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2012/05/30

シリーズ記事 【ピカルディー北部の旅行記】 目次へ
その4 ヴァロワール修道院 (4)


前回の日記で書いた修道院にある教会を見学したとき、奥の方に行ったら目に飛び込んできたものがありました。



黄色い矢印で示した部分です。
空に描かれた天井の青空に、変なものが付いていたのです。



これが気になるのは私だけではないらしい。ガイドさんが「何に見えますか?」と見学客に聞いてきました。

アップにしてみますね。




フランスでこれを見ると、モリーユ(アミガサ茸)という野生のキノコにしか見えないのです。このときの観光客たちも、口々にモリーユだと思うと答えていました。

少し前にも、トルコのカッパドキアに行ったときにも、モリーユに見える岩のお話しを書いていました。
カッパドキアの奇妙な形の石を何に例える? 2012/03/03 

市販されているモリーユ茸は右のように小さいのですが、巨大タイプも存在するのです。

大きなモリーユ茸をいただいたときの日記:
サン・ジョルジュ茸
春を告げるキノコたち 2009/04/22

実は、これが何であるか、なぜ付いているのかは分かっていないのだ、とガイドさんは言っていました。

この辺りの森でたくさん採れるクルミの実だという人もいるとのこと。クルミには見えないですけど...。

タイトルに「クイズ」などと書いてしまいましたが、お答えをくださっても正しいかどうかというお返事はできませんのでご了解ください。

逆に、こういうものを祭壇の上につけておくと何かの役にたつとか、似たようなものを何処かでご覧になった、というようなことを教えてくださる方があるかも知れないと思ってクイズにしてみました。

ところで、モリーユというキノコは、こんな風に窪んだ部分があります。そこに砂や土が入り込んでいると、食べる前によく洗わなければならないので面倒なのです。

ひょっとして、その窪みに糸かレースのようなものをつけて、下まで天蓋のように下げたのではないかな... などと私は勝手に想像してみたのですが、それも変ですよね...。

― 旅行記の続きへ ―


内部リンク:
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2012/05/29

シリーズ記事 【ピカルディー北部の旅行記】 目次へ
その3 ヴァロワール修道院 (3)


ヴァロワール修道院があるのはピカルディー地方。パリに近いあたりにはよく行くのですが、ベルギー国境に接するノール・パ・ド・カレ地方に近い地域を観光するのは今回が初めてだったかもしれません。

この辺りは石が採掘できないらしい。赤いレンガでつくった家並みが続き、どうにも美しくありません。レンガを白く塗っているとマシ、という感じ。可哀そうな地方だな... と眺めました。そして、そんなところにあるヴァロワール修道院は美しくはないのではないか、という不安がつのってくる...。

修道院に近づいてくると、変哲のない森ばかりの中を車が走りました。こんなところまで見学に来る人は少ないだろうと思っていたのですが、到着してみると観光客の車がいっぱい来ているので驚きました。

見るべきものがあるのだろうか?
入口には、教会と庭の見学料金が掲示されていました。

泊まるために来たヴァロワール修道院なのですが、せっかくなので見学してみようという気になりました。もう夕方になってきていたので、教会部分の見学に申し込みました。ガイド付きでないと入れないそうなので、その日最後の見学に参加。

余りに見事な教会なので驚きました。見学するためだけでも来る価値があった!

もともとは12世紀に建てられたシトー会修道院なのですが、17世紀になってから再建されることになり、現在ある建物はほぼ18世紀につくられています。この時代に建てられた教会は他にもフランスで見てはいるのですが、こんなに見事なのに出会ったことはなかったように思います。

そもそも、フランスの教会は革命でかなり破壊されています。それから、国の方針で、教会の中にある芸術作品は博物館に移されている。ところが、この修道院の教会は当時そのままの姿で残っていたのでした。

教会は美しい絵画や彫刻で埋まっていました。

イタリアなどでは、教会に入ると、びっくりするような見事な絵画があるのは珍しくないのですが、フランスで出会うことは稀なのです。



教会部分の入口にはドアに鍵がかけられているのですが、翌朝にはドアが開いていました。教会の中の空気を入れ替えるためでしょう。入ってみました。廊下を掃除している人たちの目に止まってしまったのですが、咎められることもなく見学できました。

やはり、見学客がゴチャゴチャいない状態で思う存分見れるのは嬉しい。修道院ホテルに泊まった特権です♪


サクリスティー聖具室

見学はサクリスティーから始まりました。聖職者の祭服やミサに必要な聖具などを入れておく部屋。立派なところもあるのですが、ここのは美しい絵画で壁面がおおわれているので、お見事...。


Sacristie

中でも、入口のドアの上にある絵画に目が引かれました。



描いたのはフランソワ・ブーシェ(François Boucher)なのだそうです。砂漠にいるヒエロニムスが題材。ブーシェは宗教的なテーマを余り描いていないので、この作品は貴重でしょうね。
 
ここで驚いてはいけない。教会はもっとスゴイのでした!


修道院内教会

サクリスティーの壁を覆っている木の彫刻に感心したのですが、教会内部はもっと見事でした。

こじんまりとした教会。シトー派時代の修道院にあった教会よりはかなり小さくなっているのですが、18世紀には僧侶が20人程度と少なくなっているのでこの大きさで十分だったのだそう。

僧侶たちは貴族出身なので、富を持ってきて教会を築いたはず。豪華そのものでした...。

教会の中は、大きく2つに分かれています。

立派な祭壇があって、その後ろは僧侶たちが座る席。



この祭壇に立った人に見えるのは一般の人々が座る席で、聖職者席と世俗の人たちの席の間には立派な鉄柵があります。

ここまで立派な仕切りを作る必要があったのかと思ってしまう鉄柵。


Grille

こちらが表で、裏はこちらというのがなく、両面が正面のようになった鉄細工です。ナンシー(Nancy)のスタニスラス広場にある立派な鉄柵を思わせるものでした。

この鉄工芸はJean Baptiste Veyren(Vivarais)の作品。同じ県内にあるアミアンの、世界遺産に登録されているノートルダム大聖堂の鉄柵(画像はこちら)も作った人でした。

パイプオルガンも実にお見事!


