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2016/04/28
前回の日記「モリーユ茸とヴァン・ジョーヌ入りチーズフォンデュのレシピ」を書きながら、Vin jaune(ヴァン・ジョーヌ)というワインについて調べてみたのですが、このワインはかなり特殊なのでした。

Vin jaune(ヴァン・ジョーヌ)とは、黄色いワインの意味。樽の中で長い年月熟成させるので、本当に濃い黄色になっています。

フランシュ・コンテ地方のジュラ地域で作られる辛口白ワイン。ボトル詰めしてからも長期間保存できる高級ワインです。50年でも保存できるのだそう。

何と説明したら良いのかな...。

どんな味があるのか私はうまく説明できないので、こちらのショップの説明をご覧ください。

作り方が独特なのです。


La fabrication du vin jaune


特徴1: セパージュはサヴァニャン

ヴァン・ジョーヌは、Savagnin(サヴァニャン)というブドウの品種を使って作られます。

Savagnin

貴腐ワインになるくらいに熟してから収穫。収穫期は、伝統的には10月後半なのだそう。

サヴァニャンは、ジュラ・ワインの典型的な品種です。

この地方のもう1つの有名なワイン「ヴァン・ド・パイユ」にも欠かせない品種です。

かなり個性が強いワインになるので、好きか嫌いかは大きく分かれるブドウの品種です。でも、特殊な醸造法が可能な品種なのかもしれない...。


ヴァン・ジョーヌで最も高い評価を受けているのは、Château-Chalon(シャトー・シャロン村)で作られたワインでしょうね。

小高い山の上にある村で、フランスの最も美しい村協会にも加盟していて、素晴らしく美しい村です。

そこのブドウ畑を見せながらヴァン・ジョーヌを紹介している動画がありました。


Vinification du Vin Jaune


特徴2: クラヴランと呼ばれるボトル

ヴァン・ジョーヌは、ボトルにも特徴があります。

普通のワインより小さいボトルで、620ml入り。この形のボトルをClavelin(クラヴラン)と呼びます。

ワインボトルの標準サイズは750ml入りですから、2割近く容量が少ないということになりますか。

小さめのボトルにしているのには理由があります。それが、ヴァン・ジョーヌの最大の特徴!


特徴3: 酵母に守られた長期熟成

最低6年をオーク材の樽の中で寝かせなければ、ヴァン・ジョーヌとして売ることができません。6年3カ月寝かせるのだ、と生産者たちは言っています。きっちりその期間というわけではなくて、それを過ぎれば良いということでしょうけれど。

ワインを樽に入れて熟成させていると、ワインは少しずつ蒸発していきます。これをpart des anges(天使の取り分)と呼ばれたりもするのですけれど、ワインを醸造する過程では減ってしまった分は足していきます。

この作業は、フランス語ではouillageと呼ぶ。

飛んで消えた分を補充しないと、ワインが空気に触れて酸化して、そのうちワイン・ビネガーになってしまうからです。

ところが、ヴァン・ジョーヌでは、その作業をしないのです。

それでも酢にはならずに熟成するのは、ワインの表面に薄い酵母の膜ができて、空気との接触を防ぐから。

樽を割って中を見せている画像ですが、この膜は自然にできるのだそう。なぜ出来るのかも、科学的に解明できてはいないようです。

Vin Jaune
Voile de levures à la surface d'un vin jaune

この膜をvoile(ベール)と呼ぶので、そういう製法で作ったワインを「Vin de voile」と呼びます。

日本語でも呼び名があるのでしょうか? 発音をカタカナにすれば、ヴァン・ド・ヴォワル。普通に訳せば、ベール・ワインなのですけど。Wikipediaの「Vin de voile」からは、何語にもリンクされていませんでした。

珍しい製法なのですが、スペインのワインシェリー(スペイン語でjerez、フランス語でXérès)も、ヴァン・ド・ヴォワルカテゴリーに入っています。味は全く違うのですけれど。

シェリーの場合は、表面にできる産膜酵母を「フロール」と呼ぶのだそう。

Wikipediaにはシェリーの樽の断面写真があったのですが、ヴァン・ジョーヌのと似ていますね。

シェリー酒には甘口もありますが、ヴァン・ジョーヌは白の辛口ワインだけです。


ヴァン・ジョーヌは長期間樽で熟成するのでワインが減っていきます。始めに樽の中に100リットルのワインを入れると、75カ月たったときには62リットルにまで減ってしまっている。

それで、ヴァン・ジョーヌのボトルは62ml入りのクラヴランと呼ばれるボトルに入れて商品化されるのだそうです。

ヴァン・ジョーヌではsoutirage(澱抜き)もしないのだそう。


ヴァン・ジョーヌを作っているときにできる酵母のを見せてくれている動画があったので入れます。


Le vin Jaune


ヴァン・ジョーヌの鏡開き?

樽に入れたまま、ワインが蒸発しても何もしないで、静かに寝かせた6年余りの年月。それを開けてボトルに移すのをお祭りにしようではないか、と考えた人がいたようです。

1997年、Percée du vin jaune(ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌ)というイベントができました。

樽を開けるといったら、日本酒でもやるではないですか?!



これを「鏡開き」というと覚えていたのですが、鏡割り、鏡抜きとも呼ぶのだそう。

でも、違いがありました。日本酒の場合は丸い樽の上を突き破る。でも、ワインの樽は寝かせて保存します。ヴァン・ジョーヌでは、「鏡」に例えることはできないですね...。

セレモニーは、こんな感じで行われます。


CérémoniePercée

日本と同じように木槌のようなものを使うのですが、ヴァン・ジョーヌの場合は、ワインを注ぎだすための蛇口を取り付けるのです。

上に入れたのは、20回目の開催、今年2016年2月6日と7日、ジュラ県の県庁所在地Lons-le-Saunier(ロンス・ル・ソーニエ町)で行われたイベントの映像のようです。

2017年はイベントはなくて、2018年にL'Etoile(レトワール村)で開催されるのだそう。レトワール村のワインもとても美味しいと思って好きになった村でした。名前も「星」なんて素敵ではありませんか?

久しぶりに行きたくなりました。樽から直接だされたワインが飲めるので、普通のワイン祭りと違う楽しさがあるのです。

ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌのお祭りが始まったばかりの頃は何回か通いましたったのですが、その後は行かなくなっていました。上に入れた動画を見て、フランシュ・コンテ地方は雨が多いのだものな... と思い出しました。

地元に友達がいることもあって、小澤征爾が指揮者コンクールで優勝したことでも知られるブザンソン国際音楽祭もよく行っていたのに、これにも行かなくなった...。コンサートが始まるのを待つためにカフェで時間をつぶしていたとき、道行く人たちを眺めて、みんな傘がくたびれているぞ~、なんて思ったのを思い出します。

ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌのコマーシャル・ビデオがあったので入れておきます。ワイン祭りは、どこでも楽しいです♪ イベントが有名になって人が多くなりすぎると、魅力は半減するのだけれど。


La Percée du Vin Jaune



ヴァン・ジョーヌに興味を持ったのは、少し前にシャトー・ディケムの貴腐ワインについて書いたからだと思います。特殊な作り方をするワインとして、どこか共通するところがあるように思えたのでした。

貴腐ワインは、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌がブドウの果実につく。ヴァン・ジョーヌの方は、樽の中で酵母の膜がワインを守る。そういう普通のワインではありえないことによって独特の風味ができ、ともに長期保存ができるワインになり、オークションで破格の値段で落札されたりする...。

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像 2016/03/16
甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの? 2016/03/20

ヴァン・ジョーヌを楽天市場で検索


ブログ内リンク:
黄色いワイン「ヴァン・ジョーヌ(Vin jaune)」 2005/07/27
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Wikipédia: Percée du vin jaune
冬本番!ヴァン・ジョーヌの季節です。
鏡開きの基本知識
「鏡開き」と「鏡抜き」どの表現でもよい?
鏡割りと鏡開きの違い


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/20
ボルドーで生産されるAOCソーテルヌの中で、飛びぬけて評価が高いシャトー・ディケムについて3つも記事を書いてきました。そのシャトーで2000年のミレジムが作られる1年を追ったドキュメンタリー『ディケムの四季』をブログに入れながら眺めたのですが、収穫されているブドウにびっくりしました。

もう腐っていると思って手がでないようなブドウだったのです。今まで名前しか知らなかった貴腐ワインについて調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31


貴腐ワインソーテルヌの色

2003年までシャトー・ディケムの管理人だったド・リュル・サリュース伯爵が、こんなことを言っていました。

傑作と言える1967年のミレジムなどは、シャトーを出たときにはボトル1本5ユーロだったのに、オークションで2,000ユーロという高値がついたりする。

その1967年のミレジムのボトルの画像を探してみました(左の写真)。比較するために、若いワインも並べます。こんなに色が濃くなるのですか...。

シャトー・ディケム
2011年のミレジム
1967年のミレジム


私がシャトー・ディケムに興味を持って3つもブログの記事にしていたのは、シャトーの最後のオーナーとしてワインづくりをしていたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵が気に入ってしまったからでした。食べ物というのは、それを作っている人の顔を見ただけで美味しいかどうかが分かると思っているので、その意味からです。

伯爵は、シャトー・ディケムと同様に1968年から、もう一つソーテルヌのワインを作るシャトーの管理人になっています。それがChâteau de Fargues(シャトー・ド・ファルグ)で、こちらの方は現在もファミリーのシャトーとして彼が管理人を続けています。

シャトー・ディケムと同じようにこだわりのワインづくりをしてきたのですが、それほど知られているソーテルヌではないような気がします。ソーテルヌを作る畑の面積は15ヘクタールしかなくて、年間にボトル15,000本しか生産しないし、ワインにしないミレジムもあるので、そう簡単に手に入るワインではないようです。

生産量が非常に少ないということで価値を高めるワインもありますが、ビジネス色が強いボルドーワインでは、そういう風には受け取られないのではないでしょうか?

シャトー・ド・ファルグのソーテルヌの色も眺めてみます。

シャトー・ド・ファルグ
2005年のミレジム
1993年のミレジム
シャトー・ド・ファルグ[1993] 白 貴腐ワイン

シャトー・ド・ファルグ[1993] 白 貴腐ワイン
価格:14,796円(税込、送料別)


シャトー・ディケムのように古いミレジムは日本では販売されていない感じがあったので、1993年のを入れたのですが、やはり色はかなり濃くなっていますね。これを販売しているショップでは、シャトー・ディケムではブドウの木1本からグラス1杯のワインができるけれど、シャトー・ド・ファルグの方は3分の2杯分にしかならないと言われている、と書いています。

貴腐ワインを作るのは本当に大変らしい...。


貴腐とは、なに?

シャトー・ディケムを始めとするソーテルヌは貴腐ワイン。

フランス語でも、「貴腐」は直訳すれば同じの表現で「pourriture noble」。

果皮にボトリティス・シネレアBotrytis cinerea)という菌がついて、これによってブドウの糖度が高まるし、芳香もつくという原理だそうです。

この菌はイチゴにもつくのだそうです(右の写真)。

イチゴがこうなってしまったのは見たことがありますが、それを食べようとは思わないですけど。

ドキュメンタリー『ディケムの四季』の中でも、ブドウにボトリティス・シネレアが付いているのがよく見えました。

収穫前に味見をしていて、ジャーナリストが「見た目は悪いけれど、食べると美味しい」と言っていましたね。収穫したぶどうを容器にあけると、埃のようなものが舞い散っていました。

これが美味しいワインになるとは信じられない。
だって、気持ち悪すぎますよ~!


貴腐を作っていたのはセミヨンというブドウ品種 

AOCソーテルヌSauternes)は、セミヨン種(sémillon)80%と、ソーヴィニョン種(sauvignon)20%のブドウをブレンドで作るのだそう。

その2つの品種を眺めてみます。

Sémillon
(セミヨン)
Sémillon
Sauvignon blanc
(ソーヴィニョン・ブラン)
Sauvignon blanc grapes.jpg

ボトリティス・シネレアが付くのはセミヨン種の方なのだそう。それだけだと酸味が足りないので、ソーヴィニョン・ブラン種を加えてAOCソーテルヌは作られるのでした。

そう言われてみると、ソーヴィニョン・ブランで普通に作った白ワインは酸っぱいなと感じていました。



セミヨン種のブドウの貴腐状態を比較できる画像がWikipediaに入っていました。
貴腐が始まったばかりの状態
Semillon starting to get noble rot at Château Doisy-Védrines, Barsac, Sauternes
貴腐がついた状態


シャトー・ディケム: 2000年の収穫

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像」で、2000年のシャトー・ディケムのワインができる1年を見せるドキュメンタリーを入れたのですが、とても興味深いものでした。

ブドウ畑と言うのは水はけが良くなければいけないのだと思っていたのですが、ここのブドウ畑は全く違う! 雨が降った後には長靴でグチャグチャになって歩くほどの土壌だったのです。ブドウの品種もあるのでしょうが、土壌も貴腐を付けやすい環境を作っているのでしょうね。

映し出されていた貴腐状態のブドウは、すさまじいものでした。

その部分をドキュメンタリーの場面をキャプチャ:





個々の人がとったブドウをバケツにあけるときには、埃のようなもの(これが菌なのでしょうけれど)が舞い上がっていました。マスクをして作業しないと病気になるのではないかと心配してしまうほど!

※ ドキュメンタリー『イケムの四季』の中で、秋にブドウ畑で熟成度を見たり、収穫する人たちの様子を見せている場面は、こちらの部分

シャトー・ディケムは、このドキュメンタリーが作られる前年に株の過半数を持って運営権を握ったLVMHに移り、2004年からはLVMHのCEOアルノー氏に任命されたピエール・リュルトン氏が責任者になっています。


シャトー・ディケム: 2002年の収穫

2000年に撮影された『イケムの四季』に登場していたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、シャトー・ディケムを去ることが決まっていたにも関わらず、30年余りの間、こだわりのソーテルヌを作ってきたことを誇らしげな様子で紹介していました。

ところが、その2年後、2002年のシャトー・ディケムのブドウ収穫期を見せるニュースに登場していたときは、もうワインづくりには口出しできない状態になっていることを思わせる表情を見せていました。

その2002年10月12日のニュース(Les vendanges au Château d'Yquem)でブドウ収穫風景を見せているのは、こちらの画面です

あれっと思ってしまいました。同じシャトーの畑なのに、収穫されているブドウが2000年のとは全く違うのです!



このページの上の方で入れたWikipediaの画像で、貴腐が始まったか、始まらないかという時期のブドウと全く同じ状態ではないですか?!
※ それを画面スクロールしないで見ていただくには、こちらをクリックしてください

シャトー・ディケムは、どうしてしまったのだろう?...

他のソーテルヌ生産者のブドウ収穫風景を見せる動画を見ても、やはり赤ブドウになったようなブドウを収穫しているのですから、とても奇妙。

2002年の収穫が特殊だったのかな? テレビ局がソーテルヌにはしないブドウを収穫しているのを撮影してしまったのだろうか?

ほかの年のブドウ収穫を見せる動画を探してみました。


シャトー・ディケム: 2009年の収穫

2009年の収穫風景がYouTubeに入っていました:
Château d'Yquem 2009: des cueillettes d'une extrême noblesse

2002年ほどではないけれど、やはり実は、白ブドウという感じのが入っている割合は少なくなっていますね。2000年の収穫のときには菌が舞い上がっていたのですが、ほんの少し舞い上がっているだけ。



この画像を入れて、はたと気がつきました。収穫で使っている木製のカゴが違う!

ドキュメンタリー『イケムの四季』では、シャトーでは特殊なカゴを使っているのだという説明があったのです。そのときの画像が、こちら:


⇒ 収穫かごにロウを塗っていたのは、この場面です

木は一番軽い木を使い(カゴが重いと収穫する人が疲れるからでしょう)、毎年、こうやって継ぎ目のところにロウを塗っていると説明していました。貴重なブドウの汁を逃さないためなのだそうです。ロウというのは、ボトルの口を昔風に封をする時に使うのと同じではないかと思います。

それが、2009年の収穫風景に出てくるカゴにはないのです。そんなに熟してからは収穫しないことにしたので、この手間と費用は節約することにしたのかな?...


