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2017/01/03
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!
その14


長らく栗について書いてきたのですが、最後に「栗色」に触れてみます。


◆ 「栗色と訳されるフランスの色

栗が育たない国では「栗色」というのはなくて、「茶色」とか何とかいうのではないでしょうか? フランスでは中世には栗の栽培が始まったそうなので、当然ながら栗を想起させる名前の色があります。

拾ってみたところ、3つ見つかりました。

栗の木「シャテニエ(châtaignier)」の実を意味する「シャテーニュ(châtaigne)」からできた、シャテーニュ(châtaigne)という色、châtain(シャタン)という色。

それから、栗の木でもマロニエでも果実をマロンと呼ぶのでややっこしい「マロン(marron)」という色。

色の違いをフランスのカラーコードで出したものを並べてみます。


châtaigne
シャテーニュ
(明るい栗色)
châtain
シャタン
(栗色)
marron
マロン
(栗色)
#806D5A
灰色がかった明るいブラウン
#8B6C42
ブラウンと金色の中間
#582900
赤味がかったブラウン
栗 栗 マロニエ

それぞれの色の名前に仏和辞典に入っている訳語をカッコの中に加えたのですが、みんな「栗色」とされているのですね。私は栗色といったらマロン色を思い浮かべますけれど。

「シャテーニュ」という色の名前は、それほど使わない感じがします。コードで出した色は栗の皮の色でもないし、渋皮の色とも違うし、何なのだろう?.

英語情報では、シャテーニュはDonkey Brownに近いとありました。
Donkey Brown(#816E5C)
なるほど、ロバはこういう色が多いですね。

「シャタン」には馴染みがあります。フランス人の多くは「シャタン」と呼ぶ髪の毛の色だからです。金髪を濃くしたような色で、brun(ブラウン)とblond(ブロンド)の中間にある色、と定義されていました。

シャタンは髪の色と密接な関係があります。ヘアーカラーでも、濃いシャタン色、明るいシャタン色、灰色がかったシャタンなど、色々なニュアンスを出して売られています。「マロン」と呼ぶ色合いよりも使われていることが多いように感じます。

右に入れたのは濃いシャタン色(châtain foncé)と表現されていた髪の毛。こうなると、マロンの色と違いが余り見えなくなります。

目が茶色の場合には、シャテーニュ色とマロン色は使いますが、シャタン色とは言わないですね。


発音も綴りも全く違う3つの色を全て「栗色」と訳すのは面白くないので、栗に関係した和色の名前を探してみました。


日本の色には、栗がたくさん登場する

フランスより日本の方が多いだろうなとは予測したのですが、こんなに出てくるとは思わなかった! そんなに栗は日本人には思い入れがある果実だったのでしょうか。

拾った色コードで色を出したのですが、なんだか全く違って見える色も並んでしまいました。間違っているのかもしれませんが、拾い出したものを並べてみます。色の名前に対応する色コードはもっと存在していたのですが、収拾がつかないので全部を並べるのは止めています。

和色: 一般的な栗色
栗色
(くりいろ)
#762F07
(日本の伝統色)
栗の皮のような赤みのある焦茶色。

別名: 落栗色、栗皮色、栗皮茶


《実りの色2》落栗色(おちぐりいろ)
#800000
#704B38
#5D2917
#522C1E
#591C12

栗皮色
(くりかわいろ)
#6A4028栗の皮の色で、黒みがかった赤褐色。

現代では、一般的に「栗色」と呼ばれる。

江戸時代には女帯によく使われていた色らしい。

栗皮茶
(くりかわちゃ)
#6D3C32
栗の実の皮のような黒みがかった赤褐色。

別名: 栗色、栗皮色

栗の樹皮と灰汁で茶に染める「栗皮染」がある。
#824522


和色: 特殊な栗色
栗梅
(くりうめ)
#852E19栗色を帯びた濃い赤茶色。あるいは、少し赤みの明るい茶色。

「栗色の梅染」が略されたもので、江戸時代の流行色。
梅がつく色は「紅梅色(こうばいいろ)」に代表される赤み(#E86B79)を表現している。
#6C1912
#58271E
#88503E

栗梅茶
くりうめちゃ
#CC5959赤みから黒みを帯びた茶色。
「くりむめ」ともいう。

栗金茶
(くりかねちゃ)
#B14329

蒸栗色
(むしくりいろ)
#EBE1A9蒸した栗の皮を向いた実のような、緑みがかった淡い黄色。

中国の古代書の『爾雅』にこの染色が登場している「蒸栗」の色は、日本で一般的に思われている色とは違うという説もある。

#EFEACC
#EEE2C2

小栗色
(こぐりいろ)
#72A46A未熟の小栗の色を表したものと思われる。

柴染
(ふしぞめ)
#B28C6Eタンニン物質を含んだ樹皮や柴木(山野に生する栗、楢、樫、櫟など小さい雑木)の煎汁で染めた色で、暗い灰みの黄赤。

どこででも採れる染料であるため、下位の人間の服の色とされた。
朽葉色(くちばいろ)
#796040


外国から入った色
マルーン
maroon
#501818明るい赤みの茶色
大粒の栗の名前が英語化したもので、暗い赤茶色に用いられる。
#800000
#6A1917

チェスナットブラウン#5C3E2Dマルーンより小型の栗で、色も赤みが少ない。
#68412F

フランス語: marron
#582900
英語: chestnut
#954535
イタリア語: castano
#6D351A



フランスのブラウン系の色

フランスでもブラウン系は色々あります。ただ、栗を持ち出さないだけなのでしょうね。

ブラウン系の一覧:
Code couleurs html - Les brun.

Wikipediaのフランス語に入っているブラウン系は少ないですがカテゴリーが出来ていました:
Catégorie:Brun


フランスで使われている色の名前は、和色の名前に比べると、全くつまらないですね。



栗の木とマロニエについて長々書いてきてしまったので、今回でシリーズは終わりにするつもりだったのですが、「栗色」と訳される「シャタン」という色が気になるので、まだ続けます。

続き:
 亜麻色の髪とは、淡い栗色ではなかった 2017/01/08


 シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!

ブログ内リンク:
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
【茶色】
☆ Wikipedia: Palette Teintes de brun
☆ Wikipedia: Châtain
☆ Wikipédia: Marron (couleur)
☆ Au domicile des mots dits et écrits: Le marronnier | La châtaigne
Marron symbolisme, histoire et expressions… notre série des couleurs

【髪の毛の色】
☆ Wikipedia: Palette Teintes de cheveux
☆ Wiipedia: Couleur des cheveux
☆ 髪の毛の色表現:  | (ヘアーカラー) | (ヘアーカラー)
Le vocabulaire du coiffeur, se faire mieux comprendre!

【目の色】
☆ Wiipedia: Couleur des yeux
☆ Wikimedia Commons: categoryEyes by color

【色】
[CODE COULEUR] Dictionnaire des couleurs
☆ Wiktionnaire: Thésaurus couleur-français


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (2) | Top
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2016/12/19
日本から友達が来たときには、フランスの友人に観光案内を手伝ってもらうことにしています。

私とだけ付き合っていないで、フランス人とおしゃべりする方がフランスという国がよく見えるだろうし、友達から何か聞かれたらフランス人に答えてもらえるので、私にとっても利点があるからです。

ところが、困ったときがありました。


日本人は冗談を真に受ける?

フランス人はジョークを連発するのですが、私の友達は冗談を言って笑わせようとしているとは思わない。自分が知らなかったことを教えてくれていると思って感心してしまうのです。

そのうち、フランス人の方は彼女が何でも信じてしまうことを面白がって、あること、ないこと、全部ジョークにして遊んでしまうようになったのでした。

英語は流暢ではない人だったので、洗練したジョークは言えない。それで、黒い馬がいるのを指さして、「あれはアフリカの馬です♪」なんてバカなことまで言い出すのでした...。

彼女が「ほうとうに?」と言いながら感心しているので、フランス人は「ほんとうに」という日本語まで覚えてしまった! イントネーションで少し疑っているというのが分かると、頷きながら語尾を下げて「おんとに~」と言葉を返して(Hを発音できないため)、「本当にそうなんですよ」という感じまで出してしまうのでした。知り合いにアントニーという名の男の子がいるので、ホントニーは覚えやすかったらしい。

フランスの友人には、私の友達は素直な人なのだから、そういう悪ふざけはしないで欲しい、ときつく叱りました。

日本の友達には、相手は冗談で言っているのだから真に受けないで、と言いました。

でも彼女は、何か言われると、まず信じてしまうのです。とても良い性格の人なので、相手が言ったことに感心してみせるのが礼儀だと思っていたのかもしれない...。

参りました! 彼女が日本に帰ってから、教えてもらったことを他の人達に話したらマズイではないですか?!

ジョークの分かる日本人もいらっしゃいます。フランス人から何か言われると、真っ先にアッハハと笑う。そういうタイプの人は、フランス人から一目置かれます。そもそも、フランスの政治家の場合でも、何か貶されたら、怒ったりりはせずに、機知のきいたジョークを言って相手をやり込める能力が評価されています。

でも、日本人でジョークが分かる人はかなり少ないと感じています。真面目な席で通訳するときには、フランス人が何か冗談を言った後には、「これは冗談でけど♪」と私は勝手に付け加えてしまうことがあります。

誰も笑わないと、フランス人は私が下手に訳したからだろうと思ってしまうわけなので、そういう濡れ衣をかぶされないためです。訳す前に「それは冗談で言っているのでしょう?」と、ちらっと相手に確認したりもできますので。


日本人の鵜呑み度は70%

マスコミ報道の「鵜呑度」を国際比較した数値がありました。

アンケート調査はやり方によってどうにでもなってしまうけれど、これはかなり当たっているのではないか、と私の個人的な経験から思いました。

イギリスが最も疑い深くて、14%の人しか信じていない。

その後にはアメリカ、ロシア、イタリアと続き、フランスは第5位で35%。

日本人は、先進国の中では飛びぬけて信じやすい国民で、70%となっているのです!


パーセンテージはともかく、言われたことを疑わずに信じる日本人が多いのは確かだと感じています。

それで、その特性に気がついたフランス人は面白がって遊んでしまう?



シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その7

栗の木シャテニエの果実
 ・シャテーニュ(châtaigne)
 ・マロン(marron)
マロニエの果実
 ・マロン(marron)


フランス的な冗談を真に受けてしまったのでは?

そう思ったのは、日本ではこう言われていると聞いたときでした。

かつてマロニエの実を使ってマロングラッセを作っていたが、
後にクリの実で代用するようになった。


こんな場面を思い描きました。

パリたくさんあるマロニエ並木を、フランス人男性と、日本人の女の子が歩いている。落ちているマロンを拾って、フランス人はこう言う。

- マロングラッセ、知っているでしょう? 昔は、このマロニエの実で作っていたんだよ。

- マロニエの実は食べられないって聞いたけど...。

- そうなんだ。マロニエの実はあく抜きが大変だから、栗で代用してマロングラッセが作られるようになったんだ。

- 本当に...。知らなかった~! わぁ~、みんなに教えてあげよう~♪

- 教えてあげなよ。フランスでも知っている人は少ないんだよ♪


パリっ子たちは偉そうな口をきくので、男性の口調と表情まで浮かんでしまいました。

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まず、毒があるマロニエの実を食べていたはずはないではないですか? 飢饉のときに食べていたというのならまだしも、手間がかかるマロングラッセを作っていたというのは信じられません。

マロングラッセは、フランスではクリスマスのときにしか食べないような高価なスイーツです。

大変な手間をかけて作らないから高い値段で売るのでしょうが、それを作るのにわざわざマロニエの実(マロン)を材料にするはずはないと思うのです。

本来は食べられないものを苦労して食品に仕上げるのは、日本の食文化ではないですか? 

致死性が高いフグの卵巣をぬか漬けにしたという珍味をお土産でいただいたことがありますが、美味しいわけでもないので持て余したことがあります。


日本では定着していた!

誰か、私の友達のようにナイーブな人が、パリで聞いたといってブログにでも書いていたのだろう、と思いました。

ところが、「マロニエの実を使ってマロングラッセを作っていた」をキーワードにして検索すると、たくさんヒットするのでした。今では消えているのですが、かってはWikipediaにそう書いてあったようです。

同じ文章を使っていると感じるものには、次のようなものがありました。これをコピーしてキーワード検索をすると、たくさんヒットします。
  • かつてマロニエの実を使ってマロングラッセを作っていたが、後にクリの実で代用するようになった。

  • マロングラッセに使うマロニエの実をクリで代用したことから、 クリのこともマロンと呼ぶようになった。

  • フランス語のマロン=marronは元来このマロニエの実に由来するが、食用においてはヨーロッパグリの方が適していたことから後者を指すのが一般的になった。


そういうのは奇妙だと思うのは私だけではなくて、間違っていると指摘なさっていらっしゃる方がありました:
マロングラッセはかつて本当にセイヨウトチノキ(マロニエ)の実が使用されていたのか

この記事を読んで分かったのですが、「平凡社 世界大百科事典」の「セイヨウトチノキ」のところに、こう記載されているのだそうです:
  • マロニエという名称はマロン(クリ)に由来し、マロングラッセも古くはマロニエの実が使われたという。
百科事典に書いてあれば、信じますよね。

まして、先日に書いたように(辞書が頼りにできないと困る...)、仏和辞典のシャテーニュ(栗の実)のところには、「ふつうは食用にしない」と書いてあるのですから、裏付けられてしまうではないですか?

Yahoo!知恵袋には、「本物のマロングラッセを食べてみたい」というのまで入っていました。本物のマロングラッセはマロニエの実で作ったものだと信じていらして、それを売っている店を教えて欲しいというのです。

マロングラッセは栗の実のマロンで作るのだと回答していらっしゃる方があったのですが、ベストアンサーには選ばれてはいませんでした。ちょっと怖いではないですか? 質問された方が諦めきれなくて、ご自分でレシピを探して、セイヨウトチノキの実でマロングラッセを作って食べてしまったら危ないですよ。

毒性を利用するのか、マロニエの実から薬は作られるそうですが、人によっては食べたらかなり危険なことにもなるそうです。

フランスの情報も探してみましたが、マロニエの実でマロングラッセを作っていたというのは1つも見つかりませんでした。冗談で言いたくなる人はいそうですが、それさえもない。そんなことを書いて真に受けた人がいたら、被害者から告訴されることだってあり得るので避けるのではないでしょうか?

ここのところ、栗とマロニエの実のマロンについて書きながらフランス情報をたくさん読んでいますが、マロニエの実は有毒だから、栗のマロンと間違えないようにと、必ずと言って良いほど強調していました。


マロニエはヨーロッパに昔からあったわけではなく、それが入る前から、どこの国でもしていたように、フランスでも栗を食べていました。マロニエの実を食べる必要はなかったと思うのです。

マロニエと呼ぶことにした樹木がフランスにが入ったとき、すでにマロングラッセなるお菓子が存在していたのだとしたら、昔はマロニエの実(マロン)でマロングラッセを作っていたというのは成り立たないことになります。

また、栗をマロンと呼ぶことが、マロニエが入る前からあったら、マロングラッセを栗で作るようになったから栗をマロンと呼ぶようになったわけではないのは立証できます。

それを調べたので書こうとしたのですが、前置きが長くなってしまったので別の記事にします。


少し寄り道をした続き:
マロングラッセを作るのには20日間もかかる


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!
今回は、その7でした。




ブログ内リンク:
★ 目次: フランス人のジョークについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
検証:世界で最も「情報民度」が低いのが日本人である!
☆ 国立健康・栄養研究所: セイヨウトチノキ(マロニエ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報
Centre Antipoison Animal et Environnemental de l'Ouest: Le marronnier


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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2016/06/18
最近、『Le Petit Poucet(おやゆびこぞう)』を思い出していました。

シャルル・ペロー(Charles Perrault)が17世紀末に出版した『Les Contes de ma mère l'Oye』に、眠れる森の美女や、赤ずきん、シンデレラの話しなどと一緒に入っている童話で、フランス人なら誰でも知っているはずの童話です。





ペローのLe Petit Poucetおやゆびこぞう)』のストーリー

『おやゆぎこぞう』の主人公は、Petit poucet(プチ・プーセ)と呼ばれている7歳男の子

poucetはpouce(親指)を縮めた単語で、プチ・プーセは年齢も体も小さな子どもにつけるあだ名のようです。それで、日本語の題名は「親指小僧」にしたのでしょうね。

プチ・プーセは7人兄弟の末っ子でした。お金がなくなった両親は、これ以上は子どもたちを養うことはできないと話し合い、彼らを森に捨てることにします。


« Tu vois bien que nous ne pouvons plus nourrir nos enfants. »
【Illustration de Gustave Doré de 1867】


子どもたちはオオカミも出る森に連れて行かれて置き去りにされます。

前の晩に親たちの話しを聞いていたプチ・プーセは、森に連れて行かれるときに白い小石をまいていたので、子どもたちは無事に家に帰ることができました。


« ...en marchant, il avait laissé tomber le long du chemin les petits cailloux blancs qu'il avait dans ses poches. »


プチ・プーセたちは、再び森に捨てられす。

このときもプチ・プーセは親から捨てられると分かっていたのですが、小石を拾えなかった。それで、パン屑を撒きながら歩いたので、小鳥に食べられてしまい、家に帰る道がわからない。

森の中に家があったので入りますが、そこはOgre(人食い鬼)の家だったのでした。しかし、プチ・プーセは人食い鬼から魔法のブーツを奪います。


Le Petit Poucet subtilisant les bottes de sept lieues à l'Ogre.

