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2007/09/25

シリーズ記事 【文化遺産公開日のヴィジット 2007年(目次
その2


歴史的建造物を一般公開しようというイベントがあった週末(フランス式「文化の日」でご紹介しました)、色々なところを見学しました。

本来はお城の見学が好きなのですが、このとき行ったのは教会が多かったような気がします。

というのも、住居となっているお城がこの日のために特別公開されたときに行くのは、どうも抵抗があるのです。

なぜかと言うと、こういう誰でも歴史的建造物をタダで見れるという日には、歴史的建造物には大して興味がないけれど、「こんな立派なお城には、どんな人が住んでいるのだろう?」という興味半分、嫉妬半分の見学者がいるからです。

こちらが居心地の悪くなってしまうような質問をする人がいるのです・・・。フランスには「プライバシーには立ち入らない」という大原則のマナーがあるのですが、そういうのを持ち合わせていない人もいます。こういう一般公開のときには、そういう人たちに出会ってしまう確率が高いのです!

それでも、やはりお城が見たいと思って、少しは立ち寄りました。


◆お城よりマダムが気に入ってしまった

案内をしてくだっさったマダムがあっぱれなので、すっかり気に行ってしまったお城がありました。こちら ↓



このお城の歴史を後で調べてみたら、オーナーの家系はフランス貴族の中でもランクの高い侯爵でした。

ところが、見学に来た私たちを友達だと扱っているかのように、お城を案内しながら気楽に私生活を語ってくださったのです。

マダムが嫁いで来たばかりのころの生活は(30年前とおっしゃっていたかな?...)、井戸の水を使ったりしていて、本当に昔ながらのものだったようです。

興味本位で来た人たちも、どうやって収入を得ているのか、などという変な質問はしません。おかげで、私が耳にするのが嫌いな発言がなかったので楽しい見学になりました。

見学の最後はチャペル。ここでマダムは、入場料を払って入ったことにお礼を言いました。そんなことを言われたのは初めての経験。歴史的建造物一般公開の日は、無料で入れるのが原則なのですが、ここでは普段の見学料を割引した形だったのです。それで、たぶん気が咎めていたのだと思います。

率直に、「こういうお城を維持するのにはお金がかかるので...」 と、おどけたジェスチャーでおっしゃって、私たちの見学料で修復費が助けられているのだ、と付け加えました。こういう有名でもないお城の入場料収入なんて、修復の費用に比べたら、焼石に水というところでしょうに!

「みなさんは郷土遺産の保存に貢献してくださっています」と、本当に誠実な気持ちから出ていると思わせる口ぶりで言われて、なんだか嬉しくなってしまいました。


◆フランスの貴族は気取らない!

古い建物が好きなので、お城のB&B民宿はよく利用します。フランスには5万と(文字通り!)お城があるので、別にどうということはないのです。普通の宿に比べて超高級とは限りません。

お城のオーナーには3通りあると見ています。

(1) 昔から住んでいる人(例えば15世紀から同じ一族の持ち物だとか...)。貴族が多い。
(2) お城を買ったお金持ち。ブルジョア階級が多い。
(3) 古い建物が好きで、廃屋に近いような建物を買って修復している庶民階級のたち。


私は変にリフォームされてしまったところよりは、殆ど廃屋に近いようなお城が好きなので、自然に(1)のタイプが多くなります。それで、貴族に迎えられるというケースが多くなっています。

お城のオーナーが貴族かどうか知らなくても、不思議なくらい容易に判別できます。

お城に限らなくても、古い建物の民家のB&Bを利用するのですが、このマダム、どうしてそんなに率直な優しさがあるのだろうと思いながら話しをしていたら、庶民階級と結婚して貴族の姓を失ったマダムだったと分かったりしたことが何回もありました。

貴族にはどことなく気品があるから分かる、というのではないのです!

お城が農家になっていることもよくあるので、作業着のままで向こうから歩いて来て握手されたとき、小作人かと思ってしまったこともありました。

何が違うか?

