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2017/09/03
フランスで夏の観光シーズンには、各地で「光と音の祭典」が開かれます。もうシーズンは過ぎてしまったので来年の話題にすべきだと思ったのですが、そうすると、また時季外れの時にしか思い出さないのが常なので書いておきます。


ソン・エ・リュミエール光と音の祭典

フランス語で「Son et lumièreソン・エ・リュミエール)」と呼ばれるイベント。son(音)とlumière(光)が織りなすショー。

歴史的建造物や遺跡をライトアップして行うので、日没後に行われます。夏のフランスでは暗くなるのが午後11時頃なので、日帰り旅行では行きにくいイベントです。

ただライトアップするだけではなくて、その土地に関連した歴史を見せるストーリーになっていてナレーションが語られますが、大勢の人が出演して歴史絵巻を繰り広げるというパターンが一般的なスペクタクルになっています。

夏に旅行したときは、歴史的建造物が残る有名な観光地では、必ず光と音の祭典が開催されているのに出くわす感じがします。その土地の歴史を感じることもできるので、見つけた時にはできるだけ行くことにしています。


ソン・エ・リュミエールは、英語圏でもフランス語のままで呼ばれるとのことですが、直訳で「sound-and-light show」とも呼ばれるようです。

英語圏でもフランス語の綴りのままで言われるということは、フランス発祥のコンセプト?

調べてみたら、「ソン・エ・リュミエール」と呼ぶイベントが初めて開催されたのは、ロワールの古城めぐりで名高い地域にあるシャンボール城で、そこで1952年に行われたイベントに由来するようでした。


Château de Chambord


もっとも、建造物をライトアップするのはその前から行われていて、特に1937年のパリ万国博覧会では大々的に行われていました。

現在では花火を打ち上げたりもして華やかなアトラクションなのですが、そういうコンセプトは、もっと遡ることもできます。

例えば、オーストリア継承戦争終結のために開かれたアーヘンの和議を祝うために1749年に開かれた祝典。ルイ14世はイタリアから優れた花火師を呼び寄せ、音楽の演奏もさせる盛大なイベントをしていました。

ヘンデルは、ロンドンで行われた祝典のために組曲を作曲しています。


ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル『王宮の花火の音楽』


現代のソン・エ・リュミエールでは、広い場所で歴史絵巻を繰り広げるので、出演者がたくさん必要。それで、地域に住むボランティアの人たちが協力するイベントとなっていることが多いと感じています。


ピュイ・ドュ・フーのCinéscénieシネセニー

フランスで最高のテーマパークだと思う Puy du Fou」で書いたテーマパークPuy du Fou(ピュイ・ドュ・フー)には、世界最大規模と言われる光と音の祭典があります。このテーマパークについては、前回の日記で紹介しているので省略。


La Cinéscénie - Puy du Fou 2016

このスペクタクルに使われる敷地面積は23ヘクタール。東京ドームの約5倍。

観客席は1,400席あるのですが、大変な人気があり、バスで来るツアーもあるので、夏のイベントには春くらいには予約しておかないと席は確保できません。

ピュイ・ドュ・フーのテーマパークでボランティア活動をしている人は約3,800人いて、そのうち2,400人はこのスペクタクルを演じるボランティア。ボランティアになりたいと申し出る人は毎年500人くらいるそうですが、ウェイティングリストで順番待ちとなり、今年は150人しか受け入れてもらえないのだそう。


サン・ファルジョー城のスペクタクル

フランスでは、シネセニーのスペクタクルに次ぐ規模を誇る、という光と音の祭典がブルゴーニュ地方にあります。

規模が少し小さいだけに臨場感があるので、スペクタクルとしては、私はこちらの方が好き。舞台となる場所の前にある芝生に座ってしまえば、馬が走るときに埃をかぶってしまうかというほどに近いのです。

ここで舞台として使われるのは、ルネサンス様式の城、Château de Saint-Fargeau。

この城については、すでにブログで書いていました:
サン・ファルジョー城  2009/09/02 

三・ファルジョー城の建築が始まったのは980年なので、夜の光と音の祭典スペクタクルでは千年の城の歴史を見せます。毎年少しはストーリーを変えるようですが、たいていは同じ。何度も行っているのですが、繰り返し見ても飽きません。

私が一番好きな場面は、中世の田舎の生活を見せるシーン。ブリューゲルの絵画を彷彿とさせるのです。

Le combat de Carnaval et de Carême Pieter Brueghel l'Ancien
謝肉祭と四旬節の喧嘩、ピーテル・ブリューゲル

