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2015/06/30
ここのところ、ニュースでは「カニキュル」という単語が連発されています。canicule(猛暑、熱波)のこと。

今日、6月30日午後2時から要注意とのこと。午後2時とは変な設定だと思ったのですが、太陽時計では正午なのでした。実際、今の時期に気温が最も高くなるのは、夕方という感じの時間です。

この猛暑は1週間、長ければ10日間続くらしい。


暑いのに弱いフランス

フランスの天気予報は全く当たらないと思っているのですが(有料サービスを受ければ正確な情報が分かる)、こういう一大事のときはちゃんと伝えるようですね。テレビなどでは、戦争が始まるみたいに騒いでいます。

というのも、2003年の猛暑では、不注意だった人たちなど、多くの犠牲者が亡くなってしまったからです。猛暑が原因で何人亡くなったかは判断しにくいので色々な数値が出ていたのですが、15,000人ということで落ち着いています。

その2003年の教訓があるので、その後は猛暑に対する警戒を呼びかける報道をするのは異常なくらいに感じます。

脱水症状をおこしやすくて危険なのは高齢者なので、老人ホームなどでは対策に忙しいようです。

冷房があるのは、ショッピングセンター、図書館、映画館です、などとも言って、そういうところに避難することを薦めたりもしているのは、ちょっと滑稽にも思ってしまう。フランスでは、普通のオフィスや家には冷房なんかはないのです。

私がフランスで旅行しているとき、暑くてたまらないときに避難するのは教会です。どこにでもありますから、不謹慎ではありますが、涼む場所としては最適だと思っています。キリスト教は、寒さをしのいだり、暑さをしのいだりする場を人々に与えることも考えていたのかな、とも思いますが。さらに涼しいというか、寒いくらいなのは、古い教会にあるクリプト(地下聖堂)。でも、まじめなテレビの番組では「猛暑の時には教会に行きましょう♪」とは言えないのがフランスらしい。ライシテ(政教分離)の国ですから!

できるだけたくさん水を飲みましょう、と言っていますね。炎天下で道路工事の作業をする人などは、1日3リットルの水を飲む必要があるのですって。

場所によっては、最高気温が40度にもなるのだそう。私のいるところの天気予報では、今日は最高33度というから大したことはない。でも、明日は38度と出ていました。

ニュースを見ていて、面白いなと思ったのが、今朝発表されたフランス気象局(Météo-France)の猛暑注意報地図です。


Carte de vigilance Météo-France (2015年6月30日 午前6時5分)

オレンジ色に黒いマーク(温度計?)が入っているのが、猛暑注意報の地域。ブルゴーニュ地方の4県は、しっかりその中に入っています。

大陸性気候って、こういうのか... と思いました。気温が極端に上がってしまうのは内陸部なのです。暑そうに感じる南フランスは緑の安全地帯になっています。


あまり猛暑、猛暑と騒ぐので、今朝は薄着でウロウロしていたら、くしゃみが止まりませんでした。朝はひんやりしているのです。猛暑開始の午後2時になったら、本当に暑さが凄まじくなってきたと感じました。というのは、外に出てみると分かること。

さすがに昔の人は賢いので、昔に建てられた石造りの家の中はひんやりしているのです。猛暑で苦しむのは、コンクリートの近代建築が家だったりオフィスだったりする人たちです。

それでも、夜にも気温が下がらない暑さが2週間くらい続けば、さすがに石壁は温まってしまうので、家の中も耐え難く暑くなります。我慢できなくなったら、地下のワインセラーに逃げ込むという手もありますが、夏服なんかで入ったら風邪をひいてしまうくらい寒いです。


今年は美味しいワインができるかな?...

夏に暑い日があるのは普通なのですが、今年は少し早過ぎてやって来たのが心配のようです。

今年の天候は少し異常かもしれない。暖冬、それから寒いけど、まあまあかなと思う春。大雨。寒いと震えていると、突然の暑さが来たのが何回かありました。

でも、植物たちにはそう悪くない気候だったのではないかという気がします。

庭の小さなフルーツたちが元気にたくさん実をつけていますので。

下は、ブルゴーニュ名物のカシス。Noir de Bourgogne(ブルゴーニュの黒)という品種です。



実が熟してきたので収穫しないと...。シャーベットを作ることにします。

天候や果実の実り方を見ていると考えてしまうのは、今年のブルゴーニュワインはどうなるかな、ということ。雹が降って大きな被害があったというニュースも聞かなかったし、猛暑がきたりするのは良いことなのではないかという気もします。

2003年に猛暑で騒いで以来、寒すぎるくらいの年が続いていて、ワインもいまいちと思っていたので、今年が良いミレジムになると良いな...。なぜか、1985年から、5で割れる年はワインの当たり年だったように思っていた気がします。

まだ時期が早すぎて、今年のワインがどうなるかという情報は出てきませんでした。




追記:

厚生省では猛暑に関する情報ページを作っているのですが(Canicule et chaleurs extrêmes)、テレビでは猛暑に対するアドバイスをする電話があると盛んに言っていました。電話番号は 0 800 06 66 66 で、固定電話からは無料。

電話ではどんな情報を流しているのか興味がわいたので、電話してみてしまいました。高齢者向け、子ども向け、などによってボタンを押すように指示してきました。どうせ、テレビで言っているようなアドバイスの録音テープを流しているのだろうと思っていたので、「その他のアドバイス」らしき数字を押したら、呼び出し音が2回か3回鳴っただけでオペレーターが出てきてしまった!

「厚生省です、ボンジュール」などと言うのであせりました。「すみません、間違えました~!」と言って電話を切りました。でも、「あの~、テレビでは水を飲め、飲めと言っていますが、ワインをたくさん飲んでも同じ効果があるのでしょうか?」などと、バカな相談をしても良かったのでしょうか?...

こんなにすぐに電話に出てくれるということは、どのくらいの人数のスタッフを配備しているのかな?...  お忙しいのに、ご迷惑をかけてしまって、申し訳ありません! 私の好奇心は病的なのです...。

フランスって、本当に不思議の国...。例えば、モデムがこわれてインターネットが使えないときにプロバイダーに電話すると、延々と待たされるのです。もちろん、クレームをする電話でも、応答を待つ間も追加料金を払わせられるのです。

本当に困っている人を助けるときは、ちゃんとサービスをする国なのかな?... インターネットが使えないときだって、買ったばかりの電気製品が動かないときだって、かなり困るのだけれど、助けてくれない。

ふと思いました。今でも福島では、子どもたちの健康を気遣っている人たちがたくさんいるはずですが、そういう人たちのために、日本政府は気楽に電話できる無料相談窓口を設けているのだろうか?...

ブログ内リンク:
2003年の猛暑 2003/07/20
猛暑は続いている... 2015/07/17
猛暑のとき、パリで涼しく過ごせる場所は? 2013/08/03
フランスの猛暑を乗り切る方法 2006/07/03
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)

外部リンク:
【楽天市場】暑さ対策特集
canicule(猛暑、熱波)の語源


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カテゴリー: 四季、自然 | Comment (0) | Top
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2015/06/28
フランスでは、歴史に残る偉人にゆかりがある家屋であることを示す記念碑プレートを付けている建物があります。それを茶化しているようなプレートが付いている建物もある。

フランス人の冗談好きの現れであって、面白がってプレートを付けているのだろうと思っていました。ところが、そこに住んでいる人たちには断りもなく、なんだか変な記念碑プレートが付けられる、ということもあるのだそう。

記念碑プレートについて書きながら調べていたら、特にパリでは、それをやられて当惑しているマンションのニュースが出てきました。面白いからそのままにしておくか、やはり根拠のない記念碑プレートは取り外すべきか?... と、住んでいる人たちは悩むらしい。

つまりは、犯人がいるということ? どうでも良いことなのではありますが、気になったので背景を調べてみました。


何もなかった年月日の記念碑プレート

前回の日記「フランスの建物に付いている記念碑プレート」では、フランスの建物には記念碑プレートが付けられているのを紹介して、こんなのが付いていた家もありました、と書きました。


ここでは、1583年4月17日に、おそらく何もおこらなかった

何もなかったなどという記念碑プレートを付ける必要はないのですから、おふざけだとすぐに分かりますよね?

これはよく見かけるプレートで、文章には多少のバージョンがあります。「全く何もおこらなかった」と書いてあるのは共通していますが、それがいつだったかは統一されていません。それから、「何もおこらなかった」のが、どの程度のことであるかを示す副詞の部分が異なっていたりもします。

下は、「おそらく」の文字がないシンプル・バージョン。


1967年4月17日に、ここでは、何もおこらなかった

私が一番好きなのは、「おそらく(probablement」何もおこらなかったではなくて、「strictement(厳密に、完全に)」何もおこらなかったという文章。その方が愉快ではないですか?

こういうのです ↓


ここでは、1891年4月17日に、厳密に何もおこらなかった

上のプレートは、文房具店で売っているのを見たことがあります。こちらのネットショップでも売っていますね。29.90ユーロですって。エナメル加工した高級品のプレートですが、4,000円を少し超える金額。そんなにお金を出して遊びたくはないですよ~!


ここまで書いて、ふと、気がつきました。

ここで挙げた3つ例では、それぞれ年号は異なっていますが、4月17日(17 avril)ということでは共通しているのです。何か特別な日なのでしょうか?

プレートに書いてある「rien(英語にすればnothing)」の文字で思い出したのは、フランス革命が勃発した1789年7月14日の日記として、ルイ16世が「Rien」とだけ書いていたという有名なエピソード。襲撃を受けていながら「何もなし」はないだろうと言われましたが、実は、彼の日記は趣味にしていた狩猟について書いていたので、「今日は、獲物は何もなかった」というだけの意味しかない文字だったのでした。

その日記の日付は7月14日。今日では革命記念日として祭日になっているので、フランス人には馴染みが深い日付です。その日付の数字を逆に読むと4月17日になりますね。フランス語で「17 avril(4月17日)」と書いてあるのを見たときには何も思わなかったのですが、日本語にすると年月は数字だけになるので見えました。

わざわざ4月17日としているのは、7月14日のアナグラムなのではないか、という気がしてきます。

とはいえ、何もなかったと書いてあると、実は何かがあったのではないか? と気になってくる。偽の記念碑プレートに書いてあった年月日には何か特別なことが起きていたのかもしれない、と調べまくったフランス人のブログも出てきました。

でも、プレートを作ったのはフランスではない可能性もあるのだし、年号や年月には意味がないと思った方が良いのではないか、と結論しました。そうやって、思わせぶりなことをするのが、こういう偽の記念碑プレートの狙いなのでしょうから。


フランス人はジョークが好き

前々回の日記(「お向かいさんより、うちの方が良い」というプレート)で、こんなプレートを買って塀に付けた友人がいたことを書いています。
Plaque
"Ici c'est bien mieux qu'en face"

フランス人は、何か書いたものを張るのが好きなのかもしれない、と思いました。

カフェの中でも、よく見かけます。
こんなのが壁に貼ってあるのを見た、とブログにも書いていました:

 
カフェで飾りたくなるジョーク? 2014/04/15

フランス人から、フランスとイギリスのジョークはかなり違うのだと言われたことがありました。イギリスのジョークというのは、かなりグサリと差すほど辛辣なのだそう。これを見たとき、なるほどね... と思ったので写真を撮っていました。 

ワイン農家で試飲する場所の壁にも、格言風の文句が掲げられていることがよくあります。例えば、「女性とワインは悲しみを忘れさせる」とか...。

友達の家でトイレをかりたとき、壁にユーモラスなことを書いてあるのが貼ってあるのも良く見かけます。

でも、考えてみれば、何か書いてあるのを飾るというのは、日本人もよくやりますね。

こういうのは日本の観光地のお土産屋さんなどで売っているので、好きな人は多いのではないかと思います。私は教訓を家の中に置いたり、壁に張ったりというのは、なぜか好きではないのですけれど...。

日本とフランスを比較してみると、大きな違いがあると感じます。

日本では、生き方を示唆する言葉とか、元気づけになるような言葉ですよね? フランス人が飾るのはジョークばかりのように思います。それが日本のような格言だった、というのは見たことがないような気がする...。

日本人は、反省して前進しようと努力する。フランス人は、笑ってごまかして、前向きに生きる... という違いがある、と言えるのかな?...


