでした。

でも、4回するという結果になっている県でも、4回と答えた人が最も多かったというだけで、それに続いて2回と答えた人がかなり多くいました。1回という結果が出ている北のはずれのフィニステール県でも、38%の人は2回と答えています。

でも、南仏の方で3回となっている県では(オレンジ色)、圧倒的に3回と答えた人が多いのでした。確かに、南仏を旅行したときには3回だなと観察していました。奇数にすると、なんとなく収まりが悪いと思うのですけど。


どちらから始めるか、何回するかで戸惑っている場面が出てくるコマーシャルがありました。




ベーズマンの挨拶

キスをする場所ですが、普通の挨拶では頬にします。

もちろん、恋人同士の場合は口にする接吻です。アフリカのどこかの国だったと思いますが、普通の挨拶で口にやってしまうところがありましたよね。男性同士でさえも。フランスの政治家はその習慣に合わせるのだとか聞きました。

子どもに対する愛情表現では、額にキスをします。

その他に、手の甲にする「baisemain(ベーズマン)」というのがあります。

男性が貴婦人に対する敬意を払った挨拶の仕方で、今では友人たちがふざけてやっているのを見る程度。なので、初めてベーズマンという言葉を聞いたときには、ベーズがキスで、マンは英語のmanだと私は思ってしまいました。つまり、キス男。でも、マンは手のmainなのでした。

ふざけてやるときは、こんな感じ ↓


à nouveau le baise main

男性にベーズマンをやられると、フランス人女性たちはくすぐられたみたいに喜びますね...。

ベーズマンの挨拶では、男性が腰を低くして、うやうやしく女性の手をとり、あたかもキスをするかのように口を近づける。でも、ポイントは、このときに女性の手にキスをしてはいけないというところ。つまり、口を近づけてストップする。

イギリスのチャールズ王子が、フランスの政治家セゴレーヌ・ロワイヤル女史に対してベーズマンをやった場面を入れます。握手をするつもりで手を差し出したらベーズマンをやられた、という感じに見えます。


Le baise main du prince Charles à Ségolène Royal

なんだか白々しくて、これで女性に敬意を払った挨拶になるのかな... と思ってしまいましたけど...。


フランス人が日本に来たときには、キスの挨拶をどうするか?

フランスの友人が日本で講演するために来日したときにお世話したことがあるのですが、挨拶で困った。1週間の滞在で関連している日本の会社に来るのですが、朝にオフィスで私に会うとフランス式に抱擁の挨拶をするわけです。

「日本でやってはいけない」と言ったら可哀想。でも、はたから見たら、私たちは変な関係だと見られてしまうではないですか?

それで、オフィスの女性たちにも同じ挨拶をしてくれるように言いました。私の方から、これがフランス式の普通の挨拶だからと説明するから、と付け加えて。

すると、彼は「えぇ、いいの~?!♪」と嬉しそうな顔をするではありませんか。

ジョークが絶えない陽気な人だったので、オフィスの若い女性たちにも人気者でした。フランスでは1日に何回も女性と抱き合って挨拶しているのに、日本で1回もできないとフラストレーションになるかもしれないので、彼がリラックスした日本滞在ができるように協力して欲しい、と彼女たちに頼みました。

彼の挨拶に戸惑うものの、女性スタッフたちは面白がっているように私には見えたので安心。後で聞いたら、「吸血鬼」とあだ名がついていたのだそうですけど!

もう一つ思い出すエピソード。

私が勤めていた会社のフランス人上司。時々彼の母親がフランスからやって来て滞在していたのですが、ある日、私に愚痴りました。

息子さんが、日本ではキスの挨拶をしないものなのだからと言って、フランスに帰るために空港に見送りに来てくれたときでも、抱き合っての挨拶を頑固としてさせてくれないのだそう。

それは可哀想だと思ったけれど、上司に向かって「お母さんの気持ちも考えてあげなさいな」とお説教するわけにはいかないではないですか? 彼はパリで日本語を学び、日本の商習慣などについてもしっかり勉強してきた人なので、私などより日本のことは分かっているみたいな顔をしていましたし。

私がフランス式の挨拶に慣れ始めた頃も、この次はいつ会えるかなどという別れのときに、日本人とは「じゃあね~」などと言うだけなのは物足りないと思ったものでした。小さい子たちの挨拶も、そっけなさすぎると感じました。最近は慣れて、どちらでも良いと思うようになりましたけれど。


ブログ内リンク:
★ 目次: フランス式挨拶、親しさの表現
★ 目次: 右と左の違いが気になる

外部リンク:
☆ Wikipedia: Baiser
フランス人は、相手をVousと呼ぶか、Tuと呼ぶかをどう決めるのか?


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2016/05/06
郷土史研究会のようなサークルがオーガナイズした見学会に参加することにしたので、少し遠出をしました。同じブルゴーニュ地方なので、朝早く出発すれば日帰りできなくもないのですが、せっかくなので週末の2泊3日の旅行を計画しました。

村はずれにある集落。しかも行き止まりのようなところに、2泊することにした農家がありました。

小高い山の上にあって、見晴らしが素晴らしい。到着した瞬間に満足してしまいました。



夕方に到着して、その日は農家で夕食を出してもらうことにしていたので、荷物を部屋に置いてから家の周りを散歩してみました。お天気も素晴らしく良かったし。

こういう風景が大好き。牧場があって、遠くに山が見えるという景色です。田舎に憧れる人にとっては理想郷ではないかと思う立地。

少し前には山岳地帯にあるホテルに泊まったのですが、近くに天文台もあるくらいなので素晴らしいところかと期待していたのに全くつまらないところだったのです。自然の中だからって美しいわけでもないのですよね。



ご主人が牧場の杭を直していたので、牛の品種をきいたらJersiaiseだとの返事。イギリスの品種で、フランスでは珍しいのだと言われて、日本ではジャージーと呼ばれる牛だと気がつきました。

九州で何回も通った地域でジャージー牛のミルクを盛んに売っていて、地元の人たちはジャージー牛のミルクがとても美味しいのだと自慢していたのですが、実際のジャージー牛は1回も見たことがありませんでした。日本では牛は余り放牧しないせいかもしれない。

見たいと思っていた牛をフランスで見ることができたので嬉しく思いました。おとなしい牛らしいのですが、あまり人懐こくはないのかな。フランスの牧場にいる牛を眺めようとすると、みんな寄ってくるのに、この子たちには全く無視されてしまいました。賢くて、餌をくれるはずがない人は見分けられるのかな?...

その翌日の朝には、牛たちは別の牧草地に移動されていました。草が多い場所に移したのでしょうが、このくらいたくさん家畜がいると、世話する手間は大変でしょうね...。

まだ牛たちはミルクを出していなかったので、この牛たちのミルクやチーズなどは味わえなかったのが残念。


とても良く道が整備されているので、家の周りの農地を見てあるくのは簡単。ぐるりと見てあるきました。



昔の農家には必ず池があったのだと聞いていましたが、ここにもありました。

農家は16ヘクタールの土地を持っているのだそう。フランスの農家では、100ヘクタール、400ヘクタールという土地を持っていたりするのですが、穀物畑にするのではなかったら、このくらいがちょうど良いくらいの広さではないかな...。



ありとあらゆる家畜がいる感じがしました。たいていは食べ物を生産する動物たちでしたが、ロバも何頭かいました。



自然には逆らわない農業をしているように見えました。ロバも蹄鉄は付けないので、3カ月に1回くらい、爪を切ってあげる必要があるのだそう。

ロバの方も気持ちが良いのか、装蹄師の方に頭をのせて甘えたりしていました。

家畜は全ての種類がいるように見えていたのですが、馬だけは飼っていないのだそう。馬は非常に手がかかるからとのことでした。そう言われて、馬が大好きで何頭も飼っているフランスの友人が、ヴァカンス旅行は全くしないと言っていたのを思い出しました。

山羊の方はミルクを出しているようで、チーズも軒先に干してありました。



家庭用のチーズを干す道具というサイズ。家畜は色々いるし、もちろん手入れの行き届いた野菜畑もある。こういう生活をしていたら、「買うのは塩だけ」という生活が可能ではないかな...。

農家のご夫妻は町に住んでいた人たちでした。20年くらい前、奥さんの方が農業者の資格をとって農業を始めたのだそう。ご主人も農業をしていますが、本職としての仕事も持っていました。そうしないと、家計費が足りないからではないかな。

フランスの場合、ご主人が農業をしていて、奥さんが町に働きに出るというパターンが多いのに、ここは逆。でも、フランスのサラリーマンの労働時間は短いし、休暇も長いので、無理なくやれるだろうと思いました。

何がきっかけで農業を始めたのか聞きそこなったのですが、こういうところで、こういう農業ができたら理想的な生活だろうな、と思いました。

友達の中に、教職を止めて実家に戻り、農業者の資格をとって跡取りになった人がいるのですが、彼の場合だと、農業は仕事でしかないはず。400ヘクタールの小麦畑で大きなトラクターを乗り回し、畑に撒く化学肥料や農薬の買い付けを計算したりするのは、ただの事業家ではないですか? しかも、彼の農場は、ただ平らで広い場所に麦畑が広がっているだけなので、風景は限りなく単調なのです。私には魅了的な転職には思えませんでしたが、親の仕事を途絶えさせたくないということだったのでしょうね。


