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2015/01/07

シリーズ記事目次 【赤ずきんちゃんのガレットとは?】 目次へ
その2


童話を読んでもらった子どもは、そこに登場する食べ物を食べてみたいと思うものなのでしょうか?

グリム童話の 『ヘンデルとグレーテル』には、お菓子の家が登場していたと思い出しますが、私はそれに憧れたりはしませんでした。

私が子どもの頃を思い浮かべると、食べてみたいな... と思ったのは、『アルプスの少女ハイジ』に出てきたチーズを暖炉であぶって食べるという場面。

フランスでラクレットという料理に出会って、ハイジがおいしそうに食べていたのはこれだったのだろうな... と思いました。

それ以外には、子どものときの興味を持ったお話しの中の食べ物って、私にはないな...。


おとぎ話に登場する食べ物を作りたいという発想

フランスには、「おとぎ話の料理」とでも訳せそうな言葉が存在していました。

Cuisine des fées

メルヘンは「conte de fées」。fées(妖精)が必ず登場するわけでもないのに、「妖精の童話」という感じで呼ばれます。それで、conte(コント)をcuisne(料理)に置き換えて「cuisine des fées」にすると、おとぎ話に登場する料理という呼び名になってしまう。辞書などには入っていない言葉ですが、フランス人に言えば何のことだかわかるようです。

そんな言葉ができているくらいなのですから、フランス人はおとぎ話に登場する食べ物に興味があるのでしょうね。

童話に登場する料理を作るレシピ本が何冊も出版されていました。増版を重ねている書籍もあるので、人気があるらしいです。



これまた私の記憶にはなかったのですが、フランスの文学者ペローの童話『赤ずきんちゃん』では、お婆さんの見舞いに行くように言われた赤ずきんちゃんはガレットを持たされていました。ペローの100年以上後に出たドイツのグリム兄弟の『赤ずきんちゃん』でも、フランス語版ではガレットという単語を使っています。

そのガレットとは何なのか、前回の日記から書き始めています:
赤ずきんちゃんが持っていったガレットとは、どんな食べ物?


『赤ずきんちゃん』が持っていったガレットの作り方

前回の日記に書いたように、赤ずきんちゃんが何かを持っている画像を眺めてみたのですが、どんなガレットなのかは分からない。

レシピを見れば一番よく分かるだろうと思いつきました。そんなものがあるはずはないと思いながらもフランスの検索エンジンで探してみたら、たくさん出てきたのです! 驚きました。

シャルル・ペローの国だから、フランスの子どもは日本以上に『赤ずきんちゃん』に親しみがあるのでしょうか?

お料理の名前は、「Galette du Petit Chaperon Rouge赤ずきんちゃんのガレット)」として定着してしまっているようです。

例えば、こちらが「赤ずきんちゃんのガレット」 ↓


La galette du petit chaperon rouge - Chez Féefils

インターネットで見つけた「赤ずきんちゃんのガレット」から、5つのレシピの材料を並べてみます。

上に入れた写真を入れたブログでは、レシピ①で作っていました。おいしそうですね...。

グリム童話の『赤ずきんちゃん』フランス語版では、お母さんは「お婆さんが舌鼓をうって喜ぶから」というようなことを言って、赤ずきんちゃんにガレットとワインを持たせています。私もこんなにきれいにお菓子が焼けたら、同じことを言いそう...。


小麦粉 100 g
グラニュー糖 50 g
バター 50 g
ベーキングパウダー ひとつまみ
アーモンドパウダー 15 g
ミルク 25 ml
卵 1個(艶出し用)

※ 好みによって、シナモンひとつまみを入れる。
  • 生地はラップに包んで冷蔵庫で1時間寝かせる。
  • クッキングシートを敷いたプレートにのせ、表面に卵を塗ってから、ナイフで筋目を入れる。
  • オーブンは180度で、20~25分焼く。

小麦粉 250 g
粉砂糖 100g
バニラシュガー 1袋
加塩バター 60 g + 10 g
ミルク 小さじ3杯
卵 1個
塩 ひとつまみ
シナモンパウダー ひとつまみ
卵黄 1個(艶出し用)
  • 生地は丸めてから布を被せ、常温で30分寝かせる。
  • 2cmくらいの厚さにローラーでのばして形作る。
  • 卵黄にミルク大さじ1杯を混ぜて表面に塗り、ナイフで筋目を入れる。
  • オーブンは200度で、20分焼く。

小麦粉 240 g
バター 150 g
砂糖 150 g
卵黄 4個 + 1個(艶出し用)
ベーキングパウダー 1袋
塩 ひとつまみ
  • 砂糖とバターを混ぜ、卵を1個1個加えていき、小麦粉を加え、最後にベーキングパウダーと塩を加えて混ぜる。
  • タルト型に紙を敷いてはがれやすいようにしてから生地を入れる。
  • オーブンは200度で、30分焼く。
④ 学校のレシピ
(小学2年生のクラス用)

小麦粉 200g
バター 80g(柔らかくしたもの)
砂糖 40g
塩 ひとつまみ
卵黄 3個(1個は艶出し用)
ミルク 大サジ1杯
  • 生地を混ぜたら(ミルクは最後に加えていく)、丸くして、冷蔵庫で1時間くらい寝かせる。
  • 生地を伸ばし、ボールを逆さにしたものを型にしてガレットを3つ作る。
  • クッキングペーパーの上において、表面に卵を塗り、オーブンに入れ、中火で15分焼く。

多少の違いがあるくらいで、だいたい同じようにシンプルに作っていますね。

童話ではガレットを1個持って行ったと書いてあるので、ほとんどの人は大きな形に焼いていました。この材料で小さなガレットもできるのだそうですが。

結局のところ、赤ずきんちゃんが持っていったとされるガレットは、一般的には大きな丸いビスケットなのだろうと思いました。赤ずきんちゃんのガレットは「大きなsablé(サブレ)」だ、と表現している人がありました。

ここにあるのはペローでもグリム童話でも良いレシピだと思います。でも、前回の日記に書いたように、その前にあった民話に登場するものだとしたらパン風にしなければなりませんから、これは無視されているのだと思いました。


フランスの子どもにとって、赤ずきんちゃんはガレットに結びついている?

