| Login |
2007/09/27
9月の3番目の週末は「Journées européennes du Patrimoine」。

日本の「文化の日」のようなものなのですが、普段は一般人が入れないのに見学させてくれるところもあるので、できるだけイベントに参加するようにしています。

2007年に見学した中で一番印象に残ったのは貴族が所有する城でした。書いた日記を一覧にしておきます。


[続きを読む  Lire la suite...]


2007/09/26

シリーズ記事 【文化遺産公開日のヴィジット 2007年(目次
その3


お城の中を見学した後は、自由に庭を歩いて良いということになっていました。

※この日記は、「フランス貴族の見分け方」の続きです


庭園にある観光スポットは2つありました。

(1) 「Le Mystère de la chambre jaune(黄色い部屋の謎/秘密)」という映画のロケで使ったところが、そのまま残っている。

(2) 19世紀に、このお城のお嬢さんのために建てた人形の家。その子が見つけないように木立の間に建てて、クリスマスの日に木々を切って家を見つけられるようにした、というもの。オモチャの家ではなくて、かなり本格的な家だとの説明でした。「昔だから、そんなことができたのでしょうね~」、とマダム。


実は、人形の家の方がすっかり忘れてしまったので見学しそこなってしまいました。普通のお家として使われているお城ですから、「黄色い部屋」はこちら、「人形の家」はこちら、などという風に看板がでているわけでもないのです。

なにしろお城の庭園は広い! どこかに立って見回したって、一部しか見通せません。


◆黄色い部屋

ここで殺人事件が起きた、それが謎... というミステリーだそうで、フランスでは大成功した映画だったようです。



Gaston Leroux, Le Mystère de la chambre jaune ( 2003 )
原作が書かれたのは1907年

映画のロケに場所を提供したために得た報酬で、マダムが近代的な台所を作ることができた♪ と言っていらした場所です!

私はこの映画も、原作の小説も読んでいないので、見学していた人たちが話していることを聞くだけ...。

映画のストーリーでは、この大きな柱時計に人が隠れたりしたそうで、男の子が中に入ったりしていました。

 黄色い部屋の謎

映画を見た人は、この黄色い部屋はお城の中にあると感じていたそうなのですが、実は離れの、物置小屋のように味気ない建物が使われていたのでした。

下の写真は、外から見たところです。窓には鉄格子があるのも重要なポイントだったそうです。



いつか映画を見るときのために、ここにあったものを覚えておこうと思いました。


見学者の中に、このあたりにあるお城の水道工事をしたという人がいて、私のデジカメの話しから、おしゃべりがはずみました。もう引退した高齢者。水道工事をするためにお城に出入りしていたとき、いかに貴族の人たちが信頼していてくれたかという話しをしてくれました。

お城の鍵を預かっていたけれど、ご主人がなくなったので息子さんに返そうとしたら、父親が預けた鍵だからそのまま持っていてくれと言われたとのこと。つまり、「あの城に泥棒に入ろうと思えばいつでも入れるのだ」と笑っていました。こういうご主人というのは今では少ないとおっしゃる。つまり、昔のような信頼関係がなくなったから、今のフランスには盗難がつきないのだとも思いました。

そんなおしゃべりをしていたら、マダム、つまり侯爵夫人が黄色い部屋にやって来ました。誰かを探しにいらしたらしい。それで、私たちに、「このベンチは本物ではないんですよ~!」とおっしゃる。

軽々と持ち上げられることをデモンストレーション。よくよく眺めてみると、ベンチの淵がはげて木材であるのが見えていました。

マダムが探していた人はいなかったようで、またお城の方に戻っていきました。かなりの距離なのです。広いお家に住むというのは大変です!...

この後、お城の敷地にある別の建物で、この地方のワインを広めようと試飲をさせていたところに立ち寄りました。ここで聞いた話しも面白かったのですが、長くなりすぎるので割愛...。


ブログ内リンク:
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビドラマに関する記事
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

情報リンク:
★映画のサイト: Le Mystère de la Chambre Jaune
★原作者: Gaston Leroux
★原作フランス語を読みたい方はこちら:
La Bibliothèque électronique du Québec: Le Mystère de la Chambre Jaune
★ウィキペディア: 黄色い部屋の秘密


にほんブログ村 トラコミュ フランス映画へ
フランス映画


[続きを読む  Lire la suite...]


カテゴリー: 文学、映画 | Comment (4) | Top
この記事のURL | Rédiger
2007/09/25

シリーズ記事 【文化遺産公開日のヴィジット 2007年(目次
その2


歴史的建造物を一般公開しようというイベントがあった週末(フランス式「文化の日」でご紹介しました)、色々なところを見学しました。

本来はお城の見学が好きなのですが、このとき行ったのは教会が多かったような気がします。

というのも、住居となっているお城がこの日のために特別公開されたときに行くのは、どうも抵抗があるのです。

なぜかと言うと、こういう誰でも歴史的建造物をタダで見れるという日には、歴史的建造物には大して興味がないけれど、「こんな立派なお城には、どんな人が住んでいるのだろう?」という興味半分、嫉妬半分の見学者がいるからです。

こちらが居心地の悪くなってしまうような質問をする人がいるのです・・・。フランスには「プライバシーには立ち入らない」という大原則のマナーがあるのですが、そういうのを持ち合わせていない人もいます。こういう一般公開のときには、そういう人たちに出会ってしまう確率が高いのです!

