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2009/03/05
政治に関することはブログで取り上げない方針にしているのに、先日は日記で日本の政治問題を扱ってしまいました。
★ 2月18日の日記: 中川財務相辞任の報道をフランスで聞いて

卑怯な行為と偽善が一番嫌いな私です。何かヘマをした人を皆で袋叩きにするというのは、この両方に属していると感じてしまいました。中川氏がどんな方なのかは全く分かりませんが、心地良くない出来事でした。

それは別にしても、ひとつの出来事があったときに見られる日仏のメンタリティーの違いが見えて面白かったので、日記にしてしまいました。


フランス人も面白がるニュースだけかと思ったら・・

日本ではもう話題の中心から外れたネタだと思うのですが、いまだにフランス人の友人たちと食事すると、中川氏が酔ったらしい顔で記者会見に臨んだというニュースが必ず話題に出ます。

私が日本人なので、「日本のニュースにも注目しているよ♪」という親切な意志表示にすぎないとは思うのですが。

言われるのは、いつも同じ。
「日本にも酔っ払いの政治家がいるんだってね。アッハッハ」
それだけ。笑わせてくれるニュースは、フランス人たちは好きなのです。

ところが、「ナカガワって、とんでもない人物だそうじゃないか!」と言う人がいました。フランスのインテリが読む新聞ル・モンドで、日本特派員が書いた記事を読んだと言います。

「とんでもない人物」と判断したのは、中川氏がバチカン博物館で展示物に触ったと知っての判断。

ここで、再び、日仏の違いを考えてしまったのでした。


つい触ってしまう日本人

バチカン博物館のことが日本で騒がれていたのは知っていました。
☆ MSN産経ニュース: 中川前財務相、柵越えて美術品触る 会見後のバチカン博物館

でも、なのです。

日本人は、何かを見ると、つい触ってしまう国民だと思っています。

フランスで日本人を案内することがよくあるのですが、日本人にはそういう癖があると気が付いています。連れていったお家に飾ってある物が目にとまると、手にとって眺めてしまう。可愛い赤ちゃんを見ると、抱きあげてしまう。

「そういうこと、しないで~!」と、心の中で叫びながらハラハラしています。
フランスでは、やってはいけないことなのです。

そんなことは一度もしたことがないと思われる方でも、もしかしたら、無意識になさっているかも知れないですよ・・・。

何にでも手を出していた友人に、フランス人から冷たい目で見られるから止めた方が良いと仄めかしてみたら、前日にしたことは全く覚えていませんでした。

でも、中川氏が柵を乗り越えてまでして警報装置を作動させたのは、やりすぎなのは確か。いくら日本人でも、そこまでする人は少ないと思います。

でも・・・

仕事の関係で知った日本の政治家たちは、天真爛漫な人が多いと感じました。憎めないキャラクター。そういうのが政治家としての人気を呼ぶのだな、とも感じたのでした。それに、立場上、なにをしても許されると思っている方もいらっしゃる。

ですから、私にとって、中川氏がバチカン博物館でしたことは、そう驚くほどのことでもありませんでした。

外国に来ると、日本で見ていた人柄とは全く変わってしまう日本人を、多々目撃しています。日本では外国人を見る機会が少ないからだと思っています。特別扱いされる訪問となったら、調子にのってしまう方もある・・・。

中川氏のようなことをしてしまう日本人は多いのではないか、と思ったのです。


フランス人から人格を疑われるマナーの悪さ?

友人が言及していたル・モンドの記事を書いていた特派員ポンス氏は、私などは足元にも及ばないほど日本に精通したフランス人新聞記者です。バチカンで触ってはいけない展示物に触ったことだけを非難したというのは、少し腑に落ちませんでした。不作法なことをする政治家が日本にいるのは、私以上によく知っているはずですから。

あるいは、彼はフランス人なので、やはりケシカラン人物である証拠として見せようとした書いた記事だったのか?・・・

今日、ふと気になったので、先週のル・モンドの記事を探して読み直してみました。

案の定、中川氏が袋叩きにされている原因としてバチカンでの不祥事をとりあげていただけでした。しかも、「小さな」公共の場で騒ぎ、と表現しています。日本人は悪気がなくて触ってしまう癖があるのだけれど・・・、というのは彼の気持ちの中にもあったのではないでしょうか? それを知らないはずはないと思います。

面白いと思ったのは、その記事を読んだ私の友人が、大臣を辞任すべき人物だったと断定したことです。

触ってしまう癖は、フランスではそれほど悪いことだったのか、と再認識したわけです。

追記:



コメントをいただいて、1年くらい前のフランスで大流行していたビデオを思いだしたました。

サルコジ大統領がルーマニアに行ったときの調印式でしたこと。こういうのがフランス人たちにとっては、やってはいけないお行儀の悪さの典型ではないでしょうか? それを一国を代表する大統領がやてしまったので顰蹙をかってしまったのでした。

フランス語が全く分からない方でも理解できる映像だと思います。説明を加えておくと、サルコジ大統領は大変なブランド志向なのです。


フランスのマナーの基本は、子ども時代の躾から来ている?