2泊させていただきながら、この農家のような生活こそが人間らしい生き方だと思って憧れました。



朝食の食卓です。この他にも、近所の脳あが作っているリンゴジュースなどもあって、とても豪華。

近くにパン屋がないし、朝は乳しぼりの仕事などがあってパン屋まで車を走らせることはできないのでしょう。焼き立てのクロワッサンなどはなかったのですが、代わりに奥さんが焼いたケーキが3種類並んでいます。


食卓の横には古めかしい柱時計。毎週日曜日の朝、ご主人がネジを巻いていました。蓋を開けてネジを巻く棒を取り出し、2カ所のネジを巻く。



壁にかかっている猫の絵が気に入りました。食べ物がのっているテーブルを前にして腕組みをして座っていて、「お前、美味しい料理がつくれるのかよ」と言っているように見える。

本物の猫ちゃんも親子で住んでいました。


私の寝室からの眺めです。



赤い矢印を入れたのは、ヒツジたちと一緒の牧場にいるオスの山羊。

まだ若いそうで、いたずらしたくて仕方ないのかもしれない。時々ヒツジたちの方に行って頭突きをしたりしてしまうのでした。

ご主人が名前を呼んでさとすと、悪戯するのは止めて、動かずにこちらを見るのですが、少しすると、またやりだしてしまう。朝に目を覚ますと、まず窓の外を眺めて、この山羊が何をしているかを眺めていました。

猫たちの名前は忘れてしまったけれど、山羊の名前は1回聞いただけで覚えました。

Petit filou(プチ・フィルー)。フィルーというのは、ちょっとずる賢い人などに対して使ったりする愉快な名詞なのです。



宿を発つときは、もちろんプチ・フィルーちゃんにお別れの挨拶をしました。

悪戯をされて困ると話すご主人に、女の子を紹介してあげたらと言ったら、秋にならないとダメなのだと返事されました。そういうものなのですかね...。


追記:
ダイニングルームの壁にあった猫の絵が何であるかコメントで教えていただいたので、続きを書きました:
トミー・ウンゲラーが描いた仏頂面の猫

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2015/07/23
農業大国のフランスですが、農業者の所得格差はとても大きいと言われています。

羨ましいほど裕福な農業者たちもいるし、細々と貧しい農業をしちる人たちもいる。戦後に推し進められた農業の大規模経営化と近代化によって、設備投資をしすぎて借金の返済に追われる農業者たちも多い。

追い詰められて自殺する農業者の数の多さも語られます。酪農関係組織が発表した数値だと、2009年に自殺した農業者は800人を下らなかったとか。

スーパーが生産者から破格値で買い付けて、巨大な利益をあげている。かなり前からフランスでは問題にされています。「農業者のデモがすさまじい」を書きながら思い出した人がいました。


テレビに出演すると泣き顔で窮状を訴えていた農業者

南フランスで果実を栽培していたPierre Priolet(ピエール・プリオレ)という男性です。

スーパーがリンゴを仕入れに来ると、必要なだけ持っていって、後でスーパー側が運送費用や利益を差し引いた金額を払ってくれる。つまり、幾らで買ってくれるのか分からないで売っている、支払額は生産原価を切っている、と訴えていたのです。

テレビに出てインタビューされると、すぐに感極まって泣き顔になってしまう。彼が惨状を訴える姿は感動的で、茶の間の人気になっていました。

私のブログでも、ちらりと彼のことを書いていたので、いつのことだったか分かりました:
グルメ・レストランで推薦された山羊のチーズは安かった♪ 2011/05/26

2011年2月に、彼は『Les fruits de ma colère : Plaidoyer pour un monde paysan qu'on assassine(私の怒りの果実 - 暗殺される農民世界の擁護)』と題した本を発行。

その翌年にはペーパーバック版も出ていました。



Pierre Priolet - Les fruits de ma colère


あのプリオレさんは、どうなった?

プリオレさんは、2010年には、1年間で10.3万ユーロの赤字を出していたのだそう。生産にかかる費用を割る値段で売る農業を続けていたら、借金を膨らませるだけ。

借金をこれ以上は増やしてはいられないと、涙ながらに15ヘクタールのリンゴ畑を更地にしてサラダを作ることにしたというニュースがありました。

直売しようとしたのだけれど、うまくいかない模様まではニュースで見ていました。

あれからどうなったのかと探してみたら、ニュースが報道していました。

今年6月。年金生活者となった彼は63歳。農業も続けながら幸せに暮らしているのだそう。


Pierre Priolet - Heureux dans son verger

彼の果樹園は15ヘクタールでした。大規模経営にしようとしたのが間違っていた、と言っています。

加工食品を見るとビオ(オーガニック)の認証マークが付いていますね。これからの農業者は、健康に害がなくて、質の高いものを作り、正当な価格で売るのが求められている、と話しています。その通りだと思う。

ここのところテレビを賑わせている農業者たちのデモを報道するニュースでは、乳牛の集中飼育をする施設を作った農家が憤っているのが出ていました。

ドイツでは、放牧にしないで乳牛を小屋の中で飼育するのが主流なのだそう。そういう施設を100万ユーロを超える投資をして作ったのに、その借金を払うために政府は何とかしてくれというのが主張でした。銀行は、担保としての土地がある農家にはお金を貸し出すのですけれど、まずいけれど安く売れる大量生産のミルクを作ることにしたのは、その農家の責任ではないですか?...

プリオレさんはリンゴ園を少し残したのですが、以前のように農薬をたくさん使わずに質の良いリンゴにしている様子。お客さんが来て、これがあなたの美味しいリンゴの木なのね、と喜んでいるのを見るのは嬉しいと笑顔を見せています。

気持ちを同じくする農業者たちとNPOを創設して、質の良い農産物や農産加工品を作って、正当な価格で販売。週に2回、朝早くから起きて、朝市で野菜と果実を売っています。

近々、パリ首都圏に3カ所の販売所もオープンさせるそう。ご成功ですね♪

借金もなくなったのだそう。彼の小さな農園がもたらす収入は年に6,000ユーロ(約80万円)だけど、それで生きていくには充分、と言っています。ニュースでは退職者と呼んでいるので、農業者の場合は少ないとはいうものの、その他に老齢年金も入ってくるのでしょうね。

テレビに出てきたときは絶望感と泣き顔ばかりだった彼が、笑顔で登場してくれたのを見て嬉しかったです。世の中は弱者が虐げられているばかりじゃないのだ、と思って勇気づけられます。

ブログ内リンク:
北フランスで昔ながらの農業を続けていたポールさんの生き方 2014/09/30
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方

外部リンク:
P. Priolet, agriculteur Si on ne vendait pas à perte, on pourrait être heureux de faire ce métier 28/05/2015
Les fruits de ma colère : un plaidoyer de Pierre Priolet pour le monde paysan 01/08/2015
☆ Le Monde: Le goût retrouvé du petit commerce 21.04.2015


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2015/06/22
庭の外れで、道路に面した塀に、こんなプレートを付けた友達がいました。



書いてあることは、こんな感じ:
- ここは、お向かいさんよりずっと良い。

道路の向こうにあるお家の人と喧嘩したから、と思われますか? そうではないのです。


隣の芝生は青く見える

日本にも、似たような表現がありましたね。
- 隣の芝生はうちのより青い

でも、これでは上に入れたプレートが言っていることの正反対になってしまう。

「隣の芝生...」というのは、英語から来ていて、こういう文章らしい:
 - The grass is always greener on the other side (of the fence).

この英語の文章がWiktionnaireに入っていて、フランス語訳はこうなっていました:
 - L'herbe est toujours plus verte dans le pré du voisin.
 - L'herbe est toujours plus verte dans le champ du voisin.

英語と仏語の文章はだいたい同じなのですが、太字にしたところが大きく異なっています。

フランス語の方で比べているのは、「voisin(隣人)」の「pré(牧場)」 ないし「champ(野原)」なのです。

英語では「もう一方の側」と言っているだけなのに、なぜフランスでは隣の牧場ないし草原としているの? お隣の家に牧場とか野原があったら不自然ではないですか?!...

私は、日本語で「隣の芝生は自宅のより青く見えるものだ」というのは、お隣の家、つまり他人をねたむ感情のことだと信じ込んでいたのですが、私の間違いだったのかな?...

それで、先ほどのWiktionnaireの仏語ページから英語へのリンクをクリックしてみたら...
この写真が入っていたのでした!

Cattle eating grass through barbed wire fence.jpg

「隣の芝生」って、こういう例えだったの?!


フランスには牧場がたくさんあるので、こういう場面はよく出会います。何を苦労して首を伸ばしているの、馬鹿ね... とユーモラスに思う瞬間。でも、それを見て、「隣の芝生は...」という表現と結びつけたことは一度もありませんでした。だって、日本語では「芝生」なのだから、牧場の家畜は連想しないではないですか?

英語版Googleで「the grass is always greener on the other side」を検索してみると(検索結果)、やはり、家畜が柵の向こう側に首を突っ込んで草を食べている写真が多くて目立ちました。

英語の「grass」は、芝生でも牧場の草でも良いでしょうし、「fence」も家のフェンスでも牧場の柵でも良いと思えます。英語圏の人たちも、人間の浅はかさは棚にあげておいて、動物がやっている馬鹿な振る舞いということで持ち出しているのでしょうか?


