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2011/08/11

シリーズ記事【トラクターとワイン】 その1


フランスの農村には、木こりでもないのに森の木を切る人たちがかなりいます。暖炉が残っているので(新築の家でも暖炉をつくることが多い)、薪の需要が高いのです。

もちろん薪を買うことはできるのですが、大量に使う(薪で家を集中暖房をしている)、たくさん薪を作って売るのを副業にしているというケースです。

森で木を切る人たちの昼食風景

木を切る人たちは、冬に切って森に放置しておき、夏になるとそれを運びだして庭先などで保管します。

森から薪を運びだすにはトラクターが必要です。農家の人に頼めば最新型のトラクターを貸してくれるのですが、けっこう高いお金をとられます。その支払いをしたりしていると、自分で木を切って薪を作っても安上がりということにはならないくらいになってしまうそうです。

それで、自分用として中古のトラクターを持っている人たちがたくさんいます。

トラクターは農業者なら運転免許がなくても運転できるそうなのですが、そうでない人も大型自動車の運転免許があればOKなのだそう。


安物買いの銭失い?

半年前に中古のトラクターを買った友人がいました。

森で切った薪を運ぶため。安く手に入れたので、薪を売ったり、近所の人にトラクターを貸してあげたりしていると買値がすぐに取り戻せてしまう、と踏んでいたそうです。

買ってすぐに1回使って動くことを確認したあと、しばらく放置していました。夏になったので、冬に切っておいた薪を森から運ぶためにトラクターを動かそうとしたのが3日前のこと。

ところがエンジンがかからない。苦労してなんとか発車させて、森まで行ったのは良いけれど、薪を摘んで家に戻ろうとしたら、森の出口でエンジンが止まってしまった!

薪を運ぶのを手伝ってくれた弟さんが機械に詳しい人だったので、何とか動かしても(水を入れるとか、ガソリンを入れるとかのコツがあるらしい)、坂道になるとすぐにエンコ。大型のトラクターではないので、何度も森と家を往復しなければならないのに。

家までは何とか動かして、あちこちに電話して修理できるかを相談したたそうです。

取り替えてみると良いと教えてもらった部品を50キロくらい離れた町まで行って買ってきて交換したのですが、やはりダメ。

結局、1,500ユーロくらいする部品を交換しないと使い物にならないらしいという結論に達しました。

お買い得だと喜んで買った中古トラクターの値段は2,200ユーロ(30万円)。部品代を払ったら、ほとんど倍額で買い物にしたことになってしまうではないですか?

トラクターを買おうとしたとき、かなり状態の良い中古もあったのですが4,000ユーロだったので、ゆとりのない友人には手の届かない値段なので諦めたのでした。でも、結局、それと同じくらいになってしまう?…

友人が買ったトラクターは40年前の車なのだそうです。ですから、高い値段を払って修理しても、またすぐに故障してしまう可能性が大きいので投資する価値がない。

ショックだろうな...。


トラクターを売ったのはご近所の人だった

森でトラクターが動かなくなってから何とか家まで動かして、あちこちに電話して対策を練ろうとしたとき、トラクターを売った人が電話してきたのだそうです。偶然というのか、虫の知らせというのか?…

「トラクターを貸してくれないか」と言ってきたのだそう。
それで、「動かない」と報告。

トラクターを売った人は、大工でもないのに自分で家を建ててしまった人です。家を建てるのに必要なので中古のトラクターを買って、家が完成したらいらなくなったので売ったのだそう。

それまでは使っていたのだから、悪意があって壊れたトラクターを売ったわけでもないのは明らか。詐欺だと怒るわけにもいかない。

問題のトラクターをお見せしますね。ナンバープレートは隠しました。

30万円くらいで買ったトラクター

この手の物品に私は全く無知ですが、これが30万円というのは高いと思ってしまいました。後ろにつける荷台が必要ですが、それはなしの値段なのです。

今の農業者が使っているトラクターというのは立派なものなので、こういうのを見ると商品価値のないポンコツと思ってしまうのです。

フランスで普通に見るトラクターがどんなものかは過去の日記をご覧ください。
そろそろ畑の収穫も終わり 2005/07/23

穀物畑を持つ農家は、こんな立派なトラクターを何台も持っています。それに比べると、友人の前時代的なトラクターは本当に哀れ…。

トラクターは膨大な価格なので、30万円で買えたら安いと思うのでしょうが…。でも、半年で使い物にならなくなるとしたら、捨てるには惜しい大金です。

フランスって、日本だったら「処分するのが大変だから、もらっていただけるのなら」と喜んで、お土産までつけてあげるようなポンコツ車にも、しっかり値段がついています。

ガレージセールだって、くれると言われても迷わずに断るようなガラクタをたくさん売っています。
そんなことを書いた過去の日記:
フランス人はガラクタにも値段をつけて売ってしまえる 2009/12/14

フランスは、日本のような使い捨て文化ではないのだろうな...。


どうなるのかな?…

友人はトラクターを活用して生活費の助けにするつもりだったので、かなりショックなようでした。薪を運ぶためにトラクターが必要な時期なので、貸してくれという注文もたくさん入ってきていたのに…。

彼の友人たちは「そんなトラクターは早く売ってしまえ」と言っていますが、動かないトラクターを買ってくれる人はいるのでしょうか?...

外れクジの買い物を、友人は悔やんでも悔やみきれない気持ちになっているようです。

でも、フランス人によくある怒りの発散をしないのが偉いと感心しました。

普通なら「メルド!(くそ~!)」などと叫ぶのに、それが全くないので不思議になるくらい。でも、フランス人には癒し人形のように見えるらしい私(日本では気性が激しすぎて社会不順応なのですが!)の前では、そういうのは見せてはいけないと思って抑えた可能性は十分ありますが。

ともかく、辛抱強く、なんとかトラクターを修理して動くように奔走しているようです。

― 続く ―


ブログ内の過去の記事
【森で木を切る習慣について】
早春の森に広がるお花畑 2006/03/30
暖炉の火をつける工夫 (1) 2008/12/21
森に生えるキノコが昔のように採れなくなった理由は? 2008/11/03

暖炉の火が嬉しい季節 2008/12/17
フランスの筏(いかだ)師 2008/01/21


メモ:
「安物買いの銭失い」という諺はフランス語にもあるのだろうと和仏辞典をひいたら、「Bon marché ruine.」とでてきました。「Le bon marché ruine les acheteurs.」も使われるようです。「お金を失う」を通り越して「破産させる」レベルですか?…


後日の追記:
このトラクターの持ち主は、引っ越しすることになったので、ポンコツのトラクター近所の人に売ったそうです。こんなものにも値段がつくのだ、と呆れるフランスの一面!


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