フランス人は、マナーがどうのこうのと、うるさいことは言いません。うるさいことを言うのはブルジョワ階級の人たち。それも、かなり衰えてきているようです。

それでも、フランス人はお行儀が良い国民だと思います。それと、個人主義の国民と言われるけれど、他人の人格に対しては日本以上に気を配っています。

いつだったか、やたらに物に触ってはいけない、というのは、子どもの教育から来ていると、フランス人から教えてもらいました。

人に会ったら挨拶する、ドアをバタンと閉めてはいけない、などというのもそう。子どものときに躾けらたことが大人になってもできない人間は、失格。

フランスで最低限のマナーとされるのは、子どもに対する躾なのではないか、と感じ始めています。

伝統的に、フランスの子どもの躾はかなり厳しいです。もっとも、最近は少子化になったせいで躾が甘くなった家庭もあるらしく、シックなレストランで騒ぐようなお行儀の悪い子が出現したので驚いています。10年以上前には全く見られないことだったのです。

ともかく、断りもなく自分のものでない物に触わらないというのは、フランスでは最低限のマナー。博物館で警報をならすほどのことをしてしまったら、私の友人が人格を疑ったのも無理がないかも知れません。

でも、それを楯にとって、日本人が断罪するというのは腑に落ちません・・・。日本人が訪れたフランス人家庭やレストランにある物に触ったときにはサイレンが鳴ったりはしない、という違いにすぎませんから!


良い記事があったのでリンクさせていただきます:
フランス人との会話で注意することって何?
ここに書いてあること、すべて賛成♪ いつも興味深い記事を書いていらっしゃる木蓮さんのブログ「リュミエール兄弟の街から」の中の記事です。

ついでに・・・

過去に書いた日記:
フランス貴族の見分け方
歴史的建造物が好きなために城のB&B民宿によく泊まるので、貴族階級の人たちと出会う機会はとても多いです。先日は珍しく、パリに住む典型的なブルジョワ家庭に滞在してきました。きさくなご夫妻との会話を楽しんだのですが、貴族階級の人たちとの違いが見えて興味かったので、上の日記との対比で書きたいと思ったのに、後回しになっています。


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カテゴリー: フランス人 | Comment (7) | Top
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コメント
この記事へのコメント
深いテーマですね
なんだかとても考えさせられました。深いテーマですね~。
時々、他人に対してボディータッチの多い人については違和感を感じていましたが、ものについてはあまり気にしたことはありませんでした。
日本人にとっては、むしろ相手(の持ち物)に関心を示したしるしとして、手に取らせてもらうことは肯定的な意味合いがあるようにも思います。茶道で出されたお茶碗をクルクルまわして眺めたり、器の質感を肌で感じるのも、少しそういうものに通じ…ないかな?
日本人に限らず、近くのアジアの人たちも触る文化があるような気もしますが、そうなると何が根っこにあるのか…。日仏の何かの違い(違いの中身は忘れましたが)をフランス人の友達と話題にしていて、つきつめたら「湿度の違い」に行き当たったことがありました。
研究すると、おもしろそう!
2009/03/05 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
たしかに、、。
つい触ってしまう日本人…というのは、そうそう!と思ってしまいます。
美術品はちょっと想像しただけで触るのはダメでしょう!と思いますが、お店の物はすぐに触りますよね。
「触ったら買わなくてはいけないかも。。」と思って青空マルシェでもジーーーっとにらめっこする時もありますけどね。
あ、でも、ビックリしたのはフランスではスーパーでカマンベールを選ぶときに蓋をとって、「ぶにゅぶにゅ」と触りませんか?
あるとき思い切って聞いたら、「あら?触らないとわからないわよ」っていわれました。
あ~~、そういうこともある。。。。と思ったことも。(笑)
フランス人の躾は日本よりも厳しそうに感じます。
そういえば、「躾は親の責任!」と母が言っていたことを思い出しました。(笑)
2009/03/05 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
Re: 深いテーマですね
v-22すぎちゃんへ

>時々、他人に対してボディータッチの多い人については違和感を感じていましたが、ものについてはあまり気にしたことはありませんでした。

⇒ そう言われてみると、人の体に触るのは平気なフランス人なのに、物に触られるのは嫌というのは変だな、と気が付きました。

>日本人にとっては、むしろ相手(の持ち物)に関心を示したしるしとして、手に取らせてもらうことは肯定的な意味合いがあるようにも思います。

⇒ そうかも知れないですね。でも、日本人の無意識の癖のもう一つに、誰かがすると自分もしたくなる、というのがあるので、これが禍したりもしす。フランス人のお家を訪問させてもらった団体さんが、数人以上で置いてあるものに手にとりだすと、異様な光景になりますよ~! ご本人たちには、後ろにいるフランス人が変な顔をしているのは見えないわけなので、いつまでも止めてくれないのでハラハラします。でも、あれは、直接話しかけることができない日本人たちが、せめてもの好意を相手に示していた行動なのかも知れない。

>茶道で出されたお茶碗をクルクルまわして眺めたり、器の質感を肌で感じるのも、少しそういうものに通じ…ないかな?