本物らしく見える記念碑プレートもある

フランスでは、著名な人物にゆかりがあることなどを示す記念碑プレートが家の外壁などについていることが多いという例を書くために、こんなサイトがあったのでリンクを取っていました:
Liste de plaques commémoratives parisiennes

スルスルとスクロールして入っている写真を眺めて、パリで見かけた記念碑プレートの写真をコレクションしている人なのだろうと思いました。記念碑プレートなんていっぱいあるのだから、そんな写真をコレクションしていたらきりがないではないか、と思いました。

放置してブログを書いていたのですが、リンクを残す価値があるかと思って再び開いて、少し文字も読んでみたら、なんだか変なのでした。

例えば、こんなプレートが入っているのです ↓


公務員のKarima Bentiffaは、このマンションで、1984年から1989年まで生活した

公務員というだけで記念プレートが付けられているのは奇妙。それ以外に何か功績を残した人だったのだろうかと思いませんか?

この名前で検索してみたら、これと全く同じ文章のプレートが、パリ市内でかなり離れた地域の4カ所に付けられていたと出てきました。従って、偽物であるのは確か。

「〇〇年には何もなかった」などというのは、ひと目でジョークだと思わせます。でも、人の名前が書いてあると、私は知らないけれど、何か特別な人がいたのだろうかと思ってしまう。パリの国立古文書図書館まで行って、そのプレートが昔からあったのかと調べていたことを報告している人までいました。

結局、Karima Bentiffaは架空の人物のようです。同じ名前で文章が異なるものもあるのです。

別の名前を使っている偽のプレートもありました。職業などで誰であるかを説明する部分にも色々あって、公務員の他に、セクレタリー、配管工、専業主婦、独身、ルイ15世の情報処理技術者、等など...。

それから、誰それは「ここには住まなかった」、このプレートは何年何月何日に取り付けられた、などというのもありました。


誰が記念碑プレートを付けていたか?

こういうのは、その建物に住んでいる人がおふざけで付けているのだろうと思っていたのですが、そればかりではないのでした。

ある日、マンションの壁に記念碑プレートが取り付けられているのに住人たちが気がついて、書いてある人物は誰なのかなどと不思議に思ったりしている、という話しが出てきました。

もう10年くらい前から、パリではこういう偽の記念碑プレートがたくさん付けられている、とニュースになっていたのです。

自分の家に勝手に何かを付けることを禁止できる法律はないようなのですが、勝手につけられてしまった場合は、住人が取り外して良いのだそう。そんなことがニュースに書いてあるということは、被害(?)を受けた人が多数いるということなのでしょうね。

何なのか気になってきました。しつこく調べていたら、やっと理由が出てきました。

謎めいた偽の記念碑プレートだったのですが、ついに誰がやっているのかも判明したのだそう。あるアーティストが、仲間の手助けも得て、2001年の夏から、ひそかにプレートを付けていた、とマスコミの取材に応じていました。

ちゃんと、悲惨な事件があったような通りは避けているのだそう。目的は、不快感は抱かせずに、通りがかった人が都会では語られることもない無名の人々もいることを考えさせることにあるのだ、と言っていたらしい。

そのアーティストは簡単に持ち運べる折り畳みの梯子も用意していて、プレートを取り付けることで警察に目をつけられることがないようにも注意しているのだそう。

もっとも、本物のプレートに見えるだけで、材料費はそんなにかけていないらしいです。ポリスチレンの板に、浴室用の糊付き壁紙を使っているとか。

そう聞くと、二番煎じかな、と思いました。

パリには、人が気付かないうちに壁に落書きをして有名になった女性アーティスト、Miss. Ticがいるのです。名前を発音すると、英語でもフランス語でも通用する「ミスティック」になる。

そのことを書いた記事:
Miss.Tic(ミスティック): パリで人気の落書きアーティスト 2011/11/07

でも、ミスティックはサインを残していますが、記念碑プレートをとりつけるアーティストはプレートにサインは残していないし、マスコミの取材に応えるときも名前は明かしていません。何のために、そんなことをするのかな?...

ともかく、偽の記念碑プレートも存在するということは、観光しているときに注意しなければいけないかも知れない。ただし、さすがに実在の人物の歴史を歪めるものではなく、読めばジョークだと分かるものばかりにしているようです。そこまでに止めておかないと、犯罪になって逮捕されてしまいますものね。

シリーズ記事: 家の記念碑プレート


ブログ内リンク:
★ 目次: フランス人のジョークについて書いた記事

外部リンク:
☆ Réponse à Tout: Les fausses plaques commémoratives 30/09/2008
☆ Le Monde: Le mystère des fausses plaques commémoratives sur des immeubles parisiens 19.11.2002
☆ Le Parisien: Des fausses plaques commémoratives sur les façades 11/11/2002
Epigraphie immobilière parisienne
Une plaque de rue émaillée bien énigmatique: " Ici le 17 avril 1891 il ne se passa strictement rien !"


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2015/06/24
フランスで観光していると、建物に色々なプレートが付いています。道路の名前、番地というのは分かりやすい。それ以外に、文章が書かれていて、何か意味ありげなものもあります。

それから、観光地だと、建物の名前やまつわる歴史について説明しているプレートがあることが多い。ガイドブックを見ていなくても、何だったかが分かるので便利。市町村が観光客のためにプレートを付けているので、統一されています。親切なところだと、フランス語と英語で書かれています。

それとは別に、形やデザインなどが統一されていないで、短い文章が書いてあるプレートもあります。


著名人や歴史にまつりがある建物であることをプレート

前回の日記(「お向かいさんより、うちの方が良い」というプレート)の続きで、こんな変なプレートもあると写真をお見せしようと思ったのですが、書き出しながら情報を調べていたら、そんなのもあるの? と驚くプレートが出てきました。それで、変なプレートのことを書く前に、まともなプレートをご紹介しておくことにしました。そうでないと、何が面白いのか、何が変なのか、お分かりいただけないかもしれないので。

フランスの建物には、芸術家、作家、政治家、歴史に貢献した人など、つまりは著名な人たちが、その建物で生まれたとか、住んだとか、死んだとか、何をしたかとかが書いてあるプレートがあります。その建物で、歴史に残る出来事があった、というのもたまにあります。

たいていは四角くて、簡略な文章が書いてあります。
こんな風なプレート ↓



ここでピエール=ポール・プリュードンが1758年4月4日に生まれ、1823年2月16日にパリで死亡した、と書いてあります。

ストリートビューでは、こちらを開くと、左隣の家にプレートがあるのが見えます。

たいていは、名前の後に、職業や功績が書いてあるのですが、このプレートには名前だけしかないですね。

ピエール=ポール・プリュードン(Pierre-Paul Prud'hon)は、画家であると説明する必要もないほど有名でしょうか?

彼はクリュニー(ブルゴーニュ地方)生まれ。この家がある通りは、もちろんプリュードン通りです。

これにあるように、プレートの文章は「Ici(ここ)」で始まることが多いように思います。


こういうプレートのことを、フランス語では「plaque commémorative(記念プレート)」と呼びます。何かがあったことを示す記念のプレートというわけですね。

日本語では何と呼ぶのでしたっけ? 日本では余り見かけないではないので、言葉が必要になったことがない!

フランス語を直訳して「記念プレート」として書こうと思ったのですが、適切でない気がします。Wikipediaでは「銘板(めいばん)」として項目を設けていました。でも、フランス語よりも使われる範囲が広いので、イコールでは結べないように思いました。

イギリスの場合は、日本でも「ブルー・プラーク(Blue plaque)」という言葉が広く使われているようでした。これと同じ機能を持つプレートなのですが、フランスでは色々なのがあるので色や形で呼ぶわけにはいかない...。

適当な言葉が見つからないので「記念碑プレート」としておきます。モニュメント銘板、記念碑銘板も考えたのですが、どうも「めいばん」という言葉が私には馴染みがないので使いたくない...。

「めいばん」と言われたら、私は音楽で使われる「名盤」を思い浮かべてしまいます。例えば、「私が泊まったホテルには、ビゼーのメイバンがあった」と言ったら、彼の不滅の名盤とされたレコードが置いてあったと思ってしまうではないですか?


記念碑プレートは、あちこちに付いている

フランスには昔からある家がたくさんあるので、有名人にゆかりがあることを書いたプレートを付けた家をあちこちで見かけます。

観光客への配慮からくるのか、その町や村の誇りの現れなのか?... はたまた、昔のことを忘れたくないというメンタリティーがフランス人にはあるのか?...

