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2015/05/31
ここのところ長々と書いてしまっているレストランでの食事ですが(お話しの始まりは、こちら)、食事も終わりの頃、向うの方にあるものが目に飛び込んできました。

右に入れた写真で、黄色い矢印を付けたものです。

これについては、去年はニュースで賑わっていたのですが、レストランで見かけたことがないな... と思っていたところなのです。

意識していなかったから、あるのに気がついていなかっただけなのかも知れませんが。

レストランが厨房で調理した料理を出しているということを示す認証マークで、「Fait maison(ホームメイド)」と呼んでいます。何をもって「ホームメイド」とするかで話題になったのでした。



お勘定を終わって店を出るとき、お給仕の人に、このマークをどう思うか聞いてみました。

印刷するメニューには、どうやってパソコンで入れたら良いか分からないので、練習して自分で書いたのだそう。そう言われてみれば、線がぎこちないですね。

ここのようにシェフが情熱だけで料理を作っているところは、こういうマークを付けるのはお遊び感覚かもしれない。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ



レストランのホームメイド認証マーク

レトルト食品を加熱して出すだけのレストランも多い。見た目は美しいけれど、偽物料理。それで、レストランでは自分のところで調理していないレストランを見分けられるようにと、「ホームメイド」であることを区別しようと政府が乗り出したのです。

この政府認証マークができることになった昨年は、テレビで盛んに取り上げられていた(というより、片手落ちの基準だと批判されていた)のを横目に見ていたのですが、その後はすっかり忘れていました。でも、去年の7月から、フランス政府はこの認証を実施されていたのでした。

気がついてみると、その後、このマークを付けたメニューを私はレストランで1回も見たことがなかったと思うのです。初めて見たら、面白がって写真を撮っていたはずですから...。

正式のマークは、これです ↓



鍋の上に屋根を乗せたデザインですね。

検索してみたら、日本でもかなり報道されていました:
フランス、低水準のレストラン食に対抗策 「ホームメード」認証  (AFP 2014/07/14)

実は、この認証の規制内容は今月初めに少し変更されたのですが、それについての日本語報道は見つかりませんでした。


ホームメイド認証は2014年7月にスタートしたけれど、失敗...

当然ながら、外食産業界は政府法案成立に圧力をかける。何を持って「ホームメイド」であるかを規定する基準はおかしくなりました。「ホームメイド」と呼んでOKという料理も、消費者がイメージするホームメイドの料理ではない。

政府が変なことをするのは、フランスも同じ。でも、日本と違うのは、大統領を始め、政府や政治家が変なことをすると、報道機関はこぞって批判することでしょう。最近の日本では、内閣官房長官が「放送法に違反する」と脅してテレビで首相の批判をする発言をやめさせようとしたのとは大違い。

フランスで大手の報道機関は一般国民のサイドに立っているので、盛んに批判していました。

例えば、インゲン豆とかニンジンの冷凍食品は使ってもOK。でも、小さく刻んだ野菜ミックスの冷凍食品はダメ。でも、ファーストフードに対抗するためか、フライドポテトにするジャガイモの冷凍食品はダメ。ともかく、例外がある限り、レストランには抜け道がある。

このマークが付いていれば最悪ではないと見分けられるという程度の、変な認証マークだ、と私も思いました。

片手落ちな認証にしないためには、レトルトや冷凍食品を使った料理に警告マークを入れることを強制する法律だと思います。でも、これはホームメイドであることを示したいレストランがマークを付けて良い、というものなのです。

しかも、ホームメイドであることを強調する意思がないなら、マークは付けなくても良いわけです。従って、マークがなければレトルトだと決めつけるわけにはいかないし、マークが付いているから生鮮食料品を仕入れて厨房で調理という証明でもない。こんなマークには全く意味がないと批判されても仕方がないと思う。

パリのような大都会にある庶民的なレストラン、つまりレトルト食品が出てきても仕方ないと思いながら入るようなレストランでないと、こういうマークは付けないのではないかと思いました。それで、先日行ったレストランでホームメイド認証マークを飾っていたのが面白いと思ったわけです。

レストランでホームメイド認証マークを見たことがないのは私がしっかり見ていなかっただけなのかも知れない。調べてみたら、法律ができてから半年以上たっても、このマークを付けているフランスのレストランは1割程度に過ぎなかったそうです。

メニューに認証マークを付けたら、DGCCRF(競争・消費・詐欺防止総局)が抜き打ち検査に来て余計な迷惑もあるので、レストランは避けたいというのもあるようです。それに、あれだけテレビでいい加減な基準だと言われた認証ですから、マークがあることによる利益はレストラン側にも少ないと思われたのではないでしょうか。

認証マークができたころのアンケート調査では、このマークは「安心させる」と答えた人が52%。でも、それを「信頼できる」とした人は27%となっていました。

メニューにマークが入っているのを私は見たことがないので、それが見える動画を入れます。


Label fait maison : une mesure pour rien ?  (2014/09/23 に公開)

ホームメイドと言ったって、出来合いの商品を組み合わせればできてしまうので、全く意味がない認証マークだ、と批判していますね。


ホームメイド認証の内容は、2015年5月からシンプルで厳格になった

抜け道がありすぎて信頼できない認証マークだと批判されたのを受けたらしく、デクレが施行された2014年7月15日から1年もたっていないのに、何をもって「ホームメイド」とするかの基準が変わったそうです。

昨年の規定だと、材料として使うのは「produit brut(未加工のプロダクツ)」だったので、冷凍食品の一部も入ってしまっていました。これを「produit cru(生のプロダクツ)」を使っていなければホームメイドとは呼ばないことに制限。つまり、野菜などは生鮮野菜を仕入れて、自分で切らなければホームメイドとは言えないことになったわけです。


Le label "fait maison" devient plus strict 11/05/2015

私が2番目に入れた動画に登場していた、1から10まで厨房で料理を作っているパリのレストランがここでも登場しています。去年の段階では、「Fait maison(フェ・メゾン)」なんていう認証は「Fake maison(フェイク・メゾン)」、つまり英語に置き換えて「捏造メゾン」だなんて言って、マークを使うのを拒否していたレストランの経営者が、新しい基準には満足したのか、店の前に認証マークのシールを張っています。

この動画の中には、隠しカメラで取材したレストランが登場しています。冷凍食品などを使っているので、ホームメイド(Fait maison)とは言えない。それで表示しているのが消費者が誤解しそうな「Spécialité maison(ホーム・スペシャリティー」という表示を使っています。いくらでも抜け道はあるでしょうね...。


フランス経済省のサイトに、新たな基準になった「Fait maison(ホームメイド)」認証とはどういうものか、詳細な情報が入っています。




Le site d’information de la mention « fait maison » | Le portail des ministères économiques et financiers

このマークは、普通の飲食店だけではなくて、ファーストフード店、仕出し屋、イベント会場の仮設レストランなどにも適用されるのだそう。新しい基準になる前は、冷凍食品の一部やパイ生地などを使ってもホームメイドになったのですが、今度は生の食材から作らないとホームメイドとは言えなくなりました。

ただし例外は認めています。パン、チーズ、ハム・ソーセージ類(テリーヌとパテは自家製でなければ認めない)、ビスケット、ドライフルーツなど、それは自分で作らなくても許されるだろうなという食材が並んでいます。イタリアだったら、パスタは自家製でないといけないことにしたと思いますが、それは既製品を認めているようですね。同じく、シュークルート(ザワークラウト)に使うキャベツも、生のものを仕入れるのならOK。

ざっと眺めたところ、新しい基準ならホームメイドと呼んで良いかなという感じがしましたが、調味料やソースなどのあたりで手抜き料理の抜け道はあるだろうなとは思いました。

これでホームメイド認証マークの人気があがるのでしょうかね...。批判する種がないと面白くないせいか、テレビのニュースでも全く話題にはなっていないような気がしました。

はっきりと、工場で生産された料理を電子レンジで温めているだけだとか、冷凍食品を使っている飲食店が表示する義務を作って区別してくれた方が消費者には分かりやすくて嬉しいですけれど、そこまではできないのしょうね。

フランスの「パン屋」という呼称に関しては、自分のところでパン種を作って焼かないと「Boulangerie(パン屋)」と名の入った看板は掲げられないという法律があります。日本でも評判の良いパン屋のチェーン「ポール(Paul)」は、自分のところでパンも焼いているブティックもなくはないそうですが、「Boulangerie(ブランジュリー)」と看板に掲げるのはやめて「Maison(メゾン)」を使っています。

このくらい有名な店になれば、工場で作っているかどうかなんて全く問題にはならないでしょうね。私はやはり、小さなパン屋で、薪を入れる窯で焼いている店の方が好きですが。

レストランも、店の名称で区別してもらいたいと思ってしまうのですが、飲食店のフランス語の呼び名には、レストラン、ブラスリー、ビストロ、カフェなどと色々あるので、名前で統一することは不可能だろうとも思います。


その他の、ホームメイドを強調したレストラン認証マーク

「Fait maison」のマークを付けるには、事前に認証審査や申請手続きがあるわけではないとのこと。

同じく政府のレストラン認証としては、優秀なレストラン経営者に対する認証として「Maître Restaurateur」というのもありました。こちらは2009年に作られた認証で、厳しい審査に合格しないと付けられないのだそう。


Le titre Maitre restaurateur - Maîtres Restaurateurs - AFMR

ホームメイドの料理を中心に出していて、調理人は調理の教育と長年の経験があること、衛生的なレストランであることなどが認可の基準のようです。4年ごとに審査して更新。現在、約2,700人が認証されているのだそう。

この認証を持っているレストランのリストを見たら、こういうところは与えられるだろうなというのもありましたが、ここが? というのもあって、これではレストラン選びの基準にはならないと思ってしまいました。いくら良い料理を出していても、小さなレストランは取りにくいという批判もあるようですね。

ホームメイド認証の話題で出てきた情報では、上の認証とよく似ている「Restaurant de qualité」というのも出てきていました。クオリティー・レストランとでも訳しますか?