それでも、やはりお城が見たいと思って、少しは立ち寄りました。


◆お城よりマダムが気に入ってしまった

案内をしてくだっさったマダムがあっぱれなので、すっかり気に行ってしまったお城がありました。こちら ↓



このお城の歴史を後で調べてみたら、オーナーの家系はフランス貴族の中でもランクの高い侯爵でした。

ところが、見学に来た私たちを友達だと扱っているかのように、お城を案内しながら気楽に私生活を語ってくださったのです。

マダムが嫁いで来たばかりのころの生活は(30年前とおっしゃっていたかな?...)、井戸の水を使ったりしていて、本当に昔ながらのものだったようです。

興味本位で来た人たちも、どうやって収入を得ているのか、などという変な質問はしません。おかげで、私が耳にするのが嫌いな発言がなかったので楽しい見学になりました。

見学の最後はチャペル。ここでマダムは、入場料を払って入ったことにお礼を言いました。そんなことを言われたのは初めての経験。歴史的建造物一般公開の日は、無料で入れるのが原則なのですが、ここでは普段の見学料を割引した形だったのです。それで、たぶん気が咎めていたのだと思います。

率直に、「こういうお城を維持するのにはお金がかかるので...」 と、おどけたジェスチャーでおっしゃって、私たちの見学料で修復費が助けられているのだ、と付け加えました。こういう有名でもないお城の入場料収入なんて、修復の費用に比べたら、焼石に水というところでしょうに!

「みなさんは郷土遺産の保存に貢献してくださっています」と、本当に誠実な気持ちから出ていると思わせる口ぶりで言われて、なんだか嬉しくなってしまいました。


◆フランスの貴族は気取らない!

古い建物が好きなので、お城のB&B民宿はよく利用します。フランスには5万と(文字通り!)お城があるので、別にどうということはないのです。普通の宿に比べて超高級とは限りません。

お城のオーナーには3通りあると見ています。

(1) 昔から住んでいる人(例えば15世紀から同じ一族の持ち物だとか...)。貴族が多い。
(2) お城を買ったお金持ち。ブルジョア階級が多い。
(3) 古い建物が好きで、廃屋に近いような建物を買って修復している庶民階級のたち。


私は変にリフォームされてしまったところよりは、殆ど廃屋に近いようなお城が好きなので、自然に(1)のタイプが多くなります。それで、貴族に迎えられるというケースが多くなっています。

お城のオーナーが貴族かどうか知らなくても、不思議なくらい容易に判別できます。

お城に限らなくても、古い建物の民家のB&Bを利用するのですが、このマダム、どうしてそんなに率直な優しさがあるのだろうと思いながら話しをしていたら、庶民階級と結婚して貴族の姓を失ったマダムだったと分かったりしたことが何回もありました。

貴族にはどことなく気品があるから分かる、というのではないのです!

お城が農家になっていることもよくあるので、作業着のままで向こうから歩いて来て握手されたとき、小作人かと思ってしまったこともありました。

何が違うか?

貴族の方は、驚くほど自然体なのです。つまり、マナーがどうのとか、自分は偉いのだとかいう格好をつけるということを全くしない。お金がなくても気にしない。

ブルジョア階級は上流階級だというのを見せなければならないのに対して、貴族の方には何をしても貴族、つまり余裕があるのだと思います。

もちろん貴族の中にも、私のイメージを破る人たちはいるのでしょうけれど。


◆室内履きでアブを叩いたマダム

貴族は気取らない、と確信したときのエピソードです。

フランスの貴族の一族としては有名な名前を持った、上に写真を入れたお城などとは比べものにならないくらい立派なお城に泊まったときのこと。

翌朝、宿泊代を支払って引き揚げようと事務室らしきところに行ったら、マダムが電話で話していました。それが終わったので、「おいとまするのでお支払い...」と切りだしたら、マダムは「ちょっと待って」とおっしゃる。

いかにも上流階級という風貌のお上品な年配のマダムが何をしたかと言うと、やわら室内履きを脱いだのでした!

そして、窓のところにあるラジエータの上に乗ったのです!

電話していたときに、窓にアブがいるのが気になっていたとのこと。それで、「待って」だったのでした。

それで、ラジエータの上に乗り、室内履きを手に持ち、窓にへばりついていたアブを叩いたのです。

ブルジョア階級のマダムは、少なくとも赤の他人がいる目の前で、こういうはしたないことはしないはずです!

状況が見えない方のために説明しておくと、お城の天井というのは高いので、そういうことをしないとアブは退治できません! 気取った人だったら、他人がいる目の前でそういうことはしないものです。

こういう風に、格好をつけたりしない貴族のエピソードはたくさんあります。


◆お城の生活

このとき訪れたお城のマダムも同じくらいの年輩の女性でしたが、全く気どりのない人でした。どうやって生活を改善したかなど、まるで友達に話すような内輪話しを語ってくれました。

気に行ったエピソード:

このお城には住んでいなくて、親戚が集まれる場所になっているのだそうです。こんな大きなお城だと、部屋を全部使うということはないのが普通なのですが、ここでは全部の部屋が使えるようになっているそうです。

でも、大勢が集まってくると、主婦としては大変。それで、来る人たちには、寝具を持ってきてもらうということにしたのだそうです。すると、みんなが引き上げるときには、洗濯物の心配がないので、マダムたちもみんなと一緒にお城を引き揚げることができるので便利。そうする前には、寝具の洗濯が大変だったのだそうです。

その他には、それぞれが好きな飲み物も持参するということにしたとのこと。集まってくる人たちが好きなジュースなどを色々な種類のものを買って、それが余って捨てるということがなくなったという改善。

「それに...」と付け加える。

― おいしいワインを持ってきてくれるのを、皆で飲むのも楽しいですし♪...