Buffet d'orgue

フランスの有名なオルガにストであるマリー=クレール・アランがよく演奏するらしいので、音色も素晴らしいのでしょうね。この教会ではよくコンサートが行われるそうですが、それにぶつからなかったのが残念...。



この教会はバロック様式と呼ぶのでしょうが、私がイメージするバロックとは異なっていました。全くオドロオドロしくはなくて、なんとも優雅...。ロココ調と言った方が相応しいでしょう?

天使の像があちこちにあったのですが、それが美しい。

下は聖職者席です。


Stalles

木の彫刻に見とれました。
内装を担当したのはオーストリアの建築家Simon Pfaff de Pfaffenhoffenだそう。


Boiserie

聖職者席の奥に、もう一つ祭壇があるのですが、そこに少し奇妙なものがありました。

― 続く ―


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情報リンク:
☆ サルヴァスタイル美術館: フランソワ・ブーシェ
Buffet d'orgue, abbaye de Valloires (1-2)
Liste des orgues français classés au titre des monuments historiques


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2012/05/28

シリーズ記事 【ピカルディー北部の旅行記】 目次へ
その2 ヴァロワール修道院 (2)


前回の日記「期待以上だったヴァロワール修道院」で書いたように、ヴァロワール修道院の中にあるホテルに宿泊しました。

フランスで修道院の建物に泊まったのは初めてだったように思います。

宗教施設である修道院に泊まるというのはフランスにも幾つもあるようですが、普通のホテルとして改造されたところに気楽に泊まれるのは例が少ないように感じます。お城のホテルやB&Bというのは数えきれないほどあるので、よく利用するのですが。


修道院ホテルの客室

部屋のランクとしては2種類ありました。

回廊側の部屋、それより少し料金が高い庭園側のスイートルーム。
せっかくなので、庭園側の部屋を予約しました。



去年の秋から今年にかけて、イタリアとスペインで修道院を改造したホテルに泊まっていたのですが(例えば、こちら: アルマグロのパラドール)、かなり趣が異なるところでした。

このヴァロワール修道院は18世紀の建物なので、かなり快適性ができていて、質実な修道院の僧侶の部屋というより、古城の部屋という感じなのです。暖炉もあるし、大きな窓からは光が差し込むので明るい。

写真で見ると立派そうに見えるかも知れませんが、実は、入ったときには、よよ~!っとする質素さでした。でも、それは想像していたので気になりません。



質素な内装なのですけれど、アンチーク風の家具が置いてあるので雰囲気があるし、部屋は広いので満足。

少し前に泊まったアルハンブラ宮殿の中にある、近代的な内装にしてしまったホテルより、遥かに気に入りました。

そのときの日記:
アルハンブラ宮殿のパラドールに泊まるのがハイライトだったのに... 2012/04/08

この部屋が気に入った理由の一つは、窓からの眺め♪

このヴァロワール修道院は庭園の美しさでも知られていて、見学には入場料が必要なのですが、自分の部屋から堪能できてしまいまうのでした。



夜は限りなく静かなので熟睡することができました。


ダイニングルーム

朝食をとる部屋は、昔の僧侶たちが使っていた食堂でした。

こちらも、壁はboiserieと呼ぶ装飾がほどこされた板張りなので、お城の部屋の雰囲気でした。

 
Réfectoire

この写真は前日の夕方に撮影したので、イスは片づけられていました。

この奥が調理場で、朝食のときには、右奥のところにあるテーブルに食べ物が並んでいるのを自分でとるというシステムでした。

テーブルクロスはビニールだし、食べ物の並べ方も少し味気ない。内装はお城風なのですが、朝食をとっているときは学校の給食を食べる食堂の雰囲気だな... と、ちょっと笑いたくもなってしまいました。

この部屋と廊下を挟んで、もうひと部屋あります。

 
Salle capitulaire

この2部屋を使うと、かなり広いレセプションルームになりますね。結婚披露宴なども十分にできてしまう。そういうときはきれいにテーブルセッティングするので、なかなか良い会場になるだろうと思いました。

次は、このヴァロワール修道院の見学ハイライトである教会について書きます。

― 続く ―


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2012/05/27

シリーズ記事 【ピカルディー北部の旅行記】 目次へ
その1 ヴァロワール修道院 (1)



最近、イタリアやスペインで修道院がホテルになったところに泊まったので、フランスで泊まってみたくなりました。それで見つけたのが、ピカルディー地方にあるヴァロワール修道院Abbaye de Valloires)というところ。

もともとは、質素な生活をしながら厳しい戒律を守るシトー会の修道院だったのですが、宗教戦争などで荒廃しました。17世紀になってから再建をすることになり、本格的に工事が始まったのは18世紀になってから。

従って、現在ある建物はシトー会とは無縁の、18世紀の修道院の姿です。シトー会修道院だった当時の建物の部分を見せてもらいましたが、石壁だけなので何もしのげませんでした。シトー会の修道院というのは、装飾などいっさいない姿なので、説明されなくても見分けがつくのですが。

でも、残っている教会の部分は見事! こんなに保存状態が良い18世紀のフランスの教会を見たのは初めのように思いました。

フランス革命で破壊される運命にあったはずですが、運よく難を逃れました。第一次世界大戦ではベルギーの軍事病院に使われたりしましたが、1922年に結核予防サナトリウムとなります。この年に非営利協会(NPO)が創設され、現在に至るまでヴァロワール修道院を所有して運営しています。


変わったホテル...

