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2017/03/15
日本にいるときは、たまには牛肉も食べる、という程度の私です。牛肉は高いから買えないというだけではなくて、やたらに脂が多くて気持ち悪いというのも理由です。

日本には整形肉があると知ったことと、飛行機の中で退屈しのぎに見たビデオで、日本の乳牛は運動もできなくて四六時中食べているから霜降りになる、というドキュメンタリーの影響かもしれません。私が買える程度のお値段の牛肉だと、脂を食べているみたいで、牛肉本来の味がない...。

だいぶ前に、地元にある直売所で買ったという松坂牛をプレゼントされたときには、なんと美味しいのだろうと感激していたのですけれど...。

右に入れた松坂肉をフランス人に食べさせるために用意するとしたら、材料費は一人あたり2万円近くなってしまう。

フランスでは牛肉は贅沢品ではありません。私がフランスにいるときに食べる肉としては、牛肉が一番多いのは間違いないと思う。庶民的なレストランで簡単な食事をしようとするときも、不味くはないだろうと思える無難な料理は牛肉のステーキだと感じています。

それでも、食材として最も安い肉は、フランスでも豚肉なのかもしれない。安いランチメニューでは豚肉がメイン料理になっていることがよくあるし、B&B民宿での夕飯でも出してくることが多いからです。

豚も健康的に飼育されているとかなり美味しい肉になるのですが、どうしようもなく不味い豚肉もある。しかも、牛肉のようにただ焼いただけの豚のステーキというのは、硬くておいしくないことが多いように思います。


◆ 豚肉のコンフィ

レストランの平日ランチメニューのメイン料理が豚肉だったので、魚料理の方を選ぼうかなと迷ったことがありました。でも、豚にしておいて正解 ♪

こんなに美味しい豚肉料理をフランスで食べたことがない、と思ったものが出てきたのでした。



料理の名前は、こうなっていました:
Poitrine de porc confite, mirabelles rôties, lait de verveine

Poitrine de porcというのは、豚のバラ肉のこと。つまり、豚肉の中でも安い部位だったわけですが、柔らかくて、表面はパリっとしていて、ともかく美味しかった。

そう給仕長さんに言って、どういう風に調理したのか聞いてみたら、長い時間をかけて加熱したのだと答えられました。特別な調理器具があるとのこと。つまり、家では作れないという言い方で、「召し上がりたかったら、また来てください」と言われたのだけれど、このレストランはもうなくなってしまったのです。


ミラベル

豚のバラ肉のコンフィに添えてあったのは、ミラベル(mirabelle)と呼ぶプラムの一種でした。



この料理について書きかけて下書きフォルダに入っていたのを取り出したのですが、もう半年前に行ったレストランでした。秋だったので、そのシーズンの旬の果物が付け合わせになっていたわけです。

ミラベルは、ケーキで使うことがあるし、蒸留酒でも馴染みがあります。


ミラベルを料理でも使うのは思いついたことがありませんでした。フランスでは、豚肉料理にリンゴを付け合わせにすることがよくあるのですが、こういう果実の方がしゃれていますね。


食べた豚肉の柔らかさで、角煮や酢豚を思い出した

レストランで豚バラ肉のコンフィを食べたフランスの友人も美味しいと言っていたので、角煮も気に入ってもらえそうに思いました。いつか作ってみたいと思います。

フランス人のために日本料理を作ろうとするときには、どんな料理なのかを説明をして、食べてみたいかと聞くことにしています。食べてから不味かったとは言われたくないので。

でも、私が説明すると、みんな美味しそうには感じないみたい。オイルで揚げたとか、牛肉を煮たとかいうのは、それだけで不味そうなイメージを与えてしまうようなのです。相手が言うことを無視して作ってしまうと、意外性があって美味しかった、と言われることが多いのですけれど。

質の良いレストランにあるお品書きは、読んだだけで食欲をそそられます。コピーライターを雇っているわけでもないのでしょうが、お上手だなと感心します。

それで、私が日本料理を作るときも、説明を上手にする必要があるのだ、と思うようになりました。

レストランで美味しいと感激した豚肉のコンフィを食べた翌日、あの柔らかさは豚の角煮と同じではないかと思ったのでした。さもなければ、酢豚に入っている豚肉の感じ。


最近のフランスでは日本食ブームなので、豚の角煮などはレシピを紹介している人がいるはず。この料理をどういう風にフランス語で名前を付けているのか調べてみました。

「豚バラ肉のコンフィ、醤油風味」とか言っていたら、美味しそうではないですか?...

コンフィという美味しそうなイメージになるのですが、これは、肉の場合は油脂、果物の場合は砂糖を使って、低温で調理したものを指すようなのでした。

豚の角煮は、誰もが「ブレゼ(braisé)」という言葉を使っていました。フランス料理でブレゼという単語を使うときには、オーブンで時間をかけて加熱するのが一般的だと思いますが、角煮でも使って良いわけなのですね。

「醤油や砂糖を入れた水でコトコト煮た料理だ」というよりは、「豚肉のブレゼ」と言った方が食欲を誘うはず。豚の角煮を作るというときには、「poitrine de porc braisée à la japonaise」と言おうと思いました。

酢豚の方は「Porc sauce-aigre douce」という名前が出てきました。なるほどね。甘いというのを出さなければいけなにのだ。


レストランで出された料理のレシピを探す

レストランで出されたトロトロの豚バラ肉料理は、日本の豚肉料理にある触感がありました。フランス式にすると、どうやって作るのかなと思って、似たような料理のレシピを探してみました。

料理名にはなかったのですが、肉の表面にハチミツで照りを出していると感じたので、豚のバラ肉をハチミツを使って料理していることを条件に選びました。


その: La rien de moins que sublime poitrine de porc confite aux épices

私が食べた料理に近いと思ったのが、これでした。



800グラムのバラ肉をマリネするソースは、醤油 5cl、白ワイン 5cl、ハチミツ 大さじ3、生姜5センチの絞り汁、グリーン・カルダモン 小さじ1、ニンニク 2片(おろし汁)、バルサミコ酢 大さじ1で作り、70度で煮てから冷ます。

ソースをバラ肉にからめて、冷蔵庫で12時間寝かせる。

1回目の焼き: 鴨の脂、チキンかヴォーのフォン50cl、ニンニク3片、生姜 5センチ(薄い輪切り)、シトロネル1本(粗く刻む)に肉を入れ、オーブン160度で3時間焼く。30分ごとに、肉にソースをかける。

汁を取り出し、それに醤油 大さじ1、ハチミツ 大さじ1、ゴマ油 小さじ1、ピーナッツバター 大さじ1を加える。それを弱火にかけて煮つめる。肉にからめて、200度のオーブン10分焼く。

醤油や生姜を使って、なんだか日本料理風の味付けですね。


その: Cochon de 8 heures basse température, purée fine aux carottes, thym et orange

大変そうなレシピなので、作ってみようとは思いません。醤油、ハチミツ、ハーブなどを入れたソースに肉を染み込ませ、真空パックにして68度で8時間煮る。あるいは、オーブンを使って70度で8時間焼く(途中で何度もソースをかける)。

出来上がったら輪切りにして、フライパンで焦げ目をつける。


その: Poitrine de porc grillé au four

ソースをバラ肉にからめて、200度のオーブンで1時間焼いていました。

ソースに入れたのは、Viandoxという、私は聞いたことがない商品名。


ヴィアンドックスは、醤油や砂糖が入っているソースだそうです。豚かつソースのようなものなのかな。


その: Poitrine de porcelet confite et laquée au miel pimenté, poivrons grillés et crème fraîche

鴨脂で3時間の低温調理をしています。私が食べた料理と同じように「コンフィ」という料理名。

動画が付いたレシピなので分かりやすい。

ぎこちなく話しているように聞こえるので外国人かと思ったら、カナダのサイトなのでした。カナダのフランス語圏で話されるフランス語は、昔のフランスで使われている言葉が残っているのだそうですが、私にはいつも英語訛りに聞こえてしまう...。

つまり、英語が母国語の人が上手にフランス語を話している感じ。「お上手ですね」なんて言ってしまったら大変な失礼になるのだそうですが、それを私はカナダ人に言ってしまったことがありました。

美味しそうだなと眺めていたのですが、最後にハチミツ入りのソースを作るところで、コカ・コーラを入れているのでびっくり。

フランスのシェフでコーラを使う人がいるだろうか?... やはりカナダのフランス料理らしさがあるな、と感じました..。

そのコカ・コーラを入れたソースのことは「sauce BBQ」と書いてある。バーベキュー・ソースのことなのでした。

WikipediaにはSauce barbecueの項目ができていて、アメリカ南部で生まれて、フランスには1999年に入った、と書いてあります。

記事に書かれているの材料にはコカ・コーラは入っていないのですが、トマトベースで、ハチミツを使っているところでは共通していました。

商品化したものは、Hunt's(ハンツ)のバーベキューソースらしい。

このボトルは、日本の何処かで見たことがあったかもしれないという気もします。

アメリカ産の食品といったら、なんとなく私は食指が伸びませんけど...。

ハチミツを使っているところでレシピを選んだのですが、結局のところ、どのレシピでも醤油などエキゾチックなものをソースに使っていました。

トロりとしていて、甘辛い味にした豚肉。これは日本料理から得た発想ではないのかな?...


◆ 以前にも、驚くほどおいしい豚肉料理を食べていた

こんなに美味しい豚肉料理はフランスでは初めてではないかと思ったのですが、素晴らしい豚肉に出合ったことをブログに書いていたのを思い出しました。思い出してみると、こちらの方がすごかった。


★ イベリコ豚のプルマが、豚肉とは思えないほど美味しかった 2013/10/28

こちらの料理名では、醤油で味付けをしていて、ハチミツで照りを出していることが分かる書き方になっています。付け合わせはやはり果物で、メロンでした。

やはり豚肉は角煮風が美味しいのかな...。

ブログに書いておきながら、このレストランのことをすっかり忘れていました。初めて行った店だったのですが、料理も素晴らしかったうえにコストパフォーマンスも良いので気に入ったのです。

去年はまた近くまで行ったので、どこで食事をしようかとレストランを探したのですが、このレストランがあったのを思い出さなかったのは残念...。

でも、レストランの経営者が変わっておいしくなくなったとか、料金が高くなっていることもありうる。それで、調べてみたら、相変わらずミシュランのお勧めレストランになっているし、平日ランチメニューは私が行ったときより下がっていて、30ユーロになっているのでした。また近くまで行く機会があるかもしれないので、その時は思い出すことにします。




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2016/02/16
パリのベルシーにあったワイン市場(Entrepôt de Bercy)が生んだ料理「アントルコート・ベルシー(Entrecôte Bercy)」について前回書きました。

市場で働く人たちが、修理もできなくなった古い酒樽を燃して、アントルコート(肩ロース肉)をバーベキューして食べていたのがパリの郷土料理となっていたのです。

アントルコートと聞くと牛のステーキ肉を思い浮かべるのですが、彼らが食べていたのは馬肉のステーキだったのを知りました。

パリとワインの関係 (3): ベルシー地区にあった酒蔵
パリの郷土料理: アントルコート・ベルシー

今では売っているのも稀にしか見かけない馬肉。それを彼らが食べていたのには何か理由があったのだろうか?...

3年前には、牛肉を入れているはずだった加工食品に馬肉が混入していたというスキャンダルがあり、盛んに報道されていました。

イギリス人は馬肉は絶対に食べないそうで、大変なスキャンダルになったと言われました。フランスは多少は馬肉を食べるので、このスキャンダルは不法表示が大きな問題だったように思います。おかげで馬肉の存在を思い出したフランス人が食べてみたら美味しいので、馬肉の売り上げが少し上がったとも聞きました。



私はカエルやエスカルゴも好きなのでゲテモノ食いだと思うのですが、馬肉には抵抗を感じます。ペットにする動物を食べてしまうような気分になるからだろうと思います。

でも、フランスで馬肉を食べることについては少し興味もあったのです。

2年前にフランスの戦後の農業史についてブログで書いたとき、馬肉を食べる話しが出てきたからです。戦後のフランスではアメリカからトラクターが入ってきて、それが普及するのに伴って従来は農作業で使っていた作業馬がいらなくなったので食べてしまった、というお話し。

戦後に農業がどのように変わってきたかを見せるドキュメンタリーについて書いたのですが、こんな場面がありました:
  • 戦後、アメリカからトラクターが船で送られてくる
  • 屠畜場におくられた馬は200万頭
  • 町には馬肉専門店ができ、政府も馬肉の消費を奨励する
  • キリスト教の団体が、殺される馬に水をかけて最後の秘跡を授けている


フランスでは、1980年ころから馬肉をあまり食べなくなった

馬肉混入スキャンダルに関する記事に入っていたグラフがありました。過去40年間に馬肉を食べるのは5分の1になったとあります。


Viande chevaline : peu de contrôles et pas de traçabilité 11/02/2013


1980年代に入ってから、目だって馬肉の消費量が減少しているのがグラフに表れています。現在では、フランス人が食べる肉の中で、馬肉が占める割合は0.4%に過ぎないのだそう。

でも、これは1970年からの馬肉の消費を示しているだけ...。

馬肉の生産に関する報告レポートを農業省関係組織が作っていました。こちらには、1956年から2013年までのフランスにおける馬肉の消費を表したグラフが入っています。


La production de viande chevaline en France des années 1950 à aujourd'hui 


馬肉ステーキのレシピを誕生させたパリのベルシー地区にワイン市場が作られたのは1869年。その役割を終えて消えていこうとし始めたのは1960年に入ってから。1980年ころからベルシー地区の再開発が始まり、今ではワイン市場の一角が公園などとして残っているだけ。

戦前の馬肉の消費はグラフでは分からないのですが、少なくとも戦後、ベルシーのワイン市場で働く人たちが大勢いた時代には、馬肉がかなり消費されていた、というのと一致しますね。

名物料理になったアントルコート・ベルシーは、いらなくなった酒樽を燃したわけですから、酒樽が古くなってから食べるようになったはずですから、このグラフで消費量がピークになっていた時代に料理が生まれたのかもしれません。


馬肉を食べることが禁止されていた

ベルシーのワイン市場ができたのは1869年。それとほとんど同じ時期、1866年に馬肉を食べることが法律で認められたのだそうです。つまり、それまでは、馬肉を食べることは禁止されていた。

フランスで馬肉が食べられる歴史を書いたレポートがあったので、斜めに読んでみました。hippophagie(馬肉食)なんていう単語が存在するのですね。

馬ならchevalですが、競馬場はhipodromeだから「イポ」と馬は結びつきます。hippo-という接頭語は古代ギリシャ語で「馬」のこと。

イポという発音を聞いて思い出すのは、hippopotamus(カバ)。
とすると、カバって馬の種類だったの? という疑問を持ってしまったのですが、hippopotamusは古代ギリシャ語の ἱπποπόταμος(hippopótamos)から来ていて、これは「川の馬」という意味だったのだそう。気がつけば、日本語でも、カバは「河馬」と書くのでした...。


フランスがガリアと呼ばれた時代には、人々は馬を神への生贄にしたり、馬肉を食べていたと言われるのですが、キリスト教文化が入ってからは食べなくなっていました。

Image illustrative de l'article Grégoire III732年、ローマ教皇のグレゴリウス3世は、信者に馬肉を食べることを正式に禁止したそうです。

時代が下っても、宗教上の理由だけではなく、人々が馬肉を食べないことには背景があったようです。馬は、他の他の家畜とは違って、貴族にとっては気高い生き物であったこと。さらに、馬肉には衛生上の問題もあるとされていました。

それも18世紀末には崩れてきたようです。

ナポレオンの軍隊は戦場で馬を食べ、革命期には飢えをしのぐために食べられたりしていました。単に馬肉が好きな人たちもいたようで、闇で仕入れて食べているというルートはあったのでした。

気分的に馬肉は食べたくないとか、衛生上の問題があったという理由の他に、肉屋業界が馬肉を扱う不法な行商人を締め出す手段として利用するという圧力があった、という見方もありました。

政府は馬肉を食べることの禁止令を出していました。


フランスで馬肉を食べることが解禁されたのは1866年

馬肉を食べるのは禁止ですから、他の精肉のように衛生検査がなされない闇の馬肉が出回るという問題がありました。19世紀になると、馬肉を食肉の仲間に入れるようにと運動を起こす人たちが現れました。中でも、次の3人が歴史に残っています:
  • 医師 Alexandre Jean-Baptiste Parent-Duchâtelet (1790-1836)
  • 動物学者 Isidore Geoffroy Saint-Hilaire (1805-1861)
  • 軍の獣医 Émile Decroix (1821-1901)

