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2017/01/28
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その2

フランス人は、バターとチーズを食べることにかけては世界一。バターは、年間に一人あたり8キロを消費していることになるのだそうです。日本人が1年に食べるバターの量を、フランス人は僅か1カ月で食べてしまうという計算になります。

Antoine Vollon - Mound of Butter - National Gallery of Art
La Motte de beurre par Antoine Vollon

フランスも、南の方ではオリーブオイルを多く使うのですが、それ以外ではバターをやたらに料理に使います。でも、1年に8キロというのは多すぎる気がする...。

でも、これはバターの年間の国内消費量を人口で割った数字のようなのでした。フランス人が家庭用に買うバターは、一人あたり3.1キロとのこと。とすると、1カ月に258グラム。フランスで普通サイズのバターが250グラムとすると、それを1カ月に一人1個買うという計算になります。

そのくらいは軽く使ってしまうだろうな...。朝食には欠かせないし、バターと一緒に食べる料理もあるし、もちろん調理ではふんだんに使いますから。

ひところは、バターは健康に良くないからとオリーブオイルやマーガリンが好まれたりしたのですが、再びフランス人はバター好きに戻って来たようです。植物性マーガリンは人気が落ちて、中間的な軽いバターにも人気があるようです。

日本でスーパーに行くとバターのチョイスは数種類程度ですが、フランスの場合はおびただしい種類のバターが売られています。人それぞれに好みがあるのでしょうが、私は伝統的なバターしか買わないので、バター風などという新製品のことは全く分かりません。

スーパーのバター売り場が最初に出てくる報道番組があったので入れておきます。


Tout sur le beurre et l'argent du beurre  {France 3 2016}

ブルターニュ地方の酪農家がバターづくりを見せていました。この地方はフランスで最もバターの生産量が多いのだそうです。北フランスなのですが、内陸部より温暖な気候だし、雨が多いので牧場の草がよく育つので酪農に向いているのだそう。私のブルゴーニュ地方では乳牛を飼っている農家はとても少ないのですが、気候が適していなかったのですね。


高いバター、安いバター

それだけバターを消費するフランスですが、バターの価格は日本よりずっと安いです。フランスのスーパーで簡単に買えるバターのうち、高いのと、安いのとして、2種類を並べてみます。

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左側のは、品質保証AOC/AOPを獲得しているエシレ。「Beurre de baratte」と書いてあります。上に入れた動画に登場していた農家もbaratte(バターを製造するための攪拌装置)を使っていましたが、そういう装置で作ったバターということ。色々なフランス製バターのパッケージを眺めてみたら、高品質のバターのほとんどはbaratteの文字を入れている感じがしました。

左のは、安いバターの代表と思えるプレジデント。伝統的なbaratteとは言えない製法で作っているからなのか、「ガストロノミック(美食)」という文字を入れています。

日本で売られると、関税のせいか、価格の差が少なくなるみたいですね。

フランスでは、こんな感じのお値段です:
フランスのスーパー Monoprixのネットショップでのバターの価格

このサイトで売っていたプレジデントのバターは、250 gのが220円くらいで、2個目は50%オフと書いてあります。エシレの方は、同様に250グラムで350円くらい。

ここでプレジデントのバターを2個買ったとすると、エシレの半額の価格ということになります。となると、大量にバターを買う必要があるフランス人としては、安い方を選ぶ人が多いのでしょうね...。

ホテルの朝食代が高かったとき、プレジデントの1口サイズのバターが付いていたら、友人が「ぼられた」と怒っていました。フランス人には味気ないバターの代表なのだと思いました。


フランスの巨大企業、ラクタリス

このプレジデントのバターは、3つ星シェフを使ったコマーシャルなどをテレビで流していました。


Publicité Président Beurre gastronomique

パリの超高級ホテルであるル・ブリストルにあるレストラン「エピキュール」のシェフとして有名なエリック・フレションさん。

フランスの美食文化とはそぐわない工場生産の食品のコマーシャルには、時々ではありますが、一流シェフが出演しています。借金かなにかで困窮しているのかと心配してしまう。いくら「おいしい♪」という顔をしてくれても、私には美味しそうには見えないのですけど...。

logo de Lactalisプレジデントは、乳酸品メーカーとしては日本でもよく知られているダノンに次ぐグループLactalisのブランドです。

数年前から、フランスの酪農家が生産したミルクを大手企業に買いたたかれて、働けば働くほど借金が膨らんでいくなどと抵抗運動が起こっているときにやり玉にあがっている会社。酪農家が大手メーカーにミルクを売るときに、もっとも買いたたいているのが、このラクタリス社なのだそう。

フランスの農業者は、黙っていません。ラクタリスに抵抗して、スーパーを荒らしているのを見せる動画がありました。


Lactalis: action des producteurs dans un supermarché à Laval

昨年2016年夏の報道で、下がり続けてきたミルクの買値は、1リットルあたり0.26ユーロ(約32円)だと報道されていました。私が朝市で買う直売農家は1リットル100円くらいで売っています。素晴らしく美味しいミルクなので採算が取れるのだろうかと思ってしまうほどなのですが、その3分の1ですね。過激にデモをしたかいがあってか、この後には少し買い取り価格を上げてもらっていました。

私が利用している乳製品の直売をしている農家は、みんな幸せそうな顔をしています。質の良いミルクを作っていれば買いたたかれることもないはず。農業政策に踊らされて、投資をして機械化し、大量にミルクを作っているのがいけないと思ってしまう...。

酪農家たちが、ここままでは生きていけないと息巻いていますが、ラクタリスの社長さんは長者番付にも入っています。所有している別荘は、広大な敷地を持つお城。取材を拒否されたテレビ局が塀の隙間から庭を覗いてみたら、無農薬で育てる家庭菜園なのもあるので笑ってしまいました。たぶん、自社製品なんかは食べていらっしゃらないのではないかな...。


ペイザン・ブルトンのバター

プレジデントのバターよりは少し高めですが、私が上手なコマーシャルだなと思うのはPaysan Breton(ペイザン・ブルトン)というメーカーです。お手頃価格でバターを売ってるのでシェアが大きいメーカーなのですが、手作りバターかと思ってしまう演出をしています。


Publicité Beurre La Pointe de Sel de Paysan Breton

こういうコマーシャルは不快感を与えないと思うので、幾つも入れて宣伝してしまいました。このバターは日本には入っていないようなので、えこひいきにはならないだろうし。

ペイザン・ブルトン(ブルターニュの農民という意味)は、安いバターとしては悪くないと思っています。マーケティングが与えた影響かな。木枠でバターを固めたみたいになっているのも、なんだか本物のバターに見えてしまうわけで...。


バターに関するテレビのドキュメンタリー番組

このたびバターについて書いていて、質の良いバターと大量生産のバターが、どこから値段の違いを出しているテレビのドキュメンタリー番組を見つけました。興味深い内容だったので、1時間近いのですが埋め込んでおきます。2014年に放映されたようです。

質の良いバターは、前回の「ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた」で書いたボルディエ社のバター。

そして、大量生産している安いバターの代表は、上にコマーシャルが好きだと書いたペイザン・ブルトン社のバターです。


番組を眺めていたら、価格は差があるのですが、手間を考えれば大きな差があるのも当然かもしれないとも思えてきました。価格は、250グラムのパッケージとして計算しています。




番組では、バターを大量生産しているメーカーに取材を申し込んだらことごとく断られた中で受け入れてもらったのが、このペイザン・ブルトンだったそうです。消費者に見せられる程度には誠実に商品を作っていると自負しているから取材に応じたはずなので、もっといい加減に作っているところもあるのだろうと思います。


動画では、番組で見せることの紹介の後、ボルディエのバターづくりを見せ、それからペイザン・ブルトンがどのように作っているかを見せています。2つとも北仏ブルターニュ地方のメーカー。

さらに、ダイエットをしたい人向けのマーガリンや、マーガリンにバターを混ぜた商品の原料が何なのかを見せます。結局、上質のバターからランクを落としていくと、添加物が増えていくというのが見えます。

それから、イタリアでおこった、飛んでもない偽装バターのこと。ナポリのマフィアがからんだビジネスだったそうです。バターには脂質が必要なのですが、ミルクを使うと原価が高くなってしまう。それで、家畜の肉とか、何でも入れてしまってバターとして売っていた、という怖いお話し。もちろん、経営者は刑務所に入っていて、工場は閉鎖されているので、生産過程は見れません。

このショッキングな事実のショックは、最後にフランスの農家の手作りバターづくりを見せて和らげてくれていました。


Le beurre et l'argent du beurre (France 5)


2つの番組の動画を入れたのですが、両方ともタイトルで「Le beurre et l'argent du beurre」という表現を使っていました。

バターとバターのお金。バターと、バターを売った時に得られる代金を並べています。つまり、その両方を持つことはできないという表現。

英語では You can't have your cake and eat it tooと言われるようです。ケーキを持ち出した方がピンときますが、フランス人にとってはバターが無い状態の方が困ったことになるわけでしょうか? ヨーロッパ諸国には、それぞれ違う言い回しがあるのだそう。日本語にも何かあったような気がしますが、浮かんできません。「蜂取らず」ではないし...。

フランス語の表現には「mettre du beurre dans les épinards(ほうれん草にバターを入れる)」というのもあります。ほうれん草にバターを入れると格段に美味しくなる。それが転じて、「事態を好転させる」という意味になります。

確かに、フランス料理にはバターが欠かせないですね。上に入れたドキュメンタリーに出ていた一流レストランでも、ふんだんにバターを使っている場面を見せていました。バターは料理の全面に出るものではないけれど、後ろでしっかり支える食材なのだそう。ボルディエのバターが無かったら、この味は出ないとまで言っていました。



ドキュメンタリー番組でボルディエ社でのバターの形づくりを見ていた後、自分の写真アルバムに入っていたレストランで出されたバターの写真を見たら、みんなそこのバターに見えてしまいました。

下に入れる2枚の写真は、ミシュラン1つ星のレストランで撮影していたものでした。




下も同じレストランで別の時に出されたバターなのですが、これがどこのバターなのかをコメントで教えていただきました♪ とすると、上のも同じメーカーだった可能性が高いですね。



このバターは、ボルディエと同じようにブルターニュ地方産。Le Ponclet(ル・ポンクレ)というメーカーでした。検索したら、これと同じロゴがバターに付いている画像がたくさん出てきたので間違いないですね。

生乳で作っているという貴重なバターで、これをご用達にしている一流シェフたちもいました。パリにいても容易には手に入らないのだそうです。それをブルゴーニュの小さな町で出されてしまったのだ...。

この次から、良いレストランで食事するときにはバターに注目しようと思いました。自分で買おうとするより、その方が良いバターに出会う機会は多いはず。レストランでは特別ルートで仕入れることができますから。

今回のバター・シリーズを書きながら、フランスには優れたバターが色々あるのを知りました。私は農家が生乳で作る手作りバターが美味しいくらいしか知らなかった!



