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2016/01/28
前回の日記「ブルゴーニュとボルドーのワイン樽の違い 」でワイン樽のことを書いていたら、樽を作っているところを見せる動画がでてきました。

樽を作るのを見るのは、アトラクションとしても面白いと思います。燃した火の熱で樽をキュっとつぼめてしまうところが大好き。


tonnelier(樽職人)と言われる人たちの仕事

まず、ブルゴーニュの樽職人さんのお仕事。名前だけでも魅力的なムルソー村に工房があるそうです。


Art du tonneau, Frédéric Gillet Tonnelier

ずいぶん前、ブルゴーニュはワインの産地なのに樽職人が絶滅しようとしている、と心配されていたような気がします。需要があるのだから上手に商売すればやっていけるはず。ここはかなり成功している工房なのだろうと思いました。

サイトを見ると、樽の材料でインテリア小物なども作って売っていました。ワインイベントで、樽にドアが付いていて、中にボトルやグラスを入れられるものを売っていたのが気に入って買ったのですが、ここが作っていたかな?... 注文を受けてから作ってくれたのが、サイトのカタログにあるTBAR 225と全く同じなのです。

でも、機械化してしまっている樽づくりなので、見ても余り面白くない...。

昔に勤めていた会社のフランス本社で樽づくりを見学したときは、もっと人力に頼って作っていたと記憶しています。最近のワインイベントなどで見せてくれるデモンストレーションでも、機械などはない広場でやるので、人間が樽を作り上げてしまうのが見れて面白いのですけれど...。

それで、昔の樽職人の仕事ぶりを見せてくれる映像を探してみました。フランス国立視聴覚研究所(INA)が昔の映像のデータベースをインターネットでも提供しているので、探すのは簡単なのです。


20世紀初頭の樽づくり

1926年の映像が出てきました。百年近く前ですね。モノクロの無声映画です。


Ina: Fabrication des tonneaux (1926年)

作業工程の名前を文字で入れているので、勉強になってしまう:
  • la taille des douves
  • l'assemblage
  • le serrage
  • la pose des fonds
  • le cerclage
  • l'embarquement
フランス人の手作業を見ていると、日本人のように器用ではないと思ってしまうのですが、昔の樽職人は技で仕事をしていますね。底の円盤を四角くした板から作ってしまうのなどはお見事!


樽を作るのに必要な道具

樽を修理する仕事もあったようです。

「シャンパーニュ最後の樽職人」と題した映像がありました。もう彼しかいなくなったという意味でしょうか? 2003年のニュースです。

樽を直すには古い道具が必要なのですが、もうそれを作る人がいないので、アンティークショップやガレージセールで見つけて買うしかないのだそう。面白い道具を見せているので貴重な映像だと思います。


Ina: Le dernier tonnelier de Champagne(2003年のニュース)

今はワインの醸造所で使っていて古くなった樽は売りに出ているので、痛んだ板を取り換えて修復するというのはほとんどしないのではないでしょうか? シャンパンは新しいオークの樽に入れて寝かせたら、タンニンが付きすぎてしまうはずなので、使い古した樽が一番なのでしょうね。今のシャンパンメーカーはイノックスの樽を使うのが普通だと言っています。


パリ最後の樽職人

最近になって再開発されてきれいになってしまったのですが、ありし日にはヨーロッパ最大規模だった酒蔵がパリにありました。Entrepôt de Bercy(ベルシー倉庫)と呼ばれる場所。

セーヌ河畔にあるので輸送にも便利な場所。ここでワインなどのアルコール飲料の取引が行われたので、あらゆる関連の仕事が営まれていたそうです。

樽職人もいたのでした。ワイン倉庫があった地域が再開発でなくなる直前、1989年の映像です。


Ina: Le dernier tonnelier de Bercy(1989年のニュース)

樽を作ったり、修繕したりの仕事。少し前までは10人の仲間と一緒に働いていたのに、残っていたのは55歳の彼ひとり。それも、時代の波に押されて酒蔵はなくなる。

ここには独特の生活空間があったのだ、と消えゆくことが残念そう...。話しぶりからして、フランスの典型的な職人さんですね。伝統的な職業が消えていくのと同時に、こういう人も博物館入りの価値がでるのだろうな...。

ワインの醸造では木の樽を使わないところが多くなってきているので、樽職人は少なくなっているでしょうね。樽職人組合のサイトがあったので眺めたら、組合のメンバー数は51(従業員 1,917人)となっていました。2014年に製造された樽は524,500個。多いといえば、多いのかな?...


ベルシーの酒蔵跡は「ベルシー村」と呼ばれ、昔の面影を残しながら、隣には植物園を作ったりして、パリの田舎らしさを残している地域になっています。

Bercy Village Cour Saint-Émilion
La cour Saint-Émilion, Bercy Village

大都会パリにいると車も多くて疲れるのですが、ここには長閑な雰囲気があるので好きな界隈です。昔はアルコール飲料の倉庫だっただけあって、道の名前が酒の銘柄になっているのも楽しい。上に入れたのはサンテミリオンの庭。ここに地下鉄で行くにも、その名前の駅で降りますね。

ベルシー村には何回か行ったことがあるので、昔はどんなだったのか興味を持っていました。

このあたりに行ったときのことを書いた日記:
気に入ったパリの縁日博物館 (Musée des Arts forains) 2010/12/18

ベルシーの樽職人の関連で昔のベルシーの映像や写真などが出てきたので、次回はパリでワインビジネスの拠点だった2カ所の歴史について書こうと思います。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その17




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★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Tonneliers de France
Art du Tonneau - Frédéric Gillet - Tonnelier


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/27
フランスの友達が言っていたことがあります。

フランスは古代ローマの文化には劣っていたけれど、唯一、我らの祖先ゴロワは誇れる発明をした♪

木材で酒樽を作ったことなのですって。古代のギリシャでも、ローマでも、テラコッタの壺(アンフォラ)に入れいたのだから、すごい発明だったのだそう。

イタリアから「ガリア」と呼ばれた時代のフランスで使われていたとされる、発掘された酒樽です。

http://mediolanum-santonum.fr/3_tonneau0.jpg?v=48afyg1zrl92ht
Les inventions Gauloises

Les tonneaux gaulois


ワイナリーに行くまでもなく、ブルゴーニュではイベントの飾りや家庭のインテリアに使ったりするのでワイン樽は馴染みのあるオブジェです。

ワイン樽は、人間が動かしたりするにはちょうど良い大きさになっているのだとか。

ブルゴーニュ地方では昔ながらの伝統がブドウ栽培の世界で残っていることを書いて(ブルゴーニュで使われるブドウ畑の面積を表す単位)、以前から気になっていたことを思い出しました。

ワイン樽をどう呼ぶかが、ブルゴーニュとボルドーでは違うということです。

ここのところ、どういう風の吹き回しか、ワインのことを調べたくなっている私。ついでのことに、樽のことも調べてみることにしました。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その16

セラー


ブルゴーニュで「トノー」と呼ぶワイン樽は、ボルドーでは「バリック」

昔の貴族の男性や、上の地位の聖職者に対する呼びかけに「Monseigneur」というのがあります。ブルゴーニュの友達に、そういうのは日本語にもあって、「殿」とか「お殿さま」と言うのだと教えたら、「僕をトノと呼んでくれ」なんて言われました。

ワインの樽は「tonneau(トノー)」と呼ぶので、「殿」という言葉がすっかり気に入ってしまったようです。ワイン好きの人なのです。

ワイン樽は「トノー」と言えば通じるのですが、ブルゴーニュでは「pièce(ピエス)」というのが正式の呼び名なのだろうと思います。例えば、ボーヌ市の施療院が行うワインの競売「Vente des hospices de Beaune」で取引される樽は「ピエス」と呼ばれていますので。

ワイン樽を指すには「fût(フュ)」とも言います。これはドラム缶やビールの容器ケグにも使われるので、もっと広い意味なのでしょうね。


そういう単語は耳に慣れているので馴染みがあるわけなのですが、ボルドーでは、ワイン樽のことを「barrique(バリック)」と呼ぶのだそうです。

ブルゴーニュとボルドーのワイン樽の違いを見るために画像を探してみました。

2つのワイン樽を並べた写真です。

Fut bourguignon / barrique bordelaise

左側のがブルゴーニュの伝統的なワイン樽で、228リットル入るのが標準サイズです。

右側のは、ボルドーの樽「バリック」で、こちらは225リットル入るサイズ。

2つ眺めてみたら、日本人がイメージするフランス人の体形はボルドータイプではないかという気がしました。パリではダイエットしてほっそりした人たちもいますが、田舎に行くとブルゴーニュタイプが多いのですけど...。

ブルゴーニュの樽はズングリした形。ブルゴーニュとボルドーのボトルの形の違いに似ているような気もします。

【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集


座りがよくて、ひっくり返る心配がない形の方が安定感があるので、私は好きです。

ここにボトルを並べてみて気がつきました。ボルドーワインで有名なMouton Rothschildは、日本語で「ロートシルト」と表記するのですね。フランス語式にロチルドとするか、日本語で言われるロスチャイルドにしてくれないと、私には連想できないのですけど...。ロートシルトというのはドイツ語風の発音ですか? どうしてなんだろう?...

でも、今日の私はワイン樽のことを考えているのでした!

ブルゴーニュでは普通サイズのワイン樽を「トノー」と呼ぶけれど、ボルドーの「トノー」はもっと大きな樽を指すのだと言われました。どうして、そんな紛らわしいことになっているのか、というのも私の疑問。


ボルドーの「トノー」は、ブルゴーニュの「トノー」の4倍ある

ブルゴーニュで「トノー」と呼ばれるワイン樽には228リットル入る。

「ボトルを12本入れた箱が24つできる量だ」、と説明している人がいました。

なるほど、1ダースのワインを入れた箱が2ダースできるとは、すっきりしていて良いですね。


としたら、ブルゴーニュの樽より3リットル少ないボルドーの樽からボトル詰めしたら、どうなるの?

ボルドーの樽はなぜ225リットルなのかを説明している記事があって、「ワインボトル300本分になる」と書いてありました。

なるほど、225リットル ÷ 0.75リットルは、ちょっきり300本だ...。

それを12本入りのケースに入れたら... 25箱になる。これも切りが良い数字ですね。


しかし、待てよ、まてよ~。

ブルゴーニュの樽より少ない分量しか入らないのに、なぜボルドーの方が1箱多くなってしまうの?!

ブルゴーニュの場合を、逆に計算すると...

12本 x 24箱 x 0.75リットル = 216リットル。

ブルゴーニュのトノーには228リットル入っているわけだから、12リットル余る計算になります。残りをボトルに詰めたら、16本分にもなってしまう。

ブルギニョンのことだから、ワイン醸造と瓶詰作業をしていた人たちがご褒美として飲むために残すのかな?... でも、何リットル入っているかはマチマチでしょうから、そのくらいの余裕を持たせた方が良いですね。

ボルドーでは、最後の1滴までボトルに入れることを前提としているというわけ? ボルドーって、ケチなんだ...。


ここまで書いて、ブルゴーニュの人に話したら、ブルゴーニュのワイン樽は「ボトル300本分になる」と普通は言われるのであって、「12本入りで24箱分になる」なんて聞いたことがない、と言われてしまいました。

インターネットに書いてあることは真実とは限らないのですよね。でも、フランス人が言ったからとしても、これも真実であるとは限らない!

でも、ブルゴーニュのワイン樽が300本分というのも納得できない。228リットルだから、ボトル300本を作ったら、やはり3リットル余ってしまいますよ...。

300本分というのなら、ひと樽が225リットルであるべきで、つまりボルトーのバリック樽の容量になってしまうので計算が合わないと指摘したら、「ボルドーなんかのことを、なんで持ち出すんだ」と叱られてしまった...。


仕方がないので、ボルドーの樽についてインターネットで調べるのを続けました。

ボルドーでは、普通のワイン樽は「バリック」と呼ぶ。そして、バリック4個分を「トノー」と呼ぶのだそうです。ブルゴーニュのトノーと綴りも同じで、tonneau

紛らわしいですね...。


トントンがトン?

王妃エレアノール
―ふたつの国の王妃となった女
ボルドーのあたりなど広大な領土を持っていたアリエノール・ダキテーヌという女性が、15歳で結婚したフランス国王と離婚し、今度は11歳年下の男性と再婚します。

1152年のこと。
そのお相手がイギリス国王ヘンリー2世となる。

それによってイギリスとの貿易が活発になり、ボルドーの港からワインが輸出されました。

N.B.:
アリエノール・ダキテーヌ: フランスでの名前はAliénor d’Aquitaine(Éléonore d'AquitaineあるいはÉléonore de Guyenneとも呼ばれる)。イギリスでの呼び方はEleanor of Aquitaine。
ヘンリ2世: イギリスでの呼び名はHenry II。フランスではHenri II。


当時、船に積むワイン樽は、900リットル入り、つまりバリック4樽に相当する「トノー」が使われたのだそう。

そんな昔からボルドーワインは海を渡っていましたか。

よほどワインが大量に輸出されたのか、その後、このトノーが今日の「トン」という国際単位に発展したのだそうです。

1トンは1,000Kgなのでメートル法かと思っていたのですが、もともとはイギリスのヤード・ポンド法の単位から作られたのだと学びました。

イギリスのワイン樽による単位というのは、これでした ↓

Seven barrels, each of a different size.
Wikipedia: English wine cask units

この最も大きい「tun(タン)」という樽が、ボルドーの大樽のトノーにほぼ等しいようです。説明があったのですが、これも計算が合わないのでメモしておくのをやめます。


日本の情報でも、トンという単位は酒樽から来ていると書いてありました。

でも、酒樽を叩いたときの音が「トン、トン」だったからとうのはどうなのかな?... 木を叩いたときの音をトントンというのは日本的なオノマトペではありません。1つだけ、検査員が小槌で「タンタン」と叩いたと表現した記事がありましたが、それならありうると思いました。

フランスでは、ドアをノックする音は「toc toc toc(トック、トック、トック)」です。片仮名で書いても発音に近いと思いますが、本物を聞くなら、こちら

日本語では擬声音が豊富なのに比較すると、フランス語では一般化しているのは非常に少ないです。酒樽を叩くときの音は何なのかとフランス人に聞いたら、考え込まれてしまいました。仕方がないので「トック、トック」ではないかと言ったら、「そうかもしれない」という頼りない返事。こういうのは、擬声音がたくさん出てくる漫画を読んでいる子にでも聞かないと分からないですね。

ともかく、フランス人に「トントン」と言ったら、tontonで、「おじちゃん」の意味になってしまうだろうと思います。

フランス語のトン(tonne)は、酒樽のトノーも同じで、容器や樽の意味があったラテン語のtunnaから来ているというので、樽を叩いた音でトンと呼ばれるようになったというのは本当なのかな... と疑ってしまうのですけど...。でも、そんなことを気にしても意味がないので止めておきます。


ワイン樽には色々なサイズがある

ブルゴーニュでも樽のサイズが色々あり、それぞれに名称がついていました。

下の写真で、左端のが普通サイズのpièce(ピエス)で、228リットル入る。
真ん中にあるのは、その半分サイズの feuillette(フュイエット)で、114リットル入る。
右端のは、標準サイズの4分の1入る quartaut(カルトー)で、57リットル入り。



Musée du vin de Bourgogne de Beaune

それ以外にもあるのかなと思って調べてみたら、ゾロゾロと出てきてしまいました。

樽を総称して呼ぶには、fût、 futailleがある。昔の単位としての樽にmuidというのがあり、これはトノーと同じこと。

ところが、地域によって樽の大きさを呼ぶ名称も色々あるし、その容量も異なるのでした。主なものを拾ってみます。
地方名樽の基準
アルザスfoudre (1,000リットル)
aume (114リットル)

※ aumeはブルゴーニュのfeuilletteに等しい
Foudres
ボルドーbarrique (225リットル)
tonneau(900リットル) = barrique 4個分
feuillette (112リットル) = demi-barrique(barriqueの半分)
quartaut (56リットル) = barriqueの4分の1
ブルゴーニュpièce (228リットル) = tonneau
queue (456リットル) = pièce2個分
feuillette (114リットル)  = demi-pièce (pièceの半分)
quartaut (57リットル) = quart de pièce  (pièceの4分の1)

※ マコネのpièceは 215リットル
※ シャブリのfeuilletteは 132リットル
ボージョレーpièce (216リットル)
feuillette (108リットル) = demi-pièce (pièceの半分)
quartaut (54リットル) = quart de pièce  (pièceの4分の1)
ローヌpièce (225リットル)
シャンパーニュqueue (216リットル) 
demi-queue (108リットル)
ロワールpièce (220リットル)
南フランスdemi-muid (600~700リットル)

これはフランスのワイン専門サイトに書いてあったのを並べてみたのですが、Wikipediaフランス語ページには、もっとたくさん、おびただしいほど書いてありました!