1832年、食用にできない家畜の解体に関するパリ市の報告書の中では(食べられない家畜は肥料や工業用として利用される)、肉を食べられない貧しい人たちが馬肉を食べることを認めるべきだという言及もありました。馬肉食を認めれば、衛生検査をすることになるので、闇市場で不衛生な馬肉を売ることがなくなる。また、馬肉が商品化されるならば、年老いた馬をぞんざいに扱うことが減るはずだ、という主張。

それに賛同する趣旨で、動物愛護団体のSPA(Société Protectrice des Animaux)が創設されたのだそう(1845年)。 SPAは持ち主がいないペットを引き取って里親を探すなどの活動で知られています。全国的に存在する大きなボランティア団体なのですが、馬肉と関係していたとは全く知りませんでした。

馬肉には医学的にも体に良いのだと主張する医師もいました。それに、普通の食肉を食べられない人たちには、馬肉が栄養源を与える。

馬肉解禁に決定的な働きをしたのはÉmile Decroixだったようです。獣医として行ったアルジェで、彼は兵士たちに馬を食べさせる経験をし、フランスに戻ってから馬肉の有効性を訴えて運動を起こしていました。

1866年、馬肉を食べることがフランスで法的に認められます(Ordonnance le 9 juin 1866)。さっそくナンシー、すぐにパリに馬肉専門の精肉店が誕生しました。

それまでの馬は食べない習慣があったので、すぐに人々が馬肉を食べるようにはなりまんでした。フランスで馬肉を食べる習慣ができたきっかけは、1870年に勃発した普仏戦争。食糧難で食肉が不足したのでした。

その後は徐々に馬肉の消費は増えて、1911年にピークを迎える。

馬肉専門店があったのは都市部。特に、ノール・パ・ド・カレ地方(ベルギー寄りの工業地帯がある)、パリで目立ったとのこと。誰が馬肉を喜んで食べていたかというのには異論があったのですが、労働者、社会の中間層である商人や職人が中心だったようです。

フランスで最も多く馬肉が食べられたのは1900年から1960年にかけてだったそうです。

なるほど、ベルシーのワイン市場の全盛期に一致しますね。それと、戦後の農業の近代化で作業馬がつぶされた時期も入ってる。

その後は売られる馬肉は減っていって、1970年には、フランスで消費される食肉に占める馬肉の割合は2%(現在は0.04%)。


馬肉食は特殊...

肉屋の業界の中でも、伝統的な精肉店と馬肉を扱う店とが歴史的に対立した名残りがあるらしい。普通の食肉を扱う肉屋に馬肉の話しをすると、どこかしら馬肉を扱う肉屋に対する偏見を見せるのだそう。

馬肉をよく食べた時代があったとしても、やはり馬肉を食べることに抵抗を持つフランス人は多いようです。

肉屋で売られるときも、馬肉だということは余り感じさせないように売られている。ひき肉が多いのも、その証拠。

そう言われると確かに、そうですね。肉食の国なので平気らしく、牛の巨大な部分が店に吊り下がっているのが見えることがあるし、家畜の頭の部分がショーウインドーに並んでいたりもするのですが、そういう姿の馬は見たことがありません。

とは言っても、馬肉専門の肉屋には、蹄鉄と馬が付いているのがトレードマークになっているのなんかは、私はグロテスクだと思いますけど...。




devanture d'un magasin dont l'enseigne indique « Boucherie hippophagique »
Boucherie chevaline à Paris

フランスで馬肉を専門に売っている肉屋のことは、普通はchevalineと呼びます。普通の肉屋はboucherie。馬肉専門だとboucherie chevalineとなるので、略してchevaline。馬のchevalから来ている単語です。

上に入れたのはWikipediaでパリの店として入っていた画像なのですが、看板ではboucherie(肉屋)にphippophagique(馬肉食に関する)を付けています。難しそうな単語を使って馬だということを遠まわしに表現しているのかな?...

肉屋を表す単語にはcharcuterieというのもあります。こちらは豚肉と豚肉の加工品を売っている店。なぜboucherieと別の単語を作っているのか気になりますが、調べているときりがないので放棄。


馬肉専門店は減少して、2014年の時点では、フランスには750軒を数えるだけなのだそうです。ブルゴーニュ地方でも、最大都市のディジョンでは、朝市に1軒入っているだけになっているというニュースがありました。


蛇足:

パロコンの画面をスクロールさせながら、フランスで1866年に馬肉を食料とすることが認められるに至った話しを斜め読みにしていたら、Émile Decroixという人が目にとまりました。

この人の名前を見て、あれ?... と思ったのは私だけでしょうか?
私は、あのドラクロワ? と思ってしまったのです。

目にとまったのは、「彼がAlgerに滞在していたとき」、「馬を兵士たちに食べさせた」、「19世紀」 という文字。アルジェリアのアルジェ、馬...。

それで、こういう絵画が頭に浮かんできました。
アルジェの女たち
Les Femmes d'Alger dans leur appartement
(1834)
異端者とハッサンの戦い
Combat de Giaour et Hassan
(1826)

有名な「アルジェの女たち」を描いた画家。彼は騎馬の絵画もたくさん描いているではないですか? ドラクロワが馬肉食を広めたのだとしたら面白いと喜んでしまったのですが、私の完全な早とちり!

よく文字を見ればドラクロワのスペルではない。おまけに、ファーストネームはウジェーヌではなくて、この人はエミールだった...。

出来てきたのは、Émile Decroix(1821~1901年)

画家のドラクロワは、Eugène Delacroix(1798~1863年)。

単語の始まりと終わりだけ見ていて、真ん中は全く無視していたわけですね。

文字の一部を見て、それだと思ってしまう癖が私にはあります。車に乗っているとき、歩いているとき、店の看板や道路の名前を探していると、すぐに間違えます。親しい友達などは、私が「あった!♪」と言ったときには、まず関係がないものを見つけたのだろうと思うようになっています!

私の脳は、どこかに足りない部分があるのでしょうね。だから気をつけなければいけない、と自分に言い聞かせるのですが、この癖は、かなり注意していても早とちりしてしまいます!

ひところ、速読術とかいうのが流行っていました。本をパラパラとめくっただけで分厚い本に書いてあることを把握できる能力がもてはやされていました。あの人たちはどうやていたのだろう? 私などだったら、書いてあることの全く正反対をサマリーとして言ってしまうのではないかな?...

ブログ内リンク:
タルタルステーキ: (1) 馬肉 2013/07/21
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総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ

外部リンク:
L'hippophagie en France
La production de viande chevaline en France des années 1950 à aujourd'hui 
☆ Wikipédia: Hippophagie
Les boucheries chevalines
イギリス人はいつから馬肉を食べなくなったのか ~ Horsemeat scandal と関連して
フランスの動物保護協会「SPA」


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2016/02/14
つい最近までパリのベルシー地区にあったワイン市場のことについて前回に書きながら、市場がなくなろうとしている時期の映像を見ていたら、「Entrecôte Bercy(アントルコート・ベルシー」という言葉が何度も登場していました。

パリとワインの関係 (3): ベルシー地区にあった酒蔵

アントルコートと聞けば牛肉を連想するので、料理のことだとは想像できます。ベルシーのワイン市場で食べていた料理がパリの郷土料理の1つになっているのだそう。

どんな料理なのか調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その22

ベルシーのワイン市場で生まれた料理

40ヘクタールの広さがあったベルシーのワイン市場では、アルコール飲料をストックしていたのですが、ワインをブレンドして商品化することもしていて、大勢の人たちが働いていました。

修復ができないほど古くなった酒樽があるので、それを燃してバーベキューに使う習慣があり、それが「アントルコート・ベルシー(Entrecôte Bercy)」という名前の料理として広まったのだそうです。

ベルシーのワイン市場があった地域の再開発が始まった1980年の映像を入れます。百年以上の歴史がある市場を文化財として守らなければならないとして、再開発をどのようにすれば良いかの議論が盛んになされた時期でした。

始めのところで、アントルコートをバーベキューしている人が映し出されています。ワインの試飲をした後にステーキを食べる習慣があったのだそう。今でも金曜日にはアントルコートを食べるのだ、と言っていますね。


Reportage Bercy 1980年のニュース


アントルコートは何処にある?

Côtes et entrecôtesこの料理で使うのは「entrecôte(アントルコート)」と呼ぶ、肩ロース肉。

ベルシーにあったワイン市場の名前は「entrepôt de Bercy(アントルポ・ド・ベルシー)」。ベルシーの倉庫という意味です。

肉の方は「entrecôte(アントルコート)」。

「entre(アントル)」が同じだから、洒落てこの肉を食べるというわけでもないでしょうね?

ステーキ肉としては気どりのない部位と言えるかもしれません。カフェ・レストランでオーソドックスな料理として、アントルコートのステーキにフライド・ポテトというのがよくありますから。


肩ロースは、骨付きで切り出すとcôte de bœufと呼ばれる部分。それを肉屋さんでバーベキュー用に1枚切ってもらうと、1.5キロくらいの大きさになります。

entrecôte

Entrecôte charolais
côte de bœuf
côte de bœuf


数人でバーベキューをするなら、私は骨つき肉の方が好きです。でも、焼きあがってから骨を除いて切り分けなければならないので、ワイン市場で働く人たちが仕事の合間に食べるには向かないでしょうね。


本物のアントルコート・ベルシーEntrecôte Bercy)」とは?

ワインツーリズムの専門家が言っていた「本物の」アントルコート・ベルシーの特徴はこうでした。
  1. 馬肉を使う
  2. ソースは、白ワイン、エシャロット、レモンで作る
  3. パセリとクレソンを添える
  4. 修理できなくなった樽でつくる薪で肉を焼く

本来は馬肉のアントルコートだった点に興味をひかれました。今日のフランスでは、食べる食肉に占める馬肉の割合は0.4%程度に過ぎないのですが、ベルシーがワインビジネスで賑わっていたころには、もう少し多く食べていたようなのです。

フランスで馬肉を食べることが許されたのは1866年。最も多く馬肉が食べられた時期は1900年から1960年までだったそうです。しかも、田舎よりパリでの方が食べていた。

馬肉を食べる歴史については長くなるので別の記事にして書きます。


それから、本物というのはバーベキューのやり方にあります。ワイン市場だから使えなくなった古い酒樽があって、それを薪の代わりに燃してバーベキューにしていたわけです。

使い込んだ樽ならワインの香りがしみ込んでいて、その香りがステーキに移るのでしょう。美味しそう...。

剪定のために切り落としたブドウの木でバーベキューをすることもありますが(ボルドーではよくやるらしい)、それほど香りは出ないと思うのですが、ワイン樽だったらいいな...。

ソースのベースは、当然ながらワインですね。赤身の肉なのに白ワインを使うのが面白いと思いました。

昔のフランスで水替わりにワインを飲んでいた時代には、圧倒的に赤ワインを飲んでいたのだそう。とすると、売れ残った白ワインがあったから、それを使ったのではないか、などと思ってしまうのですが、私の当てずっぽうです。


ニュースに登場してアントルコート・ベルシーを懐かしそうに話していた人は、エシャロットの香りがあったのを強調していました。


ワインにエシャロットを入れて肉料理のソースにするものには、ソース・マルシャン・ド・ヴァン(sauce marchand de vin)があります。

こちらは赤ワインで作ります。

このソースの名前になっているマルシャン・ド・ヴァンというのは、普通に訳せばワイン商人なのです。

これもワイン市場と関係があるのではないかと思ってしまうところですが、この名前の由来については調べられませんでした。ボルドーのソースがこれになったということくらいしか出てきませんでした。

ソース・マルシャン・ド・ヴァンの作り方についてはブログですでに書いていました。

sauce marchand de vin
エシャロットを使うソース・マルシャン・ド・ヴァン 2009/03/30


白ワインで作るベルシー・ソースのレシピ

アントルコート・ベルシーと呼ぶ料理はソースにも特徴があるわけで、それはsauce Bercy(ベルシー・ソース)とも呼ばれていました。

日本のサイトにも登場するので、フランス料理のソースの1つとして知られている感じがします。

フランスのサイトではレシピがたくさん出てきたのですが、多少異なっていました。
基本的パターンは2つに分けられるように見えます。
  • フォンドヴォーを入れる
  • 生クリームかモワル(牛の骨髄)を入れてこってりとさせる
とろみがある方が良いのかもしれません。ちょっと邪道ではないかと思いましたが、コーンスターチでとろみをつけているレシピもありました。

http://www.cuisinealafrancaise.com/fr/recettes/viandes-et-volailles/boeuf/entrecote-bercy
Entrecôte Bercy - Recettes - Cuisine française


3種類のレシピをメモしておきます。全てバーベキューではなくて、フライパンで肉を焼いてしまうレシピだったので、肉の焼き方は省略します。


レシピ 1(2人前)
レシピ 2 (4人前)
  • アントルコート2枚
  • 白ワイン 15 cl
  • 濃厚な生クリーム 大さじ3
  • エシャロット 4個
  • レモン 1/2個
  • パセリ 1束
  • クレッソン 1束
  • バター 30 g
  • 塩、コショウ
  • アントルコート2枚(各480 g)
  • 白ワイン 20 cl
  • フォンドヴォー 1O cl
  • バター 40 g
  • エシャロット(大きなサイズ) 5個
  • 刻みパセリ 大さじ1
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 塩、コショウ

ソースの作り方:

鍋に白ワインとエシャロットのみじん切りを入れて中火で煮て、3/4にまで煮詰める。

生クリームを加え、塩コショウし、半分にまで煮詰める。

バターをレモンの絞り汁を加える。

軽く泡立て器でかき混ぜ、刻んだパセリを混ぜる。

焼いた肉にクレソンを添え、ソースは別にして好みの量を肉にかける。

ソースの作り方:

20グラムのバターを鍋にいれ、刻んだエシャロットを炒め、白ワインを入れ、半分にまで煮詰めてから塩コショウする。

フォンドヴォーを加えて、さらに10分間煮詰める。

15グラムのバターを加えてゆっくりとかき混ぜ、パセリを加える。

レシピ 3
(6人前)
  • アントルコート2枚(各500 g) 
  • エシャロット 3個
  • 白ワイン 1 dl
  • モワル(牛の骨髄)1個
  • みじん切りのパセリ
  • レモン汁
  • 塩、コショウ
  • バター 100 g



ソースの作り方:

塩を入れた水を沸騰させ、モワルを入れて20分煮る。

白ワインを強火で火にかけ、塩コショウし、エシャロットを煮る。5分たったら、レモン汁、刻んだパセリ、バターを少しずつ入れて強くかき混ぜる。

モワルを引き上げて中の髄を取り出し、ソースに混ぜる。



レシピとして見つかった動画はフォンドヴォーを入れるレシピでした。ニンニク(最後に取り出す)とタイムで香りづけしています。


sauce bercy


牛肉の髄骨でとろみを出すレシピは美味しそう。でも、l'os à moelle(ロス・ア・モワル)というのは店頭には余り並んでいないので入手しにくいと思います。ポトフを作るときには欲しいので、肉屋さんに言うと奥から出してきてくれるので、いつもあるものなのかもしれませんけれど。


牛の髄骨(os à moelle)の料理 2012/02/13


アントルコート専門レストランの秘密のソース

ベルシーのソースを探していたら、パリで話題になっているらしいアントルコートのステーキ専門のビストロについての記事が幾つか出てきました。創業1959年。その門外不出のソースに人気があって、いつもレストランの前には行列ができているのだそう。

1つの新聞記事に入っていたのは、このステーキ。

http://www.lefigaro.fr/sortir-paris/2010/11/02/03013-20101102ARTFIG00776-10-plats-addictifs-l-entrecote-frites-durelais-de-l-entrecote.php

10 plats addictifs : L'entrecôte-frites duRelais de l'Entrecôte

その長いこと厳格に守られていた幻のアントルコートの特性ソースをどうやって作るのか分かった!、という新聞記事がありました。

行く価値があるかなと思ったのですが、レストランのコメントを読むと酷評している人もいる。むしろ、貶している人の方が多く見える。パリだから繁盛しているレストランの典型に見えてきたので、行く気はなくなりました。ミシュランのサイトにも入っていましたが、お勧めマークは付いていないし...。

幻のソースの作り方が分かったという記事は10年近く前のものでした。その後、レストランの質が落ちたのかな?...