学校のレシピでは、童話を勉強した後にガレットを作って、単語や動詞の変化なども学ぶのだそうです。

子どもたちが赤ずきんちゃんのガレットを作っている映像がYouTubeに入っていました。


La galette du petit chaperon rouge

動画のタイトルは「赤ずきんちゃんのガレット」となっているのですが、説明からリンクされていたレシピは簡単に作れるガレットでした(Galette au sucre rapide pour enfants impatients)。バターの代わりに、フレッシュチーズかヨーグルトを使うレシピです。

この料理サイトには、「赤ずきんちゃんのガレット(Galette du Petit Chaperon Rouge)」というレシピも入っているのですが、小さな子どもたちなのでバターを使うのを避けたのかもしれません。結局のところ、「これが赤ずきんちゃんのガレット」と言って大きなお菓子にすれば、何でも良いのではないでしょうか?

この学校に限らず、フランスでは、あちこちの学校でやっているようです。ひょっとして、フランスの子どものほとんどが赤ずきんちゃんのガレットを作る機会を与えられるのではないかと思ってしまうほど。

フランスの検索エンジンで「galette du petit chaperon rouge(赤ずきんちゃんのガレット)」をキーワードにして検索すると、作ったガレットの画像以外に、子どもたちの料理風景がたくさん出てきたのです。もちろん、関係ないものも紛れ込んでヒットしてはいますけれど。

Google画像検索で「galette du petit chaperon rouge」を検索した結果

日本の検索エンジンで、「赤ずきんちゃん」の他に、「ガレット」とか「菓子」とか「バスケットの中身」とかをキーワードにして検索しても、赤ずきんちゃんのガレットは出てきません。前回の日記で書いたスコーンのほかは、ブルガリア在住の方が作ったレシピを報告なさっているだけでした。

日本では余りやらないのではないでしょうか? そもそも、あのお話しにお菓子が登場していたなんて、私の記憶にはありませんでした。

改めて、ペローの『赤ずきんちゃん』の話しを聞いてみます。


Le petit chaperon rouge - version 2 - FR

知らなかった! ガレットがとても強調されているのですね...。

この動画はペローの童話を脚色したものなので、そうなったのかな?... ドイツ人のグリム兄弟が書いた童話『赤ずきんちゃん』でも、そんなにガレットという言葉を繰り返しているのだろうか?

2つのお話しを比較してみました。

バージョン物語のワード数ガレットの文字
ペロー版
779ワード
(最後の教訓を除けば 674ワード)
6回
グリム版1,571ワード5回

「galette(ガレット)」という言葉が出てくる回数にはそう差はないのですが、グリム版はペロー版の倍以上の長さがありますから、ペロー版ではガレットだらけと感じても無理ないですね。

赤ずきんちゃんの民話は、11世紀のフランスにはすでにあったことが確認されているのだそう。フランス人たちにとっては、日本以上に親しみがあるお話しなのかもしれないですね。

私は赤ずきんちゃんのレシピを調べましたが、作ってみようとは思わないものな...。おっと、こういうのは子どものためか、子どもと一緒に作るのが楽しいものなんだ!


これで赤ずきんちゃんのお話しは終わりにしようと思ったのですが、もう1つ気になったことが出てきたので、次回に書きます。

 シリーズ記事: 赤ずきんちゃんのガレットとは? 【目次




ブログ内リンク:
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
童話「赤ずきんちゃん」に関するリンク集 (シリーズ日記目次内に記載)


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2015/01/06

シリーズ記事目次 【赤ずきんちゃんのガレットとは?】 目次へ
その1


前回の日記「本場ブルターニュのガレットのレシピを探してみた」を書きながら、蕎麦粉で作るガレットについてインターネットで調べていたら、ほんと? と驚く記述に出会いました。

『赤ずきんちゃん』にガレットが登場している、という日本語情報があったのです。

フランスで市販されているコスプレ。日本からの輸出品のようですが、間違いではないかと思ってしまうほど高額!
この童話を読んだのは遥か昔ですが、アウトラインは覚えています。

病気のお婆さんの見舞いに行くようにお母さんから言われた赤ずきんちゃん。ところが、行ってみたらオオカミがお婆さんになりすましていた、というお話しですよね?

たしか、赤ずきんちゃんはバスケットを持って家を出た。

でも、何をバスケットに入れて持っていったのか? 私の記憶の中は空っぽでした。

フランス語で書かれた物語では、赤ずきんちゃんはお見舞いとしてガレットを持って行った、ということになっているのだそうなのです。


赤ずきんちゃんが持って行ったガレットとは?

日本の子どもが読む本に「ガレット」などとは書かないだろうと思ったので、ペローの『Le Petit Chaperon rouge赤ずきんちゃん)』の文章をインターネットで探しだして眺めてみました。お話しの冒頭で、確かにお母さんは「galetteガレット)」を持っていくように、と赤ずきんちゃんに言っていたのでした。

ガレットでしたか...。

でも、ガレットって、どのガレットのこと?...

