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2017/02/28


無殺菌乳で作ったチーズは、濃厚な風味があって美味しい」で書いたように、フランスのチーズで無殺菌乳を使っている割合を示したデータを見つけたので、一覧表にして眺めてみました。私としては、特に牛に関しては品種によって味がかなり違うと思っているので、家畜がなんなのかも加えました。

チーズに関しては素人の私が、自分用に作った表を公開してしまうのは気がとがめますが、お許しください。私としては、これを作っておいて、後で詳しい情報が見つかったら書き換えていきたいと思っているのです。

もしもご興味を持たれましたら、正しい情報をご確認してくださるようにお願い申し上げます! 表の中では、あちこちの情報へのリンクを埋め込みましたが、最後にも情報を収集できるサイトへのリンクを入れました。


無殺菌乳で作っている割合を示したチーズの一覧表

説明:

左の欄
  %: チーズごとの生産量で、無殺菌乳で生産されたチーズの生産量が占める割合
『France, ton fromage fout le camp !(2012年出版)』で示されていた情報に基づいた%であることを示す
各チーズに対するAOC/AOP規定で、原料が無殺菌乳であることを義務づけていることを"私が"確認できたことを示す

家畜の写真
写真の裏に色が付いているのは、AOC/AOPの規則で限定されている品種。赤枠は品種が限定されていること、桃色は%などである程度は規制されていることを示す。
色付きの枠が入っていない写真は、その品種が多いという情報をもとにしたに過ぎない。
※ 家畜の品種に関する情報が少ないので調べられませんでした。イメージ写真程度に受け取ってください。

 

原料の種類: 牛の乳  ヤギの乳  ヒツジの乳

牛の乳
100%

Abondance
AOP (AOC獲得 1990年)
FT情報 | SC情報

アボンダンス
MS情報
Abondance Vache abondance
Tarentaise
Montbeliarde
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Abondance、Tarine、Montbéliarde (2012年には 55%以上)
100%

Beaufort
AOP  (AOC獲得 1968年)
FT情報 | SC情報

ボーフォール
MS情報
Beaufort Tarentaise
Vache abondance

地域
: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Laitier
品種: Tarine、Abondance
100%

Bleu de Gex
AOP (AOC獲得 1977年)
FT情報 | SC情報

ブルー・ド・ジェックス
MS情報
Bleu de Gex Montbeliarde

地域
: フランシュ=コンテ
品種: Montbeliarde
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
100%

Brie de Meaux
AOP (AOC獲得 1980年)
FT情報 | SC情報

ブリー・ド・モー
MS情報
Brie Prim'Holstein

地域
: イル=ド=フランス
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
100%
Brie de Melun
AOP (AOC獲得 1980年)
FT情報 | SC情報

ブリ・ド・ムラン
MS情報
Brie de Melun Prim'Holstein

地域
: イル=ド=フランス
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
100%

Camembert de Normandie
AOP (AOC獲得 1983年)
FT情報 | SC情報

カマンベール・ド・ノルマンディー
Camembert de Normandie Normande
Prim'Holstein
地域: ノルマンディー
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: 50%は純ノルマンド種とすることになった(2020年から)
100%

Comté
AOP (AOC獲得 1952年)
FT情報 | SC情報

コンテ
MS情報
Comte Montbeliarde
地域: フランシュ=コンテ
製造法: 無殺菌乳 / Laitier
品種: Montbéliarde (95 %以上) 、Simmental française
100%
Emmental grand cru Est-Central

IGP (獲得 1996年)
Ciniel情報 Wiki情報

エメンタール・グランクリュ・エスト・サントラル


地域: フランシュ=コンテ、ローヌ=アルプ
100%
Emmental de Savoie
IGP (獲得 1996年)
SC情報

エメンタール・ド・サヴォワ
Emmental de Savoie Tarentaise
abondance
Montbeliarde
地域: ローヌ=アルプ
製造法: Laitier
100% Gruyère français
AOP (AOC獲得 2007年)
FT情報 | SC情報

グリュイエール・フランセ
Montbeliarde

地域
: フランシュ=コンテ
品種: おもにMontbéliarde
製造法: 無殺菌乳 / Laitier
100%

Laguiole
AOP (AOC獲得 1961年)
FT情報 | SC情報

ライオル
MS情報
Laguiole
Aubrac

地域
: ミディ=ピレネー
製造法: 無殺菌 / Fermier + Laitier
品種: Simmental française、Aubrac
※ トウモロコシの肥料は禁止
100%

Mont d’Or
(Vacherin du Haut-Doubs)

AOP (AOC獲得 1981年)
FT情報 | SC情報

モン・ドール
MS情報
Mont d'Or Montbeliarde

地域
: フランシュ=コンテ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Montbéliarde、Simmental française + 交配種
※ 飼料は草ないし干し草のみ(発酵食料は禁止)
100%

Morbier
AOP (AOC獲得 2000年)
FT情報 | SC情報

モルビエ
MS情報
Morbier Montbeliarde
地域: フランシュ=コンテ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Montbéliarde、Simmental française
※ 飼料は草か干し草のみ(発酵食料は禁止)
100%

Reblochon
AOP (AOC獲得 1958年)
FT情報 | SC情報

ルブロション
MS情報
Reblochon abondance
Montbeliarde
Tarentaise
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Abondance、Montbéliarde、Tarine
100%

Salers
AOP (AOC獲得 1961年)
FT情報 | SC情報

サレール(サレルス)
MS情報
Fromage de Salers "Tradition" Salers
Montbeliarde
abondance
地域: カンタル
製造法: 無殺菌乳 / Fermier
※ AOC規定では、乳牛の品種をSalers種に限っているわけではないが、Mmontbéliarde種が過半数を占めているわけではない
100%
Tomme des Bauges
AOP (AOC獲得 2002年)
FT情報 | SC情報

トム・デ・ボージュ
Tome des Bauges abondance
Tarentaise
Montbeliarde
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: 純粋種のAbondance、Tarine、Montbéliarde。各群れは最低50%のTarine種とAbondance種から成る(2011年より)
※ 年に最低120日間の放牧
98%
Tomme des Pyrénées
IGP (獲得 1996年)

トム・デ・ピレネー
Tomme noire des Pyrenees
80%
Neufchatel

AOP (AOC獲得 1969年)
FT情報 | SC情報

ヌフシャテル
MS情報
Neufchatel Normande

地域
: ノルマンディー
製造法: Fermier + Laitier
品種: Normande種が最低60%いること(2015年より)
※ サイレージ(トウモロコシと草)は最高50%まで
75%
Tomme de Savoie
IGP (獲得 1996年)
SC情報

トム・ド・サヴォワ
Tomme de Savoie Tarentaise
abondance
Montbeliarde
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
47%
Saint-Nectaire
AOP (AOC獲得 1955年)
FT情報 | SC情報

サン・ネクテール
MS情報
Saint-Nectaire abondance
Montbeliarde
地域: オーヴェルニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: 品種の制限がないが、AOC認定地区で生まれた牛100%(2015年までに)
※ Fermierは無殺菌乳(40度以上の加熱禁止)を使う義務がある
24%
Cantal
AOP (AOC獲得 1956年)
FT情報 | SC情報

カンタル
MS情報
Cantal abondance
Montbeliarde
Salers
地域: オーヴェルニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
13%
Livarot

AOP (AOC獲得 1975年)
FT情報 | SC情報

リヴァロ
MS情報
Livarot Normande

地域
: ノルマンディー
製造法: 無殺菌乳、加熱殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Normande種のみ(2017年より)
13%
Maroilles

AOP (AOC獲得 1955年)
FT情報 | SC情報

マロワル
Maroilles Prim'Holstein

品種規制なし
地域: ノール=パ=ド=カレ、ピカルディー
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
10%
Chaource

AOP (AOC獲得 1970年)
FT情報 | SC情報

シャウルス
MS情報
Chaource

地域
: 主にシャンパーニュとブルゴーニュ
製造法: Fermier + Laitier
※ 無殺菌乳 14%、加熱殺菌 82%、低温殺菌乳 3%
9%
Pont-l’évêque

AOP (AOC獲得 1972年)
FT情報 | SC情報 

ポン・レヴェック
MS情報
Pont-l'Eveque Normande

地域
: ノルマンディー
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
6%
Fourme de Montbrison

AOP (AOC獲得 1972年)
FT情報 | SC情報

フルム・ド・モンブリゾン
 Montbrison

地域
: オーヴェルニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
6%
Langres

AOP (AOC獲得 1991年)
FT情報 | SC情報

ラングル
MS情報
Langres
Montbeliarde

Prim'Holstein
地域: シャンパーニュ=アルデンヌ
製造法: 無殺菌乳、加熱殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: 群れの半分はMontbéliardeかBruneかSimmentalであること
6%
Munster
(Munster Gerome)

AOP (AOC獲得 1969年)
FT情報 | SC情報

マンステル(マンステール)
MS情報
Munster Vosgienne (race bovine)

地域
: アルザス
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
5%
Epoisses

AOP (AOC獲得 1991年)
FT情報 | SC情報

エポワス
MS情報
Epoisses de Bourgogne
Montbeliarde

地域: ブルゴーニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Brune、Simmental française、Montbéliarde
5%
Fourme d’Ambert

AOP (AOC獲得 1972年)
FT情報 | SC情報

フルム・ダンベール
MS情報
Fourme d'Ambert

地域
: オーヴェルニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
3%
Bleu d’Auvergne

AOP (AOC獲得 1975年)
FT情報 | SC情報

ブルー・ドーヴェルニュ
Bleu d'Auvergne Montbeliarde

地域
: オーヴェルニュ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
※ チーズを扱う店の95%がこのチーズを置いている
Bleu des Causses

AOP (AOC獲得 1953年)
FT情報 | SC情報

ブルー・デ・コース
MS情報
Bleu des Causses
乳牛の品種に
制限なし

地域
: ミディ=ピネレー
製造法: 加熱殺菌乳 / Laitier
Bleu du Vercors-Sassenage

AOP (AOC獲得 1998年)
FT情報 | SC情報

ブルー・デュ・ヴェルコール・サスナージュ
MS情報
Vercors-Sassenage Montbeliarde
abondance
Vache villard-de-lans

地域
: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳
品種: Montbéliarde、Abondance、Villarde
※ 前夜に温めた低温殺菌乳に、翌朝に搾った生乳(無殺菌)を混ぜ合わせて作る


 
ヤギの乳
100%
Banon

AOP (AOC獲得 2003年)
FT情報 | SC情報

バノン
Banon 02.jpg Chevre du Rove
地域: プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: プロヴァンスの品種、Rove種、Alpine種 + 交配種(2014年より)
※ 放牧は年に210日以上。1ヘクタール当たり8頭以下。飼料は草と干し草のみ
100%

Charolais

AOP (AOC獲得 2010年)
FT情報 | SC情報

シャロレ
Fromage charolais
Chevre saanen
地域: ブルゴーニュ
製造法: 無殺菌乳
品種: Alpine、Saanen
100%
Chevrotin

AOP (AOC獲得 2002年)
FT情報 | SC情報

シュヴロタン

地域
: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier
品種: 最低80%はAlpine種
100%

Crottin de Chavignol

AOP (AOC獲得 1976年)
FT情報 | SC情報

クロタン・ド・シャヴィニョル
MS情報
Crottin

地域
: サントル
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Alpine種(2006年より)
100%

Mâconnais

AOP (AOC獲得 2005年)
FT情報 | SC情報

マコネ
Maconnais
Chevre poitevine
地域: ブルゴーニュ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Alpine、Poitevine
100%

Pélardon

AOP (AOC獲得 2000年)
FT情報 | SC情報

ペラルドン
Pelardon Chevre saanen

Chevre du Rove
地域: ラングドック=ルシヨン
製造法: 無殺菌乳
品種: Saanen、Alpine、Rove + 交配種
100%
Rigotte de Condrieu

AOP (AOC獲得 2009年)
FT情報 | SC情報

リゴット・ド・コンドリュー
Rigotte de Condrieu Chevre saanen
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
100%

Rocamadour

AOP (AOC獲得 1996年)
FT情報 | SC情報

ロカマドゥール
Rocamadour
Chevre saanen
地域: ミディ=ピレネー
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Alpine、Saanen + 交配種
100%

Selles-sur-Cher

AOP (AOC獲得 1970年)
FT情報 | SC情報

セル・シュール・シェール
MS情報
Selles-sur-cher

地域
: サントル
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
100%

Valençay

AOP (AOC獲得 1998年)
FT情報 | SC情報

ヴァランセ
MS情報
Valencay
Chevre saanen
地域: サントル
製造法: 無殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Alpine、Saanen + 交配種
80%
Sainte-Maure de Touraine

AOP (AOC獲得 1990年)
FT情報 | SC情報

サント・モール・ド・トゥレーヌ
MS情報
Sainte-Maure de touraine

地域
: サントル
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
58%
Pouligny Saint-Pierre

AOP (AOC獲得 1972年)
FT情報 | SC情報

プリニー・サン・ピエール
MS情報
Pouligny-saint-pierre
Chevre saanen
Chevre poitevine
地域: サントル
57%
Picodon

AOP (AOC獲得 1983年)
FT情報 | SC情報

ピコドン
Picodon
Chevre saanen
地域: ローヌ=アルプ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Alpine、Saanen + 交配種、地元種
※ サイレージ禁止
18%
Chabichou du Poitou

AOP (AOC獲得 1990年)
FT情報 | SC情報

シャビシュー・デュ・ポワトゥ
Chabichou du Poitou 04.jpg

地域
: ポワトゥー=シャラント
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier

 
ヒツジの乳ヤギの乳も含まれる
100%

Roquefort

AOP (AOC獲得 1925年)
FT情報 | SC情報

ロックフォール
MS情報
Roquefort Lacaune

地域
: ミディ=ピレネー
製造法: 無殺菌乳 / Laitier
品種: Lacaune
14%
Ossau-Iraty

AOP (AOC獲得 1980年)
FT情報 | SC情報

オッソー・イラティ
Ossau-iraty
Basco-bearnaise
Manechs tete noire
Brebis manechs

地域
: アキテーヌ
製造法: 無殺菌乳、低温殺菌乳 / Fermier + Laitier
品種: Basco-béarnaise、Manech Tête noire、Manech Tête rousse)
0%? Brocciu

AOP (AOC獲得 1983年)
FT情報

ブロッチュ
Brocciu Corse (race ovine)

地域
: コルシカ
品種: 地元の品種のヒツジ、ヤギ(一方ないし両方)
※ (チーズを作る際にできる)ホエーに、羊と(ないし)ヤギの乳を追加して作る

この表は、正しい情報を見つけたら書き直していくつもりです。


 前の記事:  無殺菌乳で作ったチーズは、濃厚な風味があって美味しい


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ブログ内リンク:
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/0
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ Fromages de Terroirs: Fromages de France
☆ Fromages AOP: Les AOP laitières françaises
☆ So Cheese: Fromages
☆ Cniel: La liste de tous les fromages qui sont fabriqués en France
☆ Wikipédia: Liste de fromages français
Fromages de France - いつでも、どこでもチーズ » 全てのチーズ » 仏語版
雪印メグミルク: チーズの名称
フランスニュースダイジェスト: フランス・チーズ図鑑

Ces AOP qui ont le droit de pasteuriser ! Voici la liste
Et si les Appellations d’Origine Protégée ne protégeaient plus nos fromages
Les fromages français sont-ils en danger ? Véronique Richez-Lerouge, présidente de l'association « Fromages de terroirs » (1)
Véronique Richez-Lerouge, l'avocate du lait cru - Ré à la Hune
Association Fromages de Terroirs
Lait cru, thermisé, pasteurisé ?..... La différence !
☆ Wikipédia: Fromage au lait cru

1000 vaches: Quel Fromage fabrique t-on avec le lait de cette Vache
Quelles races de vaches produisent le lait pour la fabrication des fromages?
Les Races de Massif


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2017/02/26
レストランでチーズワゴンが運ばれてきたときには、どのチーズを選ぶかという問題があります。



食べ放題なわけですけれど、取り分けてもらった後に食べ残すのは申し訳ない。それで、食べてみたいものを幾つか選ぶことになります。

遠くに旅行した時には、地元のチーズをいただくことにしています。レストラン側では、何処のが美味しいかを一番知っていて選んでいるはずだし、知らなかったチーズに出会える機会にもなるので。ワイン選びでも同じにしています。

でも、自分がいるところの地域だと、そういうのができない。今回、バターについて書いてきて(シリーズ記事目次: バターの見分け方)、あらたな注文の仕方を思いつきました。

バターの風味を最も味わえるのは、加熱殺菌していない牛乳から作ったバターなのでした。無殺菌牛乳から作ったチーズは、もっと如実に結果が出るはずですよね。

というわけで、思いついたのは、お給仕の人に無殺菌牛乳で作ったチーズを選んでもらう、というものです。そこまで把握しているかな、という気はするので、意地悪なお客になってしまうかもしれない...。でも、こだわりがあるレストランだったら、分かっているのではないかな。実験してみたいです。


フランスでは、無殺菌牛乳は健康に良くないと言われていたそうですが、最近になったら科学者たちが逆を言っているのだそう。無殺菌牛乳には、アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎などを軽減する効果があるのだとか...。

でも私は、健康のために食べるというのには抵抗を感じます。美味しいものを食べたいだけ!


AOP/AOPを持つチーズが最高とされるけれど...

Logo AOP原産地や製造法などで高品質だと認可されている食品の認可として、AOP/AOCがあります。

フランス観光開発機構: AOCとAOPは高品質チーズの証

フランス政府が認可している農産物・農産物加工品の品質保証の中で、AOC/AOPは最も権威があり、厳しい規定に従って生産されています。

これを持っているフランスのチーズの数は、現在のところ45となっていました。

厳しい規則に従って生産されているということは、チーズを作るための牛やヤギやヒツジは、冬でもない限りは放牧が義務で、品種が決まっていて、使う乳は伝統に従っているはずだから無殺菌牛乳だろう、と思うではないですか?

ところが、かなり内部規制が緩やかなものもAOP/AOCを獲得しているのでした。はっきりしているのは、例外なく原産地は限定されているという点。でも、それだけでは美味しいチーズはできない。


AOP/AOPチーズでも、無殺菌牛乳で作っているのは7割前後に過ぎない

テロワールの特徴と伝統を守ってチーズを作ることを推進しているらしい女性ジャーナリストが、各チーズで無殺菌乳である割合も示している著書がありました。
France, ton fromage fout le camp !
 - Où est passé le bon goût du terroir ?


著者: Véronique Richez-Lerouge
Editions Michel Lafon
2012年

この本を紹介する記事では、AOP/AOCを持つチーズの生産量に占める無殺菌乳で作ったチーズの割合は68%に過ぎないのだ、と書いていました。

この品質保証を管理しているINAO(国立原産地名称研究所) が出しているデータはもう少し多くて、2015年には75%としています。2010年あたりから徐々にAOPを持つチーズでは無殺菌乳で生産する量が増えてきているのだそうです。といっても、年に1%も増加はしていませんが。

ともかく、AOPを獲得しているチーズなら、無殺菌乳で作っている割合は高いとは言えるようです。この品質保証を持っていない熟成チーズの場合、無殺菌乳を使っている割合は、たったの10%程度なのだそうです。こちらは、殺菌乳を使うのが増加しているようです。2013年の情報では15%とあったので。


AOC/AOPチーズは、その品質保証を持っていないチーズの倍くらいの値段がするのだから、ちゃんと無殺菌乳から作っているのかどうかを知る権利が消費者にはあるのに、はっきり出していないと書いている人がいました。

※ 消費者が支払うAOPチーズの平均価格は、1キロ 13.84ユーロ(約1,800円)。1家庭で1年間に平均4.7キロのAOPチーズを購入している。

言われてみると、レ・クリュ(無殺菌乳)というのを売り物にしているチーズはあるけれど、100%無殺菌乳ではないチーズの場合は隠しているのではないか、という気もしてくる...。

フランスのチーズに関する情報サイトでも、AOC/AOPの規定で無殺菌乳から作らなければならないと定めているという記述があったりする程度で、そのチーズが無殺菌なのか加熱殺菌されて作られるのかというのは殆ど見えません。

その点で、上に入れた書籍が、チーズごとに、その生産量に占める無殺菌乳で作られた割合を示していたのは興味深いです。私は本を手にしていないのですが、そのパーセンテージをピックアップした情報があったので眺めてみました。

殺菌乳であるか否かの他に、もう1つ私が気にするのは、家畜の品種です。乳牛に関しては、これは歴然と出てしまうと思う。

フランスでは、搾乳量が多いプリム・ホルシュタイン種の乳牛が増大して、現在ではフランスで飼育されている乳牛の7割くらいを占めているようです。プリムさんには悪いけど、この牛のミルクは味が薄くて、チーズにするには無理があると思う。

でも、家畜の品種が何であるかの前に、加熱で風味を無くしてしまわない無殺菌牛乳で作っているかどうか、というのが第一の条件なのかもしれません。


チーズには製法もあるけれど、
  無殺菌乳で品種限定というところで、味はかなり決まってしまうのでは?


私がチーズを食べるとき、とても美味しいと思ったのに、次に食べたときには信じられないくらい無味乾燥で美味しくないことがあるのを経験していました。

そういう当たりはずれを味わったチーズというのは、無殺菌牛乳で生産されている割合が低いのと、かなり一致するのでした。

ということは、無殺菌牛乳を使っているパーセンテージが高いチーズを選びをすれば、がっかりする危険性は少ないのではないか、と思ったのです。


無殺菌乳を使っていて、しかも家畜の品種も限定されているAOPチーズの場合には、かなり当たりはずれがないように思いました。

例えば、私が必ずストックしているコンテチーズ

グラタンにも使うためのコンテチーズとして、6カ月しか熟成していない安いものをスーパーで買っているのですが、そのまま食べてしまっても美味しいのです。

熟成が短いと深みはありませんが、でも全く悪くはない!