思えば、フランスの友人が故郷だった地域を旅行していると、「この家は、私が小学生のときに住んでいた家なのよ」などと案内してくれることがよくあります。あまりにそれをやられると、せっかくなのだから観光スポットに連れて行ってくれた方が嬉しいのに... と思ってしまう。

そんなことが日本であったのは、「子どものときに住んでいた家が建て替えられて、今は県知事の家になっている」と案内された1回だけでした。日本人は、そのくらいの豪邸でないと、わざわざ連れて行かないと思うけれどな...。


現像代を心配しないで良いデジカメを使うようになってからは、知っている人の名前がある記念碑プレートに出会うと必ず撮影しているように思います。

最近は、場所を記録するためにGPS付きのデジカメで撮るように心がけるようになりました。でも、デジカメで写真を撮っているときに、ここだけはとスマートフォンを取り出して写真をとるのを忘れてしまいがちだし、GPSの調整が悪くて間違った場所が写真に記録されてしまうこともありますが...。

例えば、こんな写真をデジカメで撮っていました。



右に通りの名前があって、上の数字は番地。矢印を付けたのが記念碑プレートです。

ピカソはこの建物に1936~55年まで住んで、ここにあるアトリエで1937年に『ゲルニカ』を描いた、と書いてあったので写真を撮ったのでした。

バルザックにもゆかりがある、というのは無視。

どんなところだったかな、と後で思えば、写真には住所も記録しているので検索できます。
この場所のストリートビュー

そこではプレートが見えないので、プレートが画像を探すと、こちら


古い建物が多い町だと、こういうプレートがやたらにたくさん付いています。

パリの中心地は、さすがに著名人が多く住んでいたし、歴史に残る出来事も多かったので、古い建物で何もプレートが付いていない方が例外的なのではないかと思ってしまうほど多いような気さえしてしまいます。何もプレートがない建物に住んでいると、ステータスが低いように思ってしまうかもしれない...。

知っている人の名前があれば、ああ、あの人はここで生まれたのか、ここで亡くなったか... などと感慨深く思います。好きな、あるいは研究している著名人にまつわる家を探して訪れる人たちもいるでしょうね。著名人の生家をリストアップしたフランスのサイトまでありました。

でも、全く知られていないような人のための記念碑プレートもたくさんあるのです。

歴史に名を残した人はたくさんいるのだし、これからも有名人は出てくるのが当然。それほどの業績を残さなかった人についても記念碑プレートを付けていたら、壁はそればかりになってしまうではないかと思ってしまう...。

下は、エミール・ゾラの娘のDenise Aubertが夫と共に1908~1914年までこの町に住んだ、というプレート。「この町」と書いているということは、この家に住んだわけではないわけ? どうでも良いことが気になってしまう...。




下のように、農村にある、何でもなさそうな民家にも記念碑プレートが付いていることがあります。



これは、いまだに逸話が語り継がれているディジョンの名物市長だったキール氏が生まれた家。日本でもキール酒のおかげで彼の名が知れているようです。


思いがけないところで記念碑プレートを見たりもするので、フランスで観光しているときには、建物に付いているプレートを読む癖がついています。

ところが、変なプレートもあるのです。

前回の続きで、こんなプレートが付いている家がありました、とお見せしようと思った写真は、これでした。



書いてあるのは、次の内容:
ここでは、1583年4月17日に、おそらく何もおこらなかった

こういうのをご覧になったら、どう思われますか?

この写真だけ入れるのも不親切なので調べてみたら、色々と知らなかったことや、もっと面白いプレートも出てきたので、別のページにして続けます。

続き:
★ 家屋についている記念碑プレートの謎を解く

シリーズ記事: 家の記念碑プレート


内部リンク:
★ 目次: 画家、彫刻家、建築家の足跡を追って
★ 目次: ブルゴーニュの古都ディジョンの観光スポットや特産品など

外部リンク:
L’atelier de Picasso rue des Grands Augustins
Guide National des Maisons Natales


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2015/06/22
庭の外れで、道路に面した塀に、こんなプレートを付けた友達がいました。



書いてあることは、こんな感じ:
- ここは、お向かいさんよりずっと良い。

道路の向こうにあるお家の人と喧嘩したから、と思われますか? そうではないのです。


隣の芝生は青く見える

日本にも、似たような表現がありましたね。
- 隣の芝生はうちのより青い

でも、これでは上に入れたプレートが言っていることの正反対になってしまう。

「隣の芝生...」というのは、英語から来ていて、こういう文章らしい:
 - The grass is always greener on the other side (of the fence).

この英語の文章がWiktionnaireに入っていて、フランス語訳はこうなっていました:
 - L'herbe est toujours plus verte dans le pré du voisin.
 - L'herbe est toujours plus verte dans le champ du voisin.

英語と仏語の文章はだいたい同じなのですが、太字にしたところが大きく異なっています。

フランス語の方で比べているのは、「voisin(隣人)」の「pré(牧場)」 ないし「champ(野原)」なのです。

英語では「もう一方の側」と言っているだけなのに、なぜフランスでは隣の牧場ないし草原としているの? お隣の家に牧場とか野原があったら不自然ではないですか?!...

私は、日本語で「隣の芝生は自宅のより青く見えるものだ」というのは、お隣の家、つまり他人をねたむ感情のことだと信じ込んでいたのですが、私の間違いだったのかな?...

それで、先ほどのWiktionnaireの仏語ページから英語へのリンクをクリックしてみたら...
この写真が入っていたのでした!

Cattle eating grass through barbed wire fence.jpg

「隣の芝生」って、こういう例えだったの?!


フランスには牧場がたくさんあるので、こういう場面はよく出会います。何を苦労して首を伸ばしているの、馬鹿ね... とユーモラスに思う瞬間。でも、それを見て、「隣の芝生は...」という表現と結びつけたことは一度もありませんでした。だって、日本語では「芝生」なのだから、牧場の家畜は連想しないではないですか?

英語版Googleで「the grass is always greener on the other side」を検索してみると(検索結果)、やはり、家畜が柵の向こう側に首を突っ込んで草を食べている写真が多くて目立ちました。

英語の「grass」は、芝生でも牧場の草でも良いでしょうし、「fence」も家のフェンスでも牧場の柵でも良いと思えます。英語圏の人たちも、人間の浅はかさは棚にあげておいて、動物がやっている馬鹿な振る舞いということで持ち出しているのでしょうか?


「隣の芝生は青く見える」と同じ意味の例えとして、日本には「 隣の花は赤い 」、「隣の糂粏味噌(じんだみそ)」があるそうです。でも、私は使ったことがありません。

そもそも「糂粏味噌」とは何なのか分からないので調べたら、「ぬかみそ」のことなのでした。これってピンと来ないな。自分のものを食べ慣れているのですから、よその家より美味しいと思う方が普通ではないですか?...

私だけボキャブラリーが乏しいわけでもないらしくて、日本では「隣の芝生は青い」という表現が一般化しているようでした。

興味深い説明がありました:
☆ 日本語を味わう辞典: 隣の芝生は青いとは何か

そもそも、隣の家に芝生があるだけで、日本人は羨ましく思うからなのだそう。洋風の家に住みたがるということ? 私はお金持ちだったら、本格的な日本家屋に住みたいですけど...。

「高度経済成長の日本国民の気分を表現する言葉」と表現されていました。なるほど、と思いました。

ともかく、「隣の芝生」という訳はお見事だったと思いました。日本人に牧場にいる家畜の習性などというのはイメージが湧かないでしょうから。


なぜ隣より自分のところの方が良い、とプレートに書いてあったのか?

隣の芝生とは全く関係がなく、納得させられる理由があるフレーズなのです。

クイズにしようかと思ったのですが、やめました。

プレートを張った家の写真では遠景をぼかしてしまっているので、理由は見えないかもしれない。それに、フランス語を入れているので、調べればわかってしまうので、不公平な出題になってしまう。

というわけで、答えを書きます。

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2015/06/21
「今日から夏だ」と言われました。6月21日は夏至なのです。日本では、梅雨が明けたら夏という感覚があるのだと、日本の田舎に住む友達から教えてもらったのは去年のこと。四季が感じられない東京育ちのせいか、私はカレンダーを月で4等分して春夏秋冬に分類してしまっています。

暖房を入れたくなるほど寒かったり、猛烈に暑かったりするので、風邪をひかない方が不思議なくらいの天気が続いています、

前回の日記「お花がいっぱいのレストラン」で書いた日は、飛びぬけて暑い日でした。その前に寒かったので、毛穴が全部しまっているという状態なのではないかな。普段は寒がりな私なのに、こういう風に突然やってきた暑さは耐え難い。


ブルギニョンにぶたれると、どうなる?

ブルゴーニュ地方は内陸性気候の典型。冬の寒さはきびしいのだけれど、夏の暑さも凄まじい。

気に入っている表現に、こんなのがあります。
Le Bourguignon tape dur.
ブルギニョンは激しく叩く。

ブルギニョンというのは、形容詞なら「ブルゴーニュの」という意味で、ブルゴーニュの郷土料理の名前にも入っていますね。ブッフ・ブルギニョンとか、フォンデュー・ブルギニョンとか。

でも、ここでは名詞なので、普通ならブルゴーニュ人。でも、このフレーズにあるブルギニョンは、ブルゴーニュ地方の太陽のことを言っているのです。

つまり、ブルゴーニュの太陽は猛烈に照りつけてくる、という感じになります。

少し気取った文章を書くときに出てくることがある程度で、そんなに一般化しているフレーズではないのですが、暑いときには正にその感じの太陽なので私は気に入っています。

誰かこのフレーズを初めに使った作家がいたのかなと思って検索したら、19世紀の小説『La Filleule De Lagardère』に、下の文章が入っていました。

N'empêche que le Bourguignon (le soleil) tape dur et que j'ai crânement envie de rincer le bec..

ここで初めて使われたとも思えないのですが、面白い文章。ブルゴーニュの太陽だから、やはり喉が渇くとワインを飲みたくなるのに結びつくというわけかな?...

この日の私たちも、まさにその感じでした。レストランに入ったら、まず白ワインを注文して、すぐに持ってきてくれるように頼みました。実は、その前から脱水症状に近かったので、カフェに入って食前酒代わりにシャブリを飲んでいたのですけど。 


興味を持ったばかりのドメーヌのワインがあった

ワインリストを見ると、1週間前に行ったレストランで飲んで気に入ったブルゴーニュの白ワイン「ブーズロン」のドメーヌの名前がありました。

その時の日記:
やたらに美味しいブーズロンに出会う 2015/06/07

迷わず、それを注文することにしました。

お給仕の若い女性に、このジャクソンという苗字のドメーヌのブーズロンが美味しかったので... と話すと、???の反応。「ワインのことはよく知らないので...」と言います。ソムリエさんでもないのだから当然だし、そう言うのは素直で良いですよ。知ったかぶりをするのが一番悪いですから。

このお給仕の女性は、お料理の説明はみごとでした。全部味見をしているのだろうと思ったのでした。

今回選んだのは、ジャクソンリュリ・プルミエ・クリュの白ワイン。畑の名前はグレジニーで、ミレジムは2012年。


Rully 1er Cru "Grésigny" 2012年

暑い日だったので、濃厚な白ワインは欲しくなかったのでした。さっぱりしているけれど、しっかりとした風味があって、こういうワインが飲みたかった、とずばりと思うワインでした。

やはりこの新しく発見したドメーヌはマークしたくなる。

友人たちとワインの買い付けに行くとき行きたいと言い出そうと思うので、お値段を気にしています。ブルゴーニュの友人たちは、安くて美味しいワインを買おうとするのです。

先日行ったレストランで飲んだブーズロン2012年は、34ユーロでした。今回のリュリ・プルミエ・クリュ2012年は、それよりずっとランクが上なのに、29ユーロ。

このドメーヌは日本にも輸出されているので、日本での販売価格をチェックしてみました。まさかブーズロンよりリュリ・プルミエ・クリュの方が安いということはないだろうと思たのでけれど確かめてみる。

「ポール ジャクソン」を楽天市場で検索

ジャクソンのリュリ・プルミエ・クリュも日本で売られていました。


やはり、ブーズロンより高いですね。当然だと思います。今回は入ったレストランは、ワインで儲けようというのがないのかな?...

