| Login |
2017/07/20
暑かったり、寒かったりで、気温の差が激しい今年の夏。

ワインの買い付けに行くという友人たちから誘われたので、一緒に出けました。天気予報では最高気温が35度と出てきたので、そんな時には出かけたくないとは思ったのですが、乗せてもらう車の乗り心地は悪くないはず。


ハイテク車

車に乗せてくれた友人は、出張することが多いので、会社の経費で自動車を買ってもらっています。2年か3年ごと、気に入った最新式の車を選んでいて、オプションを付けるのも自由。

最近手に入れたのは、プジョー 3008というモデルでした。



今回の車で面白かったのは、車体の外に付いているとう外部カメラによる制御システムでした。将来には運転手が何もしなくても自動で運転される車ができると聞いていたのですが、その前段階かなと思う車に乗ったわけです。

車の外側にカメラがついていて、それが自動的に車の運転を制御する機能に連携していました。車が白線を超えたら、自動的に方向転換して戻る。前方の車に近づきそうになったら、自動的にブレーキがかかり、遠ざかったらもとのスピードに戻る。縦列駐車も自動的にさせることができるのだそうですが、それはまだ使いこなせていないとのこと。

でも、そういうハイテクのメカニズムは、故障したら怖いではないですか?...

その前の車は、運転席にだけマッサージ装置があったのですが、今度のは助手席にもついていました。運転席と助手席に間にはワインが3本入るという冷蔵庫もある。走り続けていないと十分に冷たくならない感じがしましたけど...。

車の前方には、大きな画面でナビゲーターや、車の外側にあるカメラの画面がある。スピーターを通して電話ができるようにしてあるiPhoneも付けている。音楽はUSBに入っていて、連続200時間分の曲が入っているのだそう。車内で香りを流すボタンもある。何だか遊び過ぎではないですか? 車好きの人は面白がるのでしょうけれど...。




ボージョレー

この日に行くことにしていたのは、ブドウを栽培してワインを作っている農家2軒。昼前、つまり食前酒タイムに到着したのはボージョレーの丘の上にある農家でした。

家を出るとすぐにブドウ畑が広がっています。庭にしているスペースに大きなビニールプールが設置されていて、その横に寝椅子が3つありました。



このイスに寝て寛ぐと、プールが目の前に見えるわけです。人の背丈くらいの高さがあるプールなので、その向こうにあるブドウ畑はほとんど見えないはず。

私だったら、イスを置く方向を逆にして、ブドウ畑と、その向こうに広がるボージョレーの丘を見れるようにしますけどね...。ブドウ畑は見慣れているし、仕事の場だからプールを眺めたいのか?...

ブドウの木は元気そうでした。まだ色づいてはいませんでしたが、もう実はかなり大きくなっています。

雨が降らないので、実が余り膨らんでいないのだそう。ブドウの収穫は早めで、おそらく8月にするだろうとのこと。それまでに雨が降ってくれることを期待しているそうです。



ワインづくりをしている男性3人がお相手をしてくれて、試飲をしました。よく行くところだし、作っているワインはボージョレーのクリュ1種類だけなので、試飲というよりは、ワインを飲んだという感じ。

こういう暑いときは、朝の6時前からブドウ畑に出て、午前10時には仕事を終えるのだそう。その後になると、もう畑で働くどころではなくなってしまうとのこと。

一緒にでかけた友人のうちの1人は、このボージョレーのワイン農家に先月にも買い付けに来ていて、そのときにロゼも買っていました。少し前に彼らの家で食事したとき、そのロゼを試飲したのですが、出来が素晴らしいくて、とても飲みやすかったのでした。
それで、私もロゼも買う予定で行ったのですけれど、もう全部売り切れてしまっていました。ほんの少ししか作らないので無理はない...。


中庭があるレストランで昼食

正午を回ったのでワイン農家にはおいとまして、近くの町に出て食事をすることにしました。

車の中は冷房がきいているので涼しいのですが、外に出ると、もう何もしたくないくらい暑い。それで、スペイン料理とイタリア料理のレストランで、色々な小皿料理をとって、みんなで突っついて食べることにしました。

行ってみると、レストランの建物の裏側には大きな木々やパラソルで日をよけたスペースがある。そこにあるテーブルを選びました。木陰にはなっているのだけれど、やはり暑い...。

私は、生ハムとマッシュルームのさっぱりしていそうなピザを選びました。ピザ生地も自家製だと書いてあったので、食べたくなったのです。

みんなは暑くて食欲がないと言っていたくせに、かなりの数の料理を注文していました。タパスを中心にした小皿料理と言っても、フランスのサイズ。かなりのボリューム! もうたくさんだと私は思ったのに、みんなは生ハムやチーズのピザなどを追加注文していました。

飲んだのはスペインの白とロゼのワイン。そんなに美味しくはなかったけれど、こういう暑い日には冷たいワインしか飲む気にならないので満足。

軽い食事で良かったし、料理も美味しかった、とみんなは満足していました。私は、自分が注文したピザとデザートを食べれば十分だったと思ったのだけれど...。


ワインのボトルを割っちゃった

昼食の後には、連絡していたもう1軒のワイン農家の方に行きました。ブルゴーニュ南部のマコネというワイン産地で白ワインを買うのが目的。

いつものように醸造所で試飲をしたのですが、食事の後にさらにワインをたくさん飲む気にはならないし、暑いとそんなに飲む気にはならない。でも、まだ醸造中のワインなども試飲しました。

車のトランクは、私たちが買ったワインで満杯状態。

最後に、お得意さんに対するサービスで、マコネでは最高とされているプイィ・フュッセの白ワインのマグノムという大きなボトルをプレゼントされて、それをトランクに入れました。

家に帰りついてから、ワインを降ろす作業をするためにトランクを開ける。

最新型の車なので、トランクはボタン1つで開くシステムなのですが、開けたら積み荷が滑り落ちて、大きなボトルが飛び出して割れちゃった!

手でトランクを開ける方式だったら、滑りそうだというところで抑えることができたと思うのですよ。だから、ハイテクの車には問題があるのだ! 思ってしまった...。

地面には、割れたボトルから流れ出したワインの臭いがプンプン。でも、無事に到着したお祝いに飲んでいたワインを飲み干したときには、もう地面にこぼれた大量のワインはすっかり乾いていました。



ブログ内リンク:
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 旅行ブログ フランス旅行へ
にほんブログ村
にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2017/06/05
お天気も良さそうだということで、お気に入りにした農家にリキュールを買いに行くことにしました。

その途中で通りブドウ畑を少し眺めてみることにしました。



聖霊降臨祭の翌日の月曜日で休日なのに、畑で働いている人の姿がチラホラ見えました。自然を相手にする農家では、週末とか休日とかは言っていられないのだろう、と思いました。

でも、後で聞いたら、年に1日だけ労働者が休日に無報酬労働をさせてしまう「journée de solidarité(連帯の日)」は、まだ一部で続いているのだそう。

この変な法律は、2003年の猛暑でたくさんの高齢者が亡くなったのを受けて、翌年に作られました。労働者が無給で1日余分に働くことによって得られる増収分を高齢者介護拡充予算に充てるというのが目的。反対も大きかったので、いったんは実施されても長続きはしていないだろうと思っていたのですけれど、まだ続いていましたか。




ブドウ畑での作業は、伸びたツルを切るのと、支える針金を持ち上げる作業だったかな。のんびりしている時間に余裕がなかったので、畑で働いている人のところまで行ってみる余裕はありませんでした。


この日、車を降りてブドウ畑に立ったら、ほのかに変な匂いが漂っていました。雨が上がって天気が良くなった日。こういう時には、薬を撒いたのだろうと思います。

ワイン農家の人が、農薬を撒くと、その後48時間は畑に入ってはいけないと言われていると話していました。関係ない人は何時やったか知らないので、ブドウ畑を散歩するのも物騒だな... と思ったのです。でも、臭うものなのだと気がついた次第。

そんなに長くはいるつもりはないので、ブドウが房を付け始めているかだけ確認しました。



暖かかった早春が過ぎてから急に寒くなったので、被害が受けたブドウ畑が多かったと言われていましたが、眺めたところブドウの木は元気そうに見えました。

ブドウを栽培している人の話しだと、怖いのは寒さで新芽がやられることよりも、雹が降って木を台無しにされることなのだそう。




コート・ドールの丘の後ろに控えた山を登ると、ブドウ畑はほとんど姿を消して、果実を栽培している地域になります。


リキュール製造農家の一般公開日

この3連休の週末に出かけたのは、お気に入りにしたリキュールを作っている農家がオープン・ファームをしていたからでした。

何かしらイベントをしているはず。リキュールを作るデモンストレーションをしていて、その香りが漂っているのだろうと思って行ったのですが、いつもと何も変わらない静かな様子。しかも、おしゃべりが楽しいおばあさんは、この日にはいなかったのでがっかり。

試飲する部屋も、普段とは全く変わらず。県の観光情報にも載せていたのだから、何かしらすべきですよ~! 売っているキュールでキールを作って試飲させるとか、おつまみを出すとか、製造方法を見せる写真を張ったパネルを並べるとか...。

こんな一般公開のイベントをした農家に出会ったのは初めて...。

ただし、農家の人が、やって来た人に製造所を案内していました。ご主人らしき人は数人を相手にかなり詳しい説明をしていたようですが、私たちのグループは娘さんらしき女性のごく簡単な説明。



この製造所は、行ったときにドアが開いていれば覗けてしまうので、見せてもらってもつまらない。この日に聞いたことくらいなら、買い付けに来たときに話してもらえる内容なのですけど。

でも、買い付けに行くのが目的だったので、イベントに面白みがなかったのは文句は言いません。この後に何処で食事をすれば良いかと聞いたら、教えてもらったレストランがとても気に入ったので感謝。

私がいつも使っているミシュランガイドのアプリには入っていないレストランだったので、教えてもらわなかったら行くことはなかったと思う。

続き:
★ 運河の港にあったレストランで昼食 2017/06/08

ブログ内リンク:
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Lundi de Pentecôte et journée de solidarité
無給労働日の「連帯の日」の混乱とEU憲法拒否の関係
☆ ジェトロ: フランスの特殊な労働時間の取り扱い


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2017/04/23
今年は、例年より3週間くらい春の花が咲くのが早い年になりました。近所の人がツバメを見たと教えてくれたの4月3日。


フランスでは、5月1日にスズランを売る習慣があります。その頃、もう春だな... と感じる時期でもあるのです。



スズランの産地では、その時期に花が咲くように調整します。寒い年だと花を咲かせるために暖房するのですけれど、今年は逆。スズランを寒い部屋に入れて成長をストップさせているというニュースがありました。


昨年は6月になってもまだ寒かったので、今年は良い年と思ったのですが、そうではなかった...。

4月中旬を過ぎたら氷点下が3日続き、庭で芽を伸ばしていた木々や、花を付けていた木が寒さでやられてしまいました。



左手に写っているのはライラックで、無事。みじめなのは、たくさん房を付けていた藤です。何とか持ちこたえて欲しいと思ったのだけれど、紫色が見えていた花も全て枯れてしまいました。お化けみたいで哀れ...。

同じ場所でも温度が違ったりするのか、全く平気な植物と、黒く焼けてしまった木々とに分かれました。クルミ、イチョウ、アカシアも全滅みたい。でも、植物は年がたてば生き返ってくるはず...。


ブドウ畑では被害対策

寒波はブドウ畑も直撃しました。新芽を出てきた時期に霜にやられるのが怖いのですよね。コート・ドール県の北の方をドライブしていたら、ブドウ畑の回りに干し草が置かれていて、そこから煙が立ち上っていました。夜の間に干し草を燃して畑を温めていたらしい。

ストーブのようなものを畑にたくさん置いたところもありました。夜の畑に火が燃えているのは美しくはありますけれど、寒くて見に行く気にはならなかった...。


ブルゴーニュ地方のワイン産地の中心地ボーヌ市に近いサン・ロマンのブドウ畑を見せる4月20日のニュースです。


Gel dans les vignes : des braseros pour sauver les bourgeons



シャブリの産地はブルゴーニュの北にあって寒いので、気温が下がると火を炊いたり、水を散水したりする装置が整っているのですが、それでも今年は3日間の寒さでブドウ畑の2割は被害を受けたとのこと。


Le gel, ennemi des vignerons


4月20日の寒さでは、シャンパーニュ地方、ブルゴーニュ地方、ヴァレ・ド・ラ・ロワール地方の他、南仏のラングドック・ルシヨン地方でも霜の被害があったそうです。


フランスでは、5月中旬までは氷点下になる日の恐れがあると言われています。でも、6月になってからでも霜の被害があった年もありました。今年は早々と暖かくなってしまって、植物たちがそれに合わせて成長してしまったからいけなかったのでしょうね。

来週になるまでは、まだ朝晩の冷え込みは厳しいようです。とはいえ、青空が広がっている日が多いので、春は満喫できます。小鳥たちも賑やかにさえずっているし、霜で黒くなってしまった以外の木々は美しい新緑。

ブログ内リンク:
もうシャブリのブドウ畑には霜はおりない? 2013/06/02
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
本格的な春になることを告げる「氷の聖人たち」 2015/05/15
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記

外部リンク:
Le Monde: Coup de froid sur les vignes françaises 20.04.2017
Vins de France: Le gel frappe durement plusieurs vignobles en France 20/04/2017
ladepeche.fr: Les gels printaniers tombent sur vignobles et arbres fruitiers 20/04/2017


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/10/06
秋になっても夏のような陽気の日が多かったのですが、もう最低気温は零度になったようです。今年の秋は寒くなかったので、やっと集中暖房のスイッチを入れたところ。暖房費が1カ月分くらい浮いたのではないかな。地球が温暖化したらちょうど良いと私は思ってしまう...。


🍇 私のお水がなくなった...

ブログに何度も書いてしまっていますが、フランスの水が飲めない私。水代わりに呑んでいる軽い白ワイン(つまり安いという意味ですが)はマコネの村の名前が付いたものと決めています。ストックがなくなってしまったので、お気に入りにしているワイン農家の1軒に買い出しに行きました。

日本には輸出していないので、同じ銘柄を入れると、これ ↓


マコネの白ワインが好きなのですが、日本には余り入ってために競争がないせいか、日本で買おうとするとやたらに高い気がしていました。このくらいだったら悪くないと思いました。

でも、私の飲料水用に買うマコン・シャルネはボトル詰めしていないもので、お友達プライスにしてもらってボトル1本分が500円くらいかな...。そのくらいでないと、貧しい私などは水代わりには飲めまん。


🍇 発酵過程のワインを味見

行ったワイン農家では、前日にブドウの収穫を終えたところだと話していました。機械は使わずに人手で収穫するので、広い畑を持っているわけではないのに2週間かかったのだそう。

醸造段階に入ったワインを飲んでみるかと聞かれたので、「もちろん♪」と答えました。美味しいというものではありませんが、一般の人には貴重ですから楽しい。

プイィ・フュイッセのタンクから出してくれました。PFがそのマーク。



かなり色が濃くて濁っていました。

糖分がアルコールに変わる発酵が終わっていない状態のワインを、フランスでは「bourru(ブーリュ)」と呼びます。

もう少したったら何とか味わえるようになるのでしょうが、これはごく初期段階らしてくて、1口だけ記念に飲んで捨てました。ボージョレー・ヌーヴォーの段階でも、たくさん飲むと頭が痛くなったり、お腹が痛く鳴ったりするのだと脅かされているので。ワイン農家の奥さんも、味見はご主人に任せていて、自分は飲まないと言っていました。

この段階だと、今年のワインがどうなるかなんて私には全く分かりません。絞りたてといってもジュースでは全くないし、ワインでもないのですから。

全く甘味は感じませんでした。畑にあった摘み残しのブドウの房を食べさせてもらったのですが、甘くて美味しかったのに。


発酵途中のワインを樽から出して飲ませてもらうことは時々あるのですが、こんなに飲めないことがあったかな?... ブログで書いていたこともあったはずなので探してみました。

ブドウ収穫が終わったばかりのブルゴーニュ南部で、新酒を味わう 2009/09/13
持ち帰りで売っているくらいなので、もう少し発酵が進んだ状態のものを試飲したのだろうと思います。自分で書いて忘れていたのですが、甘いの(Vin doux)とピリピリするのVin piquantと2種類があった。

☆ 2015年のブルゴーニュワインは素晴らしいだろうと確信した 2015/09/23
ボージョレーのワイン農家での試飲。


もしかすると、この日に飲ませてもらったのは、まだ「bourru(ブーリュ)」とは呼ばない段階だったのかもしれない。ブーリュというのは、最終発酵段階の澱(おり)の多いワインのことなのだそうなので。


🍇 マコネのワイン産地をドライブ

冷え込むので注意という天気予報だったので冬のコートを来て出かけましたが、素晴らしい青空だった。買い付け仲間で行った私たちは、ついでに観光も楽しみました。



見えているロマネスク教会は、以前にはワイン農協がこじんまりとした試飲所を作っていたので気に入っていたのですが、教会が修復されたら追い出されてしまいました。おまけに、今回も教会のドアは閉ざされたまま...。

こんなところにワイン農協の出店を出していても買い物客はほとんどこなかっただろうと思いますが、ワインを飲む田舎のカフェとしての機能は果たしていたようでした。

ここでゴーフレット・マコネに出会ったので懐かしい教会です。地元の人がおつまみとして差し入れていたのをご馳走になったのでした。

ゴーフレット・マコネについて書いた記事:
クイズ: キシュノットとは? 2009/02/02

良き伝統は消えていく。おまけに、クリスチャンも減ったので、辺鄙なところにある教会は泥棒が怖いからドアを閉ざしていることが多いのです。

でも、大好きなロマネスク教会の内部も幾つか見学しました。


🍇 マコネのワイン産地では未だ収穫が終わっていなかった

ワイン農家でブドウの収穫が前日に終わったと聞いて驚いていたのですが、まだ続けている畑もあるようでした。ブドウを積んだトラクターに何台も会ったのです。

記録のために車の中から写真を撮っておきました。


2016年10月7日、ブルゴーニュ南部マコネ地域で撮影

摘んだブドウを無造作に荷台に乗せているところからして、安いワインができるブドウ畑でしょうね。

マコネはブルゴーニュ地方の中でもボーヌのあたりより南に位置するので、ブドウの収穫も早く終わるのだろうと思っていたのだけれど、やはり今年は異常なのでしょうね。


【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集




ブログ内リンク:
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ La Revue du vin de France: Définition bourru
☆ Encyclopédie du vin:  bourru
☆ Wikipédia: Vin bourru
ブリュ Bourru Vin Nouveau
ヴァンダンジュの今だけ。甘く発泡するブーリュ Bourru est arrivé


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/09/23
ずっと続いていた悪天候の反動なのか、9月には清々しい夏のような日が多くなりました。9月末になっても集中暖房を入れないで、たまに暖炉に火を燃す程度で済んでいる年を今まで経験したことがあっただろうか?...

