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2007/02/01
昨年末からテレビでたくさん見ていたテントに、リヨンの町で出会いました。



テント群に出会ったのは、リヨン市の中心地にあるベルクール広場(Place Bellecour)でした。銅像はルイ14世の騎馬像。17世紀につくられた広場です。

リヨンは「風通しの良い街」と言われているそうです。確かに、ゆったりとした大河が流れているし、このベルクール広場も信じられないくらい広い! 大都会とは言え、パリとは比べ物にならないくらい住み心地が良いのだ、と言うフランス人の言葉にも納得してしまいました。

★フランス政府観光局サイト: リヨン


◆単なるテントではない!

ベルクール広場を逆方向からとった写真です。こんなテント群ができてしまっていても、広場のほんの一角を占めるだけのゆとりがある広場でした。



これが昨年からフランスのニュースをにぎわせている Quechua社の「2秒間テント」。

キャンプでテントを張った方ならお分かりになると思いますが、テントを張るときには、広げて、四隅を引っ張って杭を打つという作業が必要です。ところが、この新型テントは、畳んであるのを空に放り投げると、地面に落ちてきたときにはテントの形になっているというもの。

*後日、このテントを持って歩いていた人がいたので写真を次の日記に入れました。
パリで見かけたもの 2007/02/15


パリのサンマルタン運河沿いにたくさん立ち並び、フランス各地の都市に野営テントができました。

そういう光景を毎日のようにテレビのニュースで見てきたのですが、ついに実物を見たわけです。

テントの宣伝のためのデモンストレーションではありません!

ホームレスの人たちに、せめてテントを与えようという慈善活動なのです。


この新製品テントを作っている会社が大量に寄付をしたのではないでしょうか? 連日のテレビ・ニュースで映し出されるのですから、かなりの宣伝効果があります。

でも、ホームレスの人たちが使っているというのは余り良いイメージにはならないでしょうから、単なる宣伝目的で寄付したとは思えません。


◆ドンキホーテの子どもたち

ホームレスにテントを与えるというキャンペーンを始めたのは「ドンキホーテの子どもたち」という名の慈善団体。創設は去年の11月。

「ドンキホーテの子どもたち」活動のマーク
「ドンキホーテの子どもたち」サイト: Les Enfants de Don Quichotte


フランスには約8万6,500人のホームレスがいるのだとか。

ホームレスの生活が辛いのは冬・・・。しかも、今は大統領選挙を直前にした時期で、何か政府に訴えるにはもってこいの時期なのです。


◆フランス的かな?... と思ったテント村の生活

私が通りかかったのは昼食時だったので、ボランティアの人たちが食事を出していました。



白いテントが食事を出すところ。



ちょっとしたホテルのブッフェみたいな料理でしょう? この日は、ケータリングの会社が余った料理を持ってきてくれたのだそうです。

お世話していた女性たちは、時間があるときに手伝いに来るのだと話していました。慈善活動をしている人というのは偽善者ぶっているのが鼻についてしまう場合もあるのですが、この日言葉を交わしたのは自然に活動している清々しい人たちでした。

壁に写真が貼ってあるので、そちらも写真に収めて、と言われました。

見ると、少し前にクスクスという料理を出したときの写真が張ってありました。これはフランス人がお腹をいっぱいにしたいときに食べるアフリカ料理。お肉と野菜がたっぷりあるし、暖かい料理なので喜ばれたでしょうね...。

★フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』: クスクス

テントの壁には、この野営キャンプ場で足りないものを一覧にした紙が張られていました。



つまり、こういうものを寄付して欲しいということです。

飲み物、使い捨ての食器、暖かくいられるための衣類、テレフォンカード、野菜、お肉などが不足していますね。

この日は1月というのに、コートを着ていると汗ばむような暖かい日でした。

テント生活していた人たちもテントから出てきていて、みんなでゲームをしたり、ギターを弾いたりしていて、キャンプ生活を楽しんでいるかも知れないような雰囲気に見えてしまいました。

その後、フランスは大雪が降ったりして、酷い寒さになりました。テント生活はさぞ辛いだろうな、と思ってしまいます...。

この「ドンキホーテの子どもたち」の活動には協賛する政治家もあって、ホームレスたちと一緒にテント村に泊まったというニュースもありました。

「でも、おかしいよな」、と言うフランスの友人がいました。

「ホームレスの人たちと一緒にテントで生活するより、パリ16区の自宅にホームレスの人たちを招待して寝かせてあげればいいじゃないか?! 広いアパルトマンに住んでいるんだから、20人でも30人でも引き取れるよ」

パリ16区というのは高級住宅地のことです。

なるほど、そうですよね...。


◆なぜホームレスの人たちのための施設に入りたがらないのか?

