| Login |
2012/03/07

シリーズ記事 【トルコ旅行記】 目次へ
その7  カッパドキア (7)


前回の日記を書きながら調べていて、カッパドキアには岩をくり抜いて作った鳩小屋がたくさんあったのに、そのことを書いていなかったことに気がつきました。


カッパドキアには、たくさんの鳩小屋があった

なぜハトが? と初めて思ったのは、カッパドキアに到着して翌朝に乗った気球の中でした。

気球の上から見た鳩小屋です:



鳩小屋は、フランスでもたくさん見ているので、珍しいとは感じませんでした。フランス語には「pigeonnier(鳩舎、ハト小屋)」という単語があり、その言葉で連想するイメージ( pigeonniers をキーワードにして画像検索)とカッパドキアの鳩小屋の間には余り違和感がないからです。

それにしても、カッパドキアの岩山に、鳩が出入りする小さな穴がたくさんあるのは目が止まりました。なぜ、こんなにたくさん鳩を飼う必要があったのだろう? ...


鳩の糞を肥料として利用する

フランスでも鳩小屋が気になっていました。伝書鳩としての価値があったほか、鳩の糞が質の良い肥料になると聞いていました。だから、トルコでも、ハトの糞を利用したのだろうと、すぐに思いました。

昔のフランスで珍重されたハトの糞は、chanvreという作物を育てるのに素晴らしい肥料だと聞いたことがあります。大麻にもなるので現在では植えられている畑はめったに見かけないのですが、昔は麻繊維にできるので貴重な植物だったはず。

☆ Wikipedia: Chanvre

これはフランス語ページにリンクしています。chanvreは紀元前から人類が栽培していて、麻とまぜて衣服にした、強い綱を作ることができた、紙を作った(長いこと紙幣に利用されたのだそう)という歴史が書いてあります。でも、ここからリンクされている日本語ページでは「大麻」にリンクされていて、マリファナのことしか書いていません!

ところが、前回の日記で紹介したGoo辞書では、「ぶどう畑の肥料に使うハトの糞(ふん)が集められた」と書いてありました。

鳩の糞はブドウ畑のだめですか? ワイン産地のブルゴーニュに住んでいますが、フランスでは聞いたことがありませんでした。 でも、現在では使われないから聞かなかっただけなのでしょう。フランスにある鳩小屋について詳細な情報を提供しているサイト「Pigeonniers et colombiers de France」でも、鳩の糞は、非常に質の良い肥料を必要とするブドウ畑、野菜、果樹の肥料として珍重されていた、と書いてありました。

確かにカッパドキアはワインの産地でした。ホテルのウエーターさんは、もったいぶって地元のワインを出してくれましたが、感激するほど美味しいというものではなかった...。

他の作物にもハトの糞を使ったのではないかな?...

カッパドキアの意味は「美しい馬の地」という記述があったので、馬が飼育されている地域だったのでしょうね。でも、馬の糞も優れた肥料になることで知られているのです。馬の糞だけでは足りないから、鳩の糞も集めたのか?...

調べてみると、中世の農業では鳩の糞が最高の肥料だった、というフランス語の記述がありました。

トルコは農業の自給ができている国なのだそう。気球の上から、豊かな農地が広がっている、という説明があったっけ...。でも、カッパドキアは岩山も多くて、日本のように農業に向いた地質だとも見えなかったのですが...。


カッパドキアの人たちは、鳩に特別な思い入れがあるらしい

トルコの人たちはハトに特別な思い入れがあるそうです。イスラム教徒にとっては、平和と家族の献身のシンボル。キリスト教徒にとっては神の精神のシンボル。また鳩はよく水を飲むことから、「水源の守る鳥」とも呼ばれるようです。

ペットとして鳩を飼っているというのは、日本でもフランスでも見たことがないのですが(フランスでは鳩を食べるように飼うのはあります)、トルコでは観賞用の鳩もありのだそう。

フランスでは鳩を食べるので、カッパドスでは食用にしているのだろうと思ったのですが、彼らには食べてしまうにはもったいない鳥だったようです。

それに、フランスで食用にするのは飛び立つ前の鳩ですから、糞を採集するために飼っている鳩を食べても美味しくないだろうと思います。

情報を検索していたら、フランスのテレビ番組でカッパドキアの鳩に関するドキュメンタリーが見つかりました。2本に分かれています。



メモ:

競売の場面:
よく飛ぶ鳩に高い値段がつくようですが、観賞用の鳩も登場しています。
年配の男性が「50年くらい前までは農薬がなかったので、鳩は金に等しかった」と言っています。

鳩の糞を採集する作業:
ハトの糞を fiente(フィアント)と呼んでいますね。鳥獣の糞を指す単語。
1年に1回、春に糞をとる。野生の鳩なので、頻繁に行って邪魔したら、鳩は巣に戻ってこなくなってしまうから。
鳩の糞を肥料にすると、農薬で育てるよりも、野菜や果物が甘くて、まろやかな味になっておいしいのだそう。

鳩を狩猟することは禁止されている。しかし、鳩小屋の修復維持には金がかかり、登るのも大変(50メートルも梯子でよじ登るなど)。さらに、現代生活では騒音としても嫌われる。鳩の糞は土壌を良くするのだが、野生の鳩は減少したので、最近では農薬が使われている。