ホテルなのですけれど、少し、というか、かなり、変わっています。インターネットで情報を検索したら、「午後6時を過ぎて到着すると、部屋の鍵を手に入れるのに苦労するので注意!」とありました。

ホテルのレセプションなど、ないのでした! 修道院見学のための受付けで鍵をもらいます。この見学チケットを売るブティックが閉まったら、係りの人は誰もいなくなってしまう、というわけです。

でも、感激♪

夕方になると正門は閉まりますので、宿泊客は自由に出入りできる裏口を教えてもらい、修道院のドアを開ける鍵ももらうのです。

こちらがホテルの部分の入り口。



ホテル用の部屋は20室あるそうですが、私が行ったときには宿泊客はほとんど見かけませんでした。

夜は、近くにある素晴らしく美味しい料理を堪能したレストランから戻って修道院の鍵を開けるときは、まるで修道院に住んでいるような気分になりました。


NPOが修道院を維持している

ホテルを運営しているのは、1922年に創設された非営利協会(NPO)。フランスでは、1901年に協会法が作られ、民間が社会に貢献する活動を支援しています。

ホテルも経営していますが、他に社会福祉施設としても使われているのです。というか、そちらの方がメインに見えました。

この修道院は戦争の難を逃れたのも、福祉施設として使われていたからでした。第2次世界大戦中、他の城や修道院と同様に、フランスを占領したドイツ軍が住みつこうとしたのですが、当時の修道院は結核の子どもたちを収容する施設として使われていたのでした。

やって来たドイツ軍の兵士たちは、咳をしている子どもたちが大勢いるので病気がうつることを恐れて、さっさと引き上げてしまったのだそうです。追い出し作戦として、わざと大げさに咳をしたり、苦しんだりしてみせたのではないでしょうか?

ドイツ軍兵士たちは歴史的建造物などは気にせずに、建物の壁を覆っている見事な装飾が施された木の壁なども薪にしてしまっているのですが、この修道院が難を逃れることができたのは幸運でした。

現在の修道院は、幾つかの福祉施設として使われています。まず、非行をしたなどの理由で教育される目的で入っている子どもたちのための施設。少年感化院と呼びますか? それから、精神障害のある子どもたち。合計110人の子どもたちが修道院で暮らしているのだそう。

修道院は建物も庭園も広大なので、どこの部分に子どもたちがいるのかは把握できないのですが、ちらほらと見えました。

例えば、広い回廊を歩いていたら、子どもたちがはしゃいでいる声が聞こえていました。



さらに、好きな時だけ入れる老人ホームもあります。
修道院とは離れたところにある建物でした。



昔は納屋だった建物を改造したようです。お年寄りには、やたらに天井が高くて暖房しきれない修道院の中にいるより、こちらのアットホームな建物のようんが快適性が高いのだろうと思います。

修道院の庭園は広大で、限りなく静か。日本では、相当なお金持ちだって入れない環境の老人ホームですよね...。こういう所の入居費というのは、別に高いわけではないのです。むしろ、医療完備の近代的施設よりは、ずっと安いはず。

以前に書いた城の老人ホーム:
フランスのお城の使い道 2006/08/23

フランスでは、普通の人が住むには広すぎる城などは福祉施設として使われている例が非常に多くあります。歴史的建造物が好きな私なのですが、自分で買うような財産は私にはない。障害者か、自律できない高齢者になると、そういうところに住めるんだ... と羨ましくなることが度々あります!

NPOの紹介を始めてしまったので、最後まで書くと、その他にも、在宅医療やヘルパーの派遣もしているのだそう。そして、もちろん、修道院の修復維持の仕事もあります。

ところで、維持するのは膨大な費用がかかると思われる修道院。福祉事業をやっていただけでは賄いきれません。それで、ホテルを経営したり、結婚式+披露宴や、会社などのセミナーをする場所としても場所を提供していました。利用料は高くないせいもあって人気があるらしく、9月までは週末は予約で埋まっているとのことでした。

その他、コンサートなどのイベントも催しています。 なかなか活発なNPOのようです。福祉活動には人数が必要なせいもあるのでしょうが、従業員は220人もいるのだそう。

非営利目的組織が維持しているのですから、建物の修復費用には事欠いているのが見えるのですが、それだけに歴史を感じさせて良い施設でした。

ともかく広大すぎて、ヴァロワール修道院の全体像を写真でお見せすることができません。動画があったので入れておきます。



長い動画ですが、建物の一部しか映してくれていないですね...。私は教会の裏の方にある果樹園のあたりまでも歩き回ってしまいましたが。

メモ:
・ホテル部分の外壁に沿って生えている木は、樹齢250年の梨の木。
・回廊の壁にある青いシミは、ベルギー軍事病院だったときに蚊をよけるために塗った塗料の跡。



次回はホテルの部屋をご紹介し、残されている教会が素晴らしいというお話をその次に書くつもりです。
― 続く ―


内部リンク:
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情報リンク(仏語):
☆ ヴァロワール修道院オフィシャルサイト:
Bienvenue à l'Abbaye de Valloires
Abbaye de Valloires à Argoules Somme
L'abbaye de Valloire (France) : un ancien hôpital militaire belge


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2012/05/26
2012年5月末、ピカルディー地方の北部を旅行しました。

ピカルディーには行きやすいので、何度も旅行しているのですが、海に近いところを観光したのは初めてのような気がします。

旅の最後は南下して、パリに近いシャンティイ市に行きました。

その旅行記の目次です。


[続きを読む  Lire la suite...]