でも、いつの間にか、ツバメたちは1羽残らず旅立っていきました。

素晴らしいお天気の金曜日。レストランのテラス席で昼食をとってから、コート・ド・ニュイのブドウ畑を見に行くことにしました。


ブルゴーニュワインのブドウ収穫が始まった

収穫が始まったばかりなので、ランクの低いワインを作る畑から始めたのではないかと思ったのですが、ジュブレ・シャンベルタンの畑で収穫を終えたばかりの人たちがいました。



手摘みの収穫なのにトラクターが運ばれているのが奇妙。聞いてみたら、収穫したカゴを乗せてあぜ道を走るためのものなのだそう。収穫では運び屋さの役割があって、その役割をする人は賃金が多少高いけれど、かなりの重労働なのだと聞いています。

下は昨年に撮った写真ですが、こういう役割の仕事をする代わりになるトラクターなわけです。


収穫が始まったコート・ド・ニュイのブドウ畑。今年は当たり年では?♪ 2015/09/04

でも、畑がぬかっているときは、やはり人間が担ぎださなければならないのだそう。


モンラッシェの畑では、収穫するには大きすぎるハサミを持った人たちが働いているので奇妙。収穫は3日先で、その前に枯れたブドウの枝や株を切っていたのでした。昔より病気の株が多くなったなどとおっしゃっていました。

ブルゴーニュのブドウ畑で収穫する人たちには、昔ながらの陽気さが残っています。フレンドリーで、おしゃべりもしてくれる。

畑の中に1人でいた女性が話しかけてきました。



彼女はロマネ・コンティのドメーヌで働いているけれど、ブドウの収穫はせず、食事係りなのだそう。

昔のワイン農家は、ブドウ収穫者たちにたくさん食べさせて、たくさん働いてもらうということをしていたのですが、食べさせたり、宿泊させてりするのは農家にとっては大変なので、やらないとことが多くなっています。ロマネ・コンティのところでは未だ食事を出しているとは思わなかった。

でも、野菜と肉料理はケータリングの業者にやらせ、彼女はそれ以外の食べ物を担当するとのこと。

ワイン畑はモンラッシェらしい。高すぎて手が出ないワインだと言ったら、「高すぎて買うことなんかできませんよ~!」とおっしゃる。

どんなのか調べてみました。


私が飲んだ思い出があるモンラッシェは、DRCのではないグラン・クリュでしたが、DRCのはこんなに高くなっているのですか?! それではドメーヌがマダムに飲ませてくれなくても無理はない...。


ロマネ・コンティのブドウ畑は、収穫が終わった後のように見えてしまった

今年のワインの出来がどうなるのか見るために、同じ畑を見ることにしています。

ロマネ・コンティの畑には十字架が立っているので、間違いようがないのです。それに、買って飲めないとしたら、タダで見れるだけでも何となく嬉しいではないですか?




近づいてブドウの木を見たら、もう収穫が終わってしまったのかと思いました。積み残した程度しかブドウの房がないのです。



奇妙...。世界で一番高いと言われるワインを早々と収穫してしまうはずはありません。道に沿って歩きながら畑を眺めてみました。すると、たくさん房が付いているところもある。



やはり収穫は未だ始まってはいないのだろうと思いました。写真を拡大して眺めたら、地面にはブドウの房が落ちていたので、失格の房を取り除いたからやたらに量が少なかったのだろうとも思います。

葉が少ないのも気になったのですが、秋に実が日差しをいっぱい受けるように葉を剪定したのかな?...

それにしても、ブドウの房が少なすぎる...。

今年は雨が多かったので、病気を退治する農薬を使わないオーガニックのワインを作る農家は痛手だと聞いていました。ロマネ・コンティも農薬の使用は最低限にしているでしょうから、ブドウの収穫量は少ないのでしょうね。

追記:
DRCでは、ドメーヌが所有するブドウ畑を9月28日から30日にかけて収穫をしていました。私は1週間早く行ったようです。


2016年のワインは、生産量が少ないことだけは確からしい

ブルゴーニュワインやシャンパンの生産量が少ないというのは地元なので聞いているわけですが、フランス全体としても10%減だそうです。

ブルゴーニュワインの産地のブドウ収穫予想では、生産者平均で20~27%減。特に被害が大きかったシャブリでは、例年の半分しか生産できないとか。

幾つかのブドウ畑を見てみましたが、ブドウの房が付いているところと、少ないところとの差が目立ちました。

この後、果実酒を作っている農家に行ったので話しを聞いたら、同じ畑の中でも果実が全く実っていない部分と、普通に実ったところとがあると言っていました。春先に霜や雹の被害があったのが原因らしい。

今年のブルゴーニュワインは極端に収穫は少ないようです。ニュースでは、ブドウ畑からブドウの木を引っこ抜かれたと言って、畑をパトロールしている農家の人たちまで登場。そこまでやるかな?...

でも、今年は質の高いワインはできるとニュースでは言っています。

今年の天気はずっと変でした。暖冬のあと、雨ばかりの春。ワイン産地では、霜や雹の被害が出たりもした。夏らしい天気もなくて、雨が全く降らない時期もありました。でも、ブドウの収穫期には「秋晴れ」という良い天気だったので、それはブドウにとっては良いことだったかもしれない。

でも、素晴らしい上質のワインができるとまで言うのは行き過ぎではないかな...。生産量が少ないとなったら高い値段で売らなければならない。としたら、今年のワインは上質なのだと強調するのがマーケティングではないですか?


Vendanges Malgré les aléas climatiques, le millésime 2016 devrait être de grande qualité  - France 3 Bourgogne 21/09/2016

  【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ロマネ・コンティのブドウ畑ウオッチング
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Vosne-Romanée Le domaine de la Romanée-Conti termine ses vendanges ce vendredi 29/09/2016
Immersion dans les vendanges de la Romanée-Conti 29/09/2016


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/07/16
先日、生産者直売価格で買うためにチーズ工房に行ったら、ブティックで売っている地元ブルゴーニュのワインの中に目を引かれたラベルがありました。


Montre Cul(モントル・キュ)という名のブルゴーニュワイン



どうしてこんな名前になっているのかを調べるために写真をとったのですが、ピントが合っていない!

日本でも売っていたので、画像をお借りします。



先日書いた「食前酒キール誕生の歴史」で、キール市長が「cul」という下品な言葉を使っていたことを書いたすぐ後だったので面白いと思ったのです。

フランス語でculとは、俗語で「お尻」のこと。「ケツ」と訳した方がぴったりすると思います。外国人女性がそう言ったら飛び上がられてしまう可能性があるので、教科書にあるようにfessesと言うべきでしょうけれど、発するのは避ける言葉だと思っています。

このワインには、それに「montrer(見せる)」の二人称命令形か三人称の形と思える単語が付いています。さらに、それが何であるかを見せる絵まで付いている!

飛んでもない名前のワインではないですか?
なぜこんな名前になっているのか調べてみました。

ディジョン市の西部にあるワイン生産地なのだそう。標高257~307メートルの土地で、勾配は13%ある。そういう傾斜地のブドウ畑で働く女性はこの絵のようになってしまう、ということなのでした。

この地域のリュー・ディ(区画の通称)がMontreculなのだそう。

AOC/AOPブルゴーニュとして販売できる地域になっており、それに付けることができる名称は、Montrecul、Montre-cul、Montre cul、en Montre-culがあるようです。

どんな場所なのか、写真を眺めました。この程度の勾配なら、他にもいくらでもありそうに見えるのですけど...。

https://climatsdebourgogne.wordpress.com/2015/05/28/montrecul/
Montrecul – Les Climats de Bourgogne en images


全部で16ヘクタールと狭い地域とのこと。今では赤ワインになるプノ・ノワール種のブドウしか栽培されていないようですが、昔は白ワインも生産していて、ムルソーに匹敵するくらい優れていると言われていたのだそう。

ムルソーはブルゴーニュ白ワインの中でトップクラスなのです。それなのに、この地域で白ワインになるブドウ品種を栽培するのを止めてしまったのかは分かりませんでした。


お尻を見せるという名前の銘柄でワインを作っているドメーヌは他にもあるので、どんなデザインのラベルにしているのか調べてみました。

「モントル キュ」を楽天市場で検索


下のは同じ発想のものですね ↓


それではハシタナイというわけでしょうか? ニワトリの絵にしているのもありました ↓




他にも変な名前のブルゴーニュワインはある

飛んでもないと思うのは、
シャブリの一級ランクにある「L’Homme mortロム・モール)」 。

そのまま読めば、死んだ人間。ボトルに手を伸ばすにも抵抗があるではないですか?!

こちらもブドウ畑の区画がある地域の通称から付いた名前でした。この地域にはガロ・ローマ時代の遺跡があって、骸骨が入ったメロヴィング朝の石棺が幾つか発掘したので場所の名前になったのだそう。

地域の名前が先にできていて、それではワインは売れないから別の地域名にしようということにはならなかったのでしょうね。


もう1つ、あれ? と思ったブルゴーニュワインは、ボーヌの「Clos des Mouchesクロ・デ・ムーシュ)」。


mouches(ムーシュ)と言われれば、蠅のことだと思ってしまいます。clos(クロ)というのは、塀で囲まれたブドウ畑。つまり、ハエがたかったブドウ畑ということ?!

ところが、昔はミツバチのことを「蜜にたかるハエ(ムーシュ)」という言い方をしていたようなのです。ですから、これは「蜜蜂の畑」と読み取るべきなのでした。

この2つのワインについては、すでにブログで書いていました:
ブルゴーニュならでは? 面白い自転車を発見♪ 2014/09/01


もっと変なことがラベルに書いてあるワインもある

モントル・キュの言われを調べていたら、もっと飛んでもない文字や絵が描かれているラベルのワインがあることを知りました。余り度がすぎると、ラベルで勝負している質の悪いワインに見えてしまいませんか?

そういうワインのラベルを紹介している情報がありました。


Top 20 des étiquettes de vin les plus marrantes, l’humour millesimé

Les dix vins les plus méchants de France

フランスのワインを並べているようなのですが、こんな名前でワインを市場に出すとは信じられないようなのも入っています。

... と思ったら、大ヒットもあった。


究極の命名は「Vin de Merde」?

ワインがひどく不味いとき、「こんなのはvin de merdeだ!」と怒ったりするときにも使われる言葉。それがワインの名前になっていました。

Merdeとは糞のこと。とても下品な言葉なのですが、フランス人は悔しがるときに、女性でも「くそ~!」と平気で言います。試験を受けに行く人などに「グッド・ラック」と言葉をかけてあげるときにも、縁起担ぎらしくて「メルド」と相手に言ってあげたりもします。発音するのは止めて、Mだけ言ったりもしますが。

不味いという定評があるラングドックのワインは、安く売っているのですが、外国には安いワインがあるので競争に勝てない。売りさばくのにも苦労していると聞きます。それなら、逆手にして「Le Vin de Merde」と命名してしまうという発想だったのだそうです。アイディアを思いついたのはレストラン経営者でした。

飛んでもない命名なのでニュースで騒がれ、売り出したときに用意していたボトル5,000本は数日で無くなり、追加で7,500本作ったとのこと。一時的な流行ではなくて、今でも市場に出ています。

飲んでみると、そう悪いワインではないということでも人気があるらしい。


Le "Vin de Merde" du Languedoc

実は、最近、このワインの産地に近いところに行っていた友達が帰ってきて、Le Vin de Merdeをお土産に買ってプレゼントにしようと思ったのに店では品切れだった、と言われたのです。フランス人はジョークが好きなので、こんなワインを面白がって買う人も多いのだろうと思います。

プレゼントをもらった人が包装をといて取り出すと、ラベルに「Le vin de Merde」と書いてある。もらった人は「Merde !(なんてこった!)」と叫ぶ、という筋書きかな?...



ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しいアルコール飲料
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Dijon a aussi son vin !
☆ Les Climats de Bourgogne en images: Montre-Cul
☆ Wikipédia: Bourgogne montrecul
Etiquettes de vin un peu osées : la Société des Alcools du Québec préfère l’éthique à la quéquette
☆ BIVB: Bourgogne Montrecul ブルゴーニュ・モントルキュル
Vin et cul : une réalité à regarder en face
Un vin de merde qui a du succès !


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/06/13
10日ほど前、友人たちとワインの買い付け旅行をしました。

大量に買う予定の人たちもいたのです。一人は仕事で見本市に出展するときにお客さんに出すためのワインを買うこと。もう一人は夏に69歳の誕生パーティーを開くので、そのためのワインの仕入れをする女性。

なぜ中途半端な年齢で誕生パーティーなのかとは聞かないでください。私は分からなかったので招待状をもらった友人に聞いたら教えてくれなかったので、インターネットで意味を調べてしまったのでした!


まずはマコネのワイン農家で白ワインの買い付けをしてからボージョレーに向かいました。


ボージョレー

この週末に出かけたのは、昔から知っているワイン農家がイベントをしていたからです。お得意さんを招待して食事をふるまうというもの。

雨が降りそうな天気だったので大きなテントが幾つか庭にしつらえてありました。



メイン料理は豚のもも肉を焼いたもの。



この装置で週末の2日間のために20本焼くと言っていました。

今年は寒くて雨ばかり降っているので、ブドウの成長が気になる。家の周りにブドウ畑が広がっているので眺めてみました。



ブドウの実が出来始めたという感じ。まだ葉が伸びきっていないように感じました。でも、特に成長が早い年でない限りは、ブドウ木が葉を広げて元気そうに見えるようになるのは6月末かな?...