シャトー・ディケム: 2010年の収穫

2010年のシャトー・ディケムの収穫風景を見せるニュースもYouTubeに入っていました。

こういうブドウを収穫しています:



やはり、2002年のブドウ収穫を見せるニュースのときが特殊だったように思います。ひょっとして、シャトー・ディケムの収穫を始める前に辛口白ワインの収穫をするイグレック・ディケムというセカンドワインの収穫風景を録画していたのではないかと思ってしまう。でも、地元のテレビ局の番組だったので、取材を間違えるということはないと思うのですけど。

でも、この2010年の収穫でも、菌が舞い上がるほどにはなっていないし、色づいていないブドウもかなり入っていますね...。

このテレビニュースも、少し奇妙なものでした。老齢年金受給者たちがシャトー・ディケムでご機嫌よくブドウの収穫の仕事をしているのを見せるニュースでした。

この年、シャトー・ディケムではブドウ収穫者が180人いて、そのうちの11%が高齢者だったと言っています。ブドウ収穫をしたいという高齢者は増えているけれど、シャトー・ディケムではブドウ収穫に来る人たちの75%は常連さんたちなので、高齢者が雇ってもらえる可能性は低いのだとか。

日本だったら、何でもないニュースのはず。日本人は体験するのが好きだし、高齢者たちも働き続けたがるのが普通です。でも、フランスでは、老齢年金を受給できるようになったら毎日バカンスの生活をしたいというのが普通なのです。

ところが、最近のフランスでは社会保障制度の財源が苦しくなったために改革が進んでいて、今までのように老齢年金だけで悠々と暮らすことが難しくなりました。

ブドウの収穫というのは、若い人がやっても辛い労働なのです。フランス的な感覚で見ると、高齢者にこういう仕事をさせるのは酷ではないかと思ってしまう。最低賃金しか支払わない仕事なので、働き手を確保するのが難しいのです。それで、普通では屋とってもらえない高齢者たちを利用しているのではないかと思ってしまう...。

ニュースでは、ブドウの収穫をしている人たちに、なぜやっているのかとインタビューしています。はっきりとお金を稼ぐためと言っている人もいるし、家に引っ込んでいないで人と会えるのが嬉しいから、という人もいます。一人は「楽しみのため」と答えていますが、インタビューをした人が「本当に?」という顔をしたらしくて、「本当ですよ。本当に楽しくてやっているのだ」なんて答えている!

日本だったら、シャトー・ディケムのブドウ収穫をさせてもらえるなら大金を払う、と言う人がいくらでもいるのではないでしょうか? そして、させてもらえるなら、丁寧にブドウの房をとっていくはず。

でも、この動画に出てくる高齢者たちは、楽しんでやっているとは、私には見えませんでした。フランスも貧富の差が広がっているのだよな... と、私を寂しい思いをさせた動画を入れておきます:


Des retraités font les vendanges en Gironde


そんな感傷にふけっていたら、前に進めない。私は貴腐ワインについて書いていたのですから、そちらに話題を戻します!


ソーテルヌを作っている他のドメーヌでのブドウ収穫風景

私の関心事は、どのくらいの貴腐状態でブドウを収穫するかという点です。

ソーテルヌの他のドメインのブドウはどんなかと探してみたら、2013年のミレジムを収穫している風景を見せるニュースが出てきました。


Vendanges 2013 à Sauternes et en liquoreux

9月27日から10月末まで収穫していると言っています。かなり貴腐が進んだ状態のブドウを収穫していますよね。


貴腐状態と、そうでない状態のブドウの違い

それにしても、シャトー・ディケムの2002年に収穫していたブドウは貴腐状態に見ない。

ソーテルヌにする貴腐状態になったブドウと、その前の状態がどう違うのかを見せてくれている動画を見つけました♪

ブドウをつぶしてみると、全然違う。まだ菌が付いていない状態の黄色いブドウは、つぶすと実と汁がでてきます。貴腐状態のだと、ほとんど汁なんかでない。

だとしたら、収穫カゴの継ぎ目にロウを塗って1滴も汁を逃さないようにしようという工夫が理解できます。

下に動画を入れますが、ブドウの状態の違いをデモンストレーションしている画面だけ見るには、こちらをクリックしてください


Les rendez-vous pédagogiques de Millésima: presser le botrytis cinerea

2011年のミレジムの収穫風景でした。

このシャトーでは、水圧を利用した伝統的なプレス機を使っていて、それでないとうまく絞れないのだと説明しています。

ドキュメンタリー『イケムの四季』でも、こういう伝統的なプレス機が登場していましたね。かなり遅く収穫した年の思い出話しが語られていました。霜が降りてブドウが堅くなってしまっていたので、普通よりずっと時間をかけて絞らないと、圧縮機が壊れてしまうのだという話しでしたね。

この動画に登場しているドメーヌは、ソーテルヌの1級を1855年に獲得しているChâteau Lafaurie-Peyraguey (シャトー・ラフォリー・ペラゲー)でした。

かなり真面目にソーテルヌを作っているドメーヌではないかと思いました。

それなのに、かなりお安い。

ここのところ、万単位。しかも、10万とか、100万とかいう金額で売られているワインばかり見てきたので、そう思ってしまったわけですけど。

ボトルの画像をお借りした右のショップではドメーヌについて説明していませんが、輸入もとが少し説明していました:
シャトーについての日本語情報


◆ ボルドーの甘口ワイン サント・クロワ・デュ・モン

伝統を守って貴腐ワインを作っていたら、手間ばかりかかるし、たくさん絞れないので、収益性が低い。

高く売れない貴腐ワインはどうするのだろう?

ソーテルヌ村に近いところで、AOCサント・クロワ・デュ・モン(Sainte Croix du Mont)の甘口ワインとなるブドウを収穫している動画がありました。

貴腐の状態は少なくて、シャトー・イケムの2002年の映像に似ていると思いました。


Reportage France 3 : vendanges 2014 à Sainte Croix du Mont


AOCサント・クロワ・デュ・モンは、地域としてはボルドーの中でアントル・ドゥー・メールに入るようです。

こちらは、AOCソーテルヌよりかなり安く売られると、上に入れた動画の中で言っています。

探し出してみたら(右のワイン)、日本での売値も私でも手が出るお値段ですね。



気に入った甘口白ワインはモンバジヤック

貴腐ワインを作るのは本当に難しいのだろうと思います。

消費者としては、良いのと悪いのとの差も大きいと思う。フォアグラにはやはりソーテルヌと思って飲むと、これなら普通の辛口白ワインで食べた方が良いと思ったことが何度もあります。

甘口白ワインの中で私が気に入ったのは、Monbazillacモンバジヤック)というAOCのアペラシオンでした。

フランス南西部のペリゴール地方を旅行したとき、地元のワインだからとワイン農家に行って試飲してみたら、非常に美味しかったのです。

その後、同じ地方に旅行する友達がいたので、ドメーヌの住所と名前を教えて買ってきてくれるように頼んだのですが、違うワイン農家に行ったといって、違うワインを買ってきてくれてしまいました。味はずっと落ちる。なので、モンバジヤックと言っても色々あるのだろうと思います。

気に入ったドメーヌの名前は忘れてしまったのですが、ここだったのではないかなという風景が出てきました。


Vendanges 2014 à Monbazillac

モンバジヤックといっても、お高いのもあるようです。

右に入れたのは、高く評価されているらしいドメーヌのモンバジヤック。

ソーテルヌ並みのお値段ですね...。

私が気に入ったのは、これではないことは確か。1ダースくらい買って帰ったのですから。

モンバジヤックを楽天市場で検索





日本にいるときくらいしか買わなくなっているボルドーワイン。
長々と書いてきたのですが、ここでボルドーとはお別れにして、別の話題に移ります。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31

 

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★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/03
前回の日記で、シャトー・シュヴァル・ブラン(Château Cheval Blanc)というワイナリーが超近代的な醸造所を作ったという話しを書いたのですが、そこだけがびっくりするような醸造所を有名建築家に作らせていたわけではなくて、ボルドーでは有名なシャトーが次々と近代建築の醸造所を作っていたのでした。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その25



L'Art de vivre à la Française en Bourgogne
フランスワインはブルゴーニュとボルドーに代表されますが、この2つはかなり雰囲気が違うと感じていました。

ここのところずっとワインについて書いていて、今まで全く気にしていなかったボルドーのことが出てきたのですが、改めて違うのだな... と思いました。

右に入れたのはブルゴーニュの生活スタイルについて書いた本。『L'Art de vivre à la Française en Bourgogne(ブルゴーニュにおけるフランス式ライフスタイル)』

著者の人が話している映像があったので聞いてみたのですが(こちら)、「ブルゴーニュとボルドーは昼と夜くらい違う」と言っているのです。

ブルゴーニュのブドウ畑は区画が小さくて、生産量も少ない。生活がそこにあり、伝統が残っている数少ない砦だ。ところが、ボルドーでは建築家を呼んで醸造所を作らせている。「そういうのはライフスタイルではなくて、ファイナンシャル・コミュニケーションだ」、なんておっしゃってます。


ボルドーとブルゴーニュのワイナリーが、こんなに違っていたとは、私は知りませんでした。

画像検索をしただけでも、違いが見えるのでした。

醸造所のことをブルゴーニュでは「cave」と呼び、ボルドーでは「chai」と呼ぶので、それをキーワードにして検索してみましょう:

☆ ブルゴーニュの醸造所: 「cave Bourgogn」で画像を検索

地下に石造りのセラーという、どこにでもある伝統的なカーヴが並んでいます。

それでは、ボルドーで同じように検索してみましょう。

☆ ボルドーの醸造所:「chai Bordeaux」で画像検索


全然ちがうでしょう?

ブルゴーニュで検索しても、超近代的なのが出てきたリするので、画像をクリックしてみると、たいていはボルドーや南仏のが混じりこんでいるだけ。でも、ボルドーのレベルでデザインに凝った近代建築のワイナリーを作っているところがあるのかな?...

ネゴシアン(ワインの仲買人)のワイナリーなどではありそう。でも、地元の人たちはブレンドしたワインを好まないので、私は見学に行ったことが1度もありません。

近代的で大きな醸造所は見学したことがあります。でも、ブルゴーニュでコンクリート造りの建物というと、ワイン農協など、安いワインを大量生産しているところなのです。

ところが、ボルドーの場合は超高級ブランドがやっているので、私にはとても奇妙に思えてしまうのです...。


収穫が終わったばかりのシャブリのワイン農家に行きました

2009/10/07

ボージョレーのワイン農協で醸造施設を見学

2013/10/06

でも、私が見学したことがあるのは、ただ近代的というだけです。ボルドーの場合は、有名建築家に、見た目が美しいと思わせるような奇抜な建築なのです。


ボルドーの超近代的なワイナリーをピックアップ

どうやら、ボルドーでは有名建築家がデザインした醸造所をつくるのが流行っているようです。そういうところを見て歩くのも新たなワイン・ツーリズムになっているらしい。

あっと驚く地下の巨大なセラーを見せるのはシャンパンを作っている地域のお得意とするところだったのですが、ボルドーでも「すごいだろう~♪」とやりだしたらしい。

シャトー・ラフィット・ロートシルトが1986年に新しい醸造所を完成させたのを皮きりにして、同じことをするドメールが続出していました。特に、2014年の春には新しい醸造所のお披露目が次々にあったそうです。

できるだけワイナリーができた年代の順に書きます。


 シャトー・ラフィット・ロートシルトChâteau Lafite-Rotschild

ボルドーで近代的なchaiを建設するのがブームになった火付け役はこちらのようです。1985年に計画されて、1988年落成。

建築家: Catalan Ricardo Bofill(リカルド・ボフィル

地下にあり、16本の柱がある現代建築。2,200の樽を貯蔵することができる。円形に樽を並べて貯蔵するシステムでは、これが始めの試み。


Les vins du château Lafite Rothschild - Bordeaux - Millésima

☆ オフィシャルサイトの酒蔵についての情報ページ: Le Chai日本語ページ


 シャトー・コス・デストゥルネルChateau Cos d'Estournel


※ 醸造樽が動かせる。2000年から3年費やして完成。


Cos d'Estournel : le système gravitaire des cuves mobiles

照明も凝っているようですね:

☆ ニュース(記事&動画): Grands Crus 2.0 : Cos d'Estournel, le vin du futur
☆ オフィシャルサイト情報: Le travail dans le chai



 シャトー・モンローズChâteau Montrose

フランスの大手建築会社ブイグ(Bouygues)が2006年に95ヘクタールのブドウ畑を入手してからずっと工事をし続けていたのだそう。1万平方メートルのワイナリーをハイテクで環境を配慮した仕組みで改造したとのこと。


Château Montrose

工事費の推定額は2,000万ユーロ。建築とエコロジー専門の会社でなかったらできなかっただろうとのこと。二酸化炭素を80%減らし、エネルギー消費を半減したとのこと。もちろん、屋根には太陽発電装置...。


Château Montrose : la géothermie

大聖堂のように広いワイナリーだと思ったのです、樽をどかせばパーティー会場に使えるのですね。「花まつり」というイベントの様子を見せる動画がありました:


Fête de la Fleur 2015 à Chàteau Montrose

寝ているワインのことを考えたら、そっとしておいてあげて欲しいと思ってしまいますが...。でも、、シャトー・モンローズは、メドック格付け第2級なのだそう。だとすると何でもできちゃうか...。

ニュース(記事&動画); Grands Crus 2.0 : Montrose, le vin écolo de Bouygues



 シャトー・フォジェールChateau Faugères

建築家: Mario Botta(マリオ・ボッタ

ブドウ畑を見渡す高い塔、ハイテク、カメラ支援によるブドウ選別装置が特徴。


Chàteau Faugères - construction du nouveau chai



 シャトー・シュヴァル・ブランChâteau Cheval Blanc)

建築家: Christian de Portzamparc(クリスチャン・ド・ポルザンパルク


コンクリートの醸造樽、超近代的。2009年に計画ができて、2011年に落成したようです。

前回のブログで書いています:
★ 白馬の城はコンクリートで出来ている

そこには入れなかった動画を入れます。ここのワイナリーの動画はインターネットにたくさん入っているのです。他のワイナリーのを探しても出てきてしまう!


Bienvenue au nouveau Château Cheval Blanc



シャトー・マルゴーChâteau Margaux

建築家: Norman Foster(ノーマン・フォスター


Château Margaux fête ses 200 ans entre tradition et modernité




 シャトー・ラ・ドミニクChâteau La Dominique

建築家: Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル

赤い建物の超近代的なワイナリー(600 m2)。見学客のために、ブドウ畑が見えるブラスリー風のテラスレストラン、ブティックがある。

オープニングセレモニーのニュースです。


Nouveau chai signé Jean Nouvel au château la Dominique à Saint-Emilion



 シャトー・アンジェリュスChâteau Angelus

船をさかさまにした形の屋根があるエントランスホール。建築費は900万ユーロ。

こは色で勝負かな?...