「隣の芝生は青く見える」と同じ意味の例えとして、日本には「 隣の花は赤い 」、「隣の糂粏味噌(じんだみそ)」があるそうです。でも、私は使ったことがありません。

そもそも「糂粏味噌」とは何なのか分からないので調べたら、「ぬかみそ」のことなのでした。これってピンと来ないな。自分のものを食べ慣れているのですから、よその家より美味しいと思う方が普通ではないですか?...

私だけボキャブラリーが乏しいわけでもないらしくて、日本では「隣の芝生は青い」という表現が一般化しているようでした。

興味深い説明がありました:
☆ 日本語を味わう辞典: 隣の芝生は青いとは何か

そもそも、隣の家に芝生があるだけで、日本人は羨ましく思うからなのだそう。洋風の家に住みたがるということ? 私はお金持ちだったら、本格的な日本家屋に住みたいですけど...。

「高度経済成長の日本国民の気分を表現する言葉」と表現されていました。なるほど、と思いました。

ともかく、「隣の芝生」という訳はお見事だったと思いました。日本人に牧場にいる家畜の習性などというのはイメージが湧かないでしょうから。


なぜ隣より自分のところの方が良い、とプレートに書いてあったのか?

隣の芝生とは全く関係がなく、納得させられる理由があるフレーズなのです。

クイズにしようかと思ったのですが、やめました。

プレートを張った家の写真では遠景をぼかしてしまっているので、理由は見えないかもしれない。それに、フランス語を入れているので、調べればわかってしまうので、不公平な出題になってしまう。

というわけで、答えを書きます。

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2015/06/05
フランスのレストランが自分の厨房で料理しないで出すところが多くなったので、政府が「ホームメイド(Fait maison)」などという認証マークを作ったことを書いています。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ


前回の日記「フランスのレストランにできたホームメイド認証ラベル」を書きながら、フランス政府は優秀なレストランに与える「Maître Restaurateur」という認定も作っていたことを知りました。

レストランに行ったら、そのマークがあるかどうか見ようと思っていたら、出会ったのでした。

寒い寒いと嘆いていたら、突然、灼熱の暑さになった日。こういうときは広い庭があるレストランに行って、涼しそうなテラスで食事をするのが一番だと思って選んだレストラン。

できたばかりの時に行って、悪くない料理を出すという印象を持っていました。

お屋敷を買い取ってホテル・レストランにしたという感じのお店。広い庭は青々としていて、非常に感じの良い雰囲気です。暑さから解放されてほっとしました。

そんなことを思いながら立派な表紙のついたメニューを開く。まず、私が見たいと思っていたマークがあるのが目に飛び込んできました。



(1)が、優秀なレストラン経営者の称号の「Maître Restaurateur」のマーク。

ほう、こういうところがもらっていましたか。

さらに、ホームメイドのマークもある(左下の2番)。

ちょっとしつこくないですか? (1)の金色マークの下にも、新鮮な素材から調理をしており、レトロ食品を温めて出しているのではないと書いています。

鍋の上に煙突がある屋根が乗ったホームメイドのロゴの下には、「完全に」ホームメイドの料理なのだと書いてある。

インターネットで調べた情報では、パリのレストランがこのマークを料理ごとに入れているのを見ていました。つまり、ホームメイドのもあるし、そうでない料理もあるので、そうなる。ここは全部ホームメイドなので、料理ごとにはマークを入れていませんでした。

まあ、そう書いてくれていると安心はしますね。


ホームメイドだから素晴らしい料理ができる、というわけでもない...

暑さに疲れていたので、それほど食欲はない。それで、一番安い平日限定ランチ(20ユーロ)を選びました。前菜、メイン料理、デザートのコース。

さっそく、おつまみが運ばれてきました。こういうのが出てくると、高級レストランで食事しているみたいなリッチ気分になれて嬉しいのです。

回りを見ると、地元の人たちや、この町で働いている人が多いという雰囲気。このレストランは、お金持ちが多く住んでいる小さな町の中にあるのです。こういうところなら、普通レベル以上の料理を出せばお客には困らないだろうな...。

そんなことを思っていると、前菜が運ばれてきました。



サーモンのタルタルステーキに、アボガド、トマトなど。

ちょっとつまらない料理ですが、安いランチなのだから文句は言えない。それに、ホームメイドなんだと言っていたので評価してあげなければいけない。一般家庭でも難なく作れる料理ですけどね...。

次の料理は、普通は煮込みにする牛肉の部位、つまり安い肋骨部分(バス・コート)のビーフステーキ。強火で焼いているので、肉は少し硬いものの、まあ美味しかった。

食べ残しの肉を猫のために持ち帰ってあげたのですが、誰も喜んではくれなくて、ちょっと味見して立ち去られてしまったのは象徴的だったかもしれない。フランスのレストランで食べ残しを持ち帰るというのはハシタナイ行為なので(パリのレストランでは、犬のために持ち帰るドッグバックが始まっているそうですけど)、誰も見ていない瞬間を狙ってパックしたという私の努力も、私のグルメ猫たちは感謝してくれなかった...。

別に感激するほどのおいしさではないレストランだと評価したので、前菜から先は食べた料理の撮影を止めました。


フランスはマジックの国!

緑いっぱいの庭での食事は気持ちが良かったし、料理も悪くはない。ところが、このレストランではびっくりすることがありました。お給仕をしているマダムの不愛想なことと言ったら、かなりのレベルだったのです。

口のきき方がすごい! 私たちのテーブルに来たときもそうだったし、他のテーブルに行ってかけている言葉もすごい。文章そのものは不愛想なフレーズでは全くないのですが、その言い方はお客さんに対するものではないのでした。

恐いお母さんが、イライラしながら子どもに発するような物の言い方にそっくりなのでした。「ワインは何にしますか?」というときには、「あんたたち、ぐずぐずしていないで、さっさと欲しいものは何なのか言いなさいよ」みたいに聞こえるのです。面白いので、他のテーブルで何を言っているか聞くために耳をそばだててしまいました。


有名なフランスの笑い話を思い出しました。
バリエーションは色々あるようですが、私が教えられたのは純朴な気質があるフランス語圏ベルギー人を茶化したストーリーです。

飛行機に乗ったベルギー人は、スチュワーデスから飲み物はいかがですかと聞かれる。
- Puis-je vous servir quelque chose à boire ?
それで、ウイスキーを注文する。
- Oui: un whisky.
すると、スチュワーデスはこう聞き返してくる。
- Un whisky comment ?
慌てて彼はこう答える。
- Un whisky, s'il vous plaît, madame.

チュワーデスが「comment ?」と言ったのは、ウイスキーをオンザロックにするか何かで割るかなどの注文を聞くためだったはずなのですが、この言葉は、子どもが礼儀正しく話すように言い直させるために親が発する言葉でもあるのです。それで、「ウイスキー」とだけ言って注文したことで叱られたのかと思ったベルギー人が、「ウイスキーをお願いします、マダム」と言い直したというわけ。

この日のレストランのマダムから「なに~?」ときつい口調で聞き返してこられたら、私も「お願いします、マダム」を付け加えて言い直してしまったかもしれない!


料理を下げるときには、「お気に召していただけましたか?」などと声をかけながらするようにと専門学校では教えているのだろうと思うのですが、マダムはひと言も声をかけないで皿を下げて行く。

そういうのって、すごくマイナスだと思うのですよね。同じ料理を食べても、楽しくなるようなお給仕をしてくれたら、実際よりも美味しく感じるものですから。

それでも、お客さんたちには常連さんが多いようなので不思議。この日はウエートレスが休みをとってしまって、いつもは帳場に座っていれば良かったシェフの奥様がお皿などを運ぶのでご機嫌が悪かったのかな?... そこまで私が心配してあげる必要はないのですけど。

ただし、優秀なレストラン経営者に与える国家認定の「Maître Restaurateur」は、サービスの良しあしは審査の対象にはされていないのだろうかと気になりました。


先日会ったお医者さんが言っていた言葉を思い出します。

彼の診療所にあるクレジットカードの機械がこわれたので、修理を依頼しているのに、1カ月たった今も直してもらえていないのだそう。故障したときのためのメンテナンス料も支払っているのに直してくれない、と憤慨していたのでした。

フランスでは、お金を払うのは客なのに、なんだか逆のような気持ちにさせられる、と言います。それで、リヨンに住んでいた日本人女性が言っていた言葉を教えてあげました。

「フランスでは、お客様は奴隷です」
その通り、全くその通り! と言って、彼はこのフレーズが気に入っていました。

そんな働き方をしていながら、フランスの経済は何とか持ちこたえているのは不思議だ、という話しになりました。
するとお医者さんは、これを3回繰り返して言いました。
C'est magique ! 

消えると思ったら消えなかった、という手品のイメージ?

