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2016/03/25
ロワールワインというのは、古城めぐりで有名なロワール地方で生産されるワインではなくて、オーヴェルニュ地方にまで広がっていることに驚いていました:

ロワールワインの産地が広いので驚いた 2015/12/10

フランスのワイン産地というのは、幾つに分けるのが普通なのだろうかと思って調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その33


フランスのワイン産地

Wikipediaにはフランスのワイン産地のページがあり(Viticulture en France)、そこに入っている地図では主な産地として14が色分けされていました。

主要なワイン産地
French vineyards.svg
Les principaux vignobles de France

コニャック地方とアルマニャック地方ではブランデーにするためのブドウ畑が多いわけですから、ワイン産地というときには抜かして良いかとも思います。

Wikipediaにはワイン産地の比較表があったので、それをもとに生産量や平均価格のデータをまとめてみました。

ブドウ畑の面積の広さの順番に並べます。
ワイン産地に入れてあるリンクは、Wikipediaにページができていることを示します。
ワイン生産地面積
(㎢)
生産量
(千本)
平均価格
(€/本)
生産性
(€/㎡)
1ラングドック・ルシヨン
Vignoble du Languedoc-Roussillon
2,2601,6801.310.97
2ボルドー
Vignoble de Bordeaux
1,1207205.193.34
3ローヌ河流域
Vignoble de la vallée du Rhône
7003763.912.10
4ロワール河流域
Vignoble de la vallée de la Loire
6503803.952.31
5南西部 *
Vignoble du Sud-Ouest
500450--
6シャンパーニュ
Vignoble de Champagne
33730714.6613.35
7ブルゴーニュ
Vignoble de Bourgogne
2831857.574.94
8プロヴァンス
Vignoble de Provence
2601853.302.35
9ボージョレー
Vignoble du Beaujolais
157100--
10アルザス
Vignoble d'Alsace
1561504.073.91
11コルシカ
Vignoble de Corse
70492.451.71
12サヴォワ
Vignoble de Savoie
22.7163.132.20
13ジュラ
Vignoble du Jura
1910--
出所: *以外はルモンド紙記事(La très lucrative route des vins, 2015年7月16日)


フランスの代表的なワイン産地にされるのはボルドーとブルゴーニュですが、ブドウ畑の面積からも、ワインの生産量からも、ブルゴーニュはボルドーの4分の1しかない。

生産量が飛びぬけて多いのは、南仏のラングドック・ルシヨン地域。上に入れた地図では、地中海沿岸で濃い茶色になっている部分。ブドウ畑はボルドーの2倍もあります。ブルゴーニュワインと比べると、畑の面積は8倍、生産量は9倍!

ラングドック・ルシヨンのワインは、お値段も安い。ボトル1本が平均1.31ユーロ。200円もしないワイン?! いくらフランスではワインが安く買えると言っても、そんなに安いワインがあるとは知りませんでした。

私がいつも買うのはブルゴーニュワインで、普段に飲むワインは7ユーロから15ユーロくらいだと思います。この表にあるブルゴーニュの平均は7.57ユーロだから、1本1,000円くらい。たくさん売れるのは安いワインですから、そんなものでしょうね。

シャンパンを除けば、ブルゴーニュはワインの値段が一番高い地方なんだ...。


日本におけるフランスワイン産地の知名度/需要度は?

上に入れた表で、順位の欄を赤くしたのは、私が日本でもよく知られているのではないかと思う地方です。勝手にフランスのワイン産地の代表にしてしまったわけなので、ワインショップでもそうしているだろうかと確かめてみました。
左に楽天市場、右にワインのオンラインショップのエノテカの地図を入れます。

※ 地図をクリックすると、この図が入っているページが開いて大きな画像を見ることができます。
 
ENOTECA Online(ワイン通販 エノテカ・オンライン)
 
産地数: 6
ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、
ローヌ、ロワール、アルザス
産地数: 10
ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、
ローヌ、ロワール、アルザス、
ジュラ、ラングドック・ルーシヨン、
プロヴァンス、コルス

なんとなく違う。フランスのブドウ栽培地域としては最大面積を誇るラングドック・ルシヨン地域を、楽天市場では主要ワイン産地にしていないのでした。安いのが魅力となっているワイン産地ですが、最近は外国産の安いワインと競争しなければならないので頑張っているのですけどね。

私が日本でワインを買うときには楽天市場をよく使うのですが、予算で選んでいるとラングドック・ルシヨンのワインが出てきます。主要産地にはなっていないのですけど、どうなっているのかな?...

でも、楽天市場でもワインを検索していると、産地にはラングドック・ルシヨンも浮かび上がってくるのでした。

楽天市場での検索結果です:
フランス 白ワイン 検索結果フランス 赤ワイン 検索結果

でも、ヒットするラングドック・ルシヨン地域のワイン銘柄の数は少ないですね。日本にはそれほど入ってこないのかな?... あるいは、売れる量としては多くて、売っているワインの種類が少ないのかもしれない。

生産量は第7位のブルゴーニュが多いのに驚きます。そんなに日本では人気があるのでしょうか?


フランスのワイン産地はどう区分されているのかを見るために、一覧表にしてみました。ワインショップの方は、自分が利用しているショップや楽天市場で「グルメ・ドリンク ジャンル賞」を獲得しているショップを選んでいます。

サイト情報サイト日本のネットショップ
Vin-VigneHachetteFigaroWiki
仏語
Wiki
日本語
楽天市場エノテカうきうきワイン紀伊国屋リカーズタカムラフェリシティーソムリエ
ボルドー
ブルゴーニュ
ボージョレー
リヨネ
ローヌ
シャンパーニュ
アルザス
ロレーヌ
ジュラ
サヴォワ
ビュジェ
ロワール
オーヴェルニュ
南西部
ポワトゥー・シャラント
プロヴァンス
ラングドック
ルシヨン
コルシカ島
(注1)(注2)

注1:●は良質ワインの産地としていた地域で、それに入っていない産地は○印とした。
注2:●は大きな項目としていたワイン産地。△は「その他」の中に項目ができている産地。産地の分類項目がなかった地域は空欄。


表のサイトの欄に入れたもののうち、左から4番目まではフランス情報ですが、やはり区分が細かいです。ボルドーとブルゴーニュは必ず入っていますが、それ以外はまちまちですね。



このシリーズを書きだした発端は、パリで飲んだロワールワインでした:
お年寄りに優しいワイン? 2015/12/01

ロワールワインの産地は非常に広いことに驚いて、それではフランスワインの産地はどう区分されているのだろうと思って、この記事を下書きに入れました。

それから、次々と知りたいことが出てきたのでシリーズ記事としたのですが、4カ月も書き続けてしまったことになります。

いつも何か書くと、次々と疑問が生まれて、際限もなく書きそうになるのですが、きりがないから止めようと思ったり、だんだんうんざりしてきたりして、それほど長々と続けることはしませんでした。

今回は、ブレーキをかけずに書き続けてみました。書いた日記の数は33。ほとんど知らなかったワインについても勉強できたので良かったですけど、ワインのことばかり書くシリーズは終わりにすることにします。

お付き合いして読んでくださった方がいらしたら、どうもありがとうございました!

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その33


 

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Vin-Vigne: Vignoble de France » Carte des vins de france
☆ Le Figaro: Liste des régions viticoles
☆ Wikipédia: Viticulture en France


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2016/03/24
シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その32

フランスのお役所のことを言うときには、なぜか館の名前や場所で言うことが多いと感じます。フランス大統領の公邸は「Palais de l'Élysée(エリゼ宮)」。

エリゼ宮は17世紀前半に建てられた豪華な館です。

Hôtel d'Évreuxと呼ばれていた1737年の地図 ↓

Hôtel d'Évreux 1737


各国から来た要人にフランスの食文化はすごいのだと見せる意味もあって、エリゼ宮では素晴らしいのワインのストックがあると聞いています。

それを取り仕切るソムリエは、2007年からVirginie Routisという30代の女性。女性が大統領官邸のソムリエになったのは彼女が初めて。女性だから、ソムリエではなくてソムリエール(sommelière)ですね。

エリゼ宮殿の地下にあるワインセラーには、12,000本のワインが眠っているそうです。

シャンパンが約1,000本、白ワインが約5,000本で、残りは赤ワインとのこと。ワインの半分はボルドーのもの。ブルゴーニュの白ワインが全体の4分の1。

レストランとは違って、エリゼ宮のソムリエはそれなりの苦労があるようです。招待客が百人単位のレセプションでは、同じドメーヌの同じミレジムが、少なくとも48本あるものしか選べないのだとか。

現在の大統領はワインの好みがはっきりしていないので、ワインを選びにくいのだとソムリエールさんは話していました。でも、その前の大統領のサルコジ氏はお酒が一滴も飲めない人だったのですが、その時代はどうしていたのだろう?...


例えば、2014年のノルマンディー上陸作戦70周年記念のレセプションに出されたワインは、シャトー・ディケム 1997年、シャトー・オーブリヨン 1990年などを選んだのだそう。

このときのオープニングに出されたシャンパンは、出席していたエリザベス女王に敬意を表して、ポル・ロジェの「サー・ウイストン・チャーチル」というキュヴェだったとのこと。

チャーチル首相がポル・ロジェのシャンパンをいたくお気に召していたので、ドメーヌでは名前を入れたキュヴェを作った。

エリザベス女王はあちこちで出されるでしょうから、もしもこのシャンパンをお好きでなかったらお気の毒。

でも、大統領官邸のようなところでは、要人の好みも把握しているでしょうから問題はないのでしょうね。

キュヴェ・エリザベスというようなのは作っていないのかな...。


エリゼ宮のワインセラーはどんななのかと動画を探してみたら出てきたので入れます。レセプションを準備しているところが紹介されていて、もちろんワインの準備というのもあるのでした。

ワインセラーを案内するソムリエールさんが出てくる場面は、こちらから


Au coeur de l'Elysée 公開: 2012年6月


エリゼ宮のワイン・オークション

2013年には、エリゼ宮のワインの一部を売るオークションが行われ話題になっていました。保存状態の良い掘り出し物があるので大きく報道されていました。


Vente aux enchères de vins de l'Elysée

オークションは予定していたよりも多い収入をもたらしたのだぞう。1,200本をさばき、72万ユーロ近くの収入を得たそうです。買ったときの値段から計算すると、1年で25%の利益を生んだことになったワインもあったとのこと。

このオークションに出たワインとしては、ペトリュス、シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・オーソンヌ、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンの名前が並んでいました。

ここのところボルドーワインについて書いてきたので、名前を見ると「知ってる♪」と思えるようになったので嬉しいな。飲んでなければ意味がないのだけれど、それは容赦して笑ってください。


エリゼ宮とは、どんなところ?

フランスでは情報公開されているのですね。エリゼ宮のサイトでは、大統領官邸の建物について、出来事を見せる動画など、たくさん入っていました。日本の首相官邸も同じかなと思ったのですが、サイトにはほとんど何も入っていないような。

ニュースでは大統領に手紙をだした人の話しが登場するのですが、このサイトからメッセージを送ることもできるのでした。

フランスでは秋に歴史的建造物の一般公開があるのですが、一番の人気は大統領官邸の見学だと聞いていました。大勢の人が行くそうなので、そんなときに行ってみる気はしていなかったのですが、インターネットでかなり見れてしまいます。

拾った動画を入れておきます。


Les pièces du Palais



Zone interdite Secrets et coulisses du Palais de l'Élysée 2015 公開: 2015年4月


エリゼ宮の庭園だけは簡単に見学できるようです。オープンしているのは、毎月、第一日曜日らしい。今はテロ騒ぎのときですから見学はできないのではないかな...。


エリゼ宮のソムリエが女性という情報が出てきたのでブログに書いておこうと思ったのは何がきっかけだったか...。たぶん、去年の秋にフランスの親衛隊について書いたとき、大統領官邸ではどんな風に衛兵交代の儀式をしているのかと調べてみたときに出てきたのではないかと思います。

★ フランス共和国親衛隊の一般公開を見学 2015/10/29


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その32



ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Le Monde: Virginie Routis, la première sommelière de l’Elysée 27.10.2015

【エリゼ宮殿サイト】
オフィシャルサイト: Présidence de la République ⇒ 写真と動画
「Les coulisses(舞台裏)」タブ ⇒ Élysée In&Off Le protocole
Les pièces du Palais
Le Palais de L'Élysée et son histoire
Ouverture des jardins du palais
大統領にメールを送る: Ecrire au Président de la République

フランス観光開発機構: エリゼ宮
Wikipédia: Palais de l'Élysée =  エリゼ宮殿
首相官邸ホームページ


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カテゴリー: 建築物 | Comment (2) | Top
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2016/03/23
日本の友達と話しているとき、ロマネ・コンティと言っても何のことか通じないことがあります。ワインに興味がなかったら、知らなくても当然ですよね。

詳しく話しても意味がないと思うので、こう言っています:
‐ ロマネ・コンティというのはブルゴーニュの有名なワインで、世界で一番高いワイン。

そう言っただけで不思議に納得してくれるのです。高いワイン=美味しくて高品質のワイン、になるのかな?...


12月始めにフランスのワイン産地について書いてから、次々と連想するワイン関連のことを書いてきたのですが、その中でぶつかったフランス情報の中に、ロマネ・コンティより高い値段のワインがある、と出てきました。

そうだとしたら、いい加減に言っているのは止めなければいけない! それで、少し調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31

世界で最も高額なワインのランキング

フランス情報で、ロマネコンティの値段は世界第2位だという記事がたくさん出てきたのですが、それは昨年の夏から秋にかけて書かれていました。

その時期、「2015年 世界で最も高額なワイン トップ50」というのが発表されていたのでした。

Wine-searcherというサイトが発表したランキングのことでした。1999年にロンドンで作られたワイン関係の検索エンジンとオンライン・マガジンのサイトで、この分野では世界最大のデータベースを持っているのだそうです。




2015年のランキングとして50のワインを挙げられていたのですが、ブルゴーニュが圧倒的に多いのでした。
  • 上位3位までは、全てブルゴーニュワイン
  • トップ10のうち、6つがブルゴーニュワイン
  • 選ばれた50のワインのうち、40がブルゴーニュワイン

ブルゴーニュワインの産地は、フランスのAOCワインのブドウ畑の3%を占めるに過ぎないのだそうです。それなのに、こんなにランキング上位を占めているわけなのでした。

これはお値段が高いというランキングにすぎません。でも、どのワインが一番美味しいかという客観的なランキングは作れないわけですから、目安にはなるのでしょう。

データーを提供しているのはWine-Searcherなので、サイトを確認してみました。頻繁にアップデートしているのでしょうか。私がランキングの存在を知ったのは2015年も終わりの頃だったので、サイトに出ているランキングの順位は変わっていました。さらに、3月になったので、2016年のランキングというのも出ていました。

2015年のランキングでは、アンリ・ジャイエのリシュブール・グラン・クリュが第1位で、ロマネ・コンティは第2位でした。2016年のランキングでは、ロマネ・コンティが第1位。

投資の対象にされるボルドーが上位に入っていないのが私には意外でした。


世界で最も高額で販売されるワインのランキング

Wine-searcherのランキングを決めているのは、750mlボトルの平均販売価格。ヴィンテージは区別せず、ワインオークションの落札価格は加味せず、また特別に高かったり安かったりした価格は除外しているそうです。

その年の正式なランキングは夏ころに出すものかもしれないので、2015年のランキングの順番にワインを並べてみます。他にデータが見つかったのは2012年と2016年なので、それも入れます。