2012/05/18

シリーズ記事 【フランス新大統領の誕生】 目次へ
その4


前回の日記「フランス人がどう挨拶するかを観察できた大統領就任式」に書いたように、新しいフランス大統領の就任式典があった日には、その報道をテレビでずっと見てしまいました。

オランド氏は演説を3カ所でしたのですが、言うことが全部、サルコジ前大統領がやっていたことの逆♪

確かに、オランド氏の立候補スローガンはこうだった:
Le changement, c'est maintenant(変化は、今)

階層や人種の差別をしないし、自分に投票をしなかった人たちも含めて、全てのフランス国民のための政治をする。自分の仲間うちだけが権力を握ることもしない、など等...。

当然なことだと思うのですよね。今のフランスが置かれている厳しい経済不況では、市民戦争がおこるのではないかというようなことして分裂させるより、国民すべてが団結して立ち向かおうと呼びかけるのは。

思えば、色々と反発があった大統領の後は楽かもしれない。サルコジ氏がして反発があったことと全て逆のことをすれば良いわけですから。例えば、サルコジ氏が大統領になったときには、まず彼の報酬を倍額にしたのですが、オランド氏は大統領と大臣の給与を3割カットしました。


オランド氏の最大の欠点

フランスのテレビやラジオでは、政治を風刺する番組がたくさんあります。物まねをしたり、政治家の言動を取り上げたりして、コテンパンに皮肉るのですが、優れたコメディアンは実にみごとにやります。

退陣したサルコジ氏は、ネタとして非常にやりやすかったのだそう。肩をヒクヒクさせたり、股が開いているみたいな形で歩し、特徴のあるしゃべり方をする。それに、1週間に1回は何かしらヘマをやるので、それがお笑いのネタになる。

サルコジ大統領は就任してからすぐにマスコミ統制を始めたので、痛烈な大統領批判は骨抜きにされたかに見えたのですが、インターネットでは場面を撮られた動画が駆け巡ってしまうので抑えようがない。それに、余りにもヘマをやりすぎる。側近から自粛するように言われたらしくて、サルコジ氏は少し控え目になりました。

それでもスキャンダルは絶えない。それに、マスコミも逃げ口を見出したのか、次第にもとのように痛烈なことを言うコメディアンが登場するようになり、政治風刺が面白くなってきていました。

新大統領となったオランド氏の風刺は、意志薄弱で、温厚すぎて、頼りない人というイメージ。

人気がある人形劇に登場しているオランド氏は、こんな感じ。



彼の頼りなさを表す形容詞としてmou / molle がよく使われるのですが、これは同じ政党である社会党の第一書記マルティーヌ・オブリーが言いだしっぺらしい。

大統領に当選するのも大変ですが、その前に党内でトップになるのが最も難しいのですよね。その点、ドスのきいたサルコジ氏は、相手を蹴落とす才能は素晴らしかった。

というわけで、オランド氏が党内で大統領候補となることに選ばれてからは、主張がしっかりした強い人であると見えるように、かなり気をつかっていたように見えました。

そもそも、フランスでは「お人よし」は軽蔑されてしまう傾向にあるのです。「親切な」とか「善良な」と訳せる gentil / genntille は、バカにする言葉としても使われるのです。

日本では事情が違うので、日本になじんだフランス人は日本人風の穏やかさを身に着けるのですが、これはタタミゼした(畳から来ている)と皮肉られます。日本人と付き合うためには必要な変化だと思うのですけれど、フランス人から見るとフランス人らしくなくなったと見える。

タタミゼについて書いた過去の日記:
異文化を感じるとき 2008/10/10

タタミゼは日本に住んだフランス人にしか言わないと思います。日本を知らないフランス人には、タタミゼがどんなものであるか想像できないでしょうから。

私も、フランス人に慣れてきたら、穏やかで自己主張をしないフランス人は気持ち悪く感じるようになりました。オランド氏も、タタミゼしているか(日本とは関係ないので使えませんが)、マシュマロみたいだと感じました。

比喩としては、マシュマロは登場しなかったみたい。ぼってりとしたヨーグルトのような食品が持ち出されていましたが、私は食べたことがないので想像できません。

そんなオランド氏なのですが、大統領交代の行事の中で、彼もやっぱりフランス人なんだな... と思わせる場面があったので面白く思いました。

それをご紹介します。


サルコジへのしっぺ返し?

大統領の就任式では、旧大統領が大統領官邸であるエリゼ宮を新大統領に譲る、という儀式があります。こういう場合には、礼儀正しく行うプロトコールがあるのだそう。

それに従って、サルコジ大統領は玄関の階段を下りて新大統領を出迎えました。大統領選挙で負けたオランド氏を礼儀正しく迎えたのは優等生。評価されます。



そのあと、新旧大統領は別室に行き、引き継ぎの業務をします。和気藹々とした2人の関係だと、エリゼ宮殿で買うことにした鴨(カモだったと思うけれど、記憶は不確か)をよろしく、などというのがありました。餌をあげるのを忘れないで、犬には注意して、などと言った、と語り継がれています。

引き継ぎの様子はこちらには見えません。オランド氏とサルコジ氏は予定時間をオーバー。

そして、オランド新大統領がサルコジ氏を見送る場面です:



これが、ちょっと変だった。

プロトコールに従うなら、オランド氏はサルコジ夫妻を車のところまで送っていくのだそう。ところが、「じゃあね」という感じで、オランド氏はさっさと部屋の中に入って行ってしまいました。夫人同士が抱擁する挨拶を終えてもいないのに。

歴代の大統領の、この場面をダイジェストにした動画があったので比較すると興味深かったのですが、その動画のリンクを失ってしまったので残念。サルコジ氏とオランド氏のこの場面は歴史に残るでしょうね...。

オランド氏も、プロトコールに従っておけば無難だったでしょうに、腹に据えかねていることがあって、自分の気持ちを曲げてうわべだけの行為をするのはやめたのだろうな、と思いました。

サルコジ氏の政党である国民運動連合(UMP)では、普通ならシラク大統領の後に大統領になるキャリアがあったド・ヴィルパン氏を、サルコジ氏は見事に抹殺しています。

ド・ヴィパン氏はサルコジ氏から吊し上げにしてやる、と言われたのだそう。正確な表現は忘れましたが、肉屋で解体される牛や豚が吊るされているという場面の表現でした。フランスにいると見慣れた光景なので写真を入れようかと思ったのですが、身持ち悪いと言われると思って差し控えます。本当にそうされるときがおきています。裁判にかけられて、ド・ヴィルパン氏は勝ったのですが、彼の政治的生命は断ち切られてしまったに見えます。

それでも、ド・ヴィルパン氏の恨みは強かったらしい。今回の選挙では、ただサルコジ氏への投票を少なくしたいという目的だけで、大統領に立候補したのですが、市町村長から最低500人の支持を集めないと候補者になれないというというのがネックになって、候補者にもなれませんでした。

サルコジ氏は卑劣なことをする人なので、対立候補になってからの攻撃は凄まじかったと思う。エリゼ宮での引き継ぎ業務でも、かなり辛辣なことをされたのではないかな?

私が勝手に想像してみると、次のようなことがあった?...
・引き継がなければいけないことを教えてくれなかった。
・お前みたいな優柔不断なヤツに大統領が務まるはずはない、と言われた。
・僕の妻カーラは美人でファーストレディーの品格があるが、お前の内縁の妻は最低だ、だと貶された。

サルコジ氏を見送るオランド氏には恨みがあるのだろうと感じる態度があったのですが、その後のパリ市庁舎での演説では、もっと如実に出ていました。

スピーチの中で、最近の大統領たちの名前をあげて、それぞれの功績をひと言で称えていったのですが、サルコジ氏に対しては、何も功績は挙げず、これからの新しい人生に祝福をおくっただけだったのです。ビチャ! っとやっつけた感じで痛快でした。

そんなのが大統領のスピーチとして記録に残るのは問題ではないかとも思ったのですが、そのくらい強くないとフランス人たちからは認められないのでしょうね...。

情報リンク:
☆ エリゼ宮サイト 動画: ELYSEE - YouTube
☆ 在日フランス大使館: フランス新政府発足


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2012/05/17

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その3


オランド新大統領の就任式の15日には、ほとんど1日中、テレビをつけていて報道番組を見てしまいました。

なかなか面白かったのです。

その1つは、エリゼ宮(大統領官邸)の就任式に集まった人たちにオランド氏が挨拶している場面。それが長々続いたので、フランス式挨拶の全てのタイプが見れました♪


フランスの挨拶の仕方は色々あるので、複雑!

抱き合ってする挨拶と、握手があります。「みなさん、こんにちわ」と全員に向かって言ってすませることができず、大勢が集まった席では一人ひとりに挨拶して回らなければなりません。

すでに挨拶していたのに2度挨拶するのは失礼にあたるので、誰と挨拶したかを記憶しておかなければなりません。人がゴチャゴチャいたり、みんなが動き回っている状況だと、誰と挨拶したかを懸命に覚えます。

でも、エリゼ宮殿での大統領就任式では、集まった人たちが並んでいるところを大統領が挨拶しながら歩いて行ったので、すでに挨拶したかどうかの心配はなかったので楽だな... と思いました。

フランス人の挨拶の基本は、次のようになっています。

1) 親しくない関係の場合は握手する。でも、初対面でもキスの挨拶をする人もいる。都会の若者はキスを好む。

2) 男性同士は握手をするのが普通。でも、たまには男性同士でも抱き合って挨拶する人たちもいる。

3) 男性と女性の場合、親しければキスの挨拶をする。でも、握手にするかどうかを選べる権利は女性にある。

4) 抱き合っての挨拶は、頬を寄せるだけの人もいるし、そうしながらキスをしたかのような「チュー」という音を口で出す人もいる。本当にチューをする人もいる。

5) 抱き合って挨拶するときに何回キスをするかは、1回、2回、3回、4回の種類がある。これは、地域の習慣による差と、好き好きがある。回数が違う人の場合には、数が多い人に従うことが多い。

フランスでは、挨拶の仕方でどういう関係にあるのかの差別ができてしまうので、そういう社会は厳しいな、と思ってしまいます。例えば、子どもが学校に行ったとき。友達がたくさんいる子は、たくさんのクラスメートと挨拶をすることになりますが、友達がいない子はそれを見て孤独になるのでは?...

誰と握手をし、誰とキスの挨拶をするかというのは、私がいつも戸惑うことです。久しぶりに会った人が、いつも抱き合って挨拶していた間柄だったのを忘れて握手してしまうと、何か原因があって気分を害しているのだと思われてしまう。

オランド氏は気楽にキスの挨拶をする人らしい。ほんとう。男性とも抱き合っての挨拶がたくさんありました。

大統領就任の日の長い動画を入れておきます。後半のところに進ませると、祝典列席者と大統領の挨拶場面の部分が出てきます。




抱き合う場合、どちらの頬を先に出すか?