このフレーズがすっかり気に入ってしまいました。今後、感じが悪いお店の人に出会ったら、「セ・マジック」現象だと思って笑って切り抜けることにします。口に出したって、相手には意味が通じないから叱られないだろうし。


ところで、このレストランでの食事では、選んだワインがとても気に入ったので、次回にそれをメモしておこうと思います。いつか行ってみたいドメーヌなので。

続き:
やたらに美味しいブーズロンに出会う

ブログ内リンク:
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
フランスは「お客様は神様」の国ではない  2005/02/18
みんながヴァカンスを楽しんでいるときに働くのは辛い! 2005/07/26
レストランの可愛そうなウエートレスさん  2013/07/02


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2015/05/23
オモチャをもらったみたいに喜んでいる友達がいます。

彼の友達が野菜を作っていた小さな畑があるのですが、高齢になって放置しているからと使わせてもらえることになったのだそう。それで、motoculteurと呼ぶものを買ったのでした。

畑に水源もあるくらいなので、ここのところの大雨で水浸しになっていました。ようやく水が引いたので、初めてそのオモチャを使う日、彼の友達がワインを持ってお祝いに行くというので、私もその応援に参加。

前回の日記(本格的な春になることを告げる「氷の聖人たち」)に書いた「寒のもどり」とされる日が過ぎたら野菜を植えられるようにと畑を耕し始めたのですって。

いました、いました。ほんと、嬉しそうに働いている!

これが、ご自慢のmotoculteurです。



フランスの田舎で家庭菜園をしている人の場合は、畑が広いので、こういう道具や、農家から買った中古のトラクターを持っている人が珍しくありません。

それで、motoculteurというフランス語は知っているのですが、日本語では何と呼べば良いの?

仏和辞典を引いたら、耕耘(こうてん)、ハンドトラクター、と出てきました。

耕転機なんて、聞いたことがないな...。
発音したら、好天気に聞こえてしまうではないですか?

Wikipediaで検索したら、出てきました。
耕耘機

耕運機管理機、和製英語でテーラーとも呼ばれるのですって。

そんなに呼び名がいっぱいあったら、買いたいときに何と言えば良いか迷ってしまうではないですか?

売られているものを探してみたら、「耕うん機」と呼ぶのが一般的なような感じがしました。


さて、彼が買った耕うん機をアップにしてみます。



ところで、motoculteurは日本語で何というのかを調べていたら、Motobineuseという単語もあるのを発見しました。

Wikipediaに入っている写真で比較してみます。
Rotary tiller compact
仏語:  Motoculteur
日本語: 小型ディーゼル耕耘機
英語: Japanese two-wheel tractor
HondaTiller
仏語: Motobineuse
英語: F210 Honda tiller

友達が手に入れたのは右に似ているように見える...。2つの単語の違いを聞いてみたら、友達が買ったのは、しっかり土を耕すのでmotoculteur(左のもの)だと教えられました。

友達のオモチャは、スーパーの店の前で、350ユーロ(約5万円)で売っていた中古品とのこと。新品同様で、しかも持ち主が土除けの比翼のようなものを付けて左右に広げていたから、新品より価値があるのだそう。

新品だと、1,000ユーロくらいするのだと言っていました。それで友達は嬉しくて嬉しくて仕方ない、と舞い上がっていたわけなのでした。

メーカーはヴァイキングという、聞いたことがない会社でした。どこの国かと聞いたら、北欧ではないかとの返事。勝手に想像しただけだと思うけれど...。

... といい加減なことを書いておくのも気が引けるので、調べてみました。ドイツ系のグループに入っている会社ですね。

ついでに、友達が買った機種の情報も出てきました。シリーズの中で一番高い、これではないかと思います。

http://www.viking-jardin.fr/Catalogue/Motobineuses/Motobineuses/249159-910/HB-585.aspx


商品名はMotobineuseになっていました。結局、こういうのをフランス人はmotoculteurで代表させてしまうのでしょうね。

それに、なあんだ、659ユーロで売っていますよ~! 

書きながら調べたところ、日本ではそんなに高くはないように見えたので、フランスではそんなに高いのかなと不思議に思っていたのです。でも、せっかく喜んでいるのに水を差しては悪いので、ご本人には教えないことにします。


ところで、フランスでこういうのを持っている人たちは、ホンダ製が多いです。それが一番優れたメーカーとして定着しているようです。自動車にしても、ホンダはフランスで人気があるように感じるな...。

この日、耕うん機の使い心地を私も試してみたいと言ったのですが、まだ土がぬかっているので、別の日に長靴を履いてくるように言われました。

ブンブンと動かしていたのですが、やはり力がいるのではないかな?...

あれから、彼は何回も畑に行って耕したとのこと。しばらく使っていなかった畑なので、草ボウボウだったのが、見事に耕せたのだそう。すごい耕うん機なんだ! と自慢していました。

そんなに耕うん機を動かすのが楽しかったら、畑はずっと更地にしておいたら? などと言ってしまった私。

書きながら気がついたら、耕うん機を動かす体験のために行くのを忘れていた。だって、ここのところ、とても寒かったのだもの...。もう植えつけも終わったそうなので、体験はできなかった。


今日は、別の友達が家庭菜園で育ったサラダやラディッシュを持ってきてくれました。温室を持っている人なので、収穫が早い。

お昼時だったので、友人夫妻を昼食に誘って、作りかけていたお刺身がメインの献立の量を増やしてみんなで食べました。食後酒まで進んで、昼食が終わったのは午後8時。

耕うん機を見に行った日も、仲間の人の家で10人くらいで昼食をして、お開きになったのは真っ暗になってから。

ブルゴーニュにいると、なんだか食べてばっかりいるみたいな毎日...。



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安いと喜んで買ったトラクターが壊れて落ち込んだ友人  2011/08/11


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2015/05/04
フランスの家族のあり方をみると、1970年代から、どうしてこんなに変化できたのか不思議に思います。カトリックの国ですから、日本に近い感覚があったのですが、今ではかなりしがらみから解放されているのです。

結婚をしないで男女が一緒に住むなどとんでもなかったのだし、法的な結婚をあえてしないカップルが多いです。親との同居も普通だったのに、今では親の方も子どもと一緒に暮らすなどというのは煩わしいと思っている。

信仰心が失われたというのもあるのかも知れません。今でも経験なカトリック信者の家庭だと、子どもは5人いるのが典型的なタイプで、「良妻賢母」を絵に描いたように見える母親の姿もあります。


フランス語で「専業主婦」に相当する「femme au foyer」の定義

夫婦共働きが普通のフランス社会では、日本でいう「専業主婦」という言葉を耳にすることがありません。「彼女は専業主婦だ」とか、「私は専業主婦です」というような分類の仕方は普通はしないからです。

でも、職業を持っていない妻は存在するわけなので、無職の妻であるなどとは言わずに表現する言葉が存在しないはずはない。それで調べて書いたのが、こちらです:
「専業主婦」に相当するフランス語を探してみた

和英・英和辞典に比べると遥かに充実していない和仏・仏和辞書。どれが適訳なのか曖昧だった「「専業主婦」という日本語は、フランス語では「femme au foyer」とすれば良いと結論しました。フランスのINSEE(国立統計経済研究所)が、まさに職業を持たない妻についての報告書を出していて(2013年)、そこでこの文字を使っていたからです。

その調査で対象とした「Femmes au foyer」の定義は、フランスでの「専業主婦」の定義として受け取れるはず。

以下のような女性であると既定されていました :
  20歳~59歳の女性
  学生ではない
  カップルで生活している
  仕事をしていないが、失業中ではない

まず、フランスでの調査であることがに現れていることを指摘しておかなければなりません。法的に結婚しているか否かは問題にせずに、一緒に生活している男女をカップルとして扱っています。フランスでは夫婦関係と同様のカップルとして公的に認められる形態は4種類あります。

調査の対象としているのは、カップルで生活している女性であり、しかも働いておらず、仕事を探しているわけでもない女性と言えると思います。

で年齢を60歳未満にしているのは、それ以降になれば老齢年金生活に入れるので、あえて仕事を持たないことを選択しているわけではないからでしょう。

で学生、で失業中の女性を除外しているのも、仕事を探しているわけではない、という同様の理由からと推測できます。

「失業(chômage)中」というのは曖昧だと思ったので、INSEEの定義を見ました。15歳以上で、仕事がなく、求職中である、となっていました。しかし、emploi、chômage、inactivitéの境界線を引くのには難しい、とあります。

ともかく、フランスでいう専業主婦とは、仕事を持たないことを自ら選択している(あるいは、仕事を探すことは諦めている)主婦、ということなのだろうと思いました。

日本との違いは見えます。日本の場合は、60歳過ぎていても専業主婦と呼ぶし、仕事を探している場合でも「今は専業主婦をしている」と言うと思うのです。結婚している女子大生は、さすがに専業主婦とは呼ばないでしょうけれど。

従って、「Femmes au foyer 専業主婦」とはできないのですけれど、非常に近いとは言えると思います。


フランスの男女カップルでは、2割が専業主婦

ちなみに、この2011年の実態調査では、フランスには仕事を持たない主婦は210万人いる、となっていました。これは、フランスのカップルの5組に1組に相当。

フランスの既婚女性の殆どは働いているという印象を受けます。でも、5人の既婚女性が集まったときに、そのうち1人は働いていないとしたら、けっこう多いではないか、と思いました。

ただし、無職の妻は1991年の調査では350万人いたそうなので(カップルの3組に1組)、大きく減少したとは言えるのでした。

最近のフランスは不況で、工場閉鎖などのニュースをよく聞きます。仕事を持てない主婦は増えたのではないかと思うが、調査では失業保険をもらっているような女性は対象から外しているせいか、数値には余り響いていないように見えました。

