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2017/03/01
ここのところずっと乳製品について書いていて、思い出しました。

フランスの子どもたちに牛の絵を描かせると、紫色の牛を描く子がいると聞いたので、嘘でしょう? と友人に聞いたことがあるのです。

パリ首都圏で小学校の先生をしていた友人は、クラスに必ず1人は紫色の牛を描く子がいる、と断言したのでした。

こんな牛の絵を描くらしい...。




ミルカのチョコレート

チョコレートに「ミルカ」というのがあって、パッケージに紫色の牛の絵が描いているのが原因なのだそうです。



これは私でも知っています。チョコレートなのでスイスのかと思っていたのですが、書きながら調べてみたら、メーカーはドイツの会社なのでした。

フランスの板チョコ市場では、ミルカは27%のシェアを占めているのだそう。そうかも知れない。スーパーで10枚くらいを紐でくくったパックを山積みして売っていたのが目に浮かびます。

パリに住む子どもたちには、ミルクはパックに入っているものだと思っていて、牛の乳だと分かっていない子もいる。となれば、牛といえば、よく食べているミルカのチョコレートに結び付けるのかもしれない...。

ミルカは日本でも売られていましたが、日本では「牛=ミルカ」となるほどには有名ではないだろうと思います。Wikipediaでは、Milkaの項目がヨーロッパ言語でできていましたが、日本語へのリンクはありませんでしたので。


薄紫色のイメージ

ミルカの板チョコのパッケージは1901年発売当初から薄紫色だったものの、この色の牛が登場したのは1973年だそうです。

変化していったパッケージの画像は、こちらで見れます:
☆ milka.fr: L’histoire de la marque

ミルカのシンボルカラーは、モーブ色、紫色、ライラック色と表現されていました。メーカーのフランス語サイトではモーブ色と表現していますね。

この色はtendresse(優しさ、愛情、思いやり)のイメージがあって、このミルクチョコレートのイメージと合致するとのこと。

私は紫色は好きではありませんが、こんな風に赤味を帯びた色合いだと、ほんのりするものがあるかな...。

コマーシャルでも、優しさを強調していますね。ミルカ牛が登場すると、みんな抱き合ってしまう。


Milka la vache mauve : osez la tendresse

こういうコマーシャルなら、番組を中断して見せられても不快感はないかもしれないな...。


牛の品種は?

白黒ブチのホルシュタイン種の牛で、黒の部分を薄紫色にしているように私は思っていたのですが、ミルカのモデルはシマンタール種(Simmental)なのだそうです。

その品種の中でも、ドイツ原産のFleckvieh種がミルカ牛に似ていると思いました。

Simmentaler Kühe auf Weide.JPG

この写真で、左側に欠けて見えているのが、フランスで見かける普通のシマンタール種の乳牛です。

コマーシャルで、とんでもない子が生まれちゃった、というのは、こんな子?



可愛いですね。


ミルカという名前のオペラ歌手

ミ・ル・カという名前は、シラブル3つで、どの国の人にも覚えやすいのではないでしょうか?

このチョコレートの商標登録がされたのは1901年。

当時は、ミルカと聞いたらソプラノのオペラ歌手ミルカ・トルニナ(Milka Trnina 1863~1941年 クロアチア出身)にちなんでいると思った人たちが多かったようです。

TerninaTosca

ミルカ・トルニナは、彼女の故郷にある美しい滝の名前にもなっていました。

でも、チョコレートのミルカ(Milka)という命名は、ドイツ語で「Milch und Kakao(ミルクとカカオ)」から作ったのだそう。



あぁ、ドイツのチョコレートを宣伝しちゃった?...

それにしても、フランスであれだけ有名なチョコレートがドイツ製だったとは驚きでした。

フランス人はドイツやイギリスの食べ物は不味いと貶しますので。日本ではドイツのソーセージは美味しいと言われますが、フランスでそんなことを言う人に出会ったことはありません。フランス人が外国産で褒めるハム・ソーセージは、イタリアとスペインだけだと思う。

でも、なぜか、ドイツからフランスに入った食料品は安いのが多いです。物価がフランスより高いはずなのに、なぜなのだろう?..




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)に関して書いた日記
小さな村のドイツ人歓迎パーティー 2010/11/08
★ 目次: ハム・ソーセージ類、豚について
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
☆ Prodimarques La vie des Marques; Saga Milka
Bestiaire de la pub  Milka  Sa vache violette  Ses Tendres Moments


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2016/12/29
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!
その13

いつか必要なことがあるかも知れないと思って、何でも写真に撮っている私なのですが、マロングラッセの写真を撮ったのは1回だけでした。



ここのところマロングラッセについて書きながら調べていたので見分けられるようになったのですが、後ろの写っている宣伝の写真で、このマロングラッセは南仏のメーカーのコルシグリア社(Corsiglia)のものだったらしい。

シリーズ記事の8回目で入れた製造方法を見せる動画を見て、誠実に作っている会社だという印象を受けていました:
マロングラッセを作るのには20日間もかかる

写真を眺めたら、ここで買ったマロングラッセが格別に美味しかったのを思い出しました。

でも、写真を撮っていたのは、壊れたマロングラッセを売っていたのが珍しかったからではないかと思います。写真に黄色い矢印を入れた袋です。

紙に包まれた落ち度のないマロングラッセは、100グラムで8.50ユーロ。100グラムとは5個くらいでしょうか? としたら、1個220円というところ? この写真を撮ったのは2012年11月でしたので、その当時のお値段ですけれど。

その左手にあるのは壊れたもので、100グラム6.40ユーロで売っています。



欠陥品なのに値段には大した差がないと思ったのですが、100グラム6.40ユーロというのは、どこが欠陥なのかと思う大きな塊のマロングラッセの値段でした。

その右手にあるリボンがついた袋に入っているのは小さく壊れてしまったもので、そちらは100グラム4ユーロという感じです。500円くらいですか。そうお安くはないですね。日本では、崩れたマロングラッセは半分近いの値段で売られているのですけど。

前回の記事「マロン・クリームはマロングラッセから生まれた」に書いたように、栗のジャムのようなマロン・クリームは、壊れて商品化できないマロングラッセから作られたのが始まりでした。

壊れてもこんなお値段で売れるとしたら、マロンクリームに入れてしまうのはもったいないではないですか? 伝統的な製法でマロングラッセを入れてマロン・クリームを作っていると歌っているメーカーでも、ほんの少し入れるだけなのではないかな?...


日本では、やたらに割れたマロングラッセが売られている!

マロングラッセのまともな写真を持っていないので、ネットショップの商品画像を使わせていただくために探したのですが、気がついたことがありました。

壊れたマロングラッセがたくさん売られているのです。もちろん、お値段には雲泥の差がありますけれど。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

割れマロングラッセ 1kg
価格:3642円(税込、送料無料) (2016/12/30時点)



マロングラッセを検索すると、「訳あり」がどのくらい入っているかご覧ください:
マロングラッセを楽天市場で検索

割れたものを探すためのキーワードまで提案してくるので、さらに探しやすくなります:
「マロングラッセ 割れ」で検索


楽天市場だと商品がたくさん出てきすぎるので、日本のアマゾンで検索すると、こちら。出てくるマロングラッセの3分の1は割れたものと見ました。

不自然ではないですか? マロングラッセを作るときには出来損なってしまうものが出るわけです。でも、日本で売っているマロングラッセに限れば、完成品より失敗作の方が圧倒的に多いと見えるのです。完成品は小さな箱に入れて売っているのに、割れたものは1キロ単位などで売っているのですから。

さらに確かめます。

インターネットで普通にマロングラッセ検索しても、壊れた「訳アリ」のがたくさん入ってきます:
「マロングラッセ」をキーワードにして、日本語Googleで画像検索

変だと私が覆ってしまうのは、フランスのサイトでマロングラッセを探したら、こんな結果にはならないからです。

商品となっているものか、レシピで使った画像が並んでいて、壊れたものの写真はほんの少し紛れ込んでいる程度なのです。

こちらをご覧ください:
「"marrons glacés"」をキーワードにして、仏語Googleで画像検索

マロングラッセとは何かと画像検索しているのですから、欠陥品が影を潜めているのは自然だと思います。


さらに気がついたのは、日本で「訳アリ」として売られている「壊れマロングラッセ」は、かなりお安いことです。フランスで売られているものが日本に入ると3倍くらいの値段になっていることが多いので、日本の市場に出ている訳有りマロングラッセは海外でできた欠陥品ではなさそうだと想像しました。

つまり、日本では、そんなに出来損ないのマロングラッセを作っているということ???

日本では、海老や蟹の手が1本なくなっているだけでも商品価値は落ちるので、壊れたマロングラッセも安く売られるのだろうと思ったのですが、なんだか変...。

そもそも、どうして、そんなに、たくさん、壊れたマロングラッセが日本の市場に出回っているの?!...


日本で崩れたマロングラッセをたくさん売っている理由を考えてみる

そんなことを私が気にする必要は全くないのですが、理由を考えてみました。

推測1:
海外のメーカーが作るマロングラッセの欠陥品を、日本が一手に輸入している?!

日本ではそんなにたくさん食べるスイーツではないのですから、製造過程で出る欠陥品の数だって、たかが知れているではないですか? とすると、まずそう考えられる。


推測2:
日本の栗は割れやすいので、日本で製造するマロングラッセでは欠陥品が大量にできてしまう?

でも、割れマロングラッセの宣伝で、イタリア栗を使っていますというのが多いので辻褄が合わない。マロングラッセを作るには、割れないように注意するではないですか? そうしないとメーカーが損をするわけですから、どうしてそんなに欠陥品を作るのか奇妙...。



推測3:
成型肉のように、割れたものを継ぎ合わせてマロングラッセを作って売る業者がいる?!

売られている割れマロングラッセは1キロ単位などが多いのでした。ちょっと食べれば良いものなのに、一般家庭で1キロも買って、どうするの? と聞きたくなる。

となると、日本が優れた技術を持っている成型肉ならぬ、成型マロンかな、と思ったのです。


栗の納豆が日本では好かれるのでは?...

クレマン・フォジェ社では、壊れたマロングラッセを売っていました:
☆ CLEMENT FAUGIER: Marrons Glacés Brisés Frais

出来損ないのマロングラッセを使ってクレーム・ド・マロン(マロン・クリーム)をつくることを考案した会社です。今でも同社のクレーム・ド・マロンにはマロングラッセのかけらを入れていると言っているのですけど、マロングラッセの欠陥品を商品化して売ってしまったら、マロン・クリームの材料が不足してしまわないの?...

フランスのネットショップでは、割れたマロングラッセをほとんど売っていません。でも、全く無いわけではありませんでした。

フランスのアマゾンで「マロングラッセ」を検索した結果

フランスアマゾンで唯一入っていた商品を眺めてみると...

Value Pack fissure MARRON GLACE 700g  748グラム   56.64ユーロ


フランスで売っているのに、日本語で「マロングラッセ」、さらに「イタリアからの自然の恵み」と表示されているのです! フランス人が見て分かる「marrons glacés」は小さくしか書かれておらず、アクセント記号が抜けた間違いフランス語になっています。

なんなのだろう?

製造過程で壊れたマロングラッセを一手に引き受けているのは日本で、それを世界に販売しているのは日本なの?...

このラベルが付いたものを日本でも売っているのではないかと検索したら、どことなく似ているパッケージで、「イタリア」という文字が入っているものを成城石井が扱っていました:

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

正栄食品 訳ありマロングラッセ 500g 訳アリ わけあり ワケアリ
価格:1826円(税込、送料別) (2016/12/30時点)


フランスのアマゾンで売っているのは100グラムあたり8ユーロ(約1,000円)でしたが、日本で廃売されているのは365円。

説明を読んで謎が解けた想いがしました。こう書いてあるのです:
  • 割れたりくずれてしまった栗をマロングラッセにしました。パンケーキなどのご家庭でのお菓子作りや、お茶菓子としてご利用いただけます。

つまり、栗の甘納豆 ???

そう思うと「訳アリ」マロングラッセの画像で見ていた違和感が消えます。本物のマロングラッセはしっとりしているのですが、訳アリのマロングラッセは砂糖がふいていて変だったのです。

日がたってしまったものを売っているのかと思ったのですが、割れ栗からマロングラッセ風に作ったら、しっとりした出来上がりにはならないでしょうね。

フランスのメーカーでは、栗2つを抱き合わせにして、甘味が過度に浸透しないようにという工夫さえしたいたのですから。

訳ありマロングラッセは、どこで作られたのか書いてないことが多いのですが、成城石井の商品には製造元が明記されていました。その会社のサイトを覗くと、コンステラシオンというのがありました。これかな?

でも、説明は違うのです:
  • マロングラッセの割れ物(ブロークン)に糖衣がけをしてあります。

またマロングラッセの出来損ないに戻ってしまった。でも、いずれにしても、日本で売られている訳アリのマロングラッセは、グラッセと呼ぶ糖皮ではなくて、砂糖でコーティングしているらしい。

ここまで分かったところでインターネット情報の追跡はストップするつもりだったのですが、フランスのアマゾンで売っていたのと同じ商品が日本のアマゾンでも販売されているのに出くわしてしまいました:


フランスのアマゾンに入っていた商品情報にはメーカーの名前は無かったのですが、こちらでは会社の略号を出していました。パッケージが似ていると思った成城石井が扱っていた商品と、同じ日本のメーカーのようです。

フランスのアマゾンで扱っているパッケージを見たときには、中国の商品なのだろうと思ったのですけど、日本の会社でしたか...。



私には何も根拠がないので言えません。

でも、これだけ日本には割れマロングラッセが出回っている。ということは、「訳あり」として日本で売っているのは、マロングラッセの出来損ないではなくて、初めから割れた栗でマロングラッセ風の甘納豆を作っているのではないか、と思ってしまいます。

日本茶を飲みながら食べるには、小粒でつまみやすいと好ましいかもしれない。マロングラッセと甘納豆は全く異なった味だと私は思うのだけれど、日本人には栗の甘納豆が好まれるのかもしれない。とすれば、これだけ「壊れマロングラッセ」が市場に出回っているのは納得できます、

また、お菓子を作るのに使えば「マロン」という名前が使えて高級感を出せので、需要が日本にはある...。

違うかな?...



追記:

マロングラッセを日本でたくさん作っているはずはないでしょうに、なぜそんなに割れマロングラッセが市場に出回っているのか不思議でなりません。... そんなことを考えても何にもならないのに、疑問を持ったまま年を越してしまいました。

コメントをいただいて、日本には栗の甘露煮というのがあったのを思い出しました。これもマロングラッセと同様に、栗を丸のまま残さなければ欠陥品になってしまいますよね。

お正月近くになると、栗の甘露煮はたくさん日本で売られている感じがします。

栗の甘露煮を楽天市場で検索


栗の甘露煮は、割れてしまったら栗きんとんにするわけにもいかないでしょうから、形が崩れたらディスカウントする以外にはないのではないでしょうか?

としたら、「訳あり」の甘露煮がたくさん出るはずですよね。

でも、それらしきものは、ほとんど売っていないのです! 栗の「訳あり」とか「お買い得」で検索すると、割れマロングラッセばかりが目立つのでした。形が不揃いなのが入っているから割安の甘露煮、というのはほんの少しありましたけれど。

唯一、栗の甘露煮の成功品と、割れてしまったののを両方売っているお店を見つけることができました。
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栗の雫
総量200g 固形量100g 
価格:1350円(税込、送料別) (2017/1/2時点)

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栗の雫(ブロークン)
総量200g 固形量100g
価格:918円(税込、送料別) (2017/1/2時点)


日本で売られている割れマロングラッセは変だと勘ぐってしまったのは、製造したマロングラッセは売ってはいないのに割れマロングラッセを売っている会社ばかりだったことでした。マロングラッセのメーカーが、商品化できないからと下請けに回してきたものを、日持ちするように甘納豆風に砂糖をかぶせたのかもしれないのですが、どうも不自然...。

上に入れた栗の甘露煮の欠陥品(ブロークン)は、見た目が悪いだけで、味はほとんど同じなのではないかという印象を持ちました。マロングラッセは、中がジューシーで、そんなに甘味がしみ込んでいないように仕上げ、乾燥させてはいけないという微妙なところがありますが、甘露煮にはそんなデリケートなところはないはずだと思うのです。液体もある瓶に入っているので乾燥してしまうということもないし。

3割お安いなら、私には甘露煮のブロークンで十分。少なくとも、砂糖をまぶして甘納豆のようにした割れマロングラッセより、日本風の甘露煮の方が美味しいだろうと想像します。

甘露煮の割れたのだろうと、皮をむく段階で割れてしまった栗だろうと、世界的にステータスがあるマロングラッセ風にして市場に出した方が売れるのではないかな?... だから、甘露煮の出来損ないはほとんど売っていないのでは?