Château Angelus em 2014



 シャトー・プリューレ・リシーヌChâteau Prieure-Lichine


INAUGURATION DU CHAI DU CHATEAU PRIEURE LICHINE



 シャトー・タルボChâteau Talbot


En Primeurs 2011 - Château Talbot with Jean-Pierre Marty



 シャトー・スミス・オー・ラフィット(Château Smith Haut Lafitte)


Château Smith Haut Lafitte - Chai Furtif

☆ ニュース: Une famille très business 29/07/2010 28



 シャトー・ムートン・ロートシルトChâteau Mouton Rothschild

☆ 動画: Château Mouton Rothschild - Soutirage

別に建築的には突飛でもないワイナリーですが、ヴィジットのお勧めはミュージアムだそうです:
The Museum of Wine in Art


探してみたら、いくらでも出てきそう。きりがないので止めます。




ボルドーだけではなくて、フランス南部でも超近代的なワイナリーが建設されているようです。

こちらはプロヴァンス地方 ↓

Château Thuerry
建築家: Xavier Leibar、Jean-Louis Croquet

未来型の建築物。コンクリートのカテドラル。コンピュータ制御の醸造室。醸造桶が円形に配置されている。

☆ 写真アルバム: Domaine de Chateau-Thuerry



 シャトー・ラ・コストchâteau La Coste
建築家: Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル)

ガラスと鋼鉄のかまぼこ型の醸造所、とのこと。

ドメーヌのサイトに入っている、これのことですか? ワイナリーだと知らなかったら、養豚所かブロイラーの飼育小屋だろう、と私は思ってしまいますけれど...。

でも、そうみたい...:
Château La Coste, de l'art et du vin

上空から見た様子を見せる動画もありました:


Video aérienne par drone domaine Château La Coste 1

こちらは、もうアートセンター的な感じにしているようです。日本人の芸術家の作品もあるとのこと。始めの方に出てきた、水の上にいる大きな蜘蛛のようなオブジェ。

ラングドックやコルシカでも同様の超近代的な醸造所が作られている。つまり、私がめったに行かない南の方で流行しているようです。



ボルドーでは、なぜ近代的なワイナリーを作りたがったのか?

どうしてそんな突飛なことをするのかと気になってしまうではないですか。私にとって、建物で奇をてらうというのは、ワインづくりの道から外れてしまっていると思ってしまうからです。

ワイン界の人が説明している記事がありました。

  • 2009年と2010年のミレジムでかなり収益があがった

  • 税金対策システムが刺激剤になった(特に相続において)

  • 小さなドメーヌから大手メーカー、ワイン農協に至るまで、過去数年の間、EUはワインの質を高める工事に対して補助金を惜しまなかった(工事費の40%まで)。フランスを始めEU諸国では、このために数百万ユーロが支給されている。

ともかく、ボルドーのシャトーは大規模で、お金があるのですよね。ワイン業界の長者番付があったのですが、トップは軒並みボルドーのワイナリーを持っている人たちが並んでいました。



コンクリートで超近代的なワイナリーを作っているのを見て、ひょっとしてボルドーには本来の石で作るワイナリーが存在しなかったのかと不安になってきました。

探してみたら、ちゃんとあるのでした。それを次に書きます。なんだか、ほっとしたので...。

そういう伝統的なワイナリーでワインを作っている人たちは、同じボルドーの人と言っても、このページに入れた動画に登場する人たちとは全然違うのでした。ブルゴーニュで出会うようなワインづくりをしている人の顔に見える。つまり、顔を見ると、この人は美味しいワインを作っているだろうな... という予感を感じる。

続き:
ボルドーにだって、伝統的なワイン醸造所がある

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その25

 

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Bordeaux Tourisme et Congres: Chais contemporains en Bordelais
Vin : les architectes, stars des chais girondins
☆ L'Express: Les plus beaux chais du Sud-Ouest
Les plus beaux chais du Bordelais
ボルドーのワイン業界は現代建築ブーム
Se laisser surprendre par les chais contemporains
L'art de vivre en Bourgogne et à Bordeaux c'est le jour et la nuit !
Bordeaux, les plus grandes fortunes du vin en 2015
Classement: les 50 plus grosses fortunes du vin 16/06/2013
☆ 動画: Les chais spectaculaires du Medoc


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/01
先日、ブルゴーニュとボルドーの樽の大きさは違うと書いたのですが(その記事)、ボルドーでいうところのtonneau(900リットル)なるものを見たいと思って画像を探していたら、見たことがなかったものを見つけてしまいました。

ボルドー言葉で「シェ(chai)」と呼ぶ醸造所の建物なのですが、こんなのはブルゴーニュでは見たことがなかった...。存在すると想像だにしていませんでした...。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その24


超近代的な「シェ」を持つボルドーのシャトー

たまたま開いたのはボルドーの観光サイト。訪問の価値があるというシャトーの名前が書いてありました。超近代的設備なので見学する価値があるのですって。

どんなところなのか見たいと思ったので映像を探したら... 出てきました。

きゃ~...!


Les reportages Millésima - Cheval Blanc dans le 21ème siècle

醸造樽のフォームは美しいですけどね...。

ワインを寝かせる場所が、コンクリートづくしというのに私は抵抗を感じてしまします。伝統的な石のワインセラーは、土の中に埋まっているから適度な湿度があって、適度な風通しがあって... ワインが寝るには心地良さがあるはずなのです。

超近代的というからには、建築のデザインだけではなくて、色々な工夫があるのでしょうけれど...。

もう少しシェの中を覗いてみたいですよね?


Cheval Blanc : le nouveau chai

湿気は最も大切だと思いますが、電気か何かで送り込むのかな?...

風通しは、壁に無数に開いた小さな隙間で調整するのだそうです。ただの壁ではなくて、こんな風にしたら大変な工事費なのでしょうね。

ワインセラーを作った友達が、大工さんが通気口を付けるのを忘れてしまっていたとパニックになった話しをしていたのを思い出しました。現代建築でもこんなセラーを作れるのだと知ったら、友達はショックを受けるかもしれない。

何事もスローモーションの友人夫婦 2010/10/12


コンクリートの中でワインを醸造するのは理想的なのだおっしゃって、銅の鍋でコトコト煮る料理が美味しくなるという例えをあげています。私はコンクリートと聞いたらワインが不味そうに感じてしまうのですけれど...。コンクリートという言葉も味気ないけれど、フランス語で「ベトン」と言っても、やはり良いイメージはないと思うのです。

ひょっとして、このシャトーでの食事のときに使うワインクーラーもコンクリートでできているのでは?...


クリスチャン・ド・ポルザンパルクChristian de Portzamparc)という建築課の作品なのだそう。美術館の建物なら、こういう建築物を評価なさる方も多いのではないかと思いますけど...。しつこく言っている私。スミマセン! 大変な費用をかけてまでコンクリートでワイナリーを作ることにショックを受けているのでお許しください...。

建築中の様子を見せる映像もありました。


chateau cheval blanc borne 1


ついでに、もう1つ映像を入れてしまいます。地元のテレビ局の制作したもので、シャトーの全景がよく見えますので。


Cap Sud-Ouest - Château Cheval Blanc


シュヴァル・ブランは白馬のこと

ここはシャトー・シュヴァル・ブランChâteau Cheval Blanc)というドメーヌでした。

シャトー・シュヴァル・ブランを楽天市場で検索

ブルゴーニュとボルドーの違いにはもう1つあるのですよね。ブルゴーニュでは生産者のことを「Domaine(ドメーヌ)」と呼ぶのですけれど、ボルドーは「Château(シャトー)」と呼ぶ。

ドメーヌとは所有地のことなので、普通に付けられた名前だと思います。

「シャトー」と聞いたら、私は美しい昔のお城を思い浮かべてしまうのですけど、ボルドーのシャトーは、ちょっとしたお家ならシャトーと呼んでしまって良いらしい。

このシュヴァル・ブラン(白馬)は、普通にあるようなブルジョワ的なお家でした。

Château Cheval-Blanc

フランスでは全く大きいとは言えないし、ほんの少しお城風と言えなくもない程度。歴史的価値は全くないでしょうね。「シャトー」と呼んでしまいますか?...

シャンパン・メーカーは、「Maison(メゾン)」という名を使います。英語にしたら「ハウス」。大手メーカーは、それに「大きな」という形容詞を付けますけれど、ボルドーよりは謙虚で良いな...。

ともかく、ここはシャトーの建物としてはインパクトがないから、ワイン醸造所はあっと驚かせるような建物にしたのは経済効果を呼び込むためには投資の価値があったのかな?...


シュヴァル・ブランは第1特別級A。ボルドーでは最高峰にランクされているということですよね?

icon
「シャトー・シュヴァル・ブラン」のワインをリストアップしているネットショップがあり、その紹介を読んだら、面白いことが書いてありました♪

1952年から同じ一族に所有されていますが、1980年からクオリティはさらに高まっており、最近のヴィンテージは、五大シャトーよりも高い金額で取引されています。


このドメーヌは1988年に、ベルギーで最も金持ちとされる実業家のAlbert Frèreと、フランスの高級ブランドを買い占めているBernard Arnaultに買収され、シャトー・イケムを経営しているPierre Lurtonによって運営されているのだそう。

※ インターネットに入っている動画で必ず登場しているのは、ディレクターのPierre Lurtonさんだそうです。ブログに入れる動画を探しながら彼の顔を見過ぎてしまったせいもあるけれど、一緒に食事したら楽しめない人だろうな,,, と私は感じる...。気がきいた冗談を言って笑わせてもくれなさそうだし。


フランスのブドウ畑が投資の対象になっていると聞いてブログに書いたところでした:
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/18

実業家が既に高い評価を得ているワイナリーを買収したら、もっと良いワインを作ろうとチャレンジするよりは、もっと収益を上げようと言うのが狙いのはずですよ...。値段を高くしてもワインを買う富裕層は世界のどこかにいるし、高いから人気が出るということもある...。

あのBernard Arnaultさんが入っているなら、この奇抜な醸造施設をつくったのも納得できると思いました。私が勤めていた在日フランス企業に入ってきた人なのです。穏やかで紳士的だった会長を押しのけたのを見て、こういうフランス人にしては異例な押し出しの強い実業家はフランスの経済界では長続きしないだろうと思ったのですが、私の予感はみどとに外れました! あれから20年余りたちますが、いたるところで彼の名前が出てくる...。


シュヴァル・ブランというシャトーを買ったからというわけでもないのか、あるいはそれが原因なのか、アルノーさんは「シュヴァル・ブラン」という名前で豪華ホテルのチェーンを作り出しているようです。

シュヴァル・ブラン(白馬)なんて、田舎によくありそうなホテルの名前に私には思えてしまいます。どんな豪華ホテルなのかなと思って調べてみたら、これが出てきました。

http://www.huffingtonpost.fr/2015/06/19/la-samaritaine-grand-magasin-paris_n_7620856.html 2015年6月の記事

パリのど真ん中にあるサマリテーヌという名のデパートだった建物をアルノーさんがお買いになって、何にするのか色々に言われていたのですが、最近は高級ホテルにすると発表されていました。それが豪華ホテルチェーン「シュヴァル・ブラン」に入るのだそう。

この記事のトップを見て、あれ、あれと思いました。

左手前にあるのは、アンリ4世の騎馬像(Statue équestre d'Henri IV)。
こんなアングルでサマリテーヌが見えるのですね。

アンリ4世といえば、白馬に乗っていたというので知られている王様です。「アンリ4世のシュヴァル・ブラン(白馬)は何色?」という有名なジョークがあるくらい。

なんだか、でき過ぎた話し...。

サマリテーヌがデパートだった頃には、屋上にあるカフェに行くのが好きでした。すぐそばにノートルダム寺院が見えたりして、パリでこれほど美しい眺めが見れる場所はないと思って気に入っていたのです。

高級ホテルになってしまったら、もうあの景色を見ることはできないのだろうな...。


サンテミリオン

ボルドーには1回しか行ったことがありません。ブルゴーニュと並ぶフランスのワイン産地なので、ブルゴーニュと同じ雰囲気があるのだろうと期待していたのですが、全然違うのでした。

そのボルドー旅行で、唯一気に入ったのはサンテミリオン(Saint-Émilion)の村でした。石造建築の佇まいが美しくて、ワインは美味しいので、この村だけはブルゴーニュと同じように魅力的だと思いました。私が訪問した後に世界遺産に登録されたと聞いたときは、当然だなと思いました。

Vue générale de la cité médiévale, dominée par le clocher de l'église monolithe.

ブルゴーニュにあってもおかしくない村...。ワインも美味しいし...。そうブルゴーニュの友達に話したら、ボルドーワインの中でも、サンテミリオンのワインはブルゴーニュワインにとても似た風味があるのだと言われました。


私のボルドー旅行は1週間くらいの短い旅行でしたが、サンテミリオンは強烈な印象を残して気に入った場所でした。それなのに、こんなコンクリートづくりのワイン醸造所ができていたと知って、かなりショック...。


奇をてらって話題になるようなシェを作ったのだろうと思ったのですが、そうではなかった! ボルドーでは、こういう風に超近代的なデザインのワイナリーがおびただしくできていたのでした。

幾つか拾ってみたので、それを次回にご紹介します:
ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行

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その24


 


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外部リンク:
☆ Figaro-vin: Château Cheval Blanc Saint-Émilion
☆ Christian de Portzamparc: Chai Château Cheval Blanc
Château Cheval Blanc 1er Grand Cru Classé de Saint-Emilion rouge
Lurton (Pierre) Cheval Blanc et Yquem
Pierre Lurton  Le vin se fait dans la vigne, avant tout
Pierre Lurton   Un Yquem jeune, c'est un plaisir immédiat
L'hôtel Cheval Blanc à la Samaritaine
LVMH étend sa chaîne d’hôtels Cheval Blanc
「アンリ4世の白馬は何色か」というジョーク


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/28
前回の日記「ブルゴーニュとボルドーのワイン樽の違い 」でワイン樽のことを書いていたら、樽を作っているところを見せる動画がでてきました。

樽を作るのを見るのは、アトラクションとしても面白いと思います。燃した火の熱で樽をキュっとつぼめてしまうところが大好き。


tonnelier(樽職人)と言われる人たちの仕事

まず、ブルゴーニュの樽職人さんのお仕事。名前だけでも魅力的なムルソー村に工房があるそうです。


Art du tonneau, Frédéric Gillet Tonnelier

ずいぶん前、ブルゴーニュはワインの産地なのに樽職人が絶滅しようとしている、と心配されていたような気がします。需要があるのだから上手に商売すればやっていけるはず。ここはかなり成功している工房なのだろうと思いました。

サイトを見ると、樽の材料でインテリア小物なども作って売っていました。ワインイベントで、樽にドアが付いていて、中にボトルやグラスを入れられるものを売っていたのが気に入って買ったのですが、ここが作っていたかな?... 注文を受けてから作ってくれたのが、サイトのカタログにあるTBAR 225と全く同じなのです。

でも、機械化してしまっている樽づくりなので、見ても余り面白くない...。

昔に勤めていた会社のフランス本社で樽づくりを見学したときは、もっと人力に頼って作っていたと記憶しています。最近のワインイベントなどで見せてくれるデモンストレーションでも、機械などはない広場でやるので、人間が樽を作り上げてしまうのが見れて面白いのですけれど...。

それで、昔の樽職人の仕事ぶりを見せてくれる映像を探してみました。フランス国立視聴覚研究所(INA)が昔の映像のデータベースをインターネットでも提供しているので、探すのは簡単なのです。


20世紀初頭の樽づくり

1926年の映像が出てきました。百年近く前ですね。モノクロの無声映画です。


Ina: Fabrication des tonneaux (1926年)

作業工程の名前を文字で入れているので、勉強になってしまう:
  • la taille des douves
  • l'assemblage
  • le serrage
  • la pose des fonds
  • le cerclage
  • l'embarquement
フランス人の手作業を見ていると、日本人のように器用ではないと思ってしまうのですが、昔の樽職人は技で仕事をしていますね。底の円盤を四角くした板から作ってしまうのなどはお見事!