でも、そのソースの作り方をメモしておきます。私には意外なものを使っているので。

材料
  • 鶏のレバー
  • フレッシュなタイム、タイムの花
  • 液体状の生クリーム
  • ディジョンのマスタード(シンプルなタイプ)
  • バター
  • 塩、コショウ
  1. 鶏のレバーとタイムを弱火にかけて軽く色をつけるうける。
  2. 生クリームとマスタードを鍋に入れて弱火で煮詰め、タイムの花で香りをつける。固くなりすぎてしまった場合は、バターと水を加えてのばすこと。
  3. レバーをミキサーにかけ、シノワに移し、生クリーム加えてこす。
  4. 塩コショウで味を調える。

私でも作れそうなレシピですが、レバーをシノワでこすには力がいりそう...。

今でもビストロの前には行列ができているのでしょうか?

おしゃべりなオーナーの奥様に付き合ってあげなかったらお怒りをかって、もう二度と来るなと追い出されてしまったと長々と報告している人のコメントを読んだら、パリがつまったバターというのを思い出してしまった...。

パリが詰まったバターとは? 2013/05/28


ベルシーのワイン市場がなくなる時期の報道で、ベルシーのソースを語る人たちは懐かしさでいっぱいの表情をしていました。やはり、ベルシーのソースの方が美味しそうに思えてくる...。

これを書きながらフランスの馬肉食についての情報が出てきていたので、それをメモしました:
フランスにおける馬肉食の歴史 2016/02/16


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 その22  目次へ

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
タルタルステーキ: (1) 馬肉 2013/07/21
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ 歴史とレシピ: Entrecote Bercy
☆ レシピ: Entrecôte Bercy
Recette : Entrecôte Bercy de viande chevaline
☆ レシピ: Entrecotes sauce bercy
Recette : Entrecôte sauce Bercy
Recette entrecôte sauce bercy - Cuisine et Vins de France
☆ レシピ: Entrecôte sautée Bercy classique
若潮牛・ロースのポワレ ソース・ベルシー
Bercy, son entrecôte, ses marchands de vin, le « Paris de la Soif » à jamais englouti…. Est-ce là le goût, la couleur qu’il vous faut, ô ! Cher Client !
Spécialités culinaires de Paris
Spécialités régionales de Paris
Le secret de l'Entrecôte enfin dévoilé


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2015/08/12
夏、トマトのシーズンになると食べる惣菜があります。

トマト・ファルシTomates farcies

豚の挽肉とトマトいう安い食材で出来るし、作るのは簡単。

この料理に使う挽肉を売っているのです。大きなトマトの中をくり抜いて、豚の挽肉をぎっしり詰めて、オーブンで焼けば出来上がり。



ただし、人を招待したときのご馳走にはならないし、レストランで注文したくなるという料理でもありません。非常に家庭的な料理なのでしょうね。

トマトからは水分が出るので、それを吸収するために、底に米をいれておくと良いというアドバイスが気に入っています。



米はリゾットのように炊き上がるので、なかなか美味しいです。

たぶん、日本の米だと上手くいかないと思う。日本では外米は不味いと言われますが、料理の仕方が違うのですよね。

フランスでRiz cantonaisというのは、日本人には馴染みのあるチャーハンのことだと思う。それが好きだという友人がいたので、それなら私も作れると言って日本から持って来た米で作ったことがありました。そうしたら、中華料理店で食べるようにサラサラしていなくて、つまりベタベタしていて、全く美味しくないと貶されてしまった...。

トマト・ファルシの作り方をリンクしておきます:


一番目のはフランス人から教えてもらったレシピなのだそう。私が教えてもらったのもこういう簡単レシピでしたが、フランスではハーブなど色々入っているトマト・ファルシ用の豚の挽き肉が売られているので、それだけだと少し物足りないのではないかと思う。肉が固まってしまうのは好きではないので、私も玉ねぎのバター炒めを加えています。


テリーヌにしてしまう

トマト・ファルシは、フランスでは余りにもありふれた料理なのがつまらない。

バリエーションとして、トマトの代わりに、同じく夏の野菜であるズッキーニをくり抜いて作るというレシピもあります。でも、ズッキーニは小さいうちに食べた方が美味しいと思うので、ファルシができるほど大きなズッキーニで料理する気になりません。

それで、ロールキャベツにしてしまおうではないかと思いました。

でも、キャベツを茹でてみたら、うまく丸められない。それで、材料が同じなら同じ味になるのではないかと思って、テリーヌ型に入れて作ってみました。


ロールキャベツを作れないので、テリーヌにしてしまう 2013/07/25

これだと、形を整える必要はないので、挽き肉をサンドイッチのようにして、キャベツの他にズッキーニの薄切り、トマトなども入れることができます。

蓋をして焼くわけなので、オーブンの温度を低くしておけば、焦げてしまうこともないので便利。キャベツが余ったときなどに作るレパートリーになりました。


ブドウの葉を使う

家の外壁にブドウの木がつたっているのですが、実は感激するほどには美味しくないのです。でも、葉の方はとても美しいと思うので飾りによく使っています。どうせ食べきれないので、実がついている枝も惜しげなく切ってしまいます。

 

今年は、ブドウの葉を料理に使ってみようと思いつきました。ギリシャ料理にブドウの葉を使うものがあるので、食べても大丈夫なはずではないですか?

トマト・ファルシのレシピで、トマトの代わりにブドウの葉で包んで、それをグラタン皿にびっしり入れて、オーブンで焼いてみました。



くっついている部分は、ブドウの葉の緑色が残っているので色どりになりました。でも、少しトマトも入れたりした方が食慾がでる色合いになった、と反省。

ブドウの葉は、意外にも美味しく食べられてしまうのだと知りました。緑色が残っている部分はもちろん、焼けてパリパリになっている部分もOK。ほんのりとブドウの葉の風味がついていて、とても美味しく仕上がりました。ギリシャでブドウの葉を使った料理を食べたときには、美味しいとも思わなかったような記憶があるのですが。

なにしろ、ここはブルゴーニュ。ブドウの葉を使うと、なんとなく楽しくなる♪


トマト・ファルシにする挽き肉とは?

肉屋さんで売っている豚肉には2種類あります。


ロールキャベツを作れないので、テリーヌにしてしまう 2013/07/25

chair à saucisses(左)とfarce à tomates(右)。他にも呼び名があったような気がします。

この際、この2つの挽肉の違いは何処にあるのか調べてみました。

右のにトマトという文字があるので、トマト・ファルシにはこれを選ぶべきなのだろうと思っていたのですが、トマト・ファルシのレシピでは左のを使っているのもかなりありました。

左のはソーセージにする材料のはずで、豚肉と調味料でできている。右のは、牛肉やハーブなども入っているようです。トマト・ファルシのレシピで左のを使うときには、自分でハーブなどを色々入れるという形になっていました。

chair à saucisseとfarce à tomatesには厳格な決まりはなく、肉屋さんがオリジナルで作っているようです。

私がいつも買う農家直売ではfarce à tomatesは牛肉ではなくて鶏肉を混ぜているのだと言われました。どうりで、他の店のより軽くて食べやすい。考えてみたら、この農家では牛は飼っていなくて、豚の他に飼っているのは家禽類とヒツジなので、当然なのでした。


◆ レシピの改善を探す

トマトをくりぬいて、そこに山羊のチーズを詰めるというレシピがありました:
Tomates farcies au chèvre simplissimes minutes

ちらっと見て、それも面白いかと思って、小さ目のトマトで実験したら、失敗。

あとでレシピを見直したら、私は勘違いしていたのだと気がつきました。

トマト・ファルシとあるので、ひき肉の代わりに山羊のチーズを入れてオーブンで焼くのかと思ったら、ベビートマトに山羊のチーズを入れるだけという前菜なのでした。

焼いてしまうとトマトもチーズも溶けてしまうので美味しくない。

庭に小さな赤とオレンジ色のトマトがなりだしたので、改めてやり直してみました。

生のままで食べたら、さっぱりしていて美味しかったのです。

レシピでは、山羊のチーズに生クリームとハーブを入れて混ぜてからトマトに詰めるというものでした。私はブルゴーニュ南部のマコネ地域で作るfromage fort(フロマージュ・フォール)をそのまま使いました。これは、古くなった山羊のチーズを利用してブドウ収穫期に作り、春まで食べるという保存食のチーズ。

これはクリーム状のチーズなので、そのままトマトに入れれば良いわけです。いたって簡単にできてしまうのが気に入りました。

フランスではアペリティフにベビートマトを出す人がよくいますが、これにするとしゃれていて良いですね。


ブドウの葉を使ったファルシが気に入ったので、もっと美味しく作りたい。こういうのは他の人もやっているだろうと思って、レシピを探してみました。

フランス語でレシピとブドウの葉をキーワードにして画像検索

ブドウの葉の色が悪くておいしそうに見えないのです。

葉を茹でるか何かするのかなと思ってレシピを覗いてみたら、フランスではエスニックの食材を売っている店でブドウの葉も売っているらしいのでした。

塩漬けとか、オリーブオイル漬けにして保存しているのかな?...

商品を探し出してみたら、塩水に漬け込んでいるようです。

そうやるとブドウの葉が保存できるのかな?...


鴨のマグレをブドウの葉で包んで焼くというレシピが出てきました:
Un magret de canard cuit en feuille de vigne

ちょっと手が込んでいますが、おいしそう。いつかやってみたいな。ブドウの実も使うので、作れるのはもう少し先ですね。



ブログ内リンク:
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: ハム・ソーセージ類、豚について
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ Wikipedia: ファルス (料理) » Farce (cuisine) » Stuffing
Chair à saucisse


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2015/07/25
鴨肉は好きな食材です。朝市に出ている農家の直売で鴨を見たら、北京ダック風に料理してみたくなりました。

フランスにある中華料理店では、めったに北京ダックを作らないのです。

「Canard laqué」という料理は、どの中華レストランにもメニューに入っている感じがしますが、皮を別にして薄く焼いた小麦粉の皮で巻いて食べる北京ダックの料理ではないのです。

「北京(Pékin)」の文字を付けて、Canard laqué pékinoisCanard laqué de Pékinなどと書いてある料理でないと、私たちがイメージする北京ダックは出てきません。


フランスでも鴨肉が少し高級食材ではありますが、ご馳走を食べたいときだけに買うというほどのお値段ではありません。

従って、フランスで北京ダックを食べるのは、それほど贅沢な食事にはなりません。鴨肉の皮を食べて、肉の部分は炒め料理になって、骨はスープになって出てくるという具合。4人で分けて食べられる1羽をオーダーしただけでフルコースになるのですから、安上がりの食事にもなります。

北京ダックをフランスで食べまくってやろうと思った時期があったのですが、パリ市内か、パリに近い地域にあるレストランでないと北京ダックには出会えませんでした。

久しくパリには行っていないので、北京ダックも久しく食べていない。

それで、自分で作ってみたくなったのでした。

といっても、本格的な北京ダックを私が作れるはずはない。それ風の料理を作ってみるイメージを抱いただけのことです。


実験用に、鴨の骨付きもも肉を買う

丸ごとの鴨は大きいので、失敗したらもったいない。それで、家禽類を放し飼いで飼っている直売農家が売っていた骨付きのもも肉を1枚だけ買いました。

マグレの方が骨がないので扱いやすいと思ったのですが、1枚だけしか売れ残っていなくて、何となく色に元気がない。それで、骨付きもも肉にしたのです。

写真は撮っていないのですが、下のような肉です。

私が買ったのは、1枚でもかなり大きかったです。大食漢でなかったら、2人で1枚でも良いくらいの大きさ。


過去に作った北京ダック風

実は、以前にも簡単に北京ダック風に鴨を料理してみたことがありました。

鴨のマグレで北京ダック風を作ってみた
2013/03/18

フライパンで作る、皮パリパリ、北京ダック 」というレシピを参照。

皮をはがして焼きました。カオヤービンという小麦粉の皮まで作ったわりには感激するほど美味しくはなかった。

ブログに書いていたことを読んだら、もう二度とやってきたいとは思わないと書いていました。つまり、完全な失敗作!

ただし、レシピにあったカオヤ−ビンは簡単にできるのに、非常に美味しかったです。
 
蜂蜜を塗った鴨の北京ダック風丸焼
2013/03/19

こちらは、以前に鴨をオーブンで丸焼きにして、蜂蜜を塗ったことがあったということだけを書いた日記。

オーブンで焼いて、最後に蜂蜜で照りをだし、皮をはがしただけ。いたって簡単。これでカオヤービンも作って食べたら十分ではないかと思ったのでした。


鴨の骨付きもも肉で、北京ダック風ロースト

鴨肉を買ったものの、骨付きだとだめかと家に帰ってから気がついたので、北京ダック風は諦めて、普通にオーブンで焼いて食べようかと思いました。

でも、念のためにレシピを探してみたら、出てきたのです。日本人は北京ダックが好きなので、レシピは無限にあるように思いました。

今回、参考にしたレシピは、こちら:
シャラン鴨の北京ダック風ロースト - 鴨肉(カナール)レシピ

材料がフランスの鴨肉を使っているのも惹かれた理由。でも、シャラン鴨となっているので、私が買ったバルバリー鴨とどう違うのかが気になって、前回の日記で書きました:
シャラン鴨って、なに?

調べてみたら、シャランと呼ばれる鴨は謎に満ちていて面白かったです。


このレシピで料理した感想:
フランスで出す鴨肉料理とは少し味が変わっていて、なかなか美味しかったです。皮は北京ダックのようにはがさなかったので、フランス人に「Canard laqué(カナール・ラケ)です」と言って出したら通用してしまうのではないかと思ったほど。

レシピに書いてある材料には手元にないものがあった、次のように変えました。


レシピの材料代用した材料
骨付き鴨モモ肉
(シャラン種 冷凍)
4枚骨付き鴨モモ肉
(バルバリー種 生)

鴨肉をオーブンで焼くソース(180度、1時間)
500万年前の塩適量普通の塩
チキンストック、
またはダックストック   
600ccチキンストック
みかんの絞り汁2個分バルザミコ酢
赤ワイン
玉ねぎ中分の1新玉ねぎのスライス
鴨肉をオーブンで焼くソース(250度、30~40分)
水あめ大さじ2     蜂蜜、水、醤油を混ぜた
小さじ1
荷葉餅(10枚分)なし


チキンストックとして使ったのは、次のブログで書いたマジー社のチキンコンソメ。3つ星シェフが内緒で使っているというスープの素:
調理チームに入ってみないと、レストランの評価はできない 2014/12/05

煮込むにはワインを入れた方が美味しくなるのではないかと思って、飲み残しがあった赤ワインも少しチキンスープに入れました。

みかんの絞り汁というのはない。レモンだと強すぎてしまうのだろうと思って、かなりトロトロ状態で酸っぱくはないバルザミコ酢を使いました。

あらかじめチキンスープを少し入れて1時間も蒸し焼きにして大丈夫なのかと心配したのですが、骨からもスープが出て肉の味が良くなったのかもしれません。それに、食材を調達した直売農家では家禽類を放し飼いで飼っているので、肉そのものが美味しいのです。

蒸し焼きした後は冷蔵庫に寝かせておいて、翌日に強火のオープンで焼き上げました。

鴨肉の皮ははがさずに、肉を切って荷葉餅に巻いて食べるというレシピでした。私は荷葉餅を作らなかったので、レタスに鴨肉と野菜で巻いて食べました。野菜は、エシャロット(スライスして水にさらした)、それから庭に生えているセロリ、チャイブ、シソの葉も用意。

レタスで巻いて食べると脂身が消えし、フランス人にはエキゾチックなので、これでも充分ではないかと思いました。


写真を撮っておけば良かったな。皮はパリっとして、なかなか食慾をそそる出来栄えになったのです。

試食させたフランス人たちも美味しいと言っていたので、合格ではないかな...。

前日に下ごしらえしておけるので、人を招待したときには当日に仕上げをすれば良いだけ、というのも料理の手際が悪い私向きのレシピ。オーブンの中で焦げてしまわないかと注意していなければならないのは、せいぜい20分くらいなのも良い。

私のレパートリーに加えようかと思いました。でも、こういう肉を6枚くらい焼くのは、やはり失敗しないかと緊張してしまうでしょうから、何回か日常の料理として作って練習してみないといけない...。




ブログ内リンク:
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: フランスで北京ダックの食べ歩き
★ 目次: フランスで食べる鳥肉と卵(鶏、鴨、ウズラ、鳩、卵など)
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ


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2015/07/24
日本にいるとき、食材の種類が少なくてつまらないなと思うのは、肉類。特に寂しいのは家禽類。普通の店では鶏肉しか売っていないのですから。

フランスで普通に買える家禽類としては、ニワトリの他に、鴨(カナール)、ほろほろ鳥、七面鳥があり、これらは丸ごとでも、部位を選んででも買えます。小さいので丸ごとでしか売っていないのは、ウズラ、鳩。冬のジビエのシーズンには、野鳥もありますが。



矢印を入れたのはバルバリーという種類のカモ(Canard de Barbarie)。値段は1キロ9ユーロ弱と表示されていますが、これは2年前に撮影した写真です。

バルバリー種はフランスで食べる鴨の中では最もポピュラーな鴨の品種のようです。フランスで北京ダックを出す中華料理店では、大きな鴨なのでこれが北京ダックにするには最適なのだと言っていました。

先日、この写真を撮った直売農家が売っていた鴨を見たら、北京ダック風に料理をしてみたくなりました。失敗する可能性が大なので、実験用として骨付きもも肉を買いました。

インターネットで探し出したレシピで作ってみました。レシピにある材料で持っていないものは別のもので代用したのですが、なかなか美味しかったのでした。どういう風にしたかをブログにメモしておこうと思って書き始めたのですが、参考にしたレシピの材料にあった「シャラン鴨」というのにひっかかって調べだしてしまいました。

簡単に何なのかが分かると思ったのですが、そうではなかった。日本語情報でも、フランス語情報でも、はっきりしたことが出てこないので、手こずってしまいました。


シャラン鴨って、なに?