勝手な推測を色々と書いてしまいましたが、事情を知っていらっしゃる業界の方の目に触れたらバカにされてしまうだろうな...。



「マロン」と言ってもマロンじゃない、などなど... いい加減じゃないか! と言いたくなることが多々見つかって、真面目に考えて調べているのはバカだとよ、と自分に言いたくなっているマロンのお話し...。

あと1つだけ記事を書いて、このシリーズは終わりにします。


続き:


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!



ブログ内リンク:
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
成型肉(せいけいにく)ってなに?無表示で出回る偽ステーキの見分け方
☆ YouTube: メニューの偽装防止に政府の規制は必要か 2013/11/09


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2016/12/28
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その12

このシリーズの6番目で「栗のマロンとシャテーニュ、言葉の使い分けは? 」を書きながら調べていたら、私には馴染みがなかったマロン・クリームについて面白いことを学びました。

http://www.marmiton.org/recettes/recette-photo_creme-de-marrons-facile_32606.aspx


クレーム・ド・マロンマロン・クリーム

フランス語では「crème de marronsクレーム・ド・マロン)」と呼ばれるものは、日本では「マロン・クリーム」として売られているようです。

クレームの代わりにコンフィチュール(ジャムのこと)、マロンの代わりにシャテーニュ(栗)という単語が使われていたりもしますが、みんな栗のジャムかペーストのようなものです。

ブルゴーニュ名産の「クレーム・ド・カシス」は、カシス(黒すぐり)のリキュールなのですから、紛らわしいではないですか?

普通にフランス語で「クレーム」と言われたら、生クリームのことかと思います。

クリーム色も「クレーム」。

日本では真っ白な生クリームしか買えないように思いますが、本物の生クリームは薄い黄色で、いわゆるクリーム色をしています。

化粧品にもクレーム(クリーム)がありますね。つまり、ドロっとした感じがクレーム?...


なぜ「クレーム・ド・マロン」と呼ぶのか気になりました。普通の果実から作ったものではクレームとは言わないと思うのです。

クレーム・ド・マロンという名の商品を初めて作った会社があったのでした。


クレーム・ド・マロンの元祖はクレマン・フォジェ社

19世紀のフランスで、マロングラッセを大量生産することに成功したのはクレマン・フォジエ(Clément Faugier)でした。

それを書いたのは、シリーズ記事の9番目で、こちら:
マロングラッセとマロンの関係。鶏が先か? 卵が先か?

マロングラッセを作ると、製造過程で栗が割れてしまって欠陥品になってしまいます。それで、クレマン・フォジェ社では、そういう欠陥品を利用するために「クレーム・ド・マロン」を考案して売り出したのでした。


logo de Clément Faugier (société)同社のマロングラッセが販売開始したのは1882年。

その3年後、「クレーム・ド・マロン」を1885年に売り出し、その商標登録をしたのは1924年。

右はクレマン・フォジェ社のロゴですが、クレーム・ド・マロンとマロングラッセの文字も入れていますね。

つまり、「クレーム・ド・マロン(マロン・クリーム)」は、単に栗のジャムではなくて、マロングラッセが入っていることを示すために「crème de marrons(クレーム・ド・マロン)」という名前にしたのではないでしょうか?

でも、フランスの法律では、商品をクレームと呼ぶものはコンフィチュール(ジャム)よりも濃厚でないといけないということのようです。クレーム・ド・マロンの場合は、出来上がり100グラムに対して、栗のピューレが38グラム以上ないといけない。confiture(ジャム)やgelée(ジュレ)の場合は35グラム以上ですが、果実によっては6~25グラムの場合もあるのだそう。


現在は色々な会社がクレーム・ド・マロンという名前で販売していますが、何処でもマロングラッセのかけらを入れているようには思えませんでした。

ともかく、このマロン・クリームが有名なので、それを使った料理などには、栗の品種の「マロン」とは関係なしに、名前に「マロン」と入れているようでした。

マロングラッセはバニラで風味を付けますが、マロン・クリームでもそうします。となると、口に入れたときの味覚としては、マロングラッセとマロン・クリームはかなり似たものになるでしょう。たとえマロングラッセのかけらが入っていなくても、それは味にはさほど響かないのでは?

違いが出るのは、渋皮をしっかり除いているかと、バニラの質によるでしょうね。

高い品質のマロングラッセを作っているメーカーではブルボン種のバニラビーンズを使っていました。マロン・クリームの方は、そう高くは売れない商品なので、本物のビーンズは使っていないのではないかな?...

マダガスカル産ブルボン種

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*バニラ・ビーンズ(2本入パック)
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フランスで最高の栗はアルデッシュ産

Châtaigne d'Ardèche AOCアルデッシュ県は、中央山岳地帯にあり、昔から栗の栽培が盛んだっった地域です。

フランスで最高級の栗が生産される地域で、「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ栗)」として原産地統制呼称のAOC/AOPも獲得しています。

AOCはフランス政府が優れた農産物とその加工食品に与える最高級の認証で、栗で獲得しているのは、少なくとも今のところはアルデッシュだけです。

クレマン・フォジェ社はアルデッシュ県プリヴァ市あります。

このクレマン・フォジエ社が売っているクレーム・ド・マロンは、「Crème de marrons de l'ardèche®」という名が付いており、「アルデッシュのマロン」の文字が入っています。

下が、発売当初から変わらないデザインのクレーム・ド・マロンです。
クレマン・フォジェのクレーム・ド・マロン誕生について詳しく書いているショップにリンクしておきます。 ↓

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フランス製のマロン・クリームが色々あるのを眺めながら、元祖クレマン・フォジェのにはアルデッシュのマロン栗を使っているのだから一番おいしいのだろう、と私は思ったのでした。

コルドン・ブルー

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サバトン

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マロン・クリームを楽天市場で検索


実を言って、マロン・クリームの食べ比べを私はしたことがありません。このシリーズ記事を書きながらインターネットで見れる色々な動画を眺めていたのですが、あれ? と思うことが出てきました。

マロンで作るクレームを取り上げた題されたテレビのドキュメンタリー番組の中で、クレマン・フォジェ社を訪問していたのですが、その工場の人が、同社のマロングラッセはアルデッシュ栗だけ使っているわけではない、と話していたのです。口ぶりからして、使っているにしても、かなり少なさそうな印象を受けました。

どこの栗を使っているかと国の名前を挙げていたのは、イタリア、スペイン、ポルトガル。... それに、フランス、という感じで話していました。

つまり、クレマン・フォジェ社のは「Crème de marrons de l'ardèche®(アルデッシュ・マロンのクリーム)」と付けて商標登録しているから、というだけのこと。なあんだ...。

考えてみれば、私が勘違いしていたのです。AOC/AOPを取っている栗は「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ・シャテ-ニュ)」であって、マロンではないのだ! シャテーニュは栗の実のことで、マロンは質の良い栗の実なわけなので、そっちの方が上に思ってしまっていた...。

でも、番組でそれを暴いていたのは、フランス人だって私のように勘違いするからではないかな...。


ドキュメンタリー番組での試食結果

このドキュメンタリーでは、シェフたちに栗で作ったクリームの試食をさせていました。メーカーがどこかは隠して、3種類の商品の味に得点を付けていました。

フランス式の採点は20点満点なのですが、日本式に100点満点に直すと、こういう結果でした。

第1位(70点): 地元の栗栽培農家が作っているクレーム・ド・シャテーニュ
第2位(45点): 元祖クレマン・フォジェのクレーム・ド・マロン
第3位(40点): 大手スーパーの大量生産のクレーム・ド・マロン

ダントツで1位になった農家はLa Ferme du Châtaignierで、テストされた商品はこちらですね。

小規模生産の手作り商品が有名ブランドのものより美味しいというのは、よくあることです。

日本で販売されているマロン・クリームでも、下ののようなのは美味しいのではないかという予感がします。オーガニックの品質保証マークも獲得しているし。


bio project マロンクリーム  ¥ 2,426


それにしても、クレーム・ド・マロンの元祖クレマン・フォジェが、これほど低い点数になってしまったのはお気の毒。

でも、シェフたちは試食しながら、これは栗の渋皮が少し入っていて美味しくないと言っていました。ドキュメンタリーでは、この会社がどう作っているかは最終工程のところしか見せてもらえていていませんでした。メーカー側は、渋皮のタンニンが美味しさを出しているのだなどと説明していたのですが。加熱した後に渋皮を取り除く方が簡単だからではないでしょうか?

第3位になった商品は、添加物も入れてしまっていて味を誤魔化しているし、甘すぎて美味しくないと酷評されていました。そのメーカーが何処であるか、番組では明かしていないのが面白い。フランスのテレビのコマーシャルを見ていると、フランスが美食の国だとは思えないような大量生産している食品ばかり出てくるのですが、そういう大事なスポンサーの会社だから名前を伏せたのだろうと思いました。


インターネットでは、マロン・クリームのランキングをしているサイトもありました:
Les Tests Produits de Gourmets&Co - Les Crèmes de Marrons

1位になっているのが、ディスカウント・スーパーの商品というのがなんだか怪しげなランキングに見えてしまう。でも、ここでもクレマン・フォジェのは、同じようによく知られているサバトンのより下にランクされていますね。


ちなみに、日本の情報ではこうなっていました:

日仏貿易情報: クレマン・フォジエのマロン・クリーム
マロングラッセを加えることにより、栗の味わいがより引き立てられた、口どけ滑らかなマロン・クリーム

日仏商事情報 サバトンのマロンクリーム
マロンを裏ごししたものとマロングラッセ、砂糖、バニラエキス加えたマロンの風味をいかした香り高い製品


アルデッシュ栗を使ったサバトン社の新製品

では、本当にアルデッシュ栗を使ったマロンの食品はないのかと探してみたら、ありました。最近になってからサバトン社が作ったようです。

Confiture de châtaigne d’Ardèche
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

《サバトン》マロンクリームジャム【360g】
価格:1188円(税込、送料別) (2016/12/29時点)

Purée de Châtaigne d'Ardèche

こちらは、AOC/AOPの名称「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ・シャテ-ニュ)」の名称を入れているので、本当にそれを使っていますね。フランス情報にもありました。

私は食品の品質保証の中ではAOC/AOPはかなり信頼しているので、アルデッシュ栗というのに重きを置くのですが、日本で販売するときには、それほどPRに利用していないような印象を受けました。


クレーム・ド・マロンについてのドキュメンタリー

ここで書いたドキュメンタリー「La crème des marrons(マロンのクリーム)」を入れておきます。1時間近い番組で、この秋に放映され、なかなか視聴率も良かったようです。


Documentaire: La crème des marrons

アルデッシュの栗栽培から、パリでの製菓まで、色々なことを学べます。

生産者は、消費者が大きい栗を喜ぶからハイブリッドの栗が出回っているけれど、そういうのは美味しくないのだ、などと言っていますね。世界一の栗の生産国は中国。フランスにもかなり入っているのでしょうか?
  • サバトン社の訪問場面: 25分経過後のあたりから
  • マロン・クリームの試食場面: 27:44~31:10


ホームメイドで栗のジャムを作る方法

アルデッシュで栗のジャムづくりをしているのを見せる動画がありました。


La recette de confiture de Chataigne ardécoise en V.O. sous titrée

シャテーニュのことをカスターニャと言っている。イタリア語とかスペイン語を思わせるけれど、それとも違うなと思ってしまう言葉。何語を話しているのかと思ったら、この地方の方言なのだそうです。それで標準フランスの字幕がついています。

やはり自家製が一番おいしいだろうな...。



インターネットの動画では、できそこないのマロングラッセの破片をクレーム・ド・マロンに入れているかどうかを見れるものが探し出せなかったのが残念。

その崩れたマロングラッセについても、1つ気になることがあったので続きを書きます。


続き:
 出来損ないのマロングラッセが、日本ではたくさん売られている謎


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!



ブログ内リンク:
評判の良いクレーム・ド・カシスを買いに行く 2016/06/21
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ LES FILMS DE L'ODYSSÉE: LA CRÈME DES MARRONS
☆ France 5: La crème des marrons
☆ France Inter: La crème des marrons
☆ 9docu: La crème des marrons
Les Tests Produits de Gourmets&Co - Les Crèmes de Marrons
☆ 業界サイト: Sabaton lance une nouvelle gamme Premium à base de Châtaignes d’Ardèche AOC pour les pâtissiers et restaurateurs
☆ メーカーサイト: Bocal Confiture de châtaigne d’Ardèche
☆ 仏経済省: Confitures, gelées, marmelades de fruits et autres produits similaires
CLEMENT FAUGIER - L'entreprise  la Création


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2016/12/22
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その9


マロングラッセの発祥に関して、日本では奇妙に思えることが定着しているようだ、と書きました:
日本で言われるマロングラッセのお話しは、フランス的な冗談では?

平凡社 世界大百科事典の「セイヨウトチノキ」のところに、こう記載されているそうなのです:
マロニエという名称はマロン(クリ)に由来し、
マロングラッセも古くはマロニエの実が使われたという。


ここのところ栗の実について書いているのですが、フランスのサイトはどこでも、栗の木シャテニエ)とマロニエを混同しないように、としつこいくらい書いてありました。毒性があるというマロニエの実を間違えて食べてしまって事故をおこされては困るからでしょう。

百科事典に書いてあれば信頼します。マロニエの実で作った本物のマロングラッセを食べたいという人までありました。日本のトチノキからはお菓子が作られますから、セイヨウトチノキも食べられると思っても不思議はありません。


今回は、百科事典に書いてあったことが本当なのかを調べたことを書きます。

フランスでは、マロンマロニエと言う言葉が、ヨーロッパグリセイヨウトチノキの両方で使われるので、非常にややっこしいです。このページでは、マーカーで区別することにしました。

ヨーロッパグリ
châtaignier
(marronnier d'Inde)
  • マロニエ(セイヨウトチノキ)の実はマロンと呼ばれるが、これは食用にはならない。
  • シャテニエ(栗の木)の実は、シャテーニュと呼ばれる。しかし、品質が優れている栗をマロンと呼び、そういうマロンがなる木はマロニエと呼ばれる。

マロニエからは薬が作られ、葉も皮も実も使われるそうです。あく抜きをすれば食べられないことはないのかと思って調べてみましたが、マロニエの実をどうすれば食べられるかという情報は全く出てきませんでした。苦いのだと書いてあるので、食べてみようとした人はいたのかもしれませんけれど。

次にひっかかるのは、近世になってヨーロッパに入った樹木をマロニエと名付けたのは、栗のマロンから来ているという点ですが、これはあり得そうな気はします。

マロニエが入ったとき、すでにマロングラッセなるお菓子が存在していたのだとしたら、昔はマロニエの実(マロン)でマロングラッセを作っていたというのは成り立たないことになります。


Paradoxe de l'œuf et de la poule

マロニエはいつフランスに入ったのか? そもそも、マロングラッセはいつ、どこで考案されたのか?

それを知りたくて調べてみたのですが、どの情報を信じて良いのか分からない。分からないことをブログに書くべきではないとは思ったのですが、拾い出した情報をメモしておきます。正確な事をお知りになりたい方は、専門書の文献で確認してくださるようにお願いいたします!


マロングラッセは、いつ生まれたのか?


 マロングラッセMarron glacéとは何か?

