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2007/01/06
暮れだったのか、新年だったのか、友人たちが集まった食事会のあとで夫婦喧嘩した友達カップルがありました。

人を介して話しを聞いたので真相は分かりません。ご主人は、彼が奥さんを追い出したのだと息巻いているとのこと。現実は、奥さんが怒って飛び出したのかも知れません。

ともかく、新年が1週間過ぎた今、まだ奥さんは帰ってきていないらしい。

たぶんお酒に酔っ払った勢いがあったのが原因だったと思う。前々からのうっぷんがたまっていたのなら、その機会に別れることができたので良かったけれど、一時的にカーッとなって家出したのなら残念...。

この秋に、お酒に酔ってしまうのが心配だと日記に書いたことがある女性です。そんな写真を見せてしまったのを気に咎めているのでリンクはしませんが、この日記を覚えていらっしゃる方があったら、家出してしまったのは彼女のことです。

その別れた夫婦の親友が夕食会を開きました。

その家の女の子が、冬休みが終わる前にフォンデューを食べたい、と言ったから、と私は誘われました。それから、奥さんに出て行かれた人は一人でいるので、ついでに食事に招待した、と聞いていました。

ところが、私がお家に到着して食前酒を振舞われたとき、家出している奥さんにも電話して招待してみたのだと言う。

ご主人の方は、それを知らないという設定。

ほほ~ん! 今夜はどうなるか?...


◆食事が始まる

そのうち、当のご主人も一人でやってきました。みんなで食前酒を飲んでいたのですが、家出した彼女の方はなかなかやって来ない。

もう夜の9時を過ぎていたと思います。

やはり気が重くて来ないのだろうな... と思い始めたとき、ドアをノックする音が聞こえました。

私は真っ先にイスから飛び上がって行って、彼女を抱擁して「新年おめでとう~!」とやりました。

彼女には勇気がいりますよ。オーバーに歓迎してあげよう、と私を待ち構えていたのです。

彼女が来ることは全く知らせていなかったご主人は、ブッチョウズラ。「なんだ、おまえなんかが来て...」というのが見え見えの、形だけの挨拶をしています。

かなり気の荒らそうな男性なのです。こういう人が怒ったら恐ろしいことを言うのだろうな... などと思いました。

もう遅かったので、すぐに食卓に移って食事を始めました。

彼女とおしゃべりを楽しむ友人たちと、直接会話をするのを避けているカップルがいるという、なんとなくギクシャクした雰囲気...。

でも、私たち友人仲間には分かっていたのです。彼らはお酒に酔っ払った勢いで喧嘩したけれど、ご主人がいつまでもそっけなくしているはずはないだろう、と。


◆「僕のハート」という表現

食事が終わったら、トランプをして遊ぶことになりました。

「うそつき」という、いたって簡単なゲーム。

1枚のカードを出して、みんながそれと同じ種類のカードを出す。例えば、ハートが出ていたら、ハートのカードを出す。裏返しに出すので、何を出しても良いわけです。違うのを出したと思う人がいたら、「うそつき~!」とやる。

言われた人が本当に違う種類のカードを出していたら、テーブルの上にのっているカードを全部持たなければならない。ちゃんと出していたのだったら、「うそつき」と言った人がテーブルの上にあったカードをもらう。

家出した奥さんは、ご主人に「うそつき!」を連発していました。ほとんどやけになって言っているみたい。それで彼女は、毎回カードがたまっていってしまう。皆で大笑いの連続でした。

かなり長い時間かけて、こんなゲームをしていたのは、彼らが和んでくるのを友人たちが待っていたからでしょうか? 12時を回ったころから眠くなってきた私は、早く家に引き上げたくなっていたのですが。

そのうち、兆しが現れてきました。

ご主人がハートのカードを奥さんに渡すとき、「Mon petit coeur」なんて言いだしたのです。「僕のハートちゃん」みたいな言葉。

トランプのハートのことを言っているわけなのですが、フランス人が恋人や伴侶や子どもを呼ぶときに「私の心臓」という表現があるのです。

そもそも、ハートのカードを出すときに「僕の」なんてつける必要はないのですよ。

つまり、裏がある!