ドメーヌのサイトでも、このワインをチェック。

アロームは桃とアプリコットと書いてある。なるほど。そういう表現が私はできないのですよね...。

この銘柄のワインを作るブドウ畑も、ドメーヌでは古株がある畑になっていました。ブーズロンは1937年に植えられたと書いてありましたが、こちらは1950年。

フランスワインで「ヴィエイユ・ヴィーニュ(古株)」という表記には法律的な規制がなくて、植えてからたった10年でも「ヴィエイユ・ヴィーニュ」として売っていたりするのです。ここはその単語を使っていない。このくらいの古株になると、何年に植えたと書く方が信頼を得られますよね。

フランスのネットショップでもお値段を調べてみました。例えば、こちらでは、こうなっていました。

先日のレストランで飲んだブーズロン2013年は13ユーロ。リュリ・プルミエクリュは、2012年は23ユーロで、2014年のだと17ユーロ。

とりあえず、ワイン買い付け仲間の友達1人に話してみました。すると、「リュリ・プルミエクリュで17ユーロは、ちっと高いな」と言われてしまった...。

  【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ ABC de la langue française: bourguignon
☆ BIVB: Rullyリュリィ
☆ Wikipedia: 至点


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フランスのお酒 (ワインなど)



2015/06/20
出かけたとき場所に気に入ったレストランがないと困る。先日行ったところは観光地なので、レストランはたくさんあるのです。でも、今までお気に入りにしていたレストランは、前回に行ったとき、経営者のシェフが引退するのだと言っていたのでした。

ひょっとしたら続けているかも知れないと思って店の前に行ってみましたが、やはり店はしまっている...。

めぼしいレストランを全部で7軒か8軒まわって、店の前に出してあるメニューを眺めて歩きました。

ここで一番評判が良いと聞いていながら入ったことがない店があるので、この際、そこにしようかなと思ったのですが、入り口に英語、それに日本語でまで料理の名前が書いてあるのが気に入らないのでボイコット。いかにも観光客目当てでやっているところは美味しくない、と思っているのです。

少し離れた村に行けば、リーズナブルプライスで美味しい料理が食べられるレストランがあるのですが、食事の後には人と会う約束があるので、そうしてはいられない...。

少し前から胃の調子が悪かったのも問題でした。こういうときに質の悪い料理を食べると症状は悪化するので、レストラン選びは慎重にしなければならないのでした...。

新鮮な食材を使ったさっぱりとした家庭料理か、最近はやりの健康に良い料理が食べたい。

しかも、この日は一緒に行った友達に私がご馳走することになっていたので、いい加減なレストランには入れないという条件も加わっていたのでした。まずい食事をさせてしまったら、1日中ご機嫌が悪くなるでしょうから。

iPhoneのアプリで、ミシュランの評価も眺めてみました。

安心して食べられるのはここしかないかな、というところに入ることにしました。

お気に入りのレストランができるまではそこで食事したことがあったはずなのですが、どんな料理が出たかは思い出さない。でも、ミシュランガイドの評価はフォーク1つが付いているので、悪くはないはず。


この日食べたのは、これだけ

入ってみると気取ったレストランではないので、私はフルコースを食べなくても嫌な顔はされないだろうと判断しました。

それで注文したのは、ある程度ボリュームがありそうな前菜と、フレッシュチーズだけ。

レストランに入ったからにはフルコースを注文するのが礼儀だと思っているので、お腹がすいていなくても無理をするのですが、こんな注文でも許してもらえるようなアットホームな雰囲気を感じたのです。フランスでレストランに入って、こんな風に席をいただくのは遠慮すべきような注文の仕方をしたのは初めてだったような気がします。

お給仕の女性に、「胃が痛くて食慾がないので...」と言いわけをすると、「問題ありませんよ~」と気さくに答えてくれました。どういう風に出すかを聞いてくれたので、一緒に食事する人のメイン料理が終わったらチーズを出してくれるようにお願いしました。

私が選んだ前菜は、本日のお勧め。サラダに温かい肉がのったものなので、食慾がない私にはメイン料理代わりになりました。



子牛の胸腺、リードヴォー。シビレと訳すのですか? フランスでは高級食材らしいのですが、変な部分です。ソテーして甘味を付けている味付けでした。こういう風な調理法には初めて出会いましたが、なかなか美味しい。自宅では料理したことがない食材なので食べられたことに満足。

サラダは、なぜか私が時々やるやり方なので思いました。レタスを細かく切ってしまって、スライスしたラディッシュを混ぜている。普通は、フランス人はレタスを千切りにしてしまうということは皆無らしいのです。レタスの葉が固すぎるときには、これが一番だと私は思うのですけど。

家庭料理みたいなサラダではありますが、美味しいので文句なし。


フレッシュチーズを選んだのは、伝統的な食べ方であるハーブを添えていると書いてあったからでした。最近は、フレッシュチーズをとったときに、ハーブを付けてくださいと頼まないと、グラニュー糖だけ持ってくるレストランが多いのです。



パセリ、エシャロット、チャイブがみじん切りになっています。きれいに切ってあるな... と感心。私も包丁をよく研がないと、こういうみじん切りはできないのだと反省...。

フレッシュチーズには生クリームも入れることが多いのですが、ここでは生クリームはなし。でも、胃の調子が悪いときは生クリームなしの方が食べやすいと知りました。

一緒に食事した友人の方はボリュームのあるフルコースにしていたので、料理を少し味見させてもらっていたので、ちょうど良い加減にお腹がいっぱいになりました。

レベルが高い料理ではなかったのですが、ひと昔前のフランスでは、こういう風な感じで美味しかったな、と懐かしくなるような料理。つまり、最近多くなってきた、工場で作った料理とか、冷凍食品を使ってはいないという自然な味。

このレストランの前に掲げられているメニューには、「次のもの以外は全てホームメイドです」と書いてあったのでした。ホームメイドではないとして並んでいる5つくらいの食べ物は、レストランで作るはずがない地元特産のハムなど。

ここのところ、フランスのレストランが自ら厨房で調理しないところがあるという問題について書いていたので、こういうレストラン側のアピールの仕方もあるな、と面白く思いました。

★ シリーズ記事目次: フランスの外食事情とホームメイド認証


コーヒーに添えて、お給仕の人が「ホームメイドです」と言ってお菓子を出してくれました。



素朴なお菓子なのですけれど、非常に美味しい。こんなのが自分で作れたらな...。私の近所にあるパン屋さんでも手作りのお菓子を作って売っているのですが、このレベルには達していないです...。


お花がいっぱい♪

なんだか自分の家で食事しているような心地良さを感じたのは、レストランに飾ってあったお花のせいだったとも思います。花屋さんと契約して花でないのが気に入りました。

ミシュランのガイドブックにも、ご主人が料理をして、奥さんはお花を飾っていると書いてあった。



私たちのテーブルに飾ってあったのは、この花瓶。

知りたいと思っていた花があったので喜びました。中央に見える白い大きなスズランのような花です。

去年の春に、長年見たいと思っていた野生のスノーフレークを見たときにブログに書きながら、栽培用の品種もあると見つけていたのでした。

初めて出会った野生のスノーフレーク 2014/03/17

私が見た野生のスノーフレークはNivéole de printemps(学名 Leucojum vernum)で、高さ15~20センチ。これは「春の」と名前についているnivéole。「夏の」とついているのがNivéole d'été(学名 Leucojum aestivum)で、高さは40~60センチあると書いてあったのでした。

今の時期に咲くnivéoleが、切り花にもなるくらい大きな植物だとは思っていなかった!

レストランのマダムが、自分の家に咲いている植物を切ってきて飾っているという感じで、まったく気取りのない生け花なのですが、それが気に入ったので、他のテーブルの花も眺めました。



右に入れたのは、伝統的なバスケット。時々アンティークショップで売っているので、欲しいな... と眺めている籠です。

ついでに、奥の部屋まで覗きに行ってしまう!



さすがに、ここから先に足を踏み入れてお花を見に行くのは遠慮しました。お客さんはあまりいない日だったのですが、用意されていたチーズのワゴンがお見事なのをマーク!


レストランで働くのは大変なのだろうな...

お勘定をするときに店のマダムとおしゃべりをしたのですが、お花のことを話しそこなってしまいました。お給仕の女性が、素朴でありながら、とても感じが良かったので、彼女のことを褒めまくってしまったからのです。

経営者夫婦が良い人だから、お給仕の女性も誠心誠意働いているのだろうと想像しました。それで、彼女のことは客が評価しているのだと意思表示してあげないといけないと思ったのです、

チップをはずんで、「これは彼女に」と言うと、「調理場スタッフと共有のチップ箱に入れさせていただきます」と言われました。なるほど。お給仕係りは良い仕事をすればチップをもらえるけれど、地味に調理場で働く人にはそれがないのだ、というのに気がつきました。私は人を使うのは全く下手ですが、経営者ともなると、そういう気配りが必要なのでしょうね...。

でも、こちらがこれだけ褒めちぎっていたのに、マダムが「よく働いてくれる子で...」というような反応がないのが気に入らなかった。

実は、彼女はワインの注文を聞き違えてしまっていて(同じドメーヌの赤ワインと白ワインの違い)、違うワインを持ってきてキャプをとって、コルクスクリューを入れようとしたときに私たちはストップをかけていたのです。「すみません。すぐに取り替えます」と気持ちよく言ってくれたのですが、調理場で叱られないだろうかと気にいしていたのでした。

レストランの経営者の親戚だったりしたらミスをしても問題ないでしょうが、単なる従業員だったら叱られるだろうな... とも思ったので、チップは彼女に出したつくりだったのです...。

このとき思い出していたのは、2年前の夏に入ったレストランでのエピソード:
レストランの可愛そうなウエートレスさん 2013/07/02

食事を終えて少しした頃、レストランから少し離れた場所で、仕事を終えたらしいお給仕の女性が歩いている姿を見ました。きりっとした顔で歩いているので、声をかけて笑顔を交わせる雰囲気ではない。たぶん彼女は、しっかりとした職業意識があって、失敗しようと、経営者からお小言を言われようと、めげない女性なのだろうな、と後姿を見送りながら思いました。

フランスのレストランで働いている研修生らしき給仕スタッフの人には、フランスではめったに見かけない、おとなしそうというか、陰気というか、学校ではいじめられるタイプだろうなと思える若者が多いからです。何がどうなって、この業界ではそうなっているのか不思議でなりません。

私が普通に付き合っているフランス人たちは、口喧嘩をしたら絶対に負けるから止めておこうと思うタイプの人たちばかり。私は外国人だから控え目にしていても傷つきませんが、生粋のフランス人の顔をしていて、そういうおとなしい性格だったら、さぞ苦労するのではないか気になってしまう...。


この日に飲んだブルゴーニュワインは、偶然にも、少し前に飲んでみたいと思ったドメインの白ワインだったのでした。次回の日記で、そのワインについてメモしておきます。

続く

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2015/06/18
フランスの観光スポットとしては、見事な庭園や野菜畑に対して「Jardin remarquable」というラベルがあります。

Logo des jardins remarquables文化省が2004年に作った認証ラベル。

2015年1月現在で、全国にある396カ所の庭園が選ばれているのだそう。

例えばヴェルサイユ市に何があるかというと、ヴェルサイユ宮殿の庭園と、少し離れたところにあるPotager du roi(王様の野菜畑)が入っていますね。もちろん見学したことはあって、観光スポットとして推薦するに相応しいと思います。それから、市内にある市民農園もラベルをもらっているのですって(こちら)。

「みごと」と言っても、ちょっと差がありすぎる... というのが私の感想。

私は造園法とか植物の品種に興味があるわけではないので、このラベルが付いているからといって見学してみようと思うことは余りありません。行ってみて、どうってことないよ、これで入場料を取るの?、と思うときもあるし...。


少し前、文学と歴史の勉強会のようなサークルが企画したお出かけでは、ここなら入場料を払って見学する価値があるな、と思う庭園に出会いました。

城の保存活動をしているボランティア団体の人たちに城を案内してもらってから、その近くにある見事な庭園を2カ所見学するというスケジュールになっていました。

庭園見学で行ったのは人口が300人もない小さな村なのに、「Jardin remarquable」に入っている庭園が2つあるとのこと。1つが道路を挟んで2つに分かれているので、地元の人たちは3カ所あると言っていました。

そのうちの2カ所の庭園を見学したのですが、始めに行った民家のお庭がとても気に入ったのです。


◆ 見事な庭園を見学

Jardin de Silièreという名の庭園。普通の家のお庭なのですが、お城にありそうなほど見事に手入れされているフランス式庭園なので驚きました。

ここに住んでいるご主人が私たちを案内してくださいました。



周りにある森が背景になっているのが気に入りました。京都などにある日本の庭園も、裏山をバックに使って自然な感じをだしているのを思い出させました。

館が建てられたのは1659年。かの有名なアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre: 1613年~1700年)がヴェルサイユ宮殿の庭を設計する直前の時期。ご主人は、この庭はル・ノートルが設計したと思っていらっしゃるのでした。

あり得ないこともないと思いますが、すでに名声を博していたル・ノートルが、こんな田舎にあるお屋敷の庭園を設計するという仕事をしたかな?...