「glacé(グラッセ)」はglacerの過去分詞で、「グラッセした」となる。

グラッセは「凍った」という意味もありますが、料理で使うときは、艶を持たせるときに使われます。野菜の艶煮、バター煮、肉や魚の料理でするり焼き、ゼリーや濃縮汁をかけて表面に艶をだす、シロップ漬け果実の糖衣コーティングなど。

菓子では、糖衣を着た、粉砂糖がかかったということになる。もちろん、フリーザーで凍らせたものもグラッセ。アイスコーヒーも、café glacé(カフェ・グラッセ)と呼ばれます。

マロングラッセには独特の艶があって、それが「グラッセ」なわけです。最後に行われる艶出しの行程がglaçage(グラサージュ)と呼ばれていました。

艶がなかったら、マロンのコンフィと呼ぶべきでしょうね。ところが、マロン・コンフィのレシピを探しても殆ど出てきません。あったのは、こちら(Marrons confits)。グラサージュはしていないし、写真でも艶のないマロンが見えます。

コンフィというと、甘くしない料理もあるわけで、Le confit de châtaignes aux petits oignons et aux noixというレシピもみつかりました。料理の付け合わせとして、栗、玉ねぎ、クルミなどで作っています。

marron confit(マロン・コンフィ)、châtaigne confite(シャテーニュ・コンフィ)としているレシピ「Marron confit ou plutôt châtaigne confite」では、最後にグラサージュを最後にしていて、普通に家庭でマロングラッセを作るレシピと変わらないように見えました。

初めてお目見えしたマロングラッセは艶がないものだったのではないかと思うので、艶がなくてもマロングラッセと言うのかどうかを確認したかったのですが、よく分かりません。

ともかく、栗を甘く煮た甘いお菓子として食べるレシピがマロングラッセのルーツだ、とは言えると思います。


 マロングラッセ誕生は砂糖の歴史に関係しているはず

マロングラッセが、いつ、どこで生まれたかには諸説があるのですが、フランスで定説になっているのは、次のような歴史です。
  • 16世紀に、フランスイタリアでつくられたであろう。
  • 1664年に発行された書物の中に、マロングラッセと呼べるデザートのレシピが入っていた。
  • 1882年に、マロングラッセは工場生産されるようになり普及した。

16世紀か17世紀にマロングラッセが誕生したという説には理由があります。

コロンブスがアメリカ大陸を発見したのは1492年。

16世紀になると、ブラジル・カリブ海の島々で大規模なサトウキビ栽培が行われるようになり、生産された砂糖(粗糖)がヨーロッパに輸出されます。

今まではできなかった砂糖をふんだんに使ったスイーツのレシピの開発が進んだと見るのは自然に思えます。

当時のフランスでは、すでに「マロン」と呼ばれる上質の栗が市場で売られていました。

18世紀後半になると、産業革命によって技術革新が起こり、精製度が高く均質な砂糖が大量にできるようになりました。

それによって、これまでの贅沢品で限られた人々しか口にできなかったマロングラッセが工場生産されるようになり、庶民も手に入れられるスイーツとなり、外国へも輸出されるようになります。


 フランス発祥説も、イタリア発祥説も、
   両国の国境にあるサヴォワ地域で、16世紀に生まれたとしている


マロングラッセの最も古い誕生としては、フランス、あるいはイタリアというのがありました。

Wikipediaのフランス語ページでは原産地はフランスと見出しを付けているのに対して、イタリア語ページではフランスとイタリアとなっているのが面白い。でも誕生したのは何処かという記述では、両ページとも同じことを書いていました。


 フランス発祥説
16世紀に、フランス中部のリヨンでマロングラッセが登場した。

リヨンは、現在のフランスで最大の栗の生産地アルデッシュ県(ローヌ・アルプ地方)に近い大都市。


 イタリア発祥説
16世紀、イタリアのピエモンテクーネオ(Cuneo)で生まれた。

こちらも栗の産地で、ヨーロッパ諸国に輸出される栗の集積地であった。

Karl Emmanuel I Savoyen MATEO.jpgクーネオだとする根拠は、サヴォイア公などの称号を持つカルロ・エマヌエーレ1世(1562~1630年)の調理人が考え出し、サヴォワ公国の宮廷でマロングラッセが喜ばれた、というところから来ている。

ルロ・エマヌエーレ1世は、イタリアのピエモンテ州やフランスのローヌ・アルプ地方及びスイスのフランス語圏にまたがるサヴォワ一帯を支配していた家系。


イタリアが発症の地だとする説には、それをフランスにもたらしたのは誰かという仮説もある。

Portrait de Catherine de Médicis (vers 1555).フランス王妃のカトリーヌ・ド・メディシス(Catherine de Médicis 1519~1589年)が。故郷のイタリアから嫁いで来たときの荷物にマロングラッセが入っていた、というもの。

1533年9月1日、カトリーヌはイタリアを去り、フランソワ1世の次男オルレアン公アンリ(後のアンリ2世)の妻としてフランスに来ている。

彼女は血なまぐさい歴史で知られるが、進んでいたイタリアの食文化を伝え、今日のフランスの美食を築いた功績者でもあった。

マカロン、ヌガー、パン・デピスフランジパーヌ(アーモンドクリーム)なども、彼女がフランスにもたらしたと言われる。



マロングラッセの発祥地にリヨンが登場しています。リヨン市は、フランス最大の栗の産地であるアルデッシュ県にも近いし、イタリアからもパリに行くより遥かに近いです。

16世紀にはすでにリヨンの市場で取引されていた上質の栗「マロン」は、フランス産とイタリア産の両方だったのではないでしょうか?

⇒ 3地点を結んだ地図を表示


フランスで唯一の栗の原産地呼称AOC/APOを持っているのがアルデッシュ県で、この県にはマロングラッセのメーカーが幾つもあるので、フランス説にしたいという気持ちが働いているのではないかという気がしないでもありません。

フランスかイタリアか、というのは現代の国境を考えているから分けるのであって、あのあたりでマロングラッセが誕生したのだろう、という程度で良いのではないかと思ってしまいます。何か文献に残っているわけでもありませんので。

昔のフランスで栗を売る人の掛け声に「J'ai chastaignes de Lombardie !(ロンバルディアの栗がありますよ!)」というのがありました。大きくて質の良い栗はイタリアからフランスに入ったのかもしれない気もします。イタリアから入った栗を使ってフランス側がマロングラッセを考案したって良いわけではあります。

イタリア発祥説のクーネオがあるピエモンテは、18世紀始めまで国境を跨るサヴォア公国Duché de Savoie) だったので、文化はフランスと共有していたはずです。

1416年から1713年まで存在したサヴォア公国は。現在のイタリア北西部(現ヴァッレ・ダオスタ州、ピエモンテ州)、フランス東部のサヴォワ地方や現アルプ=マリティーム県、スイスのジュネーヴをテリトリーにしていました。首都は、1563年にトリノ(現在はイタリア)に遷都されるまで、現在はフランスになっているシャンベリでした。

16世紀のサヴォワ公国の地図があったので下に入れます。このあたりでマロングラッセが誕生した?

サヴォイア公国の位置
起きな地図にある白線が現在の国境です。


下はサヴォア公国の15世紀の地図ですが、その左上で枠から少し外れたところに赤丸があるのがLyon(リヨン市)です。

クリックすると拡大地図が開きます。
Savoie 15e siecle

地図は、こちらのサイトに入れてくださっているものの方が見やすいかもしれません:
サヴォイア家(サヴォワ家)


マロングラッセの誕生説は、現代に近づいてくると証拠もあって、かなりはっきりしてきます。


 17世紀半ばのフランスでレシピが文献に登場した

ヴェルサイユ宮殿で、ルイ14世の食卓にマロングラッセが登場していた、という説があります。ルイ14世は大変な美食家で、大食漢でもありました。

日本ではよく、ナポレオンに愛されたワインとか食品とか言って宣伝しますが、フランス人には余り宣伝効果はないだろうと思います。食べ物にうつつを抜かしていたら、あんなに戦場ばかりにいて、敵も味方も死なせたりしてはいられませんから。

ルイ14世の時代だったという説の大きな証拠になっている書籍があります。

17世紀半ば、料理人ラ・ヴァレンヌが著した『Traité de confiture ou Le nouveau et parfait confiturier(1667年)』に、栗を砂糖のシロップ煮にして乾いた状態にするレシピが入っているのです。

この本の題名には定訳がないのですが、訳したら『ジャム概論、あるいは最新かつ完璧なジャム製造者』というところでしょうか?



現在のマロングラッセと同じものではないでしょうが、それのルーツと言えるレシピが文献に現れたものとしては、これが最も古いと言われます。

著者のフランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌ(François Pierre (de) La Varenne 1618~1678年)はブルゴーニュのディジョン生まれの人で、ブルゴーニュ南部を統治していたデュクセル侯爵(Marquis d’Uxelles)の料理人として10年間ほど働きました。

マッシュルーム・ペーストの「duxelles(デュクセル)」も彼が考案して侯爵の名前が付けられたレシピでした。

彼がデュクセル侯爵家に使えていた1651年に出した『フランスの料理人(Le Cuisinier françois』は、大成功をおさめ、再販を続けました。イタリア語にも翻訳されています。今日でも、中世的な料理を現代的なフランスのガストロノミーにまで高めたという記念碑的な料理の本だと言われています。

この中では、今日よく知られているベシャメルソース、ブーケ・ガルニなどのような用語も色々と使われており、ミルフィーユのようなレシピもあるとのこと。

その後、ラ・ヴァレンヌはルイ14世の大臣だったルーヴォワ候の料理人になっています。ということで、ルイ14世も彼のマロングラッセを食べただろう、ということのようです。


 1827年、グラサージュをほどこしたマロングラッセがパリに登場

おそらくド・ラ・ヴァレンヌのレシピでは、現在あるような艶のあるマロングラッセではなかっただろうと思うのは、マロンの艶出しを考案したという人物がいるからです。

糖菓製造者のBélissaire Boissierが、glaçage(グラサージュ)と呼ぶ艶のあるマロングラッセの製造法を作り出したとされています。

彼の会社は現在もパリの高級住宅地16区に美しいブティックを構えています。

ボワシエ社のサイトを読むと、ド・ラ・ヴァレンヌの著書から150年たったとき、ベリセール・ボワシエが今日のマロングラッセの製造法を発明したとして、簡単な説明があるだけでした。

ド・ラ・ヴァレンヌの著書が発表されたのは1667年ですから、その150年後だったら、1817年に発明したということですよね? ボワシエ氏の会社が創設されたのは1827年でした。ずれている...。でも、それは気にしないことにします。



少し奇妙な感じがしました。マロングラッセの歴史の中には、ほとんどボワシエ社のことは書かれていなかったのです。出てくるのは、ボワシエ社が発信している情報か、この会社を紹介している記事くらいなのです。

日本の情報では「マロングラッセの発祥の店」と書いてある記事が多かったのですが、フランスでは製造法を確立したと言うだけではマロングラッセを誕生させたとまでは言わないのかな?... もちろん、フランス情報でも「マロングラッセの初めてのレシピを産んだ」というような紹介もあったのですが、内々だから書いているような気もしました。

ボワシエ社の方では、マロングラッセの歴史に残る店であると宣伝する気持ちはないのかも知れません。サイトでは商品が美しく紹介されているのですが、歴史のところはほんの少し書かれているだけで、栗のグラサージュを発明した人の写真も、昔の店や商品など見せる写真も全くありません。店には何も昔の記録がないのかな...。

店の宣伝としては、文豪ヴィクトール・ユーゴー(1802~1885年)のお気に入りの店だったということの方が誇らしく思っているようでした。

ユーゴーが飴をほめるポエムのフレーズをよく使っています。彼がお気に入りだったのは「Bonbons « boule »」というキャンディー(こういうのだそうです)。今ではよくありそうな飴玉ですが、これもボワシエの考案だったのだそう。


あと10年くらいで操業200年になる老舗のボワシエとは違って、フランス情報のマロングラッセの歴史には必ず登場する会社があります。


 マロングラッセが工場生産で普及するようになったのは、1882年のフランス

マロングラッセの歴史の中で、これだけが確定的なこと、という感じで紹介されています。

初めて工場生産して販売したのはフランスで、それは1882年だった。

logo de Clément Faugier (société)土木技師だったClément Faugier(クレマン・フォジエ)が、1882年、栗の産地として名高いアルデッシュ県でマロングラッセを工場生産を始めたのです。

自分の名前を付けた会社を設立して、この会社は現在も続いています。

それまではごく限られた人々しか口にすることがでなかったマロングラッセを、庶民でも食べられるスイーツにした功績が評価されるのでしょう。

同社の成功は、同じようにマロングラッセのメーカーを生み出します。

1896年、前回の記事(マロングラッセを作るのには20日間もかかる)に入れた動画で製造を見せていたコルスィグリア社(Corsiglia)が、南仏マルセイユでマロングラッセを作り始めています。マロングラッセ製造の特許獲得は1931年にしたとのこと。

クレマン・フォルジェ社と同じアルデッシュ県でも、マロングラッセを作る会社が創設されています。1907年にサバトン社( Sabaton)、1920年にアンベール社(Imbert)。


栗の産地アルデッシュでは、マロングラッセの揺り籠はここ、という感じで活動している感じがしました。そのアルデッシュのマロングラッセを取材した映像を入れておきます。

マロングラッセの歴史にも触れていて、ランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌの名前を出しているのですが、別の著書とチャンポンにしていますね...。


Marrons glacés d'Ardèche (Aubenas)

工場見学で登場していたのはサバトン社でした。マロングラッセの歴史のお話しでクレマン・フォルジェを出しておきながら、なぜそこを見学しなかったのかな?...


先ほどのボワシエのマロングラッセに比べると、随分お安いのですね。といっても、こんなのを私は買えませんけど...。やはり、プレゼントでいただきたい!


フランス情報に、ほんの少しイタリア情報を眺めながら長々と書いてしまいましたが、マロニエの実(マロン)でマロングラッセを作っていた、というお話しは微塵も出てこなかったことはお分かりいただけたかと思います。

マロングラッセがいつ登場したのかを書いた後、第2の検証として、いつから栗がマロンと呼ばれていたのか、いつマロニエがヨーロッパに入ったのか、を書いていたのですが、長くなってしまったので、ここで区切っておきます。


寄り道した続き:
フランス絵画の題名でも、栗の木とマロニエは混同されている


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!




外部リンク:
【報道機関の情報】
☆ Le Figaro Madame: Glacés, les marrons, glacés ! 
☆ Libération: Confit devant le marron glacé
☆ L'Express Styles: Tout ce qu'il faut savoir sur le marron glacé

【栗業界、マロングラッセのメーカー情報】
☆ Comité Interprofessionnel de la Chataîgne d'Ardèch: L'HISTOIRE DU MARRON GLACÉ
☆ CLEMENT FAUGIER: Marrons Glacés une Histoire de Plaisir et de Gourmandise
☆ Maison Boissier: Confiseries
☆Terra Gourma: Marrons glacés Boissier
☆ Maison Corsiglia: Vos questions

【その他のソース】
☆ JACQUES BERTHOMEAU: Autrefois les marrons glacés étaient de Privas, et maintenant d’où viennent-ils
☆ Keldelice: Le marron glacé
☆ Provence 7: Marron Glacé en Provence
☆ Italien Pasta.com: Marrons glacés
☆ dedélices.com: Quelle est l’origine des marrons glacés
☆ Livres Cuisine Recettes Histoire: François Pierre La Varenne 1618 - 1678
☆ anecdotrip.com: Louis XIV
☆ Wikipedia: Marron glacé » マロングラッセ

【フランス以外の情報】
☆ Université de Liège - Catherine de Médicis à la base de la gastronomie française (ベルギー)
Continental Cookery
☆ Wikipediaイタリア語: Marron glacé
Le fruit merveilleux de «l’arbre à pain» (ロシア)
☆ cibo360: Marron glaces(イタリア)
マロングラッセはかつて本当にセイヨウトチノキ(マロニエ)の実が使用されていたのか
☆ 世界の料理研究家たち...その条件と能力: フランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌ氏
☆ ケーキの寺子屋: アントナン・カレーム
☆ University of Chicago: Français ou italien   l'histoire du marron glacé
☆ 納豆学会: 納豆と甘納豆について 甘納豆が誕生したのは1857年

【砂糖の歴史】
☆ 農畜産業振興機構: 砂糖の歴史(インドから西方へ)
☆ 三井製糖: こうして砂糖は広まった~世界一周、砂糖の旅~

ブログ内リンク:
にんじんのグラッセはフランス人には珍しい? 2010/02/25
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ


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2016/12/21
日本で言えば「お正月のご馳走」、フランスで言えば「クリスマスのご馳走」というのがありますが、そういうのは今では薄れましたね。

海がないブルゴーニュでは、サーモンがクリスマスのご馳走だったと言う友人がいましたが、今は全く問題なく食べられる。フォアグラもご馳走だったはずですが、1年を通してかなり頻繁に食べる機会があります。

いまだに高価過ぎてめったに食べられないのは、シャポンと、マロングラッセかもしれない。

シャポンが何であるかは書いていました:
フランスで最高のクリスマス料理: シャポン 2005/12/05

シャポンは去勢して育てた雄鶏なのですが、農家ではクリスマス用に育てているので、シーズン外れのときにはまず手に入りません。

マロングラッセは1年中買えるとはいえ、やはり高価なので出てくる機会が少ない食品です。

シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その8


ヒマダネ記事はマロニエと呼ばれる

クリスマスが近づいたら、ニュースではマロングラッセの話題が増えてきました。

クリスマスプレゼントしてもらえるのをフランス人たちは期待するらしい。マロングラッセといっても、スーパーで売っている得体の知れないものから、手作りまでありますけれど。フランスのニュースで、1キロ150ユーロ(2万円弱)もするのだと書いてありました。1キロ食べなくても良いのですが、フランスの食材はキロ単位の値段で言うからでしょうか。


そう言えば、毎年決まってニュースで話題にするネタのことをmarronnier(マロニエ)とフランスでは呼ぶのでした。日本語にはそういう言い方が思い当たらないので辞書をひいたら、「(季節をテーマにした)ヒマダネ記事」と訳していました。

新学期になったとか、初雪が降りました、夏のヴァカンスシーズンなので道路が渋滞していますなど、毎年ニュースで時期になると出てくる話題を「マロニエ」と呼ぶ。

ここでまた、なぜマロニエなのかと思ってしまうではないですか?