Restaurant de Qualité

2011年に、レストランのシェフたちが作った認証でした。会長は、アラン・デュカス(Alain Ducasse) とジョエル・ロブション(Joël Robuchon)。ホームメイドとホスピタリティが認可の目玉。現在、350のレストランが入っていて、選考中が250軒。

でも、これも何だかシェフたちの商売っ気を感じて好きにはなれないな...。

こういうプレートを気にしたことはありませんでした。レストランの入り口には色々な認証プレートやシールがあって、それがいちいち何なのかを考えていられないからです。

ここで紹介した3つの認証マークができてきたのは数年前からのこと。フランスでレトルト食品を使うレストランが多くなってきたのが目だってきたからなのでしょう。

続く

ブログ内リンク:
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
クイズ: フランスのパン屋さんを見分ける方法 2006/11/13

外部リンク:
Le site d’information de la mention « fait maison » (フランス経済省)
Restauration : tout comprendre sur le label « fait maison » Le Monde 2014/07/15
Nouveau label "fait maison" : metronews vous propose sa carte "fake maison"
le livre blanc du fait maison
Ifop: Le label « Fait maison » - Regards croisés grand public - Professionnels (2013年アンケート)
Label fait maison - Définition
Xavier, restaurateur, plus de 800 000 euros par an
Restaurants qui font à manger cuisine maison
Restaurants : l'échec cuisant du label "fait maison", qui sera remplacé 15/03/2015
Le label "fait maison" serait remplacé 2015/03/14
Le « fait maison » pose ses conditions 2015/05/07
Restauration : s'y retrouver entre les différents labels
Le label «fait maison» des restaurateurs fait peau neuve 07/05/2015
Une appellation "Restaurant de qualité" pour défendre le fait maison 2013/04/15
フランス、低水準のレストラン食に対抗策 「ホームメード」認証 (AFP 2014/07/14)
フランス「ホームメードマーク」の失敗 2015/03/17


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カテゴリー: レストラン | Comment (0) | Top
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2015/05/29
レストランで食事するときは、シェフの創作料理で、自分では絶対に作れないような料理が出てくるのが好き。

ここのところ書いているレストランは(始まりはこちら)、料理は頻繁に変わります。

シェフはよほど料理が好きで、仕入れた材料で料理を作るのを楽しんでいるのだろうと思います。大きな町のレストランに雇われるなら、かなりの高給をとれる人だと思う。でも、田舎で自分の好きなように料理を作れる道を選んだのだろうと感じます。

フランスで美味しい料理を出すレストランでは、シェフがお客さんに挨拶することがよくあります。ところが、ここではシェフの姿をちらりとも見たことがありませんでした。

ミシュランの星を持つようなところだと、お客さんはシェフの顔を見たいので、お客さんに挨拶しないところは少ないのではないかと思う。ブルゴーニュにある3つ星レストランのシェフは、用事でパリに行っていても、無理しても夜には帰って、挨拶するのだと言っていました。

つまり、ご本人が調理しなくても、レストランにいることが大事というわけでしょうね。3つ星シェフともなると、世界的に活動するようになります。ポール・ボキューズが言ったことだったかな? 余りにもあちこちで出会うシェフなので、ジャーナリストが「あなたがレストランにいないときには誰が調理しているのですか?」

そういうことを言う人が多くてうんざりしていたシェフは、こう答えたのだそう。
「私がレストランにいるときと同じ人ですよ」


この日、レストランを立ち去ろるまえにお給仕の人とおしゃべりしていたら、シェフが調理場から出てきました。

お料理を褒めました。だって、お昼に食事したのは私たちだけだったのですから、一人で10倍くらいの褒め言葉を並べて励まさなければいけないではないですか?

色々な変わった食材を使うシェフだし、この日も少し白ゴマを振りかけた料理がありました。白ゴマは、フランスで買える中国製に見えたのが残念でしたが(小粒で香りに乏しい)、それは指摘しない。

日本の食材を知っているかと聞いてみました。もちろん、という感じで、柚子はご存じでした。でも、やはり果物の形ではフランスでは手に入らないらしい。

私が聞きたかったのは、山椒の葉の香りを知っているかということ。山椒は高級食材のPoivre du Sichuanとして、グルメのフランス人は誰でも知っていると感じます。もちろん、シェフも知っていました。日本では若葉も食べるのだ、と言うと、それは知らなかったとのこと。

庭にある山椒の木を一枝持ってきてあげれば良かった。このシェフだったら、それを使って何か料理にしたはずですから。


私の山椒の木

日本で田舎に行くと、山椒の木がある家の人に育て方のコツを聞いていました。それで突き止めたのは、山椒は冬の前に剪定してはいけないらしいということ。

ほったらかしておくのが一番です、と言われていました。

ブルゴーニュの冬の寒さは厳しいので、冬になる前に枝を落としていたのです。氷点下15度くらいは珍しくはないという大陸性気候なので、大きく育っていた植物が一晩で黒く枯れてしまうことを数えきれないくらい経験していましたので。

例えば、5メートルくらいには育っていたので安心していたら若葉が出始めたときに枯れてしまったイチョウの木:
死んでいなかった銀杏の木 2011/07/11

これは根本から新芽が出てくれたのですが、同じくらいに大きくなっていたお気に入りの八重桜もダウン...。

誰からも山椒は剪定してはいけないと言われたので、冬超えできなくても仕方がないと覚悟を決めて、冬の前に枝を落とすのは止めて以来、元気に育ってくれています。



夏になると葉は食べなくなるのですが、大きな葉は美しいし、食卓にのせられる植物なので、刺身の飾りなどに使っています。

問題は、ここのように石灰質の土壌はお気に召さないということ。若葉が大きくなっていくうちに、葉は薄黄緑色になってしまうのです。

でも、元気に大きくなった今年は、木の芽を食べられる今の時期、まだ黄緑色にはなっていない葉が多いので嬉しいです。気に入らない土壌にもなじんできたのでしょうか?...



土を酸性質にする液体を園芸店で見つけて買って根本にまいたこともありました。小さなボトルが1,500円くらいするので、そこまでしなくても... と思ってやめました。どうせ、翌年には同じように葉の色が変わってしますのですから。

そろそろ私の山椒の葉は大きくなってきてしまいましたが、まだ食べられます。ここのところ、やたらに使っています。なぜか今年はパセリがちっとも育たないので、パセリ代わりにも使ってしまう。

去年、山椒は雄と雌がないと実がならないのだと教えてもらって、実がなることは諦めたので、惜しげなく葉を取ってしまっています。

フランス人にも、山椒の葉の香りは、すこぶる評判が良いのです。手のひらに置いて叩くと香りが増すなだ、などというアトラクションも喜ばれます。非常に高価なPoivre du Sichuanの葉の部分というので、それで喜ばれるというのもあると思います。

挿し木をして、皆に配ってあげようかな...。

情報を見つけた♪ 6月が良いのですって。今ではないですか?♪
山椒 挿し木時期と方法

挿し木にして株が増えたら、雄と雌ができて実がなるかもしれないと期待したのですが、ダメみたいですね。調べたところ、私の山椒はオスのようでした。

日本にいて山椒の実が食べられたのは田舎に行ったときだけでしたら、とても美味しいので、なって欲しかったのだけれど、木の芽だけ楽しむことにします。


山椒と花椒の違いは?

フランス人に山椒の木の芽を出すときには「Poivre du Sichuan」の木の葉っぱだと言っています。「四川の胡椒」という意味で、フランスでは知られているのです。

非常に高いスパイスだと聞かされていました。本当に高いのか、フランスのアマゾンサイトで比較してみます。100グラムの売値です。

★★★★

一番左のが、四川の胡椒。日本円にして、100グラム2,000円近い。

それでも、高級らしい黒胡椒(中央)に比べると3割強だけ高い程度。ただし非常に安いのもあって(右)、それの6倍以上になっている。そういう比較で四川胡椒は高いとフランス人たちは言うのだろうな、と納得。

日本では、四川の胡椒は「花椒」と呼ばれるらしい。それが日本でも高価な香辛料なのか、日本のアマゾンで比較してみたら、日本で買うのなら国産の方が高いように感じたのですけれど...。

★★★★


日本の山椒と、中国の花椒(カホクザンショウ)との違いは?

中国の山椒と、日本の山椒がどう違うのか味を比べてみたことがないので分かっていないのですが、そのことについては、以前にも書いていました:
山椒はフランスでも知られていたことを発見 2006/10/15

1度書いたくらいでは理解していなかったので、この際、表にしてみます。
日本語山椒サンショウ
ハジカミ
若葉は「木の芽」
花椒ホアジャオ
仏語
Poivre du Sichuan
(四川の胡椒)
英語Japanese pepperSichuan pepper
植物の学名Zanthoxylum piperitumZanthoxylum bungeanum

フランス人には、「日本では山椒の葉も食べるのだ」と説明しているのですが、花椒の葉も食べられるのでしょうか? 調べたことが間違っていないとしたら、植物の学名が違うので同じものではないようなのです。

花椒(カホクザンショウ)の学名「Zanthoxylum bungeanum」で出てきた画像を見たら、日本で馴染みがあるサンショウとは全然違う。



葉の形はそっくりですが、固そう。この感じだったら、食べる気にもならないのではないかな?...

この次からフランス人に説明するときは、日本の山椒は四川のとは種類が違って、葉も食べられるのだと言わなければいけないと思いました。

山椒の葉のことを話したシェフが、花椒(カホクザンショウ)の木を見つけて食べてみたりしないと良いのだけど...。

フランスでは山椒の盆栽も売っているそうなので、少し心配になりました...。


Bonsaï, poivre Szechuan - Zanthoxylum piperitum - environ 12-15 ans
69.99ユーロ

この12~15年という盆栽には、Zanthoxylum piperitumと書いてある。日本の山椒で使っていた学名です。上の比較表を作ったときも、花椒(カホクザンショウ)の学名をそうしているサイトもあったので気にはなったのですけれど、山椒にはこだわるはずの日本の情報の呼び名で、 Zanthoxylum bungeanumを採用したのでした。

やはり、あの日は庭の山椒の1枝をシェフにお土産に持って行くべきだった。そうすれば、フランスで見かけるのとは違うというのが分かったでしょうから。

どなたか、花椒(カホクザンショウ)の木の葉も食べられるのかどうかご存じの方があったら教えてください。

追記:

さっそくコメントを入れてくださった方から、中国の山椒の若葉も食べられるらしいと、次の情報をいただきました。中国語のサイトらしいので、自動翻訳ページにリンクしたものを入れておきます。自動翻訳は変な文章になるのですが、食べられることは確からしいので安心しました♪ 
加熱しても良いのだと教えられたのも大発見♪ むしろ、花椒は固そうな葉なので、加熱するのが一番なのかも知れませんね。私の山椒も、夏になったら、てんぷらにすれば良いのだ~! 