ロースト用の鴨肉(canard à rôtir)を食べることに関して、フランスは世界1なのだそう。これは国民1人に対する数の比較で、第2位は中国。フランス国内で食料される鴨は、年に85,000万羽。

家禽類業界の情報サイトでは、フランスで生産されているロースト用とフォアグラ用の鴨(カナール)としては、次の4つに代表させていました:

シャラン鴨というのは、フランスでも質が良いとして知られる「Canard de Challans(シャランの鴨)」で、この4つのカテゴリーでは「半分野生種」というのに入るのだろうと思います。

Challans(シャラン)というのは、ペイ・ド・ラ・ロワール地方ヴァンデ地域にある人口2万人くらいの町の名前です。そこが原産地として名前が付けられているのでしょうね。

この品種のカモ肉は食べたことはない気がします。遠くにある地域なので、ブルゴーニュではめったに売っていないのではないかという気がします。私は近郊の農家の直売を買いますので、いくらシャランの鴨が美味しいと言われても、食べてみたいと思ったことはありませんでした。

このcanard(カナール、鴨)が何なのか、容易に調べられないのです。Wikipediaのフランス語ページには鴨の品種一覧があり(Liste des races de canards)、そこにフランスの鴨として「Challans(シャラン)」が入っているのですが、ページが作られていない。これだけ有名なのに、記載がないのは奇妙ではないですか?

シャランの鴨のことを検索していると、「canard de Challans(シャランの鴨)」という呼び名の他に、「canard challandais(シャラン地域の鴨)」というのも出てきました。この2つの呼び名には区別する基準があるのだろうか?、というのがまず始めのつまずき...。


ビュルゴーのシャラン鴨

日本のサイトでは、「シャラン鴨」を販売している人や、グルメ情報を出しているサイトでさかんに紹介していました。

Canard de Challansとcanard challandaisとの違いを書いている日本語のグルメ情報もあったのですが、スペルを間違っているのは無視しても、なんとなく腑に落ちないことが書いてあるので信じられない...。

日本語の方がななめ読みができるので楽なのですが、仕方なしにフランス語情報に戻りました。

日本で言われる「シャラン鴨」がもてはやされているのは、パリのど真ん中にある3つ星レストランとして名をはせていたトゥール・ダルジャン(現在は1つ星)の名物料理が、番号を付けた鴨料理で、その食材がシャラン鴨だったのが原因なのだろう、と思いました。

トゥール・ダルジャンにシャラン鴨を提供しているのは、Burgaud(ビュルゴー)社なのだそうです。

この会社を紹介していう記事を見たら、全く食慾をそそられない建物の写真しか入っていないので、なに、これ? と思いました。

どういう風に育てているかが食肉の味を決めるのに...。この写真を見たら、ブロイラーの飼育農家かと思ってしまうではないですか?!



雇用者は13人で、業績も上々ということで、施設を拡張したという2012年のニュースでした。

家族経営の小さな会社らしいのに、週に鴨肉を3,000羽を商品化していて、クリスマスから正月にかけてはもっと多い量をさばく、というのも奇妙。

...と思ったら、ビュルゴー社は、契約している数軒の飼育農家の鴨肉を畜殺して販売している会社らしいのでした。特殊技術で鴨を処理する技術があることで知られ、この地域の鴨を世界的に有名にした会社だそう。

イエローページの情報では、シャラン市にある企業で、業種は家禽類とジビエの畜殺場となっています。販売しているのは、家禽類、canards challandais(シャラン地域の鴨)、canards au sang(放血していない鴨)。

つまり、ビュルゴーの鴨というのは、信頼できる原料と処理方法で商品化されるブランド名と受け取れば良いのだろうと思いました。

日本は大きなお得意さんだそうです。私は、鴨は日本ではめったに食べられないと思っていましたのですけど...。

でも、楽天市場で検索してみたら、フランス産の鴨肉はかなりの数がヒットしました。ビュルゴー社に絞ってもかなり残るので、日本にたくさん輸出されているというのは本当らしい。

フランス産 鴨肉を楽天市場で検索

少なくともビュルゴー社が売っている鴨は、日本で「シャラン鴨」としているのは間違いなさそう。でも、2つの点で混乱するのです。


Canard au sangって、なに?

ビュルゴー社が売っている鴨は2種類ありましたが、特別なのはcanards au sang(放血していない鴨)。

「canards au sang」というのは、辞書を引くと料理の名前となっているのですが、それができる鴨を売っているということなのでしょうね。この会社では、首の後ろから針を刺して鴨を仮死状態にさせて、血を抜かないで殺す方法(エトフェ)をしているそうです。

小規模で鶏を飼っている農家の民宿に泊まったとき、変な道具があるので何なのか聞いたら、一瞬に感電死させるような道具でした。ニワトリが苦しまないようにフランスでは義務付けられていて、特別な技術を持つ免許がないと、それ以外の方法を使ってはいけないのだと説明されました。

日本で売っている「シャラン鴨」の説明では、ビュルゴー社が「エトフェ」をしていると書いてあることが多いようです。

鴨肉の種類に関するネットショップ情報

その方法ができる会社であることは確かですが、販売項目としてcanard challandais(シャラン地域の鴨肉)とcanard au sang(放血していない鴨)とに分けているのですから、販売する鴨の全てをエトフェをしていないのではないかと思うのですが、どうなのでしょう?

ウサギ肉もエトフェするのが美味しいとされています。ウサギの生血をボトルに入れて付けてくれる直売農家もあるのですが、血は全く日持ちはしません。血が残っている生肉を日本にまで輸送したら危険ではないですか? ビュルゴー社では冷凍技術もあるそうなので、エトフェの肉は冷凍で輸出するのかな?... 分からない。


canards au sang」という料理では、右のような特別の圧縮機を使って、鴨の血液をソースのつなぎとして煮汁にかけるのだそう。

19世紀半ばにトゥール・ダルジャンで考え出された有名な鴨料理ですが、そこに行かなくても食べられるレストランがあるようです。

ルーアン市(ノルマンディー地方)のレストランで「Canard au sang」のデモンストレーションしている動画がありました。


Miam ! Le canard au sang

こんなに手間をかけて作るとしたら、お料理の値段が高くても納得してしまうかもしれない...。

このレストランで、この料理が出たという詳しい報告もありました:
【とっておきのヨーロッパだより】鴨のちょっぴり美味しい話・・・かも!?

Canard de Rouenルーアン市にあるレストランなので、シャラン鴨(Canard de Challans)ではなくて、地元のルーアン鴨Canard de Rouenを使っているそうです。

Wikipediaの記事「Canard au sang」では、この料理を作るにはルーアン鴨が望ましいと書いてあったのですが、そこに根拠を書くようにという指示が付いていたの面白かった。地元の人が書き込んだのかな...。

日本にはルーアンの鴨は入ってきていないように感じました。食肉の輸入は規制が厳しいからか、ルーアン鴨の生産量が少ないからなのか?...

疑問が多くなると混乱するだけなので、ルーアン鴨の方は飛び去っていただきます。


Canard de ChallansとCanard challandais。両方ともシャラン鴨?

ビュルゴー社が売っている鴨では、もう1つ、「canard challandais(シャラン地域の鴨)」がありました。この呼び名だと、その地域で飼育されている鴨で、品種には関係がないのかもしれないという気もする。

「Canard de Challans(シャランの鴨)」とは違うのだろうか?... 日本で言う「シャラン鴨」とは、どっちのこと?

トゥール・ダルジャンでは、この地方の鴨を仕入れて料理に出し、鴨にナンバーを付けていますが、その番号は2003年に100万に達したのだそう。レストランのサイトでは、出す鴨のことを「canard challandais」と呼んでいました。

Canard de Challansとcanard challandaisは、区別されていないのではないかな、という気がしてきました。政府認定の高品質食材の保証マーク「ラベル・ルージュ」を持った鴨もあるのですが、AOC/AOPほどには厳しい規制がある品質保証ではないので、よく分かりません。


Canard de Challans(シャランの鴨)」は、昔は「canard nantais(ナント地域の鴨)」とも呼ばれていた品種の名前なのは確かなようです。飼育の歴史は17世紀にさかのぼる、というのが有名な話し。

Canard de Challansという品種の鴨は、こういう姿なのだそうです。


CRAPAL - Site officiel - CANARD DE CHALLANS

右に写っている頭が緑色のがオス。お隣がメス。野生の鴨と飼育鴨の掛け合わせで生まれた品種だそうで、雄の頭が緑色なのは、フランスでよく見かける野生の鴨「Canard colvert(マガモ)」を思わせます。

「canard de Challans」をキーワードにして画像検索すると、こちらのエコミュージアムのサイト情報でも、こちらのサイトでも、同じ姿の画像を入れているので、確かなことだろうと思います。

メスの方は、さっきのルーアン鴨に似た色をしていますね。

ところが、奇妙...。

このCanard de Challans(シャランの鴨)は、1960年代まではブルターニュ地方やヴァンデ地方で野外で飼育されていた鴨であるが、農業の近代経営によって、ほとんど消えてしまった品種だ、と書いてあるのです。

シャラン鴨は日本にも輸出されているくらい流通しているのですから、変ではないですか?

「Canard de Challansをご存知ですか?」と題したページが出てきました。

http://www.laradiodugout.fr/dossiers/2014/08/visite-gourmande-en-vendee/3/
Visite Gourmande en Vendée | La Radio du Goût

このページでは、「Canard de Challans」は、1650年ころに作られた品種の鴨。昔は「canard nantais(カナール・ナンテ)」と呼ばれていたのは、この鴨がシャランで飼われていて、ナント地域の業者がパリに運んだから、などと説明しています。なので、同じシャランの鴨の話しだと思えます。

でも、上に写真を入れた「Canard de Challans」とは違う品種ではないように見えます。みんな真っ白ですから!

「Canard de Challans」を飼育している農家の動画があったので眺めました。


Histoires de Vendée : Le canard de Challans

鴨の赤ちゃんが野外に出るまで、暖かい小屋で6週間過ごすと言っています。その後に放し飼いにされた鴨が登場するのですが、やはり黒い帽子をかぶった白い鴨...。


北京ダック?!

別にシャラン鴨を食べたいわけではないので、これがどんな鴨なのかを突き止めようとするのは放棄しようと思ったとき、地元新聞の記事を見つけて謎が解けました。

現在のCanard de Challansは、その名前で呼ばれていた昔の品種とは同じではない。まず、見た目が全く違うと書いてありました。「本物の」という後にcanard challandaisという言葉を使って、それとは違うのだ、と記述されていました。つまり、Canard de Challansとcanard challandaisという2つの呼び名は同じということなのでしょうね。

こんにち市販されている「Canard de Challans(シャランの鴨)」は、Canard de Pékin(北京の鴨)とのハイブリッドになっているのだそう。

なるほど、北京の鴨は白いのでした。

昔の品種を飼育している人は、現在では地元でも数人しかいないとのこと。

そういう希少価値がある鴨なら食べてみたいな...。でも、ブルゴーニュの農家が育てている鴨も充分に美味しいので、それ以上のがあるかと疑うけれど...。


北京ダックでしたか。

どうでも良いことを調べまくってしまったのですが、北京ダックもどきを作ろうと思って書きだしていたのだから奇妙な偶然の結末...。

脱線は終わりにして、もともと書きたかった北京ダックもどきの料理を作ったことを書きました:
鴨の骨付きもも肉で北京ダック風ローストを作ってみた



追記 (2016年1月):

別の記事に対して入れてくださったコメントにあった情報から、日本で使われている「シャラン鴨」という単語は、「canard challandais」に対する訳語らしいと分かりました。


ところで、「canard de Challans(シャランの鴨)」と「canard challandais(シャラン地域の鴨)」の違いとは何かばかりを書いてしまったのですが、書き忘れていたことがあります。

この地域で生産される鴨は、条件が合えば与えられる国家が認めた品質保証マークがあります。

Logo IGP
まず、生産地域を限定して与えられる保護地理的表示のIGP(Indication géographique protégée)。

これはEU連盟の品質保証マーク。

Volailles de Challans(シャランの家禽類)の名で、鶏、鴨、七面鳥、ほろほろ鳥、ウズラなどの家禽類に対して与えられます。

「シャロンの家禽類」としてIGPマークを付けて販売することができるのは、301のコミューン(市町村)で生産された鶏や鴨などの家禽類に限ります。


Label Rougeそれから、シャラン地域の家禽類について認められているラベル・ルージュ(農作物・農産加工食品に与えられる国家品質保証マーク)。

こちらは、家禽類の品種や飼育方法などを規定しています。

ラベル・ルージュを持つCanard de Challans(シャランの鴨)としては、Canard fermier(オス鴨)、canette fermière(メス鴨)があります。

シャランの鴨(カナール、カネット)にラベル・ルージュが与えられたのは1985年。
この認可を得ている生産者数は150ほどあるとのこと。

ラベル・ルージュ付き「シャランの鴨」に対する主な規定
  • 鴨の品種は、白と黒のバルバリー種に限る
  • 伝統的な飼育法をされていること
  • 飼育地域は、ロワール河から流れる水がある数10キロに限定された沼地
  • 主な食べ物は穀物類だが、自然の中で放し飼いにされるので昆虫などでも栄養が補われる
  • 動物性の脂や粉末を与えることは禁止
  • 74日間は水辺で生活させること。飼育期間は最低で雄は84日間、雌は74日間。
  • 飼育地の広さは、鴨1羽あたり2.5m²以上
フランスで最も厳しい品質保証ラベルはAOC/AOPです。それに比べるとラベル・ルージュはかなり緩やかな規制です。例えば、AOC/AOPを持つブレス産の家禽類には気が遠くなるほどたくさんの規制があります。

飼育環境について例を挙げて比較すると、AOC/AOPブレス若鳥の場合は1羽につき10m²以上、ラベル・ルージュの鳥肉では1羽につき2m²以上(放し飼いと表示する場合は4m²以上)と差があります。ちなみに、日本の「地鶏」のJAS規格は、1m²に10羽以下!