こんなのを並べても覚えるはずがない。ボルドーとブルゴーニュの違いだけ覚えて、後は「色々ある」と記憶しておくだけにします。


酒樽を寝かせておくワインセラーの呼び方

ブルゴーニュとボルドーはフランスの2大ワイン産地ですが、ワイン関係の用語がかなり違っていたりします。私はブルゴーニュの用語に慣れているので、どうしてボルドーは変な呼び名をするのかと思ってしまうのですけれど。

覚えておかなければいけないのには、ワインセラーをどう呼ぶか。

ブルゴーニュの場合は、発酵する場所はcuverie(キューブリ)で、ストックするところはcave(カーヴ)と呼びます。でも、ワイン農家に行って見学するときは、カーヴの見学とだけ言うように思いますけど。

ボルドーでは、その両方をchai(シェ)と呼ぶのだそうです。

ボルドーから近いコニャックでも「chai」と呼んでいたように思います。ワインに仕上げるのにブレンドするので、それをつかさどる人は重要な役割なので、Maître de chaiというタイトルの人がいました。ボルドーもブレンドするワインなので、この役割の人がいるのでしょうね。

ブルゴーニュの古い石造りの民家には、地下にワインセラーがあることが多いのですが、これもcaveと呼びます。ブルゴーニュ南部のワイン産地のマコネ地域では、カーヴが半分くらいしか地下に潜っていないのですが、それでもカーヴ。

ボルドーのchaiというのは、ワインづくりのプロの醸造所にしか使わないと思います。つまり、ボルドーでも、民家にあるワインセラーはカーヴと呼ぶのではないかな。

ブドウ栽培者が持ち込んでブドウでワインを作ってあげたり、ブドウを買ってワインを作って販売させたりするワイン農協のことを、ブルゴーニュではCave coopérativeと呼びます。ボルドーではChai cooperatifかと思うと、やはりCave coopérativeと呼ぶみたい。なんだか腑に落ちない...。



ボルドーの「トノー」という大樽を見たくて画像を探したのですが、見つかりませんでした。昔に船で輸送したときの樽だから今では存在していないのかな?...

でも、ひと昔前の樽づくりや、パリに最近まであった広大なワイン貯蔵所のの映像などが出てきたので、それをブログに記録しました:
ワイン樽の製造: 今と昔

このシリーズの目次:
フランスのワイン産地

 

ブログ内リンク:
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★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Tonneau (à vin) tonnellerie, élevage du vin
☆ Wikipédia: Contenance des tonneaux
☆ Wikipédia: Anciennes unités de mesure françaises » Mesure du volume des liquides
☆ Wikipédia: Tonneau (formules) 
Pourquoi une barrique (bordelaise) fait 225 litres ?
Récipients et leur contenance: Verres, bouteilles, tonneaux
L'histoire du vin de Bordeaux
"Toc toc toc" dans toutes les langues du monde?
Le port de Bordeaux
Pourquoi une bouteille de vin fait 75 cL ?
Le tonneau en Gaule romaine - La viticulture en Gaule
どうして船の大きさを表すのに「トン」を使うの?
とんでもないトンと言う単位
「トン」の由来は酒樽を叩いた音


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/24
少し前から、フランスのブドウ畑が値下がりしていたり、ひどく値上がりしていたり、ということを書いています:
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/18

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その15



フランスのワイン産地に土地の価格を入れた地図があったのですが、見やすいようにデータを表にしてみました。何処が高くて、どこが安いかを眺めて、何が原因なのかを考えてみるのは興味深かったです。







フランスのブドウ畑の土地価値

フランスの農地の整備や再配分を行うSAFER(土地整備農事建設会社)が農地の価格を発表していたので、主なところを拾って表にしてみました。ここにあるのは、土地の価格が公表されているところだけですし、これはあくまで目安であって、この金額を出せば買えるということではないはずです。

単位: 1,000ユーロ/1ヘクタール当たり

AOPワイン産地 / アペラシオン1991年2014年
平均平均最低価格最高価格
アルザス40134
シャンパーニュ1811,123【楽天市場】シャンパーニュ&スパークリング特集
マルヌ県(シャンパーニュ・アルデンヌ地域圏)1951,2196001,845
オーブ県(シャンパーニュ・アルデンヌ地域圏)1699816971,216
エーヌ県(ピカルディー地域圏)868162601,191
ロワールサントル2028
サンセール
(サントル地域圏)
80140115170
ソミュール・シャンピニー
(ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏)
42563563
 プュイ・フュメ
(ブルゴーニュ地域圏)
62147144151
ブルゴーニュ、ボージョレー
サヴォワジュラ
92148【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集
ブルゴーニュ地域圏134241
コート・ドール県288546
ブルゴーニュ
地域名アペラシオン
45341160
コート・ド・ボーヌ赤
村名アペラシオン
20628598660
コート・ド・ボーヌ白
村名アペラシオン
3136101681,110
コート・ド・ニュイ赤
村名アペラシオン
2405201021,000
プルミエ・クリュ赤3855502351,850
プルミエ・クリュ白8651,3403202,650
グラン・クリュ1,829  4,3502,10010,000
ヨーヌ県66136
プチ・シャブリ56807585
シャブリ82158123175
シャブリ・プルミエ・クリュ102320240380
ソーヌ・エ・ロワール県5269
コート・シャロネーズ赤609545200
コート・シャロネーズ白639460175
フュイイ・フュッセ141220185250
ピュイイ・ロッシェ
ヴァンゼル
9411070140
サン・ヴェラン6111585125
ヴィレ・クレッセ5510075120
ボージョレー
ボージョレー・ヴィラージュ
2912820
ボージョレー・クリュ(注1)819053120
ローヌ・アルプ地域圏4926
ローヌ県5126
ボージョレー4411812
ボージョレー・ヴィラージュ5111912
ボージョレー・クリュ(注2)635711105
ローヌプロヴァンス2340
ローヌ・アルプ地域圏(注3)2033
サン・ジョゼフ49110
コルナス69450400500
クローズ・エルミタージュ1510085115
エルミタージュ-2013年:
1,000
--
コート・ロティ-1,0008001,100
コンドリュー-2013年:
650
プロヴァンス・コート・ダジュール地域圏2448
ベレ167245245245
カシ4810070140
バンドール5211090150
シャトーヌッフ・ドュ・パップ85360330400
ジゴンダス58150120170
ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ51807090
ラングドック・ルシヨン地域圏2020
ラングドック・ルシヨン812
ボルドー、アキテーヌ4885【楽天市場】五大シャトーからソーテルヌまで♪ボルドー格付けシャトー特集
ジロンド県5395
カノン・フロンサック115706075
ラランド・ド・ポムロール182180160270
ポイヤック2222,0001,5002,400
ペサック・レオニャン166450300470
ポムロール3781,0007004,400
サン・テステフ138350200700
サンテミリヨン1552201701,700
サン・ジュリアン
マルゴー
2021,0005001,500
ソーテルヌ174353038
南西部1314
コルシカ712
フランス本土(平均)
AOP指定地域42136
AOP指定のない地域1113
出所: Safer

注1: ムーラン・ナヴァン、サンタムール
注2:ブルイィ、シェナ、シルーブル、コート・ド・ブルイィ、フルーリ、ジュリエナ、モルゴン、ムーラン・ナヴァン、レニエ
注3:エルミタージュ、コート・ロティ、コンドリューを除いた統計



土地の価格が高いのは何処か

市場価格だから当然でしょうが、高級ワイン、人気があるワインがつくられる地域の土地の価格が高いですね。でも、異常に値下がりしているところと、異常に値下がりしているところのコントラストが大きすぎる...。

ところで、フランスのブドウ畑の価格を調べたのは、ボージョレーが売れ残っているのに伴って、ブドウ畑を売っても安く買いたたかれるのだと聞いたからでした。

ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる? 2016/01/05

ここに入れた表は10年余り前の土地の価格と比較したものなので、ごく一部の例外を除けば、どこでも値下がりはしていません。それなのに、ボージョレーの産地では、軒並み値下がりしていて気の毒になるほどなのでした....。クリュと呼ばれる最高ランクのボージョレーはそれほどではないのですが、ボージョレーの産地のほとんどはランクが低いワインを生産しているのです。

下のランクと言っても、ボージョレーは高品質保証のAOC/AOPを持っていて、それなりに厳しい決まりに従ってワインを作っているのに、品質保証を持っていない地域の全国平均よりも土地の価格が低いのでした。ボージョレーが売れないためにワインを作るのをやめた人が続出しているので、土地は余ってしまって買いたたかれているのでしょうね。

その逆に、近年では、フランスの実業家や外国人がブドウ畑を投資目的で買うことに拍車がかかったそうで、中には飛躍的に値上がりしているところもあります。

シャンパンの産地であるシャンパーニュ地方は群を抜いています。シャンパンは需要に対して生産が追いついていないと言われるし、最近の不況にもかかわらず売れ行きは好調なのだと聞きました。そのままで飲んだら美味しくないワインだろうと思うのですが、シャンパンの発明で恩恵に浴しています。

シャンパンを除けば、ブルゴーニュの高級ワインができるブドウ畑の価格が急騰しています。べらぼうな高値が付いている所があるという点ではシャンパーニュ地方を抜いています。

このブルゴーニュの問題については、すでに書いています:
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/18


意外なことに、ブルゴーニュに並んでフランスワインの代表格にされているボルドーの地価はそれほど高くなっていなかったのでした。例外的なのはポイヤック。それでも、ブルゴーニュのグラン・クリュのブドウ畑の価格の半分にすぎません。

ポイヤックと言われてもピンとこない。この村に住む友達の家に滞在したとき、近くにあるからとムートン・ロチルドのシャトーを見学をする予約を入れてくれていたので、あのシャトーがある場所かと思って調べてみました。
 
ボルドーワインは、1級から5級まであって、格付けシャトー61のうち、1級になっているは以下の5つなのだそう:

なるほど、高級ワインはポイヤックに集中しているわけなのですね。
ch ラトゥール ’2005 赤

ch ラトゥール ’2005 赤
140,184円(税込、送料別)



有名で、高いという印象が強いソーテルヌの土地価格が驚異的に値下がりしているのが奇妙でした。下がっているとしても、プチ・シャブリくらいの価値がなければおかしいと思う。間違って数字を拾ってしまったかと確認したのですが、データはこうなっていました。原因は分かりせん。この地域では甘いワインしかできないので、他の種類のワインもできるように運動がおこっているという情報くらいしか出てきませんでしたので。桁を間違えているのではないかな?...


ブドウ畑を購入する投資家は、当然ながらドメーヌやシャトーの収益が良いかを判断の基準にします。儲かっているところに投資するのが普通なわけですが、リゾート地としてステータスがある南フランスのブドウ畑は例外だそうです。

ブドウ園付きでお屋敷を持ちたいというお金持ちがいるので、ブドウ畑の価格が必要以上に上昇しているようです。もっとも、地中海に近い地域に人気が集まっているとのこと。

海に近いところにあるブドウ園ほど高くなり、遠ざかれば安くなるということだそうです。コート・ダジュールのベレ(ニース市内)、それからプロヴァンスのカシとバンドールが値上がりしているのが見えますが、そういう買い方をされるのが大きな要因ではないでしょうか?

カシなどは素晴らしく美しい所ですが、ミストラルが凄まじい強さで吹くので、私は住みたくないですけどね...。

もっとも、ベレ(Bellet)というワインは生産量が非常に少ないので、希少価値があるそうです(日本語情報)。

美味しいのかどうかは知りませんが、6,000円強という結構なお値段で売られていました:
ベレ クロ ルージュ 2013 クロ サン ヴァンサン 750ml [赤]

バンドールは、中にはとても美味しいのがあると思います。

ブログでも書いていました:
バンドールのロゼワインが気に入った 2010/12/25

でも、日本でさえ1本3,000円くらいで売るワインだったら、ワインビジネスで投資する価値はないのではないでしょうか。

やはり、お金を稼ごうというよりは、プロヴァンスのブドウ園付き別荘だと思いますけど。

例えば、こんなお家を持つとか...。


Maison Domaine Cassis V2


脱線ばかりして長々と書いてしまっている、このシリーズの目次:
フランスのワイン産地




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ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる? 2016/01/05
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/19
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☆ Agreste: Valeur vénale des terres agricoles
☆ Safer: Le prix des terres


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/21
前回の日記「ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた」で、ブルゴーニュのブドウ畑が売られるときには「ouvrée(ウーヴレ)」という面積の単位が使われるのだと書きました。

特級モンラッシェのワインがブドウ畑で、1ウーヴレの広さが100万ユーロという高値で取引された、と話題になっていたのです。計算してみたら、130坪の畑に対して1億5,000円くらい払って手にいれた、ということになりました。確かに、高い!