あぁ~、あった♪

ところで、食事も終わりの頃、向うの方にあるものが目に飛び込んできました。黄色い矢印を付けたものです。



去年は盛んに話題になっていたのですが、レストランで見かけたことがないな... と思っていたのです。日本でも報道されていたので、これをご覧になると、「ああ、あれね」とお思いになる方もあるのではないかと思います。

これが何であるかを調べて、続きで書きました:
フランスのレストランにできたホームメイド認証ラベル



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: クイズを出した記事一覧

外部リンク:
山椒の実がならない
山椒の雌雄の見分け方
山椒の実がつかない 花は咲いたのですがやはり受粉でしょうか 


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2015/05/28
人口500人足らずの小さな村にあるレストラン。近くに観光スポットがあるわけでもないので、観光客がたまたま通りかかることはめったにないと思うところにあります。店内の席が埋まるのは、近郊の人たちが何かお祝いでもするときくらいではないでしょうか。

そこで食事をしたことを書いた前回の日記「貸し切り状態のレストランでランチ」の続きです。

夫婦なのかどうかは知りませんが、男女2人がレストランを経営しています。

こういう小さなレストラン、つまりパティシエというデザート専門の人がいない店だと、デザートがつまらないことが往々にしてあります。でも、ここは凝ったデザートを出します。


この日に私が選んだのは、少し変わったティラミスでした。



これを選んだのは、レモンチェッロという、レモンのリキュール酒を使っていると書いてあったのに惹かれたからでした。


幻のレモンチェッロ!

「Limoncello」と綴るのですが、レモンチェッロなのか、レモンチェロなのか、はたまたリモンチェッロなのか? カタカナ表記を確認しようと、検索にかけてみました。

Limoncelloを楽天市場で検索

そうしたら、再び出会いたいと長いこと思い続けていたメーカーの商品が出てきたのでした。

右に入れるメーカーのものです。

忘れもしないラベルを変えないでくれていて、ありがとう!

イタリアの美しいアマルフィ海岸にあるRavello(ラヴェッロ)に滞在したとき、ホテルの近くに醸造所があるので、立ち寄ってみたのでした。

レモンチェッロに出会ったのは、この時が初め。

ホテルから坂を下りて行くとき、小さな醸造所があるのが目に止まったのですが、どうせ美味しくないだろうと思って無視して観光していました。

それでも、滞在の最後の日の朝、やはり行ってみておこうかと思って立ち寄ったのでした。

忘れもしない、午前11時ころ。ワインの試飲に行くには良い時間ですが、そんな時間に食後の酒を試飲するなんて~! とは思ったのを思い出します。

甘いリキュール酒はお菓子に使う程度で、そのまま飲むのは好きではない私です。ところが、これはメチャメチャに美味しい!

以来、フランスでも、イタリアでも、イタリア料理を食べるときには、よく食後にレモンチェッロ注文するようにまりました。お腹がいっぱいのときには、デザートの代わりにこれを飲むということもやっています。

イタリアに行ったときはもちろん、フランスのイタリア食品店でもレモンチェッロを探します。ところが、ラヴェッロで試飲して買ったのと同じように気に入るのには出会っていません。あの癖のないレモンの風味がない...。

それでも買って、冷凍庫にはレモンチェッロのボトルと、それを飲むときに使う小さなグラスも入れています。気に入らなくて飲まないボトルが何本もたまってしまったので、最近はレモンのシャーベットを作るときに入れて消化し始めました。ストレートで飲まないのなら、違う~! と憤ることもないので。

あぁ、あのラヴェッロのレモンチェッロ!(ため息) ずっと出会えないでいたのに、日本では売っているのでしたか...。

フランスはイタリアのお隣なのですから、どこかでは売っているはずではないですか? ところが、メーカーの名前で検索しても、イタリア情報しか出てこない...。

この次に帰国したときに買うことにしようと思って、リンクを入れておきました。もしも、日本で買ってフランスに持ってきたら長旅をすることになりますね。イタリア⇒日本⇒フランス。


フィンガービスケットの代わりに、なんと白ナス!

ティラミスにレモンチェッロを入れるのは、考えつくアイディアかもしれない。この日に食べたティラミスで変わっていたのは、中に入っている歯ごたえが少しある食材なのでした。

作るときにはフィンガービスケットを入れますよね。

私は家でティラミスを作るときには、Biscuits roses de Reims(ビスキュイ・ローズ・ド・ランス)を使うのが好きです。

これが何であるかはブログに書いていました:
ランスのピンク色 2010/04/14

ともかく、ティラミスには、水分を吸ったビスケットが入っていますよね。

ところが、この時のティラミスには、歯ごたえが少しあるものが入っていたのでした。

何なのだろうかと取り出してみると、白い物体。

最近は食べた料理の写真を撮るときには、まずお品書きも撮影しておきます。後でどんな料理だったのか忘れたときに便利なので。

料理の名前をデジカメに記録しておくのって、こんな時も役に立つ。お給仕の人を呼んで、ここに入っているのは何ですかと聞かなくても、写真を拾い出して読めば良いのですから。

何と、キャラメルをまぶした白いナス、と書いてあったのでした。

だいぶ前、白いナスを初めて見たとき、こんな食慾が減退するような姿の野菜なんか、間違っても食べたくないと思ったのでした。

でも、ここに入っていた甘い白ナスは、かなり美味しいので驚きました。


それにしても、ナスをデザートに使うのは珍しいのではないでしょうか?

日本人は野菜が好きだからと、まず日本語で白ナスのレシピを探してみたら、誰もデザートなんか作っていないみたい。

それで、フランス語で検索してみたら、出てきました(こちら)。

薄くスライスした白ナスに粉砂糖をまぶして、100度のオーブンで1時間焼いています。冷めるとカリカリになる。生クリームにトウシキミで香りを付けてホイップし、それに白ナスのお煎餅(?)を添える。バルサミコ酢で皿に模様を描き、バジルのシャーベットを添えています。

なかなか変わっていますね。おいしそう...。

でも、やはり白ナスを買うことはないだろうと思います。なぜだか分からないのですが、私は白い食べ物には嫌悪感をもよおしてしまうのです。白いご飯、豆腐、うどん...。本当に美味しいものでないと、食べる気がしません。

このレストランを発端にしたお話しは続きます:
花椒の若葉も「木の芽」として食べられるのでしょうか?



ブログ内リンク:
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ


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2015/05/27
ワインを買いに行ったついでに、お気に入りにしているレストランで昼食をとることにしました。夫婦二人でやっているらしい小さなレストラン。久しぶりなので、いちおうインターネットでレストランに関する情報をチェック。

TripAdvisorを見ると、悪口を言っている人が目立つので驚きました。最低ランクの評価をしている人も何人かいる。美味しい料理をお手軽プライスでだしているのに、どういうところに文句をつけているのかに興味を持ったので、コメントを読んでみました。

インターネットに書き込みできる口コミサイトは、自分か関係者に良いコメントを入れたり、やっかむ人が嫌がらせを書いたりしているのも知っているので、真に受けるわけにはいきません。でも、やらせや自作自演ではない感じのコメントが書き込まれていたのでした。

お給仕の人が感じよくない、という意見が多かったです。確かに、生まれつきの性格で人を相手にして仕事をするのに向いていないタイプの人だとは思います。つまり、誰にでも愛想が良くて、気に入られるためなら何でもする、という女性ではない。見ただけで好意を抱いてしまうような美人でもない...。

でも、わざわざコメントで悪く言うほどのレベルではないと思うのですけどね...。そもそも、フランスで感じが悪いレストランのお給仕の人とか、店員さんといったら、信じられないくらい感じが悪い人がいるのです。安い給料で働かされているので苛々しているのだろう、と思うことにしていますが。

思い出してみると、私が初めて行ったときにも、愛想がない人だな、という印象を持ちました。その後は接客業に慣れてきたので冗談に笑ったりするようになったのだろうと思っていたのですが、彼女は、フランス人にしては珍しく、人見知りするタイプなのかもしれない。日本では、はにかみ屋さんとか、口数が少ないとかいうタイプは、男性でも女性でも誠実さを現す指標にもなっているように感じますが、フランスでは決定的な欠点なのですよね。

レストランの評価とは人によって全く違って当然だと思います。それで、ブログにレストランやホテルなどのことを書くときは、極力、どこなのかは特定できないように気をつけています。私が褒めて書いているのを読んで、わざわざ行って気に入らなかったりする方があったら、ご迷惑をかけてしまったと反省するではないですか。次に行ってみたら全く違ってしまっていた、ということも頻繁にありますから。


インターネットの悪評は気になったのではありますが、ミシュランのサイトでは良い評価をしていたし、シェフが変わったわけではないらしいので、昼食を食べに行くことにして、電話で予約を入れました。

行ってみると、レストランの中にはお客は全くいない。この日は、最後まで、私たちのテーブルしか埋まっていませんでした。経営を続けられるのかな?... と心配になる!

でも、客にはへつらわないで、シェフは自分が良いと思う料理を出すことだけに情熱を傾けているのだろうと思います。今までと全く変わりなく、美味しい料理を堪能しました。シェフは私たちだけのために料理を作ってくれている、という贅沢なひととき!

創作料理が食べられるレストランでは、自分が料理するときのヒントにもなるので、勉強する機会になります。食べたものの写真を撮影しました。


前菜



左側のは豚の頭を使った料理。肉屋さんが作って売っている「フロマージュ・ド・テット(Fromage de tête)」という庶民的な食品に似ています(上手にできていると思った画像へのリンク。お母さんの手作りだそうです)。でも、それよりも洗練されている仕上がりでした。

右側のは、豚の耳を入れたもの。こういう風にオーブンで焼いておつまみにもする料理に「cake」という言葉を使うのですが、「ケーキ」と訳したらいけないでしょうから、なんと呼べば良いのかな?...