しかも、トランプには、クラブだって、ダイヤだって、スペードだってあるのに、ご主人が口にするのはハートのときだけ。こういうの、暗号なのでしょうね?

奥さんの方も、だんな様の心が開いたのを感じないはずはありません。

面白いな...、などと私は感心して眺めてしまいました。

だって、日本の男性だったら、こういうのはできないですよ。日本でも若い人なら歯が浮くようなことも言えるかも知れませんが、この日の彼らは50歳を超えた人たちなのです。

夜もふけて、というか朝も近づいて、やっとお開きになりました。彼らが二人そろってお家に帰ったのは間違いないと思います。


◆もう一つのサイン?

奥さんを追い出したというご主人は、この日の昼食にはブッフ・ブルギジョンという料理を作っていました。

煮込みがたりなくてお昼には食べられなかったので、午後4時ころになってから食べてしまったとのこと。それで、私たちの夕食が始まるのが9時ころになっても、ちっともお腹はすいていないのだと言っていたのでした。

ブッフ・ブルギニョン?!

どうしてそんな料理を作っていたのかと不思議に思ってしまいました。

牛肉を赤ワインで煮込むブルゴーニュの郷土料理なのですが、かなり手間がかかる料理なのです。前の晩から肉を赤ワインに漬け込んで、色々な野菜などを入れて煮込む。しかも、大量につくるのが普通です。

ですから、奥さんを追い出して一人になっている男性なんかが、ちょっと作ってみようという料理ではないのですよ。

仲直りしたように見えた二人を見て、ご主人がなぜブッフ・ブルギニョンなんかを作ったのかが分かったように思いました。

もうそろそろ奥さんが帰ってくるのではないかと期待したのではないでしょうか? それで、彼女がいつ帰ってきても出せるようなブッフ・ブルギニョンなんかを作っていた。... という筋書き。

寒い冬にやって来た人を迎えるには、こんな心も体が温まってしまう料理はありません。

今回は友達が取り計らってくれたわけですが、それがなくても彼らは仲直りしたのではないかな?...

奥さんがひょっこり現れて、「ちょっと洋服を取りに来た」とかなんとか言う。すると、ご主人が「ブッフ・ブルギニョンがあるから、食べていかないか?」なんて言う...。

「そんなもの作ったの? それじゃ、食べていこうかしら...」なんて、奥さんが答える。

だって、めったにつくらないご馳走なのですから、「食べ物に惹かれただけ」というジェスチャーはやりやすいのです。

しかも、ブッフ・ブルギニョンは、食べ残したら、翌日にまた火を入れる。それを繰り返して何日かたってしまっても大丈夫。つまり、奥さんが姿を現わすまで置いておける料理なのです。賢い!

日本のだんな様たちは、こんな気がきいたことができるのでしょうかね?

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コメント
この記事へのコメント
ブッフ・ブルギニョンは、食べ残したら、翌日にまた火を入れる。
ブッフ・ブルギニョン!

なるほど、素敵な仲直り手段ですね。

不器用でなかなか日本の男にはできない芸当だけど、見習わなくっちゃね。
2007/01/08 | URL | ヒデオ1999  [ 編集 ]
Re:友人たちの細工があった夕食会(01/06)
心温まる短編小説を読んだような気持ちになりました。手の込んだ料理を作って仲直りするなんて、かわいい!(^^
2007/01/08 | URL | YUMI@J301  [ 編集 ]
日本だったら…
メニューは何でしょうね。

おでんかな?