シャランにAOC/AOPの鴨肉がない限り、ラベル・ルージュを持つものが最も優れているのではないかと思いますよね。でも、そのラベルを持つためには、鴨はバルバリー種でなければならないことになります。昔から珍重されていたけれど、今では絶滅の危機にさらされていて入手が非常に困難な「本物」のCanard de Challans(シャランの鴨)は、ラベル・ルージュのレッテルを付けて売るわけにはいかないことになります。食通の人たちは、ちゃんと分かっているから問題ないのでしょうね。



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トゥール・ダルジャン名物の鴨料理 2006/02/24
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2014/01/12
家禽類が私の好物です。フランスで食用にされるトリには色々な種類があるので、日本に帰ってくると、それが一番つまらない...。

ニワトリにしても、性別、育て方、年齢によって色々な種類があります。その他、、鴨(アヒル)、ガチョウ、ホロホロ鳥、ハト、ウズラ、七面鳥。

これらの食材は、普通に手に入ります。それほど普及はしていなけれど、鳥の肉としてはダチョウもあります。それから、狩猟シーズンに登場するジビエの野鳥たちもある...。


七面鳥

とり肉が好きと言っても、好きなのは大きさからいってガチョウどまり。七面鳥を食べたいという気持ちになることは、まずありません。

丸ごと買うのを原則にしているので、やたらに大きい七面鳥を見ると食欲がわいてこないというせいもあるはず。

Wild turkey eastern us Large White turkey female

自分で七面鳥を買うことがないので、出会うのは安い料理のときです。こういうのはコストを安くしている料理なので、当然ながら、美味しくない。 二度と食べたくないと思ってしまう、パサパサのもあります。

七面鳥には安いトリ肉だというイメージが私はできてしまっていまっているために、食指が動かないのだろうと思います。それで、フランスで出会う家禽類の中では、私にとって七面鳥は最も縁が薄いトリ肉の部類に入ります。

ほとんど何も知らない七面鳥について、少し調べてみたくなりました。

日本で七面鳥を売っているのを見かけたことはないのですが、ちゃんとネット販売はされていました。

右に入れたのはアメリカ産の丸焼きで、重量6キロ、焼き上がり4.5~5キロなのだそう。

ショップの説明を見ると、1羽で12~14人分とありました。

これはかなり大きいのでしょうね。フランスのレシピの材料をみたら、3キロの七面鳥をローストにするというのが多かったです。それで8人分。


クリスマスには七面鳥を食べる?

七面鳥が気になったのは、前回の日記「日本の人気クリスマス料理はファーストフード?!」を書きながら出てくる日本語のページを読んでいたら、欧米のクリスマスでは七面鳥を食べるものだ、と断定していたからでした。

日本ではクリスマスにはケンタッキーのフライドチキンに人気があると発見したことを書いたのですが、KFCがクリスマスと結びつけて宣伝するようになった1974年。七面鳥を入手しにくい日本にいる外国人たちがクリスマスに鶏肉を食べているのを見て、アイディアを思いついたのだそうです。

今日のフランスで、クリスマスには七面鳥を食べることにしている家庭は、どのくらいの割合なのだろうか? レシピを探すとたくさん出てくるので、昔の伝統を守っている家が多いらしいとは想像できます。

でも、私がクリスマスの食事に招待されたとき、七面鳥の丸焼きを出されたことがないのです。クリスマスイブというのは家族だけで過ごすのが普通で、他人を呼ぶとしても家族のように親しい人だけ。なので、色々な家庭のクリスマス料理を味わっていないため、一般的な事情については判断できません。



年配の友人たちは、「子どものときにはクリスマスには必ず七面鳥を食べた」と語ります。七面鳥に栗を詰め込んだ丸焼き料理「Dinde (farcie) aux marrons」で、これがフランスの伝統的なクリスマス料理の定番なのだそう。

でも、思い出話をする友人たちは、美味しくて嬉しかったという顔をしては語らないのです。

七面鳥をほおばって、さらに付け合せの栗を食べて、窒息しそうなくらいお腹が膨らんだ、という話し。

つまりは、むしろ恨みの料理みたいな言い方をしています。

Dinde de Noël en Aveyron右に入れたのは、Wikipediaの「クリスマスの七面鳥(Dinde de Noël)」という項目に入っていた写真です。

普通の七面鳥はここまでは大きくはないと思うのですが、ガチョウよりも大きいので、子どもが10人くらいいた昔の家族が集まってご馳走として食べるとなったら、向いている食材です。

大家族では七面鳥1羽でも足りないので、付け合せをお腹が膨らむ栗にする、というお母さんのテクニックではないでしょうか?

こういうお腹が膨れるクリスマス料理はフランス人に定着したイメージのようで、フランスの人気歌手Renaud(ルノー)の歌の中にも、栗詰めの七面鳥のクリスマス料理と窒息を結びつけていました。これが面白かったのですが、書きだすと脱線が長くなってしまうので、次回の日記でご紹介しようと思います。


フランスにおける七面鳥の歴史

クリスマスに七面鳥を食べる風習は、いつできたのか?

クリスマスのご馳走として、家禽類、特にガチョウを食べる風習が昔からあったのだそう。

16世紀後半、スペイン人が新大陸からヨーロッパに七面鳥を持ち込み、珍しい食材ということで、フランスでもご馳走の食材となったそうです。

メソアメリカでは紀元前1300年頃から七面鳥が飼育されていたとのこと。新大陸を発見したコロンブスは第1回目の旅行で七面鳥に出会い「羊毛のような羽を持った大きな雌鶏」と表現していたそうです。

アメリカ大陸から来たと聞くと納得できることがありました。七面鳥はフランス語では「dinde」なのですが、「インド」を連想させる言葉なのです。アメリカ大陸を発見したコロンブスは、始めはインドだと思ったと言われます。だから、原住民がインデァンと呼ばれる。

だから七面鳥も、フランスに入ったときは「インドの鶏(poules d'Inde、coq d’Inde、poule d’Inde)」と呼ばれたのだそう。「インドの」というところだけ残って「ダンド」となったのですか。ただし、学名はgallopavo

でも、不思議なことに、英語では七面鳥はターキー(turkey)ではないですか?  なぜ「トルコ」が登場するかは色々な説があるのでしょうが、フランス情報では英語圏の国々にはトルコ経由で七面鳥が入ったのからと説明されていました。日本のサイト「語源由来辞典」では、そうではないと言っていますが(ターキーの語源・由来)。

フランスに入った七面鳥は直ちに気に入られたようです。フランソワ・ラブレー(François Rabelais)の『ガルガンチュワ物語(1534年)』には、「poulles d'Inde(インドの雌鶏)」として七面鳥が登場しています。

大きいので丸焼きにするのは難しいため、詰め物をする(ファルシー)レシピが普及します。肉そのものには味があまりないので、調理人の腕によるところが多かったのでした。

でも、飼育可能な七面鳥は確保できる食材としての価値は大きかった。数カ月前の日記に書いたように、フランスで肉牛の飼育が本格的になったのは、たかが17世紀でした。
これは「雄牛御殿」と呼べる城? 2013/09/07

野生動物を食べることが多かったわけで、 それでは食糧難の時期があったはず。

始めは珍しい動物だし、肥えさせるためにはコストもかかるので、七面鳥は非常に高価な食材でした。食べられる貴族やブルジョワ階級でないと食べられなかったのですが、時代とともに手頃な値段になっていきます。

1538年には、七面鳥1羽の価格は雌鶏8羽分を上回っていました。1711年には、2羽分までに下がっています。

19世紀になると、クリスマスに食べる詰め物の七面鳥になり、20世紀になると庶民の口にも入るようになる。さらに、集中飼育法が開発されて、さらに丸ごとではなく部分で売るようにもなり、安価な食材になってきたのでした。


七面鳥といっても色々...

七面鳥の飼育はアメリカで最も盛んですが、フランスは世界で2番目の生産量になるのだそう(年間生産量は625,000トン)。

こうなると集中飼育されている七面鳥が多いというでしょうから、不味いのと美味しいのの差が大きいのだと思います。中には、七面鳥って、こんなに美味しかったのかと驚くものに出会うこともあるのです。

クリスマス前の七面鳥市の動画がありました。百年の歴史を持つFoire aux dindesだそうです:


Pour Noël: choisir sa dinde vivante

買いに来たマダムたちが、生産者を知っているから美味しいと分かるのだ、と言っていますね。

最後に食事会の料理を作っている場面が出てきますが、これは美味しそう。キャベツをチキンスープで煮込んで、生クリームもたっぷり入れています。七面鳥は、農家が手塩をかけて飼育したものであることのほかに、いかにパサパサにしないように仕上げるかも腕のみせどころなのです。

栗を詰める伝統的な七面鳥料理でも、美味しそうに見えたレシピは、栗のほかに色々なものを詰めて丸焼きにしていました。3~4キロの七面鳥に、栗1.5キロ。それだけではなくて、レバー、子羊肉、豚肉、ベーコン、さらにトリュフまで入れて詰め物を作っています。かなり手がこんだ料理。

やはり、七面鳥を買って、自分で料理してみようという気にはなりませんでした...。

 シリーズ記事: ご馳走料理 vs 日常の食事


ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記
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外部リンク:
Histoire de la dinde
Pas de Noël sans une dinde !
「日本ケンタッキー・フライド・チキン編」クリスマスにはチキン~外食企業が創り出した日本文化~
☆ レシピ: Dinde de noël farcie aux marrons


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2013/10/28
前回の日記に書いたレストランで定日ランチメニューをとったのですが、メイン料理のチョイスとして「La Pluma」というのがありました。

文字を眺めてみだだけでは、肉だか魚だかも分らない。注文をとりにきた人に聞いてみると、豚肉だと言われました。なあんだ、豚肉料理かと思ってしまったので、その他に料理の説明をしてくれたのかも知れないけれど無視してしまいました。

豚肉は安いために庶民的な素材なので、こういうしゃれたレストランで出すことは少ないのです。でも、他に気に入った料理がなかったので、この豚肉料理をとりました。

それに、少し前にテレビで豚の飼育のルポルタージュがあって、集中飼育されている豚が身動きもできないような小屋で飼育されているのを見てショックを受けていたのです。さすがフランスの番組なので、酷い例はイタリアのを出していましたが。最後にフランスの例として、3DKマンション風の贅沢な小屋で暮らす豚の家族とか、完全に外で放し飼いにされている豚たちが出てきたので救われましたけど。

面白いのですよね、どういう生活をしているかによって、豚の表情が全く違うのです。身動きもできないようなところで暮らしていると、本当に卑しい顔をしていました。自由に暮らしている豚の方は、本当に良い顔をしている。

牛の方は、豚のように閉じ込められて育つのは見たことがないので、そちらの方が食べたくなります。思えば、豚の加工食品はよく食べるけれど、豚肉というのは家でもあまり食べていません。


ところが、このLa Plumaという料理を食べてみたら、豚肉とは思えないほど美味しいので驚きました。



ここまでは、前回の日記で書いていました:
新しく見つけたレストランが気に入った 2013/10/27

こんなに美味しい豚肉を食べたのは生まれて初めて!

小屋の中に閉じ込めないで育てた豚は、普通のと比べてダントツに美味しいのはフランスで実感していました。でも、この肉はさらに、その上をいっている。

美味しすぎる。豚肉とは思えない...。

牛肉のサーロインステーキのように柔らかいのだけれど、牛肉の味ではない。普通の豚とも違う...。

出された料理では、表面を少し蜂蜜で甘味をつけていていました。味付けが良いのはもちろんなのだけれど、肉自体が美味しいのだと思う。

La Plumaというのに、何か意味があるのでは? 気になったので調べてみました。


プルマって、なに?

フランス語の検索エンジンにかけると、「イベリアのpluma」を使ったレシピが幾つも出てきました。ようやく、plumaが何であるかを書いているページに到達。

豚といっても、放し飼いで飼育されることで知られるイベリコ豚に限定されるように思いました。その豚の、肩甲骨の先にある部位だと説明されています。

イベリコ豚1頭約160Kgから、180グラムくらいのplumaが2枚とれるだけなのだそう。

plumaというのはスペイン語で、羽か羽ペンのことらしい。
フランス語でも、羽はplumeなので、似ています。

羽のような形をした小さな部分ということのようです。

フランス情報では、スペイン人は賢くて、豚の美味しい部分にplumaなんていう部位名をつけて高価な食材にしている、と書いている人がいました。

フランスで豚を解体するときには、plumaと言う部分を切り分けないので、存在しないのだそう。フランスではonglethampeと呼ぶ部分に似た味と表現されていました。

場所が大事なのだ、と分かりました。

としたら、日本で「豚トロ」と呼ぶ部分なのではないかな?... でも、私が過去に食べた豚トロより遥かに美味しかったです。料理の仕方も影響していたでしょうけど。

イベリコ豚の部位の呼び名を示す図が見つかりました。フランスのサイトに入っていたのですが、これは スペイン語でしょうね。



plumaは、前足の付け根の上にある肩の部分でした。

とすると、豚トロとは違いますね。豚トロは、豚の頬とか、首の部分とか説明されているので。


フランスでの部位の呼び方も入れておきます:

http://www.leporc.com/tout-est-bon-dans-le-cochon/morceaux.html
Les différentes morceaux du porc - Leporc.com, échine, poitrine, lard, jambon


日本でも売っていた

日本は何でもある国なので、ひょっとしたら売っているかも知れないと思って探してみました。そうしたら、やっぱり、plumaは「プルマ」ないし「プルーマ」と呼んで売っている!

プルマを楽天市場で検索


右に入れた肉の塊は「アイボーン」と書いてあるのですが、イベリコ豚のプルマ角切りなのだそう。左の赤肉の部分がプルマなのではないでしょうか?

日本のネットショップの情報は非常に詳しいです。

プルマというのは「翼」と説明しているところがありました。天使の翼の生え際みたいな部分にあるからプルマ。フランス情報では「羽」だったのですが、翼と言った方が美しいですね。

日本の豚にはない部分だ、と書いてありました。それはフランスでも同じ。つまり、そういう切り分け方をしないから存在しない、ということでしょうね。

プルマが日本でよく知られているとは思わないけれど、豚トロのように珍重されてブームになったら、日本の豚でもプルマを切り出すのでは? 日本ならやりそうな気がする。

日本で売っているならと、フランスでプルマを売っているのかと調べたら、冷凍ものをネットショップでは扱っていました。豚肉にしては高いけれど、牛のヒレ肉よりは安いのだそう。お値段は、日本で買うのと同じくらいの値段をつけているのが多いように見えました。さすがにスペインはお隣りの国なので、少し安いのもあったけれど。

でも、フランスは宅急便が全く発達していないし、ましてやクール宅急便なんてあるのかどうか分らない。冷凍が解けた状態で届く、なんてことも覚悟しなければならないでしょうから、フランスのネットショップで買う気にはなりません。パリの高級食料品なんかだったら、置いていそうな気もするけどな...。


 パリ近郊の旅: 

  新しく見つけたレストランが気に入った旅行記目次 




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外部リンク:
Connaissez-vous la pluma ?
La Pluma Ibérique !!! Vous l’aimez comment : à la plancha bien évidemment!
豚トロってどこの部分?