パリのテュイルリー公園にある、1792年の8月10日事件のときに命を落としたスイス人の歩兵連隊の墓の上に、マロニエの花が春になると咲く、と毎年ニュースで取り上げられる。それを茶化したのか、そういうのを「マロニエ」と呼ぶようになったのだ、という説明がありました。

Wikipediaの記事でベニバナトチノキの品種のマロニエを出していたので赤い花を入れたのですが、花の色には余り関係がなさそうです。

毎年繰り返される話題を扱った記事のことを、イギリスではchestnut、アメリカではevergreenと呼ぶとのこと。

ヒマネタがマロニエと呼ばれるようになった経緯については諸説あるそうなので、放置することにします。ここのところ私が調べているのは食べられる栗のマロンから作るマロングラッセですので!



マロングラッセを作るには、大変な手間がかかる

法外と言いたくなるほど高い値段で売られるマロングラッセですが、材料が限定されるのに加え、製造には非常に手間がかかるからだそうです。

マロングラッセのメーカーでは、クリスマスシーズンには製造が追いつかないくらい忙しいようです。でも、ドル箱商品のはず。よく知られたメーカーのサバトン社では、売り上げの3分の1がマロングラッセの販売によるものなのだそう。

栗をイガから取り出してから商品になるまでに20日間かかるのだ、という記事がありました。

まず、大きくて、割れやすくなくて、できるだけ実の固い栗を選ぶ必要がある。フランスで最高級の栗が収穫できる産地といったら、原産地呼称AOC/AOPを獲得しているアルデッシュ産の栗なのですが、栗の風味は良いけれど、大きさは余りマロングラッセ向きではないようです。

イガから取り出してから1週間くらい水に浸しておくと、水面に浮かび上がってくる栗がある。それは何か問題がある血管品ということで使わない。それからナイフで皮をむく作業があるのですが、これがまた大変でしょうね。

その後にも、長い、長い行程...。


栗2つを布のネットで包んでシロップ煮する

フランスの有名メーカーがマロングラッセを作っている行程を見せる動画があったので、幾つか眺めました。

美しい画面が出ていたのは、こちらのニュース。南仏でマロングラッセを作って120年になるコルシグリア社(Corsiglia)です。イタリア系の家で、ニューヨークで菓子づくりをしていたご先祖がマルセイユでマロングラッセを作る店を開いたとのこと。


YouTube: Gastronomie les Corsiglia, spécialistes du marron glacé
⇒ 
動画を入れた記事

最後にマロングラッセを割って見せていますが、出来の良し悪しを見分けるためにはナイフでは切らないと言っていますね。こんな風に中身がジューシーになっているのが本物だそうです。中まで固くなっていたら、製造法がいい加減だったか、日が立ちすぎてしまっているとのこと。

コルシグリア社のサイトを見たら、栗はイタリア産のmarron de Turin(トリノ・マロン)、marron de Naples(ナポリ・マロン)、それから入手できれば地元産のMarron de Collobrièresを使っているそうです。

同じ会社ですが、下の動画の方が詳しく製造過程が見られます。


Les secrets de fabrication des marrons glacés

面白いことに気がつきました。

栗を砂糖シロップで煮るときに、栗が崩れないように布のネットでくるむのですが、栗を2個ずつくるむのが本来の製法のようです。これは甘味がしみ込みすぎないようにするのが大きな目的なのだそう。

2つを抱き合わせたようにネットでくるむのを、イガの中で生まれたときと同じ状態にするという説明。そうやって栗に休んでいただくということでしょうか?

今回の私のシリーズ記事では、イガの中に1つだけ入っている栗をマロンと呼び、それで作るのがマロングラッセだ、ということが日本では定着していると聞いて不思議に思ったことから書き始めました。植物学の上からはマロンはそうだったけれど、現在ではそうとは限らないということで、実際に映像を見て確信しました。

サバトン社(Sabaton)の製造過程を見せる動画も入れておきます ↓


Les marrons glacés

比べて眺めていると、どちらが美味しいか見えてしまう気がしました...。


フランスで有名なマロングラッセのメーカーは?

フランスで有名なマロングラッセのメーカーをリストアップしておきます。リンクしたのはメーカーのサイトです。

パリにメーカーがあるのを除くと、栗の生産地として知られるアルプス山脈に近いフランス中部と南フランスがマロングラッセの故郷なのだなという風に感じました。



どんな風にマロングラッセを作っているのかを見たので、次はマロングラッセはいつできたのか、ということについて書きます。

続き: マロングラッセとマロンの関係。鶏が先か? 卵が先か?


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!






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外部リンク:
C'est le printemps ! parole de marronnier des Tuileries
Qu'est ce qu'un marronnier en journalisme?

Gros plan la fabrication des marrons glacés chez Sabaton (サバトン社の製造過程を見せる動画あり)
☆ Sabaton: Les secrets de fabrication du marron glacé


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2015/08/04
フランスのデザートの中で、一番ありふれているのはアイスクリームかもしれません。ストックしておけるので、前触れもなくやって来た人に食事を出す場合などにも重宝するデザート。

私は市販のアイスクリームの味が好きではないので、夏になるとせっせとアイスクリームやシャーベットを作っています。


あるもので作ったアイスクリームだけれど、やたらに美味しかった



桃とアプリコットが柔らかくなってきたのでアイスクリームにしてしまおうと思ったのがきっかけで作りました。少し前にも同じ材料でシャーベットを作ったのですが、トマトのような色に出来上がって食慾をそそらないのでした。

それで、今回は赤い色を付けるために、フランボワーズも加えることにしました。

庭でとったものを瓶に入れて、それにグラニュー糖を入れておくと冬まで持つというので、保管してあるものがたくさんあるのです。つまり砂糖漬けになっているフランボワーズを使ったのですが、問題ありませんでした。

もう少しフランボワーズの量を多くした方がもっと赤くなって良かったかな...。


フルーツ入りフローズン・ヨーグルトのレシピ

やたらに美味しくできたので、何で作ったのかメモしておきます。来年になったら忘れてしまっているでしょうから。

アイスクリームメーカーに付いてきたレシピの中で、材料が揃っているレシピを選びました。フルーツ入りフレーズン・ヨーグルト、というような感じの名前。

お手本レシピ
Yaourt glacé aux fruits
今回のレシピ
果物 250 g桃、アプリコット、フランボワーズ 適量
グラニュー糖 100 g  シロップ 300 cc(砂糖 200g + 水 200 cc)
生クリーム 50 cc生クリーム 適量
ヨーグルト 375 ccヨーグルト カップ1個
レモン汁 スプーン1杯レモン半分の絞り汁
桃のリキュール 大さじ3杯(?)
クレーム・ド・ペッシュ・ド・ヴィーニュ 

食べごろを過ぎた果物だったので、潰すのは非常に楽でした。ドロドロになったものをシノアでこして種や繊維を除きました。

もう少しフランボワーズの量を多くした方が赤味が増して良かったかもしれない。

砂糖のままで良かったのにシロップを使ったのは、シャーベットを作ろうと思ってシロップを用意していたのに、冷蔵庫に入れっぱなしになっていたものがあったからでした。

始めてヨーグルトを使ってみたのですが、美味しくできるものなのですね。

ヨーグルトと生クリームは近くにある酪農家の自家製が買えるので、その味の良さも出来上がりを左右しただろうとも思います。

この農家からは生乳も買うのですが、そちらは無くなってしまっていたのでヨーグルトを使ってみたのでした。


卵を全く使わないレシピなのも気に入りました。

卵を使うレシピだと、黄身でアイスクリームを作って、翌日には残しておいた白身でシャーベットを作って無駄を出さないという工夫をするのが面倒なので。「翌日に」というのは、アイスクリームメーカーの凍らせる部分は1晩は冷凍庫に入れておかないといけないからです。


桃のリキュールを入れたのが良かったのだろうと思います。アイスクリームやシャーベットを作るときには、よくレモンチェッロを使っているのですが、どんなフルーツのでも味が良くなると感じています。

今回使ったのは、戸だなの中に飲んでいなかった瓶が見つかったリキュールです。買ったのに忘れていたのか、醸造所でたくさん買ったときのプレゼントだったのか?

「クレーム・ド・ペッシュ・ド・ヴィーニュ」という珍しいリキュールです。ブルゴーニュの昔には、ブドウ畑によく植わっていた桃の品種がペッシュ・ド・ヴィーニュです。

この桃の木を探してみた時期があったので、書いた記事を一覧にしています:
★ 目次: ペッシュ・ド・ヴィーニュ(ブドウ畑の桃)

こういうリキュールは日本には輸出されていないだろうと思ったのですが、入っているのですね:
クレーム・ド・ペッシュ・ド・ヴィーニュを楽天市場で検索

でも、日本でも市販されているリキュールは、ジンジャーを少し入れているものばかり。私のにも入っていたのかと思ってメーカーのサイトで確認したら、生姜が入っているとは書いていませんでした。


色々なアイスクリームやシャーベットを作るので、だんだんレシピには従わないで、いい加減な分量で作るようになりました。

結局、材料が良ければ、どんな調合で作っても美味しくできると思う。


最近はもっぱら、アイスクリームやシャーベットを作ると、小さな器に入れてから冷凍庫で保存しています。こうしておくと、食べたいときに取り出せば良いので非常に便利。たくさん食べたい人には、幾つも選んでもらっています。

陶器を冷凍庫に入れたら割れてしまうのではないかと心配したのですが、今のところ壊れたカップはありません。今回はガラスのコップを使ってしまったのですが、それでも大丈夫でした。

大きな容器に入れてしまうと、食べる少し前に取り出して、少し解凍させないとスプーンで取り出すことができないので面倒なのです。


アイスクリーマーは憐れな状態になっている..

私のアイスクリーマーは、かなり憐れな姿になっています。透明のプラスチックの部分を床に落として割ってしまったのです。

それで、ガムテープで抑えてから電源スイッチを入れていたのですが、ガムテープ1本では収まらなくなってきました。

回転するので、しっかり押さえないと蓋が外れてしまうのです。すぐに気がつかなかったときには、1回分がだめになってしまいました。今年は、ガムテープを5本くらい張って抑えています!

右の写真の日付けを見ると10年前。ということは、もう10年以上このアイスクリーマーを使っているのだ...。


包帯だらけになっているような私のアイスクリーマーを見た人から、「スーパーの特売で安く売っているのだから、買い換えれば良いのに」と言われてしまいました。

でも、他の部分には問題がないし、愛着があるので捨てる気になりません。それに、新しい電気製品だから性能が良くなっているとは限らない。新しいのを買っても、結局、古いのを使い続けそうな気もします。

時々、アイスクリーマーの商品情報を眺めるのですが、私のより使いやすそうというのが見つかりません。そもそも、単純な構造なので、アイディア商品というのもないような気がします。


今度買うとしたら、今のよりもっとたくさん作れるものが欲しいです。材料をかき混ぜるのは量が多くても同じなので、いっぺんにたくさん作れたら楽です。持っているのは普通の家庭用で、容量は1リットルだろうと思います。これだと、たくさん食べる人に出すと、3人分くらいにしかならないのです。


フランスで売っているものと、日本で売っているものとを比較してみました。やはり、フランスでは需要が多いせいか、製品の種類は多いのですね。

フランスで市販されているアイスクリーマー(Sorbetière):




日本で市販されているアイスクリーマー:




保冷剤や容器ごと冷凍庫で凍らせなくても良いタイプがあるのですね。そのタイプのデモンストレーションをしている動画がありました。


H.Koenig HF320 Sorbetière Réfrigérante 2 L - Déballage et présentation


フランスのアマゾンでは、満足度が最高ランクになっている商品でした。

スイッチを入れるだけで冷却してくれるなら、作りたいときにいつでも使えるので便利ですね。

これは2リットルで、私が持っているのの倍の容量なので理想的。

でも、冷却装置が入っている分、がさばっていますね。

ドイツのメーカーのようでした。

アマゾンでは半額セールになっていて、219ユーロ(3万円くらい)。やはり、普通の家庭用よりはずっと高い。

本格的すぎて、私にはもったいない気がするな...。




ブログ内リンク:
フランボワーズがたくさん実をつけているので、ソフトクリームを作る 2013/07/15
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ


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2015/03/26
食用にされる伝統的なエスカルゴは「Escargot de Bourgogne(ブルゴーニュのエスカルゴ)」と呼ばれる品種で、学名はHelix pomatiaです。

日本ではエスカルゴ料理はフランス料理とされていると思いますが、正確に言ったら、特にパセリを入れたバターとともにエスカルゴを詰めた料理は、ブルゴーニュの郷土料理です。

このブログの名前にも使っているくらいですから、私はエスカルゴにはこだわりがあって、エスカルゴについて書いた記事の目次には現在20の記事を入れています。

品種について書いたのは、次の記事:
本物のエスカルゴとは? 2014/07/11

下は、ブルゴーニュ地方の家の庭にいたカタツムリを撮影して記事を書いたときに使った写真です。


雨あがりに姿を現したエスカルゴ 2006/07/28

①が「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼ばれる品種。

②は、フランスで養殖もされているプチ・グリ種で、レストランで食べるときにはこれである可能性が高いです。

③は、絶対に(!)食べないカタツムリ。

見た目からしてブルゴーニュのエスカルゴ種はおいしそうでしょう? ブルゴーニュ地方ではカタツムリを地方の顔にもしていて、お土産用のグッズなどでもよくあります。

それで、ブルゴーニュではエスカルゴのチョコレートまでできています。

日本の知人と話していたとき、エスカルゴの形に作られたチョコレートに興味を持たれたので、日本でも買えるのかを調べてみました。

楽天市場でエスカルゴのチョコレートを検索
アマゾンでエスカルゴのチョコレートを検索


「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」というメーカーとは?

日本で簡単に手に入るエスカルゴの形をしたチョコレートは、これでした ↓

でも、私にとってはエスカルゴ=ブルゴーニュなので、パリのシンボルであるエッフェル塔の絵などをパッケージに描いているのは気に入らない。

エスカルゴの形をしたチョコレートとしては有名なメーカーがあって、もちろんブルゴーニュの会社なのです。これはフランス土産として売っていますね。ということは、あのメーカーが海外旅行者向けにパッケージを変えて売っているのだろうか?...