フランスは、日本とは比べ物にならないほど福祉が発達した国です。ホームレスの人たちを収容できる施設はあるのですが、ホームレスの人たちは入りたがらない。

断る理由の一つに、そういう施設ではペット禁止になっているのがネックなのだと聞きました。ホームレスの人たちには、犬と一緒に生活している人が多いのです。

絶望した人生に残された唯一の友達である犬を見捨てなければならないなら、凍え死んだ方がましだと考える気持ちは分かりますよね?

ここにも犬もいたし、可愛い子猫もいました。チョロチョロ走り回っていた子猫は、「俺たちのマスコットなんだ」と教えてくれました。

ドンキホーテの子どもたちの活動家たちは、政府がホームレスの人たちが普通に生活できる住居を与えることを要求しています。

日本からみると住宅事情は良いように思えてしまうフランスなのですが、ドンキホーテの活動から住宅問題がクローズアップされました。

大学生のための安いアパルトマンが不足していること。パリ市役所の職員の中には、住宅を持てなくて、自家用車を住居代わりにしている人がいる、などというニュースなど...。


◆「ドンキホーテの子どもたち」の創設者ルグラン氏はアベ・ピエールに瓜二つ!

この「ドンキホーテの子どもたち」の活動を私が目撃した数日後、ホームレスなどの救済に一生涯を費やした慈善活動家アベ・ピエール氏(Abbé Pierre)にが亡くなりました。

アベ(abbé)というのは「神父」と訳したら良いでしょうか? 本来は修道院長を指す呼び名なのですが(修道院はabbaye)、アベ・ピエールというのは、彼が戦時中にレジスタンス活動をしていたときに使われていた名前なのだそうです。

慈善活動家には私腹を肥やしたというスキャンダルも多いです。フランスでも、癌研究の基金を集めた慈善団体のスキャンダルは忘れられません。

ところがアベ・ピエールは私財を投じた清い人として、フランスでは絶大な人気を集めていました。

幼いときから病弱だったのに94歳の命をまっとうしました。生涯に何度も奇跡とも言えるような出来事を通して生き延びてきた、とル・モンド紙に記事がありました。

伝説になる要素のある人です。

★フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』: アベ・ピエール

そのアベ・ピエール氏に、「ドンキホーテの子どもたち」の設立者ルグランさん(Augustin Legrand)が瓜二つなのです!

こちらのページには二人を並べた写真が出ています。

左がルグランさん、右がピエール神父。お二人は余りにも似ていると思われませんか?!

「ドンキホーテの子どもたち」の創設者ルグラン氏はは俳優。テレビのインタビューを見ていると、私心はなく誠実そう。ハンサム。話をきくと、頭の切れる聡明な青年なのが分かります。

私が「ドンキホーテの子どもたち」の活動を始めて目撃したリヨンは、偶然にもアベ・ピエール氏の出身地。

アベ・ピエールにはほとんど興味がなかった私なのですが、そっくりのルグランさんは、彼に変わる慈善活動家になるかも知れない... などと思ってしまいました。

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのホームレス、貧困者について書いた記事


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コメント
この記事へのコメント
テント!
ベルクールのテントをご覧になったんですね!

食事テントのメニューは知りませんでしたが、いろいろ持ち込みで成り立っているんですね。

施設をどうして利用しないのか謎でした。

学校の先生に聞いても「さぁ~」といっていたので。。。

ペット問題がその1つだったら大きくうなずけます!

私も犬と離れるなら路上生活を選ぶと思います。



アベ・ピエールのお葬式生中継をTVで見ていました。

すごい方がいたんだ~。。。と死をきっかけに彼を知りました。

エマウスの存在は知っていましたが、彼が創設者だと知らずにいましたし、リヨン出身者ということも知りませんでした。

ルグランさんが「ドンキ・ホーテの子供たち」の創設者なんですね!

不思議と次の時代の慈善活動家が現れるものなのですね~。。。



2007/01/31 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
【Re】pepe犬さんへ / テント!
>ベルクールのテントをご覧になったんですね!



⇒ 久しぶりにリヨンを少し歩く時間を持てました。田舎で大都会を貶す人たちの声に染まってしまったいたのでリヨンは敬遠していたのですが、道端などで会って言葉を交わした人たちにはゆとりがある! パリとは全然違って、リヨンは居心地の良い街だという認識を持ち、またゆっくり時間をかけて歩きたくなりました。



>施設をどうして利用しないのか謎でした。学校の先生に聞いても「さぁ~」といっていたので。。。 ペット問題がその1つだったら大きくうなずけます!



