| Login |
2017/04/05

シリーズ記事 【フランスの食事の歴史】目次へ
その3



宴会の席では食卓の片方に座る

中世も終わりの頃になると、料理も凝ってきたし、儀式としての形式も整い、かなりのご馳走が宴会で出されたようです。

Banquet du paon
Vœux du paon(14世紀前半)

テーブルの片側だけに座るのが中世の食事だと知らなかったら、絵に描きやすいようにしたように見えてしまう。でも、お給仕をする人たちにはやりやすいでしょうね。

下は、15世紀の装飾写本に描かれた結婚披露宴の様子です。


Histoire d'Olivier de Castille et d'Artus d'Algarbe

中央には主催者と大切な招待客が座ることになっています。この絵では、中央が花嫁で、その左手に花婿がいます。その座席に近い席は身分の高い者が座り、遠ざかるにしたがって身分が下がって行く。こういう設定は、今日でも時々はすることがありますね。全員の顔が見えるので便利。


お給仕をする人たちは、貴族出身の人々で、それぞれに役割が定まっていました。

主賓席の左手にいる青い服を着た人は最も高い地位の役割。今日でいう給仕長のmaître d'hôtel(メートル・ドテル)というところでしょうか。給仕が滞りなく行われているかを見張り、最も偉い人の横に待機して、何をお望みかに気を配ります。

この係りは、宴会の間中ずっと動かずにいなければならないのだそう。彼の手前にある舟形の容器はnef de tableと呼ばれ、最も大切なオブジェなので、これの見張りをしているということにもなります。

主賓席の前に立っているのは、écuyer tranchantと呼び、肉やパンを切り分ける係りの侍臣。écuyerというのは、貴族に叙せられる以前の貴族の子弟、chevalierの下に位置する爵位を持たない平貴族。tranchantというのはtrancher(切る)から来た言葉。

Écuyer tranchantのオーナメントは、これ。



Ornements extérieurs de l'écu du Grand écuyer tranchant



左に描かれている給仕の人たちの中で、先頭に入って来ているのはpanetierと呼ぶパンを運ぶ係りです。

ワイン担当、つまり今日のソムリエ役はéchanson。

fruitierという果物担当もいます。

ブルゴーニュ公国の宮廷では、給仕係りは50人は下らなかったとのこと。


ところで、今日の宴会やレストランでは、ワインを飲むグラスがテーブルに置かれていて、それがなくなるとお給仕の人がつぎ足してくれますが、中世にはテーブルにグラスが置かれることはなかったのでした。欲しいときには給仕係りに声をかけたそうです。この絵画では、右側の床の上にワインを入れた壺が見えます。


中世の宴会では、ただ食べることを楽しむだけではなく、音楽などのアトラクションもありました。

食事が始まる合図はホルン、料理が入れ替わるときにはトランペットで知らせました。上に入れた絵では、右上で3人のménestrelと呼ばれるミュージシャンがトランペットを吹いています。


ベンチに座るからバンケット

祝宴のように大勢が集まるときは、テーブルはU字型に設置されることが多かったそうです。



この時代、ちゃんとした椅子に座るのは主催者が大切な招待客と共に座るテーブルだけで、その他の人たちはベンチに腰掛けていました。

ベンチはフランス語でban(バン)。そこから、個人的な食事とは違う「宴会」を意味するbanquet(バンケ)という言葉ができたそうです。英語でも綴りは同じで、発音はバンケット。

でも、ベンチだと座り心地が悪そう。近世になると、全員がちゃんとした椅子に座るようになりました。


中世の食事の特徴はまだ他にもありますので、続けます。次に書こうとしていることは、ここに入れた3枚の絵でも証明されているのですが、今日にフランス料理が出てくるときには欠かせないものが無いことに気づかれたでしょうか?


続く
シリーズ記事【フランスの食事の歴史】目次


外部リンク:
【Wikipédia】
Échanson
Écuyer (gentilhomme) » エスクワイア
Nef de table
Grand panetier
Grand office de la maison du roi de France
Ménestrel » ミンストレル
Banquet


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 グルメブログ フランス料理(グルメ)へ
にほんブログ村