コンテの場合、とても内部規制が厳しいのでした。

まず、無殺菌乳でないとAOPコンテとしては販売できないのでした。

しかも、乳牛は2品種に限定されていて、そのうちのモンベリアルド種が95%以上と決まっている。

だから、コンテには当たりはずれが無いのだろうと思いました。これは不味いと思ったコンテを食べた記憶はありません。


もう1つ、検証。

ひところ、牛乳から作ったブルーチーズ(青かびチーズ)は美味しくないと思っていた時期がありました。同じブルーチーズでも、ヒツジの乳で作ったロックフォールは美味しい。だから、牛の乳をブルーチーズにするのには無理があるのだ、などと勝手に思っておりました。

ところが、ブルー・ド・ジェックスには素晴らしい風味があったので驚いたのです。たまたま買ったのが美味しかったのかと思ったのですが、その後にどこで買っても美味しいのでした。

ブルー・ド・ジェックスは、無殺菌乳を使うことが義務になったチーズでした。

今まで食べていた青かびチーズには味がなくて、安物のチーズの雰囲気があるという記憶があったのです。何を食べていたのかな?...

無殺菌乳で作ったチーズの生産量が全体からみると3%しかないブルーチーズとして、ブルー・ドーヴェルニュがありました。こちらは、どんな品種の牛のミルクかも分からない。

大半のチーズ屋さんが置いているというので、私が悪い印象を持ったのは、ブルー・ドーヴェルニュかも知れません。

お値段にも差があるのだろうと思って、比べてみました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

『ブルードーヴェルニュ AOP 125g』
価格:961円(税込、送料別) (2017/2/26時点)


価格には、ほどんど差はないのですね~!


またまたフランシュ・コンテ地方のチーズを挙げてしまいますが、モルビエも大好き。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

モルビエ 約300g AOC フランス産 チーズ 毎週月・木曜日入荷
価格:3758円(税込、送料別) (2017/2/26時点)


AOPモルビエも、無殺菌乳から作ることを義務にしていました。

結局のところ、私はモンベリアルド牛のミルクが好き。

ノルマンディー地方には地元原産の可愛いノルマンド種の乳牛がいるのに、見かけるのはプリム・ホルシュタイン種の牛たちばかり...。

でも、フランシュ・コンテ地方の牧場には、モンベリアルド種の牛しかいないようにさえ見えます。





チーズごとに無殺菌乳を使っている割合と、家畜の品種が限定されているかの情報を加えて、私なりの判断ができるように表を作ってみました。

眺めて、自分で楽しんでしまいました。AOPを持ったチーズでも、そんなに美味しくないけれどな... というのは、この2つの条件、あるいはそのどちらの規制が緩やかなチーズなのでした。いつも好きだと分かっているAOPチーズばかり買っていたのですが、表を眺めていたら、これを食べてみたいな、というのも出てきました。

その一覧表は、次回の記事として転送します。この下に入れるつもりだったのですが、前置きが長くなってしまったので。

続き:
無殺菌乳で作られるチーズを探すために、一覧表を作ってみた

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ブログ内リンク:
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/0
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)

外部リンク:
☆ フランス観光開発機構: 知っておきたい美食の認証制度~AOC、AOPなどの用語解説 | AOCとAOPは高品質チーズの証
☆ Cniel : dossier d'information - Les produits laitiers
☆ INAO: Produits laitiers AOP et IGP Chiffres clés 2015 / 2014 2013 [PDF]
☆ CNAOL: Produits laitiers AOP, Les chiffres clés 2011


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2017/02/22
美味しいものを食べることに情熱がある友人に、「フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー」で書いたドキュメンタリーのことを話しました。

Périco Légasseが出ていたと言うと、「彼は良いジャーナリストだ」と返事。

大企業のラクタリスを攻撃してしまうなんて凄いと思ったと話すと、「最近はテレビで余り顔をみないな」と言いました。もともと私はテレビは殆ど見ていないので、分からない。

企業家を怒らせるようなことを言ってしまって、テレビから干されているのではないか、などと話していました。

インターネットで検索してみました。

まだ60歳にはなっていないので、引退したはずはないですね。

こんな本も去年に出していらしゃるし、お元気そうではないですか。


彼のブログを見つけました。

乳牛をたくさん見かける酪農地帯でさえも、フレッシュな牛乳を買うのは難しい、というお話し。小さなスーパーでは、ずっと前からロングライフ牛乳しか売らないと言ったのだそう。

そう言われると、日本よりフランスの方が早くから常温で長期保存できるミルクが出回っていた気がします。というのは、最近になって日本でもそれが多くなったのだ、と私は気がついたので。


無殺菌牛乳の自動販売機を見ていた

ブルゴーニュの町で、変わったものがあるのが目に飛び込んだことを思い出しました。



何かと思って近づいてみたら、これ。




フランスで自動販売機を見ることは滅多にありません。駅や空港の中だったら、あったかな?...

しかも、ここで売っていたのはミルクなのです。

農家のミルクを1日中買えるのですって。

しかも、絞りたての無殺菌牛乳!

張り紙の写真も撮っていたので読んでみました。

ボトルを持ってきても良いし、有料で容器を買っても良いのだそう。

妊婦にはお勧めしません、なんて書いてある。最近は、そんなことはないのだ、と言われるようになりましたけど。

このとき一緒にいた友人が、こんなのが自分の家の近くにできたら良いな、と言っていたのを思い出しました。

この当時の私は、それほどミルクには興味がなく、ここでは自動販売機がフランスにあることに驚いておりました。

まだ無殺菌牛乳は使っていなくて、ロングライフ牛乳をストックしていましたので。

無殺菌牛乳はすぐに使わなければならないので、面倒だと思っていたのです。でも、料理に使っても味が良くなることを知ってからは、ロングライフ牛乳を使う気にはならなくなりました。


写真の日付を見たら、2010年。

自動販売機というのはフランス人には好かれなくて、もうなくなっているのではないかなと思って、とりあえず地元の新聞を検索してみました。

私が見たのは、設置してからわずか2カ月というところだったようです。ミルクの売値が下がっていくので、新しいビジネス方法を考えた農家のアイディアでした。

3年くらいしたら設備投資を取り戻せそうで、そこを利用している女性が自分でヨーグルトを作っている話しなどもありました。


でも、ああいうのがフランスで成功するのかな?... 自動販売機には抵抗があるだろうし、そもそも、日本だったら農村と言われてしまうくらい人口の少ない町なのです。

やはり、うまくいっていないみたい。常連客は相変わらずいるけれど、始めの半年ほどには売れないようです。1リットル1ユーロ(約120円)を半額にするセールをしたら客が倍増したけれど、それでは原価を割ってしまう。この自動販売機は500万円近いのだそう。

問題は、大きなスーパーで売っている無殺菌牛乳は、この農家の売値より安いこと。それから、ロングライフ牛乳の方が便利だと思う消費者が多いこと。

それで、何かプロモーションの方法を考えないといけないらしい。日本だったら、無殺菌牛乳には希少価値もあって、十数倍のお値段でも売れると思うのですけどね。

そんなニュースがあったのは、ちょうど1年前のことでした。どうしたかな?....



ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)に関して書いた日記

外部リンク:
La croix et la bannière pour trouver un litre de lait frais à la campagne
☆ Wiktionnaire: la croix et la bannière
Distributeur de lait cru le soufflé est retombé malgré le soutien de fidèles 18/02/2016
Lait cru et circuit court 02/04/2012


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2017/02/20
ひと昔前、不思議に思っていたことがありました。

こちら消費者としては、そこから買うしかないに、なぜ多額の広告費をかけて宣伝しているのだろう? という疑問です。例えば、こんな風なコマーシャルを見ながら思っていました。

でも、事故が起きてから、鈍い私も気がつきました。そうかぁ~、マスコミにとって大事なスポンサーになっていれば、悪いことをしても非難されることがないのだ...。


フランスのマスコミには気骨がある

フランスで政治家のゴシップや企業の不正を暴露しているのは、必ずと言ってよいほど、広告を全く入れていない新聞「カナール・アンシェネ(Le Canard enchaîné)」です。

フランスのテレビでも、民放はコマーシャル収入のおかげで運営できています。でも、大手企業を告発するような番組も作ってしまうことが度々あります。フランスでは報道の自由が守られている度合が高いのでしょうし、真実を報道しようとするマスコミ界の自負心も強いからではないでしょうか。


そんな番組を作ってしまえるの? と驚くドキュメンタリーがありました。YouTubeに入っていたので、その動画を入れておきたくなりました。

フランスでテレビに出てくる食べ物のコマーシャルは、スーパーでよく見かける大量生産された画一的で風味に乏しい食品を作っているメーカーばかりです。それを眺めていると、フランスが美食の国だとはとうてい思えません。

このドキュメンタリーでは、そういう食品業界の大企業がしていることによって、フランスが誇ってきた美食文化が崩壊しつつあることに警鐘を鳴らしています。直接的に批判しているわけではありませんが、諸悪の根源はそこにあることが見えてしまう...。

掘り下げた取材をして、2時間にもわたるドキュメンタリーにしていました。そこで取り上げられた企業は怒ってしまって、もうコマーシャルを入れられないかもしれないのに...。放映したテレビ局には喝采を送りたいです。

日本でも、伝統を守って作っている小規模生産者が、大量生産で安い商品を売る大手メーカーに食われてしまうことはあると思います。でも、日本のテレビ局が、コマーシャルをたくさん流してくれる大事なお得意さんを批判してしまうような番組を作ることがあるでしょうか?...


フランスの伝統的なチーズを守ることの大切さを教えたドキュメンタリー

先日、無殺菌牛乳について書きながら調べていて、このドキュメンタリーを見つけました:
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/0

2007年に、地方版があるチャンネルのFrance 3で流された番組のようです。もちろん、取材された大企業は放送にストップをかけたのですが、放映されました。試写会で見たときに企業がクレームを付け、放送予定日を少し延期していたらしいので、内容は少しオブラートに包んだのかもしれない。

logo de Lactalis伝統的にチーズを作っている人々との対象として、チーズを大量生産をしている会社の例として登場してたのは、乳製品生産においては世界第2位のラクタリス(Lactalis)。

スーパーで売っている安いチーズは、みんなこの会社が作っていると思いたくなるほど、色々な名前のチーズがこの会社の傘下に入っています。

このくらい巨大な企業だと、マスコミが叩いたり、酪農家たちが不買運動が起こったくらいでは問題はないのでしょうね。ひと昔前のマーケティング理論では、第2位としてフォロワーが一番強いのだと言われいましたけれど、今では巨大企業はとてつもなく巨大に成長していくのですから。


このドキュメンタリーをフランス人が見たら、自分たちの国にはこんなに素晴らしい食べ物があるのだと誇らしい気持ちになるだろうな、と羨ましく思いました。絶滅の危機に瀕している伝統的な作り方をするチーズは、フランスが誇る食文化なのだから、守っていかなければならないと啓蒙されるはずです。

このドキュメンタリーに感動した人は多かったようで、再放送もされたし、DVDにまでなって販売されていました。

こちらがDVDカバーに描かれた絵  ↓

Ces fromages qu'on assassine


みんなで、寄って集って、カマンベールチーズを攻撃している絵。

世界的に知られているカマンベールチーズ。大きなメーカーが、伝統的な製法として認められているAOC/AOPカマンベール・ド・ノルマンディーにある製造法の規制(特に無殺菌乳で作らなければならないという決まり)を無くそうと圧力をかけているのが大きな問題となっているのです。私の感覚では、もう伝統的なカマンベールはほぼ消滅したと思えますけれど。


このドキュメンタリーのタイトルは、どう訳したら良いのでしょう?

直訳したら「人々が暗殺する、これらのチーズ」みたいな感じなのですが、「暗殺されるチーズたち」、というのはどうでしょうか? 暗殺とした動詞には、謀殺、蹂躙、台無しにする、というような意味もあります。


Périco Légasseドキュメンタリーを主動していたのは、美食を専門とするジャーナリスト・評論家のPérico Légasse

彼のアシスタント役になっていたのは、フランス系なので流暢にフランス語を話すスウェーデン人の若者。

良いコンビでした。

フランスのチーズ製造がどうなっているかを、ジャーナリストは外国人の若者を相手に分かりやすく説明しています。また、問題のラクタリスのカマンベールチーズ工場を視察するのも、受け入れ側が構えたりしないように、彼一人にやらせていました。


毎日大量のカマンベールチーズを作っているオートメーション化したラクタリスの工場。そして、美しい自然の中で、昔ながらに手作りチーズを作っている人たち。そのコントラストが素晴らしいです...。

ドキュメンタリーで最も大きな焦点が当てられていたのは、チーズは無殺菌乳でないと、テロワールや伝統を感じられる風味はでないということ。

フランス人たちがステレオタイプで信じてしまっているのは、実は大企業のロビー活動によって植えつけられたのだ、と見せています。

無殺菌乳は黴菌があって、妊婦は飲んではいけないと言われるけれど、かえって免疫力を付けるので良いのだ、と言う化学者も登場していました。

フランスが無殺菌乳のチーズを作るのを反対しているのはEU連合だ、とフランス人たちは言います。でも、登場したブリュッセルの担当者は、フランス以外でも無殺菌乳でチーズを作っているのだから、それらを守って、それぞれの国の食文化を守ることを使命にしているのだ、と話していました。

アメリカ人はフランスのチーズは臭くてたまらないと言われているけれど、実は、最近のアメリカでは、フランスで無くそうとしている伝統的なチーズに魅せられて、フランスのやり方でチーズを作るようになっていること。

伝統的なチーズ作りをしなかったら、何でも同じような味のチーズになってしまう。フレーバーや色素を入れれば、いくらでも伝統的なチーズに似せたものを作れてしまう。伝統的な作り方をしないと、チーズは全て画一的な味気ないものになってしまう。

など、など...。


2時間近いドキュメンタリーの全編をYouTubeで見ることができます。画像が不鮮明なので、チーズの産地の広大で美しい風景の魅力が十分に伝わってこないのは残念ではあります。

YouTubeでは動画が消えてしまうかもしれないので、全編を見ることができたリンクを幾つも入れておきます。もしも全部消えていたら、「Ces fromages qu'on assassine」をキーワードにして動画を検索してみてください。


Ces fromages qu'on assassine Documentaire 2016
Ces fromages qu'on assassine | Documentaire 2016
Ces fromages qu'on assassine



ドキュメンタリーに登場していたチーズと、その生産者たち

ドキュメンタリーには、私がお会いしたことがある方が2人登場していました。旅行したときにはチーズ工房をよく見学するのですが、番組で登場するほど多くのところには行っていませんでした。

フランスには1,100くらいの種類のチーズがあるのです。番組でどれを紹介していたかをリストアップしてみます。番組では、イタリアやアメリカのチーズづくりをしているところも訪問しているのですが、それは省略。

フランスの伝統的なチーズが無くなってしまうという危機が問題にされるとき、大きく扱われるのはカマンベールです。番組全体を通して、小規模生産との違いを見せるために、大量生産のラクタリスのカマンベール工場がフラッシュバックのように映し出されていました。








VS



Camembert | Camembert de Normandie (AOP 無殺菌乳のみ)
カマンベール・ド・ノルマンディ | カマンベール
ノルマンディー地方

ラクタリス社のオートメーション化されたカマンベール製造工場を見学。AOPは持たず、60℃で殺菌している。

カマンベール村に唯一残っているAOPカマンベールを作っている農家。

ラクタリス・グループの前身の会社によって1978年に買収されたルプティのオーナー。
父親の時代にはカマンベールを48時間かけて作っており、自分は24時間で作った。今は4時間で作ってしまう。

ひとり言:
AOP/AOCのカマンベール・ド・ノルマンディーは無殺菌牛乳で作らなければならないという決まりがあるのですが、それを大手メーカーのクタリスなどが無くそうと運動しています。Isigny Sainte-MèreもAOPなしのカマンベールを作っているので、反対していると聞いていますが、番組には登場していなかったような気がします。

ルプティ(Lepetit)は、庶民も飼えて美味しい本物のカマンベールとして絶大な人気があり、買収されたときに残念がった人たちがたくさんいたと言われます。

番組は10年前のものなので、ここに登場しているカマンベール村のチーズ製造農家は引退して、経営を他の人たちに譲りました。売りに出すときに希望者が大勢現れたそうなので、ラクタリスからもコンタクトはあったと思うのですが、頑張ってくれたのだろうと思います。私がAOPカマンベールならここ、と決めていた会社はラクタリスに最近買い上げられてしまっていますので...。

Salers (AOP 無殺菌乳のみ)
サレール (サレルス)
オーヴェルニュ地方 カンタル県

ひとり言:
サレルス種の牛を搾乳するときには、自分の子どもがいないと乳を出さないのだと聞いていたのですが、その様子を初めて見ることができました♪

本当に昔ながらのチーズ作りをしている農家が出てきていますが、仕事が大変なので後継者がいないし、大手企業が入り込んできているので、こういう本物のチーズは消滅の危機に瀕しているようです。

サレルスのチーズを地元の人がお土産に持ってきてくれた人があり、今まで食べたチーズとは全く違うので驚いたことがありました。地元の人だと、どこが本物を作っているのか分かっているのでしょうね。

Mothais sur feuille / Chabichou
モテ・シュール・フォイユ / シャビシュー
ポワトゥー=シャラント地方

400頭の山羊を家畜小屋の中だけで飼育し、ヤギを生産している農業者。

ひとり言:
農家がこんな風に近代化した施設にしてしまったら、設備投資の借金も抱えるので、農業をしていても幸せではないように私には見えてしまった...。
サイト:  Les fromages de chèvre Paul Georgelet

Fromage abbaye de TamiéAbbaye de Tamié
アベイ・ド・タミエ
サヴォワ地方

タミエ修道院(厳律シトー会、トラピスト会)で作るチーズ。

ひとり言:
修道僧の高齢化によって、製造工程の装置は近代化したと話されていましたが、チーズを作っている修道士は幸せそうに見えました。

Époisses (AOP)
エポワス
ブルゴーニュ地方

殺菌乳を使うようになったチーズ会社の例。

ベルトー社の努力によって、ついにエポワスは1996年にAOCを獲得。ところが、1999年、リステリア菌による中毒者が出て、エポワス・チーズで中毒死したと報道されるという不運が降りかかった。

エポワスと言えばベルトーが有名すぎる。濡れ衣を着せられたベルトー社では売り上げが6割も減った。殺菌した牛乳でチーズを作るようになり、ビジネスは好転して成功。近代的な工場もでき、工場内は異常なほどの衛星管理。

ひとり言:
小さなエポワス村にあるベルトー社の直売ブティックは手作りチーズ工房のようなアットホームな雰囲気があるので、こんなに近代的な工場ができているとは知らなかった...。

無殺菌乳でエポワスを作っているのは、今ではGaugry(ゴグリー)社だけです。

Beaufort (AOP 無殺菌乳のみ)
ボーフォール
サヴォワ地方

伝統的な製造をしている工房(木型はトネリコ)。
放牧している牛の絞りたての乳を試飲など、度々、伝統的な田舎のイメージとして登場。

ひとり言:
取材班は、ここが本来のチーズ作りの原点と思ったのか、他を映し出した後で、しばしばフラッシュバックさせていました。

Comté (AOP 無殺菌乳のみ)
コンテ
フランシュ・コンテ地方

チーズの熟成をするカーヴ。
チーズをハンマーでたたいた音で、チーズに問題があるかどうか、良し悪しなどが分かるのだそう。

ひとり言:
見学したコンテチーズの工房では、このような専門の貯蔵所で熟成させるのだと話していました。

チーズの熟成所

サン・ネクテール(AOP)を熟成しているトンネルなど

ひとり言:
素晴らしく美しいサン・ネクタール村に1週間滞在した楽しい思い出があるので、もっと見せてもらいたかった...。

Roquefort AOP 無殺菌乳のみ)
ロックフォール
ミディ=ピレネー地方 アヴェロン県

チーズを熟成させるカーヴ。
貯蔵庫の棚に使われているのはオーク材で、これがないと良いロックフォールができない。

ひとり言:
フランスのスーパーで最も目立つのはラクタリス・グループに入っている「ソシエテ」だと思うのですが、日本には余り入っていないのかな?...
ロックフォールを楽天市場で検索

一番美味しいのはパピヨンのロックフォールだと言う友人がフランスに複数いるのですが、取材されていたのはカルル社の方でした。パッケージを見て、こちらの方が美味しかったような気もしてくる。

取材する会社に入ろうとしたら、ソシエテのトラックに邪魔されちゃった、などとジャーナリストが冗談を言っているのが面白い。

Ossau-iraty (AOP)
オッソー・イラティ
バスク地方

ヒツジの乳(無殺菌)からチーズを作る伝統的な農家。
案内訳のジャーナリストの故郷がバスク地方なので、フランス全国を回ったチーズ産地訪問の最後は、ここで締めくくりたかった様子。



チーズは、やはり無殺菌乳で作ったものが風味があって美味しいのですが、危険を回避したり、手間を省いたりするために殺菌乳を使う生産者が多くなってきてしまっています。

AOC/AOPを持つ各チーズが、どのくらい無殺菌乳を使っているかをパーセンテージで示した情報があったので、次回に書きます。チーズを食べていて、当たりはずれが大きいと感じていたチーズは、殺菌乳を使っている割合が高いのだと分かって、私には興味深かったのです。