このドキュメンタリー番組で知らなかったことを学んだので、続きで書きます。

 前の記事:
★ ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その2




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20

外部リンク:
ボルディエのバターを楽天市場で検索
フランスの高品質保証AOP/AOCを持つバターを楽天市場で検索
☆ YouTube: Bordier Butter with Chef Ludo Lefebvre
☆ Maison du lait: La filière laitière française en 50 chiffres 
Beurre salé ou demi-sel
Vouloir le beurre et l’argent du beurre en 8 langues différentes

【フランスの乳製品に関するフランスのドキュメンタリー】
Lactalis le lait le beurre et l'argent du beurre reportage censuré
 ※Wikipédia: Président (marque) ⇒ Lactalis
Le beurre et l'argent du beurre (France 5)
Programme TV & Replay: Le beurre et l'argent du beurre (Documentaire)


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2017/01/26
フランスで何処に住みたいかと聞かれたら、酪農地帯と答えるかもしれない。

ワインなどはストックしておけますから、ブドウ畑の中に住む必要はありません。でも、乳製品は新鮮さが勝負なので、家のすぐ近くにミルク工房があるのが一番ではないですか? 手作りバターは1週間くらいで食べきってしまわなければなりませんから、頻繁に買いに行ける環境にいるのがベスト。


乳牛モンベリアルドのバターが私には最高

本物のバターの味を知ってしまうと、普通に手に入るバターって何なのだろう? と思ってしまいます。

私が本物の味と出会ったのは、酪農が盛んなフランシュ・コンテ地方でのことでした。B&B民宿の朝食に出されたバターがとても美味しいので、何処で作っているのか教えてもらって買いに行くようになったのでした。

と言っても、片道100キロ以上あるので、わざわざ買いに行くわけにはいきません。その辺に行ったときに、少し遠回りをしてミルク工房に立ち寄れるだけ。



ブルゴーニュ地方に隣接するフランシュ・コンテ地方で、コンテチーズを作っている共同組合の工房でした。

ミルクはモンベリアルド種の牛(右の写真)。


私は本来のバターにはこんな風味があるものなのかと驚いたのですが、一緒にいた年配のフランス人たちは、昔懐かしいバターの味だと言っていました。

フランスの田舎では手作りバターを食べていたので、本来のバターの味がしていたのだそうです。お金持ちでなくても、そういうバターが買えたのだそう。

いま普通に買えるバターには、バターの味がしない、と彼らは言います。私に言わせたら、日本のバターに比べたら格段にバターらしさがあるのですけど。

フランス人が朝食を食べるときには、パンにバターを塗って、その上にジャムやハチミツなどを塗っています。年配の人に言わせると、昔はバターだけ塗るか、ジャムだけ塗るかだったのだそう。つまり、バターの味が無くなったから、ジャムなどをさらに加えるようになったのだろう、と言われました。

バターの味は、牛の品種、どういう風に育てられているで最初の条件が決まり、さらに、どのように作られるかで決定的に味が異なってくるのだろうと思います。


バターを作るための昔の道具

バターは、バラット(baratte )と呼ばれる木の樽で作るのが伝統でした。

下は、ブルゴーニュ地方の酪農家がバターを作るために使用していたバラットです。

 
フランス最高のバターは?: イズニー、エシレ、レスキュール(2009/12/03)に入れた写真


この農家では、飼育している山羊でチーズ、牛のミルクでバターを作っていたので、ひところはよく買いに行っていました。ある時、近所から苦情がきたのが原因でヤギたちを放し飼いをしなくなってしまったので、行かなくなりました。明らかに山羊チーズの味が落ちてしまったのです。

ここのバターも、スーパーなどで買うのよりはずっと美味しかったのですが、フランシュ・コンテ地方で作っているバターほどの感激はありませんでした。バターをここでは買わなくなったのは、残念とは思っていません。こういう木製のバラットは使っていないでしょうけれど、朝市に行けば農家の手作りバターが買えます。

手作りバターは、型抜きなのも楽しいと思います。

こういう木枠で作るのですとお見せするために画像を探してみたら、普通に売っているので驚きました。自分でバターを作ってしまう人たちが、そんなにいるのでしょうか? 生クリームを攪拌していれば、素人でもバターを作れてしまうそうなのですけど。 

あるいは、買った普通のバターも、木枠で形作ったら美味しそうに見えるからと買う人がいるのかな?...

バターづくりの道具です。




レストランで美味しかったバター

写真アルバムを整理していたら、記憶にとどめておこうと思って写真を撮っていたのに、すっかり忘れていたものがあったのを思い出しました。

このあたりに行った時は利用したい、と思うほど満足したレストランで出てきたバターです。



味が濃厚で、とても美味しかったのでした。インパクトがあると言うのが適当かも知れない。他のバターと違うと驚かせる何かがあるのでした。色も、黄色が際立って強い。

一緒に食事していた友人は味にうるさい人でした。しかも、子どもの頃に食べていたバターの記憶が残っている世代。その人もバターのおいしさに驚いていたので、本当に質の良いバターなのだろうと思いました。

レストランでテーブルの上にバターをのせてもらっても、たいていはただのお飾りなのですが、余りにも美味しいので、私たちはパンに付けていただいてしまいました。

友人はよほど気に入ったらしく、お給仕の人に何処のバターなのかと聞いていました。


Bordierボルディエのバター

レストランでお給仕をしていたマダムは、Bordierボルディエ)だ、と返事しました。

友人が知らないメーカーだと言うと、マダムは、有名なメーカーなんですけれどね、という反応。

それで思い出した。「私は知っている♪」と得意げに言いました。

友人は売っているのを見たことがないと言うので、「日本では売っているよ~」と私。

ブログでバターについて書くために調べたとき、この会社の愉快なコマーシャルを眺めいたら、とても美味しそうなバターを作っているらしいと分かってマークしていた乳製品メーカーだったのです。

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【パリ直輸入】Bordier ボルディエLa Creme Fraiche クレー...
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フランスのスーパーなどで簡単に手に入る大量生産のバターの中には、高品質保証のAOC/AOPを獲得しているエシレイズニーがあるのですが、ボルディエのバターはもっと濃厚で、バターらしい風味があると感じました。

正直言って、エシレやイズニーのバターは、日本で食べると「わぁ~、バターの香りと味がある~!♪」と感激するのですが、フランスで食べるときには、どうとも思いません。

一度だけ、ホテルの朝食で出された小さなパッケージのAOC/AOPバターを食べたときには非常に美味しいと驚いたので、密封してあるものだと風味が残るのかな、とは思っています。


ボルディエが作るバターの特徴は、バターを木のターンテーブルにのせて練りこむことにあるようです。19世紀末に見つけた方法でしたが、1975年くらいにはほとんど行われなくなってしまったのだそう。

malaxage(マラクサージュ)という練圧の工程。そこで塩を入れると、ショックを受けたバターが水分を出す。それで香りと味が濃縮されたバターができるとのこと。


La magie du beurre dans Destination Goûts avec Jean-Yves Bordier. - Saint Malo (35)


インターネットで製造過程を見て美味しそうだと感じていたボルディエのバターを、ついにレストランで味わうことができたわけです。

メーカーの名前を憶えていただけかと思ったのですが、ブログでも書いていました:
頭から離れないほど美味しかったバター 2011/07/10

もう5年も前でしたか...。この後、ボルディエのバターを買ってみたいと思って探したのですが、見つからなかったので忘れていたのでした。


一流レストランご用達のバターは、ボルディエ?

思い出したので、改めてボルディエのバターについて知るためにインターネットに入っている動画を眺めました。

フランスでも、安いバターの価格と比較すると2倍や3倍の値段で販売されているそうなのですが、3つ星レストランなどでは、惜しげなくボルディエのバターを使っていました。

ボルディエでは作り置きはしないで、注文があってから製造をするのを基本にしているとのこと。昼までに届けよというパリの一流レストランの注文に応じて、朝の工場で慌ただしく900個の小さなバターを作っている光景もありました。

高級レストランでは料理のお値段が高いわけですが、そんなことができるのなら料理の出来の差は出せるのだろうなと思いました。

北フランスのブルターニュ地方で製造されていました。牛の品種は分からなかったのですが、ビオ(無農薬)か減農薬で乳牛を飼育している農家のミルクしか使わないのだそう。ミルクを提供している酪農家も登場していましたが、牧場には放牧されない冬の間も、健康そうな食べ物を与えられていました。

ボルディエのバターは、トップクラスのレストランが御用達にしていて、地元やパリなどでない限りは、一般の消費者の手には余りで回らないのではないかと思いました。

フランスは宅急便が発達していないので、生鮮食料品をネットショップで買うことはありません。サービスがいい加減な国なので、「冷蔵でお届けします」と言われたって、全く信じられませんので。それで、取り寄せができるかどうかは調べていませんでした。

日本にいるときならネットショップで簡単に買えると分かっていたのですが、日本で輸入品の乳製品を買うと高いのだものな...。

ボルディエのバターを楽天市場で検索


レストランで出されたバターは、シンプルなものではなくて、何かが練りこまれているタイプだと言われました。何だったか忘れてしまった...。

ブルターニュのメーカーなので、海藻入りバターの評判が良いらしいのですが、それではなかったのは確か。レモンだったか、ピマン・エスプレットだったか...。


日本のショップ情報を見たら、2~3週間で食べ終えるようにとありました。そのくらいが自然だと思います。日本のバターは半年くらいの賞味期限になっていませんか? 防腐剤でも入っているのではないかと思ってしまう...。


改めてボルディエについて調べていたら、ボルディエは私が知らなかっただけで、美食に詳しい方々には有名なようでした。一般消費者が優れているとするバターがエシレなら、プロや、こだわりの美食家が選ぶのは ボルディエ、という感じなのかもしれません。

ブルゴーニュ地方だと何処で買えるのか調べてみたら、数軒では扱っているという感じでした。でも、大きな町にあるÉpicerie fine(エピスリー・フィンヌ)と呼ばれる高級食材店だけのようです。つまり、エシレのようにスーパーに置いてあるわけではないから、私が探しても見つからなかったのだ。


本当なのかな?...

調べていたら、こんなことが書いてある日本のネットショップがありました。

パリの星レストランで、あのボルディエを超えた!と言われ
ジリジリと人気が出始めているバター『AU BON BEURRE (オー・ボン・ブール)』。


それで売られていたのは、トリュフ入りのバター。


このメーカーがどんな風にバターを作っているのか知りたかったのですが、bon beurre(良いバター)などという名前がブランド名になっているので、キーワード検索しても「良いバター」のは話しばかりがでてきてしまうので、生産者情報がヒットしないのでした。北フランスのベルギー寄りにあるようなのですが、あの当たりで質の良いバターができるのかな?...