フロマージュ・ド・テットは豚の頭の部分の臓物から作るのですが、耳は美味しいので、これに入れてしまうのは残念。シェフもそう思って別にした調理を作ったのだろうと思います。

こういう料理は、毎日食べても飽きないな...。


メイン料理

メイン料理のチョイスには、気を引かれるものがなかった。家でソテーにして食べているので面白味はないのですが、食材が好きなので選びした。

フォワ・ド・ボー(子牛のレバー)。

私は貧血気味なので、頭痛などがして血が減ってきているなと感じるときには、日本ではウナギ、フランスでは子牛のレバーを食べることにしています。気のせいもあるのでしょうけれど、食べ終わったとたんに元気になってしまうのです。



フランボワーズの酢を使ったソースでしたか。添えられているのは、野菜の他に、「gnocchis」と書いてある。何かと思ったのですが、ニョッキでしたか。こんな綴りだとは知らなかった。

どこかのレストランで分厚く切ったレバーを食べてから、フォワ・ド・ボーは厚切りで、中は生くらいのが美味しいと知りました。

それで厚いのを買いたいのですが、肉屋さんでは薄く切ったものを並べているので、なかなか手に入りません。この少し前、肉屋さんで大きな塊を見かけたので、厚く切ってもらいました。厚く切ってもらうと、幅があるので、ものすごい量になってしまうと気がつきました。1人前が300グラムくらいの分量になってしまったので、半分は切って別の日に食べました。

それでも、厚みはこんなにはなかったのです。ここで出たくらいに厚く切るということは、ものすごい量を買わないといけないわけで、厚切りのフォア・ド・ヴォーを食べたかったら、レストランで食べるしかないか... と思いました。

どのくらいの厚さだったかを記録しておくために、食べかけの写真も撮っておきました。



こういう厚切りのフォア・ド・ヴォーと出会ったのはどこだったかと思って、過去のブログを探してみたら、出てきました。なあんだ、同じレストランだったのだ...。でも、料理の仕方は全く違っていましたね。

フォア・ド・ヴォー、大好き 2010/08/18


熟成させていないヤギのチーズ

料理を選んでいたとき、なぜかヤギのチーズに惹かれました。農家が配達してくれることになっているのだけれど、まだ来ないので、間に合わないかも知れないと言われました。

熟成していない、ほとんどフレッシュなものと書いてあったので、食べられないかもしれないと言われると、余計に食べたくなる...。

でも、届かなかったら別のチーズを注文するので気にしないように、とお給仕の人に告げました。

メイン料理が終わった頃、調理場で賑やかな話し声が聞こえてきました。農家の人がチーズを持って来てくれたのでした。ラッキー。



どこのヤギ飼育農家のを入れているのか聞いたら、私がいつも買いに行くヤギ飼育農家がチーズの作り方を教えたと聞いていた農家でした。「最近はなかなか上手に作るようになった」と言われていたので、やはり本家の方が美味しいかなと思いながら食べました。

でも、添えてあるサラダが良い。こういう色々な材料を少しづつ使うというのは、なかなか家庭ではできないのだな...。


ここまでは順番に食べたものについて書いただけ。この後のことは、自分用のメモとしても書いておきたいことのお話しになります。

続き:
レモンチェッロと白ナスが入ったティラミス

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奴隷のように働かされているとは感じない? 2014/02/05


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2015/05/26
本格的な春になったころから、夏の暑さがやって来るまでの間、野生の蘭(らん)の花が野原や森に咲きます。フランスで初めて出会って、こんなに美しい植物が自然に生えてしまうのかと驚きました。以来、機会がある度に探しています。

保護植物なので、採って花瓶に活けるわけにはいかないのですが。

自然保護の活動を行っている施設(行政から補助金が出るから運営していけるというNPO組織が運営)が、一般の人たちが参加できる野生のランの花を見に行くビジットを企画していると聞いて、参加することにしました。

お知らせには、ウオーキングシューズとカメラを用意してくださいとありました。

私は登山靴で参加。フランスで見学の企画があると、参加するのは高齢者が多いので、そんなに厳しい道を歩くはずはない。それで、登山靴ではオーバーだったかなと思ったのですが、それで良かったです。かなり急な勾配も歩きましたので。

集合場所から個々の車で見学が始まるところまで移動し、そこで車を降りてガイドさんに従って歩きました。保護する組織が管理しているので、ランがたくさんある地方のよう。歩き出したところから既に、たくさん咲いていました。

皆で歩き出すときには、ガイドの人が道路と草むらの間にもランが生えていることが多いので、踏まないように注意してくださいと言っていました。本当に、注意していないと踏んでしまいそうなところにもランが生えているのでした。


野生の蘭がある土地に咲く花

野生のランが咲くのは石灰質の土壌。そういうところには、こういう花が咲いているので、これを見たら近くに野生のランがある、という目印になるのだそう。


Polygala vulgaris / Polygale commun 【Polygala vulgaris】

この花は見慣れた花でした。道端の勾配になったようなところに群生しているのです。植物の名前をガイドさんは言ってはいなかったのですが、把握している植物だろうと思うので名前を入れました。

地面にへばりついているような小さな草なのですが、太陽の光を浴びているときは鮮やかな青い色をしています。白い部分もあって、花瓶に活けるには小さすぎるのが難点ですが、とても美しい花だと思っていました。

確かに、野生のランがあるところと、この花が咲いているところとは一致すると体験しています。

でも、混乱する情報を発見。

日本語では何という植物なのかを検索したら、こちらの情報が出てきました:
ポリガラ・ブルガリス Polygala vulgaris

どこのサイトかとさかのぼると、大学の植物生態研究室。つまり専門家のサイトなので信頼できるはず。ここに入っている写真を見ると私が見た植物と同じようなのですが、スコットランドのヒースで目撃されたと書いてあるのが不思議でした。

ヒース(Heath)と呼ばれる荒地と、ランが生える石灰質の土壌とは同じなのだろうか?...

私が子ども時代に好きだった小説に、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』がありました。

風が吹きすさぶ荒野。そして、そこには一面に、地面に這いつくばるような花が咲いている。

ツツジ科のエリカですね。

どんな風景なのかと空想しました。

北フランスのブルターニュ地方を旅行したとき、英仏海峡に臨むところに広がっていた荒野にエリカが広がっているのを見て、『嵐が丘』の舞台はこういうところだったのか、と感激しました。

つまり、我がブルゴーニュでは全く見かけない風景。

片仮名で書くと紛らわしいですが、北仏のブルターニュ地方は、ブルゴーニュ地方とは土壌が全く違う。家々には、驚くほど元気にアジサイが咲いていたのです。

ブルゴーニュ地方でアジサイやツツジのような植物を庭に植えようと思ったら、園芸店でterre de bruyèreという高いお値段の土を買って使わなければなりません。この土の名前は「bruyèreの土」という意味で、bruyèreはエリカです。つまり、エリカが育つ土ということなのだろうと思っています。

というわけで、ポリガラ・ブルガリスがヒースと呼ぶ荒地と結びつくというのは、私には不思議でならない...。でも、ブルゴーニュ地方でこの小さな青い草を見たら、そばにランがあるというのだけ覚えることにします。


この日に見た野生のランの写真を入れて整理してみます。写真の下に入れる名前はフランス語の呼び名で、【 】の中は学名です。

Wikipediaのリンクも入れたのですが、本来は日本語ページにリンクされているので便利なのに、フランスで見られる野生のランは日本にはないせいか、日本語へのリンクがありませんでした。


ドライブしていても車窓からも見えるほど目立つランの花たち

この日にあるいた3キロのコースでは、20種類くらいの野生のランの花が観測できるのだそうです。でも、まだ咲いていないものもあったので、当日に私たちが見たのは14種類だったとのこと。

野生のランは好きでよく探しているので、知っている種類も多かったです。

よく見かけるのは、こちらの2種類。

世が高いので、田舎をドライブしているときにあると、ゆっくり走らなくても目立って見えるのは、こちら ↓


Orchis pourpre 【Orchis purpurea】

背の高さは30~40センチあり、花もたくさんついているので、草の中でも目だって見えます。

名前は「pourpre(赤紫色)」と味気ない。でも、大きくてみごとなので、見つけると皆さん喜んでいました。


もう1つ、遠くからでも目立つのは、こちら ↓


Orchis pyramidal 【Anacamptis pyramidalis】

命名ではピラミッドの形に例えています。

たいてい20センチくらいなのですが、色が鮮やかなので目立ちます。

群生していることが多いので珍しくないラン。普通のランと違って、これは種で増えるタイプなのだそう。なるほど...。


臭いランの花

背が「赤紫色」くらいに高いし、髭のようなものが出ているので目立つランの花があります。白っぽいので、車を走らせているときなどには見えにくいですが。


Orchis bouc 【Himantoglossum hircinum】

名前は「bouc(雄ヤギ)」。

雄ヤギの髭に例えているというよりは、同じように嫌な臭いがするからです。

山羊のチーズの産地に行って山羊の姿はよく見るのですが、雄のヤギはめったに見かけません。ミルクを出す雌たちとは隔離しているからではないでしょうか?

一度、雄ヤギに出会ったときには、その臭さにびっくりしました:
クイズ: ヤギが首にかけているのは何でしょう? 2006/05/10

ランの花も強い臭いがしますが、本物の雄ヤギほどではありません。臭いを嗅いでみる人も何人かいましたが、仲には「そんなに嫌な匂いではない」と言っている人たちもいました。

いずれにしても、野生のランは、みんな嬉しくなるような匂いはしません。というか、みんな臭い。天は二物を与えず?


混合種もある

野生のランは自分でも見つけられるのですが、専門家に説明してもらう価値はあるなと思ったのは、図鑑を調べても出てこない品種があると教えてもらったことでした。

園芸関係者が品種改良をしなくたって、自生植物だって交雑していくのですよね。

森に咲いていた植物と、園芸店で買った同じファミリーのを庭に植えていたら、色々な花が咲いたのでブログに書いていました:
西洋オダマキは尻軽花だった  2011/05/19

毎年、色々な形や色の花が咲くようになっています。今がシーズンなので、その後どうなったかを書こうと思ったのですが、1本1本全部違うので、花を摘んで写真をとるのが面倒なので放置しています。

さて、野生のランも、こうなるというのを教えてもらいました。

まず、お父さん(?)は、こちら ↓


Homme-pendu 【Orchis anthropophora】

よく見かけるランです。かなり特殊な形の花になるので、すぐに見分けがつくようになったランです。それに、変な名前が付いているのです。

AnthropophorumHomme-penduという名前なのです。
「首つり人間」という飛んでもない名前!

まだ花は開いていませんでした。蕾を見ても、この変な命名の意味は分からないでしょう?

花が開くと、人間がぶらさがっているように見えるのです。

右の写真が開いた状態 ⇒
よく見えなかったら、画像をクリックして、拡大写真をご覧ください。

この日、たくさん生えているのを見ました。誰かが、森にはたくさん自殺者がいる、などと冗談を言っていました。


これに、もう一つ、私もよく見かけるランの花がかけ合わさったのができていたのでした。

お母さんと呼ぶことにして、もう一方の親は、こちら ↓


Orchis militaire 【Orchis militaris

花の形は手足がある人間のように見えます。こちらは、頭の部分がヘルメットのように大きい。それで、属名は「軍人」となっています。

兵隊さんが鈴なり、というわけ。


この両親が生えている場所の中間に、交雑種のランが生えているのをガイドさんが示してくれました。

こちら ↓


Orchidée hybride 【O. Pourpre XO Homme pendu】

下の方の花は枯れかかっていますけれど、上の方に見える花は、首つり人間がピンク色になった感じです。お母さんと見間違うのはピンク色な姿で、胴体が長いのはお父さん似。

こういう交雑種は、図鑑を見ても出ていないので、「ハイブリッド」と呼ぶしかないのだそうです。そのうちに増えてきたら名前が付くのだろう、とのこと。

そうか... と納得しました。以前に、見かけるランの名前を調べたことがあったのですが、どうしても見つからないものがたくさんあったのです。


ところで、上に入れた「軍人(Orchis militaire) 」と呼ばれるランにそっくりで、少し色が違うだけのもありました。ピンクと白の部分が逆転しています。これも「軍人」と呼んでいたっけかな?...



