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2011/08/24

アレジア周辺の観光】 その2
アリーズ・サント・レーヌ村 (1)


フランスで好きな景色は、起伏に富む丘陵地帯に穏やかな牧草地かブドウ畑が広がっている景色です。しかも、城や教会など歴史的建造物がたくさんあれば百点満点。

そういう風景が広がっていて好きな地域の一つに、ブルゴーニュのオーセロワ地域(オーセール市周辺)があります。

腐るような天気が好転すると聞いて、終わりに近づいている夏を堪能しておこうと思ってオーセロワ地域に出かけました。


アレシアの戦い

まず立ち寄ったのは、Alise-Sainte-Reineアリーズ・サント・レーヌ)という村。長ったらしい名前なのですが、私はAlésiaアレジア)と呼んでしまっています。 日本語では「アレシア」と表記するのが定着しているようですが。

カエサルが率いるローマ軍と、ガリア人と呼ばれたフランスが戦ったアレシアの戦い(紀元前52年ころ)があった場所とされる地。この戦い負けたガリアはローマ帝国の支配のもとに入ることになったのでした。

カエサルの『ガリア戦記』にも登場する、ガリア戦争を終焉させた大きな戦いです。

アレシアがどこにあるかは、日本の邪馬台国起源と同様に「こちらだ」という主張がありますが、今のところはブルゴーニュのオーソワ地域にある丘の上の村アリーズ・サント・レーヌだったという説が有力になっています。

ガリアを屈服させた戦いがあった場所は、ラテン語ではAlisiiaと綴るそう。この村の名前になっているアリーズ(Alise)はそれに似ている。急こう配の丘の上にあるこの村がローマ軍に包囲されたという姿も想像できるし、それらしき遺跡も見つかっているのだそうです。

アリーズ・サント・レーヌ村からの眺めです。
 

矢印を入れたのは新しい博物館(この夏オープンの予定だったけれど開館は遅れています)。その左側には、ローマ軍の包囲線で使われた矢倉のある要塞を再現したものが見えます。

追記:
博物館はMuséoParcという名前で、2012年3月にオープンしています。

この道から博物館の方に向かう道は、冬に道が凍ったら怖いと心配させるくらいの急こう配(25%)でした!

まだオープンしていないので入れないとは分かっていましたが、古戦場を再現しているところに行ってみました。



カエサルが指揮をとったローマ軍は、こういう砦を2重に築いてアレシアの丘を包囲したのだそうです。

カエサルたちは、この近くにある丘の上の村フラヴィニーに陣を構えていたということになっています。 そちらは美しい村として知られているので時々行くのですが、ついでに後で行ってみました。


発音が…

このガリア人の最後の攻防戦となった戦いがあった場所「Alésia」は、フランス語では「アレア」なのですが、日本語では「アレア」と表記するのが一般化してようです。

日本の地名はたいてい現地の発音に忠実にするのに、なぜ「アレア」なのかな?…

もっと分からないのは、このアレシアの戦いでガリア軍を指揮したVercingétorixの発音。フランス語では「ヴェルサンジェトリックス」と発音しますが、日本語では「ウェルキンゲトリクス」とされているようです。

イタリア語ではVercingetorigeらしいのですが、これでも「ウェルキンゲトリクス」という発音にはならないと思うのです。

Googleで、フランス語とイタリア語の発音させてみました。 こうなります

Vercingetorixをイタリア語やラテン語で発音させても、英語に切り替えてみても、「ウェルキンゲトリクス」とは聞こえない。自動発音は間違っている場合もあるので判断はできないのですが。

アレシアの戦いはカエサルの『ガリア戦記』に出てくるので、これを日本で初めて訳した人がそういう風にカタカナで書いたのに由来しているのではないでしょうか?

ラテン語の発音だとそうなるのかな?…
でも、古戦場の地名であるラテン語表記Alisiiaでも「アレシア」とは読みませんよね?


ラテン語をしっかり勉強したかった...

