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2012/04/19

シリーズ記事 【スペイン、パラドール巡り旅行】 目次へ
その30: スペインとフランスの比較


今回の旅行では、イスラム文化の建造物がスペインに残されていることが印象的でした。イスラム教の礼拝堂が教会として利用されていたり、見事なアルハンブラ宮殿があり、町のあちこちにイスラム建築がある。

以前にアンダルシア地方を旅行したときには、そんなに気にならなかったように思います。最近は、宗教上の対立が大きな話題になることが多くなったからではないかな?... 日本にいたときは、これに加えてユダヤ教との問題があるなどというのは遠い世界でした。

スペインでは、フランスのようにイスラム教とキリスト教が衝突していないのだ、スペイン系の友人が言っていました。何百年間もイスラム勢力に支配されていた歴史があるので、スペイン人のほとんどはイスラム系と混血になっている。だから、イスラム教に反発なんかは感じないのだ、と笑っていました。

確かに、スペイン人たちの顔を見ると、そう感じます。もしかしたら、名前でイスラム系だと判断されて就職試験で不利になるなどという差別もスペインにはないのかもしれない。

長い年月をかければ融合できてしまうものなのかな?...

もともと、キリスト教も、イスラム教も、ユダヤ教も、ルーツは同じなのだから仲良くできるはずなのにと思うのですが、逆にそこがネックになっているのでした。

フランス人たちを見ていると、全く異質の宗教である仏教にはかなり好意的だと感じます。「禅」などは日本精神の神髄だと受け取る人が多く、すべてZenの精神で捉えようとしたりもするので閉口してしまうことがあります。


◆ フランスでも礼拝行列は行われていた

クイズの答えにした聖週間を盛大に祝う風習は、スペインや、スペインの影響がある南米の風習として残っているようです。

春休み(イースター休暇)にコルシカ島に行ったときには、本土よりも復活祭を祝う雰囲気だったのを覚えています。バエサで聖枝祭の礼拝行列の音楽を聞き、そんな感じの音楽をコルシカ島で聞いていたのを思い出しました。

昔は礼拝行進がフランスにあったとしても、今でも続いているのだろうか? 気になったので調べてみると、フランスでも少しは聖週間の行事が行われているのが分かりました。

特に、スペインと領土を分けているフランス側のカタルーニャ地方では盛んなものよう。私が今回の旅行で1泊目をしたコリウールでも行われていたそうです。

Les pénitents de la procession de Collioure(2012年4月7日のニュース)

下は、コリウールから近い大都市ペルピニャン(Perpignan)のもの(2010年)。もっと大規模です。



◆ ブルカと悔恨者の違いは?

私がフランスでもスペインと同じ伝統が続いているのだろうかと気になったのは、聖週間のイベントで目だけ出した悔恨者たちの存在でした。

この姿はキリスト教徒の伝統を感じます。でも、ゆっくりと進む行列を見学しながら、ふと関係ないことを思ってしまったのです。

フランスでも、目だけだしている服装に身をまとった悔悛者がパレードできるのだろう?...

フランス大統領になったサルコジ氏は、2010年の秋、目だけ出したイスラム教徒の服装であるブルカで身を隠して公道で歩くことや、公共の場に姿を現すことを法律で禁止しました。

ブルカを禁止したら、同じように目しか見えないキリスト教の悔悛者たちも、フランス国内でパレードをすることが禁止されて当然ではないですか?...

ブルカ禁止令が出てからは、フランスで悔悛者の服装をしてする聖週間の祭りには特別な許可を得たりして苦労しているようにも見えませんでした。存続しているところをみると、ブルカと同じ服装としては扱われないもよう。差別ではないですか?...

フランスには悔悛者の伝統を守る団体があったので調べてみたら、ブルカ禁止令が出るときに反対していたそうです。サルコジ大統領がすることは、彼の支持者となった極右思想の人々を喜ばせようという人気取り行為にすぎず、フランスに住むイスラム教徒の人たちを貶めようという手段にすぎない、という主張。

ブルカで身をまとった女性の方は異様に見えます。実際にフランスで見かけたことはないので、ごく少数しかいないと思いますが。特に目の部分にネットなどを張っていると、道路を渡ろうとしても左右がよく見えないので危険だし、テロリストがカモフラージュできてしまう、という主張も理解できます。

ブルカ禁止令の前、サルコジ大統領は手始めに、イスラム教のシンボルである女性の被り物(ヒジャブ)を学校に着用してくることを禁じていました。公立学校は宗教と無関係だとされているフランスなので、イスラム教を感じさせる服装で学校に来るのは許せないのだそう。

だとしたら、クリスチャンの子が十字架のついたネックレスを学校にしていってはいけないの? と、教職についている人に聞いたら、それは目立たないから良いのだとのこと。変じゃない?...

フランス人たちは、フランスはライシテ(laïcité: 政教分離、非宗教)の国だというのですが、この観念が私にはよく分かりません。ミサにいくような敬虔なキリスト教信者は人口の1割くらいしかいないそうですが、フランスはキリスト教の伝統が生きている国だと感じるからです。国民の祭日のほとんどはキリスト教の祭日の名前がついているし、教会の維持費は住民の税金で賄われています(大聖堂は国家予算)。

宗教の問題は複雑です。でもね、イスラム教徒の姿をしている人たちを警察官に逮捕させるという強硬手段に出て、イスラム教徒たちの反感を高める前に、フランスでは遠慮して欲しいと説得するとか、何か平和的な方法を考えて欲しかった...。

頭を覆っている女性たちの中には、宗教のシンボルでしている人もいるのでしょうが、昔からの習慣として根付いてしまっている側面もあるのではないかと思うのです。

子どもの頃から頭にスカーフを付けていた女の子たちは、頭を裸にしたら落ち着かないのではないかと心配しましたが(日本には夏でもストッキングを履く人たちがいますから)、彼女たちはバンダナスカーフを代用して切り抜けたようです。それならイスラム教のシンボルにはならないので許されるというわけ。これも腑に落ちない...。

スペイン旅行記は日付を遡って書いていたのですが、終わりに近づいたら実際の日にちに追い付いてきました。

フランス大統領選挙が行われる直前なので、誰が次の大統領になるかという話題でにぎわっています。サルコジ大統領は再選されないという見通しなのですが、もしも再選されたら怖いな...。大統領は3期は務められないので、2期を務めるようになったら、これが最後とばかりに好きなことをするでしょうから。


スペインではミニスカートが流行っているの?

バエサの町の重々しい宗教行列を見ながら、私はブルカとの関係などを考えてしまったのですが、友人たちは見物している若い女性たちに注目しているようでした。

日曜日といえば、フランスでも昔は一番おめかししてミサに出かけたのだと聞いていました。スペインでは、最も大切にしている聖週間のミサともなれば、特に着飾って集まっているようでした。

超ミニスカートで、ヒールの高い靴を履いている女性たちが目立ったのです。



もっと超ミニスカートもあったのです。こういうのがスペインでは流行っているのかな?...

色々な側面を見せてもらったスペイン旅行でしたが、ようやく、次回でスペイン旅行記を終わりにします。

― スペイン旅行の続きへ ―


テーマに関係する過去の記事
フランス人の博愛精神は薄れてきている? 2010/11/05

情報リンク
フランスでブルカ禁止法成立
≪市民≫の裏側~ライシテと「ブルカ禁止法」について


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