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その14



ウーヴレouvréeとは?

1ウーヴレというのは昔の面積を測る単位で、ブドウ栽培者が1日で耕せる畑の面積を指しています。他の地方でも現在も使われているのは分からなかったのですが、ブルゴーニュではこう決められています。

1ウーヴレは4.28アール、つまり 428 m²
一般t的には、1ヘクタール = 24ウーヴルで計算するのが普通のようです。

イメージとしては、1ウーヴレにはブドウの木を500本植えるという感じ。そこからは228リットルのワインができて、ボトルに入れると300本。

まあ、ブドウ畑を1ウーヴレだけ持っていら、ワインづくりは趣味でやってます、という感じになるでしょうね。イベントでビオのワインを売っていた若者と話したら、ブドウ畑は2ヘクタールしかないとのこと。それで食べていけるのかなと思って遠まわしに聞いてみたら、醸造学を勉強したのでワインづくりのコンサルタントを主な仕事にしているとのことでした。

昔のフランスでは、1日で耕せる面積という単位が大事な基準になっていたそうです。ウーヴレouvrée)の他にも、journal(現在では日刊紙の意味でよく使われる単語)、fosserée(ブドウ畑をすき起こすfossererから)、fossoyée(鍬を使って耕すfossoyerから)などという名称も出てきました。

1日で耕せる面積と言ったって、働く人によって差があるでしょう? それよりも、土地が固くて耕しにくかったら、1日に耕せる面積はずっと少ないはずではないですか?

実際、昔のそういう単位は地方によってマチマチでした。ブルゴーニュ地方の中だけでも、地域によってウーヴレの面積は異なっていて、ボーヌ地域で使われていた面積をブルゴーニュワインの産地全体で採用したようです。


足で測る単位もフランスにあった

ウーヴレというのは昔に用いられていた単位です。この際なので調べてみたら、フランス革命期にフランスはメートル法にされたわけで、それ以前は全く違う単位が使われていたのでした。足の大きさをもとにした「フィート」というのはイギリス独特なのだろうと思っていたのですが、フランスでも、そのままに「pied」として存在していたのです。

王様の足の大きさを基準にしたわけでもないのでしょうが、「pied de roi」などという長さがありました。いわば、キングズ・フィート。時代によって変化していましたが、フランスの1フィートは32 cmちょっと、という感じでした。

18世紀に使われていたフィートを測る道具 ↓

Pieds de rois.jpg
Trois règles de pied de roi (XVIIIe siècle)


1日で耕せる面積と言ったって...

さて、畑の面積を示すには、1日でどれだけ耕せるかが基準になっていました。なぜ耕せる面積を基準にするのかというと、農作業の中で最も重労働だったからだようです。

もちろん、現代のようにトラクターに乗って畑を耕してしまうわけではありません。「中世の耕し方で」と書いてあるものもあったのですが、人間が鍬で耕していたら、1日で130坪も耕せるのかな?... 1ウーヴレの広さは、ほぼバスケットボールのコートと同じ広さなのです。

家畜に耕させていたのではないか?...

下は15世紀始めにつくられた『ベリー公のいとも豪華なる時祷書(Les Très Riches Heures du duc de Berry)』で、3月のカレンダーとして描かれている風景です。

Les Très Riches Heures du duc de Berry mars

ブドウ畑ではない畑ですが、牛で畑を耕しています。この時代でも家畜で畑を耕していたとしたら、ウーヴレの単位もこの作業を基準にして測っていたのかもしれない。

牛と馬を使いますが、馬で耕すのよりは牛の方がほんの少し早く仕事を終えるようでした。


最近のブルゴーニュの高級ワインを作っている畑では、さかんに馬で耕すようになってきたので、映像がありました。モレ・サン・ドニのブドウ畑です(コート・ド・ニュイ)地区。


Labour à cheval dans le Clos de la Roche à Morey-Saint-Denis

おっとっと..。耕している人は、余りお上手ではないですね。ご近所がみんな馬で耕すようになったので、ウチも始めようかとやっているのではないかと思ってしまいました。この感じでやって、1日で130坪くらい耕すかな?...

最近はブドウ畑に優しいように馬で耕すのが流行っているので、そういうことを請け負う業者の人たちがいます。彼らだったらもっとスイスイとやりますよ...。

他の動画を探したら、ロマネ・コンティを耕す馬の動画がでてきました。やはり、馬の動きが全然違いますね...。というか、畑が馬で耕し慣れているらしくて、土がホクホクして見えます。

もう少しブドウ畑で耕す馬の動画を探してみたら、解答が出てきました♪ ウーヴレは馬で耕すときの作業時間が1日なら1ウーヴレではないですね!

下の動画に登場する馬は、ブドウ畑1ヘクタールを1日で耕すと解説しています。24ウーヴレで1ヘクタールですから、1日で1ウーヴレというのは馬の力を借りて耕すという基準ではないのだろうと思いました。

ちなみに、馬で耕すと、トラクターが耕す面積の30%しか1日にできないのだそう。遅いけれど、トラクターのように地面を固めてしまわないのでブドウの成長には良いのです。


ANIMAUX : En Bourgogne, les chevaux labourent les vignes

こちらの舞台は、ブルゴーニュ南部のマコネ地域にあるソリュートレ・プュイイ村。私が好きなプイィ・フュイッセとサン・ヴェランを買うためによく行く場所です。本当に美しい景色が広がっているので、行くたびに、こんなところで働けたら幸せだろうなと思ってしまっています。


ロマネ・コンティの畑は42ウーヴレ

ブドウ畑を売るときだけではなくて、ブルゴーニュでブドウ栽培に携わっている人たちは「ウーヴレ」という単位をよく使うようです。畑で働いている人とおしゃべりしたときに、ウーヴレで答えられたことが何度かありましたので。

どのくらい作業のボリュームがあるかで表現するわけですから、働いている人たちにはメートル法よりもピンとくる単位なのだろうと思います。

ロマネ・コンティは世界的に有名なのですが、ブドウ畑はとても狭いのだと言われます。普通に言われるのは、1.8ヘクタールで、42ウーヴレという表現。信頼できるブルゴーニュワイン委員会(BIVB)の情報では1.77ヘクタールで、ブドウが植わっているところだけの面積だと1.63ヘクタールだ、と記載されていました。

ともかく、そのくらいの面積で、年間に45ヘクトリットル(ボトルで6,000本)のロマネ・コンティができるのだそう。

2ヘクタール足らずのロマネ・コンティの畑がどのくらいの広さかをお見せします。奥の方に広がっているのは別の畑で、手前の方の畑だけ。動画が動き始める前に少し先に見える門のあたりまでしかありません。


Promenade le long de la Romanée-Conti


日本でよく広さの例えに使われるものには東京ドームがあります。普通に何個分と言うときには建築面積で4.7ヘクタール。グランドの大きさなら1.3 haで、ロマネ・コンティの畑より一回り小さいという感じですね。

Tokyo Dome 東京ドーム

日本の人にヘクタールで言うと、どのくらいか聞かれることがあるので、どう説明したら良いかを探るために表を作って眺めてみました。

東京ドームの何個分という例えば、行ったことがない私にはピンとこないし、とっさの場で計算なんかできないからです。


面積の比較

面積の単位面積換算めやす
1.55 m²(江戸間)
1.82 m²(京間)
3.31 m²約畳2枚、人間の表面積
1歩(ぶ)は1坪(6尺平方)
(せ) - 日本99.17 m²30平方歩、1アール、約30坪
アール100 m² = 0.01 ha100アールで1ヘクタール
約30坪
バスケットボールコート420 m²15 m x 28 m
ouvrée(ウーヴレ)
* ブルゴーニュ基準
428 m² = 4.28アール
*他の地方では3~5アール
1人が1日に耕せるブドウ畑の面積
約129坪、約4畝
24ウーヴレで1ヘクタール
半反に欠ける
畝 - 中国666.67 m²100平方歩
15畝で1ヘクタール
991.7 m² = 10畝約600畳、約300坪
1年で1石の米が収穫できる
(ちょう)9,917 m² = 100畝 = 10反約1ヘクタール、約3,000坪
ヘクタール10,000 m² = 0.01 km² = 100アール100 m x 100 m
24ウーヴレとされている
約3,000坪
5ヘクタールで東京ドーム1個
ロマネ・コンティの畑1.8 ha約424ウーヴレ
東京ドーム建物面積: 4.7 ha
グランド面積: 1.3 ha
グランドは30ウーヴレ

1アールは1畝で、1ヘクタールは1町と言えば良いのですね。でも、畑を持っている農業者でないと、やはりピンとはこないでしょうね...。やはり日本は東京ドームの大きさで比較するしかないのかな?...

日本にも「歩(ぶ)」という単位がありましたね。ウーヴレは農作業で面積を表すのだから、それに相当するような広さの感覚が日本にもあることを期待したのですが、見つかりませんでした。

フランスにいてヘクタールで言われるのに慣れてしまいました。1ヘクタールと言われると、その大きさの友人の家の芝生を思い浮かべます。100ヘクタールとか400ヘクタールなら、農家に行ったときに示されるの広さが頭に浮かんできます。お城の所有地が何千ヘクタールというような話しになると、さすがに想像もつかなくなりますが。


数字アレルギー

日本人がヘクタールでピンとこないのは、山国で、広々とした平地を見慣れていないので土地の広がりは気にしないのかな、とも思いました。東京ドームの広さに例えられることが多いのですが、建物の敷地面積を指しているのか、グランドの広さと比較しているのかをはっきりさせないで持ち出していることも多いようです。

でも、1ヘクタールをメートルで言ったらどうなるかと聞かれて答えられなかったフランスの政治家がいたので、大変な話題になりました。

こともあろうに、テレビ出演してクイズを出された農林大臣だったのです!

そのことを書いているブログ:
農林大臣なのに、1ヘクタールがどの位の広さなのか知らない

大臣は算数は苦手なのだと言って、「1ヘクタールって狭いよね」という感じのことを言っていました。たぶん、広さは私のように想像できるけれど、それを平方メートルで言えなかっただけだろうと思います。

確かに、フランスで農家が1ヘクタールしか持っていなかったら農業者をやっていられないです。日本では、そのくらいでも立派に農家ですけど。

ずいぶん前、日本から来た農家の人とフランスの農家に行ったことがありました。互いにどんな農業をやっているかの話しになって、農地面積をご披露しあいました。フランスの農家の方は、200ヘクタールの土地で穀物を作っていると言います。穀物栽培農家としては、どうということのない広さです。

日本人の農地は1ヘクタール。フランス人は、「それでは生活が苦しいだろう」と、いたく同情しました。オレも農業が大変だなんて言っていたらバチが当たるとでも反省しているような表情。ところが日本人は、得意げに所得をご披露。フランス人の10倍以上の収入だったのでした。

高度成長期の時期で、日本人はお金持ちだとフランスでも言われていたのに、それを忘れていたらしい。ご主人は落ち込んでしまって、その後は農業の話しをやめてしまいました!

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フランスのワイン産地

 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

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恐ろしく贅沢なワインづくりに驚く! 2006/04/21
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外部リンク:
Ouvrée (unité de mesure de surface) vignes (Bourgogne)
☆ Les anciennes mesures locales du Centre-Est d'après les tables de conversion » Vignes 
tableau des mesures les plus courantes en usage ... - Beaune
☆ Les mots du vin : petits mensonges sur les rendements
Produire une bouteille de vin, combien ça coûte ?
Mesures de surface agraires
Journal (ancienne mesure agraire)
☆ Wikipedia: メートル法 
☆ Wikipedia: アルパン = Arpent / 面積の比較
☆ Wikipedia: Anciennes unités de mesure françaises » Perche (unité)
☆ 面積換算:土地面積計算機


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/18
ブルゴーニュ地方はワインで有名なので、いたるところにブドウ畑があるかと思われるかもしれませんが、ブルゴーニュでブドウが栽培されている地域はかなり限られいます。

昔はどこでもブドウ畑があったそうですが、害虫フィロキセラでブドウ畑が全滅といえるほどの被害があった後、質の悪いワインを作るのは止めて淘汰されたとのこと。今では、ブルゴーニュ地方にある農地に占めるブドウ畑の割合は3%と聞いたように思います(正確な数値が見つかったら訂正します)


コート・ドールのディジョンの少し先からボーヌの当たりまで広がるブドウ畑は、見るからにブドウ畑の土地代は高いのだろうなと感じさせる特徴があります。

ブドウ畑のすぐ近くに建っているような家だと、庭がとても狭い。それから、ブドウ畑の中にある墓地が「こんなところで場所をとっていて申し訳ない」という感じに見える。ブドウ栽培者だって、墓地をブドウ畑にしてしまいだろうけれど、ご先祖様の手前、それはできないのだろうな...。


高価なワインを作れるのに、少しでも空き地にしておくのはもったいない?!

昨年の9月、超高級ワインができるあたりを散歩していたら、こんなところにもブドウが植わっていたっけ、と思う場所が目に留まりました。



ブルゴーニュの観光写真でもよく使う風景ですが、向こうに見えるのがクロ・ド・ヴージョのシャトー。道路の左手に見えるのがClos de Vougeotと呼ばれるクリマ。クロという名の通り、囲われた土地になっています。50ヘクタールほどあるのですが、85人くらいの所有者がひしめき合っているのだそう。

こちら側からだと道路から下がったところに畑があるのですが、こんな風に石垣に迫った傾斜地もブドウ畑だったかな... と思って写真を撮りました。

というのも、このすぐの所に、わぁ、無理してブドウを植えちゃったと笑いたくなるところがあったのです。

石垣からすぐのところ、少し高台になった部分で、何枚も畳を敷けないくらいのスペース。そこに未だ植えてから年月がたっていないようなブドウの畝があったのです。フランス語でなんと表現すれば良いか知りませんが、日本語なら「猫の額のような」と言いたい!