ひと足で7里を飛べるブーツを履いたプチ・プーセは、人食い鬼の家に行って嘘をつき、財宝を手に入れてしまう。それを持って家に戻り、その後の家族は幸せに過ごしたというハッピーエンド。



したたかな7歳の男の子のお話し。親に怖い森に連れていかれて置き去りにされる。1回目は親元に戻れたけれど、また捨てらる。子どもたちは見つけた家に逃げ込む...。


日本語訳を紹介しているサイトがありました:
☆ お話歳時記: おやゆびこぞう。


子ども向けのフランス語の漫画もインターネットには入っていました:


Le petit poucet - Conte de notre enfance


グリム童話のおやゆびこぞう

同じ話しは、ドイツのグリム兄弟も書いていました。

フランス版のように親に捨てられた話しではありません。最近に北海道で起きた子ども置き去り事件には全く類似点は見えませんでした。

グリム童話では、こういうストーリーなのだそうです。
  • 子供に恵まれない夫婦に男の子が生まれ、可愛がって育てる。
  • その子は親指ほどの大きさだったために、見世物小屋の主人が買いたいと言ってくる。その子は、すぐに戻ってくるのだから、お金儲けのために自分を売るように、と親に言う。
  • 子どもは売られたが、うまく逃げ出し、無事に親元に戻る。


『おやゆびこぞう』という同じ名前が付いているので、これがグリム童話のバージョンなのだろうと思ったのですが、グリム童話では『ヘンゼルとグレーテル』がプチ・プーセのお話しに酷似していました。

こちらでは兄弟は2人。お父さんは同じように木こり。貧しさのゆえに子どもを捨てることを提案したのは母親ですが、父親も協力しています。

森に置き去りにされると2人は知っていましたので、兄のヘンゼルはプチ・プーセと同じ対策をしています。1回目は小石を落として行ったので、無事に家に帰っていますが、2回目に捨てられたときはパン屑を落としていったので失敗。

二人は見つけた家に行きますが、これは魔法使いが住むお菓子の家。

結局、妹のグレーテルは魔法使いをかまどにつき飛ばして殺し、彼らは家から財宝を手に入れて両親のもとに帰る。家族4人は幸せに暮らすというハッピーエンド。

お話しは、こちらに出ていました:
☆ 青空文庫: ヘンゼルとグレーテル グリム兄弟


子どもを追い出す親の行為

シャルル・ペローがプチ・プーセの話しを書いた17世紀には、フランスでは頻繁に飢饉に見舞われていたそうです。ハッピーエンドなしの実話はたくさんあったのでしょうね。

私が気になるのは、プチ・プーセたちは2度も両親に捨てられているのに家に戻り、親孝行までしていること。どこの国でも、子どもは自分の所有物みたいに自分勝手に扱う親がいて、どんなに親に酷いことをされても、子どもは親を慕うものなのかな?...

ところで、日本の親が子どものお仕置きをするときには、「出て行きなさい」というのは普通にやるのではないかと思います。私も、叱られて家に入れてもらえなかった経験があります。闇が迫ってきている夕方。ガンガンとドアを叩いて「入れて~!」とやるのですが、近所の人というのは助けてくれないものなのですよね。「煩くてたまらないから、やめさせろ」とでも言いに来てくれても良いのに!

学校でも、先生は生徒のお仕置きとして教室から出るように言うのでした。小学校の始めの3年間は少し田舎が残っているところにいたのですが、先生が教室を出なさいと言われた生徒は謝って、出ていかなくても良い許可をもらうというパターンでした。ところが、その後に東京の小学校に移ったら、みんな、さっさと教室を出ていくので驚きました。さすが、東京の子はすれているな、と感心した思い出です。

でも、あれは、田舎の子と東京の子の違いではなくて、先生の違いだったかもしれない。

小学校低学年のときの担任は女性で、とても良い先生でした。私が白紙答案なんかを出したときには、放課後に家に飛んできて、何か問題があるのではないかと母親に聞いていたし。葉はの方は「印刷がよく見えなかったそうで」などとでっちあげの返事をしていましたけれど。

学年の途中から入った東京の小学校では、男性の先生でした。変な先生。一人の男の子を目の敵にして虐めていたのです。何かあると、彼がやったことにして、教壇に呼んで、どつきまわす。私たちは彼がやったのではないと知っていた時でも、怖くて震え上がっていたので何も言いませんでした。自分たちは卑怯だったな... と、いまだに忘れられません。何だか知らないけれど、先生が嫌っていただけで、仲間をいじめたりするような不良では全くなくて、とても良い子だったのです...。


フランスの親が子どもにお仕置きをするときには、ご飯を食べさせないか、部屋に閉じ込めるものなのだそうです。子どもを叱ったときに外に出したら、友達の家に行ったりして遊んでしまうので、全くお仕置きにならないから、と友人は説明していました。

でも、私が家から閉め出されたときには、友達の家に遊びに行くなんていう気持ちの余裕はなかったように思います。そもそも、親に折檻されているなんていう恥は他人には見せたくないですから。


むかし、アメリカでおきた事件も思い出しました。日本人の母親が親子心中をしようとしたら、子どもだけ死んで、彼女は生き残ってしまった、という事件。

アメリカの法律によって、この日本人女性は殺人罪として判決されたので、日本人たちが反対運動をおこしたのでした。子どもの私は殺人以外の何物でもないと思いました。でも、日本人にとって、親が生きていきたくなくなったら子どもを殺す権利があると考えるものらしい、と感じたのでした。

このとき、日本には普通の殺人より罪が尊属殺人罪があるというのがあると知ったように思います。弁護士の人たちは、親を殺すような子どもの状況には悲惨な例が多いのだとして反対していました。異常な状況というのは想像できます。親は子どもを簡単に殺せますが、子どもの方が親を殺すというのは、よほどのことがないと実行できないと思う。

ようやく1995年、尊属殺人罪をはじめとする尊属加重規定は、日本の刑法から削除されたそうですね。






ブログ内リンク:
謎が多い『赤ずきんちゃん』のお話し 2015/02/12
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方

外部リンク:
☆ 仏語テキスト: Le Petit Poucet de Charles Perrault
☆ お話歳時記: おやゆびこぞう。 (ペロー版テキスト)
☆ Wikipédia: Le Petit Poucet
 ☆ Analyse du "Petit poucet"
☆ グリム童話: おやゆびこぞう - グリム兄弟
☆ Wikipedia: おやゆびこぞう(グリム童話)
「出ていきなさい!」と叱る日本人の親と欧米人教育の違い
男児置き去り、なぜ日本人は「置いて帰るよ」と言って叱るのか?
その時歴史が動いた~昭和48年4月4日、尊属殺人罪が消えた日
☆ Wikipedia: 尊属殺法定刑違憲事件
【閲覧注意】尊属殺人罪(刑法200条・親殺し)が消えた理由
☆ L'Obs: JAPON. Comment l'enfant puni par ses parents a survécu 6 jours en forêt
☆ Le Monde: De l’abandon comme technique éducative au Japon
Japon abandonné en forêt, Yamato pardonne à son bon papa


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2015/10/19
2015年秋 パリ首都圏旅行シリーズ
その6 
目次

今回のパリ滞在では、2つの公園に行って、パリの生活環境も悪くないなと思ったのでした。
 
 
 

ところが、訪れた公園について書きながら情報を拾っていたら、パリ市には緑地が少なすぎるのが問題になっていて、最近のパリ市は熱心に緑地を増やしている、と出てきたのでした。


ヨーロッパの首都の中では、パリは極端に緑地が少ない

パリにある緑地は、住民1人当たりで5.8 ㎡しかないのだ、と言われていました。「公園」ではなくて「緑地」と呼ぶのは、日本なら「公園」と言われる空間なのに、フランスでは色々な名称で呼ばれるからでしょう。

5.8 ㎡を畳の大きさで計算すると、1人あたり3枚半ですか。でも、大の字になって寝っ転がれる広さか...。

1人あたり5㎡しかないのは余りにも貧弱で、せめて30~35㎡はなければいけないのだ、と言われていました。でも、1人あたり5.8㎡というのは、パリ市の東と西の外れにある大きなブローニュの森(846 ha)とヴァンセンヌの森(995 ha)を抜かした場合の計算なのでした。

この2つの森を入れると、1人当たりの緑地面積は14.5 ㎡ になります。

そうなると、家族4人で公園に行った場合に確保できるのは、17.5坪、35畳。住民全部が公園に繰り出すということはありえないので、ある程度は広い空間を享受できるではないですか?...


ともかく、パリ市内には緑も少なすぎるので、近年のパリ市は熱心に緑地を増やしているそうです。

パリ市内の緑地部分を示した地図を眺めてみました(クリックすると拡大) ↓

Green spaces in Paris
☆ Wikipédia: Liste des espaces verts de Paris

同じように東京都の地図に公園を示した地図を探したのですが、見つかりませんでした。パリは東京の山手線の中という感じの広さだと思うので、東京23区の地図で見たかったのだけれど...。

【追記】
山手線の中の面積は63~65,000㎢(6,300~6,500 ha)。パリ市の面積は105,40㎢ (10,540 ha)。2倍まではいかないのですが、けっこうパリは広いのですね。確かに東京駅から池袋駅などは意外に簡単に歩けてしまえましたが、パリでルーブル博物館からエッフェル塔まで歩こうとしたときには大変すぎるので途中で放棄しました。

この地図をみると、パリにはかなり緑地があるように見えました。でも、ヨーロッパの他の国の首都と比べると非常に少ないのだそうです。

住人1人あたりの緑地の面積は、アムステルダムは36 ㎡、ロンドンは45 ㎡、ブリュッセルは59 ㎡、マドリッドは68 ㎡、ウィーンは131 ㎡、ストックホルムは300 ㎡、ローマは321 ㎡もあるのだそう。フランスではヨーロッパ諸国との比較ばかりやるのですが、ニューヨークと比べると、パリ市の緑地は半分しかないのだそう。

確かにパリの緑地は少なすぎますね。パリは、町の中心部だけが行政区画として残っていて、郊外が入らない。従って、パリ市の面積は非常に狭くて、極度に人口が密集しているが、緑地が少ない原因なのでした。


フランスで最もグリーンな都市は?

フランス国内にある都市の中では、どの町が最もグリーンかを調べた調査がありました。公共の緑地などに携わっている業者の全国連合UNEP(Union nationale des entrepreneurs du paysage)が、2014年に行った調査です。

調査の対象は、フランスで人口が最も多い50の都市。

大都市の緑地平均値
  • 住民1人あたり、緑地面積: 31㎡
  • 住民1人あたり、緑地新設と維持費: 47ユーロ
  • 住民1人あたり、樹木の本数: 0.2本
  • 都市の緑地面積: 540ヘクタール 
  • 新たな緑地を作る年間予算: 500万ユーロ
緑地は、公園など、住民が入れる緑のスペースとしていました。


エコシティー・ランキング

この調査では、グリーンな都市のランキングをして発表していました。

緑地が広いかどうかによるランク付けではありませんでした。住民1人あたりの緑地面積が最も広いのは、人口が約12万人のブザンソン市なのだそうですが(200 ㎡ / 人)、トップ10には入っていません。

日本だったら人口12万人で大都市とは扱われないと思いますが、ブザンソン市は県庁所在地で、フランシュ・コンテ地域圏の行政中心地になっている大都市です。最近のフランスでは地域圏を合併する動きが出ていて、フランシュ・コンテ地方は我がブルゴーニュ地方と一緒になるそうなので注目しているのです。


この調査でのランキング付けでは、25の指標で専門家たちが採点したのだそう。緑地が広いだけではなくて、エコロジーや生物多様性の面で努力しているか、緑地の維持や新設に予算を使っているか、住民が公園などに行くように推進しているかなど。

つまり、エコ・シティーと呼ぶのにふさわしい都市かどうかのランキングです。

トップ10の都市は、以下の通りでした。



北半分に集中しています。中でも目立つのは、1位と2位になった都市が入っているペイ・ド・ラ・ロワール地域圏。

1位 アンジェ市(Angers):
住民1人あたりの緑地面積は51 ㎡ で、市の20&が緑地。
町の予算の5%を緑地管理のために使っていて、50大都市平均の4倍に相当する。市はエコロジーにとても熱心。

2位 ナント市(Nantes):
住民1人あたりの緑地面積は34 ㎡ で、市の16%が緑地。
住民1人につき年に98ユーロが緑地のために使われていて、これは大都市平均の2倍。

3位 リモージュ市(Lmoges):
住民1人あたりの緑地面積は52 ㎡ で、市の面積の10%が緑地。

4位は、リヨン市(Lyon)。緑化に対しては市の予算の2.6%が使われていて、1位になったアンジェ市に次いで2番目の力の入れよう。
隣接する市町村を都市圏とすると、200万人を超えるフランスでは例外的な大都市なのですが、風通しの良い町だと表現されていて(大都市特有の息苦しさがない)、サラリーマンが転勤先とするには理想的と言われます。ベスト5に入ったのは個人的に嬉しいです。

5位はメス市(Metz)。廃棄物を環境に優しくしている点で第3位に評価された。


別のアンケ―ト調査で出てきた情報も紹介していました。

1キロ圏内に緑地がある所に住んでいる人たちは、体調も良く、ノイローゼになる率も低い。

そうだろうとは思いますね。パリ市がエコロジーや緑化運動に力を入れたり、市営の市民農園も次々と作るようになって、住みやすいパリになったのかもしれない。パリだけには住みたくないとフランス人たちが言うのも納得できるほど、パリで出会う人たちは苛々していたのに、最近パリに行くと感じがわるい人に出会う確立は激減しました。
4人に3人は、自分が住む市町村にある緑地に頻繁に行っている。

確かに、そんな感じはしますね。都市の公園では、子どもを遊ばせている人も多いし、なんとなく日向ぼっこをしている人たちもたくさん見かけます。

リラックスするために行くというのではなくて、子どもを遊ばせる、スポーツをする、犬の散歩をする、友人たちとピクニックをするなどにも利用されている。

ピクニックをするために公園に行きますか。思い浮かべてみると、昼時には公園で食べている人たちがいますね。フランスの外食代は高いので、昼食代を浮かせようとしたら、サンドイッチを買って公園で食べるしかないだろうな... と思って眺めていました。

パリ市は「パリで何をするか?」というサイトを作っているのですが、その中にはピクニックをするのに便利な公園のリストも入っていました。ピクニック用のテーブルがあるところなどを推薦しているのかも知れません。
☆ Que faire à Paris: Détente ◆ Un pique-nique à Paris


東京とパリの公園事情を比較してみる

住民が入れる緑地を住民の数で割ると、フランス50大都市の平均緑地面積は31 ㎡。パリ市は14.5 ㎡ なので、大都市としては平均の半分しかないということになります。

それでも、パリを歩いていると、東京の都心よりずっと公園が多いように感じるのです。でも、調べてみたら、住民1人当たりの緑地の面積は、森を除いたパリ市と東京都は不思議なことに、ほとんど同じ数値なのでした。

信じられない気がします。私の気のせいなのかな?...

