| Login |
2017/06/01
フランスにいて面倒だなと思う風習に、手を握り合う握手と、相手を抱いてキスの挨拶があります。

私が苦手なのは、何十人も集まっている場に行ったときの挨拶。全員に向かってお辞儀をしたり、「こんにちわ♪」と手を振ったりして挨拶するわけにはいきません。一人一人に挨拶して回らなければならない! しかも、相手によって、握手にするかハグにするかを即断しなければならないので複雑です。

友人たちと例によって数時間も続く食事をしていたとき、彼らの知人についてうわさ話が出たとき、彼は自分に握手をしなかったことを理由に嫌っている人がいました。その男性と会った時、ご主人とは握手をしていたのに、その隣にいた彼女には挨拶をしてくれなかったのだそう。

数年前の出来事で、その話しは前にも聞いていたと思うのですが、そんなに挨拶されなかったことに恨みを持つものかと思ってしまいました。

このブログでは既にフランス式の挨拶について色々と書いているのですが、最近気になったのは握手の仕方でした。


握手の仕方で意思表示をしたマクロン新大統領

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の報道をテレビで見ていたら、フランス大統領に就任したばかりのマクロン氏が握手する場面が映し出されたのですが、それがとても奇妙だったのです。

マクロン氏が、待ち構えている皆さんにご挨拶するという場面です。

青い絨毯の真ん中から少し左にずれて歩いて行く。そのまま歩いていけばアメリカ大統領のトランプにぶつかるはずなのに、方向転換をして、まずドイツのメルケル首相と抱き合って挨拶。マクロン氏はEU存続を主張して大統領に当選しているので、この画面は自然。相手は女性だからレディーファーストを見せたとも受け取れる。

次に、メルケルさんの隣にいたNATO事務総長と握手の挨拶。普通なら、その隣にいるトランプ氏と挨拶になるはずなのに、また方向転換して、メルケルさんを挟んで反対側にいたベルギーの首相に挨拶。

トランプ氏は、「俺様に挨拶しろ」とでも言うかのように手を差し出してくる。マクロン氏が握手すると、トランプ氏は握手した相手を引っ張るといつものやり方をしますが、マクロン氏は左手でトランプ氏の腕に静止をかけます。

さらに、トランプ氏がよくやる動作で、相手の肩をマクロン氏が叩いている。間をおいて、トランプ氏もマクロン氏の肩を叩く。ところが、そうした挨拶が終わった後、トランプ氏は口をあけて「やられた~」という顔をしたのでした。

動画で見るとスローモーションにできるので、再び眺めてみます。


Macron appears to swerve away from Trump at NATO summit

マクロン氏は、アメリカには負けないで、ヨーロッパでやっていくのだという意志表示をするために、計算づくでやったのだろうと思いました。


雌雄(しゆう)を決するトランプ・シェイク?

マクロン氏がアメリカには負けないのだという強気を見せた行動が面白いと思ったのは、我が安倍首相がトランプ氏と会って握手をした画面でした。ヘラヘラ笑わないで頑張れ! と言いたくなりました。

「お前は俺様の子分なんだぞ。言いなりになれよな」
「はい、そういたしますよ~♪」
「よし、いい子だ」
... としか見えなかった映像。


Trump shakes Japanese PM's hand for 19 seconds

握手が終わったら、安倍首相はのけぞって口を大きく開けて「参った~!」という表情をしています。

とは言え、口を開けて笑顔でいるのは恍惚状態のようにも見えるので薄気味悪い。道を歩いていた日本人が転んで起き上がる時に笑顔を見せるのと同じかな?... 外国人には奇妙に見えると聞いたとき、確かに変だと私も思って、そういう笑顔は見せないよう気をつけていますけれど。

ともかく、マクロン vs トランプの時と同じで、勝負は決まったという2人の勝敗を見せる表情が面白いと思いました。



トランプ氏の握手の仕方には特徴があります。アメリカが優位を持っているのだ、と見せる映像にするテクニックに見えます。

日本語でカードゲームを意味するトランプは、ポルトガル語の「切り札」から来ているのだそう。とすると、トランプのトランプは握手?

各国のトップに立つ政治家たちは、トランプ氏と握手する時にはどうするか対策を練っているのではないでしょうか?
Justin Trudeau
カナダのトルドー首相も、マクロン氏(38歳)より少し年上ですが、45歳と若い。

首相になりたてのときは、外国の要人と会ったときの握手にぎこちなさがあったようなのですが、トランプ氏との握手では、見事に負けてはいなかった、と評価されていました。


マクロン氏が別の場面でトランプ氏と握手している映像もありました。


トランプ氏の「握手外交」 マクロン氏は放さず

トランプ氏がやりたいままにグイグイと好きなだけ引っ張らせてしまったのは、日本の首相だけでもなかっただろうと思うのですが、日本人としては残念...。


マクロントランプ氏との握手バトルで、完全に勝っていたのはオバマ氏ではないでしょうか?