樽を作るのに必要な道具

樽を修理する仕事もあったようです。

「シャンパーニュ最後の樽職人」と題した映像がありました。もう彼しかいなくなったという意味でしょうか? 2003年のニュースです。

樽を直すには古い道具が必要なのですが、もうそれを作る人がいないので、アンティークショップやガレージセールで見つけて買うしかないのだそう。面白い道具を見せているので貴重な映像だと思います。


Ina: Le dernier tonnelier de Champagne(2003年のニュース)

今はワインの醸造所で使っていて古くなった樽は売りに出ているので、痛んだ板を取り換えて修復するというのはほとんどしないのではないでしょうか? シャンパンは新しいオークの樽に入れて寝かせたら、タンニンが付きすぎてしまうはずなので、使い古した樽が一番なのでしょうね。今のシャンパンメーカーはイノックスの樽を使うのが普通だと言っています。


パリ最後の樽職人

最近になって再開発されてきれいになってしまったのですが、ありし日にはヨーロッパ最大規模だった酒蔵がパリにありました。Entrepôt de Bercy(ベルシー倉庫)と呼ばれる場所。

セーヌ河畔にあるので輸送にも便利な場所。ここでワインなどのアルコール飲料の取引が行われたので、あらゆる関連の仕事が営まれていたそうです。

樽職人もいたのでした。ワイン倉庫があった地域が再開発でなくなる直前、1989年の映像です。


Ina: Le dernier tonnelier de Bercy(1989年のニュース)

樽を作ったり、修繕したりの仕事。少し前までは10人の仲間と一緒に働いていたのに、残っていたのは55歳の彼ひとり。それも、時代の波に押されて酒蔵はなくなる。

ここには独特の生活空間があったのだ、と消えゆくことが残念そう...。話しぶりからして、フランスの典型的な職人さんですね。伝統的な職業が消えていくのと同時に、こういう人も博物館入りの価値がでるのだろうな...。

ワインの醸造では木の樽を使わないところが多くなってきているので、樽職人は少なくなっているでしょうね。樽職人組合のサイトがあったので眺めたら、組合のメンバー数は51(従業員 1,917人)となっていました。2014年に製造された樽は524,500個。多いといえば、多いのかな?...


ベルシーの酒蔵跡は「ベルシー村」と呼ばれ、昔の面影を残しながら、隣には植物園を作ったりして、パリの田舎らしさを残している地域になっています。

Bercy Village Cour Saint-Émilion
La cour Saint-Émilion, Bercy Village

大都会パリにいると車も多くて疲れるのですが、ここには長閑な雰囲気があるので好きな界隈です。昔はアルコール飲料の倉庫だっただけあって、道の名前が酒の銘柄になっているのも楽しい。上に入れたのはサンテミリオンの庭。ここに地下鉄で行くにも、その名前の駅で降りますね。

ベルシー村には何回か行ったことがあるので、昔はどんなだったのか興味を持っていました。

このあたりに行ったときのことを書いた日記:
気に入ったパリの縁日博物館 (Musée des Arts forains) 2010/12/18

ベルシーの樽職人の関連で昔のベルシーの映像や写真などが出てきたので、次回はパリでワインビジネスの拠点だった2カ所の歴史について書こうと思います。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その17




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外部リンク:
Tonneliers de France
Art du Tonneau - Frédéric Gillet - Tonnelier


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フランスのお酒 (ワインなど)



2015/09/23
9月の3番目の週末は「Journées du patrimoine」と呼ばれる文化遺産の日とされていて、フランス全土で歴史的に価値がある建築物や伝統的な文化を見学することが奨励されています。狙いどころは、普段は一般公開されていない施設。

今年も何カ所か見学することにしたのですが、ついでに普段飲むワインが底をついてきていたのでワイン農家で買い付けもすることにました。もうブドウの収穫も終わっているはずなので、忙しい時期にお邪魔することにもならないでしょうから。


ボージョレーのワイン農家

誰かしらいるだろうと思って電話もせずに行ったのですが、昔から知っているお父さんの姿が庭に見えたので喜びました。

まだ庭には収穫のときの道具などが置かれたままになっていました。ワインの収穫を始めたのは8月24日だったのだそう。



ここは、ボージョレーワインの中でも最高級のクリュだけを作っているワイン農家です。産地の名を付けられるクリュは10あります。

ボージョレーワインのランク付けについて書いた日記:
ボージョレーに行った週末 2005/06/06



お天気が良いと、向うにモンブランが見えるそうなのですが、この日は雲が多くてダメ。

カメラが壊れてしまって、携帯電話で写真を撮ると、山の写真などはうまく映らないのだとおしゃる。ひょっとしてフィルム式カメラを使う人ではないかと思ったので、フィルム式のカメラは望遠の部品もあう素晴らしいのを持っているのであげるけど、と提案してみる。でも、デジカメを使うのですって。あのカメラ、誰かにあげたいと思っているのだけれど、欲しいという人がいない...。

さっそくお家に入って、おしゃべり。昼前だったので、ワインを飲むなら白だと思ったらしくて、サヴォワの白ワイン2本をテーブルに置かれました。

そんなの飲みたくない。「あの~、あなたが作っているワインの方が良いのだけど...」と言ってみる。

「このサヴォワは毎年買っていて、とても美味しいのだけど...」と答えられたのですが、ボージョレーの赤ワインを所望しました。

2009年のワインを出してきました。そして、今年は当たり年だった2009年と同じくらい良いワインができると思っているのだと言います。

ガメ種のブドウを使うボージョレーワインは、今年の猛暑で打撃を受けたと聞いていたのですが、そうではないらしい。

ここでは1ヘクタールあたり50ヘクトリットルまでと制限されているのだそうですが、今年は45ヘクトリットルできたので悪くないとのこと。ただし、近くの仲間には、半分の25ヘクトリットルしか収穫できなかったワイン農家もあったそうです。何が違うか聞くと、砂が多い土壌の畑ではブドウが干しブドウのようになってしまったということでした。

お父さんと顔も気質も似た息子さんにワイン造りは任せて老齢年金生活をしているのですが、まだワイン造りの仕事は手伝っているはず。でも、よく旅行するようになったのだそう。

ゆっくりしている時間はないので、ワインの買い付け。

新酒を飲んでみるかと誘われたので、喜んで味見させていただくことにしました。

最近式のステンレスのタンクで温度調節しながらブドウを熟成されるワイン農家が多いのに、ここは昔ながらの原始的なタンクを使っていました。

そこからワインを取り出してくれました。



タンニンが多くて、甘味もあって、これは凄いワインになるのではないかと素人の私でも分かるワインでした。濃度も高くて、とてもしっかりとしたワインだと感じました。




マコネのワイン農家

翌日は、マコネの白ワインを買うつもりのワイン農家を訪問。若夫婦2人でやっているので、こちらは留守の可能性があるために電話で予約を入れていました。

でも、家に行ってみると誰もいない! 携帯電話してみると、帰宅の途中で、あと15分くらいで到着するからと言われました。今どこにいるという町から車で来るとしたら、30分はかかるはず。

それで、村を散歩することにしました。

素敵なお家を発見。といっても、気に入ったのは鎧戸でした。




木の鎧戸にトランプのハートマークなどで明り取りをしているのはよくあるのですが、ここはブドウの産地ということなのでしょうね。ブドウの房の切り込みがしてあるのでした。ブルゴーニュの赤ワインを思わせる色も気に入りました。

 


ワイン農家の夫妻が戻ってくるだろうという時間に家に引き返しました。

お得意さんが友達を呼んでワインの試飲会をしたいと言うので、泊りがけで行っていたのだそう。さっそくワインの試飲開始。といっても、2カ月くらい前にも来ていたので、ワインが美味しいかを確かめるために試飲するわけではなくて、飲むという感じ。

試飲会に持っていった残りのおつまみをたくさんテーブルに並べてくれました。でも、この後に食事にするつもりだったので、そんなに食べていられない。

発酵途中のワインを見せてもらいました。



もう発酵はほぼ終わった状態なのだそう。少し前まではブクブクと泡がたっていたのでしょうね。日本の酒蔵で日本酒の発酵を見せてもらったことがあるのですが、同じ感じだなと思いました。

ワイン農家のご主人は、今年は良いワインになるだろうと言っていました。糖度も高いのだそう。近所のワイン農家がずっと糖度の記録をしているのだそうで、そのデータを見ると、かってないほどの糖度を記録したとのこと。AOCの規定で糖度の上限があるので、それをクリアーしないといけないのだと話していました。

糖度が足りない年だと、たぶん内緒で砂糖を加えてしまうことがあると聞いていましたが、今年はその必要は全くないですね。雨が少なかったから、ブドウの木が病気になるのを恐れて薬を撒くことも最低限に留めたでしょうから、やっぱり今年のブドウは健康的で良いワインになるのだろうと思います。

1990年代は、5で割れる年が良いミレジムと思っていたのですが、今年も2015年で5で割れる年でしたね。

飲めるようになる来年が楽しみ♪


【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

 

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フランスのお酒 (ワインなど)



2015/09/04
そろそろブドウの収穫が始まっただろうと思って、9月4日の午後、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地域に行ってみました。

どうせ見るならここ、というわけで、まずはロマネ・コンティの畑に直行。

ディジョンから車を走らせたのですが、ブドウを収穫している人たちの姿が全く見えない。未だ本格的な収穫時期になっていないとしても、どこかではやっているはずなのですけどね。


ロマネ・コンティの畑

まだ収穫は始めていませんでした。でも、収穫の後に行ってブドウの実がなくなっているよりは良いです。



今年は夏にちっとも雨が降らなかったので心配されていたのですが、ブドウの木はいたって元気そう。




ブドウ畑を散歩

向かいの畑にコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ氏の姿が見えました。と分かったのは、ブドウ畑を観光していたフランス語が流暢なイタリア人が、彼とすれ違ったと話してくれたからです。

3人見えるうちの、中央の人のはず。かなり真剣に、丹念に、ブドウの状態をチェックしていました。



ロマネ・コンティの敷地には入ってはいけないことになっているので、近くのブドウ畑のあぜ道を歩いてみました。

今年はブドウの収穫量が少ないと言われていたけれど、全くそんな風には見えませんでした。かなりたくさん実が付いています。




Vosne-Romanée 1er Cru "Les Chaumes"

向うでブドウの収穫をしている姿が見えました♪



ヴォーヌ・ロマネの1級ランクの「ラ・ショーム」になるのだそうです。ドメーヌの名前も教えてくれたのですが、忘れた...。



ブドウを摘んだ人が、この背負いかごに乗せて、トラックまで運びます。この役割をする人はブドウ摘みよりも賃金が高いのですが、大変な重労働なのだと聞いています。

このときの背負い子さんは、カゴをいっぱいにすると60キロになるのだと言っていました。それを背負って畑を行ったり来たりするわけですね。

梯子を上っていって、背中にしょったブドウを出すわけですが、上手な人はエイっと一気にやるのに、下手な人は何回にも分けて出していました。それをやると、背中に負担がかかるので、一気にやらないと辛いのだそうです。

収穫したブドウは健康そうでした。今年は良いワインになるのではないかと思えてくる。



とても清々しく働いていました。礼儀正しくて、見学しているこちらに挨拶をしてくる。質問に答えられないと、また戻ってきたきに応えを持ってきてくれたりもしました。良い経営者なのでしょうね。

レ・ショームという銘柄は知らなかったので、調べてみました。


畑の説明があったショップだったのでリンクを入れましたが、私なら2007年のビンテージは買わないですけどね...。

ヴォーヌ・ロマネ1級「レ・ショーム」を楽天市場で検索


Musigny Grand Cru

いつものブドウ畑の散歩コースで、ロマネ・コンティのあたりを散歩してから、クロ・ド・ヴージョの城の方に車で行きます。

クロ・ド・ヴージョの囲い込みの中では全くブドウの収穫風景が見えませんでしたが、そのお隣でやっていました。



この写真には入っていない道路脇にミュールという野生の果物がなるのですが、今年は実がすっかり干からびていました。それなのに、どうしてブドウの木の方は元気なのかな?...



こちらは、ミュジニーの特急ランク。収穫したその場で、3人の男性たちが実の選別をしていました。ドメーヌに運んでからも、2度目の選別をします。やはり、最高級ランクになると手をかけるのですね。



そんなには捨てるブドウはないように見えました。雨が多かった年などは、この作業でかなりの量を捨ててしまっているので。やはり雨が少ないと、ブドウは病気になったり腐ったりしないので良いのではないでしょうか?







お隣さんはド・ヴォギュエさんのミュジニーの畑。こちらはすっかり収穫が終わっていました。終わったばかりだったのかな? 背負いかごが1つ地面に転がっていました。




ちょっと見て回っただけですが、今年のブルゴーニュワインはとても美味しいはずだと思いました。ブドウを1粒食べさせてもらいましたが、甘くてとても美味しかったです。

 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集  

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外部リンク:
Vosne-Romanée ⇒ レ・ショーム


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フランスのお酒 (ワインなど)



2015/08/24
少し前からブドウの収穫のニュースが聞かれるようになりました。

ブルゴーニュ地方ではブドウの収穫は伝統的には9月末と言われるのですが、今年はとても早いようです。南の方から収穫が始まり、ボージョレーとボージョレー・ヴィラージュの収穫が解禁されるのは8月24日。それから北の方でも収穫が始まり、ボーヌのあたりだと9月5日くらいに始まるようです。


ボージョレーのニュース(8月20日放送) ↓


Vendanges : le recrutement est en cours 20/08/2015

季節労働者をリクルートする職安(Pôle-Emploi)が写っています。今年は人出がそれほどいらないので、常連の労働者たちでほとんど間に合ってしまうようです。

今までは、ブドウ収穫は重労働なのでなり手が足りなくて困っているというニュースだったのですけれどね...。


マコネのPrissé村の様子(8月24日放送)↓


Bourgogne : les vendanges 2015 ont commencé dans le secteur de Prissé 24/08/2015

畑でブドウの実の大きさが違うのを見せています。

若い木の方(5~10年)は小さな実になっている。畝を挟んだ列のは大きな実になっているのですが、こちらは15年くらいたっている木で、根が地面に深くはって水を吸い上げているので実は大きく育っている。


ニュースでは、今年は収穫量は少ないけれど、良いミレジムになるだろうと言っています。生産者は、今年は外れ年だとは言わないので、親しいワイン農家の人に聞いてみないと本音は分からない。

でも、今年は雨が極端に少ない年だったので、病気を心配して農薬を撒くのは少なかったはず。

シャブリのような北にある地域では良いワインができるのではないかな?...

シャブリの様子(8月18日放送)


Chablis : vers un millésime 2015 " solaire " 18/08/2015


でも、飴が降らなかったために実が全く育たなかった畑もあるようです。特に南斜面の畑には災難だったよう。

マコネの様子(8月9日放送)↓


Mâconnais le retour de la pluie est apprécié par les viticulteurs - France 3 Bourgogne 09/08/2015


しばらく当たり年になっていないので、今年は良いブルゴーニュワインができると良いな...。

 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集 

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外部リンク:
☆ France 3 Bourgogne: viticulture
☆ TF1: Vin sachez-le, le millésime 2015 sera de qualité 24/08/2015
Vendanges en août ? Finalement, c'est oui ! 21/08/2015


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フランスのお酒 (ワインなど)



2014/10/30
だいぶ前にブルゴーニュのワイン農家に行ったときに見学した作業は何だったのかを調べて、前回の日記で書きました:
ワインを作るために足でブドウを踏む作業 (1) フラージュ

そのとき撮ったのが右の写真です。

この作業をフランス語ではなんと呼ぶのかを調べていて、見つけたのは「foulageフラージュ)」という言葉でした。

でも、そう呼ばれる作業ではないように思うのです。
では、何なのか?...


私が見たのはフラージュ(破砕)ではない...

「foulage au pied(足でするフラージュ)」という言葉が出てきたので、私が見たのもフラージュという作業だったのだろうと思ったのでした。

でも、ブログに書いているうちに、それとは違う感じがしてきたのです。

読んだ情報によると、フラージュは発酵する前に行う作業だ、とありました。

でも、私が見学した作業では、ブドウはもう明らかにかなり発酵した状態だったはずなのです。作業をしていた男性たちは、ガスが立ち込めている桶の中では長い時間の作業はできない、と言っていましたので。

フランスのワインのことだからフランスのサイトで情報を見つけなければと探して読んでいたら、頭がゴチャゴチャになってきました。

むしろ、ワインとは縁のない人が多い日本人に説明する方が、単純に分かりやすく説明してくれるのではないか?