貴族の方は、驚くほど自然体なのです。つまり、マナーがどうのとか、自分は偉いのだとかいう格好をつけるということを全くしない。お金がなくても気にしない。

ブルジョア階級は上流階級だというのを見せなければならないのに対して、貴族の方には何をしても貴族、つまり余裕があるのだと思います。

もちろん貴族の中にも、私のイメージを破る人たちはいるのでしょうけれど。


◆室内履きでアブを叩いたマダム

貴族は気取らない、と確信したときのエピソードです。

フランスの貴族の一族としては有名な名前を持った、上に写真を入れたお城などとは比べものにならないくらい立派なお城に泊まったときのこと。

翌朝、宿泊代を支払って引き揚げようと事務室らしきところに行ったら、マダムが電話で話していました。それが終わったので、「おいとまするのでお支払い...」と切りだしたら、マダムは「ちょっと待って」とおっしゃる。

いかにも上流階級という風貌のお上品な年配のマダムが何をしたかと言うと、やわら室内履きを脱いだのでした!

そして、窓のところにあるラジエータの上に乗ったのです!

電話していたときに、窓にアブがいるのが気になっていたとのこと。それで、「待って」だったのでした。

それで、ラジエータの上に乗り、室内履きを手に持ち、窓にへばりついていたアブを叩いたのです。

ブルジョア階級のマダムは、少なくとも赤の他人がいる目の前で、こういうはしたないことはしないはずです!

状況が見えない方のために説明しておくと、お城の天井というのは高いので、そういうことをしないとアブは退治できません! 気取った人だったら、他人がいる目の前でそういうことはしないものです。

こういう風に、格好をつけたりしない貴族のエピソードはたくさんあります。


◆お城の生活

このとき訪れたお城のマダムも同じくらいの年輩の女性でしたが、全く気どりのない人でした。どうやって生活を改善したかなど、まるで友達に話すような内輪話しを語ってくれました。

気に行ったエピソード:

このお城には住んでいなくて、親戚が集まれる場所になっているのだそうです。こんな大きなお城だと、部屋を全部使うということはないのが普通なのですが、ここでは全部の部屋が使えるようになっているそうです。

でも、大勢が集まってくると、主婦としては大変。それで、来る人たちには、寝具を持ってきてもらうということにしたのだそうです。すると、みんなが引き上げるときには、洗濯物の心配がないので、マダムたちもみんなと一緒にお城を引き揚げることができるので便利。そうする前には、寝具の洗濯が大変だったのだそうです。

その他には、それぞれが好きな飲み物も持参するということにしたとのこと。集まってくる人たちが好きなジュースなどを色々な種類のものを買って、それが余って捨てるということがなくなったという改善。

「それに...」と付け加える。

― おいしいワインを持ってきてくれるのを、皆で飲むのも楽しいですし♪...

こういう明るい女性が本家のお嫁さんだったら、親戚の良くて、みんなが楽しくお城に集まって来て休暇を過ごすのだろうな... と想像しました。

このお城では、
「黄色い部屋の謎」という映画のロケに使われた舞台も
見学しましたのでご報告します。

- 続く -


ブログ内リンク:
フランス貴族は気取らない 2005/07/13
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コメント
この記事へのコメント
休日に集まって…
 日差しのやわらかな中、ワインで語らい…良いでしょうね…気取らない気品の漂うマダム…素敵ですね
2007/09/29 | URL | ひでわくさん  [ 編集 ]
あこがれます~!
「貴族」という言葉にすごくあこがれます~~!(笑)

余裕のある人は気取らないんですね。素敵~!

品の良さはやはり育ちで出るんですね。あ~、もう遅いなぁ…(笑)

そういう余裕と品のある貴族の方に出会うだけでもドキドキしてしまうかも。

私は出会うことがないのですが、こうやってブログを拝見しているだけでも「貴族」の香りを嗅いだ気になっています。(嬉)

続きを楽しみにしています~~!わくわく。

2007/09/29 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
【Re】ひでわくさんさんへ / 休日に集まって…
>気取らない気品の漂うマダム…素敵ですね



⇒ 家長の主婦というのにはご苦労もあったのだと思いますが、前向きに捉えて生活を楽しんでいるのが清々しいと思いました。

2007/09/29 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:フランス貴族の見分け方(09/25)
自然体なのですね。

それこそが本物に感じます。 ローデンブルグの貴族の館はホテルになっていました。その生活を感じることはありませんでしたね。。

続きが楽しみです^^
2007/09/29 | URL | HappyHoppy  [ 編集 ]
【Re】pepe犬さんへ / あこがれます~!
>「貴族」という言葉にすごくあこがれます~~!(笑)



⇒ 家系が途絶えたフランス貴族の姓は、お金で買えるのだそうです。誰にお金を払うのかと思ったら国。そういうことはして欲しくないと思ってしまいますが、お金持ちからは財産を取り上げて社会で分配するというフランスのやり方なのかな?・・・



>余裕のある人は気取らないんですね。素敵~!