東京都とパリ市のデータを拾って並べてみました。バラバラにあったものを書き込んだので、計算をすると合わないだろうと思いますけど。

都市名東京都パリ市
面積2,191 ㎢= 219,100 ha
※ 東京23区: 622 ㎢
105 ㎢= 10,500 ha
※ 東京23区の5分の1弱
人口1,346万人
※ 東京23区: 895万人
224万人
※ 東京23区の4分の1
人口密度6,140 人/㎢
※ 東京23区: 14,389 人/ ㎢
21,258 人/㎢
※ 東京23区の1.5倍
緑地の総面積7,696 ha (1)3,000 ha強 (2)
住民一人当たりの公園面積5.78 ㎡5.8 ㎡ (3)
14.5 ㎡ (4)
全体に占める
公園面積の割合 (5)
3.5 %29 % (6)
  1. 公園の面積(東京都建設局発表)。
  2. 2つの大きな森(ブローニュの森、ヴァンセンヌの森)を含めた緑地面積(パリ市発表)。2つの森と490カ所のjardin(ガーデン)の面積。並木、環状線の土手、花壇などは含ずに3,000ヘクタール以上あるとしている。Wikipedia情報では、2,393 haで、その内訳は、bois(森林)2カ所、parc(公園)16カ所、jardin(ガーデン)137カ所、square(小公園)274カ所、その他(promenade、esplanade、mail、allée、aire de jeux、clos、rond-point)21カ所。
  3. ブローニュの森とヴァンセンヌの森を含めない場合(パリ市発表)。
  4. 2つの森を含めた場合(パリ市発表)。
  5. 全体の面積に対する公園面積の割合を筆者が計算。
  6. パリ市発表の緑地面積(3,000 ha余り)で計算。Wikipediaの緑地面積(2,393 ha)で計算すると22.8 %。2つのおおきな森だけでパリ市の面積の18%を占めている。

東京都の緑地はそんなに狭いわけではないというのが腑に落ちないので、最後に緑地の綿製を全体の面積で割ってみたら納得でいました。パリの場合は、全体の3割くらいが緑地になっているのに、東京都はたったの3.5 %。

つまり、パリには緑地が多いけれど、人口が多すぎるので一人当たりの緑地面積が少なくなってしまうということなのでしょうね。でも、私のような観光客は空間しか見ないわけなので、パリには緑地が多いと感じるのでしょう。

改めて数値を見ると、パリ市の人口密度は東京都の3倍以上もあるのでした。東京23区と比較したら、だいぶ近づきますけど。これも実感がわいてこない。東京の都心にあるターミナル駅のあたりなど、地面から湧いてくるように人がたくさんいて恐怖感さえ思えるのに...。


パリには公園が少ないといっても、緑の中に身を置きたいと思ったら、大して努力しないでも行くことができるので、東京の都心に住むのとは事情が違うと思います。日曜日に郊外に出て良い空気を吸おうというのも簡単にできるのです。

例えば、パリから地下鉄に乗って1時間足らずで到着するサン=ジェルマン=アン=レイ。地下鉄の駅に行くと、終点として名前が出ているので覚えてしまった地名。

この町に行ったときに書いたブログで使った写真を入れます。



ホテルの窓から撮影したもので、中央に見えるのはセーヌ河。こんなに森だらけの風景になっているのです。

東京から新幹線に乗って横浜に到着する時間が過ぎたら、パリなら地平線のかなたまで人家は見えない田舎の風景が広がってしまいます。


東京都内にある公園

東京都建設局のサイト情報によると、公園(都市公園 *、都市公園以外の公園 **)の面積は合計約7,696ヘクタールで、都民一人当たりの都市公園等の公園面積は5.78 ㎡(2014年)。
*  建設局で管理するのが都市公園(国営公園、都立公園、区市町村立公園)で、81カ所(約1,991 ha)。
** 区市町村が設置する児童遊園等、国が設置する国民公園等、東京都港湾局が設置する海上公園、公社・公団等が設置する住宅地内の公園、東京都環境局が設置する自然ふれあい公園

東京23区内だけでも、けっこう広い都市公園があるのでした。

http://1manken.hatenablog.com/entry/2015/01/24/131718
23区内の都立公園面積TOP10 地図で比べてみた


上にリンクしたサイトでは「都立公園」と書いてあるのですが、「都市公園」を指していました。これをパリにある公園の広さのランキングと比較してみました。飛びぬけて大きな森が2つあるのを除けば、パリは東京より公園の規模が小さいのですね。

東京都23区の都市公園パリ市の公園
 Bois de Vincennes
995万 m2
Bois de Boulogne
846万 m2
水元公園(葛飾区)
93.7万 m2
 
葛西臨海公園(江戸川区)
80.6万 m2
舎人公園(足立区)
62.9万 m2
光が丘公園(練馬区/板橋区)
60.8万 m2
代々木公園(渋谷区)
54.1万 m2
Parc de la Villette
55.0万 m2
上野恩賜公園(台東区)
53.9万 m2
Jardin des Tuileries
28.0万 m2
ほかに...
20万以上の公園: 10カ所
|40~49万: 2カ所
|30~39万: 2カ所
|20~29万: 6カ所
Parc des Buttes-Chaumont
24.7万 m2
Parc du Champ-de-Mars
24.3万 m2
Jardin des plantes
23.5万 m2
Jardin du Luxembourg
22.5万 m2



東京の公園をうまく活用できない...

大きな公園が東京にはあると知ったのですが、上位4つは都心からは離れていますね。例えば、自然に触れるために水元公園に行こうとした場合、車だと30キロくらいの距離。東京駅から電車に乗ると、1時間くらいかかるようです。

パリの2つの大きな森は、市の中心から4~5キロのところにあります。ルーブル美術館を見たあと、ちょっとヴァンセンヌの森に行ってみようと思って地下鉄に乗れば、20分くらいで着いてします。

むかし、始めてフランスに長期滞在して帰国したとき、東京の公園を利用しようと思い立ちました。まず行ったのは上野の公園。ところが、歩き出してから5分もしないとき、どこからともなく男性が現れて声をかけてきたのでした。一見して痴漢だと分かるので怖くなりました。

それであせって、「私、急いでおりますので」と言って、足早に公園を通り抜けました! のんびりしようと思って行ったのに...。

気がついてみると、日本の公園というのは、雨が多いせいか木がうっそうとしていて、土もサラサラとはしていなくて、どことなく陰気な雰囲気があるのでした。それ以来、公園に行くのは止めました。いま行ったら、誰も追いかけて来なくなっているでしょうけれど!

1人で行ったのがいけなかった。その後、友達とお茶をしようということになったとき、電車で行くと乗換なしで行けるところに大きな森林公園があるので行ってみようと、と誘いました。書きながらしらべたら、あそこは国営武蔵丘陵森林公園といって、埼玉県なのですね。

森林公園行きの電車に乗った私たち。なかなか到着しない。1時間くらいして目的地に着いたときには、帰りのことを考えたらのんびりはできないと分かって、そのまままた逆の電車に乗って戻ってきてしまいました。

あるとき、やはり自然の中で息抜きがしたいと思って明治神宮に行ってみました。ところが、くつろげる雰囲気ではないのでした! 余りにもショックだったので、ブログに書いています:
帰国した日本は騒音地獄 2004/02/15

高校生のときには新宿御苑に行って勉強するのが好きだったのを思い出しました。久しく行っていません。東京にいるときに遊びに行くのに便利な公園を見つけたいと思いました。

東京の大きな公園では、バーベキューができるところがありました。でも公園情報を見ると、遊園地風に見えるところもある。庭園になっているところは入場料をとられる。フランス風にふらりと公園に行って、のんびり時間を過ごしたかったら、ちゃんと探さないとダメなように思いました。電車に1時間以上も乗ってでかけて、がっかりしたら悔しいですから。


フランスのドキュメンタリー番組: 世界の首都の比較

フランスで教養番組のテレビ局Arteが、「Naturopolis」と題するシリーズで世界の大都市の緑化に対する努力に関するドキュメンタリーを作っていました。東京とパリもその中に入っていたのです。

東京編の予告ビデオ: ⇒ 英語版の動画はこちら


Naturopolis - Tokyo, de la mégapole à la ville-jardin

下の方が、少し長く入れています ↓


NATUROPOLIS : TOKYO - BA VF

全部は有料でしか見れないのが残念。

江戸時代の江戸はガーデン・シティーだったのだから、今のコンクリートジャングルに昔の東京の姿を取り戻そうと努力をしている人たちがいる、という纏め方のようです。

何かの本で、江戸で空間を占領していたのは武家屋敷の地域で、庶民はひどく密集して住んでいたのだ、と読んだのだけれどな...。

歌川広重の『名所江戸百景(1856年)』は、江戸と言いながら田舎のような風景ばかりが入っているので驚きます。でも、庶民の家がゴタゴタに並んでいるのも垣間見れるのです。

画像をクリックして拡大していただかないと人家が見えないでしょうけれど、1つの例 ↓

 日本橋江戸ばし

ともかく、日本編を見ていないので、ドキュメンタリーでは何を報道していたのか分かりません。


パリに関するドキュメンタリーは、パリに生物多様性を取り戻す努力、緑化を進めている様子などを見せていました。理想とする未来型のグリーン・シティが実現するか?... ということろ。

パリ市に関するドキュメンタリーは、次のサイトで全編を見ることができます:
Naturopolis  Et si Paris se mettait au vert...

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの都市と農村 »  Parisについて考える

外部リンク:
【パリ市の緑地】
☆ Paris.fr: Nature et espaces verts
☆ Paris.fr: Espaces verts  Parcs, jardins et squares de Paris
☆ apur: Développer le végétal à Paris. Les nouvelles règles du Plan local d'urbanisme de Paris 2004年
25 hectares de nature en plus à Paris en 2013
Bois, parcs et jardins à Paris (現在と1900年の姿の写真)
Avec les jardins partagés, Paris part en campagne
フランスニュースダイジェスト: 夏のパリの公園へ行こう

【フランスのグリーンな町】
☆ UNEP: Le Palmarès des villes les plus vertes de France 2014年
Le palmarès des villes les plus vertes de France
Quelles sont les villes les plus vertes de France
☆ Wikipedia: フランスの都市の一覧

【Arte - Naturapolis】
☆ Télérama: Naturopolis (2013) - Documentaire
Et si Paris se mettait au vert, ça donnerait quoi Réponse ce soir sur Arte Ma planète
Naturopolis - Tokyo, de la mégapole à la ville-jardin en streaming
Tokyo, de la mégapole à la ville-jardin ARTE Future
☆ Arte: Naturopolis - la série

【日本情報】
☆ 東京都建設局: 東京都の公園 ⇒ 東京都の公園 (パンフレットダウンロード)
~公園に行きたくなるサイト~ 公園へ行こう!
一人あたりの公園面積
☆ 東京都政策企画局: 世界の中の東京


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (6) | Top
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2015/04/30
初めて会ったフランス人からよく言われることに、こういうのがあります。
― 日本では女性が虐げられているのですってね

フランス人には身近なイスラム教の国々と混同しているのではないの? と返事したくなる。もっとも、フランスで知っているイスラム系の夫婦の場合は、夫には妻を養うという責任感があるので日本に似ていると感じ、フランス人たちが思っているように男尊女卑とは言い切れないと思ったのですが。

ともかく、日本は時代遅れの社会であるかのように言われると腹立たしくなります。それで、日本はそうではないと立証したくなる。

私は、こんな例を持ち出してみたことがありました。


(1) 日本の夫は「粗大ごみ」とも呼ばれる

日本の家庭では、妻の地位は低いわけではない。小さなマンションに住んでいると、平日は不在の夫のスペースがない場合が多い。それで、たまにいると邪魔者になる。それで、「粗大ごみ」などとさえ言われてしまう。

フランス人の既婚女性に対して言ったのでした。お笑いするだろうと思って言ったのですが、なぜか、とても嫌な顔をされたのでした。

書きながら確認してみたら、これは定年退職した夫に対して使う言葉だったようです。私は、日曜日に家の中でいる場がない夫もそう呼ばれているかと思っていたのですが。

これは、あまりにも嫌な顔をされたので、1回限りで言わないことにしました。

考えてみると、日本人は家族を「身内」と思う気もちが強いので、「愚妻」などとさえ言ってしまうのですよね。「粗大ごみ」とか「愚妻」とか言う人を見ても、彼らが伴侶を虐げているとは思わない。それに対して、フランス人は家族でも一人の個人だと見るせいか、妻が美人で気立ても良いとか、子どもの学校の成績が優秀なのだとかいうことを平気で言います。


(2) 夫は働いて、妻と子どもを養う義務があるとされている

日本の既婚女性は就業率が低いから「女性が虐げられている」と思うのかもしれない。イスラム系の夫婦では、妻は夫の許可がないと外出できないとか、外出するときにはスカーフで顔を覆う、などというのが知られていますから。

それで、説明してみます。

夫は妻からお小遣いをもらって会社に行き、それに合わせた金額でランチを食べる。だから、「千円亭主」なんていう言葉もある。

そして、昼時に東京の良いレストランに入ると、既婚女性のグループが目立つ。趣味でスポーツなどを楽しんでいる奥様たちも多い。そういうのを見ると、「妻には働かないで家にいて欲しいと男性たちが思うなら、どうぞ働いてください」と私なら言いたくなる。

これは友達の既婚女性から羨ましがられました。結婚しても仕事を続けるのが普通のフランスなので、「私だって働かなくて良いなら、会社なんかに行きたくない」と彼女は言っていました。



そうは言うのですが、やはり日本では女性の地位が低いと言えるかな、という場面に出会うことはありますね...。

例えば、こういう場面はフランスでは絶対にありえないだろう、と思ったことがありました。

一人で鎌倉に観光に行ったときのこと。ガイドブックに紹介されていた素敵なレストランに入りました。向うの方に座っている若い男女が不自然なので、なぜか目が行ってしまいました。

いかにもお見合いのデートという感じ。男性の方が料理を選んで注文しているのでした。相手の女性には何も聞かないで決めているのが私には不愉快に感じてしまいました。

お勘定を払うのは男性の方なのでしょうけど、少しくらいは何が食べたいか聞いてあげたって良いではないですか?
でも、こういう場面で、女の子の方が「私はそれより、この料理の方が食べたい」などと言ったら、縁談は成り立たないのかも知れない...。

考えてみると、こういう風に女性に押し付ける男性って、日本には時々いますね...。フランスの場合は全く逆なのです。決定するのは女性、と決まっている感じがします。

フランスにはギャラントリー・フランセーズと呼ばれるレディーファーストの文化があるのです。女性解放の前に生きた年齢の人たちだと、今の若い人たちよりずっとレディーファーストの精神が徹底していて、女性にはメロメロに優しいです。

結局、レディーファーストというのも、女性は男性より弱いから助けなければいけないという発想であって、逆さまにすれば女性蔑視だと思っています。


家事をしなくても、専業主婦

日本とフランスという、文化がかなり違う国を比較しても意味がないかも知れない。でも、私には面白いので、ついつい比較してしまいます。

例えば、気になる日本語の一つに「専業主婦」があります。

フランス人は日本では女性の地位が低いと思っているけれど、日本の専業主婦は公認されているとでも言えるくらいの地位が与えられていると感じるのです。

「専業主婦」をどうフランス語に訳すかについては後で書きますが、「仕事を持たない妻」を指すわけなので、単語は存在します。

でも、日本では「専業主婦」に対立して使われる「兼業主婦」というニュアンスの言葉は、すんなり置き換えられるフランス語は存在しないのではないかと思います。

思えば、奇妙な言葉ではないですか? 「兼業」というと「副業」みたいで、家事を疎かにしている妻のような印象を与えるではないですか? とすると、日本ではやはり、妻は専業主婦であるべきだという文化がまだ残っているように感じます。

でも、妻である立場というのは、職業とは違います。家事や子育てを全くしなくても妻でいられますが、その人が職業を持っていない限りは、あたかも主婦業をやっているように「専業主婦」と呼ぶではないですか?

経済的に余裕があれば、家事をしてくれる使用人たちを雇うことができます。あるいは、親と同居していたり、夫が家事をする環境にあれば、いわゆる主婦の仕事にはタッチしないでもいられるはず。

逆に、外で働いていて、主婦業は「兼業」としてやっている妻であっても、きれい好きなどの理由で、平均的な専業主婦よりも家事に時間をかけている人たちがいる可能性もあります。

昔の家事は大変だったし、子どもの数も多かったので、専業主婦という言い方はすんなり受け取れます。でも、今日の日本で、掃除にも時間がかからない狭いマンションに住み、子どもがいない若い妻が、主婦業を専業でやっている、と傍から評価するのは不自然だと思うのですけど...。


フランス語でも「専業主婦」という言い方は存在する

「専業主婦」という言葉は、フランス語にはないような印象を持っていたのですが、存在はするのでした。少なくとも、女性の社会進出が進むまでの時代に、フランスでも専業主婦が普通だったわけですから。 

でも、「主婦」という、日本では普通に使う言葉に対応する単語は、フランスには存在していないように感じます。それで、辞書をひいて用語を拾い出してみました。

femme、épouse
主婦mènagère、mère de famille、maîtresse de maison
専業主婦femme au foyer、mère au foyer

そもそも、フランス語は変なのですよね。妻というときに普通に使われるのは「femme」ですが、これは男性に対して女性を示す単語です。「私の」などと付けると「妻」になる...。直訳したら「私の女」になるので、Googleの自動翻訳でそう出てきたら面白いと思って実験してみたら、ちゃんと「私の妻」と出てきました!