人がたくさんいるのは同じですが、この絵とは違うな。家畜の群れを追う人たちとか、川で洗濯している人たちとがいて、本当に美しい田園風景なのです。

スペクタクルの最後には、第二次大戦が終わってフランスがドイツから解放される場面が必ず出て来るのですが、これは私は好きではありません。でも、当時のジープのコレクションを持っているから作っているシーンのようです。

今年の開催は、7月8日(土)から8月19日(土)でした。ブルゴーニュに引っ越してきて、このイベントには行ったことがない友人夫婦と一緒に行こうと話していたのに、いつの間にかシーズンは終わってしまった...。


スペクタクルの舞台裏を見せているニュースの動画です:


Page été : dix siècles d'histoire avec le spectacle de Saint Fargeau

こちらのスペクタクルで出演するボランティアは700人くらいなのかな。この城の広報担当者にお話しを聞いたことがあります。ボランティアの人たちは、衣装作りをしたり、演劇の練習をしたりで、1年を通して準備しているのだそう。でも、無償で働くのに引き換えに、その人たちが結婚披露宴などをするときには城を使わせてもらったりするなどの配慮があるので、ボランティアになるのも楽しそうでした。

この城の現在のオーナーはギヨー兄弟。当時、レジャー指導員をしていて、お金持ちではなかったと聞きました。フランスでは、歴史的建造物を修復維持してくれることを条件に、持ち主がかなり安い値段で譲ることがあるのです。

兄弟がサン・ファルジョー城を買ったのは1979年でしたが、幾らで城を買ったかというのは卒倒するほどお安いお値段でした。話しを聞いた当時、ブルゴーニュの何でもない民家よりも安いお値段だ、と思った記憶があります。

廃墟同然だった城の修復費をねん出するために始めたのが、この光と音の祭典。城は地域に住む人たちにとっても大切な財産なので、ボランティアで手伝う人たちがいたわけです。城を手に入れた兄弟は、人望があって、人を動かす才能があったのだろうと思います。

城が現在の所有者になってから、40年以上たっているわけですね。見事に修復されて、観光スポットになっています。

サン・ファルジョー城を買った兄弟は古城がお好きなようです。上に入れた動画に登場しているミッシェル・ギヨーさんは、新しい企画も考え出して成功しています。現代技術は使わずに、中世の方法で城を建築してしまうというアイディア。

その城に行ったときに書いた日記:
建築中の中世の城を見学: ブルゴーニュのゲドゥロン城 2009/09/05

Guédelon
Château de Guédelon


古城が好きなギヨー兄弟とは対照的なスキャンダルがありました。

バブルの時期、日本人はヨーロッパの城を買いあさったのですが、フランスの城を買った富豪のお嬢様が、城を解体して売りさばいたのです。修復すると約束して買ったのだし、国から国宝級に指定されている建築物を修復しないで所持していたら、手放して売却しなければいけないという法律がフランスにはあるのですが、やっちゃった!

それを少し書いた日記:
売りに出てたブルゴーニュの観光名所: ラ・ロシュポ城 2012/08/24

歴史的建造物を解体して売れば、買ったときの値段なんかは軽く取り返せてしまうのです。もちろん法律違反なので、それをやった日本人は投獄されましたが、お金持ちなので上手く立ち回ったらしく、すぐに出てきました。その後、彼女が何をしているのかは知りません。



ブログ内リンク:
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

外部リンク:
☆ 英和辞典 Weblio辞書: son et lumièreの意味
☆ 英辞郎: sound-and-lights...の意味・用例
Premiers son et lumière (1952-1961) (論文PDF)
☆ 金沢21世紀美術館: ソンエリュミエール − 物質・移動・時間、そして叡智 (PDF)
フランス各地で行われる夏のライトアップ フランス観光 公式サイト
☆ Georges Delerue: Son et lumière
« Chambord, rêve de lumières ». Créateur du premier son et lumière au monde en 1952, le domaine national de Chambord présente son nouveau spectacle nocturne
L'invention du son et lumière
☆ Wikipedia: パリ万国博覧会 (1937年) » Exposition universelle de 1937
フランスで熱い歴史スペクタクル
La Cinéscénie:  Spectacle Nocturne Puy du Fou
Chateau de Saint Fargeau - Spectacle


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