それで、日本語情報を調べ始めました。

foulageという単語は、仏和辞典にも入っていました。

☆ ロベール仏和大辞典の訳:
① (穀類などを)圧し(踏み)つぶすこと; (ブドウの)破砕
※ 他にも、繊維のフエルト化、印刷のプレスなど、色々意味がありますが省略

☆ クラウン仏和辞典の訳:
圧搾
※ foulage du raisin: ブドウの圧搾

辞書によって「破砕」か「圧搾」と訳語が異なるのですが、日本のワイン業界では、foulageの訳語は「破砕」で統一しているようでした。

実は、foulageを「圧搾」と訳してしまうと困るのです。前回の日記に書いたように、日本のワイン用語では「pressurage(pressage)」が「圧搾」と訳されていますので。

作業の工程は色々な方法があるし、昔ながらのやり方でするか、機械でするかによっても違うのですが、単純にブドウからワインになるまでの工程がわかる絵を探してみたら、日本のサイトで見つかりました。

http://www.suntory.co.jp/wine/series/knowledge/knowledge_07.html
サントリー ワイン スクエア|基礎知識|07. ワインのできるまで

フラージュ(破砕)は省略してしまうこともあるようなのですが、ちゃんと入っていました。今は足で踏んでいたりしないで機械でやってしまうにしても、「フラージュ(破砕)」は始めに行う作業です。

その後に、「圧搾」と呼ばれる作業があるのですが、赤ワインと白ワインで工程が少し異なります:
  • 赤ワインは、発酵させてから圧搾。
  • 白ワインは、圧搾してから発酵させる。
つまり、破砕圧搾は違う作業なのは明白だと確認しました。

こちらのサイトの説明図も分かりやすいです:
☆ ワインミニ知識: ワインはこのように造られる

なあんだ、なあんだ、初めから日本語情報を探せばよかったのだ...。

でも、です!

私が見た作業は、上に入れた図には入っていない...。

赤ワインの場合は、発酵してから「圧搾」するわけですが、これは液体を搾り出す作業です。足で踏み潰して液体を絞り出すはずがありません。

となると、その圧搾の前にしている作業でしょう?
それを何と呼ぶのか?...


圧搾は、「ピジャージュPigeage

ようやく出てきました♪

クロ・ブジョーの作業という動画が出てきました。ブルゴーニュですね。私が見たのと同じ作業に見えます。


Pigeage de Pinot Noir 2 Clos-Vougeot, France

動画のタイトルに「Pigeage(ピジャージュ)」と付いているので、それが作業の呼び名のようです。

赤ワインで行われる作業。発酵過程で浮上してきた果皮や果肉を沈め(マールをムーに沈める)、色素やタンニンを抽出するという作業。表面に浮上したものを「マールのchapeau(帽子)」という呼び方をしていました。

1回やれば良いというわけではなくて、1日に何回も行ったりもするのだそう。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/voyage-du-vin/sub12-lexique.html

上に入れた動画もそうでしたし、私が見たのも四角い風呂桶のようなところに入って作業していましたが、違う地方ではやり方をするのかもしれません。

南フランスのドメーヌの動画:
☆ Dailymotion: Pigeage au pied avec Morvane Cellier de la Maison Boutinot

棒で突っつくやり方もあるようです:
☆ YouTube: Pigeage manuel - Vinification en rouge

ピジャージュは大変な重労働のようです。現代なので、もちろんピジャージュをする機械もある:
☆ YouTube: Pigeage mécanique - Robot pigeur - Vinification en rouge


pigeage(ピジャージュ)という単語

ところで、「pigeage」という単語は、仏和辞典はもちろん、仏仏辞典にも入っていませんでした。動詞形はpigerが使われていましたが、その意味での単語も入っていない...。

Wikipediaでは「Pigeage」としてページが設けられていましたが、リンクされていたのは英語だけ。Grape stompingというタイトルになっていましたが、pigeageとして知られているとありました。古代ローマ帝国時代にも行われていたそうなのですが、フランス語で残ったのでしょうね。

日本語訳としては、「櫂入れ」とされていることもありました。日本酒の醸造で使う名前で、これは完全に棒でする作業なのでしょうね。

このブログを時々見てくれているブルゴーニュの友達が、前回の私の記事を眺めて、トップに入っている写真に驚いてしまった様子。日本語が分からない人なので、男性二人が裸でいるポルノ写真のようなものを入れて、私が何を書いたのかと思ったらしい。

フラージュと呼ぶ作業かと思って書き始めたのだけれど、実は別の作業だという続きを書いているのだ、と返事しました。

「何の作業だと思う?」と聞いてみると、「なんて言ったっけかな...」と少し間をおいて、「ピアージュ」と言ったのでした。足で踏むなどというのは今ではやらない作業なのに、どうしてそんな単語を知っているのだろう?...

ともかく、指摘された写真は確かにどぎつかったので、サイズを小さくしました。


ワインの作り方は奥が深いです。今回はフラージュとピジャージュという言葉を覚えましたが、これらを調べているうちに、もっと色々な専門用語が出てきました。この作業と、この作業は、どう違うの? と気になることもあったのですが、今回はこの辺でストップしておきます。




追記 (2915年3月):

BIVB(ブルゴーニュワイン委員会)のサイトでは、ワインの製造過程を示す図をダウンロードできるようになっていました。フランス語で書かれたPDFファイルですが、ご興味ある方のためにURLを入れておきます。

☆ 赤ワイン: Poster - Vinification - Rouge -
☆ 白ワイン: Poster - Vinification - Blanc -
☆ クレマン・ド・ブルゴーニュ: Poster - Vinification - Crémant -

ブログ内リンク:
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
vendémiaire 葡萄月: pigeage
Remontage, délestage, pigeage
Les mots du vin : pigeage, délestage, remontage, vous avez pigé ?
Wikipédia: Foulage
Wikipédia: Pigeage


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2014/10/28
ボージョレーの農家にあったものは何でしょうという先月出したクイズにいただいたコメントには、前回の日記で書いたように、クイズにした材木はブドウを踏みつぶしたタライではないかというのがありました。

ブドウを踏みつぶすと聞いて思い出したことがありました。


ブドウ汁を絞り出すために足で踏む作業

10年余り前のことですが、ブドウの収穫期に行ったブルゴーニュのワイン農家で、ブドウを踏みつぶす作業を見学したのです。こういう方法があるとは聞いていたけれど、今日でもやっていたとは驚き...。

このとき撮ったスライド写真を簡単にスキャンしたのでピンボケですが、入れてみますね。



昔はこれを裸でやっていたのだ、とブルゴーニュの友人が言っていたのですが、さすが現代なので、海水パンツで作業していました。

ブドウが発酵してガスが出てくるので危険な作業なのだそう。少しやったら休憩して、それからまた作業するという話しでした。プールか日本式お風呂と呼びたくなるところに入っていられる限度は、30分間と言っていたかな?...


この作業は何と言ったっけ?

ワインにするためにブドウを足で踏みつけることを示す言葉はあるはずですが、思い浮かびません。でも、ブルゴーニュの友人たちに話しを持ち出すには問題はありません。

「あれのこと」と言えば分るものが、ブルゴーニュの都市ディジョン市にあるのです。

ブドウを踏みつけている男性の姿の彫刻がある噴水で、彼は「Bareuzai(Bareuzeiとも綴る)」と呼ばれます。



左の写真は普通のときに撮影した写真。ワインのイベントが行われたとき(右の写真)には、樽を並べて飾った前でワインの試飲をさせてくれたので、いつもこうしておけば良いのにと思ったのでした。噴水からワインが出ていればもっと良い!

「Bareuzai(バルーゼ)」と言えば、ブドウを踏みる作業だと分かってもらえるわけです。

ところで、Bareuzaiとは「bas rosé」から作られたブルゴーニュの言葉です。

basとは、下のこと(長靴下の意味もある)。
roséとは、ロゼワインでも使われる単語で、ピンク色のこと。

つまり、ブドウを踏みつけていて下半身が赤くなったブドウ栽培者、ということになります。

この彫刻はディジョンの目抜き通りから朝市の会場に行く道にあり、Place François Rudeという名の広場にあります。

でも、ディジョン生まれの彫刻家François Rude(1784~1855年)より、こちらのブドウを踏む少年の像をシンボルにした方が分かりやすいので、Place du bareuzaiと呼ぶ人も多いです。

ちなみに、この彫刻はNoël-Jules Girard(1816~86年)の作品で、20世紀初頭からここにあるのだそう。


foulage au pied

バルゼというのは、ブルゴーニュを知らない人には通じません。こういう風にブドウを踏みつけてつぶすというのは、フランス語で何と言ったっけ?

探してみたら、foulageフラージュ)がでてきました。日本語では「破砕」と訳していますね。

足で踏むことを強調するなら、foulage au pied
ブドウを踏むことを示すなら、foulage du raisin au pied。

行為として動詞にするなら、fouler

ブドウの圧縮機はPressoirで、動詞はpresser(圧縮する、絞り出す、せきたてる)という、日常生活でも使う単語。foulerなんて使う場面があったかな?...

仏和辞典でfoulageをひくと、こう書いてありました:
(穀類などを)圧し(踏み)つぶすこと、(ブドウの)粉砕

でも、印刷関係の言葉としてのfoulageは、「(圧盤、シリンダーによる)プレス」と書いてある。それで気になってきてしました。

実は、続きで書くように、私がワイン農家で見たのは「フラージュ」ではなかったようなのですが、見つけたときは喜んで、フラージュについて調べたのでメモしておきます。


foulerとpresserは、どう違うの?

フランスのワイン情報サイトの説明を読んでみました。
同じ作業ではないけれど、2つを混同しているフランス人は多いのだそうです。

動詞名詞説明
fouler
破砕
foulage
ブドウの実の皮を破裂させ、それによって果汁を飛出させるもので、これによって発酵が始まることができる。
踏みつぶした漿果(注①)は、果汁とブドウの皮(moûtと呼ばれる 注②)の甘い果肉となる。
presser
圧搾
pressurage、
pressage
全ての皮、その他のmoûtの残存物を取り出すものである。圧縮して絞り出した果汁は、オレンジを絞って皮を捨てるのに似ている。
moût を発酵のために圧縮する必要はない。
注①
漿果(しょうか)  
液果(えきか)の旧称。ブドウやミカンのように水分の多い果肉が種子を包んでいる果実。

注②
moût(ムー)
ムスト。発酵前のブドウ液で、果物の皮、種、果梗が含まれている。


フラージュが何であるかを日本語で説明しているサイト「メゾン・デュ・ヴァン」が見つかりました。

赤ワインの作り方の項


ブドウを収穫した後、foulage(破砕)をするか、pressage(圧縮)するかの違いなのかと思ったのですが、両方することもあるようです。最近では、破砕と圧縮を同時にやってしまう機械も広く使われているようでした。


ブルゴーニュのブドウのブランデーMarcマール)」と「Fineフィーヌ)」の違いは?

フランス語情報では「moût(ムー)」という単語が出てきました。これと同様にブドウを絞ったときにできる「marcマール)」と「ムー」がどう違うのかというのが気になっていたのですが、やっと理解できました。

気になったのは、先月にブルゴーニュのワイン産地でブドウの絞りかすが蓄積されていたのを見たときのことでした;


ポマール村で見たもの 2014/09/20

これを回収する醸造所の立札があったので、これから「Marc de Bourgogne」というeau-de-vie(オー・ド・ヴィ = 蒸留酒)が作られるはず。

このとき一緒にいたワインに詳しいフランス人が、「これをmoût(ムー)と呼ぶ人もいるけれど、本当はmarc(マール)と呼ぶべきなのだ」と言っていたのです。

なるほど、moût(ムー)は液体なのですが、ここにあったのはmarc(マール)で、液体を搾り取ったあとに残るブドウの果皮・種・茎だけですから全く違いますね。


ところで、ブルゴーニュのワインから作る蒸留酒には2種類あります。マールとフィーヌ。最近、AOC(原産地統合呼称)も獲得しましたね。

Marc de Bourgogneは(マール・ド・ブルゴーニュ)とFine de Bourgogne(フィーヌ・ド・ブルゴーニュ)は、どう違うのだろうか?...

マール・ド・ブルゴーニュフィーヌ・ド・ブルゴーニュ

Marc(マール)の方は、ブドウを圧縮した後の絞りかす(マール)から作った蒸留酒。

Fine(フィーヌ)の方は、絞りかすでなく、ブドウから作っているのだと聞いていました。私は調べたことはなくて、コニャックなどのようにワインにする原料でフィーヌを作るのかなと思っていたのですが、そうではなかった。

フィーヌは、ワインを醸造したときに沈殿するlie(リー)とフランス語では呼ばれる澱(おり)から作るそうです。つまり、茎や種がないから、きつくはない酒に仕上がるのですね。しかも、ワインから作るわけではないから、コニャックなどよりは癖があるブランデーになる。

「リー」は濃縮したワインのようなもので、ブルゴーニュでは珍重されていています。自分で醸造しなければ手に入りませんが。ブルゴーニュの郷土料理のコッコ・ヴァンなども、赤ワインではなくてリーを使うのが昔ながらの本物なのだそう。

Lie de vin(ワインの澱」は色の名前にもなっています。

マールとフィーヌの風味は似ていますが、フィーヌの方が上品で飲みやすいと私は思います。私が買っているメーカーのものでは、マールよりフィーヌの方が価格が少し高くなっています。

日本語の説明に、フィーヌはワインにするには質が劣るものから作る、と書いてあるのを見たことがあるのですが、ロマネ・コンティがフィーヌを作っているくらいですから、そうは言えないと思うのですけどね...。

フィーヌはワインを醸造した樽の底にたまった澱でつくるといっても、その澱の状態は良いものでないと良いフィーヌができないそうです。フランス語でワインの澱は「lie(リー)」なのですが、フィーヌに使うものの名前を「clair de lie」と呼んでいる記述が多かったです。リーといってもclair(明るい、淡い)という意味? とすると、ドロドロした澱ではないのかもしれない。


話しが脱線しましたが、足でブドウを踏みつぶすことについて書いていたのでした。

プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地方のオート・アルプ県にあるDomaine de la Clochèreというドメーヌのサイトに、昔ながらの方法で行っているfoulageの作業を見せる動画が入っていたのでリンクを入れておきます。イベントではなくて、販売するワインのために本当にやっているようです。

☆ CAVE » Le foulage

私が見学したところと同じで、液体がプールのように樽にたまるようになっていて、普通の圧縮機、つまり隙間があいた柵のような樽ではfoulageをやっていませんでした。

なので、クイズにしたボージョレーのワイン農家にあった圧縮機は、上から力をかけて圧縮するタイプのものだったと結論することにしました。

クイズ: これは何でしょう?(ボージョレーで見たもの) 2014/09/12
解体したのはブドウの圧縮機だった 2014/10/25


ここまで下書きで書いて、私が見たブドウをつぶす作業は「foulage(破砕)」だと結論したのですが、さらにしつこく調べていると、どうも違うのではないかと思えてきました...。

足でブドウを踏む作業には、もう1つ単語が出てきて、私が見学したのはそちらの方ではないかと思えるのです。でも、少し上にリンクしたオート・アルプ県のワイナリーのサイトに入っていた動画は私が見たのと同じ作業のように見えて、そこでは「foulage」として説明していたのですけど。

地方によって呼び方が違うかな?...

ともかく、もう1つの方の単語について調べて、次回の日記でメモすることにします。私はワインを作ろうというわけではないし、ソムリエの資格試験を受けようと思っているわけでもないのだから、どっちなのだろうかと気にすることはありません。

でも、気になると、止まらない私...。

続きへ: ワインを作るために足でブドウを踏む作業 (2) ピジャージュ

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外部リンク:
Foulage (vinification)
☆ Wikipédia: Foulage
Avant la fermentation ⇒ Fouler et presser
☆ Bourgogne Vins: Des vendanges d’un autre temps
Le foulage du raisin dans la vinification traditionnelle
Le foulage du raisin au cours du temps
Marc et fine des produits alambiqués
lie de vin という色
ジャンマルク ルーロ: フィーヌ ド ブルゴーニュ
AOC Marc et Fine de Bourgogne


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フランスのお酒 (ワインなど)



2014/10/25
先月のブログでクイズを出していました。

ボージョレーのワイン農家に行ったとき、ふと気がつくと庭に材木が積んであったのですが、これは何だったのかというものです。

これは何でしょう?
クイズ: これは何でしょう?(ボージョレーで見たもの) 2014/09/12

あるものを半日がかりで解体したのだ、と言われました。

1カ月余り前に出したクイズなのですが、先日、この記事に拍手ボタンを押してコメントを残してくださった方がありました。そして、期せずして同じ日に、クイズを出すと考えてくださるpepe犬さんからもコメントを入れていただきました。

拍手ボタンからコメントを書き込んでくださった方のクイズの答えが鋭かったのです! これが何であるかを考えてくださって、「とても難しいです」とおっしゃりながら、見事に推察してくださっていました。

拍手と一緒に入れてくださるコメントは公開しないように設定しているのですが、秘密にしたいと思われたということはないと思うので、この材木が何であるかを書いてくださった部分を入れさせてください。

こう書いてあったのです:
昔 ワインを作るために葡萄を踏み潰していたたらいのような物とか…

「大正解で~す!♪ と叫びたくなったのですが、「踏みつぶしていた」という部分まで当たっていたのか私には分かりません。

それで、調べることにしました。


分解したのは、これではないかな?...