兵隊さんと呼べば、そう見える。でも、頭でっかちのお人形とか、赤ちゃんにも見えますけどね...。


変だと思っていたラン

フランスで野生のランを探すようになってから、変なので気になっていた種類がありました。

これです ↓


Néottie nid d'oiseau 【Neottia nidus-avis】

全体が薄茶色。キノコなら自然な色ですけど...。始めのうちは、去年に咲いたランの花が冬を越して枯れているのかと思いました。

れっきとしたランなのでした。

思い出してみれば、ツクシもこんな感じですけれど...。

名前は「nid d'oiseau(鳥の巣)」。

鳥の巣と言われれば、そうも見えるかな、という程度ですよね...。

これはたくさん生えていたのを見たし、覚えやすい名前なので、見分けがつくようになったと思います。


小さなランの花

この日の私が教えてもらって喜んだのは、小さなランの花でした。

よほど目をこらしていないと、草むらに隠れてしまっている。ガイドの人に教えてもらったので、たくさん見つけ出すことができました。



自然保護地区なので、観察している人たちが棒きれを立てたりして、散策をする人たちに注意を促しているところもありました。


これは見たことがあったとしても、何回も見てはいなかっただろうな、と思ったランの花です ↓


Ophrys mouche 【Ophrys insectifera】

「mouche(蝿)」という名前でした。ハエに似ていますかね?...

ハエは、この世に存在しなければ良いのに... と恨みに思う昆虫です。牧場の牛が呼んでしまうのか、フランスの田舎にはたくさんいます。庭で食事していると、ハエを手で追い払いながら食べるということも多々さるのです。

ハエなどという名前を付けられたこの花は、とても可愛いのに...。


名前をよく把握できなかった白いランの花たち

フランスに自生しているランにはどのくらいの数の種類があるのか分かりません。似ているものも多いので、名前を教えてもらっても覚えられない。

この日に見た白い色のランは紛らわしかったです。

下は、見たことがないと思ったラン ↓


? Céphalanthère à grandes fleurs 【Cephalanthera damasonium

品種名を書いておきましたが、写真を整理しているときには名前を忘れていたので、ここに書いたのが正しい呼び名かどうかは全く自信がありません。

ランの1種であるCéphalanthèreのファミリーで、「à grandes fleurs (大きな花)」とあるので、これだろうと思いました。でも、そんなに大きな花ではなくて、せいぜい野生のスズラン程度でした。


Céphalanthèreという種類には、もう1つありました。

こちらは「à longues feuilles(長い葉)」と名前に付いてあるので、これではないかと思う ↓


? Céphalanthère à longues feuilles 【Cephalanthera longifolia


もう1つの白い花。これは特徴があるので、時々見ている記憶があります。


? Platanthère à deux feuilles 【Platanthera bifolia】

この3つは区別が定かではないので、いつか図鑑で確認します。


ハイライトは、サボ・ド・ヴェニュス

この日に参加した人たちが最大の期待を寄せていたのは、このランだろうと思います。

急な崖を降りていったところに、200mくらいのサボ・ド・ヴェニュス観察道がありました。

ガイドさんは、始めのとろこではまだ咲いていないけれど、もう少し行くとたくさん咲いているところがありますからパニックにはならないように、などと説明。たっぷり時間をとりますから、皆で順番に観察したり、写真を撮ったりしてください、とも付け加える。


Sabot de Vénus 【Cypripedium calceolus】

名前は「Sabot de Vénus(サボ・ド・ヴェニュス)」。「ビーナスの木靴」という意味です。

フランスに自生する野生のランの代表に使われることも多い、超保護植物です。アルプス地方のような高原にあるのが普通なのですが、我がブルゴーニュ地方でも少しあるのです。

英語では「lady's-slipper orchid」と呼ばれ、聖母マリアの室内履きに例えているようです。

膨らんでいるところ、まさに「木靴」と呼ぶのにふさわしいのですけれど...。

野生のランの中では、これが最も大きな花を咲かせる品種なのだそう。

野生のランの王者とも呼びたくなるくらい、本当に見事な花です!

まだ固い蕾のもあったし、満開のもあったしで、とても良い時期に行けました。

もう少したつと、野生植物の保護機関が株を数えて、チェックしたところには小麦粉を撒いてしまうので、今が見学に最適なときなのだ、とガイドさんが説明していました。

私はここではないサボ・ド・ヴェニュスがある場所を材木会社の社長さんに教えてもらったので、できる限り花が咲く時期に行くことにしていて、このブログでも幾つかの記事を書いていました。

私が知っている場所は、近くに小川が流れているので、ここよりもずっと大きな株になっています。でも、ここは一面、あちこちにサボ・ド・ヴェニスが生えているのは圧巻でした♪


最後のオマケのような見学は、蜂に例えられるラン

サボ・ド・ヴェニュスを見た後は、勾配のある森の中を抜けて、平地に向かいました。森の中でもランの花が咲いていましたが、日当たりが良い場所よりは少ないですね。

見学に出発した場所の近くに戻ってくると、ここまででは見れなかった小さなランの花がある場所を教えてもらいました。村の公有林で材木の伐採権を買って暖炉用の木材を切った人たちが、材木をストックできるように村が提供している場所の裏にある草むらに珍しいランが咲いていました。

私の経験からすると、かなり土壌を選ぶランなのか、繁殖はしないせいなのか、見る機会が少ないランです。

2種類のランが咲いている場所で、その見分け方を教えてもらったのですが、どっちがどっちだか覚えられませんでした...。

下に写真を入れるランは、次のいづれかです:

何枚も写真を撮ったのですが、みんな同じに見えてしまう...。

名前の違いは、abeille(ミツバチ)か「bourdon(マルハナバチ)」。

ガイドさんの説明だと、花の上の部分が後ろに反り返っているか、前に曲がっているかの違いだと言われたのですが、どっちが、どっちだったか?...

それに、ミツバチとマルハナバチの違いも私にはよく分からないので、Wikipediaの写真を並べてみます。

ミツバチ
セイヨウオオマルハナバチ
Bumblebee

花に例えるなら、どちらでも良いと思ってしまうのですけどね...。

Wikipediaの写真で比べてみます。

Ophrys abeille(ミツバチ)
Ophrys apifera Blaye
Ophrys bourdon(マルハナバチ)

画像にはWikimedia Commonsに入っている写真アルバムにリンクしました。花弁の色が濃いピンク色か、薄いピンク色かでは判断できないようです。花の下の部分にあるビロードのようなところの模様が違うように見えるのですけれど、それでも見分けられない...。

名前を憶えても何かの役に立つわけでもないので、上に入れたランがどちらだったのかを探求するのはやめます。


楽しい1日でした。私がフランスで見ている野生のランの全てが見れたわけではありませんが、たった2時間歩いて回れる範囲で、これだけ色々な種類のを見ることができたのですから大満足♪

ちなみに、この日に咲いているのを見た野生のランは14種類だったそうです。

5月になってから雨が多かったり、気温が低かったりと、森や野原に自生しているランにとっては恵まれた年ではなかったそうですが、けなげに花を咲かせていました。

参加費は一人7ユーロ。見学コースの説明パンフレットを4ユーロで販売していました。図鑑には、見学コースの地図(GPSコード入り)があって、どの地点でどの花があるかの説明。それから、その地点で見られる21種類の野生のランの説明がありました。簡素な小冊子ですが、後で写真を整理しながら、見たランはこのうちのどれかのはずだと分かるので便利でした。

この日に参加したのは25人くらい。コースを教えてもらったので、友人仲間でゆっくりと歩いてみたいと思いました。デジカメやが普及する前は、カメラを持っていない人の方が多かったのに、今では誰もが写真を撮りまくるので、こんなに大勢だと邪魔(とは言ってはいけない!)だったのです。

ガイドさんの最後の挨拶は、友達に教えるのをはばからないでくださいね、という言葉でした。サボ・ド・ヴェニュスがある地域などは内緒にしてくださいと言うのかと思っていたので意外。でも、貴重な植物だから、みんなで守らなければいけないという意識を持たせるという意図なのでしょうね。



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの田園に咲く野生のラン
★ 目次: 森に咲く春を告げる花々

外部リンク:
Orchisauvage
Orchidées en France
Macrophotographie concernant les orchidées sauvages de France
ORCHIDEES sauvages - sud-ouest


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2015/05/23
オモチャをもらったみたいに喜んでいる友達がいます。

彼の友達が野菜を作っていた小さな畑があるのですが、高齢になって放置しているからと使わせてもらえることになったのだそう。それで、motoculteurと呼ぶものを買ったのでした。

畑に水源もあるくらいなので、ここのところの大雨で水浸しになっていました。ようやく水が引いたので、初めてそのオモチャを使う日、彼の友達がワインを持ってお祝いに行くというので、私もその応援に参加。

前回の日記(本格的な春になることを告げる「氷の聖人たち」)に書いた「寒のもどり」とされる日が過ぎたら野菜を植えられるようにと畑を耕し始めたのですって。

いました、いました。ほんと、嬉しそうに働いている!

これが、ご自慢のmotoculteurです。



フランスの田舎で家庭菜園をしている人の場合は、畑が広いので、こういう道具や、農家から買った中古のトラクターを持っている人が珍しくありません。

それで、motoculteurというフランス語は知っているのですが、日本語では何と呼べば良いの?

仏和辞典を引いたら、耕耘(こうてん)、ハンドトラクター、と出てきました。

耕転機なんて、聞いたことがないな...。
発音したら、好天気に聞こえてしまうではないですか?

Wikipediaで検索したら、出てきました。
耕耘機

耕運機管理機、和製英語でテーラーとも呼ばれるのですって。

そんなに呼び名がいっぱいあったら、買いたいときに何と言えば良いか迷ってしまうではないですか?