Smiles and a handshake; Trump meets Obama at White House

普通の握手の仕方をトランプ氏がしたのは、戦いの前から自分が負けている本人が思っていたからではないかと感じました。


国のトップに相応しい気迫

日本に隠し財産や愛人も作るほどの親日家だったシラク氏が大統領だった時代、こんなことを言っているフランスの友人がいました。

フランス人は、外国に行ったときなどに、フランス人は偉いんだと思わせるような風格のある人を大統領に選ぶ。

シラク氏は、テレビで見ていると愛嬌があってお人よしのように見えますが、目の前に立たれると、かなり威圧感がありました。背が高いし、体格が立派。こちらがタジタジになるほど怖い感じに見えました。

友人が言ったことも、そうかな... と思ったのです。ドゴール将軍も巨人と言えるくらい背が高かった。ミッテランは背は低いけれど、頭の回転はよく、威圧感がある。

でも、その後に大統領になったサルコジ氏とオランド氏は、ドジをやったりしていたので、友人の言葉には全く反した人でした。マクロン氏は、久しぶりに現れたフランス大統領のタイプかな?...

いまだにお笑い草になっているサルコジ大統領の失態の1つには、こんなのがあります。


Pourquoi Sarkozy était-il en situation de malaise après avoir rencontré Poutine?

プーチン大統領との話し合いを終えて、記者会見の会場に登場したサルコジ氏が、「ご質問はありますか?」と言っているのですが、どうにも変。ウオッカでも飲まされて、アルコール飲料は一滴も飲めない彼は酔っていたのだろうと言われたのですが、最近は、2人は酒は飲んでおらず、サルコジ氏がプーチン氏に威圧されて精神的に動揺し、異常な状態になっていたのだ、と言う人がいます。

マクロン大統領は38歳と若いし、政治経験にも乏しいのですが、かなり堂々としていて頼もしく見えます。プーチン大統領と会ったときも、相手にへつらわないで、真っすぐに主張していたようです。

大統領選挙の決勝戦の前に対立候補だったル・ペン氏との討論会を見るまでは、私にとってのマクロン氏は全く魅力を感じていない男性だったのですが、この人は、もしかしたらフランスを立て直すことができる人物なのかもしれないと思えてきています。


日本にも、外国の政治家を打ち負かすほどの風格があって、まともな議論もできる政治家がトップに立って欲しい。今回のG7の様子を見せるテレビのニュースでは、誰からも相手にされない孤立した姿の首相が映っていたので面白くない。記念撮影では笑顔を振りまいていましたが、日本人に受けることが欧米社会では通用しないことも多いので、私たちは不利なのだろうな...。

冷たい握手

変な握手には、トランプ氏とは逆に、やたらに味気ないやり方をする人がいます。

握手は相手の手を適度な強さで「握る」ものだと思うのですが、手を出すだけで、全く握らない人がいるのです。少し前にアキード事件を話題にしていたとき、その首相夫人と握手をしたら、余りにも味気ないので、「この人は、なんだ?!」と不快に思ったと言う日本の友人がいました。

私が経験したのは、若いフランス人女性との握手。誰だったかは忘れましたが、ずいぶん前のことなのに、あの時の異様な感覚は未だに残っています。

それから、手がやたらに冷たいのも奇妙でしょうね。

ミッテラン大統領の内閣のポストに就いていたことがある友人は、ミッテラン氏と握手すると、いつも手が異常に冷たかったと言っていました。後にミッテラン氏は癌を患っていたのに大統領の2期目に立候補したと批判されたので、冷たい手だったのは病気のせいだったのだろうと思いました。

冷たい手ということで好きなフレーズは、Pierre Alexis de Ponson du Terrailが書いた文章。

こんな感じだったと思います:
Sa main était aussi froide que celle d'un serpent.

その手は蛇の手のように冷たかった。

フランス語では「蛇のそれ」と言っているので、そのまま意味をとってしまうのだけれど、日本語では言葉遊びができないですね。


それにしても、トランプ氏の握手は面白い。というか、少し薄気味悪い。

こんなフェイク動画を作りたくなるでしょうね:
「ローマ教皇がトランプ大統領との握手を拒否したって本当?」決定的瞬間の真偽は…

トランプ氏が大統領選挙に出馬して発言していたことについて、ローマ教皇は、彼は本当のクリスチャンではない、と言っていましたっけね。

ブログ内リンク:
★ 目次: フランス式挨拶、親しさの表現

外部リンク:
☆ CNN: もはや代名詞? トランプ氏の印象深い「握手」集
☆ CNN: マクロン仏大統領、トランプ氏との握手は「決定的瞬間」
トランプ大統領の「変な握手」をボディランゲージの専門家が分析
ガーディアンの動画が暴いた「トランプ大統領の異常な握手マナー」、トランプ・ノーマルを許してはならない
トランプ氏との握手合戦は意図的と仏大統領 あれは「真実の瞬間」
トランプ大統領の凄すぎる握手 安倍首相は餌食になったが、あのイケメン首相は…
トランプ氏との握手「無邪気なものではなかった」 マクロン仏大統領の外交デビュー「合格」 米露首脳に「妥協せず」
安倍首相がサミットデマ吹聴!“G7が共謀罪後押し”“国連事務総長「共謀罪批判は国連の総意でない」”は全部嘘だった!
insolite あるいは ridicule ?


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (6) | Top
この記事のURL | Rédiger