フランス語で「ガレット」と言われただけでは、どんなものなのか分からないのです。思い浮かぶのは、ガレット・デ・ロワという名のケーキ、クッキー、そば粉のクレープ。丸い形をしているという共通点はありますが、全く違った食べ物です。


右に入れた蕎麦粉で作るガレットは、前回の日記でレシピを紹介したブルターニュの郷土料理です。でも、近年になるまで広い地域で食べられていたわけではないと思うので、このガレットではないことだけは確かだろうと思いました。

でも、この3つ以外にも「ガレット」と呼ぶものがあるのかも知れない。


どんなガレットだったのか、画像で確認

赤ずきんちゃんが持っていったのが何かを知るには、画像で見るのが手っ取り早い。

パリから35Kmくらいのところにあるブルトゥイユ城(Château de Breteuil)を見学したとき、赤ずきんちゃんのお話しを再現された部屋があったことを思い出しました。

写真アルバムから写真を探し出してみると、赤ずきんちゃんの人形は大きな丸いものを持っていました!

ブログに入れようと写真加工をしたのですが、ガラス窓越しに部屋の中を見たので画面が不鮮明。Wikipediaに良い写真が入っていたので、そちらをリンクします。

Chaperon Rouge

この女の子が持っている丸いものが「ガレット」なのでしょうね。

これを見た私が、この大きな丸いものに注目したのかどうか思い出しません。でも、どうしてこんな大きなものを持っているのだろう、と不思議だったようにも思えてきます。この城は蝋人形や猫人形などで有名な話しの場面などを再現しているので気に入ったのですが、なぜか赤ずきんちゃんの部屋は時間をかけて眺めたように記憶しているのです。

一緒に見学した友達に、この大きな丸いものが何であるか聞いていたかもしれない...。でも、おとぎ話が好きなような人ではなかったので、これをガレットと呼ぶとは教えてくれなかったのではないかな?... この城を見学したときのことをブログに書き留めておかなかったのが残念...。



ガレット・デ・ロワ
この写真を見て、真っ先に思い浮かべたのは、今の時期に食べるガレット・デ・ロワというお菓子です。

お正月の時期だったら、これを病人のお見舞いに持っていくのは最高のプレゼントだったはず!

ガレット・デ・ロワというケーキについては、すでに紹介しているので省略:
フランスの正月: 3. ガレット・デ・ロワを食べる 2006/01/04

でも、ガレット・デ・ロワはパイ菓子ですから、この人形のように抱えて持って歩くなんてことはできません。

紙袋に入れるとか、布で包むとかしないと、皮がパラパラはがれてしまいますから。

それに、『赤ずきんちゃん』は新年のお話しだったわけでもないように思います。

それで、ガレット・デ・ロワではなかっただろうと思いました。でも、大きさと形は似ているのだろうと想像します。

『赤ずきんちゃん』の挿絵などを見ても、持ち物がよくわかるものは大きな丸いものを持っていました。

Gustave Doré (1867)- フランス

Albert Anker (1883) - スイス

何なのだろう? 気になります...。

こういう風に抱えて持つとしたら、ケーキのガレットではなくて、パンではないですか?...

検索してみたら、平べったいパンが存在していて、「Galette de pain(パンのガレット)」と呼ばれていました。

「Galette de pain」をキーワードにしてGoogleで画像検索

フランスでは珍しくて、アルジェリアなどに平べったい伝統的なパンがあるらしい。

パンのガレットなどというのがあったの?!...

昨年、といっても少し前のことですが、紛らわしいお菓子の呼び名があると書いたばかりで、そこにガレットも入っていました。

以前にも紛らわしくて混乱すると書いていたので、目次まで作ってしまいました:
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前

それで頭の中を整理したつもりになっていたのに、パンのガレットなどというのまで飛び出してくると、またまた気になりだしてしまう...。


『赤ずきんちゃん』の3つのバージョンで比較

『赤ずきんちゃん』といえば、フランスのペローが出版した童話(1698年)、ドイツのグリム兄弟の童話(1812年)があります。でもヨーロッパに古くから口伝えに語り継がれてきた民話なので、ペロー以前のお話しも残っているそうです。

フランスには30ほどのバージョンが確認されているそうですが、有名な3つのバージョンから、赤ずきんちゃんがお母さんに持たされた食べ物について書いてある部分を拾い出して、比較してみます。

 日本語フランス語(下段に英語訳)





昔あるところに一人の女の人が住んでいました。その女の人はパンを焼いて、娘に言いました。「この焼きたてのパンミルクをおばあさんのところに届けてちょうだい」。
- 鈴木晶 『グリム童話/メルヘンの深層』
熱々の菓子パン1個(注②)、ミルク1瓶

C'était un femme qui avait fait du pain. Elle dit à sa fille :
– Tu vas porter une époigne toute chaude et une bouteille de lait à ta grand.
There was a woman who had made some bread. She said to her daughter, "Go and carry a hot loaf and a bottle of milk to your grandmother."





ある日、おかあさんはパンのついでに焼き菓子(ガレット)を焼いてから、赤ずきんちゃんに言いました。
「おばあちゃんが、ご病気だそうよ。どんな具合だか見ておいで。ガレットとこのバターの壼をもってお行きなさい」
- 新倉朗子訳
ガレット1個、バターの小瓶

Un jour, sa mère, ayant cuit et fait des galettes, lui dit : Va voir comme se porte ta mère-grand, car on m’a dit qu’elle était malade. Porte-lui une galette et ce petit pot de beurre.
One day her mother, having made some cakes, said to her, "Go, my dear, and see how your grandmother is doing, for I hear she has been very ill. Take her a cake, and this little pot of butter."