売られているものを探してみたら、「耕うん機」と呼ぶのが一般的なような感じがしました。


さて、彼が買った耕うん機をアップにしてみます。



ところで、motoculteurは日本語で何というのかを調べていたら、Motobineuseという単語もあるのを発見しました。

Wikipediaに入っている写真で比較してみます。
Rotary tiller compact
仏語:  Motoculteur
日本語: 小型ディーゼル耕耘機
英語: Japanese two-wheel tractor
HondaTiller
仏語: Motobineuse
英語: F210 Honda tiller

友達が手に入れたのは右に似ているように見える...。2つの単語の違いを聞いてみたら、友達が買ったのは、しっかり土を耕すのでmotoculteur(左のもの)だと教えられました。

友達のオモチャは、スーパーの店の前で、350ユーロ(約5万円)で売っていた中古品とのこと。新品同様で、しかも持ち主が土除けの比翼のようなものを付けて左右に広げていたから、新品より価値があるのだそう。

新品だと、1,000ユーロくらいするのだと言っていました。それで友達は嬉しくて嬉しくて仕方ない、と舞い上がっていたわけなのでした。

メーカーはヴァイキングという、聞いたことがない会社でした。どこの国かと聞いたら、北欧ではないかとの返事。勝手に想像しただけだと思うけれど...。

... といい加減なことを書いておくのも気が引けるので、調べてみました。ドイツ系のグループに入っている会社ですね。

ついでに、友達が買った機種の情報も出てきました。シリーズの中で一番高い、これではないかと思います。

http://www.viking-jardin.fr/Catalogue/Motobineuses/Motobineuses/249159-910/HB-585.aspx


商品名はMotobineuseになっていました。結局、こういうのをフランス人はmotoculteurで代表させてしまうのでしょうね。

それに、なあんだ、659ユーロで売っていますよ~! 

書きながら調べたところ、日本ではそんなに高くはないように見えたので、フランスではそんなに高いのかなと不思議に思っていたのです。でも、せっかく喜んでいるのに水を差しては悪いので、ご本人には教えないことにします。


ところで、フランスでこういうのを持っている人たちは、ホンダ製が多いです。それが一番優れたメーカーとして定着しているようです。自動車にしても、ホンダはフランスで人気があるように感じるな...。

この日、耕うん機の使い心地を私も試してみたいと言ったのですが、まだ土がぬかっているので、別の日に長靴を履いてくるように言われました。

ブンブンと動かしていたのですが、やはり力がいるのではないかな?...

あれから、彼は何回も畑に行って耕したとのこと。しばらく使っていなかった畑なので、草ボウボウだったのが、見事に耕せたのだそう。すごい耕うん機なんだ! と自慢していました。

そんなに耕うん機を動かすのが楽しかったら、畑はずっと更地にしておいたら? などと言ってしまった私。

書きながら気がついたら、耕うん機を動かす体験のために行くのを忘れていた。だって、ここのところ、とても寒かったのだもの...。もう植えつけも終わったそうなので、体験はできなかった。


今日は、別の友達が家庭菜園で育ったサラダやラディッシュを持ってきてくれました。温室を持っている人なので、収穫が早い。

お昼時だったので、友人夫妻を昼食に誘って、作りかけていたお刺身がメインの献立の量を増やしてみんなで食べました。食後酒まで進んで、昼食が終わったのは午後8時。

耕うん機を見に行った日も、仲間の人の家で10人くらいで昼食をして、お開きになったのは真っ暗になってから。

ブルゴーニュにいると、なんだか食べてばっかりいるみたいな毎日...。



ブログ内リンク:
安いと喜んで買ったトラクターが壊れて落ち込んだ友人  2011/08/11


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2015/05/15
庭の外れにある、「bonnet d'évêque(司教の帽子)」と呼ぶ実がなる木に花が咲いたので写真を撮ってみました。



見えない? マウスを近づけるとアップになります。それでもよく見えない!

秋になって色づくと目立つのですが、その木だと分かっていないと、花が咲いて見分けがつきません。花を眺めて覚えようと思ったのですが、やはり秋にならないと、散歩していて出会っても目に止めないだろうな...。

この司教の帽子に似た実がなる木については、すでに書いています ↓


ボネ・デヴェック(司教帽)と呼ばれる木  2011/09/30

今年は、たくさん花が付きました。今年の天候が気に入ったのか、実がたくさんなるほど根付いてくれたからなのか?... あるいはまた、教会の鐘が故障していて、アンジェラスの鐘がならなくなっているので怒っているから?...

教会の向う側にある家の人は「静かになって良かった」などと言っていますが、私は1日3回聞こえるはずのアンジェラスの鐘がならないのは物足りなくて仕方ありません。静かにさせたかったなら、どうでも良い15分毎に鳴る時の鐘の方をやめて欲しかった...。


寒さを呼ぶ3聖人 - 寒のもどり

春になると、家庭菜園をしている人たちが「Saints de glace(サン・ド・グラース)」という言葉をよく口にします。「氷の聖人たち」という意味。3人の聖人の祭日、5月11日から13日の3日間を指します。

この時期を過ぎると、もう氷点下には下がらないから安心、という目印。その時期を過ぎてから路地に種を蒔いたり、苗を植えたりするというわけです。

今年は、移動祝日の昇天祭(Ascension)が5月14日だったので、その直前で分かりやすかったです。

3聖人とは、フランスではSaint MamertSaint PancraceSaint Servaisの3人なのですって。3番目のSaint Servaisの祭日というのは、Saint Gervaisの祭日と言われることもあるのだそう。聖人はたくさんいますから、1日に複数の聖人の祭日であったりもするので、それは納得することにします。

サン・ド・グラースの3聖人の名前は教えてもらっても覚えていなかったので、この際、表にしてみました。
5月11日5月12日5月13日
Mammertus
Saint Mamert
(Mamert de Vienne)
マメルトゥス
432(?)~475年
San Pancrazio Guercino 1616
Saint Pancrace
(Pancrace de Rome)

289/ 290(?)~304年
Maastricht, Treasury of Saint Servatius, reliquary bust of Servatius
Saint Servais
(Servais de Tongres)

300~384年
現在の聖人:
Sainte Estelle
現在の聖人:
Saint Achille
現在の聖人:
Sainte Rolande

この3人が行ったことには全く関係していないようです。

昔からあったもので、春になったと喜んでいるこの時期に突然寒くなることが多かった時期ということで、農業をする上でマークしていたのだそうです。

フランス語で「Saints de glace(サン・ド・グラ-ス)」は、英語では「Ice Saints」と呼ぶらしい。フランス語をそのまま英語にしていますね。それを英和辞典でひくと「寒のもどり」という訳語が出てきました。日本語には「花冷え」という言葉もありますね。

なるほど。そう訳すことにすれば、聖人たちとは誰なのか、などとは気にしなくて良いわけだ...。

この「氷の聖人たち」の祭日は、フランスでは一般的なもののようで、ガーデニング関係のサイトでも、天気予報関係のニュースでも、よく用いられます。

5月も半ばにならないと本格的な春ではない、というわけなのですね。遅いでしょう? 日本も北海道あたりだったら、そういう感じでしょうか?

ブルゴーニュでは、だいたい当たっている感じがします。最も、今年はまだ油断できない感じですけれど。そうなるとフランス人たちは、「サン・ド・グラースが過ぎたのに寒い...」と、恨みがましく言います。

どっちみち、フランスの気温というのは季節との関係が薄いように思います。ここのところも、夏のように暑い日があったり、冬のように寒い日もあったりと、いろいろ...。

でも、氷点下になる危険があるかどうかくらいだったら、ボーダーラインが引けるかな?...


フランスのカレンダー

フランスのカレンダーには、たいてい祝うべき聖人の名前が書いてあります。聖人の名前をファーストネームにしている人が多いのです(昔はそれだけだったように感じますが、最近は変わった名前が流行ってきています)。聖人の祭日には、その名前の人の誕生日みたいな感じで「おめでとう」を言う習慣があるからでしょう。

といって、ごく親しい人だったら、あるいはカレンダーで見て気がついたら「おめでとう」くらいなのですが、なかには毎日カレンダーでチェックして、おめでとうの電話をしているのではないか、というマメな(?)人もいます。日本でいえば、年賀状代わりかな?...

今、壁にかけているカレンダーを見たら、5月11日から13日までの3日間は、全く違う聖人の名前が書いてありました。

1960年に、カトリック教会が、この日はどの聖人というのを変更したようなのです。確かに、天気予報の3聖人は時代が降るすぎて、土着の信仰の影が残り過ぎていたかもしれない。

ともかく、天気予報に使われていた3聖人は消えて、順番に、Sainte Estelle, Saint Achille、Sainte Rolandeの祭日になっているそうです。でも、天気予報で言う時の聖人の名前はそのまま。つまり、カレンダーを見ても確認できなくなっている、というわけでしたか。


氷の聖人は3人、というわけでもなかった

ガーデニング関係情報では、サン・ド・グラースが過ぎても油断してはいけない、と書いてありました。本当に、もう寒くはならないから安心して良いというのは、Saint Urbainウルバヌス1世 (ローマ教皇))の祭日が過ぎてからなのだそう。その祭日は、5月25日です。

アレクサンドル・デュマ・ペール『三銃士(Les Trois Mousquetaires)』と同じだ、と書いている記事がありました。『三銃士』と同様に、実際の主人公は4人いる、というわけ。

Les Trois Mousquetaires


それでカレンダーを見ると、またSaint Urbainの祭日だとは書いてない! 今年の5月25日(月)は、移動祭日の「聖霊降臨祭の翌日の月曜日(Lundi de Pentecôte)」なので、カレンダーにはそちらが書いてあったのでした。確かに、学校や会社が休みの日なのだと示す方が大事ですからね。

それにしても、フランスのカレンダーって、なんでこんなにややっこしくできているんだ! フランスはライシテ(政教分離)の国と言いながら、満月がいつだったかによって変わるキリストの聖人暦を国民の祭日にしておかなくったって良いのに...。


ここで、ふと、また疑問が生まれる。

いつから氷点下にならないか、というのを聖人の祭日で表現するのはキリスト教文化なわけですが、ヨーロッパでも寒い国と暖かい国がありますから、聖人の祭日に合わせるのには不都合があるはずではないですか?