ここに出てきている「mère」は母親のことです。なので、子どもがいない妻の場合には使えません。

しかも、フランスでは法的な結婚はしていないけれど事実上は結婚していると同じに扱われるカップルが多く、彼らの場合は「内縁の妻」という感じには全くなりません。法的な結婚をしていない女性は、本人も伴侶も「femme」や「épouse」とは異なる単語を使います。でも、複雑になりすぎるのは避けたいので、それは無視することにします。

並べた単語はイコールでは結べません。他の意味になってしまう単語もあります。「maîtresse de maison」は家を取り仕切っている女性を指すので「主婦」と言えますが、施設の館長を務める女性にも使う。

しっくりいかないのは、「主婦」に相当するとして辞書にあったmènagère。古い言葉では、女中、家政婦という意味があるので、日常会話で「彼女はmènagèreだ」というような言い方はしないと思います。「femme de ménage」だと、よその家で働く家政婦になってしまいますし。

考えてみれば、日本語の「主婦」は「mènagère」のイメージかもしれないですね。日本は相変わらず専業主婦が多いのだろうと思っていたのですが、最近は日本でも共働き世帯が増加していて、専業主婦と兼業主婦の割合はほとんど同じに近づいているようでした。

「mère de famille」は耳にすることがある言葉ですが、直訳すれば「家族の母」なので、子どもがいない女性には使わないのではないでしょうか? 子どもが1人しかいない主婦に対して使ったら不自然なのではないかという気もします。

Wiikipediaにある「主婦」からリンクされているフランス語ページは「Femme au foyer」でした。この単語は、仏和大辞典では「専業主婦」に充てています。

「foyer」というのは、暖炉、かまど。そこから転じて、集会所、中心などの意味もあります。そこにいる「妻(femme)」というのを付けて表現しているのは、なかなか良い表現だと思いました。日本も旧家にいるお婆さんというのは、そういう絶対的な権威を持った存在だと思うので共通点を感じました。

ともかく、フランスでは日本語の「主婦」に相当する単語がないので、「主婦」であることのニュアンスを出すなら、「femme au foyer」を使うのが適当かな、という気がしました。でも、そうしてしまうと、仕事を持たずに家にいる妻ということになってしまうようです。

仕事を持たない妻のことを現代で話題にするには、フランス語訳では「femme au foyer」するのが一般的なのだろうと思えてきました。

子どもが10人くらいいるのが普通だった時代についての文章では、妻は仕事をもたないのが普通でしたから、「主婦」と置き換えても問題はなかったはずですけれど。

フランスでも、女性が社会進出を始める以前には、専業主婦の立場は高く見られていたような印象を受けました。何しろフランスは、第一次大戦のときには大量の戦死者が出て人口危機に陥った国。たくさんの子どもを作ることが奨励されました。

第二次世界大戦からしばらくの間も、「femme au foyer(専業主婦)は、le plus beau métier du monde(世界で最も素晴らしい職業)」という表現が存在していたようです。

戦後のベビーブームは日本より長く続いたフランス。妻は専業主婦でいた方が経済的でもあるのだ、と啓蒙しているらしいポスターも見つかりました。1950年代のものだと思います。





正しい訳語をを私などが探していても意味はないので、次のように受け取ることにしました:
専業主婦 = femme au foyer

フランスの国立統計経済研究所(INSEE)が無職の妻に関する調査をしていて(2013年)、そこでは「femme au foyer」を使っていたからです。

それをフランス人に話したら、「femme au foyer」などという言葉は、中年世代が子どもだった頃までの時代に使っていた言葉であって、今はもう使わないのだ、と言われてしまったのではありますが。


現代のフランスでは妻も働いているのが一般的なので、専業主婦というのは少し特殊な立場になっています。興味深かったので、次回にそれを紹介してみようと思ったのですが、道草をしました。

続き:
フランスの専業主婦のイメージを画像で眺めてみる

シリーズ記事: フランスの専業主婦の実態 2015年  目次


ブログ内リンク:
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方
好きでないオペラ: 蝶々夫人 2011/01/02

【ギャラントリーについて】
カフェで「ボクの愛しい人」と呼ばれてしまったのには理由がある 2006/08/14

外部リンク(日本に関して):
1000万世帯を超えなお増加中…共働き世帯の増え方をグラフ化してみる(2014年)(最新)
男女共同参画白書(概要版) 平成23年版
増える妻パート世帯と減少する専業主婦世帯 - 平成15年版 国民生活白書
就業ニーズ別にみた女性雇用促進の課題 ~15‐44 歳の有配偶女性の就業希望は268万人規模~ (2009年)
2013年 第5回全国家庭動向調査 - 国立社会保障・人口問題研究所
NAVER まとめ: 専業主婦 ~ 妻に働いてほしくない夫の本
AERA: 専業主婦は「良妻」か「毒妻」か
専業主婦に関する5つの誤解
結婚相手に求める「貯金額」、独身女性の6割が「300万円以上」と回答
☆ 武田邦彦: 日本のルーツ04 日本ができたときのトップ
内閣官房キャラ弁騒動でも露呈「手が込んだお弁当=母親の愛情」という信仰にあの料理家が…
パート問題で論争再燃!『サザエさん』は保守かフェミか? マスオさんとは正常位だけか?
Le Monde: Quand les Japonaises prennent la tête de l’opposition à Abe 2015/07/07
「仕事と結婚」、理想と現実のギャップにとらわれた女性たち


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2015/03/24
少し前から、理解に苦しむ日本の流行があります。やたらに大きなぬいぐるみです。子どもを喜ばせるためにしているのなら自然ですが、大人ももてはやしているようなのが不思議...。

もう慣れてきたけれど、始めの頃は日本が狂ってしまったのかと心配しました。

私は自分が常識外れだと自覚しているので、覚えた単語はメモ。


ゆるキャラ

地方自治体がマスコットを作っていて、それを「ゆるキャラ」と呼ぶ。「ゆるいマスコットキャラクター」を略したものでなのだそう。「ゆるい」というのは、ほのぼのとしているという意味のようでした。

https://www.nikkei4946.com/zenzukai/detail.aspx?zenzukai=124
「ゆるキャラ」ブームの現状を知る:nikkei4946(全図解ニュース解説)

子ども受けするためにマスコットを作ったのかと思ったのですが、大人たちにも好かれている様子。

昔からサッカーチームなどにはマスコットがあることは知っていましたけど...。

私が初めて出会ったのは「くまモン」でした。東京のイベントに来ていて、何なのかと一緒に行った友達に聞いたら、「あなた、知らないの?!」と言われてしまいました。そのイベントのことを覚えているので、あれは2012年のことでしたね。


こういうところにも、ぬいぐるみを飾ってあるのって...

ご当地キャラ」という言葉もありました。経済効果が大きいのですって。私は何も貢献してあげたことはないのですが...。

でも、政治家としては、そういうのが流行っていて、地域振興のためには大歓迎なのでしょう。でも、自治体のお役人さんの部屋に縫いぐるみが置いてあるのって、初めて見たときにはびっくりしました。

たとえば、こんな感じ。市長室だそうです。

AMATIASアマチアス“行って見役所”上尾市役所編

こういう場面って、日本以外の国でも見かけることがあるのでしょうか?

フランスではありえないのではないかな?...

ブルゴーニュ地方で県知事さんの部屋を見学したときのことをブログに書いていたので、そこに入れた写真を眺めて、ぬいぐるみを置いたらどうなるかを想像してみました。


ヨンヌ県知事のオフィスを見学  2010/09/24

オレンジ色がアクセントになっている部屋なので、こんなのが良いのではないかと思って選びました。しかも、去年の「ゆるキャラグランプリ」でグランプリを獲得した「ぐんまちゃん」だそうなので。

オレンジ色の他に、県知事さんのデスクのところに置いてある三色旗の色も入ったマスコットなので、ぴったり?

でも、この県知事さんのオフィスは宗教建築物だった建物で、ロマネスク様式の回廊画窓にあります。その前に置いたら違和感があるかな? では、反対側に移動していただきます。



フランスの友達がこの写真を見たら、何を遊んでいるの?! と言われてしまいそう。書いてあることは読めないから、私のブログの写真だけ眺める友達がいるのです。

フランス語のページで検索しみたら「Yuru Kyara」という単語でたくさん出てきました。フランス人に聞かれたら、そういう記事のリンクを教えて読むように言えば良いわけで、私が何であるかを調べて説明する必要はないですね。


思えば、フランスにもマスコットのようなものがある町がありました。例えば、ブルゴーニュ地方の行政中心地のディジョン市。この街では旧市街にあるフクロウの彫刻がシンボルに使われていて、お土産屋でもフクロウの小物を売っています。

そのことについては記事にしていました:
ディジョン名物はフクロウだと思っていたら、ミミズクだった? 2014/08/18

ディジョンの市長室にフクロウが飾ってあるということはありえるだろうか?... 「ディジョン」と「市長」のフランス語をキーワードにして検索してみたら、出てきたのでした!

http://www.bienpublic.com/grand-dijon/2013/09/11/tous-derriere-le-dijon-fco
Dijon | Tous derrière le Dijon FCO ! - Le Bien Public

Logo du Dijon FCOフクロウのぬいぐるみのような人形と、前市長の姿が写っています。

あれ、あれ...、フランスでも?! 

... と思ったのですが、違った。ディジョンのサッカーチーム「Dijon FCO」のマスコットがフクロウで、その人形なのでした。
 
でも、私には分からないのです...。なぜ、ゆるキャラとか、ご当地キャラというのは経済効果が大きいのか?...

ディジョン市にもマスコットとも言えるフクロウがいますが、それで地域経済が発展したなんて聞いたことがありません。儲かるとか言う人がいるとしたら、フクロウ・グッズを作っている会社かもしれないけど、騒ぐほどには利益をあげてはいないと思うのです...。

上に入れたサッカーチームのメンバーと一緒に写っているフランソワ・レブサメン前ディジョン市長は、労働・雇用・職業教育・労使対話大臣として内閣に入ってから市長の座を降りたのですが、古都ディジョンを見違えるように活気づけました。フクロウとは全く関係ありません。日本だと、住みやすい街にする政治より、地域にお金が入るようにする政治家の方が評価されるのかな?...


「マスコット」の語源はプロヴァンス語だった

マスコットのことを調べていたら、この言葉はフランス語から来ているのだと聞いて驚きました。英語ではmascotで、フランス語でmascotte(女性名詞)と綴る。

フランス語のWikipediaの記述が正しいとすれば、プロヴァンスの言葉で、魔女(sortilège)を意味する「mascoto」が語源なのだそう。

プロヴァンス語の綴りは「mascotto」となっているのもありました。masco(魔法使い)の女性形だそうです。遡ると、イタリア語(方言)のmasca、さらにさかのぼると中世ラテン語のmasca。それより前の語源は分からない。

マスコットは、ただ可愛いというのではなくて、ご利益があるとか、幸運をもたらすお守りとかいうニュアンスがあるわけですね。

プロヴァンスの作家フレデリック・ミストラル(Frédéric Mistral)がこの言葉を紹介したと聞くと、なるほどと思いますね。ただし、マスコットという言葉が広まったのは、Edmond Audran(1842~1901年)のオペレレッタ『La Mascotte (1880年)』だった、という記述もありました

この作曲家も、そのオペレッタも知らないので、探してみました。


Duetto des dindons - Lys Operette (La Mascotte - Edmond Audran)

聞いてみても、あぁ、あれか、とは思い当りませんでした。でも、ここに入れたデュエットは、フランス人には知られているメロディーなのだとか...。

コメントをいただいて、また「ゆるキャラ」について考えてしまいました。
続きへ: 「ゆるキャラ」の人気はどこから来るの?

外部リンク:
「ゆるキャラ」ブームの現状を知る(全図解ニュース解説)
☆ Wikipedia: ゆるキャラ
☆ Wikipedia: 官公庁のマスコットキャラクター一覧
Au pays enchanté de l’ordre public nippon
☆ nippon.com: Le sommet des mascottes « yuru kyara »
Culture Nipponne # 21 Planète mascottes
☆ CNRTL: Etymologie de MASCOTTE
☆ Wikipédia: Edmond Audran  » La Mascotte
ゆるキャラは、地方創生に役立っているのか - 「地域活性化」という曖昧な言葉に騙されるな

内部リンク:
フランスがBentoブームって本当?  2011/11/19
★ 目次: クラシック音楽
★ 目次: ブルゴーニュの古都ディジョンの観光スポットや特産品など
★ 目次: 縁起物や迷信について書いた記事 (フランスを中心に)


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム


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2014/09/27
前回の日記「「限界集落」という言葉が気に入らない」 で、日本独特の表現「限界集落」の一般的な定義は次のようになっていると書きました。

65 歳以上の高齢者が集落人口の半数を超え、冠婚葬祭をはじめ田役、道役などの社会的共同生活の維持が困難な状態に置かれている集落


高齢者が多い集落は消滅する?

日本では、過疎地域などに6万2271の集落が存在し、10年以内に消滅する可能性のある集落が422(0.7%)、10年以降に消滅する可能性のある集落が2219(3.6%)と予測されているのだそう(総務省調査、2006年)。

フランスでは、仕事のために都会に住んで、働かなくても老齢年金で生活でるようになったら田舎に住むというパターンが多いので、当然ながら農村の人口は高齢化しているように感じています。

でも、高齢者が多い村のフランスのお年寄りに、「あなたの村は近いうちに消滅する危険にさらされている」などという失礼なことを言うなんて想像もできません。もしも言ったら、すごい剣幕で怒られて、二度とそこには行けなくなるのではないでしょうか?

日本ではそれを言ってしまうのだから、すごいと思う!

そもそも、高齢者が多い集落 = 集落の消滅 となるのでしょうか? 私が住んでいる村でも、高齢者が次々に亡くなりますが、その人の家は売りにでて、新しい人たちが住み始めます。

子どもがいるような若い家族が引っ越してくるのも目立ちます。働き盛りの人たちが農村に入ってくると、仕事を見つけられるのかなと心配になります。

フランスは工業国ではないので、農村に工場などがある地域はかなり限られます。どの村にも役場はあるけれど、日本の役場のような機能は果たしていないので、人口が300人くらいの規模の村でも、役場に雇われるのは週に3回くらい出勤してパートで働くセクレタリー1人、オフィスの掃除婦、道路の草刈りなどを担当する人が周辺の村と一緒に雇用される程度です。

どうやって生活の糧をえるのかと思ってしまいますが、田舎では生活費がかからないので、共働きが普通のフランスとはいえ、奥さんの方は仕事がなくても生活していけるようですけれど。


フランスの高齢村ランキング

フランスには、人口50人未満の村が1,000近くあります。「限界集落」と呼べるような農村が多いだろうと思って調べたくなりました。フランスで最も高齢者人口が多い市町村のランキングをグラフで分かりやすく見せているサイトを発見♪

☆ L'Internaute: Les villes les plus vieilles de France

2010年の人口データを拾うことができました。

日本の「限界集落」は65歳以上で区切っているのですが、フランスの高齢村ランキングでは75歳以上にボーダーラインを置いています。

また、日本では「集落」を単位にして取り扱っているのですが、フランスのランキングでは「(village)」単位のデータです。農村の中の中心部から外れて存在する集落(hameau)についてのデータは見つかりませんでした。

フランスは市町村でさえ3万6,000以上あるので、集落単位では調べきれないのではないかと思います。 そもそも、行政や福祉は市町村単位で行っているのですから、村に点在している集落を隔離して取り上げる必要もないはずですし。

Mela村 (人口 31人、60歳以上人口 67%


フランスの市町村・高齢者人口ランキング
第1位 Charmes-en-l'Angle村 (Haute-Marne県) 75歳以上人口: 57.14%
http://www.linternaute.com/ville/charmes-en-l-angle/ville-52109/demographie
シャンパーニュ・アルデンヌ地方にある村。県庁所在地から50Kmなので僻地には見えません。

それにしても、45歳未満は1人も住んでいないとは、凄まじいですね~! でも、7人しか住んでいない村で、人口密度は1Km²あたり1人。世帯数は4。75歳以上が4人、45~59歳が3人。  

村には18世紀に建てられた立派な城があります。この村の面積は約7Km²しかないので、城の敷地が村になっているのかも知れない。この村の住民とは、この城に住んでいる一族と庭師だけなのではないかという気もします。

こんな美しい城が放置されるはずはないので、将来、この村に誰も住まなくなるということはありえないと思えます。


第2位 Bois-Sainte-Marie村 (Saône-et-Loire県)  75歳以上人口: 57.07%
http://www.linternaute.com/ville/bois-sainte-marie/ville-71041/demographie
第2位が我がブルゴーニュ地方ににある村だとはショック! でも、なんだか不自然なのです。

総人口199人のうち、75歳以上が113人もいる。60歳以上は村の人口の7割を占めています。ある程度の住民がいる村なのに、それは奇妙...。調べてみたら、120人収容する高齢者用福祉住宅があるので、そこで生活している人たちがいるために高齢人口が多くなっているのではないかと思いました。

村には美しいロマネスク教会があって、そこが音楽フェスティバルのコンサート会場になっているそうなので、限界集落などと暗いレッテルを張るにはふさわしくないと思います。


第3位 Cunel村 (Meuse県) 75歳以上人口: 50%
http://www.linternaute.com/ville/cunel/ville-55140/demographie
人口構成のグラフを見ると、普通に高齢化している村に見えます。でも、住人は14人しかいないので、第1位の村と同様に特殊な例ではないかな?...