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2013/09/09

シリーズ記事目次 【美味しい食べ物を探した旅行 2013/8】 目次へ
シャロレー牛肉: その3


シャロレーと呼ぶ品種の肉牛はブルゴーニュが原産地なので、ブルゴーニュにいると最も親しい牛です。牧場でもよく見ますし、食べるときもこの品種が多いのです。

ブルゴーニュ南部にシャロレーという地域があるので、そこが原産地なのだとは知っていました。でも、これだけ親しみがある牛でありながら、知らないことがあったのを最近になって発見しました。


最高のシャロレー牛はブリヨネ地域で育った雄牛

シャロレー(Charolais)という地域は、シャロル町(Charolles)の周辺地域を指します。シャロル町がシャロレー牛の中心地なので、シャロルの町には、シャロレー種牛の飼育に関係している人たちが建てた施設Maison du Charolais(シャロレー館)があり、シャロレー牛の博物館、研究所、レストランが入っています。

ブルゴーニュ南部のソーヌ・エ・ロワール県には、昔からの名前で呼ばれる幾つかの地域があり、その中にシャロレー地域があるのですが、その隣りにブリヨネ地域(Brionnais)があります。

シャロレーの産地と言えばシャロレー地域と連想するのですが、実は、ブリヨネ地域の牧場の方が肉牛の飼育に適しているのだそう。

それを初めて教えてもらったのは、昨年のことでした:
牛を飼っていた農家のご主人は、モミの木とシダが嫌いだった 2011/06/04

シャロレー地域でシャロレー牛を飼育していた農家では、牛に子どもを産ませてブリヨネ地域に売り、ブリヨネ地域の牧場で育てて肉牛となる、と言っていました。自分のところの牛は「プチ・シャロレー牛」と呼んでいました。

シャブリも、一番下のランクはプチ・シャブリと呼ばれるので、それと同じような名前なのでしょうけれど、シャロレー牛に「プチ」なんてつけるのは初めて聞きました。関係者だけが使っている言葉なのでしょう。

牛の赤ちゃんを売るのでは大した儲けがでないのかもしれないな、と思う家でした。それに比べて、今回の旅行で見学したブリヨネ地域の牛飼育農家は大儲けして立派な民家だったのでした。

それを書いた日記:
これは「雄牛御殿」と呼べる城?  2013/09/07

これで、上質のシャロレー牛の産地はブリヨネ地域なんだと再認識したわけです。


サン・クリストフ・アン・ブリヨネ村の牛市

思い出せば、ブリヨネ地域がシャロレー牛の売買で巨額の富を得ていた、という話しは以前にも聞いたことがあったのでした。Saint-Christophe-en-Brionnais(サン・クリストフ・アン・ブリヨネ村)で週に1回行われる牛の市を見学したときのこと。

市がないときに行くと、広い市場だけが目立つ閑散とした農村なのですが、市が開かれる日は大変な賑わい。

Marché aux boeufs (Saint-Christophe-en-Brionnais, France)

Mur d'argent de Saint-Christophe-en-Brionnais1488年から開かれているという、歴史がある牛の市です。

いまでも黒いうわっぱりを着て、木の棒を持った人たちがやっているので、見応えのある市です。ガイドの案内付きでも見学できます(有料)。

売り手と買い手が金のやり取りをするMur d'argent (貨幣の壁)と呼ぶ石壁があって、昔はそれをテーブル代わりに使って、そこに紙幣をのせて巨額の取引きが飛び交ったのだそう。

朝早くから取引が始まって、朝食を食べることの時間になると、みんなが市の近くに何軒かあるカフェ・レストランで食事をします。

もちろん、大きな牛肉のステーキを食べるのが伝統。素朴な料理なのですが、肉の美味しいこと。牛肉にはこだわりがある人たちが集まるのだから、へた肉は出せないのでしょうね。

一度などは、隣りのテーブルにいた常連さんが「ここはポトフがおいしいんですよ」と言うものだから、一緒に行った仲間のうちの元気な2人は、ステーキを食べ終わったら、またまたボリュームのあるポトフを食べていました。

近くの老人ホームに入っているというお爺さん2人と、隣り合わせになったこともありました。市があるときはホームを抜け出してくるのが日課なのだそう。大きなステーキを平らげてから、「医者からいけないと言われているのだけれど」と言いながら、デザートを食べると言います。

何かと思ったら、店の人に言って、食器棚の引き出しから食べかけの板チョコを出してもらっている。毎週来るので、普通ではレストランなんかには置かないチョコエーとを引き出しに入れてもらっているのでした。

嬉しそうに食べている2人。こういうアトラクションがある地域の老人ホームもいいな、と思いました。

久しくサン・クリストフの牛市に行っていなかったので、今回の旅行で市に行きたかったのですが、市が開かれる水曜日には日程があわなくて行けませんでした。


土壌が違う

それでも、ブリヨネ地域に宿泊したので、朝に散歩して牧場を眺めてみました。見慣れた地域とは違うように見える。



何が違うって、土が湿っているのです。牧草がよく育つでしょうね。

泊まった家の庭にも湧水が出るそうで、大きな石のフォンテーヌがありました。アルプスの山の中でよくあるような湧水。ここは山岳地帯でもないのですけれど、地下水がよほど豊富なのでしょうね。

私が住んでいるところや、ブドウ畑が広がる地域は石灰質で、水はけは非常に良いのです。これだけ土地が違うものなのだな... と感心しました。

となると、シャロレーの牛肉を買うときには、ブリヨネ地域で育ったものを買いたいと思うわけですが、簡単にはできません。ブリヨネ地域がどこなのか、地元の人でもない限り、はっきりとは認識していないだろうと思うのです。

しっかりした肉屋で買い物するなら、牛がどこから来ているか聞けます。でも、村の名前で言われてしまう。

例えば、前回の日記「最高のシャロレー牛肉を生産地で買う」で書いたシャロル町の肉屋でお勘定をするときに思いついて聞いてみたら、Ozolles村だと返事されました。シャロル町から10キロくらい南にある村。となると、おそらくシャロレー地域ではないですか。ブリヨネのを買いたいと思ったのに!

でも、地元で評判の肉屋なので、質の良い肉を入れているはず。地域の名前による区分が牧場の質を決めているわけでもないと思う。それに、肉屋では日によって買い付けをしている農家も変わっているはず。

どうしてもブリヨネ地域で育った牛を買いたいとこだわるなら、ブリヨネ地域で牛を生産して直売をしている農家を探すしかないかと思いました。それでインターネットで直売農家を探してみたのですが、住所は確認できるものの、ブリヨネ地域なのかシャロレー地域なのかを特定するには時間がかかりすぎるのでやめました。

情報によると、シャロレー地域とブリヨネ地域は、泥灰岩(粘土と炭酸塩成分からなる)あるいは粘土の地層からできているのだそう。2つの地域の違いを詳しく分析した報告書も見つかったのですが、そんな長い文献を読む気にもならない...。


ややっこしすぎる...

シャロレーの牛は私には馴染みがある牛なのですが、考えてみると、複雑で分らなくなることが色々あります。どなたも興味深いとは思わないでしょうけれど、自分の頭の中を整理するために書いてみます。

牛の品種名

食肉になる白い牛は、日本で通用している呼び名に合わせて「シャロレー牛」と書いているのですが、フランス語での品種名はla charolaise(ラ・シャロレーズ)。女性名詞の冠詞として「ラ」が付きます。

英語の品種名はCharolais cattleで、シャロレーなのですね。日本語で「シャロレー牛」と呼ばれるのは、英語から来ているのかもしれない。

ただし、フランス語でも、シャロレーの雄牛はbœuf charolais(シャロレー雄牛)と呼ばれる。シャロレー牛の食肉なら、 viande Charolaise。でも、フランス語では名詞の性によって冠詞が変わるのだから気にしない。

AOCのシャロレー牛の名称

シャロレーの牛肉の中には、生産地の特定や飼育法など、厳しい規格に従って生産される食品にだけ与えられる品質保障AOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)を獲得しているものがあります。

シャロレー牛のAOC名は、
Bœuf de Charollesシャロル牛) 。

bœuf とはオス牛を特定するときに使う単語でもあるのですが、雄牛とイコールとできるわけではないのでした。

AOCシャロル牛として認められるのは、次の3種類でした:
 ・28カ月以内の未経産雌牛(génisse)
 ・8年以内の雌牛(vache)
 ・30カ月以内の雄牛(bœuf)

としたら、名称にbœufという単語を使うのは紛らわしいではないですか? 調べてみる前の私は、AOCのラベルを持つ牛肉とは、肉牛用に飼育されたオス牛だと思っていました。

ちなみに、フランスで消費される牛肉の大半はメスの肉なのだそう。フランスで消費される牛肉は年間160万トンで、そのうちメスの肉が79%で、オスの肉は21%となっていました(2012年)。

Charolles(シャロル)というのは町の名前ですが、その町の中で育てられている牛に特定している名称ではありません。シャロレーやシャロレーズというのは、牛の品種名で、世界各地で飼育されている牛なわけです。それをAOCの名称に使うことはできなかったので、「シャロル」にしたのだろうと思います。

でも、この牛肉はシャロレーないしシャロレーズという名称で知られているのですから、AOCの呼称で「シャロルの」としたら別の牛のことかと思ってしまうではないですか?

AOCの名称にシャロルの文字があるので、シャロル町の周辺が生産地だろうと想像するわけですが、限定されている生産地は、ソーヌ・エ・ロワール県のシャロレー・ブリオネ地域とはされていません。

AOCシャロルの雄牛(Bœuf de Charolles)というラベルを付けることができる生産地は、ソーヌ・エ・ロワール県(Saône-et-Loire)の牧場が広がるたくさんの村々を中心にして、そこに隣接する地域に少し広がっている感じです。

書きながら見た段階でのWikipediaの情報では、シャロレー・ブリヨネ地域には隣接しないブルゴーニュ地方のコート・ドール県とヨーヌ県も入れているのですが、政府のサイトやAOCシャロル牛のサイトの情報の方が正しいはずです(認定産地の一覧は最後にいれる情報を参照)。

ブルゴーニュだけではなくて、ローヌ・アルプ地方のロワール県(Loire)と、1村だけですがローヌ県(Rhône)も認定生産地域に入っていました。シャロレー・ブリヨネ地域の西に隣接するオーヴェルニュ地方のアリエ県(Allier)で飼育されるシャロレー牛にも定評があるのですが、AOCシャロル牛には入っていませんでした。

☆ Wikipedia: フランスの県区分地図

ちなみに、シャロレー牛を飼育している人たちがAOC獲得に動き出したのは1993年で、AOCを獲得したのは2001年。まだ10年くらいの歴史しかないのですから、シャロル牛というのはそれほど知られていない名称だと思います。生産者も、味ににこだわる消費者も、それほどAOCシャロル牛かどうかは気にしていない感じがします。美味しければ良いのですから。

シャロレー地域とブリヨネ地域

シャロレー牛の発祥の地として知られているのは、ブルゴーニュ地方南部にあるソーヌ・エ・ロワール県にあるCharolais(シャロレー地域)。Charolles(シャロル)という名の小さな町(人口3,000人弱)の周辺地域です。

ソーヌ・エ・ロワールの南部、ブルゴーニュといえどもブドウ畑などはない地域には、牧草地が広がるシャロレー地域(Charolais)とブリオネ地域(Brionnais)があるのですが、ブリヨネ地域というのは知名度が低いので、まとめてシャロレー地域と呼んでしまうことが多いのです。

ブリヨネ地域(Brionnais)と呼ばれるのはBriant(ブリアン村)から来ているのですが、これは現在の人口は250人にも満たない、ほとんど知られていない村です。

実際には、ブリヨネ地域は家畜の飼育に適した土壌なので、質の高いシャロレー牛はブリヨネ地域で育てられます。シャロレー地域の畜産農家は産ませた子牛を売り、それをブリヨネ地域で育てることが多いようです。それで最高品質のシャロレー牛肉になる。

それなら、ブリヨネ地域にある農家で育てられたシャロレーの牛肉を入手したいと思うわけですが、シャロレー地域とブリヨネ地域は隣接しているので、境界線がどこにあるのか分からない。歴史的に存在したこれらの地域は、現在ではシャロレー・ブリヨネの里(Pays Charolais Brionnaisとして一緒に地域開発されているので、境界線をはっきりと示す地図を見つけることができませんでした。

ただし、地名に「en Brionnais」と付いている町村の場合は、ブリヨネ地域にあるのだろうと容易に想像できます。例えば、今でも週に1回、生きたシャロレー牛が取引される大きな市が開かれるSaint-Christophe-en-Brionnais(サン・クリストフ・アン・ブリヨネ村)。見事なロマネスク教会があり、フランスの最も美しい村協会に入っているSemur-en-Brionnais(スミュール・アン・ブリヨネ村)など。

売っている牛の品種名を明記している場合は、シャロレーズないしシャロレーで、いくら品質が良くても「ブリヨネの牛肉」として売ることはまずないと思います。だから、ブリヨネ地域はシャロレーという名に負けてしまっている...。

シャロレー地域原産の家畜の名称

牛の品種名がla charolaise(ラ・シャロレーズ)と女性形なら、他のシャロレー地域を原産とする家畜の名前も叙英形なのかと思うと、男性形もあります。さらに、シャロレー地域のと特定する場合、普通はCharolais(女性形ならCharolaise)と綴るのですが、Charollaisと、L(エル)を2つにした綴りも存在します。

羊の品種名は、エルが2つの男性形で、le charollais(mouton charollaisとも呼ぶ) 。

※ 最近の日記で、シャロレー羊を見たので写真を入れています:
  ★ 穀倉地帯にある町で行われた農業祭り 2013/08/30

ニワトリの品種名もエルが二つですが、女性形で、La charollaise(poule charollaiseとも呼ぶ)。

牛以外は全てエルが2つかと思うと、そうでもない。

昔の品種の馬は、エルが1つの男性系で、le charolais

ちなみに、AOCも獲得している山羊のチーズは、エルが1つの男性系で、Le charolais

シャロレーないしシャロレーズを綴るときにL(エル)が1つか2つかというのは、フランス人にとっても曖昧なように感じます。シャロレー牛を売る大手企業の名前をインターネットで検索してみたら、エルの数が1つだったり、2つだったりしてヒットしてきましたので。



シャロレー牛のAOC「シャロルの雄牛」のコマーシャル・ビデオ:





ブログ内リンク:
★ 目次: シャロレー種の牛について書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ Wikipédia: Charolaise
La Maison du Charolais
☆ フランス官報:
Décret n° 2010-1033 du 31 août 2010 relatif à l'appellation d'origine contrôlée « Bœuf de Charolles »
CAHIER DES CHARGES DE L'APPELLATION D'ORIGINE BOEUF DE CHAROLLES
☆ Wikipédia:
Bœuf de Charolles
☆ alliances.coop:
Le Bœuf de Charolles (démarche AOC)
☆ 仏農水省 :
Le boeuf de Charolles AOC
☆ ソーヌ・エ・ロワール県の地域区分地図:
Sortir Saône-et-Loire
☆ Wikipédia:
Brionnais
☆ Wikipédia:
Briant (Saône-et-Loire)
☆ Définition géologique du terroir :
Exemple de l'AOC "Bœuf de Charolles" et du Brionnais (Sud de la Saône et Loire)
Marché aux bestiaux à Saint-Christophe-en-Brionnais
☆ Institut de l'élevage:
Chiffres clés 2012 des productions bovines
☆ Le Monde:
La viande de bœuf dans votre assiette ? De la vieille vache...
☆ Wikipédia: Brionnais
Le Brionnais de site en site - Histoire et Généalogie


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2013/09/08

シリーズ記事目次 【美味しい食べ物を探した旅行 2013/8】 目次へ
シャロレー牛肉: その2


フランスで食べる牛肉には色々な品種があります。でも、ここブルゴーニュでよく食べるのは、やはりブルゴーニュ原産のシャロレーと呼ばれる白い牛。



世界各地で飼育されている品種のようですが、ブルゴーニュ地方の牧場で見かけるのは、圧倒的にシャロレー種が多いです。

でも、最近になって気がついたのは、シャロレー牛といっても、味には格段の差があること。日本の肉は脂身が多くて、フランスのは少ない。それで、下手すると日本の肉の方が軟らかくて美味しいと思ってしまうことがあります。

でも、シャロレー牛の原産地で食べる牛肉は柔らかくて、全然違うのです。フランス人は、ナイフを使わなくても、肉が「フォークで切れてしまう」という言い方をするのですが、最高の部分だと、まさにその通り。

地元では、どんなにつまらないレストランで食べても、めちゃめちゃに美味しい。同じブルゴーニュの中でも、隣の県で食べるのとは全く違うと感じる肉。

輸送するうちに味が落ちるというのもあるでしょうけれど、本場の上質のシャロレー牛肉は地元で消化されてしまって、外にはあまり出ないのではないかな?...

少し前から、なにがどう違うのか、気になってきていたのですが、かなり事情が見えてきました。


美味しいシャロレーの牛肉を買いたい

先日の日記「3日間連続でランチメニューを食べ比べ: その2」で書いたレストランは、シャロレー牛のメッカであるシャロル町にありました。

シャロレー牛の料理を2種類味わって、やはり地元の肉は軟らかくて美味しい。 それで、レストランご推薦の店で牛肉を買に行くことにしました。



見ているだけで食欲をそそられる肉がずらりと並んでいました。圧倒的に多いのは、豚や羊より、やはり牛肉。この地方の人たちは牛肉を普通に食べるのでしょうね。

2週間くらい冷蔵庫で保存できる真空パックにしてくれて、運搬用に氷もくれるというので、色々な牛肉の部分を買いました。

暑かったのですが、車のクーラーの中で牛肉は無事に旅をしてくれました。1週間か2週間は、最高品質の牛肉を食べるぞ~とはりきる。ところが、週末、ふらりとやって来た友達夫婦がいたので、予定は大変更。

フランス人が(ブルゴーニュでは、と特定する必要があるのかもしれないけれど)ふらりと友人宅を訪れるのは、食事の支度を始める少し前。つまり、食前酒タイムに行きます。

昼食の準備を始めていたところでした。ありあわせのものでオツマミを幾つか作って、シャンパンなどの食前酒を飲んでいたのですが、彼らは帰る気配がない。こういう場合には「おいとましなきゃ」と言うのは礼儀なので、彼らも繰り返し言うのですが、立ちあがらない!