ブログに書こうと思って写真を撮っていたのですが、書いていなかったようです:
収穫が始まったコート・ド・ニュイのブドウ畑。今年は当たり年では?♪ 2015/09/04


ブルゴーニュのブドウ畑の価格を調べてみる

以前から、このあたりのブドウ畑の値段はすごいのだと友人たちから言われていたのですが、どのくらい高いのか調べてみる機会になりました。

先日ボージョレーのワインは売れ残っていて、ブドウ栽培をやめる人たちが続出しているという話しの中で、ボージョレーのブドウ畑は売るにも買いたたかれているらしいと書いてありました。ブドウ畑の価格は普通の農地よりも高いはずですから、本当なのかな... と調べてみたくなったのです。

ボージョレーの危機について書いたのは、こちら:
ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる? 2016/01/05


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その13

ボージョレーのブドウ畑は、1ヘクタールあたり1万ユーロ(約130万円)でしか売れないのだと書いてありました。30ヘクタールを手放したら3,900万円。私のような貧乏人には悪くないじゃないかと思ってしまうのですが、他のブドウ畑に比べたらかなり低いようです。



 


農地の整備や再配分を行うSAFER(土地整備農事建設会社)が、フランス本土にあるブドウ畑の相場を発表していたので比較することができました。高い土地の価格を一覧にしたので、それを次回の日記に入れます。

眺めてみると、とても面白かったのでした。


ブルゴーニュのブドウ畑の価格は急騰している

高品質な農産物であることを証明する「原産地呼称(AOC/AOP)」を持っているブドウ畑の評価額は、フランス全土の平均で1ヘクタールあたり13.6万ユーロ(2014年)。そんな品質保証はもらっていないブドウ畑で1.3万ユーロ。ボージョレーはAOC/AOPを持っているのに、それ以下ということなのでした。

牧場や普通の農地の価格は5,900ユーロだそうなので、最低ランクのブドウ畑の半額。ブドウ畑を除けばフランスの農地は格安なのでした。いつの間にか農業輸出国第2位になっていたオランダの農地価格は、フランスの7倍もするのだそう。

フランスのブドウ畑の売値は、20年前の2倍以上になっていて、2014年も前年比で3.6%の値上がりだったそうです。貯金しているよりは利益がでるので、投資目的で買う人も多いのだそうです。

特に、ブルゴーニュのブドウ畑は値上がりが凄まじいのでした。ブルゴーニュのグランクリュ(特級)ランクの畑は、1ヘクタール当たり400万から2,000万ユーロ。これに今のレートで130をかけて円換算してみてください。気が遠くなる...。

ここ数年足らずの間に、大資本家がブルゴーニュのブドウ畑を持つことを投資にする傾向が強まっていると話題になっていました。

ボルドーのブドウ畑の価格は、そんなには急騰していません。フランスワインというと、ブルゴーニュとボルドーが同等に並んで有名なのですが、生産量が全然違うのですよね。ブドウ畑の面積も、ワインの生産量も、ブルゴーニュはボルドーの4分の1なのです。

ブルゴーニュのワインには希少価値があるから投資の対象になる、ということなのでしょう。そういうのって、好きではないのだな...。

思えば、ブルゴーニュワインの価格はうなぎのぼりの感じがします。昔はグラン・クリュのようなランクのワインでも、ちょっと無理すれば買えたけれど、最近の私は飲むワインは知らないうちにランクを下げてきていました。

消費者としてはワインの値上がりになるようなことはして欲しくない。でも、ブドウ栽培者の方にしても嬉しくないことのようです。ブドウ畑を広くしたいと思っても、高価で買えないという問題が発生してきている。それから、農家ではワインづくりを子どもに継がせたいわけですが、こんなに高くなると相続税の問題で引き継げなくなってしまう。

そんなわけで、ボージョレーの土地の価格が下がっていることはそっちのけで、ブルゴーニュのブドウ畑の価格の方に興味が行ってしまいました。


ジュブレ・シャンベルタンの城が売られたのは2012年だった

ブルゴーニュのワインが投資の対象になってきたかと私が感じたのは、この事件(?)でした。

ジュブレ・シャンベルタンの城がブドウ畑付きで売られたときには、相場より高すぎる買値だったと騒がれていたのです:
ショック! ジュブレ・シャンベルタン城が中国人に売られてしまった 2012/08/23

2ヘクタールのブドウ畑付きの中世の城の代金として支払われたのは800万ユーロでしたね。ブドウ畑には、グラン・クリュの畑も含まれていました。由緒ある城が付いているのだし、その後もブドウ畑の価格は値上がりしているのだから、結局のところ投資としての価値はあったのでしょうね。

お金持ちはますますお金持ちになるという、よくあるお話し?

その後、この城のブドウ畑はちゃんと手入れしていないように見えるのですけど、どうなのでしょう? 去年の11月のブログのトップに入る写真として、この城を望むブドウ畑の写真を加工したのですけど、これじゃ寂しすぎると思って、すぐに別の写真にしていたのでした。

作ったのは、この画像:




世界で一番高いブドウ畑

コート・ドール県には、ブドウ畑が9,500ヘクタールあるそうです。ブドウ畑などというのはドル箱ですから、そんなに売買はされないだろうと思っていたのですが、そのうち平均すると毎年150ヘクタールが持ち主が変わっているのだそうです。

ブドウ畑の評価額も公表していたSAFER(土地整備農事建設会社)は、そのうちの15~20%に関与しているとのこと。つまり、評価額が表になっているけれど、裏には色々あるということなのでしょう。

2012年の6月半ばに、フランスで有数の富豪の実業家フランソワ・ピノー氏( François Pinault、当時75歳)が、シャトー・ド・プュリニー・モンラッシェが所有していたモンラッシェのブドウ畑を買い取ったことが話題になっていました。

フランスの経済界の大物といえば、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンのCEOベルナール・アルノー(Bernard Arnault)くらいしか知らなかった。「ault」で終わる苗字は経済界の大物になる運命があるのかな?... 自動車のルノーの創設者もLouis Renaultだし、もっと色々ありそう...。

このペルノー氏は、すでに1993年にボルドーのシャトー・ラトゥールも購入してたりしていたのですが、いよいよブルゴーニュに上陸したとのこと。他にも、グラン・クリュのバタール・モンラッシェの畑なども購入なさったそうです。

ブルゴーニュのブドウ畑の売買は昔の単位のウーヴレ(428㎡)でする伝統があるのですが、購入なさったモンラッシェの畑は、1ウーヴレという狭さだったのですで、お値段は100万ユーロを超えるというので話題になっていたのでした。

130坪の畑に1.5億円近く払ったという感じでしょうか。なるほど、高い!...

シャトーが彼に譲ったコート・ド・ボーヌのモンラッシェのワインとは、これのことだろうと思います ↓



この大富豪に関するニュースでは、購入したブルゴーニュのブドウ畑の名前が色々あがっていたのですが、面倒なので無視。下のショップがワインの紹介で、どのように手に入れたかまで紹介していました。



ブルゴーニュ高級ワインの面白データ

ブドウ畑の評価額の値上がりが目覚ましいのでは、人気の高い高級ワインでした。そんなことを報道しているニュースを眺めていたら、面白い数値がありましたのでメモしておきます。ブルゴーニュの友達に知ったかぶりでクイズにしたくなるけれど、私は数字をすぐに忘れてしまうからダメだと思う...。


2,400万ユーロ モンラッシェ1ヘクタールの価格。約31億円?!

546ヘクタールシャブリからコート・ドールまでの地域にあるグラン・クリュの指定地域の面積
ブルゴーニュのブドウ畑の総面積(27,626ヘクタール)の1.98%に相当

270万本ブルゴーニュで毎年生産されるグラン・クリュの平均ボトル数

33アペラシオンブルゴーニュのグラン・クリュの数:
シャブリ 1、コート・ド・ニュイ 24、コート・ド・ボーヌ 8

12,620ユーロロマネ・コンティ1990のオークション落札価格(2013年7月)
1,640万円?!



この次は、少し寄り道してから、フランスのワイン産地のブドウ畑の価格一覧を入れて書きます。

このシリーズの目次:
フランスのワイン産地


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

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ショック! ジュブレ・シャンベルタン城が中国人に売られてしまった 2012/08/23
シャトー・ド・ポマールがアメリカ人の手に渡った 2014/09/15
ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる? 2016/01/05
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外部リンク:
クロ・ド・ヴージョの区画地図
Le prix du vignoble français au plus haut 28/05/2015
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La Bourgogne de toutes les convoitises 13/02/ 2014
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François Pinault achète 1 million d’euro l’ouvrée de Montrachet 03/07/2012
Pinault (François Pinault) vigneron 2013
ド・モンティーユの手により再起した ピュリニーの瀟洒なシャトー
「世界文化賞」国際顧問にフランス企業家のピノー氏
仏PPR元会長フランソワ・ピノー氏、アート界で最も影響力のある人物と認定-英国
フランスにおけるSAFERの機能・役割の再編と拡張
農業構造・経営政策と農地制度の展開の軌跡 -日仏比較の視点から
Quel prix pour un terrain agricole – Parcours France, le Salon des Projets en Régions !
Ils font bouger le Beaujolais ! 03/09/2015
Gros patrimoines, les nouveaux barons du vin 17/10/2013


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/17
日本にいるときにワインを買うときには、試飲して気に入ったものを選ぶということができないので困ります。

前回の日記「美味しいかどうかには、勘が働くときと、働かないときがある」で書いたように、知らないワインはインターネットで調べてから選んだ方が良いかもしれない。

というわけで、少し前に知ったブルゴーニュワインの「コトー・ブルギニョン」を選ぼうとすると、どんな情報が出てくるのか実験してみることにしました。


コトー・ブルギニョンというワイン

2011年に誕生したブルゴーニュのAOC/AOPアペラシオンなのですが、他のブルゴーニュAOC/AOPワインに比べて規制がずっと緩やかになっています。従って、個々の差が大きいはず。

このワインについて紹介したのは、こちら:
ブルゴーニュワインらしからぬ「コトー・ブルギニョン」 2016/01/11


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
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その12

ブルゴーニュワインは、ブドウを栽培する畑を狭い区画で区切って、その土地の特徴を示すワインをつくることが特徴の一つになっています。小さな区域に限らない場合はランクの低いワインになります。

昨年、ブルゴーニュのブドウ畑が世界遺産に登録されましたが、それを獲得するためのセールスポイントは「クリマ」でした。「Climat(クリマ)」や「lieux-dit(リュー・ディ)」と呼ばれる小さな区画を重視して、それぞれから個性的なワインができることにブルゴーニュワインの素晴らしさがある、というわけです。

コトー・ブルギニョンはそれを完全に無視しています。もっとも、従来から、安いワインはそんなブドウ畑の区画にはこだわらずに生産していましたから、どうということはないでしょう。

でも、コトー・ブルギニョンがワインの生産地だけではなく、ブドウの品種もブレンドしてしまって良いことになっているのは、ブルゴーニュワインに慣れている者にとっては少なからぬショックです。ブルゴーニュワインは、単一のセパージュ(ブドウの品種)を使うのが原則なのです。

下のランクの赤ワイン「パストゥーグラン」では、ピノ・ノワール種とガメ種のワインをブレンドして良いということになっていました。でも、ブルゴーニュ赤ワインの特徴ともいえるピノ・ノワール種は最低でも3分の1は入れなければならないことになっていました。でも、コトー・ブルギニョンでは、そのブレンドの割合に対しての規制がありません。

コトー・ブルギニョンは、ブルゴーニュワインの原則を見事に無視したアペラシオンなわけです。下手したら、ブルゴーニュワインのイメージを悪くする。うまくいったら、こういう安いワインから入ってブルゴーニュワインが好きになる人を増やす。つまり、いちかばちかのワインなので、興味を持ってしまいました。


ピノ・ノワール種とガメ種のブドウは、私のような素人でもはっきり分かる味の違いがあります。見た目も違うし...。

ところが、このコトー・ブルギニョンというのは、どんな配合にしも良いわけなので、全く想像がつかない。

どんなブドウの品種から作ったかも表記しなくて良いわけなので、自分好みのワインかどうかが分からない。

コトー・ブルギニョンは、開けてびっくりの福袋と言うべきかな?...


コトー・ブルギニョンはガメ種のワインを生産しているボージョレー地域のワインでも作ることができます。最近売り上げが落ち続けているボージョレーワインは、このアペラシオンでイメージチェンジして売ることができるのではないかという期待も担っているそうです。

こういうあだ名を付けるとぴったりするのではないかと思いついたのは、「まかないワイン」♪

自分の畑で作ったブドウではなくて、農家からブドウやワインを買ってブレンドする会社では、仕入れや在庫の具合によってブレンドすることができるワインなのですから。

レストランの賄い料理はスタッフが食べるのであって、売ったりはしないので、そうも呼べないか...。

でも、「まかない」という言葉を付けた商品名もあったのです。

賄い料理も、優れた食材を使って、優れた料理人が作れば素晴らしく美味しくなる。

その点でコトー・ブルギニョンとは共通点があるのではないでしょうか?


それにしても「 コトー・ブルギニョンCoteaux Bourguignons)」というのは、最低ランクのワインにはもったいないほど良い命名だったと思います。

少なくとも、フランス人には受けるでしょうね。

「ブルギニョン」というのは、「ブルゴーニュの」という意味なのですが、ブルゴーニュに住む人たちもブルギニョンと呼びます。

ブルゴーニュは農業が盛んな地方なので、優れた食材があり、なにしろ上質のワインの産地。そういうものを口にしているブルギニョンたちは陽気で、食道楽で、人が良いというイメージがあります。

フランスのどこの地方でもお国自慢がありますが、自分たちで賛美する以外に、他の地域の人たちからも好感を持ってもらえる地方としては、ブルゴーニュくらいではないかと思います。

「ブルゴーニュ」というアペラシオンもありますが、それよりも「ブルギニョン」の方が親しみ安くて、安くて気楽に飲めるワインというイメージを出せるのではないでしょうか?

ブルゴーニュの民謡は全国的に知られていますが、大酒呑みの歌ばかり...。




コトー・ブルギニョン、いろいろ

さて、どんなブルギニョンがあるのか見てみます。日本のネットショップは親切で、生産者の写真を入れたりして、かなり詳しい情報を出しているところがあるので、フランスのネットショップで探すより情報が集まると思う。

コトー・ブルギニョンを楽天市場で検索

色々ありすぎるので、赤ワインだけを拾って眺めてみることにしました。おもに、ブドウの品種と、誰が作っているのかに注目しています。



ピノ
100%
コート・ド・ボーヌの
ネゴシアン
Maison Kerlann

ドメーヌのサイトにあるワインリスト
には、まだ「Bourgogne Grand Ordinaire」しか見えない。

Maison Kerlann, french Négociant Viticulteur in MEURSANGES

オフィシャルサイト


ピノ
100%
コート・ド・ニュイの
ブドウ栽培・醸造農家
Domaine Nicolas Faure

2011年に独立してワインを作るようになった様子。情熱が感じられて惹かれるのですが、この格付けのブドウ畑から作ったワインにしては高すぎると思った。

でも、もう少し安く売っているショップもありますね:
赤:[2013] コトー・ブルギニョン ピノ・ノワール(ニコラ・フォール)

紹介記事:
Nicolas Faure, la valeur n’attend pas le nombre des hectares


ピノ
100%
コート・ド・ニュイの
ブドウ栽培・醸造農家
Domaine Joseph Roty

以前はブルゴーニュ・オーディネールだったものをコトー・ブルギニョンにしていますね。

先代は非常に評判が良いワインを作っていたらしい。息子さんたちがノウハウを受け継いでいるのかの情報までは探しませんでした。若い人が継ぐと、3通りがあります。お父さんと同じように良いワインを作る跡継ぎ、だめにしてしまう子ども、お父さんよりスゴイのを作る子ども。

いまどきサイトを持っていないのは珍しい。宣伝しないでも売れてしまうドメーヌなのだろうか?...