2012
2015
2016ドメーヌ / アペラシオン産地
11Henri Jayer
Richebourg Grand Cru
ブルゴーニ
(C ニュイ)
2
2
1Domaine de la Romanee-Conti
Romanee-Conti Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
33Henri Jayer
Cros Parantoux, Vosne-Romanee Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
5
4
2Egon Muller-Scharzhof Scharzhofberger
Riesling Trockenbeerenauslese
ドイツ
(モーゼル)
4
5
3Domaine Leflaive
Montrachet Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
765Domaine Georges & Christophe Roumier
Musigny Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
7
6Joh. Jos. Prum Wehlener Sonnenuhr
Riesling Trockenbeerenauslese
ドイツ
(モーゼル)
984
Domaine Leroy
Musigny Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
697Domaine de la Romanee-Conti
Montrachet Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
2010Domaine Jean-Louis Chave
Ermitage Cuvee Cathelin
ローヌ
11Henri Jayer
Vosne-Romanee
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
812George Jayer par Henri Jayer
Echezeaux Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
15
13
8Domaine Leroy
Chambertin Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
13
14
9Screaming Eagle
Cabernet Sauvignon
アメリカ
15Domaine Potinet-Ampeau
Perrieres, Meursault Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
21
16
10Domaine du Comte Liger-Belair
La Romanee Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
121713Domaine de la Romanee-Conti
La Tache Grand Cru Monopole
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
1814Petrus
 
ボルドー
(ポムロール)
181911Coche-Dury
Corton-Charlemagne Grand Cru
ブルゴーニュ
(C ボーヌ)
162017Domaine Faiveley
Musigny Grand Cru, Cote de Nuits, France
ブルゴーニュ
(C ニュイ)
3747Emmanuel Rouget
Cros Parantoux, Vosne-Romanee Premier Cru
ブルゴーニュ
(C ニュイ)

ブルゴーニュのワインには、ブルゴーニュの紋章を入れました。確かに、ブルゴーニュがほとんどで、それに他の産地のワインが少し入っているという感じですね。

現在のランキング、個々のワインの価格、平均価格の決め方のルールなどは、Wine-Searcheのサイトの「World's Top 50 Most Expensive Wines」でご確認ください。


アンリ・ジャイエが作った伝説のワイン

2015年の高額ワイン・ランキングで、かのロマネ・コンティを抜いて1位になっていたアンリ・ジャイエHenri Jayer)。このドメーヌのワインが、上位15位までに4つも入っているのも異常だと思いました。ランキングは2011年のものにまでしか遡れなかったのですが、ずっとアンリ・ジャイエが1位でした。

それが、2016年には全く姿を消してしまっているのですから、よけいに気になる。

ランキングを決める条件には、最低10のオファーがあり、最低4つのヴィンテージがあることとなっているので、アンリ・ジャイエのワインはその条件を満たさなかったのかもしれません。アンリ・ジャイエはブドウ畑を甥に譲り、2006年に亡くなっているのです。

アンリ・ジャイエは日本ではとても人気があるようで、彼のワインづくりについての本が出ているのは知っていました。


ヴォーヌ=ロマネの伝説
アンリ・ジャイエのワイン造り

アンリ・ジャイエのブドウ畑

その他にも、彼に言及した書籍は幾つもあるようです:
日本アマゾンで「アンリ・ジャイエ」をキーワードにして検索

フランスでも、アンリ・ジャイエの写真を表紙にした書籍が出版されていたようなのですが、フランスのアマゾンで「Henri Jayer」をキーワードにして検索してみたら、それらしきものは何も出てきませんでした。

そもそもフランスでは、よほどワインに詳しい人でない限り、アンリ・ジャイエのことは知らないのではないかと思うのです。

ブルゴーニュの友達に「ロマネ・コンティ、知っている?」と聞いたら、なんでそんなことを聞くのかという顔をされて、ほぼ百%が知っていると答えるはず。でも、「アンリ・ジャイエ、知っている?」と聞いたら、どのくらいの人が「ウイ」と答えるかな?...

アンリ・ジェイエ氏は、2006年9月20日に、84歳で亡くなっていました。ちょうどブドウ収穫の時期だったのではないかな...。

最近のことなので、映像がたくさん見つかるだろうと思ったのですが、彼がちゃんと出ているのは、こんな画像の質が悪いのしか見つかりませんでした。いつ撮影されたのかも分かりません。


Henri Jayer interviewed by Jancis Robinson M.W.

巻き舌で話すブルゴーニュ訛りがほんの少しありますね。今では、かなり奥地、しかもご年配に会わないと聞けない訛りです。

気取らない人のようで、自然体でワインづくりをしていたのではないかと思います。こういう感じの男性は、ブルゴーニュのワイン農家で似た感じの人がいたな...。今のワイン農家のご主人の親という年代の人たちですけれど。

ストックがあるのをさばくだけのワインなので、プレミアムが付いているのではないでしょうか? 確かに、ケタ違いにお高い!



Wikipediaの情報が正しいとすれば、アンリ・ジャイエは1996年に、老齢年金を受け取るか、年金の受給をあきらめるかの選択を行政から迫られたのだそう。今では老齢年金を受け取りながら少し働くことができるようになっていますが、当時は働いていたら年金は支給されなかったはず。

それで彼は、甥のEmmanuel Rouget(エマニュエル・ルジェ)にブドウ畑を譲ったのだけれど、実際には2002年まではルジェのドメーヌの半分のワインづくりを自分の責任において行っていた。従って、彼が作ったワインで最後のミレジムは2001年。

アンリ・ジャイエに関しては、日本情報の方が遥かに状容量が豊富です。
こうなっていました:

彼は分益小作農で借りていたリシュブールのブドウ畑の契約が切れたので、それをメオ・カミュゼに返した1988年に引退宣言をしたけれど、その後もワインづくりは続けていた。

クロ・パラントゥーとジョルジュ・ジャイエのエシェゾーは、アンリ・ジャイエの名前で2001年まで出していた。2002年に全てのブドウ畑を甥のエマニュエル・ルジェに譲り、ジョルジュ・ジャイエのエシェゾーもルジェの名前がつくことになった。

アンリ・ジャイエの最後のミレジムは2001年というところは、フランス情報とも一致しているので、間違いはなさそうです。


後継者のエマニュエル・ルジェは、アンリ・ジャイエのワインが高値ワインランキングで第1位ということを扱ったニュースで親子で登場していました。

2015年のブドウ収穫期にエマニュエル・ルジェのワイナリーで撮影しているAFPニュースです。


Les vins d'Henri Jayer atteignent les sommets

見たことがない特殊な作業。これがアンリ・ジャイエ方式なのだそう。

ニュースではほとんど説明していないので、日本情報を読みました。ブドウの房は茎を除いてしまい、5~6日間、低温浸漬(6~8度)を行うのだそう。

ニュースではドライアイスが煙を吐いていました。なんだか死体安置のようで、私には少し抵抗がありましたけど...。

日本情報によれば、発酵はコンクリートタンクで行うのだそう。

先日、ボルドーのシャトー・シュヴァル・ブランで造った有名建築家が設計したコンクリートタンクを眺めながら、ブルゴーニュではコンクリートなんか使わないと思っていたのだけれど...。

白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01


それにしても、このエマニュエル・ルジェさん、不機嫌なお顔をしている方ですね。フランスの農業やたちは過激なデモをするのですが、そういう人たちの表情を思い浮かべてしまいました。息子さんを始め、ドメーヌで働いている人たちの表情が私には少し異様でした。普通、ブルゴーニュのワイン農家の人たちは、もっと陽気なのですから。

ルジェ氏はランキング1位になったので幾つものニュースに登場していたのですが、ワインを気に入ってくれている人がいてくれているのが嬉しいなんていう顔はしない。法外な値段でワインが売られるのは、とても危険なことだし、滑稽だ、なんてまで言っちゃっている。

確かに、ワインは開けてみたら、コルクが悪かったりする理由で飲めなかったりもするのですから、ボトル1本200万円も払うなんて気ちがい沙汰だと私も思うけど、それをバカにしてしまったら悪いではないですか?

先日書いた、シャトー・ディケムの管理人だったド・リュル・サリュース氏は、「イケムを愛してくれる人たちが満足するワインを作る義務がある」という話し方をしていたのを思い出しました。

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像 2016/03/16

でも、欲しいなら売ってやるよ、というのも商売としては効果があるかな...。


どんなワインが高額で売られるのか?

2015年のワインランキングで2位になったロマネ・コンティのオーベール・ド・ヴィネーヌ氏は、どう思うかについて、こう答えていました:

価格によるランキングには意味がない。ロマネ・コンティはグランクリュに格付けされている。このワインにとってのランクはそれだ。

フランスのワイン専門家が言っていたことも興味深かったです。

こういう高値ワインランキングの上位に入れる条件は、高品質であるだけではなく、希少性があることが条件になる。ブルゴーニュがたくさん入っているのは、ボルドーのシャトーのように大量にワインを作っているのではなく、小さな区画で少量しかできないために希少価値が高まっているからだ。

ウエイティングリストに入らなければ手に入れられないようなワインが高額で売られ、ランキングの上位に入る。

アンリ・ジャイエのクロ・パラトゥー(Cros Parantoux)は、日本のマンガが大きな役割をはたしていたと言います。『神の雫』のことでしょうね。これが世界的にヒットし、おかげで日本や東南アジア諸国でのブルゴーニュワインの販売量を倍増させたと指摘していました。


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自分の周りの人たちに聞いてごらん、とおっしゃる。ペトリュスのワインなら、ワインバーなどで飲んだことがあると答える人が何人もいるはず。ところが、アンリ・ジャイエのワインを飲んだことがある人は皆無に等しい。つまり、ワイン崇拝は、飲まないワインに対して生まれるものかもしれない、と記事は結ばれていました。

でも、日本ではアンリ・ジャイエのワインはたくさん売られているので、お飲みになった方はかなりいらっしゃるのではないかと思ってしまうのですけれど...。あるいは、インポーターさんが仕入れても、こんなに高額だと買う人がいないから売れ残っている? たとえそうだとしても、希少価値は下がらないでしょうから損はしないのだろうな...。

アンリ・ジャイエのワインを楽天市場で検索


ベスト5に入っているドイツのワイン

フランスのワインに関しては、有名な産地ばかりなので、なるほどね... と思うのですが、全く知らなかったワインも入っていました。

このランキングは、あくまでも平均販売価格で順番を付けているだけで、美味しいワインの順番ではないはず。知らないワインがどんな風に作っているのかまで調べる気にはならないのですが、いちおう存在するのかだけは確かめてみました。


まず、ドイツワイン。

ドイツ語は読めないので、日本ではどう呼ぶのかをメモ。

Egon Muller-Scharzhof Scharzhofberger
エゴン・ミュラー醸造所

Scharzhofberger Riesling Trockenbeerenauslese:
シャルツホフベルガー・リースリング・トロッケンベーレンアウスレーゼ

こんなに長ったらしい名前をファンの方々は覚えるのですか?...  

このワインについて詳しく説明してくれているショップを右にリンクしました。

モーゼルのワインだそうです。それは名前だけは知っていました。

リースリングというのも、アルザスワインで知っております。

で、どう違う? 格別にお高いですね。


もう1つ、ドイツのリースリングがトップ10に入っていますが、無視します。


カリフォルニアの高いワイン

次は、アメリカワイン。2016年のランキングではトップ10に踊りだしているワインがありました。

Screaming Eagle
スクリーミング・イーグル

Cabernet Sauvignon:
カベルネ・ソーヴィニョン

スクリーミングするイーグルとは、キーキー鳴く鷹がいたからの命名なのかを知りたくて調べたのですが、分かりませんでした。

でも、このワインがなぜ高いのかを調べたら、非常に面白い日本での情報が出てきました。

カリフォルニアのナパヴァレーというところが産地。

シリコンヴァレーしか私は知らないのですが、そういう土地柄と全く無関係でもないような...。

ナパヴァレーを中心として生産される超高価で高品質のワインを「カルトワイン」と呼んで、セレブたちに人気があるのだそう。そういうワインが誕生したのは1980年代半ば。

スクリーミング・イーグルはカルトワインの1つで、生産量は6,000本と少なく、販売システムが特殊なのでした。

メンバーリストに入れてもらって、買い続けるなら買える、ということらしい。つまり、ワインの出来不出来、売値にも係わらず、買い続けるなら売ってあげる、ということ。買わないなら、権利をはく奪される。メンバーになってメーリングリストに入れてもらうのがステータスになる。

カルトワインでは、ワイン批評家のロバート・パーカーの得点が大きく影響しているようです。

スクリーミング・イーグルは、1992年のファーストヴィンテージでパーカー99点を獲得し、華々しいデビューを飾っていました。その後も、1995年は99点、1996年は98点という高得点を取り、1997年には、ついに100点を獲得! さらに、2007年、2010年も100点。

アングロサクソン系だと、百点満点というのを出すのに抵抗がないのかな。フランスでは20点満点ですが、20点は神様のレベルという認識があるのか、ほんの少し下げた点を出す傾向にあって、レストランガイドが20点満点を出したときなどは、採点には裏があったのではないかと騒がれたりしたけれど...。

パーカーはアメリカ人。お膝もとで、パーカーが支配するワインのカリスマ的なワインを作っちゃうか...。

日本のワインショップに書いてある情報を見ていると、パーカー得点というのがよく出てきますが、フランスでは聞いたことがありません。ボルドーあたりには影響力を持っているのではないかと思いますが、ブルゴーニュでは全く無視しているのではないかな。

フランスでよく聞くのは、アシェット社のワインガイドブックの評価。格式あるワインコンクールの受賞も左右するかもしれない。日本で売っているワインは、聞いたことがないコンクールの受賞マークがどっさりついていますけど。

フランスのテレビで、パーカーがワインに得点を与えるのは、かなり彼の個人的な評価とか、ワイナリーとの癒着関係があることを描いたドキュメンタリーをテレビで見たことがあります。それはそうだと思う。食べ物に関して、絶対的な評価を下すことなんて不可能だし、自分の損得で採点を決めてしまったって不思議はないと思う。


ランキングの上位に入っているワインは、たいていは昔からの評判が良くて、高くても売れるというワインだと思うのです。カルトワインのようにマーケティングの巧みさで高値になるワインがトップ10に幾つも入っているようになるのだろうか? 値段が高ければ買う方々がいらっしゃるからな...。


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
フランスのブドウ畑の市場価値(1991年と2014年の比較)
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ロマネ・コンティのブドウ畑ウオッチング
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ JDN: Le vin le plus cher du monde 01/03/2016
Classement des vins les plus chers du monde en 2015
Les vins les plus chers du monde 15/09/2015
「世界一高いワイン」が決まった!ロマネ・コンティは2位 2015.08.14
世界で最も高額なワイントップ10 2013/09/06
Classement des vins les plus chers du monde 2012
Le Figaro Vin: Les vins de Bourgogne plus performants que le CAC 40 15/10/14
Le Monde: Le Romanée-Conti n’est plus le vin le plus cher du monde 09.08.2015
Un top 50 toujours plus trusté par la Bourgogne 04/08/2015
Le Figaro Vin: A qui appartient le vin le plus cher du monde
Une bouteille de romanée-conti à 11 800 € 19/12/2015
Wikipédia: Henri Jayer
「ヴォーヌ=ロマネの伝説 アンリ・ジャイエのワイン造り」を読んで