続きへ:
★ 無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/0 
★ 無殺菌乳で作られるチーズを探すために、一覧表を作ってみた 2017/02/28

フランス産チーズを検索
カマンベールを検索
ロックフォールを検索


ブログ内リンク:
★ シリーズ記事: カマンベールチーズは複雑!  2010/07/25
上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組 2017/01/28
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
« Ces fromages qu’on assassine » : France 3 censure le documentaire contre Lactalis
☆ L'OBS: Ces fromages qu’on assassine
Sortie DVD de Ces fromages qu'on assassine, de Joël Santoni et Jean-Charles Deniau
FilmsDocumentaires.com: Documentaire Ces fromages qu'on assassine
[DOCUMENTAIRE] Ces fromages qu'on assassine
☆ Télérama: Ces fromages qu'on assassine, economie 2010

ラクタリス・グループについて
☆ Le Monde: Président, Bridel, La Laitière, Galbani… quelles sont les marques de Lactalis 
☆ Le Figaro: Président, Lactel, Bridel...  plongée dans l'univers des marques de Lactalis
Les Français appelés à boycotter les produits du groupe Lactalis
☆ Le Parisien:Le site historique du camembert Lepetit va fermer

Patrimoine. François et Nadia Durand quitteront Camembert sans en faire un fromage 26/09/2008
Bienvenue à la Ferme: Fromagerie DURAND 09/03/2016

☆ LITERA: 復活したマスコミの電力会社タブー! 朝日の関電裏金報道も黙殺 2014.08.03.
☆ 日経広告研究所: 有力企業の広告宣伝費(2010年度) ⇒ 目次
東電の広告 宣伝費90億円の波紋・・・東京新聞の勇気 2011-05-23
☆社会科学者の随想: ビートたけしは原発応援団長(?)だったが,いまは再生エネ企業の宣伝マンか? 時代が要求する〈芸人魂のワンダフルさ〉


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2017/02/19
パリのシャンゼリゼ通りのすぐそばに、超高級ホテルのフォーシーズンズ・ホテル・ジョルジュサンクがあります。

Hôtel George-V

庶民の私にできるのはラウンジでコーヒーを飲むくらいですが、博物館のように美しいアンティークの調度品があって、ゆったりとくつろげるので気に入っています。こういう気取ったホテルを、本来は好きではないのですけど。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その12

このシリーズで何回も登場させたドキュメンタリー番組「Le beurre et l'argent du beurre」では、このホテルに入っているレストランが登場していました。

3つ星レストランの調理場

3つ星レストランのLe Cinq(ル・サンク)。ドキュメンタリーの取材があったときにはシェフだったエリック・ブリファーさん(Éric Briffard)が登場していました。このドキュメンタリーがテレビで放映された年は、ブリファーさんがレストランを去った2014年のようだったのですが。

ブリファーさんは、20年近く前にボルディエ(Bordier)のバターに出会って以来、使い続けているそう。毎週注文していて、それがレストランに届けられていました。



こんなにたくさん?! と思ったのですが、段ボール箱を開けると、テーブルの上に置くらしいバターの画像が映し出されました。この形で届くのだとしたら、梱包は大きくなるでしょうね。



ボルディエ社のバターを楽天市場で検索

この後に、気になった場面が出てきました。


加熱しても焦げないバターがある

ブリファーさんが、加熱すると焦げるバターと、焦げないバターのデモンストレーションしたのです。

普通は、フライパンを強火にかけてバターを入れると、3秒くらいで、まだバターが溶けきらないうちに茶色く焦げ始めます。




ところが、全く焦げないで、最後まで黄色のままのバターがあったのでした。並べてみると、違いは歴然としていますね。




日本の有塩バターは、フランスの有塩バターより塩分が少なかった」で書いたように、私はバターを加熱するときに焦がしてしまうことがよくあるので、興味津々。


Beurre clarifié澄ましバター

焦げないバターを「beurre clarifié」と呼んでいるので、調べてみました。

日本語では「澄ましバター」と呼ぶのでした。どうやら、プロの隠し技らしい。

バターを湯せんなどで温めて液体状にし、上澄みと底に残る部分を取り除いた状態のものが「澄ましバター」ということのようです。

作りたての澄ましバター
常温の状態


澄ましバターの利点

普通のバターは120度で焦げてしまうのに、澄ましバターなら250度まで大丈夫なのだそう。

さらに、澄ましバターにすると、日持ちが良くなり、冷蔵庫に入れなくても保存できるようでした。バターに関する番組の中で、昔は澄ましバターを作って壺に入れて保存し、1年くらい使ったという人もいましたけれど、そこまで保存できるのかは疑問。

常温で大丈夫というのと、日持ちが良くなるということに惹かれました。

フランスを旅行した日本人がバターをお土産に持って帰るという話しをよく聞くのですが、溶けてしまったり、保冷材を入れたりしたら凍って風味がなくなりそうではないですか? 私はバターを日本に持って行ったことがありません。

でも、澄ましバターにしたら、問題なく持ち帰れそうではないですか?♪

それに、無殺菌バターを買ったときにも便利だと思いました。私のお気に入りにしている無殺菌バターは、日帰りでは行けない場所にある工房で作っているので、めったに買いに行けません。ここのバターは安いので、たくさん買いたくなるのですが、1週間くらいで食べきるのがベストなのです。冷凍するのを実験したこともあるのですが、風味はみごとに落ちてしまいました。

澄ましバターにして保存すれば良いわけではないですか?♪


焦がしたバターは、心臓や動脈に良くないのだそうです。フランスには心臓病の友達が何人もいるので、これをやるようにすすめようと思いました。

もう1つの利点は、パンに塗りやすいこと。これは魅力ですね。朝食で食べるとき、コチコチのバターだと困るので。でも、加熱するわけでもなかったら、そのままの状態で食べたい気がします。

澄ましバターにすると、成分から乳糖とカゼインが無くなるようです。バターそのものの風味は落ちるのではないかな...。でも、美味しくなったと言っている人もいました。


私が好きなカエルのすね肉料理で、見事な調理をするレストランがあるので感心していたのですが、澄ましバターだったのだろうと思いました。バターをたっぷり入れているのに、全くしつこさはないのです。

 
久しぶりにカエル料理を堪能 ♪ 2013/07/19


バターを加熱するときは、澄ましバターを使うのがベストのようです。しかも、いたって簡単に作れてしまうのでした!


澄ましバターの作り方

日本語情報は最後にリンクを入れますが、フランスの動画を入れてみます。

作り方1


Technique de cuisine : Clarifier du beurre

湯せんにしたバターを3つに分けて、上澄みと底の部分は取り除き、真ん中の部分を使う。でも、ロスがたくさん出そう。急がないなら、容器に入れた状態で冷蔵庫に入れ、翌日に上澄みを取り除いて、少し表面を削れば良いとのことなので、これが良いですね。

湯せんで溶かさないで、常温でバターを置いておくという方法の紹介もあったのですが、それでバターが完全に液体になるのだろうかという気がしました。


作り方2

電子レンジを使った簡単な方法もありました。電子レンジなどを使いたくないですが、これだと非常に簡単にできてしまうのが魅力。

バターについて勉強のような番組で紹介されていました。澄ましバターの作り方の部分だけが出るように動画を入れます。


Comment bien choisir son beurre ?

まず、澄ましバターを作るには、ある程度の量ですることが必要だそうです。50グラムなどではダメ。番組では、フランスでは普通の250グラムのバターを使っていました。
  1. バターの塊を切って、下がつぼまった容器に入れてラップする。
  2. 電子レンジは「解凍」のポジション(これが大事!)で3分間チンすると、バターは分離する。
  3. それを動かないようにして、そっと冷蔵庫に2時間入れておく。
  4. 固まったら、冷水で洗って、上と下の部分を削ぎとれば出来上がり。
この動画でも最後に加熱したときの状態を見せていますが、澄ましバターは焦げないのですね。


レストラン「ル・サンク」が登場した動画

始めに書いた、澄ましバターは焦げないというデモンストレーションがあったレストラン「ル・サンク」の場面だけを出す動画も入れておきます。作り方は余り見えないのですが、フランス料理はバターをふんだんに使うというのが見えます。

このレストランでは、ボルディエのバターで毎日20キロも澄ましバターを作っているのだそう。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5)


ギーとは違う

それなら、澄ましバターの状態で売っても良いのではないか、と思うではないですか?

探してみたら、売っておりました。フランスのネットショップが扱っていたものは缶に入っていて、これがバター? と疑うシロモノ。しかも、説明がないので何なの分からない。

日本のショップは丁寧に説明していますね。


市販されているのはギー(Ghee)と呼ばれるバターオイルで、煮詰めてしまって作るようです。フランス料理で使う澄ましバターとはかなり異なるように思えました。



長々とバターについて書いてきましたが、今回で終わりにします。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】その12





ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事

外部リンク:
ボルディエ社のバターを楽天市場で検索
フランスの高品質保証AOP/AOCを持つバターを楽天市場で検索
6 Raisons de Clarifier son Beurre
プロの味・澄ましバターの作り方★ by 大井町子
料理サロン ひとつむぎ: 澄ましバター
飲食店では教えてくれないナイショのレシピ: 澄ましバターの作り方


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2017/02/18
バターと一緒に食べる習慣があるフランス料理は、それほど多くないと思います。

想い浮かぶのは、ソーセージ、ラディッシュ。そういう食べ方をするのは、家庭で食べるときか、庶民的なレストランではないでしょうか? それから、シーフードの盛り合わせを食べるときも、必ずバターが付いてくる...。

でも、フォークとナイフでお上品に食べるフランス料理の中で、バターが欠かせないというのは思い浮かんできません。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その11

このシリーズを書き始めるまでの私は、レストランで出されるバターには殆ど注意をはらっていませんでした。

レストランで食事をしたときには、後で思い出せるように写真を撮っていますが、バターを被写体にするのは例外的です。

例えば、下の写真を撮ったのは、変わったバターナイフがあって、その横にライヨール・ナイフの宣伝とも思えるメッセージがあったからでした。



写真を眺めていて、このバターはとても美味しかったのを思い出しました。コース料理の終わりころになると、料理の向こうに写っている写真ではバターの量が半分くらいに減っていました。このときの食事についてはブログに書いていなかったのが残念...。

というのも、今回のシリーズに入れた写真をご覧になった方が、これはパリでも入手が難しいル・ポンクレのバターだと教えてくださったからです。


私には猫に小判...

レストランのテーブルの上にバターがあっても、私は全く手を付けない方が多いように思います。フランスのレストランで出される料理のボリュームはかなりあるので、パンにバターを付けて食べていると、それでお腹がいっぱいになってしまって、せっかくの料理を食べられなくなってしまうからです。

でも、美味しい料理を作るシェフたちは、テーブルに置くバターも選んでいるわけですし、自分が買わないバターに出会えることもあるわけなので、試食の意味でもバターを食べてみる価値があると思いました。

フランスの3つ星レストランでは、テーブルに何処のバターが置いてあるかを調べて書いている記事があったので、眺めてみました。

自分が3つ星レストランに行ったときに出されたバターに関する記憶は全く残っていません。どんなバターが出されていたか写真を眺めてみましたが、バターには全くカメラを向けていませんでした。それに私は3つ星レストランは4か所しか行ったことがないので、サンプルが少なすぎる...。

ブルゴーニュ地方にある3つ星のメゾン・ラムロワーズで食事したときに撮った写真には、料理の皿の向こうにバターが写っていたものがあったので、それを切り出して、向きを逆にして、写真をシャープにすると、メーカーの名前が見えました。



ボルディエですね。

3つ星レストランで出されるバターのに関する記事は2016年の情報で、このレストランはAOC/AOPブレスのバターを使っているとなっていました。私がレストランに行ったのは、ブレスのバターが2012年にAOCを獲得する前でしたので、AOCになってからはレストランではこの地元産のバターを使うようになったのだろうと思います。

ちなみに、チーズの時にもバターは手つかずのまま写真に写されていたので、テーブルを囲んでいた私たち4人は全く食べなかったということになります。せっかくシェフはバターを選んで置いていたのに...。

ひと昔前のフランスのレストランでは、バターと一緒に食べる料理がないときにはバターは出さなかったような気がするのですが、どうなのでしょう? お客が手をつけなかった厳選バターは捨てられるのかな...。もったいない...。


3つ星レストランで圧倒的に多く使われているのはボルディエのバター

ミシュランの星を持つレストランでは、ボルディエ(Bordier)のバターを使っているケースが多いのはよく知られているようです。3つ星レストランでは、4軒に1軒がボルディエのバターをテーブルに置いているとみられていました。

この絶大な人気は、同社が30年前から上質の手作りバターを安定して提供していること、レストランの要望に応えたバターをオーダーメードて作っていること(塩分の割合、香り、形状、重さ、マーク入れ)から来ているようです。

確かにボルディエ社のバターは、他と違う何かがあります。私がこのシリーズを書き始めたのも、お気に入りにしたレストランで味わったボルディエのバターが、他のとは違う個性的な風味があって、驚くほど美味しいと感じたからでした。

それに、ボルディエのバターは見た目も美しいでしょう?



こういうのを出されると、有名ブランドの名前が書いていなくても、ただの普通のバターではないという印象を受けるはず。これを見た私たちも、それで食べてみる気になって、格別に美味しいバターだと分かったのだろうと思います。


数年前からは、ル・ボンクレ (2009年創設)の人気が上昇していました。

早くから魅せられたのはYannick Alléno。そして、Alain Ducasse、 Arnaud Lallement、Michel Guérardが続いていました。

このシリーズ記事を書きながらバターの作り方を学んで、ル・ポンクレのバターは究極のバターを作ろうとしているのではないか、と感じました。

なにしろ、乳乳の品種にもこだわり、ビオ(有機)で飼育されている牛だけにしているようだし、バターの風味が如実に現れる加熱処理はしていないクリームからバターを製造しているという希少価値のあるバターなのですから。

ボルディエのバターから、ル・ポンクレに切り替えるシェフもいるようです。パリで一般の消費者が買えたのに、それが難しくなっているとコメントで教えていただいたのですが、そういう人気が影響しているのかもしれません。殺菌していないバターは、製造されてから1週間以内に食べきるきだと私は感じているので、生産者としては、レストランに出す方を好むのかもしれない。大成功だからといって、生産量を増やして質を落とすビジネスにしないことを祈ります。


その他、選ばれているバターでは、フランス政府が認定している高品質保証のAOC/AOPを持つバターが目立ちました。地方にあるレストランでは、地元の美味しいバターを発掘しているのだろうと思ったのですが、有名ブランドを採用しているところもあるので意外でした。AOC/AOPを持っているというのは安心感を与えて無難だとは思いますけれど、面白くはない...。


3つ星レストランのテーブルに乗っているバターは?

記事にあった情報を表にまとめてみました。アクセントを写真を入れましたが、私が別のレストランで出されたときの写真か、ネットショップの商品の画像です。

ミシュランの2017年版の3つ星が発表されたばかりですので、新たに加わったレストランも入れてみました。
 は、レストランで作っているか風味づけをしている(他にもあるが情報なし)。
バターのメーカー名3つ星レストラン名 (場所)
ボルディエ(Bordier)
ブルターニュ地方



Alain Passard
Arpège


※ 回答はなかったが、ボルディエであろうと推測。
Paris
Christian le Squer
Le Cinq

(Hôtel Four Seasons George V)

※ 回答はなかったが、2014年にはボルディエであった。
Paris
Eric Frechon
Epicure

(Hôtel Le Bristol)
Paris
Guy Savoy
Guy Savoy
Paris
Marc Haeberlin
Auberge de l’Ill
アルザス
Régis et Jacques Marcon (注②)
Régis et Jacques Marcon
オーヴェルニュ
Yannick Alléno
Alléno Paris au Pavillon Ledoyen /

Le 1947 (注①)
(Hôtel Cheval Blanc)

※ シェフはル・ポンクレのバターのファンなので切り替えているかもしれない。
Paris /

ローヌ=アルプ
ル・ポンクレ(Le Ponclet)
ブルターニュ地方

Alain Ducasse
Alain Ducasse au Plaza Athenée
Paris
Arnaud Lallement
Assiette Champenoise
シャンパーニュ
ベイユヴェール(Beillevaire)
ペイ・ド・ラ・ロワール地方

Michel Guérard
Les Près d’Eugénie


※ 2016年情報では、ル・ポンクレのバターを置く予定とのこと。
アキテーヌ
AOP
エシレ (Echiré)
ポワトゥー=シャラント地方


Bernard Pacaud
L'Ambroisie
Paris
AOP
Coopérative Laitière de La Sèvre
ポワトゥー=シャラント地方
Michel Troisgros
Troisgros
ローヌ=アルプ
AOP
イズニー (Isigny)
ノルマンディー地方

Paul Bocuse
Paul Bocuse
ローヌ=アルプ
Ferme de la Pellerie
ノルマンディー地方
Pierre Gagnaire
Pierre Gagnaire
Paris
AOP
エトレ (Etrez)
ブレス地区(2地域圏3県)


Georges Blanc
Georges Blanc
ローヌ=アルプ
Eric Pras
Maison Lameloise
ブルゴーニュ
地元の生産者Emmanuel Renaut
Flocons de Sel
ローヌ=アルプ
René et Maxime Meilleur
La Bouitte
ローヌ=アルプ
Michel et Sébastien Bras
Bras
ミディ=ピレネー
レストランでアレンジAnne-Sophie Pic
Pic
ローヌ=アルプ
自家製Gilles Goujon
Auberge du Vieux Puits
ラングドック=ルシヨン
Arnaud Donckele
Vague d’Or
コート・ダジュール
回答なしFrédéric Anton
Le Pré Catelan
Paris
Pascal Barbot
Astrance
Paris
テーブルにはバターを置かず、
オリーブオイルを置く
Gérald Passédat
Le Petit Nice
プロヴァンス
2016年4月情報2017年2月情報

注①:
3つ星シェフが使っているバターを挙げていた情報は2016年のもので、2017年には1つだけ3つ星レストランが増えていました。従って、この「Le 1947」についての情報はなかったのですが、同じシェフのレストランのところに入れておきました。


注②:
地元に良いビオ(有機)のバターがないため、テーブルにバターは置かない。ベターが欲しいと言われるのは1日に1テーブル程度である。リクエストされたときに出すのはボルディエのバター。


南仏では、バターの代わりにオリーブオイルを使う傾向があります。Le Petit Niceではオリーブオイルしか置かず、Vague d’Orではオリーブオイルとバターを置くのだそう。


個性を出すために、レストランでバターを作ったり、香り付けをしているところも多いようです。

記事の中で例として挙げていたレストランに 印を漬けましたが、どこでも特別な注文をしているのではないでしょうか。

女性シェフのPicでは、抹茶、ラングスティーヌ(手長エビ)、タスマニア・ペッパーなどのバターを作っているのだそう。

抹茶を入れて緑色のバター? 美味しいのかな...。

でも、変わったバターを喜ぶ人もいるかもしれない。確か1つ星レストランだったと思いますが、ハーブのラベージを練りこんだバターをとても喜んでいた友人がいたことを「パリが詰まったバターとは?」で書いていました。

何を入れるかはアイディアで、自分でもできるのですけどね...。


なお、フランス国内の3つ星レストランは、2017年には合計26軒。ミシュランガイドブック2017年には、アラン・デュカスのモナコのレストラン(Le Louis XV-Alain Ducasse)も入っているので、全部で27軒と言うべきかもしれません。そのうち10軒がパリにありました。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その11




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
ライヨールのナイフ 2006/03/02

外部リンク:
フランスバター特集
☆ ATABULA: Le beurre à table dans les restaurants trois étoiles français
☆  MICHELIN Restaurants: Les restaurants étoilés du guide MICHELIN 2017 
☆ RTL: Guide Michelin 2017:  quels sont les 27 restaurants trois étoiles de France
Qui sont les fournisseurs des vrais restaurants?