飲み放題の食事会の後なので、この日の夜はレストランには行かず、ホテルでピクニックをしようということで食べ物を持って行きました。バルコニーが付いている部屋があったので、そこに各自の部屋からイスを持ち込んで宴会。

翌日は、観光を続ける組と、まっすぐ帰宅する組に分かれました。私は観光を続けたグループ。

ホテルから家へと直行した人たちは「疲れた」というのを理由にしていたのですが、家に帰ってから皆で昼食を食べて、それが夜まで続いていたのだそう。見学などするより、集まって食べたり、しゃべったりする方が好きなフランス人が多いのを思い出しました。


マコネ(ブルゴーニュ南部)

旅行2日目。昼食の時間が近くなったので、カフェで食前酒のワインを飲もうということになったのですが、適当な場所にある感じの良いカフェが見当たらない。

それで、行きつけのワイン農家に寄りました。ワインのストックには不足はありませんが、もう1ケースや2ケース買っても無駄にはならないので。

到着してみると、中にはにアラビア語が書かれているプレートの大きな車が止まっていました。イスラム系はお酒を飲んではいけないのに、変なの...。

ワインセラーに入ると、頻繁に来ていりびたっているのではないかという男性が発泡酒のクレマン・ド・ブルゴーニュを飲んでいました。つまり、車は外国のプレートなのだけれど、フランス人なのでした。

モロッコで長らく働いていたけれど、老齢年金生活になったのでフランスに戻ったとのこと。4輪駆動車で砂漠を走るときのコツなどを話しています。モロッコには私は2回行ったことがあるので有名な観光地の話しをしたのですが、全然知らないらしい。

ワイン農家のご主人にはモロッコの冒険談はし尽くつくしていたでしょうけれど、私たちが行ったせいで、おしゃべりがはずんでいました。こういうとき、ワイン農家の人も大変だなと思う。ワインの試飲ではなくて、飲んでいるのですもの。

もうお昼は回っているのに、おしゃべりは延々と続いている。私はセラーから出てブドウ畑の見学をしました。



ブドウは実を先につけて、それから花が咲くので、こういうのを見ても、花が咲いた後なのか、これからなのか見分けられません。まだ咲いてはいないという感じに見えたのですけど。

ワインセラーに戻ると、『Les Gouttes de Dieu』という日本の漫画が素晴らしいのだ、という話しになっていました。私が席をはずしている間に、私が何人なのかを聞いたのかな。面と向かって聞くのを遠慮するのですが、やはり気になる。戻って来たときに、国籍が知られているというパターンはよくあるのです。

フランス語訳を全て持っているのですって。

『神の雫』でしょう? 私は名前は知っているけど、読んだことはないと言うと、ぜひ入手するようにと勧められました。朝市に出ている本屋などでも売っているのですって。

私の友人たちは興味を示した様子。「探してみようよ」などと私に言う。何も私が日本の漫画をフランス語で読む必要はないではないですか~?! それに「私は漫画が子どものときから好きではなかった」と言っても角がたつので、うなずいておく。

本当にフランス語版が出版されているのですね:
☆ フランスのアマゾンで「Les Gouttes de Dieu」を検索



ロマネ・コンティのブドウ畑

その年のブドウ畑がどんなかを見るために、ロマネ・コンティの畑を見ることにしています。ここなら畑を間違えることはないので。



見たところは平穏そう...。






ブルゴーニュでは霜や雹の被害が出たというニュースも報道されていたのですが、この週末には荒れたブドウ畑は見かけませんでした。

ブドウの収穫は早くなっているのですが、今年は9月末になるのではないかという声を聞きました。9月末というのが伝統的なブルゴーニュの収穫時期です。

まだ雨がよく降って、寒いという日が続いています。たまに晴れると、午後になってから雷がなって雨が降ったりもする。本当に最悪の天気。

こんな年に良いワインができるはずはないので(雨ばかりだとブドウの木が病気になるので、例年より多く薬を撒くはずだし)、昨年のミレジムをたくさん買っておこうと思っています。

この週末旅行では、最後に雨が降ってきた程度だったのでラッキーでした。家に着いたときには、雲の中に虹ができていました。


  【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
★ 目次: ロマネ・コンティのブドウ畑ウオッチング
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/05/02
4月末、普段飲む白ワインのストックが切れてきたので、ブルゴーニュ南部マコネ地域のワイン産地に行きました。

久しぶりに見た青空が嬉しいので、車を降りてブドウ畑を眺めました。



ここの右手にリンゴの木が何本か植わっていて、こちらは花が満開。








ブドウの方は、やっと芽が伸びてきたというところ。



そろそろブドウの花も出てきているという感じ。




この後にワイン農家に行ったのですが、今年の春には被害が出たと話していました。

今年は暖冬だったのですが、春先の天気が悪い。霜にやられたのに続いて、雹にやられてしまったのだそう。

マコネの白ワインの中で最高とされるプイィ・フュイッセは、来年はほとんどできないと言っていました。

出来たとしても、値上がりするのでしょうね。今年の価格を控えておきます。

この農家では2種類のプイィ・フュイッセを作っていて(オーク材の樽で熟成したものと、そうでないもの)、ボトル1本の2016年価格は13ユーロと11.5ユーロでした。

マコネのブドウ畑では、上のランクのブドウ畑を中心に1,000ヘクタールくらいで被害が出たとか。

日常普通に飲む白ワインはマコネが好きなので、残念なニュース。

春先のブドウ畑の被害がでたのは、ブルゴーニュ南部のマコネ地域に限らないそうで、シャブリやシャンパーニュ地方での被害の話しも聞きました。


追記(2016年5月下旬):
今年の春は寒くて嫌な天気。このときのカラリと晴れたような日はずっとなくて、雨ばかり。それが5月末までも続いています。お年寄りたちは、暖冬のツケが回ってきたと言っています。

ブログ内リンク:
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2016/03/23
日本の友達と話しているとき、ロマネ・コンティと言っても何のことか通じないことがあります。ワインに興味がなかったら、知らなくても当然ですよね。

詳しく話しても意味がないと思うので、こう言っています:
‐ ロマネ・コンティというのはブルゴーニュの有名なワインで、世界で一番高いワイン。

そう言っただけで不思議に納得してくれるのです。高いワイン=美味しくて高品質のワイン、になるのかな?...


12月始めにフランスのワイン産地について書いてから、次々と連想するワイン関連のことを書いてきたのですが、その中でぶつかったフランス情報の中に、ロマネ・コンティより高い値段のワインがある、と出てきました。

そうだとしたら、いい加減に言っているのは止めなければいけない! それで、少し調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31

世界で最も高額なワインのランキング

フランス情報で、ロマネコンティの値段は世界第2位だという記事がたくさん出てきたのですが、それは昨年の夏から秋にかけて書かれていました。

その時期、「2015年 世界で最も高額なワイン トップ50」というのが発表されていたのでした。

Wine-searcherというサイトが発表したランキングのことでした。1999年にロンドンで作られたワイン関係の検索エンジンとオンライン・マガジンのサイトで、この分野では世界最大のデータベースを持っているのだそうです。




2015年のランキングとして50のワインを挙げられていたのですが、ブルゴーニュが圧倒的に多いのでした。
  • 上位3位までは、全てブルゴーニュワイン
  • トップ10のうち、6つがブルゴーニュワイン
  • 選ばれた50のワインのうち、40がブルゴーニュワイン

ブルゴーニュワインの産地は、フランスのAOCワインのブドウ畑の3%を占めるに過ぎないのだそうです。それなのに、こんなにランキング上位を占めているわけなのでした。

これはお値段が高いというランキングにすぎません。でも、どのワインが一番美味しいかという客観的なランキングは作れないわけですから、目安にはなるのでしょう。

データーを提供しているのはWine-Searcherなので、サイトを確認してみました。頻繁にアップデートしているのでしょうか。私がランキングの存在を知ったのは2015年も終わりの頃だったので、サイトに出ているランキングの順位は変わっていました。さらに、3月になったので、2016年のランキングというのも出ていました。

2015年のランキングでは、アンリ・ジャイエのリシュブール・グラン・クリュが第1位で、ロマネ・コンティは第2位でした。2016年のランキングでは、ロマネ・コンティが第1位。

投資の対象にされるボルドーが上位に入っていないのが私には意外でした。


世界で最も高額で販売されるワインのランキング

Wine-searcherのランキングを決めているのは、750mlボトルの平均販売価格。ヴィンテージは区別せず、ワインオークションの落札価格は加味せず、また特別に高かったり安かったりした価格は除外しているそうです。

その年の正式なランキングは夏ころに出すものかもしれないので、2015年のランキングの順番にワインを並べてみます。他にデータが見つかったのは2012年と2016年なので、それも入れます。

2012
2015
2016ドメーヌ / アペラシオン産地
11Henri Jayer
Richebourg Grand Cru
ブルゴーニ
(C ニュイ)
2
2
1Domaine de la Romanee-Conti
Romanee-Conti Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
33Henri Jayer
Cros Parantoux, Vosne-Romanee Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
5
4
2Egon Muller-Scharzhof Scharzhofberger
Riesling Trockenbeerenauslese
ドイツ
(モーゼル)
4
5
3Domaine Leflaive
Montrachet Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
765Domaine Georges & Christophe Roumier
Musigny Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
7
6Joh. Jos. Prum Wehlener Sonnenuhr
Riesling Trockenbeerenauslese
ドイツ
(モーゼル)
984
Domaine Leroy
Musigny Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
697Domaine de la Romanee-Conti
Montrachet Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
2010Domaine Jean-Louis Chave
Ermitage Cuvee Cathelin
ローヌ
11Henri Jayer
Vosne-Romanee
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
812George Jayer par Henri Jayer
Echezeaux Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
15
13
8Domaine Leroy
Chambertin Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
13
14
9Screaming Eagle
Cabernet Sauvignon
アメリカ
15Domaine Potinet-Ampeau
Perrieres, Meursault Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
21
16
10Domaine du Comte Liger-Belair
La Romanee Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
121713Domaine de la Romanee-Conti
La Tache Grand Cru Monopole
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
1814Petrus
 
ボルドー
(ポムロール)
181911Coche-Dury
Corton-Charlemagne Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
162017Domaine Faiveley
Musigny Grand Cru, Cote de Nuits, France
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
3747Emmanuel Rouget
Cros Parantoux, Vosne-Romanee Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)

ブルゴーニュのワインには、ブルゴーニュの紋章を入れました。確かに、ブルゴーニュがほとんどで、それに他の産地のワインが少し入っているという感じですね。

現在のランキング、個々のワインの価格、平均価格の決め方のルールなどは、Wine-Searcheのサイトの「World's Top 50 Most Expensive Wines」でご確認ください。


アンリ・ジャイエが作った伝説のワイン

2015年の高額ワイン・ランキングで、かのロマネ・コンティを抜いて1位になっていたアンリ・ジャイエHenri Jayer)。このドメーヌのワインが、上位15位までに4つも入っているのも異常だと思いました。ランキングは2011年のものにまでしか遡れなかったのですが、ずっとアンリ・ジャイエが1位でした。

それが、2016年には全く姿を消してしまっているのですから、よけいに気になる。

ランキングを決める条件には、最低10のオファーがあり、最低4つのヴィンテージがあることとなっているので、アンリ・ジャイエのワインはその条件を満たさなかったのかもしれません。アンリ・ジャイエはブドウ畑を甥に譲り、2006年に亡くなっているのです。

アンリ・ジャイエは日本ではとても人気があるようで、彼のワインづくりについての本が出ているのは知っていました。


ヴォーヌ=ロマネの伝説
アンリ・ジャイエのワイン造り

アンリ・ジャイエのブドウ畑

その他にも、彼に言及した書籍は幾つもあるようです:
日本アマゾンで「アンリ・ジャイエ」をキーワードにして検索

フランスでも、アンリ・ジャイエの写真を表紙にした書籍が出版されていたようなのですが、フランスのアマゾンで「Henri Jayer」をキーワードにして検索してみたら、それらしきものは何も出てきませんでした。

そもそもフランスでは、よほどワインに詳しい人でない限り、アンリ・ジャイエのことは知らないのではないかと思うのです。

ブルゴーニュの友達に「ロマネ・コンティ、知っている?」と聞いたら、なんでそんなことを聞くのかという顔をされて、ほぼ百%が知っていると答えるはず。でも、「アンリ・ジャイエ、知っている?」と聞いたら、どのくらいの人が「ウイ」と答えるかな?...

アンリ・ジェイエ氏は、2006年9月20日に、84歳で亡くなっていました。ちょうどブドウ収穫の時期だったのではないかな...。

最近のことなので、映像がたくさん見つかるだろうと思ったのですが、彼がちゃんと出ているのは、こんな画像の質が悪いのしか見つかりませんでした。いつ撮影されたのかも分かりません。


Henri Jayer interviewed by Jancis Robinson M.W.

巻き舌で話すブルゴーニュ訛りがほんの少しありますね。今では、かなり奥地、しかもご年配に会わないと聞けない訛りです。

気取らない人のようで、自然体でワインづくりをしていたのではないかと思います。こういう感じの男性は、ブルゴーニュのワイン農家で似た感じの人がいたな...。今のワイン農家のご主人の親という年代の人たちですけれど。

ストックがあるのをさばくだけのワインなので、プレミアムが付いているのではないでしょうか? 確かに、ケタ違いにお高い!



Wikipediaの情報が正しいとすれば、アンリ・ジャイエは1996年に、老齢年金を受け取るか、年金の受給をあきらめるかの選択を行政から迫られたのだそう。今では老齢年金を受け取りながら少し働くことができるようになっていますが、当時は働いていたら年金は支給されなかったはず。

それで彼は、甥のEmmanuel Rouget(エマニュエル・ルジェ)にブドウ畑を譲ったのだけれど、実際には2002年まではルジェのドメーヌの半分のワインづくりを自分の責任において行っていた。従って、彼が作ったワインで最後のミレジムは2001年。

アンリ・ジャイエに関しては、日本情報の方が遥かに状容量が豊富です。
こうなっていました:

彼は分益小作農で借りていたリシュブールのブドウ畑の契約が切れたので、それをメオ・カミュゼに返した1988年に引退宣言をしたけれど、その後もワインづくりは続けていた。

クロ・パラントゥーとジョルジュ・ジャイエのエシェゾーは、アンリ・ジャイエの名前で2001年まで出していた。2002年に全てのブドウ畑を甥のエマニュエル・ルジェに譲り、ジョルジュ・ジャイエのエシェゾーもルジェの名前がつくことになった。

アンリ・ジャイエの最後のミレジムは2001年というところは、フランス情報とも一致しているので、間違いはなさそうです。


後継者のエマニュエル・ルジェは、アンリ・ジャイエのワインが高値ワインランキングで第1位ということを扱ったニュースで親子で登場していました。

2015年のブドウ収穫期にエマニュエル・ルジェのワイナリーで撮影しているAFPニュースです。


Les vins d'Henri Jayer atteignent les sommets

見たことがない特殊な作業。これがアンリ・ジャイエ方式なのだそう。

ニュースではほとんど説明していないので、日本情報を読みました。ブドウの房は茎を除いてしまい、5~6日間、低温浸漬(6~8度)を行うのだそう。

ニュースではドライアイスが煙を吐いていました。なんだか死体安置のようで、私には少し抵抗がありましたけど...。

日本情報によれば、発酵はコンクリートタンクで行うのだそう。

先日、ボルドーのシャトー・シュヴァル・ブランで造った有名建築家が設計したコンクリートタンクを眺めながら、ブルゴーニュではコンクリートなんか使わないと思っていたのだけれど...。

白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01


それにしても、このエマニュエル・ルジェさん、不機嫌なお顔をしている方ですね。フランスの農業やたちは過激なデモをするのですが、そういう人たちの表情を思い浮かべてしまいました。息子さんを始め、ドメーヌで働いている人たちの表情が私には少し異様でした。普通、ブルゴーニュのワイン農家の人たちは、もっと陽気なのですから。

ルジェ氏はランキング1位になったので幾つものニュースに登場していたのですが、ワインを気に入ってくれている人がいてくれているのが嬉しいなんていう顔はしない。法外な値段でワインが売られるのは、とても危険なことだし、滑稽だ、なんてまで言っちゃっている。

確かに、ワインは開けてみたら、コルクが悪かったりする理由で飲めなかったりもするのですから、ボトル1本200万円も払うなんて気ちがい沙汰だと私も思うけど、それをバカにしてしまったら悪いではないですか?

先日書いた、シャトー・ディケムの管理人だったド・リュル・サリュース氏は、「イケムを愛してくれる人たちが満足するワインを作る義務がある」という話し方をしていたのを思い出しました。

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像 2016/03/16

でも、欲しいなら売ってやるよ、というのも商売としては効果があるかな...。


どんなワインが高額で売られるのか?