ワイン農家のご主人は、昔のPressoirを解体したのだとおっしゃっていました。

プレソワールとは圧縮機のことです。ワインを醸造する前の作業。

木を組んで作ったワインの圧縮機は、今ではめったに使われなくなったのですが、ブルゴーニュではあちこちに飾りとして置いてあるので、親しみがあります。プレソワールと言われただけで、どんなものかが想像つきました。

「木で作った圧縮機なんかがあったの?」
そう言うと、「見ていなかったの?」とおっしゃる。

ずいぶん前から通いつめているワイン農家なので、見ていたのかもしれない...。

昔は写真をスライドで撮っていたので(フランスでプリントすると高すぎるという経済的理由から!)、昔の写真を出してきて見るのは面倒です。でも、少しはスキャンしてデジタル化した写真があるので眺めてみたら、その中に、この農家で撮影した圧縮機の写真が入っていました。



こんなに立派なのがあったかな?... と思ってしまうのですが、写真があるのだから、あったのでしょうね。

ワインの圧縮機は、今ではワイン農家に行っても近代的なものを見るようになりました。

下に入れるのは、ボージョレーのワイン農協にあった近代的なブドウ圧縮機です。空気圧で圧縮するシステムでしょうね。


ボージョレーのワイン農協で醸造施設を見学 2013/10/06

木を組んで作ったものは珍しいのに解体してしまって、暖炉の薪にするなんて、もったいない...。

木製のブドウ圧縮機は、もう使われていないのだろうと思っていたら、まだ使っているところで見学したことはありました。このドメーヌでは、今でも高級のシャンパンを作るときには使っていると思います。

   
シャンパンのブドウ圧縮作業見学 2007/09/03

ブドウを圧縮する昔ながらの装置は木を組み合わせていて、隙間があります。農家のご主人から圧縮機だと言われたときには、この形を思い浮かべて、何も疑問を持ちませんでした。木を組み合わせているわけなので、分解したら木の部品になるのですから。

でも、コメントをいただいてから改めてクイズにした写真を眺めながら考えてみると、疑問がわいてきました。


圧縮機に必要なもの

クイズとして入れた写真を眺めると、圧縮機にしては材木が太くて立派すぎるではないですか?

思えば、昔のブドウ圧縮機は、その形に合うブドウ汁を受ける台がありました。

ブドウの圧縮機の下に置いて、絞りだされた果汁を受ける木の台が、このボージョレーのワイン農家にはありました。こちらは、テーブル代わりにして使っていて、そこでいつも試飲させてくれていたのでよく覚えています。

こちらです ↓



これも一緒に解体したとしたら、太い材木ができそう...。

特にテーブルの下には支える部分があって、それもまた立派な木だったのでした。

その後には、お客さんの試飲テーブルではなくして家で使っていたときの写真もとっていました。



このテーブルを支える足の部分は、この圧縮機を使っていたときにもこういう風に台にしていたのだろうか?

昔の圧縮機の写真をインターネットで探してみました。圧縮するときに上から重みをかけるために、大きな材木を樽の上に重ねて置いている写真が出てきました。

例えば、こちら:
Presser les dernières images du ban des vendanges

ですので、このテーブルの足にしていたのは、本来は上に置くものだったのではないかという気がしました。一番下の足には、持つのに便利なような鉄の取っ手がついているし...。

ともかく、圧縮機というのは、ブドウを入れる木に隙間を作って組んだ樽の部分と、絞ったブドウ汁を受ける部分がある。このテーブルにしていた部分も木を組み合わせて作ってあるので、これを解体したら庭にあった材木の太さになるだろうと思いました。

圧縮機だと言われたときは、下の受け皿のことは全く考えなかったのですが。


ブドウの液を搾りだす伝統的な方法は2つ

ワイン農家のご主人から圧縮機を分解したのだと言われたのだから、「クイズの答えは圧縮機です」と言えます。でも、拍手のコメントをくださった方の突っ込みにつまづきました。

葡萄を踏みつぶしていたタライ、とあったのです。

ブドウを絞るには、2つの方法があります。

写真を入れたような隙間をあけて木を組んだ圧縮機では、上から電動で力を加えることをしなかったとしても、大きなネジのようなもので絞っていくというのを想像しました。

でも、もう1つ、大きなタライにブドウを入れて、そこに人が入って足で踏んでブドウをつぶすという方法もあるのです。

この農家にあったのは、今の若い後継者のお爺さんの時代に使っていた圧縮機だと思うのですが、どうやっていたのだろう?

大きな圧縮機だったので、この中に人が入って足で踏み潰すこともできなくはないとは思うのですが、上から重みをかけて圧縮していたのではないかな?...

ボージョレーのワイン農家にあったのは、今の若い後継者のお爺さんの時代の圧縮機だっただろうと思います。

 

左は19世紀のモデル、右は20世紀のモデル。


足でブドウを踏む伝統的な方法で行っているのを見たときのことを思い出してみたのですが、こういう風に隙間がある木で組んだ桶ではなくて、ブドウ汁のプールのようになっていたように思います。見たのは1回しかないので、これについて調べてみました。そもそも、2つの方法には別々の名前が付いていたのでした。

それまで書くと長くなるので、続きは次の日記で書きました:
ワインを作るために足でブドウを踏む作業 (1) フラージュ 2014/10/28



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外部リンク:
☆ Wikipédia: Pressoir à vin


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2014/09/23
ブドウの収穫風景が見たいと思っていた日だったのですが、ちらほらと見える程度。もう収穫のピークは過ぎたかと思っていたら、前回の日記に書いた美しいブドウの木がある畑で見たので、もう満足。

夕方になってきたので、もうコート・ドールのワイン産地から離れようと思ったら、昼過ぎに通ったときにはブドウの収穫をしている人たちがほとんど見えなかったあたりで、働いている人たちの数が増えていることに気がつきました。

雨がやんでしばらくしたから収穫を始めたのでしょうか?

もう見なくて良いやと思っていたのですが、やはり、めったには飲めない高級ワインが作られる畑の収穫も見ておきたいと思って車を止めました。



ここは「クロ・ド・ヴージョ」と呼ばれる畑です。
写真の右端にクロ・ド・ブージョ城(Château du Clos de Vougeot)を入れて撮影しました。



「クロ(clos)」という単語は、ブドウ畑の用語として使うときには、塀で囲まれたブドウ園を指します。

※ 「clos(クロ)」というのは、私の耳には「クロー」と聞こえます。ついでに言えば、「Vougeot(ヴージョ)」も、「ヴジョー」と聞こえるのですが、一般化している日本語表記に合わせることにしました。日本では現地の発音を重視した片仮名表記にしているのが普通で、ブルゴーニュワインの名称でもブルゴーニュ独特の発音の仕方で表記しているものが多いのに(ブルゴーニュでは「x」を発音しないので、Aloxe-cortonは日本でも「アロックス・コルトン」ではなくて「アロース・コルトン」となっています)、なぜ「ヴージョ」になったのか不思議...。


その名の通り、ここは石垣で囲まれているブージョ村にあるクロ。この区画は高台から見下ろす道から眺めることがよくあるし、目印の城もあるので、いくら方向音痴の私でも、ここだけは間違えずに見分けることができます。

ヴージョ村で生産されるワインは、なんと75%がグラン・クリュ(特級ランク)なのだそう。すごい村なのですね。

ここクロ・ド・ヴージョで育つブドウは特級ワインになります。畑の面積は約50ヘクタール。その土地の所有者は80くらいあるそうなので、見たところ誰の畑なのかは分かりません。でも、ブドウ畑の入口に名前が書かれた門がある場合もあります。

ブドウ収穫をしていたドメーヌは、こちらでした。 ここには美しい門を構えているドメーヌもあるのに、ここはちょっと味気ない...。



門から入った所に収穫したブドウを入れるケースを置いて、そこから運び出して、道路に待機させた車に積んでいたので、Louis Jadotのドメーヌの収穫なのだろうと思いました。

曇天なので、収穫したブドウが雨に濡れてしまうのを心配していたのでしょう。積み込む車は、普通に使われる屋根がないトラクターではなくて、バンでした。特級ランクだと、そのくらい気をつかうのだな、と感心。

クロ・ド・ヴージョのブドウ畑の所有者を示した地図が見つかったのですが、文字が小さくてよく見えない。でも、Louis Jadotの文字は読み取れました。63番と書いてあるように見える場所で、かなり広い面積ですね。ドメーヌのサイトで確認したら、畑の面積は2.5ヘクタールなのだそうです。

収穫を見学した畑のブドウがどんなワインになるのか検索してみました。1種類しかないでしょうから、この特級ランクのワインでしょうね。


フランスで買えるネットショップの価格を見たら、日本と変わらない感じでした。高いお酒は、そうなっていることが多いように感じています。


クロ・ヴージョなのか、クロ・ド・ヴージョなのか?

上に入れたワインの名前が「クロ・ヴージョ」となっていることが気になりました。

ここにある城は「クロ・ド・ブージョ城(Château du Clos de Vougeot)」で「クロ」と「ヴージョ」の間に「de(英語でいえばof) が入っています。この城がある畑は「Clos de Vougeot」です。見つけたワインは「クロ・ヴージョ」と「ド」がないので、ワインの銘柄ではそうなるのかと、1つ学んだ気分になりました。

でも、なぜ「ド」が消えたのだろう?
この畑でできるワインのAOCアペラシオンの名称を調べてみました。

どちらでも良いようなのです。Wikipediaのフランス語ページには、アペラシオンは「clos-de-vougeot」ないし「clos-vougeot」と書いてありました。

でも、「の」の文字が入るのか入らないのか、はっきりしておかないと困るではないですか?

ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)のサイトを見たら、銘柄名は「Clos de Vougeot」と表記されていました。「de」が入っているのですが、ハイフンがない! つまり、城と同じ書き方なのでした。

オフィシャルな組織がそういっているのだから、これが正式名称なのでしょうね。... と思ったのですが、上にリンクを入れたショップのページを開いて、ボトルの大きな写真でラベルを見たら、しっかり「Clos Vougeot」と、「de」は無しに書いてあるのでした!

でも、日本でも「クロ・ド・ヴージョ」として売っているワインもあり、ラベルにも「Clos de Vougeot」と書いてある。



Figaroのワイン情報サイトを見たら、「Clos-de-Vougeot」と、ハイフン入りになっていました。

 「de」が入るか入らないかでランクが違うというわけでもないようです。結局、それらしければどの名称でも良いということですか?

発音すれば「de(ドゥ)」は聞こえないくらい小さく言いますから、どうでも良い。でもラベルの表記まで違っているというのは問題にならないのでしょうか? 片方を覚えていた人は、そうでないものを見たら偽物かと不安になってしまう危険もあります。

楽天市場で「クロ・ド・ヴージョ」と「クロ・ヴージョ」をキーワードにして検索してみる

ラベルには「クロ・ヴージョ」と書いているのに、「クロ・ド・ヴージョ」という名で売っているショップもありますね。

ハイフンがあるかないかはどうでも良いとしても、「de」を入れるか入れないかには何か謂われがあるのだろうと想像したのですが、少し検索してみたくらいでは何も出てこないので、追跡するのは諦めました!



石垣の向こうで作業しているので、働いている人たちに声をかけられないし、収穫したブドウも間近では見れないのでつまらない。写真だけとって、この日のブドウ畑のドライブは終えることにしました。まだ明るいとはいえ、もう午後5時をまわっていましたので。

 シリーズ記事: コート・ドールのブドウ収穫風景 (2014年)     目次 


  【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
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★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

外部リンク:
☆ Côte-d'Or Tourisme: Le Clos de Vougeot
☆ フランスワイン事典: クロ・ド・ヴァージョ(Clos de Vougeot)


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フランスのお酒 (ワインなど)



2014/07/06
ブルゴーニュワインの中で最高級のワインができる地域は、ニュイ・サン・ジョルジュ市の周辺のコート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)、ボーヌ市の周辺のコート・ド・ボーヌ(Côte de Beaune)です。

飛びぬけて高価な価格で売られるロマネ・コンティの畑はコート・ド・ニュイに属します。




コート・ド・ボーヌを襲った雹

前回の日記「まともに雨が降らない今年の異常気象」に書いたロマネ・コンティの畑を見た翌日の朝、コート・ド・ボーヌのブドウ畑に雹が降って被害を出したというニュースが流れていました。

全国ニュースだったので、よほど大きな被害だったらしい。局地的に雹が降ったので、区画によって10%から90%の被害があったとの報道でした。

6月28日の午後7時ころに雹が降り、ムルソー、ポマール、ヴォルネー、サントネーの畑で被害が大きかったようです。この地域では、ここ3年連続で雹にやられているのだそう。

この日はボーヌ市に近いところに泊まっていたので、ブドウ畑を見に行くことにしました。

私のお気に入りの銘柄ポマールの畑を見てみたかったのですが、とりあえずオート・コート・ド・ボーヌという標高の高い部分のブドウ畑を通ったので車を降りてみました。

わぁ~、これは全滅だぞ~ という憐れな姿になっていました!



この畑では、今年のブドウ収穫は無理でしょうね...。
来年用の芽もやられてしまったでしょうから、深刻ですね...。




どのくらいの被害になったのか?

調べてみたら、コート・ド・ボーヌに降った雹の大きさはグリーンピースからクルミの実くらいで、10分足らずの間に降った状態はミサイル攻撃みたいだったのだそう。

降った雹を見せる画像 ↓

 
Nuits-Saint-Georges | Côte-d'Or : la grêle a frappé - Le Bien Public


テニスボールくらいの大きさな雹に降られて、路上駐車していた車のボンネットが凸凹になって廃車にしたと言っていたフランスの友人がいました。このくらいだったら耐えられるかなという大きさには見えますが、柔らかいブドウの葉や実は破壊するくらいに大きい粒ですね...。


この日に雹が降ってきたのを見せる動画 ↓

その日に私が友人たちと呑気に昼食をとっていたヴォルネー村の位置を見せる地図に続いて、雹が降ってきた庭を見せる映像です。


Vignobles dévastés par la grêle Le moral en prend un coup


ブドウ畑の雹の被害を見たあとに行ってみなかった、私がお気に入りにしているブルゴーニュ赤ワイン「ポマール」のブドウ畑の被害 を見せる動画 ↓


Dégâts causés par la grêle à Pommard

ブドウの実に糖分が出るためには葉が必要なのに、破れてしまっているので致命的。雹に叩かれた実は腐ってしまうので、ブドウの木が病気が発生する可能性がある。

ブドウ栽培者たちは、被害があった畑に早急にヘリコプターで亜硫酸を散布するように県庁に依頼したのだそうです。収穫が少ないほかに、薬剤を撒くとは嬉しくない話しですね...。この地域で無農薬でブドウ栽培している畑も、ヘリコプターで散布されたら風にのって農薬が流れて来てしまうではないですか? どうなるのだろう?...

この地域では、10月になるまではブドウの収穫ができないだろうと言っています。 気温が高くて作物の成長が早いと思っていた春だったのですが、そうなりますか...。


近代的な雹対策装置とは?