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2017/02/17


シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その10

フランスでバターを売るとき、どんな呼び名を付けているかまとめてみました。

消費者情報として、どういう点に気を付けてバター選びをすれば良いかを示したサイトの情報も加えておきます。単なる見せかけだけだから無視すべし、などと書いてあったりして面白かったので。

記事にしていることについては、印を付けてリンクを入れます。

バターの種類
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/06
Beurre cru
クリュ
伝統的な製法。
熱処理は全くされていない生クリームを使う。ただし、搾乳後に4℃で保存するのは除く。

2~3週間しか持たないが(消費期限は21日間)、香りは良く、味は濃厚である。

一般的に入手できるのは、限られた農家のものが多い。 入手しやすいメーカーとしてはベイユヴェールがある。
Beurre Extra-fin
エクストラ・ファン
低温殺菌した生クリームを使用するが、冷凍ないし急速冷凍したは認められない。

賞味期限は3カ月。

ミルクの集荷から72時間以内、クリームの分離から48時間以内に攪拌作業が開始されなければならない。
Beurre fin
ファン
低温殺菌した生クリームを使用。賞味期限は3カ月。
使用する生クリームの30%までは冷凍ないし急速冷凍したものが認められる。


有塩か無塩かによる区別(塩を加えると日持ちが良くなる)
Doux
ドゥー

無塩

生クリームの攪拌後に得られた状態。
塩を加えていない。

塩無添加バター。
Demi-sel
ドゥミ・セル

薄塩バター。

0.5~3%の塩を混ぜている。
Salé
サレ

有塩バター。


3%以上の塩を混ぜている。


形状による区別(見た目だけの相違に過ぎない)

moulé

ムレ
型で成形したバター。

木型に押し込んで水分を無くすのが伝統的なバターだが、現代では機械でいかにも手作り風の形にすることも可能である。

  

à la motte
ア・ラ・モット
塊のバター

en plaquette
アン・プラケット
プレート状の板タイプ


品質保証

Beurres AOC

(AOC付きバター)
原産地と製造法が規定されている。現在のところ、Beurre Charentes-Poitou、Beurre d’Isigny、Beurre de Bresseの3つがAOCを獲得している。

シャラント・ポワトゥーの場合は、生クリームの低温殺菌の後に最低12時間の生物学的な熟成をさせてから攪拌作業を始める。ノワゼットの香りに特徴がある。

イズニーは、柔らかく、キンポウゲの色をしていることに特徴がある。

昔に獲得したものは規制が厳しくないが、2012年にAOCを獲得した(AOPは2014年)ブレスのバターは規制が厳格である。伝統的にバラット攪拌装置で製造され、柔らかい。特に牛の食べ物や製造法の要素に至るまで規制が厳しいために、バターの香りが豊かである。

Logo AOP  Logo AOC.jpg



フランス最高のバターは?: イズニー、エシレ、レスキュール  2009/12/03

フランスの高品質食品保証AOP/AOCを持つバター

Beurre AB

(有機農業マーク)
フランス政府認定の有機農産物認定(AB)を受けているバター。

厳格な規制に基づいて飼育された牛の牛乳を原料としているが、バターの原料となる生クリームがABの規約に合っていることによる品質保証であり、製造法に規定はない。オートメーション化した連続式バター製造機で製造されたものも流通している。

原料は輸入品であってもオーガニック・バターとされる。

従って、ABマークがあるからといって必ずしもバターの味が良いとは限らない。



その他

Beurre de baratte
バラット
伝統的なバター製造用攪拌装置(baratte)を使って製造したバターであることを示す名称。「Fabriqué en baratte」と表示しているものもある。

日本では、バラットで作ることを「チャーン製法」と呼ぶ。

木製の装置が本物だが、現代ではメタルの装置も多く使われている。大手メーカーでは、エシレベイユヴェールが木製の装置を使っている。

近代的な製法(防臭・脱臭、生クリームの冷凍ないし急速冷凍、ワーキングの過程での乳酸菌の投入など)をしている場合には、この名称は使用できない。

 Baratte normande

Beurres aromatisés

香り付きバター
ボルディエによって十数年前に売り出され、流行した。今日では様々な風味づけがされたバターが存在する。

オリジナリティーのあるバターだが、自分で香辛料などをバターに混ぜて作っても同じである。
フランス産 ボルディエ[Bordier]バター ユズ  フランス産 発酵バター ベイユヴェール[Beillevaire]キャビア入りバター
その他beurre(バター)と呼ぶ商品には、脂肪率が82%でなければならない。ただし、demi-sel(薄城)とsalé(有塩)では80%.

バターはクリームから作られた自然食品であり、黄色い色を出すためのβ-カロテン以外は添加物を入れてはならないことになっている。

脂肪率が基準より低い場合、あるいは82%を超える場合、認可以外の添加物や材料を入れる場合には、バターに何らかの形容詞を付ける必要がある(beurre allégé、beurre concentré、beurre saléなど)。最近では、パンに塗りやすい「Beurre tendre, facile à tartiner」、軽い「Beurres allégés et légers」のような名前を付けたバターもある。


続く
シリーズ記事 【バターの見分け方 】その10





ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
フランスバター特集
Cniel: Beurre  liste complète des informations figurant sur l'étiquetage
Le Figaro: Quels sont les différents types de beurre
Envie de Bien Manger: Tout savoir sur le beurre 
Terroir de France: Beurre et beurres.
Que Choisir: Comment choisir un beurre
Régal: Quel beurre choisir
L'Express Styles: Les meilleurs beurres sélectionnés parmi plus de 15 goûtés


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2017/02/15
気になっていたことがありました。日本のバターは焦げやすいのではないか、ということです。日本でバターを使って料理するときには、よほど注意していないと焦がしてしまうのです。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その9

私がバターを焦がすのは、なぜ?

フランスのガスレンジは、それほど火力が高くはならないから焦げないのではないか、と思っていました。

ところが...

日本に長くいた時、どうしてもバターの味がするバターが食べたくなって、AOP/AOCを持つイズニーのバターを奮発して買ったことがありました。

これを加熱したフライパンに入れたら、ちっとも焦げないのでした。

日本のバターは有塩だから焦げやすいのかと思っていたのですが、このときに買ったイズニーはDemi-sel(薄塩)のものだったので不思議。

私が日本にいるときに買うのは、いつも有塩バターです。日本のは塩分が高いのかな?... それとも、添加物か何かがたくさん入っていて焦げやすいのか?...


ここのところ、バターに関するフランスの番組での報道を見ているのですが、1つ気になったことがありました。シェフが、3種類のバターを目隠しテストしていた場面です。

目隠しテストで出されたのは、次の3種類。


Le Galleのバター

大量に生産している農協のバター

イズニーのバター

品質保証のAOC/AOPを持っているバターの製造メーカーとして、唯一、「美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット」で書いた連続式バター製造機で作っている。
ボルディエのバター

非常に評判が良いバターで、このシリーズを書くきっかけになったほど美味しいと驚いたバター。

プロの人は、少しバターを味わっただけで、どういう所で製造されたかが分かるようです。

は、加熱して料理に使うには適さないバターだ、と言っていました。

は、バターに塗ってチーズと一緒に食べると美味しいだろう、とのコメント。

は、これはボルディエのバターだと、すぐに見分けていました。



私が日本製のバターを使うとよく焦がすのは、日本では有塩バターを使っているからではないかと思ったので、そちらの方を検討してみることにします。


フランスの有塩バターと無塩バター

塩分のよる違いは、フランスでは3段階で区別されています。

Doux

ドゥー
無塩バター
生クリームの攪拌後に得られた状態。塩を加えていない。

Demi-sel

ドゥミ・セル
薄塩バター
バターに0.5~3%の塩を混ぜる。

Salé

サレ
有塩バター
バターに3%以上の塩を混ぜる


フランス人は一般的には無縁バターを使う、と言われます。伝統的にブルターニュ地方では有塩バターが一般的という違いはありますけれど。

おもしろい統計がありました(2013年のデータ)。

品質保証AOC/AOPを持つバターでは圧倒的に無塩バターが消費されているのですが(83.43%)、品質保証を持たないバターでは薄塩バター(demi-sel)の消費量がかなり多いのです(37.32%)。



AOC/AOPを持つバターは味が良いので、その本来の風味を味わおうとしたら無塩バターが好ましいということなのでしょうかね。そして品質保証なしのバターだと、塩でも入った方が美味しいから薄塩バターが好まれる?

バターに塩を加えると日持ちが良くなると言われています。品質保証なしだと安いバターなので、スーパーで長いこと陳列されても風味が落ちてはいない、ということかな?...

ともかく、塩加減によって3分類されるのですが、有塩バター(salé)を買う人はかなり少ないのは見えました。


日本とフランスのバターの成分表を比較してみた

バターには、もともと塩分が含まれているのだそう。無塩バターは、フランスではdoux(甘い)という呼び方をしています。日本でも「無塩」という名前では販売してはいけないそうで、「食塩不使用」と呼ばれていました。


栄養成分表示 (100 g当たり)
メーカーカルピス 特選バター ボルディエ(Brodier)データ出所
食塩不使用
有塩
Doux
Demi-sel
Salé
エネルギー758 kcal744 kcal743 kcal716 kcal707 kcal
たんぱく質0.3~0.8 g0.3~0.7 g0.7 g0.7 g0.7 g
脂質83.7 g82.2 g82 g79 g78 g
炭水化物0~1.0 g0~1.1 g0.6 g0.6 g0.6 g
ナトリウム4~13 mg600 mg0.04 g2.8 g4.0 g
食塩相当量 1.5 g
メーカーよつ葉バターペイザン・ブルトン
Paysan Breton
発酵
伝統造り
DouxDemi-selSel de Guerande
エネルギー741 kcal746 kcal744 kcal726 kcal726 kcal
たんぱく質0.6 g0.4 g0.8 g0.8 g0.8 g
脂質81.9 g82.6 g82 g80 g80 g
炭水化物0.4 g0.2 g0.6 g0.6 g0.7 g
ナトリウム387 mg475 mg0.05 g2.0 g2.6 g
食塩相当量1.0 g1.2 g
メーカー雪印 北海道バタープレジデント(Président
食塩不使用
有塩
Doux
Demi-sel
エネルギー750 kcal732 kcal745 kcal727 kcal
たんぱく質0.5 g0.6 g0.7 g0.7 g
脂質83 g81.0 g82 g80 g
炭水化物0.2 g0.2 g1.0 g1.0 g
ナトリウム4~15 mg550 mg0.03 g2.0 g
食塩相当量 1.4 g


これは「発酵バターとは乳酸菌を添加したバターだ、とは言えないのでは?」を書いたときに、日本とフランスのバターの味の違いが成分表から見えるかなと思って作った表でした。炭水化物がフランスの方が多いなというくらいしか違いが見えないので、塩分の比較で使うことにしました。

意外にも、日本のバターはそんなに塩分が多いわけでもないのでした。薄塩バター(demi-sel)でも日本の平均的なものより塩分が強い。私は日本の有塩バターの方が塩分を感じていたのですけれど。

Saléと呼ばれる有塩バターは、大丈夫なのかと思ってしまうほど塩分が多い。思い出してみると、ブルターニュ地方を旅行したとき、とても塩分が多くて美味しいな、と驚いたのは、このカテゴリーだったかもしれない。

ともかく、私が日本製バターを使うと焦がしやすくt、フランス製バターなら大丈夫というのは、塩分の含有量によるものではないのだ...。バターの目隠テストをしたシェフが言っていたように、加熱には向かないバターがあるとすると、日本製のバターを買うときにも、ちゃんと選ばなければいけないのでしょうね。


バターをフライパンに入れて加熱するときに焦がさない工夫あるのを学びました。プロの調理人はしているのだそう。後日、それについても書きます。

続く。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その9




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
Beurre salé ou demi-sel
☆ Inao: Produits laitiers AOP Chiffres clés 2013 PDF


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2017/02/14
フランスで市販されているバターのうち、どれをを選ぶと良いかという消費者のための情報を読んでいたら、面白いことを知りました。オーガニックのバターに関してです。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その8
今まで書いてきたフランスで評判の良いバターのメーカーは、近郊の酪農家と契約して、有機農業で飼育しているか、減農薬をしているところと契約して牛乳を仕入れていました。環境が良いところで育った牛のミルクの質は良いはずなので、当然だと思います。

最近のフランスはオーガニック・ブームなので、普通にスーパーで買える大量生産のバターにもオーガニックのものがあるのでした。バターは主に農家の手作りのものを買っているので、ブランドものについては殆ど知識を持っていなかった私...。


BIOビオのバター

オーガニック食品は、フランスでは BIO(ビオ)と呼ばれます。有機農業で生産されているとフランス政府が認可している農産物や農産物加工品には、ロゴマークが付いているので簡単に見分けられます。

フランスの認可マーク
AB
ヨーロッパ連合(EU)の認可マーク

フランス政府認定の有機農産物認定が「AB」のラベル。「Agriculture biologique(有機農業)」の略語です。これを得るにはは厳しい制約があります。

フランスだけで使っているABマークを付けるかどうかは任意ですが、ヨーロッパの星で作った葉っぱマークを付けるのは義務なのだそう。

バターにも、オーガニックであることを歌っている商品があり、このマークが付いている商品がありました。牧場や乳牛に与える餌に至るまで、農薬や化学肥料を使っていないという保証になります。




BIOのバターとは何か?

厳格な規則に従って飼育された家畜の牛乳から作られていることを示すわけですから、BIOのバターはアトラクティブですよね?

ところが、バター選びのフランス情報では、BIOだからと美味しいとは限らない、と言っていたのです。確かに、それはそうだろう、と笑ってしまいました。私は未だに、BIOのパンで、うなるほど美味しいと思ったものには出会っていませんので。

BIOのバターとされているものは、バターの原料となる生クリームがABの規約に合っていることによる品質保証であって、製造法には規定がないのだそうです。

美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット」で書いたように、美味しいバターが作れるのは非効率的だけれど伝統的なチャーン製法です。でも、BIOと呼ばれるバターは、そんなとは無関係に与える品質保証なので、オートメーション化した連続式バター製造機で作っている場合もある。というか、その方が多いと言っているような感じも受けました。

いくら原料が良くても、どうやって作るかによってバターの味は変わります。

しかも、別の角度からの指摘もありました。


BIOのバターと言っても、遠くから運ばれた原料を使っている場合もある

このバターは、おかしいぞ~ 、と告発しているブログがありました。


Les Astuces Conso:
EXCLU - Beurre Bio Président, un beurre qui peut porter à confusion
EXCLU - Beurre Bio Président - (suite - droit de réponse)

バターのパッケージを見ると、おなじみのABマーク。そして中央に大きく「Bio」。

その文字の横にフランス地図があって、フランスのバター産地として名高いブルターニュ地方が赤く目立つようになっています。地名が書いてあるので、ブルターニュ地方のRetiersで作られていて、周辺の農場で生産された牛乳を使っているのだろう、と思いますよね?

ところが、パッケージをよく見れば、原料はEU連合の何処かの国から輸入された、と分かるのです。

またまた、やり玉に挙がっていたのは、乳製品では世界でナンバー2という巨大企業のラクタリスの商品、プレジデント。

このラクタリスが、酪農家からの買い付け価格を低くしている問題については、今回のシリーズ記事の中でも軽く書いていました:
上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組


プレジデントのBIOバターについて書いていた人は、有機農業が盛んなドイツから原料を入れているのかと思ったのだそう。100%フランス製に見間違えるパッケージなのはおかしいと思って、メーカーに問い合わせたそうです。返事は、原料はフランスかベルギーから調達しているとのこと。生産された工場がブルターニュ地方にあるので、それを目立たせたのだという説明。


こだわりのバターを作っているメーカーのことを学んできたのですが、できるだけ早く搾乳した牛乳からバターを作り始めるというのが上質のバターを作る上でポイントになっていました。農協が牛乳を集めに来るのは1日おきなので、それでは遅すぎるというわけで、メーカーが契約農家を回って直接集荷して、即座にバター作りを始めたりもしていました。

外国で生産され牛乳を輸入したら、それほど新鮮な原料を使っているとは思えません。ひょっとしたら、冷凍した牛乳からバターを作っているのではないかとも疑ってしまいます。

冷凍の牛乳を使ったらBeurre extra-finと呼ぶバターにはならないわけですが、このバターのパッケージを眺めても、どのランクのバターなのかは私には分かりませんでした。

バターには3つのランク付けがあることを書いたのは、こちら:
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/06


消費者にどのバターを買うと良いかをアドバイスしているサイトで、BIOだから美味しいとは限らない、と言っていた意味が、こちらからも分かりました。

フランスのオーガニック農業はまだ多くはないし、認定を受けるのは非常に厳しいので、需要に追い付いていないのですよね。BIOというと売れるので、大手メーカーは外国から牛乳を輸入して作ることが多いのかもしれない。


BIO認定食品には、原産地が表示されている

私は気にしたことがなかったのですが、ヨーロッパマークの下に書いてあることで、その食品がどこで生産されたのか見分けることができるのでした。

例えば、こうなっていればフランスの農業生産物 ↓



葉のマークの下の1行目には、認可を与えた機関のコード番号が記載されています。

その下にある「AGRICULTURE(農業)」の後に、生産された場所として「FRANCE」の文字が入っています。

表記方法には決まりはなくて、この2つが書かれていれば良いようです。手元にあるブルゴーニュ地方のBIO農家が売っているハチミツに付いているラベルをを見たら、認証機関のコード番号だけで、その下も「FRANCE」だけになっていました。


ともかく、緑の葉のマークの下に生産国が表示されているわけです。使われている原料の98%以上を占めている生産国を表示することが決まりなのだそう。

ヨーロッパ連合のEUは、フランス語では文字が逆転していてUE。その文字が見えたら、フランス産ではないことになるわけです。
表示
Agriculture France 農産物の98%以上の原産物となっている国の名前を入れる。Franceと入っていればフランス原産であることを示す。Franceの代わりに別の国の名前を入れることもできる。
Agriculture UEヨーロッパ連合(EU)の加盟国が農産物の原産地であることを示す。
Agriculture non-UEEU以外の国が農産物が生産地であることを示す。
Agriculture UE / non-UE EUと、それ以外の国の農産物が混ざっていることを示す。

例えば、こちらの表示例では4番目のもので、EU諸国と、それ以外の国で生産されたことが分かる。

先ほどのプレジデントのBIOバターの場合は、メーカーの商品紹介を見ても特定できませんが、パッケージの裏側をみると(こちらの画像)で「UE」と書いてあると分かるようになっていました。


BIOのバターには、フランスで搾乳された牛乳を使っているケースは少ない?

プレジデントのBIOバターについてブログで書いていた人は、BIOのバターの中で、フランス産の牛乳を使っているのは、Vrai(ヴレ)しか知らない、とおっしゃっていました。

信じられない。プレジデントが例外なのではないの?...

このブログは消費者が騙されることを指摘する目的があるらしくて、食品の専門家が書いているようには見えませんでした。

それで調べてみたら、パッケージにある表示からフランス産のミルクを使っているメーカーは、私にもヴレのバターしか見つけられなかったのでした!


アマゾンのサイトだと商品の画像を拡大できるので、生産国を確認できます。そのリンクを入れておきます。確認なさるのでしたら、画像をクリックして、開いた画像にマウスを近づけてください。

ヴレ【250g】 有機発酵 無塩バター ビオ認証グラスフェッドバター AB認証 バターコーヒーにも!/ Vrai Doux / 冷蔵空輸品 (1個)

原産地はフランスであると分かります。

「Beurre de baratte(チャーン製法バター)」だと表示されていますので、伝統的なバター作りをしているのだろうと想像できます。

バラットについて書いたのは、こちら:
美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット 2017/02/10

AB認証取得 R-Bio ビオバター【250g】 Beurre R-Bio 250g /無塩バター フレッシュオーガニックバター・グラスフェッドバター/フランス産/冷蔵空輸品 (1個)

BIOであることを示すマークの始めにフランス地図の東部にマークを入れているので、そこで作られたバター、つまりメイド・イン・フランスのバターだと思ってしまいます。でも、よく見れば、EUで生産された原料を使っているのが分かります。

こちらのショップでは、この商品に「アルプス産グラスフェッドバター」という名称を付けていました。バターに加工したのはアルプス地方の工場なのでしょうから、そう言えてしまう...。

2個セット 有機バイオバター グラスフェッドバター 無塩バター

パッケージの表面にBIOのロゴマークを入れ、原料の原産地はEU圏内だとはっきり見えるし、フランスの地図などは入れていないところに、メーカーの誠実さを感じました。でも、裏側に書いているパッケージもあるのでした:
バイオバター(グラスフェッドバター) 無塩 250g

ヴレのようにBeurre de baratteのバターではないのですが、その次に魅力的な製法の「Beurre moulé 」という文字を入れています。人間が木型に入れてバターを成型していると想像させます。でも、この表示を入れたペイザン・ブルトン社のバター(こちら)の製造を見せるドキュメンタリーで、大量生産をする工場の機械がやっているのを見たので、この表示には魅力を感じなくなりました。

日本での販売では、グラスフェッドバターだとPRしていますね。

グラスフェッドが何であるかを書いたのは、こちら:
日本で言われる「グラスフェッド・バター」って、なに? 2017/02/01


ここに入れたアマゾンで販売しているBIOバターでは、始めの2つのバターを同じ1,380円で販売していました。3番目のはずっとお高めで、1個あたりにしたら2,450円。どこから値段の違いが出るのかな?...


他にも、画像を拡大してBIOのバターの表示を眺めたのですが、ブログに書いてあったように、EU圏内の原料ばかり出て来ました。巨大スーパーのカジノ・グループに入っているスーパーのFranprixのバターも、Leader Priceのバターも、EUの国産の原料。こちらのバターなどは、わざわざ読みづらくしているようにさえ見える...。

オーガニックを好きな人たちは、フランスでのAMAPの成功に見られるように、地産地消も大切にする人たちだろうと思うのです。それを、あたかもメイド・イン・フランスのようにしてオーガニック・バターを売るのって、罠にかけているのではないかと思ってしまう...。


でも、しつこく探してみたら、BIOのバターでフランスの原料を使っているのがヴレのバターだけ、というわけでもないのでした。

例えば、どこのメーカーなのか分からないけれど、こちらのBIOバターは、フランスが原産地だと表示されています ↓


他にも、こちらもこちらも、フランスの原料でバターを作っています。大手スーパーのカルフール(Carrefour)のバターでも、EU国の原料で作ったのもあるしフランス国内産のもある

それはそうですよね。フランスだってBIOの牛乳を生産しているのですから...。

フランス産の原料だとしていても、地元で集めた牛乳であるかどうかは分かりません。ヴレのサイトを見ると、工場はブルターニュ地方のNoyal-sur-Vilaineにあるけれど、原料はフランス各地から集めているようでした。そうしたら、ヨーロッパの隣国から原料を輸入しても同じくらいに時間がかかるかもしれないですよ...。


BIO食品には商売っ気がありすぎるのでは?...