でも、ご主人はそう信じているらしくて、ここの庭園がル・ノートルのフランス式庭園の特徴を持っているという例を見せながら話してくれました。



フランス式庭園は、自然に逆らっていて、人工的すぎると思うので私は好きではない。でも、フランス式庭園というのは庭を歩く楽しみのためにできているのではなくて、城の2階の広間から見るようにできているのだそうです。そう言われれば納得。少し高い位置から、眺めるための遠近法が活かされた庭園なのですね。

ここのお家は2階から眺めるという風には見えませんでしたが、遠景の部分が坂を登るという風になっているので遠近感が出るようになっていました。

フランス式庭園は、フランス各地にあります。ここでは普通のお屋敷の庭だというのを考えないと、別にどうということはない...。
コンパクトな規模で、まわりの自然に溶け込んでいるのが美しいと思いました。こんなお庭がある家に住んでいたら、庭園の中を散歩するのは楽しいだろうな...。なにも、ル・ノートルを持ち出さなくても美しい庭園ですよ...。

家の前から庭園を歩く道が続いているのですが、登りつめてから振り返ると、こういう眺めになっていました。




左に見えているのが、この庭園を持つお家の建物。庭はすごく立派なのに、家の方はどうということもないのが面白い。

庭園を歩いていると、景観に邪魔なものが何もないのも幸運でしたね。田舎にいると、向うに高速道路ができてしまったり、電気の高圧線がそびえてしまっていたりすることが多々あるので。


一番気に入ったのはロマンチックな散歩道

下の図面は、19世紀半ばに描かれたこの家の庭園の図面。フランス式庭園の周りに散歩道を作るにあたって描いたもののようです。


Jardin de Silière

私が気に入ったのは、中央に作られたフランス式庭園より、こちらの森に沿った散歩道でした。図面の下に描かれている小道を歩きました。

この土地は湧き水も豊富なのだそうで、散歩道の横にはきれいな水の小川が流れていました。

水分が多い緑というのは、日本を思い出させます。



一面に咲いているのはラムソンという名の自然に生える草。花が咲く前の葉は食用になるので、朝市などでは束にして売っていることがあるのですが、このくらいたくさん生えていたら商売ができてしまうではないですか?

フランス語の名前はail des ours。直訳すると「熊たちのニンニク」。まさにニンニクの匂いがするので、散歩道には相応しくないかも知れませんが、自然に生えたのを放置したのだと思います。

この植物については過去にも書いていました:
レストランで出されたラムソンという山菜 2010/05/21


わざわざ道を少しくねらせていて、滝などもできている。



歩きながら、日本にいるような気分になってきました。案内してくれたこの屋敷の持ち主は「イギリス式庭園」と呼んでいるので、私には日本的に感じると話しました。でも、日本式庭園に興味を持って調べた様子はない。フランス人にとっての日本式庭園というのは、まず第一に龍安寺にあるような枯山水なのですよね。

幾何学模様のフランス式庭園でなければ、みんなイギリス式庭園と呼んでいる感じがします。などと言う私も、イギリス式庭園と日本式庭園の違いは全く分かっていません。



水が段々畑のように作らせた石の上から滝になって落ちてくる。日本では、自然にできたこういう滝がありますよね?

やっぱり、私には日本的な風景に見えるのだけれどな...。


地元のツーリストオフィスが作った、この庭園を紹介する動画がありました。フランス式庭園の部分しか見せていない!


Jardin de Silière à Cohons

フランス人は、フランス式の庭園の方に価値を認めるのでしょうね...。そもそも、彼らは家の普通の庭でも、芝生で広々させておくのが好きだと感じます。特に田舎の人にはその傾向が強い。木を植えるのさえ、落ち葉で汚くなるから嫌いだと言う人もいる。

フランス式庭園が誕生してから200年以上の歴史があるので、そういうのが最も美しいという感覚が育ったのか、あるいは、もともとフランス人は自然を不自然にしてしまうのが性にあっているのか?...


変な村の名前

この庭園がある村の名前はCohonsですが、「コンス」と発音するのだそうです。これを書きながらGoogleやワードでCohonsを発音させたら、やはり「コン」とか「コーン」とか言っていました。

「コン」では困るのですよ。フランス語では、馬鹿を意味する言葉として「con」が使われているのですから。

で、コンス村の住民はどう呼ぶのですか? と、私が質問しました。

フランスの行政区分(地方、県、市町村)には全て、そこに住んでいる人の呼び名(gentilé)があります。パリに住む人をパリジャン/パリジェンヌと言うように、たいていは語尾を変化させて作られています。でも、中にはかなりかけ離れた呼び名もある。例えば、Besançon(ブザンソン市)の住民はBisontin(ビゾンタン)。

日本は余り使わないですよね。江戸っ子とか、道産子などしか思い浮かびません。使わなければならないなら、〇〇県人と言うしかないので面白味がありません。

コンス村の住民は何と呼ばれるのか?

外国人なのに良い質問をしたと、フランス人たちも興味を持った様子。ひょっとして、conard(connard)かな、と思ってしまうわけなのです。これは、バカ、間抜けの意味がある俗語!

ブルゴーニュ地方にはPoil(ポワル村)があるのですが、村の住民はPictiens(ピクシアン)かPoilu(ポワリュ)と呼ばれるのだそう。「私はパワル村に住んでいます」とフランス語で言うと、「私は裸で生活しています」に聞こえたりする変な名前の村なのですが、「ポワリュ」と言うと、もっと笑ってしまう。第一次世界大戦のときの兵隊さんを呼ぶ愛称でもありますが、「毛深い」という意味があるのです。

「みなさんがご想像なさった呼び名ではありません」と、まず答えられました。

コンス村の住民は、Cohonssois(コンソワ)と呼ぶのですって。
な~んだ、つまらない!

ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しい植物の食材 (野菜、穀物、ハーブ、山菜など)
★ シリーズ記事目次: フランスの市町村について
ヴェルサイユ宮殿: 噴水と音楽のショー  2008/09/25

外部リンク:
Comité des Parcs et Jardins de France
☆ フランス文化省: Label Jardin remarquable
☆ Wikipédia: Jardin remarquable
habitants.fr - Le nom des habitants des communes de France
往還する日本庭園の文化史
イギリス式、日本式ガーデニングの違い
英国式庭園と日本庭園の違い


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2015/06/14
ヴェズレー村(Vézelay)にあるサント・マリー・マドレーヌ大聖堂(Basilique Sainte-Marie-Madeleine)が大好き。ブルゴーニュ地方にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の大事な起点なので、私も巡礼に行くような気分でよく通っています。

12世紀に建てられた美しいバシリカは、ロマネスク建築の至宝と呼ばれます。世界遺産にも登録されているため、観光客が多いのが難点。午前10時になると団体を乗せたバスが次々に到着してくるので、その前か、夕方みんなが帰った時間に行くことにしています。

ヴェズレーに行くことにした先日も、朝6時前に起きだして、午前10時少し前に到着。聖堂で静寂を味わいながらロマネスク建築と彫刻の美しさに浸ろうという魂胆でした。

ところが、車を止めてみると...。


大聖堂は修復工事中だった



大工事ですね。建造物を修復するときに一番お金がかかるのは足場を組むことだ、と言っていたフランス人がいたのを思い出しました。確かに、これは費用がかかりそう。この状態が続くと、その期間の足場のレンタル料がかさむのだとのこと。

この大聖堂の老朽化は問題になっていて、石が崩れ落ちないように応急処置をしている箇所があるのも気になっていたので、修復が始まったのは良かった。でも、はるばる見学に来た私としては、残念...。

外側だけの工事なら問題はありません。私が好きなのは大聖堂の内部なのですから。

でも、中に入ったらギャフン。祭壇の後ろにある聖職者の座席を取り外そうとしているらしくて、ハンマーの音が響き渡っているのでした。教会の中は音響が良いので、工事の音も響き渡るのだ、と気がついた次第!

入れなかったのは祭壇から先で、下の図で右側にある灰色の部分でした。



内陣、その後ろの周歩廊には入れないし、おまけにマグダラのマリアの聖遺物を祭ったクリプト(地下聖堂)にも入れない。

ハンマーの音がうるさいので、いつものように柱にある彫刻を眺めて歩く気にもならない...。

ざっと見学してから外に出ました。午前中からすでに暑さがあったので、大聖堂前にあるカフェのテラスでシャブリを食前酒代わりに飲む。10時を過ぎると、続々と団体が大聖堂前に姿を現しました。

ずいぶん前に、ブルゴーニュ南部でロマネスク教会を案内してもらったドイツ人も団体さんを連れて坂を登ってきました。世の中は狭いですね。彼はロマネスク教会の専門家なので驚くには値しないか...。お仕事中なので、軽くご挨拶。


村全体を整備するプロジェクト?!

村のツーリストオフィスでは、6月15日からクリプトに入れるようになると書いてあったのですが、何事も期限を守らないフランスのことなので、どうなるのかな?...