これを観察しました。私はどうも逆から頬を出してしまっているらしい、と感じているからです。

相手が予期していなかった頬を突き出すと、相手は慌てて方向転換してくる。それを自分も同時にやってしまうと、真ん中でぶつかってしまう。キスの挨拶って、けっこう難しいのです!

テレビで大統領の挨拶風景を見るのは、とても良い学習になりました。私はその場にいないので、じっくりと皆がしているところを観察できたのです。

2回のキスで、右の頬同士を合わせるのから始めるのが圧倒的に多いようですね。ということは、相手の右頬に向かって、自分の顔を突き出せば良いということになる。なるほど...。

そういえば、キリスト教には「右の頬を打たれたら左の頬を向けよ」というのがあった!


キスの挨拶を拒むには?

挨拶が延々と続く中で、奇妙に見えた女性がいました。オランド氏の腕をつかんで離さないのです。

その場面が動画にあったので、じっくり観察してみたら、私が思った理由とは全く逆だった!



わたしとキスの挨拶をしてよ、という動作なのだと私は思ったのですが、一番始めに、女性がオランド氏とのキスの挨拶を拒んでいたのでした。「私は口紅をいっぱいつけているから」と言っているのが聞こえます。

フランス人の友人の中で、一人だけ、「キスの挨拶は絶対にしない」と言う女性がいました。相手が近づいてきたときに手を差し出してしまえば、相手は握手の挨拶をせざるをえなくなるので簡単、とのこと。

そういうことをすると、余り好かれないと思う。子どもの躾では、大人に会ったらキスの挨拶をさせるというのがあります。まともにベチャーとキスをしてくるので、後で顔をハンカチで顔を拭きたくなることもありますが、可愛い。人見知りする子が知らない大人にキスをするのはにかんでいたりすると、ママが怖い顔で強要することもあります。

動画に出ている女性も、キスの挨拶が嫌いな人だったのかもしれない。でも、やはりしようかと思ってオランド氏の袖をつかんでいたのかな?...

YouTubeの書き込みを見ると、女性はニコル・ブリック。新内閣では環境・持続可能開発・エネルギー大臣になっています。つまり、二人は仲が悪い間柄ではなかったと受け取るのが自然なのでしょうね...。

あるいは、大臣にはしてくれないという噂を聞いていて、このときは冷たく当たったのか?... 新内閣発表後の報道によると、大臣のポスト1つに200~300人がそれをもらうのを期待していたとか。

キスを拒まれたとしても、2人が握手もしなかったのは奇妙な場面でした...。


オランド大統領はメルケル首相と握手をした

サルコジ大統領は、就任にして間もないころに民衆に挨拶していたら、握手を拒んだ人に捨て台詞をはき、その「Casse-toi, pauvre con」というフレーズは流行語になっています。

そのことを書いた日記:
フランスで好感を与える政治家とは? 2009/02/20

日本好きと言われるシラク大統領は、パリ市長時代の汚職問題がありましたが憎めないキャラクターになっています。実際に見たときには、大柄で圧迫感があるし、テレビで見るときのようにニコニコ顔ではないので、どの程度愛想が良いのかは分かりませんでしたが。

オランド氏は国民から嫌われない大統領になろうと意識してか、新大統領を見ようと道端に集まっている人たちにも愛嬌を振りまいていました。サインを求める人がいればしてあげてしまうし、キスの挨拶も惜しみなくしていました。

護衛の人たちには、やりにくい大統領だろうな...。サルコジ大統領のときには、近づくのは同志たちばかりで固めていたのに、オランド氏はトコトコと自分から民衆に近づいていってしまうのですから。テロリストから狙われたらどうするの?

就任式の日には大雨も降って、オランド大統領はびしょ濡れ姿になったりもしていましたが(3回は洋服を着替えたはず)、儀式は事なく済んで、夜にはメルケル首相と会談するためにドイツに向かいました。

ところが、飛び立ったばかりのところで大統領の飛行機は雷にあって、別の飛行機に乗り換えたのだそう。テロリストより危険が高いのは自然の力ですか...。

メルケル首相との会談は友好的に進んだもよう。首相は、雷に打たれるのは良い前兆だ、とも言ったらしい。キリスト教にそういうのがあるのだそう。

ところで、翌日には、独仏代表の二人が並んだときに、握手の挨拶をしているのが取り上げられました。サルコジ大統領のときは、男女なのでキスの挨拶をする姿だったからです。

しっかりと、フランス人記者は「なぜキスの挨拶をしなかったのか?」とメルケルさんに聞いています。「初対面だから握手にした」と答えています。そういうのがニュースになるのも、フランスだからなのでしょうね...。

ブログ内リンク(挨拶について書いた日記):
フランス式の挨拶がしにくい帽子 2009/02/08
たんなる偶然?...  2012/03/25
カフェのご主人から「ボクの愛しい人」と呼ばれてしまったのには理由がある 2006/08/14
フランス人って... : ドルメンの上で演じられた寸劇 2009/09/17
日本の衛生観念では、フランスでは生きられない? 2009/03/09


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2012/05/12

シリーズ記事 【フランス新大統領の誕生】 目次へ
その2


日本語のニュース・サイトでフランス関連記事を眺めていたら、事実婚のフランス大統領は史上初めという記事が多いのが目につきました。

新大統領となったフランソワ・オランド氏(François Hollande)は、一緒に暮らしているバレリー・トリルベレール(Valérie Trierweiler)と法的には結婚していないのです。