でも、このチョコレートのメーカーの名前は「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」。書簡作家として知られるセヴィニエ侯爵夫人(Marie de Rabutin-Chantal, Marquise de Sévigné: 1626~96年)はブルゴーニュ出身の人なので、それにちなんで命名したメーカーなのかな?...

こういう名前のメーカーが本当にあるのかを調べてみました。
「マルキーズ・ドゥ・セヴィニエ」をアマゾンで検索

チョコレート・メーカーのようでした。

フランス語で探してみる。パリにブティックを持つチョコレート屋さんで、サイトもあります:
☆ メーカーのサイト: Marquise de Sévigné

フランス中部のオーヴェルニュ地方で19世紀末に創業したのですが、全国に店を展開したらしい。なので、ブルゴーニュとは関係ないですね。そのせいか、普通は「ブルゴーニュのエスカルゴ」と呼ばれる品種のエスカルゴの名前を使わずに、「フランスのエスカルゴ」という名前で売っていました。


ランヴァンのチョコレートはどうなった?

エスカルゴのチョコレート・メーカーとして有名なのは、Lanvin(ランヴァン)という会社です。これが日本では市販されていないようなのは不思議...。

ランヴァンは買収されてブルゴーニュのメーカーではなくなったとは聞いていましたが、ブランド名も変わってしまったのだろうか?...

この会社がブルゴーニュの行政中心地ディジョン市にあるチョコレート工房を手にいれたのは1921年、2代目のEtienne Lanvinが1935年に売り出したエスカルゴ型がヒットしたそうです。

当時としては、エスカルゴの形をしたチョコレートを作るなどとは斬新的だったし、さっぱり目の味も好かれたようです。

1968年、ランヴァン社はサルバドール・ダリ(Salvador Dalí: 1904~89年)をコマーシャルに起用しました。トレードマークの髭が持ち上がって、「Je suis fou du chocolat Lanvin !(私はランヴァンのチョコレートに夢中)」という彼のセリフは受けたようです。


Je suis fou du chocolat Lanvin !

お金儲けに熱心だったダリは色々なコマーシャルに出演したそうですが、このランヴァンのコマーシャルが最も成功したようです。

しかしランヴァン社は原価の高騰によって経営が困難になり、イギリスの企業グループに入り、さらにスイスのネスレの傘下に入り... という歴史をたどっていました。現在のところは、ランヴァンのチョコレートのトレードマークはネスレ社が持っていて、ネスレのサイトにランヴァンの紹介がありました。

http://www.nestle.fr/nosmarques/chocolatconfiseries/lanvin

しばらく買っていませんでしたが、こういうパッケージでしたね。エスカルゴの渦巻き模様がランヴァンのトレードマーク。

ところが、このランヴァンのエスカルゴをインターネットで検索してみると、スーパーのサイトなど、品切れの表示ばかりが出てきました。一時的なものなのかも知れないのでけれど、フランス・アマゾンのページへでも売り切れとなっています。

とはいえ、販売しているところも見つかりました。価格を確かめたかったのですが、1個105円くらい。クリスマスシーズンにはプレゼント用の大きなパッケージがスーパーで山積みされていた記憶があるので、そんなに高かったかな?... という気はしました。

http://www.epicerie-francaise.de/LEscargot-en-chocolat-noir
L’Escargot en chocolat noir - Lanvin - Épicerie française

でも、検索していたら、ランヴァンのエスカルゴが昔とは違った味になってしまった、と嘆く人たちの声が目立ったのでした。クリスマスにランヴァンのチョコレートをもらうのが楽しみだったのに、歯ざわりも違うし、安物のチョコレートの味になってしまった、と報告している人もいました。

ネスレに問い合わせをした人もあって、ネスレ側ではもっと自然な材料を使うようにしたからと回答してきたのだそう。改良したというのはメーカーの言い訳かもしれません。ともかく、作り方が変わったのは確かなようです。

調べて書いているうちに、懐かしいランヴァンのチョコレートを買って食べようかと思ったのですが、やめることにしました。


エスカルゴの形からチョコレートを見る

やはり、エスカルゴはブルゴーニュ。それにこだわって、ブルゴーニュでエスカルゴ型のチョコレートを作っているメーカーの紹介が地元新聞のサイトで紹介されていました。

ランヴァン社を一部引き継いだ会社らしく、Chocolaterie de Bourgogneという名前のメーカー。エスカルゴ型のチョコレートは、色々なパッケージで売られていました

こんな風な形だそうです。
http://www.chocolateriedebourgogne.fr/la-chocolaterie/les-produits/la-confiserie

貝殻の模様がつまらないですね...。

ランヴァンのエスカルゴ・チョコレートは、もっとエレガントに見えたような気がする。画像を探してみました。

http://tartines.fr/lanvin-escargot/
Chocolat Lanvin, l’Escargot | Tartines

大量生産されているチョコレートですけれど、悪くない見た目ですね。

ランヴァンがエスカルゴ形のチョコレートを売り出したときは、斬新さもあって受けたようですが、今ではそう珍しくはないと思います。エスカルゴ形にする道具も売っていました(こちらなど)。

エスカルゴ形のチョコレートといったらランヴァンと思ったのですが、調べてみたら、エスカルゴ形のチョコレートを作っているところは幾つもありました。

例えば、ブルゴーニュ地方オーセール市にあるチョコレート屋さんで、Olivier VIDALという人のお店。この1月に東京で開催された「サロン・デュ・ショコラ2015」にも出展したそうで、評判も良かったようです。



う~ん、見た目からして美味しそう...。手作りのチョコレートは高いけれど、やはり工場生産のものとは全く違う味がするのですよね。こういうチョコレートを食べてみたい...。



ブログ内リンク:
★ 目次: エスカルゴについて書いた記事
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理

外部リンク:
Idée cadeau gourmet de Luxe 3 : le chocolat Lanvin
Chocolat Lanvin, l’Escargot
Mes petits escargots Lanvin
☆ Wikipédia: Lanvin (chocolat)
Salvador Dali, roi de la provoc et avide de dollars
Chocolaterie de Bourgogne(オフィシャルサイト)
Dijon : au coeur de la Chocolaterie de Bourgogne
Olivier Vidal ショコラ・アソート
☆ Wikipédia: Cuisine bourguignonne


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2015/01/07

シリーズ記事目次 【赤ずきんちゃんのガレットとは?】 目次へ
その2


童話を読んでもらった子どもは、そこに登場する食べ物を食べてみたいと思うものなのでしょうか?

グリム童話の 『ヘンデルとグレーテル』には、お菓子の家が登場していたと思い出しますが、私はそれに憧れたりはしませんでした。

私が子どもの頃を思い浮かべると、食べてみたいな... と思ったのは、『アルプスの少女ハイジ』に出てきたチーズを暖炉であぶって食べるという場面。

フランスでラクレットという料理に出会って、ハイジがおいしそうに食べていたのはこれだったのだろうな... と思いました。

それ以外には、子どものときの興味を持ったお話しの中の食べ物って、私にはないな...。


おとぎ話に登場する食べ物を作りたいという発想

フランスには、「おとぎ話の料理」とでも訳せそうな言葉が存在していました。

Cuisine des fées

メルヘンは「conte de fées」。fées(妖精)が必ず登場するわけでもないのに、「妖精の童話」という感じで呼ばれます。それで、conte(コント)をcuisne(料理)に置き換えて「cuisine des fées」にすると、おとぎ話に登場する料理という呼び名になってしまう。辞書などには入っていない言葉ですが、フランス人に言えば何のことだかわかるようです。

そんな言葉ができているくらいなのですから、フランス人はおとぎ話に登場する食べ物に興味があるのでしょうね。

童話に登場する料理を作るレシピ本が何冊も出版されていました。増版を重ねている書籍もあるので、人気があるらしいです。



これまた私の記憶にはなかったのですが、フランスの文学者ペローの童話『赤ずきんちゃん』では、お婆さんの見舞いに行くように言われた赤ずきんちゃんはガレットを持たされていました。ペローの100年以上後に出たドイツのグリム兄弟の『赤ずきんちゃん』でも、フランス語版ではガレットという単語を使っています。

そのガレットとは何なのか、前回の日記から書き始めています:
赤ずきんちゃんが持っていったガレットとは、どんな食べ物?


『赤ずきんちゃん』が持っていったガレットの作り方

前回の日記に書いたように、赤ずきんちゃんが何かを持っている画像を眺めてみたのですが、どんなガレットなのかは分からない。

レシピを見れば一番よく分かるだろうと思いつきました。そんなものがあるはずはないと思いながらもフランスの検索エンジンで探してみたら、たくさん出てきたのです! 驚きました。

シャルル・ペローの国だから、フランスの子どもは日本以上に『赤ずきんちゃん』に親しみがあるのでしょうか?

お料理の名前は、「Galette du Petit Chaperon Rouge赤ずきんちゃんのガレット)」として定着してしまっているようです。

例えば、こちらが「赤ずきんちゃんのガレット」 ↓


La galette du petit chaperon rouge - Chez Féefils

インターネットで見つけた「赤ずきんちゃんのガレット」から、5つのレシピの材料を並べてみます。

上に入れた写真を入れたブログでは、レシピ①で作っていました。おいしそうですね...。

グリム童話の『赤ずきんちゃん』フランス語版では、お母さんは「お婆さんが舌鼓をうって喜ぶから」というようなことを言って、赤ずきんちゃんにガレットとワインを持たせています。私もこんなにきれいにお菓子が焼けたら、同じことを言いそう...。


小麦粉 100 g
グラニュー糖 50 g
バター 50 g
ベーキングパウダー ひとつまみ
アーモンドパウダー 15 g
ミルク 25 ml
卵 1個(艶出し用)

※ 好みによって、シナモンひとつまみを入れる。
  • 生地はラップに包んで冷蔵庫で1時間寝かせる。
  • クッキングシートを敷いたプレートにのせ、表面に卵を塗ってから、ナイフで筋目を入れる。
  • オーブンは180度で、20~25分焼く。

小麦粉 250 g
粉砂糖 100g
バニラシュガー 1袋
加塩バター 60 g + 10 g
ミルク 小さじ3杯
卵 1個
塩 ひとつまみ
シナモンパウダー ひとつまみ
卵黄 1個(艶出し用)
  • 生地は丸めてから布を被せ、常温で30分寝かせる。
  • 2cmくらいの厚さにローラーでのばして形作る。
  • 卵黄にミルク大さじ1杯を混ぜて表面に塗り、ナイフで筋目を入れる。
  • オーブンは200度で、20分焼く。

小麦粉 240 g
バター 150 g
砂糖 150 g
卵黄 4個 + 1個(艶出し用)
ベーキングパウダー 1袋
塩 ひとつまみ
  • 砂糖とバターを混ぜ、卵を1個1個加えていき、小麦粉を加え、最後にベーキングパウダーと塩を加えて混ぜる。
  • タルト型に紙を敷いてはがれやすいようにしてから生地を入れる。
  • オーブンは200度で、30分焼く。
④ 学校のレシピ
(小学2年生のクラス用)

小麦粉 200g
バター 80g(柔らかくしたもの)
砂糖 40g
塩 ひとつまみ
卵黄 3個(1個は艶出し用)
ミルク 大サジ1杯
  • 生地を混ぜたら(ミルクは最後に加えていく)、丸くして、冷蔵庫で1時間くらい寝かせる。
  • 生地を伸ばし、ボールを逆さにしたものを型にしてガレットを3つ作る。
  • クッキングペーパーの上において、表面に卵を塗り、オーブンに入れ、中火で15分焼く。

多少の違いがあるくらいで、だいたい同じようにシンプルに作っていますね。

童話ではガレットを1個持って行ったと書いてあるので、ほとんどの人は大きな形に焼いていました。この材料で小さなガレットもできるのだそうですが。

結局のところ、赤ずきんちゃんが持っていったとされるガレットは、一般的には大きな丸いビスケットなのだろうと思いました。赤ずきんちゃんのガレットは「大きなsablé(サブレ)」だ、と表現している人がありました。

ここにあるのはペローでもグリム童話でも良いレシピだと思います。でも、前回の日記に書いたように、その前にあった民話に登場するものだとしたらパン風にしなければなりませんから、これは無視されているのだと思いました。


フランスの子どもにとって、赤ずきんちゃんはガレットに結びついている?

学校のレシピでは、童話を勉強した後にガレットを作って、単語や動詞の変化なども学ぶのだそうです。

子どもたちが赤ずきんちゃんのガレットを作っている映像がYouTubeに入っていました。


La galette du petit chaperon rouge

動画のタイトルは「赤ずきんちゃんのガレット」となっているのですが、説明からリンクされていたレシピは簡単に作れるガレットでした(Galette au sucre rapide pour enfants impatients)。バターの代わりに、フレッシュチーズかヨーグルトを使うレシピです。

この料理サイトには、「赤ずきんちゃんのガレット(Galette du Petit Chaperon Rouge)」というレシピも入っているのですが、小さな子どもたちなのでバターを使うのを避けたのかもしれません。結局のところ、「これが赤ずきんちゃんのガレット」と言って大きなお菓子にすれば、何でも良いのではないでしょうか?

この学校に限らず、フランスでは、あちこちの学校でやっているようです。ひょっとして、フランスの子どものほとんどが赤ずきんちゃんのガレットを作る機会を与えられるのではないかと思ってしまうほど。

フランスの検索エンジンで「galette du petit chaperon rouge(赤ずきんちゃんのガレット)」をキーワードにして検索すると、作ったガレットの画像以外に、子どもたちの料理風景がたくさん出てきたのです。もちろん、関係ないものも紛れ込んでヒットしてはいますけれど。

Google画像検索で「galette du petit chaperon rouge」を検索した結果

日本の検索エンジンで、「赤ずきんちゃん」の他に、「ガレット」とか「菓子」とか「バスケットの中身」とかをキーワードにして検索しても、赤ずきんちゃんのガレットは出てきません。前回の日記で書いたスコーンのほかは、ブルガリア在住の方が作ったレシピを報告なさっているだけでした。

日本では余りやらないのではないでしょうか? そもそも、あのお話しにお菓子が登場していたなんて、私の記憶にはありませんでした。

改めて、ペローの『赤ずきんちゃん』の話しを聞いてみます。


Le petit chaperon rouge - version 2 - FR

知らなかった! ガレットがとても強調されているのですね...。

この動画はペローの童話を脚色したものなので、そうなったのかな?... ドイツ人のグリム兄弟が書いた童話『赤ずきんちゃん』でも、そんなにガレットという言葉を繰り返しているのだろうか?

2つのお話しを比較してみました。

バージョン物語のワード数ガレットの文字
ペロー版
779ワード
(最後の教訓を除けば 674ワード)
6回
グリム版1,571ワード5回

「galette(ガレット)」という言葉が出てくる回数にはそう差はないのですが、グリム版はペロー版の倍以上の長さがありますから、ペロー版ではガレットだらけと感じても無理ないですね。

赤ずきんちゃんの民話は、11世紀のフランスにはすでにあったことが確認されているのだそう。フランス人たちにとっては、日本以上に親しみがあるお話しなのかもしれないですね。

私は赤ずきんちゃんのレシピを調べましたが、作ってみようとは思わないものな...。おっと、こういうのは子どものためか、子どもと一緒に作るのが楽しいものなんだ!