そもそも、メイド・イン・フランスとして売る商品は、最終的に製造した国がフランスであれば良いのですよね。ハンドバックの高級ブランドでも、人件費が安い東欧で部品を作らせて、フランスで組み立てて売っていることが多い、と告発したフランスのテレビ番組がありました。

どの分野でもやっていることなのでしょうね...。

バターだって、外国から輸入した原料で作っても、オーガニック食品だという触れ込みにしておけば売れる、と分かったのは面白かったです。


私は、食べ物やワインは美味しければ良いと思っているので、オーガニックであることも、有名ブランドであることも気にしません。地方に住む特権ですが、私が最も重きを置いているのは、地元で誠実に作っていると知っている生産者たちが売っている食材です。

有機栽培の野菜は美味しいと思う。でも、それ以外は、ものによると感じています。ただし、変な添加物が入っていると微妙に舌が反応するので、オーガニックに対しては、ある程度の信頼感は持っていますけれど。

工場生産されたパッケージに入っているオーガニック食品は、なんとなく疑ってします...。オーガニックの食材を扱う専門店というのは、フランスでも日本でも、薬局のような雰囲気にしていて、私は商品を眺めても食欲が出て来ない...。

でも、オーガニックにこだわる人たちは、味の良しあしよりはオーガニックであることに価値を与えるのでしょうね。たとえ原料の牛乳かクリームが冷凍されていたとしても、やはりオーガニック♪ オーガニックだという安心感があるものを口にすると、美味しく感じられるのだろうと思います。

つまり、暴いてしまっても不快感は与えませんように!...

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その8





ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
憎っくき、菜の花畑 2013/05/14

外部リンク:
BIO(ビオ)について知ろう!フランスのオーガニック事情から学ぶナチュラルな暮らし
フランスで「ビオ」ラベルが踊る - フランスのオーガニック事情
Le grand guide des labels BIO en France
☆ notre-planete.info: Agriculture Biologique (AB) ou BIO 
Le grand guide des labels BIO en France
Comment reconnaître un produit bio ?
☆ Wikipédia: Label Agriculture biologique
La France est le 3ème plus gros consommateur de produits bio dans le monde
EXCLU - Beurre Bio Président, un beurre qui peut porter à confusion
☆ Que Choisir: Comment choisir un beurre
5 plaquettes de beurre bio en bas de chez vous
フランスのスーパーが展開する、オーガニック食品の光と影
有機野菜・オーガニック食品をリーズナブルに!フランスの流通システムAMAPとは


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2017/02/13
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その7

ここのところバターの製造を見せる動画を色々眺めてきて、チーズ工房はよく見学するのに、バターを作るところは見学したことがなかったと気がつきました。

でも写真アルバムに入っている写真を探していたら、生クリームを作る装置は見学していたのでした。コンテチーズを作っている工房です。



ミルクからクリームを取り出す装置。今だったら「écrémeuseだ」などと覚えたての単語を使えたのに。

この高速クリーム遠心分離システムは、スウェーデンの技術者グスタフ・ド・ラバルが1878年発明したのだそう。日本の友達が勤めていたアルファ・ラバルという会社は、この人が設立したらしい。ミルクに関係した機械で世界的に有名な会社なのだ、と友達は話していたのですが、このセパレーターのことだったのかな?...

チーズ工房でこの装置を見たときには、時間をおいてクリームがいっぱいになってきたところの写真も撮っていたので、面白がっていたのだろうと思いますが、すっかり忘れていました。

撮影時間を見ると、40分後には、こうなっていました。



小さな装置なので、バケツがいっぱいになったら取り替えて何回もするのかな。バターも作っているので、バラットという装置も見せてもらえば良かった。でも、この当時は、バター作りには知識も興味もなかったのでした。

追記:

せっかく経験したことを忘れないようにとブログにメモするようにしているのですが、書いていても忘れている! この装置を見たときのことはブログで書いていました。同じ写真まで入れている。もう、絶望的な記憶力!:
ミルク工房を見学して乳製品を買う 2011/10/02

ここで生クリームを買うときは、冷蔵庫に入っているバケツを取り出してくれます。こういうのが、いかにも生産者から買うという気分になるので好きです。



ここに映っているのは、買いに来た近所のマダム。私ではありませんので、念のため。


バターを作りたくなった

毎週行くようにしている朝市でお気に入りの農家は、絞りたての無殺菌牛乳、生クリーム、ヨーグルトを売っています。私が好きなモンベリアルド種の乳牛のミルクなので素晴らしく美味しいのですが、バターは作っていないのです。

それなら、自分で作ってしまおうか? バターは生クリームさえあれば簡単にできるようなのです。ジャムの空き瓶に入れて振っているだけでもできてしまうのだそうですから。

でも、フランスでは手作りバターを作る人がいるらしくて、道具が販売されています。

手作りバターの道具をフランスのアマゾンで探す



使った人のコメントを見ると、こちらの3,500円くらいで買える安いタイプの評判が良い。


Kilnerâ ® manuel Beurre Churner


自分でバターを作ったら安くできるかを計算

下手に自分で作ったら、かえって高くついてしまうのではないか?

上に入れた写真を撮った時には、壁に張ってあった値段表も撮影していたので眺めてみました。



もう数年前のお値段ですが、原料と製品の価格の比率は分かりますよね。

生クリームは、1リットル買うと4ユーロ。バターは、250グラムで1.30ユーロ。


この度いろいろ調べたので、1キロのバターを作るのに2リットルのクリームを必要としていると分かっています。

日持ちしない無殺菌クリームでバターを1キロも作ったら困るので、半分の500グラムのバターを自分で作ってみるということでシミレーション。

生クリームを1リットル買えば良いことになります。

この工房で500グラムのバターを自分で作るために生クリームを1リットル買うと4ユーロ。250グラムのバター2個買うと500グラムで、2.60ユーロ支払うことになる。

生クリームから自分でバターを作ったら半額以下になるなら張り切りますが、そこまではいかない。失敗することもあり得るわけですから、止めておいた方が良いだろうな...。


それでは...

フランスでミルクを買うのは安いですが、生クリームはそんなに安くはないのです。

無殺菌牛乳は1リットル100円くらいで買える。そこからバターづくりを始めると、どうなるか?

今回のお勉強で、生クリーム1リットルを作るには、バターのメーカーは10リットルのミルクを必要としていて、素人が作ると15リットルの牛乳を使ってしまうらしい、とみています。

フランスでは、生クリームづくりの道具まで売っているのです。




SÉPARATEUR CRÈME ÉCRÉMEUSE DU LAIT 80 l/h #19  EUR 153,00


こちらは2万円くらいする。できるかどうか分からないのに、こんな道具は買いませんよ...。

持っている道具で、お遊びとしてバターを作ってみようかな。白い生クリームが黄色いバターになるというのは、どうにも面白そうに思える!


Beurre Maison


ここで使っているようにドロっとした生クリームが好きなのですが、日本では出会ったことがありません...。



バターのお話しは、まだ続けます。
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その7




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★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
☆ Wikipédia: Écrémeuse
☆ 食育通信: ミキサーを使って5分で手作りバター | 手作りバターはめちゃ美味しい!
☆ EDIT LIFE: 憧れのフレッシュバターメーカー


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2017/02/10
伝統的なバターを作る道具を、フランスではbaratteバラット)と呼びます。バターを作るバラットだと分からせるときにはbaratte à beurre。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その6

バラットには色々な形があったのですが、代表的なのは次の2つのタイプ。
Baratte verticale à batte
Baratte normande

Baratte normande
Baratte à manivelle

左は、筒に入れて棒で叩くタイプ。右は、樽のようなものに入れてハンドルを手で回すタイプ。樽の中にプロペラのような物があってクリームを攪拌するタイプが登場したのは19世紀だったそうです。だいぶ楽になったでしょうが、それでも人力でするので大変だったようです。

baratteという単語が文献に現れたのは1549年。中世には、身分の高い人たちは豚のラードを使っていて、バターを作って食べるのは農民だったそうですが、16世紀からバターが貧しい人が食べるものというイメージが消え、次第にグルメ化していったそうです。

動詞のbaratterから来ているのですが、この動詞が何から来ているかには諸説あるのだそう。最も有力な説は、古いフランス語のbarate(混乱、動揺)で、イタリア語やスペイン語でも喧嘩や闘争の意味がある言葉なのだとか。クリームを暴れさせて水分を分離してバターを作るわけなので、ガタガタやる、という感じかな...。

バラットでバターを作る方法を、日本ではチャーン製法と呼ぶそうです。バラットは英語でchurn(チャーン)で、英語の方にも激しくかき混ぜるの意味がありました。

クリームをバター粒とバターミルクに分離する工程を、フランスではbarattage(バラタージュ)と呼ぶのですが、日本ではチャーニング(churning)。

でも、フランス語のバラットで通してしまいます。チャーンという言葉に私は全く馴染みがないので。


木製のバラット

ひと昔前の農家では、こんな風にバターを作っていたのかなと思わせる映像がありました。住民たちの生活を記録しているらしく、場所はブルターニュ地方のギマエック


Guimaëc, "le beurre", Bretagne, Finistère

クリームをかなり無駄にしてしまいそうな作り方ですが、ちゃんとバターができていました。


木製のバラットを使っていることを誇りにしているエシレのバターづくりを見せる動画も入れます。エシレは、AOC/AOPとして認められているポワトゥー・シャラント地方のバター。

エシレ社では、1回の作業で900キロのバターができるという大きなバラットを使っていました。


Echiré : un beurre baratté à l'ancienne


メタルのバラット

木製のバラットで美味しいバターが出来ると言われます。でも、今日のフランスではステンレス製などのバラットを使うようになっていて、未だに木製のバラットを使っているメーカーは幾つも存在しないそうです。

バターの製造を見せる動画を探していると、ブルターニュ地方を始めとして北西部のものが圧倒的に多かったのですが、珍しくブルゴーニュ地方と一緒に地域圏を作るようになったフランシュ・コンテ地方のものがあったので入れておきます。

大量生産はしていない製造者では、こんな感じのバラットを使っているのではないでしょうか? 学校の教材になるような分かりやすい説明。字幕まで入れてくださっている♪


La Fabrication du Beurre (Fromagerie de Desnes)

電動化したとはいえ、バターの様子を見ながら作るので技術が必要だし、効率は悪いのですよね。それで、今日のフランスではオートメーション化した機械を使うメーカーが多いそうです。


最先端のバター製造機は、バター大砲

バターを大量生産する会社で使っている最新式のシステムは、連続式バター製造機butyrateur)と呼ばれます。

全ての作業を1つの機械の中で連続的にするので、バラットのように休む時間がなく製造され、数分でバターが出きあがってしまうようです。製造過程でクリームを熟成させることなく作業させるわけですが、フランスで生産されているバターの9割はこの方式らしい。

バラットが「baratte à beurre」と呼ばれるので、こちらの連続式機械は「canon à beurre」というあだ名が付けられています。バター作りの大砲とでもいう命名。

下は少し原始的な装置のようですが、大砲と呼ばれる理由が分かりますね。左の方からクリームを入れて、水分を除きながら作業をしていって、最後に右側の銃口のような部分からバターが吐き出されてきます。


 クリックで拡大



こういう機械を使ってバターを作っている動画もあったのですが、うるさいし、バターが出てくるところは何かを想像させてしまって食欲を失わせるので止めました。

森永乳業のサイトに、連続式バター製造機の仕組みを図で示したページが入っています。


先日から度々登場させているドキュメンタリー「Le beurre et l'argent du beurre」では、大量生産するバターのメーカーとして取材したペイザン・ブルトン社の大砲が映し出されていました。




取材していた人は、凄まじい音がすると言っていましたね。右側の三角形っぽいのがバターを攪拌する装置。


バラットで作ったバターに価値がある

木製にせよ、ステンレス製にせよ、バラットで作ったバターは伝統的な製法で作っているからおいしそうだというアピールになります。そういうバターには「Beurre de baratte(バラットのバター)」と書いてあることが多いです。

伝統的なバター製造用攪拌装置のバラットを使い、生クリームの熟成をしていることを示すわけです。近代的な製法(防臭・脱臭する、生クリームの冷凍ないし急速冷凍する、最終工程のワーキングで乳酸菌を投入するなど)をしている場合には、この表示はできないとのこと。

中には、かなりバラット・バターであることを強調したものもあります。


使っているバターがバラット製なのだ、というのまでありますね。左はサーモンのリエットで、右はブルターニュのお菓子ガレット。


日本では近代的なのが好まれるので、樽型のバラットでバターを作っている会社は存在しないのではないかと思ったのに、検索してみたら出てきました。

でも、日本人は伝統的なチャーン製造かなどというのは気にしないはずなので、パッケージには書いていないように見えます。「プレミアムバター」と呼んでいますね。

このショップでは、昔ながらの「回転式バターチャーン」でゆっくり時間をかけて製造、と説明に書いているのですけれど、全く無視しているショップもありました。

メーカーのサイトで確認すると、メタルのバラットで、ローラーが木製なのですね。木製を使うことにしたのは「どこかぬくもりのあるバターにしたい」と思ったからという謙虚なお言葉。ローラーだけだと、樽型の装置全体が木製であるほどの効果は出ないのかな...。


バラットに焦点を当てたドキュメンタリー

とても興味深いテレビ番組がありました。TV5のÉpicerie fineシリーズに入っていたのですが、そのタイトルも「Le beurre de baratte(バラット・バター)」。

この番組の案内役は、パリの3つ星レストラン「ル・グラン・ヴェフール」のシェフであるギー・マルタン(Guy Martin)。昔のバラットも見せながら、彼が使っているお気に入りのベイユヴェールでのバターづくりを詳しく見せてくれます。

ベイユヴェールのバターについては、先日書いた「無殺菌クリームで作ったバターが最高」の中で軽く紹介していました。この会社では、今では農家の手作りバターくらいしか手に入らない無殺菌のクリームを使っているところで希少価値があるのですが、未だに木製のバラットを使っているというという点でも特異なメーカーなのです。



シェフのマルタン氏には、農業を営んでいた祖父の家に行ってバター作りを体験したことが子ども時代の楽しい思い出なのだと熱っぽく語っていました。彼は1957年生まれですね。その年代のフランス人たちは、子どものときに田舎で味わった本物のバターの美味しさが記憶に焼き付いているようです。

風味を壊さない無殺菌クリームを、木製のバラットで作っているベイユヴェールのバターは、彼が子どもの時に味わったバターを彷彿とさせるのでしょうね。

ベイユヴェールのバターについては、こちらのショップが詳しく紹介していました:
ハイ食材室PARIS: バター ベイユヴェール - Beillevaire

「バターじゃないバター、ベイユヴェール!」なんて書いていらっしゃいますね。私が無殺菌クリームで作ったバターを食べた時は、これが本物のバターだとすると、いつも食べているのはバターじゃないのだ、と思ったのですけれど。さらに、フランスのバターに慣れると、日本のバターは物足りないと感じる。でも、逆にすれば「バターじゃない」になりますね...。

ベイユヴェールのパッケージには、「木製バラットで作り、手で成型した無殺菌バター」と書いてあります。

木型に入れてバターを成形するというのも今では希少価値があるのです。
 Moule à Beurre


もう1つのドキュメンタリー「Le beurre et l'argent du beurre」に登場していたペイザン・ブルトン社のバターは、木型で作ったような縁取りになっているのが美味しそうに見えるのですが、製造過程では木型などは全く見えないのでした。バター製造機の中で、あたかも木型で成型したような形に見えるようにバターを固める装置が入っていたのでしょう。

そういうのがあるから、「手で」成型したなどと書いてあるのでしょうね。

カマンベールチーズでも、お玉を使っている製造が本物だというのがあるのですが、それを機械にさせられてしまうので、伝統的に手でやっているところが「手で」と明記しているのが面白くてブログに書いていました:
「本物のカマンベールだぞ~!」とアピールしたパッケージ 2010/07/24


ベイユヴェールは、現代で可能な限り昔風に作っているメーカーだと見えました。30分くらいのドキュメンタリーですが、昔のバラットも見せながら、ベイユヴェール社のバターづくりもよく分かるので動画を入れておきます。


TV5MONDE emission epiceriefine Le beurre de baratte



ベイユヴェールのバターを楽天市場で検索



続く。
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その6


ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
☆ Wikipédia: Baratte
☆ Encyclopédie gastronomique: Baratte
☆ Cniel: Que veut dire baratte
☆ Objets d'hier: BARATTE
Beurre français  méthode de fabrication(動画入り)


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2017/02/08
それほど何年も前のことではなかったと思うのですが、美味しい食べ物にこだわりがある日本の友達から、「発酵バター」が美味しいのだと言われました。

フランスで「発酵バター」に相当するような言葉を私は聞いたことがなかったので、日本の最新技術で何か新しいバターの作り方を見つけたのかと思いました。ところが、フランスを始め、ヨーロッパでは発酵バターが主流なのだと言われたのです。

発酵バターには人気があるので、日本のメーカーも作り始めていたようです。検索してみたら国産の発酵バターがたくさん出てきたので、そんなにも作っていたかと驚きました。

発酵バターを楽天市場で検索




シリーズ記事目次 【バターの見分け方 】 その5
私は日本のバターは風味が非常に薄くて、ミルクから作っているとは信じられない思いがしていました。バターを使ったお菓子も同様で、フランスではスーパーで売っているようなビスケットでさえも、バターの風味が感じられて美味しいものが多いのです。

発酵バターかどうか、というところにも違いがあったのでしょうか?

ここのところバターについて書いているので、この際、発酵バターとは何なのかを調べてみました。


発酵バターって、なに?

日本では、バターに2つの種類があるとされているらしい。拾いだした日本での情報をまとめてみます。これで正しいのかな?...

甘性バター(無発酵バター)
  • 発酵しない製法でバターに仕上げる。
  • これが日本では普通のバターで、アメリカでも同様らしい。
  • 英語ではsweet cream butter。

 発酵バター
  • 生クリームに乳酸菌を混ぜて発酵させて作るバター。
  • 甘い風味と爽やかな酸味が感じられるので、そのおいしさに注目が集まっている。
  • 発酵バターの製法には、乳酸菌を生クリームに添加して発酵させる方法と、バターに直接乳酸菌を練りこんで発酵させる方法がある。
  • ヨーロッパでは「発酵バター」が多いが、劣化しやすいために日本では一般的ではない。
  • 英語では、cultured butter、sour cream butter。

つまり、発酵バターとは、乳酸菌を入れているということらしい。
でも、そうすると混乱してしまうのです...。


美味しいと評判のボルディエのバターには乳酸菌を入れていない

ここのところの私は、フランスの一流シェフたちご用達のボルディエ社のバターと、安い価格で売って人気があるペイザン・ブルトンというメーカーのバターの作り方の違いを見せるフランスのテレビで放映されたドキュメンタリー「Le beurre et l'argent du beurre」について書いています。

その番組の取材では、バターの風味が違うことの1つに、大量生産のペイザン・ブルトンは製造過程で乳酸菌を入れているけれど、ボルディエの方は入れていない、というくだりがあったのです。

バターに含まれているものを挙げて、ボルディエ社の方は乳酸菌を入れていないということを示した場面です ↓




上から、牛乳、水分(クリームから出てくる水のことでしょうね)、塩と並んでいます。

それの3つの下に、左側の大量生産メーカーのペイザン・ブルトンでは1行加わっていますが、そこに書いてあるのがferments lactiques(乳酸菌)。

つまり、ボルディエ社では乳酸菌を使用していない、と番組の取材では結論しているわけです。

ところが、乳酸菌を入れていないというボルディエのバターも、日本では「発酵バター」という文字を入れて販売しているのです。なぜ?...


並べてみて気がつきました。「搾乳バター」という言葉もありましたか。でも、すでに混乱しているので、辞書を引いても出て来ないこの言葉の意味を探すのは止めておきます。


ペイザン・ブルトン社が乳酸菌を使う理由

ドキュメンタリーでは、こう説明されていました。

ペイザン・ブルトン社では、牛乳からクリームを分離した後、賞味期限を長くするためにパスツーリゼーション(低温殺菌法)を行う。

noisdettesそのためにバターの風味がなくなってしまうので、乳酸菌を入れる。

乳酸菌を入れることによって、この会社のバターにはノワゼット(ヘーゼルナッツ)の味が出る。そのが特徴となっていて、消費者にうけていうる、というわけ。

つまり、低温殺菌して風味が落ちてしまった生クリームに無理に味を付けるために乳酸菌を入れている、と私は受け取りました。

ドキュメンタリーの中で、ペイザン・ブルトンの近代的な工場見学の場面で、乳酸菌を入れる工程の話しがでてきた部分だけ出すように動画を設定して入れます。もしもコマーシャルが出たら、私が選んだ部分は終わりですので、画面左下の停止ボタンを押してください。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5) 18:40~20:10

クリームを分離する大きなタンクの装置を見せています。それから、ラジエーターのような装置で低温殺菌処理をします。そうすると、バクテリアは無くなるけれど、風味が消えてしまう。それで、次の段階として乳酸菌(フェルマン・ラクティック)を入れる工程になっていました。鍵がかかった、勝手には入れない部屋。

乳酸菌はferments lactiquesと複数形を使っています。複数の乳酸菌を入れるそうなのですが、何を入れているのかは企業秘密なのだそう。工場長は伝統的なノウハウで... なんて言っている。

この後は、クリームを攪拌して脂肪粒とバターミルクに分ける作業になりますが、そこで動画はストップさせました。


発酵バターとは何なのかを考える上で、まずバターの作り方を見てみようと思います。


バターはどういう風に作るの?