Les vins d'Henri Jayer atteignent les sommets, ses héritiers gardent les pieds sur terre 24/09/15
RVF: Domaine Emmanuel Rouget
Yahoo!知恵袋: エマニュエル・ルジェに関して 
“神様の後継者”との衝撃的出会い(前編) ⇒ (後編)

Pourquoi 8 des 10 vins les plus chers du monde viennent de Bourgogne 03/08/2012
YouTube: Pourquoi certains vins de Bourgogne sont-ils parmi les plus chers au monde ?
日経ビジネス: カリフォルニアの、とてつもなく高価なワイン « ワインの「美学」「経済学」
NAVER まとめ: 世界一高価なワインって?高級ワイン・ロマネコンティ・オーパスワン・スクリーミングイーグル


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/20
ボルドーで生産されるAOCソーテルヌの中で、飛びぬけて評価が高いシャトー・ディケムについて3つも記事を書いてきました。そのシャトーで2000年のミレジムが作られる1年を追ったドキュメンタリー『ディケムの四季』をブログに入れながら眺めたのですが、収穫されているブドウにびっくりしました。

もう腐っていると思って手がでないようなブドウだったのです。今まで名前しか知らなかった貴腐ワインについて調べてみました。

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その31


貴腐ワインソーテルヌの色

2003年までシャトー・ディケムの管理人だったド・リュル・サリュース伯爵が、こんなことを言っていました。

傑作と言える1967年のミレジムなどは、シャトーを出たときにはボトル1本5ユーロだったのに、オークションで2,000ユーロという高値がついたりする。

その1967年のミレジムのボトルの画像を探してみました(左の写真)。比較するために、若いワインも並べます。こんなに色が濃くなるのですか...。

シャトー・ディケム
2011年のミレジム
1967年のミレジム


私がシャトー・ディケムに興味を持って3つもブログの記事にしていたのは、シャトーの最後のオーナーとしてワインづくりをしていたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵が気に入ってしまったからでした。食べ物というのは、それを作っている人の顔を見ただけで美味しいかどうかが分かると思っているので、その意味からです。

伯爵は、シャトー・ディケムと同様に1968年から、もう一つソーテルヌのワインを作るシャトーの管理人になっています。それがChâteau de Fargues(シャトー・ド・ファルグ)で、こちらの方は現在もファミリーのシャトーとして彼が管理人を続けています。

シャトー・ディケムと同じようにこだわりのワインづくりをしてきたのですが、それほど知られているソーテルヌではないような気がします。ソーテルヌを作る畑の面積は15ヘクタールしかなくて、年間にボトル15,000本しか生産しないし、ワインにしないミレジムもあるので、そう簡単に手に入るワインではないようです。

生産量が非常に少ないということで価値を高めるワインもありますが、ビジネス色が強いボルドーワインでは、そういう風には受け取られないのではないでしょうか?

シャトー・ド・ファルグのソーテルヌの色も眺めてみます。

シャトー・ド・ファルグ
2005年のミレジム
1993年のミレジム
シャトー・ド・ファルグ[1993] 白 貴腐ワイン

シャトー・ド・ファルグ[1993] 白 貴腐ワイン
価格:14,796円(税込、送料別)


シャトー・ディケムのように古いミレジムは日本では販売されていない感じがあったので、1993年のを入れたのですが、やはり色はかなり濃くなっていますね。これを販売しているショップでは、シャトー・ディケムではブドウの木1本からグラス1杯のワインができるけれど、シャトー・ド・ファルグの方は3分の2杯分にしかならないと言われている、と書いています。

貴腐ワインを作るのは本当に大変らしい...。


貴腐とは、なに?

シャトー・ディケムを始めとするソーテルヌは貴腐ワイン。

フランス語でも、「貴腐」は直訳すれば同じの表現で「pourriture noble」。

果皮にボトリティス・シネレアBotrytis cinerea)という菌がついて、これによってブドウの糖度が高まるし、芳香もつくという原理だそうです。

この菌はイチゴにもつくのだそうです(右の写真)。

イチゴがこうなってしまったのは見たことがありますが、それを食べようとは思わないですけど。

ドキュメンタリー『ディケムの四季』の中でも、ブドウにボトリティス・シネレアが付いているのがよく見えました。

収穫前に味見をしていて、ジャーナリストが「見た目は悪いけれど、食べると美味しい」と言っていましたね。収穫したぶどうを容器にあけると、埃のようなものが舞い散っていました。

これが美味しいワインになるとは信じられない。
だって、気持ち悪すぎますよ~!


貴腐を作っていたのはセミヨンというブドウ品種 

AOCソーテルヌSauternes)は、セミヨン種(sémillon)80%と、ソーヴィニョン種(sauvignon)20%のブドウをブレンドで作るのだそう。

その2つの品種を眺めてみます。

Sémillon
(セミヨン)
Sémillon
Sauvignon blanc
(ソーヴィニョン・ブラン)
Sauvignon blanc grapes.jpg

ボトリティス・シネレアが付くのはセミヨン種の方なのだそう。それだけだと酸味が足りないので、ソーヴィニョン・ブラン種を加えてAOCソーテルヌは作られるのでした。

そう言われてみると、ソーヴィニョン・ブランで普通に作った白ワインは酸っぱいなと感じていました。



セミヨン種のブドウの貴腐状態を比較できる画像がWikipediaに入っていました。
貴腐が始まったばかりの状態
Semillon starting to get noble rot at Château Doisy-Védrines, Barsac, Sauternes
貴腐がついた状態


シャトー・ディケム: 2000年の収穫

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像」で、2000年のシャトー・ディケムのワインができる1年を見せるドキュメンタリーを入れたのですが、とても興味深いものでした。

ブドウ畑と言うのは水はけが良くなければいけないのだと思っていたのですが、ここのブドウ畑は全く違う! 雨が降った後には長靴でグチャグチャになって歩くほどの土壌だったのです。ブドウの品種もあるのでしょうが、土壌も貴腐を付けやすい環境を作っているのでしょうね。

映し出されていた貴腐状態のブドウは、すさまじいものでした。

その部分をドキュメンタリーの場面をキャプチャ:





個々の人がとったブドウをバケツにあけるときには、埃のようなもの(これが菌なのでしょうけれど)が舞い上がっていました。マスクをして作業しないと病気になるのではないかと心配してしまうほど!

※ ドキュメンタリー『イケムの四季』の中で、秋にブドウ畑で熟成度を見たり、収穫する人たちの様子を見せている場面は、こちらの部分

シャトー・ディケムは、このドキュメンタリーが作られる前年に株の過半数を持って運営権を握ったLVMHに移り、2004年からはLVMHのCEOアルノー氏に任命されたピエール・リュルトン氏が責任者になっています。


シャトー・ディケム: 2002年の収穫

2000年に撮影された『イケムの四季』に登場していたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、シャトー・ディケムを去ることが決まっていたにも関わらず、30年余りの間、こだわりのソーテルヌを作ってきたことを誇らしげな様子で紹介していました。

ところが、その2年後、2002年のシャトー・ディケムのブドウ収穫期を見せるニュースに登場していたときは、もうワインづくりには口出しできない状態になっていることを思わせる表情を見せていました。

その2002年10月12日のニュース(Les vendanges au Château d'Yquem)でブドウ収穫風景を見せているのは、こちらの画面です

あれっと思ってしまいました。同じシャトーの畑なのに、収穫されているブドウが2000年のとは全く違うのです!



このページの上の方で入れたWikipediaの画像で、貴腐が始まったか、始まらないかという時期のブドウと全く同じ状態ではないですか?!
※ それを画面スクロールしないで見ていただくには、こちらをクリックしてください

シャトー・ディケムは、どうしてしまったのだろう?...

他のソーテルヌ生産者のブドウ収穫風景を見せる動画を見ても、やはり赤ブドウになったようなブドウを収穫しているのですから、とても奇妙。

2002年の収穫が特殊だったのかな? テレビ局がソーテルヌにはしないブドウを収穫しているのを撮影してしまったのだろうか?

ほかの年のブドウ収穫を見せる動画を探してみました。


シャトー・ディケム: 2009年の収穫

2009年の収穫風景がYouTubeに入っていました:
Château d'Yquem 2009: des cueillettes d'une extrême noblesse

2002年ほどではないけれど、やはり実は、白ブドウという感じのが入っている割合は少なくなっていますね。2000年の収穫のときには菌が舞い上がっていたのですが、ほんの少し舞い上がっているだけ。



この画像を入れて、はたと気がつきました。収穫で使っている木製のカゴが違う!

ドキュメンタリー『イケムの四季』では、シャトーでは特殊なカゴを使っているのだという説明があったのです。そのときの画像が、こちら:


⇒ 収穫かごにロウを塗っていたのは、この場面です

木は一番軽い木を使い(カゴが重いと収穫する人が疲れるからでしょう)、毎年、こうやって継ぎ目のところにロウを塗っていると説明していました。貴重なブドウの汁を逃さないためなのだそうです。ロウというのは、ボトルの口を昔風に封をする時に使うのと同じではないかと思います。

それが、2009年の収穫風景に出てくるカゴにはないのです。そんなに熟してからは収穫しないことにしたので、この手間と費用は節約することにしたのかな?...


シャトー・ディケム: 2010年の収穫

2010年のシャトー・ディケムの収穫風景を見せるニュースもYouTubeに入っていました。

こういうブドウを収穫しています:



やはり、2002年のブドウ収穫を見せるニュースのときが特殊だったように思います。ひょっとして、シャトー・ディケムの収穫を始める前に辛口白ワインの収穫をするイグレック・ディケムというセカンドワインの収穫風景を録画していたのではないかと思ってしまう。でも、地元のテレビ局の番組だったので、取材を間違えるということはないと思うのですけど。

でも、この2010年の収穫でも、菌が舞い上がるほどにはなっていないし、色づいていないブドウもかなり入っていますね...。

このテレビニュースも、少し奇妙なものでした。老齢年金受給者たちがシャトー・ディケムでご機嫌よくブドウの収穫の仕事をしているのを見せるニュースでした。

この年、シャトー・ディケムではブドウ収穫者が180人いて、そのうちの11%が高齢者だったと言っています。ブドウ収穫をしたいという高齢者は増えているけれど、シャトー・ディケムではブドウ収穫に来る人たちの75%は常連さんたちなので、高齢者が雇ってもらえる可能性は低いのだとか。

日本だったら、何でもないニュースのはず。日本人は体験するのが好きだし、高齢者たちも働き続けたがるのが普通です。でも、フランスでは、老齢年金を受給できるようになったら毎日バカンスの生活をしたいというのが普通なのです。

ところが、最近のフランスでは社会保障制度の財源が苦しくなったために改革が進んでいて、今までのように老齢年金だけで悠々と暮らすことが難しくなりました。

ブドウの収穫というのは、若い人がやっても辛い労働なのです。フランス的な感覚で見ると、高齢者にこういう仕事をさせるのは酷ではないかと思ってしまう。最低賃金しか支払わない仕事なので、働き手を確保するのが難しいのです。それで、普通では屋とってもらえない高齢者たちを利用しているのではないかと思ってしまう...。

ニュースでは、ブドウの収穫をしている人たちに、なぜやっているのかとインタビューしています。はっきりとお金を稼ぐためと言っている人もいるし、家に引っ込んでいないで人と会えるのが嬉しいから、という人もいます。一人は「楽しみのため」と答えていますが、インタビューをした人が「本当に?」という顔をしたらしくて、「本当ですよ。本当に楽しくてやっているのだ」なんて答えている!

日本だったら、シャトー・ディケムのブドウ収穫をさせてもらえるなら大金を払う、と言う人がいくらでもいるのではないでしょうか? そして、させてもらえるなら、丁寧にブドウの房をとっていくはず。

でも、この動画に出てくる高齢者たちは、楽しんでやっているとは、私には見えませんでした。フランスも貧富の差が広がっているのだよな... と、私を寂しい思いをさせた動画を入れておきます:


Des retraités font les vendanges en Gironde


そんな感傷にふけっていたら、前に進めない。私は貴腐ワインについて書いていたのですから、そちらに話題を戻します!


ソーテルヌを作っている他のドメーヌでのブドウ収穫風景

私の関心事は、どのくらいの貴腐状態でブドウを収穫するかという点です。

ソーテルヌの他のドメインのブドウはどんなかと探してみたら、2013年のミレジムを収穫している風景を見せるニュースが出てきました。


Vendanges 2013 à Sauternes et en liquoreux

9月27日から10月末まで収穫していると言っています。かなり貴腐が進んだ状態のブドウを収穫していますよね。


貴腐状態と、そうでない状態のブドウの違い

それにしても、シャトー・ディケムの2002年に収穫していたブドウは貴腐状態に見ない。

ソーテルヌにする貴腐状態になったブドウと、その前の状態がどう違うのかを見せてくれている動画を見つけました♪

ブドウをつぶしてみると、全然違う。まだ菌が付いていない状態の黄色いブドウは、つぶすと実と汁がでてきます。貴腐状態のだと、ほとんど汁なんかでない。

だとしたら、収穫カゴの継ぎ目にロウを塗って1滴も汁を逃さないようにしようという工夫が理解できます。

下に動画を入れますが、ブドウの状態の違いをデモンストレーションしている画面だけ見るには、こちらをクリックしてください


Les rendez-vous pédagogiques de Millésima: presser le botrytis cinerea

2011年のミレジムの収穫風景でした。

このシャトーでは、水圧を利用した伝統的なプレス機を使っていて、それでないとうまく絞れないのだと説明しています。

ドキュメンタリー『イケムの四季』でも、こういう伝統的なプレス機が登場していましたね。かなり遅く収穫した年の思い出話しが語られていました。霜が降りてブドウが堅くなってしまっていたので、普通よりずっと時間をかけて絞らないと、圧縮機が壊れてしまうのだという話しでしたね。

この動画に登場しているドメーヌは、ソーテルヌの1級を1855年に獲得しているChâteau Lafaurie-Peyraguey (シャトー・ラフォリー・ペラゲー)でした。

かなり真面目にソーテルヌを作っているドメーヌではないかと思いました。

それなのに、かなりお安い。

ここのところ、万単位。しかも、10万とか、100万とかいう金額で売られているワインばかり見てきたので、そう思ってしまったわけですけど。

ボトルの画像をお借りした右のショップではドメーヌについて説明していませんが、輸入もとが少し説明していました:
シャトーについての日本語情報


◆ ボルドーの甘口ワイン サント・クロワ・デュ・モン

伝統を守って貴腐ワインを作っていたら、手間ばかりかかるし、たくさん絞れないので、収益性が低い。

高く売れない貴腐ワインはどうするのだろう?