それでも、1991年と2011年の調査結果の比較では、不況の影響が垣間見られました。

今は無職の妻が、過去に働いた経験があるかどうかの比較。

2011年の調査での専業主婦は、その79%が過去に働いていた経験があり、その割合は1991年には76%。数値は大して変わっていないのですが、彼女たちが仕事を辞めた理由は大きく変わっているのでした。

個人的理由で仕事を辞めた人の割合は1991年には59%だったのだが、その20年後には21%しかいない。CDD(期限雇用契約)が切れたことが理由なのは、1991年の10%から2011年には35%と増加しています。雇用解雇されたことが理由とする人も、4%から11%に増加していました。

子育てが働かない理由かというと、そうでもないらしい。専業主婦の43%は、未成年の子どもがいないか、同居しなくなったケースでした。働く妻の場合でも、未成年の子どもがいる割合は45%。

ただし、3人以上の子どもがいる家庭を見ると、専業主婦の中では18%を占めていますが、共働きカップルでは8%に過ぎません。子どもが多いと職業との両立が難しいというのもあるでしょうが、フランスでは多子家族に対する経済的支援があるので、妻が働かなくてもやっていけるというケースもあると思います。

過去にも働いた経験がない専業主婦が2割いるわけですが、特殊な姿が浮かび上がていました。彼女たちは、仕事を持っている人たちより学歴が低い。専業主婦に占める高学歴者の割合は、1991年には58%でしたが、2011年には33%となっています。

さらに、専業主婦の2人に1人は移民女性なのだそう。となると、学歴がない、人種や言葉のハンディーがあるので、仕事を持ちたくても見つけられない、という環境もあるのだろうと見えてきます。


INSEEの調査を受けて作られたFrance 2のテレビニュースの動画を入れます。


Le nombre de femmes au foyer a chuté d'un tiers en vingt ans

タイトルは「20年間に専業主婦の数は3分の1に減少」となっています。働く主婦が「増加している」ではなくて、専業主婦が「減少」という言い方をしたのには意味があるのかどうか、私には判断できませんでした。


フランスでも専業主婦のイメージは変わってきた

ところで、INSEEは、1968年と1990年の専業主婦についての報告書も出していました(1995年)。

専業主婦の数は、1968年には550万人で、1990年には330万人。最近の調査では、210万人でしたね(2011年)。

ここですでに専業主婦が減少したことを述べているのですが、「femme au foyer」は相変わらず同じイメージを持っていると書いています。

今から20年前の専業主婦の典型的な姿は、こういうものなのだそう:

法的に結婚している場合が大半で、少なくとも3人の子どもがいるmère de famille(ファミリーの母)。上層階級か、ブルーカラーの家庭の妻。

というのも、女性も学校を卒業すると職業を持つのが普通で、子どもが2人になるまでは家庭と仕事を両立する。専業主婦になる理由が子どもが3人以上になったからというケースは、1968年当時よりは1990年の方が多いのですが、多子家庭は少なくなってきているのが理由。

裕福な世帯だから妻は働かない(接待などの場で主婦としての役割があって充実している)、逆に貧しい家庭の妻が仕事を持っていない、という両極端がフランスの専業主婦像にあるのは、今も変わっていないと感じました。

シリーズ記事: フランスの専業主婦の実態 2015年  目次



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方

外部リンク:
☆ INSEE: Huit femmes au foyer sur dix ont eu un emploi par le passé, Insee Première, n°1463, août 2013
☆ INSEE: Huit femmes au foyer sur dix ont eu un emploi par le passé
☆ Challenges: L'Insee dresse le portrait-robot de la femme au foyer en France (2013年8月)
Chômage (Insee - Définitions et méthodes)
☆ INSEE: Femme au foyer . un modele qui disparait (1995年)
Femme au foyer, le plus beau métier du monde et pourtant… les mères qui travaillent sont moins stressées (1994年)
Femmes au foyer de toute éternité ? (1994年)
☆ 『母親の社会史―中世から現代まで』 筑摩書房


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2014/09/30
先月に書いた日記で、フランスの戦後には農業の近代化が進み、昔ながらの小規模農家が消滅していったというドキュメンタリーについて書きました。

フランスの戦後の農業史を見せるドキュメンタリー番組 2014/08/08

そこに入れた映像で、牛や馬で畑を耕していた時代からトラクターが登場して近代化していく様子を見ることができました。私が知らない時代のフランスの農業者たちの姿...。

そういう農民たちはフランスの農業近代化の中で消えていったという内容だったのですが、そんな農業をつい最近まで続けていたポールさんを紹介するドキュメンタリー番組の映像に出会いました。

過去2回の日記で、日本では「限界集落」という名のレッテルがあることに抵抗を感じると書いた続きとして、元気な高齢者もおり、自分が好きなように生きるのは良いではないかと言いたくなって、このドキュメンタリーをご紹介したくなりました。


ドキュメンタリー映画 『Paul dans sa vie』

2005年に地方テレビ局が制作した番組で、52分の2回の放送されたものでした。その翌年には映画化され、入場者数は10万とか。

動画 (テレビ番組の予告):
bande-annonce : Paul dans sa vie


Paul Bedel(ポール・ブデル) という名の男性が、現代でも存続していたか驚くような昔ながらの農業をしていました。75歳になろうとするとき、ついに引退する決心をし、農業をやめる日までの1年間を取材したドキュメンタリーです。

ポールさんが住むのは、ノルマンディー地方のラ・アーグ岬にあるAudervilleという、人口300人たらずの村。

Le port de Goury Auderville の位置

のどかな田園風景が映し出されるのですが、道路の交通量は異常に多く、畑の向こうに不気味な工場地帯が見える場面もあるのに驚かされます。

実は、ポールさんの農場がある村から10Kmくらいのところには、核燃料を再処理するラ・アーグ再処理工場があるのでした。世界中の軽水炉から出される使用済み核燃料の約半分を受け入れているという大規模な施設。日本からも使用済みの核燃料が送り込まれています。

昔は農業をする人ばかりが住んでいたポールさんの村では、1960年代に再処理工場ができてから人々は再処理工場で働くようになりした。ところがポールさんは、父親から農業を受け継ぎ、昔ながらの農業をずっと続けていたのです。

本当は農業をしたくはなかったのに、父親の意志を継ぐことの使命には抵抗できなかったようす。自然には逆らえないと考える人のようです。飼っている牛にしても、子牛たちは母親の性格を継いで生命を続けていく、とポールさんは観察しています。


ドキュメンタリーの題名は『Paul dans sa vie』。
なんと訳せば良いのでしょう?

英語にするなら、「Paul in his life」と、そのまま置き換えることができます。日本語情報では、仮題として『ポールの人生』となっていました。そうなのですけれど、タイトルの原題には、ポールさんは自ら選んだ人生を生きている、というニュアンスが込められているのが出ていない...。

この題名は、ノルマンディー出身の監督Rémi Maugerが、子どものときから知っていたポールさんにドキュメンタリーを作りたいと言ったときに答えられた言葉からきていると思います。
  • 君は僕のことを皆と同じようにフォークロリックだと思っているのだろうけど、(僕は民族伝承の世界にいるのではなくて)自分の生活の中で生きているんだよ。
この「自分の生活の中で生きている(Je suis dans ma vie)」が、題名の『Paul dans sa vie』になったのだろうと思います。


我が道を歩むポールさんの人生

75歳になろうとしている独身のポールさんは、同じく独身の2人の妹と一緒に、ノルマンディー地方にある親から引き継いだ農家で暮らしています。


季節に合わせて農作業をしながら生活していると、知らないうちに時が流れていった、という生活。何時に何をして、何時には何をするという奴隷のような生活はしていないのだ、とポールさんは言います。

映し出されたポールさんの農業は、50年前のフランスではこんなだったのだろうと思わせます。

少しずつ、色々な農産物を作っているポールさんですが、メインの仕事は、少しばかりの乳牛を放牧して育てて乳搾りをすること。映像に映っている牧場にいる牛を数えたところ、4頭のようでした。

今では減ってしまった、ノルマンディー原産のノルマンド種の牛が可愛くて、美しい! しかも、ポールさんの家族は牛を搾乳機にとりつけることもなく、牧場にいる牛を手で乳搾りをし、今ではアンティークにもなっているミルク缶を荷馬車に積んで家まで運んでいます。




牛を牧場に連れて行くポールさんは、掛け声をかけて導いていて、牛をひっぱたいたりはしていませんでした。牛がポールさんの後をおって歩いていくこともある。

去年に行った牛の競売市場では、やたらに牛を棒でぶっているのがショックだったのですが、あれは、やはり、牛の飼い方を知らないからだったのではないかな?...

 
サン・クリストフ・アン・ブリヨネ村の牛市を見学 2013/10/13


ポールさんたちが絞った牛のミルクは、樽に入れて攪拌し、ヘラで叩いて成形してバターにし、近所の人たちに売っています。こういうバターは美味しいだろうな...。

家には野菜畑もあるし、食べ物になるウサギなども飼っているし、庭では色々な種類のトリたちが放し飼いにされています。貧しいだろうけれど、美味しいものを食べているように見えます。なにしろ、最近のフランスでもてはやされているオーガニック100%ですから!

自給自足に近い生活。昔のフランスの農業者たちは、自給自足をしていて、余分にできたものを売って現金収入を少し得るという生活だったと聞きましたが、ポールさんの生活は、まさしく、それ!