どんな修復工事をしていたのか調べてみました。

工事は1月に始まっていたらしい。この4月までは内陣部分には足場ができて完全に隠されていたようでした。2月14日から3月1日までは、夜に3Dのアートグラフィック映像で大聖堂の様子を見せていたとのこと。


www.lyonne.fr - Des images inédites dans la basilique de Vézelay


クリプトの壁画を修復して色が出てきたらしいので、それを見るのは楽しみですね。


Vézelay : Les travaux pour devenir Grand Site se poursuivent

このバシリカ式教会堂は、19世紀に多くの歴史的建造物を修復して名を残したヴィオレ=ル=デュク(Eugène Viollet-le-Duc)が行った工事によって救われています。1840年のこと。その後は全く修復がなされていなくて、ようやく修復に着手することになったのだそうです。

喜ばしいことなのだけれど、それを言い出したのはサルコジ前大統領だったそうなので、嫌な予感...。サルコジ氏が大統領だった2010年9月にヴェズレーを訪れて、大聖堂と村を美しくするようにと動いたらしい。でも、文化などには造詣はなくて、お金儲けと派手なことをするのが好きな人なのです。あの美しい聖堂を変に現代風にしたりしないで欲しはないけどな...。

フランスには美しくなっている小さな村はたくさんあるのに、ここは世界的に有名な観光地であるにも関わらず、道路も大聖堂前の広場も味気なさすぎるな、とは私も来るたびに思っていたのです。

工事費の推定は4,500万~6,000万ユーロで、少なくとも10年はかかるだろうというプロジェクトだそうです。周辺住民の中にも、村を清潔にして観光客たちを受け入れるというプロジェクトによってコンクリート化されてしまうのではないか、などと反対もあるらしい。

ヴェズレーは古びた小さな村なのですが、路地を歩いたり、丘の上からの眺めを楽しんだりと、今のままでも魅力があるのですけれどね...。今までにたくさん通っておいて良かった。もっとも、何事も期限は守らないフランスのことなので、10年なんていったら、村の改修工事は永遠に続くか、途中で放棄される可能性が十分ある。

ヴェズレーの村を訪れる観光客と巡礼者は、毎年100万人もいるという有名な観光地。それをもっと増やしたいらしい。そのテコにするのは、ヴェズレー村を「Grand Site(グラン・シット)」に入れるということなのですって。

どんな分野でも全国的な認証マークを作って知名度をあげる、というのがフランスは好きなのですよね。

フランス国内にある景観や自然や文化が優れている地域の政府認定「Grand Site de France」は、2000年に17カ所からスタートして、現在ではフランス国内の41カ所が選ばれているのだそう。そこを訪れる観光客は年間に3,200万人。

ブルゴーニュ地方でグラン・シットになっているのは、 Bibracte au Mont Beuvray(ブーヴレ山のビブラクト)とSolutré(ソリュートレ)だけで、それにヴェズレーも加えたいということらしい。

「グラン・シット」はそれほど有名ではないと思います。観光スポットが色々あるブルゴーニュ地方で何処かを観光しようとしたとき、グラン・シットに入っているからとか、ガリア時代の遺跡を復元しようとしているビブラクトとか、故ミッテラン大統領が崖を毎年登ることで有名になったソリュートレとかを選ぶかな?...

ヴェズレーは世界遺産になっているのですから、それだけで観光客を呼ぶには十分ではないですか?...

でも、ヴェズレー周辺の村々が供給した800万ユーロに加えて必要な工事費は、このグラン・シットの予算から出るらしい。


夏至にできる光の道は見ることができた

この聖堂は、夏至(6月21日)の正午に、祭壇に続く中央の通路に「光の道」ができるように設計されています。

それを初めて見に行ったときの日記:
夏至日にヴェズレーの大聖堂にできる光の道を見る 2013/06/22

去年は夏至の1週間前に行ってみて、光の道を見れました。今年は10日前に行くことになったのですが、道の真ん中ではないにしても、窓から入る光が点々とできるのが見えるだろうと期待していました。

どっちみち、これが建てられた時代にはグリニッジ標準時とかサマータイムとかがなかったので、正午ということになるわけです。今は午後2時が太陽時間の正午になる。

少し中央からはずれていましたが、光の道ができていました♪



2015年6月11日、午後2時に撮影しています。太陽時間では正午にあたりますね。その1時間後くらいにもう1度入ってみたのですが、今度は右にずれていました。

ということは、夏至の10日前なら、午後2時半というのが最適なのかな?... あるいは、夏至でないと真ん中にはできないのか?... 科学的な計算はできないので分かりません。

でも、見れたので満足♪ 太陽が出なかったら、これはできないわけですから。

地元で見学ツアーを提供しているところのサイト(Maison du Visiteur)を見たら、夏至の光の道を見る見学ツアーは6月12日から27日に行われていました。ということは、その時期ならOKということでしょうね。冬至のときに柱頭彫刻に日が当たるのを見るツアーは、12月22日と23日、それから12月28日から1月3日(1月1日は除く)となっていました。冬至のときには行ったことがないのでメモ。


今の時期は、観光客も増えていることに気がつきました。フランスの学校は夏休みの前に学年が終わるので、6月には遠足が多いのです。

カトリック系の学校の生徒たちと思われる団体がたくさんいました。修道僧たちが案内したり、お話しをしたりしていました。





Vézelay - Un rayon de sa lumière



ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路に関する日記

外部リンク:
☆ Wikipedia: サント=マドレーヌ大聖堂 (ヴェズレー)
Vézelay : Où en est le projet de Grand Site ? ニュース 2015/01/03/01
Vézelay : Les travaux pour devenir Grand Site se poursuivent ニュース 2015/01/06
La restauration du chœur et de la crypte de la basilique de Vézelay débutera en septembre ニュース 2014/07/08
Vers la bétonisation de la colline de Vézelay ? 2013/05/22
Basilique de Vézelay
Réseau des Grands Sites de France
☆ Wikipédia: Réseau des Grands Sites de France
☆ Wikipédia: Label Grand Site de France


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2015/06/12
フランスでテレビのコマーシャルを見ていると、不味そうな食品ばかり。フランスが誇るような優れた食材は全くと言って良いほど登場しません。

スーパーで大量に売るような食品でないと宣伝費はかけないでしょうから、そうなるのでしょうね。高品質の食材は、宣伝しなくても売れる。

パッケージに入った不味そうなハムのコマーシャルも多いです。冷凍食品やレトルト食品に、シェフのレシピで作っているなどと宣伝してあるのも多い。

工場で大量生産した食材のコマーシャルに3つ星を持つシェフまで登場するのには驚きます。プライドはないの?! と言いたくなるけれど、3つ星レストランは人件費などがかかり過ぎて収益をあげるのは難しいので、シェフの名前を貸すというのが大きな収益源なのだそうですので仕方ないのでしょうね。


スーパーで売っている質が高いとはいえないようなバターのコマーシャルに、パリの3つ星レストラン「ル・ブリストル」のシェフÉric Fréchonが出ています ↓


Publicité Président Beurre gastronomique


日本食ブームも、フランス人の味覚が乱れた現れでは?

どんなものかをお見せするために、YouTubeに入っていたフランスのコマーシャルを1つ入れてみます。


Les secrets du surimi Fleury Michon

フランスで「surimi」と呼ばれる食品です。変なものから作っているのではないと見せているコマーシャル。蟹も出ていますが、天然の蟹から作ったフレーバーだと言っています。

それにしても、このカニカマは、形からして不味そうに見えませんか?...

日本のは、もう少し蟹に似た感じにして作っていると思うのですけど。

海沿いの地方でもない限り、フランス人には蟹は馴染みが薄い食材なので、形や触感を蟹に似せる必要はないのかもしれない。

スリミは1985年からフランスで製造されていて、日本の伝統的な食材だから(カマゴコ、すり身)カロリーが低くて健康に良いイメージを与えるし、かじりやすい形というのも人気の理由らしい。

Surimiの消費量は、フランスは日本に次いで世界で第2位になっているのだそう。年間に1人300グラムを食べているという計算。私の周りにいるフランス人たちがそんなに食べているようには見えないのですが、食べる人はたくさん食べているからのようです。

フランス人たちに日本食の人気が出てきたときは嬉しくなって、食べたいという友人たちのためにはりきって料理していきました。でも、最近はあまり乗り気でなくなりました。

昔は得体が知れないから食べたくないと言っていたものを喜んで食べるということは、フランス人の味覚がおかしくなってきた現れだと思えてきたからです。

そもそも、フランスにある日本料理店は、大半が安く食べるのを売り物にしているアジア系の店なのです。私が刺身に使うような生魚などは非常に高い食材だし、醤油や味噌などのように欠かせない食材は日本から持ってきています。偽物と一緒にされてはたまらない!

最近は、家に来た友人が、私が出す日本料理を食べないと拒絶すると、あっぱれだと褒めたくなってしまっています。もしも、「日本食が大好きで、パリに行ったらラーメンを食べる」などと言う友達がいたら、絶対に日本料理は作ってあげないつもりです。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ



レストランのホームメード認証

イタリアでスローフード運動が提唱されたのは1996年。フランスでも、1990年代に入った頃から、子どもたちがファーストフードを喜んだりするために味覚の乱れがでてきたと問題視されるようになりました。

最近では、厨房で料理しないものを出すレストランが増えたことに批判の矛先が向くようになったと感じます。

家庭で食べるものに関しては、安いからと質の低い食材を買ったり、手間をはぶくためにレトルトや冷凍の食品を買ったりするのは本人の勝手。そういうのが嫌な人は避ければ良いわけですから。でも、レストランで知らないうちに食べさせられてしまうのには腹がたつ、というわけなのでしょう。

特にヤリ玉になっているのは、自分のところでは調理はしないでレトルト食品を温めて出すだけとか、下ごしらえはしないで済む冷凍食品を使うレストラン。そういうものを売っているところで有名なのは、ドイツの外食企業「Metro(メトロ)」。レストランや商店などのような食料品のプロでないと利用できないのですが、その名前はフランス人なら誰でも知っているように感じます。

ホームメイドでない料理を出すレストランを貶すときには、友人たちは代名詞代わりに使っています。レストランの前にその車が止まっていると、そこで食事したくなくなたりしている。



一度だけ、プロしか入れないメトロの店舗を見学させてもらったことがありました。商品の陳列にはこだわらないので、味気ない巨大なスーパーという感じ。本当に何でも売っている! こういうのを仕入れて、電子レンジで温めた料理を出すのか?... と驚きました。料理を下手に作るよりはマシ、ということもあるでしょうけれど。

外食産業見本市というのには2度ほど行ったことがありますが、食欲を失うものも展示されていました。



見た目にはきれいなのですけど、やはり工場で大量生産されている食べ物には食指が動きません。すごいなと驚いたのは、卵が白身と黄身に分かれて売っていたこと。

フランス人は工場で作られた食べ物を嫌う。と言っても、レストラン側からすれば、調理場の仕事を楽にできるので重宝するようです。特に、2000年頃から始まった週35時間労働制が進んでからは、自分のところで調理をしないレストランが増えた感じがします。

飲食関係の仕事は労働としては大変なので、働き手を見つけるのが大変なそうです。パリなどで調理場で働く人としては、不法滞在者も含めて、アフリカ系の人が多いと感じます。最近は、厳しい労働条件にも耐えてよく働く日本人研修生を使うレストランが非常に多くなりました。修行だと思って将来のキャリアにしてくれれば良いですけど、利用だけはされたくないな...。ほとんどタダで働くのに、高い斡旋料をとる日本の業者までいるのですから。

レトルトや冷凍食品を使っているレストランは、全体の75%を占めているらしいという調査結果がありました。そういう食材だけ使っているというわけではなくて、少しでも使っていると答えたレストランの割合です。この数値をどう読むべきなのかな?... レストランの中で大多数を占めているのは、大都会にある、ともかく安く食事ができれば良いという飲食店が大きな比率を占めているでしょうから。