ピノ
95%

ガメ
5%
最高値(在庫あり)

コート・ド・ボーヌの
ブドウ栽培・醸造農家ビオ
Domaine Chevrot

検索で出てきた「コトー・ブルギニョン」の赤ワインの中で、在庫があって、最も高い価格で売っていたのがこちら。

ドメーヌのサイト


ピノ
75%

ガメ
25%
コート・ド・ニュイの
ブドウ栽培・醸造農家
Domaine Marchand Frères

マルシャン(商人)というワイン農家らしからぬお名前が気に入らないのですけど...。でも7世代続くワイン農家で、減農薬、ブドウの手摘みを実施。フランスでは高い評価を得ているドメーヌのようです。

☆ ドメーヌの紹介記事: フランス情報 日本語情報
ドメーヌのサイト

ドメーヌのサイト情報によると、2011年のコトー・ブルギニョン赤のセパージュは、ピノ・ノワール60%、ガメ40%となっていました。保存できるのは1~2年。


ビノ
90%

ガメ
10%
ボージョレーの
ブドウ栽培・醸造農家(ビオ)

Domaine de Buis-Rond

ガメの「ボージョレー」もサイトに入っているが、ピノ・ノワールを植えて新しいワインを作ってボージョレーの危機を乗り越えようとしているのではないかと推察。ワインでは難しいというBIOにも挑戦しているくらいなので、チャレンジ精神があるのだと思います。

ドメーヌのサイトで、こちらの「ボージョレー・ヴィラージュ」とラベルが同じ。サイト情報では、ピノ・ノワール80%、ガメ20%と書いてあります。

ボージョレー地区でピノ・ノワールを育てたらどうなるのか気になります。ボージョレーのシャルドネは不味いと経験していますが、ボージョレーの危機を救うために、良いワインができるピノ・ノワールで良いワインができると良いなと祈ってあげたい気になります。


ピノ
50%

ガメ
50%
コート・ド・ニュイの
ブドウ栽培・醸造農家
Domaine Felettig Henri

Vigneron Independantこの農家がVigneron Indépendantに入っているので気に入りました。この組合に入っているワイン農家のワインは、おいしい確率がかなり高いのです。
それについて書いた記事:
ワインフェアーで出会って気に入ったドメーヌに行く

ブルゴーニュの伝統的な家庭経営のワイン農家のように見えて好感を持ちました。この格付けしかもらっていないブドウ畑があるということで、奇をてらってワインを作っているようには見えません。

お値段もリーズナブル。ここに入れたワインの中で日本滞在中に飲むワインとして選ぶなら、これをまず試してみたくなります。

ドメーヌのサイト
観光ガイドブック情報


ピノ
?%

ガメ
?%
ボーヌの
ネゴシアン
Maison Louis Jadot

年商は6,300万ユーロ。82億円?! 自社の畑も持っていますが、ネゴシアンのビジネスがメインの会社だと思います。

日本にかなり入ってきているのが目立ちます。コトー・ブルギニョンに最も力を入れているのは、この会社ではないでしょうか? ワイン雑誌の情報では、2013年コトー・ブルギニョンの生産量は84,000本とありました。

この会社のサイト情報でも、ブドウの品種はピノ・ノワールとガメとだけあって、割合は記載されていませんでした。

2011年のミレジムも売られています。この手のワインが収穫されてから4年を超えていたらリスクが大きいと思ってしまうけれど、売れ残ってしまったのかな?...

会社のサイトでは、若いうちに飲んだ方が良いけれど、収穫年から楽に3年保存することができるのではないか、と言っていますね。


2013年のボトルではラベルのデザインを変えていました。

ラベルがやたらに美しい。会社のサイトも、相当にお金をかけて作っている印象を受けます。ビジネスがお上手なのでしょうね。。

しっかりした大手の会社が作っているワインだから安心ということで、日本では評価されているのではないでしょうか?


売れないボージョレーワインが残ってしまっているというニュースでは、この会社の話しが出てきたので、ボージョレーの下のランクのを多く使っているのではないかなという気がするのですけれど、これは私の憶測に過ぎません。

私がフランスにいるときは、ネゴシアンのワインは全く買わないし、レストランでも避けるのですが、大手の会社では上手にブレンドして飲みやすいワインを作るのではないかとは思います。

フランスのワイン雑誌でお手軽価格のブルゴーニュワインにも良いものがあるという記事で選んでいたコトー・ブルギニョンの目隠しテストでは、2013年のものが上位の評価を得ていました。


ピノ
?%

ガメ
?%


ピノ
?%

ガメ
?%




ピノ
?%

ガメ
?%
コトー ブルギニヨン ルージュ ベル グラス 2013

コトー ブルギニヨン ルージュ ベル グラス 2013
価格:1,542円(税込、送料別)

最安値
マコネの
ネゴシアン
Les Vins Aujoux

検索して出てきた「コトー・ブルギニョン」の赤ワインの中で、最も安い価格で売っていたのがこちら。

ブルゴーニュ南部とボージョレーのワインを主に扱っている会社(サイト)。セパージュは分かりませんが、地域からいってガメ種がメインなのだろうと想像します。

フランスで信頼度の高いワインガイドブック『ギッド・アシェット』の2016年版が、2014年のミレジムをセレクトされていました:
Vin rouge belle grâce 2014 - coteaux-bourguignons - hachette vins sélection 2016

どんな評価をもらったのかは分かりませんが、このガイドブックに出るのはかなり注目度が高いのです。少なくとも、安いから悪いということにはならないはず。

コート・ド・ボーヌの
ブドウ栽培・醸造 & ネゴシアン
Domaine Leroy

左にリンクしたショップでは、ブドウ品種はガメとピノ・ノワールと書いています。

ところが、同じミレジムでも、品種はガメ100%と表記しているショップもあります:
[2014] コトー ブルギニョン 【赤】【正規品】 1本 メゾン・ルロワ

ドメーヌのサイトで確認したのですが、このアペラシオンをスペルミスで書いてあるのは意図的なのかどうかが気になっただけで、セパージュなどについての情報は全く得られませんでした。

優れたワインを作っていることで有名なドメーヌなので、日本では売れるでしょうね。


ガメ
100%
コート・ド・ボーヌの
ブドウ栽培・醸造農家(ビオディナミ)
Domaine Didier Montchovet

日本の販売サイトでは情報が少ないのですが、BIOワイン農家だし、ドメーヌはポマールに近いところにあるので悪くないワインではないかいう気もします。

ドメーヌのサイト

英語の商品情報
ドメーヌのワイン一覧(販売サイト)

フランスでの価格は、ボージョレーのクリュと同じくらいの感じと安いのですけど...。


ガメ
最高値(在庫なし)
●コート・ド・ニュイの
ブドウ栽培・醸造農家(ビオディナミ)
Domaine Prieuré-Roch

ロマネ・コンティの共同経営者、こだわりのドメーヌとして有名なドメーヌですが、コトー・ブルギニョンを作っていました。

日本語のドメーヌ情報

ドメーヌの名前となっている「Prieuré(小修道院)」の発音を片仮名で表記するのは難しいのですが、「プリューレ」としてしまうのが一般化しているらしい。

フランスのワイン雑誌の昨年の夏号に2013年のコトー・ブルギニョンの採点をした記事があったのですが、このドメーヌのが最高得点を獲得していました(ただしピノ・ノワールのワインの評価だと思いますが)。香りが素晴らしくて、口あたりがとても良いようです。

フランスで買ったらずっと安いかと思ったのですが、余り変わりがありませんでした。出てきたのは27~39ユーロで一番安く売っていたのは地元のワインショップ、他のドメーヌのよりずっと高額です!

飲んだ人の報告では、フィルターでろ過していないようなので、昔には普通だったワインのように、ランクが低くても長年寝かせておくと驚くほど美味しくなってしまったりもするワインだろうと想像しました。


同じドメーヌで、「コトー・ブルギニョン」に置き換えられる前のアペラシオン「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール(BGO)」もありました:

このBGOはピノ・ノワール66%、ガメ33%だそうです。このドメーヌのワインが、この程度で手に入るなら買ってみたところですが、こちらも品切れ。

ドメーヌのサイト » 入っている動画を検索


色々あるので、眺めてみるのは面白かったです。

やはり、ネゴシアンがかなり力を入れて大量に輸出していると感じました。売れなくて困っているボージョレーのワインをこれで消化しようとしていることも多いのではないでしょうか?

セパージュを公表しないのは気に入りませんでした。ピノ・ノワールとガメは味が全く違います。気にしなければ飲んでびっくりのお楽しみになりますが、ブルゴーニュワインにピノ・ノワールを期待している人がガメに当たったらがっかりするはずです。ガメだって美味しいのがあるし、ピノ・ノワールより好きな人もいるのですから、何も隠すことはないと思う。

ブルゴーニュワインはこういう味がするという観念を持っている人には向かなくて、コトー・ブルギニョンがターゲットとして狙うのは、ワインに詳しくない人なのだろうなと思えてきました。

フランスでは、コトー・ブルギニョンの最大の魅力は安さにあると言っていました。アメリカでも10ドルで売れるワインというわけ。でも日本で市販されているものは、「安い」というのがアトラクティブなポイントにはなっていないのですよね...。1本千円程度で買えるワインなら、煩いことは言わずに、「今日はブルゴーニュを飲んじゃった♪」という楽しさがあるはずですが。

ワイン農家の場合は、ブルゴーニュ・グラン・オーディネールの格付けしかもらっていなかった畑のブドウから、普通に新アペラシオンの名称で売るようになったのだろうと思います。でもネゴシアンの方は、これによって今までにはなかったブルゴーニュワインとしてPRして売り出そうという意図もあるのではないでしょうか?


面白かった試飲報告

コトー・ブルギニョンがどんなワインかを知るために買ってみた、というフランス人がブログを書いていました。普通の人かと思って読んでいたのですが、名前を公表しているので調べてみたら、ワインに関する講演などもするようなプロのようでした。

彼は、飲んでみたコトー・ブルギニョンが気に入らなかったです。口に入れてみたら「なんににも似ていない」とこき下ろして、グラン・オーディネールには良いワインもあったのに... と不満をもらしています。

ボトルには、セパージュは何も書いていないのだそう。ブルゴーニュ南部のネゴシアンのワインだったそうなので、おそらくガメが100%か主流のものだっただろうと思います。

このワインがなんであるかを示すのは、ラベルに「ヴィエイユ・ヴィーニュ(古株)」という文字だけ。可哀想に、かなりくたびてているブドウの木なんだろう、などと茶化しています。

笑わせてくれたのは、ボトルの裏に書いてある宣伝文句。「伝統がいっぱい詰まった」とか「ブルゴーニュのただ中を旅行する気分にさせる」とか「本物のブルゴーニュワインはテロワールを誇りにしている」とか歌っているのです。ダメ押しで、コルクには「ブドウ栽培者には才能がある」なんて書いてある。

ブログを書いていた人は、「これは美味しくない。つまり、これはブルギニョンじゃないってことだ」なんて言って怒っている。

同じワインを飲んだ感想が日本のサイトに入っていました。みなさん悪くないと言っていました。800円で買ったとか。日本でそのくらいで買えるワインなら文句は抱かないですよね?


そうやって宣伝だけで売るワインもあるだろうし、良心的に作っているのもあるはず。コトー・ブルギニョンであっても、ブルゴーニュワインで定められている地域とセパージュと生産方法が規定されているだけで、様々なタイプが存在してしまうワインなわけですから、好きだとか嫌いだとかの判断もできないアペラシオンだろうと思います。

こういう風に自由に色々な味に仕上げることができるワインは、ソムリエ試験などで試飲させることはないのでしょうね。もし、目隠しテストで銘柄を当てたら、たまたま知っているワインか、まぐれ当たりでしかないだろうと思いますので。



先日の「ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書いていたとき、ボージョレーでワインが売れないからと農家がブドウ畑を売ろうとしても、安い買値を付けられるのだという話しが出てきていました。

次回はブルゴーニュのブドウ畑の相場のデータをもとにして書きます。価格の差がものすごいのです!

脱線ばかりして長くなっておりますが、このシリーズの目次:
フランスのワイン産地

  【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
ブルゴーニュワインはシンプルな構造とは言えない?  2016/01/08
ブルゴーニュワインらしからぬ「コトー・ブルギニョン」 2016/01/11
ブルゴーニュの高級ワイン生産地が世界遺産に登録された 2015/07/05
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
クリマ/Climatsとリュー・ディ/lieux-dits:ブルゴーニュ/Bourgogneワインの根源
Si c’est ça les Coteaux Bourguignons, ce n’est pas bon messieurs les négociants bourguignons…
Jean Couzelon Coteaux Bourguignons Vieilles Vignes
La Revue du Vin de France - juillet-août 2015
Quelle est l’importance du négoce de vins, en France ?


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/15
食いしん坊だと、食べ物に関する勘が働く機能が発達するのではないかと思います。レストランの前に立っただけで、美味しい料理を食べられるかどうかが伝わってきて、それが外れることは稀だと感じています。


ワインは飲まないでも味が漂ってくるか?

ワインを買いに行く時も同じ。ワイン農家のたたずまいから何か感じ取れます。始めて行くときは、レストランで飲んで美味しかったから買いに行くというのが多いのですが、たまには当てずっぽうに、この地域で美味しいワインを作っているところで買いたいと思って探すことがあります。

私が第一に避けるドメーヌは、気取った建物で、ここはぼろ儲けすると感じてしまうところです。

例えば、下は高いワインがあることで超有名なドメーヌの門構えなのですが、ちっともボロ儲けしているようには見えないでしょう?