トリュフは、オリーブオイルやバターの中ではうまく香りが残るのですよね。料理は下手でも、材料が良ければ美味しいのができる。このメーカーのバターがフランスで最高なのかどうか知りませんが、牛肉の分厚いステーキにトリュフ入りバターを乗せただけで立派な一皿になりますよ...と、ひがんじゃう。





ボルディエのバターの方は、どのように製造しているかの情報がいくらでもインターネットに入っていました。

フランスのテレビで放映したバターに関する1時間番組で、質の良いバターと、スーパーでたくさん売られている安いバターのどこが違うかというのを報道したのがインターネットに動画として入っていました。

質の良いバターの例として大きく扱っていたのはボルディエ社。原料とするミルクの質も、製造の手間も、安いバターの製造とは全く違うので面白かったです。その番組の動画を次回に入れます。

続き:
上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組
シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その1
目次へ


ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
ボルディエのバターを楽天市場で検索
フランスの高品質保証AOP/AOCを持つバターを楽天市場で検索
Le Beurre Bordier ⇒ 製造方法 La transformation du beurre
☆ YouTube: Chez Bordier à Saint Malo
辻調おいしいネット:一流シェフが絶賛!手練りで生まれるブルターニュの有塩バター


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2017/01/25
レストランで美味しさに驚いたバターがあったので、そのメーカーだったボルディエ社についてインターネットで調べたら、フランスで生産されているバターについて、かなり突っ込んだ取材をしていたテレビ番組がYouTubeに入っているのを見つけました。

酪農家の手作りバターの美味しさには出会っていたのですが、普通に買える大手メーカーのバターに関してはほとんど知識がありませんでした。美味しいバターと、そうでないバターの違いを色々な角度から示してもらうと、手作りバターがなぜ美味しいのかが見えてきました。

バターについて学んだことをメモしています。まだ書いている途中なのですが、目次を作りました。記事を転送したら書き加えていきます。



ボルディエのバターを買ってみようと思っていたのに、忘れていた
2017/01/26
  • レストランで食べて非常においしいので驚いたバターは、ブルターニュ地方で作っているボルディエ社(Bordier)のものだった。フランスの一流レストランで好まれている有名なバターなのである。
  • ボルディエのバターには、すでに興味を持ってブログに書いたことがあった:  頭から離れないほど美味しかったバター (2011/07/10)
  • 家庭でバターを作るための道具


上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組
2017/01/28
  • フランスのテレビが流しているバターのコマーシャル(プレジデント、ペイザン・ブルトン)。
  • 有製品の大手メーカーであるラクタリス(Lactalis)のポピュラーなバター「プレジデント(President)」と、ラクタリスに牛乳の買い取り価格を引き下げられて困窮しているフランスの酪農家たち。
  • 高い評価を受けているボルディエ社(Bordier)のバターの作り方を見せる動画。
  • バターの問題について扱ったテレビのドキュメンタリー番組「Le beurre et l'argent du beurre」


日本で言われる「グラスフェッド・バター」って、なに?
2017/02/01
  • 上質バターになるか、ならないかは、まずミルクを供給する乳牛の育て方によって決まる。
  • フランスでは美しいバターの色をキンポウゲの黄色に例える。
  • フランスのドキュメンタリー番組「Le beurre et l'argent du beurre」で見せていた、上質バターを作るメーカーの契約農家と、大量生産の安いバターを作るメーカーの契約農家が与えている干し草の質が全く異なっていた。
  • 日本では放牧が珍しいので、グラスフェッドなる呼び方をしているらしい。
  • 冬が終わって牧場に出たことを喜んで跳ね回る牛たちの動画。


無殺菌クリームで作ったバターが最高
2017/02/06
  • フランスの伝統的なバター3種類(Beurre cru、Beurre extra-fin、Beurre fin)の違い。
  • Beurre cru(クリュ)が無殺菌クリームでバターを作っており、風味が最もある。
  • 生乳(せいにゅう)とレ・クリュ
  • 牛乳の殺菌方法
  • 高い評価を受けているフランスの無殺菌バターのベイユヴェール(Beillevaire)
  • ル・ポンクレ(Le Ponclet)社のバターの作り方を見せる動画「A la découverte d'un beurre d'exception」
  • 日本で販売されている唯一の無殺菌牛乳「想いやり牛乳」の秘密


発酵バターとは乳酸菌を添加したバターだ、とは言えないのでは?
2017/02/08
  • 日本では甘性バター(無発酵)が主流だが、最近では発酵バターもメーカーが作るようになった。
  • フランスの伝統的なバター作りでは、クリームを攪拌してバター粒を取り出す前の段階で発酵させていた。生乳を低温殺菌すりょうになってからは、殺してしまった乳酸菌を補うために乳酸菌を人工的に加えるメーカーが多くなった。
  • 大量生産のペイザン・ブルトン社のバター製造の様子を見せるフランスのテレビで放映されたドキュメンタリー「Le beurre et l'argent du beurre」。
  • 昔のフランスで行われていた農家のバターづくりを見せる記録映像「Comment il faut faire le beurre à la ferme(1930年、農業省)」。
  • 日本とフランスのバター製造過程の比較


美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット
2017/02/10
  • 生乳をクリームとバタークリームに分離する装置を日本では「チャーン」と呼ぶが、フランスでは「バラット」と呼ぶ。
  • 伝統バター製造機のバラットで作ったバターが美味しいと言われる。
  • 多くのメーカーは近代的な「連続式バター製造機」でバターを作っている。
  • 入れた動画: 家庭でのバターづくり、小規模生産のメタル製バラットでのバターづくり、AOPエシレの木製バラット、ベイユヴェール社のバターづくりを見せた番組「Le beurre et l'argent du beurre」。



自分でバターを作ってみようかと思ったのだけれど...
2017/02/13
  • 牛乳からクリームを取り出す装置
  • 家庭でバターを作る道具
  • 簡単にバターを作ってしまうデモンストレーション


オーガニック・バターには落とし穴がある?
2017/02/14
  • BIO(ビオ)の品質保証を獲得しているバターでも、美味しいとは限らない。
  • 最近のオーガニック食品のブームで、大量生産のBIOバターが販売されている。
  • 有機農業であることを示すEU連合のロゴマークの下に書いてあることで、原産地がどこなのかが分かる。


日本の有塩バターは、フランスの有塩バターより塩分が少なかった
2017/02/15
  • フランスのバターの表記で、有塩か無塩であるかを示すのには3種類ある
  • フランス人は一般的に無塩バターを使うが、AOC以外のバター消費者は有塩バターを好んでいるのかもしれない。
  • バターの塩の含有量を日本とフランスのバターで比較してみた。


フランス製バターの区分 いろいろ
2017/02/17
  • 有塩か無塩のほか、バターの質を見分けることができる呼び名、良さそうに見えてしまう呼び名、規定外のバターである場合の名称など、色々ある。


3つ星レストランのテーブルに置かれているバターを総覧
2017/02/18
  • フランスの3つ星レストランで、テーブルに置いているバターがどこのメーカーのものであるかを記載していた記事を紹介


澄ましバターにすると、バターは焦げない
2017/02/19
  • パリの3つ星レストラン「ル・サンク」で作っていた澄ましバター
  • 澄ましバターを作っておくと、高温で加熱しても焦げず、日持ちも良くなる。
  • プロの隠し技だが、作り方はいたって簡単なので、作り方を紹介






ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター

外部リンク:
フランスバター特集

記事に登場させたフランスのバターの検索
(楽天市場)
【上質のバター】
ボルディエのバター
ベイユヴェールのバター
エシレのバター
イズニーのバター
フランスの高品質食品保証AOP/AOCを持つバター

【ポピュラーなバター】
プレジデントのバター


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2017/01/22
そのまま食べるには堅かったり、味が強すぎたりしてしまった古いチーズを使って作るフロマージュ・フォールfromage fort)と呼ぶチーズ・スプレッドがあります。

英語に直せばストロング・チーズ。

フランス人でも、このチーズを知らなかったら驚く名前のようです。それでなくてもきつい匂いのチーズがあるフランス。名前にストラングなんて付いていたら、ものすごく臭いチーズを思い浮かべますから。きついチーズが好きな人は喜ぶし、あっさりしたチーズが好きな人は後ずさりする。

下はチーズ屋さんで売っていたフロマージュ・フォールです。古くなったチーズも捨てないで食べる、という生活の知恵で生まれたチーズなので、本来は家庭で作るチーズなのですが、たまには売っているのを見かけます。



友人が作ったフロマージュ・フォールを食べながら作り方を教えてもらったときは、糠漬け(ぬかづけ)を作るための糠床を連想しました。かたさの具合も同じ。

保存する容器まで似ているではないですか?
Jarre en grès vernissé

かき混ぜて、足りなくなったら足していくのも同じ。でも、日本の糠味噌は手でかき混ぜるけれど、フロマージュ・フォールは木のヘラでかき混ぜるという違いがある。

幾つか食べてみた市販されているものは、「フォール(強い)」とは言えないくらい軽くて食べやすいチーズスプレッドでした。

作っている山羊チーズ農家の人に聞いたら、それほど古くはないチーズを使うとのこと。一般受けするには、余りきつくしない方が良いのでしょう。買ったときに食べごろはいつかと聞いてみたら、パッケージに書いてある賞味期限を過ぎたときから食べ始めるのを勧められました!

フロマージュ・フォールも糠床も、古くなると味に深みが出てきます。

とは言っても、フロマージュ・フォールを何年も寝かせておくことはないと思っていたのですが、1894年に出版された本の中に、1744年から貯蔵している家庭があると書かれているのだそう。

リヨンに近い村だそうです。花嫁はオレンジの花の冠と一緒に、親から受け継ぐフロマージュ・フォールの壺ももらったとか。昔の日本でも、ゆか床を子どもに分けてあげたりしていたのではないかな?...


ブドウの収穫シーズンに作るブルゴーニュ南部のフロマージュ・フォール

このチーズが存在することを教えてくれたのは、ブルゴーニュ地方のソーヌ・エ・ロアール県にあるマコネ地域の出身の友人でした。この地域ではよく食べるチーズ・スプレッドなのだそうですが、同じブルゴーニュ地方でも、お隣のコート・ドール県では全く知られていません。

前回の「ブルゴーニュ産の山羊チーズは、堅くなり過ぎたら再生できる」に書いたように、マコネは美味しい白ワインと山羊のチーズ(シェーヴル)の産地。その2つを使って作るので、とても美味しいものが出来るのです。

地球の温暖化でワイン収穫の時期は早くなっている傾向がありますが、ブルゴーニュの伝統的なブドウ収穫シーズンは9月末。

ウキウキした雰囲気になるブドウ収穫ですが、マコネで育った友人には、その時期とフロマージュ・フォールは結びついているようです。

この時期にたくさん作り、食べて減ってきたらチーズや白ワインを加えて、また混ぜる。そうして春まで食べ続けるのだそう。

ブドウ収穫期にたくさん作るというのは、昔は近所でブドウ畑を持っている家の収穫を大人も子どもも手伝うので、働いてくれる人たちにフロマージュ・フォールを塗ったパンを間食としてふるまったからだろうと思います。

ブドウ畑で働いているときの休憩時間に、フロマージュ・フォールを塗った大きなパンを白ワインを飲みながら食べれば、かなりの腹ごしらえになるので、しっかり働いてくれるはず!

春まで食べるのにも理由があります。

伝統的には、冬の間は山羊の乳しぼりはせず、チーズは作りません。12月から3月までお休みというところでしょうか。その間に山羊たちは出産します。

つまり冬から春までの間は山羊のチーズは食べられないのですが、古くなったチーズでフロマージュ・フォールを作っておけば、冬の間もずっと山羊チーズが食べられるというわけなのです。春になれば、新鮮なチーズを食べることができるので、フロマージュ・フォールは終わりにする。

下は、友人が作ってくれたもの。



これは出来立ての状態。少し置くと、色が濃くなってきます。



秋も深まってくる頃から春先までしかフロマージュ・フォールを食べないというのは、昔は冷蔵庫がないのでチーズが熟成しすぎてしまうからだろうとも思います。

冷蔵庫などには入れないで常温で置いておいたら、どんどん味は強くなり、「フォール(強い)」と呼ぶのにふさわしくなってきます。夏の暑い時期に常温で放置していたら、強すぎて食べられないのではないかな...。

作り方によっても、始めからかなりきつい味のになったりしますが、そういうのに抵抗があれば、他に入れる味の余りしないチーズの分量を多くして、ほとんどフレッシュな山羊チーズのような感じに仕上げることもできます。食べ比べてみて、私は余り強くないのが好きだと思うようになりました。

フロマージュ・フォールは大きな容器で作って、表面の部分をナイフでそぐように取ってパンに塗って食べるものなのだそうです。

そのまま食べて良いのですが、トーストしたパンに塗って、サラダを添えれば立派な軽食になります。

私は、パンに塗ってからオーブンに入れて、こんがりと焼いたものを食べるのが好きです。


Fromage Fort - FROMAGERIE NEUVILLOISE LE GONE




スライスしたパンに何かを乗せたものを、フランスではタルティーヌ(tartine)と呼びます。

フロマージュ・フォールは田舎で食べる庶民的なチーズなので、やはりパン・ド・カンパーニュ(田舎パン)が合いますね。

バゲットというのは、毎日パンを買わせるために考案されたものです。

昔のフランスの農家では、日曜日にたくさんパンを焼いてストックするので、次の日曜日にならないと焼きたてのパンは食べられませんでした。

つまり、パン・ド・カンパーニュは1週間保存することができるパンです。


フロマージュ・フォールはフランス各地で作られている?