バターは簡単にできるので、フランスの子どもたちはよくバターづくり体験をしているようです。ジャムの空き瓶などに生クリームを入れて、カクテルを作るシェーカーのように振っていればバターができてしまうそうです。

サラダボールに生クリームを入れて、電動攪拌器を回していてもバターができる。そういえば、ホイップクリームを作るとき、攪拌し過ぎるとどんどん堅くなって、ホイップクリームとしては食べられない状態になってしまうことがあります。ああいうときは、最後まで攪拌してバターにしてしまえば良いのだ...。

ヨーグルトを乳酸菌の代わりにして入れてバターを作る方法もありますね。


バターがどのように作られるのか調べてみました。

最も私に分かりやすかったのは、ベルギーにある酪農家のサイトでダウンロードさせてくれる資料でした。子どもたちが農場に来て、農業に関する授業を受けたり体験したりする時のためのプレゼンらしく、私にはちょうど良いレベル♪

Savez-vous comment on fabrique le beurre ?  (PDF)
  • 農家では、朝7時と夕方5時、1日に2回の搾乳をする。
  • 絞った乳を分離すると、15リットルの生乳から1リットルの生クリームができる。
  • 生クリームができたら、セラーで24時間寝かせておく。
  • 翌日、発酵したクリームをバラットという攪拌機に入れる。プロペラでかき混ぜるので、7~8分でバターが出来上がる。
  • バター1キロ作るには、2リットルの生クリームが必要。
  • 攪拌が終わったら、水分(バターミルク)を流し出す。
  • 出来上がったバターは、バラットに入れたままで練り合わせながら水で3回洗う。
  • 1個 500グラムのバターに形を整えて包装する。

日本での作り方は、中央酪農会議のサイトで詳しく紹介されていました。

クリーム分離生乳を35 ~ 37℃に加熱し、クリームセパレーター(遠心力を利用してクリームと脱脂乳に分離する装置)に注入し、分離されたクリームを原材料として使う。クリームの脂肪率を35 ~ 40%。
殺菌・冷却クリームをホールディングタンクに入れ、スチームを通じ撹拌しながら、75℃で15 分間、加熱殺菌。その後できるだけ迅速にクリームを8℃以下に冷却する。
エージング殺菌・冷却後、クリームを一定時間( 8 ~ 12 時間) 4 ~ 5℃に保持し、脂肪を徐々に結晶化させる。
通常は5℃前後で保持する(季節によりクリーム中の脂肪組成が変わるため、夏季はやや低温で、冬季はやや高温にする)。
チャーニングエージングが終わったクリームをバターチャーンに入れ、クリーム中の脂肪球が衝突し、脂肪粒とバターミルクに分離し(チャーニング)、脂肪粒が米粒くらいになったところで止める。
水洗バターミルクを排出後、脂肪粒を5℃前後の低温の水で洗い、バターミルクを完全に除去します。バターの風味を和らげ、硬さを調節するため。
ワーキング
(練 圧)
ワーキングとは、脂肪粒中の水分や塩分を均一に分散させるとともに、脂肪粒を練り上げて滑らかなバター を仕上げる。
加塩ワーキングの途中で食塩を添加し、さらにワーキングを再開して分散させる。
成型バターを15℃程度の室温で成型する。バターは、短期間では5℃前後、長期間では- 20℃以下の冷凍庫で貯蔵し出荷。


日本とフランスのバター作りの比較

フランス語の勉強にもなるので、日本とフランスの製造法を比較してみます。フランスの方は詳しい情報が見つからなかったしのですけれど...。

生乳(lait cru)が工場に入ってきたら、次のような工程でバターを製造するそうです。日本もフランスもだいたい流れは同じ。


クリームと脱脂乳に
分離
殺菌冷却エージング
(熟成)
チャーニング
(バター粒の形成)
⇒バター粒とバターミルクに分離

+水洗い
加塩ワーキング
(練圧)




中央酪農会議75℃で15 分間4 ~ 5℃で
8 ~ 12 時間

Jミルク
甘性バター
70~80℃に加熱3~10℃で
8~12時間熟成

森永乳業
バター工場
95℃で60秒間5~9℃で
7時間以上

小岩井乳業
発酵バター
エージングの前に、
前発酵として乳酸菌を添加
EcremagePasteurisationMaturation
Barattage
+ lavage
Malaxage
Cniel
(全国酪農経済センター)
72℃で15秒間
⇒乳酸菌を添加

教育機関の情報90℃で2分間12℃で
18~20時間

イズニー社
(上質バター)
高温で数秒20~22℃で
16~20時間
+ salage

ボルディエ社
(上質バター)
2日間+ salage
(20分間)

ベイユヴェール社
(上質バター)
<殺菌なし>48時間+ salage


ボルディエのバターを楽天市場で検索
ベイユヴェールのバターを楽天市場で検索


発酵バターを作るとき、いつ乳酸菌を入れるの?

発酵バターを作っている小岩井乳業のサイトに説明が入っていました。


小岩井乳業のこだわり|伝統のバターストーリー|醗酵バターへのこだわり


小岩井乳業では、バターになる前の段階で乳酸菌を入れることが「こだわりの伝統製法」だと強調していました。バターになる前に添加すると、バターの製造中も発酵が進むため、手間暇がかかり、管理に経験を要する難易度の高い製法なのだそうです。

それで、日本の大量生産では、できあがった非発酵バターに乳酸菌を練り込む(加塩の段階でする)のが標準的な方法となっているとのこと。

フランスでも、攪拌作業の前に乳酸菌を入れるのが一般的な方法のようです。上に動画を入れたペイザン・ブルトン社でも、そのやり方をしていました。

バターができてから加えるメーカーもあるそうですが、その場合には伝統的な製法でバターを作っていることを示すアトラクティブな「Beurre de baratte(バラットと呼ぶ攪拌装置を使ったバター)」という表示を入れてバターを売ることはできないと書いてありました。

フランスのメーカーElle & Vire社のバターは、チャーニングが終わってからワーキングの過程で乳酸菌を入れていました。パッケージを見ると「Baratté en Normandie」と書いてある。ノルマンディー地方でバラットされたという意味ですが、バラットの文字を入れて紛らわしいように意図的にしたのでしょうね。


ところで、発酵バターとは、フランス語でbeurre fermentéと言うだろうかと思って、この言葉で検索にかけてみると、Smen(スメン)というモロッコの発酵バターの作り方などばかりが出てきてしまいました。自家製バターを半年以上発酵させて作る臭いバターのようです。

でも、フランス語で書かれているバターの製造法を説明する文章には「発酵」というような言葉も出てくるのです。

日本で「エージング」と呼ぶ過程で、クリームを攪拌する前に熟成させるのですが、この過程を「クリームを発酵させる」という風に書いている人もいました。少し酸っぱい匂いがしてくるまでクリームを放置しておくのだそう。これをしないでも、乳酸菌を入れれば良いと書いてあります。


昔のフランスでは、どのようにバターを作っていた?

フランス全国酪農経済センターのサイトでは、乳製品には発酵が重要な役割をはたしていると記載していました。

例として挙げていたのは、ヨーグルト、発酵ミルク、無殺菌クリーム、そして... beurre à l’ancienne(昔風バター)。チーズの熟成も、つまりは発酵作用なのだそう。

牛乳に含まれている細菌がラクトース(乳糖)を乳酸にするfermentation lactique.(乳酸発酵)とのこと。始めは日持ちをよくするための工夫だったけれど、これによって味も複雑で深みが出てくるので伝統的な方法となったようです。

発酵させると日持ちが良くなると書いてあるのですけれど、日本の情報では、発酵バターは劣化が早いので甘性バターが主流なのだと書いてあったので腑に落ちません。確かに、日本の普通のバターは半年くらいもってしまいますね。

ところで、発酵させるものとしてバターを挙げているのですが、「昔風の」と断っているのですよね。

昔にフランスの農村で行われていたバター作りと、現在の大量生産のバターとの違いといえば、2つあるように思いました。

まず、攪拌する前のエージングの工程で、クリームを寝かせたこと。昔は2日から4日かけていたという情報もありました。クリームは殺菌していなかったので、バターの原料には生きた乳酸菌が入っていて、この段階でクリームは発酵した、ということだろうと思います。

もう1つ。昔は、ワーキングの作業を丁寧にやっていたらしい。


フランスの農水省が、農家で手作りバターを作る方法を教えるために作成した1930年の映像(Comment il faut faire le beurre à la ferme)があったので見てみました。


攪拌作業(チャーニング)に入る前に、少し酸っぱくなる程度にクリームを放置しておくという過程が入っていました。これが発酵させる過程に相当するのだろうと思いました。




何時間とか何日間とかのようにクリームを寝かせておけば良いのかは示していないのですが、酸定量器で酸度を図って確かめるように言っています。


昔のバター作りでは、ドキュメンタリーに登場したボルディエ社でやっていたバターをこねるワーキングの作業もやっていました。

こちらが、ボルディエ社 ↓



ボルディエ社の道具は大きくて近代的なのに対して、昔の道具は手で取っ手を回して回転させていました。

下は、1930年の映像 ↓



ボルディエ社では低温殺菌をしていながら乳酸菌は添加していないのですが、この作業でバターをこねていると風味が出てきて、乳酸菌を入れるのと同じ効果を生み出すのかもしれません。


ドキュメンタリーの中で、月に1回契約農家の朝の搾乳に立ち会うボルディエ氏が、絞られてくるミルクを眺めて満足そうな顔をして、これから3日後に美味しいバターができる、と言っていました。

番組で比較していた上質バターのボルディエと、大量生産のペイザン・ブルトン(年間に2万トン製造)では、製造日数が大きく違うことが指摘されていました。




前回の「無殺菌クリームで作ったバターが最高」で紹介したベイユヴェールのバターは、無殺菌クリームで作っていますが、こちらもメーカーのサイトではエージングは48時間していると書いてありました。



同じく無殺菌クリームでバターを作っているル・ポンクレの動画を前回(無殺菌クリームで作ったバターが最高)に入れましたが、こちらもエージングには時間をかけているようです。その時の状態に左右されるので、時には数日かけることもあると言っていました。

バターの味は、日数をかける方が美味しいのができる、というのは確かなように思います。

有名シェフたちご用達バターのル・ボンクレ、ボルディエベイユヴェールよりはランクは少し下がるでしょうが、かなり高い評価を受けているバターとしてエシレがあります。番組に登場していたAOCを持つエシレ社は、エージングの時間は18~24時間と話していました。

同じくAOCを持つイズニーは、エージングは16~20時間だそうです。でも、エシレよりは私はこちらの方が好きなのですけれど。



ただし、現在は伝統的な方法でクリームを発酵させてからバターを作るメーカーは消え、現在ではフランスで生産される1割程度しかないのだそうです。

フランスで市販されているバターでも、乳酸菌を入れて人工的に発酵させるのが主流だと言われます。昔の方法で作ったバターはクリームを発酵させていた、という書き方をするところを見ると、後で乳酸菌を入れるのは発酵させたバターとはフランスでは呼ばないのかもしれないという気もします...。


発酵バターの定義は?

エージングの過程でクリームを発酵させるのがフランスの伝統的なバターづくりだとすると、日本でヨーロッパのバターは伝統的に発酵バターだと言うのは正しいことになります。

日本では、発酵バターは乳酸菌を入れたもので、甘性バター(無発酵バター)と対比されていました。

でも、乳酸菌を添加したのが発酵バターだ、というのは日本の定義なのではないでしょうか? 殺菌していなければ、もともと入っていた生きた乳酸菌が残っていて発酵できるわけです。低温殺菌なら、破壊される度合いは弱く止めることができるはずですが。

発酵バターの定義は、乳酸菌を添加するか否かではない、と言うべきなのではないかと思ってしまう...。あらためて日本のメーカーがどのように説明しているかを読み直してみると、乳酸菌を入れるから発酵バターだという風には書いていない会社もありました。

日本の甘性バターと、フランスの昔ながらのバターの作り方の違いを比較してみたら、製造工程はよく似ているのですが、日本の場合では次の特徴が見えました。


1.日本での生乳の殺菌温度は高く、時間も長いように見える。

現在のフランスでは、殺菌は「72℃で15秒間」というのが標準のようです。日本では、75℃で15 分間、95℃で60秒間と、かなりの差があるように見えます。

2.日本ではエージングときの温度が低いらしく、フランスの高級バターに比べると作業の時間が短い。

エージングのときの温度ですが、テレビ番組で製造法を見せていたベイユヴェール社では、熟成させたクリームを木製の攪拌装置に入れるときには、温度が14度になっていると話していました。

日本でもエージングには7時間から12時間かけています。でも、エージングの時の温度は5度前後が標準のようです。寝かせておいても発酵はしないでしょうね。


日本でエージングの時間はかなり長いのですね。ドキュメンタリーに登場していたペイザン・ブルトン社では、工場で6時間でバターを作ってしまっていましたが、日本ではそんなわけにはいかないのでしょうか? だから安い価格で売るバターは存在しないのかな?...


ところで、フランスでのバターの歴史をチラホラ眺めてみたら、キリスト教との関係もあって、なかなか面白そう。でも、それを調べていると、ずっとバターのことばかり考えてしまいそうなので今は資料を読まないことにしました。

あと2回か3回記事を書いて、バターとはひとまずお別れしたいと思っております。

続く。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その5 
関連記事: 無殺菌クリームで作ったバターが最高






ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
【発酵バターとは?】
☆ いろんな疑問を考える: 発酵バターとは?普通とどこが違う?
☆ グリコ: 「発酵バター」って、普通のバターとどう違う?
発酵バターと普通のバターの違い【腸内環境改善部。】
世界一バターを消費する国って? 日本初のバターは八丈島で作られた? 人間とバターの歴史
☆ Cneil: La fermentation, technique clé des produits laitiers
Comment dire 発酵バター et 無発酵バター en français ? (beurre fermenté ou non)
What Is the Difference Between Butter & Sweet Cream Butter?
☆ Wikipedia: 乳酸菌 » Bactérie lactique

【バターの作り方】
フランスのバターの作り方を知る
☆ 日本乳業協会: バターの製造方法
☆ 森永乳業株: バターができるまで バーチャル工場見学
☆ 小岩井乳業:  伝統のバターストーリー|醗酵バターへのこだわり
☆ Cniel: La méthode et le circuit de fabrication du beurre en France
Le Beurre Bordier ⇒ 製造方法 La transformation du beurre
Comment faire du beurre avec du lait cru 14 étapes
☆ INA: Comment il faut faire le beurre à la ferme (1930年の映像)
La ressourcerie du SMIC: Fabrication du beurre à l’ancienne
☆ 子ども向けサイト: Les étapes de la fabrication du beurre
☆ France 2: Beurre français méthode de fabrication
☆ YouTube: C'est pas sorcier -PRODUITS LAITIERS

【バター関係用語】
☆ 日本洋菓子協会連合会: バター
☆ コトバンク: バター(バター)とは
☆ Wikipedia: Beurre » バター
☆ Wikipedia: Babeurre » バターミルク
☆ azaquar: Technologie de fabrication du beurre

【バターの歴史】
☆ Cniel: La vraie et la fausse histoire du beurre
☆ 食物歴史家のブログ: Le beurre dans l’histoire de la cuisine | Une histoire de beurre
☆ beurre.com: Histoire du beurre
☆ Joli goûter: Une petite histoire du beurre
Le beurre breton: une histoire qui ne manque pas de sel !
☆ France pittoresque: Lait (Le) : aliment incontournable objet de superstitions et croyances
☆ Cniel: La saga du lait (3) du XVIe au XVIIIe siècle, entre développement et progrès scientifiques
☆ Le dictionnaire de l'Histoire: gabelle

【その他】
牛乳と乳酸菌の深い関係
バターの保存方法と賞味期限は?


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2017/02/06
ここのところバターについて書いているのですが、「発酵バター」とは何なのだろうという疑問が浮かびあがってきました。



日本で市販されているバターは、甘性バター(無発酵バター)と発酵バターに分類されるらしい。

フランスでは耳にしない「発酵バター」とは何なのかを調べて書き始めたのですが、その前に、フランスでのバターの分類について書いておくことにしました。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その4
目次へ


フランスでは、バターは3種類に分ける

私がフランスでバターを買うときには、伝統的なバターが欲しいというだけで、どういう分類になっているかは気にしたことがありませんでした。

技術によってパンに塗りやすい柔らかいバターや、香りが付いたバターもありますが、日本で無発酵か発酵かを分けるような基準としてフランスにあるのは、下のような3つの分類のようです。

今日のフランスでは、は農家か少数のメーカーが作っているだけで、普通に手に入るバターはになります。



Beurre cru
クリュ
熱処理は全くされていないクリームを使う。ただし、搾乳後に4℃で保存するのは除く。
香りもあって、味は濃厚である。
日持ちはしないので、2週間以内に食べるようにすべきである(消費期限は21日間)。


Beurre extra-fin
エクストラ・ファン
低温殺菌したクリームを使用するので、賞味期限は3カ月。
冷凍ないし急速冷凍した原料を使用するのは認められない。また、ミルクの集荷から72時間以内、クリーム分離後の48時間以内に攪拌作業が開始されなければならない。


Beurre fin
ファン
低温殺菌したクリームを使用ので、賞味期限は3カ月。
使用する生クリームは、原料の30%までは冷凍ないし急速冷凍したものが認められる。

バター(beurre)の原料となるクリームが、絞られたままの状態から離れていく度合、つまり、どの程度風味が薄れているかによる分類に見えます。

フランスで市販されているバターのパッケージにある表記では、牛乳がlait cru(生乳)であるか、pasteurisé(低温殺菌の処理をした)であるかは明確に分かるようです。

日本の乳及び乳製品の表示基準では、牛乳に関しては殺菌温度と時間を表記することが義務付けられているものの、バターに関しては原料についてそれほど情報を出さなくても良いように見えました。日本でも、冷凍保存したミルクでバターを作っていることもあると思うのですが、そういうのは全く分からないのではないですか?


生乳(せいにゅう)

フランスでは、加熱などによって殺菌をされていないミルクは、lait cruレ・クリュ)と言います。

バターも、無殺菌クリームから作っていれば、やはり「クリュ」を付けて、beurre cruと呼びます。

この場合の「クリュ」というのは、加工していない、「生(なま)」だという意味で、英語ではraw。

「刺身」と言いたいときも、生魚ということで「クリュ」を使えます。


Bouteilles commerce lait cru vache Aveyron sud無殺菌牛乳を市販するときには、右に入れた写真のように、黄色が目立つ色でクリュであることを表示することがフランスでは義務付けられているのだそうです。

私が朝市で直売農家からレ・クリュを買うときは、農家の人が朝に絞ってきたミルクが入ったタンクから、持ち込んだ入れ物に入れてもらっているので、黄色の目印などというのは気がついていませんでした。

でも、そうなっているらしい...:
「lait cru」をキーワードにして画像検索


「レ・クリュ」を日本語にしたら、「生乳せいにゅう)」ですよね。ところが、これはフランスでいう「レ・クリュ」とイコールではない。

日本の乳製品の表示には、「生乳だけで作りました」とか「生乳100%使用」などと書いてあるものが目立ちます。

例えば、バターには「生乳100%」と書いてあります。でも、無添加の牛乳だというだけのこと。普通は、殺菌をした牛乳を使っているので、フランスでいう「beurre cru(クリュのバター)」ではないのです。

「牛乳 100%」と言ってくれたら分かりやすいのに、なぜ「生乳」という言葉を使うのだろう?... 


「生乳」という日本語は、2通りの読み方があるようです:
  • せいにゅう: 絞ったままで殺菌されていないもの。
  • なまちち: 絞りたての新しい乳。
小岩井乳業では、「なまにゅう」という名を使って商品化していました。



メーカーによれば、「生ビール」のように「なま」と読ませることで、新鮮なおいしさをアピールできると考えたからなのだそう。

紛らわしいですが、「生乳100%」と言っても、フランスのように加熱処理などがされていないミルク(レ・クリュ)で作っていることを示すわけではないのだから、どうでも良いのでしょうね。

直売をしている酪農家の商品の写真があったので眺めてみました。こちらは殺菌したミルクしか売っていないので、仕方がないときに買ったことがあるだけなのですが。



「Lais frais(フレッシュ牛乳)」と大きく書いてある。「lait cru(無殺菌牛乳)」ではないので、ボトルに黄色は使っていませんね。お隣に黄色いシールがありますが、こちらは一緒に売っているフロマージュ・ブランの値段を書いているだけです。

フレッシュ牛乳という文字の下には、「entier pasteurisé」とあり、低温殺菌した全乳だということを示しています。entierは絞ったままのミルクなので、demi-écrémé(低脂肪乳)、lait écrémé(脱脂乳、スキムミルク)より脂肪率が高い。

としてら、日本でバターなどに「生乳100%」と表記するのは、「全乳100%」としても良いのではないかと思うのだけれどな...。

ところで、フランスの表記で、ただ「lait(ミルク)」と書いてあるときは、牛の乳であるという意味なのだと学びました。チーズの原料としてよく使われるヤギやヒツジのミルクもあるわけですが、こちらは何のミルクであるかを明確に表示するとのこと。


熱処理で殺菌した牛乳

今では、牛乳は加熱殺菌をしたものが主流なのです。フランスの業界サイト(全国酪農経済センター CNIEL)に書かれているバターの製法では、72℃で15秒間との加熱殺菌をするのが一般的だと書いてありました。

日本で作られるバターに使うクリームの殺菌はどうしているのかを調べたら、日本乳業協会のサイトには、こう書いてありました:
クリームを95℃で60秒間加熱殺菌し、脂肪分解酵素(リパーゼ)も失活させ、保存性を高めます。


日本でのクリームはかなり加熱して乳酸菌を殺してしまっている感じがします。では、日本での牛乳の加熱殺菌はどうなっているのだろう?