⇒ とびきり可愛い子猫がチョロチョロしていたので、一緒に遊びたくて声をかけたのですが、私は完全に無視されてテントの中に逃げ込まれてしまいました。ホームレスの人が「俺たちのマスコットなんだ」と言うので、逃げられても仕方ないな・・・と諦めました。



>私も犬と離れるなら路上生活を選ぶと思います。



⇒ 普通に生活をしていたって、こちらに命をあずけて生きていると感じるペット。それを放置しなければならないなら、凍え死んだ方がましだと思う気持ちは痛いほど分かりますよね・・・。フランスの老人ホームでも、ペットの存在がアルツハイマーを回復させる効果があると実証されているのだけれど、お役所の仕事は・・・。



>アベ・ピエールのお葬式生中継をTVで見ていました。すごい方がいたんだ~。。。と死をきっかけに彼を知りました。



⇒ 旅行していたので特集番組は見ることができなかったのが残念です。慈善活動をしながらも私腹を肥やせる今の世の中、こういう人がいて欲しいと思ってしまいます。



>不思議と次の時代の慈善活動家が現れるものなのですね~。。。



⇒ テレビで見る限り、ルグランさんには好感を持ちました。最近のテレビで見る大統領選挙候補者たちの偽善的な笑顔が対象的です。醜い生き方は、まかり通らないで欲しいな・・・。

2007/02/01 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:「ドンキホーテの子どもたち」に出会った数日後に、アベ・ピエールの死去を知る(02/01)
まあ、テントもカラフルで食事も豪華ですね!



ブルゴニッシモさんの日記で本当にすんでみないと感じられないお国事情がわかり楽しませていただいています。

旅だけでは計り知れない文化の違いも感じます。

2007/02/01 | URL | HappyHoppy  [ 編集 ]
【Re】HappyHoppyさんへ / ドンキホーテの子どもたち
>まあ、テントもカラフルで食事も豪華ですね!



⇒ 私たちには想像もできないような辛さを味わっている人たちに、このカラフルなテント村とか豪華な食事を提供している暖かさを感じました。



>ブルゴニッシモさんの日記で本当にすんでみないと感じられないお国事情がわかり楽しませていただいています。旅だけでは計り知れない文化の違いも感じます。



⇒ 私の方も、ブログを書くことで色々学ばせていただいています。コメントで色々なことを教えていただいたり、いい加減なことは書けないので調べたりするおかげです。今回はニュースを見ていて気になっていたワンタッチ・テントがどんなものなのか調べ上げてしまいました♪

2007/02/01 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:「ドンキホーテの子どもたち」に出会った数日後に、アベ・ピエールの死去を知る(02/01)
ホームレスになる人たちって、仕事がしたいのに仕事が無い、できないのか、仕事がしたくないからホームレスをしているのか、わかりません。

だから手を差し伸べるべきなのか、自力で立ち上がるのを見守るべきなのか、複雑な気持ちです。



アメリカでは最近、ホームレスの人たちに食べ物などの支援をしないように市や州から警告が出てきていて、各地に広がっているようですが。



人の命の問題なので支援するのも、支援しないのもどちらも正論だとは思いますが、ホームレス問題に関してはいつもモヤモヤした気持ちになります。(2007/02/05 01:07:50 PM)



*** このコメントは間違って削除してしまったので、バックアップからコピーしたものをブログ管理人が貼り付けましたので、お許しください。***

2007/02/07 | URL | NATASIA  [ 編集 ]
【Re】NATASIAさんへ
貴重なご意見をコメントで入れてくださって、本当にどうもありがとうございました。



私は議論が大好きなのですが、インターネットに公開しておくと誤解を招くおそれがあるテーマになってしまいました。こんな文字制限もあるコメント欄では、NATASIAさんも正確なご意見を書ききれなかったでしょうから、何か揚げ足をとられるのを心配します。いつもコメントを入れてくださっているお友達にまで不愉快な思いはさせたくないです。



私たちのやりとりのコメントは削除させていただきましたが、どうか悪くとらないようにお願い申し上げます。私の方は、NATASIAさんのコメントを貴重なご意見として、バックアップを保存させていただきました。



NATASIAさんが初めにコメントで言われた「手を差し伸べるべきなのか、自力で立ち上がるのを見守るべきなのか、複雑な気持ちです。」ということで、私たちの意見は一致していると思いました。

2007/02/07 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
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