もっとも、普通のドメーヌにあるように入り口に「試飲・販売」とか「セラー・オープン」とか書いてありません。左にあるパネルは、ここがサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路であることを示す観光案内です。こんなのがあるとは知らなかった。いつもは車で通りすぎてしまうのですが、ブドウ収穫の忙しい時期で門が開いていたので写真を撮ったのでした。

普通の農家でも、直売などでお顔を拝見すると、おいしいものを作っているかどうかが伝わってきます。特に家畜を飼育している農家の場合は、見た目でかなりはっきり伝わってきます。人柄の良さを感じる人が売っている肉やチーズは質が良いのです。

ワインもほぼ同じですね。作っている人の顔を見ると、どんなワインかだいたい想像できる。これは野菜農家に対する感覚と似ているかもしれない。それほど好感を持たないタイプでも、この人は質の良いものを作っていると感じることがあります。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
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その11

口に入るものの中で、私が見ただけでは全く判断できないのがワインのラベルです。

昔ながらの奇をてらわないデザインが好きなので好感を持ってしまい、やたらに現代的なデザインだと不味いのではないかと思ってしまう。でも、後者の方には驚くほど美味しいのがあるので、極力、ラベルは気にしないことにしています。

ブルゴーニュにいるときはドメーヌに行って、ワインづくりの話しを聞いて、試飲をしてから好きなのを選んで買います。ですので、ワインの知識もそれほどいらないのです。でも、困るのが、日本にいてワインを買うとき。普通の店に行ったら試飲などはさせてくれないので、ボトルをとって書いてあることを眺める程度しかできません。


店でワインを買うのは難しい

東京にいたときのこと。友人にブルゴーニュワインをプレゼントしたいと思ったら、フランスから持ってきたワインは全部なくなってしまっていました。デパートのワイン売り場に行って眺めてみると、私の予算をオーバーするものばかり...。

それで、店員さんにオート・コート・ド・ニュイか、オート・コート・ド・ニュイがあるかと聞いてみました。このランクなら、赤と白を1本ずつ買ってプレゼントできるようなお値段だろうと思ったのです。

私がブルゴーニュで買うワインの中ではこれが最低ランクのアペラシオンなのです。普通にブドウ畑がある地帯から登って、森を通り過ぎると開けてくるところにあるブドウ畑。でも、中には、最低の格付けでは可哀想になるくらい美味しいワインもあるのです。

店員さんは「あります」と答えて、私を導きました。どんどん奥の方に行ってします。それって、ロマネ・コンティや何かが置いてある高級ワインのコーナーでしょうから、そんなところにあるはずないじゃないか、と思った私。

でも、あったのでした。

もったいぶって、透明のセロファンか何かでボトルが包まれています。
疑いを持ったので、真っ先にお値段を聞きました。

ほとんど7,000円という価格なのでした。それはないでしょう~?! 仰天しました。

ちょっと高すぎると言うと、店員さんは優れたドメーヌのワインなのだとお上品におっしゃる。でも、聞いたことがないドメーヌです。どんなドメーヌのだって、売る人はそう言いますよね...。

第一、ミレジムが悪いのが気に入らないのでした。お天気が悪い年だったので、おいしくない確率が高いはずなのです。

でも、このくらい高くても当然なのだとおっしゃる人にケチをつけたりすると悪いので、私はもっと安いブルゴーニュワインを探しているのだと言いました。私がブルゴーニュにいて、安くて美味しいと感じるのはワインというのは「オート・コート」のランクなどだ、と説明。

すると店員さんは、安いブルゴーニュが欲しいなら、店の入り口あたりにある「ブルゴーニュ」というアペラシオンを買うように、と冷たくおっしゃる。そして、他のお客さんに声をかけて立ち去っていきました。わたしは嫌われちゃったらしい!

それ以来、あの店ではべらぼうに高くワインを売っているのではないかと疑ったので、二度と入ったことがありません。この際、「オート・コート」と付くブルゴーニュワインを、日本ではそんなに高い値段で売っているのか確認してみます。

あるのですね...。へぇ~...。



たとえ私がお金のことなんか気にしないで良い身分だったとしても、飲んでみて美味しかったと分かっているなら、このランクのワインに対して散財しないですけどね...。このくらい出すなら、もう少し上のランクのワインを飲んだという満足感を求めますから。

ブルゴーニュワインは、パリに行っただけでもかなり値段が上がってしまっています。ましてや日本まで輸送されたら高くなって当然。

でも、1本5,000円も出したら、飲んでみたいと思うランクのワインだって見つかるのではないかと思って調べてみました。


ドメーヌに行って買えないなら、インターネットで調べた方が見つけやすい

まず、ワインの格付けが少しおかしいと言われたことがあるジュブレ・シャンベルタンで探してみます。そこのブドウ畑に沿った道でよくサイクリングしていた人が例を見せてくれたことがありました。

Gevrey-chambertinのブドウ畑


なるほど、ネットショップだと畑のある場所まで地図で見せてくれるのでした。「良いドメーヌなのですよ」とだけ言われるよりは説得力があります。

でも、名前がフランス人からぬ名前。調べてみると、1912年にポーランドに生まれて、1938年にフランスに来たGeorges Bryczekさんの孫のChristopheさんが、2003年から現在のドメーヌの主とのこと。

外国出身者でも、おいしいワインをブルゴーニュで作っている農家は知っているのですけど...。


私が美味しいのから買い付けに行くドメーヌは、日本にはほとんど入っていないらしい。

それで、フランスの定評のあるワインガイドブックで選ばれていたドメーヌを探してみました。

ドメーヌのサイトを見ると、伝統的なブルゴーニュのワイン農家に見えるので違和感はありません。

それなら、と探してみる。

私を馬鹿にした店員さんが進めたワインと同じ予算をかけるなら、このドメーヌのジュヴレ・シャンベルタンでプルミエ・クリュ(1級ランク)のを買えてしまうのでした。




こだわりで優れたワインを作っているドメーヌだから下のランクも美味しいだろうと思わない限り、5,000円も出すとしたら、この程度のランクのワインを買いたいと思いますけどね...。

ざっと探して出てきたものを入れました。時間をかけて探したら、もっと良いのがあるだろうし、ドメーヌの様子や作っている人の仕事ぶりが見えるYouTubeの動画も探し出せることも多いです。

結局、私のようにワインの知識はそれほどないくせに、高いだけのワインをつかまされたくない人間の場合は、ネットで調べて買うのが良いのかもしれない。

というわけで、先日から書いている新しいブルゴーニュのアペラシオン「コトー・ブルギニョン」を買うとしたら、私ならどれを選ぶかの実験をしてみることにしました。このアペラシオンほど味の違いや質の差があるワインは、ブルゴーニュワインには存在していなかったのです。

探してみると色々なのが出てきたので楽しんでしまいました。
続きへ:
安さが魅力のブルゴーニュワインをウィンドウショッピングしてみた

このシリーズ記事の目次: 
フランスのワイン産地


PS: 書き忘れるところでした。一番始めに入れた写真は、DRCの門構えです。


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
オート・コート・ド・ニュイのブドウ畑を眺める 2013/04/22
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/11
ボージョレーワインの危機について調べながら「ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書いていたら、今まで聞いたことがなかったブルゴーニュのAOC/AOP(原産地呼称)に出会いました。

コトー・ブルギニョンCoteaux Bourguignons)というアペラシオンです。

2011年のビンテージから使われており、ブルゴーニュAOC/AOPワインの百番目のアペラシオンなのだそう。

今までのブルゴーニュワインの観念を壊してしまうようなワインなのです。柔軟性があるといえば聞こえが良いですが、何でもできてしまうのは危険ではないかという気もします。「ブルゴーニュワインが民主化した」などと言っている人もいましたけれど。

なんでもありのワインなのです!

  


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】
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その10

前回の日記「ブルゴーニュの新アペラシオン: ブルゴーニュ・ガメ」で、ブルゴーニュワインの最下位に格付けされているワインは複雑だと書きました。それを除けば、ブルゴーニュワインは非常に単純なのです。

格付けの3番目までの上質のブルゴーニュは、異なるセパージュ(ブドウの品種)も、アペラシオンが異なる畑で収穫されたブドウもブレンドしない、という鉄則があります。

同じように2011年から使われるようになったアペラシオン「AOC/AOPブルゴーニュ・ガメ」も、ブドウの品種のガメと名称に付けているのに、少しは違う品種をブレンドしても良いという規約になっているので腑に落ちなかったのですが、こちらコトー・ブルギニョンは、もっと訳がわからないワインを作れてしまうのです。

「ブルゴーニュ・ガメ」の方は本当にAOC/AOPとして認められたのだろうかと疑ってしまうほど情報も出てこなかったのに対して、こちらコトー・ブルギニョンの方はかなり力を入れて販売している感じがします。

コトー・ブルギニョンに関する規約を記した政令が見つかったので、ある程度はどんなワインなのかは見えました。


◆ 「AOC/AOPブルゴーニュ・グラン・オーディネールに代わるアペラシオン

政令の始めに書いてある部分は分かりやすかったです。

1937年のデクレで定められていた以下の2つのAOCアペラシオンは、コトー・ブルギニョン(Coteaux Bourguignons)に置き替えられた。
  • ブルゴーニュ・グラン・オーディネール(Bourgogne Grand Ordinaire)
  • ブルゴーニュ・オーディネール(Bourgogne Ordinaire)
「オーディネール」とは、普通の、日常の、ありきたりの、というような意味を持つ単語です。名前からして魅力的ではなくて、説明されなくても最下位の格付けワインだと感じていました。

「ブルゴーニュ・オーティネール」は、日常飲むワイン。つまり、デイリーワインの意味を持っていたのだそうです。それに「グラン(大きな、偉大な)を付けた「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール」は、日曜日に特別に飲むという意味合いでの命名なのでした。

信仰心があつかった昔は、日曜日には正装して教会のミサに行くという特別な日でした。それで「グラン・オーディネール」と呼ばれるワインは、1930年代頃には上等なワインという感覚があったのだようです。ところが、最近では人気が無くなってきていました。もっと上のランクのワインを普通に飲むようになったからでもあるでしょう。

2つのアペラシオンに代わるものだとあったのですが、下のランクの「ブルゴーニュ・オーディネール」は既に事実上は消滅していたそうです。従って、実質的には「コトー・ブルギニョン」は「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール」に置き換わるアペラシオンだと見なすべきでしょう。



「オーディネール」ではイメージが悪かったので名前を変えちゃえ、というわけだったのでしょうか?
でも、それだけではないのでした!


ワインの原産地としては、ボージョレーを仲間はずれにしない

赤ワインに関しては、ブルゴーニュの高級ワインは全てピノ・ノワール種100%で作られています。ところが、ブルゴーニュ地方 * の南部と、そこから延長した位置にあるローヌ・アルプ地方 * に入るボージョレーの産地ではガメ種が栽培されています。

* つい最近、行政区分の地域圏(Région)の合併が行われたので、ブルゴーニュは「ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏」、ローヌ・アルプは「オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏」と言わなければならないのでしょうが、新しい地域圏の名称はまだ確定していないので何とも書きようがなくて困ります。

ピノ・ノワール種は高貴なブドウで、ガメ種は劣るというのがブルゴーニュには根強くあります。実際にブドウ畑を見ると、ボージョレー地域ではブドウの木を鉄線で支えることもしないので、なんだか雑に育てているようにも見えてしまうのですけど。

でも、ボージョレー地域も、ブルゴーニュワインの中に入っているのだから仲間はずれにするのはおかしいという主張もあります。関係する両者の間では葛藤があったようです。

昔からあった「AOC/AOPブルゴーニュ・ルージュ」には、ボージョレーの産地の中でも優れたワインができる「クリュ」と呼ばれていた地域で生産されるガメ種のワインも含まれていたのです。同じ「ブルゴーニュ」なのにピノ・ノワール100%とガメ100%になってしまうわけなので、それではワインの風味が異なりすぎてしまうのでマズイという議論が以前からあったのだそうです。それで、ついに2011年の政令でボージョレーは生産地から外されました。

ただボージョレーを外しただけでは片手落ち。前回の日記に書いた「AOC/AOPブルゴーニュ・ガメ」ができたほか、ボージョレー生産地域も入れた「コトー・ブルギニョン」という新しいアペラシオンが新たに作られたのでした。

「コトー・ブルギニョン」という名称でワインを販売できると定められた原産地は、大きな捉え方でのブルゴーニュワインの産地すべてになっています。つまり、北部のオーソワやシャブリから、コート・ドール、さらに南のマコネからボージョレーまでのワイン産地が原産地として指定されています。

ブルゴーニュワインの産地

コトー・ブルギニョンの生産地としては、
北から南まで約250Km、
合計300余りの町村が認められています。


⇒ 拡大地図

地方県名コトー・ブルギニョンの原産地
認可町村数
ブルゴーニュヨーヌ県54         
コート・ドール県91
ソーヌ・エ・ロワール県154
ローヌ・アルプローヌ県85


生産面積と生産量は?

ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)が「コトー・ブルギニョン」に関して発表しているデータを拾ってみました。

生産地面積 *年間生産量 **収穫量(上限)
赤ワイン、ロゼ約 251 ha (91%) 7,751 hl (84%)64 hl/ha (69)
白ワイン25 ha  (9%)1,499 hl (16%)72 hl/ha (75)

*2011年のデータ
1 ヘクタール (ha) = 1万 m2 = 24 ウーヴレ(人力で1人が1日に耕せる面積)
**2007~2011年(5年間)の平均
1 ヘクトリットル (hl) = 100 リットル = ボトル 133本

ボージョレーの産地を除く狭い意味でのブルゴーニュワインの産地の面積は28,715haだそうなので、「コトー・ブルギニョン」は北から南まで広い範囲がカバーされているといっても、そのごく一部というわけなのですね。もっと上のランクのワインを作るブドウ畑が除かれているからでしょうか。

「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール」を作っていたブドウ畑は、すでに狭くなっていたようです。このアペラシオンの白ワインはたったの25ヘクタール、ロゼと赤のワインを合わせて110ヘクタール。新しいコトー・ブルギニョンでは、お手軽プライスで手に入るブルゴーニュワインを増やそうという意図もあったようです。

コトー・ブルギニョンの作付面積は、1914年末の情報ですでに300ヘクタールは下らないというデータがありました。売れなくて苦境に立たされているボージョレーがこちらのアペラシオンに乗り換える可能性があるので、今後はもっと増えるだろうとのこと。

白ワインの畑が狭い割りに生産量が多いので、1ヘクタールあたりどのくらいのワインを生産して良いのかを表に入れました。一般的に、白ワインの方がたくさん作って良いのですね。

収穫制限はボージョレー赤ワインの最下位のランクで、1ヘクタール当たり60ヘクトリットル(上限 65 hl/ha)。AOCブルゴーニュの場合は、赤とロゼで60 hl/haで、白で68 hl/haとなっていました。コトー・ブルギニョンの方が緩やかということは、それだけ下のランクのワインということでしょうね。


セパージュ(ブドウの品種)の規制も非常に緩やか

「コトー・ブルギニョン」には、赤、ロゼ、白と、全部のワインが認められています。

セパージュも、ブルゴーニュで栽培されるブドウの全部の品種が入っているのではないかという感じです。ブルゴーニュワインでお馴染みのシャルドネ、アリゴテ、ピノ・ノワール、ガメのほか、古い品種など色々なセパージュの名前が並んでいます。

それらをブレンドしてしまって良いというのが、ブルゴーニュワインに慣れている私などにはかなりショッキングです!