こういう明るい女性が本家のお嫁さんだったら、親戚の良くて、みんなが楽しくお城に集まって来て休暇を過ごすのだろうな... と想像しました。

このお城では、
「黄色い部屋の謎」という映画のロケに使われた舞台も
見学しましたのでご報告します。

- 続く -


ブログ内リンク:
フランス貴族は気取らない 2005/07/13
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


2007/09/24

シリーズ記事 【文化遺産公開日のヴィジット 2007年(目次
その1

9月の第3週末は「Journées du Patrimoine(郷土遺産の日)」と呼ばれ、歴史的建造物を見学する日になっています。

普段は一般の人が入れないところに入れたり、入場料が無料になったりします。

郷土資産を見なおそうという意図のもと、1983年に当時の文化相ジャック・ラングが始めた運動です。

その後、他のヨーロッパ諸国でも同じようにする国が現れたようです。それで、イベントの正式名称には「ヨーロッパ」の文字が入って「Journées européennes du Patrimoine」となっているようです。

 ← 今年のポスター

この機会にフランスの誇る資産を見学する人は、1千数百万人になるです。フランスの人口は6千万に過ぎませんから、すごい数字です。

でも、見学者の数として発表されるのは、一人があちこちに行っているのもだぶって数えられるのではないでしょうか? そうだとすると、今年の私は一人で10人分以上になっています!

フランスは文化の国と見られていますが、フランス人たちは日本人ほどには文化に重きを置かないように感じます。日本人の場合、それほど美術やクラシック音楽に関心がなくても、美術館やコンサートに行きますが、フランス人たちは興味がないことはしません。特にお金を払わなければならないとなったら、行くはずがない!

データを失ってしまいましたが、一度も博物館に入ったことがないフランス人のパーセンテージというのは、信じられないほど多かったのです。

というわけで、原則として無料で色々なところを見学できる日がつくられたのではないでしょうか? 始めは1日だけだったそうですが、成功したので週末の2日間となったそうです。

「文化の日」と呼んだら良いと思いますが、日本の「文化の日」は何も特典がないですよね?...

歴史的建造物が好きな私としては、このフランス式「文化の日」は限りなく嬉しいイベントです!

パリなどでは行列ができて大変らしいのです。さすが首都だけあって、こんなところに入れるの?! というところが目白押しなのが魅力です。でも、そのかわり、地方では適当な数の人しか行かないので混雑は全くなく、楽しい週末になります。

いつもは住んでいる場所の近くで特別公開されるところに行っていたのですが、今年は泊まりがけででかけることにしました。

ブルゴーニュの中でも余り行く機会がなかった地域に足をのばしました。たくさんの発見があり、色々な人たちとの出会いがあって、楽しい週末になりました。

ブログは日記の代わりを兼ねて書いているので、どんなものを見たのかを書き留めておきたいのですが、余りにもたくさんありすぎました。真面目に書いていたら、1カ月はかかると思います。

ここのところ旅行ばかりしているので時間がない・・・。でも、幾つかはご報告したいと思います。

★イベントのオフィシャル・サイト: Journées Européennes du Patrimoine 2007

- 続く -


ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村

[続きを読む  Lire la suite...]


2007/09/20
気になっていたワイン農協があったので、ブティックに立ち寄ってみました。

何も買わないで店を出ようとしたとき、目についたものがありました。

これです ↓



ワインの樽。フランスも地方によって樽の大きさが違うようですが、ブルゴーニュのはこの形です。

ワインを寝かせるセラーの写真も飾ってありました。こんな風に並べたら楽しいですよ~ というところでしょうか?


ワインの樽は、ブルゴーニュのようなワイン産地では、セラーの中でなくても、あちこちで古い樽が飾りになっているのを見かけます。

家で使うとしたら、たとえば、こんな具合 ↓

 樽型テーブル

縦に半分に切ったり、横に切ったりして植木鉢。

 タブ型M

家具にしてしまったり・・・ ↓

オークからつくられた樽をリサイクルフルオークワインラック壁付1枚扉


だいぶ前、樽が欲しいと思ったとき、ワイン農家にいただいたことがあるのですが、普通に売られているとは知りませんでした。

このワイン農協で売られていたリサイクル樽は40ユーロでした。日本円にして7,000円弱。安いと思われませんか?

新品のお値段はどのくらいなのか?・・・ 樽をたくさん並べているワイン農家に行ったので、聞いてみました。

税金抜きで1つ450ユーロとの返事。普通の人が買おうとしたら税金が上乗せされますから、10万円くらいになるでしょう。10年くらい前にも農家で聞いたことがあるのですが、そのときも10万円と言われたような気がします。


ワインの樽はオーク材で作られていて、その作り方がまたおもしろいのです。火であぶって樽の歪みをだすので、作るのを見ているだけでも感激ものです。

上質の樽にするためには、材木も選ばれるし、技術も必要。10万円近いというのは納得できます。

ワインを醸造するときには、ワインにタンニンをたくさん含ませるには新品を使うとか、あまりタンニン質を強くしないためには、ワインに馴染んだ樽を使うとか、テクニックが色々あるようです。

でも、余りにも古くなった樽は御用納めのはず。でも、樽が売られているのを見たのは初めてでした。

にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)


[続きを読む  Lire la suite...]


2007/09/12
一度聞いただけで覚えてしまう単語と、何回聞いても忘れてしまう単語があります。

最近おもしろいと思って覚えてしまったフランス語は、ミルデユー。

「ミル」とは「千」で、「デュー」とは「神様」。

つまり、神様が千人?!

ところが、ワイン醸造農家で、作物の病気の名前だと言って発せられた言葉だったのです。今年のように雨が多い年には、ミルデューの被害が出しているとのこと。

千の神様とは綴りが違うのでした。病気のミルデューは mildiou だったのです。

日本語で何と言うのかと思ってしらべたら、「べと病」でした。日本語の方は、いかにも嫌らしい病気に聞こえます!