ソーテルヌ村に近いところで、AOCサント・クロワ・デュ・モン(Sainte Croix du Mont)の甘口ワインとなるブドウを収穫している動画がありました。

貴腐の状態は少なくて、シャトー・イケムの2002年の映像に似ていると思いました。


Reportage France 3 : vendanges 2014 à Sainte Croix du Mont


AOCサント・クロワ・デュ・モンは、地域としてはボルドーの中でアントル・ドゥー・メールに入るようです。

こちらは、AOCソーテルヌよりかなり安く売られると、上に入れた動画の中で言っています。

探し出してみたら(右のワイン)、日本での売値も私でも手が出るお値段ですね。



気に入った甘口白ワインはモンバジヤック

貴腐ワインを作るのは本当に難しいのだろうと思います。

消費者としては、良いのと悪いのとの差も大きいと思う。フォアグラにはやはりソーテルヌと思って飲むと、これなら普通の辛口白ワインで食べた方が良いと思ったことが何度もあります。

甘口白ワインの中で私が気に入ったのは、Monbazillacモンバジヤック)というAOCのアペラシオンでした。

フランス南西部のペリゴール地方を旅行したとき、地元のワインだからとワイン農家に行って試飲してみたら、非常に美味しかったのです。

その後、同じ地方に旅行する友達がいたので、ドメーヌの住所と名前を教えて買ってきてくれるように頼んだのですが、違うワイン農家に行ったといって、違うワインを買ってきてくれてしまいました。味はずっと落ちる。なので、モンバジヤックと言っても色々あるのだろうと思います。

気に入ったドメーヌの名前は忘れてしまったのですが、ここだったのではないかなという風景が出てきました。


Vendanges 2014 à Monbazillac

モンバジヤックといっても、お高いのもあるようです。

右に入れたのは、高く評価されているらしいドメーヌのモンバジヤック。

ソーテルヌ並みのお値段ですね...。

私が気に入ったのは、これではないことは確か。1ダースくらい買って帰ったのですから。

モンバジヤックを楽天市場で検索





日本にいるときくらいしか買わなくなっているボルドーワイン。
長々と書いてきたのですが、ここでボルドーとはお別れにして、別の話題に移ります。

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その31

 

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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/19
ワインについて書いていたら、偶然に出会ったボルドーのシャトー・ディケムChâteau d'Yquem)。

フランス甘口ワインの最高峰と言われるワインを作っていて、その歴史は400年になるシャトー。

そのワインづくりを200年余りにわたってを担ってきたド・リュル・サリュース家は、20世紀が終わろうとするとき、ブランド帝国を築き上げたLVMHのCEOベルナール・アルノー氏に経営権を奪われました。

古き時代の最後のシャトー管理人となったのは、アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵(Alexandre de Lur Saluces、1934年~)。

その彼が、シャトー・ディケムのワインづくりの倫理を語るドキュメンタリー映画を見たことを前回に書きました:
シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像

昔風のやり方をしていた伯爵が立ち去った後、シャトー・ディケムにはどんな変革がもたらされているかを調べたくなりました。


シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その29



シャトー・ディケムの新しい経営者は、高級ブランドの帝国を築いた実業家

ベルナール・アルノー氏(Bernard Arnault, 1949年~)が経済界に華々しくデビューしたのは、1984年のクリスチャン・ディオールの買収。そのやり方は巧妙なものでした。その3年後、彼はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の買収にも成功。次々と有名ブランドを傘下に収めてきました。

アルノー氏がいかにして経済界を築いたか、生い立ちから、その冷血な手口まで検証したルポルタージュがYouTubeに入っています。『Bernard Arnault, l'homme qui valait 30 milliards(ベルナール・アルノー、300億ユーロの男)』と題されたもの。

ここにYouTubeの動画を挿入する気はしないので(お金儲けのテーマは好きではないのです)、最後の「外部リンク」に入れています(のマーク)。1時間半の長さがある動画で、2014年に放映されたテレビ番組だと思います

こういうテレビ番組は日本では作れないでしょうね。コマーシャル代が入らなくなってしまうから、テレビ局としては避けるはずです。しかも、こんな暴きの番組に彼が登場してインタビューを受けているのにも驚き。皆から嫌われれば話題になって、それが宣伝になるし、どうせ何を言われても彼の絶対的な地位は揺るがない、という自信もあったのでしょう。


アルノー氏はフランスで最も金持ちと言われるのですが、雑誌フォーブスの2016年度世界長者番付では、フランスでは第2位、世界では第14位としていました。彼の資産は340億ドルで、ビル・ゲイツの半分より少し欠けるという感じ。

ちなみに、フォーブスがフランス第1位にしているのはリリアンヌ・ベタンクール。彼女は化粧品会社のロレアルの資産を持っていることで大金持ちなので、やはりフランスはブランドの国でしょうか? 私が彼女の名前を覚えたのは、サルコジ前大統領が、高齢で痴呆状態の彼女から選挙資金のためのお金を巻き上げたというスキャンダルがあって、連日のように彼女の姿をテレビで見たときでした。

私が勤めていたフランス企業を乗っ取ったのもアルノー氏でした。もの静かだった社長は去っていきました。アメリカ的なビジネスをするアルノー氏は怖い人だと思い、フランスも時代のページがめくられた、と感じたのを思い出します。シャトー・ディケムの交代劇を見たら、その当時がよみがえってきたから興味を持ったのかもしれません。


 ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る


シャトー・ディケムは、経営者が変わったことで何が変わったの?

シャトー・ディケムの責任者だったド・リュル・サリュース伯爵が立ち去り、2004年にはアルノー氏の全面的信頼を得ているピエール・リュルトン(Pierre Lurton)氏がシャトーの責任者となりました。彼は、ボルドーの高級ワイン「シャトー・シュヴァル・ブラン」の運営責任者の任もアルノー氏から任されています。

シャトー・ディケムでワインの品質を管理するMaître de chaiと呼ばれる酒蔵支配人だった女性は残っているようなのですが、ワインの味は以前と同じなのでしょうか?

最近のフランスでは人気が落ちている甘口ワインを作っているシャトー・ディケム。しかも、こんなに手間がかかるのに比例した採算がとれないワインづくりをしていたドメーヌから、どうやって戦術を展開して利益をあげようとしているのか、気になるではありませんか?...

シャトーの経営権を奪った投資家のアルノー氏は、ブランド品というステータスを活かして利益を生む才能は卓越した人物です。ブランドを買収した翌年には、その企業の収益を10倍にするようなこともやり遂げるのですから。

ハンドバックを作るなら、人件費がフランスとは比較にならないほど安い東欧に工場を移して、そこで作らせた部品をフランスで組み立てて「メイド・イン・フランス」として売ることができます。

でも、AOCワインには厳しい規定が課せられていますから、同じことはできません。政府公認の食品品質保証のAOCでは、まず第一に生産地と、そこで行われていた伝統的な生産方法を守ることが義務付けられているのですから。

ボルドーワインには全く興味がない私なのですが、ブルゴーニュのドメーヌも買収することは既にアルノー氏の計画に入っているでしょうから、他人事とは思えない...。

ブルゴーニュに手を出すなら、ロマネ・コンティがアルノー氏に狙われている、というのは誰もが思うことでしょうね。ロマネ・コンティの経営者であるド・ヴィレーヌ氏も、当然ながらインタビューされています。

1870年頃にフィロキセラ禍がやってきてからの百年間、ロマネ・コンティのドメーヌとしては一銭も利益がでなかった。歴史あるブドウ畑を守るという使命感だけのために働かなければならないような事業に投資家が手を出すとは考えられない、とおっしゃっていたのですけど...。

ベルナール・アルノー氏がブランド・ビジネスを成功させるために必要な特質として挙げているのは、① タイムレス、② モダン、③ 急成長、④ 高収益だとしている人がいました。彼はそれにコミュニケーション、人脈も加えている感じが私はしますけれど。


イケムの古城は現代風になった?

ド・リュル・サリュース伯爵は、400年続いていたシャトーの伝統を守ることだけに使命を感じていたようです。30年余りの在任中に土地を10ヘクタール広げましたが、それはドメーヌで働くトラクターが迂回しなくて良いようにという目的だけだったのだそう。

現代的なものがお好きでもありませんでした。シャトー・ディケムの城とブドウ畑を眺める景色には、電信柱が1本も見えないし、コンクリートも全く見えなかったそうです。駐車場も、丘のカーブで隠れる場所に作っている。ソーテルヌの村からシャトーまで、シャトー・ディケムの場所を示す看板も1つもたてないという徹底ぶり。ワイン樽の貯蔵庫のスペースを増やしたときも、地下にセラーを作っていました。

ところが、新しい経営者は現代的なものがお好きです。アルノー氏が手に入れたシャトー・シュヴァル・ブランでは、度肝を抜くようなコンクリートづくりのワイナリーを作って話題になっていることを書いていました:
白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01

ボルドーでは、斬新奇抜な醸造所を有名建築家につくらせるのが流行っています:
ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行 2016/03/03


シャトー・ディケムは16世紀から18世紀に建てられた古城。でも、新しいオーナーは建築家にデザインさせた醸造所を作っているのではないかという気がしました。

探してみたら、こんな画像がニュースに入っていました。


Château d’Yquem ne commercialisera pas le millésime 2012 - La Revue du vin de France

やっぱり派手にしたみたい。
でも、さすがに、突拍子もない現代建築を城の敷地に建ててはいないように見えました。


存在しないミレジムを作る伝統は?

シャトー・ディケムでは、満足できるワインにならなかったときは市販しない。それで存在しないミレジムがあるので、ソムリエ試験ではよく出る問題なのだと聞いたことがあります。

1年間働いたのに、収穫物を売らなかったら膨大な損害になる。実業家の手に渡ってからはミレジムなしの年はなくなるのではないかと思ったのですが、2012年は市販しなかったそうです。とすると、以前と変わらないこだわりのワインを作り続けているということになりますか?

シャトー・ディケムに存在しないミレジムは、次のものだそうです:
1910、1915、1930、19511952、19641972、197419922012

偶然なのでしょうけれど、20世紀後半から、20年おきにミレジムがない年になっている!...

2012年のミレジムを世に出さなかったのは、収穫量がとても少なくて、収穫したブドウも満足できるものではなかったから、とイケム側では説明していました。地元では、親しいネゴシアンに流して、イケムの名を付けないワインになった、という噂も流れているそうですが。

※ シャトー・ディケムの当たり年も出てきたので、メモしておきます:
1825 1847 1865 1870 1893 1904 1921 1937 1947 1959 1967 1983 1986 1988 1990 1997 2001



シャトー・ディケムのラベルが変わった

王冠のマークの下に「Château d'Yquem(シャトー・ディケム)」と書いてあるのは、全て同じ。違うのは、その下にある部分です。


Château d’Yquem s’affranchit de l’appellation Sauternes

左側のラベルでは、シャトーの持ち主だった伯爵家の名前から、貴族の称号である「de」を除いて「Lur Saluces」。経営者がこの一族ではなくなったので、2001年にそれを削除したラベルにした。

前回の日記「シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像」に入れたルポルタージュでブドウの収穫を見せていた2000年が、伯爵の名前を入れた最後のミレジムになったわけでした。

でも、リュル・サリュースの文字を無くしてしまうと下に空白ができて間が抜けてしまうので「Sauternes(ソーテルヌ)」の文字を入れたのだそうです。

2011年からは、シャトー・ディケムとミレジムしか見えないデザインにされました。ソーテルヌの文字が全く消えたのです。ボトルの裏側には書いてあるそうですが。

それまでは、メインのラベルの下に別のラベルがあり、そこにはソーテルヌと書かれています。これはド・リュル・サリュース伯爵がさせたものだったそうです。法律が厳しくなってきているので、イケムのボトルの正面にワインの容量が表記されていないのは問題が発生する恐れがある、と考えたからだそうです。

シャトー・ディケムのラベルは19世紀から変わっていなかったのだそう。当時は、こんな感じのラベルだったのだろうと思います。

シャトー・ディケム[1948]白  02P21Jul09

シャトー・ディケム[1948]白  02P21Jul09
価格:298,000円(税込、送料込)


2011年には、やたらにすっきりしたラベルになったわけです。ワイン専門家は、ソーテルヌの文字を見えにくくしたのは戦略だと捉えていました。甘いワインの売れ行きが落ちているのです。それで、店に並べるときには、ソーテルヌとしないでおいた方が客の目に止まるだろうというわけ。

もちろん、ソーテルヌという名前でワインを作っている人たちは、ソーテルヌをステータスの高いものにしていてくれたイケムがソーテルヌの表記を無くしてしまったことは面白くは思っていないようでした。


セカンドワインのYイグレック)」を毎年売ることにした

シャトー・ディケムでは、「Y d'Yquem (イグレック・ディケム)」というワインも作っていました。

収穫されるブドウはシャトー・ディケムと同じ畑で生産されます。でも、これは甘口ワインのAOCソーテルヌではなくて、AOCボルドー白を獲得しているアペラシオンなのだそう。

2012年のミレジムは、シャトー・ディケムとしては世にでなかったのですが、こちら「Y(イグレック)」の方は販売されていました。

イグレック(Y)は1959年に登場し、貴腐ワインの収穫が終わってから収穫していたのですが、条件が合わなければ生産しないので、30のミレジムしか生産しておらず、しかも生産量は非常に少なかったとのこと。

1996年からは、シャトー・ディケムの収穫前、貴腐が付き始めた時期に収穫するようになりました。

LVMHがシャトー・ディケムの経営権を獲得し、リュルトン氏がドメーヌの管理責任者となった2004年からは、Yを毎年作るようになったとのこと。

貴腐ワインのシャトー・ディケムはセミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%で作られるとのことですが、Yの方もセパージュは同じ。

甘口と辛口の中間的なお味なのだそう。もう1つの特徴は、シャトー・ディケムよりお安いこと。と言っても、お高いですけどね...。


こちらの方もラベルのデザインを変えていました。

2010年(左)と1985年(右)のミレジムの画像をお借りします。




2014年
ずいぶんデザインをすっきりさせてしまったのですね。

もちろん、このワインでもシャトーの持ち主だった「リュル・サリュース」の文字は消しています。

色も金色からグレーにしているので、高級感が薄れませんか?

上に入れた1985年のは「ボルドー・シューペリエール」、2010年のミレジムでは「ボルドー・ブラン」と、ミレジムの下に書かれているのですが、2012年のではボルドーワインだということさえ表示されていません。

この3種類を並べて置いたら、だんだんワインのランクが下がってきたみたいに見えてしまう。

「シューペリエール(supérieur)」というのは、英語にしたらupperなので、私はそう思ってしまうわけなのですが、理由がありました。

☆ Yahoo知恵袋: ボルドーACのボルドーとボルドーシュペリウールの違いを教えてください
AOCボルドー・シュペリエールは、アルコール度数が赤は10.5%以上、白は11.5%以上とAOCボルドーより高く設定されており、さらにブドウの収穫量がボルドーより少ないこと(ブドウの実の間引きをする分、糖度を上げる)、熟成期間が長いという規程がな定められています。


1996年からY用のブドウを早く収穫するようになったので、「ボルドー・シューペリエール」として販売することはできなくなっていたのでした。

その後、新しい経営者はAOCボルドーの白という文字も消えたわけですが、まさかその基準さえクリアーしないワインになったということではないでしょうね。

最近は甘口ワインが売れなくなっているので、Yに力を入れるようにしたのでしょうね。それでも、生産量は、貴腐ワインの方は年に最大12万本のボトルを作れるのに対して、Yの方は1万本に制限しているようです。

シャトー・ディケム社長のリュルトン氏は、今のところはYの生産量を増やすつもりは今のところはなく、知名度を上げることに力を入れている、と話していました。それはそうでしょうね。ただ「Y」とだけ書かれていたら、フランスワインなのかどうかだって分からないわけですから。

Yは、シャトー・ディケムと辛口ワインの中間的な存在なのだそう。少し甘いワインって、どんなのだろう?  ヴァンダンジュ・タルディヴというのとも違うのだろうと思うのですけれど。

このワインを扱っているショップが詳しく説明しているのでリンクしておきます:
☆ エノテカ・オンライン:  Y YGREC(Y イグレック)
icon


隠し子も作った?!