コトー・ブルギニョンに認可されているセパージュを一覧にしてみます。赤ワインになる品種を赤字、白ワインになる品種を緑字にしています。

メインとするセパージュ10%までは加えて良いセパージュ *



ガメN **
ピノ・ノワールN
セザールN(ヨーヌ県のみ)
アリゴテB
シャルドネB
ガメ・ド・ブーズN **
ガメ・ド・シャルドネN **
ムロンB
ピノ・ブランB
ピノ・グリG

ガメN **
ピノ・グリG
ピノ・ノワールN
セザールN(ヨーヌ県のみ)
アリゴテB
シャルドネB
ムロンB
ピノ・ブランB
※ 条件を満たせば「clairet(クレーレ)」として販売できる。



アリゴテB
シャルドネB

ムロンB
ピノ・ブランB
ピノ・グリG
 
※ 新酒を「primeur」あるいは「nouveau」の文字を付けて販売できる。

*加えて良い品種は10%までに制限。
マーカーを入れた品種は、ブドウ畑に混ぜて植えることも可能(15%まで)。
**ガメNというのはボージョレーで使われ、良く知られる品種で、皮は黒く、中は白い。ガメ・ド・ブーズとガメ・ド・シャルドネは、皮が黒く、中も色が付いている品種。


このリストを見て、赤ワインなのに白ワイン用のブドウを使っても良いのかと驚いたのですが、少しなら混ぜるということではブルゴーニュ・グラン・オーディネールでも認可されていたのでした。

メインとするセパージュ1つに、ほんの少し入れられるセパージュもある、ということなのだろうと思ったのですが、そうではない。メインの品種は複数使えるし、どの割合でブレンドするかに関しては規定されていないのです。

ブルゴーニュワインの中でも、最下位の格付けにされている「AOC/AOPパストゥーグラン」はピノ・ノワールとガメをブレンドして良いのですが、その割合は規定されています(ガメ種は3分の2までに制限)。コトー・ブルギニョンは、それよりも緩い規制ということは、パストゥーグランの下にランク付けするのかな?...

ともかく、新しくできた「コトー・ブルギニョン」は、どうブレンドしてしまっても良いということらしい。

ピノ・ノワールとガメとシャルドネを混ぜるなんて、かなり不快感を覚えます。来客が帰ったあとにボトルの底に残ったワインを空き瓶に入れ、翌日に飲むみたいではないですか? ブルゴーニュ以外のワイン産地ではブレンドをするのが普通なケースが多いでしょうから、そういう違和感は感じないのでしょうけれど。

ロゼワインは、赤と白を混ぜてピンク色を出したりできるわけです。もっとも、シャンパンではそれが認可されているわけで、それを教えられたときは驚いてブログに書いていました:
赤 + 白 = ピンク色。それがシャンパンのロゼでは主流 2013/12/24

EUの規制で、赤ワイン+白ワインでロゼを作るのを許可するという話しが出たときには、ブルゴーニュの友人たちは「飛んでもないことだ!」と怒っていたのですけどね...。それなのに、ブルゴーニュでもやってしまえ、ということになったらしい。


なんでもOKのワインなの?!

セパージュを自由にブレンドしてしまって良く、しかも、それをラベルに明記する必要もないらしい。つまり、コトー・ブルギニョンは飲んでみないとどんな味なのか想像できないワインのようです。

さらにショックなのは、オーク材の樽に入れて熟成させないでもタンニンがワインに付くように、木を粉にしたものを入れてもOKということになっているということでした。

まさか、ブルゴーニュワインでそれを認めるとは思わなかった! アメリカだったか、それをやっているのは飛んでもない邪道だとブルゴーニュの人たちは言っていたのに...。

ブルゴーニュAOC/AOPワインの中で木クズを入れてしまって醸造することを禁止していないのは、このコトー・ブルギニョンだけなのだそうです。

時代の波に応えた?... ワインの味を人工的に整える技術の発展を考える人たちには喜ばしいアペラシオンかもしれないけれど、自然に作った方が良いと思うのだけれどな...。最近は醸造技術が進歩しましたが、昔に作られたワインは、最低ランクの「AOCブルゴーニュ」なのに、寝かしておくと驚くほど美味しくなったりしたのですが、今はそういうワインはほとんど無くなってしまっています。

ところで、コトー・ブルギニョンCoteaux Bourguignons)という命名が気になりました。

置き換えられる前の名称の「ブルゴーニュ・グラン・オーディネール(Bourgogne Grand Ordinaire)」には「ブルゴーニュ」の文字が入っていて、ブルゴーニュワインだということをアピールしていました。

「コトー(Coteaux)」というのは、ワインの産地でよく使う「コート(Côte 丘陵)」の複数形。「ブルギニョン(Bourguignons)」というのは「ブルゴーニュの」という形容詞の複数形です。そのどちらも、フランス語に関係がない人には耳慣れない単語ではないでしょうか? これだけブルゴーニュワインの鉄則を破ってしまっているワインだから、わざわざ「ブルゴーニュ」という言葉は避けて、別物みたいにしたのかな、と勘ぐってしまう...。

コトー・ブルギニョンを売ってるネゴシアンが、「美味しいワインを作ることが重要だ」と言っていたのですが、飛んでもないのもできてしまう可能性もあると思っているのではないかな?...


狙いは、安く飲めるブルゴーニュワインを作ること

フランスでの価格が6~8ユーロで(900円前後)、最低ランクのボージョレーよりは高いけれど、最低ランクのブルゴーニュよりは安いという位置づけのようです。

伝統的なブルゴーニュワインになじんでいる人たちにはショッキングなワインのはずです。それだからだと思うのですが、コトー・ブルギニョンをプロモーションしている人たちは、若者や、ワインをそれほど知らない人たちをターゲットにしていると語っていました。

それと、外国への輸出にも向いている、とネゴシアン(自分ではブドウを栽培せずに醸造するだけの仲買人)は考えて力を入れているようです。アメリカで10ドルで買えるブルゴーニュワインとなるだろうとのこと。

パリ当たりに行っただけでも、ブルゴーニュワインは高いというイメージになるので、外国でも1,500円しないでブルゴーニュワインが手に入るのは魅力的だろうということのようです。日本では幾らで売っているかを調べたのですが、かなりのお値段のも多かったのですけど。

ブルゴーニュワインはこういう味がしなければならないという偏見を持っている人でなければ、ワインさえ美味しければ素直に受け入れてもらえるでしょう。でも、もしもコトー・ブルギニョンが大量に出回ったらブルゴーニュワインのイメージを覆してしまうのではないか、と私は心配になりますけど...。


日本にも、かなり輸入されているらしい

2011年に誕生した2つのアペラシオンのうち、「ブルゴーニュ・ガメ」は、フランスでも日本でも、それほど見かけませんでした。情報もほとんどないので、本当にアペラシオンができているのかと不安になってしまうほどでした。

ところが「コトー・ブルギニョン」の方は、鳴り物入りで登場したような感じを受けます。

日本にもかなり入っています:
コトー・ブルギニョンを楽天市場で検索

「コトー・ブルギニョン」だと言われても、産地がどこなのか、どの品種で作られたのかが分からない。そういうワインの情報から、どのワインを買おうかと考えるのも面白いかと思って、検索してでてきたワインを眺めてみました。

このランクのワインはフランスでは買う必要がないのですが、日本にいるときには現地の生産者価格の3倍くらいを支払うことになるので、安いワインを探す必要があるのです。良い勉強になるかもしれない。

次は、ネットショックを眺めてコトー・ブルギニョン選びをして遊んだことを書きます。

★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ INAO: Décret n° 2011-1618 du 23 novembre 2011modifié relatif à l'appellation d'origine contrôlée « Coteaux bourguignons »
☆ BIVB: Coteaux-Bourguignons - Appellation vin de Bourgogne (PDF)
☆ BIVB: Côteaux Bourguignons コトー・ブルギニヨン -Bourgogne Grand Ordinaire ブルゴーニュ・グラン・トルディネール-Bourgogne Ordinaire ブルゴーニュ・オルディネール  フランス語ページ
Appellation viticole Coteaux Bourguignons ⇒ Dénomination viticole Coteaux Bourguignons
☆ Hachette: Coteaux-bourguignons
☆ Musée des Boissons et de la Sommellerie: AOC Coteaux Bourguignons
☆ RVF: Grande Bourgogne viticole : qui gèrera les coteaux bourguignons ?
L'appellation Coteaux Bourguignons démocratise le vin de Bourgogne
Coteaux bourguignons  une appellation à petit prix 08/05/2015
ブルゴーニュの新AOCコトー・ブルギニョン本日発売 ⇒ AOCコトー・ブルギニョンの定義
☆ Le Figaro Vin: Bourgogne Ordinaire (Guide des appellations)


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/09
ブルゴーニュにいて普通に飲むワインは、赤ならピノ・ノワール種のブドウで作ったワイン、白ならシャルドネ種から作ったワイン。たまにアリゴテ種の白ワイン、ガメ種の赤ワインを飲む程度です。

それに慣れてしまっているものだから、ピノ・ノワールかシャルドネでないとワインでない感じがしてしまう。それについては以前に書いていました:

ブルゴーニュのワインバー
おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18

ここのところフランスのワイン産地について書きながら調べていたら、ブルゴーニュの赤ワインの中でピノ・ノワール種に追いやられているガメ種が気になってきました。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その9


ブルゴーニュでは、ワインの個性を尊重します。ブドウ畑を小さく区切って作ったワインが好きだし、まして異なるブドウの品種をブレンドしてしまうのは非常に嫌います。でも、ブルゴーニュワインでも下のランクのものではブレンドが存在しているのですね。

実際には、最下位のランクのワインがブルゴーニュワインと呼ばれるものの半分を少し上回っているのだから無視できない。でも地元にいると生産者価格で買えるので、最下位のワインに落とす必要がないので、ほとんど私は無知なのでした。

この際、ピノ・ノワールとガメをブレンドしてしまうブルゴーニュワインのAOC/AOPアペラシオンについて少し調べてみることにしました。


AOC/AOPブルゴーニュ

マルセイユの友人夫妻がブルゴーニュに遊びに来たときには、面白いことを言っていました。それほどワインを飲まないので興味もなかったからなのでしょうが、彼らはボトルに「Bourgogne(ブルゴーニュ)」と書いてあるのが最高ランクだと思っていたというのです。

でも、「AOC ブルゴーニュ」というのは最下位のランクに入るワインなのです。ブルゴーニュの中で広い地域で作れてしまうワインですから。

ブルゴーニュワインは上質だというのは知れ渡っているので、それが書いてあると良いワインなんだ、と思ったのでしょう。そう言われると、村の名前がアペラシオンになっているブルゴーニュワインのラベルには、ブルゴーニュだとは書いていないかもしれない。

でもAOCブルゴーニュは、パストゥーグランよりは上のワインです。何しろ、ピノ・ノワールだけで作られていますから。最近は少なくなりましたが、昔はかなり本格的なワインがあって、長期間の保存もできました。

... と思っていたのですが、そうではないのでした!

AOC(今はヨーロッパ基準になってAOP)を統括しているのはフランス原産地呼称委員会(INAO: Institut national de l'origine et de la qualité)なのですが、2011年秋に、AOC/AOPブルゴーニュの規約を少し変えたのだそうです。

1937年に出されたデクレでは、AOCブルゴーニュの生産地にボージョレーで「クリュ」を持つ9つの地域も含めていたのです。ボージョレーのクリュは10カ所ありますが、当時はレニエ(Régnié)が入っていなかったので9カ所。

ところが、2011年に出されたAOCブルゴーニュの規制では、このボージョレー地域が外されたとのこと。ただの「ブルゴーニュ」ではいけなくなって、その後に「ガメ」と付けて「ブルゴーニュ・ガメ」としなければいけないと定めたのでした。つまり、それまでは、ピノ・ノワール100%と、ガメ種100%の「AOC/AOPブルゴーニュ」が存在していたということらしい。

ガメで作ったのはニセモノだとピノ・ノワールで作っている人たちは主張するので、両者の間は険悪な関係だったとのこと。ついに、ボージョレーのガメ種で作ったワインは外すということになったらしい。

私個人としては、ガメ種で作ったAOCブルゴーニュがなくなるのは良いことだと思います。ピノ・ノワールとガメとではワインの味がかなり違いますから、どちらかだとはっきり分かって飲まないとがっかりしてしまうこともあると思うからです。もっとも、ボージョレーワインでも、モルゴンなどは不思議とピノ・ノワールの風味を感じてしまうガメ種なのですけど。

※ 「AOC/AOPブルゴーニュ」に使えるセパージュについて追記を入れました

ガメ
gamay noir N
VSピノ・ノワール
Pinot noir
Gamay



AOC/AOPブルゴーニュ・ガメ

先日、「ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書きながら調べていたら、売れ残って困っているボージョレーの生き残り作戦として、新しくできた「AOC/AOP コトー・ブルギニョン」にすることに期待が寄せられていると出てきました。

コトー・ブルギニョンとは何なのかを調べてみたら、同じ時期に、これまた聞いたことがなかったアペラシオンも誕生していたのでした。

「AOCブルゴーニュ」として売ることができる原産地から外されてしまったガメ種のワイン。それでは可哀想というわけなのか、「AOC/AOP Bourgogne Gamay(ブルゴーニュ・ガメ)」という新しいアペラシオンができていました。その名前で2011年から発売されているそうです。

生産地は、マコネー地区と、AOCブルゴーニュに使うことを許可されていたボージョレーの高級ワイン「クリュ」のランクに入っている10の産地に限られています(25の町村)。つまり、AOCブルゴーニュから外されたクリュの地域はこの名称を名乗れるけれど、AOCボージョレーとAOCボージョレー・ヴィラージュの産地は除外ということなのでした。

でも、もともとボージョレーのクリュとして売れるワインをブルゴーニュにしていたワインはどのくらいあったのでしょう? ただの「ブルゴーニュ」なら、別にワインのステータスが上がるということはないと思うのです。

例えば、ボージョレーのクリュの1つであるサンタムールを作っていたワイン農家が、ブルゴーニュの名前を付けてワインを売ろうと思うはずがないと思うのです。彼らはボージョレーであることに誇りを持っているのですから、プライドが傷つくはず。

そもそも、「ブルゴーニュ亀」なんて変な名前だと思う。本当にいるのかと調べたら、ありました。そうか、そうか、日本ではGamayを「ガメイ」と片仮名表記するから、「亀」にはならないのだ!