カッパドスにとって鳩は貴重だという伝統があるので、観賞用の鳩は350ユーロもするものがある。女性が、鳩に夢中になるのは男性たちだ、と笑っています。


↓ 続き



メモ:

カッパドスの丘には何千という鳩小屋がある。大きなものは、100㎡もの広さだったり、何階建てにもなっていたりする。小屋の入口にフレスコ画が描かれている場合もあるが、これは鳩を呼び、魔除けになると思われているから。

昔は、金持ちが鳩小屋を持つことができ、全く持てない貧しい人々もいた。しかし、鳩がたくさん飛んでいて、空が見えないほどだった。

現在では、空になった鳩小屋が多い。鳩がいなくなった主な原因は、鳩の血を吸う
fouine(ムナジロテン)。この動物が小屋に入り込むと、鳩たちは小屋に戻らなくなる。
鳩小屋の中でcrottin(馬や羊の糞)を燃している場面が出てきますが、これはムラジロテンの匂いを消して鳩たちが戻ってくるようにするため。

カッパドスある中世に建てられた教会は、後には農民たちがそのほとんどを鳩小屋として利用した。入口や窓を塞ぎ、鳩が出入りできるだけの穴を残す。そのために、教会は外気に触れることがなく、人間に荒らされることもなく内部の壁画などが保存された。

現在では、国やユネスコが鳩小屋を歴史資産として保存しようとしている。鳩小屋を使わなくなったとしも、カッパドスの人々には鳩に対する深い思い入れが残っている。



鳩を食べることに抵抗があるか?

鳩の糞にだけ注目して調べてみたのですが、興味深い背景を知りました。

キリスト教でハトが大きな役割を果たしているのは、特に宗教画などでなじみがあったのですが、イスラム教でも平和の使いとされているとは知りませんでした。

・旧約聖書(創世記):ノアの箱舟物語の中で、オリーブの小枝をくわえた鳩が水が引いたことを知らせた。
・新約聖書: イエスが洗礼を受けると天が開いて、神の霊が鳩の形でくだり、イエスが神の愛する子であるという声が聞こえた。

イスラム教における鳩の役割は分からない。

でも、上に入れたドキュメンタリーに登場している男性は、マホメッドが敵に追われたとき、鳩小屋に逃げ、敵はそんなところに彼がいるとは思わないで立ち去ったので難を逃れたとか、色々な話しがあるのだ、と言っていました。

キリスト教とイスラム教にそんな共通点があるのかと思いながら、疑問がわきました。キリスト教に登場するのは真っ白な鳩で、フランスではcolombe(コロンブ)と呼びます。例えば、こちらの絵画に描かれているようなハト。

食べる鳩や公園にいる鳩をフランス人が呼ぶときには、 pigeon(ピジョン)と言っています。

カッパドキアの鳩のルポでは、ピジョンという方の言葉を使っていました。イスラム文化圏では、聖なる鳩と、普通に空を飛ぶ鳩と同じ単語を使うのかな...。鳩小屋に隠れたモハメッドの話しがあるくらいなので、区別はしていないのではないかと思うのですが、どうなのだろう?...

さらに、もう一つの疑問。

ガイドさんも、鳩小屋を示しながらの説明で、ハトは食べないと言っていました。

全く食べないのだろうか?... フランスのようにコロンブとピジョンを分けてしまえば、ハトを食べるのには全く抵抗がありません。でも、その区別がないとしたら、鳩を食べるのには抵抗があるでしょうね。

イスラム教では豚肉のように禁止されているのかな、と思ったのですが、鳩肉は禁止項目に入っていないようです。

思い出せば、エジプトでは鳩の料理を何回か食べました。トルコではかなり簡単にアルコール飲料が飲めるのに対して、エジプトでは非常に困難。そんなことからも、トルコはイスラム教の厳格さが薄いと思っているのですが。

この日記を書いている途中で行った朝市では、トリ肉を買おうと思っていました。鶏肉、ウズラ、ハト、七面鳥、ほろほろ鳥、カモ、が並んでいました。鳩の肉の質が良さそうなのに惹かれたのですが、やはり鳩を食べる気にはならなくて、鶏肉を買いました!


鳩の谷

カッパドスの景観を望める観光スポットには色々な名前が付いていたのですが、「鳩の谷」というのもありました。そこで写真を撮るためのストップ。

鳩小屋がありながら鳩の姿が見えないのは冬のせいでもあるかと思っていたのですが、ここにはたくさんハトがいました。



観光客用に鳩に餌をやって生息させているのではないかと疑った見晴台。お土産屋さんも並んでいました。

右手にある看板まで入れないで撮ってしまった写真ですが、鳩たちのためにと募金箱が設置されていました。観光地によくあるアイディアですね...。

そう思ったのですが、ドキュメンタリーでは、鳩小屋の管理は大変だし、高いところに上って糞を集めるのも大変なのだと語られていました。この鳩の谷の募金も、消えゆく鳩を保護しようというマジメな運動だったのかな?...

ところで、この写真の右手に写っている木も、観光客の目を引くためのアピールに私には見えました。

それが何だったかを次回の日記で書きます。
私は無視してしまったけれど、これもトルコ名物なのでしょうから。

― 続く ―


ブログ内リンク:
★ 目次: 鳩小屋について書いた記事


にほんブログ村 トラコミュ トルコへ トルコ



カテゴリー: 動物 | Comment (0) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する