⇒ これも、そういうところが関係していたのかと気が付きました。でも、私はたぶん母親から、よその家に行ったらやたらに触るなと躾けられていたらしくて、茶道のレッスンでこれをやるのに非常に抵抗を覚えた記憶が残っています。

>日本人に限らず、近くのアジアの人たちも触る文化があるような気もしますが、

⇒ 私もそう感じますが、インドでは絶対に! 子どもの頭を左手でなぜてはいけないというのがありましたね。

>日仏の何かの違い・・・  つきつめたら「湿度の違い」に行き当たったことがありました。

⇒ 私も、これと、寒さが大きな影響を与えていると感じています。抱き合って挨拶するのなんかは、日本のベトベト感覚だとできません。でも、フランスでも夏に汗をかいている人にやられると、すぐにハンカチで拭くわけにもいかないので困るな・・・ と感じる。
2009/03/05 | URL | Otium  [ 編集 ]
Re: たしかに、、。
v-22pepe犬さんへ

フランス人でも、物に触って確かめたいという気持ちはあると思います。お店などでは、「触るな」と書いてあったりするし、店員に嫌な顔をされるだろうと思って遠慮したりしていますが、スーパーだと誰も見ていないので遠慮しないで選んでいる。

>ビックリしたのはフランスではスーパーでカマンベールを選ぶときに蓋をとって、「ぶにゅぶにゅ」と触りませんか?

⇒ チーズやソーセージなんかは、触ってみないと分からないのがありますね。お店では、自分の好みを言うと、店員が触って確かめて、「これが良いのでは?」と言っていますね。スーパーだったら、自分で箱をあけて、せめて覗いてみることくらいはしないと確かめられないですね。チーズも紙でくるんであるのは良いけれど、カマンベールに触られてしまうのは嫌ですね。

チーズはたいてい朝市で買うので、スーパーのチーズ売り場のショーウインドーはあまり覗いたことがありませんでした。今度、観察してみよう~っと!

>フランス人の躾は日本よりも厳しそうに感じます。

⇒ すごくきつい言葉を子どもに言う親がいます。私なんかだったら自殺するか家出したくなると思って、そばで聞いているのも辛い・・・。でも、フランスではとろけるような甘い言葉を言ったり、頻繁に抱きしめたりするので調和がとれているのだろうな、と思います。

スリについて書いた日記にくださったpepe犬さんのコメントを読みながら、フランス人が所有物に触られるのを嫌がるのは、触っていると盗むんじゃないかと連想してしまうせいもあるかな・・・ と思いました。そういうのの証拠とも言えるビデオがあったのを思い出したので入れておきます。
2009/03/05 | URL | Otium  [ 編集 ]
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2009/03/05 | | -  [ 編集 ]
実感
日本人は自然さえも、自分の手の中に入れたいのでしょうか。
今日、私も所有地内のみかんをもぎ取られてしまいました。みかんがなくなったことよりも、心ない人の存在が悲しいです。

なんでも触る日本人のお話だったので、つい愚痴ってしまいました。
2009/03/08 | URL | みほ  [ 編集 ]
Re: 実感
v-22みほさんへ

人様の物をちょっと失敬してしまうのは、フランスのようなキリスト教文化の国の方が気楽にやってしまっていると思います。日本はそれが少ないので、儒教文化の影響かなと思っていました。でも、最近は、その良き日本人のメンタリティーは後退してきていますね。

日本人は礼儀正しい国民のはずなのですが、コミュニティーの中での掟かな、という気もします。知っている人がいないところでは、かえって悪いことをしてしまうみたい。旅の恥はかき捨てというのも、フランス人よりは日本人の方がずっと強いように感じています。

日本人には、他人がいても見えなくする本能もある。混浴に入れるのとか、ラッシュの電車に耐えられるのとかは、こういうストップ機能がないとできないことです。良い方向で使われるなら良いけれど、ちょっと怖い国民性だなと思ってしまうこともあります。

色々な意味で問題を抱えている日本。日本人の心がすさんでしまわないと良いのですけど...。

作物を盗まれてしまうのはショックですね。盗む人には、丹精をこめて作っているものなのだ、というのが全く分かっていないのですよね。フランスで町で生活していても農業を身近に感じるのですが、日本ではかなり断絶している感じがします。

私も小さい頃は、母親から「お百姓さんが汗水流して作ったお米なのだから、ありがたくいただきなさい。残しちゃダメ」と言われて育ちました。でも、正直言って、どういう風に大変な思いをして作っているのかは知らないので、全く実感がわきませんでした。一生懸命お茶についた米粒を食べたのは、母に叱られないためだけだったように思います。でも、今ではそれを言うお母さんも減ってきているのではないでしょうか?
2009/03/08 | URL | Otium  [ 編集 ]
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