シャトー・ディケムのボトルの画像をネットショップで探していたら、奇妙なワインを見つけました。

ソーテルヌ[2009]

ソーテルヌ[2009]
価格:6,048円(税込、送料別)


この画像だけ見れば、なんのことはないワイン。「ソーテルヌ」と大きく書かれた文字の下を読めば、正真正銘のAOCソーテルヌだと分かります。でも、その下には、生産者の名前がありません。でも、シャトー・ディケムもそうなったのだから、違和感はそれほどない。

でも、扱っているショップの書き方が奇妙なのですよ~!

このショップでは、このワインが何というドメーヌで作られたのかかをぼかしています:  秘密のデ●ケム格落とし「ソーテルヌ」

「デ●ケム」って、ディケムのこと? と思わせるではありませんか? 怪しげ...。

[2009] ソーテルヌ 750ml 1本 Sauternes

[2009] ソーテルヌ 750ml 1本 Sauternes
価格:6,458円(税込、送料別)

幾つかのショップが、この商品を扱っていました。

中にはシャトー・ディケムの名前を出しているショップもあります。

それはそうでしょうね。

普通のソーテルヌより高い値段で売るのですから、シャトーの名前を出さないと買ってもらえないはずです。

右に入れたショップでは、店長ブログがあって、どこのドメーヌであるかを明記しています。
【シャトーディケムのセカンド的な存在? ソーテルヌ 2010入荷】


【シャトーディケムのセカンド的な存在? ソーテルヌ 2010入荷】|Wine Cellar KATSUDA Blog - 店長の部屋Plus+


それにしても奇妙なのです。

ショップのサイトに入っている写真で画像検索をすると、フランスのサイトでは全く出てこないのです。日本でだけ売っているのかな。シャトー・ディケムから出たワインだというのは本当なのだろうか?...

そんなことまで詮索するのは止めようと思ったとき、シャトー・ディケムの社長であるリュルトン氏のインタビュー記事が出てきて、そういうワインを市場に出しているというのが事実なのだと分かりました。2012年のミレジムが世に出ないことになったときのワイン雑誌の取材。

2012年のミレジムは市販されないことにしたけれど、セラーにはボトルで1万本くらいになるワインが樽詰めされていたらしい。もしも、ジェネリックとして問題がない品質なら、ネゴシアン(ワイン仲買人)に樽ごと売るのだそう。仲買人がボトル詰めして販売することになるけれど、シャトーの名前を付けないことを条件しているそうです。

ということは、日本のネットショップが思わせぶりな書き方をして売っていたのは、そういうワインだったのかもしれません。

新しいオーナーになる前でも、シャトー・ディケムが不合格にしたワインを捨ててしまったとは思えません。フランスのワイン通らしき人たちが書き込んでいるサイトでは、そういうワインはどうするのだろうかというのが2010年に話題になっていて、LVMHの写真に12から15ユーロで販売している、と書いている人がいました。

LVMHが経営するようになったら、シャトーの名前は出さないのを条件にネゴシアン売ることにしたのかどうかは分かりませんでした。

でも、シャトーの名前を入れないとはいえ、ジェネリックを市場に出すのは危険が出てきませんか?...


ボルドーワインには、先物取引の伝統がある

存在しないはずの「シャトー・ディケム 2012」を販売しているネットショップがあるとして、2013年にフランスのサイトで話題になっていました。


⇒ 大きな画像はこちら

ラベルにはミレジムが入っていなくて、価格は近日中に発表、2015年6月発送と書いてあります。使われているラベルの画像は、シャトー・ディケムの運営がLVMHになる前のデザインで、ラベルには「Lur Saluces」の文字が入っています。

このワイン販売サイト「1855.com」は経営難から買った人にワインを渡さないという詐欺行為で裁判にかけられ、2015年の始めにサイトは閉鎖されていました。有名なワイナリーの名を使った詐欺は時々ありますね...。

「Primeurs」と書いてあるのが気になりました。どうやら、このサイトは売りに出る前のワインを予約販売している会社のようです。

ここでまた、ボルドーのワインはブルゴーニュとは違うのだ、というのを発見。

ボルドー独特のワインビジネスとして、「vente en primeur」というのがあるのだそうです。primeur(プリムール)という単語はボージョレー・ヌーヴォーで使われているので、新酒の状態で出すのかと思ってしまうではないですか。

このピリムール販売というのは、つまりはワインの先物取引なのでした。収穫した翌年の春ごろに、新酒の状態でワインの仲買人たちに試食させ、予約販売をする。実際に市場に出たとき、それより高い値段がつくようだったら仲買人は儲かるし、その逆だったら損をする、というシステムのようです。

ボルドーワインは、ワインの質がどうのこうろというより、お金儲けになるビジネスという要素が強いのですね。アルノーさんは、やはりブルゴーニュを狙うより、ボルドーでワイナリーを増やした方が良いと思うけどな...。

プリムールに関しては、ボルドーのワインビジネスを扱ったドキュメンタリー映画の中にも出てくるのだそうです。


映画『世界一美しいボルドーの秘密』予告編

話しがそれてしまいますが、この『世界一美しいボルドーの秘密』という映画は、その題名から想像する内容ではないのだそうです。
原題は『Red Obsession』。

この映画のDVDを扱っているアマゾン(世界一美しいボルドーの秘密 [DVD])で内容が紹介されているのですが、ボルドーワインがなぜ美味しいのか知りたい人が見たらがっかりしてしまうはずだ、というようなコメントが入っています。

実際には、中国人がボルドーのワイナリーを買い占めているというのが大きく扱われているらしい。それは昔から聞いていたのですが、最近はもっとエスカレートしているようです。

この映画がリリースされた2013年に、フランスサイトでそれを扱った記事があり、中国人が所有したボルドーのワイナリーをGoogle地図に入れています。シャトーに付いている色分けは、赤が2011年とそれ以前、青が2012年、紫が2013年に中国人によって購入されたことを示しています。


イケムのソーテルヌは、若いうちに飲んでも美味しいですよ~♪

フランス情報を拾って斜め読みにしたのですが、シャトー・ディケムで収益をあげるためのキーポイントは、甘口ワインの人気が下がっていることを打破しようとしているように見えました。

実際、ソーテルヌのワインの価格は15年前の値段まで下がっているという人もいたし、ソーテルヌのブドウ畑の土地の価格も下落していることは少し前にブログで書いていました:
フランスのブドウ畑の市場価値(1991年と2014年の比較) 2016/01/24


シャトー・ディケムでも流行の波には逆らえないらしく、ワインファンや業界の人たちが情報交換しているワイン・フォーラムのサイトでは、ネゴシアンからかなりの割引価格をオファーされたと報告している人もいました。

シャトーとしては、中国市場での売り上げを増やそうとしている様子ですね。

それから、古酒になると素晴らしいという定評があるけれど、若いうちに飲むとフルーティーでとても美味しいのだ、とリュルトン氏は強調しています。邪道ではあるけれど、若いヴィンテージを9度に冷やして飲むと美味しいのだと示したら、テースティングの評判はとても良かったのだ、と話していました。

甘口ワインを長いこと寝かしておいたら、甘味が増えるのかな...。もしそうだとしたら、若いうちに飲むというのを流行させれば、甘口ワインが余り好まれていないというネックを打破することができるでしょうね。

貴腐が付き始めた段階でブドウを収穫するYのワインを毎年販売するようになったのも、辛口ワインをビジネスの大事なラインとして並行させるという経営方針ではないでしょうか?

さらに、シャトーのワインも余り糖度が強くないワインを作るという路線も考えられるのでは?...

そうすると、今までのように百年たっても美味しいワインではなくなるでしょうけれど、たくさん売れれば会社の収益は上がるのだから、何十年も先のことまで心配する必要はない。若いうちに飲みましょうと勧めているのだしから、そのアドバイスに従ってもらえれば良いわけです。

若いうちに飲めるようなワインを作るのは、ブルゴーニュワインでもトレンドになっていると感じています。長期間セラーに寝かせておかなければならないようなワインは、ストックしていると税金がかかるのでレストランが嫌うからだと言う人もいます。昔ながらの伝統を守っているドメーヌだと分かっていないかぎり、ワインは早いうちに飲んでしまうようになりました。昔は安いブルゴーニュワインでも、10年もたったときに飲んで驚くほど美味しかった、というサプライズも楽しめたのですけど。



他にもLVMHになってから何か変わった点があるのではないかと探したわけではないのですが、貴腐ワインというのに興味を持って調べていたら、不思議に思うシャトー・ディケムの収穫風景が出てきました。

それを次回に書いてから、ボルドーワインの話しは終わりにして別の話題に移ろうと思います。
続き: 甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの?

シリーズ記事 【フランスのワイン産地】 目次へ
その29


 

ブログ内リンク:
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
☆ Wikipédia: Liste des milliardaires du monde
Bordeaux, les plus grandes fortunes du vin en 2015
☆ Vitisphere: Le classement 2015 des premiers investisseurs de la filière
 YouTube: [Reportage] Complément d'enquête - Bernard Arnault, L'Homme Qui Valait 30 Milliards [HD]
☆ YouTube: Bernard Arnault, son parcours
Nouvelobs: L'adieu au manager
ベルナール・アルノー、語る
LVMH、不動産会社がなぜブランド帝国に?
ベルギー人になりたかった“金持ちのバカ”

Château d’Yquem s’affranchit de l’appellation Sauternes
Oenographilie: A PROPOS DE L’ETIQUETTE DU CHATEAU D’YQUEM
さらばソーテルヌ。シャトー・ディケムのエチケット変遷

Y s'affranchit de son grand frère Yquem
☆ Wineandco: Y d'Yquem
Dico du vin:  Yquem (château d'Yquem)
Une nouvelle génération d'Y

La Revue du vin de France: Yquem : le vin non commercialisé pourrait être vendu au négoce
Qu'a-t-il à y gagner, puisque c'est une cuvée qui n'est pas commercialisée ?
Vin : succès des ventes sur internet du Château d'Yquem 2012... qui n'existe pas 06/06/2013
Yquem 2012 existe, je l’ai rencontré
Enquête sur une grosse arnaque dans la vente de vin en ligne 02/07/2015

Yquem (château d’Yquem) Premier Cru supérieur (AOC Sauternes, Bordeaux)
Pierre Lurton : " Un Yquem jeune, c'est un plaisir immédiat "
Yquem cultive sa singularité
Yquem ou le retour à la pureté originelle
Le comte de Lur-Saluces s'insurge 07/09/2014

☆ Dico du Vin: Primeur (vente en primeur) Bordeaux
ボルドープリムールとは?
映画『世界一美しいボルドーの秘密』あらすじとネタバレ感想
Quand le rouge devient plus précieux que l’or : Red Obsession, un documentaire avec la voix de Russell Crowe sur la frénésie chinoise pour le vin
Vins de Bordeaux : de plus en plus de châteaux tombent dans l'escarcelle chinoise 04/06/2013


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/16
ここのところボルドーワインについて書いているのですが、たまたまシャトー・ディケムChâteau d'Yquem)というドメーヌに行き当たりました:
「本物」と呼べるシャトーをボルドーで見つけた

シャトー・ディケムは貴腐ワインで、AOCソーテルヌ(Sauternes)の中でも別格の品質の甘口ワインとして知られています。

満足できる品質でない年は、ワインを市場に出さないほどのこだわりがあるドメーヌ。20世紀の百年間に、不合格としてイケムのミレジムが生まれなかったのは9回もありました。

お値段が高いことでも有名。でも、そういうワインが買えるお金持ちの食卓にのぼるより、オークションにかけられる方が多いワインではないか、などと言っている人もいます。

Château d'Yquem

シャトー・ディケムの建物が私好みの古城であることに興味を持って調べていたら、『Les Quatre saisons d'Yquem(イケムの四季)』と題されたドキュメンタリー映画が見つかりました。DVDも販売されていますが、YouTubeで1時間半の映像を見れてしまうので、それを挿入します。

2000年の冬から、ブドウの収穫が終わるまでの時期を追っています。四季によって移り変わる風景は美しいし、この特殊なブドウを栽培しているシャトーでの仕事ぶりとポリシーが伝わってくるので感動的な記録映画でした。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その28


ドキュメンタリー映画『イケムの四季』の背景

シャトー・ディケムのブドウ畑は100ヘクタールほど。平均すると、年間9万本くらいを生産。

シャトー・ディケムの歴史は400年前に遡ると言われます。アキテーヌ公、それからフランス国王に属していたドメーヌがリュル・サリュース家の所有になったのは、Françoise-Joséphine de Sauvage d’YquemとLouis-Amédée de Lur-Salucesの結婚によるもので、それは1785年。

その後200年余り、シャトー・ディケムはリュル・サリュース家のドメーヌでした。ところが、数々の高級ブランドを傘下に持つLVMH - Moët Hennessy Louis VuittonグループのCEOベルナール・アルノー氏がドメーヌの株の買い占めを狙い、1996年に38%の株を持ち、1999年には持ち株の過半数獲得に成功(64%)。シャトー・ディケムの経営権は、リュル・サリュース家からLVMHの手に移りました。

『イケムの四季(Les Quatre saisons d'Yquem)』は2000年に録画されているので、このドキュメンタリーに登場しているのはアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵。彼は、急死した叔父が残していた遺言に従って1968年にシャトー・ディケムの管理人となり、その任務を2003年まで果たしていました。

2004年からは、アルノー氏の全面的信頼を得ているピエール・リュルトン氏がド・リュル・サリュース伯爵に代わってシャトー・イケムの経営を担っています。リュルトン氏は、アルノー氏からシャトー・シュヴァル・ブランの経営も任されている人で、ここのところ度々私のブログにも登場しています。

Les Quatre saisons d'Yquem
(ドキュメンタリー 93分)
監督:
Jean-Paul Jaud

出演:
Jean-Paul Kauffmann
Alexandre de Lur Saluces
Sandrine Garbay
Francis Mayeur
Antoine Depierre
ほか

制作: 2001年

Collection Quatre saisons en France :
Les Quatre saisons d'Yquem

この映画を作ったのは、Jean-Paul Jaud。
彼が2008年に発表した『Nos enfants nous accuseront』は、日本でも話題になったようです。農薬の危険性を訴えるドキュメンタリーで、「私たちの子どもは、私たちに罪があるとして責めるだろう」という意味の題名なのですが、邦題は『未来の食卓』と、なぜか和らげています。

彼は黒澤明監督が大好きだそうなのですが、何か主張のある映画を作ることに情熱を傾けているのではないかという気がします。この『イケムの四季』も、また1つ、フランスの伝統が消える前のレクイエムとしてドキュメンタリーを作っておきたかったのだろうという気がしました。

La Morale d'Yquem伯爵とブドウは畑やセラーを見学しながらインタビューしているのはジャーナリスト作家のジャン=
ポール・コフマン(Jean-Paul Kauffmann)。

彼はアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵と共著で『La Morale d'Yquem(イケムの倫理)』を1999年に出版していました。

コフマン氏がジャーナリストとしてド・リュル・サリュース伯爵から話しを聞くという形で、シャトー・ディケムのこだわりのワインづくり、自然を相手にする仕事であることの哲学などが語られているようです。

シャトー・ディケムを乗っ取ったLVMHのCEOベルナール・アルノー氏との2年間の戦いと、なぜ彼が経営から身を引くことになったかなども書かれているそうです。

この著書がドキュメンタリー制作のきっかけになったのではないかと思います。

ベルナール・アルノー
アレクサンドル・ド・リュル・サリュース


ド・リュル・サリュース伯爵は、シャトー・ディケムが投資家の手に移ることに抵抗したのですが、ついに負けてしまったわけです。

フランスの由緒ある貴族は決して偉ぶったり気取ったりしていなくて、ブルジョワ階級の成金とはひと目見ただけで分かる違いがあります。アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、私がイメージしている貴族の典型に見えました。