コート・ド・ボーヌに雹が降った夕方、私はボーヌの町から山に入って20キロくらいのところにいました。夕方に雲行きが悪くなって雨が降り出しました。この感じだと雹が降ってもおかしくないと思ったのですが、私がいたところでは雨が降っただけ。

ブドウ畑に雹が降らないかと心配をしていました。 すると、地元の人は、最近のブドウ畑にはantigrêleと呼ぶ雹対策装置を使っているから大丈夫、とおっしゃる。

近代的な雹対策装置って、どんなのだろう? 探してみたら、動画が出てきました。

火を焚く装置で人工的な雲のようなものを上空に作り、雹を小さくすることができるので、地上に落ちてくるときには雨になる、というシステムのようです。

その装置を見せる動画がありました ↓


Pluies de grêle nombreux dégâts pour les viticulteurs malgré le dispositif anti-grêle


今回の被害があったコート・ド・ボーヌでも使っていて、この装置のおかげで被害が小さくなったのかもしれませんが、やはり完璧な装置ではないようですね...。

このような雹対策装置は、ボルドーやコート・ド・ローヌにはすでに普及していて、ブルゴーニュでも南部で使い始めていたようです。現在のところ、ブルゴーニュでは9,000ヘクタールを雹対策装置でがカバーしていて、それにかかった費用は95,000ユーロとのこと。

もっと装置の数を増やすにはお金がかかるのが問題なのだそうですが、フランスの農家は驚くほど高価なトラクターを何台も持っているのを考えると、それほど大した出費ではないと思ってしまうのだけど...。

雹対策装置には色々なタイプのものがあるようで、もっと大がかりな装置もありました。

シャンパーニュ地方のブドウ畑で見た装置をブログで書いていて、これは旧式なものだと思ってたのですが、ひょっとしたら、今でも使っているものだったのかな?...


フランスのブドウ畑で見た奇怪な装置 2007/09/08


雹から作物を守る方法として、フランスの果樹園では、屋根のようなネットを張る方式がよく行われているそうです。そう言われれば、南仏などでそういう畑を見たことがありました。太陽の熱を吸収するためか、鳥に果実を食べられるのを避けるために張ってあるのかと思っていたのですが、雹から守るためだったのかな?...



こういう雹対策幕は、果実として食べるブドウの栽培ではよくやられている方式なのに、ワインにするブドウ畑では行われていないようです。

ワイン用のブドウ畑だとネットを高くして張らないといけないので費用がかかりすぎることもあるし、ブドウ栽培者は点在している畑を持っているので、無事だった畑からの収入で被害を帳消しできるからかもしれないとのこと。


フランスでは日本よりも頻繁に雹が降る感じが私はしていて、その話しを何回もブログに書いていました。日本で雹が降たという記憶がないのですが、少し前には東京でも大量の雹が降っていたようでした。

この日曜日からフランス国内の22県に雷雨注意報がでていて、その中にブルゴーニュのワイン産地であるコート・ドール県とソーヌ・エ・ロワール県も入っています。

3月からまともに雨が降らなかったので、おしめりがあるのは嬉しいですけど、普通に雨が降って欲しい...。



ブログ内リンク:
【ブドウ畑の雹の被害を見たときに書いた記事】
雹の被害にあったコート・シャロレーズのブドウ畑 2011/07/3
2004年の寒い夏 2004/08/10

【フランスで見た雹について書いた記事】
雹が降ったので思いついたアイディア 2009/01/20
晴天を喜んだ日だったのに、夕方には雹が降ってきた 2012/04/29

★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Côte de Beaune : la grêle fait des dégâts dans les vignes
Après la grêle, la désolation des viticulteurs de la côte de Beaune
La région de Beaune a été touchée par de violents orages : des domaines viticoles sont ravagés
Vigne et grêle - Que faire sur vignes grêlées
Filets anti-grêle - Pourquoi n’en voit-on pas plus dans le vignoble français
En Bourgogne, les viticulteurs en guerre contre la grêle
☆ Vignoble beaunois : Au lendemain des averses de grêle, l'heure est au bilan 2014/06/30ニュース
☆ Wikipedia:
ブルゴーニュワイン


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フランスのお酒 (ワインなど)



2014/05/21
今年は春になってから、ほとんど雨が降っていません。乾燥しているとブドウの木が病気にはならないはずなので、今年のブドウは健康的に育つだろうと思っていたのですが、そうでもないらしい。

前回の日記「ブドウ畑専用の豪華なトラクター」に書いたワイン農家のご主人は、「今年は腕のみせどころがある難しい年ですよ」なんておっしゃる。

春先に初夏のように暑かったときにブドウが芽を出したのに、その後には気温が下がってしまったために、かなり霜にやられた被害がでているのだそう。新芽がやられたら、今年の実はならない。去年も収穫量が少なかったのですが、今年もそうなりますか...。

それと、強い風が吹いているのが非常に良くないとのこと。氷の上を渡ってきたような冷たい風が、ここのところ吹いていました。

ブドウの木は北風が大嫌いなのですって。私も嫌いですけど、ブドウの木は背が低いので、風なんか気にならないと思ったのだけどね...。


畑にまく薬剤

ワイン農家に買い付けに行ったこの日も、強い風が吹いていました。農家のご主人は、向こうに見える桜の木が揺れるのを眺めながら、明日は風が収まると天気予報が言っていた、と期待していました。

乾燥しているときにはブドウの木が病気にならないので農薬をまく必要がないのだけれど、今年は必要なのだそう。風がおさまらないと薬剤を散布できないので、仕事がとどこおってしまっているのだと話します。

でも、仕事ができないときだったせいか、おしゃべりは延々と続きました。ワインの試飲じゃなくて、風にあたって乾いた喉をうるおしてくれるほど、並々とグラスにワインを注いでくれます。畑に行くことができない従業員の人も、一緒にワインを飲む。

農薬を撒くのはできるだけ少なくしたいし、農薬は高くつくので使いたくない。それなのに、こんなに乾燥しているときに農薬散布をする必要があるなんて不満... と、話します。

薬剤が入った袋が積み重ねてありました。粉末状なので、これを水に溶いて、新しく買ったトラクターで撒くのだそう。



この農家で使うのは、有機農業で許可されている種類の農薬でした。緑色のマークの中に、「Agriculture biologique(有機農業)で使用可能」という文字が目立つように書いてあります。

はぁ、これが少し前から私が気になっていた「soufre」という薬剤ですか? ...


ワインに入れる添加物とは?

日本人から、「フランスでは有毒物質を入れたワインをつくっている」と言われたことが何度もあったので気になっていました。添加物だらけの食品を食べさせられる日本で、なぜフランスワインを非難するのか不思議に思ったのです。

1980年代半ばに、ドイツやオーストリアのワインにジエチレングリコー ルが入っていたというスキャンダルの記憶が私にはあって、フランスワインは添加物に関する規制が厳しいので安全だ、と思っていた私は納得できない...。 

「防腐剤を入れている」と言われたときには、「ありえないですよ~」と答えてしてしまったのですが、何も知らないで返事していたのは確か。

気をつけていたら、白ワインには、sulfiteとかsoufreとかlevureとか呼ぶもの、それから卵を入れているのを知りました。でも、それが有毒物質だとは思っていなかったのです。


シャブリのワインを作っている農家に行ったときに撮った写真。収穫が終わったばかりのときに訪問したのに、忙しく働いているところを見学させてもらったのですが、ギクっとする場面がありました。

アルコールの発酵を促すために使う、levure(酵母)の粉末を収穫したばかりのブドウ液に入れていたのです ↓

 

私にはショックだったけれど、毒物を入れているわけではないのからでしょうが、作業している人は全く平気でしていました。写真なんか撮るのも、全くOK。

そんなものを入れないとワインにならないというのは楽しくない。シャブリはブルゴーニュ地方の北部にあって寒い地方なので、こういう助けが必要なのだろうと思いました。

友達のお気に入りのワイン農家ということで行ったのですが、なんだかその後は行く気がしなくて、このとき限りの訪問になっています。ワインの出来は悪くないのですが、熟成していないのに収穫した白ワイン独特の酸味が気に入らないのです。

最近は、レストランでワインを選ぶときに、知らない生産者しかないときは、シャブリにはバツ印をつけています。ハズレが多すぎるからです。昔は、シャブリのワインといったら、私でさえも目隠しテストで判断できるくらいの特徴があったのに、最近はそういうのがほとんどなくなりました...。

でも、酵母は問題にされていないようです。


問題のワイン添加物とは?

白ワインを飲むと頭が痛くなる人がいます。特に、安物の白ワイン、それから太陽の光が少ない地域で作られるワインがいけない、と私は思っています。

頭痛がおきるのは、ワインに添加する薬物が原因だと、フランスでも最近はかなり話題になってきました。それが入っているかどうかを、EU圏内で生産するワインのレッテルに表記する義務が最近にできたそうです。

私が添加物について気にしだしたのは、ごく最近。ワインに詳しい方だったら、「なんだ今ごろ!」と思われるでしょうね。調べたことをメモしますが、ご存じだったら読み飛ばしてくださいね。
 

最近、またワインは危険な添加剤が入っていると話題にする友人があったので、前々から気になっていたことを調べてみました。

日本人が毒物だとしていたワインの添加物とは、亜硫酸塩(加工物)でした。
 
これを添加する理由は、次の働きがあるからだそうです:
  • ワインの原料であるぶどう果汁の酸化を防ぐ
  • ぶどうに付着していた腐敗菌などの有害微生物の繁殖を防ぐ
  • 発酵段階で出るアルデヒドのような不快な香りの成分を除く
  • できあがったワインの酸化を防ぐ
使用法は、ボンベなどに充填されたガス、あるいは化合物の水溶液というかたち。

亜硫酸の添加量については制限があるし、良心的にワインを作っているところでは、できる限り亜硫酸の添加量を少なくしているそうです。でも、厳しい規制があるビオワインでさえも、これを微量に抑えて使うことは許可されているのでした。

フランスのワインでは、この添加をしないで生産されるワインは例外的に少ないようです。 白ワインだけではなくて、赤ワインにも入れると知って驚きました。

私のフランスの友人の中には、ワイン添加物のせいなのかどうか分かりませんが、白ワインを飲むと、それが質の良いものであるかどうかにかかわらず、頭痛になるので、絶対に白ワインは飲まないという人がいます。 ぜんそくには関係なく、もともと酷い頭痛持ちの人です。


この添加物について調べていたら、日本人からフランスのワインには毒物を混入していると批判された理由がわかりました。

日本では、「酸化防止剤無添加ワイン」というのがたくさん売られているからなのです。フランスで、そんな風なキャッチフレーズで売っているワインは見たことがありません。

酸化防止のためにワインに添加する亜硫酸塩とは何なのか?

亜硫酸をワインづくりに使うのは、古代ローマ時代から行われていたそうです。ワイン醸造用の樽を消毒するために硫黄を焚き、亜硫酸ガスを発生させて樽に充満させるという方法。そうするとワインが劣化しない、というのが分かっていたらしい。

有害物質であることは確か。もちろん、一定量を超えて使用された場合には危険がありますが、ヨーロッパ圏内でも、日本でも、ワインに亜硫酸を添加する量については厳しい規制がありました。


今回行った農家で、日本には酸化防止剤無添加のワインがあるのだと話したら、酸化防止剤を全く入れないでワインは作れない、とまで断言されました。 この農家では、添加量は極力控えているけれど、ボトル詰めする前にガスを混入しているとのこと。

ブドウには自然に少量の亜硫酸が含まれているので、それで十分な場合には亜硫酸の注入はしないそうです。 AOCワインを作っていると、年に何回も検査の人が来るので、科学的に検査して添加物を入れるかどうかのアドバイスはもらえるのだそう。でも、大丈夫だろうと思って添加しなかったら、瓶詰めした後に酸化してしまったために、そのロットを全て捨てたことがあったので、危険は冒したくないようでした。

ワインに亜硫酸が自然に含まれるというのは、畑の手入れで亜硫酸を農薬として散布することもあるからで、今回見た大きな袋はその薬剤だったのでした。しかも、袋には有機農業用と書いてあるので、亜硫酸だけは有機農業(BIO)ワインでも使用が許可されていると確認できました。


日本では無添加ワインというのが流行っている?

日本で売られている「酸化防止剤無添加ワイン」 とはどんなものなのか、探してみました。

酸化防止剤を入れないという触れ込みのワインは、驚くほどたくさん売られているのでした:
酸化防止剤無添加ワインを楽天市場で検索

大手のアルコール飲料メーカーは、こぞって無添加ワインを出しているようです。

こういうのは、私も日本のスーパーで目にとまっていたような気がしてきました。偽物のワインに見えたので無視していたのだろうと思います。

上に並べた3つの酸化防止剤無添加ワインは、メーカーが違うのですが、共通した雰囲気があります。

まず、いかにも日本語という手書きを思わせる字体で書かれている。外国で生まれたワインという歴史を追い抜いて、日本にだけある独特のアルコール飲料なのだぞ~、というアピールでしょうか?

「酸化防止剤無添加ワイン」という文字を目立たせているのは良いとしても、「おいしい」と書いてあるのは奇妙に思いました。ワインのレッテルに「おいしい」なんて書いてあったら、高貴なワインという感じはなくて、かえって怪しげな飲み物に見えないのでしょうか?...

少し前の日記で、日本人は「おいしい」を連発するのが気になると書いたのですが、ここで再び気になりました!

日本のテレビ番組で気になっていることに関するアンケートのお願い 2014/01/04

この日記にはアンケートを入れたのですが、今現在の投票結果では、半数の回答者は、「美味しい」と言う人は無理して「おいしい」と言っているのではないかと疑ってました。「"美味しい"と言われると、本当に美味しそうに見える」と答えた方は、たった2%だけ。

でも、「おいしい」とアピールするのは効果がある、あるいは、そう言いたくなる、ということなのでしょうね...。


もう1つ、日本の無添加ワインなるものには特徴があると思いました。価格が低いのです。

特殊な技術で作る手間をかけるなら高額の無添加ワインがあっても良いではないかと思って、楽天市場の検索結果を価格が高い順に並べてみたら、出てきた~!

... と喜んだら、12本セットの価格でした。

価格が高い無添加ワインは非常に少ないようですが、ないことはない。 何が違うかというと、ブドウ自体が国産と言えそうです。


左側のスパークリングワインが特に高いのですが、ラベルに目立つように「酸化防止剤無添加」とか「おいしい」とかは書いていないようです。 無添加を売り物にしているわけではなくて、本当においしいのではないかという気になりませんか?


お見事なマーケティング!

安い価格で手に入る「酸化防止剤無添加ワイン」というのは、素晴らしいアイディア商品だと感心しました。

前提として、安く買えるワインがないと、日本ではワイン愛好者は増えないとうのがあったはず。

となると、安い原料を外国から輸入してワインを作る必要があるわけで、粉末に水を混ぜてワインにする方法もあるのだそう。でも、安いだけでは売れない。そういうのは目立たないようにして、何かでアピールでして売る必要があるではないですか?

そこで「無添加♪」という魅力的な言葉をくっつける。そうなれば、得体のしれない原料から作ったワインかどうかなんて、気にならなくなります。

フランスをはじめ、外国のワインにはすべて人体に害を及ぼす劇薬が入っているのに、日本では無添加ワインを作っている、と宣伝する。日本産ワインの株があがります。

無添加で、安くて、おいしい、と三拍子そろったら、売れる商品になるではないですか?!

日本ではワインをセラーで寝かせてから飲める人は少ないし、日本酒でもビールでも長期保存はしない風習があるので、保存がきかない無添加ワインには全く問題はないはず。

さらに...

日本でワインを飲む人たちの中には奇妙なところがあると思うのです。赤ワインは健康に良い、と信じている人たちがいることです。ワインは、好きなら飲めば良いだけだと思う。10年は前のことだったと思うのですが、日本に帰ったら、赤ワインを飲みたいという人がたくさんいるので驚いたことがありました。健康に良いから赤ワインを飲む、なんていうフランス人は、私の知り合いの中には一人もいません。

健康のためにワインを飲む人たちのためには、無添加ワインは理想的です!