古くなった山羊のチーズがあるのでフロマージュ・フォールを作ろうと思い、インターネットでレシピを検索したら、フランス各地で作られているのだと知りました。

ブルゴーニュ南部の人に言ったら、自分たちが元祖なのだと言うでしょうけれど。

フランス各地で伝統的にあったと言っても、南東部のリヨン市を中心にした広い地域(ブルゴーニュ南部も含まれる)と、北フランスにある伝統のようでした。

美味しいフロマージュ・フォールを作るには、質の良いチーズと白ワインが必要なので、その両方があるブルゴーニュ南部で一番美味しいのを作る伝統があったと思うのですけれど。

北フランスにはワインがないので変だと思ったら、シードル(リンゴ酒)で作ってしまうのでした。ノルマンディーは牛の酪農が盛んでチーズも作られており、シードルも特産品。その2つがある地方だからなのでしょうが、余り美味しそうな感じはしませんけど...。古くなったチーズの廃物利用として生まれたのではないかと思ってしまう。

フロマージュ・フォールは、作られた地方によって色々な呼び名があるそうです。

シードルで作るフロマージュ・フォールは、その地方ではfourmagéeなどと呼ばれるそうです。

 

私が馴染みのある糠床に似たフロマージュ・フォールとは違って、ペースト状に見えました。

色々な作り方があります。でも、私が知っている山羊チーズで作るのは、ブルゴーニュ南部のマコネと呼ぶあたりの地域、ボージョレー地域、リヨン周辺地域でだいたい同じような作り方をしていると思いました。ボージョレーはワインで有名ですが、山羊のチーズもなかなか美味しいのを作っているのです。


3カ月前に作られた山羊チーズ

さて、この際に廃棄処分を免れることにした私の山羊チーズです。気に入っているマコネの山羊チーズを作っている農家で買ったのを冷蔵庫に入れたまま、すっかり忘れておりました...。



いつ買ったチーズだったかを思い出すと、ちょうと3カ月前というところ。

チーズは冷蔵庫に入れてはいけないと言われるのですが、私はカビが生えた山羊チーズが好きではないので、入れてしまいます。もう石のようにコチコチ。

チーズは生き物なので、これは死んじゃっている? あるいは、化石化して生き残っている?...

でも、何カ月たっても食べられるのが山羊チーズ。これも、まだ問題なく食べられそうです。鼻を近づければ山羊の香りがするという程度でした。

こうなってしまった山羊チーズは、おろしてパルメザンチーズの代わりにもできるのですが、今回はフロマージュ・フォールを作ってみることにしました。


ブルゴーニュ南部のレシピは?

フロマージュ・フォールは各家庭で好みによって作るので、これがレシピだというものは存在しません。結局のところ、残ってしまった古いチーズと、それを中和するために軽いチーズを混ぜれば良いのだろうと思います。

インターネットでレシピを探したのですが、どうも気に入らない。それで、友人から教えてもらったのと、私の感覚で作ることにしました。

作りながら味見して、もっと柔らかいのが良いとか、味が薄い方が良いとか調整できます。自分の好みに合わせるために入れるものの分量を加減するので、つまりは正確なレシピは必要ないのです。

マコネの友人が言っていた材料を書き出してみます。

1.古くなった
山羊のチーズ(シェーヴル)
黒くなったカビはそぎ落とし、おろして細かくする。
2.フロマージュ・ブラン癖がないフレッシュチーズ。山羊チーズのきつさを抑え、ペースト状にするために必要。
3.バター湯せんで柔らかくしたもの。脂身が入るので味が良くなるのと、ある程度のコシを持たせるためのようです。
有塩バターを使うときは、最後の塩加減に注意。
4.癖のないチーズ
(ハードタイプ)
熟成が進んでいないコンテエメンタールグリュイエールなどが良い。
古くて堅くはなっていないものを使い、山羊チーズと同様におろして細かくする。
5.マコネの白ワイン高級ワインである必要はないけれど、これでかなり味の良し悪しが決まる。少なくとも、辛口の白ワインを使うこと。赤ワインはダメ。
6.マール・ド・ブルゴーニュブドウの搾りかすで作ったブランデー。これを入れるとフロマージュ・フォールがかなりきつくなるので、私は入れない方が好き。入れるにしても、ほんの少しです。
7.塩、コショウ古くなった山羊チーズの分量が多いか、味がかなり濃縮されている場合には、入れてもほんの少しにする。


材料を混ぜれば良いだけなので、いたって簡単です。ただし、チーズをおろすのに手間がかかる。フランス人は、グラタンにのせるチーズもおろすためか、たいていの家庭にこんな風な道具があります。

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チーズをおろせば良いわけなので、どんな道具を使っても同じです。でも、この道具ならチーズを入れてハンドルを回せば良いので、早く処理できます。

パルメザンチーズをおろすときも同じですけれど、フロマージュ・フォールを作るときもコチコチ状態ではない方が楽ですね。今回はコチコチなので、道具を壊しそうなので、普通のチーズ用のおろし金を使います。

友人は山羊のチーズを柔らかくするために、フロマージュ・ブランというフレッシュチーズを入れます。

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私がフロマージュ・ブランを初めて作ってみたのは、日本にいたときのことでした。フランスではごくありふれていて、安く買えるフロマージュ・ブランというチーズは、日本ではほとんど売っていない感じがします。近所のしゃれた食材を置いている店にもありませんでした。

ネットショップでは、少しは売っているのですけれど:
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わざわざ取り寄せることもないと思って、フロマージュ・ブランなしで作ってみました。柔らかいペースト状には出来上がらないので、パンに広げて塗るには不適切でしたが、友人が作ってくれるものより味が落ちたとは全く思いませんでした。

インターネットで紹介されていたレシピでは、フロマージュ・ブランではなくて、生クリームやヨーグルトを入れるのもありました。1週間くらいで食べきってしまわないといけないフロマージュ・フォールのレシピではないかな?... 長く保存するのは心配で、私は試してみる気にもなりません。


結局のところ、古くなって味が強くなった山羊チーズに、くせの無いチーズを入れて味を中和するということ。そういう軽いチーズとして、サン・マルスランを使っているレシピもありました。それも何となく美味しそうな気がしました。



インターネットにあったレシピで目に付いたのは、ポワロ葱(リーキ)のゆで汁を入れているものが幾つもあったことでした。

それを入れると、チーズのきつさが抑えられるのかと思ったのですが、発酵を促進させるためのようです。

いつか少しの分量で試してみたいと思いますけれど、とりあえず手元に無いので入れないことにします。

そのほか、おろした玉ねぎを入れるというのもありましたが、これも長期保存するのは心配。

香辛料としては、塩コショウの他にナツメグを入れるのもある。これは美味しくなるかもしれない。


山羊チーズで作るフロマージュ・フォールのレシピ例

インターネットで拾いだした、私に馴染みがある山羊のフロマージュ・フォールに見えたレシピをメモしておきます。

が地元の人たちが作っているサイトのレシピなのですが、私にはチーズ店のサイトに入っていたが友人のレシピに最も近いと思いました。

ブルゴーニュ南部の村住民サイト: ブルゴーニュ風
  • シャロレー山羊チーズ 10~12個(非常にドライ状態。約 2Kg)
  • フロマージュ・ブラン(全乳) 2 Kg
  • グリュイエールチーズ 0.5 Kg
  • 濃厚な生クリーム 250 g
  • おろしたニンニク 1片
  • コショウ 大さじ1杯
  • 塩(好みによる)
  • ワイン(シャルドネかアリゴテ) 1.5本
  • マール・ド・ブルゴーニュ グラス1杯(好みによる)
リヨン/ボージョレー地域のレシピ
  • 非常にドライな山羊チーズ 500 g
  • ブルーチーズ 250 g
  • バター 小さじ1杯
  • マコネの白ワイン 20 cl(カップ1杯)
  • ポワローのゆで汁 10 cl(100 cc)
おろしたチーズとバターを容器に入れ、ワインとポワロのゆで汁を少しずつ入れてかきまでる。程よいペースト状になったら1週間寝かせるが、毎日ワインとポワロのゆで汁少々を加える。
パリ首都圏チーズ店サイト: マコネ風
  • マコネ山羊チーズ 4個(約220 g)
  • コンテチーズ 250 g
  • フロマージュ・ブラン(ドライ) 250 g
  • マコネ白ワイン 25 cl (250 cc)
  • バター 250 g
  • 塩、コショウ

ミックスして密封容器に入れ、セラーなどの涼しい場所で2週間保存する。
もし発酵が十分でなかったら、ポワローのゆで汁カップ1杯を加えてかき混ぜてから蓋をし、さらに1週間寝かせる。
発酵が終わってから、マール・ド・ブルゴーニュをグラス1杯加える愛好家も多い。

 料理サイト: ブレス・リヨン・ボージョレー風
  • フロマージュ・ブラン 500 g
  • ポワロのゆで汁(チーズの熟成具合による)
  • 蒸留酒(好みで)
  • 山羊などの古いチーズ(フロマージュ・ブランの半分よりは多い量)
  • エメンタールかグリュイエールチーズ (1つまみ)
  • 塩、コショウ
  • ナツメグ(好みで)
混ぜた材料を入れた壺に布巾をかけ、暖炉のそばなどの暖かい場所で2日間寝かせたら出来上がり。その後は涼しい場所で保管する。


お作りになりたい方には役立つだろうと思って動画を探したのですが、「fromage fort」で検索したのに英語で話している人ばかりが出て来てしまったのでした。イギリスでは、フランス風の食べ方として普及しているのでしょうかね。

英語のレシピを見てみたら、チーズは古いものではなくて、カマンベールなど、何でもチーズなら良いという感じで使っていました。チーズとニンニクをミキサーに放り込んでかき混ぜている。私が上にあげたレシピでは、ミキサーなどは使っていません。

ミキサーでドロドロのペースト状にしてしまうのには抵抗を感じたし、全く美味しそうに見えないので、ここに動画を入れるのは止めておきます。

シャロレーの山羊チーズで作ったらしいフロマージュ・フォールを食べている画面はありました。材料をかき混ぜて、このくらいの硬さに仕上げれば良いという参考になるでしょうか。


100 villes 100 défis : Génélard et ses 3637 tartines de fromage fort du Charolais

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外部リンク:
【フロマージュ・フォールのレシピ】
☆ Cuisine et Gastronomie: Le fromage fort, ou l’art d’accommoder les restes
☆ Le Chevabignien: Recette Bourguignonne du fromage fort
☆ Androuet: Fromage fort à la Mâconnaise
Tartines grillées de fromage fort maison (recette bourguignonne)
Fromage fort à la lyonnaise
Fromage fort du Lyonnais
Recette de fromage fort fabriqué avec des restes de fromages (Lyon, Beaujolais, Bresse)
Le fromage fort de Bresse
☆ Le Journal des Femmes: Recette de Fromage fort
☆ Nizier du Puitspelu, « Le littré de la Grand'Côte », 1894(P.173)

【フロマージュ・フォールの種類】
Un Tour de France des Fromages Forts
☆ Wikipedia: Fromage fort » フロマージュ・フォール


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2017/01/19
山羊チーズ(シェーヴル)が大好き。