第4位は、コルシカ島にある人口7人の村。
第5位は、アルプス地方にある人口2人の村。
 
20位くらいまでを眺めると、コルシカ島と山岳地帯にある村々が目立ちました。

コルシカは、ナポレオンが生まれる少し前まではイタリアだった島。本土とはメンタリティーが違うらしく、住む人がいなくなっても、家を売りに出さないのがコルシカ島の問題なのだと聞いたことがあります。

気候は良いし、観光地ですから別荘やレストランにするために買いたい人はいるけれど、彼らは売らない。手放さなかった時期が長いので、相続人はおびただしい数になっており、誰かが家を売ろうと言い出しても親族で意見が一致するのはほとんど不可能なので、どうしようもなくなっているとのこと。

コルシカ島に滞在して印象的だったことの1つは、海を臨む絶景の一等地に大きな墓ができていることでした。祖先を格別に大切にする風習があるのでしょうね。先祖の家を売却することに抵抗を感じるのは日本に似ているかな?...


典型的な年齢構成の村は?

高齢者率が非常に高い村は特殊すぎるのではないかと思って、ランキングのもう少し下にある市町村を探してみました。こんな山岳地帯だと普通に高齢化した村があるだろうなと思ってピックアップ。

第18位 Rocher村 (Ardèche県) 75歳以上人口: 37.99%
http://www.linternaute.com/ville/rocher/ville-07193/demographie
観光スポットのアルプスから外れた山岳地帯のアルデッ シュにある村です。

先日の日記「ジャン・フェラのシャンソン「ふるさとの山」に見る日仏文化の違い」に書いたシャンソンの舞台になった地方です。歌詞には、山の生活は厳しいけれど、百歳を超える老人なんてウジャウジャいるとあったのです が、空気が良いから長生きするのかもしれません。280人の住民のうち、75歳を超える人は106人を占めていました。

何もない山の中にある村のようで、観光情報は何も出てこない。最寄の大きな町までは60キロですが、山の中だから、車で行くと1 時間 かかるという立地だそうです。

65歳以上の人口でボーダーラインを引く「限界集落」の定義に入ってしまう村ですが、15歳未満人口は11%で、絶滅の危機にある村には見えません。

この村では、人口が、じわじわと増え続けています。
Wikipedia


第90位くらいまでが、75歳以上が30%の市町村となっていました。でも、高齢者人口が多くても、15歳以下の人口が非常に多い村もあって、村の中には年寄りばかりが住んでいるという感じがない村もたくさんあります。

山岳部では、ツーリズムが発達しているところも多くて、そんなに過疎化しているようにも見えないところもあります。村に住んでいるのはお年寄りが多いとしても、そこにあるホテルやレストランのオーナーは、村の外にある便利なところに住んでいるケースも多いはずです。子どもを育てるなら、学校がある市町村の方が便利ですから。


もう少しランキングを下位にして、高齢者の比率が30%の村を見てみました。

第82位 Mela村 (Corse-du-Sud県) 75歳以上人口: 30%
http://www.linternaute.com/ville/mela/ville-2A158/demographie
村の人口は31人。コルシカ島らしい美しい村の写真がでてきましたが、ここは完全に高齢化していますね。子どもも少ない。

戦後の人口減少によって、村の中にあった小学校が閉鎖されてしまったのだそう。でも、イベントをやっているし、文学賞を与えるコンクールもしているので頑張っているようです。


第83位 Souanyas村 (Pyrénées-Orientales県) 75歳以上人口: 30%
http://www.linternaute.com/ville/souanyas/ville-66197/demographie
スペインと国境を接するピレネー山脈がある地方の、人口42人の村。

15~29歳は1人もいないのに、14歳未満は7人いて比率が高いという奇妙な構造...。日本なら限界集落になってしまう構造ですが、若い世代も多いのだから安泰なのではないかと思ってしまいます。

この村でも近年は人口が増加しています。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Souanyas

21世紀になってからのフランスは、むしろ都市から農村への人口流失が加速化しているのが都市問題になっているのですが、その典型でしょうね。


典型的な農村を探してみる

ブルゴーニュ地方にあるコート・ドール県は、県内人口の半分が県庁所在地ディジョンの都市圏に集中していて、北の方に行くと過疎地です。

1970年代末に、文化人類学者がこの村を調査して、『ブルゴーニュの農民: ミノー村の人々』という有名な本の舞台にしたブルゴーニュの村があったのを思い出しました。日本の学者もかなり読んでいるようです。因習や村民たちの間に憎み合いがあって、どうしようも なく遅れている僻地という村の例だったらしい...。


Minot村 (Côte-d'Or県) 75歳以上人口: 9.5%
http://www.linternaute.com/ville/minot/ville-21415/demographie
この村が限界集落と呼ばれるようなタイプかと想像したのですが、全く当てはまらないですね。
現在の人口は207人(世帯数98)。人口密度6人/km²。 75歳以上は21人、60~74歳が48人。

それではと、同じコート・ドール県にある僻地を探してみる。人口が最も少ない村は規模が小さすぎて特殊すぎるように思えたので、人口が少ない村ランキング第2位の人口構成を拾います。

主要道路からかなり 入ったところにあるので、通りかかったこともない村だと思います。もちろん、観光客なんか間違っても行かないような僻地。ですので、高齢者ばかりだろうと思ったのだけれど、全く逆なのでありました!

Chaugey村 (Côte-d'Or県) 75歳以上人口: 1%
http://www.linternaute.com/ville/chaugey/ville-21157/demographie
村の人口 23人、世帯数8。人口密度3人/km²。

村には60歳以上が2人いるだけで、 子どもが3人いる世帯が4軒あるので、やたらに若い世代が多い村になっていました。

若い世代がやたらに多くて奇妙すぎる! この村を知っている人に聞いてみたら、村に住んでいるのは1族だけなので、 子どもたちが多くても全く不思議はないとのこと。

なるほど、住人の数が少ないから高齢者ばかり住んでいるとは言えないわけなのですね。

どういう人が住んでいるのか分からないと特殊事情があって把握できないだろうと思って、あちこちの知っている村の情報を見たのですが、過疎地でも、こんな風にケーキを等分に切ったみたいな人口の構成が普通の形になっているように見えました。

フランス人は子育てには田舎に住むのが一番と考える人が多いのだそうですので、小さな村でも若者をひきつけるのだろうと思いました。


地方都市では、どうなっている?

大都市では若者が多いはず。ブルゴーニュ最大都市のディジョン市は、大学もあるせいもあって、若者が多くなっています。それで、普通の都市として、ソーヌ・絵・ロワール県の県庁所在地の町の人口構成を見てみました。

Mâcon市 (Saône-et-Loire県 県庁所在地) 75歳以上人口: 10%
http://www.linternaute.com/ville/macon/ville-71270/demographie
総人口33,730人。 働き盛りの年齢層が多いのは、大きな町には仕事があるので、若い世代は集まるからでしょうね。

でも、上に入れたMinot村と余り分配の形が変わりませんね。行ったことがある僻地の村々でも、こんな風に丸いケーキを等分に切ったような形が目立ちました。私が住んでいる小さな村でも、高齢者が多いと思っていたのに同じような構成だったのでした。

フランスの小さな村でも高齢者は多いと思っていたのですが、高齢者が大半を占めているというわけでもないみたいですね。 結局、老齢年金生活者は働かないで村にいるから目立つのだろうと思いました。ダンスパーティーがつきものの村の食事会も、高齢者たちがたくさん来ています。若者たちは、もっとモダンなディスコなどに行くのでしょうから。

いずれにしても、人口が極端に少ない村だと、誰が住んでいるかによってしまっている。高齢者が多くても、子どもたちが多い村もあるので、全体像を捉えることができません。

誰かフランスの研究者が分析していないかと探してみたのですが、見つかりませんでした。そもそも、限界集落は消滅するなんて概念がフランスにはないのだから、当然かもしれません。

個々の村のデータを眺めていても意味がないと思い、追求はやめることにしました。

シリーズ記事: 限界集落

   目次:
    1. 
「限界集落」という言葉が気に入らない
    2. フランスの小さな村は高齢化しているわけでもない?



限界集落の定義に、65歳になったら「社会的共同生活の維持が困難」と言い切ってしまうことに抵抗を感じたので、75歳になるまで昔ながらの重労働の農業を続けていたフランスの男性を紹介したドキュメンタリーを紹介しました:
北フランスで昔ながらの農業を続けていたポールさん 2014/09/30

フランスは社会福祉国家なので、腰が曲がってしまったら老齢年金生活に入ろうと決心するのが普通だと思うのですが、日本だったら、もっと先まで頑張るだろうと思います。

ブログ内リンク:
フランスの市町村クイズ(3): 超過疎村 2008/11/23
   « シリーズ記事目次: フランスの市町村について  2008/11/19
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ » 都市と農村

外部リンク:
☆ コトバンク: 限界集落 とは
Les 100 premières villes de France avec le plus de retraités (%)
Les différents classements sur les villes, villages et communes de France
☆ Insee:
La population légale des communes (2006年)
Ces villages de moins de dix habitants
Top 10 des communes les moins peuplées de France


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2014/08/10
前回の日記「フランスの戦後の農業史を見せるドキュメンタリー番組」に入れた動画を見ながら、気になったシャンソンがありました。

戦後の近代化が進んだフランスで、農村から都市への人口が流れ出した場面のバックに流れていた曲です。

農業が近代化・大規模化したために農村の経済が急変して、農村では生き残れなくなった若者たちがパリに出て行った姿を映した暗い場面に、ぴったりと合ったノスタルジックなメロディー...。

シャンソンには詳しくない私でも知っている曲。
題名を思い出せないので歌詞の一部で検索すると、出てきました。


La montagne / ふるさとの山

私が好きなシャンソン歌手ジャン・フェラJean Ferrat: 1930~2010年)の代表的なヒット曲の1つで、「La Montagne(ラ・モンターニュ)」 と題された曲でした。

この曲がリリースされたのは1964年。その翌年に彼がミュージックホールで歌ったときの記録映像も出てきました。



ずっと後の録画のようですが、YouTubeで再生回数が100万を軽く超していたのは、こちら:
La montagne - Jean Ferrat


日本でも歌われているシャンソンなのかと調べてみたら、古賀力訳詞「ふるさとの山」という題名で、色々な歌手が歌っている動画が出てきました。


ふるさとの山/LA MONTAGNE 奥田晶子

日本でもヒットした曲のようです。ジャン・フェラの曲としては、この曲が最も有名であるという記述もありました。

でも、フランス語と日本語では歌詞の内容が違いすぎる!...
どうしてなのかを考えてみたくなりました。


詩を訳すのは非常に難しいのだけれど...

フランス人が言ったことを私が日本人に訳すと、やたらに長くなります。「ひとこと言っただけなのに、なんでそんなに長々と訳しているの?」と言われたことが何度もありました。

でも、言い訳をします。文化が異なる国同士だと、対応する単語がない場合もある。単純に置き換えられる日本語があっても、日本には存在しないもののことだったら、それが何であるかを説明する必要がある。裏の意味で言っている場合には、そのことも加えないと意味が伝わらない...。

話しながら訳すのだったら、原文の10倍もしゃべっていると文句を言われる程度で済みますが、詩を訳すとなったらそうはいきません。まして、それが歌われるのだとしたら、メロディーの雰囲気にも合わせた言葉を選ばなければならない。

歌詞の翻訳は大変な作業だろうと思います。

明治時代にはフランス文学を翻訳した優れた文学者たちが日本にいました。日本語として美しい言葉。単なる翻訳者ではなくて、作品を作りなおしてしまうほどの能力がある文学者と呼ぶべきでしょう。


このシャンソンの題名は、フランス語では「La Montagne(ラ・モンターニュ)」です。これをそのまま 「山(やま)」としたら、短すぎてしまりがない。歌の内容を汲んで「ふるさとの山」としたのはお見事だと思いました。

この曲の中には、山岳地帯で生きた老人のしぐさ、農村の生活、食べ物、都会がどんなところなのかなど、フランス人でないと分からないような単語や表現がゴロゴロ入っています。ですので、訳された古賀力さんは、日本人にも伝わるイメージの世界に描き直す必要があると考えられたのだろうと思います。

でも、ここまで変えてしまう理由があったのだろうか、と思ってしまう箇所があるので、どうにも気になりました...。


歌詞の違いを比較

どこがどう違うと私に見えたのか、結論から始めます。私にはフランス語の詩を読み取ることは難しすぎるとお断りしておかなければなりませんが、私なりに受け取ったフランス語の詩と、日本語の歌詞(古賀力訳詩)との違いを表にしてみます。

イメージ日本語訳フランス語
故郷を
捨てる理由
都会への憧れ生活費を稼ぐ手段
都会生活への妄想
山の生活の
魅力と欠点
美しい山、森
土のにおい
のどかな陽だまり
うまい水、せせらぎ
花が咲き乱れている
小鳥、こだま
豊かな自然
ぶどう栽培
素朴な人、老人
放置されたブドウ畑
美しい山、森
老人たち(エレガントではないが、美味しい食べ物を味わっている。辛い仕事も耐えて、気高く生きる。不味いワインを飲んでいても長寿)

僅かばかりの家畜を飼育し、良い年もあれば、悪い年もある農業を営む
バカンスがない
娯楽がない
放棄されたブドウ畑
都会生活の
魅力と欠点

モダンなカフェテリア
ジャズに酔いしれる

モダンなアパートに住む
気楽なサラリーマン生活

美味しい食べ物
安物だがモダンな家具
映画館

低所得者用の福祉的集合住宅に住む
警官か役人になり、年金生活を始められるのを楽しみに待つ生活
不味い食べ物

原詩では山の生活と都会生活には長所と欠点が描きだされているのですが、日本語の歌詞では山の生活も、都会の生活も良いことづくめになっていました。

原詩では、都会に憧れて故郷を捨てるのだけれど、都会で待っているのはしがないサラリーマン生活。山の生活には魅力があるという風になっています。ところが、訳詞の方では、都会生活は魅力的だけれど、山の生活にも良いところがあるのだ、と訴えている...。

この曲を作詞・作曲したジャン・フェラは1930年生まれ。ユダヤ人家庭に生まれ、父親はナチスに連行され、強制収容所で亡くなっています。共産主義作家のアラゴンに傾倒し、政治の批判もし、弱者に暖かい目を向ける人間愛に満ちたシンガーソングライターでした。

この曲は、故郷を捨てなければならなかった若者への共感を歌っているように私には思えました。3回繰り返されるリフレーンにそれを強く感じるのですが、その部分は日本語では消えてしまっています。日本では、主張があるシャンソンはヒットしないという配慮からなのでしょうか?


フランス語と日本語の歌詞の比較

[続きを読む  Lire la suite...]


2014/07/25
フランス人は食べることと、おしゃべりを楽しむ国民だと思います。特に、ここは食道楽のブルゴーニュだから、その傾向が強いのかもしれませんが。

人を家に招いて一緒に食事するとなったら、食卓に座ったままで6時間たつ、さらには、昼ごはんだったのが夜中を過ぎてから終わる、というのも珍しくありません。

これが私には疲れる...。

延々とおしゃべりが続くので、毎回同じことをしゃべる人、私には全然関係ない親戚や知人の話しをされると、退屈してしまいます。

こちらはフランス語を聞くときには神経を尖らせる努力をするわけですから、興味深い話しをしてくれないと、聞いている気もなくなります。

この人がいると退屈しない、という友人がいます。会うたびに異なった話しをしてくれるので、時間が立つのも忘れてしまいます。

何でも知らないことはないのではないかと思ってしまう人。色々な職業をした人だからかもしれない。古民家の修復技術から、果てはミツバチとアブの違いまで、話題にするテーマの広さったらありません。子ども時代の話しをするにしても、ただ語るのではなくて、ひと昔前のフランス人のメンタリティーはそうだったのかと感心させてくれます。フランスの話しだけではなくて、盆栽の作り方のテクニックまで話してくれる...。

その彼が、前回に会ったときには、フランス式の包丁の研ぎ方のデモンストレーションをしてくれていました。先日、食事に招待したら、セラミックの包丁をお土産に持ってきてくれました。

包丁を研ぎ方から発展して、研ぐ必要がないセラミック包丁の話しが出て、私がまだ使ったことがないと言っていたからプレゼントされたのと思います。


切れるものをプレゼンするには躊躇する...