伯爵の力では、金銭的な問題では対抗できなかったようです。彼はシャトーの経営を担う栄誉を与えられたものの、シャトー・ディケムの株は、息子と合わせても10%しか持っていなかったのだそう。経営には携わっていなかったけれど、財産として株を持っていた親族が、いま持ち株を手放した方が得だと考えたのに対して、彼は抵抗する力はなかったようです。
2005年の裁判では、親族が分け持った株を分割する権利はなかったという判決が下りたけれど、LVMHが株を獲得してしまったことについてはそのままにされた、という報道もありました。


ド・リュル・サリュース伯爵時代のシャトー・ディケム

1時間半のドキュメンタリー『イケムの四季』です:


Les 4 saisons d'Yquem

録画されたのは2000年。冬景色から、ブドウブドウの収穫が済んだところまで追っていました。

ブドウを収穫し始めたら、雨ばかりの天気になってしまいます。これではワインを作れないと判断されて、ついに木になっている実をバサバサと切り落として捨ててしまうというショッキングな画面が入っています。

シャトーにはお天気を見る専門家もいるのですから、雨が降るのは予め分かっていたはず。でも、ブドウの熟成を待って、収穫は何度にも分けて行うのが伝統のようです。普通のワインなら、雨が降る前にブドウを収穫してしまえば良いのですけれど、最高の貴腐ワインで作るイケムのソーテルヌは特殊...。

シャトー・ディケムでは、実ったブドウの8割が使えれば良い方なのだそう。ブドウの木が1本がワイングラスに1杯できる、と言われます。

収穫が終わって、働いてくれた人たちをねぎらう食事会が映し出されました。以前に収穫に来ていた高齢者たちも招待されています。

1991年のミレジムが出されているのが見えましたが、イケム・ヌーヴォーとも呼べる発酵途中のワインもたくさん出ています。そんなのは市販されないでしょうから、味わえるのはここで働いた人たちの特権でしょうね。

ド・リュル・サリュース伯爵は、フランスでは消えていっているのが私にも見える、昔ながらの経営者タイプのようです。従業員にはイケムのボトルを年に1回プレゼントしたり、ブドウ収穫が続く間には従業員の子どもたちのために近所のケーキ屋さんで焼かせたシュークリームを週末に配達させたり、などというエピソードを書いているニュースもありました。

収穫者たちをねぎらうド・リュル・サリュース伯爵は、「皆さんが愛情をこめて収穫してくださったブドウから作ったワインが世界中の人たちを喜ばせている」と言っています。

こういう昔ながらの気質を持った経営者がいるドメーヌだったら、皆しっかり働くでしょうね。映像に移っていた畑で働く人たちも、口笛を吹いたりして、明るく仕事をしているのが印象的でした。

優れたワインはチームワークが作り出す、と言っていた伯爵。それを築き上げたのにシャトーを退くのはつらかっただろうな... などと身につまされました。しかも、先祖代々400年も続いていたドメーヌを乗っ取られた相手は、お金儲けしか考えない実業家なのですから...。


2000年のシャトー・ディケムを飲んでみたい

2000年のミレジムができる1年を追ったドキュメンタリーだったので、そのときに作られたワインを探してみました。

こだわりのワインづくりについて記述しているショップがあったのでリンクしておきます:

ここにリンクした2000年のイケムは、他のショップでは倍額くらいで売っているので間違いではないかと思ってしまう。フランスでも6万円くらいでも売っていますから。

それでも、私には手が出ないお値段です。どなたかお飲みになる方があったら、このドキュメンタリーをご覧になって欲しいな...。

シャトー・ディケム 2000年を楽天市場で検索


シャトー・ディケムのワインは、1度だけ飲んだような気がしたので、思い出してみました。

飲んだわけではなかった! ワインセラーの掃除をした友達が、こんなのがあると言って見せてくれたのです。そのボトルを庭に出して記念撮影したのが写真アルバムに入っていました。



「いつか一緒に飲もうね」と言われていたのだけれど、私はすっかり忘れていました。友達夫妻も忘れていてくれると良いのだけど...。

ミレジムは1998年でした。当たり年ではないような...。

この次に会ったら、「シャトー・ディケムのとても良いドキュメンタリーがYouTubeで見れるよ」と言って話しをしてみよう。そうしたら、一緒に飲もうということになったりして...。

でも、この写真を撮っていたのは12年も前のことだったので、もう飲んでしまったかな?... 飲んでしまったと言われても、がっかりしないことにしようと思います。この友達はファッションでもブランド物が好きな人で、ワインも有名なアペラシオンが好きで色々買っているのですが、なぜか名前負けしているワインばかり飲まされたような気がするのです。


シャトー・ド・ファルグのソーテルヌ


シャトー・ディケムを去った伯爵は、同じくソーテルヌを作っているChâteau de Fargues(シャトー・ド・ファルグ)の経営に携わっているとのこと。

こちらは今も一族が所有している城で、伯爵はイケムで経営者になったのと同じ1968年からお仕事していらっしゃいました。

こちらの城は、ほとんど廃墟。ドキュメンタリーの中でもちらりと映っていました。

Château de Fargues (Gironde)

ドキュメンタリーの中では、こんな状態になってしまった城を修復する資金がないと伯爵はおっしゃっていましたが、修復工事が進んでいるという最近の動画もでてきました。

日本の旧家も同じでしょうが、ご先祖様が残したものを守り続けるのが跡継ぎの任務なのですよね...。


私はブルゴーニュワインばかり飲んでいます。個人的には全く興味を持っていないボルドーワインについて書くのは、これで終わりにしようと思っていました。それなのに、考え方が180度違う人が経営者になったシャトー・ディケムがどうなったのか気になって、調べてしまったので続きを書きます。

とりあえず、2002年のシャトー・ディケムのブドウ収穫を見せるニュース番組の映像があったので入れます。


Les vendanges au Château d'Yquem

ブドウは、ドキュメンタリーの映像で見たように、粉が舞い上がるほどの貴腐状態にはなっていません。乗っ取られてしまったド・リュル・サリュース伯爵も、シャトーを去る前年のニュースなので登場していますが、そっくりさんではないかと疑ってしまうほど私には別人に見えるので奇妙...。

このニュースだけ見れば、違和感は全くなかったでしょうけれど...。



シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その28

シャトー・ディケムと貴腐ワインに関して:
前の記事:
「本物」と呼べるシャトーをボルドーで見つけた 2016/05/10

続きの記事:
シャトー・ディケムのワインで、新しい経営者は何を変えたのか 2016/03/19
甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの? 2016/03/20

 

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フランス貴族の見分け方 2007/09/25
フランス貴族は気取らない 2005/07/13

外部リンク:
Amazon: Collection Quatre saisons en France : Les Quatre saisons d'Yquem
Lur-Saluces (château d’Yquem) Bordeaux
 Libération: Le coeur a ses raisins. 05/11/1999
Libération: Guerre des frères au château YquemLe comte Alexandre de Lur Saluces porte plainte contre le rachat par LVMH. 24/12/1996
Même chez Yquem, les minoritaires arrivent à faire la loi 19/12/1996
Un fleuron du bordelais passe sous le contrôle de LVMH  21/04/1999
Château d'Yquem : disparition d'Eugène de Lur Saluces 07/12/2011
☆ Alexandre de Lur Saluces et Aubert de Villaine: un entêtement de civilisation(2012年): 1/3 2/3 3/3
Le comte Alexandre dans son village (UZA - 40)
オフィシャルサイト: Château d'Yquem
Dico du vin:  Yquem (château d'Yquem)
Figaro vin: Château d'Yquem
Wikipédia: Château d'Yquem
iDealwine: Informations sur Château d'Yquem


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/10
「本物」と言っても、建築物として「本物」と思える城(シャトー)のことです。

ボルドーのドメーヌは「シャトー」と呼ばれていることに私は違和感を感じています。建物の画像を見ていると、私の感覚では「château(城)」と呼ぶより、「manoir(館)」と呼んだ方がふさわしいと思える建物物ばかり...。

19世紀に建てられたものもありますが、私は19世紀に建築された城は「本物」とは思えないのです。建築技術が発達していますから、見た目は立派ではあります。でも、何か違う...。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その27


何を持ってシャトーと呼ぶか?

シャトー・ホテルでも、普通の家よりは大きな家だったりする程度のも見ています。昔はお城があって、それを壊して大きな館を建てたときも、昔の名残りで「城」と呼ぶこともある。

商売をする上では「城」という名前を付けていた方が高級感があって良いわけで、ある程度のお屋敷ならシャトーと呼んでも誇大広告にはならないようです。

でも、フランスにはお金を払って見学する価値があるシャトーだけでも5万くらいはあるのですから、歴史的価値がない建物をシャトーと呼んで欲しくないと思ってしまう。

かねがね気になっていたことなので、この際、「château(シャトー)」の定義を仏仏辞典で調べてみました。
  1. 諸侯ないし王室の住居
  2. 田舎の大きくて美しい大邸宅
  3. 昔には、堀や外壁や塔によって要塞の役目を果たした屋敷
  4. Cを大文字で表記すると、ボルドーのグラン・クリュを意味する

私は、歴史的に城の役割を果たしていた城を「シャトー」と呼びたいようです。

Château de Tanlay

ボルドーは、シャトー = ドメーヌと思わなければいけない。ブルゴーニュでは「ドメーヌ(domaine)」で、シャンパーニュでは「メゾン(maison)」という呼ぶ具合。

辞書にはグラン・クリュがシャトーだとあったのですが、グラン・クリュでなくてもシャトーと名付けているところがあるのではないですか?...


ここのところ、ボルドーのワイナリーについて調べていたのですが、すごいお城の画像に行き当たりました。
これは、まぎれもなくシャトーと呼ぶに相応しい建物!

Château d'Yquem


シャトー・イケムChâteau d'Yquemは歴史的価値がある城

あら、まあ、すごい! と驚いたのが、この映像でした。


英語版: Chateau d'Yquem 's Wines - Bordeaux - Millesima 

かの有名なシャトー・ディケムChâteau d'Yquem)でした。



イケムの管理人、リュルトン氏

でも、この動画の冒頭で、またあの人が出てきたのでギャフン。

先日シャトー・シュヴァル・ブランのことを書いて以来、情報検索すると、関係ないものにまで彼が登場するので、何度も見るはめになっているので、いささかうんざりしてくる...:
白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01

シュヴァル・ブランとイケムのドメーヌの支配人を兼ねているピエール・リュルトンさんです。フランスの高級ブランドを次々と買収しているベルナール・アルノー氏の全面的信頼を得ていると言われる寵児。

この方を初めて見たときから、デジャヴュを感じるので奇妙なのです。人も羨むような良いポジションにいるのに、なんだか幸せそうに見えない表情が不思議。上司には絶対服従で、自分より立場が弱い人には見下した態度をとる人のイメージかな?... 人間の弱い面を見せられるようで、私は非常に傷ついてしまう...。

またまた動画に登場されたので、この人を見た私が誰を連想しているのかと考えてしまいました。私が勤めた職場にはいなかったような...。でも、頻繁に会っていた人のような気がする...。

ようやく、あの人ではないかと思い浮かびました。日本人なのですけど。

リュルトン氏は、アルノー氏からフランスの高級ワインで伝説の人のようになる役割を担わされているのだろうと思います。ワインの世界においては名門の出のようです。リュルトン一族はボルドーの25のドメーヌを持っていて、そのブドウ畑の総面積は1,600ヘクタールなのだそう。

「ボルドーにあの人あり」と言われるようなカリスマ的な資質には欠けるように感じるのですけど...。でも、イケムのワインの話しをしているこの動画では、ほんのりと笑顔を見せています。やはり、コンクリートでワインを作るのを宣伝するより、伝統的に作られているワインの話しをする方が居心地が良いのではないかな...。

リュルトン氏は、ご自身のシャトーもお持ちでした。

Château Marjosse(シャトー・マルジョス)というドメーヌ。

「シュヴァル・ブランとイケムで行われている優れたワインの作り方をしています」とか宣伝して、日本では高く売っているのではないかと思ったのですが、むしろフランスワインとしては安い方ですね。よほど質が悪いのかな...。

マルジョスとはどんなお城なのかと検索したら、またまたリュルトン氏がインタビューに答えている動画にぶつかってしまいました。

ジュバル・ブランとイケムの仕事は、「良い父親であるため」にして請け負っていて、自分のドメーヌでのワインづくりは純粋な趣味でやっているとおっしゃりたいらしい。
※ またまた、ひとり言   クリックして開く/閉じる

彼の顔を見た私が誰を思い浮かべていたかが分かってすっきりしたので、このシャトー・ディケムの建築物としての城について調べました。


シャトー・ディケムとは、どんなところ?

16世紀から18世紀に建てられた城が残っていて、2003年に政府から歴史的建造物の指定を受けていました。隣に工場のような建物が並んでいるのは気に入りませんが、でもワインの醸造所なのだから仕方ない。

こういう城だったら見学してみたいと思って調べたら、1時間半のガイド付きヴィジットがあるとのこと。でも、一人60ユーロもするのでした。夫婦二人で見学したら、デイリーワインなら1ダース買えてしまうお値段。

このお値段なので、試飲はあるそうです。ムートン・ロートシルトのシャトーを見学したときには、ワインを1滴も飲ませてもらえなかった恨みがあるので、それよりは良い見学になるのだろうとは思いました。

でも、ボルドーまで行く予定は全くないので、城の様子が見れる動画を探しました。

すると、『Les Quatre saisons d'Yquem(イケムの四季)』と題されたドキュメンタリー映画がYouTubeに入っているのを発見♪

シャトー・ディケムでの1年を追った1時間半のビデオなのですが、映像が美しいだけではなくて、訴えかけるものがあって、とても良いドキュメンタリーでした。

撮影されたのは2000年。
下のワインを作るためのブドウが収穫された年のお話しです。


シャトー・ディケムが、高級ブランドを次々と買収しているLVMHに乗っ取られたばかりの時期。ドメーヌを取り仕切る役割が、さっき誰かさんを思い浮かべると書いたリュルトン氏になる前なので、登場しているのは先祖代々のドメーヌを守ってきたアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵でした。

建築物としてのシャトーを見ようと思っていたのに、興味はワインづくりの方に行ってしまいました。経営者としての伯爵は、従業員を家族のように大切にしているという昔ながらの姿。そして、イケムを愛してくれている人たちに満足してもらえるワインを作ろうとする姿。幸せそうに働く人たちが映し出されていました。

友達にドキュメンタリー映画のことを話したら、ボルドーのアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、ブルゴーニュならロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌ氏に匹敵するような人なのだと言われました。

また1つ、フランスにあった昔ながらの文化が投資家によって壊されるのではないか、というレクイエムとして記録映画が作られたのかも知れません。

ドキュメンタリーを見た後、シャトー・ディケムの買収劇や、その後は何が変わったのかなどを調べながら書いていたら長くなってしまったので、ページを新しくして入れることにします。

続き:
シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その27


 

ブログ内リンク:
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
★ 目次: ワインの歴史、ワインビジネス、飲酒規制、ワイン文化など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組

外部リンク:
Lurton (Pierre) Cheval Blanc et Yquem
☆ オフィシャルサイト: Château d'Yquem
Figaro vin: Château d'Yquem
Wikipédia: Château d'Yquem