これで赤ずきんちゃんのお話しは終わりにしようと思ったのですが、もう1つ気になったことが出てきたので、次回に書きます。

 シリーズ記事: 赤ずきんちゃんのガレットとは? 【目次




ブログ内リンク:
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
童話「赤ずきんちゃん」に関するリンク集 (シリーズ日記目次内に記載)


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2014/12/14
ベルギーでお正月に食べるという「ガレット」と呼ぶお菓子はどういう風に作るのかを調べていたのに、ここのところ菓子の呼び名が気になって脱線して書いていました。

前回の日記「紛らわしい菓子の名前: ゴーフル、ゴーフレット、ガレット」で混乱てくる菓子の名前を並べてみたのですが、次のように言えるのではないかと思いました。
  • フランスで「Gaufre(ゴーフル)」と呼ぶ菓子は、日本では「ワッフル」と呼ぶ。

  • Gaufrier(ワッフルメーカーを指す)を使って焼いた菓子は、Gaufre(ゴーフル)あるいはGaufrette(ゴーフレット)」と呼ばれる。


でも、不思議になってしまうのは、ベルギーの正月菓子「Galette(ガレット)」もワッフルメーカーを使うのです。確信は持てませんが、ベルギーのフランス語では、フランスではゴーフルと呼ぶものをガレットと呼ぶようす。


このお菓子を発見したときに書いた日記:
ベルギーには、正月のお菓子と言われるガレットがあった 2012/01/03

この日記に、下に入れる動画を入れていました。



これをご覧になった方から、どうやって作るのかという問い合わせのコメントが入りました。

私も気になったので、調べてみました。

レシピが欲しいというコメントをくださった方は、次のように書いていらっしゃました:
「クックパッドのレシピはほとんど試しましたがイメージと違いました」

クックパッドに入っていたレシピとは、リエージュ風ワッフルと呼ぶものなのではないかという気がします。

リエージュ風ワッフルに似ているのですが、どうも違うらしい、と思いました。
新年のガレット

Recette pour Galettes de l'an neuf 
リエージュのワッフル

☆ Wikipédia: Gaufre de Liège

リエージュ風ワッフルは、焼き立てを暖かいうちに食べるほか、冷たくなっても食べるのだそう。でも、何日もたってから食べるようにはできていないように思います。

それに対して、ベルギーの正月ガレットは、普通のビスケットのように長期保存ができそうに思えました。

このような小型のワッフル型のクッキーに、トラビストガレットという商品があります。「ガレット」という呼び名を使っているので、同じルーツなのではないかと思えてきました。

トラピストガレット


フランス語でベルギーのことを調べると、フランスのサイトも入ってきてしまうので分かりにくいのですが、ベルギーで新年に食べるガレットということでレシピを拾い出してみました。

レシピへのリンク材料
ベルギーの新年菓子 ガレット
GALETTES DE NOUVEL-AN
PDF版
(ベルギーのサイト)

※ガレットはGalettes de Nouvel-Anのほか、Grosses Gallettes、Galette Levéeとも呼ばれる。
小麦粉 1Kg
卵 6個
砂糖 200 g
ミルク 1dl ¾
バター(加塩) 175 g
イースト 63 g
ラード 50 g

※通風がなく暖かい部屋で、生地を発酵させる(1時間半から2時間)。
Galettes de l'an neuf
(ベルギーのサイト)
薄力粉 500 g
卵 8個
砂糖 300 g
バニラシュガー 半袋
バター(加塩) 500 g
塩 1つまみ

※生地は冷所で1晩寝かせる。
Les galettes du Nouvel An
(ベルギーのサイト)


※新年に年配の女性の家に行ったら、家で作ったガレットを添えないでコーヒーを出すことはめったにないと言っている。
薄力粉(非常にキメの細かいもの) 200 g
卵 大きなもの5個
砂糖 200 g
バニラシュガー 2袋
バター 200 g
ワッフルメーカーのためにオイル(ラッカセイ油かラード)

※材料は30個分
Recettes bio - Galettes belges du Nouvel An
(ベルギー在住者のブログ)
小麦粉 1Kg
卵 10個
砂糖 800 g
バニラシュガー 50 g
バター 800 g
塩 1つまみ

※生地は冷所で2時間寝かせる。
Les galettes du Nouvel An de Papy Octave (Belgique)小麦粉 1Kg
卵 15個
黒砂糖(茶) 200 g
黒砂糖(白) 200 g
粉砂糖 400 g
バター 1 Kg

※生地は冷所で1晩寝かせる。
Galettes belges
※ この新年に食べるガレットは、フランス人はゴーフルとは生地が違うので間違えないように、と書いてあります。
小麦粉 1 Kg
卵 10個
砂糖(グラニュー糖か黒砂糖) 750 g
バター 500 g

※生地は冷所で数時間寝かせる。
Galettes du Nouvel An de mes Grands Parents (Belgique)小麦粉 1 kg
卵 6個
砂糖 500 g
バター 500 g
ベーキングパウダー 小さじ1杯
牛乳 小さじ1杯
塩 少々

※生地は冷所で1晩寝かせる。
その他のレシピ
Les bonnes galettes Wallonnes

※ワロン地方(ベルギー)のガレットと紹介してあるだけで、正月に食べるとの記述はないが、良く似たレシピ。
※ ブリキ缶に入れておけば1カ月保存できるとのこと。
小麦粉 1 kg
卵 10個
グラニュー糖 750 g
バニラシュガー 2袋
バター 750 g

※生地は冷所で最低2時間、できれば1晩寝かせる。
日本情報(クックパッド)
見た目はワッフル  but ♪ガレット♪

※トラピストガレット(クッキー)を再現したというレシピ。
薄力粉220g
卵 1個
グラニュー糖100g
マーガリン100g
Gaufres de Liège
(リエージュ・ゴーフル)
小麦粉 375 g
卵 1個 + 卵黄1個
砂糖 250 g
バター 200 g
塩 8 g
ドライイースト 30 g
ミルク 180 g (少し暖めたもの)
日本情報(クックパッド)
ワッフル(リエージュワッフル)
強力粉150g
薄力粉50g
卵1個
砂糖30g
塩2g
ドライイースト8g
スキムミルク15g
バター(無塩)50g
水(35度)75ml
日本情報(クックパッド):
本格ベルギーワッフル
薄力粉 150g
強力粉 50g
卵 2個
砂糖 大さじ5
バター 50g
ドライイースト 4g
塩 3g
牛乳 100cc
蜂蜜 20g
ざらめ

ベルギーのガレットに共通して言えるのは、砂糖は細かなものを使うこと、バターは溶かして使うことでした。

ベルギーのガレットの材料と、日本のレシピはずい分異なるようです。まず、日本のレシピでは強力粉も入れています。フランス語情報では、ケーキ用の薄力粉と特定していないものは「小麦粉」としましたが、薄力粉であることは自明のことだから書いていないのだろうと受け取りましたので。

ベルギーのガレットは卵とバターをたくさん使うことも特徴のようです。

イーストやベーキングパウダーを使うレシピもありましたが、入れていない方が多かったです。リエージュのワッフルや日本のレシピではドライイーストを使っています。

なんとなく違いが見えたことで、このシリーズの日記は終わりにしておきます。

 シリーズ記事: ベルギーの正月菓子ガレットとは?
  1. ベルギーには、正月のお菓子と言われるガレットがあった 2012/01/03
  2. 正月に食べる習慣があるスイーツ: ガレット、ゴーフルなど 2014/12/09
  3. 紛らわしい菓子の名前: ゴーフル、ゴーフレット、ガレット 2014/12/11
  4. ベルギーで正月に食べるガレットのレシピ 2014/12/14




ブログ内リンク:
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
クックパッドのベルギーワッフルのレシピまとめ
☆ 動画: ベルギーワッフルの作り方?


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ベルギー



2014/12/11
ベルギーには正月に「ガレット」なる菓子を焼く習慣があるとは聞いていたのですが、ベルギーに近い北フランスにも同じような習慣があると知りました。ところが、北フランスで焼いたものは「ゴーフル」と呼ばれているようなのです。

それを前回の日記で書きました:
正月に食べる習慣があるスイーツ: ガレット、ゴーフルなど 2014/12/09


似ていたり、全く違ったりする名前が飛び出してきて頭が混乱したので、表にまとめてみました。

どう違うのかを整理したいのは、次の名前のお菓子:
  • ゴーフル (gaufre)
  • ゴーフレット (gaufrette)
  • ガレット (galette )
  • ワッフル
  • ウエハース
日本語フランス語
ゴーフル

 「ゴーフル」は菓子の名前として、神戸凮月堂によって商標登録されていたのでした(1953年)。現在では、凮月堂系列のメーカーが製造・販売しているのだそう。

Gaufre (ゴーフル)



このタイプのゴーフルに対する別の呼び名:
  • Gaufre de Bruxelles (ブリュッセルのゴーフル)
  • Gaufre belge (ベルギーのゴーフル)

※ 英語ではWaffle(ワッフル)。

※ フランスで「ゴーフル」と呼ばれて最もポピュラーなのは、このフワフワの焼き菓子。これがブリュッセル風ゴーフルで、それよりも生地が硬いリエージュ風ゴーフルと区別される。

ワッフル

フランスで「ゴーフル」と呼ぶ菓子は、日本語では「ワッフル」と訳すべきなようです。

ブリュッセル風のワッフル


ベルギーワッフル
リェージュワッフル

ベルギーのリエージュ市周辺地域の菓子:

Gaufre de Liège
(リエージュのゴーフル)



※ベルギーのワロン地域では「wafe」と呼ぶ。
英語ではLiège Waffle。
北フランスのリール市周辺地域の菓子:

Gaufre fourrée lilloise
(リールのゴーフル・フーレ)
北フランスの新年の伝統菓子:

Gaufres du Nouvel an
(新年のゴーフル)


ノール・パ・ド・カレー地方の新年のお菓子として、「gaufrettes du nouvel an(新年のゴーフレット」の名前での紹介もありました。「étrennes」とも呼ばれるのだそう。こちらは、年末に管理人などにあげる心づけ、お年玉の意味もある単語です。
ベルギーの新年の伝統菓子ガレット:

Galettes de l'an neuf
(新年のガレット)
ガレット

フランスで「ガレット」と呼ぶものは、日本でも「ガレット」と名づけられているのが普通のようです。




Galette (ガレット)

フランスのお正月の時期に食べるケーキ:

Galette des Rois
(ガレット・デ・ロワ)
Galette des Rois

ビスケットにも「ガレット」と呼ばれるものがある。

Galettes Saint-Michelのメーカー:

Galettes Saint-Michel - Logo.jpg

Galette campinoise

※ ベルギーのCampine地方のガレットということ?
サラザン(そば粉)で焼くクレープも「ガレット」と呼ぶ:

Galettes de sarrasin
ストロープワッフル

ハニーワッフル
Stroopwafel
(ストロープワッフル)

※ gaufre hollandaise(オランダのゴーフル)とも呼ばれる。
ゴーフレット

「ゴーフル」を商標登録しているのは神戸風月堂で、「ゴーフレット」は東京風月堂が商標登録していました。

風月堂では、大きなのを「ゴーフル」で、サイズの小さなものをゴーフレット(東京風月堂」、プティゴーフルないしミニゴーフル(神戸風月堂)」と呼んでいるようです。

「ゴーフル」という名の菓子は風月堂とイコールになっている感じがしますが、「ゴーフレット」の方は風月堂ではないメーカーも作っているように見えました。

Gaufrette (ゴーフレット)

Gaufrette napolitaine

英語は「Neapolitan wafer」にリンク。

日本で呼ぶウエハースは仏語では「ゴーフレット」と呼ぶと言いたいところですが、商品名で「Wafers」と書かれたものもありました。

Wikipediaの「ウエハース」は、仏語では「Oublie」という中世からある菓子にリンクされています:




小さなgaufre(ゴーフル)を「gaufrette(ゴーフレット)」として、日本語では「ワッフル」と呼ぶ菓子に似たものに対しても使われている。
「gaufrette」で画像検索


※ 半導体の「ウェハー」は、仏語でも英語でもWafer。

薄く焼いたゴーフルを巻いたものも「ゴーフレット」と呼ばれる。英語ではRolled waffles。

フランスのマコン市周辺地域で作られる
ゴーフレット・マコネーズ:


ただし、ゴーフル焼き器で焼いたような模様がないロール状のクッキーは、「ロシアの葉巻」や「ロシアの煙草」のような名前で呼ばれています。
ウエハース

ゴーフル、ゴーフレット、クッキーのようなガレットは、どう使い分ける規則があるのか? 考えてると、ますます分からなくなります...。

Wikipediaには、次のような記述がありました:
フランス北部、ベルギー、コンゴでは、柔らかくはない楕円形の、一種のゴーフルを、ガレットと呼ぶ。

突然アフリカの国が登場するのを奇妙に思ったのですが、コンゴはベルギーの植民地だった歴史があるからでしょうね。

でも、なぜ楕円形?... それがベルギーの新年に食べるガレットということなのかな?...

気にしても、分からないことは分からないので、気にしない。

そもそも、私はベルギーの正月菓子であるガレットをどんな風に作るのかを調べていたのでした。それを次回に書きます。

 シリーズ記事: ベルギーの正月菓子ガレットとは?
  1. ベルギーには、正月のお菓子と言われるガレットがあった 2012/01/03
  2. 正月に食べる習慣があるスイーツ: ガレット、ゴーフルなど 2014/12/09
  3. 紛らわしい菓子の名前: ゴーフル、ゴーフレット、ガレット 2014/12/11
  4. ベルギーで正月に食べるガレットのレシピ 2014/12/14




ブログ内リンク:
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前

外部リンク:
愛され続けて80年以上神戸風月堂代表商品のゴーフル


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2014/12/09
日本語とフランス語で混乱してしまう単語があります。調べて整理したときにブログにメモしておいたのに、また忘れていることに気が付きました。

またまた混乱してきた... と思ったのは、次の日記に入れていただいたコメントを読んだからです:
ベルギーには、正月のお菓子と言われるガレットがあった 2012/01/03

この記事に、ベルギーではお正月に食べるという「ガレット」なるものの動画を入れたのですが、そのレシピを聞かれたのです。どんな風に作るのかな、と私も思ってレシピを探して書き始めたのですが、待てよ~。

ベルギーのフランス語圏の人が「ガレット」と呼んでいるのですが、なぜ、このお菓子を「ガレット」と呼ぶの?...


新年が明けると食べるスイーツ

ベルギーでは「正月にガレットを食べます」というのには抵抗がありません。フランスでは「ガレット・デ・ロワ」というケーキをお正月の時期に食べますので。

でも、ベルギーの正月に食べるガレットと、ガレット・デ・ロワは違い過ぎる...。

そう思って調べていたら、ベルギーに近い北フランスには、同じように新年に食べるお菓子があったことを発見。でも、それは「ガレット」ではなくて「ゴーフル」と呼ばれていたのです。

さらに思い出せば、正月にプロヴァンス地方を旅行したときには、友人の家でガレット・デ・ロワのプロヴァンス・バージョンなのだと分かるケーキが出てきていました。

正月の時期に食べる菓子を並べてみます。

フランスのほぼ全域
Galette des Rois
ガレット・デ・ロワ)
正式には1月6日の公現祭(東方の3博士が幼子のキリストを祝福しに来た日)のお菓子だが、その前後にも食べるので、お正月のケーキのイメージになっている。
プロヴァンス地方、ラングドック地方
Gâteau des Rois /
Couronne des Rois

ガトー・デ・ロワ /
クロンヌ・デ・ロワ)

ガレット・デ・ロワと同じように公現祭(エピファニー)に食べるブリオッシュ。「デ・ロワ(複数の王様)」は同じだが、ガトー(菓子)、クロンヌ(王冠)と呼ばれる。
スペインやポルトガルでも食べる習慣がある。
ベルギー
Galettes de l'an neuf
(新年のガレット
元旦に食べる菓子として、家庭で大量に作る伝統があるとのこと。
北フランス
Gaufres du Nouvel an
(新年のゴーフル
新年の挨拶に来た人にふるまう習慣があるとのこと。

私が見つけたのは4つのバージョンですが、フランス国内に限っても異なったバージョンがあるのではないかとは思います。

ただし、この4つは無理に並べてしてしまって、大きく分ければ2つの種類になります。

上段に入れた2つはキリスト教の祝い「エピファニー(公現祭)」に食べるもので、本来は正月の3が日を過ぎてから食べるスイーツです。下段のベルギーと北フランスの菓子は、暮れのうちにたくさん作っておいて、正月に家族や友人たちに配るというものだと理解しました。

ベルギーと北フランスの菓子は、フランス語圏の呼び名なのですが、ベルギーでは「ガレット」、フランスでは「ゴーフル」と呼んでいるところに違いがあります。入れた写真を見ると、それぞれの呼び名にふさわしい形に見えるのではありますが。


ベルギーのワッフルとは?