ある日、おかあさんは、この子をよんでいいました。
「さあ、ちょいといらっしゃい、赤ずきんちゃん、ここに菓子がひとつと、ぶどう酒がひとびんあります。これを赤ずきんちゃん、おばあさんのところへもっていらっしゃい。おばあさんは、ご病気でよわっていらっしゃるが、これをあげると、きっと元気になるでしょう。
- 楠山正雄訳

ある日のこと、お母さんが赤ずきんちゃんに言った。
「おいで、赤ずきんちゃん。ここに大きな上等のお菓子が一つ葡萄酒が一瓶あるからね。これを、おばあさんのところへ持っておいで。おばあさんは病気で具合が悪いから、これを食べたらきっと元気になるよ。
- 金田鬼一 訳
ガレット1切れ、ワイン1本

Un jour, sa mère lui dit :
- Tiens, Petit Chaperon rouge, voici un morceau de galette et une bouteille de vin : tu iras les porter à ta grand-mère ; elle est malade et affaiblie, et elle va bien se régaler.
One day her mother said to her, "Come Little Red Cap. Here is a piece of cake and a bottle of wine. Take them to your grandmother. She is sick and weak, and they will do her well.

 

注①: Millien版「Le Conte de la mère-grand」。1870年代、フランスのニヴェルネ地方での収録した民話。
 

注②: 日本語訳ではお母さんが焼いたパンを持たせたように受け取れますが、フランス語では焼いたのは「pain(パン)」で、持たせたのは 「époigne」でした。「époigne」は 辞書に入っていない単語なので、「菓子パン」と訳してみました。どんなものであるかについて見つかった説明は以下の通り:
  • 小さなパン、ガレット、丸い菓子。古い言葉だが、今日でもブレス地域やドンブ地域の農家では、バターを入れた丸い小麦粉のパンを「époigne」と呼ぶ(情報、Dictionnaire historique de l'ancien langage françois)。
  • パンを焼くときの生地の切れ端で作った小さなパンで、たいていは子どものために作る(情報
  • 英語訳で「époigne」の代わりに使われている「loaf」は古い英語で、意味は、① パン1個(四角。丸・長細い形などに焼いたもの)、② 菓子パン、(比較的大きい)ケーキ(情報)。
赤ずきんちゃんが持っていったのは、古い民話では一種のパン。ペロー版とグリム版では、ガレット(英語版ではケーキ)で、グリム版では丸ごと1個ではなくて1切れ。パンだとしても、菓子パン風のものだろうと想像します。

それと一緒に持っていくものが、3つのバージョンでは異なるのですけれど、それは気にしない。


赤ずきんちゃんのガレットのレシピを探してみる

そんなものがあるとは思っていなかったのですが、存在するのでした!

やはりフランス人は食いしん坊なのでしょうか? おとぎ話に登場する食べ物のレシピ本が幾つも出版されているし、赤ずきんちゃんのガレットのレシピを紹介するページはインターネットにもたくさんありました。

おとぎ話を聞いた子どもは、そこに登場するものを食べたくなるものなのでしょうか?

フランスで出版されている、おとぎ話のレシピ本:



「読むと食べたくなる赤ずきんちゃんのガレット」などと言ってレシピを載せているブログもありました。私にとって、怖いオオカミが出てくる赤ずきんちゃんの話しは、むしろ食欲を減退させるものだと思うのですが...。

日本のみなさんは、どうなのでしょう? 日本でも赤ずきんちゃんのガレットを再現しようとする人がいるのだろうかと思って、インターネットで探してみました。


ガレットはスコーン?!

クックパッドで「赤ずきんちゃん」をキーワードにして検索してみたら、色々出てきたのですが、赤い頭巾をかぶった女の子に見えるお弁当ばかり...。

幼稚園に行く子に赤ずきんちゃんのキャラ弁を作ってあげるのは優しいお母さんですが、私が探しているのは赤い頭巾ではなくて、持っていった食べ物です。

童話に登場する食べ物を作れるレシピ本は日本にも存在していましたが、インターネットで赤ずきんちゃんが持って行ったお菓子のレシピを紹介しているのはごく少数でした。.

驚いたことに、赤ずきんちゃんが持っていったガレットは、どうやら日本では、イギリスのお菓子である「スコーン」を連想するらしいです。

こちらもレシピを紹介しているのですが、スコーンです:
『赤ずきんちゃんのバスケット』

ひょっとして、英語圏ではガレットをスコーンと訳すのだろうかという疑問がわいてきます。でも、英語に訳されたペロー版もグリム版も「cake(ケーキ)」という単語が使われているのです。

どうして日本だけスコーンにしてしまうのだろう?...

童話に登場するお菓子をレシピとともに紹介した書籍があって、それの影響なのだろうと思えました。


童話の中のお菓子たち 時事通信出版局 (2005/11)

この本では、赤ずきんちゃんは何を持っていっただろうか?... と始めていました。

この書籍はGoogleブックに入っていたので、レシピまで読めてしまったのです:
☆ Google ブックス: 童話の中のお菓子たち

Googleブックスはみなそうなのか、この書籍の部分がおかしいのか、買うようなふりをして無料サンプルを見たりすると、はじめの数ページしか開かないこともあるし、最後まで出てきてしまったりもしました。なんだかキツネにつままわた気分...。

それはともかく、この本では、香りも良いスコーンを持っていってお婆さんを喜ばせたい、と書いてありますので、歴史的に検証して赤ずきんちゃんはスコーンを持っていったはずだ、という判断ではないようです。

昔のお話しだから、シンプルなお菓子を選んだというのは適切だと思いました。でも、赤ずきんちゃんがスコーンを持っていったとすると、問題があると思うのです。

フランス語の文章にあるガレットもパンも、英語版のケーキも1個だけ持っていくことになっています。

私たちが普通に見るスコーンを1個持っていくのは変です、
でも、スコーンも大きな形に作れるのでしょうか?

あるいは、日本人は単数か複数かを気にしないから、スコーンを連想しただけなのかな?...

検索してみたら、小麦粉26キロ使った重さ50キロの巨大スコーンの画像が出てきました。大きく作ろうと思えば、できるのですね。

赤ずきんちゃんのガレットは、お正月に食べるガレット・デ・ロワと同じくらいの大きさだと思うのですが、スコーンをそのくらいの大きさにしたらどうなるのかな?...


