| Login |
2008/12/11
友人に連れていってもらったアランビックの蒸留所には、独特の音が響いていました。

湯煎の料理を作るときのようなゴトゴトという音。
それから、蒸留された液体がしたたり落ちる音・・・。

アランビックは2台設置されていて、私たちが行ったときには、左側のはリンゴ、右側のはミラベルを蒸留していました。

蒸留酒を作ってもらいたい人たちは、ここに発酵させた果実を持ちこみます。

青い容器には果実が入っている

必要な薪も持ってくることにしているそうです。窯にくべられるように、薪は小さく切ってありました。

梨の蒸留酒を作る友人に、どういう風にした状態の梨を持ちこむのか聞いてみました。

梨が熟してくずれてきたら、手でグジャグジャにする。それでヘタと、できれば種などの芯も取り除く。あまりキレイな作業ではないですね~!

でも今年は、こういう作業をする道具を借りることができたので楽だったそう。


オー・ド・ヴィ

ところで、果実や香草などから作った蒸留酒は、フランス語では「eau-de-vieオー・ド・ヴィ)」と呼ばれます。文字通り訳してしまったら、「命の水」、あるいは「生活水」!

日本語にしたら、「ブランデー」というのが一番すっきりした言葉でしょうか?


フランスではアルコール度の強い食後酒は普及していて、色々な種類があります。

世界的に有名なフランスのオー・ド・ヴィは、コニャック地方で作られるコニャックでしょうね。コニャックは2度蒸留するのに対して、1回しか蒸留しないために個性が強いアルマニャックもありますね。

それから、ワインができない北の方の地方でリンゴから作られるカルヴァドス

ブドウをワインにした後の搾りカスではマール(marc)と呼ばれる酒が作られます。

ワインの産地ブルゴーニュで作られたものは、特に「マール・ド・ブルゴーニュ」と呼ばれて珍重されます。ワインを蒸留するのはフィーヌ・ド・ブルゴーニュ

その他にも、オー・ド・ヴィには色々あります:



でもフランス人がブランデーを飲む量は、昔に比べたら激減していると思います。特に、酒飲み運転の取り締まりが厳しくなったので、レストランなどで飲む人はほとんどいなくなったのではないかな?・・・


オー・ド・ヴィは、つまりはアルコール

蒸留酒は、フランス語の「オー・ド・ヴィ(eau-de-vie)」。
それを文字通り訳してしまったら、「命の水」あるいは「生活水」!

品質の高いワインにはブドウ畑の広さによって生産して良いワインの量の上限が定められているのですが、それを超えるブドウを作ってしまったら、オー・ド・ヴィにしてホスピスに寄付しなければいけないという法律が昔に定められたそうです。

それをワインの醸造農家で聞いたときには、面白がってしまいました。

さすがワインの国フランス!
不治の病で臥している人たちに、「命の水」を飲ませてあげる?!
なんと、しゃれた計らいでしょう♪

ずっと昔に聞いた話しなので、フランスのことも、フランス語も、私はちっとも分かっていなかった証拠でしょうね。病人に強いお酒をたくさん飲ませるようなことをするなんて奇妙!

考えてみれば、蒸留酒はアルコール。病院に寄付されたら、消毒に使われるのだと思います。そんなことは当然想像できると思って、農家の人は私に「オー・ド・ヴィ(命の水)」という言葉を使って話したのだと思います。

この法律はどうなったのかな?・・・ フランスでは「ホスピス(Hospice)」と呼ぶ施設は非人道的だとして、そういう呼称の施設はなくなっているはずだし・・・。

法律がまだ残っているとしても、そんな面倒なことを今の時代にするのは避けて、余剰のブドウは作らなくしていると思います。でも、ワイン農家の人の話しでは、昔は本当に寄付していたとのことでした。それだけアランビックの蒸留も盛んだったのでしょうね。

出来すぎてしまったブドウの房を収穫前に切り落とした状態の畑は、この秋に書いた日記「ブルゴーニュのブドウ畑: (3) 収穫前にも仕事」に写真をいれてあります。


今年は果実酒の当たり年ではなかった

蒸留酒を作る仕事をしていたのは男性一人だけでした。普段は酪農関係の器具のメンテナンスをしていて、冬の間だけアランビックで蒸留酒を作るアルバイト(?)をしているとのこと。

彼が仕事を始めた17年前には、5カ月間も蒸留酒を作るくらい果実が運び込まれたのだそうです。

いつもの年は2カ月くらい蒸留所を開いているのに、今年は1週間で終わりにすることにしたそうで、私たちが行ったのは最終日でした。

今年は天候が悪くて、果実のよくならなかったのです。

年に1度のアランビックが1週間でご用済みになってしまうなんて寂しいではないですか? 日本では野菜からも蒸留酒を作るのだ、と話しました。



ヨーロッパでも、香草などでも蒸留酒を作りますが、日本のようにサツマイモのような野菜から酒を作るというのがあるのでしょうか?

