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2007/12/12

シリーズ記事目次 【フランスで「スープ」と呼ばれる料理、土鍋】 目次へ
その1


なぜだろう? と思ったことは、2つあります。

両方とも、明治時代に作られた風習ではないでしょうか? その経緯を調べあげた方があるだろうとは思うものの、まだ回答を見つけていません。


不思議その1: フォークの背にライスを乗せて食べるという作法は、
        誰が考えたのだろう?


今の若い方はそんな風にしろとは教えられないのかも知れませんが、私はそう習いました。

余りにも不自然なマナーだと思っていました。それで、フランス人と食事をする機会を持ち始めた時期には、彼らがお米をどうやって食べるのかと観察してしまいました。

そんな食べ方をするフランス人はいません。普通にスプーンのようにフォークを使って食べています。

明治時代に、それがマナーだ、と決めた日本人がいたのでしょうか?

あるいは、アドバイザー役のイギリスがいて、日本人のために考え出したのかも知れない・・・。イギリス人はマナーが好きらしいので。

フランスの映画の中に、イギリス人を茶化すためだったと思いますが、こんなシーンがありました。

イギリス人二人が差し向かいでレストランに座っていたのですが、丸ごとの西洋アザミを出されて戸惑います。やがて、おもむろに二人はナイフとフォークで食べだしたのでした。

ご存知ない方のために説明しておきます。フランス料理には、手づかみでないと食べられないものがあるのです!

それと同じで、いくらマナーにうるさいイギリス人だって、ヨーロッパのパラパラ米をフォークの背に乗せて食べるのは無理だと思うのですが・・・。

フォークの背にライスをのせて食べるというのは、日本で初めてオープンしたフランス料理店でのマナーだったとか、そんな経緯がありそうな気がします。


不思議その2: なぜスープ、ステーキというメニューを定番にしたのだろう?

もう10年も前のことだったと思います。フランス料理コースが1万円とあって、料理がショーウインドーに入っていたので、それを写真にとってフランス人に見せたいと思ったことがありました。

彼らが面白がるだろうと思ったからです。

1万円のコースは、スープ、ビーフステーキ、グリーンサラダ、デザート、というものだったのです。

かなりのお値段のコースにそれだけ?! と、フランス人がびっくりするのは目に見えていました。

そもそもスープというのは、フランスでは家庭料理ですから、レストランで出されても嬉しくもありません。

さらにビーフステーキ。これは、カフェで食べる安いランチの定番です。

一番ひっかかるのは、こういう日本の定番の西洋料理では、スープを前菜にしている点です。

食事のときに、まずスープから、とする風習がある国が、どこかヨーロッパにあるのでしょうか?・・・

汁物がなくてはならない日本人の食事にはスープが必要だ、ということからできた風習なのではないかという気がしているのですが、どうなのでしょう?


◆フランスのレストランでは、スープがメニューに入っていることは少ない

優秀なシェフも多くなった今の日本では、フランスで食べるフランス料理と変わらないのがフランス料理店として認められていると思います。

でも、未だに、前菜はスープを定番とするフランス料理店も存在するのではないでしょうか?

フランスのレストランで食事をするとき、前菜がスープというのは非常に稀です。

スープというのは家庭で食べるものだし、スープは冬の料理なので、レストランでスープを出すにはかなりの工夫が必要だからです。

家庭料理を出すのが特徴の大衆的なレストランだったら、スープがメニューに並んでいてもおかしくはないと思いますが、見かけた記憶は乏しいです。

昔は、固くなったパンをスープでふやかして食べていたせいもあるでしょう。フランス人にとっての「スープ(soupe)」のイメージは、かなり悪いらしいと感じています。

食料事情が悪かった戦後しばらくの頃、経済的に豊かでない家庭で育ったという人が、「冬の夜は毎日スープでうんざりした」などと言っていました。

いくらおいしいスープを作っても、ご馳走にはならないらしいのです。ですから、よほど料理に凝ったレストランでないとスープをメニューに加えていないような気さえします。

そして、そんなレストランでスープを出すときには、「スープ(soupe)」という単語は使っていません。

日本語で「スープ」という言葉を使える料理に対して、フランス語はやたらに語彙があるのです。

soupe (スープ)
potage (ポタージュ)
consommé (コンソメ)
velouté (ヴルーテ)
crème (クレーム)
coulis (クーリ)
...