ナイフをプレゼントするのは難だけど... という感じで出してきて、小銭をちょうだいと言われました。それで10サンチームのコインを出しました。

ナイスは切れる。つまり、友情が切れることになるという言い伝えがあるのだそう。それで私にナイフを買わせたわけでした。

「日本でも同じことを言うよ。結婚祝いには包丁をプレゼントしない」と私。

「へぇ、同じなの」と、面白がっていました。

言ってしまってから、少しして気がつきました。ブログのコメントで、包丁を結婚祝いにすると縁起が良いのだと教えてくれた方があったのです。

話題が他にいっているのに、日本の迷信の訂正をするのも面倒なので、そのまま...。ごめんね。間違ったことを言ってしまった。でも、切れるものをプレゼントするには敬遠する日本人もあると思うので、良いか...。


そうして日がたったのですが、パソコンを開いたら、ふと目に入ってきた広告がありました。結婚祝いに包丁セットを贈るという商品。


なに、なに... と思って開いてみたら、こう書いてあります。

http://item.rakuten.co.jp/sakai/10000538/ 


でも、調べてみたら「結婚祝いに包丁を贈ってもいいの? 」というのがあって、包丁を結婚祝いにする場合には、少し言葉をそえた方が良いようでした。

http://www.hadukuri1ban.jp/jiten_mame.html#2 
包丁の疑問にズバリ答えます!_包丁辞典【マメ知識編】利光



ナイフはコインと交換するという習慣

フランスは、日本に比べると迷信が少ないと思っていました。私が覚えたのは、くしゃみをした人に対して、厄払いのように言ってあげる言葉くらいのような気がします。 

こう言います:
À vos souhaits ! あるいは À tes souhaits !
「souhaits(願い)」の代わりに「amours(愛)」と言う人もいる。


フランスでも包丁と「切れる」が結びついた迷信があるのは面白い。友人が迷信深いだけかもしれないので調べてました。

ライヨール(Laguiole)というフランスの有名なナイフメーカーのサイトにミュージアムのコーナーがあり、それについての記述がありました。

http://www.musee-laguiole.com/fr/traditions_laguiole.htm
   Légendes, rumeurs et traditions - Le musée du Laguiole
 

ナイフをプレゼントすると、贈った人ともらった人の間の友情や愛情を切る、という言い伝えがあるのだそうです。それを避けるために、プレゼントをされた人はコインを1枚渡す。

お金を出すという風習は、フランスだけではなくて、このメーカーの商品を買う近隣諸国でも同じなのを確認しているそうです。この風習がどこからきているのか知っている人があったら教えてください、とも書いてありました。
 
それでも、他のフランス人に聞いてみたら、この風習を知らないと答えた人もいました。


10サンチームで買ったセラミックナイフには「アゴ」がなかった

セラミックナイフをプレゼントしていただいたのですが、これは日本の商品が優れているはずだと思っていた私は、少し拍子抜け。これを発明したのは京セラではなかったですか?

いただいたナイフは3点セット。写真を撮ろうかと思ったのですが、同じアイテムの画像をいただけるので、それを入れます。

Pradel Premium 035 2 Couteaux Céramique + 1 Éplucheur

セラミックナイフを手にしたのは初めて。刃は厚ぼったいので、こんなもので切れるのだろうかと疑いました。ところが、後で肉を切ってみたら、スパッとよく切れる!


でも... 私がこの包丁が気に入らない点がありました。日本の包丁だと、下の図でいう「アゴ」があるのに、それがない。

包丁の各部名称(和庖丁)

この「アゴ」という部分はとても大事だ、と私は思うのですけど。これがなかったら、ジャガイモの芽などはどうやって取り除く?...

でも、フランス人には必要ない部分なのかも知れません。

日本の包丁の質の高さはフランスでも評価されているので、日本製の包丁をフランス人にプレゼントしたことがありました。ところが、こう言われたのです。

私があげた包丁は良く切れるけど、アゴのところで手を切ってしまうので不便だ。

どういう手の使い方をしたら、そんなところで怪我をすることになるのかな?...


日本で売られている包丁は、和包丁洋包丁に分かれて分類されていました。でも、日本製の洋包丁にはアゴの部分があることが多いのではないかと感じました。

洋出刃包丁を楽天市場で検索

フランスの家庭で最もよく使われるのはCouteau Chefというものらしく、その名前を付けて日本でもシェフナイフという名の包丁がありました。「牛刀」に相当するのだそう。それを比較して眺めてみます。

フランス製

Pradel Jean Dubost 50417 Massif Couteau Chef
日本製

やはり、日本製の包丁にはアゴがありますね...。


セラミックナイフの手入れ

プレゼントしてくれた友人は、このナイフは研いではいけないのだ、と注意を与えていました。

でも、セラミックナイフも研げるという電動シャープナーがあったのですけど。

実は、京セラの電動ダイヤモンドシャープナーをフランスで使って気に入っていて、日本にいるときにも欲しいと思って、この冬に探したのでした。

京セラダイヤモンドシャープナーを楽天市場で検索

ともかく、日本は世界の中でも包丁にこだわりがある国ではないかと思います。そもそも、「包丁」と「ナイフ」という言葉を使い分けるではないですか?

フランス語にはcouteauしかありません。料理に使う包丁も、食事するときにフォークと一緒に使うナイフも、couteau。



ブログ内リンク:
ライヨールのナイフ 2006/03/02
まな板を使わないフランス人たち 2009/09/08
★ 目次: 縁起物や迷信について書いた記事 (フランスを中心に)
★ 目次: プレゼントや土産物に関して書いた記事
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事

外部リンク:
包丁Q&A
包丁辞典 【マメ知識編】
刃物はプレゼントに向いているか?→向いてる
Offrir une arme blanche
☆ Wikipédia: Couteau
☆ Wikipédia: Arme blanche
セラミック包丁の基礎知識!

☆ L'Express: À vos souhaits!
Pourquoi dit-on à tes souhaits à quelqu’un qui éternue
☆ expressio.fr: Expression « A vos souhaits ! »


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2014/02/05
フランスでは日曜日には普通の店が閉まっているのですけど、日曜日の商店営業を合法化しようというので、法律を犯して営業した店があったので騒がれたことがありました。ニュースを読み直してみたら、去年の秋でしたね。

働いている学生アルバイトなどがインタビューに応じていました。働きたい人が働くなら良いじゃないか、と私は思ったのですけれど、友人たちは口をそろえて「けしからん」と言っていました。

テレビで「けしからん」と言っていた人は、日曜日は家族団らんの日なのに、その風習を壊すのは良くない、という主張。でも、家族がいない人だっているわけだし、学生は日曜日が働き易くて、しかも平日より多くの報酬をもらえたら嬉しいと思うではないですか?

でも、反対する人たちの意見を聞いていると、そういう商店が出てくると、日曜日に働くのが普通になってしまうから、ということらしいと感じました。

こういうときに出てくるのが、「奴隷のように働かされる」という言い方。


奴隷という言葉が気になる

「奴隷」を持ち出すのは、ちょっとオーバーではないですか?

労働者の権利に関しては、日本は後進国なみだと思っているので、フランス人が「奴隷みたいに...」と言うのを聞くと、つい「日本はもっと酷いよ...」と言いたくなってしまう私...。

フランスが週35時間労働になってからは、週末に働かなければならない職種や地位の人たちなど、振替休日のおかげで年に休暇が8週間などという人は珍しくありません。

「年に8週間も休暇をくれる会社だったら、私なら、どんな仕事でも耐えちゃうけどな...」などと、友人に言ってしまったこともありました。そういうことを言うのって、全く励ましにはならないのは分かっているのですけど、うらやましくて、つい口走ってしまう...。

ともかく、日本では「奴隷のように働かされている」なんて表現しないですよね。・・・と書こうとしたのですけど、検索してみました。まず、契約社員とか、派遣社員とか、不利な働き方をしているケースの単語に「奴隷」を組み合わせてみる。

やはり使われているのですね...。書籍のタイトルにもなっていました。

30代こそ「奴隷」から抜け出そう!
脱・社内奴隷 「伝説の先輩」が教える幸せになるための仕事のルール (カードブック版)
「若者奴隷」時代 “若肉老食(パラサイトシルバー)”社会の到来 (晋遊舎ムック)
「研修生」という名の奴隷労働―外国人労働者問題とこれからの日本

でも、フランスで言われるときと違うような...。検索してでてきたネット上の発言でも、奴隷になってしまうような生き方をしているのがいけない、という声も目立ちました。本来、奴隷というのは、自分で望まないでそうなってしまう不幸なのだけれど...。

フランスで言われるのはこういう感じ、という文章が出てきました。

☆ アゴラ: 日本サラリーマンの「奴隷的」労働環境を問う

でも、外国で働いた経験がある人だから、「奴隷」という言葉で日本のサラリーマンを捉えたようにも思える。

書籍を検索してみて気がついたのですが、「奴隷」というと、奴隷制のことを抜けば、性と付けて扱われることが非常に多いのでした。「搾取」と言って欲しいと思ったのですが、それだとマルクス主義的になってしまうので適当ではないのでしょうね。

どうも「奴隷」という日本語は、しっくりこない。と思ったら、「社畜(しゃちく)」という言葉が存在していました。そう言われると、すでに聞いたことがあったような...。それにしても、すさまじい表現ですね...。

「社畜」をキーワードにして書籍を検索

「社畜」に関連して、ブラック企業ブラック会社)という表現もあるのだそう。Wikipediaのリンクからフランス語ページにすると、「Atelier de misère」となっていて、現代では主に発展途上国に見られると書いてあります。

英語のページ「Black Company (Japanese term)」では、これは和製英語だと説明してありました。産業革命期にあった低賃金で長時間労働させる工場はSweatshopなので、フランス語の単語はこちらの意味でのリンクでしょうね。
 
でも、社畜とかブラック企業とか言うにしても、それは特殊なケースを指しているようにも感じます。でも、日本は年休がまともに取れない体制だし、その他もろもろ、普通のケースでもかなり労働条件は悪いと思う。フランス人たちが「奴隷のように働かされる」なんていうケースは、日本ではそれほど取沙汰されないのではないかな?...


日本人は我慢強い?

奴隷、社畜とかいう単語が日本で使われているというのは見えたのですが、私の日本の友人がそう言うのは聞いたことがないように思います。

日本人がどのくらい仕事でストレスを感じているのか、データを探してみました。

出てきたのは、これ。


http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3274.html 
図録▽仕事のストレスの国際比較

日本人は我慢強いので、ストレスを感じていないというのは分からなくはないですが、「くたくたになって帰宅するか」というフランス人が92.5%もいるのには驚きました。

フランスで週35時間労働が始まったのが2002年。その後のデータですよね? 確かに、フランスでは、例えパートであろうとも、人を雇うには社会保障や有給休暇をしっかり与えるための支出が雇用者にはあるので、人をできるだけ少なくするという傾向があります。なので、実質的にはフランスの方がみっちり仕事をさせられると感じる場面はあります。でも、やたらにリラックスして働いている人たちも多いのですけど...。

でも、ともかく、日本は仕事の拘束時間が長いのは確か。

長時間労働者比率の国際比較

それでもストレスをそれほどには感じないというのは、日本人は我慢強いだけなのじゃないの? ... と思ったら、こんなデータもありました。


図録▽疲れやすい国民・疲れにくい国民

やっぱりね...。日本人は耐えてしまう国民なのだ...。


福島原発事故のすぐ後に見て、いまだに思い出すと落ち込んでしまう動画があります...。


隠された被曝労働〜日本の原発労働者1
1995年 イギリス Channel4

⇒  ⇒ 

 シリーズ記事: 「奴隷のように働く」という例え


外部リンク:
フランスの大問題、商店の日曜日開店と夜間営業は解禁されるか
仏「日曜営業」解禁に割れる世論
☆ JETRO: フランスの特殊な労働時間の取り扱い
ドイツで「奴隷労働」と批判された米アマゾン
欧州の組織はなぜ従業員を丁重に扱うのか
Le contrat à durée déterminée (CDD)
☆ Wikipedia: 社畜 | ブラック企業
ブラック企業問題はなぜ「辞めればいいじゃん」で解決しないのか
「モノ扱いされていた」と言われた「派遣労働者」 法改正で立場はよくなるのか? 2015/03/14
農家、JA、農水省が外人を奴隷にしてる…時給300円で農作業する研修生
長時間労働、数万円の自腹買取り、元ヤン店長の暴力支配…ブラックバイトに気をつけろ
「どうしてワタミを候補者にするんだ?」 過労死した社員の両親、自民党に抗議

内部リンク:
【日本での働き方】
『畏れ慄いて』は日本を侮辱する作品なのか? 2013/05/26

【フランス人の働き方】
フランス人は、私生活のこととなると働き者! 2008/07/30
急に元気になった友達 2008/04/03
みんながヴァカンスを楽しんでいるときに働くのは辛い! 2005/07/26
定年を迎えるのが嬉しいフランス人 2005/07/23
友達の家に遊びに行って思ったこと 2006/07/29


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2014/01/28
昨年の秋のこと。近所のお屋敷の庭の手入れのアルバイトを請け負った友人が、庭を見に来るように誘ったので見学に行きました。

門戸開放デーのとき、ご自慢の庭園を見学させてもらったことがあるのですが、持ち主は留守で、友人夫妻がいるだけという日。それで、広い敷地を遠慮なく歩き回ることができました。

大きな家が何軒も建っていて、つまりは親戚の人たちで作った別荘地帯のようなところなのでした。



ハンティングが趣味の人たちなので、皆で集まることが多いのだそう。

庭には川も流れていて広いわけですが、専門の庭師が1人雇われていて、仕事が多い時期には別の人も使うということなのだそう。お金持ちって、何でもできちゃうのだな... と感心する例。


悪くないアルバイト

友人夫妻は2人で庭の手入れをしていました。ご主人の方は1時間40ユーロ、奥さんの方はその半額ということで仕事を受けたのだそう。

ご主人は自分の家でもちょっとした農家くらいの家庭菜園を作っているので、ほとんどプロ。トラクターなども持ってきて本格的な作業をしていました。なので、時給が6,000円近いのも当然かと思う。

でも、奥さんの方は、庭の落ち葉を集めたり、落ちた果実を収穫したりする仕事をノンキそうにやっていたのです。

右の写真を入れた「食べ物にこだわるフランスならではの伝統?」に入れた果物保存棚は彼女の担当でした。

木から落ちたリンゴを拾って棚に並べるくらい、私でもできますよ~! そんなに払ってくれるなら、私だってやりたいと思ってしまった!


フランスの最低賃金は、日本の2倍?

フランスには「SMIC(Salaire minimum interprofessionnel de croissance: 業種間一律スライド制最低賃金」と呼ばれる法定最低賃金が定められていて、どんな仕事でも人を雇うときにはその基準以上を支払うことになっています。

この最低賃金しか払わないケースも多いわけで、フランス人たちは少ないとぼやいています。

例えば、ブドウの収穫時期のときには季節労働者を雇うのですが、大変な重労働なのに最低賃金で雇っています。ブドウ園の経営者は、人が集まらないので苦労すると言いますが、もっと払ったら働き手には困らないはずだ、などと友人たちは言っています。

でも、フランスの労働者保護は徹底しているので、賃金以外にも雇い主の経済的負担は大きいので、そんなに季節労働者に賃金を払っていられない。ブドウ収穫に来た季節労働者の例でいえば、農家で昼食を食べさせた後に畑に送るのにはマイクロバスをチャーターしなければなりません。昔はトラクターに乗っかっていけたけれど、今は禁止。農家に宿泊させるとすると、収容人数に応じてトイレの数などを整えなければならない。

大変な肉体労働のときには、定められた最低賃金は安いと文句を言う気持ちは分かるのですが、どうということもない仕事なら最低賃金は高いと思ってしまいます。

1ユーロが170円くらいしたときには、どんなに楽そうなアルバイトを頼むにも最低賃金は払う必要があるので、やたらに高いな... と思ったものでした。

今年、2014年のSMICは、去年より1.1%アップで、時給9.53ユーロ。今のレートを1ユーロ=142円として計算すると、時給1,353円。月収のSMICは、週35時間労働で1,445.38ユーロ(205,244円)。

これが人を雇うときに支払わなければならない最低賃金。悪くないと思われませんか?

日本の場合はというと、地域によって最低賃金は異なっていて、平成25年度地域別最低賃金を見ると、全国平均で時給764円ですが、600円台の地域も多いです。東京都が最も高いですが、それでも869円。東京の物価は世界でも高い水準にあるのだから、貧しい人は非常に苦しい生活を強いられます。

しかも、日本の場合は、最低賃金は支払わなければならないと厳格になっているわけではないでしょう?

20年くらい前のことですが、日本の田舎で高齢者に仕事を与える施設を見学したフランス人が仰天していました。ワラで雪靴をつくるなど、昔ながらの仕事を伝承するための公共施設で、お年寄りたちは時給500円をもらって働いていたのです。

役場の説明によると、1日働いたあとは、カラオケをやったり、温泉に入ったりできるので、とても人気があって、雇ってもらいたい人の順番待ちができているほど人気がある事業だとのこと。

日本人なら、なんとなく想像できますよね。作ったものは売っていたのですが、たぶん役場にとっては赤字の福祉事業。みんなと集まって楽しめるうえに、孫に何かプレゼントできるくらいのお小遣いがもらえたら、悪くないではないですか?