でも、サツマイモはフランスには余りない。

国産チコリそれで、この間日本に帰ったときに出会ったチコリから焼酎を作っていた話しをしました(チコリから生まれた高級酒)。

チコリというのは、フランスでは普及している野菜で、アンディーブと呼ばれます。日本でもそれを栽培しているところがあって、中津川にあるサラダコスモというところを見学したのです。

アンディーブの根っこはフランス人にはまずそうにしか見えないのでありますが、私が試飲してみたチコリの焼酎はけっこういけたのです。

でも、そんなものから蒸留酒をつくったらどうなるか、フランス人たちには想像できないようでした・・・。


アランビックで蒸留酒を作るときには税金を払う

見学した蒸留所はよくできていました。

机もちゃんとあって、書類を作っています。フランス政府のロゴがある用紙があって、蒸留酒をつくってもらう人たちが支払う税金の手続きもしているのでした。

この税金がクセモノ。

自分で育てた果実で蒸留酒を作るときに税金が安いという特典を持つ人たちがあったのですが、法律が変って、権利を世襲できなくなりました。特典をもたない人がまともに税金を払うと、市販の蒸留酒より高くついてしまう。

それでアランビックで果実酒をつくってもらう人が減ってきたので、こんなアランビックの蒸留所も消えていく運命にある、というわけなのです。
 
アルコールの度数が高いお酒の場合、販売価格の64.4%が酒税なのだという例をブログに書きました。


アルコール度数が高い酒に対するフランスの税金 2014/07/04


でも、前回の日記で書いたように、日本では蒸留酒を作ることは禁止されているのですから、高い税金を払えばつくれるというフランスの方がまだ伝統が残っていると言えるかもしれませんね。

でもフランスでも、こういう風に素人が作った蒸留酒は販売してはいけないことになっているのだそうです。


クライマックスを迎える

今回見学した蒸留所では、2回の蒸留をするとのことでした。

1回目が終ったアランビックからリンゴのカスが取り除く作業になると、部屋いっぱいに蒸気がただよいます。ドアも開けて空気の入れ替え。

アランビックの蓋をあけたところ

この作業になったときが一番の圧巻です。それが見たいがために、長々と逗留して、持って行ったワインを飲みながら色々なおしゃべりを楽しんでいたのでした。

アランビックから搾りカスを取り除くのですが、この日は「それから」があったので面白かったです。

熱くなったブドウの搾りカスでジャガイモを蒸すという料理もあるのですが、ここでは別の利用をしていました。

アランビックから取り出したリンゴの搾りカスを何に使ったのか、ご想像がつきますか?

- 続く -


ブログ内リンク:
★ 目次: 蒸留酒をつくるアランビック見学
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


コメント
この記事へのコメント
???
リンゴの搾りかすを何に使ったか?全然想像がつきませんが…
ただ、何か舌を楽しませてくれるものになったのだろうな~と、そんな気がします…そのへんはあたってるかな~。

2008/12/12 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
v-22すぎちゃんへ

さすが、すぎちゃん! そうなんですよ、口に入れるものとして再利用しているのでした。

グジャグジャにして発酵させた果実、さらに搾りカスになったらさらに酒臭くてどうしようもないのではないかと思ったのですが、そうなのでした。

誰の口に入るかまで当ててしまったら天才!
2008/12/12 | URL | Otium  [ 編集 ]
ん?
てことは、もしかして、人間の口に直接入れるのではなくて、何か動物の口に入れるのでしょうか。
最初の答えを出す前に、えさとして「豚かなにかにあげるのかな~」と思ったけど、ちょっと違う気もしてました。
お返事を読んで、もしかして鶏かなにかに詰めて料理して食べるのかな??と想像してます。
どうだろうな~

2008/12/13 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
v-22すぎちゃんへ

ファルシーという詰め物にする料理がありましたよね。そうなんですよ。まさにニワトリのお腹に詰めるのでありました。

私など、全く想像していませんでしたよ。すぎちゃんは、どうしていつもそんなに連想力があるのだろう?・・・ 怖くなっちゃうな・・・。

続き、書きますね。すぎちゃんが想像したであろうこととは少し違っていると思うけど、これ以上に正しい連想はないと思う!
2008/12/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
酒税
徴税という 語よりも
懲税という 語の方がすんなりきます。

喫煙して 懲らしめられ
飲酒して 懲らしめられ
消費して 懲らしめられる。。。

そのうち 人頭税が 施行されて
この世に存在することが
懲罰の対象になるのだ ♪

ちなみに フランスは
農業 畜産が盛んだと思うので
トウモロコシも 生産してると
思いますが、、
トウモロコシを原料とした お酒って
ききませんね。。。
2016/07/15 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 酒税
v-21 たかゆきさんへ

懲税、良いですね~♪

>そのうち 人頭税が 施行されて この世に存在することが懲罰の対象になるのだ ♪

冗談みたいな発想ですが、日本ではありそう。年をとったら税金を高くするなんて考える人がいそうなので、アイディアを教えてあげないでくださいね~。子どもを作らない人には社会保険料を高くしろ、なんて真面目に言う人たちも日本にはいたくらいなのですから、やりそうな気がするな...。

>トウモロコシを原料とした お酒って ききませんね。。。

そもそも、トウモロコシなんかから作るお酒ってあったっけ? 調べてみたら、バーボン・ウイスキーがそうなのですね。

フランス人にとってのトウモロコシは家畜の餌という認識があります。サラダに入れる粒状のは缶詰で売っていますが、丸ごとを焼いて食べるのかんかは毛嫌いされます。

トウモロコシから作ったお酒にも抵抗があるだろうな、と思ったのですが、ビールで少し使っているみたいでした。

例えば、
http://www.lasequere.com/brasserie-artisanale-landaise/bieres/
2016/07/15 | URL | Otium  [ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する