と言っても、生産者によって味の差は余りにも大きいと感じています。酷いのになると、牛のミルクを混ぜて作っているのではないかと疑ってしまう。山羊ミルクのほのかな香りがなかったら、魅力はゼロに等しいと思う...。

同じく好きなチーズのコンテは、「これは美味しくない!」と腹が立つようなのに出会うことはまずないように思うのですけれど。

普通にスーパーでも買える山羊チーズとして、無難だと思うのはサント・モール・ド・トゥーレーヌです。カビの出し方がお見事♪

サント・モール・ド・トゥーレーヌ
コンテ



ブルゴーニュの山羊チーズ: マコネとシャロレー

ブルゴーニュ南部では、山羊を飼育してチーズを作っている農家が無数にあります。

そこで作られる軽るくてフルーティーな白ワインと良く合う。

私のデイリーワインはマコネ。

それで、私が食べる山羊のチーズはそこで生産されたものばかりになっています。

牧場に生える草と、温暖な気候が良い山羊のミルクができる要因だと思う。ブルゴーニュ北部でも山羊のチーズを作っていますが、全く美味しくない...。


ブルゴーニュ南部では、マコネとシャロレーの2つの山羊のチーズ(chèvre)が原産地呼称 AOC/AOPを獲得しています。


AOP マコネ
最低10日間の熟成後:
重さ 50~65 グラム

AOP シャロレー
最低16日間の熟成後:
重さ 250~310 グラム
直径 6 cm、高さ 7 cm

AOC/AOPの山羊チーズとして売れる指定地域でも、ブルゴーニュの場合はそのラベルを付けて売るチーズは作らない農家が多いと感じます。原産地呼称を付けるためには熟成期間を長くしたりする必要があり、それだけお値段も高くしなければならない。

原産地呼称なしでも美味しければ需要には事欠かないので、すAOC/AOPにする必要がないと考えるようです。そもそも、そういう高品質保証は馴染みのない地域の消費者にはアピールするわけですが、ブルゴーニュ南部の山羊チーズは大半が地元で消費されてしまうのではないかな。

さすがに、パリの高級チーズ店に行くとマコネやシャロレーを売っていますが、ブルゴーニュ地方の中でも北の方にいると見つけることは難しいです。日本には全く入っていないのかもしれない。少し探しただけでは販売している形跡が見つかりませんでした。

ともかく、地元にいれば、生産している農家に行って、山羊たちの顔も見て、味見をして気に入った農家を何軒か決めています。家畜を飼っている場合には、その農家の人が良い人柄だと美味しいと感じます。動物に愛情を注いでいると、健康に育つからではないかな...。

シャロレー地域で山羊チーズ作りを始めて早々に品評会でも優勝している若者グループの様子がYouTubeに動画に入っているのを見つけました。



ブルゴーニュ南部で飼育されている山羊では、このchèvre alpineという品種が主流です。


山羊チーズはどんどん小さくなる

最近の私は、マコネよりシャロレーの方が好きになりました。山羊のチーズは何カ月も保存しても大丈夫なのですが、だんだん堅くなっていき、塩分も強くなるのです。

大きなシャロレーは、いつまでも中が柔らかくて楽しめるのです。特に、お気に入りにしている農家のは塩分が多くないせいか、3カ月くらいたっても大丈夫。

お気に入りにしているシャロレー山羊チーズ農家の直売だと、普通のが1個350円、AOP付きのが1個600円という感じ。同じブルゴーニュの中でも、生産地を離れると、AOPでないのに1個1,000円以上で売られています。


豆腐のようになった状態のチーズをfaisselleと呼ぶ容器(チーズドライナー)に入れて固めるわけですが、ここまで小さくなってしまうかという対比が面白かったので写真を撮っていました。



左側がチーズを整形する容器で、左に並べてみたのは農家で買ったばかりの段階なのですが、こんなに小さくなってしまっているわけです。

これはシャロレーの山羊チーズですが、2リットルのミルクから1個のチーズができるのだそう。

私は、出来立ての山羊のチーズも好きです。まだ塩を付けてない状態のフレッシュな山羊チーズも好きですが、早く食べないとダメになってしまうのが欠点。

塩を少し付けた段階のを買えば、自分で保存しているうちに熟成していきますから、何も始めから堅くなっているのを買う必要はないと思ってしまう。古いチーズが好きな人もいるのですけれど。


チーズをどう保存するか?

フランスには、チーズを家でストックしておくための蠅帳のようなものがあります。風通しが良くないといけなく、だからと言って、空気の流れがありすぎると良くないので微妙ではあります。少し湿度が高いセラーなどにチーズを入れて保存すると美味しくなるのですが、なかなかそういう場所はないのが問題...。

私が持っているのは、これ ↓ 「マコネの山羊チーズ農家で買い物(2006/09/13)」に入れた写真です。



優れたデザインのを見たとき、買いたいと思ったもののお高いので諦めたことがありました。どのくらいの値段で売っていたかな... と思って探してみたら、たくさんでてきました。



こんなに色々なものを売っているとは驚きました。たいていのフランス人は、チーズをさっさと食べてしまうか、冷蔵庫で保存しているだろうと思っていたので。

ところで、冷蔵庫でハードタイプのチーズを保存するとき、フランス人たちはアルミフォイルにくるんで入れている感じがします。でも、私はアルミの成分がチーズに移ってしまうようで好きではない。

いつも行く山羊チーズを作っている農家で話したら、ケーキを焼くときに使うクッキングシートが良いと言われました。



それを教えてもらって以来、山羊チーズを冷蔵庫で長期保存するときにはクッキングシートでくるむようになりました。フレッシュな山羊チーズには水分が多いのですが、シートが吸収してくれるのでベトベトになることはなく、うまい具合に冷蔵庫の中で乾燥してくれるのです。

チーズは生きているので、冷蔵庫で保存するのは良いことではないのでしょうが、黒いカビだらけにはならないのがが気に入っています。


古くなった山羊チーズは変身する!♪

山羊チーズは冷蔵庫に入れないで保存していると、表面にカビが生えてきます。毒ではないので食べられるのですが、私は何となく気持ち悪い。でも、山羊チーズは古くなっても問題なく美味しく食べられます。カマンベールやブリのような白カビタイプは、食べ時を過ぎてしまったら、もう捨てるしかないと思う。

コチコチに堅くなった山羊チーズは、それをフレッシュチーズのようにする方法もあります。山羊チーズ産地のブルゴーニュ南部では、伝統的なフロマージュ・フォールを作るのです。

工場生産のように大規模な山羊チーズでない限り、冬になると山羊の乳しぼりはやめるので、チーズは売り出さなくなります。その間も山羊チーズを食べ続けられるという保存方法。

家庭でするのが普通だと思うのですが、売っていることもあります。



マコネと呼ぶ山羊チーズと白ワインの産地で生まれ育った友人がいつも冬になると作ってくれていたのですが、自分で1回作ってみたら、全然悪くない出来上がりになりました。

この冬、石のようにコチコチになった山羊チーズがあるので、また作ってみようと思ったところ。

続きです:
レシピ: 古くなった山羊チーズで作るフロマージュ・フォール


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2017/01/17
昨年の秋のことを思い出しました。
9月末というのに、レストランのテラス席で食事ができてしまうほど気温の高い日のこと...。

それほど頻繁に行くわけではないけれど、もう長いこと通っていたレストランなので、経営者も従業員もこちらを覚えていてくれています。入っていくと、顔見知りになっているオーナーシェフ夫妻、ソムリエ兼給仕長、従業員の人たちと握手で挨拶をするというアットホームな雰囲気が気に入っています。

テーブルについてお品書きを眺め始めると、キール酒が運ばれてきてくれます。新入りのウエーターさんが応対したときもそうなので、マダムや給仕長がしっかりと目を光らせていて、あちらにはキールの無料サービスをするが習慣になっているのだと指示を出しているのだと思います。

レストランに入る前には食前酒を飲んでいることが多いので、いらないのだけどな... と思うこともあるのですが、この日は暑かったので、キール酒が格別に嬉しかった。


前菜が終わってメイン料理を待っていたとき、私のワイングラスに向こうの景色が映っているのに気がつきました。



ほとんど透明の白ワインなのに、黄色味が濃くなっているので景色がはっきり見えるようです。グラスの中では景色が逆になって、さらにその下では景色がもとに戻っている...。

何か特別なものを見た子どもの気分。料理を町ながら何枚も写真にとってしまいました。


このとき眺めたグラスは、もしかしたら一生記憶に残るのかもしれない...。

つい最近、このレストランによく一緒に行く友人から言われたのです。

シェフは引退して、このレストランは3つ星レストランのシェフの手に移ることになった。もちろん、その人が来るわけではなくて、誰かシェフを雇うらしい。

でも、料理の修行を済ませた跡取り息子がレストランを継ぐはずだったのに...。

レストランが閉鎖されるというのは本当なのかインターネットに入っている記事で確認すると、もう時間の問題というところまで来ているようでした。シェフは60年間この仕事に携わっていたのだそう。今年71歳で引退を決心した。昔は早くから働き始めたのですね。

不動産を手に入れたのは投資会社で、レストランを切り盛りするのはは、ここから150キロくらいのところにある3つ星レストランのシェフ。すでにあちこちに彼のレストランがあるので、その1つになるようです。計画されているのはブラスリーらしい。

そういえば、跡取り息子さんは余りレストラン経営に関心を持っていないのだという噂が流れていた。修行から帰って来たころは今流行の創作料理で、伝統的な料理を主に作っていたお父さんとは違うので、すぐに息子さんの方の料理だなと分かりました。そういえば、最近はお父さんシェフの料理に戻っていたかもしれない。


グラスに景色が逆さまに映ったのに見とれた日には、なんとなく不自然なことをレストランで感じていました。

日本の友達がフランス製のエプロンが欲しいというので探していたのですが、気に入ってもらえるようなのが見つからない。パリあたりだったら何かしゃれたのがあるかもしれないけれど、地方都市では見つからないのです...。日本の方が良いのがあるのにな... と思いました。

私が行ける町にある店を何軒か回ってエプロン探しをした後だったので、レストランでもお給仕の人たちのエプロンに目が行ってしまいました。

なかなかしゃれているのです。紐を前で結ぶのも、日本では珍しいかもしれない。いかにもフランスらしい♪ という感じに見えました。

3つ星レストランなどだったら、お土産やレストラングッズを売っている立派なブティックが併設されているのが普通なのですが、ここでも何か売っていたような気がする。

ダメで、もともと。トイレに行こうとして通った帳場にマダムがいたので、レストランのエプロンを売っていないかと聞いてみました。

その返事が、なんだか気になったのでした。エプロンは新しいデザインのに切り替えるところなので、今は在庫がなくなるまで使っている。それで、分けてあげられるものがない、と言うのです。

なくなるまで使うって、不自然ではないですか? 注文する前に、人前に出れないような状態のエプロンしかない状態になったら、どうするの? フランスは日本と違って、「この日までに届けてください」と言ったって、そうはいかない国なので、余裕をみて行動しないといけない国なのです。

マダムと立ち話していたとき、料理を運んでいくウエーターさんが通りました。こちらの話しを耳に挟んでいるのは明らかなのに、なんとなく「聞いていません」というような感じで通っていったのでした。

あの時、すでにレストランは手放すことにしていたのではないかな?... つまり、ストックが切れかかっているけれど、レストランの名前が入ったエプロンは、もうう注文する必要なないのだ... と。


私なんかより、悲しんでいるのは従業員の人たちだと思う。フランスでも日本でも絶滅の危機にある、昔風のメンタリティーで従業員を家族のように面倒を見ている経営者だったのです。だから、気持ちよくみんなが働いている雰囲気の良さがあったのでした。