2015年のワインランキングで2位になったロマネ・コンティのオーベール・ド・ヴィネーヌ氏は、どう思うかについて、こう答えていました:

価格によるランキングには意味がない。ロマネ・コンティはグランクリュに格付けされている。このワインにとってのランクはそれだ。

フランスのワイン専門家が言っていたことも興味深かったです。

こういう高値ワインランキングの上位に入れる条件は、高品質であるだけではなく、希少性があることが条件になる。ブルゴーニュがたくさん入っているのは、ボルドーのシャトーのように大量にワインを作っているのではなく、小さな区画で少量しかできないために希少価値が高まっているからだ。

ウエイティングリストに入らなければ手に入れられないようなワインが高額で売られ、ランキングの上位に入る。

アンリ・ジャイエのクロ・パラトゥー(Cros Parantoux)は、日本のマンガが大きな役割をはたしていたと言います。『神の雫』のことでしょうね。これが世界的にヒットし、おかげで日本や東南アジア諸国でのブルゴーニュワインの販売量を倍増させたと指摘していました。


神の雫 コミック 全44巻完結セット (モーニングKC)

自分の周りの人たちに聞いてごらん、とおっしゃる。ペトリュスのワインなら、ワインバーなどで飲んだことがあると答える人が何人もいるはず。ところが、アンリ・ジャイエのワインを飲んだことがある人は皆無に等しい。つまり、ワイン崇拝は、飲まないワインに対して生まれるものかもしれない、と記事は結ばれていました。

でも、日本ではアンリ・ジャイエのワインはたくさん売られているので、お飲みになった方はかなりいらっしゃるのではないかと思ってしまうのですけれど...。あるいは、インポーターさんが仕入れても、こんなに高額だと買う人がいないから売れ残っている? たとえそうだとしても、希少価値は下がらないでしょうから損はしないのだろうな...。

アンリ・ジャイエのワインを楽天市場で検索


ベスト5に入っているドイツのワイン

フランスのワインに関しては、有名な産地ばかりなので、なるほどね... と思うのですが、全く知らなかったワインも入っていました。

このランキングは、あくまでも平均販売価格で順番を付けているだけで、美味しいワインの順番ではないはず。知らないワインがどんな風に作っているのかまで調べる気にはならないのですが、いちおう存在するのかだけは確かめてみました。


まず、ドイツワイン。

ドイツ語は読めないので、日本ではどう呼ぶのかをメモ。

Egon Muller-Scharzhof Scharzhofberger
エゴン・ミュラー醸造所

Scharzhofberger Riesling Trockenbeerenauslese:
シャルツホフベルガー・リースリング・トロッケンベーレンアウスレーゼ

こんなに長ったらしい名前をファンの方々は覚えるのですか?...  

このワインについて詳しく説明してくれているショップを右にリンクしました。

モーゼルのワインだそうです。それは名前だけは知っていました。

リースリングというのも、アルザスワインで知っております。

で、どう違う? 格別にお高いですね。


もう1つ、ドイツのリースリングがトップ10に入っていますが、無視します。


カリフォルニアの高いワイン

次は、アメリカワイン。2016年のランキングではトップ10に踊りだしているワインがありました。

Screaming Eagle
スクリーミング・イーグル

Cabernet Sauvignon:
カベルネ・ソーヴィニョン

スクリーミングするイーグルとは、キーキー鳴く鷹がいたからの命名なのかを知りたくて調べたのですが、分かりませんでした。

でも、このワインがなぜ高いのかを調べたら、非常に面白い日本での情報が出てきました。

カリフォルニアのナパヴァレーというところが産地。

シリコンヴァレーしか私は知らないのですが、そういう土地柄と全く無関係でもないような...。

ナパヴァレーを中心として生産される超高価で高品質のワインを「カルトワイン」と呼んで、セレブたちに人気があるのだそう。そういうワインが誕生したのは1980年代半ば。

スクリーミング・イーグルはカルトワインの1つで、生産量は6,000本と少なく、販売システムが特殊なのでした。

メンバーリストに入れてもらって、買い続けるなら買える、ということらしい。つまり、ワインの出来不出来、売値にも係わらず、買い続けるなら売ってあげる、ということ。買わないなら、権利をはく奪される。メンバーになってメーリングリストに入れてもらうのがステータスになる。

カルトワインでは、ワイン批評家のロバート・パーカーの得点が大きく影響しているようです。

スクリーミング・イーグルは、1992年のファーストヴィンテージでパーカー99点を獲得し、華々しいデビューを飾っていました。その後も、1995年は99点、1996年は98点という高得点を取り、1997年には、ついに100点を獲得! さらに、2007年、2010年も100点。

アングロサクソン系だと、百点満点というのを出すのに抵抗がないのかな。フランスでは20点満点ですが、20点は神様のレベルという認識があるのか、ほんの少し下げた点を出す傾向にあって、レストランガイドが20点満点を出したときなどは、採点には裏があったのではないかと騒がれたりしたけれど...。

パーカーはアメリカ人。お膝もとで、パーカーが支配するワインのカリスマ的なワインを作っちゃうか...。

日本のワインショップに書いてある情報を見ていると、パーカー得点というのがよく出てきますが、フランスでは聞いたことがありません。ボルドーあたりには影響力を持っているのではないかと思いますが、ブルゴーニュでは全く無視しているのではないかな。

フランスでよく聞くのは、アシェット社のワインガイドブックの評価。格式あるワインコンクールの受賞も左右するかもしれない。日本で売っているワインは、聞いたことがないコンクールの受賞マークがどっさりついていますけど。

フランスのテレビで、パーカーがワインに得点を与えるのは、かなり彼の個人的な評価とか、ワイナリーとの癒着関係があることを描いたドキュメンタリーをテレビで見たことがあります。それはそうだと思う。食べ物に関して、絶対的な評価を下すことなんて不可能だし、自分の損得で採点を決めてしまったって不思議はないと思う。


ランキングの上位に入っているワインは、たいていは昔からの評判が良くて、高くても売れるというワインだと思うのです。カルトワインのようにマーケティングの巧みさで高値になるワインがトップ10に幾つも入っているようになるのだろうか? 値段が高ければ買う方々がいらっしゃるからな...。


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
フランスのブドウ畑の市場価値(1991年と2014年の比較)
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ロマネ・コンティのブドウ畑ウオッチング
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ JDN: Le vin le plus cher du monde 01/03/2016
Classement des vins les plus chers du monde en 2015
Les vins les plus chers du monde 15/09/2015
「世界一高いワイン」が決まった!ロマネ・コンティは2位 2015.08.14
世界で最も高額なワイントップ10 2013/09/06
Classement des vins les plus chers du monde 2012
Le Figaro Vin: Les vins de Bourgogne plus performants que le CAC 40 15/10/14
Le Monde: Le Romanée-Conti n’est plus le vin le plus cher du monde 09.08.2015
Un top 50 toujours plus trusté par la Bourgogne 04/08/2015
Le Figaro Vin: A qui appartient le vin le plus cher du monde
Une bouteille de romanée-conti à 11 800 € 19/12/2015
Wikipédia: Henri Jayer
「ヴォーヌ=ロマネの伝説 アンリ・ジャイエのワイン造り」を読んで

Les vins d'Henri Jayer atteignent les sommets, ses héritiers gardent les pieds sur terre 24/09/15
RVF: Domaine Emmanuel Rouget
Yahoo!知恵袋: エマニュエル・ルジェに関して 
“神様の後継者”との衝撃的出会い(前編) ⇒ (後編)

Pourquoi 8 des 10 vins les plus chers du monde viennent de Bourgogne 03/08/2012
YouTube: Pourquoi certains vins de Bourgogne sont-ils parmi les plus chers au monde ?
日経ビジネス: カリフォルニアの、とてつもなく高価なワイン « ワインの「美学」「経済学」
NAVER まとめ: 世界一高価なワインって?高級ワイン・ロマネコンティ・オーパスワン・スクリーミングイーグル


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/19
ワインについて書いていたら、偶然に出会ったボルドーのシャトー・ディケムChâteau d'Yquem)。

フランス甘口ワインの最高峰と言われるワインを作っていて、その歴史は400年になるシャトー。

そのワインづくりを200年余りにわたってを担ってきたド・リュル・サリュース家は、20世紀が終わろうとするとき、ブランド帝国を築き上げたLVMHのCEOベルナール・アルノー氏に経営権を奪われました。

古き時代の最後のシャトー管理人となったのは、アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵(Alexandre de Lur Saluces、1934年~)。

その彼が、シャトー・ディケムのワインづくりの倫理を語るドキュメンタリー映画を見たことを前回に書きました:
シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像

昔風のやり方をしていた伯爵が立ち去った後、シャトー・ディケムにはどんな変革がもたらされているかを調べたくなりました。


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その29



シャトー・ディケムの新しい経営者は、高級ブランドの帝国を築いた実業家

ベルナール・アルノー氏(Bernard Arnault, 1949年~)が経済界に華々しくデビューしたのは、1984年のクリスチャン・ディオールの買収。そのやり方は巧妙なものでした。その3年後、彼はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の買収にも成功。次々と有名ブランドを傘下に収めてきました。

アルノー氏がいかにして経済界を築いたか、生い立ちから、その冷血な手口まで検証したルポルタージュがYouTubeに入っています。『Bernard Arnault, l'homme qui valait 30 milliards(ベルナール・アルノー、300億ユーロの男)』と題されたもの。

ここにYouTubeの動画を挿入する気はしないので(お金儲けのテーマは好きではないのです)、最後の「外部リンク」に入れています(のマーク)。1時間半の長さがある動画で、2014年に放映されたテレビ番組だと思います

こういうテレビ番組は日本では作れないでしょうね。コマーシャル代が入らなくなってしまうから、テレビ局としては避けるはずです。しかも、こんな暴きの番組に彼が登場してインタビューを受けているのにも驚き。皆から嫌われれば話題になって、それが宣伝になるし、どうせ何を言われても彼の絶対的な地位は揺るがない、という自信もあったのでしょう。


アルノー氏はフランスで最も金持ちと言われるのですが、雑誌フォーブスの2016年度世界長者番付では、フランスでは第2位、世界では第14位としていました。彼の資産は340億ドルで、ビル・ゲイツの半分より少し欠けるという感じ。

ちなみに、フォーブスがフランス第1位にしているのはリリアンヌ・ベタンクール。彼女は化粧品会社のロレアルの資産を持っていることで大金持ちなので、やはりフランスはブランドの国でしょうか? 私が彼女の名前を覚えたのは、サルコジ前大統領が、高齢で痴呆状態の彼女から選挙資金のためのお金を巻き上げたというスキャンダルがあって、連日のように彼女の姿をテレビで見たときでした。

私が勤めていたフランス企業を乗っ取ったのもアルノー氏でした。もの静かだった社長は去っていきました。アメリカ的なビジネスをするアルノー氏は怖い人だと思い、フランスも時代のページがめくられた、と感じたのを思い出します。シャトー・ディケムの交代劇を見たら、その当時がよみがえってきたから興味を持ったのかもしれません。


 ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る


シャトー・ディケムは、経営者が変わったことで何が変わったの?

シャトー・ディケムの責任者だったド・リュル・サリュース伯爵が立ち去り、2004年にはアルノー氏の全面的信頼を得ているピエール・リュルトン(Pierre Lurton)氏がシャトーの責任者となりました。彼は、ボルドーの高級ワイン「シャトー・シュヴァル・ブラン」の運営責任者の任もアルノー氏から任されています。

シャトー・ディケムでワインの品質を管理するMaître de chaiと呼ばれる酒蔵支配人だった女性は残っているようなのですが、ワインの味は以前と同じなのでしょうか?

最近のフランスでは人気が落ちている甘口ワインを作っているシャトー・ディケム。しかも、こんなに手間がかかるのに比例した採算がとれないワインづくりをしていたドメーヌから、どうやって戦術を展開して利益をあげようとしているのか、気になるではありませんか?...

シャトーの経営権を奪った投資家のアルノー氏は、ブランド品というステータスを活かして利益を生む才能は卓越した人物です。ブランドを買収した翌年には、その企業の収益を10倍にするようなこともやり遂げるのですから。

ハンドバックを作るなら、人件費がフランスとは比較にならないほど安い東欧に工場を移して、そこで作らせた部品をフランスで組み立てて「メイド・イン・フランス」として売ることができます。

でも、AOCワインには厳しい規定が課せられていますから、同じことはできません。政府公認の食品品質保証のAOCでは、まず第一に生産地と、そこで行われていた伝統的な生産方法を守ることが義務付けられているのですから。

ボルドーワインには全く興味がない私なのですが、ブルゴーニュのドメーヌも買収することは既にアルノー氏の計画に入っているでしょうから、他人事とは思えない...。

ブルゴーニュに手を出すなら、ロマネ・コンティがアルノー氏に狙われている、というのは誰もが思うことでしょうね。ロマネ・コンティの経営者であるド・ヴィレーヌ氏も、当然ながらインタビューされています。

1870年頃にフィロキセラ禍がやってきてからの百年間、ロマネ・コンティのドメーヌとしては一銭も利益がでなかった。歴史あるブドウ畑を守るという使命感だけのために働かなければならないような事業に投資家が手を出すとは考えられない、とおっしゃっていたのですけど...。

ベルナール・アルノー氏がブランド・ビジネスを成功させるために必要な特質として挙げているのは、① タイムレス、② モダン、③ 急成長、④ 高収益だとしている人がいました。彼はそれにコミュニケーション、人脈も加えている感じが私はしますけれど。


イケムの古城は現代風になった?

ド・リュル・サリュース伯爵は、400年続いていたシャトーの伝統を守ることだけに使命を感じていたようです。30年余りの在任中に土地を10ヘクタール広げましたが、それはドメーヌで働くトラクターが迂回しなくて良いようにという目的だけだったのだそう。

現代的なものがお好きでもありませんでした。シャトー・ディケムの城とブドウ畑を眺める景色には、電信柱が1本も見えないし、コンクリートも全く見えなかったそうです。駐車場も、丘のカーブで隠れる場所に作っている。ソーテルヌの村からシャトーまで、シャトー・ディケムの場所を示す看板も1つもたてないという徹底ぶり。ワイン樽の貯蔵庫のスペースを増やしたときも、地下にセラーを作っていました。

ところが、新しい経営者は現代的なものがお好きです。アルノー氏が手に入れたシャトー・シュヴァル・ブランでは、度肝を抜くようなコンクリートづくりのワイナリーを作って話題になっていることを書いていました:
白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01

ボルドーでは、斬新奇抜な醸造所を有名建築家につくらせるのが流行っています:
ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行 2016/03/03


シャトー・ディケムは16世紀から18世紀に建てられた古城。でも、新しいオーナーは建築家にデザインさせた醸造所を作っているのではないかという気がしました。

探してみたら、こんな画像がニュースに入っていました。


Château d’Yquem ne commercialisera pas le millésime 2012 - La Revue du vin de France

やっぱり派手にしたみたい。
でも、さすがに、突拍子もない現代建築を城の敷地に建ててはいないように見えました。


存在しないミレジムを作る伝統は?

シャトー・ディケムでは、満足できるワインにならなかったときは市販しない。それで存在しないミレジムがあるので、ソムリエ試験ではよく出る問題なのだと聞いたことがあります。

1年間働いたのに、収穫物を売らなかったら膨大な損害になる。実業家の手に渡ってからはミレジムなしの年はなくなるのではないかと思ったのですが、2012年は市販しなかったそうです。とすると、以前と変わらないこだわりのワインを作り続けているということになりますか?

シャトー・ディケムに存在しないミレジムは、次のものだそうです:
1910、1915、1930、19511952、19641972、197419922012

偶然なのでしょうけれど、20世紀後半から、20年おきにミレジムがない年になっている!...

2012年のミレジムを世に出さなかったのは、収穫量がとても少なくて、収穫したブドウも満足できるものではなかったから、とイケム側では説明していました。地元では、親しいネゴシアンに流して、イケムの名を付けないワインになった、という噂も流れているそうですが。

※ シャトー・ディケムの当たり年も出てきたので、メモしておきます:
1825 1847 1865 1870 1893 1904 1921 1937 1947 1959 1967 1983 1986 1988 1990 1997 2001



シャトー・ディケムのラベルが変わった

王冠のマークの下に「Château d'Yquem(シャトー・ディケム)」と書いてあるのは、全て同じ。違うのは、その下にある部分です。


Château d’Yquem s’affranchit de l’appellation Sauternes

左側のラベルでは、シャトーの持ち主だった伯爵家の名前から、貴族の称号である「de」を除いて「Lur Saluces」。経営者がこの一族ではなくなったので、2001年にそれを削除したラベルにした。

前回の日記「シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像」に入れたルポルタージュでブドウの収穫を見せていた2000年が、伯爵の名前を入れた最後のミレジムになったわけでした。

でも、リュル・サリュースの文字を無くしてしまうと下に空白ができて間が抜けてしまうので「Sauternes(ソーテルヌ)」の文字を入れたのだそうです。

2011年からは、シャトー・ディケムとミレジムしか見えないデザインにされました。ソーテルヌの文字が全く消えたのです。ボトルの裏側には書いてあるそうですが。

それまでは、メインのラベルの下に別のラベルがあり、そこにはソーテルヌと書かれています。これはド・リュル・サリュース伯爵がさせたものだったそうです。法律が厳しくなってきているので、イケムのボトルの正面にワインの容量が表記されていないのは問題が発生する恐れがある、と考えたからだそうです。

シャトー・ディケムのラベルは19世紀から変わっていなかったのだそう。当時は、こんな感じのラベルだったのだろうと思います。

シャトー・ディケム[1948]白  02P21Jul09

シャトー・ディケム[1948]白  02P21Jul09
価格:298,000円(税込、送料込)


2011年には、やたらにすっきりしたラベルになったわけです。ワイン専門家は、ソーテルヌの文字を見えにくくしたのは戦略だと捉えていました。甘いワインの売れ行きが落ちているのです。それで、店に並べるときには、ソーテルヌとしないでおいた方が客の目に止まるだろうというわけ。

もちろん、ソーテルヌという名前でワインを作っている人たちは、ソーテルヌをステータスの高いものにしていてくれたイケムがソーテルヌの表記を無くしてしまったことは面白くは思っていないようでした。


セカンドワインのYイグレック)」を毎年売ることにした

シャトー・ディケムでは、「Y d'Yquem (イグレック・ディケム)」というワインも作っていました。

収穫されるブドウはシャトー・ディケムと同じ畑で生産されます。でも、これは甘口ワインのAOCソーテルヌではなくて、AOCボルドー白を獲得しているアペラシオンなのだそう。

2012年のミレジムは、シャトー・ディケムとしては世にでなかったのですが、こちら「Y(イグレック)」の方は販売されていました。

イグレック(Y)は1959年に登場し、貴腐ワインの収穫が終わってから収穫していたのですが、条件が合わなければ生産しないので、30のミレジムしか生産しておらず、しかも生産量は非常に少なかったとのこと。

1996年からは、シャトー・ディケムの収穫前、貴腐が付き始めた時期に収穫するようになりました。

LVMHがシャトー・ディケムの経営権を獲得し、リュルトン氏がドメーヌの管理責任者となった2004年からは、Yを毎年作るようになったとのこと。

貴腐ワインのシャトー・ディケムはセミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%で作られるとのことですが、Yの方もセパージュは同じ。

甘口と辛口の中間的なお味なのだそう。もう1つの特徴は、シャトー・ディケムよりお安いこと。と言っても、お高いですけどね...。


こちらの方もラベルのデザインを変えていました。

2010年(左)と1985年(右)のミレジムの画像をお借りします。




2014年
ずいぶんデザインをすっきりさせてしまったのですね。

もちろん、このワインでもシャトーの持ち主だった「リュル・サリュース」の文字は消しています。

色も金色からグレーにしているので、高級感が薄れませんか?