ブドウに対しては良い予防薬があって、普通のブルゴーニュワインを作る農家ではそれを撒いているので被害はないとのこと。

大きな被害を受けたのは、オーガニック・ワインの生産者でした。全滅したところもあるし、無農薬というレッテル(フランスではBIOと呼びます)を返上したところもあったそうです。

フランスの有機栽培でBIOとして売れるためには厳しいものがあり、今年のような農薬を使いそうな今年には検査を4割も増加して目を光らせたとのこと。

今年は農薬を撒かないとダメだ、と断腸の思いで決心した場合、そのあと3年間はBIOのワインとしては売れないのだそうです。

お気の毒・・・。

いずれにしても、このベト病は予防しなければならない病気であって、発生してしまった後は手のほどこしようながにのだそうです。


そんな話しを聞いたあと、目をひかれるブドウ畑がありました。



葉が枯れたように見える畑です。9月初旬にしては早すぎるので奇妙...。

近づいてみると、ブドウの房はほとんど腐ったようになっていました。これでは収穫できません。

それでミルデューのことを思い出し、それにやられたブドウ畑なのだろうと思いました。

この写真のように牧場と隣合わせのようなところは、良いワインになるブドウは育たない場所です。有機栽培をしているというよりは、どうせ大したワインはできないのだからと、高い農薬は使わない方針だったのではないでしょうか?...




ところで、今年のように雨ばかり降っている年には、ブドウ畑には病気が発生しやすいので、農薬をいつもよりたくさん使っているのではないかと、私は疑っていました。

でも、ワイン農家に聞いてみたら、いつもの年と全く変わらないとの返事でした。

最近の農薬はよくできていて、ひところのように農薬づけにしなくても良くなったとのこと。エスカルゴも戻ってきて、ブドウ畑で作業していると、踏んでしまうくらいたくさんいるのだ、などと笑っていました。

ブドウの葉を食べて育ったエスカルゴって、雑草で育ったのよりおいしいのではないかな?...

ブログ内リンク:
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
★ブドウの病気の写真があるページ: Maladies communes de la vigne
Mildiou de la Vigne


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2007/09/10
普段飲むワインがなくなった友達がいたので、先週、一緒にワインの買い出しに行くことにしました。

本当は、こういうブドウ収穫の時期にワイン農家に行くのは遠慮すべきなのです。「今は収穫期なので直売はできません」という張り紙を出しているワイン農家もあります。

でも目的のワイン農家は、一緒に行った友達の幼馴染という関係。それに、引退している高齢のご両親がワインを売ってくれるのではないか・・・。お邪魔なようだったら買わないで引き上げる。ワイン農協でも安いワインを買うことにしていたので、この農家で買えなかったらまた出直せば良い。

・・・というわけで、ともかく行ってみました。

このあたり、もうブドウの収穫はほとんど終わりに見えました。それで、大丈夫だろう・・・と思ったのですが・・・。


◆ブドウ収穫の真っ最中だった!

門を入ったら、広い中庭はトラクターで埋まっています。

これはまずい!

・・・ と思ったのですが、長男がお相手して、いつものように試飲のためのセラーに案内してくれました。

ご近所はブドウの収穫が終わる時期になって始めたとのこと。

のんびりおしゃべりしているので、大丈夫なのかと、私の方が心配してしまうほど。でも、もう夕方だったので、仕事は一段落していたのかも知れません。

お婆さんが、一緒に夕飯を食べていらっしゃいと誘ってくれます。泊まりこみでブドウの収穫を手伝っている人たちのためにたくさん料理を作っているので、ここで数人増えてもどうということはないので誘ったようです。

オープンキッチン兼食堂は、ちょっとした食堂並の光景。80歳近いお婆さんと、近所に住む親せきの人が料理担当でした。

夕飯が始まるまで、ワインの圧縮作業を見学したり、お婆さんやお爺さんとおしゃべりをしたりして過ごしました。


◆トラクターに乗せてもらう♪

午後8時過ぎ。台所では良い香りが漂ってくるようになりましたが、まだみんなは働いています。

外に出て眺めていると、私が好きなタイプのトラクターが動いてきました。今ではめったに見なくなった、こういう旧式のトラクターが好きなのです!

小さくて、キャビンもなくて、煙突のようなものから排気ガスが出て、後ろでは大きな赤いランプがクルクル回る。こういうタイプのトラクターは、今では余り見かけません。この農家でも、ブドウ収穫のときには何台も必要なので、普段は使わないのを出してきていたのだと思います。

「わあ~! こういうのに乗るのが夢なの~!」と騒いだら、「乗る?」と聞かれました。

運転席に乗って良いという意味かと思ったら、これから絞ったあとのブドウを捨てに行くので、乗せていってくれると言うのでした。。



車の上のスペースに乗っかった私。
見えない? 見えないように写真を小さくしたのです。


トラクターの後ろに引いているのがブドウの絞りカス(marc)。これを使って「マール」というブランデーもできます。


◆こういう景色を見ながら働いている人もいるのだ~

旧式トラクターの乗り心地は・・・ 良くないです。音がすごいし、ガタガタしている。

もともと席ではないところに私は座っているのですから、乗り心地が悪くて当たり前ですが。振り落とされないように、手すりのようなものにしがみついていました。

でも、この高い位置から見たブドウ畑が広がる景色の美しかったこと!・・・



もう夕闇が迫る時間だったので、不鮮明な写真でごめんなさい。

考古学的に価値のある断崖の下にブドウ畑が広がっています。

この写真、ゴミ捨て場に到着したときに撮影したものです。村はずれに分別ゴミを捨てる場所があって、そこにブドウの搾りカスを捨てるスペースができていました。

つまり、ゴミたちが毎日眺めているのは、この写真のような雄大な景色!