どんなワインなのか、小さなワイン農家も作っているのか知りたくて調べてみました。

ブルゴーニュ・ガメイを楽天市場で検索

フランスでも、このアペラシオンのワインは少ないと感じましたが、日本に輸出されているのも少ないようです。


ガメイ100%

ムーラン・ナ・ヴァン、モルゴン、シルーブル、フルーリー、レニエの5つの格付けクリュボジョレーをブレンド。

クリュ・ボジョレー100%のブレンド
・ムーラン・ナ・ヴァン
・モルゴン
・フルーリー
・シルーブル
・レーニエ

クリュ・ボージョレのガメイ種を主体に、ピノ・ノワール種をブレンド。

※ ピノ・ノワールも入っているとは驚きなのですが、ドメーヌのサイトにある情報でもそう書いてありました。
ボージョレーのクリュ(10ある)を挙げているので、特にどれを使うのかは決めていないもよう。2012年のミレジムは、ムーラン・ナ・ヴァンをメインにして、ピノ・ノワールが15%入っていると紹介しています。

ガメイ100%

ラベルには「ブルゴーニュ・ガメイ・ノワール(Bourgogne Gamay Noir)」と書いていて、AOC/AOPのアペラシオンになった「ブルゴーニュ・ガメイ」なのか、違うのかが分からないのです。でも、ボージョレーで使われているガメ種のgamay Nだと強調するために「ノワール」を付けたのかもしれないという気がします。

ドメーヌはボージョレーにあるDomaine de Gry-Sablon:
ドメーヌの商品情報  | PDF

1930年から「ブルゴーニュ」のブドウ畑として認められていたのに... と、なんとなく不服そうな感じを受けました。



ボージョレーのクリュとして売るときには、どのクリュかが特定されたアペラシオンになるのですが、ブルゴーニュ・ガメだと、色々なのをブレンドできるのですね。とすると、ネゴシアンには嬉しいアペラシオンかもしれない。

AOC/AOPブルゴーニュ・ガメはガメ100%なのだろうと思ったのですが、そうではなかったので驚きました。ガメが最低でも85%入っていれば、この名称を付けて売ることができるそうです。ブレンドすることが許されているのは、ピノ・ノワールの他、白ワイン用のシャルドネーもOKらしい。なんだか、いい加減...。


AOC/AOPパストゥーグラン

ガメとピノ・ノワールのブレンドなら、ブルゴーニュワインにはPasse-tout-grain(パストゥーグラン)というアペラシオンがあります。赤ワインとロゼしかありません。

ブレンドを嫌うブルゴーニュでありながら、昔からブレンドしているのはこれだけだと私は思っていました。なので、AOCブルゴーニュより下のワイン、ブルゴーニュワインの中で最低ランクだというのが私の認識。

ガメ種とピノ・ノワール種のブレンドで、ピノ・ノワールが最低で3分の1、ガメが最高でも3分の2であればOKというもの。
それだけかと思っていたら、こちらも、ほんの少しなら他のブドウ品種も加えて良いようなのでした。

ブルゴーニュにいるときは、ほとんど飲んだことがない気がします。村のイベントなどでは安い参加費にするために安いワインを選ぶことが多いのですが、ブルゴーニュ地方でもあまり出さないのではないかという気がします。ワイン産地から遠いところだと、変なワインを選んだりしているのですが、安いワインの代表というと、アルザスかコート・デュ・ローヌを出してくることが多いのです。

「なんだ、CDRか」なんて悪口を言う人がいるのですけど。コート・ドュ・ローヌ(Côtes-du-rhône)の頭文字!

日本にいるときにブルゴーニュワインを何本もストックしたいときには、涙をのんでパステゥーグランを買うことがあります。1本2,000円を切る予算しかないと、これしかない... とあきらめるので。

パストゥーグランを楽天市場で検索(安い順)

出てきたワインの中で、一番高かったのと、一番安かったのを並べてみます。

すごい差があるのですね。いくら美味しくても、パストゥーグランを5,000円を超す値段で売るなんて、やめて、止めて~ と叫びたくなりますけど...。

パストゥーグランが何であるか紹介しているショップ:
ブルゴーニュ・パストゥグラン [2012] ブシャール・ペール・エ・フィス【あす楽対応_関東】…

「とっても気軽に楽しめる赤ワインなので、軽く冷やして、気楽に楽しんでください」と書いてあります。そういうワインだと思いますね。

ブルゴーニュ・ガメでもピノ・ノワールを混ぜてもOKとなると、それではパストゥーグランとどこが違うの? という疑問が出てきます。ボージョレーの産地は、パストゥーグランの原産地としては認められていないのでした。ややっこしい...。


仲間はずれにされるガメちゃん

ボージョレーワインになる品種はgamay Nというガメ種で、皮は黒くて、中は白いというブドウです。植わっている畑はフランス各地に36,000ヘクタールあり、そのうちの6割(22,000ヘクタール)はボージョレー地域なのだそう。.

他の地域でガメ種を使っていてもブドウの品種の1つとして扱われるだけだろうと思うのですが、ボージョレーの場合は、なまじっかピノ・ノワール種が主流のブルゴーニュワインの範疇に入っているので不幸なのではないかと感じます。

ブルゴーニュの人の中には、「ボルドーはワインじゃない」と言うのと同じように、「ガメで作ったらワインじゃない」と言う人もいます。

それでなくても売り上げが減少し続けているボージョレー。それではイメージを変えて「AOC/AOPブルゴーニュ」として売ってしまうわけにもいかなくなったし、ガメ種は止めてピノ・ノワール種を植えようというのも容易にはできないらしい。

調べているときりがないのでやめたのですが、ボージョレーではピノ・ノワールを植えてはいけないということになっていたような感じもしました。特に、売れなくて困っているのはクリュの指定を受けていないボージョレーの地域です。

それでも、試験的という感じで、ボージョレーにピノ・ノワールのブドウの株を植えるということが始まったそうです。始めの年は50ヘクタール、その翌年は80ヘクタール..。

ところが、ボージョレーで栽培したピノ・ノワールで「AOC/AOP ブルゴーニュ」という銘柄のワインとしては売れない。ボージョレー地域でできるのは、crémants de Bourgogne(クレマン・ド・ブルゴーニュ)やCoteaux Bourguignons(コトー・ブルギニョン)として売ることなのだそう。

この「コトー・ブルギニョン」という新しくできたAOC/AOPアペラシオンは、ボージョレーの危機を救えるかもしれないと期待されているようです。こちらは、もっとフレキシブルで、ガメでもピノ・ノワールでもOK。それ以外にも、かなり自由。自由すぎるくらいに自由...。

次回は、この「コトー・ブルギニョン」とはどんなワインなのかについて書きます。


ここのところ、ブドウ品種のガメとボージョレーワインにこだわってブログを書いています:
ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?

★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地


追記 (2016/01/14)

AOCブルゴーニュ」のブドウの品種についてコメントをいただいて「AOCブルゴーニュ」に関する2011年11月22日のデクレの中にあるブドウの品種に関する部分を読みなおしてみたのでメモしておきます。ボージョレーの10のクリュの産地で生産されるワインは、今後は「ブルゴーニュ」の後に「ガメ」と明記しなければいけないと明記した法令です。

白ワインメイン品種
  • シャルドネB(ヴェズレー地区は、これのみを使用することに規制)
  • ピノ・ブランB
付随的な品種
  • ピノ・グリGを30%以下で使用できる
ロゼ・ワインメイン品種
  • ピノ・ノワールN
  • ピノ・グリG
付随的な品種
  • ピノ・ブランB
  • シャルドネB
  • セザールN(ヨーヌ県のみ)
赤ワインメイン品種
  • ピノ・ノワールN
付随的な品種
  • セザールNを10%以下で使用できる(ヨーヌ県のみ)
  • ガメNを30%以下で使用できる
  • シャルドネB、ピノ・ブランB、ピノ・グリGをブドウ畑に混合して植えることができるが、各区画で15%未満に制限される


これを眺めると、次に書いた「AOC/AOPコトー・ブルゴニョン」というアペラシオンが色々な品種を混ぜてしまってもOKという差が見えてきました。少なくとも、「AOC/AOPブルゴーニュ」の赤ワインはピノ・ノワールが主体になっているのははっきりと見えるので。

それでも、ガメ種を30%以下ブレンドすることがOKというのは納得できません。ガメ種の赤ワインを飲み比べたら、やはりボージョレーのクリュの方がソーヌ・エ・ロワール県の何でもないワインよりは味が良いのですけど。しかも、サンタムール村などは行政区分ではブルゴーニュなのに、なまじっかボージョレーのクリュだから外されてしまっている。変なの...。

でも、ボージョレーのクリュはワインの質が高いのですから、他のなんかとはブレンドせずに、そのままのアペラシオンで売るべきだと思う。


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

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おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法、生産地など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Cahier des charges de l’appellation d’origine contrôlée « BOURGOGNE » homologué par le décret n° 2011-1615 du 22 novembre 2011, JORF du 24 novembre 2011
Grande Bourgogne viticole : les tensions persistent 2012年2月
Du Bourgogne Gamay? Le retour en grâce du cépage banni  27/12/2011
Beaujolais in major appellation shake-up
Les cépages et couleurs du vignoble de Bourgogne
AOC Bourgogne en Beaujolais : un contentieux naissant 17/10/2011
☆ Le Figaro Vin: Gamay (Guide des cépages)
Vin Bourgogne gamay rouge - AOC
Les appellations régionales - LA REGION BOURGOGNE
Passetoutgrain AOC (appellation Bourgogne-Passetoutgrain)


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/01/08
ブルゴーニュワインは、ボルドーなどに比べれば、かなりシンプルだと思っています。良いワインかどうかを判断するも簡単。

そう思っていたのですが、最近できたブルゴーニュのAOC/AOPアペラシオンを調べてみたら、そんなことは言っていられないという気にもなってきました。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その8


ブルゴーニュワインは分かりやすいと思う理由

理由 : ボトルの形で見分けられる

ブルゴーニュワインのボトルは、なで肩なので見分けやすいです。下の写真では、左端にあるのがブルゴーニュワインのボトルの形。


色々あります♪ボトルの形状|プレミアワインノート - 店長の部屋Plus+

販売されているブルゴーニュワインの中には、昔のずんぐりとしたタイプもあるのですが(右の形)、例外的だし、なで肩である点では同じです。

ブルゴーニュのボトルに似た形状の地方もあるのではありますが、ブルゴーニュの他、ボルドー(写真の左から2番目)、シャンパン(右端)、アルザスは見分けが簡単だと思います。

少なくとも、同じ地方のワインなのに色々なボトルを使っているのよりは、ブルゴーニュワインは見分けが容易だと言えるでしょう。


理由 : ブドウの品種(セパージュ)の種類が少ない

赤ワインなら、ピノ・ノワールかガメ。白ワインなら、シャルドネかアリゴテ。でも、上質のワインなら、ピノ・ノワールとシャルドネと決まっている。それ以外にも少しはありますが、例外的なので無視してしまって良い。

地元にいる私の場合は、飲むのはピノ・ノワールとシャルドネで作ったワインばかりを飲んでいます。キール酒を作るときはアリゴテ種の白ワインが必要で、軽いワインを飲みたいときにはガメ種で作ったボージョレーを飲むという程度。

アリゴテ種は質が落ちるワインとみられますが、ブズロンは例外。品種に関する例外はそれくらいだと思っています。


理由 : ランク付けが単純で生産地域が狭いほど質が高いという目安がある  

ランク付けも単純。上のランクからアペラシオンを並べると、こうなります:

格付け生産量
① Grand Crus: グラン・クリュ(特級)331.3%
② Premiers Crus: プルミエ・クリュ(1級)
* クリマの数: 640 
449.9%
③ Appellations Communales: 町村に与えられる37.8%
④ Appellations Régionales: 地方全体に与えられる2351%
※ 各格付けに該当するアペラシオンの検索: 日本語  フランス語
出所: BIVB 2015年


①と②は、レストランのワインリストには表記されているし、ボトルにも書いてあります。

3番目のランク付けは、町や村の名前がワインのアペラシオンになっているので分かりやすいです。よく通るところだと土地勘がありますので。でも、ブルゴーニュの中をドライブなさらない方だと、それがどの辺に位置しているかは分からないでしょうから、これは単純ということにはならないのでしょうね。

ともかく、生産地域が広がるにつれてランクが下がり、ブルゴーニュワインの産地全体で作られるワインなら最低ランクと思えば間違いがない。最低ランクの④は、ブルゴーニュ全体を指してしまう。

最低ランクの中は、どう甲乙を付けるかは複雑ではあります。でも、地元にいればワインが生産者価格で手に入るので、3番目のランクをデイリーワインとして飲むため、「その他」のランクは完全に無視しています。


理由 : ブレンドしていないのが良いワイン

ブルゴーニュの人たちは、ブドウの品種や生産地を限定しないでブレンドしたワインを嫌います。

ブドウが生産された地域にもこだわります。色々な畑で収穫されたブドウからワインをブレンドして商品化するネゴシアンのワインを嫌います。つまり、ブドウを栽培して、自分で醸造しているところのワインが最高だという意識があります。

特に、ブドウの品種を混ぜてブレンドしたワインは最低ランクのワインと決まっています。

フランスワインでも、地域によってはブレンドによって美味しい味を出すことに技術があるとしているところもあるのですが、ブルゴーニュでは嫌う。超高級ワインではそれが徹底していますが、それほどでもなくても、こだわりのワイン農家では、自分が持っているブドウ畑の小さな区画で別々に収穫して、別々に醸造するということまでしています。


最低ランクのブルゴーニュワインには単純でないのもある

ブルゴーニュワインのアペラシオンは100もあるのですが、この4つの目安があれば、だいたいはワインの良し悪しが把握できます。

もっとも、ブルゴーニュにいる私は、こういうのは気にすることがありません。店でワインを買うことはなく、ワイン農家に行って試飲しながら好きなワインを選ぶので、ランク付けの知識などは必要ないのです。試飲していると、やはりランクが上、つまりはお値段も高くなっているワインの美味しさの違いは感じてしまうのですが。もっとも、ランク付けやお値段の基準とは異なって、下のランクの方がどうみても優れていると思える時もあります。

私にとっての問題は、日本にいるときのこと。やはりブルゴーニュを飲みたくなるのですが、現地プライスに比べれば価格が3倍にはなるので、3番目のランクをデイリーワインとして飲むのは私には経済的に無理。しかも、試飲してワインを選べるわけではないのがネック。

フランスで飲んで知っているドメーヌのワインにすれば無難なのですが、日本で買おうとすると3倍のお値段になっていて高すぎるのだもの~!

というわけで、ブルゴーニュの最低ランクのお勉強はしておくべきかな、と思ったところです。

ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書きながら出てきた、ブルゴーニュワインの新しいアペラシオンについて調べてみる気になりました。

ところが、調べてみると、ブルゴーニュワインの最低ランクは非常に複雑なのでした! 「単純です」なんて言ってはいけないですね。複雑というよりは、いい加減と言いたくなる。理由4に挙げた部分は、全く無視しないといけない。

結局のところ、安いワインなんだから気にしないで飲むしかないか... という気にもなってきたのですが、いちおう調べたことをメモしておくことにします。


ここのところ、ブドウ品種のガメとボージョレーワインにこだわってブログを書いています:
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 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

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★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ BIVB: Passeport pour la Bourgogne
☆ BIVB: Les chiffres clés de la Bourgogne viticole
La Bourgogne racontée en 7 différences

更新: 2016/01/14


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