目にした記事は、例えば...
大統領夫人の役目、大丈夫?=事実婚のバレリーさん-仏
恋愛大国フランスの新大統領 - 田村 耕太郎
<仏大統領>初の「事実婚」夫人 政治記者「続ける」
フランス次期大統領「夫人」 事実婚批判を一蹴

オランド 事実婚」をキーワードにして検索したみたら、何ページにも渡って、おびただしい数がヒットして来たのでびっくりしました!
Google検索で「オランド 事実婚」をキーワードにして検索

フランス語サイトではどうなのかと検索してみたら、初めの数個にある記事が関係している程度なのでした。
仏語Google検索で「Hollande "union libre"」をキーワードにして検索

別のキーワードでも検索してみたのですが、日本のようにずばり取り扱っているのが余り出てこない。

どうして日本では、そんなに、結婚していない女性がファーストレディーになることを気にするのだろう? ちょっと異常ではないですか?...

フランスでは事実婚が法的な結婚に劣るものではないと肯定的に紹介している記事もあるのですが、ともかく正式に結婚していない大統領ということが特異なことと受け取られているらしい。

フランスの報道にあるオランド氏の私生活批判では、パートナーは頭脳明晰な女性ではあるけれど、余り好感を持てない人物だというあたりに焦点がいっている感じがします。


日本は後進国?

「オランド氏が事実婚だということが日本では大きく報道されているみたい」とフランス人に話したら、「日本は遅れているんだね」と言われてしまいました。

「遅れている」という言い方は嬉しくないのだけれど、「親の面倒を見るのが大変で、悲劇的状況になっている友達が何人もいる」と話すときも、そういう言われ方をされるのです。

つまり、フランスも、昔は日本と同じだったけれど、時代は変わった、ということなのだけれど...。

フランス人にとっての日本のイメージは、ハイテク技術、大都会、ファッションの先端をいっているなどなので、それと同時に昔の因習が根強く残っているというのは理解できないらしい。

友人は続けて、日本人がオランド氏が結婚していないことを取り上げるのは、オランド氏の欠点を探したいからではないか、と言いました。

でも、サルコジだって、さすがに、それを取り上げなかったよ。大臣の中にも事実婚カップルがいるし、選挙人たちにも事実婚が多いのだから、それを言ったら顰蹙をかってしまうのが分かってから。第一、そんなことを言うなら、サルコジは離婚経験者だと責められる。オランドは離婚経験ゼロ。だって、結婚したことがないのだから!

そう言って笑っていました。

そもそも、フランスの法律では、大統領夫人には何の権限もない存在なのだから、どうでも良いのだそう。

思い出せば、サルコジ氏が大統領になったとき、当時の奥さんに、国がお金を支払うクレジットカードを持たせてしまったことがスキャンダルになっていたっけ(すぐにカードは取り上げられた)。

ところで、フランスは同性の結婚を認めていないのが「遅れている」として、オランド氏はそれを認める法律を作ると公約していました。検索をかけたとき、「オランド 結婚」をキーワードにしたら、その関連記事ばかりがヒットしてきていました。


事実婚とは何か?

結婚していない男女が一緒に住んでいるケースのことを、最近の日本語では「事実婚」という言葉が定着しているようですね。

フランスのカップルのあり方には、法的な結婚(mariage)、民事連帯契約(PACS)、自由結婚(union libre)の3種類あります。

「事実婚」というのは、法的に結婚していない男女カップル全てを総称できるということかな?...

Wikipediaにある「事実婚」の記述を見たら、「内縁」関係より上のランクで用いられることが多いらしい。

フランス語で内縁関係は「concubinage」なので、それをWikipediaで検索して、そこからリンクされている日本語ページを開いてみたら、なんと「側室」が出てきたので仰天しました! それ以外のフランス語や日本語からWikipediaの言語を行き来してみようとしたら、リンクがないのが多い。日本とフランスでは、この分野の共通概念が定着していないのだろうか?...

オランド氏に関する記事の中では、フランスの事実婚とは何かを説明しているものもありました。でも、事実婚は「婚姻届を出さない、一種のお試し婚」などというのがあったので、これにも驚きました。法的に結婚しなくても不利はないという理由もあるので、事実婚やPACSを選択して結婚届を出さないカップルも多いのですから、「お試し婚」などと言ったら怒られますよ...。


事実婚は外交上で問題がある?

日本の報道でも、オランド大統領が事実婚なのが問題になるのは、外国との関係だという言い方ですね。 そんなことを日本人が心配してあげる必要はないと思うのだけれど...。

サルコジ氏が奥さんに逃げられたときには、ただちに再婚相手を見つけだし、そっこく彼女にフランス国籍を獲得させていました(普通の人がフランス国籍を獲得するのは大変なのだけれど、こういうケースだと簡単にできる!)。

そうしておくのが無難で賢いのかもしれない。でもね、ローマ法王との問題を取り上げるなら、大統領夫人には、過去に同棲していた相手の息子との間にもうけた子どもがいる、などという方が罪は重いのでは?...