また1つ、なくなりますか...。


色々な人たちが目の前からいなくなっていく。他界されなっくても、引退されると同じこと...。

フランス関係の知人では、なんだか美味しいものを食べさせてくれた人たちばかりの気がします。食べられなくなるから残念さが大きく感じるのかもしれないけれど...。

とびきり美味しいワインを格安に売っていたワイン農家のご主人が数人。エシェゾーという銘柄の赤ワインの美味しさを私に教えてくれたご主人は、奥さんの後追い自殺...。

高級食材の代理店だったので、ブルゴーニュの別荘に来るときは段ボールいっぱいのお土産を持って来てくれていたパリの社長さん。彼がガンの末期症状のとき、暖炉の前でしみじみと私に「あなたの顔を見ていると心が休まる」と言っていたのです。めったに行かないパリにいたとき、道でばったり会った人から彼の葬儀ミサがあると聞かされ、お葬式に行ってしまったという不思議なご縁...。

エスカルゴを捕まえて、素晴らしく美味しく調理した料理を毎年食べさせてくれていたお爺さんは、もう一人暮らしができなくなってケア付き老人住宅に入ってしまった。もう二度と、本物のエスカルゴは味わえないかもしれない。

チーズの巡回販売をしていたけれど、もう退職した近所のお爺さん。村のイベントで出会ったら意気投合して食事に招待してくれた関係で、いつも私の家の前で車をを止めてくれるので何か少し買うと、創味期限が切れそうなチーズや乳製品をおまけでどっさりくれていたっけ。義理で買っていたというのもあるけれど、彼が仕入れるチーズは素晴らしく美味しかった。

レストランに通って親しくなったシェフが、私が手作り日本料理をふるまったお礼にと3つ星レストランに招待してくれたりもしていたのだけれど、引退してから間もなく他界してしまった。

数え切れないほどいるな...、美味しいものを食べさせてくれていた人たち...。

馴染んでいたものが姿を消していくのは寂しい。長生きしていると、取り残されるだけなのだろうな...。



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カテゴリー: レストラン | Comment (6) | Top
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2017/01/11


地域圏(région)をどう再編成するかが議論さていたのですが、ようやく2016年の始めに、これになったという新しい行政区分が出てきました。その時点では新しくできた地域圏の名称が何になるか分からなかったのですが、秋になって全てがはっきりしたようです。

2015年末には地域圏は22あったのですが、合併して数が減りました。でも、「フランス本土には幾つの地域圏になったのでしょう?」と質問されたら、幾つと答えるのが正解になるのでしょうか?

コルシカ島は、特別地方公共団体(collectivités territoriales)となり、地域圏(région)という呼称は与えられていないのです。だから、フランス本土にある地域圏の数は12あるというべき? でも、コルシカ島も地域圏と同じ機能を果たす行政区分になっています。

地域圏がどうなっているかという以外に、フランスの行政区分は、ひと言では語れないほど複雑な構造になっています。在日フランス大使館のサイトでは、本土の地域圏の数は13だと書いてあるので、それで良いのだろうと思います。


新しい地域圏の地図(2016年以降)

こうなりました。



以前と同じ地域がそのまま残った地域圏もありますが、以前は2つだたり、3つだった地域圏が1つの地域圏を作ったところもあります。その場合、以前の名称を並べて新しい地域圏の名称にしてくれれば分かりやすかったのですが、全く新たな名称を作ったところもあります。

Grand Est(大東部)、Nouvelle-Aquitaine( 新アキテーヌ)なんていう名前は、西部劇を連想してしまう! 広い地域になった「新アキテーヌ」は「大西部」にすれば完璧だったのに...。

Hauts-de-France(フランス上部)は、もっとマシな命名ができなかったのかなと思うけれど、地図で見れば確かに一番上にありますね。私は方向音痴なので「上の方」と言ってしまうのですが、「北」と言えと言われるのですけど。

Occitanieというのはオック地方。オック語が話されるオクシタニアのことなのでしょうが、ちょっと問題がありますよ。この地域圏には、スペインと跨ってカタルーニャ語の言語圏も入っているのですから。地元では問題になったみたい。

大東部(Grand Est)は、アルザス地方とシャンパーニュ地方という、結びつかない地域が一緒になっているので違和感を感じます。その行政中心地はストラスブールになりましたが、この町は最も外れにあります。

シャンパーニュ地方に住む友人は、新しい首府のストラスブールまで来いと呼び出しがかかったら、片道300キロもあるのだと言っていました。フランスのことですから、電車に乗れば行けるというものではないので不便すぎる。この人などは良い方で、シャンパンのメッカのようなのランス市からストラスブール市に行くには400キロ近いのでした。

地域圏が合併して新しい地域圏が誕生しても、私にはどうでも良いのではありますが、困ったことがおこりました。


アルバムソフトで写真を整理するのが不便になった


デジカメで写真を撮るようになってからは、パソコンにアルバムソフトを入れて整理しているのですが、もう長いこと気に入っているのは「Adobe Photoshop Lightroom」です。

キーワードも入れられし、撮影した場所も登録できるので、後で写真を探すときに非常に重宝します。

GPS機能付きのカメラは持っていないので、よく知らない土地を旅行したときには移動先でまずiPhoneで1枚写真を撮って、それをアルバムに入れることにしています。

Adobe Photoshop Lightroomというソフトには、iPhoneのGPS情報が入って、そこをクリックするとGoogleマップが開くのでいたって便利なのです。

それで市町村と県がアルバムに登録し、それに対応する地域圏を探して分類します。私と地域圏名の関係はそこにあります。

フランス本土には96の県があるので、自分がよく知っている県以外は覚えていません。でも、地域圏で言われれば、だいたいどの辺にあるかは分かっていました。

ノルマンディー地方が2つに分かれていたのが1つになったのは大歓迎。もともと、私の写真アルバムでは2つに分けていませんでした。アルザス地方とロレーヌ地方も一緒になったのは、歴史的に運命を同じにした地域なので抵抗がありません。

ところが、合併してして面積が広くなって地域では、地域圏の名前を見ても、どの辺で、どの文化がある地域なのかが私には結びつかないものもあるのです。

例えば、シャンパンの産地のシャンパーニュ地方と、ドイツと国境を接するアルザス地方が合併しました。

アルザス地方に行くと、ドイツに来たかと思うような街並みなのです。そこにいるのはフランス人なのに、「フランス語で話しても良いですか?」と聞きたくなってしまいたくなるほど。

家々の窓辺にはゼラニウムがあり、玄関先にはドイツ人がいる、と冗談を言われる地方なので、他とは全く違う雰囲気があります。

アルザスの街

こういうアルザスらしい風景写真を探し出そうとしたら、やはりシャンパーニュ地方とアルザス・ロレーヌ地方は一緒に整理しない方が好ましい。

迷ったあげく、アルバムに入れる地域圏は、以前のままの名前で登録し続けることにしました。

ところが、地名の辞書代わりに使っているWikipediaでは、もう新しい地域圏名しか教えてくれないのです。日本語ページでは更新が遅れるので助かっていたのですが、だんだん訂正されてきてしまいました。

地域圏名の新旧対照表を誰かが作るはずだと思って、1年前から探していたのですが見つけることができませんでした。写真をアルバムで整理するときに、いちいち複雑に調べるのは面倒なので、あきらめて自分で対象表を作りました。インターネットに載せておけば、いつでも自分でアクセスして参照できるので。


古い地域圏の地図(2015年まで)

県名が入った 旧地域圏区分地図
Départements+régions (France)
Départements+régions (France).svg
県コードが入った 旧地域圏区分地図
Départements et régions de France
Départements et régions de France,svge


県が属する地域圏の新旧対照表

地域圏名
県(県コード)
Auvergne-Rhône-Alpes
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ

圏都:
Lyon
リヨン
Rhône-Alpes
ローヌ=アルプ

圏都: Lyon
Ain (01)
Ardèche (07)
Drôme (26)
Isère (38)
Loire (42)
Rhône (69)
Mètropole de Lyon (69)
Savoie (73)
Haute-Savoie (74)
Auvergne
オーヴェルニュ

圏都:Clermont-Ferrand
Allier (03)
Cantal (15)
Haute-Loire (43)
Puy-de-Dôme (63)
Bourgogne-Franche-Comté
ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ

圏都:
Dijon
ディジョン
Bourgogne
ブルゴーニュ

圏都: Dijon
Côte-d'Or (21)
Nièvre (58)
Saône-et-Loire (71)
Yonne (89)
Franche-Comté
フランシュ・コンテ

圏都: Besançon
Doubs (25)
Haute-Saône (70)
Jura (39)
Territoire de Belfort (90)
Bretagne
ブルターニュ

圏都:
Rennes
レンヌ
Côtes-d'Armor (22)
Finistère (29)
Ille-et-Vilaine (35)
Morbihan (56)
Centre-Val de Loire
サントル=ヴァル・ド・ロワール

圏都:
Orléans
オルレアン

※2015年以前はCentre(サントル)という地域圏名だった
Cher (18)
Eure-et-Loir (28)
Indre (36)
Indre-et-Loire (37)
Loir-et-Cher (41)
Loiret (45)
Grand Est
グラン・テスト

圏都:
Strasbourg
ストラスブール
Alsace
アルザス

圏都:Strasbourg
Bas-Rhin (67)
Haut-Rhin (68)
Lorraine
ロレーヌ

圏都: Metz
Meurthe-et-Moselle (54)
Meuse (55)
Moselle (57)
Vosges (88)
Champagne-Ardenne
シャンパーニュ=アルデンヌ

圏都:Châlons-en-Champagne
Ardennes (08)
Aube (10)
Marne (51)
Haute-Marne (52)
Hauts-de-France
オー=ド=フランス

圏都:
Lille
リール
Nord-Pas-de-Calais
ノール=パ=ド=カレ

圏都:Lille
Nord (59)
Pas-de-Calais (62)
Picardie
ピカルディー

圏都: Amiens
Aisne (02)
Oise (60)
Somme (80)
Île-de-France
イール=ド=フランス

圏都:
Paris
パリ
Paris (75)
Seine-et-Marne (77)
Yvelines (78)
Essonne (91)
Hauts-de-Seine (92)
Seine-Saint-Denis (93)
Val-de-Marne (94)
Val-d'Oise (95)
Normandie
ノルマンディー

圏都:
Rouen
ルーアン
Haute-Normandie
オート=ノルマンディー

圏都:Rouen
Eure (27)
Seine-Maritime (76)
Basse-Normandie
バス=ノルマンディー

圏都: Caen
Calvados (14)
Manche (50)
Orne (61)
Nouvelle-Aquitaine
ヌーヴェル=アキテーヌ

圏都:
Bordeaux
ボルドー
Aquitaine
アキテーヌ

圏都:Bordeaux
Dordogne (24)
Gironde (33)
Landes (40)
Lot-et-Garonne (47)
Pyrenees-Atlantiques (64)
Poitou-Charentes
ポワトゥー=シャラント

圏都: Poitiers
Charente (16)
Charente-Maritime (17)
Deux-Sèvres (79)
Vienne (86)
Limousin
リムーザン

圏都:Limoges
Corrèze (19)
Creuse (23)
Haute-Vienne (87)
Occitanie
オクシタニー

圏都:
Toulouse
トゥールーズ
Midi-Pyrénées
ミディ=ピレネー

圏都:Toulouse
Ariège (09)
Aveyron (12)
Haute-Garonne (31)
Gers (32)
Lot (46)
Hautes-Pyrénées (65)
Tarn (81)
Tarn-et-Garonne (82)
Languedoc-Roussillon
ラングドック=ルシヨン

圏都:Montpellier
Aude (11)
Gard (30)
Hérault (34)
Lozère (48)
Pyrénées-Orientales (66)
Pays de la Loire
ペイ・ド・ラ・ロワール

圏都:
Nantes
ナント
Loire-Atlantique (44)
Maine-et-Loire (49)
Mayenne (53)
Sarthe (72)
Vendée (85)
Provence-Alpes-Côte d'Azur
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール

圏都:
Marseille
マルセイユ
Alpes-de-Haute-Provence (04)
Hautes-Alpes (05)
Alpes-Maritimes (06)
Bouches-du-Rhône (13)
Var (83)
Vaucluse (84)

Corse
コルス(コルシカ島)
Collectivité de Corse

圏都:
Ajaccio
アジャクシオ
Corse-du-Sud (2A)
Haute-Corse (2B)
※ 日本語は在日フランス大使館のサイトにある表記に合わせています。



A quoi servent les régions ?