大学でラテン語の授業を受けたのですが、ものの見事に何も覚えませんでした。

唯一、記憶に残っているのは、先生が言っていたこと。
「みなさん、もの好きですね~。今の時代にラテン語を話す人はいないんですよ」
「ラテン語を教えているだけでは食べていけないので、英語も教えています」

でも、です。
フランスに来たら、ラテン語は役に立たない学問ではないと感じました。

フランスで知り合った人が、「父親は友達が食事に来るとラテン語で会話していた」と言っていたのです。彼のお父さんは古文書図書館の館長だったそうなので、お友達もラテン語ができる人たちだったのだと思う。

そのレベルにいかないまでも、フランスの教養が高いレベルの友人の中にはラテン語をよく出してくる人たちがいます。中学、高校と、古典語の授業が選択できるフランスなので当然ではあります。

知り合いでラテン語をすらすらと出してくる人がいるので、学校で勉強したのだろうと思っていたら、その機会は全くなかったと聞いて驚きました。中学のときは田舎の学校だったのでラテン語の先生がいなかった。高校に言ったら授業があったのだけれど、初級クラスはないので入れてもらえなかったのだそう。

特にラテン語を勉強したわけではなくて、歴史や文学に興味があるので自然にラテン語を覚えてしまったらしい。フランス語の単語は語源がラテン語にあるので覚えやすいだろうし、ラテン語が分かっていないと理解できないことも多いからなのでしょうね。それに、ラテン語そのもののがフランス語になっている表現も多いので、自然に覚える言葉も多いはずです。

ラテン語もギリシャ語も、私は日本の大学でAの評価をもらったのですが、そうでもしないと学生がこなくて授業がつぶれてしまうという先生の配慮だったと思います。ギリシャ語の先生も、生徒を全員お家に招待して食事をふるまってくれたっけ…。

ラテン語やギリシャ語はフランス人から授業を受けるべきだったと後悔しています。だって、日本語とは何の関係もないので全く面白くなかった! 今となっては、若いときでも歯がたたなかった外国語なんて勉強する気になりません...。


DOC - Cesar le conquerant de la Gaule



Jules Cesar Conquerant De La Gaule (film entier en version française)



シリーズ記事目次: アレジア周辺の観光

続き:
ゴロワの英雄ヴェルサンジェトリックス


外部リンク:
☆ アレシアの史跡オフィシャルサイト: 
MuséoParc
☆ YouTube: MuséoParc Alésia
☆ Wikipedia: 
MuséoParc Alésia | アレシアの戦い
☆ 戦術の世界史: 紀元前52年9月 アレシアの戦い
☆ 『ガリア戦記』をラテン語で読む: 
らくらくガリア戦記
 
ブログ内の関連記事
ラテン語の知識はフランスで役に立つ 2009/08/26
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目次: 旅行したときに書いたシリーズ日記のピックアップ


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コメント
この記事へのコメント
ウェルキン…
ウェルキン…の発音の件、もしかしたらドイツ語で読むと近い発音になりませんか?
なんとなく、そんな気がしたもので…。
2011/08/25 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
Re: ウェルキン…
v-22すぎちゃんへ

そういわれるとドイツ語風ですね。そうだとするとなぜドイツ? と気になったので、この人をテーマにした映画のドイツ語版をYouTubeで見てみました。「彼の名前は...」という部分があって聞き取りやすかったのですが、「ウェルキンゲトリクス」とは聞こえなかったです。

色々な単語を各国の人たちが発音しているのを収録したサイトがあるのを思い出して、そちらでチェック。映画で話されていたのと同じ発音でした:
http://ja.forvo.com/word/vercingetorix/#de

またまた考えてくださってどうもありがとうございます!