魚介類のスープだと、

bisque (ビスク)
bouillabaisse (ブイヤベース)
...

ブルゴーニュ南部にもブイヤベースのようなスープの郷土料理があるのですが(ただし川魚を使う)、それはpochouse(ポシューズ)と呼ばれています。

フランス人は「スープ」とは呼ばない「スープ」は、もっともっとあるはずです。

似たようなものに potée(ポテ)とか ragoût(ラグー)もありますが、「シチュー」と見るべきなのかな?・・・

私がレストランでスープと呼べるものを選んだときには、veloutéとかcrèmeという名前で呼ばれていたと思います。

スープ類を前菜のメニューに入れているレストランは珍しいのですが、お通しの一品として出てくることはよくあります。

例えば、こんな感じで、少量が出てきます。



この料理も、veloutéかcrèmeと呼んでいたと思います。


スープの季節になったので、その話しを書こうとしたのに、イントロが長くなってしまいました。続きは次回にします

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コメント
この記事へのコメント
Re:スープの季節<1>: 
フランスではスープは当たり前ではないのですか!

ふ~ん



北スペインやポルトガルでは、たっぷり野菜の入ったスープが当たり前でした。

そういえばドイツもスープ飲まなかったような気がします。

イタリアはアンチパスタ・パスタですものね。ズッパを選ぶことはあまりありませんね。



もっと観察眼を持たないといけませんね。
2007/12/13 | URL | ヒデオ1999  [ 編集 ]
【Re】ヒデオ1999さんへ / スープの季節
>フランスではスープは当たり前ではないのですか! ふ~ん



⇒ 冬には家庭では「当たり前」すぎる料理なのですが、余りに当たり前すぎてレストランでは出さないらしい、と感じています。



>北スペインやポルトガルでは、たっぷり野菜の入ったスープが当たり前でした。



⇒ スペインではガスパッチョの記憶がありますが、その他にはどうだったか思い出しません。フランスにあるスペイン料理店では、ガスパッチョ以外はスープがメニューに入っていないような気がします。ポルトガルではカタプラナというのが美味しくて感激しました。ポルトガル料理ではスープが普通かもしれませんね。



>イタリアはアンチパスタ・パスタですものね。ズッパを選ぶことはあまりありませんね。



⇒ 思い出すと、「ズッパ」はかなり普通にメニューに入っていますね。



フランスのレストランではスープがメニューに並んでいないのは、今の流行なのかな、という気もしてきました。

2007/12/14 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:スープの季節<1>: 日本の西洋料理を見て不思議に思ったこと(12/12)
面白いですね。

ドイツでは、レストランでは、スープはアラカルトで前菜として選んだり、もしくはメニューで、アミューズかスープかを選べるようになっていたりします。



家庭では、旧来、お昼がメインなのですが、いわゆる「いいおうち」では、まずスープ。そしてメイン、最後にデザートという順で食事が進みます。19世紀頃から形成されてきた、(裕福な)市民階級に特有な食事のあり方に、スープは欠かせない存在でした。いまでも、その名残でスープから始める食事の仕方をあちこちでみられます。ウィーンでも、良いところのおうちだと、スープは儀式みたいに、常に食事にくっついていましたっけ。



これは、その昔、フランスなどから来たものだと思うのですけれど、違うのかなぁ。



後、こういうスープは、具が少ないものなんですが、そのほかに、具の多い、日本でいうシチューやミネストローネみたいなスープ(煮込み)もあり、そちらは一品で完食となるので、完全な大衆料理として発達していて、いわゆるスープとは全くの別ものです。
2007/12/18 | URL | schatzky☆  [ 編集 ]
【Re】schatzky☆さんへ / スープの季節<1>
ドイツやオーストリアを旅行したときに食べた物の記憶は非常に偏っているので(どうして、こんなところに大きなクヌーデルやジャガイモが乗っているのか? とか・・・)、スープの記憶はゼロでした。スープが普通にレストランのメニューに並んでいると教えてくださってありがとうございます!