上に入れた1985年のは「ボルドー・シューペリエール」、2010年のミレジムでは「ボルドー・ブラン」と、ミレジムの下に書かれているのですが、2012年のではボルドーワインだということさえ表示されていません。

この3種類を並べて置いたら、だんだんワインのランクが下がってきたみたいに見えてしまう。

「シューペリエール(supérieur)」というのは、英語にしたらupperなので、私はそう思ってしまうわけなのですが、理由がありました。

☆ Yahoo知恵袋: ボルドーACのボルドーとボルドーシュペリウールの違いを教えてください
AOCボルドー・シュペリエールは、アルコール度数が赤は10.5%以上、白は11.5%以上とAOCボルドーより高く設定されており、さらにブドウの収穫量がボルドーより少ないこと(ブドウの実の間引きをする分、糖度を上げる)、熟成期間が長いという規程がな定められています。


1996年からY用のブドウを早く収穫するようになったので、「ボルドー・シューペリエール」として販売することはできなくなっていたのでした。

その後、新しい経営者はAOCボルドーの白という文字も消えたわけですが、まさかその基準さえクリアーしないワインになったということではないでしょうね。

最近は甘口ワインが売れなくなっているので、Yに力を入れるようにしたのでしょうね。それでも、生産量は、貴腐ワインの方は年に最大12万本のボトルを作れるのに対して、Yの方は1万本に制限しているようです。

シャトー・ディケム社長のリュルトン氏は、今のところはYの生産量を増やすつもりは今のところはなく、知名度を上げることに力を入れている、と話していました。それはそうでしょうね。ただ「Y」とだけ書かれていたら、フランスワインなのかどうかだって分からないわけですから。

Yは、シャトー・ディケムと辛口ワインの中間的な存在なのだそう。少し甘いワインって、どんなのだろう?  ヴァンダンジュ・タルディヴというのとも違うのだろうと思うのですけれど。

このワインを扱っているショップが詳しく説明しているのでリンクしておきます:
☆ エノテカ・オンライン:  Y YGREC(Y イグレック)
icon


隠し子も作った?!

シャトー・ディケムのボトルの画像をネットショップで探していたら、奇妙なワインを見つけました。

ソーテルヌ[2009]

ソーテルヌ[2009]
価格:6,048円(税込、送料別)


この画像だけ見れば、なんのことはないワイン。「ソーテルヌ」と大きく書かれた文字の下を読めば、正真正銘のAOCソーテルヌだと分かります。でも、その下には、生産者の名前がありません。でも、シャトー・ディケムもそうなったのだから、違和感はそれほどない。

でも、扱っているショップの書き方が奇妙なのですよ~!

このショップでは、このワインが何というドメーヌで作られたのかかをぼかしています:  秘密のデ●ケム格落とし「ソーテルヌ」

「デ●ケム」って、ディケムのこと? と思わせるではありませんか? 怪しげ...。

[2009] ソーテルヌ 750ml 1本 Sauternes

[2009] ソーテルヌ 750ml 1本 Sauternes
価格:6,458円(税込、送料別)

幾つかのショップが、この商品を扱っていました。

中にはシャトー・ディケムの名前を出しているショップもあります。

それはそうでしょうね。

普通のソーテルヌより高い値段で売るのですから、シャトーの名前を出さないと買ってもらえないはずです。

右に入れたショップでは、店長ブログがあって、どこのドメーヌであるかを明記しています。
【シャトーディケムのセカンド的な存在? ソーテルヌ 2010入荷】


【シャトーディケムのセカンド的な存在? ソーテルヌ 2010入荷】|Wine Cellar KATSUDA Blog - 店長の部屋Plus+


それにしても奇妙なのです。

ショップのサイトに入っている写真で画像検索をすると、フランスのサイトでは全く出てこないのです。日本でだけ売っているのかな。シャトー・ディケムから出たワインだというのは本当なのだろうか?...

そんなことまで詮索するのは止めようと思ったとき、シャトー・ディケムの社長であるリュルトン氏のインタビュー記事が出てきて、そういうワインを市場に出しているというのが事実なのだと分かりました。2012年のミレジムが世に出ないことになったときのワイン雑誌の取材。

2012年のミレジムは市販されないことにしたけれど、セラーにはボトルで1万本くらいになるワインが樽詰めされていたらしい。もしも、ジェネリックとして問題がない品質なら、ネゴシアン(ワイン仲買人)に樽ごと売るのだそう。仲買人がボトル詰めして販売することになるけれど、シャトーの名前を付けないことを条件しているそうです。

ということは、日本のネットショップが思わせぶりな書き方をして売っていたのは、そういうワインだったのかもしれません。

新しいオーナーになる前でも、シャトー・ディケムが不合格にしたワインを捨ててしまったとは思えません。フランスのワイン通らしき人たちが書き込んでいるサイトでは、そういうワインはどうするのだろうかというのが2010年に話題になっていて、LVMHの写真に12から15ユーロで販売している、と書いている人がいました。

LVMHが経営するようになったら、シャトーの名前は出さないのを条件にネゴシアン売ることにしたのかどうかは分かりませんでした。

でも、シャトーの名前を入れないとはいえ、ジェネリックを市場に出すのは危険が出てきませんか?...


ボルドーワインには、先物取引の伝統がある

存在しないはずの「シャトー・ディケム 2012」を販売しているネットショップがあるとして、2013年にフランスのサイトで話題になっていました。


⇒ 大きな画像はこちら

ラベルにはミレジムが入っていなくて、価格は近日中に発表、2015年6月発送と書いてあります。使われているラベルの画像は、シャトー・ディケムの運営がLVMHになる前のデザインで、ラベルには「Lur Saluces」の文字が入っています。

このワイン販売サイト「1855.com」は経営難から買った人にワインを渡さないという詐欺行為で裁判にかけられ、2015年の始めにサイトは閉鎖されていました。有名なワイナリーの名を使った詐欺は時々ありますね...。

「Primeurs」と書いてあるのが気になりました。どうやら、このサイトは売りに出る前のワインを予約販売している会社のようです。

ここでまた、ボルドーのワインはブルゴーニュとは違うのだ、というのを発見。

ボルドー独特のワインビジネスとして、「vente en primeur」というのがあるのだそうです。primeur(プリムール)という単語はボージョレー・ヌーヴォーで使われているので、新酒の状態で出すのかと思ってしまうではないですか。

このピリムール販売というのは、つまりはワインの先物取引なのでした。収穫した翌年の春ごろに、新酒の状態でワインの仲買人たちに試食させ、予約販売をする。実際に市場に出たとき、それより高い値段がつくようだったら仲買人は儲かるし、その逆だったら損をする、というシステムのようです。

ボルドーワインは、ワインの質がどうのこうろというより、お金儲けになるビジネスという要素が強いのですね。アルノーさんは、やはりブルゴーニュを狙うより、ボルドーでワイナリーを増やした方が良いと思うけどな...。

プリムールに関しては、ボルドーのワインビジネスを扱ったドキュメンタリー映画の中にも出てくるのだそうです。


映画『世界一美しいボルドーの秘密』予告編

話しがそれてしまいますが、この『世界一美しいボルドーの秘密』という映画は、その題名から想像する内容ではないのだそうです。
原題は『Red Obsession』。

この映画のDVDを扱っているアマゾン(世界一美しいボルドーの秘密 [DVD])で内容が紹介されているのですが、ボルドーワインがなぜ美味しいのか知りたい人が見たらがっかりしてしまうはずだ、というようなコメントが入っています。

実際には、中国人がボルドーのワイナリーを買い占めているというのが大きく扱われているらしい。それは昔から聞いていたのですが、最近はもっとエスカレートしているようです。

この映画がリリースされた2013年に、フランスサイトでそれを扱った記事があり、中国人が所有したボルドーのワイナリーをGoogle地図に入れています。シャトーに付いている色分けは、赤が2011年とそれ以前、青が2012年、紫が2013年に中国人によって購入されたことを示しています。


イケムのソーテルヌは、若いうちに飲んでも美味しいですよ~♪

フランス情報を拾って斜め読みにしたのですが、シャトー・ディケムで収益をあげるためのキーポイントは、甘口ワインの人気が下がっていることを打破しようとしているように見えました。

実際、ソーテルヌのワインの価格は15年前の値段まで下がっているという人もいたし、ソーテルヌのブドウ畑の土地の価格も下落していることは少し前にブログで書いていました:
フランスのブドウ畑の市場価値(1991年と2014年の比較) 2016/01/24


シャトー・ディケムでも流行の波には逆らえないらしく、ワインファンや業界の人たちが情報交換しているワイン・フォーラムのサイトでは、ネゴシアンからかなりの割引価格をオファーされたと報告している人もいました。

シャトーとしては、中国市場での売り上げを増やそうとしている様子ですね。

それから、古酒になると素晴らしいという定評があるけれど、若いうちに飲むとフルーティーでとても美味しいのだ、とリュルトン氏は強調しています。邪道ではあるけれど、若いヴィンテージを9度に冷やして飲むと美味しいのだと示したら、テースティングの評判はとても良かったのだ、と話していました。

甘口ワインを長いこと寝かしておいたら、甘味が増えるのかな...。もしそうだとしたら、若いうちに飲むというのを流行させれば、甘口ワインが余り好まれていないというネックを打破することができるでしょうね。

貴腐が付き始めた段階でブドウを収穫するYのワインを毎年販売するようになったのも、辛口ワインをビジネスの大事なラインとして並行させるという経営方針ではないでしょうか?

さらに、シャトーのワインも余り糖度が強くないワインを作るという路線も考えられるのでは?...

そうすると、今までのように百年たっても美味しいワインではなくなるでしょうけれど、たくさん売れれば会社の収益は上がるのだから、何十年も先のことまで心配する必要はない。若いうちに飲みましょうと勧めているのだしから、そのアドバイスに従ってもらえれば良いわけです。

若いうちに飲めるようなワインを作るのは、ブルゴーニュワインでもトレンドになっていると感じています。長期間セラーに寝かせておかなければならないようなワインは、ストックしていると税金がかかるのでレストランが嫌うからだと言う人もいます。昔ながらの伝統を守っているドメーヌだと分かっていないかぎり、ワインは早いうちに飲んでしまうようになりました。昔は安いブルゴーニュワインでも、10年もたったときに飲んで驚くほど美味しかった、というサプライズも楽しめたのですけど。



他にもLVMHになってから何か変わった点があるのではないかと探したわけではないのですが、貴腐ワインというのに興味を持って調べていたら、不思議に思うシャトー・ディケムの収穫風景が出てきました。

それを次回に書いてから、ボルドーワインの話しは終わりにして別の話題に移ろうと思います。
続き: 甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの?

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その29


 

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
☆ Wikipédia: Liste des milliardaires du monde
Bordeaux, les plus grandes fortunes du vin en 2015
☆ Vitisphere: Le classement 2015 des premiers investisseurs de la filière
 YouTube: [Reportage] Complément d'enquête - Bernard Arnault, L'Homme Qui Valait 30 Milliards [HD]
☆ YouTube: Bernard Arnault, son parcours
Nouvelobs: L'adieu au manager
ベルナール・アルノー、語る
LVMH、不動産会社がなぜブランド帝国に?
ベルギー人になりたかった“金持ちのバカ”

Château d’Yquem s’affranchit de l’appellation Sauternes
Oenographilie: A PROPOS DE L’ETIQUETTE DU CHATEAU D’YQUEM
さらばソーテルヌ。シャトー・ディケムのエチケット変遷

Y s'affranchit de son grand frère Yquem
☆ Wineandco: Y d'Yquem
Dico du vin:  Yquem (château d'Yquem)
Une nouvelle génération d'Y

La Revue du vin de France: Yquem : le vin non commercialisé pourrait être vendu au négoce
Qu'a-t-il à y gagner, puisque c'est une cuvée qui n'est pas commercialisée ?
Vin : succès des ventes sur internet du Château d'Yquem 2012... qui n'existe pas 06/06/2013
Yquem 2012 existe, je l’ai rencontré
Enquête sur une grosse arnaque dans la vente de vin en ligne 02/07/2015

Yquem (château d’Yquem) Premier Cru supérieur (AOC Sauternes, Bordeaux)
Pierre Lurton : " Un Yquem jeune, c'est un plaisir immédiat "
Yquem cultive sa singularité
Yquem ou le retour à la pureté originelle
Le comte de Lur-Saluces s'insurge 07/09/2014

☆ Dico du Vin: Primeur (vente en primeur) Bordeaux
ボルドープリムールとは?
映画『世界一美しいボルドーの秘密』あらすじとネタバレ感想
Quand le rouge devient plus précieux que l’or : Red Obsession, un documentaire avec la voix de Russell Crowe sur la frénésie chinoise pour le vin
Vins de Bordeaux : de plus en plus de châteaux tombent dans l'escarcelle chinoise 04/06/2013


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/10
「本物」と言っても、建築物として「本物」と思える城(シャトー)のことです。

ボルドーのドメーヌは「シャトー」と呼ばれていることに私は違和感を感じています。建物の画像を見ていると、私の感覚では「château(城)」と呼ぶより、「manoir(館)」と呼んだ方がふさわしいと思える建物物ばかり...。

19世紀に建てられたものもありますが、私は19世紀に建築された城は「本物」とは思えないのです。建築技術が発達していますから、見た目は立派ではあります。でも、何か違う...。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その27


何を持ってシャトーと呼ぶか?

シャトー・ホテルでも、普通の家よりは大きな家だったりする程度のも見ています。昔はお城があって、それを壊して大きな館を建てたときも、昔の名残りで「城」と呼ぶこともある。

商売をする上では「城」という名前を付けていた方が高級感があって良いわけで、ある程度のお屋敷ならシャトーと呼んでも誇大広告にはならないようです。

でも、フランスにはお金を払って見学する価値があるシャトーだけでも5万くらいはあるのですから、歴史的価値がない建物をシャトーと呼んで欲しくないと思ってしまう。

かねがね気になっていたことなので、この際、「château(シャトー)」の定義を仏仏辞典で調べてみました。
  1. 諸侯ないし王室の住居
  2. 田舎の大きくて美しい大邸宅
  3. 昔には、堀や外壁や塔によって要塞の役目を果たした屋敷
  4. Cを大文字で表記すると、ボルドーのグラン・クリュを意味する

私は、歴史的に城の役割を果たしていた城を「シャトー」と呼びたいようです。

Château de Tanlay

ボルドーは、シャトー = ドメーヌと思わなければいけない。ブルゴーニュでは「ドメーヌ(domaine)」で、シャンパーニュでは「メゾン(maison)」という呼ぶ具合。

辞書にはグラン・クリュがシャトーだとあったのですが、グラン・クリュでなくてもシャトーと名付けているところがあるのではないですか?...


ここのところ、ボルドーのワイナリーについて調べていたのですが、すごいお城の画像に行き当たりました。
これは、まぎれもなくシャトーと呼ぶに相応しい建物!