ベルギーの正月に食べるというガレットは、日本で「ベルギーワッフル」と呼ぶお菓子に似ている感じがしました。

フランスで「ゴーフル」や「ゴーフレット」と呼ぶものは、日本語と英語では「ワッフル」なのだ、というのはすでにマークしていました。
ゴーフルは日本語ではワッフル。ゴーフレットはゴーフルと呼ばれる? 2006/05/16

では、日本で「ベルギーのワッフル」と呼ぶものは、フランスでは何と呼ぶのでしょう?

ベルギーはワッフル(仏語ではゴーフル)の本場で、最も有名なのは、ブリュッセル風とリエージュ風なのだそう。
Gaufre de Bruxelles
ブリュッセル風ワッフル

Gaufre de Liège
リエージュ風ワッフル


ブリュッセル風はフランスで頻繁にお目にかかる「ゴーフル」。四角くて、ふんわりしている。それに対して、リエージュ風には角がなく、穴の数はブリュッセル風より多い。ブリュッセル風は穴が20個で、リエージュ風は24個と書いてあるものもありましたが、厳格に数を守っているようには見えませんでした。

ベルギーでお正月に食べるというガレットは、ベルギーのワロン地域にあるリエージュの名物菓子「Gaufre de Liège (リエージュのゴーフル)」に似ているように見えました。でも、少し違うような...。まず、リエージュのは「ゴーフル」であって、「ガレット」とは呼ばないのです。それに、リエージュのゴーフルは、伝統的にはパールシュガーとシナモンを入れるのが特徴らしい。

「リエージュのゴーフル(日本語ではワッフル)」は、ワロン語では「wafe」と呼ぶのだそう。日本で使われる「ワッフル」という単語は英語からきているのだとすると、綴りはWaffle。ワロン語の「wafe」の発音は分かりませんが、「ワッフ」だろうな...。

同じような菓子を、フランス語圏の中でガレットと呼んだり、ゴーフルと呼んだりされると困る!

でも、ベルギーの正月の菓子は「ガレット」と呼ばれる限り、ゴーフル(つまり、日本語でワッフル)と呼ぶものよりは、クッキーに近いものなのかな、という気がしました。

ベルギーの正月に食べるガレットのレシピを紹介する前に、とりあえず、紛らわしいお菓子の名前を絵入りで表に整理して眺めてみることにしました。
続く

 シリーズ記事: ベルギーの正月菓子ガレットとは?
  1. ベルギーには、正月のお菓子と言われるガレットがあった 2012/01/03
  2. 正月に食べる習慣があるスイーツ: ガレット、ゴーフルなど 2014/12/09
  3. 紛らわしい菓子の名前: ゴーフル、ゴーフレット、ガレット 2014/12/11
  4. ベルギーで正月に食べるガレットのレシピ 2014/12/14




ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前
フランスの正月: 3. ガレット・デ・ロワを食べる 2006/01/04

外部リンク:
☆ All About: リエージュとブリュッセル風がある、ベルギーワッフル
☆ All About: ベルギーワッフル
☆ Patrimoine culturel immatériel: La gaufre de Liège
【北フランスの新年のゴーフル】
Gaufres du Nouvel an
新年のゴーフル


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2013/08/26
お気に入りにしているレストランに予約を入れるとき、天気が良さそうなので使ったことがないテラス席を確保してくれるように頼みました。でも、外だと日差しが強すぎないか不安まので聞いてみました。

テラス席を用意しておくけれど、室内の方が良かったら、そちらに席をとってくださいという返事。小さなレストランなので、その場で決めるなんて丈夫なのかな、と疑いながら電話を切りました。

行きつけの店に行くのは好き。到着すると、スタッフの人たちが握手の手を差し伸べて、ちょっとおしゃべりしたりするのが楽しいからです。

席はどこでも選べると言われた意味が、レストランに行ったらすぐにわかりました。みんなテラス席に座っていて、建物の中のテーブルには誰もいなかったのです。

外でも暑くないので、私たちもテラス席に座りました。


ヴァカンスの後は仕事に身が入らない?

イタリアのチーズとハムを使った前菜。イチジクを入れているのが味を引き立てていました。


Mozzarella di Bufala, roquette, speck et figues fraîches

このレストランは、前の週だったら予約がとれなかったところでした。2週間の休みがあけて、数日たったところだったのです。リフレッシュできたのか、お給仕の人たちは健康そのものの感じ。

でも、変なのです...。

調理場から皿を運んできたとき、どこの席に運ぶか分らなくてウロウロしたりしている。 それが何回か繰り返される。こんなことは、今まで来たときには1度もなかったのに。

向こうのテーブルに料理を運ぶために通り過ぎたウエーターさんが、また料理を持ったまま戻ってきました。どうしたのかと思ったら、食べ終わったお皿を下げていないことに気がついたのだそう。

私たちのテーブルは食べ終わった前菜が下げられていたので、ここに運んできた料理を置いて良いですよ、と言ってあげました。調理場まで戻っていたら、料理が冷めてしますから。

一緒に食事していた人は、「ヴァカンスは疲れますからね~」なんて声をかけていました。フランス人同士だと、お互いに体験しているから気持ちが通じるのでしょう。

ウエーターさんは、照れ笑いをしながら「ありがとうございます」と言って、皿を私たちのテーブルにおき、急いでお皿を下げにいきました。

スタッフの人たちが、いつもの調子で働けるようになるには、まだ1週間くらいかかるのではないかな?...

この日記に入れることにした2つの料理名をタイプするために、写真に撮ったメニューを読んだら、スペルミスが4つもありました。

私が書いているブログを見るフランスの友人が、「何を書いているのかはわからないけれど、フランス語の綴りに間違いがあったよ~」と教えてくれるので、少し気にしています。私がタイプミスしたときもあるのですが、インターネットに書いてあることをコピー・アンド・ペーストしただけのことも多いのです。「フランス人が書いた文章を、外国人の私が訂正できるわけがないでしょう?!」と言い訳しても、「でも、間違っているから良くない」と主張されるので困る,,,。

メニューに書かれていた文字には、私でさえも気がつく文法ミスも複数あったということは、やっぱりレストランのスタッフの皆さんはお疲れだったのだろうな...。

そう受け取ってしまうと、美味しくいただいた料理なのだけど、シェフが入手した材料で作る創作料理の日替わりランチは、いつもほどには腕が冴えていなかったかなとも思えてくる...。


桃のクランブルで使っていたサリエットとは?

最近のフランスで、やたらに出会う機会が多くなったデザートはクランブル。イギリスの料理なのだそう。イギリス料理をこてんぱしに貶すフランスで、クランブルがなぜ好かれるのか、分からない!

この日に私が選んだデザートは、ペッシュ・ド・ヴィーニュ呼ばれる種類の桃を使ったクランブルでした。


Crumble de pêches de vigne à la sarriette

前菜にもデザートにものっていた、この小さな葉が気になりました。

デザートの名前にsarietteとあったのですが、正しい綴りはsarrietteだろうと思うので直しました。Sarriette communeという多年草の種類があり(画像が入ったページ)、同じ葉なので、sarrietteで間違いないはず。 sarietteという単語は存在しない。

「ア・ラ・サリエット」と書いてあるので、このデザートに風味を付けるのに使ったハーブの名前らしいのですが、聞いたことがなかった単語。

sarrietteを仏和辞書でひいたら、シソ科トウバナ属のハーブで、セイバリーと訳してありました。別の辞書ではキダチハッカ。 Wikipediaではセイボリー

セイバリー セバリー セボリー セイボリー キダチハッカをキーワードにして、楽天市場で検索

日本市場で売られるときも、「セイボリー」と「セボリー」の表記が大半を占めていました。「セボリー」が最も多いような。

「セイバリー」で検索すると、無関係な商品しか出てきません。辞書よりも、市場で使われている単語の方を信頼します。

検索したら、エルブ・ド・プロヴァンス(プロヴァンスの草の意味)がヒットしてくる。色々なハーブを調合したもので、フランスでごく普通に使うハーブなのですが、このハーブにセボリーが入っているのだそう。

なあんだ、味を知らなかったハーブではないわけだ。

ともかく、フランス語でsarriette(サリエット)と呼ぶハーブは、英語ではsavoryで、日本語ではセボリーと覚えることにしました。このくらい書いたら、私の鈍い頭も覚えたのではないかな...。


セボリーには意外な効果があった

気になったことを説明しているネットショップがありました。リンクが消えてしまう可能性があるので、セボリーを説明している文章の一部をいただきます。
セボリーは地中海沿岸を中心として約14種類の品種がありますが、一年で枯れてしまう一年草の「サマーセボリー」と、毎年育つ常緑低木の「ウインターセボリー」の2種がハーブとしてよく利用されています。

サマー種・ウインター種ともにスパイスのような辛みと芳香があります。古くから消化器系に効果があるとして使われてきました。

ヨーロッパでは「豆のハーブ」として有名で、豆料理に使うと腸内ガス発生を抑制するといわれています。効能としては消化・整腸作用・消毒作用があるといわれています。


一年草と多年草があるのですね。


また、フランスでは、豆料理を食べるとオナラをすると言われるのですが、このハーブにはガス抑制効果があるのだそう。知らなかった!

豆料理の代表でもあるフランス西部の郷土料理「カスレ」などは、食べたがらないフランス人も多いです。地元の人たちは平気で食べるのでしょうが。

カスレがどんな料理かは、右からリンクしたページで、どの地方の郷土料理なのかを示す地図まで入れて詳しく説明しています。

カスレは庶民的な料理なのですが、上手に作ったのは非常に美味しいので、私は好きです。

ただし、フランス人がオナラが出るという豆は、カスレに使うような白インゲン豆のことで、グリーンピース(petit pois)やサヤインゲン(haricots vert)などはオナラと結びつけません。

フランス人がオナラがでるという豆の代表は、煮込み料理に使うharicot(インゲン豆)とかflageolet(デボ豆、小粒の白インゲン豆)。 lentille(レンズマメ)も入ると思います。

日本では、豆料理を食べるとオナラが出るとは言わないですよね?

フランスで豆料理を食べた後に気をつけてみたら、確かにそうかな... という程度。フランス人は肉食人種なので、腸の作りが豆料理には向いていないのではないかと思いました。

日本では、むしろサツマイモですよね? フランスでもサツマイモに見える芋(patate douce)を売っているのですが、日本のサツマイモのようにホクホクではないので、違うものに感じます。これを食べさせたらフランス人がどう反応するかは観察していません。

フランス人のフォーラムを覗いてみたら、豆のほかには、玉ねぎ、キャベツをあげている人が多かったです。やはり、日本人のお腹とは違うのでは?...


クランブルって、どうやって作るの?

この日のデザートでは、もう1つ気になることがあります。
crumbleクランブル)とは何なのか?

むしろ、こちらが気になったので日記を書き始めたのに脱線してしまいました。

英語で動詞のcrumbleの意味は、〈パンなどを〉くずにする、粉にする、砕く。

サクサクしているビスケットが入っているのがクランブルの特徴。ビスケットを砕いてのせているのだろうかと気になっていたので、レシピを探してみました。

クランブルのレシピを検索
☆ レシピ: 基本のクランブル生地

バター、砂糖、薄力粉を混ぜるたものをのせるて焼くデザートなのであって、砕いたビスケットを使っているのではないのでした。

しかも、非常に簡単にできる!

フランスでポピュラーなタルトは、生地を作る手間をかけるか、市販の良い生地を買わないとできません。でも、例えばリンゴのクランブルは、リンゴさえあれば、いつもストックがある材料でできてしまうのでした。

フランスでクランブルに人気が出たのは、簡単に作れてしまうデザートだからなのだ、と思いました。

リンゴのクランブルのレシピを見せるフランスの動画があったので入れます。

Le crumble aux pommes


このレシピの材料は次の通り:

砂糖 150グラム
 - 望ましいのは、sucre roux ou de la cassonade (未精製のかんしょ糖のように褐色の砂糖)
小麦粉 150グラム
アーモンドパウダー 100グラム
バター 150グラム
りんご 6個

アーモンドパウダーを入れるのが気に入りました。私がリンゴのタルトを作るときにも、必ずアーモンドスライスをのせて焼くのです。

もちろん、アーモンドを使わないクランブルのレシピもあります:
ボケたリンゴも美味しく☆アップルクランブル


美味しかったワイン

この日飲んだ白ワインが美味しかった。昼食なので軽いワインを選んだのですが、香りがよく、ほどよくコクがあったのが気に入りました。

ラベルを写真に撮ったのですが、ピンボケなのでメモに使えませんでした。 いつか行ってみるときのために、名前を書き残しておきます。

ドメーヌ名: Domaine Chantal Lescure
ワイン: Côte de Beaune Blanc, la Grande Châtelaine 2010年

ブログ内リンク:
★ 目次: ペッシュ・ド・ヴィーニュ(ブドウ畑の桃)
リンゴのタルトは、ありふれたデザートなのだけれど・・・ 2008/10/22
プロヴァンス料理: スープ・オ・ピストゥー 2008/08/0 アリコ・ココ豆
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ Wikipedia: Crumble


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2013/07/28
前回の日記「パン粉が気になる。ついでに、豚カツも気になった」で、私は硬くなったパンをパン粉にして使うという話しを書いたのですが、そのほかにも古いパンの使い道はあります。


クルトン

硬くなったパンをさいの目に切って、スープに浮かせる具にする。
これをフランスでは「croûton(クルトン)」と呼びます。

パンを切っただけでも良いのですが、凝ろうと思えば、ローストチキンを作ったときの脂で炒めるとか、ニンニクをこすり付けるとかします。

日本では残ったパンがないからクルトンなるものが売れるのかも知れない。

フランスでも小袋に入ったクルトンを売っています。食べ残したパンはいくらでもあるはずのフランスで売っているのは本当に不思議...。

料理に時間をかけたくない人が多い、あるいは廃物利用よりも、市販のものの方がステータスが高いから、ということなのでしょうか?...


「フレンチトースト」と呼べば聞こえが良いのだけれど

FrenchToastたくさん残ったパンを再利用するには、フレンチトーストが便利です。

フレンチトーストという呼び名は、しゃれたフランス風のトーストみたいで良いイメージがありませんか?

これをフランス人が「French toast 」と呼んでいるはずはなくて、フランスでは「Pain perduパン・ペルデュ)」と呼ばれています。

パン・ペルデュとは、「失われたパン」の意味。

つまり、捨てるはずだったパン、ということ?!

子どものときにおやつとして食べたということで懐かしむ人もいるのでしょうが、フランス人にとってのフレンチトーストは貧しい生活のイメージが付きまとっている感じがします。

10年余り前だったと思いますが、パン・ペルデュが見直されてきたという記事が雑誌に出ていたので切り抜いたのですが、見失ってしまいました。戦時中に食べざるをえなかった野菜(キクイモなど)がブームになってきた時期でした。

嫌われていた野菜が脚光を浴びてきたことを書いた過去の日記:
牛ほほ肉のボージョレー蒸し焼き、ルタバガのピューレ添え 2010/12/09

戦時中にフランス人たちが食べていた野菜を高級レストランのシェフが使いたがるのは実感しましたが、フレンチトースト、つまりパン・ペルデュがフランスで再び脚光を浴びるということはなかったと感じます。 

私が外でフレンチトーストを食べたのは、B&B民宿の朝食で1回あっただけ。

そのとき一緒にいたフランス人は、こんなものを客に出すなんて、と批判していたっけ。B&B民宿の朝食では自家製ケーキを出すことがよくあるので、ケーキを焼くのを横着して、残り物のパンなんかを食べさせた、と反感を持ったらしいです。

英語圏で、この古パン再利用を「フレンチ・トースト」などというしゃれた名前にしているのは賢いと思います。そうなると、硬くて食べられないパンを捨てないで食べるという貧相なイメージは消えますから。

カナダのフランス語圏では「pain doré(黄金色のパン)」と呼ぶのだそうです。この呼び名だったら、パン・ペルデュのように悪いイメージはなくて良いですよね。


日本では?

私はフレンチトーストが好きなので時々作ります。 フランスとは無関係のときから、日本で作っていました。

フランスで作るときは、牛乳は1本あけて残すともったいないので、常に冷蔵庫に入っている生クリームを使います。生クリームと卵を混ぜて、固くなったパンに浸してから、バターたっぷりのフライパンで焼く。焼きあがってからグラニュー糖をまぶすので、焦げることもない、という方法。

マダガスカル土産のバニラビーンズがたくさんあるので、それを入れるせいか、私のフレンチトーストはかなり美味しいです。でも、フランス人に作ってあげても喜ばないだろうと思って、自分が食べたいときだけ作っています。

日本で外食したときに、フレンチトーストなるものは出てきたことがなかったように思います。これが好きなのは私だけなのだろうか?...