>これは、その昔、フランスなどから来たものだと思うのですけれど、違うのかなぁ。



⇒ フランスの影響というのもありえるかも知れませんね。ルイ14世の食卓でも、ポタージュが欠かせなかったそうなので。



フランスでも、ひと昔前まではスープはなくてはならないものだったはずです。「ご飯ですよ~」と呼ぶときに、「スープですよ~」という言い方もありますし(スープを食べるわけでないときでも)、場所によっては「スープを食べる」という言葉が「夕食」の代わりにになったりもしているので。



インターネットで1945年にドゴール将軍を迎えたときのメニューの画像が出てきたのですが、8月というのにスープが前菜になっていました(VOULUTEが付いていましたが)。「スープは家庭で食べるもの」ということになって、レストランで出すと喜ばれないから避けるようになったのは、食生活が向上したであろう高度成長期のころかも知れないと思っています。



続く

2007/12/18 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】schatzky☆さんへ / スープの季節<1>
続き:



食べ物の歴史を調べたら面白いだろうな、と思いながら、単語も違って複雑そうなので手をつけていません。確か18世紀ころには、デザートの後にチーズを食べていたとか、ぎょっとすることがありましたね。以前ガストロノミーの歴史という本を友達からプレゼントされていたので、眺めてみたいと思いました。



>こういうスープは、具が少ないものなんですが、そのほかに、具の多い、日本でいうシチューやミネストローネみたいなスープ(煮込み)もあり、そちらは一品で完食となるので、完全な大衆料理として発達していて、いわゆるスープとは全くの別ものです。



⇒ これも、とても面白いことを教えていただきました。



教えていただいたことを総合すると、ドイツやオーストリアのレストランで出るスープというのは、家庭では作りにくいコンソメのようなものなのかな?・・・ と思いました。



あるいは伝統に忠実なのか?・・・ あるいは、レストランは家庭とは違った料理を出すべきだ、という要求がそれほど強くはないのか?・・・



フランスで、ミネストローネが一品で完食になるか疑問なので面白いです。やはりスープの一種で、前菜にしかできないのではないかしら? 一品で完食にしてしまう習慣があるのは、フランスではオニオン・スープですね。

2007/12/18 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:【Re】schatzky☆さんへ / スープの季節<1>(12/12)
ブルゴニッシモさん



>フランスでも、ひと昔前まではスープはなくてはならないものだったはずです。「ご飯ですよ~」と呼ぶときに、「スープですよ~」という言い方もありますし(スープを食べるわけでないときでも)、場所によっては「スープを食べる」という言葉が「夕食」の代わりにになったりもしているので。



これは興味深いですね。

ドイツでは、私はまだ聞いたことがありません。



スープですが、本来、上流階級でだされるスープには、熱いものと冷たいもの、更には果物を使った甘いものなどもあります。ヴィシソワーズなどは、フランスの冷たいスープの典型だと思っていましたが・・・。



19世紀のドイツの料理本には、冷製と温製、両方のスープ、更に甘いスープ等々、たくさん載っています。



ドイツのレストランでだされるスープには、2種類あります。

一つはコンソメのような、手をかけて漸く出来るものだけど、それだけでは食事にならないもの。

もう一つは、手間のかけ具合は様々ですが、これにパンを添えて、食事となるようなスープ。



ただ、例えばトマトスープのようなものでも、

軽食にしたいということで、パンだけもらって、終わりという食事もあります。



高級レストランでそれをする人は・・・あまりいませんが、いないわけではありません。
2007/12/28 | URL | schatzky☆  [ 編集 ]
【Re】schatzky☆さんへ / スープ
>更には果物を使った甘いものなどもあります。



⇒ 果物のスープは、フランスでもデザートに「スープ」という単語を使ったものがありますね。



>ヴィシソワーズなどは、フランスの冷たいスープの典型だと思っていましたが・・・。



⇒ 聞いたような名前と思いましたが、私は味わったことがあるのかどうか思い出しません。名前から言って、ヴィシーの郷土料理なのでしょうね。冷たいスープというと、スペイン料理のガスパッチョを思い浮かべてしまいます。これはフランスのレストランでも、夏にはメニューに入っていたのを思い出します。