スコーンの祖先は、ガレットみたいなパンだった

日本では最近、スコーンscone)が流行っているように感じるのですが、私は食べたことがないように思います。それで、スコーンとはどういうお菓子なのか調べてみました。

Wikipediaの英語ページの「Scone」には歴史の項目があって、驚くことが書いてありました。スコーンの原型は、丸くて平たくて、中皿くらいの大きさだった、というのです。

だったら、始めに画像を入れた赤ずきんちゃんたちが持っていたものと同じではないですか?!

そのスコーンの原型は、今日ではbannockと呼ばれていたのだそう。

スコットランド、オークニーの伝統的な六条大麦(beremeal)のバノック。切り分けられた一片はスコーンと呼ばれる。

これなら抱えて持って歩けそうですね。

Wikipediaの「bannock」からフランス語ページへのリンクでは、さっき書いた「Galette de pain(パンのガレット)」にリンクしているだろう、と期待を高めました。

から喜び! Banniqueにリンクされていました。詳しく書いていないので、画像検索をしたら、カッコ付きでpain amérindien(インディアンのパン)というのが圧倒的に多いので混乱...。フランスでは、これはアメリカ大陸に入ったヨーロッパの人たちが食べていたパンとして知られているらしい。

なんのことはない。Wikipediaの日本語ページ「バノック」を先に見ればよかった。詳しく説明されているのです。

赤ずきんちゃんが持っていったのは、パンのガレットと呼べそうなバノックでも良いのではないかと思いました。グリム版では「ガレット1切れ」と言っているのです。バノックを切ったものを「スコーン」と呼ぶそうだし。

でも、です。

バノックは膨れそこなったパンみたいではないですか? グリム版のフランス語訳では、お母さんは「病気で弱っているお婆さんは、このガレットに舌鼓を打って喜ぶだろう」と言っているのです。

このバノックをもらって、お婆さんはそんなに喜ぶだろうか?... 食いしん坊のフランス人たちは、もっとおいしそうなお菓子を想像するようです。

次に、フランスで定番になっているように見える「赤ずきんちゃんのガレット」のレシピをご紹介します。
赤ずきんちゃんが持っていったガレットのレシピ(フランス版)

 シリーズ記事: 赤ずきんちゃんのガレットとは? 【目次




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外部リンク:
童話「赤ずきんちゃん」に関するリンク集 (シリーズ日記目次内に記載)
BnF: Contes de fées » Petit Chaperon rouge
  ※エンコードは中央ヨーロッパ言語(ISO)に設定して読む
 赤ずきんちゃん ー 赤ずきんちゃんのあれこれ
Mise en parallèle des trois versions


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カテゴリー: 文学、映画 | Comment (2) | Top
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2015/01/05
フランスの文学者ペロー(Charles Perrault)が17世紀末に発表した童話集の中にある『Le Petit Chaperon rouge(赤ずきんちゃん)』。

その中で、赤ずきんちゃんは病気のお婆さんのためにガレットを持っていったのだと聞いて、そのガレットは何だったのかを調べてみました。

どんなガレットなのかと考える人はフランスには多いらしくて、レシピまで出てきました。

そこから、いつもの私の癖で色々な疑問が生まれてきたために、4つの記事になってしまったので目次を作っておきます。

赤ずきんちゃんが持っていったガレットとは、どんな食べ物? 2015/01/06
赤ずきんちゃんが持っていったガレットのレシピ(フランス版) 2015/01/07
謎が多い『赤ずきんちゃん』のお話し 2015/02/12
シャプロンとは、どんな帽子? 2015/02/22

グリム童話の『赤ずきんちゃん』も有名ですが、私はフランスに伝わる4つのバージョンを比較することにとどめました。

本当は一気に書いてしまったことを整理して4つに分けただけなのですが、途中で赤ずきんちゃんなんかどうでも良い気分になる事態がおこってしまったので、記事を仕上げて送信するのを中断していました...。

ガレットというお菓子から始まって、赤ずきんちゃんがかぶっていたchaperon(シャプロン)と呼ばれる頭巾までのお話しになっています。

各記事にも情報リンクを入れたのですが、赤ずきんちゃんんのお話し全般に関係する情報をここにまとめて入れておきます。


童話『赤ずきんちゃん』に関する情報リンク:
BnF: Contes de fées » Petit Chaperon rouge
  ※エンコードは中央ヨーロッパ言語(ISO)に設定して読む
 赤ずきんちゃん ー 赤ずきんちゃんのあれこれ
フランスの民話と日本の民話
Le Petit Chaperon rouge » Mise en parallèle des trois versions
☆ Wikipedia: Le Petit Chaperon rouge » 赤ずきんちゃん » Little Red Riding Hood
Vocabulaire : Le petit chaperon rouge
Vérité, vérité chérie(7~10歳児のための教育マニュアル)
『赤ずきん』 の姿
赤ずきん症候群/おとぎ話のイデオロギー
☆ AFP: 民話「赤ずきん」の進化を系統樹で解明、英研究
☆ NAVER まとめ: ほんとうは赤ずきんをかぶらず、死んでしまった赤ずきん
☆ 青空文庫: 赤ずきんちゃん(グリム童話)
☆ University of Pittsburgh: Little Red Riding Hood
☆ Wikipédia: Charles Perrault


赤ずきんについて調べていて、Gustave Doré(ギュスターヴ・ドレ)がペローの童話集に入れた挿絵が気に入りました。フランスの電子図書館ガリカ(Gallica)にその画像が入っていて、それをブログに埋め込め込んでページがめくれるのか、実験してみます。赤ずきんちゃんの挿絵は、その中の一部なのですが。

次のリンクをクリックして開くと、どのお話しの挿絵なのかが分かります(フランス語):
[Illustrations de Les Contes de Perrault] - Gustave Doré (BnF gallica)