ブログ内リンク:
★ シリーズ記事目次: フランスの市町村について
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ

外部リンク:
☆ L'Obs: AVANT-APRES. Découvrez les 13 noms des nouvelles régions de France 02/07/2016
☆ Wikipédia: Région française » フランスの地域圏
☆ 在日フランス大使館: フランスの地方制度改革
フランス地域圏の行方 2015年3月
☆ OVNI: 22の地域圏が13に。 2014/12/15


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2017/01/08
前回の記事「栗色といったら、どんな色?」に書いたように、日本では栗に関係した色の名前がたくさんあって、栗がどういう状態のときの色なのかということから色の名前が作られていました。

フランスの色の名前で栗から出来たものを3つ見つけたのですが、シャタンもマロンも「栗色」、シャテーニュは「明るい栗色」という訳語しかないのが面白くない。

マロン
marron
#582900
シャタン
châtain

#8B6C42
シャテーニュchâtaigne
#806D5A


シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!
その15


シャタン色が気になる

シャタンは、栗の実を意味するシャテーニュ(châtaigne)から出来た言葉で、フランス人の多くがこの色の髪の毛の色だと言われます。茶色に少し金髪を混ぜたような色。

マロン色は栗の鬼皮の色で、シャタン色を見ても私は栗を連想していなかったように思います。

シャタン色はフランス人の髪の毛の色として覚えた単語なのですが、動物の毛の色でも違和感がないらしい。

シャタン色の牛というのが出てきました(左)。人間の髪の毛で濃いシャタン色(châtain foncé)と呼ばれる色合い(右)と同じように見えました。

 

この牛の品種名はAure et St Gironsなのですが、原産地の人たちは「Casta」と呼んでいるのだそう。スペイン国境に近い地域で、この地方で使われていたオック語では、栗のことをcastagneと言うので、この牛の呼び名もそこから来ているのでした。

châtain(シャタン)を仏英辞典でひいたら、brownとありました。栗とは関係がないわけですか? としてら、シャタンを「栗色」と訳さなくても良いではないですか?


亜麻色の髪の乙女

フランスの作曲家ドビュッシーの作品に、「亜麻色の髪の乙女」という曲がありました。私は、なんとなくシャタン色の髪の女の子を連想していたように思います。

マルーン
(日本、英語)
#800000
マロン
(フランス)
#582900
シャテーニュ
(フランス)
#806D5A
シャタン
(フランス)
#8B6C42
亜麻色
(日本)
#C7B897

シャタンという色は、亜麻色に近いではないですか? シャタン色の髪は、人によって濃かったり、薄かったりします。薄いシャタン色だったら亜麻色になりそう。

曲の題名を「栗色の髪の乙女」と訳すと美しくないから亜麻色にしたのかと思って調べてみたら、ドビュッシーの原題は「La Fille aux cheveux de lin」で、「lin(亜麻色)」という単語を使っていたのでした。


La Fille aux cheveux de lin (MP3) 

上は、フランスで販売している音楽「亜麻色の髪の乙女」についていた絵です。ルノワールの作品だし、私もこういう女の子を連想していたかもしれない。

拡大した画像を見ると、この子の髪の毛の色は少し褐色を帯びているので、シャタンとは言わないかもしれませんね。でも、少なくとも、上にカラーコードで出した「亜麻色」には見えません。

☆ この絵の拡大画像: Portrait d'Irène Cahen d'Anvers


亜麻色の髪とは、金髪?

Wikipediaにある「亜麻色の髪の乙女」からのリンクで英語ページに飛んでみたら、英語の題名は「The Girl with the Flaxen Hair」だと分かりました。フランス語の題名をそのまま英語にしていますね。

そこに英語に訳された詩が書いてあるのでちらりと眺めると、「ゴールデン・ヘアー」という文字が目に飛び込んできました。

亜麻色の髪って、金髪なのですか?!

曲はフランスの詩人Leconte de Lisle(ルコント・ド・リール 1818~1894年)の詩からインスピレーションを得たとのことなので、フランス語の詩の原文を探して比較してみました。


Sur la luzerne en fleur assise,
Qui chante dès le frais matin ?
C'est la fille aux cheveux de lin,
La belle aux lèvres de cerise.

.....
Baiser le lin de tes cheveux,

On the lucerne midst flowers in bloom,
Who sings praises to morning?
It is the girl with golden hair,
The beauty with lips of cherry.

.......
To stroke the gold of your tresses

「lin」は亜麻ですから、フランス語の「cheveux de lin」を日本語では「亜麻色の髪」としたのは自然。英語でも題名はフランス語のままの訳なのですが、詩の中では金髪に置き換えているわけです。

この詩の日本語訳はどうなっているのか探したら、下のフレーズを大勢の方が使っていました。

夏の明るい陽をあびて
ひばりとともに愛を歌う
桜桃の実のくちびるをした美少女

luzerneという植物が消えてますね。

でも、日本語にしたらウマゴヤシなんていう変な名前ですから、訳された方が消したかった気持ちは分かる! ウマゴヤシのお花畑に少女が座っているなどと言ったら、全くロマンチックな光景ではありませんから。

ウマゴヤシはどうでも良いのですが、亜麻色の髪が消えている...。上にフランス語と英語で並べた部分の訳ではなくて、要約なのだろうと思います。

フランス語と英語は近いですから、英訳をした人はフランス語が分かっていて、原文に忠実だったはず。

亜麻色というのは、金髪だったのかな...。


亜麻色って、どんな色?

そもそも、リネンと呼ぶ布になる亜麻という植物の、何を持って色にしているのでしょう?...

亜麻の花
亜麻の繊維
Lin teillé (= fibres longues) extrait des pailles
Lin teillé (= fibres longues)
extrait des pailles
.
亜麻の種
Flax seeds
Golden flax seeds


フランスの色にlin(亜麻)があったのですが、金髪とは無縁の色になっていました。亜麻を英語にした「flax」という色の説明を見たら、これは亜麻の種の色から来ているのだと分かりました。

とすると、金髪ですね。

フランスの色名和色英語の色名
châtain
シャタン
#8B6C42
lin *注
(亜麻)
#FAF0E6
亜麻色
#C7B897
Flax / Flaxen
(亜麻)
#EEDC82
Gris de lin
(亜麻の灰色)
#D2CAEC
*blanc de lin(亜麻の白)とも呼ぶ

ここに入れたフランスの色名にある「lin(亜麻)」は、ペンキやインテリアなどで使う色の名前で、髪の色に使うのとは関係がないのだろうと思いました。

仏仏辞典でみると、cheveux de lin(亜麻色の髪)は「Cheveux d'un blond très clair(非常に明るいブロンド)」となっていました。

gris de lin(亜麻のグレー)は「亜麻の長繊維のような灰色」と書いてあります。別の情報によると、この色は布とは無関係で、紫色っぽい青なことに特徴がある亜麻の花の色だとありました。初めて登場したのは1616年というのまで書いてあるので本当らしく感じます。第一、カラーコードで出した色からは、花の色だと言われた方が納得できます。

ともかく、亜麻色の髪というのは金髪の一種であることは間違いなさそう。

詩を書いたルコント・ド・リールは、詩に登場している美少女をスコットランドの女の子としているそうなのです。生まれながらに非常に明るいブロンドの髪のフランスには余りいませんが、ヨーロッパも北の方に行けば多いのですよね。


亜麻色の髪の実例を探してみる

「亜麻色の髪」あるいはフランス語で「cheveux de lin」を検索すると、ドビュッシーの曲ばかりが出てしまう。フランスで普通に使われる表現なのかと疑いたくなるほどでした。

カツラを探しても様々な色が出てきてしまうし、ヘアーカラーの商品では亜麻色として売っているものが見つからない。それで、辞書にあった定義で探してみることにしました。つまり「非常に明るいブロンド」。

ヘアーカラーのブロンドでは、「非常に明るい」にも形容詞が付いて色々なニュアンスを出して販売されていたのですが、上から2つの段階のナチュラルカラーは、こちらでした ↓

非常に明るいブロンド
非常に非常に明るいブロンド


結局のところ、亜麻色の髪というのは、麻のロープをほぐしたみたいな感じではないのでしょうかね?...

つまり、フランスのサイトに入っていた、こんな髪の毛!:
2010 – La fille aux cheveux de lin


フランスのサイトで、ドビッシーの『亜麻色の髪の乙女』を語るときに挿絵としてよく使われていたのは、下に入れる動画にも入っているニンフの絵でした。


Debussy - La fille aux cheveux de lin (Orch)


その他、「亜麻色の髪の乙女」の挿絵にしているのは、明るい金髪の若い女性の絵が目立ちます。こちらとか、こちらとか、こちらとか。


フランスでは、「亜麻色の髪という表現はあまりしないのでは?

「cheveux de lin」をキーワードにして検索すると、ドビュッシーの曲に関したページばかりがヒットしてしまいます。フランスの辞書関係は充実しているので、普通の単語なら、語源は何か、いつ文献に現れたかが分かるのに、何も出てこない。

私自身も、ドビュッシーの有名な曲の名前だから知っているという程度で、知り合いの人が「亜麻色の髪だ」と言われているのは聞いたことがないように思います。

でも、私が知らないフランス語というのは無限にあるのは自覚しているので、「聞いたことがない = 存在しない」にはなりません!

一人で調べてみようと思ったのですが、さじを投げて、語彙が豊富なフランス人に聞いてみました。

そうしたら、ドビュッシーの作品の名前だけれど、自分は使ったことはなく、どんな色の髪なのかも全く想像できない、と言われてしまいました。

やはり、フランス人なら誰でも知っている表現ではないのは確かなようです。

詩ではスコットランドが舞台ということもあるので、「亜麻色の髪」というのは英語をフランス語にしたのではないかと思えてきました。

バルザックの小説『Le lys dans la vallée(谷間の百合 1836年)』も、英語の呼び名をフランス語にしたというしゃれた題名なのです。フランス語でmuguetと呼ぶスズランは、英語ではLily of the valley。

バルザックの『谷間の百合』が1836年、ルコント・ド・リールの『亜麻色の髪の乙女』が1852年の作品。この頃のフランスでは、英語をフランス語にするのが流行っていたのでは?

日本のサイトでは亜麻色の髪とはどんな色なのかについてたくさんのページが出てきたのですが、フランス人は興味を持たないらしくて、何も情報が出てこないので、自分勝手に想像してしまったわけです。

「亜麻色の髪」に対応する英語の「flaxen hair」で調べたら、どんな色なのか出てくるのではないか、と思って英語Googleで画像検索してみました

始めから、英語で情報を探せば良かった! ドビュッシー以外でも、色々なページがヒットしたのです。つまり、フランスと違って、英語圏ではよく使われるらしい。

ちなみに、仏語Googleで「cheveux de lin」を画像検索した結果は、こちらです。ドビュッシーは除外せよと指定しても、髪の色が何なのか見えてきません。英語圏との違いが大きすぎるでしょう?