調べてみたら、びっくりしました。できあがったものまでを売っているのです。しかも、こんなに簡単にできるオヤツなのに、フレンチトーストを作るためのパウダーなんていうものまで売っている!


フレンチトーストを楽天市場で検索

日本市場には、どうしてこんなにフレンチトーストが売られているの?... 自分で材料を混ぜて作らなくても良いので簡単というわけで、こういうのを出すレストランもあるのでしょうか?

フランスで、出来合いのフレンチトースト(つまり、パン・ペルデュ)を売っているのか、レストランで出すことがあるのだろうかと思って調べてみたのですが、検索するとレシピしか出てきませんでした。

フランス人が行くレストランで、パン・ペルデュを出すことなんて、絶対にありえないのではないかな?... あからさまに残り物料理ですから。


立派なデザートになるフレンチトーストとは?

調べているうちに出てきて驚いたのですが、フレンチトーストはホテルオークラの名物料理になっているらしいことでした。

ホテルオークラ特製 フレンチトースト

レシピが紹介されていました。食パンを、卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを混ぜ合わせたものに浸すのですが、まる1日もひたすのですって。グジャグジャになってしまわないのかな?...

フランス語情報でも、パン・ペルデュのレシピは色々と紹介されていました。中でも、パリの5つ星ホテルプラザ・アテネのシェフ・パティシエであるChristophe Michalak(クリストフ・ミシャラク)のレシピを紹介した動画が目に止まりました。


Christophe Michalak présente sa recette du Pain perdu
Un Pain Perdu "magique" (d'après une recette de Michalak)

パンを柔らかくするので、食パンよりはフランスパンの方がフレンチトーストに向いていると思っていたのですが、このシェフのレシピではブリオッシュを使っています。 さもなければ、ブリオッシュにしたパン・ド・ミーが良いのだそう。

ちなみに、パン・ド・ミーというのは、食パンに近くて、日本の食パンのようには甘味やモチモチ感がないパンです。フォアグラを食べるときのパンにするのが定番なのですが、私は普通の美味しいフランスパンでフォアグラを食べる方が好き。カナペにするときに使う人も多いです。私は美味しいとは思わないので敬遠しているパンなのですが、フレンチトーストには適しているかもしれない。

ホテルオークラのフレンチトーストのレシピも食パンを使っていました。しかも、このパリの有名シェフも、ホテルオークラと同じように、パンをミルクと卵を溶いた液に一晩つけています。

パンが極端に柔らかくなると、本物のケーキのようになるということ?...

ホテルオークラのレシピよりは、パリのシェフの方が贅沢な材料ではあります:
・ミルク 200グラム
・生クリーム(液体状) 800グラム
・卵の黄身 100グラム (約5個分に相当)
・グラニュー糖 150グラム

このレシピを試した人のブログのリンクを入れましたが、ベタベタに絶賛しています。ただし、母親がいつもしていたように、ラム酒とバニラを少し加えたそうですが。

この動画についていた説明が興味深かったです。

この世界コンクールでも優勝したパティシエが作るパン・ペルデュは、醜いヒキガエルをチャーミングな王子様に変えるようなレシピだ、と言っているのです。ちなみに、ここで使われているカエルを意味する単語はcrapaud で、フランス人が食用にするカエル(grenouille)ではありません。

マイナーなイメージが強いパン・ペルデュも、一流のシェフが作れば大変身しますよ、というレシピなのでしょう。 やはり、フレンチトーストなどとしゃれた名前をもらったパン・ペルデュは、フランスには残り物で作るオヤツのイメージしかないのが普通なのだろうと思いました。


【追記】

私が今もっている材料(庭でとれるフランボワーズ、バニラビーンズ、自家製バニラアイスクリーム)で、立派なデザートに仕上げているパン・ペルデュの動画があったので入れておきます。実演しているのは、パリの1つ星レストランのシェフ。


Pain perdu par Cyril Lignac par LOfficielMode

卵の白身を5個分残すレシピなどは試してみたくないですが、こちらはやってみたいと思いました。でも、こちらもブリオッシュで作っています。


追記

フレンチトーストが日本で流行っているという記事がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130910-OYT8T00688.htm?from=os2
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130910-OYT8T00688.htm?from=os2

ネットショップでフレンチトーストを売っているのが奇妙だったのですが、流行っているとなると納得。さらに、甘くしないとファーストフードのようになるわけですね。

ブログ内リンク:
★ 目次: パン、パン屋、昔のパン焼き窯など
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 商品にフランスのイメージを持たせた命名

外部リンク:
☆ Wikipedia: フレンチトースト
Que faire avec du pain rassis ?  ⇒ Du pain perdu
La symbolique du pain

【フレンチトーストのバリエーションのレシピ】
Gâteau de pain Grand-Mère
Pain perdu au wasabi


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2012/12/30
インターネットって、本当に便利。手持ちの材料で料理を作ろうとするとき、レシピを検索すれば、いくらでも出てくるのですから。

逆に考えると、料理の本は売れなくて困っているのではないかな?...

でも、インターネットで探すレシピも、余りにも簡単に探し出せてしまうのが問題になります。作ってみようとする段階で、リンクをとっておくなり、印刷しておくなりしてておかない、すぐに見失ってしまう。

複雑なレシピだと印刷して台所に持っていくのですが、眺めて「こんな感じだろう」と頭に入れただけなのがいけない...。

先日、それを痛感しました。

白菜が残っていたのでロールキャベツのようなものを作ろうとしてレシピを見つけ出したら、それがとても美味しかったのでした。しばらくたって、次にまた作ろうとして検索すると、同じものが見つからない!

どうせ同じようなものだろうと思って、探し出したレシピで作ったら全然違って、喜ぶほど美味しくはなかったのでした。

というわけで、今回は、美味しいリンゴのポンポートがレシピに出合ったのでメモしておきます。


リンゴのコンポートCompote de pommes

リンゴのコンポートは、なんだか赤ちゃんのための流動食みたいで好きではありませんでした。でも、段ボール1箱でいただいたリンゴが日がたってきたので、コンポートを作って保存しようと思ったのです。

大量に作ったものを小分けにして冷凍したことがあったのですが、解凍して食べても味が落ちているというわけではなかったので。

インターネットで良さそうだと思って採用したのは、下に入れる動画のレシピ。びっくりするほど美味しくできてしまいました。

デザートの付け合せとしてもったいぶって出したら、すごい! と驚かせるほどだとさえ思いました。

しかも、非常に簡単にできてしまうのも魅力♪



全く正確さはないレシピです。でも、どうぜレシピを見ても、そのままでは作らないのが常という、へそ曲がりな私なので、砂糖の分量などは目分量というのも問題はありません。

材料としては、次のことしか言っていません。
  • リンゴ 4個
  • バター 30グラム
  • カソナード(ブラウンシュガー)
  • シナモン
  • バニラビーンズ
バターを入れるというのがミソではないかと思います。流動食みたいな雰囲気の白いコンポートではなくて、少し黄金色で美味しそうに見えるように仕上がりました。

さらにメモしておくと、シナモンは入れませんでした。私は好きなのですが、シナモンが嫌いというフランス人が余りにも多いので、使わない癖ができたのです。

代わりというわけではありませんが、カルヴァドスががあったので、それを入れました。これも美味しくした原因の1つだったと思います。

バニラビーンズは、マダガスカルのお土産であるので1本を切って入れましたが、最後には取り出しました。動画では残してしまっているように見えるのですけど。

なお、これは日本滞在中に作ったので、バターは有塩のを使いました。動画の中の人は、ただバターと言っているので、フランスでは普通な無塩バターをさしていると思います。

今回は入れなかった


これらの材料を使って、分量は全くいい加減で作ってしまいました。次回も同じにできると良いのだけれど...。




ブログ内リンク:
リンゴのコンポートについて書いた過去の日記:
今年とれたリンゴは小さいけれど、美味しい 2010/10/22
レストランでのこと 2009/09/25
ノルマンディーといえば、クレープ? 2009/11/19

マダガスカルのバニラビーンズ 2010/11/30
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2012/06/06

シリーズ記事 【ピカルディー地方の旅行記】 目次へ
その10 シャンティイ城 (2)


昼食は町に出てするつもりだったのですが、まだ見学は続くので城の敷地内ですることにしました。

そもそも、シャンティイにはブルジョワ階級の人も多いと思うのですが、なぜか市内には質の高いレストランがないのです。1軒、森の中にお気に入りのレストランがあったのですが、つぶれてしまった...。

城の敷地内にはレストランが2カ所あります。

まず、城の建物の中にあるレストランのテラスで食前酒。むかしは、かなりのグルメレストランだったのですが、城が閉門した後にはお客さんが来れないので高級レストランの経営が難しいのでしょう。どうということのない料理を出すレストランになりました。

そういうものを食べるなら、緑いっぱいの庭園の空気を吸える田舎風レストランの方が良いかなと思って、そちらに行くことにしました。しばらくぶりに素晴らしいお天気になっていたので、それを満喫したいとも思ったのです。


アモーのカフェ・レストラン

シャンティイ城の庭園には、「アモー(hameau)」と呼ばれる人工的な農村が作られています。日本語では、アモーは「村里」と訳すのが一般化しているかもしれません。

1774年にコンデ公が作らせたもので、これにアイディアを得たマリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿にもっと大規模なアモーを作らせています。

シャンティイのアモーには、わらぶき屋根の田舎家が7軒あったそうですが、現在では5軒が残っています。

アモー

田舎家の屋根の上にはアイリスの花が咲いていました。

田舎家

わらぶき屋根のてっぺんにアヤメのが植えられているのを時々見るので、 わらを固定するのに役立つテクニックなのだろうと思っています。

「水車小屋」と呼ばれる家のところの庭がカフェ・レストランとして使われています。ここで食事することにしたのです。

近くのテーブルでイギリスから来た4人の女性グループが大声で話していたので堪らなかったのですが、少したったら立ち去ってくれたのでほっとしました。

そのあとは、田舎でピクニックしているような喉かな雰囲気になりました♪



カモの夫婦がおねだりに来ていたテーブル。パンくずを投げてあげると、たくさん集まってきます!


クレーム・シャンティイ

このレストランの名前はAux Goûters Champêtres。

レセプションなどでは美しい内装のある田舎家を使えますが、普通にはリラックスした雰囲気で野外のテーブルで食事します。

簡単な食事を出すのですが、地元の農家の生産物を主に使っているので味は良いのです。

ここのスペシャリティーは、何といってもホイップクリーム。

ホイップクリームはシャンティイ城で生まれたと言われるので、その名もフランス語では「crème chantilly(クレーム・シャンティイ)」と呼ばれるのです。

シャンティイ城の料理人ヴァテルが考案したと言う人もいますが、実際には彼が城にやって来る前にシャンティイ城で食べて、素晴らしく美味しいので驚いたと手紙を送っている人がいるそうです。

そもそも、ヴァテル(François Vatel)という人は非常に逸話が多い人で、彼は料理長と言われるけれど、実際にはもっと上の役職で、料理人・執事・給仕長でした。


本物のクレーム・シャンティイ

この日はデザートをパスしたので、生クリーム入りのコーヒーを注文してみました。



ウィンナ・コーヒーと呼ぶべきでしょうが、見た目は違いますよね? しっかりとしたホイップクリームなので、山盛りにはできなくて、沈んでしまうのでしょう。

このレストランでは、さすがにホイップクリームにこだわった自家製なので、美味しいと評判になっています。

フランスでは、スプレー式のホイップクリームがスーパーなどで簡単に手に入ります。

日本でも市販されているらしいので、右に入れました。

クルクルと模様も作れてしまうので便利。でも、生クリームを泡立てて作ったホイップクリームを食べてしまうと、これがホイップクリームだとは言いたくなくなります...。

実際、こういうインスタントホイップクリームには「クレーム・シャンティイ」という名で売ることはできないのだそう。

フランス人たちは、生クリームをホイップして作ったものを「本物のクレーム・シャンティイ」と呼んで区別しています。

本物のホイップクリームを作るポイントとして、友人が挙げていた注意点は、次のようなものでした。

● 質の良い液体状の生クリームを使う。農家が小規模生産でつくる生クリームが最高。少なくとも、フレッシュなものを使うべき。スーパーで売っているような添加物入り、脂肪分を抜いた生クリームは不可。

● 生クリーム、泡たて用の丸いボール、泡たて器は冷蔵庫で十分冷やしておいてから作業を始める。ボールなどは冷凍庫で冷たくしてしまっても良いくらい。

● 泡たて用の丸いボールを使って、手で泡だてる。使う泡立て器は大きいものが良い。

● 粉砂糖を使う。グラニュー糖を入れたらホイップクリームの腰がなくなってしまうのでダメ。

こんな風に作ります:


できあがりを見定める基準を、「鳥のクチバシができた」状態と表現しています。この硬さにできたクレーム・シャンティイが最高なのです。


雌鶏のお尻は丸く膨らんでいる?


Bol Pâtissier Design
Cul de Poule + Fouet
ところで、ホイップクリームを作る丸いボールは、フランス語では「cul de poule(雌鶏の尻)」という変な呼び名をします。

右に入れたボールなのですが、ニワトリのお尻って、こんな形ですか?

ふくれっ面をしたときも「メンドリのお尻をしている」 と言われます。

卵を産むときに膨れたお尻のイメージなのだろうか? あるいは、普通の状態でも、メンドリのお尻は膨らんでいるのだろうか?... 私はしげしげと見たことがないので連想できません。

ついでに言うと、道路に窪んだ穴があるのは「nid de poule(雌鶏の巣)」と言います。こちらは確認済み。卵を産むときに、地面にお腹が入るような浅い穴を掘っていたのでした。

結局、フランス人って、田舎の生活になじみがあるから、そんな比喩を使うのでしょうね...。


アモーのレストランのレシピ

アモーのレストランの生クリーム入りコーヒーはとても美味しかったです。

ホイップクリームが本物だと、こんなに美味しいのですね...。フランスではウィンナ・コーヒーは余り飲まれないのですが、家でホイップクリームを作ったときにはコーヒーにも入れてみようと思いました。

このレストランでは「本物の」クレーム・シャンティイの作り方を印刷したレシピをもらったことがあるのですが、どこにしまったか忘れてしまいました。

アモーのレストランの支配人が、デモンストレーションしている動画がありました。作っているのは、ホイップクリームを使ったイチゴのタルト。このレストランでは一番の人気料理。



この支配人は世界のメディアの取材も受けていて、日本のテレビ番組でも4回放送されたそうです。ご覧になったことがありますか?


クレーム・シャンティイの材料:
・生クリーム 50cl
・粉砂糖 20グラム
・バニラ・シュガー 20グラム

作り方:
1) ボールに砂糖とバニラ・シュガーを入れる。
2) 生クリームを加え、泡立て器でかき混ぜ、泡立て器を持ち上げたときに波のような形が残るようになったら出来上がり。

かき混ぜすぎてしまったら、バターのようになってしまうので失敗。そうなる前に止めるのがポイントだそうです。

意外に簡単に作っているのですね...。

バニラの香りをつけるのはシュクル・ヴァニエ(バニラ・シュガー)というフランスでは簡単に使っているものを使用しているだけなんだ...。しかも、生クリームは、地元のホルシュタイン種の牛のミルクから作られたものだとのことなので、こだわりが感られない...。でも、かなり美味しいのです。

定番のイチゴのタルトは、ここに行ったときにはよく食べるので写真を入れておきます。





シャンティイ城の続きへ:
城の庭園に子どもたちが植えた花を見に行く

追記:
わらぶき屋根について調べたくなり、日記を書きました。
★ シリーズ記事目次: わらぶき屋根に咲いたアイリスの花を見て 2012/06/09

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情報リンク:
La crème Chantilly
Tous les secrets de la vraie crème Chantilly
Aux Goûters Champêtres
フランソワ・ヴァテール


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