手間はかからないけど、何度もあっためられるし…。

でも仲直りができて、よかったですね。

お友だちが骨を折って演出してくれたというのなら、今度はケンカするときもお友だちの顔が浮かんで、少しは抑止力になるかも。

2007/01/08 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
【Re】ヒデオ1999さんへ / ブッフ・ブルギニョンは、食べ残したら、翌日にまた火を入れる。
>ブッフ・ブルギニョン!

>なるほど、素敵な仲直り手段ですね。



⇒ 書き損なったのですが、この料理を作ると家なかに良い香りがただようのです。特別な雰囲気づくりですね。



>不器用でなかなか日本の男にはできない芸当だけど、見習わなくっちゃね。



⇒ ふと思ったのです。フランスで話しをまとめようとすると美味しい料理なのですよ。商談がまとまるのはレストラン。女性をくどくときもレストランに誘う。この人は何も特別な才覚でやったのではないな、と後になって思いました。

2007/01/08 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】YUMI@J301さんへ / 友人たちの細工があった夕食会
>心温まる短編小説を読んだような気持ちになりました。手の込んだ料理を作って仲直りするなんて、かわいい!(^^



⇒ 私も「かわいい!」と思ってしまったのです。こういうことにかけては、フランス人は本当に優れています!

2007/01/08 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】すぎちゃんへ / 日本だったら…
>メニューは何でしょうね。おでんかな? 手間はかからないけど、何度もあっためられるし…。



⇒ 私もオデンを連想していました。ただオデンだと、ブッフ・ブルギニョンのように良い香りが家中に漂うのかな?・・・



>お友だちが骨を折って演出してくれたというのなら、今度はケンカするときもお友だちの顔が浮かんで、少しは抑止力になるかも。



⇒ 別に骨を折って演出したというのでもないのですよ。家に夕食に招待するのは日常茶飯事だし、相手が別れていたって両方友達なのだから両方呼んで自然。本人同士がヨリを戻したいならそれもいいし、戻したくないならそれも良いという感じだったのではないかな?



友人たちが集まるのはレストランという東京の生活だったら、こういう何気ない設定はできないだろうな、と思いました。



この二人は血の気が多いので、また喧嘩すると思います。奥さんが出て行ける環境にあるのっていいな、と思いました。車があるから荷物も纏められる。フランスの家は広いので、とりあえず転がり込める家にも困らない。仕事もあるから自立できる。「出て行く!」とタンカを切れない奥さんの立場の方がよっぽど辛いと思います。

2007/01/08 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:友人たちの細工があった夕食会(01/06)
覚えていますよ、このご夫婦!

そうだったのですか。

何だか微笑ましいトランプ風景が見えました。

言葉で表すことが少ない日本人の男性も参考にしてほしいものです。

、、!相手に求めるだけではいけませんね。

では私も(ダーリン~☆)なんて
2007/01/09 | URL | HappyHoppy  [ 編集 ]
わぁ~~!
仲直りしてよかったですね~。

いい仲間にも恵まれ、彼女は幸せ者です!

「Mon petit coeur」ですか~~。1度は言われてみたい~~。ははは

旦那さんも、粋なことをしますね。「ブッフ・ブルギニョン」ですか~~。こりゃ~、とてもうれしいおもてなし…というか、「待っていたよ!」って言っているようなものじゃないですか~~!

やさしい気持ちが伝わります~~。。うるうる。
2007/01/09 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
【Re】HappyHoppyさんへ / 夕食会
>覚えていますよ、このご夫婦! そうだったのですか。



⇒ 危険をはらんでいると心配していました・・・。



>何だか微笑ましいトランプ風景が見えました。言葉で表すことが少ない日本人の男性も参考にしてほしいものです。



⇒ こんなことが言える文化も良いな、と思われません? 日本語には翻訳できないです。



>、、!相手に求めるだけではいけませんね。では私も(ダーリン~☆)なんて



⇒ 言えました?