もったいない場所に作ったと思ってしまいますが、ここら辺はこういう風景がどこにでも広がっているのです。

いいな・・・。ブドウの選定をしていて、腰を伸ばすとこんな風景を見える。そんな仕事をしているなんて・・・。

ここは、おいしい白ワインができるブルゴーニュの南部。ブルゴーニュの高級ワインは、もっと北の方で生産されます。

でも、ブドウ畑を眺めるとしたら、このマコネーからボージョレーにかけての地域の方が、起伏があって、ずっと美しいですよ~。

ブルゴーニュ・ワイン地図


◆地元にいる特権

たくさんワインを買いこんできました。

ちなみに、このとき行ったワイン農家では3つのランクの白ワインを生産しています。一番安いワインは1本5ユーロでした。一番安いのと言っても、このマコネ地域で生産されるワインのランク付けでは真ん中くらいに位置するAOCワインです。

1本800円くらい。普通に飲むには適当なお値段。しかも、素晴らしくおいしいのです♪

フランスもブルゴーニュを離れると、ブルゴーニュのワインは高いという定評があります。私がどうということもないときに開けるワインを、パリに住む友人が「今日は良いワインを飲んだ!」などと言ったりするので笑ってしまいます。

安くておいしい食品は、まず地元で消費されるのが当然だと思います。

思い出すのは岡山に行ったときに聞いた話し。「今年もマスカットが東京に出荷される時期になりました」というのがテレビのニュースで聞こえてくるのだそうです。なぜ東京?! それはおかしいのではないか、という発言でした。

私もフランスの地方にいるのですが、「パリに出荷される」ことを喜ぶような表現は、聞いたことがありません!



ブログ内リンク:
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2007/09/08
先日の日記(フランスはブドウ収穫のシーズン♪)で、シャンパーニュ地方のブドウ畑で見かけた奇妙なものをお見せしました。

これです ↓



この右に見える大きなボトルみたいなものは何でしょう? というクイズにしてみたら、pepe犬さん(ブログ: Un cafe s.v.p.)が、みごと正解を出してくださいました!


◆霜対策なのか、雹対策の装置なのか?・・・

実を言って、クイズにしておきながら、正解を持っていませんでした。

これが何であるかをフランス人に教えてもらったことがあったのですが、私の記憶は曖昧だったのです。

この大砲のようなもので、ドカ~ンとやるものだ、というのは確かです。

シャンパンになるブドウが育つ畑で、まるでシャンパンの栓を勢いよく抜いたように爆発するのを想像して、私はすっかり気に入ってしまったのです。

でも、霜(gelée)が降りることを知らせるための装置だったのか、あるいは、雹(gêle)の降ってくることを知らせるものだったか?・・・ という肝心なところを忘れてしまっていました。

この2つの単語はGから始まるので、記憶が混乱していました。それに、霜も雹(ひょう)も、どちらもブドウ畑には大敵なので、どちらでも当てはまるように思えます。

でも、「雹が降るから気を付けろ!」と知らせても、ブドウ畑にネットを張って保護することなどできません。そういう危険が来ると分かっても、どうしようもないではありませんか?!

それで、「霜が降りるから対策をしろ~!」というための警戒装置なのだろう、と思いました。

ブルゴーニュもシャブリのような北の方にある畑だと、霜対策はかなり行っています。

小さなコンロのようなものを畑に並べて温めたり、水を散水したりしています。シャンパーニュは、もっと北にあるので同じ厳しさを抱えていて当然。シャブリと同じような装置を見たことがありました。


◆雹(ひょう)対策の装置だった!

クイズにしたら、その方面に詳しい方が教えてくださるかも知れないと期待したのですが、「それは○○ですよ」というコメントは来ませんでした。これは何だろう、と考えてくださる方々がある。

そうなったら、クイズに出した本人が正解を知らないというのは無責任! 調べることにしました。

でも、この装置の名前が分からないので、調べようがない!・・・

ワイン産地で育った友達に聞いてみると、私が見たものは「canon à grêle」というものだ、と教えてくれました。

canonとは「大砲」。雹が降ってくることを知らせるために大砲を打ったのだ、とのこと。

この人が子どものころ(つまり30年以上前)には、雹が降ったり、嵐が来る前に、けたたましく銃声が響き渡ったと言います。

「でも、そういうのを教えてくれても、どうしようもないじゃない?!」、と私。

「昔のことなので、気やすめにやっていたのだろう」、なんて、いい加減な返事が返ってきました。

気になります。これだけ大掛かりな装置を、無意味に使っていたとも思えないではないですか?!

そのすぐ後にワイン農家に行くことになっていたので、疑問をブドウ栽培のプロにぶつけることにしました。


◆なんと、雹(ひょう)を雨に変える装置だった!

答えてくれたワイン農家の人は50歳近い人。ブルゴーニュの南部でブドウを栽培しています。

子どものころは、そういうのがあった、と教えてくれました。でも、この地域にあったのは、大砲(canon)のような大掛かりなものではなくて、普通の鉄砲のようなものだったとのこと。

驚いたことに、それを打つのは、雹を雨に変えるためだった、と言います。

その後は、飛行機を飛ばすという技術になったのだそうです。

そう言われて思い出したのは、少し前に見たテレビのニュースでした。

ロシアでは大事な国家行事があるときに快晴にするため、飛行機を何台も飛ばして雲を追いやっているという映像でした。本当に快晴になって、行事は青空のもとで繰り広げられるらしいのです!

そんなのがあるなら、どんどん使って欲しいと思ってしまいますが、たぶん大変な費用がかかるのでしょうね・・・。


◆雹(ひょう)がブドウ畑を荒らすと・・・

フランスでは、雹が降ってくるのを時々見ます。日本にいたときには見たことがなかったので、初めて雹が降ってきたのを見たときにはびっくりしました。こんなものが天から降ってくるなんて!

バラバラと音を立てて降ってくるのです。地面があっという間に雹で埋まります。

ビー玉くらいの大きさが普通ですが、大きいのになると、ピンポン玉くらい。もっとすごいのになると、テニスボールくらいの大きさのがあるそうです。そうなると、外に出していた車などは凸凹になってしまうそうです。

当然ながら、雹はブドウ畑に打撃を与えます。

下の写真は、ブルゴーニュのブドウ畑で見た雹の被害です。夏に、ピンポン玉くらいの雹が降って被害を与えたときでした。



葉がかけてしまっていて、ブドウも傷ついています。可愛そうなブドウ畑だったので撮影した写真でした。

でも、テレビで雹の被害があったというニュースで見る画像は、もっと凄まじいものです!