なので、こういうときは、いつもそうなように、「食べていらしゃいな」ということになりました。

こういう不意の来客には慣れています。持ち合わせていたクルマエビとイカで、フランス風と、日本風の前菜を作る。

その後は、皆で切り分けて食べるほどの大きな肉はなかったので、買った肉の中で、それぞれが食べたいものを食べることにしました。

ご主人の方は大食漢なのを知っていたので、長さ30センチくらいで、700グラムくらいあるアントル・コート(肩ロース肉)を彼のためにステーキ。

驚いたのは、奥さんの食欲でした。私と肉を切り分けて食べるのもどうかと思ったので、アレニエという、牛に2つの部分しかない、牛トロとも呼べる大きな肉を出したのですが、ぺろりと平らげてしまったのです。

というわけで、1週間は食べ続けて楽しもうと思っていた牛肉の多くが消え去ってしまいました。この前に、買ったローストビーフの部分をカルパッチョにして2回食べていて良かった。感激するくらい美味しかったのです!

肉を買った店の壁には、大量に買う人のためのパッケージの宣伝がでてきました。その中で、最も上質の部分を組み合わせたのが、こちら  ↓



色々な牛肉料理に使う肉の11キロのセット。1キロあたりの単価は10.15ユーロと表示されていました。100グラムあたり140円弱。フランスで宅急便が発達していたら、こういうのを冷蔵便で取り寄せたりできるのにな...。


日本では本物のシャロレー牛は食べられないの?

ブルゴーニュにいると、品質が高いとして売られている牛肉はシャロレー(品種名はCharolaise)で、店によってはリムーザン(品種名はLimousine)を扱っているところもある、という感じです。

日本ではシャロレーの牛肉なんて全く知られていないだろうなと思って検索してみたら、それを出すレストランがあるらしいのでびっくりしました。
☆ 食べログ: 全国のシャロレー牛に関連するお店を探す

それなら売っているのかと調べてみたら、不思議なことにほとんどない!
シャロレーの牛肉を楽天市場で検索

しかも、故郷ブルゴーニュはおろか、フランスで育ったシャロレー牛は皆無! オーストリア産ばかりでした。

そうなると、なぜ?、と気になる! 説明しているショップがありました。
「残念ながらフランスからの輸入が出来ない状況下、オーストラリアから輸入されました」

日本のレストランで食べられるというシャロレー牛も、フランス産ではないのではないでしょうか?...  飛行機で旅行するときは、食肉の持ち込みに関して日本は厳しいからな...。

フランスからはいっさい生肉を輸入していないのかを確認してみました。
フランス産の牛肉を楽天市場で検索

すると、フランス産の牛肉も少しは売られているのでした。
例えば、こちら →

気になったので調べてみたら、答えが出てきました。

牛海綿状脳症の発生にともなって、2001年から、フランスを含むヨーロッパ連合諸国(EU)からの日本への牛肉の輸出は禁止されていたのでした。それが、今年、日本当局は2013年2月1日付で、30カ月齢以下のフランス産牛肉に対し輸入解禁をしたのだそうです。

となると、ブルゴーニュで育ったシャロレーも日本市場に出るようになったか、これから出るのかなのでしょうね。

気がついたのは、レストラン情報では「シャロレー牛」として、どこで育ったかを無視しているのですが、ネットショップでは正直に「シャッロレー種の牛肉」と書いていました。


最高のシャロレー牛とは?

シャロレー牛肉はシャロレー地域が本場です。でも、最高のシャロレー牛は、同じブルゴーニュ地方のソーヌ・エ・ロワール県内でも、シャロレー地域に隣接するブリヨネ地域で育った雄牛なのだそうです。

前回の日記「これは「雄牛御殿」と呼べる城?」で書いた城では、シャロレーとブリヨネを一緒にはできないと言われました。

この2つの地域は隣り合わせているのですが、ブリヨネの牧場の質が断然に良いのだそう。 でも、歴史的には区分されていたシャロレー地域とブリヨネ地域は、今は一緒に地域開発しているので、地元にでもいないとどこが境界線なのか分らない。

フランスで肉を売っているときは、牛の品種名が書いてあったとしても、シャロレーズないしシャロレーと表示されていて、シャロレーとブリヨネの区別はしていません。

そのほかにも、シャロレーという言葉には不思議なことがあります。この際、少し調べてみたのですが、長くなるので続きは次回に書きます:
シャロレー牛の産地にあるシャロレー地域とブリヨネ地域

ブログ内リンク:
★ 目次: 肉牛(シャロレー種など)、牛肉など牛に関する話題

外部リンク:
☆ 辻調おいしいネット: 白い牛! "シャロレー牛"を求めて
☆ フランス大使館: 日本がフランス産牛肉を2013年2月1日付で輸入解禁


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2013/07/22
前回の日記で友人が作った馬肉のタルタルソースについて書いたのですが、そのときの肉にまぜたものが少なすぎるように感じました。

それから約1ヵ月たったときに行ったレストランで、友人たちが牛肉のタルタルステーキを注文していました。 私もフォークを持った手をのばして味見!

フランスのレストランでタルタルステーキを食べるときは、自分で好きな具を混ぜる形と、まぜあわせて作って出してくるケースがあります。このときは前者の方。それなので、何を入れるかが分かりました。



このくらい具が色々あると楽しいですね。液体のソースもあったのですが、画面に入っていません。

右手にあるのは、付け合せとして出されたラタトゥイユという南仏料理です。この組み合わせには初めてであったような...。

タルタルステーキは、アングロサクソン系の国で発達した料理なのではないかと思う理由があります。フランスでも、ケチャップとウスターソースを入れるのが定番だからです。フランス料理とは無関係の食材だと思う。

写真の、卵の黄身の手前にある赤いソースは、ケチャップではないかと友人たちは思ったらしくて、誰も手をつけませんでした。食通を自称するフランス人たちは、ケチャップを極端に敬遠する傾向にあるのです。フランスでも、子どもたちは好きらしいのですが。

他の人がとった料理。でも、ケチャップにしては赤い色が鮮烈すぎる... と気になりだしました。ちょっとなめてみると、ケチャップでないことは確かでした。赤いピーマンで作ったのではないかなと思うけれど、分らず。

液体ソースも、ウスターソースではなかったので、シェフが考案したものではないかと思います。お給仕の人に聞いてみようと思ったのに忘れていました。


包丁で切ったタルタルステーキが最高

当然ながら、肉は別の皿にのって出てきていました。 これに好みのものを入れて、自分でタルタルステーキにするという趣向。



友人2名がタルタルステーキをとったのは、包丁で切ったステーキだと書いてあったからでした。機械でひき肉にしてしまうより、包丁で賽の目に切った方が肉の味が良いと言われます。


別の機会に食べたタルタルステーキの写真を入れておきます。



創作料理が得意なレストラン。これも肉は包丁で切ったのが分かります。何を入れていたかは全く分らなかったですが、非常に美味しかったです。


庶民的なレストランで出されると、こんな風になります ↓



ひき肉にしてしまうと、歯ごたえがなくなってしまうから味が落ちると感じるのでしょうね。


肉を包丁でミンチにするのはどうするのかと思って動画を探してみました。まず第一に、包丁がよく切れることがポイントのような...。





タルタルステーキ: (1) 馬肉  (2)  牛肉


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2013/07/21
タルタルステーキ: (1) 馬肉  (2)  牛肉

暑くなると食べたくなる料理があります。その1つが「Steak tartareタルタルステーキ)」。

タタール人に由来した名前なわけなのですが、この料理はどの国が本場なのだろう?  「Steak tartare」をキーワードにしてレシピの動画を検索してみたら、英語版ばかりがトップに並んできたので放棄しました! つまり、フランス語だと思っていたのだけれど、これは英語だった?...

フランスのレストランでは時々出会う料理です。日本では食べたことがないような...。

好きな料理ではありますが、年に1回食べることがあるかなという程度。ところが、この夏になってから、たて続けに2回も味わう機会がありました。


馬肉のタルタルステーキ

友人たちと旅行して自炊できる民宿に泊まったとき、馬肉のタルタルステーキを作ってくれた人がいました。

少し前、馬肉のタルタルステーキが美味しいのだと話していたので、それを私たちに味わわせてくれようと思いついたのでした。



1人分250グラムだったかな。たっぷりとした量でした。

作ったのは、野菜もチーズもデザートも食べないのが普通で、肉ばかり食べるという特殊人物。生肉に入れたのは、チャイブとパセリ、それに少し卵黄、塩コショウを混ぜ込んだだけ、というレシピだったと思います。

私は、もっと何かスパイスをきかせて欲しかったですが、確かに馬肉そのものの味は賞味できました。肉は柔らかくて、まろやかで、牛肉とは全く違う...。


日本人は馬肉をよく食べる?

馬肉のタルタルステーキを作ってくれた友人によると、馬肉は生で食べるのが一番美味しいとのこと。「日本でも馬刺し」というのがあるから、生がおいしいのだろうと思う」、と私。

と言っても、熊本の名物が馬刺しだと聞いてから何度も熊本に行ったのに食べていなかったので、東京で1回食べたことがあるだけの私。

熊本出身の友達が、評判のもつ鍋屋さんに連れていってくれたとき、お品書きに馬刺しもあったので私は注文しました。

かなりのお値段なのに、ほんの少ししかでてきませんでした。しかも、冷凍の肉だと分かるので、そんなに美味しいとは思わなかった。友達は「馬刺しが食べたかったのなら、別の店に連れていったのに...」と不満げ。

今回食べた馬肉のタルタルステーキは、馬肉の微妙な味を初めて堪能する機会になりました。私はゲテモノは色々食べるのですが、なぜか馬肉には抵抗を感じました。 馬肉のタルタルステーキは美味しかったけれど、また食べるために努力しようとは思わない。

日本の方が、たくさん馬肉が売られているように感じました。

しかも、ヒレ肉だけではなくて、色々な部分が売られていました。

馬刺しにも、霜降りとかがあるのですね。フランスには牛肉でも霜降りがないから、桜肉にも当然ない...。

馬肉を楽天市場で検索


フランスで売られている馬肉

肉屋で、たまに馬肉も売られているのを見かける程度です。売っているのは、ヒレ肉など上質部分だけのように感じています。 他の部分はどうするのだろう?...



馬肉専門の肉屋には、フランスでは呼び名があります。boucherie(肉屋)にchevaline(馬のchevalから来た単語)を付けるのです。

馬肉が特別扱いされているというわけではなくて、豚肉専門の肉屋はcharcuterie。肉食文化の国なので、何の肉を扱っているかによって店の呼び名を作っているのでしょう。

だいぶ前のフランスでは、馬肉専門の店を見ていたのですが、今でも存続しているのかな? ...

調べてみたら、しっかりと存続していました。ブルゴーニュ地方最大の都市であるディジョンの朝市には1軒ある、という新聞記事が出てきました。臓物専門店だと思っていたところが、それかな?...

以前はディジョン市には8軒の馬肉専門店があったのに、今ではその1軒だけ、しかも県内唯一の存在なのだそう。その店の人は、少しデリケートな商売だと言っています。子どもたちは、学校で両親が馬肉を売っているとは言いたがらないのだそう。

フランスでは、可愛いウサギやハトまで食べてしまうのですから、馬の肉にこだわるというのも変だという気がします。でも、フランスでは乗馬する子も多いので、そうなるかな?...

ヴィクトール・ユーゴーが亡命先で、食事に招待された家に行く途中で見たニワトリがいたのですが、出される料理がそれだと知ったとき、「私は知っている家畜は食べない」と食べるのを拒否した逸話があったっけ...。


食品の品質と偽造の問題

日本でユッケ集団食中毒事件が話題になったのは、2011年の春でしたっけ? 日本人は魚を生で食べる習慣があるので無防備だったのかもしれない。

フランスの友人に、九州のお家でご馳走になった鹿肉の刺身が素晴らしく美味しかった、と話したら顔をしかめられました。野生動物の生肉を食べるなんて、フランス人には自殺行為に見えたらしい。

フランスでは、生肉を使うタルタルステーキやカルパッチョを食べるときは、かなり食材に注意します。私も、魚で刺身は作ってしまうものの、タルタルステーキは自分で作ろうとは思わないし、信頼できるレストランでないと注文する気もしません。

フランスでは、今年の初めから春にかけて、食品偽装が問題になっていました。

2013年2月、フィンダス社(フランスの大手冷凍食品メーカー)のビーフ・ラザニアに馬肉が使われていた、とイギリスから告発を受けたのが発端だったようと思います。

イギリスやアイルランドでは、馬肉を食べさせられるのは非常にショッキングなことなのだそう。それはお気の毒だけれど、冷凍食品なんて、どうせまともなものでは作られていないと思うので私は買いません。

その後、世界中に店舗を持つスェーデン家具イケアのレストランで出される料理が大きな話題になりました。ミートボールなどに馬肉が使われていたというのに続いて、チョコレート・タルト(日本ではアーモンドケーキと呼んだ)に糞便が入っていた(日本では大腸菌入りと表現された)というのは、友人仲間で毎日のように聞く笑い話の種になりました。チョコレートは、考えてみればウンチに似ているので、イケアで食べたことがなくても想像できてしまうので面白いのでした。



ところで、友人がこれはと選んで買った馬肉で作ってくれたタルタルステーキは、肉そのものは柔らかくて美味しいと思ったのですが、なんとなく物足りなかったのでした。タルタルステーキとは、もっと色々な調味料などを入れて作るものだと思う。それを確認する機会がすぐにやってきました。

レストランで出されて美味しかった牛肉のタルタルステーキのことを次回に書きます

ブログ内リンク:
暑いときに食べたくなるタブレ  2012/07/02
暑いときは、さっぱりしたフロマージュ・ブランが嬉しい 2006/07/22
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Dijon : « Mangez local, mangez du cheval » - BP 2013/01/12
馬肉混入問題
イケア、ミートボールに続き他商品も回収 馬肉混入問題で - AFP 2013/02/28
イケアのアーモンドケーキから大腸菌群、23か国で提供中止 - AFP 2013/03/06
matière fécale入りチョコレートケーキ
☆ フランスニュースダイジェスト: レストランに「自家製」ラベル


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2013/05/06
先日行ったレストランで友人が珍しい料理をとったので、少し味見させてもらいました。



Gigot d'agneau braisé de 7 heures(仔羊の腿肉の七時間煮込み)」という名の料理です。

Gigot(ジゴ)と呼ばれる、子羊の後ろ足のもも肉の部分を使った料理です。

ジゴは好きなのですが、大きいので、大勢で食べるときでないと買えない肉。

付け合せは豆の煮込みでした。ひと昔前までのフランスでは、こういう見た目は美味しいと思えないような素朴な料理をたくさん食べたな... と、感慨にふけってしまいそうな料理。

でも、とても美味しかったのでした。フランス人が、「フォークで切れてしまう♪」と表現する柔らかい肉。


braisé(ブレゼ)とは?