2007/01/10 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】pepe犬さんへ / わぁ~~!
>仲直りしてよかったですね~。いい仲間にも恵まれ、彼女は幸せ者です!



⇒ はたから見ると、とっても良いカップルなので一緒に暮らすのが良いと思うのですけれど、本人たちが決めることなので、成り行きを追っています。



>「Mon petit coeur」ですか~~。1度は言われてみたい~~。ははは



⇒ この類いの言い回しをリストアップしたら、無限に並べられるのではないかな?・・・ 私はもっと、ありきたりでない表現をもらいたいです。



>旦那さんも、粋なことをしますね。「ブッフ・ブルギニョン」ですか~~。こりゃ~、とてもうれしいおもてなし…というか、「待っていたよ!」って言っているようなものじゃないですか~~! やさしい気持ちが伝わります~~。。うるうる。



⇒ 料理が上手な男性が多いフランスですが、この男性は料理をしないタイプだと思っていたので、そんな凝った料理を作ったと聞いたのには驚きました。日本の男性だったら、そこで高い評価をもらえると思うのですが、フランスだとどうなのかな?・・・ いつもフランス女性を見ていると思ってしまいます。どうやったら、こんなに男性をかしづかせることができるのか?!・・・ pepe犬さん、このテクニックもフランスで学んでくださいね♪

2007/01/10 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
今年も読むのを楽しみにしています
プルーゴニッシモさん

昨年から読ませていただいてますが、ブルゴニッシモさんの文章・観点はとってもおもしろく、なるほど~といつも楽しませてもらっています!



心和むエピソードですね。この先うまくいってもうまくいかなくっても、彼らにとってこの出来事が心に優しく刻まれることでしょうね・・・。



日本だと、おでんもありそうですし、日本の男性はカレーとか作りそうな感じもしますね。かなりにおいそうですが!

ちなみに、日本だと「ダウト」って呼ばれるカードゲームですね。フランス語で「嘘つき」ってなんと言うのでしょう?
2007/01/10 | URL | chiaki  [ 編集 ]
【R】chiakiさんへ / 今年も読むのを楽しみにしています
>ブルゴニッシモさんの文章・観点はとってもおもしろく、なるほど~といつも楽しませてもらっています!



⇒ 気取っているのがフランスだと思っていらっしゃる方々には許せないことを言ってしまっているのだろうなな・・・ とは思うものの、書きたいことを書いてしまっています。善意にとってくださる方があると知るのは、とても嬉しいです♪



>心和むエピソードですね。この先うまくいってもうまくいかなくっても、彼らにとってこの出来事が心に優しく刻まれることでしょうね・・・。



⇒ そうですね。一度しか生きられないのだから、悔いのない人生を送りたいと思っている私にとって、フランスは自分に正直な気持ちで生きられる国だというところが一番気に入っているのだと思います。



>日本だと、おでんもありそうですし、日本の男性はカレーとか作りそうな感じもしますね。かなりにおいそうですが!



⇒ おでんを連想していたのですが、カレーは家の中に香りがただようところが似ていましたね。でも日本でカレーを作ると、インスタント・ルーを使えば簡単にできてしまうので努力をアピールできないのでまずい!



>日本だと「ダウト」って呼ばれるカードゲームですね。フランス語で「嘘つき」ってなんと言うのでしょう?



⇒ 日本でもしたことがあるゲームだと思ったのですが、思い出せませんでした。そう、そう、ダウトです! たまたまブログに書いたことで、また一つ教えていただくことができました。ありがとうございます!



友人たちは menteur というゲームだと言っていました。実を言って、この日の私は一回も「Menteur ! (嘘つき~!)」と叫ぶことができませんでした。「疑わしい」となら言えますが、相手がちゃんとカードを出しているのかも知れないのに嘘つき呼ばわりはできないです。みんなは、そう叫ぶのを楽しんでいました。国民性の違いでしょうか?・・・

2007/01/12 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
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