Wikipediaで調べてみました。

英語情報ではIce Saintsで、ヨーロッパ諸国のことを書いています。国によって少し異なるようですね。イタリア語のリンクでは、4人の聖人にしていて、5月11日~14日。ドイツ語とオランダ語では、5人の聖人で、5月11日~15日のようですね。プロテスタントの国だと異なっているように見えます。

Wikipediaにはスペイン語へのリンクがなかったのですが、スペインでは言わないのかな...。フランスよりカトリック信仰が遥かに残っている国なのに、でも、スペインとか、スペイン語を使う南米諸国だったら、氷点下にならないのを5月まで待つということはないと思うのですよね。


こんなことを書き出してしまったのは、サン・ド・グラースが過ぎたからと、さっそく耕した友達の家庭菜園を見に行ったことを書こうとした気になってしまったからでした。

続き:
友達が買った中古のミニ耕うん機



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

Les saints de glace : dates et histoire
☆ Wikipédia: Saints de glace
Les trois Saints de Glace comme les Mousquetaires étaient quatre
Attention aux Saints de Glace du mois de mai
Dernier Saint de Glace 2015 : des gelées ce matin 2015/05/21
☆ Wikipédia: Liste de saints catholiques
ライシテ(laïcité)とは?


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2015/05/11
近所に住む人が森で摘んだスズランの花束を持ってきてくれたのは、1週間ほど前。しばらく続いていた雨が上がった頃でした。



私がスズランを摘むと葉もたくさんとってしまうのですが、フランス人がスズランで花束を作ると、こういう風になるのだな... と思ったので記念撮影しました。

スズランを贈るフランスの習慣では、5月1日と決まっています。それは過ぎていたのではありますが、スズランを男性が贈ってくれるのは、やはり嬉しいです。

少し前に、友人たちが家に来ていたとき、通りかかった彼にも食前酒を振る舞ったので、そのお礼だったかもしれない。

でも、離婚して以来ひとり暮らしをしている彼は、誰かにスズランを贈りたくて森に行って、たくさんあったので私にも1つ花束をくれたのだろうと思いました。お相手は誰かな? 後で別の近所の人に聞いてみたら、誰それと言われたのですが、顔は思い浮かばなかった。私は人の顔と名前を全然憶えられないのです。

それにしても、日本で60歳をとうに過ぎた男性が、近所に住む女性たちに森で摘んだ花を贈るということをするだろうか?...


あっと言う間にこれだけ花を摘めたのだそう。スズランが満開だから行くと良い、と言われました。

野生種のスズランが庭でも花を咲かせているけれど、それをとって花瓶に活ける気はしない、という話しをしました。私の庭にはスズランが咲いているのだけれど、毎年、花を付けないスズランもあるので残念に思っている、と続ける。そうしたら、スズランには雄と雌があるので、全部が花を付けるわけではないのだ、と言われました。

そういうものなのでしょうか?... この人は、野生のキノコ、それも1種類だけを探すのが名人という人なので、言われたことをそのまま信じるわけにはいきません...。


その2日後、強い風が吹いていたのが収まったので、森に行くことにしました。

しばらくの間、毎日雨が降っていたせいで、水浸しになっている牧場や畑があちこちにできていました。

白いシャロレー牛たちは、牧草をはんでいるのか、水を飲んでいるのかという景色。生まれたばかりの赤ちゃんなど、世の中はこんなに水浸しなんだ、なんて思っているのだろうか?...




立ち寄った川でも、川の流れを変えるために堰があるところでは、ゴーゴーと音を立てて、水があらぬ方向に向かったりしながら渦巻いて、怖くなるほど...。津波って、こんな感じなのかな?... などと思ってしまう...。




雨が多いと喜ぶのはエスカルゴ。もう食べられるくらいに大きなブルゴーニュ種のエスカルゴたちがいました。でも、収穫解禁は、まだ1カ月近く先です。




野原には、色々な種類の野生の欄が咲き始めていました。




私のお目当てはスズラン。森の中で車を走らせて、道路端までスズランがあるのが見えるところで下車して、森の中に入り込みました。

どこまでも続くスズラン畑。ものすごくたくさん咲いている♪ 日蔭のあたりではまだ固い蕾も多かったので、もう少しスズランの季節は続きそうです。

1カ所だけでとても摘みきれないほど咲いていました。もうこれ以上はいらないと思うまで摘んで、近くの村にあるカフェに行きました。お天気が良かったので喉が渇いてきたのです。テラスでビールを飲んでから家に帰りました。


スズランの量が多かったので、小さな花瓶を幾つも使うのは面倒。それで、今年はこんな風に活けてみることにしました。



森に行った日から4日後に撮った写真だし、全部の茎が花がちゃんと水に浸っているかも確認しなかったのですが、まだお花は元気ですね。丈夫な花だから、フランス人は森で摘むのが好きなのでしょうね。

フィレンツェで買った、直径30センチくらいの陶器を使いました。そのままでは花が落ち着いてくれないでしょうから、フレッシュチーズの空になったプラスチック容器を3つ入れてみたら、ちょうど良い大きさ。ところが、野生のスズランの茎は背丈が低いので埋もれてしまう。それで、陶器の壺の厚みのある蓋を入れて上げ底にしてみたらピッタリ。

このくらい大きくすると豪華で良いな。来年のために、どういう風にしたかメモしておきました。

これで、収穫したスズランの半分の量です。片手でぎゅっと握れる花束サイズで4つ分くらい。残りは花瓶4つに入れました。

スズランは背が低いので、大きな花瓶にドサッと入れられないのが難点。かなりいい加減に花を活けたのですが、それでも30分くらいかかってしまいました。森で摘むのは、もっと短い時間でできてしまったのに...。

森に咲くスズランは、お花屋さんで売っているスズランとは比較できない強い香りがします。

花の形を見ただけで、野生のスズラン(私には本物)と、園芸店で売っているスズラン(私には偽物)は、すぐに見分けられます。

強い香りがあると言っても、スズランの控えめな香りです。

このくらいたくさんの森のスズランを飾った部屋に入ると、フワーッと漂ってくる甘い香りが漂ってきて、その心地よさがたまりません!

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2015/05/09
前回の日記(「聖母マリアのハート」の不思議)で、日本ではケマンソウ、タイツリソウなどと呼ばれる植物について書きました。

フランスでは「聖母マリアのハート(Cœur de Marie)」と呼ばれて親しまれている植物です。

ところが、英語圏では「Bleeding heart(血を流す心臓)」というドギツイ名前になっていると聞いて、何を意味するのか気になってしまったのでした。


ケマンソウは東洋が原産地で、19世紀にヨーロッパに入ったようです。

それをフランスでは聖母マリアに例えてしまうのは突飛ですが、フランスを旅行していると古代のケルト文化の時代のものに十字架を立ててしまうというのはよく見るので、それは気になりません。

このブログでも、2つの例を紹介していました。

 

フランスではマリア様を引き出しているのですから、英語の命名もキリスト教的な発想なのだろうと思ったのですが、そうでもないような... ということで前回の日記を書き終えたのですが、どうにも「Bleeding heart」という命名が気になる...。

それで、また少し調べてしまいました。


Bleeding heart とは?

英語で「Bleeding heart」といったらケマンソウ、というわけではなくて、色々なものに使われていました。その一覧がWikipediaのこの項目に入っています

音楽関係で使われていたり、犯罪小説の題名だったり...。単数でも複数でも使われる。

鳩の中にも、「Bleeding heart」と名を付けられた種類がいるのも発見。例えば、学名はGallicolumba luzonicaという学名が付いている鳩。



怪我をして血を流しているみたいに見える、変な鳥ですね~。でも、動物には信じられないくらい突飛な姿のがいるので、気にしないことにする。

英語の名前はLuzon bleeding-heart。鳩の心臓って、ここら辺にあるのでしょうか?

Wikipediaでは日本語にもリンクしていて、フィリピンのルソン島固有種のヒムネバトとなっていました。ヒムネって何だ? と思ったら、韓国語では「頑張れ」の意味があるらしい。それと関係しているのかどうかは分かりません。

いや、胸が緋色でヒムネかな?... だとしたら、日本では胸と捉える部分が、英語圏だと心臓になる?...

この鳩に与えられているフランス語の名前はGallicolombe poignardéeとなっていて、短刀で刺されたイメージを付けています。つまり、こちらは、心臓とも、キリストや聖母マリアの心臓とも無関係な命名。でも、短刀でさすのは、やはり心臓の場所なのかな?...

たとえこの鳥がフランスに多く入って、ペットとして親しまれたとしても、ケマンソウのようにキリスト教とは結びつけないだろうという気がします。赤い部分はハート型ではないのですから。でも、英語圏では心臓にしてしまうのだ...。


「Bleeding heart」は、地名でも使われていました。

ロンドン市内に、Bleeding Heart Yardと呼ぶ地名があるのです。建物に囲まれた中庭のようなところの名前が「Bleeding Heart」。

その命名は、この場所で、イギリスの貴族の女性Lady Elizabeth Hattonの死体が心臓から血がしたたる状態で発見された場所だった、という言い伝えがあるからとのこと。

そこにフランス料理店が建っていて、地名をとってBleeding Heartという、食欲を失いそうな名前が付いていました。


それで思い出したフランス映画があります。

『天井桟敷の人々(Les Enfants du paradis)』に、「Le Rouge gorge」という名で呼ばれる居酒屋が登場していたのです。

「rouge(赤)」と「gorge(のど)」を組み合わせた単語ですが、フランスによくいる鳥の名前として知られています。

さすがに変な名前の店なので、説明をしている場面がありました。

店の先代の主人が喉を切られて死んだから、そういう名前になったのだ、とのこと。

rouge-gorgeは、スズメくらいの大きさで、可愛い姿をしているのですけどね...。



この鳥は、日本語ではヨーロッパコマドリ。英語ではrobin(ロビン)で、喉から血を流しているようなイメージのあだ名は付けられていないように見えました。

分からないことを調べているときりがない! この辺で止めておきます。


ともかく、ケマンソウはBleeding heartと呼ばれるのだと教えてくださったaostaさんとコメントのやりとりをして、欧米人は血に対する感覚が我々日本人とは違うのだろう、という点で意見が一致しました。

日本でも、植物や動物の名前に血のイメージを入れている例があるのかな?... あぁ、また疑問がわいてしまった!