ほとんどブドウの木には何も残らない状態にまでなってしまうのです。来年に新芽となる部分もやられてしまうので、被害はその年だけのものではないので致命的!

どんな風になるかをお見せしようと思って探してみたら、こんなのがありました。

スイスのサイトですが、ブドウ畑に雹が降ったときの被害を見せる写真を紹介しています:
Dommages en juin '05

すごいでしょう? これではブドウ畑は壊滅です!


◆ブドウ畑を雹から守る努力

装置の名前が分かったので、インターネットで情報を検索できました。

雹を何とかしようということは、19世紀にはもう考えられていたそうです。大砲を打つと大気が動くので、雹が雨に変わるという装置。戦争をしているときに、そうなるというのを発見したのでしょうか?

あらゆる方法が試されたようです(ballons explosibles, bombes, canons, fusées)。でも、それほど成功するとは限らなかったようですが。

ワインというのは特殊なのでしょうね。ここまで努力して農作物を育てるなんて・・・。

検索を続けていたら、大砲のそばにマキが積んであって、使っていた時期の絵ハガキが出てきました。

Canons anti grêle

どうやら20世紀初めの絵葉書らしい。貴重な写真です!

今日でも、それを改良した装置があるのだそうです。上のリンクをご覧ください。こんなものにご興味を持つ方は殆どいらっしゃらないと思いますが、私は感激してしまいました!


◆今日のブドウ畑の雹対策は?

私が話しを聞いた農家の人の地域では、もう鉄砲や飛行機で大気を蹴散らすようなことはしていないと言います。

「それでは、どうするの?」、と私。

「今は、そういう装置の代わりに保険がある♪」

雹や霜で被害を受けたら、保険がカバーしてくれるのだそうです。本当に雲を追い払ってくれるかどうか分らない装置にお金をかけるより、保険金を払った方が良い、というわけなのでしょうね。

なるほど・・・! と感心してしまった私でした!

ブログ内の関連記事:
ブログ内のアルコール飲料関係の目次一覧

外部リンク:
☆ Wikipédia: Canon anti-grêle


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へにほんブログ村にほんブログ村 トラコミュ フランスのお酒 (ワインなど)へ
フランスのお酒 (ワインなど)



2007/09/07
ブドウの収穫で決定的に大事なのは、収穫のときに雨が降らないことです。雨が降っていたら、どうしてもブドウは水っぽくなってしまいますから。

ブルゴーニュでは9月のブドウ収穫のシーズンが美しい季節だと言われます。そう言っても、雨が降るときもあるし、寒いときもある。一概に9月が美しいとは言えないのではないか、などとヘソ曲がりな私は思っていました。

でも、今年は違う。こんなに雨が多くて寒い日が続いていたのに、ブドウ収穫のときになったら、お天気はかなり良くなりました。美しい秋晴れの日もあります。ブドウの収穫が始まってから、雨は全く降っていなかったのではないかな?・・・

確かに、ブドウ収穫のときのブルゴーニュは美しい季節だ、と結論したくなりました。




お昼の約束の場所に行く途中、少し時間の余裕があったので、ブルゴーニュ・ワインの中でも最高のワインが生産される地域のブドウの収穫を見ることにしました。

ジュブレ・シャンベルタンの町のあたりを通ると、この日、収穫のまっさかりのように、あちこちの畑で収穫している人たちがいます。


◆シャルム・シャンベルタンの収穫

道路でブドウの積み込みをしている車があったので、近づいて話しかけてみると、「シャルム・シャンベルタン」という銘柄の特級ランクのワインができる畑でした。



シャルム・シャンベルタンのワインとなるブドウの収穫

「今年のできはどうですか?」

「Pas mal」と返事が返ってきました。

文字通り訳せば「悪くない」。悪くないのですから、「良い」という意味にとれば良いのでしょうが、「素晴らしいですよ~!」などと言わないところ、正直だな、などと感心してしまいました。

こういうことを聞くとき、日本人の顔をした人たちだけだったら、本当のところを話してくれるのかどうかは疑問です。

私たちは地元ナンバーの車。「どうですか?」と聞いてくれたのは、生粋のブルギニョン(ブルゴーニュ人のこと)の顔をした人。内輪話しを聞くにはこういう人に質問してもらうのが一番です!

一週間前には、かなり絶望的だったけれど、ブドウ収穫のときになったらお天気も好転して、これなら大丈夫だと安心したとのこと。なかなか良いブドウになっている。

そう一人が言うと、「これでも良いというのか?」なんてヤジを入れる人がいました。出来の悪いブドウの房をつまみだして捨てるのです。

どうやら、服装から見て(つまり作業着は着ていない)、経営者の様子。冗談なのか、ご機嫌が悪いのか、私には判断できませんでした。


ついでのことに、足を伸ばして、クロ・ヴジョー、それからロマネ・コンティの畑を見に行くことにしました。ありふれた観光コースですが!