>例えばトマトスープのようなものでも、

>軽食にしたいということで、パンだけもらって、終わりという食事もあります。

>高級レストランでそれをする人は・・・あまりいませんが、いないわけではありません。



⇒ レストランでスープだけの食事ができるというのは素晴らしいです! 旅先でお腹がすいていないとき、そういう料理だと嬉しい。夕食を抜いてしまうのは寂しいですから。



色々と教えてくださって、どうもありがとうございました。

2008/01/04 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
フォークの作法とスープ
はじめまして。
青二才と申します。

ネットをウロついていて、
たまたま面白いお話だと思ったので、
7年も前の記事にコメントさせていただきました。

フォークの背にライスを乗せるのは、
イギリスの影響だと思います。
昔の日本は、イギリスから作法を学んだので。
今でも皇室はイギリス式だそうです。

フランス式とイギリス式のマナーの違いについては、
私が開設しているサイトに詳解しているので、
そちらをご覧しいただけると幸いです…
(商業サイトではありませんのでご心配なく)
http://www.maroon.dti.ne.jp/schwarze-katz/alacart/tm/tm1.html

スープは、おっしゃる通り、
汁物好きな日本人の性格と、
フランスの古典料理の影響だと思います。

フランスの古典・エスコフィエのコースメニューには、
コンソメなどのスープ料理が入っています。
もっとも、これは19世紀末~20世紀初頭の話ですが、
日本の西洋料理界は、戦争もあって、
長らくこの時代の影響を色濃く受け継いでいます。

フランスではヌーベル時代になってから、
コースの品目自体少なくなってますし、
スープの重要性はなくなったのでしょうね。
お酒もよく飲みますし。

でも、日本人は、
伝統的な習慣として汁物が大好きですし、
コースに限らず、アラカルトでも
スープを注文されるお客様は多いですから、
コースの中にスープが残ったのでしょう。

というわけで、長々と書きましたが、
お邪魔しました…
2014/09/26 | URL | 青二才  [ 編集 ]
Re: フォークの作法とスープ
v-22 青二才さんへ

ハンドルネームのままでお返事せていただくのが気が引けますが...。プロの方からコメントをいただき感謝します。

フォークの背に食べ物をのせるのは食べにくいので、西洋人はしないのではないかと思っていたのですが、イギリス人はそうすると聞いて驚きました。イギリスではホームステイをしたことがあるので、見ておけば良かったと残念に思います。何かコツがあるのかもしれないので。

とはいえ、私は子どものころに躾けられたせいか、ついフォームの背側にのせてしまい、フランスではそれをしなくて良いのだと気がついて、フォークを持ちかえることがよくあります。

>フランスではヌーベル時代になってから、 コースの品目自体少なくなってますし
⇒ なるほど、そこでコース料理からスープが切落とされたかすると理解できますね。ご馳走から切り落とされたスープだから、現代のフランス人には「なあんだ、スープ」となるのだろうとも思いました。

ルイ14世のメニューなどというのはよく飾りになっていますが、驚くほど色々な料理が出されたわけですが、たいてい前菜の前にスープやポタージュの文字が入っていたように思います。

お返事しながらメニューを探してみたら、現代のフランスでは「スープ」という呼び名を使った料理は野菜スープに代表されていますが、ルイ14世時代には肉なども使っていて、かなりこってりしていそうに思えました。

>日本人は、伝統的な習慣として汁物が大好きですし、コースに限らず、アラカルトでもスープを注文されるお客様は多いですから、 コースの中にスープが残ったのでしょう。
⇒ これは私もそうではないかと思っていました。日本料理のコースに汁物がないことはありえないだろうという気がしますので。

フランス人には日本の汁物を作って出すと、とても喜ばれます。味噌はチーズの風味があると感じるようです。彼らが喜ぶのでよく作るのですが、私は1日に2回か3回は飲まされた恨みがあるので好きではない、と言ってしまっています。

リンクをくださったサイトには興味深いことがたくさん書いてあるので、後でゆっくり読ませていただきます。どうもありがとうございました♪
2014/09/26 | URL | Otium  [ 編集 ]
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