ペローが1697年に出した童話集『Les Contes de ma mère l'Oye』は、次のお話しが入っているのだそうです。半分は日本でもよく知られているお話しですね。
  • La Belle au bois dormant 眠れる森の美女
  • Le Petit Chaperon rouge 赤ずきん
  • La Barbe bleue 青ひげ
  • Le Maître chat ou le Chat botté 長靴をはいた猫
  • Les Fées 仙女たち / 宝石娘
  • Cendrillon ou la Petite Pantoufle de verre シンデレラ
  • Riquet à la houppe 巻き毛のリケ
  • Le Petit Poucet おやゆびこぞう



ブログ内リンク:
童話「赤ずきんちゃん」に関する情報リンク (この記事内)
モンマルトルのムーラン・ド・ラ・ガレットの「ガレット」とは、なに? 2016/02/03
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組
★ 目次: ゴーフル、ゴーフレット、ガレットなど紛らわしい菓子の名前

情報リンク:
BnF - フランス国立図書館(BnF)へようこそ
☆ BnF - Gustave Doré
☆ Wikipedia: ギュスターヴ・ドレ
フランス語で読むシャルル・ペローのおとぎ話 (IBC対訳ライブラリー)


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2015/01/03
長いこと、どうやって作るのだろうと気になっていたフランス料理があります。

フランス北部にあるブルターニュ地方の郷土料理、ガレットgalette) です。

ガレットはソバ粉で作った塩味のクレープで、デザートに食べる甘いクレープは小麦粉で作るという違いがあります。

ポール・ゴーギャン『四人のブルターニュの女の踊り』ブルターニュ地方は独立運動もあるくらいですから、フランスの他の地方にはない文化があると感じます。

本場ブルターニュを旅行したときには、見るからにおいしそうなガレットの写真をとっていたはずですが、パソコンに入っていません。そのころはスライドで写真を撮っていたので。

ガレットをご存じない方のために、とりえず、ピカルディー地方の専門店で出されたガレットの写真を入れてみます。


ノルマンディーといえば、クレープ? 2009/11/19

この写真を使って書いた記事でもお話ししていましたが...


ガレットの本場はブルターニュ地方

ガレットはブルターニュの郷土料理。ブルターニュ地方を旅行したとき、やはり1度くらいは本場で食べないと思って専門店に入ったら、今まで食べてきたガレットとは全く違って美味しいので驚きました。

それを立ち寄ったツーリストオフィスで話したら、優れたガレットを出すレストランをピックアップした小冊子をくださったので、1カ月の旅の後半は、立ち寄った町にご推薦レストランがあると入って食べ比べを楽しみました。

ガレットを食事にして、デザートでは日本でもおなじみのクレープを食べるというレストランです。フランス国内、ある程度の規模の町だったら、必ずと言って良いほどガレットとクレープの専門店があります。そういうレストランのことを「crêperieクレプリー)」と呼びますが、Wikipediaの記述が正しければ、フランス本土に4,000軒以上あるのだそう。

フランスの普通のクレプリーというのは、簡単に安く食事するときに入るレストランです。ピザとか、中華料理を食べるというのと同じで、ご馳走が食べたいというときに入るレストランではありません。でも、本場ブルターニュで食べたガレットは格別なのでした。

何が違うって、ガレットの生地です。パリパリ感があって、皮だけでも食べたくなってしまうような味。

Wikipediaに入っていた画像が、少しパリパリ感があるように見えるので入れておきます。特に端っこが薄くカリカリになっているのが見えるでしょうか?



私がブルターニュで絶品だと思ったのは、淵はレースのように薄くなっているガレットでした。皮も、気泡が見えるようなのが良い。

どうやって作るのだろうと長年思っていたのに、調べたことはありませんでした。

ガレットはそば粉で作ります。フランス語で蕎麦粉は、sarrasin(サラザン)あるいはblé noir(ブレ・ノワール: 黒い小麦の意味)と呼ばれます。

それで、そば粉のガレットはgalettes de sarrasingalette de blé noirと呼びます。crêpe bretonne(ブルターニュのクレープ)、crêpe salée(塩味クレープ)などと呼ばれるようです。フランスでもブルターニュ地方以外にも、そば粉のクレープは存在していて、名前を別にしているようですけれど。

日本でも同じだそうですが、そば粉は貧しい土地で生えるのだそう。ブルターニュ地方はそば粉の栽培に適していて、昔はパンの代わりにガレットを食べていたのだとか。

そういえば、ブルターニュ地方で泊まった農家のB&B民宿では、朝食もガレットでした。出発の朝、昼にはピクニックをする予定だと話したら、パンの代わりになるからとガレットを持たせてくれました。レストランもしている農家だったので、焼いたガレットが余っていたようです。

ガレットというのは暖かいものを食べると思っていたので、冷たくなったのはまずいのではないかとは思ったのですが、せっかくくださると言われたのでいただきました。それを昼に食べたらおいしいので、これまた驚き!


ガレットのレシピを探してみる

小麦粉で作る甘いクレープの方は、私は家で時々作ります。コツなどはほとんどなくて、簡単においしいのができてしまいます。でも、ガレットの方は特殊に見えるので、1度も試してみたことがありません。

最近、日本の友達がガレットを作りたいというので、本場のレシピを探して教えてあげました。というのも、日本でもガレットを作る人が大勢いるようなのですが、インターネットに入っている画像を見ると、どうも美味しそうに見えなかったからです。

友達には動画へのリンクをお教えしたのですが、眺めているうちに私も作りたくなったので、ちゃんと整理してブログに書いてみることにしました。

プロがガレットを作るのを見ると、いとも簡単そうに見えます。


Le cours de galette Bretonne

さっさ、と作るから、淵がレースのようになるのだと思います。

この動画で作っているのは、ガレットで最もオーソドックスな「ガレット・コンプレット(galette complète)」というもので、卵とハムと卵をのせています。

... と思ったら、1つには、ほうれん草と玉葱のコンフィものせていました。玉ねぎのコンフィとは、ジャムみたいに甘いもので、フォアグラの付け合わせにしたりします。フォアグラ以外に使い道があるとは知らなかった...。


ガレット生地の材料は?