貧しいことを愚痴るわけではない。そういうものだ、という風に生きています。そんな風だから、良いお顔をしていらっしゃいます。


草をカマで刈っているのに驚きました。 現代ではトラクターで刈って、機械で干し草の束を作りますから。

大きな鎌で草を刈る作業については、以前にブログで書いていて、大変な技術がいるというのを知っていました。
19世紀の刃物製造所を見学 2011/10/05



ポールさんが刈った草を小さく束ねているのを見て、友達のお父さんが亡くなった事故を思い出しました。

今はトラクターで草を刈って、機械で大きなロールにするのですが、それを納屋に収める作業をしていて、過って下敷きになってしまったのです。大きなロールは1トン以上もあるのだそう。怪我は全くしていなかったのに、その翌日には息を引き取ってしまったのでした。現代の農業は無理があるから、危険が大きいのだろうな...。



ミレーの「種まく人」を思い出させる種まきもしています。

ミレー「種まく人」


そんな原始的な農業をポールさんはしているのですが、いちおうトラクターも持っています。ドキュメンタリーでは、メーカーの名前と何年製であるかも説明しているのですが、トラクターがフランスに登場した20世紀半ばのモデルで、博物館入りの価値があるほど旧式のものばかり!

最新型に買い替えるような収入はなかったのでしょうね。そういう農機具は全て自分で手入れし、修理もしてしまう。

昔の農業者たちは、これだけの仕事ができる技術があったのだと感心します。口の悪い友人が、今の農業者から最新式の高性能トラクターを取り上げたら、農業なんてできない、と言っていた意味が分かりました。


海に近い場所に住んでいるポールさんの生活には、うらやましくなる場面も登場します。

陸釣りの達人のポールさんは、原動機付き自転車で海岸に行き、カニ、オマール海老、貝などを採って食べているのです。

高級食材のオマール海老!

4キロ近くある大きなオマール海老を捕ったときの記念の飾り物も見せています。

それに「P.B」と書いてあるので、彼の名前(Paul Bedel)のイニシャルかと聞かれると、いや、「pauvre bête(可愛そうな動物)」の略だ、などと答えるポールさん。

彼にはユーモアがあります。

オマール海老を捕まえた後にタマキビ科の小さな貝をとると、これは妹たちに食べさせて、自分はさっきとったオマール海老を食べるのだ、なんて言っている!

なかなか美食家のよう。妹さんがオマールを茹でるときには、水に塩を入れたかと確認したり、ミルクの味が季節によって異なるから、バターの味も変わるなどと話しています。牛のミルクの味が良いときと悪いときがあるのは、波しぶきの霧雨が吹いてくる方向によるのではないか、などとも分析しています。

ポールさんは、兄弟が持ってきてくれる新聞を1日遅れで読みます。また、父親の死によって農業を継いでから、その日の天気や農作業を日誌を几帳面に毎日つけています。

信仰心も強くて、教会の奉仕者の役割も勤めています。妹の方は、庭で育てた花を教会の祭壇に飾っています。 足が地面にしっかりと根を張っている生活に見えました。


それでもポールさんは、風習に従ってただ従順に生きているという愚かな人ではありません。

テレビでパリで開催されている農業国際見本市を見ながら食事をしていて、農産物に付加価値を付けるべきだなどという話しの後にヘーゼルナッツの味がするバターが登場すると、みんなヘーゼルナッツの味か、なんて笑ったりしている。

ポールさんは機知がある発言もしています。
  • 農民にとって悪い天気というのは存在しない。悪い天気は存在するけれど、それは長く続くという期間に対して言うのだ。
  • ビオ(有機農業)というのは、でっちあげで作った言葉だ。僕はありのままの農業者で、何も加えていない。
  • 僕にふりかかったことは、生きている人間にのみにおこることだ。。
  • 卵を手に入れるためには、畑を耕し、小麦を収穫して鶏に食べさせなければならない。


ドキュメンタリーPaul dans sa vieの映像

地元ノルマンディーの地方テレビ局で放映されたドキュメンタリーがYouTubeに入っていましたので挿入します。全編の1時間40分という長さですが、よろしかったらご覧ください:


Paul dans sa Vie


ポールさんが農業をやめるまでの1年は、冬から始まっていました。 日常生活を映し出しながら、若者が時々やってきてポールさんから話しを聞くという構成です。

時おり農業をやめる辛さをポールさんは垣間みさせていましたが、ついに辛い場面。ポールさんは、手放す牛たちが連れて行かれるときのための縄を作ります。牛たちはトラックで連れて行かれますが、その時を迎えた彼の姿は映し出されてはいません。その後に春が訪れ、ポールさんの家の屋根に牛をデザインした風見鶏が取り付けられた、というところで終わっています。


その後のポールさん

映画化されてからは多くの人がポールさんを知り、ファンも現れました。3年の間に、彼の小さな農家を訪れた人は7,000人、手紙は3,000通来たのだそう。

本来の人間は、こういう風に自然体で生きるべきなのだろうと思わせるポールさん。こんな生き方をしたいと思った人が多かったそうです。

でも、これが幸せな人生なのだと言い切ることは私にはできません。自然のままに、時間が流れるままに生きた彼の人生は、簡単に何か言うことはできないほど重いものを感じます。

こんな風に素朴で人間らしい生き方をしたいと思っても、現代人がポールさんがこなしていた過酷な労働を真似するのは容易なことではありません。

人生はこんなものだという一種の諦めのような境地、あるいは悟りの境地が必要だと思う...。個人主義のフランスなのに、ポールさんと、その妹たちが独身で、3人で寄り添って生きてきたということにも、彼らの極端に貧しい生活を感じさせられます。

どういう人生が幸せなのかは分からない。でも、こんな風に自然と向き合って生きられたら... と思います。




ドキュメンタリー映画の成功の後には、彼の生き方を描いた書籍も出版されていました。3万部が売れたという 「父親の足跡を歩むポール(2012年)」、そしてペーパーバック版も出た「消滅する農民の遺言書(2009年)」。日本語の翻訳は出ていないので、題名は私が適当に訳してみたものです。

子ども向けの本まで発行されていますね。 「ポールのトラクター(2008年)」という題名。副題でポール・ブデルさんのお話しだと分かります。




ところで、フランスでは、農業をしていた人が引退して体を動かさなくなると長生きできないと言われます。ドキュメンタリーの中でも、ポールさんが働いているときに通りかかった犬を散歩させている高齢の女性が、「これから、どうするの? 引退したらその年のうちに死ぬわよ」などとポールさんに言っています。

ポールさんは、「そんな暇はないよ」と答えていました。

牛がいなくなったら、浜辺に材木を拾いに行くのだから。柵を作ろうってわけじゃないんだ。安上がりの棺桶を作るんだよ。

寂しい話しをしても、すぐに気を取り戻すポールさん。その後は、オマール海老が待っているから会いにいかなきゃ、と話題を変えていました。


ドキュメンタリー映画で有名人になったポールさんは、農業をやめた後は忙しい生活に入ったようです。以前には足も踏み入れなかった近所にある核燃料再処理工場も見学したし、大統領に招待されて革命記念日には大統領官邸のガーデンパーティーにも出席したし、講演をしたり、書籍のサイン会に出たりと、多忙な生活。 

でも、今のポールさんはもう80歳を越している。調べてみたら、この夏にポールさんと会ったら素晴らしい人なので大好きになり、来年にまた会おうと約束したのだ、とフォーラムに書き込んでいる人がいましたので、まだお元気で健在のようです。


つい最近のフランスでは、「Ferme des Mille Vaches」という名の工場ファーム(ferme-usine)が操業を開始したというニュースがありました。千頭の乳牛を牛舎に閉じ込めて育てるという巨大施設。家畜虐待、農業者数を減少させる、大気汚染も懸念されるという理由で反対運動は続いていますが、どうなるのか?...



まだポールさんのように自然に逆らわず昔ながらの農業を行う人が少しは残っているかも知れないけれど、フランスもグローバリゼーションの波に呑まれて変わっていくのでしょうね...。

私の近所にも、ポールさんほどではないにしても、貧しい農業をしていたり、薪をくべるコンロで調理する生活をしていたり、自家用車がないので原付で100キロ先の町まで行ってしまったりする高齢の一人暮らしの男性たちがいたのですが、一人ひとり消えていきました...。

 シリーズ記事: 戦後のフランスにおける農業と農村




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「限界集落」という言葉が気に入らない 2014/09/25
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Paul dans sa vie
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Paul dans sa vie - film 2005
Paul Bedel, un paysan normand ancré dans le patrimoine
Paul dans sa vie  un paysan pur et dur confronté à une caméra amie
Paul dans sa vie : la ruralité en documentaire
Paul Bedel dans sa vie de paysan (Film documentaire complet)
☆ Wikipédia:
Paul dans sa vie
Paul dans sa vie - 仮題:ポールの人生 (2005)
“Paul dans les pas du père” sous la plume de Catherine
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La « ferme des mille vaches »  retour sur trois ans de conflits
L'exploitation de la ferme des mille vaches a commencé


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2013/09/19
前回の日記「大金持ちが修復した城を見学」で、お金があるとこんなに好きなように建築物を修復できてしまうのだと感心した話しを書きました。

でも、そういう人は例外的だと思う。なまじっか大きな城を相続してしまったために苦労している人たちの方が多いのではないかな?