拾って読んだ日本の報道記事の中では、フランス大統領が事実婚なのが外交上で問題になる国として、日本があがっていないのが奇妙でした。

大統領のパートナーくらいの高い地位だと問題にならないでしょうけれど、普通レベルのフランス人だったら、結婚していないカップルは日本では白い目で見られると感じています。

知り合いの男性が日本で講演をするために招聘されたとき、彼のパートナーを自費で連れて行くと言うので、「面倒を避けるために、妻として彼女を日本人に紹介した方が良いよ。パスポートを見せて証明しろと言われるはずはないのだから」とアドバイスしてしまいました。

日本人にフランスの話しをしていたとき、フランスで生まれる子どもたちの半分くらいは両親が結婚していないカップルだと言ったら、可哀そうに~! と反応をされてしまったことがありました。非嫡出子でも何も不利なことはないのだ、と説明しても納得してくれない。

「可哀そう」などという目で見る方が差別だと思うけれど。でも、日本のシングルマザーは悲惨な状況に放置されるものなので、そう見てしまうのだろうな...。


自由を認める

フランスでも、法的な結婚を重視する人たちはいます。

カトリックでは同棲という存在を認めていないので、そういう価値観を維持している年配者もいます。たいていは、若い人の気持ちを尊重して諦めているように見えますが。それから、古い家系では因習があるらしい。やはり「世継ぎ」がいないといけない、長男は結婚しないと城主となれないなど...。

私が付き合っているフランス人たちの中では少ないのですが、「年頃になったら結婚しなければいけない」というプレッシャーで結婚した友人たちもいます。傍から見ていると幸せそうに見えなくて、すぐに結婚が破綻したケースばかり。

それでも、親族からのプレッシャーがありながらも離婚できるのは、フランスの良さだと思います。あるいは、1回結婚して離婚すると許されるのかな?...  日本の友達の中にも、人から「なぜ結婚しないのか」と言われると、「離婚したことがありますので」と答えることにしている美人がいました。そう答えると、後は何も言わなくなるから、と理由を説明していました。

日本の記事を読んでいて、「恋愛大国フランス」という表現もあったのに気がつきました。そう表現できるかな? 一緒に暮らすパートナーを選ぶのもし、シングルになっても困らない体制がフランスにはあるのが大きいと思うので、「自由」という方が適切ではないかと思うけれど...。

でも、日本にも良さがあると思うのです。

フランスは、結婚していようが、いまいが、カップルで行動する国です。食事に招待されたときも、カップルで参加する。お相手がいない男性たちは平気で自分だけ参加しているように感じますが、私の観察では、女性が一人で参加するのには抵抗があるらしい。

フランスではカップルで行動する習慣があるのは不便でもあります。例えば、親友が見つけた伴侶が好きになれない場合。親友には会いたいけれど、その人の伴侶には会いたくないという理由で、友人関係が壊れてしまうのを多々見てきています。

日本の男女関係は淡泊。夫は自分の付き合いを持ち、奥さんの方は自分の付き合いができる、という分離ができるのは、悪くはないのでは?...

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係

外部リンク:
OVNINAVI: 「内縁関係」は、 フランス語では「union libre」
男女共同参画社会に関する世論調査 内閣府大臣官房政府広報室 平成21年10月調査
「事実婚」は晩婚国ニッポンの少子化対策となるか
ほんとはPACSより簡単ですごい日本の「事実婚」(フランス婚)!


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2012/05/07

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その1


サルコジ大統領(右派・国民運動連合)と、オランド氏(左派・社会党)との決選投票となったフランス大統領選挙では、5月6日(日)の午後8時、オランド氏が当選したと発表されました。

17年ぶりに社会党が政権をとったと騒いでいますが、どうということはないと思う。戦後のフランスは社会主義的な政治をしてきたので、右派だろうと左派だろうと大して差がないと感じるのです。でも、サルコジ氏は今までのフランスの良さを切り崩して改革するので怖かった...。

「誰でも良いけれど、サルコジだけは嫌だ」と言うフランス人たちがいるのですが、私もそれ。極右政党が政権をとっても、これだけ悪いことをしただろうか?...  政策が悪いかどうかは別にしても、大統領らしからぬ言動が多すぎたのです。

世論調査ではオランド氏が優勢になっていましたが、土壇場でどう変わるか分からない。結果が気になりました。


公式発表の前に結果は分かる

フランスの法律では、午後8時までは開票結果を発表してはいけないことになっています。でも、それを押しつけるわけにはいかない外国の報道は自由。特に、フランス語でニュースを読めるベルギーやスイスのサイトでは刻々と投票結果を伝えてくるので、関心があるフランス人たちはそれを見ます。

早くから、投票を終えた人に「誰に投票しましたか?」と聞いたアンケート結果が出てきます。極右政党の候補者に投票したと答えるのは躊躇する人が多いので、第一次選挙のときはデータが正確ではありませんでした。でも、今回の決選投票は現大統領か社会党候補者かという選択肢なので、本当のことを言うのにはばかるはずはないので信頼できます。

午後6時ころ、サルコジ大統領が当選祝いの会場としていたコンコルド広場のお膳立てを撤去し始めている、とベルギーのニュースが伝えてきました。立候補者は確信できるデータを握っているでしょうから、これは決定的だと思いました。

社会党支持者の方は、パリのバスチーユ広場に集まってお祭り騒ぎを始めていて、その映像がフランスのテレビに映し出されてきました。そこにいるレポーターだって検挙結果が分かっているはずなのに、白々しくしゃべっているのが面白い!

午後8時が近づくと、テレビでは新年の幕開けを告げるかのようにカウントダウンしたりして、次期大統領の名を出してきました。




直接選挙は盛り上がる

フランスでは直接選挙で投票が行われるのは良いな、と思います。いやがうえにも関心が高まりますから。

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2012/05/06
フランスの大統領は5年任期。2012年に大統領選挙が行われ、5月6日に左派・社会党のフランソワ・オランド(François Hollande)氏が新大統領になりました。

5年前にサルコジ氏が大統領に就任したとは全く対照的な展開になったのが面白かったです。

政治的なことは他サイトにたくさん書いてあるのに任せ、私が大統領交代のニュースを見て目についたことなどを幾つか書いたので、シリーズ記事の目次を作っておきます。



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