ガレットを作っている動画を拾いだしたので後で入れますが、まず生地の材料を比較してみます。上には好きなものをのせれば良いわけで、一番大切なのは生地づくりだと思うので。

生地の材料
伝統的ブルターニュそば粉協会ブルターニュ産そば粉: 1 Kg
水: 1リットル
粗塩: 1つまみ
(8~10人分)
簡単レシピ ①そば粉: 330 g
卵:  1個
冷水:  75 cl
粗塩: 10 g
簡単レシピ ②そば粉:  300 g
水: 75 cl
 ブルターニュのクレプリー訪問そば粉: 500 g
水: 2リットル
 ブルターニュ出身の2つ星シェフそば粉: 300 g
小麦粉: 100 g
卵: 1個

ミルク
塩の花
ブルターニュにある
   クレープとガレットの学校
そば粉: 1Kg
卵: 1個
冷水: 2リットル
ゲランドの粗塩: 35 g


は、「難しいと思っているガレットも簡単にできますよ」という感じで見せているもの。それ以外は、本場ブルターニュ地方の人たちが作っているレシピを選びました。

伝統的なガレットは、そば粉と水と少々の塩だけで作るのだそうですが、小麦粉、卵、ミルクも加えているレシピがありました。卵を入れると色がきれいにでき、卵や小麦粉を入れると生地が鍋にくっつきにくくなる、というメリットがあるようです。

水の分量がずい分違いますが、動画を見ている限り、分量にはこだわらずに生地の仕上がり方で調節していると思いました。


レシピに見られるコツ

伝統的ブルターニュそば粉協会
  1. サラダボールにそば粉と塩を入れてかき混ぜ、水を何回にもわけて加えていく。
  2. 滑らかで液体状にできた生地は、冷蔵庫で3~12時間寝かせる(好みで時間の長さを決める)。
  3. 十分に油をしき、強火で熱した鉄板に、お玉1杯分の生地を一気に広げる。
  4. ガレットの淵が黄金色になってきたら、ヘラでひっくり返して反対側を焼く。

☆ 説明: Recettes avec de la farine de blé noir de Bretagne


簡単レシピ①
  • 卵を入れると、生地がなめらかになり、焼いた色もきれい に仕上がる。
  • 生地はラップをして、冷蔵庫で1~2時間寝かせる。
  • 温度は高くし、しっかり油(オリーブオイルかバター)をしくこ と。
  • ガレットが色づいたらひっくり返して、1分くらい焼く。

☆ 説明と動画: Recette Galettes de sarrasin


簡単レシピ ②

クレープメーカーがなくてもできますよ、と見せています。


Galettes de blé noir - recette facile
  • 水は 少しずつ入れていく。
  • 生地は常温で4~5時間寝かせるのがポイント。
  • フライパンにはバターをひく。

レストランなどでは、こういう風に先にたくさん作っておいて、もう一度温めて料理をのせて仕上げるというやり方をしていますね。


ブルターニュのクレプリー訪問

本場ブルターニュのクレープ専門レストランを訪問しているテレビ番組。


Recette de saison : les véritables crêpes Bretonnes
  • 手でよくかき回すのがポイント。シェフのお婆さんは、いつも25分 かき混ぜていたとか。
最後に出てくるのはバター・キャラメルのデザート。砂糖(250 g)でキャラメルを作り(砂糖がキャラメル状になるまでは鍋の中で砂糖をかき混ぜてはいけないのがコツ)、それに液体状の生クリーム(25 cl)とバター(75g)を加えて仕上げています。

2人が試食しているときに言っている冗談がふるっています。シェフは「ブルターニュでは年に2回しか雨が降らなくて、晴天ばかりで素晴らしい」と言っているのです。ブルターニュは雨が多いことでもよく知られているのです。私が旅行したときも、晴天が多いはずの真夏なのに、1カ月の間、雨が全く降らない日は2日しかありませんでした!


ブルターニュ出身の2つ星シェフのレッスン

シェフはブルターニュにレストランを持つOlivier Bellin。さすがシェフのこだわりが見えるレシピ。生地の固さもよく見える動画です。


La crêpe sarrasin d'Olivier Bellin

☆ 説明ページ: La crêpe sarrasin d'Olivier Bellin - DPDC - 05/03/2014
  • 小麦粉とそば粉はふるいにかける。
  • 水とミルクを加え、手でパタパタと生地を叩くことによって空気を入れな がら混ぜる。
  • 混ぜ終わった生地は15分 間ねかせる(それ以上はダメ)。
  • 焼く前に生地の固さを確かめ、水とミルクを加えて固さを調整する。
  • フライパンにしいているのはラード。
薄く焼けるのが良いのだが、水を多くして液体状になりすぎると固まらない。水とミルクの分量は目分量。生徒は水よりミルクの量が少ないと観察しています。焼き始める前にシェフは「生地が固すぎる」と言って水を足し、テスト用に小さなのを焼いて「まだ固すぎる」と言ってミルクを加えています。

ちなみに、ガレットにのせているのは、ブルターニュ特産のゲメネのアンドゥイユ。普通は加熱しないで食べますが、軽く焼いても油っぽくはならないのだと言っています。このソーセージについては過去に書いていました。
ブルターニュのソーセージ「ゲメネのアンドゥイユ」 2011/09/11

ガレットやクレープを食べるときに飲むのはシードルとばかり思っていたのですが、シェフは「lait ribot(レ・リボ)」と呼ぶ発酵ミルクもブルターニュではよくガレットを食べるときに飲まれるのだと言って、このときの料理にも添えています。

レ・リボもブルターニュ特産の発酵バターミルクだそうです。私は飲んだことがないので、どんな味なのかわかりません。これを扱っているショップが詳しく説明しているのでご覧ください。


ブルターニュにあるクレープとガレットの学校
  • ゲランドの粗塩を使う。
  • そば粉は手でこねる。
  • そば粉に水分が充分に染み込むように、最低でも4時間寝かせる。
  • 発酵が進みすぎないために、水は冷たい水を使う。
☆ 学校の紹介記事: Chandeleur : le crê​pologue du Morbihan !