今日書くのは、大きな城を持っている知り合いの独身女性のお話し。

彼女の祖父は大金持ちだったのですが、だんだん財産が減ってきました。それでも一人っ子の彼女は、町にある家に住んでいて、田舎にある城のほかに広大な農地も所有しているし、羽振りが良かった時代にあった絵画やタペストリーなども相続しています。

それなのに、彼女が口を開くと、お金に困っている話しばかり...。

今年支払う税金は2万ユーロなのだ、と言っていました。300万円近く? 私なんか逆立ちしたって払えない金額です。でも、それだけ税金を払わされるということは、農地約600ヘクタールを貸したりして、かなりの収入があるということではないですか?

でも、彼女にお金がないのは事実のよう。生活費を稼ぐために家政婦として働いているのです。知り合いが集まって噂話をするときは、あんなに財産がありながら、そういう仕事をしているなんて... と、みんなで飽きれてしまっています。


お金がかかるだけの城

彼女が相続した城は19世紀の建物なのですが、長いこと放置していたので、全く住めない状態になっています。

夏の間だけ来ていた母親がいたころも、寝るときは庭園の片隅にある質素な門番の家を使っていました。その母親が亡くなった後は誰も来なくなったので、城の老朽化が進みました。

天井は雨漏りで穴だらけの状態になったので、最近になって屋根を葺き替えました。本物のスレート石瓦は高すぎるので偽物を使ったそうですが、なにしろ大きな城なので、屋根も広い。いくらかかったと言っていたっけかな? 私などには天文学的数字なので忘れました。

屋根がきれいになったので、外観はまともになりました。でも、中は全く住める状態にはありません。庭園の広さは40ヘクタール近くありますが、全くの荒れ野原。昔を知っている村人たちは、庭園には花が咲いていて、城で働く人も30人くらいいた、と話すのですけれど。

時々思い立つらしくて、城を修復しようとしています。もう、あきらめて廃墟にしてしまった方が良いと思うのだけれど。

荒れ放題になっている庭園の邪魔な木々を伐採することにしました。庭園の広さは40ヘクタール近くあります。業者に見積もりをさせたら、150万円くらいと言ってきたのだそう。木材として価値がある木はないので、伐採した木は引き取らないから、その値段。そんなに出せないと別の業者を探したら、半額。

それでも高いと探したら、森林組合のようなものがあって、会員になると5万円くらいで樹木の管理をするということで伐採してくれることになりました。

色々なものを持っていると、苦労があるのですね...。

城に1人で住むのは怖い。それで、男性を探そうとしているのですが、見つからない。それはそうでしょう。「城を持っています」と自己紹介しても、実際に城を見たら、誰でも逃げ出すと思う。それに、彼女はものすごいおしゃべりなので、一緒に生活したら疲れるタイプです。


母親に押しつぶされた人生...

彼女は現在60歳くらいで、結婚もしなかったし、子どもはいません。相続権のある親戚の子とは気が合っていないらしい。それなら財産を全て手放したら余生を安楽に生きられると思うのですが、親の遺言が頭にこびりついていて売れないらしい。

お金がないとぼやいている彼女に、「あなたは私なんかよりずっと財産があるのだから、人生を楽しまなきゃいけない」と言ったのですが、「だけど...」という感じで納得してはもらえませんでした。

彼女の母親は非常にきつい人だったので、娘の人格をゆがめてしまったというのが、みんなで一致する見かた。彼女が若いときに結婚しようとしたら、母親に反対されて破談になったそうです。

彼女の口癖は、「私はpauvre fille(可愛そうな女の子)です」。母親から、「なんて貴女は馬鹿な子なの」という感じで、ため息交じりで繰り返されたのではないかな...。

彼女は顔立ちが良いので、普通の家庭で育ったら、普通の人生を歩めたと思う。ちょっと歯車が狂っているのは認めるけれど、決して頭が悪い人ではないのです。彼女の母親は娘をしいたげることに喜びを感じていたのだと思う。 そんなことをされても、娘の方は母親にひれふしてしまう。親子関係では、そういう不公平も成立してしまうものだと思います。


この夏には、城の中を全部見せてもらいました。地下室には入りませんでしたが、屋根裏部屋まで見学しました。部屋は40か50くらいあるかな。でも、どこも物置状態なので驚きました。



むかし、彼女の母親が来ていたときにお茶に招待されたときには、ちゃんとした状態の部屋が幾つかはあったのに...。

食前酒でななくて、お茶に招待されるというのは、私にはフランスで初めてした経験なので、強烈な印象が残っています。お上品にイスに座って、お茶をいただく。フランスも、ブルジョア階級の人たちの生活はこんななのだ... と感心したのでした。

思い出せば、今は孤児となった彼女は、そのお茶の席ではほとんど口をききませんでした。怖いお母さんの前では、小学生のように黙っている...。 当時の彼女は50歳くらいだったはずなのですけど。

タペストリーや絵画など、価値があるものは銀行に預けている様子。でも、異常に荷物が多いのです。話しを聞いたら、昔からあったものだけではなくて、彼女が買い込んだ品々が入っているからなのでした。 母親がいなくなって自由になった彼女は、安物を買いまくる趣味を増大させたようです。

先日も、閉店特別セールで買った、イスの置くクッション百個を城に運び込んでいました。その類いの、何の必要もない買い物を色々しています。ただし、イスも百個はあるだろうと見えたので、全く無意味ではないのでしょうけれど。でも、そのイスを何に使うの?...
 
天井には穴があいているので、とても住める状態ではないのですが、8つある寝室の数、ベッド、マットレス、ランプ、テーブルなどを揃えています。修復前に入れるものを買ってしまうというのは異常...。

城の中は骨董品として価値がありそうなものと、彼女が買い集めたガラクタであふれているのですが、住んでいる町にある家の中も物置状態なのだそう。

買い物で払えるお金があるから良いけれど、なかったら、万引きをしてしまう病気ではないでしょうか?

彼女は、食費も節約するために、いつも大量に買って冷凍庫に入れてある牛肉のミンチ・ステーキばかり食べているのだそう。大量に買うのが癖らしくて、ミンチ・ステーキも一度に30個とか、そんな量を買っているそうです。

少し前、彼女が家に立ち寄ったので、どうせ彼女の城には何も食べるものがないだろうと思って昼食に誘ったら、その後なんども、あんなご馳走を食べたのは久しぶりだった、と感謝されました。突然だったので、残り物を日本料理風にアレンジして出しただけだったのですけど。

色々な人生があるものですね...。
断罪したいのは、彼女をゆがめた母親だけど...。

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2013/08/14
夏になってから、フランスのニュースでは盛んにヴァカンスのことを話題にしています。

フランスは福祉国家。ヴァカンス旅行(統計上は、連続4日間以上の楽しみのための旅行を指す)を1年間に1回もしない人が30%もいるとか言って、全ての人がヴァカンスを過ごせるように、と政府は対策を考えています。 高齢や病気で動けなかったり、旅行なんかしたくない人たちもいると思うのですけど...。

フランス人の長期休暇は、光を観る「観光」とは違って、たいていは田舎に行って、のんびりと過ごします。田舎の広い家に住んでいたら、都会の人たちがヴァカンスを過ごすような環境で生活しているのですから、わざわざ出かける必要はないではないですか? 

私は、夏はブルゴーニュに留まっていたいです。だって、一年で最も美しいシーズンなのですから、住んでいるところを離れるのはもったいない。夏に旅行すれば、どこにも人がたくさんいて不愉快なので、家にいる方がよっぼど居心地が良い。逆に、冬には太陽を求めて南に旅行したくなりますが。

でも、フランスはヴァカンスの国。ヨーロッパの中でも、ヴァカンス旅行する人の割合はトップレベルです。

この春先には、深刻な不況なので、ヴァカンス旅行に行けない人が多くでるだろうと言われていました。アンケート調査では、夏にヴァカンス旅行をする予定だと答えた人は62%で、前年より8%の減少しているという結果がでていました。 それでも、同じ調査のヨーロッパ平均は54%なので、フランス人は依然としてヴァカンス旅行が好き。

夏になったら、やはりフランス人たちは工面して夏の旅行をしているらしくて、高速道路の渋滞の映像が出てきています。
 
サラリーマンにはヴァカンス手当なんてものまであるので、旅行はしやすいと思う。

裕福でない家庭の子どもたちのためには、自治体などが林間学校をオーガナイズしています。知り合いの貧しい家庭の女の子から、ギリシャのクレタ島で1ヵ月の夏休みを過ごすのだと話されたときにはギャフンとしました。私が子どものときは、そんな恩恵を与えられたことはなかったし、自分で稼げるようになった今でも、フランスから遠いギリシャで1ヵ月も過ごすなんて夢の世界です。


ヴァカンスの国、フランス

フランス人には休暇が多い。雇っている人に与えなければならない有給休暇は、年に最低5週間とされていますが、週35時間労働が進んでからは休暇が増えました。残業を余儀なくされる管理職、出張などによる超過勤務、休日出勤がある職種の人たちは、振替休日をもらうからです。年に8週間の休暇がある、などという人も珍しくはありません。

戦後のフランスの歴史をみると、左派政権が誕生すると労働時間が短くなってきました。去年からまた社会党政権になったのですが、労働時間をこれ以上短くするようには見えませんが。