  ← DRCの建物

ここから緩やかな坂を上がって畑に到着してみると、もう収穫は終わってしまった様子でした。残念・・・。

捨てたブドウが地面にあるわけでもなく、きれいに片付いていました。


◆ラ・グランド・リュの収穫風景

ロマネ・コンティのお隣さんの畑は、収穫の真っ最中でした。



こちらは、こういうワインができます ↓

  ヴォーヌ・ロマネの綺羅星 グランクリュ ラ・グランド・リュ[2005]

ここでも「今年のワインのできは?」と聞いてみると、さきほどと同じ言葉が返ってきました。

「パ・マル」

籠を背負った人が収穫したワインをここにあけて畑に戻っていった後、ここでブドウを受け取った人はポンポンとブドウを摘みだして捨てていました。



右手後ろに見えるのがロマネ・コンティの畑です

ここも超高級ワイン。失格として捨てられてしまったブドウを集めてワインを作ったら、かなり良いワインができてしまうのではないか、などとケチな私は思ってしまいました。

ついでに、地面に捨てられていたブドウをお見せしておきます。



素人の私には、何が原因で失格になったのか分かりません。

腐っているのかと聞いたら、未熟なのでダメなのだ、との返事でした。

この後、ブドウが醸造所に行ったら、さらに本格的にブドウの選別をするのだそうです。

う~ん、良いワインというのは、そういうところでも違いが出てくるのでしょうね。安いワインのためのブドウ収穫を見ると、こんなもったいないことはしていません。


◆7メートルの差!

このラ・グランド・リュという畑は、細い道路を挟んで隣り合わせています。

ラ・グランド・リュも高級ワインですが、ロマネ・コンティに比べたら、ずっとお安いです。これほど並んでいながら、そんなにワインの味に差があるのでしょうか?・・・

いつも気になっていたのです。この道路の幅って、どのくらいあるのだろう?・・・

一緒にいた人に、歩いて距離を計算してもらいました。ペタンクの名人なので、かなり正確に距離を測ることができるのです。

ロマネ・コンティの道路に一番近い株から、ラ・グランド・リュのブドウ畑の一番道路に近い株までの距離:

7メートルでした!

お値段を比較されたい方は、下のリンクでどうぞ♪


ロマネ・コンティ  VS  ラ・グランド・リュ




 アンリ・ジャイエのワイン造り



異常に雨が多くて寒かった今年の夏。こういう年のワインはどうなるのだろうと、妙に気になってしまっています。

ワイン農家に買い付けに行ったとき、もっと突っ込んで話を聞きました。そのときのことは別の日記でご紹介します。

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 トラコミュ フランス生活へ
フランス生活



2007/09/03
天気が良いので、シャンパンの買い付けにでかけました。
ブルゴーニュの隣にあるシャンパーニュ地方でシャンパンができます。



昨年見つけたシャンパン醸造農家で、値段は高くないのに、とてもおいしいのでお気に入りにしたシャンパンを作っています。この日は、パリに住む友達から「私のために3ダース買っておいて」という任務を果たす目的もありました。

有名ブランドではないのですが、素晴らしくおいしい。日本ではここで作ったピノ・ブランという品種100%で作ったシャンパンが珍しがられて、日本にある有名フレンチレストランの多くが、ここのシャンパンをおいているのだそうです。


◆ブドウの圧縮を見ていかないかと誘われた

ブティック兼事務所でシャンパンを選んでから外に出ると、ブドウの収穫が始まっている様子。建物の中を覗いてみると、きれいに掃除したところにカラの圧縮機がありました。

木で作った古い圧縮機です。

「ここに入れるのですか?」と、聞いてみました。

「お急ぎでないなら、あと15分もすると、収穫したブドウがトラックで到着して、圧縮機をいっぱいにする様子が見れますよ」

フランス人が15分というのは、どのくらいになるか分かりません。普通は、「ちょっと待って」というときには「5分」とか言いますから。

でも、待とう! と思いました。

私が住んでいるブルゴーニュはワインの産地で(もちろん発泡酒もつくっていますが)、シャンパンの醸造作業というのは見たことがなかったのです。

シャンパンのメッカ、ランスなどに行くと、大手メーカーがどこでも観光客が見学できるようにしているので(有料ですが!)、もう数社は見学しています。でも、作業している人など全く見えないので、物足りなかったのです。

この日の見学をご報告します。

でも、撮った写真は400枚余り。それを選別して残した写真が約200枚。このブログは仕事でしているわけではないので、気楽に、適当に、写真を選んで入れてしまいますのでお許しください!


◆収穫したブドウが到着!

「あと15分」と言われたら、30分くらい待つのかなと思っていたのに、すぐにトラックが到着しました。

突然、活気づいた作業室。みんながかいがいしく働きだしました。私は、お邪魔をしない場所でカメラを構える。

シャンパン用のブドウを収穫したものは、大きめの段ボール箱くらいのケースに入れられます。それが、次々と運ばれてきました。

重さを量ってから、ブドウを圧縮する巨大な桶にブドウを入れていきます。

16:00 ブドウ到着、作業開始


このときのブドウの品種は、シャンパンとしては希少価値のあるピノ・ブランでした。


◆ブドウの圧縮

16:30 圧縮開始


樽の周りに溝があって、そこにブドウの汁が集まってきます。
その汁をコップにとって飲ませていただきました。



おいしいです。そのままジュースにしても飲める味。これがシャンパンになるのだ~、と嬉しい気分になります。

蓋の上から圧力をかけるのは水圧ポンプでした。じわじわと蓋が下に食い込んでいきます。

待つこと、しばし・・・。

圧縮が始まっても、作業する人たちは仕事があります。ブドウを入れていたケースを洗ったり、下でブドウの汁を受けるところをチェックしたり。

ここで働いている人たちは、本当に親切でした! 手があいている人が色々なところを案内してくれました。

ブドウの汁をためる地下室の水槽、シャンパン独特のボトルを寝かせる装置のある場所、外にあるもう一台の近代的なブドウ圧縮機。

質問するのを待ち構えてくれてしまっているので、無理に質問してみたりして・・・。もう、あちこちでシャンパンの製造方法の話しは聞いているので、改めて聞くことも余りなかったのですが・・・。