コツ: そば粉にこだわる

日本の蕎麦は、ほとんどが外国から輸入したそば粉を使っているのだと聞いたことがあります。フランスでもカナダや中国などから輸入したものが多く流通しているのだとか。

ブルターニュ地方で伝統的なガレットを守る会のサイトでは、地元ブルターニュで生産された蕎麦粉でないと本当に美味しいガレットはできないのだと主張していました。

Logo IGPIGP(Indication géographique protégée)という、生産地を限定した政府公認の品質マークを持つブルターニュ産のそば粉があります。

IGP Blé Noir Tradition Bretagne」という名前。

この品質保証付きそば粉は、日本からも取り寄せられるようです。 ⇒
何種類かあるのですが、このショップではオーガニック(AB)を扱っていますね。

IGPそば粉を使っているとしたら、こだわりのクレープ専門店だと言えるかもしれません。普通のそば粉より多少高いお値段ですし。

IGPそば粉を使っているレストランを県名から探すページ:
Crêperie utilisant la farine de Blé Noir de Bretagne par département

ところで、楽天市場で検索したら、フランス産のそば粉はほとんど扱っていないように見えました。

日本で普通に売っているそば粉にも色々な種類があります。日本のそば粉メーカーのサイトに、ガレットには何を選べば良いかというアドバイスがありました。

ガレットのお店を出そうと思っています。 どのようなそば粉が合うのでしょうか?

このサイトを眺めたら、フランスで食べるのに近いガレットにするには、「【越前】丸挽き(挽きぐるみ)そば粉」をベースにして、「甘皮そば粉」を2~3割加えるとありました。つまり、少し粗いものが入った方がフランスの蕎麦粉に近くなるようです。


コツ: 使う塩にこだわる?

塩は粗塩をしているのが目につきました。のレシピでは、塩はgros sel gris de Guérande(ゲランドの粗塩)と特定しています。下の塩のことだと思います。



ゲランドの天然塩は、フランスで最高と言われるブルターニュ特産の塩なので当然でしょうね。

ゲランドの粗塩を楽天市場で検索



◆ コツは、そば粉を平手打ちのように打つこと?

本場の作り方は、手で粉をペタペタとこねることにあるのではないかと思いました。空気を混ぜ込むのだそうです。

下は6分弱の動画なのですが、ずっと粉を混ぜているだけです!


crepe pate sarrazin 2

この動画では、サラダオイル少しとミルクも少し混ぜているようですね。

パタパタと生地を叩く動作を、レシピでは「平手打ちを食らわす」というときに使うclaquerという単語で表現していました。日本でも「そばを打つ」と言いましたよね。こね方はガレットと似ているのでしょうか?

長野で友人の友人が、手討ち蕎麦のデモンストレーションをしてくださったことがありましたが忘れてしまったので、調べてみました。

☆ 動画: そばの打ち方 1
☆ 工程の説明: 十割手打ち蕎麦

日本のそば打ちは、後で包丁で切るのですから、液体に近いくらいにするガレットのように平手打ちはしませんね。でも、やはり同じように時間をかけて練っていました。

そば打ちには色々なやり方があるのだと思いますが、次のような工程の名前が出てきました:
水回し ⇒ 練り ⇒ 菊練り ⇒ へそ出し


コツ: 焼き方

ガレットは、クレープより強火で焼くように感じます。火が弱いとカリっとは仕上がらないようです。ここには入れなかった素人がクレープを作っている動画では、クレープメーカーの温度は230度に調節すると良いと言っていました。

焼くには、クレープメーカーでも、フライパンでも良いようです。クレープメーカーの場合は、生地を薄くのばすトンボが必ず必要ですね。




クレープメーカーの使い方を見せる動画(焼いているのは小麦粉のクレープ):


Cours de cuisine :Utiliser une crêpière
  • 種は一気にのせて焼くこと。
  • ひっくり返すときに使うヘラは、鉄板と同じ大きさのものが良い。


このくらい勉強したら、私もガレットを焼けるようになるかな?...

生地は12時間でも寝かせておいて良いようなので、夜のうちに仕込んでおいて、朝食に焼いて食べるというのも良いな、と思いました。



ガレットについて調べていたら、新しい発見をしました。

童話『赤ずきんちゃん』の冒頭で、赤ずきんちゃんは、お土産を持って病気のお婆さんの見舞いに行くのですが、持っていった1つがガレットなのだそうです。まさか、そば粉のガレットは持っていかなかったでしょうから、どんなガレットを持っていったのが調べてみました。

赤ずきんちゃんが持っていったガレットとは、どんな食べ物?



ブログ内リンク:
ノルマンディーといえば、クレープ? 2009/11/19
クレープの日なので、クレープ・シュゼットを食べる 2011/02/02
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
オシャレな“ガレット”の簡単な作り方【家庭で出来る!】
☆ レシピ: そば粉のガレット
☆ Terres celtes - Bretagne: Crêpes et galettes
La véritable recette de la galette bretonne
☆ Wikipédia: Galette de sarrasin
Association Blé Noir Tradition Bretagne
ブルターニュのソバ粉 IGPに登録される


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