でも、フランス人は、老人虐待以外の何ものでもないと感じたのでした。当時の為替レートでのフランスの最低賃金がどうだったのかは忘れているのですが、時給500円というのは、とてつもなく低いと受け取っていました。しかも、本来なら老齢年金で悠々と過ごせる身分の人たちを、そんな低賃金で働かせてしまうのは許しがたいと怒ってしまったのです。

カラオケと温泉のオマケにひかれた高齢者を働かせるのは許されるのではないか、と私は思うのだけれど、そんなのなしで低賃金で働かされるという話しも日本では聞きます。定年を迎えた友人が、嘱託か何かの身分で会社に止まったのだけれど、給料はガタンと下がって、生活保護よりも低い金額なのだと言っていました。

 
図録▽最低賃金の国際比較


日本って、差別が大きい国...

ひところ、日本人の大半が自分は中流家庭だと思っていると言われていたのですが、あれは気が良いから生まれた感覚だったのだろうか?

 
図録▽相対的貧困率の国際比較


ついでに、男女賃金格差もみてみました。 フランスでは、職業上での女性差別が問題視されているのだけれど、日本に比べれば随分ましではないですか?

 
図録▽男女賃金格差の推移(国際比較)

結局のところ、日本は、弱い者はいくらでも虐げられる体制がある国なのだと感じました。


追記(2014年7月):

日本の最低賃金が引き上げれるというニュースがありました。それでも、フランスの約6割という金額です。



 シリーズ記事: 「奴隷のように働く」という例え


外部リンク:
☆ 仏政府サイト: Salaire minimum de croissance (Smic)
☆ INSEE: Salaire minimum interprofessionnel de croissance (SMIC)
Smic 2013 et 2014 : montant mensuel et taux horaire
最低賃金制度
最低賃金制度/フランス - 主要先進国で最高の水準
図録▽最低賃金の国際比較
図表で見る社会 2014 日本OECD社会指標
6人に1人が貧困の日本。解決策は?
豊かな国なんて大嘘! 日本の子どもは6人に1人が貧困状態との驚愕データが!

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのホームレス、貧困者について書いた記事


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2014/01/04
ブログでアンケートができるというツールを見つけたので、かねがね聞いてみたいと思っていたテーマの質問を入れてみます。

私のブログはアクセス数が少ないので、集計結果で判断できるほどの解答は集まらないでしょうが、1つ2つでも入れてくださる方があったら感謝します。私が気になって仕方ないことを、他の方は全く気にならないのか知りたいのです。

どうして、こんな質問を並べたくなったのかは下に書くことにします。それを読まずに投票してくださった方が、正確な反応を知ることができるはずなので。

選んだ答えにクリックを入れて「投票する」ボタンを押すと、集計結果のグラフも出ます。コメントを入れることもできます。「投票する」ボタンだけクリックすれば、投票結果を見ることができます。

よろしくお願いします!

質問1


質問2


質問3


質問の意味が通じたでしょうか? 私が日本でテレビを見るときには、知らない土地を紹介する番組が好きです。日本のことでも、外国のことでも。日本は視聴者数が多いせいもあるのでしょうが、フランスよりお金を惜しまずに番組を作っていて、どこにでも取材に行ってしまうのですごい。

でも...

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2013/08/21
前回の日記「ルネサンス音楽の野外コンサート」に書いたコンサートのあとは、食事会に参加することにしていました。

ルネサンス音楽を演奏した人たちが、教会前につくられた食事会場まで歩きながらの演奏をしてくれました。彼らは食事が終わったら教会の中でまたコンサートをするのですから、お疲れさま~!



食事が用意されている教会前では、まず食前酒がふるまわれました。甘いお酒。グレープフルーツをベースにして作ったアペリティフらしい。

実は、この日のイベントに参加したのは、教会の中で行われるコンサートを聞きたいからでした。でも、時間を間違えてしまっていて、午後7時からというのは野外コンサートが始まる時間。本番のコンサートは9時からなのでした。

となると、帰宅する時間が遅くなり過ぎてしまう。同じグループの演奏を野外で聞いたのだから、また聞く必要はない。それに、音響効果が素晴らしい教会というわけでもなかったのは、リハーサルの見学で確認していました。

それで、食事を終えたら演奏会はパスして帰ることにしました。

食事会に申し込んだのは、演奏会が始まるのを待つ間にちょうど良いからと思ったからでした。演奏会に行かないなら、こんなところで食べる必要はなかった...。

道路にしつらえた食事会場ですから、席がこみあっていて楽しそうでもない...。それに、 食事は弁当スタイルでした。それを食券と交換に受け取らなければならないのですが、受け渡し場には長い行列ができています。

天気予報よりも天気も良い日だったので、こんな食事会には参加しないで、ピクニックを用意して来れば良かったと後悔しました。それが一番だというのは以前にも肝に銘じていたに...:
田舎のコンサートの前には、ピクニックが最適 2008/07/11


オーガナイズが悪い食事会

先に席を確保しようということになって、開いている席に行くと、同伴者たちが来るからだめと断られる。隣の列にいったら、イベントをオーガナイズした人たちの席だ、と胸に付けたバッチを見せられました。

結局、座っているのはイベントをオーガナイズした人たちばかりなんじゃないの? 誰もいないテーブルは3列残っていましたが、イスがない。立って食べろというの?!

食事会の参加は電話で予約して、当日に食券を買っていたのです。その分の席を作るのが当然ではないですか? フランス人ってオーガナイズが下手だから嫌いなんだよな...。

席が足りないので、弁当を受け取ってから、教会の裏側で食べている人たちがいました。小さな村なので、そこはもう草原なのです。私たちも、そうすることに決定。

イスのないテーブルに荷物を置いて、荷物番をする人と、弁当を取りに行く人に分かれる。

私は荷物番。すると、トラックがやってきて、教会前に停まりました。さっき野外コンサートの会場で使っていたイスを、こちらに運び込んで使うらしい。

だから、イスがないテーブルがあったのでした。レンタルしたイスを有効に2度使うなんて賢いと感心します。でも、係りの人が「イスは後で来ます」と言うか、それを知らせるメモをテーブルに置くかしたって良かったではないですか?

ボランティアの人たちがやっているイベントだと分かっているので、文句を言う人は誰もいませんでした。でも、テーブルに座れないとオロオロしていたのは私たちだけではなかったのです。やっぱり、フランス人のオーガナイズはいい加減ですよ!

イスが来たので、駐車していた車のそばで食べるというアイディアは中止。また席がなくなる心配があるので、早々にイスを確保しました。

ワインは飲み放題だったようなのですが、一口飲んだら不味い!

この日の参加費は、修道院の見学、野外コンサートがあって、食事代として15ユーロ。大した食べ物はでないだろうと覚悟していたので、せめてもと、アイスボックスに白ワインを入れて持参していました。ついでに、プラスチックのコップは味気ないので、用意していたグラスも出す。

ワインが美味しいと、食事が楽しくなる♪


フランスの使い捨て弁当箱

この日の食べ物は、これでした。



最近のフランスでは、大勢で食事するイベントで、こんな使い捨ての弁当箱がよく使われるようになりました。その前は紙皿だったのですけど。でも、この形式だと、これに透明の蓋が付いているので用意した弁当を重ねておけるし、後は捨てるので、イベントをオーガナイズする人には非常に重宝。

この存在に気がついたのは比較的最近なのですが、ずっと前からフランスに存在していたのかな?... 皿を使ってビュッフェスタイルにすると、食べきれないのにたくさん取ってしまう人もいるでしょうから、これは効率が良いはず。

でも、この白い弁当箱は、なんとも味気ないではないですか? 全部まずそうに見える。

でも、フランス人は、外観よりも、皿の上の乗っているものの味の方を重視する傾向にあるので、気にしないのかもしれない。

この日も、けっこう美味しかったのです。 食べるために生きているような人が多いブルゴーニュ地方だから、料理の味には注意するのかもしれない。

ブルゴーニュでは、病院の食事でも、老人ホームの食事でも、かなり美味しいものが出ます。出されたものが不味いと、後々まで言い伝えられるので、料理にはこだわるのだと思います。

ブルゴーニュのお年寄りたちの食べっぷりを観察したときの日記:
フランス人って、どうしてこんなに食べられるのだろう?... 【2】 2006/05/28


弁当箱の中身

食事会の参加を募る通知では、ブルゴーニュ料理と歌っていました。

なので、前菜は予想通り、ブルゴーニュの郷土料理のジャンボン・ペルシエ。 それでは物足りないかと、ハムもついていました。

ジャンボン・ぺルシエは、正確にいえばブルゴーニュの州都ディジョンが本場:
今年の復活祭で目についたもの: ジャンボン・ペルシエ 2010/04/03

メイン料理はブルゴーニュとは関係なし。

分厚い2枚のハムの上に乗っているのは鶏肉の皮にカレーの風味をつけたもの。その下に、食べきれないほどたっぷりのジャガイモのサラダ。このジャガイモの味付けがとても良かくて美味しかったです。

先日のピクニックで鶏肉の唐揚げをつくろうかと思った私なのですが(結果的には中止)、フランス料理でも冷たくても美味しく食べられる鶏肉料理があるのだな、と感心。カレー味はフランス料理ではないようにも思うけれど。でも、冷たい鶏肉を食べるにはスパイスをきかせるのがコツかな?...

鶏のから揚げを作るには、ブロイラー鶏に限るの? 2013/08/12


この日の弁当メニューの続きです。

チーズは、地元のAOC/AOP エポワス

気がつけば、ここからエポワス村(Époisses)に行くには10キロくらいと近かったのでした。

エポワスは値段が高い高級チーズです。

この手の安い食事ではカマンベールなんかが出るのが普通なので、ブルゴーニュが誇るチーズのエポワスをオーガナイザーが選んだことを評価。

でも、エポワス村にあるメーカーの直売店では、大きさや重さが規格に合わなかったものを安売りしているので、それを利用したのではないかな...。


デザートは、ブルゴーニュ名物のカシスが入ったケーキ。

ボランティアの人たちが分担してケーキを作ったらしくて、人によって見た目が違いました。私のが一番よくできていた。

このカシスのケーキは、レシピをもらいたくなるほどの出来でした。少し前にカシスをたくさん収穫して、全部シャーベットにしたのですが、上手にできなかったので後悔していたのです。


ケーキが人によって少し違っていること、エポワスが出たことから、ひょっとして、この料理は仕出し屋には頼まず、イベントを企画した村人たちが作ったのかなと思いました。

食券には、老人ホームの住所と、そこを本部にする協会の名前のスタンプが押されていました。

協会というのはNPOのことなのですが、フランスではボランティアが発起人であれば、同好会のようなサークルでもAssociationと呼ぶ非営利目的の組織を作れてしまうのです。

今回のイベントは、3つの協会がオーガナイズしていたのですが、食事関係は老人ホームのサークルが担当していたのかもしれない。食事会で収益が出れば、老人ホームで遠足に行けたりするでしょうから、はりきって作ったかもしれない。


フランスで弁当ボックスを作っているメーカーは1つなのだろうか?

この味気ない白い使い捨てプレートが出てくる食事には何回か出会っていました。どこでも同じようなプレートが出てきたような気がします。それで、過去にブログで使った写真を検索してみました。

何回か写真をとっていたと思うのですが、ブログに入れていたのはこの写真。

食事
フランスは革命記念日 2010/07/14

仕切りの形からいって、今回のと全く同じではないですか?!

フランスって、商品のバラエティーに乏しいのですよね。軽食ボックスや食器が同じなのはどうでも良いけれど、同じ生地の服を着ている人に出会ったときには穴に入りたくなりました。

フランスで、1回だけ、これは良いなと思ったプレートがありました。紙皿の形なのですが、木目調で、皿が微妙に歪んているのが感じ良い。


たった5ユーロのランチ♪ 2007/07/20

この皿は木目に見えるのですが、汚れもしみこまなくて便利。普通に売られている味気ないピクニック用の使い捨て皿に比べて、美味しそうに見えると思いました。この皿がすっかり気に入ったので、持ち帰りました。ただし、このとき出会っただけで、その後は2度と見ていません。


日本の使い捨て弁当箱は素晴らしい

この前に日本に帰ったときに行った法事では、箱に入った料理を持ち帰らされました。特に田舎の法事って、とてもかさばるお土産をもらうので困ります。大きな缶詰のフルーツなんて、重いので入れて欲しくないのですけど...。車で来ない人もいることは気にしないのかな?...

ところが、このときの弁当の容器が素晴らしいので仰天してしまいました。

箱を開けると、フランスのと同じように料理が区分けされて入っているのですが、それが本物の瀬戸物の食器のように見えるのです。小さな皿が可愛いので、食べ終わったときに取り外そうとしたら、全部の皿はくっついていて、1枚でできていたのだと分かりました。

こんな感じのものです ↓

私の弁当箱に入っていた食べ物は、美味しくはありませんでした。半分くらいは捨ててしまったのです。でも、容器はすごい!

私のプレートでは、汁が下にたまるように、おろし金のような水切りの底になっている皿もありました。余りにも良くできていると感心したので、フランス人に自慢したくなり、洗ってフランスに持ってきてしまいました。でも1箱だけなので、もったいなくて使えない。

どこかで売っているでしょうから何箱も買って持ってきたかったのですが、小鉢が多い日本料理用なので使い道はないかな、と思って探しませんでした。

やはり、ちゃんと売っていますね:
仕出し用の使い捨て弁当箱を楽天市場で検索


日本料理ブームで、どんどん日本的な見た目も楽しい料理を作るようになったフランス。軽食用のボックスも、もっと味気なくないものを作るようになるのかな?...

でも、今回のように安いのが絶対条件になる食事会でないときは、フランスでも、もう少ししゃれた弁当箱がありそうに思えます。画像を検索してみました。

☆ Google: 使い捨て弁当箱の画像検索結果

こんなのもフランスにあるのだと知った、しゃれた使い捨て弁当箱の画像が入っていたサイトへのリンクを入れます。

☆ メーカー例: Plateaux repas jetables (3ページあり)
☆ メーカー例: Plateau repas (カテゴリーをクリック)
☆ 仕出し屋例: Les plateaux repas

私がよく出会う味気ない弁当プレートより良いものがフランスにもありますね。思い出せば、仕出し屋さんの料理を出したパーティーでは、使い捨てなのだろうけど、洗ってとっておきたいような素敵な容器を見ていました。 でも、なぜか、みんなガラスのように見える透明の容器だった。

お皿で食べているような気分にさせる使い捨て容器もあります。でも、日本のように皿に模様まで入っているのはないように見えました。フランスで贅沢なタイプは、一緒に出すにしても皿が別々になっているようです。


日本の場合、ふたを開けると味気ない料理が入っていても、ふたを開ける前に目にする箱には模様があって、豪華風になっていたりするから面白い。

開けると、なあ~んだ、になる弁当箱には日本でよく出会っていました。
日本は、徹底的に上げ底文化の国なんだ、と思う瞬間...。

フランスの場合は、たいていは透明の蓋で、せいぜい箱がカートンボックスで優しさを表現しているくらいに見えました。


日本の弁当文化って、すごい!