庭にあったへーゼルナッツの木に実が一つもないことが奇妙だ、などということも言ってしまいました。今年はリスがみんな食べてしまったのだという返事。

でも落ちている実が少しあって、それを拾って私にくれてしまいました。

本当に優しい人たちばかりが働いていました。そんな人たちだから、おいしいシャンパンができるのではないかと思ってしまいました。


◆3回か4回繰り返して行われる圧縮

あとでデジカメの画像に登録されていた時間をみたら、圧縮を始めてから40分くらいたったところでした。そこで、蓋をあける作業が始まりました。

ブドウ汁は流れ出ていたのに、蓋をあけてみたら、全然ブドウがつぶれていません。

もったいない! ・・・と思ったら、これで作業が終わりではなかったのでした。

ブドウをかきまぜて、また蓋を閉めて圧縮を始める作業となりました。

そのとき、樽の上部の木枠を取り外しました。

16:55 蓋をあけてブドウを攪拌。 17:15 二次圧縮開始


このブドウ圧縮機は10個のパーツに分解できるようになっていたのでした。圧縮が終わったときに全部はずせば洗いやすいですよね。よくできている・・・。

このあと、圧縮の状態によって、もう一回か二回、かき回して圧縮するという作業を繰り返すのだそうです。圧縮作業の全行程が終わるには3時間か3時間半かかるそうです。

近代的な装置の方はもっと簡単に圧縮作業ができます。途中でかき混ぜる必要もなく、終わると下の蓋をあけて搾りカスを取り出せるのです。


◆いつまでも、楽しいおしゃべりしていたいけれど・・・

最後まで見届けたら帰るのが遅くなってしまいます。

もう、おいとましよう、と思ったのですが、おしゃべりは続く。

今年はブドウの収穫量が少ないので、作業している人たちは暇なのだったのでした!

いつもの年だと、ブドウがどんどん運び込まれてくるので、それに追い立てられて休む暇もないのに、今年はすぐ圧縮機に入れられてしまう程度しかブドウが運ばれてこない。

良い年に見学させてもらったようです。忙しいときだったら、あんなに案内などしてくれる暇はなかったでしょうから!

みんなと一緒に、コップに並々とつがれた冷たいシャンパンをご馳走になって、ようやく帰路につきました。


◆なぜ今年のブドウ収穫は早く始まったのかの謎が解けた

ところで、この間から疑問に思っていたことへの解答をもらいました。

今年の夏は寒い異常気象だったのに、ブドウの収穫は例年より早く始まったのが不思議だったのです。
*AOCを持つ高級ワインには非常に厳しい規則があって、収穫を始めて良い日にちというのも、その年に発表されます。

雨ばかり降って寒かったこの夏に、例年よりブドウが早く育ったはずはない。それなのに、早くから収穫して良いということになったのはなぜか?・・・ 不思議でたまりませんでした。

ワインに関して公に発表されるニュースなどでは、本当のことが分からないものなのです。ワイン農家に行っておしゃべりしていると、内輪話しを教えてくれます。

今年の謎も解き明かしてくれました。

ブドウの収穫時期を決める専門家たちは、収穫を早く解禁した。なぜなら、遅らせるとブドウが腐ってしまう恐れがあると判定したから。それが理由だったようです。

この農家のブドウ畑では実は少ないものの健康に育ったのでほっとしたそうですが、農家によってはブドウの成熟度が足りないところもある。それで、収穫を始めて良いという時期になっても、まだ糖分が足りなかったりして困っているのだそうです。だからと言って、待っていてブドウが腐ったら最悪です。

2007年に収穫されたブドウで作ったワインやシャンパンは、畑によって当たり外れがあるのではないでしょうか?

もっとも、昔と違って、最近は醸造技術があがっているので、ワインのハズレ年などというのはなくなってしまっている感じがしています。

ともかく、2007年のワインがどうなるか、興味あるところです。来週には、親しいワイン農家に買い付けにいくので、同じ質問をぶつけてみようと思います。

 


見学したシャンパン農家のデータ:
ブドウ畑面積: 16ヘクタール
今年の収穫に携わる人数: ブドウ収穫者60人、圧縮作業者6~7人



追記:

伝統的な圧縮機で作業している動画が見つかったので入れておきます。


Des raisins sous pression

私が見学したのと同じように、オーブ県でシャンパンを作っているところだそうです。シャンパンの有名ブランドがある地域ではないブルゴーニュよりの産地。小規模の手作りシャンパンがある地域だけに伝統が残っているのでしょうか。

オーブ県で生産されるシャンパンについては、長々と記事を書いていました:
★ シリーズ記事: 百年前、なぜシャンパンの産地で暴動がおきたの? 2013年冬


ドメーヌについて追加(2015年):

私が家にストックをきらさないように買っているのは、「キュヴェ・ド・レゼルブ ブルット」です。

小規模生産だし、全く有名ではないところを発見したと喜んで、シャンパンを買い付けに行く先のお気に入りにしていたのですが、さすがに日本。ワイン雑誌で大きく紹介されたり、JALのファーストクラスラウンジで採用されたとか(情報)。そういうニュースは嬉しくないのですけど...。

生産量が極端に少ない「ロリジナル」は、フランスの3つ星レストランからも引っ張りだこになってきて、かなり値上がりしてしまいました。

それでもスタッフの人たちの気さくで気持ちの良い応対は全く変わりません。「そんな高い値段になってしまったシャンパンは買えない」と言ったら、申し訳ないと言って、たっぷり試飲させてくださいました♪ 今までと変わりないかどうかを確かめるだけなのだから、「試飲」というのではないでしょうね。ここに行くと、友人の家に遊びに行ったときのようにシャンパンを振る舞ってくれます。


ピエール・ジェルヴェのシャンパンを楽天市場で検索




ブログ内リンク:
★ 目次: シャンパンとスパークリングワインに関する記事
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 グルメブログ フランス料理(グルメ)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 トラコミュ シャンパーニュ(シャンパン)へ
シャンパーニュ(シャンパン)