2011/08/25 | URL | Otium  [ 編集 ]
発音
初めまして。Vercingetorix の写真を探していて、こちらのブログにたどり着きました。興味深い話題が多いですね。

その当のVercingetorix ですが、これはラテン語読みです。 Vはローマ時代はUの発音ですし、CはKの音ですから。ラテン語の発音は日本人のが一番正しいと言われます。なぜか? ヨーロッパ人は、自国語の発音でラテン語も読んでしまうからです。ですから、フランス人に習ったらまず大抵はフランス語訛りのラテン語になります。

例えば、Vercingetorix の相手の Julius Caesar はラテン語ではユリウス・カエサルですが、英語読みではジュリアス.シーザーですね。ちなみに、ご存知と思いますが、ローマ時代には i の文字はなく、J でした。

アレシアも、ラテン語読みでしょう。アレシアの戦いが Alesiae pugnaだそうなので。

http://ja.wikipedia.org/wiki/アレシアの戦い

http://ja.wikipedia.org/wiki/ウェルキンゲトリクス

初めてで、長々とすみませんでした。わたしも、3年間ラテン語やりましたが、なかなか身に付いていません。フランス語がお出来になるのですか、今からでもまたなさってみてはいかがですか。
2012/05/06 | URL | jade  [ 編集 ]
Re: 発音
v-22 jadeさんへ

はじめまして。貴重な情報をくださり、どうもありがとうございます♪

>Vはローマ時代はUの発音ですし、CはKの音です
⇒ CはKと発音すると知って納得できました。Google自動翻訳でラテン語として発音させみても、CはKとは発音されていないので疑問として残っていたのです。ありがとうございます! Wikipedia情報にはデタラメなことが書いてあることが多々あるように、Google自動翻訳も正しく発音しないのは分かっているのですが、てっとり早くて便利なので、ついつい使ってしまっています...。

>ヨーロッパ人は、自国語の発音でラテン語も読んでしまうからです。
⇒ ラテン語に限らず、どの国の言葉でもそうなので参ります。日本で定着している英語も、フランス風に発音されると戸惑ってしまいます。何のことかを見つけて、「ああ、〇〇のこと~?」と英語の発音で言うと、私が気取って言ったかのようにからかわれています。外国語をフランス風に発音するのは仕方ないとしても、外国の地名は現地の綴りで書いて欲しいと思っています!

日本語では現地の発音を使うという原則があるはずなのですが、なぜか例外もある。ブログを書くときには、フランスで覚えた単語をカタカナ表記ではどうなるのかを調べる必要があるので手間がかかっています。「ガリア」も古代ローマの人たちが使っていたラテン語なのだろうと思うのですが、フランスでは「ゴロワ」と言います。フランス人が誇るVercingétorixはゴロワの人だったわけですから、彼の名前を今のフランス語の発音にしないとしても、ゴロワの人たちが発音していた発音を使って欲しかったと思ってしまいます。でも、戦争に勝った民族が歴史を支配し、その言葉を日本に導入した人のカタカナ表記が残るのでしょうね...。「地理上の発見」などという言葉は使って欲しくないと思っている私なので、フランス人たちがユリウス・カエサルをジュル・セザールと勝手に呼んでいるのは、あっぱれ! とさえ思ってしまいます。

>フランス語がお出来になるのですか、今からでもまたなさってみてはいかがですか。
⇒ 身のほどをわきまえているので、もう外国語には挑戦しません。学びたい言語のトップはイタリア語ですが、フランス語を始めたら英語がメチャメチャになった経験があるので放棄しています。いま思えば信じられないほど熱心にフランス語の勉強をしたので、「ある程度は分かる」というレベルにまで達成するのさえ並たいていのことではないのを知っています。つい最近、日本の友達がタガログ語の授業に申し込んだというメールを送ってきたので、「仕事で使っている英語を磨く授業を受けた方が良いと思うけれど、マイナーな言語を学んでいるのが嬉しくてやっているのだろうと思います」と返事したら、「おっしゃる通りです」という返事が返ってきました。この人、ロシア語、アラビア語、中国語、韓国語、もろもろ... と、もう10カ国語くらいは講座を受けているのです。私もフランス語をたまたま勉強したので、できる人が大勢いる英語とは違って、マイナーな言語をする利点は知っています。勉強の励みにしようと思ってとりあえず仏検一級を受けてみたら、一発で合格してしまって拍子抜けした、など等。でも、これだけ時間をかけた仏語さえネイティブのレベルに達していないのは、本人が一番分かっていることなので辛いです! ラテン語なんて、私には、とても、とても...。
2012/05/06 | URL | Otium  [ 編集 ]
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