弁当箱が気になったのは、つい最近は、ピクニックで食べる料理を重箱に入れて持っていった話しを書いたからでした:
ブルゴーニュのお城でキャンドル・ピクニック 2013/08/11

フランスで日本式の弁当が流行っている書いたのは2年近く前:
フランスがBentoブームって本当? 2011/11/19

フランスのサイトには、日本式の弁当の作り方を教室などというのも紹介されていたので、少し覗いてみました。

日本の弁当は残り物を主に使う。う~ん、これは日本人の知恵ですね。 私も子どものころを思い出すと、母親が前日の料理の見た目を変えたものを弁当にしていました。

フランス人も残り物を食べます。特に、大勢の人を呼んでパーティーをしたときには、食べ物が足りないという心配から、おびただしい量の残り物がでます。

でも、彼らは何も工夫しないみたい。せめて小さなサイズの鍋に移し替えるくらいしないと、いかにも残り物を食べているみたいで楽しくないと私は思います。でも、立ち寄った家で「食べていらっしゃいな」と言われてご馳走になったとき、大きな鍋の底に残っている料理を出されたことが何度もありました。

私がフランスで作る料理の中で最も得意なのは、残り物を変身させたものです。テーブルにおいて取り分けてもらうほどの分量がないときは、少しずつ小皿にわけて出します。ローストした肉は、薄くスライスして、日本風のタレを添えたりすると、同じものを食べているとは感じないほど大変身する。

料理が得意な人が作ったものは、どう変身させても美味しい。 つまり、私が残り物担当をやるときは、見た目を変えるだけで料理ができてしまうので気に入っています。 私が残り物だけで料理するときは、「Tout doit disparaître メニュー」と呼んでいます。これは、フランスの店先でバーゲンセールをしているときに書いてある言葉。「全部なくならなければならない」という意味です。

フランス人は、謙遜したら相手をバカにしているみたいになってしまうので、ごく親しい人にしかそんな表現をしません。問題なく言えるのは、「私の創作料理♪」。

冷蔵庫に入っている色々なものを綺麗に盛り付けると、いっぱしのご馳走風になってしまう。これは、色々なものを少しずつ食べたいという私だから気に入っている料理かな...。フランス人は、ど~んと料理が出ないと満足しないのですが、私がやると、日本料理風なのが楽しいので満足してくれるようです。

結局、日本人は、食べ物の見た目を非常に重視するのだと思う。私の盛り付けを 褒めてくれるフランス人たちには、「日本人は目で食べる」と説明しています。

上に入れた白いボックスの食事は食欲を減退させる外観だと私は思う。でも、食べてみると、けっこう食べられるのです。それに、ボリュームもたっぷり。

それに比べると、日本で短い時間で食事をするときに出される仕出し屋さんの弁当は、本当に、信じられないほど、こんなものを食べるのかと驚くほど不味いことが多いです。社会の上層階級の人たちの場合は、料亭が作った美味しい弁当が出されているでしょうから、そういうのは間違っていると言われそうですけど...。


無料コンサートだけ聞かせていただいて、教会のコンサートに行かなかったのは申し訳なかったけれど、小さな教会は満席のようでした。

ブログ内リンク:
簡単に食事したいときのお勧め、アシエット・グルマンドという料理 2006/06/30
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
上げ底弁当容器の「上げ具合」を実測


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2013/07/12
この春、「Festival du mot」と名付けられた、言葉をテーマにしたフェスティバルに行ってみました。ブルゴーニュ地方にある本屋を町おこしにしたLa Charité-sur-Loireという美しい町で、5日間の開催でした。

フランス人が使うフランス語は乱れてきていて、今では正統派のフランス語を懸命に守ろうとしているのはケベックの人たちだろうと思っていました。でも、イベントに参加してみると、フランスにもフランス語にこだわる人たちがたくさんいるのだと知って、日本でフランス語を勉強した私としては非常に嬉しかったです。

このフェスティバルでは流行語大賞のような流行語が選ばれるのですが、言葉に関して色々な角度からの講演やアトラクションも行われました。

もう1ヵ月以上前のことなので、今さらイベントについて日記を書く気にならないのですが、1つの講演だけをメモしておきます。


色の言葉、言葉の色

以前から興味を持っていた色をテーマにした講演がありました。 色にはイメージがあって、それは時代によって変化する...。



講演者は、フランス最大の政府研究機関「フランス国立科学研究センター(CNRS: Centre national de la recherche scientifique)」の研究員、Annie Mollard-Desfourという名の女性。

色に関する研究していて、『Dictionnaire des mots et expressions de couleur』というシリーズの研究書を出版しています。

Annie Mollard-Desfourの著書を検索

彼女は観念やイメージから色を捉え、その基本色として11色を選んでいました。色によって本を出しているのですが、まだ半分くらいしか出版物になっていません。

フランス文化を中心にして、研究対象は20世紀から21世紀に限定。 色に対する観念というのは、時代によっても変化するし、国によっても全く違う。範疇を狭めないと、研究は収拾がつかなくなってしまうでしょう。

1時間余りの講演だったので、何か1つの色について掘り下げてもらったら面白かったと思う。でも、幾つもの色を例にとって、色に対するイメージがトレンドによって変わると言う発表でした。

昔は、黒といえば喪に服す暗いイメージだったのに、最近はおしゃれをする人たちが集まると、女性たちが黒の服を着ているのが圧倒的に多い。これはフランスでも日本でも同じで、私も気になっていました。

日本では、緑色のことを青と表現するのが私は気になっていました。山々が青々しているとか、青信号とか、考えてみるとどうして緑が青なのか不思議になります。でも、そういうのは日本のことなので、当然ながら講演では全く無視されていました。でも、昔は青色を出す彩色技術がなかったので、緑色が基本色だった、などという話しがでてきていたのは興味深かったです。

会場では書籍も売っていたので、何か好きな色の本を買って読もうかと思いました。でも、講演ではスライドも見せてくれます。上に入れた写真の左にいるのは俳優さんたちで、講演の合間にテーマに詩の朗読をしていました。でも、書籍の方は文字ばかり。フランスの研究書って、そうだった...。説明してくれないと分らないような人物や映画の話しもたくさん出てくる本でしょうから、買うのにはめげてしまいました。

フランスで行われる講演会では、聞いている人の頭がいっぱいになってきたころに、コメディアンなどが出てきて、面白いジョークを行ったりしてリラックスさせる工夫もあるのに、書いてあるものとなると、全くリラックスさせる工夫がないのです。

過去に書いた日記:
初心者向けの入門書でさえも、分かりやすく書かない! 2010/11/14


気になったことの1つには、なぜ彼女が11の色を選んだのか?

そもそも、基本的な色って、なんだったっけ?...


光の3原色

赤、緑、青の3色。
頭文字をとってRGBカラーと呼ばれる。
色を重ねるごとに明るくなり、3つを等量で混ぜ合わせると白色になる。

Additive color Substractive color


何色を基本色とするか?

日本にはJIS規格の基本色があって、それに影響を与えたのはアメリカのISCC-NBS色名法なのだそう。それで、日本のJIS規格の基本13色、アメリカのISCC-NBS色名法の基本13色、講演者が選んだ11色を比較してみました。

日本
JIS規格
(13色)
アメリカ
ISCC-NBS色名法
(13色)
フランス
Mollard-Desfour
(11色)
無彩色whiteBlanc
灰色grayGris
blackNoir
有彩色基本redRouge
yellowJaune
greenVert
blueBleu
purple
中間的青紫Violet
赤紫pinkRose
黄赤orangeOrange
brownBrun / Marron
黄緑yellow green
olive
青緑

眺めてみると、講演者が限定した11色というのは、それほど突拍子もないように思えました。灰色などというのは、黒と白を混ぜてつくる色なのに、基本色として存在しているのですね。

日本のJIS規格には茶色がないのが不思議に思えました...。

やはり私が興味を持つのは、日本人にとっての色に対する感覚。講演の内容だった、赤やピンクに関する認識の変化というのは非常に興味深かったけれど、それはフランスでのお話し。

色をどう感じるか、日本人が分析している書物があったら読んでみたい。 でも、日本の場合は、伝統的な色に対する感覚を覆すような欧米文化からの影響もあるでしょうから、途方もなく複雑だろうな...。


白い色が気になった

講演を聞いた人と、見えるものを色の名前で表現するのはいい加減だ、というのが話題になりました。

私たち日本人は黄色人種に分類されますが、肌の色は黄色ではありません。東洋系を余り見る機会がないフランス人からも、「黄色ではない」と感心されたりします。

白人というけど、真っ白なわけではないのですよね。本当に白紙のような色をした肌だったら気持ち悪い。インド人は日本人より肌の色が濃いのに、彼らは白人に分類されるのだそう。

フランス人が気にしたのは「白ワイン」という呼び方。フランス語でも「vin blanc」で、白いワインと呼ばれます。赤ワインは本当に赤いから、それで良い。でも、白ワインは白くはないです。

白い液体というのはミルクに与えられるべき色。白ワインがミルクのように白い色をしていたら、ちっともおいしそうには見えないと思う。

なぜ白ワインなのかな?...

呼ぶなら、薄黄色のワインとした方が自然でしょう?

でも、「黄色いワイン(Vin jaune)」という名前はジュラ地方のワインとして存在している呼び名なので困る。

黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は「金色ワイン」と呼んで、白ワインは黄色ワインでも良いではないですか? ...


イベントについて紹介するのを省略してしまったのですが、「Festival du mot」がどんなイベントであるかを紹介した動画(2010年)を入れておきます:




ブログ内の関連記事:
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
Les mots de couleur ― De la science et la technique au symbolique et à la poésie
☆ Wikipédia: Annie Mollard-Desfour
日本の伝統色 和色大辞典
絶対に覚えておきたいwebデザインの配色・カラー3つの基本と基礎
とってもまじめな色の基礎知識コーナー
デザイナーだから考える。赤色が与える27の効果と6つの活用例
☆ Wikipedia: 色名
☆ Wikipedia: 原色
JIS慣用色名一覧
Festival du mot
今年の単語大賞(Mots de l'année)は、透明と嘘
フランス国立科学研究センター


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (0) | Top
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2013/05/10
フランスの哲学者メルロー・ポンティ(Maurice Merleau-Ponty)の思想を学んだ中で、妙に記憶に残っているのは自分の身体に対する意識の分析です。

メルロ=ポンティは、知覚の主体である身体を主体と客体の両面をもつものとしてとらえ、世界を人間の身体から柔軟に考察することを唱えた。身体から離れて対象を思考するのではなく、身体から生み出された知覚を手がかりに身体そのものと世界を考察した。

運転をする人は、自分の体の大きさを車体の大きさでとらえている。だから車線からはみ出したりしないように運転できる。

これは、なるほど... と思うのですが、私は異常なのかと思わせる主張があったのです。

人間は3歳になると、自分と他人の区別するようになる。ただし、成人しても、特別に愛情を持っている相手に対しては自他の融合性が残っている。

でも、私は年をとっても他人の身体との区別ができないのです。

怪我をした人の話しを聞くだけでも痛みを感じます。まして、傷を見せられたら、猛烈に痛くてたまらない! テレビをつけたとき、誰かが泣いていると、なぜ泣いているのかもわからないまま涙ぐんでしまう...。

そういう不完全性が私にはあるために嫌いなのではないか、と思うものがあります。


だるま


群馬県 伝統工芸品 高崎張り子 縁起物 達磨 だるま ダルマ 目なし達磨(中)


招き猫について書いた日記に入れていただいたコメントで、日本の縁起物としてはダルマもあったことを思い出しました。
招き猫をフランスで見ると、違和感を覚えてしまう... 2013/05/03

だるま(達磨)は、禅宗開祖の達磨大師をあらわした置物。 この尊いお坊さんは長いこと座禅をしていたために手足が腐ってしまったのだ、と幼い頃に聞いたのを覚えています。

ダルマを見ると、自分の手足がなくなったような感覚を味わってしまうから不快なのだろうと思う...。

しかも、手足がない姿にしているだけでは飽き足らなくて、両目ないし片目もない姿にしているなんて、残酷すぎるではないですか?!

調べてみたら、この達磨大師を描いた絵は、たいてい大きな目で描かれているのでした。例えば、こちら。 そういう目だから、だるまに目を入れるというのができてしまったのかもしれない。

私は、だるまを家の中には飾りたくないし、ましてや達磨さんの絵がついたグッズなんか持ち歩きたくないですけど...。

でも、そんな風にダルマを見る私は変人なのでしょうね。

ダルマは人気があるのだろうと思います。楽天市場で検索してみたら、おびただしいアイテムが出てきましたので。




だるまはフランス人には知られていない?

招き猫についての日記を書きながら、フランスでは招き猫がラッキー・キャットとしてかなりたくさん売られていることを知りました。

それでは、ダルマさんはどうなのだろう?

フランス人は仏教を禅宗に代表させてしまっている人が多いほどZenが好きだから、だるまにも人気があるかもしれない。

でも、七転び八起きなどという教訓は、全く辛抱強くないフランス人には受けないだろうな、とも思ったり...。

だるまは、フランス語でもDarumaのようです。

フランス人に一言でダルマが何であるかを説明するには、この表現が適当かな?
- Figurine à vœux

フランス・アマゾンで「Daruma」を検索してみたら、余りでてきませんでした。 Manekinekoグッズの多さとは比較できないほど、フランスではダルマ・グッズが少ない。



なんとなく変な抽象化されたダルマと、日本でも多く売られているスマートフォンなどのカバーが目立ちました。 でも、ダルマには目が入っているのが多く、デザインとして小さなものを並べている商品も多い。

はりぼてのダルマというのは人気がないのかな? 招き猫とたいして変わらないと思うのだけれど...。


フランスでダルマに人気がないのは、招き猫のように可愛くないから?

フランス人に伝統工芸のダルマの画像を見せて「どう思う?」と聞いたら、「なに、それ?」という反応でした。美しいとは思わないみたい...。

一人の反応で判断するわけにはいかないので、Wikipediaのフランス語ページにある「Daruma」をちらりと読んでみました。

あれ、あれ~! と驚く記述を発見。

Polémique(論戦)という項目があったのです。
1990年代末、目のないダルマは失明者に対する差別だとして、複数の人権保護団体が断罪したのだそう。

確かに、批判されたって仕方ないですよ。
そんなことがあったから、外国ではダルマを売らない?

でも、続きを読むと...
この後、選挙で片目のダルマを見せるのは止めた、とある。そしたら、日本でのことでしょう?

というわけで、フランスでダルマが売れないのは、差別のイメージがあるから、というわけではないようです。


やっぱり、だるまは好きではない

「だるまさん」と「さん」を付けるのは、人々に親しまれているからでしょうね。善光寺の住職さんから話しを聞いたとき、善光寺は「善光寺さん」と呼ばれると指摘されていたのです。

同じ縁起物でも、「招き猫さん」とは誰も言わない!

だるまさんを飾るのは、達磨大師の辛抱強さにあやかろうと、自分を勇気づける行為。

日本人の美徳に数えなければいけないのだとは思うのです。

でも、手足のない形を「だるま」と呼ぶのが気に入らない。

私が手足がない人間になったら、「だるま」と言う言葉を聞くだけでめげると思う。

「だるま」がついた言葉はいくつもあります。
雪だるま、火だるま、だるまストーブ、だるま転がし...。

「だるま」が障碍者に対する差別だと攻撃されるのは、今のところ日本では「目を入れる」行為に限定されているようでした。

でも、ダルマの多くは目が入っていない状態で売られているようでしたが...。これを自分で入れたくてする買うわけなので、始めから入っていたら面白くないだろうとは思います。


昔の映画ですが、見ているのが耐え難いほど辛いけれど、非常に感動的な映画を思い出しました。

ジョニーは戦場へ行った』 と題された1971年のアメリカ映画。

戦争で、手足だけではなく、ほとんどの知覚までも失ったジョニーの痛ましいお話しです。

昔は良い映画があったな...。


Johnny Got His Gun 1971 complete full movie in English

英語の原題は『Johnny got his gun』。フランスでは『Johnny s'en va-t-en guerre』という題名で公開されていました。

フランス語のタイトルが奇妙に見えました。

va-t-en-guerreは、兵隊、戦争好き、喧嘩をふっかける人の意味がある。でも、それと映画のタイトルの関係は分からない...。

英語の原題は、第一次世界大戦時に志願兵募集で使われた歌『Over There』の始まりの歌詞、「Johnny get your gun, get your gun, get your gun」をもじって皮肉にしたタイトルであるという記述がありました。

とすると、フランス語の方の題名は、18世紀に作詞されたフランスの歌『Malbrough s'en va-t-en guerre」からなのかな?... これは、フランス人の子どもたちにはよく知られいる歌なのだそうです。



聞いてみると、どこかで聞いたメロディー。クラッシック音楽でも使われていたのでした。

フランスの作曲家ビゼーも、同名でオペレッタ『Malbrough s'en va-t-en-guerre』をつくっているそうですが(合作)、映画の題名に選んだのは、誰でも知っている童謡の歌だからということではないかと思います。

なお、この曲と映画『ジョニーは戦場に行った』のフランス語のタイトルの関係については、どこかに書いてあったのを読んだわけではなくて、私が勝手に想像しただけのことですので、悪しからず!

それにしても、アメリカの若者を戦争に駆り出す『Over There』の歌も、こちらのフランスの歌も、人を不幸のどん底に落ちこます戦争をリズミカルに軽く歌ってしまっているのが凄い...。


だるまから脱線しましたが、さらに「雪だるま」が気になったので続きを書きました:
ところ変われば... ダルマのイメージはどうなる?


外部リンク:
M・メルロ=ポンティ,『眼と精神』「幼児の対人関係」
吉野裕子 ダルマの民俗学
☆ Movie Walker: ジョニーは戦場へ行った
☆ YouTube: Henry Burr and the Peerless Quartet - Over There (1917)
☆ 原語で歌う海外曲: MALBROUGH S'EN VA-T-EN GUERRE マルブルーは戦争へ行ってしまう
☆ Wikipédia: Malbrough s'en va-t-en guerre (Mort et convoi de l'invincible Malbrough)
☆ Wikipedia: ウェリントンの勝利(ベートーヴェン作曲)

ブログ内リンク:
ところ変われば... ダルマのイメージはどうなる? 2013/05/11
招き猫をフランスで見ると、違和感を覚えてしまう... 2013/05/03
★ 目次: 縁起物や迷信について書いた記事 (フランスを中心に)
★ 目次: 戦争に触れて書いた日記


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