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2011/10/03

シリーズ記事 【2011年秋: フランシュ・コンテ地方の旅行】 目次へ
その5
観光 (1)


オルナン(Ornans)という町の名を知っていたのは、写実主義の画家ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)が描いた絵画『オルナンの埋葬(Un enterrement à Ornans)』という題名からでした。

私には限りなく暗い絵…。それでオルナンという町も暗いのだろうと想像していたのですが、初めて行ったときにはルー川に並ぶ家々が美しいので驚きました。




クールベ美術館

今回の旅行の目的の1つは、大改造されて充実したと聞いていたオルナン市のクールベ美術館に行くことでした。

実をいって、クールベは好きな画家ではないのですけれど…。

噂どおり、クールベ美術館は一変していました。

まず隣接する建物を入手して、かなり大きな美術館になりました。


右から3軒が美術館だったと思う。

以前はクールベの作品などほとんどなかったと思うのですが、かなりの作品が入っていました。

もちろん有名な作品はパリのオルセー美術館などにあるわけですが、クールベの作品を入手できない代わりに、クールベに関係する画家や彫刻家の作品を展示して、なかなか興味深い展示になっていました。

例えば、こんな作品

 

クールベの先生が描いた作品で、若いクールベを聖ヴェルニエの姿で描いています。聖人のような表情がとても印象的でした。

聖ヴェルニエ(またの名は聖ヴェルニー)はブドウ栽培者の守護聖人と説明がありました。

ブルゴーニュで行われる祭りにサン・ヴァンサンがあるので、ブドウ栽培者の守護聖人は聖ヴァンサンだとばかり思っていました。でも、このフランシュ・コンテ地方やオーヴェルニュ地方では奉られているようです。

クールベ美術館は、新しいコンセプトの美術館にしようという意気込みを感じました。

美術館の方針があるらしくて、切符を売る人も、展示室の監視人も、とても礼儀正しく愛想が良いのも感心しました。中には作品について説明してくれる人もいました。

クールベの作品は暗くて、よく見えないじゃないかと不満に思っていたのですが、原因があったことを今回学びました。

絵画の仕上げをするニスの代わりにコールタールのようなもの(名前を聞いたのですが忘れた)を塗って、それが独特の効果を出したのですが、年月がたつと黒ずんでしまうものだったのだそうです。

本来は鮮やかな色だったそうで、それを作品の横においたビデオで見せていました。だから、ちゃんと修復した作品だけは鮮やか色になっているのだそう。

レオナルド ダヴィンチが描いた『最後の晩餐』の壁画も、何か新しい手法を使ったために損傷がひどくなっていましたね。実物を見たときには、それも味わいがあると思ってしまいましたが。

ところでクールベはフランスではそれほど好かれている画家でもないと思うのですが、この新しくなったクールベ美術館は大変な人気を呼んでいるのだそうです。

この日は美術館を見た後にオルナンの町で昼食をとろうと思ったのですが、行こうと思ったレストラン2軒が満席になっていたので町を出て、別のところで食事することになりました。


日本にあるギュスターヴ・クールベの作品

美術館を見学した夜は地元に住む友達と夕食を一緒にしたのですが、そのとき言われてしまいました。

― 日本は、いつクールベの『フラジェの樫の木』を返してくれるの?

私に言ったってしょうがないのだから冗談なのでしょう...。今はその大木がなくなっているのだそう。それで、フランシュ・コンテにとても郷土愛を持っていて、だからクールベも好きらしい友達にとっては戻って来て欲しいということらしい。

偶然にも、この作品は少し前にブログを書きながら出会っていたので、日本の美術館にあるし、大きな意味を持つ作品なのだと知っていたので、何の話しか分かりました。

クールベ美術館にも作品の写真があったのが目に止まっていたし、クールベが作品を描いたところを結んだハイキングコースの地図にもこの樫の大木を示す地点がありました。

「フラジェの樫の木」について書いた過去の日記:
画家ギュスターヴ・クールベとアレシアの戦いの関係 2011/08/25
この絵画はオルナンに戻ることになった、と2012年3月にオルナンのツーリストオフィスで聞きました。


日本には他にも幾つもギュスターヴ・クールベの作品があるのではないかな?... クールベの時代は美術も文学も日本にたくさん紹介された時期ですから、フランスより日本の方が評価されているのではないかとも思います。

検索してみたら、岡山の大原美術館所蔵『秋の海』が出てきました。

この作品の複製画が倉敷駅前商店街に展示されていたらしいのですが、東日本大震災を連想させると嫌われて撤去されたというニュースがありました。修復されていない絵画だったら暗くて、不気味な度合も強いでしょうね。

クールベは津波を想像さえしていなかったでしょうけれど…。『秋の海』が戻ってきて欲しいというなら、可能性があったかもしれない!

岡山に行ったら大原美術館には行かなければと言われて、数年前に行きました。確かにすごい所蔵品がありますが、パリでルーブル美術館やオルセー美術館を見てしまっているので、そんなに感激はしませんでした。

印象に残ったのは張り紙。ものすごく大きな文字で、静かにしてくださいということが書いてあったのです。

そこまで大きく書かなくても… と思っていたのですが、少したったら理由が分かりました。

観光バスでやって来た団体さんが入ってきて、絵の鑑賞なんかそっちのけで大声でおしゃべりしていたのです。「静かに」の文字も大きかったけれど、そのしゃべり声もとてつもなく大きかった!


ブログ内の関連記事
画家ギュスターヴ・クールベとアレシアの戦いの関係 2011/08/25
★ 目次: 画家、彫刻家、建築家の足跡を追って

情報リンク
☆ クールベ美術館オフィシャルサイト: Musée Courbet
☆ 山陽新聞: 「津波を連想」と名作の複製画撤去 倉敷の商店街 2011/4/15


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