フランスは日本以上に経済不況。というか、日本では虐げられた人たちが頑張っているから、不況を乗り越えているとも思います。こんなに働かなくてもフランスは国が破たんしないでいるのですから、おみごと! と思ってしまいます。

フランスは、バカンス法が世界で初めてできた国だと言われます。1936年、年に15日の有給休暇を与えるという法律ができたことを指します。

現在の日本のでは、年次有給休暇の平均支給日数は16日間で、その取得率は47%なのだそう。フランスでは、年次休暇が与えられるようになったときから、もらった休暇は全部消化するものだと受け取られていたのですけどね。


数年前、パリで行ったことがないミュージアムということで行った郵便博物館(Musée de La Poste)で、興味深い特別展「Les Vacances... Quelle histoire !」を見ました。

ひと昔前のフランスのヴァカンスがテーマ。1936年にバカンス法ができたときの庶民の喜びは大きかったそうで、その当時の熱狂ぶりの写真などは見たことがあったのですが、そこに登場していたものの実物も展示されていました。

二人乗り自転車タンデム。



こんなのでヴァカンス旅行に出かけてしまっていたのでした。 疲れたでしょうけど、なんだか楽しそう...。


庶民が夏休みを過ごせる海辺

戦後のフランスは、庶民も有給休暇を過ごせる施設が作られました。人々が求めたのは、それまでは裕福な人たちしか行けなかった海辺のリゾート地。

今では、インテリや社会的地位の高い人たちは、芋を洗うような海水浴場は避けて、静かな農村で休暇を過ごす傾向が強いのですが、相変わらず海水浴場には人気があります。

私は、泳げないという理由だけではなくて、海水浴場で休暇を過ごすのには魅力を感じません。好きなのはリアス式海岸で、砂浜が続く風景は美しいと思えないのです。 第一、こんなに人口密度が低いフランスなのに、夏の浜辺には人がウジャウジャいるところに身を置くのは耐え難い!

憧れる日本人も多いニース。その浜辺です。ニースも裏手の山の方に入ると、素晴らしく魅力的な村々があるのですけど...。

http://www.lexpress.fr/actualites/1/economie/vacances-d-ete-plus-courtes-le-oui-conditionnel-des-professionnels-du-tourisme_1009166.html

私が夏に旅行しているとき、海水浴場に車が入り込んでしまって、慌てて逃げ出すことがあります。フランスでは、どこにカメラを向けても美しい写真が撮れるのに、こんな醜い風景のところもあるんだ... と、感心はしますけど。

高度成長期につくられた庶民的な海辺のリゾート地の代表例を見せる、興味深いビデオを入れたページがありました:
Comme un été toujours "popu" à Saint-Jean-de-Monts

フランス西海岸にあるSaint-Jean-de-Monts(サン・ジャン・ド・モン)という町のルポルタージュ。海水浴場として使える浜辺が8キロ続いているのが魅力なのだそう。

日本でも海岸線の長さで海水浴場を評価するのでしょうか? Wikipediaの「海水浴場」を見たら、浜辺の長さが少し書かれていました。静岡県の土肥海水浴場は「700mの長さを持つ西海岸一大きな砂浜を持つ海水浴場」なのだそう。日本は山が海岸に迫っているので、そのくらいでも広い海水浴場になるのでしょうね。

モン・ジャン・ド・モンのように、人々の生活水準が低い時代に作られてしまった、安く過ごせるのが最大の魅力という宿泊施設は消滅しているところが多いのですが、ここの海浜リゾート地の近代化を図ったそうで、今でも安く過ごせる場所として健在。滞在する人の数からいうと、フランス第2位の海浜リゾート地なのだそうです。

私などには、無料で1週間滞在をプレゼントされても、迷うことなくお断りするタイプの海水浴場なのですけど...。


日本でフランス語を勉強するために片っ端からフランス映画を見ていた時代(今のようにインターネットでフランス語を聞くことができなかったので!)、海辺でのヴァカンスを描いた作品がありました。

エリック・ロメール(Éric Rohmer)監督の『海辺のポーリーヌ(Pauline à la plage)』。フランス人って、こんな退廃的で退屈そうなヴァカンスを過ごすのかと思ったので、記憶に残っています。



その後、フランスの友達にエリック・ロメールの映画を日本で見ていた話しをしたら、あんな退屈な映画を作る監督はない、と言われました。日常生活を描いていて、なんにも面白くないと、こき下ろす。

でも、外国人には、フランスの日常生活がどんなものなのかに興味がある。しかも、登場人物は淡々と、台本を棒読みするように、つまり私でも聞き取りやすいようにしゃべるのが良い。フランス語の勉強をするには最適な映画だと思って、ロメールの作品がテレビの二重音声放送されるときには、いつも見ていました。


海水浴場でヴァカンスを過ごすかどうか?

夏が近くなると、「ヴァカンスはどこに行くの?」というのが挨拶になります。相手にそう質問しながら、自分が何処に行くのかを自慢したいのだろうな、という気もしますが。

どんなヴァカンス旅行をするのかを聞くと、その人がどんな人であるか、かなり特定できます。

Charles-Augustin Sainte-Beuve(シャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴ) が言ったのが始めかな? 彼が残した言葉に、こんなのがあります。

Dis-moi qui t'admire et je te dirai qui tu es.
どんな人に感嘆するか言ってごらん。君がどんな人であるか言うよ。

前半の部分はどうにでも代えられるので、色々に言われています。何を食べているか、誰と付き合っているか、等など。 なので、このパターンのフレーズは誰が言いだしっぺなのかは分らない。

ヴァカンスをどう過ごすか、というのもフレーズになると思います。ヴァカンスを海辺で過ごすという人たちには、かなりはっきりしたパターンがある、と観察しています。

人がゴチャゴチャいても平気、というか、そういうのが好き。クラシック音楽なんかより、ディスコ音楽で踊るのが好き。みんなが「いい」というと、それを求めようとするタイプ。昔の価値観から抜け出せない...。

そんなことを考えたのは、先日行った友人の家で、一緒に旅行しようよ、という話しが持ち上がったからでした。その場のなり行きで私も参加するような感じになったのですが、翌日、それはマズイ! と思って、仲間の1人に「私は参加しない」と告げたのです。

旅行を提案した夫婦は、毎年夏には南仏の海沿いにあるコンドミニアムで夏休みを過ごしているのでした。つまり、私とは全く趣味が合わない人たちのはず。

彼らは、ずっと前から、いつも同じコンドミニアムを利用しています。休暇を過ごしに行くのは夏だけではないので、別荘を買ってしまった方が安上がりのはずだ、と友人仲間が言っているのですが。彼らが海辺の貸別荘マンションで夏の1ヵ月も滞在して何をするかといえば、ただダラダラと日常を過ごしているらしい。名所旧跡や博物館なんかには行かない。時々レストランに行くのがアクティビティー。 だから、いつも同じところに行っても満足するようです。

このタイプはフランス人には多いのですが、私は旅行したら美しい風景や歴史的建造物を眺めないと気がすみません。彼らと旅行すると、レストランで長々と食事をしながらおしゃべりをする時間が1日の大半になるのではないかと懸念したのでした。

そんなのは、私には時間とお金の浪費としか思えない。彼らとは親しいので、一緒に1日か2日の旅行をする程度なら楽しいだろうけど、3泊か4泊になったらたまらないな... と思ったのでした。


豪華な海辺での休暇

ヴァカンスを海辺で過ごす人たちには特徴があると書いたのですが、海がある地域で長期休暇を過ごす人たちは、大きく2つに分かれます。

まず、上に紹介した庶民的な海水浴場など、長期休暇ができる海浜部に行く人たち。それから、すごいお金持ちで、海辺に別荘を持っているか、法外な値段で別荘を借りるか、豪華ホテルに滞在する人たち。

イタリアの海岸の方が豪華な滞在をできる美しい場所がありますが、豪華な貸別荘はフランスにもあります。

南仏コート・ダジュールの高級貸別荘:


物件情報: Luxury villa on Cap d'Antibes rental with pool and tennis court in the South of France

こういう物件はいくらでもありますが、ここは絵に描いたような美しい村が丘の上にあるAntibes(アンティーブ)なので選んでみました。

どのくらいの値段で貸しているのかと思って情報を覗いたのですが、利用料金は問い合わせないと教えてくれないのでした。それはそうでしょうね。こういうところは有名人が利用するでしょうから、他人に滞在費が分かったら問題が発生する。

こういう成金主義の人が好みそうな家は好きではないですが、浜辺の喧騒とは無縁に静かに過ごせそう。こういう豪邸の滞在をプレゼントしてくれると言われたら断らないかな?... 海を眺めるのは好きだし。でも、プレゼントしてもらえるはずなんかないので、どうするか悩む必要はない!



情報(外部リンク):

アラン・コルバン(Alain Corbin)の著書:

浜辺の誕生―海と人間の系譜学

レジャーの誕生 〈新版〉 (上)

Les vacances... quelle histoire ! - EXPOSITION (Musée Poste Paris)
Les Français partiront moins en vacances cet été mais dépenseront plus 2013/05/30
[インタビュー]元城西国際大学 飯田芳也教授「フランスと日本の休暇制度」
☆ All About: 「有給休暇」の平均日数って、どれくらい?
☆ KINENOTE: 海辺のポーリーヌ

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