英語で「flaxen hair」と呼ぶ髪の色についても、詳しい説明が出てきました。

金髪の中では淡い色だが、白っぽくはなく、赤や金や茶色がかってもいない。

英語で画像検索したら、ずばり「Beautiful Flaxen Hair」と題された画像が販売されていました(左)。


Beautiful Flaxen Hair Lock
英語の色名


Flax / Flaxen
(亜麻)
#EEDC82



シュジー・ソリドールが、典型的な亜麻色の髪の女性?

フランスでも「亜麻色の髪」という表現を全く使わないはずもない。実際のフランス人で、典型的な亜麻色の髪と言われる人の写真が見たいと探したら、やっと出てきました。

歌手Suzy Solidor(シュジー・ソリドール 1900~1983年)について、「短くカットした亜麻色の髪のシレーヌ(人魚姫)」という表現で書いているフランスの記事がありました。

この女性の名前をキーワードにして検索すると、彼女の髪の毛が「亜麻色の髪」と呼ばれるらしいと分かりました。彼女のアルバムにそう題されたものがあったせいもあります。

どんな髪の毛だったのかよく見えるカラー写真はなかったのですが、たくさんの画家が彼女を描いていました。

下は、アール・デコの画家タマラ・ド・レンピッカが描いたシュジー・ソリドール。


Portrait of Suzy Solidor de Tamara de Lempicka


かなり個性的な女性だったようで、フランスで「années folles(狂乱の時代)」と言われる1920年代に流行した「garçonne」を象徴する女性だったと書いてありました。

また脇道にそれる。garçonne(ギャルソンヌ)って、なに?

男の子、つまり英語のボーイに相当するのがgarçon(ギャルソン)で、その女性形です。男性に生まれたかった女性のことなのだろうと思って無視しようと思ったのですが、ギャルソンヌはこの時代の流行に対する言葉なのでした。

辞書では「自由奔放な生活をする男のような娘」とか「ショートカットをする女性」くらいしか出てこなかったのですが、Wikipediaのフランス語ページには「Garçonne (mode)」があって、モード用語とされていました。

そこからは、日本語ページでは「フラッパー(flapper)」にリンクしていました。Wikipediaは信頼できないと思っているのですが、よく説明してくれているな♪ と感心してしまうこともある!

1920年代の女性解放運動でしたか。世界第一次大戦中には、女性たちも専業主婦をやっていられないで社会進出をしたから、私たちだって! という機運が高まったのでしょうね。

ファッション史のことは何も知らないのですが、この時代のモデルさんたちの写真を、やたらに髪を短くした女性たちが多いので、異様には感じていたのです。

仏和辞典と仏仏辞典では、garçonneという言葉がフランスで流行して定着させたのは、Victor Margueritteの小説『La Garçonne(1922年)』だと書いてありました。

この歴史は面白そうなのですが、シュジー・ソリドールの髪の毛の話しに戻します。
Revenons à nos moutons !


彼女の肖像画が色々入った動画を入れておきます。


Lili Marleen - Suzy Solidor

辞書にあったように、淡い金髪の色ですよね。

シュジー・ソリドールは、ブルターニュ地方からパリに出てモデルとしてスタートしていました。生まれた場所は、英仏海峡でイギリスと向かい合う地域。先祖はケルト民族という、フランスでもかなり異質の特徴がある地方。このあたりだと、こういう目立つ金髪の女性がいても不思議はないな...。


こういうのが亜麻色の髪だったか、とイメージが落ち着いたので、今回の長々続いてしまった栗シリーズは終わりにします。とはいえ、色が気になってしまったので、そちらの方はもう少し続けますが。


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!

ブログ内リンク:
フランスの美しい女の子 2013/08/06
★ 目次: 色について書いた記事
★ 目次: クラシック音楽
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・テレビ番組
★ 目次: フランスで耳にする歌 (シャンソン、童謡など)

外部リンク:
☆ Wikisource: Vianey - Les Sources de Leconte de Lisle, 1907
☆ CNERL: Définition de LIN
☆ L'Internaute: Couleur gris de lin
スコットランドの美少女
☆ 日本の色: 亜麻色(あまいろ)とは?

☆ Wikipédia: Suzy Solidor
 ☆ SUZY SOLIDOR LA FILLE AUX CHEVEUX DE LIN
1919/1939 : Des années vraiment folles par Martin Pénet
☆ BSジャパン: 世界で最も描かれた女 シュジー・ソリドール 226人の画家はなぜ彼女を描いたのか?
La France des années 1920
Qu'étaient les années folles à Paris
☆ Le Point: Au secours, les années 30 sont de retour !


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2017/01/03
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!
その14


長らく栗について書いてきたのですが、最後に「栗色」に触れてみます。


◆ 「栗色と訳されるフランスの色

栗が育たない国では「栗色」というのはなくて、「茶色」とか何とかいうのではないでしょうか? フランスでは中世には栗の栽培が始まったそうなので、当然ながら栗を想起させる名前の色があります。

拾ってみたところ、3つ見つかりました。

栗の木「シャテニエ(châtaignier)」の実を意味する「シャテーニュ(châtaigne)」からできた、シャテーニュ(châtaigne)という色、châtain(シャタン)という色。

それから、栗の木でもマロニエでも果実をマロンと呼ぶのでややっこしい「マロン(marron)」という色。

色の違いをフランスのカラーコードで出したものを並べてみます。


châtaigne
シャテーニュ
(明るい栗色)
châtain
シャタン
(栗色)
marron
マロン
(栗色)
#806D5A
灰色がかった明るいブラウン
#8B6C42
ブラウンと金色の中間
#582900
赤味がかったブラウン
栗 栗 マロニエ

それぞれの色の名前に仏和辞典に入っている訳語をカッコの中に加えたのですが、みんな「栗色」とされているのですね。私は栗色といったらマロン色を思い浮かべますけれど。

「シャテーニュ」という色の名前は、それほど使わない感じがします。コードで出した色は栗の皮の色でもないし、渋皮の色とも違うし、何なのだろう?.

英語情報では、シャテーニュはDonkey Brownに近いとありました。
Donkey Brown(#816E5C)
なるほど、ロバはこういう色が多いですね。

「シャタン」には馴染みがあります。フランス人の多くは「シャタン」と呼ぶ髪の毛の色だからです。金髪を濃くしたような色で、brun(ブラウン)とblond(ブロンド)の中間にある色、と定義されていました。

シャタンは髪の色と密接な関係があります。ヘアーカラーでも、濃いシャタン色、明るいシャタン色、灰色がかったシャタンなど、色々なニュアンスを出して売られています。「マロン」と呼ぶ色合いよりも使われていることが多いように感じます。

右に入れたのは濃いシャタン色(châtain foncé)と表現されていた髪の毛。こうなると、マロンの色と違いが余り見えなくなります。

目が茶色の場合には、シャテーニュ色とマロン色は使いますが、シャタン色とは言わないですね。


発音も綴りも全く違う3つの色を全て「栗色」と訳すのは面白くないので、栗に関係した和色の名前を探してみました。


日本の色には、栗がたくさん登場する

フランスより日本の方が多いだろうなとは予測したのですが、こんなに出てくるとは思わなかった! そんなに栗は日本人には思い入れがある果実だったのでしょうか。

拾った色コードで色を出したのですが、なんだか全く違って見える色も並んでしまいました。間違っているのかもしれませんが、拾い出したものを並べてみます。色の名前に対応する色コードはもっと存在していたのですが、収拾がつかないので全部を並べるのは止めています。

和色: 一般的な栗色
栗色
(くりいろ)
#762F07
(日本の伝統色)
栗の皮のような赤みのある焦茶色。

別名: 落栗色、栗皮色、栗皮茶


《実りの色2》落栗色(おちぐりいろ)
#800000
#704B38
#5D2917
#522C1E
#591C12

栗皮色
(くりかわいろ)
#6A4028栗の皮の色で、黒みがかった赤褐色。

現代では、一般的に「栗色」と呼ばれる。

江戸時代には女帯によく使われていた色らしい。

栗皮茶
(くりかわちゃ)
#6D3C32
栗の実の皮のような黒みがかった赤褐色。

別名: 栗色、栗皮色

栗の樹皮と灰汁で茶に染める「栗皮染」がある。
#824522


和色: 特殊な栗色
栗梅
(くりうめ)
#852E19栗色を帯びた濃い赤茶色。あるいは、少し赤みの明るい茶色。

「栗色の梅染」が略されたもので、江戸時代の流行色。
梅がつく色は「紅梅色(こうばいいろ)」に代表される赤み(#E86B79)を表現している。
#6C1912
#58271E
#88503E

栗梅茶
くりうめちゃ
#CC5959赤みから黒みを帯びた茶色。
「くりむめ」ともいう。

栗金茶
(くりかねちゃ)
#B14329

蒸栗色
(むしくりいろ)
#EBE1A9蒸した栗の皮を向いた実のような、緑みがかった淡い黄色。

中国の古代書の『爾雅』にこの染色が登場している「蒸栗」の色は、日本で一般的に思われている色とは違うという説もある。

#EFEACC
#EEE2C2

小栗色
(こぐりいろ)
#72A46A未熟の小栗の色を表したものと思われる。

柴染
(ふしぞめ)
#B28C6Eタンニン物質を含んだ樹皮や柴木(山野に生する栗、楢、樫、櫟など小さい雑木)の煎汁で染めた色で、暗い灰みの黄赤。

どこででも採れる染料であるため、下位の人間の服の色とされた。
朽葉色(くちばいろ)
#796040


外国から入った色
マルーン
maroon
#501818明るい赤みの茶色
大粒の栗の名前が英語化したもので、暗い赤茶色に用いられる。
#800000
#6A1917

チェスナットブラウン#5C3E2Dマルーンより小型の栗で、色も赤みが少ない。
#68412F

フランス語: marron
#582900
英語: chestnut
#954535
イタリア語: castano
#6D351A



フランスのブラウン系の色

フランスでもブラウン系は色々あります。ただ、栗を持ち出さないだけなのでしょうね。

ブラウン系の一覧:
Code couleurs html - Les brun.

Wikipediaのフランス語に入っているブラウン系は少ないですがカテゴリーが出来ていました:
Catégorie:Brun


フランスで使われている色の名前は、和色の名前に比べると、全くつまらないですね。



栗の木とマロニエについて長々書いてきてしまったので、今回でシリーズは終わりにするつもりだったのですが、「栗色」と訳される「シャタン」という色が気になるので、まだ続けます。

続き:
 亜麻色の髪とは、淡い栗色ではなかった 2017/01/08


 シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!

ブログ内リンク:
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
【茶色】
☆ Wikipedia: Palette Teintes de brun
☆ Wikipedia: Châtain
☆ Wikipédia: Marron (couleur)
☆ Au domicile des mots dits et écrits: Le marronnier | La châtaigne
Marron symbolisme, histoire et expressions… notre série des couleurs

【髪の毛の色】
☆ Wikipedia: Palette Teintes de cheveux
☆ Wiipedia: Couleur des cheveux
☆ 髪の毛の色表現:  | (ヘアーカラー) | (ヘアーカラー)
Le vocabulaire du coiffeur, se faire mieux comprendre!

【目の色】
☆ Wiipedia: Couleur des yeux
☆ Wikimedia Commons: categoryEyes by color

【色】
[CODE COULEUR] Dictionnaire des couleurs
☆ Wiktionnaire: Thésaurus couleur-français


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