食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」規定牛乳の殺菌方法
保持式により摂氏63度で30 分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること。


日本での牛乳の殺菌方法を、その温度と時間によって分類すると、次の3つに大別されるのだそうです:


低温殺菌法
(LTLT)
温度63 ~ 65℃で30 分間加熱殺菌する方法。
ほとんどの病原菌は死滅するが、その他の細菌は、菌の耐熱性の程度により、菌数は変動する。

高温短時間殺菌法
(HTST)
温度72 ~ 75℃で15 秒間加熱殺菌する方法。
より合理的な熱交換処理により、時間短縮による作業効率の向上が可能となる。

超高温瞬間殺菌
(UHT)
120 ~ 130℃の超高温で1 ~ 3 秒、瞬間的に加熱して殺菌する方法。
日本の牛乳の9 割以上がこの方法で殺菌されている。

出所: 中央酪農会議: 酪農家のための乳製品製造スタートガイド


超高温瞬間殺菌が主流なわけですが、日本でも低温殺菌ミルクというのに人気が出てきているようでした。

右に入れた低温殺菌牛乳は、65℃で30分間殺菌しているのだそう。

タカナシ低温殺菌牛乳の場合は、66℃で30分間殺菌と書いてありました。

30分も加熱していたら、風味がみな無くなりそうな気がしますが、どうなのだろう?...


殺菌処理されていない牛乳は風味が強い

日本では「生乳」という言葉で熱処理などはしていない天然ものだということは表せないので、「無殺菌」の牛乳とかバターとか言うしかないようです。でも、そう言われたら黴菌が入っているようなマイナスイメージが全面に出てきてしまうではないですか?!


加熱処理しないとバクテリアが入っているという認識を植え付けたのは、大量生産する大手メーカーの仕業だという批判もフランスではあります。

実際には、ほんの少し雑菌が入ったミルクを飲んでいた方がアトピーなどの病気にはならなくて健康な体が維持されるという科学的な証明もでてきたのだそう。

私は「健康に良い」と言われると、とたんに食欲がなくなってしまうので、無殺菌牛乳が健康に良いというのは無視。

でも、加熱処理などはされていないものの方が美味しいというのには歴然とした差があると感じています。

生きた乳酸菌が含まれている、ということから来る違いなのでしょうか。

夏にはアイスクリームをたくさん作るのですが、朝市で絞りたての無殺菌生乳を買えなかったときは作りません。同じレシピで作っても、全く味気ないものができてしまうので、手間をかける張り合いがないからです。

ただし、ミルクを買ったら、3日以内には使い切ることにしているので、買ってきた2リットルのミルクをどうやって加工するかでスケジュールを立てる必要があります。

生乳が冷蔵庫に入っているのに食事に呼ばれたり、旅行したりしなければならなくなった時には1日が消えるので困る...。どうせ1リットル100円くらいで買ったのだから捨てろと言われるのですが、美味しいものを捨てるのは嫌いなのです...。


フランスでレ・クリュ(生乳)が問題になるのは、伝統的なチーズです。

我がブルゴーニュ地方でも、臭いがきついチーズの代表にもされるAOC/AOP エポワスは生乳で伝統的に作られtいたのですが、ある時から殺菌されたミルクで作られるようになりました。ごく短時間で処理するのだから味は変わらないと言われましたが、微妙には違います。

このチーズが大好物だった私の猫は、低温殺菌されたチーズを初めて出されたとき、鼻をクンクンさせてから、フン! という感じで立ち去ったのでした。

人間だと、口に入れて違いが少し分かる程度なのですが、匂いを嗅いだだけで分かるということは、猫の臭覚は優れているのだと感心しました。

その彼も、1週間くらいしたら諦めたのか、以前と同じように喜んで食べるようになりました。慣れるものなのですね...。

こうして、現代人も、現代猫も、味覚が衰えてゆく?

子どもたちを受け入れて農業体験させているフランスの酪農家が、絞りたてのミルクを飲ませると喜ばない子どもたちがいるので、シロップなどを入れて飲ませているのだと話していましたっけ。

フランスで高品質だとされるAOCを獲得しているチーズの中で、加熱処理などをしてはいけない牛乳を使うことが義務づけられているのは7割弱となっていました。将来は、もっと減るのかもしれない。


フランスで高く評価されるのは無殺菌乳バター

1860年代、フランスの生化学者パスツールが生み出した「パスツーリゼーション低温殺菌法)」の技術が登場してから、フランスの都市では低温殺菌をされた牛乳が出回るようになりました。無殺菌だと危険がありますので。

でも、農村では無殺菌のミルクからバターを作り続けていたようです。農水省が農家向けにバターづくりの方法を教える1930年の映像では、始めの部分では、しつこいほど清潔な乳絞りの方法を見せていました。

田舎で育った50歳以上の世代では、無殺菌クリームで作られたバターを普通に食べていたようです。そういう人たちがバターの美味しさに感激するときは、無殺菌乳で作ったバターの味を思い出すからのようです。私の友人たちも「昔懐かしいバターの味」と表現しますが、シェフたちが求めるのもそういうバターのようです。

私は昔のフランスで普通に食べられた本物のバターの味を知りませんが、バターがこの味だとすると、他のは何なのだろうと驚いたのは、フランシュ・コンテ地方地方でコンテチーズを生産している小さなミルク工房の手作りバターでした。



バターはシーズンによって色も味も変わるというので、この写真を撮ったときの日付を確認。3月半ばでした。こんなに色が薄かったかなと写真を見て思ったのですが、まだ牧場に出ていない牛たちのミルクで作っていたのですね。最もバターが美味しいのは、牧場に花も咲く春のようです。その時期に旅行してバターを買いたいと思いました。


ボルディエのバターの評判が良いと書いてきたのですが、この会社では低温殺菌のクリームを使っていました。最後の仕上げ作業で手間をかけるので濃厚な味が出てくるのだろうと思います。

無殺菌クリームから作ったバターは、農家の手作りくらいしかないと思っていたのですが、有名シェフたちのご用達バターになっているような有名なバターもあるのでした。


ベイユヴェールBeillevaireのバター

伝統的なバターを作るに必要なバラットと呼ぶ攪拌装置に焦点を当てたドキュメンタリー番組の中で、パリの3つ星レストラン「ル・グラン・ヴェフール」のシェフであるギー・マルタンが、加熱処理していないクリームで作るベイユヴェールのバターを絶賛していました。この会社の製造法も見れるので、別の記事で動画を入れたいと思います。

無殺菌バターの欠点は2週間くらいしか持たないことです。それなのに、このベイユヴェールのバターは日本にかなり入って来ているので驚きました。


でも、ショップでは、賞味期限は「お届け後、4日~7日」と書いていますね。

ベイユヴェールのバターを楽天市場で検索


 ル・ポンクレLe Poncletのバター

加熱処理していない生乳を使ったLe Poncletというバターは、フランス、いや世界で、最も美味しいとも言われています。もちろん、バターはこれと決めている有名シェフも何人もいます。

小規模生産なので入手するのが非常に困難だそうなので、究極のバターと言ったら、これなのかもしれません。ブルターニュ地方の地元Locmélarの直売で買えば1キロ24ユーロですが、パリでは40ユーロ近くで売られているのだそう(2014年情報)

ブルゴーニュの小さな町にある1つ星レストランで出されたことがありました。とても美味しかったので写真を撮っていたのですが、そんな貴重なバターだとは知らなかった。猫に小判...。



2年前の9月のこと。夏の牧場の草を食べていた牛のミルクで作ったバターだったからか、黄色が鮮やかです。

David Akpamagboという人が2009年から作っているバターです。お名前が変わっているのですが、母方がブルターニュの人で、父親がアフリカのベナン人民共和国の人なのだそう。名門のビジネススクールHEC経営大学院を卒業したのに、農業をする傍ら、バターを作っているという変わり種。

このバターづくりは、最も本物だと思いました。ミルクを作る牛の食べ物も含めて育てられ方でも牛を厳選しているのですが、乳牛の品種も地元原産の牛たちにしているのです。私も、乳製品の味は、まず品種で決まると思っているので賛成。

フランスで高い評価を受けている有名なバターはブルターニュ地方ばかりが出てきたのですが、フランス北部の酪農地帯はPrim'Holstein種がかなり入り込んでいるのです。これは搾乳量は多いものの、チーズなどにするには味が薄すぎると私は思っています。

ル・ポンクレのバターを紹介する動画があったので入れておきます。牛たちも登場しています。


A la découverte d'un beurre d'exception


無殺菌牛乳を作っている北海道の農場

北海道に行ったとき、殺菌をしなで市販できるミルクを生産している酪農家に連れていっていただいたことがありました。日本では、その許可をとるのが非常に大変なのだそうです。

情報を検索してみたら、この農場を紹介した記事がたくさん出てきたのですが、テレビ番組だったらしい動画も見つかりました。牛乳を殺菌する事情も分かりやすく解説されていて、とても興味深かったです。

☆ YouTube:  想いやり生乳 ⇒ 続き: 想いやり生乳2

小屋に入っている牛たちの表情がとても穏やかなのに、まず驚きました。フランスの牧場で見かける放牧牛たちと同じ。調べてみると、冬の取材だったので牛たちは牛舎に入っていたのですが、この牧場では放牧もしているようでした。建物の中といっても、外気が入ってくる開放的な環境に見えました。

実は、前回の「日本で言われる「グラスフェッド・バター」って、なに?」を書きながら、日本で牛が草を食べていることを珍重するということは、普通の牛は何を食べているのだろうかと思って動画を探して眺めていたら、ショッキングな場面を見てしまっていたのです。

日本のテレビ番組によくあるタイプで、俳優さんが北海道の酪農家を訪問。ご一行は広くて清潔な牛舎に入って「わぁ~、広くて立派♪」という反応。そこで、こちらを振り返った牛がアップで映ったのでした。

フランスでは牧場にいる牛を数え切れないほど見てきましたが、あんな表情をする牛を、私は見たことがありません!

恨みを込めた目つきなのです。しかも、同時に、諦めている寂しさもある...。

牛の目は大きくて、うるんでいて、訴えかけてくる何かがあるのです。中には、ものすごい美人もいて、見つめられるとタジタジになってしまうような牛さえいます。

動画に映っていた牛は、どうしてこんな恨めしそうな目つきをしていたのか? よく見ると、牛舎の中では牛がそれぞれのボックスに入っていて、仕切りのパイプにつけられた綱で繋がれていたのでした。

建物の中に閉じ込めておくだけでも酷なのに、歩き回れないようにさえしてしまうのでしょうか? 私が牛だったら自殺することを考えますが、牛はそういうこともできないのだろうと思って、余計に身につまされました。

余りにも表情が特異なので、その牛の顔が映った場面を切り出して加工し始めたのですが、止めました。この目つきが夢に出てきそうだし、インターネットでそんな映像を入れたらショックを与えてご迷惑をかけるだろうと思ったので。


それで、無殺菌牛乳を作っている牧場の牛たちが優しそうな目をしているのを見て、救われた思いがしました。

この無殺菌牛乳を市販できる農場では、牛たちがリラックスしていることが重要なポイントなのだと説明されていました。ストレスがない牛の乳には雑菌が少ないのだそうです。




この農場の経営者の長谷川さんが、なぜ無殺菌牛乳を作るようになったかという話しが出ていました。酪農実習をしたとき、悪い環境の中で育てられている牛たちの悲しそうな顔を見て、牛たちにとって居心地が良い環境を与える酪農を始めたいと思ったのだそうです。

そのお気持ちはよく分かります。恨めしそうな目を向けた牛を見て、牛たちも可愛そうですが、そういう牛たちを相手にしながら仕事をするのも辛いだろうなと思いましたので。心を鬼にしないとやっていけませんから...。


フランスで無殺菌クリームからバターを作っているル・ポンクレの経営者は、牧場を見ると、そこにいる牛たちがどんなミルクを出すか分かると言っていました。直売農家をよく利用する私としては、家畜の飼育者の顔を見ると、その人の生産物が美味しいかどうかが想像できると思っています。

生産者の顔を見ると、どういう風に家畜に接しているかが伝わってくるのです。家畜に対する愛情がある優しい性格を持っている人たちが生産していると、肉にしてもミルクにしても美味しい。


日本の情報を読んでいたら、酪農家の人が絞りたての乳をそのまま飲む気にはならないと言っていたという記述がありました。もしも本当の話しなのだとしたら怖い話しです。現場を見ていたら飲みたくないような汚い環境に牛たちを閉じ込めているのでしょうか?...


この「想いやり牛乳」を作っているファームを訪問したのはいつだったかな、と思ったら、ブログに書いていたので確認することができました:
日本で唯一の無殺菌牛乳 2005/11/29

十数年前のことでしたか...。ご成功なさっているようですが、相変わらず日本では生乳のままでミルクを販売できるのは、この農場だけなのかもしれません。

フランスでも加熱処理していないミルクには希少価値があるとはいえ、探せば見つかるのですけど...。


次回は、日本で人気が出ているらしい発酵バターについて考えてみます。発酵バターの定義は乳酸菌を入れることらしいのですが、私には腑に落ちないところがあるのです。

続き: 発酵バターとは乳酸菌を添加したバターだ、とは言えないのでは?

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その4


バターは無殺菌乳で作ったものを見つけるのが難しい時代になっていますが、チーズの方ではAOP/AOCで無殺菌乳を使うことが決まりになっているので、しばしば問題にされます。

この問題を扱った優れたドキュメンタリー番組があったので、動画を入れました:
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20





ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
お気に入りのバターを買いに行く 2012/03/31
ノルマンディーの牛が見たい 2009/11/28
「本物のカマンベールだぞ~!」とアピールしたパッケージ 2010/07/24

外部リンク:
【生乳 / Lait cru】
☆ Cniel: Que veut dire « lait cru »
☆ Wikipedia: Lait cru » 生乳(せいにゅう)
☆ 明治: 生乳(せいにゅう)と牛乳
☆ 66 Millions d'impatients: Du lait oui, mais cru !
☆ La Parisienne(2016年): TENDANCE. Le retour en grâce du lait cru | Allergies  les vertus du lait cru
Ces AOP qui ont le droit de pasteuriser ! Voici la liste
☆ YouTube: Ces fromages qu'on assassine(ドキュメンタリー)

【牛乳の殺菌】
☆日本乳業協会: 牛乳の殺菌方法
☆ Cniel: Le circuit et les différentes étapes de la fabrication du lait
☆ Wikipedia: Pasteurisation » パスチャライゼーション(低温殺菌法)
☆ Wikipédia: Thermisation » [英語] Thermization
☆ Wikipédia: Stérilisation (microbiologie) » 殺菌
☆ Wikipedia: 牛乳 ⇒ 殺菌
☆ Wikipedia: Microfiltration » [英語] Microfiltration » 精密ろ過膜
☆ Wikipedia: 低温殺菌牛乳
☆ Wikipedia: Lait UHT(ロングライフ牛乳) » 超高温加熱処理法
☆ 牧場牛乳がおいしい理由は?殺菌なぜ?市販品は水で薄めるの?
ドイツ在住者のブログ:  加熱処理をしていない生の牛乳は体にいい?悪い?双方の意見をまとめてみた

【その他】
☆ Cniel: L’étiquetage du beurre
☆ Wikipedia: Lait entier (全乳)| Lait demi-écrémé | Lait écrémé(脱脂粉乳 スキムミルク )
☆ Marie Claire: Lait entier, demi-écrémé, écrémé  lequel choisir
☆ Wikipedia: Fromage au lait cru
☆ Le Parisien: La nouvelle bataille du fromage 12/03/2016
☆ 中央酪農会議: 酪農家のための乳製品製造スタートガイド
バターもできないホモ牛乳、「明治おいしい牛乳」

【ル・ポンクレのバター / Le Ponclet】
David, l'ancien d'HEC, et la théorie du luxe appliquée au beurre
☆ Paris Match: Accord parfait - La crème du beurre
David Akpamagbo, dénicheur de vaches de luxe.
Quand Le Beurre Redessine Les Paysages De Bretagne
美味し過ぎるバター Le Ponclet (ル・ポンクレ)


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2017/02/01
ブルターニュ地方を巡る1カ月の旅行をしたとき、一緒にブルゴーニュから行った仲間と、「ブルターニュのバターはおいしいね」と言い合ったのを思い出しました。

Flag of Brittany普通にフランス人が使うのは無塩バターなのですが、ブルターニュ地方では伝統的に有塩バターなのだと教えられました。

追記:

まだバターのことを調べているので、なぜフランスでブルターニュ地方だけが有塩バターなのかを簡単に説明しているサイトに出会いました。

フランスではバターに塩を入れていたのですが、塩税ができてから、みんな塩を入れるのを止めてしまったのだそう。ところが、ブルターニュ地方はこの税金が免除されていたので、バターに塩を入れ続けた。

塩を入れた方が日持ちするので、入れていたのは自然だったと思う。ブルターニュに塩税を課せられなかったのは、塩の産地だったからなのかな...。


有塩バターだから美味しいと感じるのだろうと仲間と言い合ったのですが、あの時は地元の小規模生産の素晴らしく美味しいバターを味わっていたのかもしれない...。

あるいは、ここのところ書いているボルディエ社のバターも、あのブルターニュ旅行で食べていたかもしれないという気がしてきました。

この会社があるサン・マロの町にも宿泊したし、一緒に旅行した仲間も美味しい食べ物には目がないので、土地のものを探していたはずなのです。

ボルディエ社のバターを楽天市場で検索


シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その3


前回に書いた「上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組」では、フランスのバター業界を取材したテレビのドキュメンタリー番組「Le beurre et l'argent du beurre」がYouTubeに入っていたので入れました。



1時間近い番組だったのですが、今まで何も考えたことがないバターについて色々と教えてくれたので、学んだことをメモしておきます。

今回は、原料となるミルクを出す牛がどう育てられているかによってバターの味が変わるということ。


ボルディエ社のバターは鮮やかな黄色

フランス国内で3つ星を持っている26のレストランのうち、ボルディエのバターを使っているのは6軒で、最も多いと書いている記事がありました。今は25軒だと思うので、少し古いお話しのようではありますが。

ボルディエのバターは、かなり黄色が濃いとマークしていました。


ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた 2017/01/26


バターの仕上げの段階でバターを叩いて水分を除きながら味をよくして、レストランの要望に応えた形に仕上げるというのも、ボルディエの特徴でした。

ドキュメンタリー番組では、ボルディエのバターの色のことを「Bouton d'or」の色と表現していました。そのまま訳すと「金ボタン」で、キンポウゲ属の雑草です。

フランスの野原ではよく見かけて、雑草にしては輝くような黄色が捨てがたいと思っている草。庭に生えてきたら引っこ抜かないと、どんどん根を広げて、おいそれとは引っこ抜けなくなるという、タチの悪い草でもあるのですが。



バターの美しい色をキンポウゲに例えるのが面白いと思いました。

英語の名前でも、キンポウゲにバターカップという名前を付けているのですね。色の名前にもなっていました。


キンポウゲの色金色黄色





Jaune bouton d’or
#F6DC12
Jaune mimosa
(ミモザ)
#FEF86C
Jaune banane
(バナナ)
#D1B606
Jaune d'or
#EFD807
Jaune
#FFFF00




日本の伝統色蒲公英色
(たんぽぽいろ)
#FFE200
菜の花色
#FCD900
黄金色
#E6B422
黄色
#FFD900





Buttercup-Yellow
(バターカップ)
#FFE533
Gold
#FFD700
Yellow
#FFFF00


黄色というのは食欲をそそるのかもしれない。

卵の黄身も黄色いのが好きなのですが、日本では鶏に食べさせる餌によって、やたらに黄色が強い卵も売っていると知ってから、黄身が黄色というのも何となく興ざめしました。日本のメーカーが、無理に黄色いバターを作ってくれないように祈ってしまいますけど...。

追記:

ボルディエ社のサイトにあるQ&Aで、夏のバターと冬のバターの違いが説明されていました。

夏には、牛たちが食べる牧場のフレッシュな草や花からくるクロロフィルやβ-カロテンによって、バターは柔らかくて光沢がある。冬のバターは黄色味が薄い象牙色で、壊れやすくて、細粒からなっていて、まろやかな味がする。1年を通して黄色いバターはトウモロコシで育てられている牛のミルクで作られている。



上質のバターと、大量生産のバターの違いは、
  まずミルクを出す牛の育て方によって差がでる


バターに関するドキュメンタリー番組では、上質のバターとしてボルディエ社、大量生産で安く売っているバターとしてはペイザン・ブルトン社を比較していました。

まず、ミルクを供給している酪農家にもはっきり違いがあるのが見えました。

ペイザン・ブルトンの契約農家として登場していたのは、放牧はされずに、建物の中で1年中暮らしている牛たちだったのです。

牧場に出ることもなく飼われている牛を私はフランスで見たことがないので、いたとしてもごく例外だと思っていたので驚きました。

フランスの田舎を旅行しているときには、人間よりも家畜の姿を多く見かけます。道に迷ったときに、牛たちに聞けたら... と思ってしまうこともしばしば。牛は人懐こいので、柵に近づくと挨拶に来てくれるのですから!



フランスの農業も、ジリジリとグローバル化して、ドイツをモデルにした近代的な牛の集中飼育をする動きが出てきてはいます。でも、企業家がそういうのを始めると、ファーム工場だなどと言って激しい反対運動がおきるので、まだまだフランスは伝統的な農業をしているのだと私は思っていたのですけれど...。

乳牛が外に出てのびのびと生きられなかったらストレスがたまりますから、ミルクがおいしいはずはありません。フランスの消費者は、普通はそう思うはずなので、ペイザン・ブルトン社が放牧はしていない酪農家を出したのが不思議。

フランスでも、酪農地帯では放牧していない酪農家もかなりあるのかな?... あるいは、建物の中なら牛が清潔に育てられている、とメーカー側は見せたかったのか?...