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/08
下はキーワードで画像検索した結果のトップの部分なのですが、何を探そうとしたのかお分かりになるでしょうか? 画像をクリックすると拡大します。



多目的ホール? 体育館? 田舎に造られた広いディスコ? 博物館?..
近代建築物が並んでいますが、それは全くキーワードには入っていません。

キーワードは、「ボルドー」と「新しいワイン醸造所」でした。

並んだ写真を見ただけでは、ワインと関係した建物だとは思いませんよね。でも、ちゃんと、ボルドーに新しくできたワイナリーについて書いている記事にリンクしているのです。

検索画面にリンクするとキーワードが分かってしまうのでキャプチャを入れたのですが、検索結果の画面はこちらです:
「Bordeaux "nouveau chai"」をキーワードにして画像検索

「新しい(nouveau)」という文字をなくして検索しても大して変わりません。ワイン樽が並んでいるのが見えますが、殺風景な場所にワイン樽をストックしているみたいに見えるので、私にはとても奇妙です。

私が見慣れているブルゴーニュのワイン醸造所は、こんな感じなのです:


「cave Bourgogne」をキーワードにした画像検索


前回の日記「ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行」で、ボルドーには私は見たこともなかったようなワイナリーがあることに驚いたと書きました。

ひょっとして、ボルドーは昔からワインを作っているのに、ワインを寝かせておくのに適した石づくりのセラーがないだろうか?... 気になってしまったので、本当にワインセラーらしきものがボルドーに存在しないのかを調べてみました。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その26

ボルドーにも、ブルゴーニュにあるカーヴと比較して何ら違和感のないワイナリーもあるのでした。

出てきたのは、サンテ三リヨンにあるシャトー・オーゾンヌ

つまり、超近代的なワイナリーを私が初めて見たシャトー・シュヴァル・ブランがあるのと同じ町なのです:
白馬の城はコンクリートで出来ている 2016/03/01

オーゾンヌとシュヴァル・ブランは、サンテミリオンのワインの中で最高ランク「特級A」を最初に獲得したシャトーでした。それなのに、ワイナリーの雰囲気は両極端なのが面白い。


シャトー・オーゾンヌChâteau Ausoneが気に入った

ミシュランガイドがYouTubeで提供している動画の中に、「偉大なワインの神秘」と題してシャトー・オーゾンヌChâteau Ausone)のブドウ畑とワインセラーを見せていました。


Château Ausone, les mystères d'un grand vin

オーナーのAlain Vauthierさんが案内しています。こういう人は美味しいワインを作るだろうなと思わせる経営者ではないですか? ここ2回で超近代的なワイナリーの経営者が登場する動画を幾つも入れてきたのですが、ここまでで出てきた経営者たちとは全然違う雰囲気です。

こういうワイナリーなら、ブルゴーニュにそのまま持ってきても全く違和感がないだろうと思いました。ロマネ・コンティのド・ヴィレーヌさんも、こんな風に物静かな人なので連想させます。

こういう映像を見ていると、このワインを飲みたくなります。美味しそうに感じるではないですか?

私はボルドーのことを全く知らないのですが、「あなた知らなかったの?!」と言われる有名なドメーヌのようです。動画を入れているミシュランの説明では、専門家たちは、このシャトー・オーゾンヌをボルドーで最も優れたワインを生産していると評価している、と書いていました。

日本のネットショップでも絶賛していますね:


CH.AUSONE(シャトー・オーゾンヌ) | ワイン通販エノテカ・オンライン ENOTECA


動画で見せているのは「シャベル」という区画のブドウ畑だと言っています。ひいお爺さんが1906年にブドウを植えた畑で、カベルネ・フラン種が多く植わっているのだそう。

シャペルとはチャペルのことなのですが、ブドウ畑の中に13世紀に建てられたというチャペルがありましたね。

シャトー・オーゾンヌのワインを検索したら、シャペル・ドーゾンヌChapelle d'Ausone)という名のワインがありました:


私はこのワインを買う予定はないので、もう少しこのシャトーの様子が見れる動画を探してみました。


Cap Sud-Ouest - Château Ausone

中には14世紀に描かれた壁画などもあるのですね。ロマネスク教会の所にあったブドウ畑は墓地があった場所なので、大量の土を運びこんだのだと言っています。そう言われてしまうとね...。でも、墓地の後の土地は、なぜか植物がよく育つ気がする。

シャペル・ドーゾンヌのワインは、ブドウの異なる品種をセパージュしているという違いがあるだけで、作り方は、ずっと高価なシャトー・オーゾンヌのワインと全く同じ手間をかけているのだそう。やっぱり、美味しいのだろうな...。

シャトー・オーゾンヌを楽天市場で検索


サンテミリオン市の地下には、地下道が100キロ?!

ボルドーを旅行したときには。サンテミリオンSaint-Émilion)の村がとびぬけて気に入りました。世界遺産に登録される少し前だったので、余り観光地化はされていないように思います。美しい所らしいと言われて軽い気持ちで行ったので、余りのすばらしさに驚いてしまったのが強烈な印象として残っています。

Église monolithe de Saint-Émilion
でも、何を見学したかな?... 町のたたずまいが美しいという程度しか記憶に残っていません。

サンテミリオンは建物にするのに優れた石が掘り出せるところだったので、村の中から少し外まで、地下は採掘跡の洞窟になっているのだそうです。

地下の文化もある村なのでした。
カタコンベもある。
地下に掘って造った一枚岩(モノリス)の教会はヨーロッパで最大規模の大きさなのだそう。

家々の下も、ブドウ畑の地下も、洞窟になっており、全部で100キロくらい続いているようです。村に住んでいる人は、ご近所に行くにも地下道を通って行けてしまうのだ、などと言っています。

そんなわけで、地下の洞窟をセラーに使っているワイナリーもあるのでした。

それを見せている動画です ↓


Cap Sud-Ouest - Carriere du sous sol de Saint Emilion

登場しているワイナリーは、Château Guadet(シャトー・ゴーデ)というドメーヌだそうです。

Château Villemaurineというシャトーでは、ブドウ畑の下に4層ある地下(7ヘクタール)を見学できるとありました。でも、ライトアップしたりして洞窟探検が観光目的のような感じを受けました。

もう1つ、地下の洞窟をセラーにしているサンテミリオンのワイナリーの動画:
Les vins de Clos Fourtet - Bordeaux - Millésima

こちらはシャトーという名は付けずに、「Clos Fourtet 」という名のドメーヌ。

2001年にワイナリーを買った人なのですが、ワインへの情熱はなかなかあるように見えました。動画の半分くらいのところからワインセラーが見えるのですが、湿度があって風通しもあって理想的なのだ、と惚れぼれしながら語っていることに好感を持ちます。

Panorama de Saint Emilion De la tour du roi


Château Ausone右に入れたのは、シャトー・オーゾンヌのブドウ畑です。全部で7ヘクタールしかないのだそう。こういう、平らでないブドウ畑が私は好きです。

このドメーヌでは、ホームページを作っていない感じがします。

http://chateau-ausone.fr/というドメーヌがあるのですが、表紙のページしかありません。

今どきホームページを作っていないのだとしたら、ますます気に入ります。

ひょっとしたら、ボルドーに吹きまくっている建築美を自慢にするワイナリーのブームにも乗っていないのではないかな?...

1959年にサンテミリオン第1特別級A(Premier Grand Cru classé A)ができたときは、このシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランだけだったそうです。

2012年の評価見直しにより、現在では、シャトー・アンジェリュスとシャトー・パヴィが加わって、サンテミリオンの特級Aは4つになっています。

前回の記事「ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行」の中に、シャトー・パヴィだけ入れていなかったので、ここもデザイナーの醸造所を建設しているのだろうかと探していました。

もしもシャトー・オーゾンヌが昔ながらの醸造所しか持っていなかったら、ここだけ異端児?

ところが、シャトー・パヴィで検索して出てきた動画に仰天しました...。


ボルドーの近代美を誇るワイナリーは、こういう人たちのためにあるの?

再び画像は見たくないので、YouTubeへのリンクだけ入れておきます。

シャトー・パヴィのセラーを見せる動画です:
Best Wines Online: A Day at St. Emilion's Chateau Pavie Part 2

ついでに、もう1つ、見たくなかった動画も入れてしまいます。

香港からブドウの収穫に来た人たちのよう。最後に誰かが来て、挨拶をしたところでプッツリと映像が切れていますが、この後、そんなにふざながら働くな、と追い出してくれていたら良いけれど...。あるいは、合成で作った映像かな...。大切なブドウの収穫の時期に、こんなことを畑でやるのを許すというのは信じられません。

Chateau Ausone during Harvest

ボルゴーは生産量も多いために商売っぽくワインづくりをしているので、大量に買ってくれるお得意さんに占領されてしまっても泣き寝入りしないといけないのかな?...


なお、ボルドーの超近代的なワイナリーの観光を勧める情報で、ワインの醸造の方に興味がある人は次のところに行くようにとリストアップしていたのでメモしておきます。
  • Château Pichon-Longueville (Pauillac,)
  • Château La Conseillante (Pomerol)
  • Château Faugères (Saint-Emilion)
  • Château Fieuzal と Château Smith Haut-Lafitte (Pessac-Léognan)
  • Château Palmer (Margaux)

1つ2つ画像を探したのですけれど、やはりボルドーらしく近代的、つまり私には味気なく見える醸造所だったので、情報を探すのはやめました。


ここでボルドーのお話しは終わりにしようと思ったのですが、もう1つだけ、ボルドーで検索していて見つけたドメーヌについて続きで書きます。

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その26


 

ブログ内リンク:
★ 目次: ドメーヌ訪問記
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Château Ausone - Producteur » Chapelle d'Ausone rouge
France 3 Aquitaine: Saint-Émilion, un mystère de pierres
OT: SAINT-EMILION SOUTERRAIN
サンテミリオンの格付け、2012年の最新リストが発表


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/03
前回の日記で、シャトー・シュヴァル・ブラン(Château Cheval Blanc)というワイナリーが超近代的な醸造所を作ったという話しを書いたのですが、そこだけがびっくりするような醸造所を有名建築家に作らせていたわけではなくて、ボルドーでは有名なシャトーが次々と近代建築の醸造所を作っていたのでした。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その25



L'Art de vivre à la Française en Bourgogne
フランスワインはブルゴーニュとボルドーに代表されますが、この2つはかなり雰囲気が違うと感じていました。

ここのところずっとワインについて書いていて、今まで全く気にしていなかったボルドーのことが出てきたのですが、改めて違うのだな... と思いました。

右に入れたのはブルゴーニュの生活スタイルについて書いた本。『L'Art de vivre à la Française en Bourgogne(ブルゴーニュにおけるフランス式ライフスタイル)』

著者の人が話している映像があったので聞いてみたのですが(こちら)、「ブルゴーニュとボルドーは昼と夜くらい違う」と言っているのです。

ブルゴーニュのブドウ畑は区画が小さくて、生産量も少ない。生活がそこにあり、伝統が残っている数少ない砦だ。ところが、ボルドーでは建築家を呼んで醸造所を作らせている。「そういうのはライフスタイルではなくて、ファイナンシャル・コミュニケーションだ」、なんておっしゃってます。


ボルドーとブルゴーニュのワイナリーが、こんなに違っていたとは、私は知りませんでした。

画像検索をしただけでも、違いが見えるのでした。

醸造所のことをブルゴーニュでは「cave」と呼び、ボルドーでは「chai」と呼ぶので、それをキーワードにして検索してみましょう:

☆ ブルゴーニュの醸造所: 「cave Bourgogn」で画像を検索

地下に石造りのセラーという、どこにでもある伝統的なカーヴが並んでいます。

それでは、ボルドーで同じように検索してみましょう。

☆ ボルドーの醸造所:「chai Bordeaux」で画像検索


全然ちがうでしょう?

ブルゴーニュで検索しても、超近代的なのが出てきたリするので、画像をクリックしてみると、たいていはボルドーや南仏のが混じりこんでいるだけ。でも、ボルドーのレベルでデザインに凝った近代建築のワイナリーを作っているところがあるのかな?...

ネゴシアン(ワインの仲買人)のワイナリーなどではありそう。でも、地元の人たちはブレンドしたワインを好まないので、私は見学に行ったことが1度もありません。

近代的で大きな醸造所は見学したことがあります。でも、ブルゴーニュでコンクリート造りの建物というと、ワイン農協など、安いワインを大量生産しているところなのです。

ところが、ボルドーの場合は超高級ブランドがやっているので、私にはとても奇妙に思えてしまうのです...。


収穫が終わったばかりのシャブリのワイン農家に行きました

2009/10/07

ボージョレーのワイン農協で醸造施設を見学

2013/10/06

でも、私が見学したことがあるのは、ただ近代的というだけです。ボルドーの場合は、有名建築家に、見た目が美しいと思わせるような奇抜な建築なのです。


ボルドーの超近代的なワイナリーをピックアップ

どうやら、ボルドーでは有名建築家がデザインした醸造所をつくるのが流行っているようです。そういうところを見て歩くのも新たなワイン・ツーリズムになっているらしい。

あっと驚く地下の巨大なセラーを見せるのはシャンパンを作っている地域のお得意とするところだったのですが、ボルドーでも「すごいだろう~♪」とやりだしたらしい。

シャトー・ラフィット・ロートシルトが1986年に新しい醸造所を完成させたのを皮きりにして、同じことをするドメールが続出していました。特に、2014年の春には新しい醸造所のお披露目が次々にあったそうです。

できるだけワイナリーができた年代の順に書きます。


 シャトー・ラフィット・ロートシルトChâteau Lafite-Rotschild

ボルドーで近代的なchaiを建設するのがブームになった火付け役はこちらのようです。1985年に計画されて、1988年落成。

建築家: Catalan Ricardo Bofill(リカルド・ボフィル

地下にあり、16本の柱がある現代建築。2,200の樽を貯蔵することができる。円形に樽を並べて貯蔵するシステムでは、これが始めの試み。


Les vins du château Lafite Rothschild - Bordeaux - Millésima

☆ オフィシャルサイトの酒蔵についての情報ページ: Le Chai日本語ページ


 シャトー・コス・デストゥルネルChateau Cos d'Estournel


※ 醸造樽が動かせる。2000年から3年費やして完成。


Cos d'Estournel : le système gravitaire des cuves mobiles

照明も凝っているようですね:

☆ ニュース(記事&動画): Grands Crus 2.0 : Cos d'Estournel, le vin du futur
☆ オフィシャルサイト情報: Le travail dans le chai



 シャトー・モンローズChâteau Montrose

フランスの大手建築会社ブイグ(Bouygues)が2006年に95ヘクタールのブドウ畑を入手してからずっと工事をし続けていたのだそう。1万平方メートルのワイナリーをハイテクで環境を配慮した仕組みで改造したとのこと。


Château Montrose

工事費の推定額は2,000万ユーロ。建築とエコロジー専門の会社でなかったらできなかっただろうとのこと。二酸化炭素を80%減らし、エネルギー消費を半減したとのこと。もちろん、屋根には太陽発電装置...。


Château Montrose : la géothermie

大聖堂のように広いワイナリーだと思ったのです、樽をどかせばパーティー会場に使えるのですね。「花まつり」というイベントの様子を見せる動画がありました:


Fête de la Fleur 2015 à Chàteau Montrose

寝ているワインのことを考えたら、そっとしておいてあげて欲しいと思ってしまいますが...。でも、、シャトー・モンローズは、メドック格付け第2級なのだそう。だとすると何でもできちゃうか...。

ニュース(記事&動画); Grands Crus 2.0 : Montrose, le vin écolo de Bouygues



 シャトー・フォジェールChateau Faugères

建築家: Mario Botta(マリオ・ボッタ

ブドウ畑を見渡す高い塔、ハイテク、カメラ支援によるブドウ選別装置が特徴。


Chàteau Faugères - construction du nouveau chai



 シャトー・シュヴァル・ブランChâteau Cheval Blanc)

建築家: Christian de Portzamparc(クリスチャン・ド・ポルザンパルク


コンクリートの醸造樽、超近代的。2009年に計画ができて、2011年に落成したようです。

前回のブログで書いています:
★ 白馬の城はコンクリートで出来ている

そこには入れなかった動画を入れます。ここのワイナリーの動画はインターネットにたくさん入っているのです。他のワイナリーのを探しても出てきてしまう!