Château d'Yquem


シャトー・イケムChâteau d'Yquemは歴史的価値がある城

あら、まあ、すごい! と驚いたのが、この映像でした。


英語版: Chateau d'Yquem 's Wines - Bordeaux - Millesima 

かの有名なシャトー・ディケムChâteau d'Yquem)でした。



イケムの管理人、リュルトン氏

でも、この動画の冒頭で、またあの人が出てきたのでギャフン。

先日シャトー・シュヴァル・ブランのことを書いて以来、情報検索すると、関係ないものにまで彼が登場するので、何度も見るはめになっているので、いささかうんざりしてくる...:
白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01

シュヴァル・ブランとイケムのドメーヌの支配人を兼ねているピエール・リュルトンさんです。フランスの高級ブランドを次々と買収しているベルナール・アルノー氏の全面的信頼を得ていると言われる寵児。

この方を初めて見たときから、デジャヴュを感じるので奇妙なのです。人も羨むような良いポジションにいるのに、なんだか幸せそうに見えない表情が不思議。上司には絶対服従で、自分より立場が弱い人には見下した態度をとる人のイメージかな?... 人間の弱い面を見せられるようで、私は非常に傷ついてしまう...。

またまた動画に登場されたので、この人を見た私が誰を連想しているのかと考えてしまいました。私が勤めた職場にはいなかったような...。でも、頻繁に会っていた人のような気がする...。

ようやく、あの人ではないかと思い浮かびました。日本人なのですけど。

リュルトン氏は、アルノー氏からフランスの高級ワインで伝説の人のようになる役割を担わされているのだろうと思います。ワインの世界においては名門の出のようです。リュルトン一族はボルドーの25のドメーヌを持っていて、そのブドウ畑の総面積は1,600ヘクタールなのだそう。

「ボルドーにあの人あり」と言われるようなカリスマ的な資質には欠けるように感じるのですけど...。でも、イケムのワインの話しをしているこの動画では、ほんのりと笑顔を見せています。やはり、コンクリートでワインを作るのを宣伝するより、伝統的に作られているワインの話しをする方が居心地が良いのではないかな...。

リュルトン氏は、ご自身のシャトーもお持ちでした。

Château Marjosse(シャトー・マルジョス)というドメーヌ。

「シュヴァル・ブランとイケムで行われている優れたワインの作り方をしています」とか宣伝して、日本では高く売っているのではないかと思ったのですが、むしろフランスワインとしては安い方ですね。よほど質が悪いのかな...。

マルジョスとはどんなお城なのかと検索したら、またまたリュルトン氏がインタビューに答えている動画にぶつかってしまいました。

ジュバル・ブランとイケムの仕事は、「良い父親であるため」にして請け負っていて、自分のドメーヌでのワインづくりは純粋な趣味でやっているとおっしゃりたいらしい。
※ またまた、ひとり言   クリックして開く/閉じる

彼の顔を見た私が誰を思い浮かべていたかが分かってすっきりしたので、このシャトー・ディケムの建築物としての城について調べました。


シャトー・ディケムとは、どんなところ?

16世紀から18世紀に建てられた城が残っていて、2003年に政府から歴史的建造物の指定を受けていました。隣に工場のような建物が並んでいるのは気に入りませんが、でもワインの醸造所なのだから仕方ない。

こういう城だったら見学してみたいと思って調べたら、1時間半のガイド付きヴィジットがあるとのこと。でも、一人60ユーロもするのでした。夫婦二人で見学したら、デイリーワインなら1ダース買えてしまうお値段。

このお値段なので、試飲はあるそうです。ムートン・ロートシルトのシャトーを見学したときには、ワインを1滴も飲ませてもらえなかった恨みがあるので、それよりは良い見学になるのだろうとは思いました。

でも、ボルドーまで行く予定は全くないので、城の様子が見れる動画を探しました。

すると、『Les Quatre saisons d'Yquem(イケムの四季)』と題されたドキュメンタリー映画がYouTubeに入っているのを発見♪

シャトー・ディケムでの1年を追った1時間半のビデオなのですが、映像が美しいだけではなくて、訴えかけるものがあって、とても良いドキュメンタリーでした。

撮影されたのは2000年。
下のワインを作るためのブドウが収穫された年のお話しです。


シャトー・ディケムが、高級ブランドを次々と買収しているLVMHに乗っ取られたばかりの時期。ドメーヌを取り仕切る役割が、さっき誰かさんを思い浮かべると書いたリュルトン氏になる前なので、登場しているのは先祖代々のドメーヌを守ってきたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵でした。

建築物としてのシャトーを見ようと思っていたのに、興味はワインづくりの方に行ってしまいました。経営者としての伯爵は、従業員を家族のように大切にしているという昔ながらの姿。そして、イケムを愛してくれている人たちに満足してもらえるワインを作ろうとする姿。幸せそうに働く人たちが映し出されていました。

友達にドキュメンタリー映画のことを話したら、ボルドーのアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、ブルゴーニュならロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌ氏に匹敵するような人なのだと言われました。

また1つ、フランスにあった昔ながらの文化が投資家によって壊されるのではないか、というレクイエムとして記録映画が作られたのかも知れません。

ドキュメンタリーを見た後、シャトー・ディケムの買収劇や、その後は何が変わったのかなどを調べながら書いていたら長くなってしまったので、ページを新しくして入れることにします。

続き:
シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その27


 

ブログ内リンク:
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
Lurton (Pierre) Cheval Blanc et Yquem
☆ オフィシャルサイト: Château d'Yquem
Figaro vin: Château d'Yquem
Wikipédia: Château d'Yquem


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/02/27
パリにあったワイン市場のことを書きながら情報を探していたら、フランス人がワインを飲まなくなってきているというデータが出てきていたのでメモしておきます。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その23

パリでは、17世紀前半に作られたワイン市場では狭くなってきたので、19世紀半ばにはもう1つのワイン市場が作られたという話しを書いてきました。フランス人は19世紀にワインを非常に飲むようになっていました。

1955年には、1年間に平均143リットル飲んでいたとのこと。1年を365日として割ると、1日0.4リットルくらいですか。お酒を飲まない人もいたでしょうから、飲む人はかなり飲んでいたということでしょうね。


フランス人はワインを飲まなくなっている

20世紀後半からワインの消費は減少して、1996年には67リットルにまで下がったとありました。およそ40年の間に、ワインの消費は半分以下になったということですね。

下は、1961年から2014年までのアルコール飲料の消費を示したグラフです。


Alcool : évolution des quantités consommées par habitant - OFDT

スピリッツ(Spiritueux)とビール(Bières)は殆ど変化していません。ワイン(Vins)が激減しているので、全体(Ensemble)と同じ下降線を表しています。

赤いラインがワインの消費量。3分の1くらいにまでに落ち込んでいますね。

フランス人たちのお酒を飲む量が激減したのは、酒飲み運転の規制が厳しくなってからだと思っていたのですが、そういう風にはグラフからは見えませんでした。むしろ、ここ15年くらいは横ばいに近い状態になっています。飲まなくなったと私が感じたのは、彼らが外出しているときの姿なので、全体にはひびかないのかもしれない。

この統計では、15歳以上を対象として、アルコール飲料を1人が1年間にどのくらい消費しているかを示しています。純粋アルコールをリットルで表していると説明してあるのですが、度数で換算したということなのかな?...



下のグラフは、どのくらいの頻度でフランス人たちがワインを飲んでいるかを示しています。


La consommation de vin en France en 2015

色が濃い部分が、いつも飲んでいる人(2015年で16%)。毎日か、ほぼ毎日という飲み方。
最も薄い色の部分が全く飲まない人の割合(2015年に33%)。
中間に位置するのは、時々飲む人(2015年に51%)。

1980年からずっと、全体的に飲まない傾向に移動したわけですね。1980年には、ほぼ半数が毎日のように飲んでいたのに、今では半数は「時々飲む」となっている。

いつもワインを飲む人の割合は、平均すると16%しかいませんが、年齢によって高くなっていました。50~64歳で23%、65歳以上だと38%。

ワインをたくさん飲むのは、やはり男性の方ですね。1980年には、男性の8割が毎日のようにワインを飲んでいましたが、女性は37%。2015年には男女差が縮まって、男性で23%、女性で11%に減少しています。



年間に何リットルのワインが販売されたかを示すデータがありました。15歳以上を対象にしたアンケート調査結果です。

http://www.mon-viti.com/sites/default/files/images/conso_france_1960-2015.png
Les Français et le vin : bientôt l’abstinence ? 15/10/2015

1人当たりのワイン消費量をグラスの大きさ示しています。

1960年には、ワインの消費量は4,600万ヘクトリットルで、一人あたりに年に100リットル。

2015年には、全体で2,720万ヘクトリットルとなり、一人あたりは年に42リットル。ボトルにすると56.4本。計算に弱いので書かない方が良いのだけれど、1週間でボトル1本を飲むという計算かな?... 全くワインを飲まない大人がいるわけですから、そんなに少なくはないのかもしれない...。


バック・イン・ボックスでワインを飲むようになった?

2015年のワイン雑誌サイトの記事に、こんな図が入っていました。フランス人ひとりあたりを示しています。


spiritueux magazine: Infographie, Les chiffres de la consommation du vin en France 17/10/2015

1人あたり、平均すると年にワイン代として2万円くらいをかけてているということですね。

計算すると、ボトル1本300円? そんなに安いワインを飲んでいるのかな?...

ブルゴーニュにいると美味しいワインを安く買えますが、水代わりに飲むワインだって、1本千円くらいはするけど...

でも、最近の傾向として、ボトル詰めではなくて、カートンに入ったワインを買う人が増えているのだそう。

フランスでも英語で「Bag-in-boxBIB)」と呼ぶもの。

http://nemesis-fc.fr/les-bib/
Les BIB | Fabrice Chaudier

これは2014年の記事。Bag-in-boxで買われるワインの割合は35%になっていますが、もっと最近の記事だと40%という数字が出てきています。

ワインの梱包方法による分類では、売り上げが伸びているのはバッグ・イン・ボックスだけです。

カートンの中にはビニール袋に入ったワインがあって、飲んでいっても真空状態で保存できます。

保存期間は3カ月くらい。

袋に入っているワインを水道の蛇口から出すようにして、好きなときに、好きなだけグラスにつぐことができます。

ワインをあけても飲み切らない人だったら便利でしょうね。この売り上げが伸びたのも、ワインを余り飲まない人が増えたからかもしれません。

そして、ボトル詰めではなくて、こういうのをフランス人が多く買っているのだとしたら、ワイン代が安いのは納得できます。


BIBが多くなったというので情報が出ているのでメモ。

このシステムは、1955年に発明されたのだそう。

Bag-in-boxというのは商標登録されているので、フランス語で言うならfontaine à vin。フランスに普及したのは1990年代の後半なのだそうです。

瓶詰ではないので日本に持ち帰るのに便利だと喜んだころに書いたブログは2005年でした。

持ち運び便利なワインを買う 2005/03/16

ワイン農協で、シャブリの10リットル入りが80ユーロ(約11,000円)だったと書いていますね。

10年前にブログを書いたときには、日本ではバッグ・イン・ボックスがほとんど売られていなかったのですが、今調べてみたら、かなり出てきました。日本にも流行が移ったのかな?...

バック イン ボックスを楽天市場で検索

その後は、ワイン農家で買えるようになったので、シャブリの農協で買うことはなくなりました。

私はフランスで水を飲むとお腹を壊してしまうので、常に冷蔵庫に白ワインのバッグ・イン・ボックスを入れておくようになりました。

ワイン農家は幾つかあるのですが、いつも軽くてフルーティなマコネの村の名前がついた白ワイン。

例えば、右に入れたサン・ヴェラン。

私は幾らで買っているかな?... 大量にワインを買うので、お得意さん価格にしてくれるのですが、ボトル1本に換算したら600円くらいかな...。

でも、さっきの統計にあったボトル換算で1本300円にはならないです。

ワイン産地に住んでいない人たちは、たぶんスーパーで買うのだろうと思います。すると、かなり質の悪い、AOCなどは取っていないワインが並んでいるのです。そういうのを買っているとしたら、そのくらい安い予算でワインが飲めてしまっているかもしれない。

ともかく、バッグ・イン・ボックスの売り上げが伸びていると聞いて納得できました。以前はワイン農家の人たちは作りたがらないので、日本に買える少し前には予約したりして確保していたのですが、最近は比較的簡単に手に入りますので。

BIBを話題にしたニュースもありました。


RTBF LA UNE bibovino

上質ワインを入れたBIBを扱う店も登場したと言っていました。それは賢いと思う。上質のワインを入れれば、ボトル詰めとそう違わないのですから。

フランスでは頻繁にある20人以上、50人以上集まるパーティーでも、10リットル入りのカートンはとても便利なのです。

セルフサービスのワイン(下)
 


フランス人は世界で一番ワインを飲む国民

フランス人のワイン消費は激減したということは、飲まなくなっているということではないようです。外国での消費と比較すれば、フランスは相変わらずトップレベルでワインを飲んでいました。

下は国別のワイン消費量を示した図(2013年)。

http://www.primus-soft.fr/uploads/filemngr/consommation%20vin%20france%20erp.jpg
Les Français boivent moins souvent du vin, mais l'apprécient plus 14/10/2015

消費量は、フランス人がトップで1人当たり年間42.7リットルを飲んでいる。日本人は2.7リットルなので、フランス人の16分の1ですか。そんな差ではないと感じるのですけれど...。

緑色の矢印は2010年と2013年を比較した消費量。アルゼンチン、日本、中国が伸びています。

ところで、住民一人あたりのワインの消費量が最も多いのは、実はバチカン市国なのそう。税制が異なるのでランキングには入らないだけとか。別のソースでは、フランス人は一人年間44リットルだけれど、バチカンでは73リットルと報道していました。

カトリックの総本山があるので、ミサでワインが使用されるから多いのかと思ってしまいますが、そうではない。バチカン市国の人口は800人しかいないけれど、健康客が多いので単純に割り算するとそうなってしまう。それから、税制が特殊で、バチカンの従業員と退職者はスーパーでアルコール飲料を安く買えるパスがあるのも原因ではないかとみられているそうです。


ワインの消費に関するフランス情報を検索していると無限に出てきてしまうので、データを眺めるのはこのくらいにしておきます。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その23



ブログ内リンク:
★ 目次: ワインの消費、ビジネス、飲酒規制、歴史など
★ 目次: ワイングッズ、ワインのボトル、グラス、コルクなど
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Enquête sur la consommation de vin en France en 2015
La consommation de vin en France en 2015
Espace Champagne: Consommation de vin en France en 2015 
Alcool évolution des quantités consommées par habitant
Les Français boivent toujours trop 12/04/2013
Les jeunes Français reprennent goût au vin
Insee: Boissons alcoolisées : 40 ans de baisse de consommation 2004
Les Français au top mondial des buveurs de vin, après le Vatican
Les Français préfèrent boire de l'alcool à la maison
Le Bib prend du volume quand la bouteille prend de la valeur
Les BIB
Le Bag-In-Box® ne connaît pas la crise.
Le « Bib » peut-il remplacer les bouteilles ?
Chiffres clefs de la filière vin
Les stéréotypes du buveur
Bonne et mauvaise ivresse


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/02/12
パリでは17世紀にワイン市場が作られのですが、拡張して14ヘクタールの敷地になった市場でも手狭になってきました。19世紀後半になると、もう少しパリの中心からは外れたベルシー地区に、パリのアルコール飲料ビジネスのためのスペースが作られます。

前回は、パリに初めて作られたワイン市場(Halle aux vins de Paris)について書きました:
パリとワインの関係 (2): パリ・ワイン市場(サン・ベルナール河岸)

その続きとして、今回は、パリの増大したワイン市場に対応するために19世紀に作られたEntrepôt de Bercy(ベルシーの倉庫)について書きます。

ほんの少し前までパリに存在していたレトロな空間。ベルシーの酒蔵が解体される前に行くこともできたはずなのに、その存在は知らなかったので見学しようと思ったことがなかったのが残念...。

ありし日の風景を探してみました。


L'entrepôt de Bercy, 1908年

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その21

パリは拡大され、首都でのワイン消費量も増大

パリでのワイン消費量は、1800年には100万ヘクトリットルだったのに、1865年には355万ヘクトリットルとなっていた、と書いてありました。

前回の日記で書きましたが、17世紀末のパリの家庭では1日に1リットルもワインを飲んでしまうのも珍しくなかったようなので、19世紀になったらアルコール飲料の摂取がもっとエスカレートしたのかと思ってしまいます。

でも、19世紀に入ってから、パリの人口は飛躍的に増加していたのでした。人口が3倍になれば、ワインの消費も3倍になっても不思議はありません。

パリの人口の推移を表すグラフです。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/fr/timeline/00ce8269cc4690d6e3eb939fde293973.png

1860年のところで人口が飛躍的に増加していますが、それはパリ市の面積が拡大したのが理由です。

パリ拡張の直前、1859年のパリの地図を見てみましょう。



青い線で囲っているのがMur des Fermiers généraux(フェルミエー・ジェネローの壁)のラインで、その中がパリでした。1960年に、赤い線で示されているEnceinte de Thiers(ティエールの城壁)までパリは広がりました。

これに東と西に広い森を加えれば、いまのパリ市の広さになります。

Boulevard périphérique de Paris赤い線で示された城壁は、現在ではpériphériqueと呼ばれるパリ市を囲んだ道路になっています。

この環状道路は、交通量が多いのに車は飛ばすし、パリ独特の慣例的な車の走り方があるので、フランスでは田舎者の私としては怖くて仕方ない場所です!