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外部リンク:
☆ Almanart: la couleur rouge


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2015/05/07
今の時期に庭に咲く植物の中に、なぜか気になる花があります。もう満開は過ぎたのですけれど。


フランスで「マリア様のハート」と呼ばれる花


2015/04/29撮影

白い花もきれいだと思って、ピンクの株の隣りに植えたのですが育ちませんでした。



私はフランスで出会った植物で、フランスでは「Cœur de Marie(マリア様のハート)」と呼ばれて親しまれているので、ずっとヨーロッパ的な花だと思ってました。ところが、原産地は中国や朝鮮半島なのでした。

この植物の学名は、Dicentra spectabilis

日本では、仏堂に飾る華鬘(けまん)に似ていることから「ケマンソウ(華まん草)」、釣竿に鯛がひっかかっているようなところから「タイツリソウ(鯛釣り草)」などとの名前が付いているのだそう。日本には15世紀初期(室町時代)に入ったと書いている情報がありました。

私が知らなかっただけで、日本ではよく知られた植物のようです:
ケマンソウを楽天市場で検索

この植物はアジアからヨーロッパに入ったのは確かなはず。それなのに、なぜ聖母マリアの心臓に例える花になったのか不思議...。

この植物については、以前にもブログで書いていました:
植物も、ところ変われば?: 聖母マリアのハート、法王のコイン 2009/06/07


英語圏では「血を流す心臓」という名前だった

少し前に読んだブログ「消えがてのうた part 2」に入っていた「春の花」の記事に、この植物についてコメントで書いたところ、英語での呼び名は「Bleeding Heart)」だと教えていただき、ますます謎が深まってしまいました。

ふっくらとしたピンク色のハート型の花びらを聖母マリアの心臓に例えるのは違和感がありませんが、「Bleeding Heart(血を流す心臓)」というのは余りにも毒々しい表現ではないですか?!

確かに、この花は、滴のように垂れている部分があって、満開になると、くす玉が開いたように2つに割れます。



血が出ている心臓に見えるかな?...

フランスでは、私の庭に咲いている花のようにピンク色のものが一般的で、白い花もあるという程度です。でも、赤い花が咲く種類もある。



これだと、心臓から血がしたたり落ちているように見えなくもないですけれど、ピンクや白の花からはイメージができません...。

それに、スカートの裾を広げているような姿は、私には愛嬌さえあるように見えるので、これを「血を流す心臓」に例えるのは納得できません。

この花をハート・ブレイクに例えたいなら、ロメオとの愛の道を貫けると明るい気持ちで毒薬を飲んでしまったジュリエットに例えて、「ジュリエットの心臓」と呼べば良かったではないですか? シェイクスピアの国イギリスの命名だったのでしょうから...。

私はヨーロッパの植物だと思っていたケマンソウは、イギリスへは日本から渡ったと言われていました(19世紀半ば)。

フランスでは「マリア様の心臓」という愛らしい名前をつけているのに、なぜ英語圏では「血を流す心臓」というドギツイ呼び方をするのか調べてみたら、この花の名前の謂れはこれだ、という英語情報が出てきました:
Bleeding Heart Flower

日本の昔話を持ち出しているのですが、日本人の私からすると、かなり日本的ではないと思えるお話し...。

若い男性が美しい娘に恋をしたので、高価なプレゼントを贈ってハートを射止めようとします。1つめはペットにして飼うための贅沢な2匹のウサギ。それでは気を引いてもらえないので、シルクで作ったスリッパをプレゼント。ところが、まだ娘の心を射止められなかったので、有り金をはたいて高価なイアリングを贈る。それでも娘は結婚の承諾をしてくれない。もう贈り物はできなくなった男は、ナイフをとって自らの心臓を突いて自殺した。

彼が死んだ場所から、この植物が生えたというわけ。上にリンクしたページでは、プレゼントしたものがこの花にはあるのだと、部分を写真で見せていました。

そんなお話し、日本にあるのでしょうかね?... かぐや姫のお話しの逆でしょう? しかも、兎、シルクの靴、イヤリングが登場する。中国の昔話だと言われたら、それほど違和感を感じませんが...。死んだ後に生えた植物という結末も、フランスではナルシスと呼ぶスイセンや、『トリスタンとイズー』の結末のスイカズラを思いださせるので、ヨーロッパ的なお話しに見えてしまう...。


ケマンソウの花言葉は?

日本でのケマンソウの花言葉を拾ってみました:
あなたに従う、従順、恋心、冷めはじめた恋、失恋

上のお話しと重なっているようにも見えなくもない...。案外、花言葉からでっちあげたお話しだったりして?...

フランスでの花言葉はうまく見つからなかったのですが、失恋とは結び付けていないように見えました。聖母マリアの心臓に見立てているので、愛のシンボルのイメージがあるようです。

フランスのガーデニングのサイトのバレンタインデーに送る花特集で、「Je t'aime」をケマンソウの花1つを入れて表している写真を入れていました(このページの始まりに入っています)。英語にすれば「I love you」の「love」をハートで置き換えるのと同じ。

もしも英語圏でケマンソウが失恋した若者の話しと結びついているとしたら、そんなことはしないでしょうね...。

英語圏の花言葉も探さないといけない。

Elegance(エレガンス)、Fidelity(忠誠、忠実)が最も一般的な感じでした。日本のと重なりますね。でも、犠牲、失恋を挙げている人もいる。犠牲というと、フランスと同じようにキリスト教のイメージも入ってくるので混乱します...。

でも、どうせ花言葉なんて花屋さんのPRに使われるものだと思っているので、気にしないことにします。


カトリックと新教の違い?

ケマンソウは、英語圏でも、フランスのようにマリア様のハートに例える呼び名があるのではないかと思って、「Bleeding Heart」に「キリスト」や「マリア様」もキーワードに加えて検索してみました。

少し出てきました。でも、クリスチャンのサイトばかり...。

例えば、こちら:
Reparation Through Flowers

ケマンソウの花の写真には、「Symbols of both Jesus and Mary, united in redemptive and coredemptive sacrifice」というキャプションを入れていました。フランスでのイメージと同じ発想ですが、キリストも入れているのが不思議...。

これはUniversity of Daytonのサイトなのですが、アメリカのカトリック系大学なのだそう。

それで、はたと閃きました♪ 間違っているかもしれないけれど、これが原因ではないかな?...

フランスの教会でよく見る宗教画や彫像に描かれている心臓のがあるのです。

 

例えば、パリの有名な教会にサクレ・クール寺院(Basilique du Sacré-Cœur de Montmartre)がありますが、この「Sacré-Cœur(聖心)」が、キリストの人類に対する愛の象徴を示すキリストの心臓なのですよね。マリア様の心臓の方は、「cœur immaculé de Marie(マリアの純潔の心臓)」。

「聖心」について調べてみたら、これはカトリックで好んで使われるシンボルで、ルーテル教会を除く大多数のプロテスタント諸派ではキリストの心臓を重んじてはいないとのこと。しかも、カトリックでは聖母マリアを特別扱いしますが、プロテスタントではキリストの母であるマリアを崇敬する概念がないらしい。

となると、ケマンソウを聖母マリアの心臓に例えるのは、非常にカトリック的な連想と受け取るべきなのでしょうね。

イギリスもアメリカも、カトリック教徒が主流の国ではない。とすると、英語圏では、ケマンソウが入ってきた日本と結びつけ、キリストやマリアのハートよりは失恋した人のハートに結び付けたかったのではないか?…

もしそうだとすると、ヨーロッパのカトリック諸国ではケンマソウを「マリアのハート」あるいは「キリストのハート」という愛称を付けても良いはずなのに、Wikipediaのケンマソウから各国語への」リンクのタイトルでは「マリア様のハート」という題を付けたページが見当たらないので不思議...。

スペイン語のページでは、英語から訳したと思われる「corazón sangrante」の呼び名が普及しているようです。Wikipediaはデタラメも平気で書いてあるので信じてはいけないのではありますが、スペインにケマンソウが伝わったのは、日本からイギリスに入ったものが伝わったと書いてありました。

とすると、イギリスの情報と一緒に植物が入ったはずなので、キリストかマリアの心臓とは結び付けなかったのが理解できます。ただし、フランスの呼び名と同じ「corazón de María」という名で売っているスペインの園芸ショップもありました。スペインはフランス以上にカトリック信仰心が残っている国ですから、その方が売れると思うな…。

カトリックの総本山イタリアでは、フランスほどに通称にはなっていないようですが、「cuore di Maria」とも呼ばれている、と書いてありました。イタリアにケマンソウが入った経緯は分かりませんでしたが、たとえイギリス経由だったとしても、今でも敬虔な信者が多いイタリアではカトリックの心臓のイメージを連想はしたはずですもの。

ここでまた気になったので調べてみたら、ケマンソウがフランスに伝わったのは中国からで、19世紀。その植物をもたらしたのはイギリスの植物学者ロバート・フォーチュンだという情報がありました。

Wikipediaの説明では、cœur-de-Jeannette(ジャネットのハート)、cœur-Saignant(出血しているハート)」とも呼ばれるとありました。私は聞いたことがなかい呼び名ですが、後者は英語と同じですね。ジャネットは女性の名前ですけれど、誰のことか分かりません。


マリア様の入浴姿?!

英語圏では「Bleeding Heart」が一般的なようなのですが、「Lady-in-a-bath」とも呼ばれるのだそう。



この花は切って花瓶に入れると、すぐにしおれるので、切らないことにしているのですが、逆さまになって覗くと、こういう風に見えるのかな?... 花弁を無理に開かないと見えないような気もします。マリア様のハートだと思ったら、そんなことはしたくないけれど。

ともかく、こんな風にマントをまとった女性の姿のように見えるとは知りませんでした! 実に不思議な花ですね...。

英語で「Lady」というのはマリア様を指す場合が多いと思うので、ここでフランスの命名と重なってくるのでしょうか?... でも、お風呂を持ち出すなどはキリスト教文化圏では不謹慎なはずなので、ただの貴婦人なのかな?...

2つに割れたところから現れるなら、桃から生まれた桃太郎でも良いと思いましたが、例えるなら女性でしょうね。

ボッティチェリの『ビーナスの誕生』を思い浮かべました。



「ビーナスの誕生」という名前にしても良かったのに、なぜお風呂を持ち出したのだろう?

でも、イギリスは、私が親しんでいるフランスとはかなり違った文化とメンタリティーがある国なので想像がつきません。これ以上は「なぜ?」とは考えないことにします!


追記:

推測を続けても分からないものは分からないのだからと諦めようと思ったのに、やっぱり「Bleeding Heart」という言葉が気になる...。

それで、また少し情報を集めてみたのを続きで書きますが、やはり「Bleeding Heart」というのは、自殺とか他殺とかのイメージになるのであって、キリスト教は想起させないのではないかと思いました。

実は昨日の食事会でイギリス人夫妻とおしゃべりをしたので、聞いてみようかなと思いました。でも、こういうのは人によって違う受け止め方をしているはずなので、2人の意見を聞いても無意味だと思って質問してみませんでした。

続きは、こちらです:
首に傷があるような姿の鳥たち



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ Wikipédia: Cœur de Marie
ケマンソウ
☆ Wikipedia: プロテスタントにおけるマリヤ観


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