前回の日記「フランスのレストランにできたホームメイド認証ラベル」に書いたように、フランスでは工場で作られたレトルト食品や冷凍食品を使わない料理に対して「Fait maison(ホームメイド)」という名前を付けることができるという法律ができました。



このマークができたのは昨年の7月。そのときは一部の冷凍食品も認めていたのですが、今年の5月からは生鮮食料品を使わなければダメという風になりました。パンやハム・ソーセージなど、一部の食材は例外として認められていますが。

いちおう、このマークがあれば、レストランが新鮮な材料を使って厨房で調理した料理だと安心できるという目印になります。この表示ができたことによって、フランスのレストランで出す料理の質が向上するのかは疑問ではありますが...。

このホームメイド認証が気になりだした最近、レストランを見るとこのマークがあるかをチェックしてしまうようになりました。気をつけてみると、かなり目につきますね。ホームメイドであることを強調するのはパリのような大都会だろうと思っていたのですが、田舎でもやっている。レストランが林立している観光地では、特に多いと感じました。


フランスのレストラン業界の現状をあばくテレビ番組(2012年)

ホームメイド認証の法案が通る前の時期に、フランスの外食産業界がどうなっているのかを暴露したテレビ番組の動画があったので入れます。一面を捉えているので、フランスのレストランの全てが、こうなのだとは受け取っていただきたくはないのですが。

この報道に出てきたのはパリがほとんどでした。電子レンジで温めただけで出す料理というのは、パリのような大都会でぶつかってしまう確立が高いと感じます。町で生活していたり、仕事や観光で行ったりしたときは、ともかくレストランで食事しなければならない人たちがたくさんいるので許容されるでしょう。それに、忙しい都会生活をしていると、家庭でも冷凍食品を食べている人も多いですから。

面白いことに、この番組では、少し前に私がレストランで食べて褒めて書いていたSouris d'agneau(子羊のすね肉)の料理にスポットを当てていました
こういうレストランが家の近くにあったらな... 2015/04/23

この料理はビストロなどで出す代表的な家庭料理ということで、それを食べ比べて、工場で作られたものを温めているだけかどうかをテストしているのでした。

さすがに、自分のところでは料理しないとか、冷凍食品を使っていると批判しているのはレストランやビストロのような店のみで、ファーストフード店、日本で言えばファミリーレストランのようなところ、カフェテリアなどは対象から除いています。問題外ということ?


Restauration française : un pavé dans l'assiette
France 5 2012年放映番組

パリの立派なレストランで、なかなか美味しそうな料理がメニューに並んでいます。立派な調理場が出てくるのですが、電子レンジしかない! 料理なんかできなくても、温めればよいという工場で作られた食品が出回っているのです。

パリのブラスリーのテラスで出された子羊のすね肉を料理評論家がテストします。

ウエートレスさんはホームメイドだと言うのですが、料理批評家は見破ります。骨が白いので、本来のレシピ通りにオーブンで長時間焼いたはずはない。肉は、見た目からしても、ナイフを入れてみても、食べてみても肉の触感がないので、何度も火を通したのが分かる。古くなったポトフ、と表現していました。真空パックに入っていたか、冷凍のものを仕入れて電子レンジで温めただけだろうと結論。

何も、料理評論家に検証してもらわなくても、見た目にも不自然だし、食べてみれば分かりますけどね...。とはいえ、たまたま開いた在仏日本人の方のブログでお勧めビストロとして入っていたのが、まさに見た目からしてレトロそのものの子羊のすね肉料理。柔らかくて美味しかった、と書いてあるのでした。そういう風に受け取る人もいるという証拠ですよね?... 食事は文句をつけないで美味しくいただくのが一番だと思うので、羨ましくなる...。

まともに調理したものではないと見破れるのは、こういう見た目ということをお見せするために、動画の場面を入れておきます。書いてある文字は「隠しカメラ」です。洗ったまま出てきたような白い骨の部分を見ただけで、おかしいと思われませんか?



動画の続きです。

その翌日、番組はレストランのゴミ箱の中をチェック。パッケージを見つけ出して、子羊のすね肉は冷凍食品だったと判断。その後に食べた牛肉のタルタルステーキも、レストランでミンチにしたのではなくて、パックのものだった。


次に出てくるレストランでは、調理場に運ばれてきたのは冷凍食品ばかり。魚は骨が取り除かれているし、野菜はきれいに形がそろって切られている、というわけ。シェフは言っています。30年くらい前に彼が働いてたときには、調理場のスタッフは週に60~70時間働いていた。今では、他の職種と同じように週35時間労働ですよ、と自慢げ。

デザートは、仕入れたものを電子レンジで温めて、きれいに飾り付けて、仕入れ値の7倍で出しています。儲かるわけですね。

温めれば良いだけという工場生産の食品を作る会社がたくさんあり、この業界に関係する大きな企業5社で、売上は80億ユーロ。有名シェフの名前もPRに役立っている。商品には「ホームメイド」とか「伝統」とか「本物」とかの文字を入れている。今日では、フランスのレストランの7割はそういう食材/料理を使っているとのこと。


レトルト食品を卸している大企業全てから取材を拒否されたので、地方で真空パックの料理をつくっている調理人の工房を訪問しています。ミシュランの星を持っていたシェフですが、採算がとれないのでこの事業を始めたのだそう。ヨーロッパ産の3分の1で買えるニュージーランド産の子羊を使って、味は落ちるので粉末の粉で風味を出して、子羊のすね肉料理を作っています。

その後、新鮮な食材しか使わないパリのレストランが出てきます。またまた子羊のすね肉料理が出てきて、手作りの場合のコストを計算させています。工場生産の料理より15%高い。その前に出てきたレトルト食品の見本市会場では、レトルトだと30%安いのだと宣伝していたのですが。

ここで始めに出てきた料理批評家が再登場して、子羊のすね肉料理の食べ比べをします。工場生産のものは、肉が骨から簡単にはがれるのに対して、自家製はナイフで切らないといけない。匂いを嗅ぐと、自家製はタイムの香草が焼けた匂いが立ち上がってくるけれど、工場生産製は何度も煮た香りしかない。


ホームメイドの表記に対する規制がないので、工場生産の料理を袋から出して電子レンジで温め、そこに少しタイムの葉と塩などを乗せれば「ホームメイド」としてレストランで出せるのだ、などとやっています。

それをやっているのは、『フランスのガストロノミー黒書(Le livre noir de la gastronomie française)』の著者。

美味しいものにこだわる人でしょうに、そういう顔をしていないのが不自然ですけど...。


栄養士も登場して、レトルト食品をチェック。工場製品は伝統的なレシピでは使わない食材で味付けしていることがあるので、アレルギーがある人には危険だと指摘しています。自分で買うなら、何が使われているかをパッケージの表示を読んでチェックできるけれど、レストランだと分からないのが問題。

でも、ひどいアレルギーがある人だったら、レストランで食事するのは避けるべきではないでしょうかね。シェフが創作料理をしていることだってあるのですから...。


ホームメイド表記については業界から強い反対があるので、法案を成立されるのは難しいのだと話しています。しかし、イタリアは成功例。

イタリアのレストランでは、冷凍食品を使っている場合にはメニューに「*」を付けて表示することが1998年から義務付けられているのだそう。出てきているシェフは、この法律ができるまでは冷凍食品を大量に使っていたけれど、今では食材の5%しか使っていないと言っています。フレッシュな食材を使うためには地産地消になるので、地域経済を潤すことにもなる。お客さんは美味しいと評価するので、店は繁盛する。

再びカメラはフランスに戻り、アルザス地方の調理学校。驚いたことに、そういうところで工場生産の食品を使うことが教育プログラムに入っているのでした。先生は、個人的には好きではないけれど、生徒たちが働くようになったときのために工場製品も使うことを学ばなければいけないから、と言っています。

学校の倉庫には、工場生産の食材がたくさんストックされています。メーカーから寄付されたのだそう。そうでしょうね。将来のお客さんにPRすることになりますから!


自分で料理しようと思えば、フランスでは優れた食材が手に入る

フランスの美食術がユネスコの無形文化遺産に選ばれたのは2010年。その少し後のフランスでは、ガストロノミーとは関係ない食品業界の企業などがこれを利用するようになったことが問題視されて、そんなことをしているとユネスコから登録を取り下げられるらしいなどと囁かれていました。噂に過ぎなかったのかも知れませんが、反省するのは良いことだと思う。

ユネスコが世界遺産に指定するのは、努力を怠っていたら消えてしまう危険があるものに対して与えられるべきだと私は思っています。歴史的価値がある地域が世界遺産になると、観光客が急増して昔の良さがなくなってしまうことが多いので、何かしら登録されたことでメリットもないと思うからです。

それで、日本の食文化も登録されたのは(2013年)良いことだと思いました。フランスは食生活が乱れていることを大きな問題として取り上げていますが、日本はそれ以上のレベルなのに、ほとんど騒がれていない感じるからです。

日本では昔からインスタント食品が普及しているし、ファーストフード店、ファミリーレストラン、チェーンの飲食店がたくさんあります。東京でレストランに入ったときには、レトルトを温めているだけのところが多いと感じますが、日本人はそれほど気にしていないのではないでしょうか? レストランが自分のところで調理した料理ではないと貶す友人は、今までに一人もいませんでした。

そもそも、工場で作った料理を表す単語をフランス人は普通に使うのですが、日本語では「レトルト食品」くらいしか思い浮かびません。「工業生産の食べ物」などとは言わないですよね? フランスでは農業に関しても言われて、放牧にしないで建物の中で家畜を飼育する農場などにも「ferme-usine(工場ファーム)」という言葉を使って非難します。

美食の国と言われるフランスでも、本物の食べ物を求めない人が多くなっていると感じます。特に、忙しい生活をしなければならないパリでは進行している。

でも、美味しいものを食べたいとこだわる人たちは存在し続けています。気取っているわけではなくて、情熱というか、病的とも言ってしまいたくなる知人たちがいます。そういう人たちがいる限り、食の乱れは日本のレベルまでには下がらないだろうと感じます。

少なくともフランスは農業国なので、優れた食材を入手するのは簡単にできます。政府公認の高品質食品認定AOC/AOP(原産地と生産法を規定)は、いい加減なのが紛れ込んでいるという批判はありますが、かなり信頼できる基準で、日本の政府公認マークよりはずっと厳格です。

農水省も、消費者が食品に対する正しい知識を持たせるために充実したサイトを作っています:
Portail public de l'alimentation

フランスには直売農家が多いので、自分の家で料理をするときには、農家に直接買い付けに行ったり、農家の出店が多い朝市に行けば、優れた食材を選ぶことができます。特に割高になるわけでもありません。

ミルクやチーズは何の品種の牛なのかでも選べます。家畜は放し飼いなのかどうかも分かる。健康に育った家畜の肉は全く味が異なります。日本では、「地鶏」と呼んでも放し飼いであるわけではないのですよね。それに、さすがに肉食の国なので、肉屋さんは充実していて、自家製の加工食品も作っています。

パリの食の乱れは田舎より進んでいるとは感じますが、さすがに人口が多いので、優れた食材が手に入りやすい街であることも確か。パリの中心地に住んでいるグルメの友達と買い物に行くと、朝市でも商店でも、食材によってお気に入りの店があって、歩いて回るだけで良いものが買えてしまえるのですから羨ましい。

パリの朝市で人気の直売農家です ↓




日本でも深刻に食生活のことを心配するべきでは?