パリっ子たちは慣れてるので平気なのでしょうけれど、私は車の助手席に座っているだけでも緊張してしまう...。


昔のパリにあった2つのワイン市場

Googleマップを入れてみます、ちゃんと表示されるのでしょうか?

初めに作られたワイン市場 Halle aux vins de Parisは、5区にあるパリ植物園の隣、サン・ベルナール河岸にありました(A地点)。そこでは狭くなったので作られたワイン市場Entrepôt de Bercyは、パリの中心から少し離れた12区のベルシー地区(B地点)。



歩いて30分くらいの距離ですね。両方とも、当時の流通が頼っていたセーヌ河のほとりにあります。

新しく酒蔵がつくられたベルシー地区はパリの外にあったのですが、1959年にパリ市に組み込まれていました。その10年後に、ワインビジネスの場所が造成されたことになります。

パリ市内には酒税が課せられますから、その中にワインビジネスの拠点を作るのにはメリットがあったのでしょう。


ベルシーの酒蔵

1869年にEntrepôt de Bercy(ベルシーの倉庫)という名前で新しいワイン市場が作られたのですが、この地域には、すでに18世紀には小規模なワイン市場が存在していたそうです。

1856年のベルシーの河岸を描いた版画です。


L'entrepôt de Bercy en 1856

これだけ酒樽が並んでいるのを見ると、もうすでに本格的な市場ができていたのではないかと思ってしまいます。

19世紀にベルシーにワイン市場ができたきっかけという逸話がありました。ブルゴーニュに関係して面白いのでメモしておきます。

1704年、ルイ14世はベルシーのノートルダム教会のミサに参列した。そこにいた信者たちは王様に敬意を払って跪いていたのに、一人の男が立ったままでいる。不謹慎である! 衛兵が行ってみると、その男は跪いているのであった。巨人のような体格なのだ。ミサが終わると、興味を持った王が男を呼び寄せて話しを聞く。彼はブルゴーニュ地方のジョワニーのブドウ栽培者だった。

その機会を利用して、男は王に商売には問題が多いことを愚痴った。その話しを面白がった王は、彼が毎年ベルシーの岸辺でワインを販売する許可を与えた。

これが、ベルシーでワインの取引がなされるようになった始まりというわけです。


王様が町中にあるベルシーの教会に行ったのは不自然だとは感じます。よほど立派な教会なのかと思って探してみたら、現在のベルシーにはÉglise Notre-Dame-de-la-Nativité de Bercyという教会がありました。これは17世紀にたてられたNotre-Dame de Bon Secours教会の場所に19世紀に建て替えられた建物なので、ルイ14世とは関係ないですね。

ただし、ベルシーには城や貴族の館がありました。

庭園から歩いていけばセーヌ河に出られそうなベルシー城です。


Vue du château de Bercy depuis la Seine (Gravure, Base Mémoire)

このベルシー城(Château de Bercy)は、このお話しの時期の10年後に完成していました。ルイ14世の財務監督官だった人が所有者だったので、城に行った王様が、そこから2キロくらいのところにある教会に足をむけることも無きにしもあらずという気もします。

お話しには、ブルゴーニュのブドウ栽培者が登場しています。パリのセーヌ河はブルゴーニュからワインを運ぶには非常に便利な水路だったので、その河川を水路として利用していたブルゴーニュが登場するのも筋道は通っている...。

跪いていても立っているように見えたのはジョワニー(Joigny)の人となっています。シャブリから遠くないところ、ヨンヌ川のほとりにある町で、少しパリの方に川を上るとセーヌ河と合流します。ヨンヌ川は、パリに材木やワインを供給する水路として大切な川でした。

蛇足ながら、パリを流れているのはセーヌ川(Seine)と言われますが、本来は合流したときの水量の多さで河川の名前を決めるので、本当はヨンヌ川(Yonne)と呼ばれるべきだったと言われます。2つの川はブルゴーニュに水源があるので、どちらでも良かった、と私は思うのですけれど。

そんなわけで、ベルシーの酒蔵誕生の逸話はよくできているのですけれど、後で作った話しという気持ちは拭い去れません。


ベルシーの酒蔵Entrepôt de Bercy

1869年、ワイン倉庫がベルシー地区に作られました。その前からあったサン・ベルナール河岸のワイン市場は広さが14ヘクタールでしたが、こちらは42ヘクタールの敷地。

ありし日のベルシーの様子をたくさんの写真で見せているのがありました。画像をクリックして開いたページで、右上にあるボタンの左端の矢印が付いたボタンをクリックするとスライドショーで見ることができます。

Au temps des pinardiers - Halle aux vins de Bercy
Au temps des pinardiers - Halle aux vins de Bercy


1972年にはパリで400万リットルのワインがパリで消費された、という記録があるそうです。当時は生活が厳しかったので元気づけに庶民がワインを飲んだ。兵士、肉体労働者、農民など、特に赤ワインが消費されたようです。そうした底辺の人たちのための安いワインだけではなくて、ベルシーの酒蔵では裕福な人たち向けの上質のワインが、ネゴシアンたちによって、特にCour Saint-Emilionと呼ばれた界隈でワインが商品化できるようにしていたそうです。

パリには2カ所のアルコール飲料の市場ができたわけですが、20世紀になるまでは同じくらいの取引量だったようです。

ところが、ベルシーの方が重要になってきます。1930年の時点で、アルコール飲料の30%がサン・ベルナール河岸のワイン市場で、残りの70%がベルシーで扱われるという割合でした。


Entrepôt de Bercy(ベルシーの倉庫)と呼ばれたこの場所で行われていたワイン産業は、一般の人たちはどのようにワインが作られているかは見えないようなものだったようです。ワイン醸造者やネゴシアン(仲買人)などワインビジネスに携わる人たちだけが出入りできたのだそう。ここではフランス各地から集まるワインをブレンドして商品化するので、往々にして質の悪いワインがあった。

1960年代、事情が変わってきます。ボルドーでは「シャトー詰め(mise en bouteilles au château)」というのを考え出した。消費者たちはワインの質を求めるようになりました。例えば、ブルゴーニュワインに、コート・デュ・ローヌやアルジェリア(※)のワインを混ぜて量を多くして売るようなことができなくなってきます。

※ アルジェリアは1830年から1962年までフランス領

次第にワインの仲買人たちが姿を消し、閉鎖される酒蔵も出てくる。ベルシーは、時代の流れの中で役割がなくなってきたようです。

ベルシーのワインビジネスについて知りたいのなら、この本が非常によく書かれているそうです。ご興味のある方はお読みください。

 Bercy, Lionel Mouraux (1983)


ベルシーの再開発


Le petit Bercy, marché public des vins et spiritueux, 1908年

ヨーロッパで最大の規模のワイン市場だったベルシーの酒蔵ですが、1980年頃から地域の再開発が始まりました。

200年も存在していたベルシーの酒蔵。ここはワインのビジネスに関係する全てが集まった村のような雰囲気があったそうで、取り壊すことになると、昔を懐かしむ人たちの姿がニュースで盛んに放映されたようです。


INA: Les entrepôts de Bercy 1993年のニュース

この映像では、始めに分厚い帳簿を開いていますが、1880年からのものなのだそう。

プラタナスの木々があって涼しかった、活気づいた生活があった、ここで働く人たちはみんな幸せだった... なんて、ベルシーの市場がなくなってしまうことを悲しんでいますね...。

時代の流れには逆らえません...。


酒蔵だった歴史を残すベルシー村

ベルシーの酒蔵を取り壊すときには色々な計画があったようですが、プロジェクトが実を結ばなかったり、Palais Omnisports de Paris-Bercy (POPB)と呼ばれた大きな体育館はAccorHotels Arenaに名前が変わったりして、何だかよく分からない。ベルシーという言葉をニュースで聞くときは、ここに引っ越してきた大蔵省の意味であることが多いです。

それでも、酒蔵だった時代の名残を見せる場所は保存されて、ベルシー村(Bercy Village)となっています。パリ12区にあり、場所はこちら



倉庫の建物があったり、石畳には昔には酒樽を運ぶのに使っていた線路も残しているのが面白い。

ここはCour Saint-Émilion。ボルドーワインの産地の名前を付けた場所になっています。




ここでパリのワイン市場のことを書くのは終わりにしようと思ったのですが、このベルシーの酒蔵はパリの郷土料理を生み出していたのでした。

それがどんな料理なのかを書きました:
パリの郷土料理: アントルコート・ベルシー

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 その20  目次へ




ブログ内リンク:
ワイン樽の製造: 今と昔 2016/01/28
気に入ったパリの縁日博物館 (Musée des Arts forains) 2010/12/18
★ 目次: ワインの消費、ビジネス、飲酒規制、歴史など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
La croissance de Paris - La population parisienne
☆ Wikipédia: Fortifications de Paris aux XIXe et XXe siècles | Mur des Fermiers généraux |  Enceinte de Thiers
☆ YouTube: Paris - la révolution Haussmann 3-4
パリのペリフェリックが 開通して40年になった 2013/06/19
☆ Googlブックス: Léon Biollay, Les anciennes halles de Paris (1877)
Tableau historique et pittoresque de Paris - depuis les Gaulois jusqu' à nos jours (1822)Halle au vin (P.449)
Les Pavillons de Bercy: Histoire de Bercy
Bercy Village:HISTORIQUE » Histoire de Bercy
Histoire du quartier de bercy le quartier de bercy aujourd'hui
Le commerce du vin à Paris
Quand Bercy était la capitale du vin
Wikipédia: Entrepôt de Bercy | Halle aux vins de Paris
Wikipédia: Quartier de Bercy
Bercy - Paris balades
Paris et le vin  Un Jour de plus à Paris
☆ Paris en images: Hall aux vins(ワイン市場)の画像を検索
Château de Bercy
ワイン流通で栄えたベルシー Bercy Village


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/02/09
先日、ワインの樽の作り方が昔はどうだったかということを書いていて、昔のパリで行われていたワインビジネスについて興味を持ちました。

ワイン樽の製造: 今と昔 2016/01/28

パリのセーヌ河のほとりに、遠くから運んできたワインの樽をストックする場所があり、そにワインを売る業者がいたという歴史。樽の作り方で出てきたのはベルシー(Bercy)地区にあった大きな貯蔵所のEntrepôt de Bercyだったのですが、その前にも別の場所に存在していたのでした。

まず、その17世紀に作られたワイン市場について調べてみたことを書きます。

1869年に作られ、つい最近まで存在していたベルシーの酒蔵についてはたくさんの画像や映像が見つかったのですが、古い方のHalle aux vins de Paris(パリのワイン市場)は余り情報が出てこないので、なかばやけになって市場が存在していた痕跡を探してしまったのです。

研究書は出版されているのですが、そこまで調べるほど興味を持ったわけではないので、インターネットで画像を探したにすぎません。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その20



パリのワインビジネスが17世紀に本格化する


1637年には、パリの人口が41万2,000から5,000人くらいだったという記録があります。

当時のパリでは年間6,437万リットルのワインが消費されていたので、住民一人あたり1日0.5リットル弱を飲んでいたことになるそうです。

これには男女差も貧富の差もなかったとのこと。

1リットルの半分というと、以前にブログで書いた「chopine(ショピンヌ)」と呼ばれるピッチャーの容量。それから50年くらいたったときには(1692年)、その量を一人1回の食事で消費するような家庭もあったとのこと。

ずいぶんたくさん飲んでいたのですね...。パリは飲み水が不足していたからなのでしょうか?

水道事情が悪かったことについては、パリのガイド付きツアーに参加したときに書いていました:
パリの名物: ヴァラスのフォンテーヌ 2011/11/14


17世紀に作られたパリのワイン市場はどこにある?

ワインは税金をもたらしますから、それまでかなり自由にやっていたワインの商売が17世紀になると統制されるようになりました。

17世紀後半、ワイン取引が行われる市場が、マザラン枢機卿の勧めによってパリ市内につくられます。

セーヌ河のほとりのサン・ベルナール河岸(Quai Saint Bernard)に作られたHalle aux vins de Parisパリのワイン市場)。

そのワイン市場が何処にあったのかを探してみました。

1890年の地図を見ると、セーヌ河の左岸、Jardin des Plantes(パリ植物園)の隣にあったのが分かります。現在ではパリ5区ですね。

1890年の地図(クリックで拡大)

1890年 (Plan de Paris de Guillemin)

左上に「Halle aux vins」の文字が見えます。このワイン市場の敷地内を横切る通りに、コート・ドール通りという名前を付けていたのですね。ブルゴーニュワインを選んでくださって、ありがとう♪

植物園からセーヌ河に沿ってノートルダム大聖堂の方に歩き出したところにありましたか。ひところよく使っていたキッチン付きホテルがある場所があった界隈でした。ですから、このセール河沿いの道路にそって何度も歩いていたのですが、ここに私の興味をひくようなものがあったとは全く気がついていませんでした。

ワイン市場があった場所は、現在では理科系の大学Université Pierre-et-Marie-Curieやアラブ世界研究所(Institut du monde arabe)が建つ、Campus de Jussieuと呼ばれる地域になっていました。
Place Jussieu
ワイン市場の施設は第二次世界大戦のときに爆撃で破壊されて、戦後に再開発開発が進んでいたのでした。

ジュシュー広場にメトロのジュシュー駅があるのですが、1959年まではワイン市場の文字も入って「Jussieu - Halle aux Vins」という名前の駅だったのだそう。

ちなみに、Jussieu(ジュシュー)というのは、17世紀から19世紀にかけて植物学者を何人も出した家系の名前なのだそう。


18世紀のワイン市場

もう少し前の時期、ワイン市場ができてから40年くらいのときは、小さな一角が市場になっていました。

1700年の地図(クリックで拡大)
Carte de Paris Vaugondy-1760 Jardin des plantes abbaye Saint-Victor
Le Jardin du Roy en 1700, plan publié en 1760 par Vaugondy

地図の左上に2棟の建物がありますが、そこにHalle au vinの文字が見えます。vin(ワイン)は単数形になっていますね。

その近くが空き地のようになっていて、Chantiersと書いてあるのが気になる。工事現場と受け取ってしまうのですが、何か建てようとしていたのだろうか?...