Bienvenue au nouveau Château Cheval Blanc



シャトー・マルゴーChâteau Margaux

建築家: Norman Foster(ノーマン・フォスター


Château Margaux fête ses 200 ans entre tradition et modernité




 シャトー・ラ・ドミニクChâteau La Dominique

建築家: Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル

赤い建物の超近代的なワイナリー(600 m2)。見学客のために、ブドウ畑が見えるブラスリー風のテラスレストラン、ブティックがある。

オープニングセレモニーのニュースです。


Nouveau chai signé Jean Nouvel au château la Dominique à Saint-Emilion



 シャトー・アンジェリュスChâteau Angelus

船をさかさまにした形の屋根があるエントランスホール。建築費は900万ユーロ。

こは色で勝負かな?...


Château Angelus em 2014



 シャトー・プリューレ・リシーヌChâteau Prieure-Lichine


INAUGURATION DU CHAI DU CHATEAU PRIEURE LICHINE



 シャトー・タルボChâteau Talbot


En Primeurs 2011 - Château Talbot with Jean-Pierre Marty



 シャトー・スミス・オー・ラフィット(Château Smith Haut Lafitte)


Château Smith Haut Lafitte - Chai Furtif

☆ ニュース: Une famille très business 29/07/2010 28



 シャトー・ムートン・ロートシルトChâteau Mouton Rothschild

☆ 動画: Château Mouton Rothschild - Soutirage

別に建築的には突飛でもないワイナリーですが、ヴィジットのお勧めはミュージアムだそうです:
The Museum of Wine in Art


探してみたら、いくらでも出てきそう。きりがないので止めます。




ボルドーだけではなくて、フランス南部でも超近代的なワイナリーが建設されているようです。

こちらはプロヴァンス地方 ↓

Château Thuerry
建築家: Xavier Leibar、Jean-Louis Croquet

未来型の建築物。コンクリートのカテドラル。コンピュータ制御の醸造室。醸造桶が円形に配置されている。

☆ 写真アルバム: Domaine de Chateau-Thuerry



 シャトー・ラ・コストchâteau La Coste
建築家: Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル)

ガラスと鋼鉄のかまぼこ型の醸造所、とのこと。

ドメーヌのサイトに入っている、これのことですか? ワイナリーだと知らなかったら、養豚所かブロイラーの飼育小屋だろう、と私は思ってしまいますけれど...。

でも、そうみたい...:
Château La Coste, de l'art et du vin

上空から見た様子を見せる動画もありました:


Video aérienne par drone domaine Château La Coste 1

こちらは、もうアートセンター的な感じにしているようです。日本人の芸術家の作品もあるとのこと。始めの方に出てきた、水の上にいる大きな蜘蛛のようなオブジェ。

ラングドックやコルシカでも同様の超近代的な醸造所が作られている。つまり、私がめったに行かない南の方で流行しているようです。



ボルドーでは、なぜ近代的なワイナリーを作りたがったのか?

どうしてそんな突飛なことをするのかと気になってしまうではないですか。私にとって、建物で奇をてらうというのは、ワインづくりの道から外れてしまっていると思ってしまうからです。

ワイン界の人が説明している記事がありました。

  • 2009年と2010年のミレジムでかなり収益があがった

  • 税金対策システムが刺激剤になった(特に相続において)

  • 小さなドメーヌから大手メーカー、ワイン農協に至るまで、過去数年の間、EUはワインの質を高める工事に対して補助金を惜しまなかった(工事費の40%まで)。フランスを始めEU諸国では、このために数百万ユーロが支給されている。

ともかく、ボルドーのシャトーは大規模で、お金があるのですよね。ワイン業界の長者番付があったのですが、トップは軒並みボルドーのワイナリーを持っている人たちが並んでいました。



コンクリートで超近代的なワイナリーを作っているのを見て、ひょっとしてボルドーには本来の石で作るワイナリーが存在しなかったのかと不安になってきました。

探してみたら、ちゃんとあるのでした。それを次に書きます。なんだか、ほっとしたので...。

そういう伝統的なワイナリーでワインを作っている人たちは、同じボルドーの人と言っても、このページに入れた動画に登場する人たちとは全然違うのでした。ブルゴーニュで出会うようなワインづくりをしている人の顔に見える。つまり、顔を見ると、この人は美味しいワインを作っているだろうな... という予感を感じる。

続き:
ボルドーにだって、伝統的なワイン醸造所がある

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その25

 

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外部リンク:
☆ Bordeaux Tourisme et Congres: Chais contemporains en Bordelais
Vin : les architectes, stars des chais girondins
☆ L'Express: Les plus beaux chais du Sud-Ouest
Les plus beaux chais du Bordelais
ボルドーのワイン業界は現代建築ブーム
Se laisser surprendre par les chais contemporains
L'art de vivre en Bourgogne et à Bordeaux c'est le jour et la nuit !
Bordeaux, les plus grandes fortunes du vin en 2015
Classement: les 50 plus grosses fortunes du vin 16/06/2013
☆ 動画: Les chais spectaculaires du Medoc


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フランスのお酒 (ワインなど)



2016/03/01
先日、ブルゴーニュとボルドーの樽の大きさは違うと書いたのですが(その記事)、ボルドーでいうところのtonneau(900リットル)なるものを見たいと思って画像を探していたら、見たことがなかったものを見つけてしまいました。

ボルドー言葉で「シェ(chai)」と呼ぶ醸造所の建物なのですが、こんなのはブルゴーニュでは見たことがなかった...。存在すると想像だにしていませんでした...。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その24


超近代的な「シェ」を持つボルドーのシャトー

たまたま開いたのはボルドーの観光サイト。訪問の価値があるというシャトーの名前が書いてありました。超近代的設備なので見学する価値があるのですって。

どんなところなのか見たいと思ったので映像を探したら... 出てきました。

きゃ~...!


Les reportages Millésima - Cheval Blanc dans le 21ème siècle

醸造樽のフォームは美しいですけどね...。

ワインを寝かせる場所が、コンクリートづくしというのに私は抵抗を感じてしまします。伝統的な石のワインセラーは、土の中に埋まっているから適度な湿度があって、適度な風通しがあって... ワインが寝るには心地良さがあるはずなのです。

超近代的というからには、建築のデザインだけではなくて、色々な工夫があるのでしょうけれど...。

もう少しシェの中を覗いてみたいですよね?


Cheval Blanc : le nouveau chai

湿気は最も大切だと思いますが、電気か何かで送り込むのかな?...

風通しは、壁に無数に開いた小さな隙間で調整するのだそうです。ただの壁ではなくて、こんな風にしたら大変な工事費なのでしょうね。

ワインセラーを作った友達が、大工さんが通気口を付けるのを忘れてしまっていたとパニックになった話しをしていたのを思い出しました。現代建築でもこんなセラーを作れるのだと知ったら、友達はショックを受けるかもしれない。

何事もスローモーションの友人夫婦 2010/10/12


コンクリートの中でワインを醸造するのは理想的なのだおっしゃって、銅の鍋でコトコト煮る料理が美味しくなるという例えをあげています。私はコンクリートと聞いたらワインが不味そうに感じてしまうのですけれど...。コンクリートという言葉も味気ないけれど、フランス語で「ベトン」と言っても、やはり良いイメージはないと思うのです。

ひょっとして、このシャトーでの食事のときに使うワインクーラーもコンクリートでできているのでは?...


クリスチャン・ド・ポルザンパルクChristian de Portzamparc)という建築課の作品なのだそう。美術館の建物なら、こういう建築物を評価なさる方も多いのではないかと思いますけど...。しつこく言っている私。スミマセン! 大変な費用をかけてまでコンクリートでワイナリーを作ることにショックを受けているのでお許しください...。

建築中の様子を見せる映像もありました。


chateau cheval blanc borne 1


ついでに、もう1つ映像を入れてしまいます。地元のテレビ局の制作したもので、シャトーの全景がよく見えますので。


Cap Sud-Ouest - Château Cheval Blanc


シュヴァル・ブランは白馬のこと

ここはシャトー・シュヴァル・ブランChâteau Cheval Blanc)というドメーヌでした。

シャトー・シュヴァル・ブランを楽天市場で検索

ブルゴーニュとボルドーの違いにはもう1つあるのですよね。ブルゴーニュでは生産者のことを「Domaine(ドメーヌ)」と呼ぶのですけれど、ボルドーは「Château(シャトー)」と呼ぶ。

ドメーヌとは所有地のことなので、普通に付けられた名前だと思います。

「シャトー」と聞いたら、私は美しい昔のお城を思い浮かべてしまうのですけど、ボルドーのシャトーは、ちょっとしたお家ならシャトーと呼んでしまって良いらしい。

このシュヴァル・ブラン(白馬)は、普通にあるようなブルジョワ的なお家でした。

Château Cheval-Blanc

フランスでは全く大きいとは言えないし、ほんの少しお城風と言えなくもない程度。歴史的価値は全くないでしょうね。「シャトー」と呼んでしまいますか?...

シャンパン・メーカーは、「Maison(メゾン)」という名を使います。英語にしたら「ハウス」。大手メーカーは、それに「大きな」という形容詞を付けますけれど、ボルドーよりは謙虚で良いな...。

ともかく、ここはシャトーの建物としてはインパクトがないから、ワイン醸造所はあっと驚かせるような建物にしたのは経済効果を呼び込むためには投資の価値があったのかな?...


シュヴァル・ブランは第1特別級A。ボルドーでは最高峰にランクされているということですよね?

icon
「シャトー・シュヴァル・ブラン」のワインをリストアップしているネットショップがあり、その紹介を読んだら、面白いことが書いてありました♪

1952年から同じ一族に所有されていますが、1980年からクオリティはさらに高まっており、最近のヴィンテージは、五大シャトーよりも高い金額で取引されています。


このドメーヌは1988年に、ベルギーで最も金持ちとされる実業家のAlbert Frèreと、フランスの高級ブランドを買い占めているBernard Arnaultに買収され、シャトー・イケムを経営しているPierre Lurtonによって運営されているのだそう。

※ インターネットに入っている動画で必ず登場しているのは、ディレクターのPierre Lurtonさんだそうです。ブログに入れる動画を探しながら彼の顔を見過ぎてしまったせいもあるけれど、一緒に食事したら楽しめない人だろうな,,, と私は感じる...。気がきいた冗談を言って笑わせてもくれなさそうだし。


フランスのブドウ畑が投資の対象になっていると聞いてブログに書いたところでした:
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/18

実業家が既に高い評価を得ているワイナリーを買収したら、もっと良いワインを作ろうとチャレンジするよりは、もっと収益を上げようと言うのが狙いのはずですよ...。値段を高くしてもワインを買う富裕層は世界のどこかにいるし、高いから人気が出るということもある...。

あのBernard Arnaultさんが入っているなら、この奇抜な醸造施設をつくったのも納得できると思いました。私が勤めていた在日フランス企業に入ってきた人なのです。穏やかで紳士的だった会長を押しのけたのを見て、こういうフランス人にしては異例な押し出しの強い実業家はフランスの経済界では長続きしないだろうと思ったのですが、私の予感はみどとに外れました! あれから20年余りたちますが、いたるところで彼の名前が出てくる...。


シュヴァル・ブランというシャトーを買ったからというわけでもないのか、あるいはそれが原因なのか、アルノーさんは「シュヴァル・ブラン」という名前で豪華ホテルのチェーンを作り出しているようです。

シュヴァル・ブラン(白馬)なんて、田舎によくありそうなホテルの名前に私には思えてしまいます。どんな豪華ホテルなのかなと思って調べてみたら、これが出てきました。

http://www.huffingtonpost.fr/2015/06/19/la-samaritaine-grand-magasin-paris_n_7620856.html 2015年6月の記事

パリのど真ん中にあるサマリテーヌという名のデパートだった建物をアルノーさんがお買いになって、何にするのか色々に言われていたのですが、最近は高級ホテルにすると発表されていました。それが豪華ホテルチェーン「シュヴァル・ブラン」に入るのだそう。

この記事のトップを見て、あれ、あれと思いました。

左手前にあるのは、アンリ4世の騎馬像(Statue équestre d'Henri IV)。
こんなアングルでサマリテーヌが見えるのですね。

アンリ4世といえば、白馬に乗っていたというので知られている王様です。「アンリ4世のシュヴァル・ブラン(白馬)は何色?」という有名なジョークがあるくらい。

なんだか、でき過ぎた話し...。

サマリテーヌがデパートだった頃には、屋上にあるカフェに行くのが好きでした。すぐそばにノートルダム寺院が見えたりして、パリでこれほど美しい眺めが見れる場所はないと思って気に入っていたのです。

高級ホテルになってしまったら、もうあの景色を見ることはできないのだろうな...。


サンテミリオン

ボルドーには1回しか行ったことがありません。ブルゴーニュと並ぶフランスのワイン産地なので、ブルゴーニュと同じ雰囲気があるのだろうと期待していたのですが、全然違うのでした。

そのボルドー旅行で、唯一気に入ったのはサンテミリオン(Saint-Émilion)の村でした。石造建築の佇まいが美しくて、ワインは美味しいので、この村だけはブルゴーニュと同じように魅力的だと思いました。私が訪問した後に世界遺産に登録されたと聞いたときは、当然だなと思いました。

Vue générale de la cité médiévale, dominée par le clocher de l'église monolithe.

ブルゴーニュにあってもおかしくない村...。ワインも美味しいし...。そうブルゴーニュの友達に話したら、ボルドーワインの中でも、サンテミリオンのワインはブルゴーニュワインにとても似た風味があるのだと言われました。


私のボルドー旅行は1週間くらいの短い旅行でしたが、サンテミリオンは強烈な印象を残して気に入った場所でした。それなのに、こんなコンクリートづくりのワイン醸造所ができていたと知って、かなりショック...。


奇をてらって話題になるようなシェを作ったのだろうと思ったのですが、そうではなかった! ボルドーでは、こういう風に超近代的なデザインのワイナリーがおびただしくできていたのでした。

幾つか拾ってみたので、それを次回にご紹介します:
ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行

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その24


 


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外部リンク:
☆ Figaro-vin: Château Cheval Blanc Saint-Émilion
☆ Christian de Portzamparc: Chai Château Cheval Blanc
Château Cheval Blanc 1er Grand Cru Classé de Saint-Emilion rouge
Lurton (Pierre) Cheval Blanc et Yquem
Pierre Lurton  Le vin se fait dans la vigne, avant tout
Pierre Lurton   Un Yquem jeune, c'est un plaisir immédiat
L'hôtel Cheval Blanc à la Samaritaine
LVMH étend sa chaîne d’hôtels Cheval Blanc
「アンリ4世の白馬は何色か」というジョーク


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