この料理について調べたら、日本語表記では「蒸し煮」としているものがありました。

蒸し器で調理するのかと驚いたのですが(フランス料理は伝統的に蒸し器を使う調理法には欠けていると聞いたことがあったので)、そうではなくて、鍋で蒸し焼き風にする調理法でした。

braisé(ブレゼ)」というのは、弱火で蒸し煮にした調理法。braise(ビレーズ)という言葉は、薪を燃した後にできる消し炭を指して使われます。そういう火の熱でコトコト煮たということからできた言葉のようでした。料理に「7 heures」とあるのは、7時間煮たということなのでしょう。


フランス料理には「étuvée(エテュヴェ)」というのもあるのですが、これは素材とする肉の脂身や、野菜の水分だけで蒸し焼きにする調理法。それに対して「braisé(ブレゼ)」は、ワインや水分を素材がひたひたになるくらいの量を加えて蒸し焼きにするという違いがあるのだそう。


「仔羊の腿肉の七時間煮込み」という料理を手っ取り早く見せる動画があったので入れておきます。



この料理は、復活祭の昼食に食べる定番料理の1つなのだと聞きました。レストランで出された料理は、なんだかカレーライス風に庶民的な感じに見えたのですが、まるごと出すとご馳走に見えますね。


ニンニクが気になった

使っているのはジゴーと呼ばれる、ラムのすね肉の部分。ローストにするのが定番なので、その画像も入れておきます。



美味しそうに焼いているのですが、気になったことがありました。

ニンニクをそのままスライスしていることです。

日本ではそんなに気にしないように思うのですが、フランス人は中に芽がでてきたニンニクを使うときには、芯にできた芽をとらなければいけない、と強調するのです。

ニンニクを消化できないというフランス人がかなりいるのですが、この芽をとらないと特に消化に悪いのだそう。

「消化できないって、どういうこと?」と聞くと、いつも子どものような質問を私がするのに慣れているフランスの友人の中に親切に説明してくれる人がいました。つまり、下痢しちゃう、ということらしい。

これだけニンニクの芯にこだわるフランスなのに、この動画ではザクザクとニンニクを輪切りにしているのか気になってしまったのでした。

リンクをたどっていったら、この動画を入れているのは世界23カ国で料理を紹介しているインターナショナルなサイトなのだそう。日本語のサイトもありました。本部はアメリカにあるらしい。

同じレシピを各国語で出しているようです。それでは、いくらフランス語で紹介されている料理とはいえ、ここにフランス料理として紹介するのは止めた方が良いかと思ったのですが、美味しそうに見える腿肉なので残しておきます。

でも、再び眺めてみると、最後にかけているトロトロのソースが人工的なものに見えてしまう...。


料理の仕方は分からないレシピの動画

疑いの目で見たら、一番始めに入れた動画も何だか変に思えてきました。

シェフが料理の作り方を教えますよ、と言っているのでレシピを探したら、有料らしいレシピのサイトがひらきました(QOOQ)。2週間の無料試用期間はあるのですが。

インターネットにのっているレシピは無料なものばかりですから、変ではないですか?

美味しそうな料理の画像が入っているのでクリックしていると、QOOQタブレットを買えという宣伝ばかりに行き当たる。ますます怪しげなサイト?...

QOOQという名の、フランスで初めての国産タブレットなのでした。完全防水なので、料理をしながらレシピを見ることが可能らしい。工場は、ブルゴーニュ地方の、昔は鉱山があった町にあるらしい。

最近のフランスでは、「Made in France」を盛り上げようとしています。フランスでは国産品の需要を推進する施策として、「Origine France Garantie(フランス製保証)」というラベルができました。でも、その基準で認められた自動車は、フランス国内の工場で作られたトヨタの車だけだったという笑ってしまう結果がでてしまいました。フランス産として有名なメーカーは、みな東欧などで作っているケースが多いので失格なのだそう。

工場閉鎖のニュースも多いし、中国産の進出にも脅かされているフランスなのです。フランスが得意とする料理で売り出された国産タブレット、売れるのかな?...




この料理が出たときのレストランについて書いた日記:
フォアグラのハンバーガーなんか作らないで! 2013/05/04

ラム肉について書いた日記:
好物のラム肉について調べてみた 2013/05/05



外部リンク:
☆ レシピ: Gigot d'agneau braisé, dit de 7 heures
Gigot d'agneau
初のフランス国産タブレット端末は料理専用
まるでアイアンシェフ? 料理好きは必見のタブレット
Made in France (2) – QOOQ, une tablette française s’invite à la table des ogres du numérique
Un label 100% « Origine France Garantie »
☆ フランス産保証(1)トヨタの車に「フランス産保証」 : Origine France garantie


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2013/05/05
料理を作ってくれる人に「何が食べたい?」と聞かれたとき、答えの定番ができているように感じます。

思い浮かぶのは、結局のところ、日本では食べられない食材。そういう定番の答えの1つに、ラム肉があります。


日本ではめったに食べられない羊肉

日本では食べたいと思っても売っていない! たまにはスーパーで見かけますが、どこか外国から冷凍で来たような肉しか見かけないように思うのです。

この冬に帰国したとき、友達が羊肉を食べる会を家で開いてくれました。肉に飢えだしてきていた私は大喜び。

食道楽の友達が多い人で、その中に「羊肉の○○さん」という呼ぶ人がいて、その彼が羊肉を持ってきてくれるとのこと。埼玉あたりで羊を飼っている人なのかと思ったら、羊肉が大好きで、プロが買いに行くような羊肉を売っている店によく行っている、という人なのでした。

作ってくれたのは羊肉のしゃぶしゃぶ。タレはこれが一番おいしいというのを教えてもらったのですが、この日は写真も撮らなかったので忘れてしまった。

とても美味しかったです。でも、フランスで食べる子羊肉とどこか違う...。ラム肉だと言っていたけれど、少し育ちすぎた子羊なのではないかという感じがしました。

でも、日本でもフランスでも、ラムは12カ月以内の羊となっていました。

肉は薄くスライスしてパックしてあったので、どこの部分なのか分りませんでした。フランスの肉屋で羊肉を売っているときは、部分によって名前がついていて、値段もだいぶ違うのだけれど。

肉はたくさん持ってきてくれていたので、しゃぶしゃぶを食べた後、ステーキにして食べたいと私は言いました。これで肉の味が違うという感じが決定。しゃぶしゃぶで食べた方が美味しい肉でした。


調べてみたら、日本でも少しは羊肉が生産されているらしい。

日本における肉の消費量の統計がありました(2003年):
肉の種類消費量うち国内産
242万トン127万トン
183万トン124万トン
124万トン50万トン
ヒツジ2.7万トン300トン

やはり羊肉は、消費量も国内生産量も極端に少ないですね。日本人一人あたり、年間400グラム食べているということになるそうですが、そんなに食べるかな?... とさえ感じました。


フランスで食べるラム肉

フランス人は特にたくさん羊を食べる国民ではないようです。2010年の統計では、羊肉を最も多く食べるのはギリシャ(年間一人当たり10.1キロ)。キプロス(7.5キロ)、イギリス(4.8キロ)、アイルランド(3.5キロ)と続き、フランスは5番目(3.4キロ)。

フランスにはAgneau pascal(復活祭の子羊)という言葉があって、復活祭のときにはラム肉を食べる風習があります。

イースターの頃には、ラム肉屋さんになってしまったような肉屋も出現します。



子羊を食べるという習慣は、キリスト教だけではなくてユダヤ教にもあるのだそう。キリスト教は復活祭だけれど、ユダヤ教では過越祭。

無実の罪で十字架にかけられたキリストを従順な羊に例える、と聞きました。だからといって、キリストに例えた神聖な子羊を、キリストの復活を祝って食べてしまうのか、私には理解できないのですけど...。


ヒツジ肉に関する単語

北アフリカ料理などではマトンという名が出てきますが、フランスの肉屋でマトンとして売っていることがあるのでしょうか? 私はラムしか見たことがないような気がします。

私がフランスで子羊肉を買うときは、バーベキュー用の骨付き肉で、Côte découverteかCôte premièreと呼ぶ部分。

この部分を日本では「ラムチャップ」と呼ぶらしい

切り離していない状態の肉はラムラックらしい。

リブロースという言い方もあるような...。

「フレンチラム」と名がついているの右に入れた肉の説明を見たのですが、原産地はオーストラリアなのでした。なぜ「フレンチ」なのか分らない。

これを書きながら、日本でラムを食べたくなったらネットショップで注文してしまえば良いのだと知ったのですが、冷凍肉なんかは食べたくないしな...。


レストランでクスクスを食べるときには、付きものがラム肉をどの部分にするか選ぶので、買ったことがないラム肉の部分も名前だけは知っています。

この際、絵を見て確認。
部分の色分けは、脂肪分の違い。濃い赤は10%未満で、黄色は15%以上、と説明されています。そう言われると、そうなっているな... と感じる。

この写真を使った過去の日記フランスで最高のラム肉として売られるのは「agneau de lait」という、ミルクだけで育った幼い子羊。

それから豚トロみたいに珍重される「Souris d'agneau」という変な呼び名の部分があるのですが(ラムの鼠)、これはgigot(後ろ足のもも肉)の一部

スーリ・ダニヨーはめったに売っていないように思います。料理の仕方も知らないので、レストランでしか食べたことがありません。


ついでにフランス語のお勉強。
羊肉に関する言葉を拾ってみました。

La famille des ovins
Ovin羊類
Agneau生後12カ月未満の子羊(オス、メス)。ラム
Agnelle生後12カ月未満のメス
Antenais(e)前年に生まれ、繁殖が可能agneauないしagnelle
Bélier生後12カ月を超えるオス
Brebis生後12カ月以上のメス。羊のチーズに使われる単語
Mouton羊肉。マトン
Berger / Bergère羊飼い。羊小屋はBergerie


Anatomical Man星座の牡牛座と星占いの白羊宮はBélierなので、1歳の誕生日を過ぎたオスの羊なのですね。気にしたことがなかった。

そうか...。
角がシンボルなので、そうなるか...。

いつも思うのですが、動物に関するフランス語は複雑すぎる!

動物の名前がオスとメス、年齢で異なるのに加えて、肉の部分の名称も恐ろしくたくさんあります。

せめて、同じファミリーなら、始めのアルファベットくらいは統一して欲しかった。だって、食べる家畜の種類は非常に多いのですから。

フランス人の子どもたちは、学校でこういう単語を全部習って覚えるのでしょうか? だって、文字を眺めただけでは、羊なんだかさえ分らないではないですか。

ベッドの下にたまる綿ぼこりはmoutons。

ヒツジのように従順、付和雷同と言うときもmouton。でも、ヒツジのようにおとなしい、というときにはagneauも使う。

羊のチーズというときはbrebis。これは考えてみれば当然ですね。子育てするメスの羊じゃなければミルクを出さないのだから。でも、なぜそんなにオスかメスかにこだわらるの?! ヒツジのミルクといえば、雌から絞った乳だと特定しなくたって分かるではないですか。

日本も、魚の名前は複雑なのでお相子かな?... でも、たいてい魚へんがついているので、魚なのだとは分かりますよ~。

... と思ったのだけれど、不安なので調べてみたら、魚へんがつかない魚はたくさんあるのでした...。

私はフランス語も日本語もお手上げ!






少し前に珍しい羊肉の料理を食べたので、それをメモしておこうと思って書き始めたのに、前置きが長くなってしまいました。料理の話しは次回に書きます。
⇒  「仔羊の腿肉の七時間煮込み」という料理



情報リンク:
羊と羊肉について
☆ Mouton et Agneau
Viande d’agneau au BBQ
La consommation de viande ovine / une baisse difficile à enrayer – FranceAgriMer (juin 2012)
魚へんの漢字一覧
魚の漢字名

内部リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記


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2013/04/02

シリーズ記事目次 【ブレス地域で生産される質の高い食品】 目次へ
その1


よく行く町なのだけれど、買い物のためには行ったことがなかったような気がする朝市に行きました。

ブルゴーニュ地方のマコン(Mâcon)という町。そこを流れているソーヌ川の向こう側は、ブレス(Bresse)と呼ばれる地域。となれば、ブレス産の若鶏Poulet de Bresse)を1羽買いたいと思いました。

それを売っていた朝市の店には行列ができている。雨が降っていて、しかも寒いので、そんなところに並びたくない...。

肉屋を探そうと思いながら、朝市での買い物を車につもうと駐車場に行こうとしたら、目の前に肉屋の看板が見えました。

なかなか良さそうな肉屋の店構え。レストランにしても、商店にしても、なんとなく美味しそうかどうかは感じるものなのですよね。

近寄ってガラス戸の入口から店内を覗いてみると、ブレスの若鶏が見えない!

そんなわけはないでしょう! 地元なんですから。
さらに覗き込んでみると、特別なスペースができていました♪


立派なショーケースに入っていた

あると分かったので店に入って、ブレスの若鶏が欲しいと告げました。

どれにしますか? と聞いてくる。



ブレス産若鶏は高級食材とはいえ、肉屋さんの中にこんなショーケースができているのは見たことがなかったように思います。

この町で一番評判の良い肉屋さんなのかどうかは知りませんが、かなり質の良いものを売っている店なのだろうと感じました。

いつも買うブレスの若鶏より小ぶりなものしかなかったけれど、なんとなく気に入ったものを選びました。

手前にあったソーセージが美味しそうなので、ついでに1本。それから、この地方の特産チーズ「フロマージュ・フォール」が自家製らしいので、それも買う。

支払いのときに金額を言われると、50ユーロを少し超えていました。
ちょっと高いですよ~。

魚屋さんで支払いをするときには、こんな風に、「何にも買っていないのに、そのお値段?! 」と思うのが常なのですが、肉屋さんでのことなので少し驚きました。


違っていたのは、ここだった

計算違いをしているのではないかと思って、店を出てからレシートを眺めてみました。

ブレスの若鶏は、1キロ19ユーロちょっとという値段でした。

朝市で売っていたのは14ユーロを少し超える値段がついていました。それで、改めて、ブレスの若鶏はどんどん値上げしているな... などと思っていたのでした。

ブレスの若鶏が1キロ10ユーロを超えてしまったぞ~、と思ったのは数年前だったかな?

朝市より肉屋さんの方が高いのは仕方ない。この日は大きな鶏はなかったので、小さいのを買っていました。 そうか~、朝市で買ったのと同じ値段で、小さいのになったわけだ... などと思いながら帰宅。

それでも、選りすぐった精肉を扱っていそうな店だったので、がっかりすることがないことを期待。

翌日、調理するために包みを開けてみました。



まず目に飛び込んできたのは「Miéral 」のラベル。ブレスの若鶏の中でも定評のあるブランドなのです。朝市のより4割高かったのも仕方ないな、と思う。

ブレスの若鶏は大好きなのでよく買うのですが、今までこんな風なのは見たことがないな... と思うものが入っていました。

脚です!

ブレスの若鶏は厳しい規制を受けて生産されているAOCを持つニワトリです。どういう規制かというのを書くのは面倒なので、説明しているサイトへのリンクを入れておきます:
「ブレス産 若鶏」というAOCを得るための規制についての説明



AOCの検査に合格した正真正銘の若鶏だという印に番号が、脚に付けられているのです。肉屋さんではローストチキンにできるように下ごしらえしてもらったのですが、その足環の部分をわざわざ入れていたのでした。

なるほど...。高級食品を扱う店は、こういうことをするのだ... と感心!

というのも、苦い思い出があるのです。

私が住むようになったところに近い町に、ブーダンというソーセージの全国コンクールで優勝したという店があるのを知ったので行ったことがありました。

ちなみに、ブーダンというのは、こういうゲテモノ:
黒いブーダン (Boudin noir) 2009/01/14
作り方によって、雲泥の差がある豚の加工食品です!

その店では、ブーダンのほかに、ブレス産の若鶏があったので買いました。

店の人が、食べられるように下ごしらえしたのがあるので、そちらを持って帰るかと聞くので、素直に「ウイ」と返事しました。

調理してみると、ブレスの若鶏とは思えない味。憤慨しました!

ブーダンも、優勝したにしては美味しいとは思わなかった。その肉屋には二度と足を踏み入れていません。食べ物の恨みは深い!

店には本物を並べておいて、裏でただのニワトリを包んだのではないか、と疑いました。 ナンバーが付いている脚をくれていたら、ただ日がたってしまって味が落ちた、と思ったはずですよね。わざわざ脚を入れた肉屋がしたことは、無駄な行為ではないと思いました。

今回の、やたらに高いと思ったブレスの若鶏はレバーの部分もきれいだな... と眺めたので、アップを撮影しました。



食材の質が良いときには、手を加えない調理に限る。
というわけで、今回もローストチキンにしました。

有名ブランドではなくても美味しいニワトリを育てている農家があるので、Miéralのが最高かどうかは判断できません。でも、美味しかったのは確か。

それにしても、ブレスの若鶏はどんどん値上がりしているらしい。私の身分では、そんなに年中は食べられないな... と寂しくなったりもしました。

物の値段には無頓着な私ですが、この際、相場は幾らくらいなのかインターネットで見てみました。
☆ L'épicerie de Rungis: poulet

卸もしているショップのようですが、Miéral社のブレス産若鳥が 1キロ26.21ユーロで、1羽(1.5Kg)が40.62ユーロ。私が高いと思った肉屋よりも高い。パリで買ったら、そんなものかな?

なので、なんとなく嬉しくなる♪
ついでに、日本での売値は?


空輸の冷蔵ものより、冷凍ものの方が高い、というのは理解に苦しむけれど、こんな感じでしょうね。日本で買おうなんて、間違っても思わない食材です!

ブログ内リンク:
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外部リンク:
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