ボルディエ社の契約農家として登場した酪農家は、ビオ(有機農業)でした。

でも、私は牧場はほとんど無農薬のはずだと思っていました。だって、牧草に殺虫剤を撒く必要はないし、土地を肥やすために科学肥料なんか撒いたらお金もかかるのでやるはずがない。第一、牧場に沿った道路の道端には自然に花がたくさん咲いているので、穀物や菜の花畑のある道端とは全く違うのが歴然と分かるのです。

それでも、早春に酪農地帯をドライブしたとき、牧場に堆肥を撒いているトラクターがあるのを見て(つまり、臭い!)、ほったかかしという訳でもないのだ、と感心したりしていた程度でした。

 
春の牧場にはフュミエが香る 2014/03/16


ドキュメンタリーを見て、どういう風に育った牛たちのミルクなのかというところから、もうバターの味は決まってしまうだろうと感じました。


ボルディエ社の契約農家の場合

ボルディエ社では、牛乳を買い付けする農家はビオ(有機農業)か減農薬を実施ている農家だけに限っているそうです。

番組に登場していたのは、ビオの農家で、45頭の牛を飼っていました。



季節が良いときは外で牧場の草をはませ、冬の間は小屋の中で生活して干し草を与えるる、という牛の飼育方法で、私にとっては普通のパターンです。

ところが、外で牧場の草を食べられないときに与える干し草が、素晴らしいので驚いたのでした。



緑色が残っていて、みるからにおいしそうな干し草! 牧場の新鮮な草か、干し草かで育てるとしたら搾乳量は少ないでしょうけれど、健康に生活している牛に見えました。

この農家の様子を見せている部分だけを出す動画を入れてみます。

YouTubeで始まりと終わりを設定する実験をしたのですが、思う通りにはならない。止めたところで自動的にコマーシャルが始まってしまいます。そこでコマーシャルをストップされるボタンを押すと、私が切り出した始めの部分に戻ってしまって、画像は見えないのに、音声だけ出てきてしまいます。

コマーシャルが始まったら、「停止ボタン」を押してください。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5) 11:29~14:12


 ペイザン・ブルトン社の契約農家の場合

この農家では90頭の乳牛を飼育しています。私がショックを受けたのは、この牛たちが建物の中に閉じ込められて生活しているということでした。



ペイザン・ブルトン社では7,000軒の農家と契約していますが、牛に与える餌や、飼育方法には厳しい決まりを契約農家に課しているのだそうです。

1頭当たり4キロの干し草を敷いたベッドがあったり、照明や換気の決まり、毎日3回掃除をすることなど。牛たちの居心地が良いようにしている、と言っていますが、でも外で全く暮らせないのは可愛そう...。



与えられている干し草は、ボルディエ社の契約農家が与えていたものとはずいぶん違うものに見えます。おいしそうではない! お腹がすいていれば、仕方なく食べるでしょうけれど。

こちらでは、栄養を補うために他の食べ物も与えるのでした。牛たちの耳についている黄色い首輪がセンサーになっていて、餌が与えられる場所に行くと、機械が必要だと判断した時だけ食べられるようになっているそうです。



牛たちの住み心地に気を使っているわけですが、つまりは生産性を上げるのが狙い。この農家では1カ月に8万リットルものミルクが搾乳されているのだそうです。

動画を入れます。この農家の部分をご覧になるのでしたら、スタートボタンを押してください。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5) 15:30~18:23


世界で一番おいしいバターだと言う人もいるLe Ponclet(ル・ポンクレ)を作っている人が、雑誌の記事の中で肩っていました。

牧場を見ただけで、そこにいる乳牛たちがどんな乳を出すかが分かる。草を食んでいるだけでは足りなくて、どんな草を食べているか、どんな牛なのかによるのだ。

酪農家から生乳を提供してもらっているけれど、サイロにためたトウモロコシ(耐え難い味がするミルクになる)や遺伝子組み換えの大豆などを食べさせているところは全く問題外。牛たちは、自分のところの牧場の草だけを食べているのが条件。しかも、その牧場は、堆肥と自然なコンポストで手入れされた生きている土地でないといけない。


なるほど。動画に登場していた2つの農家が与えている干し草の違いを見て、ミルクの味が違って当然だな、と感じました。



北海道の暮らしのそばに日立の技術があります「おいしいエサの話」編 - 日立


グラスフェッド・バター

フランスで飼育されている乳牛のうち、放牧されていない牛の割合はどのくらいあるのか調べたら、数字は見つからなかったのですが、面白い言葉に出会いました。

グラスフェッド(grass fed)」で育てられた肉牛や乳牛が日本では注目されているらしい。つまり、日本にはほとんどいないから。




grass fedって、草で飼育されているということでしょう? 草を食べない牛がいるのだろうか?... などと思ってしまいました。

日本で言われている「グラスフェッド」とは、自然の環境で放牧され、牧草のみで飼育されたことで、穀物飼育はグレインフェッドと呼ぶらしい。

グラスフェッド・バターと呼ぶものが売られているので、眺めてみました...。



フランスのバターが入っています。フランスではそういう言い方は流行っていないようなので、メーカーに聞いて確認しているのかな?... AOC/AOPを獲得していたり、ビオ(無農薬)だったら、夏は放牧されているのが普通だろうとは思いますけど。

でも、フランスでは冬には放牧していません。放牧されていて牧草しか食べないバターが食べたいのなら、春から冬になる前の時期にバターを食べるしかないはずです。でも、フランスのバターを入れているということは、一年中建物に閉じ込めていないのならグラスフェッドとしている、ということ?

ミルクの味は当然変わりますので、放牧されている家畜のミルクから作っているバターもチーズも、シーズンによって味は変わります。


グラスフェッドという言葉が欲しいのはチーズ

バターは1年中食べるので、放牧中の牛のミルクかどうかなどというので選ぶわけにはいきません。

でも、チーズは、凝っている人たちはシーズンで選んでいると思います。

私はコンテチーズが好きなのですが、熟成期間が長いので何カ月熟成されていると聞くと、何月のミルクかを計算して買います。

やはり、牧場で自然な草を食べていたときのミルク方が美味しいので。

いちいち放牧されている時期の牛のミルクかどうかを計算しないでも分かるように、グラスフェッド・チーズという名称を作ってくれたら便利だと思います。

こだわるなら、チーズごとに、この時期が食べごろというカレンダーを見るしかない。好きな人たちは覚えているのでしょうけど。

例えば、インターネットで調べれば、今はどのチーズが食べごろかはわかります:
Le Calendrier des saisons
Toutes les actualités correspondant à "fromages du mois"

この時期にしか生産されないというチーズもあります。

例えば、今の時期だったら、冬にしか生産されないモンドールを食べておく、とか...。




日本でグラスフェッドをしている岩手県の農場

日本ではグラスフェッド・バターというのが売られているのに、なぜかチーズの方ではそういう宣伝の仕方がされていないように見えました。

冬には放牧されていなくても良い、ということにするなら、フランス製のチーズでもグラスフェッドと呼べるものははるはず。しかも、チーズの方は生産方法に規制もあるAOC/AOPを獲得しているものが多いので、バター以上にグラスフェッドはあると思いますけれど。

唯一、グラスフェッド・チーズとして売られているものが見つかりました。

岩手県にあるなかほら牧場という農場の商品です。



福島で放牧をしていた酪農家に行ったことがあります。ミルクは素晴らしく美味しかったですが、バターは特徴を感じられないので残念だと思いました。でも、もう酪農は止めたようです。東日本大震災の直後は、都会から来た若者たちがボランティアで牧場の施設を直して頑張っている、というニュースをフランスで見ていたのですけれど...。かなり原発から近い場所だったのです。あんなに放牧をしている日本で珍しい酪農家だということで、誇りをもって仕事をしていらしたのだけどな...。

グラスフェッドを売り物にしている中洞牧場があるのは、岩手県の標高700~800mの山の中なのだそうです。50haの土地に、80頭の牛を放牧して、しかも一年を通して放牧なのですって!

フランスで肉牛を飼育している農家の話しを聞いていると、牛1頭に1ヘクタールというのが普通と感じていました。肉牛の方は、それより狭くて大丈夫らしいと想像していたのですが、調べものをしていたら数字が出てきたのでメモしておきます。

乳牛1頭あたり0.4ヘクタールくらいと書いてありました。中洞牧場は、広々としたフランスの水準にも達する環境で牛たちが生活していますね。

それにしても、冬も放牧というのには驚きました。実は、北海道の十勝にある酪農家に泊まった時、雪が積もっている牧場に白い馬たちがいたので、中洞牧場もひょっとして1年中放牧なのではないかと思って確かめたかったのでした。

中洞牧場: 山地酪農とは

日本は雪が降るので冬の気温はそんなに下がらないから家畜を外に出しておけるのかな... ? あるいは、慣れていると平気なのか?...

いずれにしても、早春にフランスの田舎をドライブしていると、牛舎から出て外で生活できるようになったのだろうと一目で分かる牛たちに出会います。

夏などは草をはんでいるか寝ているかの巨体の牛たちなのに、このときばかりはピョンピョンはねているので可愛らしいのです。

そんな映像があったので入れておきます。


vaches heureuses de retourner dans les pâtures


早く春にならないかな...。


シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その3




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
グラスフェッドバターについて
フランスの高品質保証AOP/AOCを持つバターを楽天市場で検索
Où trouver du grass fed butter en France
フランスニュースダイジェスト:  ビオを知ろう! 
グラスフェッドについて
☆ Wikipédia: Bouton d'or (couleur)
Morin Philippe, EARL du Rocher Nourri, 35460 Montours
☆ Le dictionnaire de l'Histoire: gabelle
☆ Wikipédia: Gabelle du sel


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2017/01/28
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その2

フランス人は、バターとチーズを食べることにかけては世界一。バターは、年間に一人あたり8キロを消費していることになるのだそうです。日本人が1年に食べるバターの量を、フランス人は僅か1カ月で食べてしまうという計算になります。

Antoine Vollon - Mound of Butter - National Gallery of Art
La Motte de beurre par Antoine Vollon

フランスも、南の方ではオリーブオイルを多く使うのですが、それ以外ではバターをやたらに料理に使います。でも、1年に8キロというのは多すぎる気がする...。

でも、これはバターの年間の国内消費量を人口で割った数字のようなのでした。フランス人が家庭用に買うバターは、一人あたり3.1キロとのこと。とすると、1カ月に258グラム。フランスで普通サイズのバターが250グラムとすると、それを1カ月に一人1個買うという計算になります。

そのくらいは軽く使ってしまうだろうな...。朝食には欠かせないし、バターと一緒に食べる料理もあるし、もちろん調理ではふんだんに使いますから。

ひところは、バターは健康に良くないからとオリーブオイルやマーガリンが好まれたりしたのですが、再びフランス人はバター好きに戻って来たようです。植物性マーガリンは人気が落ちて、中間的な軽いバターにも人気があるようです。

日本でスーパーに行くとバターのチョイスは数種類程度ですが、フランスの場合はおびただしい種類のバターが売られています。人それぞれに好みがあるのでしょうが、私は伝統的なバターしか買わないので、バター風などという新製品のことは全く分かりません。

スーパーのバター売り場が最初に出てくる報道番組があったので入れておきます。


Tout sur le beurre et l'argent du beurre  {France 3 2016}

ブルターニュ地方の酪農家がバターづくりを見せていました。この地方はフランスで最もバターの生産量が多いのだそうです。北フランスなのですが、内陸部より温暖な気候だし、雨が多いので牧場の草がよく育つので酪農に向いているのだそう。私のブルゴーニュ地方では乳牛を飼っている農家はとても少ないのですが、気候が適していなかったのですね。


高いバター、安いバター

それだけバターを消費するフランスですが、バターの価格は日本よりずっと安いです。フランスのスーパーで簡単に買えるバターのうち、高いのと、安いのとして、2種類を並べてみます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

プレジデント社製 有塩バター【125g】 Pesident Beurre DEM...
価格:598円(税込、送料別) (2017/1/26時点)


左側のは、品質保証AOC/AOPを獲得しているエシレ。「Beurre de baratte」と書いてあります。上に入れた動画に登場していた農家もbaratte(バターを製造するための攪拌装置)を使っていましたが、そういう装置で作ったバターということ。色々なフランス製バターのパッケージを眺めてみたら、高品質のバターのほとんどはbaratteの文字を入れている感じがしました。

左のは、安いバターの代表と思えるプレジデント。伝統的なbaratteとは言えない製法で作っているからなのか、「ガストロノミック(美食)」という文字を入れています。

日本で売られると、関税のせいか、価格の差が少なくなるみたいですね。

フランスでは、こんな感じのお値段です:
フランスのスーパー Monoprixのネットショップでのバターの価格

このサイトで売っていたプレジデントのバターは、250 gのが220円くらいで、2個目は50%オフと書いてあります。エシレの方は、同様に250グラムで350円くらい。

ここでプレジデントのバターを2個買ったとすると、エシレの半額の価格ということになります。となると、大量にバターを買う必要があるフランス人としては、安い方を選ぶ人が多いのでしょうね...。

ホテルの朝食代が高かったとき、プレジデントの1口サイズのバターが付いていたら、友人が「ぼられた」と怒っていました。フランス人には味気ないバターの代表なのだと思いました。


フランスの巨大企業、ラクタリス

このプレジデントのバターは、3つ星シェフを使ったコマーシャルなどをテレビで流していました。


Publicité Président Beurre gastronomique

パリの超高級ホテルであるル・ブリストルにあるレストラン「エピキュール」のシェフとして有名なエリック・フレションさん。

フランスの美食文化とはそぐわない工場生産の食品のコマーシャルには、時々ではありますが、一流シェフが出演しています。借金かなにかで困窮しているのかと心配してしまう。いくら「おいしい♪」という顔をしてくれても、私には美味しそうには見えないのですけど...。

logo de Lactalisプレジデントは、乳酸品メーカーとしては日本でもよく知られているダノンに次ぐグループLactalisのブランドです。

数年前から、フランスの酪農家が生産したミルクを大手企業に買いたたかれて、働けば働くほど借金が膨らんでいくなどと抵抗運動が起こっているときにやり玉にあがっている会社。酪農家が大手メーカーにミルクを売るときに、もっとも買いたたいているのが、このラクタリス社なのだそう。

フランスの農業者は、黙っていません。ラクタリスに抵抗して、スーパーを荒らしているのを見せる動画がありました。


Lactalis: action des producteurs dans un supermarché à Laval

昨年2016年夏の報道で、下がり続けてきたミルクの買値は、1リットルあたり0.26ユーロ(約32円)だと報道されていました。私が朝市で買う直売農家は1リットル100円くらいで売っています。素晴らしく美味しいミルクなので採算が取れるのだろうかと思ってしまうほどなのですが、その3分の1ですね。過激にデモをしたかいがあってか、この後には少し買い取り価格を上げてもらっていました。

私が利用している乳製品の直売をしている農家は、みんな幸せそうな顔をしています。質の良いミルクを作っていれば買いたたかれることもないはず。農業政策に踊らされて、投資をして機械化し、大量にミルクを作っているのがいけないと思ってしまう...。

酪農家たちが、ここままでは生きていけないと息巻いていますが、ラクタリスの社長さんは長者番付にも入っています。所有している別荘は、広大な敷地を持つお城。取材を拒否されたテレビ局が塀の隙間から庭を覗いてみたら、無農薬で育てる家庭菜園なのもあるので笑ってしまいました。たぶん、自社製品なんかは食べていらっしゃらないのではないかな...。


ペイザン・ブルトンのバター

プレジデントのバターよりは少し高めですが、私が上手なコマーシャルだなと思うのはPaysan Breton(ペイザン・ブルトン)というメーカーです。お手頃価格でバターを売ってるのでシェアが大きいメーカーなのですが、手作りバターかと思ってしまう演出をしています。


Publicité Beurre La Pointe de Sel de Paysan Breton

こういうコマーシャルは不快感を与えないと思うので、幾つも入れて宣伝してしまいました。このバターは日本には入っていないようなので、えこひいきにはならないだろうし。

ペイザン・ブルトン(ブルターニュの農民という意味)は、安いバターとしては悪くないと思っています。マーケティングが与えた影響かな。木枠でバターを固めたみたいになっているのも、なんだか本物のバターに見えてしまうわけで...。


バターに関するテレビのドキュメンタリー番組

このたびバターについて書いていて、質の良いバターと大量生産のバターが、どこから値段の違いを出しているテレビのドキュメンタリー番組を見つけました。興味深い内容だったので、1時間近いのですが埋め込んでおきます。2014年に放映されたようです。

質の良いバターは、前回の「ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた」で書いたボルディエ社のバター。

そして、大量生産している安いバターの代表は、上にコマーシャルが好きだと書いたペイザン・ブルトン社のバターです。


番組を眺めていたら、価格は差があるのですが、手間を考えれば大きな差があるのも当然かもしれないとも思えてきました。価格は、250グラムのパッケージとして計算しています。




番組では、バターを大量生産しているメーカーに取材を申し込んだらことごとく断られた中で受け入れてもらったのが、このペイザン・ブルトンだったそうです。消費者に見せられる程度には誠実に商品を作っていると自負しているから取材に応じたはずなので、もっといい加減に作っているところもあるのだろうと思います。


動画では、番組で見せることの紹介の後、ボルディエのバターづくりを見せ、それからペイザン・ブルトンがどのように作っているかを見せています。2つとも北仏ブルターニュ地方のメーカー。

さらに、ダイエットをしたい人向けのマーガリンや、マーガリンにバターを混ぜた商品の原料が何なのかを見せます。結局、上質のバターからランクを落としていくと、添加物が増えていくというのが見えます。

それから、イタリアでおこった、飛んでもない偽装バターのこと。ナポリのマフィアがからんだビジネスだったそうです。バターには脂質が必要なのですが、ミルクを使うと原価が高くなってしまう。それで、家畜の肉とか、何でも入れてしまってバターとして売っていた、という怖いお話し。もちろん、経営者は刑務所に入っていて、工場は閉鎖されているので、生産過程は見れません。

このショッキングな事実のショックは、最後にフランスの農家の手作りバターづくりを見せて和らげてくれていました。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5)


2つの番組の動画を入れたのですが、両方ともタイトルで「Le beurre et l'argent du beurre」という表現を使っていました。

バターとバターのお金。バターと、バターを売った時に得られる代金を並べています。つまり、その両方を持つことはできないという表現。

英語では You can't have your cake and eat it tooと言われるようです。ケーキを持ち出した方がピンときますが、フランス人にとってはバターが無い状態の方が困ったことになるわけでしょうか? ヨーロッパ諸国には、それぞれ違う言い回しがあるのだそう。日本語にも何かあったような気がしますが、浮かんできません。「蜂取らず」ではないし...。

フランス語の表現には「mettre du beurre dans les épinards(ほうれん草にバターを入れる)」というのもあります。ほうれん草にバターを入れると格段に美味しくなる。それが転じて、「事態を好転させる」という意味になります。

確かに、フランス料理にはバターが欠かせないですね。上に入れたドキュメンタリーに出ていた一流レストランでも、ふんだんにバターを使っている場面を見せていました。バターは料理の全面に出るものではないけれど、後ろでしっかり支える食材なのだそう。ボルディエのバターが無かったら、この味は出ないとまで言っていました。



ドキュメンタリー番組でボルディエ社でのバターの形づくりを見ていた後、自分の写真アルバムに入っていたレストランで出されたバターの写真を見たら、みんなそこのバターに見えてしまいました。

下に入れる2枚の写真は、ミシュラン1つ星のレストランで撮影していたものでした。




下も同じレストランで別の時に出されたバターなのですが、これがどこのバターなのかをコメントで教えていただきました♪ とすると、上のも同じメーカーだった可能性が高いですね。



このバターは、ボルディエと同じようにブルターニュ地方産。Le Ponclet(ル・ポンクレ)というメーカーでした。検索したら、これと同じロゴがバターに付いている画像がたくさん出てきたので間違いないですね。

生乳で作っているという貴重なバターで、これをご用達にしている一流シェフたちもいました。パリにいても容易には手に入らないのだそうです。それをブルゴーニュの小さな町で出されてしまったのだ...。

この次から、良いレストランで食事するときにはバターに注目しようと思いました。自分で買おうとするより、その方が良いバターに出会う機会は多いはず。レストランでは特別ルートで仕入れることができますから。

今回のバター・シリーズを書きながら、フランスには優れたバターが色々あるのを知りました。私は農家が生乳で作る手作りバターが美味しいくらいしか知らなかった!



このドキュメンタリー番組で知らなかったことを学んだので、続きで書きます。

 前の記事:
★ ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その2




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20

外部リンク:
ボルディエのバターを楽天市場で検索
フランスの高品質保証AOP/AOCを持つバターを楽天市場で検索
☆ YouTube: Bordier Butter with Chef Ludo Lefebvre
☆ Maison du lait: La filière laitière française en 50 chiffres 
Beurre salé ou demi-sel
Vouloir le beurre et l’argent du beurre en 8 langues différentes

【フランスの乳製品に関するフランスのドキュメンタリー】
Lactalis le lait le beurre et l'argent du beurre reportage censuré
 ※Wikipédia: Président (marque) ⇒ Lactalis
Le beurre et l'argent du beurre (France 5)
Programme TV & Replay: Le beurre et l'argent du beurre (Documentaire)


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