人気がでて成功するかどうかは、PRの仕方とアイディアで決まる。芸術作品だって、映画だってしかり。佐村河内守のゴーストライター事件も、その典型だと思います。

そんなこんなで、無添加ワインというネーミングは、ボージョレ―・ヌーヴォーを考え出したのと同じくらいに、優れたアイディアだと思いました。


四日市ぜんそくの原因が、工場から大量に出された亜硫酸ガスだったということが、日本で無添加ワインを成功させた原因だったのかもしれません。

でも、無添加ワインの宣伝のために亜硫酸が危険だと強調されなかったら、それを気にする人はどのくらいいるのでしょうか?

まだ記憶に生々しい福島原発事故だって、放射能汚染の問題は永遠に続くのに、早くも原発再稼働の方向に動いている日本です。東京電力が会社閉鎖とか断罪とかされなかったし、未だに白々しく隠ぺいを続けているも許されているのは、普通の先進国ではありえないことだと思う...。

大手メーカーがワインに添加物が入っていませんというのをキャッチフレーズにして商品がヒットしたのを知ったら、日本は大企業がすべて牛耳れる国なのだろうという思いを強めてしまいました。

フランスの食文化はマトモです、と言いたいのではありません。フランスでテレビのコマーシャルを見ていると、添加物だらけのような大手企業が売っている食品や加工食品ばかりですから!

現代って、そんな時代なのだろうな...。


無添加ワインについては賛否両論

無添加ワインについての日本情報を眺めてみると、捉え方は3通りあるように見えました。

かなりヒステリックに、酸化防止剤を添加したワインを批判している人たちがいます。そんなワインを飲み続けていると、必ずガンになるとまで断言したり、ワインに混入する「酸化防止剤」を「強烈な防腐剤」と呼んでいたりもします。

さらに、発癌性があるともいわれる「亜酸塩(あしょうさんえん)」と、ワイン に添加される「亜酸塩(ありゅうさんえん)」を混同して記述している人もあるので混乱を招きます。

逆に、ワイン業界の人たちは添加物入りワインに寛容。そうでないと売れないですから当然でもあります。基準以下の添加なのだから人体に害はないし、酸化防止剤を使わないワインは本物のワインにはなれない、と断言していました。

ガスの状態で大量に吸い込むと呼吸器系に害がある。ただし、ワインに少量を添加したくらいでは、化学反応によって無害な物質に変化するし、残留する量はごくわずかとなって毒性の心配はないという主張が多かったです。でも、ぜんそくを持っている人は敏感に反応してしまうので、避けた方が良いようです。

それから、本物のワインが好きだから、人体に多少悪かろうと気にしないという人たち。私は、このタイプですね。

今の時代、人体に害があるものは口にしないとなったら、生きていけるに十分な食生活はできないと思う。自給自足の生活をして、外食は絶対にせず、自分が作ったものしか食べないとしたとしても、放射能汚染の危険はある。 福島原発事故がおきたとき、胃がキリキリしてたまらないので主治医のもとに行って、ストレスが原因と話したら、「今の時代、地球上のどこにいたって放射能汚染からは逃れられないですよ」と慰められた(?)のでした...。

いくら健康を気遣ったって、永遠に生きられる人はいません。だったら、したいことをして、毎日を楽しみたいと思ってしまう私...。


どうして酸化防止剤なしにワインができるの?

日本で、千円も出さずに買えるワインというのは、私は薄気味悪く感じてしまいます。酸化防止剤を入れていないとしても、何か変なものを入れているのではないかと思ってしまうので...。

フランスでは亜硫酸を入れることを禁止したらワインが作れない言われているのに、なぜ日本では無添加で、しかも安いワインを作れるのか不思議ではないでかが可能なのか、気になるではないですか?

調べてみたら、日本では次のような手段をおこなっているから、亜硫酸を添加しないでワインが作れるのだと説明されてました。
  • 原料輸入(輸送)や醸造行程の中で、雑菌類に侵されないように処理をほどこす。
  • 日本酒のように加熱処理をして、酵母を殺す。
  • 非常に目の細かい特殊フィルターで濾過して、細菌や酸化で変質する物質を除去する。

なんだか不自然なワインに思えてしまうのですど...。

ところで、間違っていると思える日本情報もありました。フランスでは加熱殺菌は行えないと書いてもあるサイトもあったのですが、最近のフランスでは加熱処理をするワインが登場したことは聞いているのです:
葡萄ジャムからワインを作るなどという醸造法があったの?! 2011/07/28

ボトルの中での熟成をストップされるのが目的だと聞き、加熱したワインなんか飲みたくないと思っただけでした。この手法が、亜硫酸を入れないか、ごく少量に抑えられるかのための手段だったのかもしれないと思えてきたのですが、そんなことはないように思うのですが...。


ご存じの方があったら教えて欲しいのですが、酸化防止剤無添加ワインは、ワインの味がするのでしょうか?...

白ワインは悪くないのがあるとして推薦されていた無添加ワインには、ここのワインがありました

一度くらい無添加ワインというのを飲んでみたい気はしますが、やはり自分でお金を出しては買わないだろうな...。

アルコール飲料は、とっていないと生きられないというものではありません。添加物が入っているのが嫌だったら、ワイン風につくった飲料を飲まなくても良いのに... と思ってしまうのですけど...。

でも、ノンアルコールビールなんていうのもあった。アルコールが受け付けられない人でも、みんなと同じに飲みたいものなのかな?...



フランスワインで、酸化防止剤添加ワインかどうかを見分ける方法

フランスでも、当然ながら亜硫酸をワインに使うことについては神経質になる人たちがおり、この問題はネットでも盛んに論議されていました。

最近では、EUの規則として、ワインのボトルに亜硫酸が入っているかを表記する義務もあります。

台所に転がっている飲み終わったワインボトルのラベルの写真をとって入れようと思ったのですが、最近のレッテルは水につけておいても剥がれないので、ラベルをスキャンする考えは放棄。

そもそも、亜硫酸が入っているかどうかは、ワインを作っている人たちだって表記したくないでしょうから、このブログの枠内に収める画像を入れても文字は読めなかったと思います。ボトルの文字が横書きなのに、その外れにボトルを横にしたら見えるように書かれてありました。しかも、虫眼鏡を持ち出さないと見えないくらいの小さな文字!

読めるほど大きな文字で表示しているワインもあるようですので、その画像を入れたサイトの画面をキャプチャして入れます。

http://theobromine.uchini.be/?p=80   [Labo] Dosage du SO2 dans le vin

丸い枠で囲っているのが、亜硫酸が含まれているという表記。
Contient des sulfites」と書いてあります。

私が台所でチェックした空き瓶もこれと同じフレーズばかりだったのですが、「Contient de l’anhydride sulfureux」という表記も許可されているようです。

亜硫酸が含まれていると表示するだけで、どのくらいの分量なのかは表示する義務がないようです。いい加減ではないですか?

亜硫酸はワインには自然に含まれているものなのだそうで、亜硫酸ゼロというのはありえないのだそう。添加したか否かに関わらず、1リットルあたりの10 mg以上になっているワインに表記の義務があるとのことでした。

フランスの場合、1リットルあたりの亜硫酸の最大許可量は、赤ワインは160mg、白ワインとロゼワインは210mgとなっていました。表示義務が発生する最低限の10mgとは大きな差があるので、分量を示さない表記は無意味だという主張もありました。

ネットで挙げていた例では、オーガニックワインのボトルの裏面シールの長々した説明で、亜硫酸は添加ゼロで、自然には2mg/l と書いてあります。少なくしようと思えば、このくらいに収められるという例ですね。 

何でも有害なものは明らかにすることには賛成です。どの程度の添加なのか分からなくても、アレルギーがある人はご注意という警告にはなります。上に入れた画像で、赤枠の横にある妊婦にバツ印マークとともに余計なおせっかいだとは思うけど、危険を隠して「安全です、安全です」と言っているよりはマシです...。


フランスにも、酸化防止剤無添加ワインという商品があるのだろうか?

スペインのワインでも、酸化防止剤無添加を触れ込みにしているワインが日本に輸入されていました。



としたら、フランスで「酸化剤無添加」を特徴にして売っているワインがあっても不思議ではない!

とりあえず、知っている有機農業をしているブルゴーニュのワイン農家が、添加物についてどういっているのかを見てみました。

ギヨ・ブルー という、すごいこだわり方でワインを作っている農家。

以前にもブログで書いたことがありました:
ガメ種のブドウでは美味しいシャンパンを作れない? 2013/12/21

この農家のワインを扱っている日本のショップでは添加物については何も言っていませんので、ドメーヌのサイトをチェック。

アルコール度をあげるための酵母の添加は全くしていないと明記。でも、SO2の使用と加糖は、「厳しく最低限に制限している」と書いてありました。

やっぱり添加していますか...。

この農家で添加していたら、フランスで無添加というのはかなり少ないだろうな... という気がしてくる...。


でも、探してみたら、ありますね...。 さすが日本はこだわるので、「フランス」と「無添加ワイン」で検索すると出てきました。

下は、「事実上の」酸化防止剤無添加として売っているワイン:



日本の無添加ワインは安いのが特徴に見えたのですが、フランス製となると本物のワインにしなければいけないので、安いというわけではないのは当然でしょうね。

頭が痛くなる可能性が高いので私は避ける傾向にあるアルザスの白ワインでも、無添加というのがありました。


ともかく、フランスでも無添加ワインを特徴として売っているワインがあるらしい。それはそうでしょうね。探してみたら、ちゃんと酸化防止剤無添加ワインを探せるフランスのサイトもありました。


ワイン関係の単語

酸化防止剤のことが気になり始めてから、ワイン農家に行ったときに聞いたりしていたのですが、この類いの単語は正確に把握していないので、会話についていけませんでした。

理解しやすいだろうと思って日本語情報をみたら、発癌性があるともいわれる「亜硝酸塩(あしょうさんえん)」と、ワイン に添加される「亜硫酸塩(ありゅうさんえん)」を混同して記述していたりもするので、さらに混乱...。

この際なので、ワイン添加物に関する用語を拾って書き出してみます。「su」で始まる単語と、「sou」で始まる単語があって、ややっこしいので!...

sulfite亜硫酸塩、亜硫酸
Dioxyde de soufre
Anhydride sulfureux
SO2
E220
二酸化硫黄、亜硫酸ガス (SO2の無機化合物)
※英語: Sulfur dioxide
soufre硫黄
sulfiter果汁醪(ろう)に亜硫酸を添加する
(樽を)亜硫酸で処理する
sulfitage亜硫酸添加
※酸化防止、微生物・細菌の繁殖抑制、清澄などを目的に醸造過程で行われる。
soufrage硫黄処理
soufrer果汁醪(ろう)に亜硫酸を添加する
樽を硫黄燻蒸する
levure酵母、酵母菌、イースト
levurage[醸造](アルコール発酵を促すための)酵母添加
chaptalisation加糖、補糖。
アルコール分の供給などのため、発酵前のブドウ液に糖分を添加する作業。
chaptalisatliser発酵前のブドウ駅に糖分を追加する
soutirage澱引き
※樽熟中、ワインの上澄みだけを別の樽に移し、澱を取り除くこと。
Traitement de la vigneブドウ畑の薬剤散布

日本語でのワイン食品添加物としては、亜硫酸塩、亜硫酸、二酸化硫黄と表示されている場合とがあるそうです。亜硫酸は、二酸化硫黄を水に溶かしたもの。亜硫酸塩は、亜硫酸を中和したもの。この2つは本質的には同じとのことでした。

 シリーズ記事: ワイン農家を訪問して


  

ブログ内リンク:
昔のポスターに見たフランスワインの効用 2007/04/24
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク
酸化防止剤無添加ワインを楽天市場で検索
ワインに含まれる添加物 ―ワインの安全性を考える―
ワインへの酸化防止剤添加は必要悪?
☆ ワインブームとワインの誤解:
  日本のワインブーム
  ワインの「薀蓄」
  赤ワインは体に良い?
  重厚な味わいのワインは良いワイン?
  ロゼワインの誤解
  白ワインは体に良い!
  日本のワイナリー見学ブーム
  国産ワインの誤解: その1 その2 その3 その4
  酸化防止剤無添加ワイン:     
「国産ワイン」と「日本ワイン」は何が違う? : 大手の「酸化防止剤無添加ワイン」のラベルを見てみると
☆ 食と健康に関する辞典: 亜硫酸塩
食品でさまざまな機能を発揮する亜硫酸塩類
教えて!goo: 輸入のワインはすべて亜硝酸が添加されている?
アルザスの安物白ワインは頭痛のモト?
Savez-vous vraiment ce qui se cache derrière la mention « contient des sulfites » ?
Des Vins VRAIMENT sans sulfites, ça existe !
Analyse des vins par cuvée avec quantités de SO² libre, SO² total (sulfites, soufre)
Vinification des vins sans sulfites, une autre approche de l’œnologie
Les vignerons sans sulfites ajoutés
Étiquetage des vins
« Contient des sulfites », rayez la mention inutile ?
フィリピン:遺伝子組み換えと闘う農民たち


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フランスのお酒 (ワインなど)



2014/05/18
ブルゴーニュ南部、マコネ地域で白ワインを作っている農家にワインを買いに行きました。

デイリーワイン用として、最近は一番気に入っているワインを作っている農家です。

ブドウが完熟してから収穫してワインを作っているので、酸味がなくて飲みやすいのです。それと、売値が他の農家に比べて安いので、大量買いには魅力的♪

少し前に行ったときには、新しいトラクターを買う話しをしていたので、それを見せてもらいました。


ブドウ畑用のトラクター

フランスのブドウ畑で使うトラクターは「アンジャンベール(enjambeur)」と呼ばれ、特殊な形をしています。ブドウの木をまたいで動くようにできているからです。

アンジャンベールにしては、やたらに大きなトラクターでした。



普通のは畝を1つまたぐのですが、これは2列の畝をまたぐのだそう。

素朴な形のアンジャンベールを撮影した写真を入れた日記も書いていたので、そのときの写真を入れて違いをお見せします。


ブドウ畑でワイン農家のご主人を捕まえる 2010/08/25

こんな形のを見慣れているのですが、今回見せてもらったのはやたらに立派。

周囲がよく見えるようにビデオカメラが幾つもついていたりと、至れり尽くせりの作りのようです。

運転席は普通に畑で使うトラクターのように、完全なガラス張り。畑に農薬をまくとき、消費者に害を与える以上に農業者の健康被害が大きいわけなのですが、これだと完全装備ということなのでした。

お買い得の中古トラクターを買っていたのですが、値段は20万ユーロだったのですって。日本円にしたら、3,000万円近く。フランスの田舎だったら、立派な家が買えてしまえる価格です。

メンテナンス費用も高いのだそうです。フロントガラスが壊れたとか、タイヤがパンクしたとかいう場合の修理代が幾らかかるかを話してくれたのですが、お金には興味がないので耳から筒抜けしてしまった。 貧乏人の自営本能からお金は無視しているのだろうな...。

そんなにお金があるようには見えない農家なのですが、すごい買い物ができてしまうのだと感心だけはしました。

フランスのサラリーマンたちが農家をやっかんでしまうのは無理ないです。穀物栽培農家が何台も持っているトラクターなどといったら、こんな可愛いブドウ畑用とは違って、圧倒されるくらいにすごいマシーンですから!

フランスにいるとトラクターの巨大さに驚くので、ブログでも何回も写真を入れていたと思うけれど、たとえば、こちらのトラクター ↓


民家になっているテンプル騎士団の館を見学 2013/05/30

国民の胃袋を養う農業者たちだから、補助金がたくさん入るのは良いじゃないかとも思えますけど、庶民には桁違いの金額を払うお買い物です。

これはどうでも良いお話しでして、今回ワイン農家で話しを聞いた後に調べてみて興味深かったこをと次に書きます。

続く...

 シリーズ記事: ワイン農家を訪問して




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