1730年の地図(クリックで拡大)

Le jardin du roi en 1730, plan de Paris de Roussel

パリのワイン市場の土地は、サン・ヴィクトール修道院(Abbaye Saint-Victor de Paris)から土地を購入して作っていたのでした。

修道院は12世紀に建設されたのですが、衰退の道を歩んだようです。でも、この時期には、まだ修道院の建物と庭園があったのが見えます。

1655年に描かれたサン・ヴィクトワール修道院の姿です。

gravure de l'église en 1655
L'Église Saint-Victor en 1655 (Gravure de Merian)

今では全く姿を見れない修道院...。

現在では植物園になっている場所には、王立薬草園(Jardin royal des Plantes médicinales)がありました。ここが造園されたのは1635年。

ワイン市場の建設は、その少し後ですね。市場を建設するために修道院から土地購入したのは1663年か1644年だったようです。機能を果たすようになったのは1665年。


1734年の地図
Saint-Victor & Halles aux Vins - Plan Félibien 1734
Abbaye Saint-Victor et halle aux vins en 1734

工事現場なのだろうかと思った空き地のような場所に、なにやら並んでいます。これはWikipediaに入っている画像なのですが、小さくてよく見えない。でも「Bois flotté(流木)」の文字が読み取れます。なので、ここはセーヌ河で運んできた材木をストックしておく場所だったのだろうと推察しました。

昔は水路が重要な輸送路だったのですよね。ブルゴーニュ地方には筏を組んでパリに薪を供給していた歴史があったことをブログに書いていました:
フランスの筏(いかだ)師 2008/01/21

Plan de Paris dit plan Turgo
1734-1739
パリの古い地図の図版を持っている友人がいます。

18世紀半ばに作られた版画の地図の複製版です。

そんなものの何が面白いのかと思っていたのですが、詳細に眺めてみると退屈しないのでした...。

さきほどの地図よりほんの少しあと、1739年当時のワイン市場が描かれていました。

セーヌ河の上流から流してきた材木をストックしたのではないだろうかと思った場所に、積み重ねた材木らしきものが描かれtいます。

川岸にはワインを下すための港ができています。

1739年の地図

1739年(Plan de Turgot)

始めにいれた1890年当時のワイン市場よりはかなり小さいのですが、建物にある窓の数からみて、それほど小さな施設ではなかったように見えます。港のところには建物があるのですが、税関のようなものでしょうか。1樽につき幾らという風に税金が定められていました。


フランス革命後、ワイン市場を拡張

まわりにあった材木置き場は、ワイン市場が拡張して占領してしまったわけですが、材木がどこに置かれることになったかまでは調べません。

一番はじめに入れた1890年の地図では、修道院の敷地の全てがワイン市場になったのが分かります。フランス革命を経ているので、多くの宗教建築物と同じように国家に取り上げたらたからでしょう。修道院は1811年に破壊されたとありました。

2棟しかなかったワイン市場は、1811年から拡大され、1845年には敷地面積は14ヘクタールになりました。

1831年に描かれたワイン市場です。

Halle aux Vins, 1831
Halle aux Vins, 1831


ワイン市場は狭すぎるようになった

17世紀のパリの人たちはワインをたくさん飲んでいたと書いたのですが、さらに19世紀になるとパリのワイン消費量は増大しました。

ワイン市場は12ヘクタールにまで拡大されましたが、それでも追いつかない。1869年、ワイン倉庫をセーヌ河の向こう岸、パリの中心からは少し外れたベルシー地区に、もっと広いワインの貯蔵所を作ることになりました。

しばらく2つのワイン市場が平行して使われました。

今ではパリのワイン市場は見る影もなくなっているのですが、セザンヌの時代には機能していたので、彼は絵に描いていました。

「ワイン市場」と題された1872年の作品です。

Paul Cézanne la halle aux vins 1872 Art museum Portland
La halle aux vins, Paul Cézanne (1872)

セザンヌ(Paul Cézanne 1839~1906年)の絵にしては暗い色調なので、間違いではないかと思って確認してしまいした。彼が22歳のとき、同郷の親友であったエミール・ゾラに勧められ、初めてパリに行ったときに描いていました。

セザンヌは南仏の画家ですが、画家としての人生の半分はパリ首都圏で過ごしていたのだそう。ところが、彼がパリの風景はたったの4枚しか描いていません。そのうちの1枚が、このパリのワイン市場なのでした。


20世紀のワイン市場を撮影した絵葉書です。

Paris La Halle aux vins 1910 Halles aux vins


次回は、新しく作られたワイン市場のEntrepôt de Bercy(ベルシーの倉庫)について書きます:
パリとワインの関係 (3): ベルシー地区にあった酒蔵

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その20




ブログ内リンク:
ワイン関連用語: ショピンヌ chopine 2006/03/25
★ 目次: ワインの消費、ビジネス、飲酒規制、歴史など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Googlブックス: Léon Biollay, Les anciennes halles de Paris (1877)
Tableau historique et pittoresque de Paris - depuis les Gaulois jusqu' à nos jours (1822)Halle au vin (P.449)
Marchands de vin en gros à Paris au XVIIe siècle
Wikipédia: Halle aux vins de Paris | Négociant en vin
リヨン市立図書館: ; Halle aux vins Paris
Université Pierre et Marie CURIE: Campus Jussieu
De la Halle aux vins …à la Halle aux farines
Cézanne, une passion parisienne


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2016/02/01
犬も歩けば棒にあたる。「ワイン樽の製造: 今と昔」を書いていたら、知りたいと思っていたことに出会いました。

最近になって再開発されたけれど、かってはヨーロッパ最大規模だったというベルシーの酒蔵。ベルシー村と名付けられた界隈に行ったときから、昔はどんな姿だったのか見たいと思っていたのですが、映像や写真がたくさん見つかりました。

それだけではなくて、情報を読んでいたら、19世紀から酒蔵があった時代までのパリとワインの関係も見えてきました。

まず、パリとワインの関係からメモしておきます。


モンマルトルのブドウ畑

パリ首都圏でのブドウ栽培は18世紀に最盛期を迎え、ブドウ畑は42,000ヘクタール。当時は、ボルドーやブルゴーニュを抜いてフランス最大のワイン産地だったとのこと。人口が多いからそうかなとも思いますが、本当だったのだろうか?

でも、パリにもブドウ畑があったというのは聞いていました。

モンマルトルには、昔あったブドウ畑を復活した「Clos-Montmartre」と呼ばれる小さなブドウ畑があります。

パリの観光スポットの1つ、モンマルトル(18区)。有名なサクレ・クール寺院やテルトル広場はいかにも観光地なので好きではないのですが、このあたりを散歩したらすっかり気に入りました。パリに住むとしたら、この静かな住宅街が良いな、と思ったほど。

そのとき撮った写真はブログに入れていましたが、ブドウ畑のことは何も書いていませんでした。



特別なときでないと畑の中には入れてくれないのでつまらない。でも、都会の中にブドウ畑があるというのは良いものです。


この場所にブドウ畑があったことは、944年の記録に残っているのだそうです。

パリは次第に拡大していったのですが、この界隈がパリ市に組み込まれたのは1860年。開発によってブドウ畑は無くなっていき、1929年には完全に消滅しまいました。マンションが建つはずだったのですが、昔を懐かしむ住民たちの運動によって、パリ市はブドウ畑を復活させたのだそうです。

1933年のこと。畑の広さは0.15ヘクタールとか、2,000㎡とか言われていました。当初2,000本のブドウの木を植えて、今は1,762本残っているのだとか。

パリ市の職員である醸造技術者がブドウ畑について説明している動画がありました。


Les vignes de Montmartre

1860年くらいまで、つまり、ブドウに壊滅的な被害を出した外周フィロキセラが発生してブドウに壊滅的な被害を与える前、そしてパリが都市化してしまう前、パリのブドウ畑は900万リットルものワインを作り出しtいたのだそう。

モンマルトルの歴史を話してくださったので、おさらい。

パリで最も高い丘にあるモンマルトル(Montmartre)という地名は、ラテン語でMons Martyrum、フランス語でMont des Martyrsから来ていて、「殉教者の丘」の意味。この丘でキリスト教徒が殉教させられたのですが、その中に初代パリ司教がいた。後に聖人とされたサン・ドニ(Saint Denis)。西暦258年から272年ころだった、と言われています。

サン・ドニは首を落とされた後、自分で首を持ってしばらく歩いたと言われています。それで、教会で見かける彼の像は、いつも首を持っているという奇妙な姿で描かれています。

サン・ドニと呼ばれる聖人は何人もいますが、これはパリのドニ(Denis de Paris)と呼ばれている聖人です。

ドニ(Denis)というのは、ギリシャ神話のDionysos(ディオニューソス)に相当するフランスの呼び名。ディオニューソスはバッコスとも呼ばれ、ブドウ酒と酩酊の神。

それでモンマルトルのブドウ畑では、秋にブドウ収穫祭をするのですが、サン・ドニ聖人の日である10月9日のあたりに行っているのだそう。ブドウの収穫祭にしては遅すぎる時期だと思ったのですが、そういう経緯だったのですね。

サン・ドニ像
ノートルダム大聖堂(パリ)
ブルゴーニュワイン

モレ・セン・ドニ
サン・ドニ大聖堂
Façade de la basilique de Saint-Denis
サン・ドニ市

サン・ドニがバッカスにゆかりがあったとは知りませんでした。

ブルゴーニュのコート・ド・ニュイのワインに「モレ・セン・ドニ(Morey-Saint-Denis)」というのがあったのを思い出しました。ワイン村にしては良い名前だったのだと感心。この村のサイトを見たら、公民館の名前が「Cellier de Dionysos(ディオニューソスのワイン貯蔵庫)」という名前になっていました!

もう1つ有名なサン・ドニは、少し前のパリ同時多発テロの舞台になってしまったサン・ドニ市。もともと治安が悪いことで有名な地域だったのですが、初代パリ司教のサン・ドニを祭ったサン・ドニ大聖堂があります。10世紀からフランス革命が勃発する前までは、歴代の王様の墓所だったという由緒ある教会。

ドニ聖人は、パリ市とセーヌ・サン・ドニ県の守護聖人なのだそう。


モンマルトルで収穫されたブドウは、パリ18区の役場のセラーでボトル詰めされるそうです。年間生産量は500~1,000リットル。50mlという小ぶりなボトルに入れられ、コレクターやパリのお土産として人気があるようです。


Le vin de Montmartre n'est pas une piquette


パリ市がワイン醸造所を持っていて、ちゃんと技術者もいるというのは楽しいですね。しかも、この醸造技術者のFrancis Gourdinさん、南西部訛りの話し方がとても魅力的です。モンペリエのご出身なのだそう。南仏の太陽の光と地中海を感じさせられます。この職務が楽しくてたまらないというのにも好感を感じます。

とても謙虚で正直な人だと感じます。彼が職務についたのは1995年。それまでは、いい加減にワインを作っていたので、飾っておくようなシロモノだったのを何とか飲めるワインにしたのだそうです。そのワインのことを「飲めます」としか言わない! ボン(良い)とか、パ・マル(悪くない)とも言わないで、「buvable(飲むことができる)」としか言わないのです!

気に入ってしまったので、もう1つ彼が登場している動画を入れてしまいます!


Visite guidée des vignes de Montmartre avec Francis Gourdin, œnologue de la Ville de Paris


グルダンさんはモンマルトルのブドウ畑(18区)を担当しているだけではなくて、Bercy(12区)、Belleville(20区)、Clos des Morillons(15区)、la Butte Bergère(19区)のブドウ畑もお仕事の場となっているそうです。もう引退の時期を迎えているかもしれませんけれど、後任者はいるでしょうね。


モンマルトルのブドウ収穫祭(Fête des vendanges de Montmartre)をオーガナイズするのも、彼が責任者となっているようです。大勢の人が来るというこの祭りがどんなものなのかと思って、映像を探してみました。

道端でフレンチカンカンを踊っていたり、ナポレオン時代の軍服を来た人たちなどがいる動画ばかり...。これではモンマルトル祭りとか、日本ではパリ祭と呼ぶ革命記念日の祭りみたいと思ってしまいました。

でも、フランス各地から来たブドウ栽培者たちのパレードがあったので、それを入れておきます。


Défilé - 82ème Fête des vendanges 2015 - Montmartre - Paris



モンマルトルのガンゲット

なぜか気になっているものに、ガンゲットGuinguetteという場所があります。パリの人たちが休日に郊外に出かけ、ワインを飲んだり、ダンスを踊ったりする余暇を私語した場です。パリで流行したことだから、パリっ子訛りで発音して「ギャンゲット」と書くべきなのかもしれない。

日本も、江戸の庶民たちが郊外に行ってお花見を楽しんだのと通じるところがあるのかもしれない。でも、ガンゲットは、パリの外に行くと、酒税の関係で安くお酒を飲めたから、というのがあります。郊外に出てのんびりと息を吸うのを楽しんだというところでは共通しますが、日本のように風情を楽しむというのではない!

ガンゲットの歴史は調べたりしていたのですが、飲んでいるのは何処かから来たワインなのだろうと思っていました。でも、これが流行した時代、パリとその周辺ではちゃんとワインを生産していて、それを彼らは飲んでいたのだと知りました。


ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」と題された絵画も、モンマルトルのガンゲットを描いたものでした。

Pierre-Auguste Renoir, Le Moulin de la Galette
Bal du moulin de la Galette, Auguste Renoir (1876年)


モンマルトルをかなり隅々まで歩き回ってみたとき、気になった建物がありました。それが、このルノワールの絵の題名になっている飲食店Moulin de la Galette(ムーラン・ド・ラ・ギャレット)だったのでした。



モンマルトルで有名なのはムーラン・ルージュの赤い風車。そう思っていたのに、別の風車もあるので奇妙...。知っている人は知っているのだろうという、もったいぶった感じがあり、私などは間違っても入れない店に見えました。

気になったので何枚も写真をとっており、店の名前も撮影していたので確認できました。確かに、Moulin de la Galette。

この写真は10年くらい前に撮っているので、今はどうなっているかと調べてみたら、7カ月のリフォームの後にオープンしたというニュースがありました。ビストロ風の店で、ランチなどはお手軽価格の定食があるようです。ただし、風車は別の持ち主の私有地の中にあるので見学はできないようです。昔は裏に庭があって、そこがルノワールの絵に描かれていた場所だったとのこと。


ムーラン・ド・ラ・ギャレットは多くの画家に描かれていました。ゴッホもたくさん描いており、Wikipediaではこの風車を描いたゴッホのページを設けているくらいでした(このページ)。彼は、ルノワールの絵が描かれた10年後、1886年から翌年までモンマルトルに住んでいたのですね。

ゴッホの1886年の作品を並べてみます。

Van Gogh - Le Moulin de la Galette
Le Moulin de la Galette
Le Moulin de la Galette
Vincent van Gogh - Le Moulin de blute-fin(1886)
Le Moulin de blute-fin

遠景から描いた作品だと、周りには緑が広がっていますね。下は、風車を望む菜園。


Jardins potagers à Montmartre : La Butte Montmartre 1887

130年前のモンマルトルは、こんなに長閑だったのですか...。どこにでもブドウ畑があったという時期は過ぎていたようですが。

ゴッホも、モンマルトルで「ガンゲット」と題した絵を描いていました。

Van Gogh -  "La Guinguette"
La Guinguette, Van Gogh (1886年10月)

風車小屋がある店ではないような感じがしますが、モンマルトルのRue des Saulesという名の通りにあったガンゲットだそうで、その通りには現在ブドウ畑があります。


ベルヴィルのガンゲット

パリのガンゲットの歴史にでてきたものの中に、ベルヴィル(Belleville)のブドウ畑もありました。現在はパリ20区に入っています。公園になっており、ここも1992年に小さなブドウ畑を復元されていました。

このあたりには、19世紀まではブドウ畑が広がっていて、ガンゲットがあったそうです。


Paris et le vin | Un Jour de plus à Paris

ここで出されていたのはginguetと呼ばれているワイン。若くてすっぱいけれど安いワインでした。guinguette(ガンゲット)は、このginguet(ジャンゲ)からできた言葉なのだそうです。


フランスのテレビの教養チャンネルがYouTubeにフランス語の教材を入れていて、その中にガンゲットを紹介するものが入っていました。

ガンゲットはモンマルトルやベルヴィルの当たりで始まったのですが、パリ市の中に入ってしまうと、だんだん外に出て行ったというのを絵で見せています。もっと遠くに行くと、川のほとりにガンゲットがあって、人々が川にボートを浮かべて楽しんだというイメージになってきたわけですね。


ARTE: la tradition : la guinguette文字


パリ市内には12カ所くらいのブドウ畑がある

パリを中心とするイル・ド・フランス地方には、現在、ブドウ畑が134カ所あって、そのうち10分の1くらいがパリにあるとのこと。

そう言われてみると思い出しました。

ベルシー公園に行ったとき、パリ市民をガーデニングに親しませえるための施設のそばにもブドウ畑があったのです。



植物園の中にあるブドウ畑だと少しつまらない。これもブドウ畑と数えるのなら、パリ市内には幾つもブドウ畑があると言っても不思議ではないですね。最近のパリは市民を自然に触れさせるように努力していて、あちこちに市民農園も作っているのですから。

ここはベルシーという地区。少し前まで巨大な酒の貯蔵庫があった場所です。
パリにあったワイン市場について、続きとして書こうと思ったのですが、ここで出したムーラン・ド・ラ・ガレットについて補足を書きました:

モンマルトルのムーラン・ド・ラ・ガレットの「ガレット」とは、なに?


シリーズ記事【フランスのワイン産地】
目次へ
その18




ブログ内リンク:
「ガンゲット」と呼ばれるレストラン 2005/09/07
パリ首都圏の町にある田舎風景とは? 2010/12/27
★ 目次: ワインの消費、ビジネス、飲酒規制、歴史など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
パリには公園が少ない? 2015/10/19
★ 目次: 画家、彫刻家、建築家の足跡を追って
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
Paris le top 5 des vignes
L'oenologue de Paris met Montmartre en bouteille
Fête des vendanges : visite guidée de la vigne de Montmartre
Le guide des guinguettes de Paris
Paris et le vin  Un Jour de plus à Paris
☆ レストランのサイト: Moulin de la Galette
☆ Wikipedia: Denis de Paris » パリのディオニュシウス
☆ Wikipedia: Basilique Saint-Denis » サン=ドニ大聖堂
☆ Wikipedia: Moulin de la galette » ムーラン・ド・ラ・ギャレット
☆ Wikipedia: Le Moulin de la Galette (série de Van Gogh)
☆ MMM: モンマルトル~芸術家の集ったパリの丘~


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)