>品の良さはやはり育ちで出るんですね。あ~、もう遅いなぁ…(笑)



⇒ pepe犬さんのブログを読んでいると、私が出会った素敵な貴族の女性たちに共通する気質があると感じますよ~♪

2007/09/29 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】HappyHoppyさんへ / フランス貴族の見分け方
>ローデンブルグの貴族の館はホテルになっていました。その生活を感じることはありませんでしたね。。



⇒ ホテルになったお城というのは、そこでの昔の生活を呼び起こすことがないので、私は余り好きではありません。それでも、インターネットでお城の超豪華ホテルが割引で普通のホテル並みの料金になっていることがあるので、時々は利用します。快適性と、広々とした敷地の静かさは良いですね。

2007/09/29 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
Re:フランス貴族の見分け方(09/25)
ボクも西洋のお城が好きで、1回の旅で1つ以上のお城を見たいと思っています。

鉄道の車窓からなど、フランスにはいっぱいお城があるのをお見かけします。

1つ1つ行ってみたいなあと思っていました。どなたかが住んでいるところは非公開なのは当たり前でしょうが、文化の日には公開してくれるならいつかお邪魔してみたいです。

ブルゴニッシモさんうらやましいです。



フランス語がわからないと、こんな楽しいコミニケーションもとれませんね。

フランスにもいつ行かれるかわかりませんが、

その時はアドバイスお願いいたします。

では

2007/09/30 | URL | ヒデオ1999  [ 編集 ]
Re:フランス貴族の見分け方(09/25)
立ち振る舞いに品がある!

羨ましいです。自分の行動には気をつけているのですが、やはりお里が見えてしまう。。。

お話の中のような方たちとお話できれば、少しはオーラを分けてもらえるでしょうか。

でもブルゴニッシモさんの文章もすごく品がよくて、素敵な人なんだろうなっていつも想像してます。
2007/10/01 | URL | NATASIA  [ 編集 ]
【Re】ヒデオ1999さんへ / フランス貴族の見分け方
>鉄道の車窓からなど、フランスにはいっぱいお城があるのをお見かけします。1つ1つ行ってみたいなあと思っていました。どなたかが住んでいるところは非公開なのは当たり前でしょうが、文化の日には公開してくれるならいつかお邪魔してみたいです。



⇒ 文化の日でなくても、普通に住居となっている歴史的建造物(日本でいえば国宝級)が見学できる機会は、フランスでは非常に多いです。



普段は入れないところが一般公開されるのは、夏の観光シーズン。文化の日よりも特別公開は多いです。ほんの少しの期間でも一般公開すると税金が安くなる、という配慮がフランスにはあるためです。日本でも取り入れて欲しい、と思う法律です!



そのため、夏に旅行するのは楽しいです。ただし、わざわざ見学料を払って見る価値があるかどうかというのは問題で、当たりはずれはあります。お城巡りに訪れる観光客が多いロワール地方などは、無名のお城がたくさん公開されているので、京都のお寺詣りのようにお金がかかります。でも、こんな所も見学できるのだ! と驚くようなところを見学できると感激します。

2007/10/02 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
【Re】NATASIAさんへ / フランス貴族の見分け方
>立ち振る舞いに品がある! 羨ましいです。自分の行動には気をつけているのですが、やはりお里が見えてしまう。。。



⇒ 卑しくするのはコンプレックスなのではないかな、と思っています。その点、私は吞気な性格らしくて、他の人の恵まれた背景をみても、嫉んだりする気がおきないのは幸せだと思っています。



>ブルゴニッシモさんの文章もすごく品がよくて、素敵な人なんだろうなっていつも想像してます。



⇒ お恥ずかしいです!! 私は自然体で、言いたいことは言ってしまうのは欠点かもしれないけれど、それは誠実さから出るものであって、本人には全く悪気がないのだということを皆が分かってくれたらな・・・ と思ってしまっています。NATASIAさんも同じ感性なのではないかな、と好感を持っています。


2007/10/02 | URL | ブルゴニッシモ  [ 編集 ]
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