日本でも、田舎に行ったときは本来の味がある野菜に出会えますが、東京はひどい...。それで、最近はやたらに調味料やソースで味付けするようになりました。フランス人は外国から入った農産物を貶しますが、東京で国産だけ食べたいと思ったら、私などは破産してしまいそう...。

この冬に帰国してフランスに戻ったときには、「日本はどうだった?」と聞く友人に、食べたものの話しから始めました。旅行から帰ると、ブルゴーニュの友人たちは何を食べたかに一番興味を持つので。

それで話したのは、すごい鶏肉を食べたというエピソード。日本で買う鶏肉はブロイラーで味がないとは思っていたのですが、あそこまでスゴイのが存在していたというのは、私には大発見でした!

友達の家で私が得意料理を作るということになって、鶏肉のクリーム煮を作ることにしたのでした。スーパーで買った鶏肉のパッケージを開いたとき、底に薄くピンク色に染めたような水がたまっているのでした。気持ち悪いけれど、約束したのだから料理を作らねばならない。生クリームも、一番マシそうに見えたものを買って持って行ったのだし...。

キノコ、玉ねぎ、鶏肉で鍋をフォアグラのラードで炒めてから少し煮ていたら、鍋の底に固形物が少し残るという状態に減ってしまったのでした。特に、鶏肉が水になってしまったのには仰天しました。肉が液体になるなんて、まるで手品のよう! あるいは、ホラー映画を見たような気分...。

フランスの友人たちからは、「フランスでだって、スーパーで買ったブロイラーは、不味くて食べられるものではないのだ」と言われました。でも、水になって溶けてしまう鶏肉を市販するというのはフランスではあり得ないのではないかな...。味にこだわらなくても、フランス人はボリュームだけは求めますので。

ああいうのは、栄養剤を混ぜた水をガブガブのませて、2週間くらいで市場に出せる大きさに育ててしまった鶏なのだろうとしか思えない...。去年にブログを書きながら、今は禁止されているホルモンで育てたニワトリというのを昔のシャンソンで知ったのですが、それはこういう鶏肉のことだったのではないかと思いました。

ジャン・フェラのシャンソン「ふるさとの山」に見る日仏文化の違い 2014/08/10


これを書きながら検索をしていた出てきた記事に驚きました。

フランスの大きな町で見かける冷凍食品専門のスーパー「ピカール(Picard Surgelés)」が、日本にも進出したのだそう。

私のフランスの友人たちとこの店を見かけると、フランスも世も末だという感じで言われるので、中に入ったことは一度もありません。

日本では、フランス料理だ~♪ と大歓迎されている様子です。

ついに日本上陸! フランスの高級冷凍食品「ピカール」は何がすごい? 2015/01/27

企業が海外進出したときに成功するかどうかは、宣伝費を幾らかけるかにもよると思いますけどね。

フランスの巨大スーパーマーケット「カルフール」が日本に入ったときも騒がれたのを記憶していますが、今は消えてしまったのではないですか?

冷凍食品でフランス料理を食べるなんてことより、日本に伝統的にある料理を守って欲しいけどな...。

この冬に長野に行ったときには、久しぶりに会いたい人のお家に行ったときに食べさせてもらった料理は絶品でした。山奥で農業をしていた80歳近い女性が迎えてくれました。近くにあるレストランで食事することになったので、ちょっと寄らせてもらうだけだからと前置きして行ったのに、案の定、お茶と一緒に、色々な食べ物をテーブルに並べてくれてしまいました。

お菓子はどうでも良かったけれど、煮物と漬物に感激したのです。何でもなさそうに見える料理なのに、何がどう違うのか、本当に美味しいのです。こういう料理には10年以上出会っていなかったような気がしました。

こういう日本の素晴らしい食文化を感じさせる手料理は、もう私が死ぬ前には食べられない可能性が高いと思って、レストランに行く前に立ち寄ったのに、お腹がいっぱいになるまで食べてしまいました!

もともと、日本の食事は軽いので、2回食べてしまっても大丈夫なのです。食べ物屋さんに入るときには、果たしてお腹がいっぱいになるほど食べられるだろうか、という強迫観念みたいなものを感じてしまいます。フランスの友人たちからは、私は小鳥のようにしか食べないと笑われるのですが。

ブログ内リンク:
調理チームに入ってみないと、レストランの評価はできない 2014/12/05
スリミ・ダイエットをしている友達 2013/07/08
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
RESTAURATION FRANCAISE : UN PAVE DANS L’ASSIETTE 2012/10/09
Y a-t-il un chef en cuisine ? 2013/04/23


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2015/06/07
突然暑くなった日に入ったレストランでのこと。メニューを眺めてみると、これが食べたいと飛びつく料理は見つかりませんでした。

料理の注文はまだなの? とせかされているプレッシャーを感じたのですが、喉が渇いていたのでまずワインを持ってきて欲しい。それからでないと、料理選びなんかする気になりませんでした。手っ取り早くワインリストからブルゴーニュの白ワインを選んで、とりあえずそれを持って来てくださるようにお願いしました。

前回に書いた「ホームメイドであることを強調していたレストラン」の続きです。不満もあった食事なのですが、選んだワインがとても気に入ったので、レストランに対する悪い印象はかなり薄れました。

こういう暑いときには、軽いワインを飲むのが一番。そうでないと、酔いがまわってしまいますから。というわけで選んだのは、これでした。


アリゴテ種のブドウから作ったブーズロン


Bouzeron "Les Cordères"

ブルゴーニュの白ワインでは、アリゴテ種(Aligoté)はシャルドネ―種よりランクが下がると見做されています。食前酒のキールではアリゴテでないといけないのですが、そのきつさがカシスのリキュールの強い甘味を消すからです。でも、AOC/AOPブーズロン (Bouzeron )は、アリゴテ種のブドウから作ったとは思えないほどまろやかなのです。

飲んでみたら、期待を遥かに上回って美味しいのでした♪ まろやかなので食前酒代わりにも飲みやすい。コクがあるので、メイン料理に食べることにしたビーフステーキとも合ってしまいました。

ボトルの裏側には長々と説明が書いてありました。



写真にとっておいたのですが、ピンボケで読みにくいので、ドメーヌのサイト「Domaine Jacqueson」の説明を読みます。

ブーズロン村の近くにあるリュリィ村(Rully)に畑があるようですね。AOC/AOPリュリィも、素晴らしく美味しい白ワインだと思うものに出会っているので好きなアペラシオンにしています。

良いワインができる丘陵地で、1937年に植えられた畑のブドウから作ったワインなのだそう。ここのブドウは「Aligoté doré(金色のアリゴテ」という品種なのだそう。 他のアリゴテ種は「 verts (グリーン)」と呼ぶ。アリゴテ種に2種類あるとは知らなかった。グリーンの品種に比べると収穫量は少ないけれど、甘味が強くて香りもあるとのこと。しかも80年近くも前に植えられたブドウだったとしたら、コクがあるのも当然ですね。

5~8年のオーク材の樽で10カ月寝かせている。他のアリゴテよりバニラの風味が強いとのこと。説明されると、何が違っていたかが見えてきますね。やたらに美味しいブーズロンだと思ったのは、そこら辺の違いかな?...

真面目に、でも気取らずにワインを作っているのが感じられました。いつかドメーヌに行ってみたいと思ったので、インターネットで検索しました。

ラベルに書いてあるドメーヌの名前は「Paul et Marie Jacqueson」。ポールさんが2006年に娘さんのマリーさんに仕事を任せるようになったとのこと。最近、なんだか女性がワイン造りをするのが流行っているな...。

ドメーヌの畑は13ヘクタール。Rullyがほとんどで、他にMercureyと Bouzeronにも畑がある。6割は白ワインで、残りの4割が赤ワイン。ブドウは手摘み。伝統的な醸造方法で、すでてオーク材の樽に寝かせ醸造している(20~25%は新しい樽)。


輸出が多いドメーヌなのかな?...

この手の高級そうなブルゴーニュワインは、日本にも輸出されているのではないかと思って調べてみました。まず、ドメーヌの名前は片仮名表記で「ポール ジャクソン」らしいので、それで検索。

「ポール ジャクソン」を楽天市場で検索

やはり出てきました。ドメーヌについて紹介しているネットショップにリンクしておきます。ほめちぎっていますね。

ポールジャクソン/ ブズロン

ポールジャクソン/ ブズロン
価格:2,860円(税込、送料別)

タイユヴァンやトゥールダルジャンといった超有名3つ星レストラン御用達リュリに所有する 11ha ほどの畑から生まれるワインは、赤・白共に大変人気が高く、英国のワイン誌「デカンター」においてブルゴーニュのトップ 10 の生産者に選出された実力派ドメーヌ


日本でも手に入ると分かると、ちょっとがっかりする...。第一に、輸出できるワインだと、ドメーヌがワインの価格を高くしていることが多いので楽しくない。ドメーヌのサイトに入っている雑誌掲載のページを見てみると、日本の雑誌にも紹介されていました

それでも、やはり行ってみる価値はあると思って、お値段を調べてみる。レストランのお値段は34ユーロでした。普通は生産者直売価格の3倍程度のはず。

フランスのサイトでワインの売値を知ろうとするとなかなか出てこないのですが、私が飲んだのと同じミレジムのを12ユーロで売っているサイトがありました。やはり、ブーズロンにしては少し高めかな...。

ブーズロンを楽天市場で検索(安い順に表示)


ところで、私は軽い白ワインを飲むときにはブルゴーニュ南部のマコネ地域で作られるワインと決めています。でも、少しバリエーションを持たせるために、アリゴテ種のブドウから作られるブーズロン (Bouzeron )も開拓したいと思っているアペラシオンです。

ブーズロンがAOCを獲得したのは1997年。私が出会ったのも最近のことでした:
安くておいしいブルゴーニュ白ワイン: ブーズロン 2009/03/05

今までは、ブーズロンで一番おいしいのは、ロマネ・コンティの畑を持つド・ヴィレーヌ家のものだと思っていました。

ブーズロンというのは「今日は美味しいワインを飲むぞ~」というときに出すようなワインではないので、日常的に飲むには、もっと安い価格でブーズロンを売っているドメーヌで仕入れることにしていました。

レストランで飲むにはお手頃な価格のブルゴーニュワインなので、ド・ヴィレーヌのブーズロンを飲むことが時々ある。

でも、今回出会ったジャクソンのブーズロンの方がド・ヴィレーヌより上かな...、とするとお値段もひょっとしたらド・ヴィレーヌ より高いのではないか...、と思いながら飲んでいたのでした。

日本での売値を比較しても、そうなっていますね...。

どうするかな?... でも、ワインセラーには色々なワインを置いておきたいので、いつかコート・シャロネーズに行く機会があったときにドメーヌに行ってみるか...。リュリィも試飲してみたいし。

 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しいアルコール飲料
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Vins de Bourgogne: Bouzeron ⇒ Bouzeron ブーズロン


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