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2012/06/06

シリーズ記事 【ピカルディー地方の旅行記】 目次へ
その10 シャンティイ城 (2)


昼食は町に出てするつもりだったのですが、まだ見学は続くので城の敷地内ですることにしました。

そもそも、シャンティイにはブルジョワ階級の人も多いと思うのですが、なぜか市内には質の高いレストランがないのです。1軒、森の中にお気に入りのレストランがあったのですが、つぶれてしまった...。

城の敷地内にはレストランが2カ所あります。

まず、城の建物の中にあるレストランのテラスで食前酒。むかしは、かなりのグルメレストランだったのですが、城が閉門した後にはお客さんが来れないので高級レストランの経営が難しいのでしょう。どうということのない料理を出すレストランになりました。

そういうものを食べるなら、緑いっぱいの庭園の空気を吸える田舎風レストランの方が良いかなと思って、そちらに行くことにしました。しばらくぶりに素晴らしいお天気になっていたので、それを満喫したいとも思ったのです。


アモーのカフェ・レストラン

シャンティイ城の庭園には、「アモー(hameau)」と呼ばれる人工的な農村が作られています。日本語では、アモーは「村里」と訳すのが一般化しているかもしれません。

1774年にコンデ公が作らせたもので、これにアイディアを得たマリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿にもっと大規模なアモーを作らせています。

シャンティイのアモーには、わらぶき屋根の田舎家が7軒あったそうですが、現在では5軒が残っています。

アモー

田舎家の屋根の上にはアイリスの花が咲いていました。

田舎家

わらぶき屋根のてっぺんにアヤメのが植えられているのを時々見るので、 わらを固定するのに役立つテクニックなのだろうと思っています。

「水車小屋」と呼ばれる家のところの庭がカフェ・レストランとして使われています。ここで食事することにしたのです。

近くのテーブルでイギリスから来た4人の女性グループが大声で話していたので堪らなかったのですが、少したったら立ち去ってくれたのでほっとしました。

そのあとは、田舎でピクニックしているような喉かな雰囲気になりました♪



カモの夫婦がおねだりに来ていたテーブル。パンくずを投げてあげると、たくさん集まってきます!


クレーム・シャンティイ

このレストランの名前はAux Goûters Champêtres。

レセプションなどでは美しい内装のある田舎家を使えますが、普通にはリラックスした雰囲気で野外のテーブルで食事します。

簡単な食事を出すのですが、地元の農家の生産物を主に使っているので味は良いのです。

ここのスペシャリティーは、何といってもホイップクリーム。

ホイップクリームはシャンティイ城で生まれたと言われるので、その名もフランス語では「crème chantilly(クレーム・シャンティイ)」と呼ばれるのです。

シャンティイ城の料理人ヴァテルが考案したと言う人もいますが、実際には彼が城にやって来る前にシャンティイ城で食べて、素晴らしく美味しいので驚いたと手紙を送っている人がいるそうです。

そもそも、ヴァテル(François Vatel)という人は非常に逸話が多い人で、彼は料理長と言われるけれど、実際にはもっと上の役職で、料理人・執事・給仕長でした。


本物のクレーム・シャンティイ

この日はデザートをパスしたので、生クリーム入りのコーヒーを注文してみました。



ウィンナ・コーヒーと呼ぶべきでしょうが、見た目は違いますよね? しっかりとしたホイップクリームなので、山盛りにはできなくて、沈んでしまうのでしょう。

このレストランでは、さすがにホイップクリームにこだわった自家製なので、美味しいと評判になっています。

フランスでは、スプレー式のホイップクリームがスーパーなどで簡単に手に入ります。

日本でも市販されているらしいので、右に入れました。

クルクルと模様も作れてしまうので便利。でも、生クリームを泡立てて作ったホイップクリームを食べてしまうと、これがホイップクリームだとは言いたくなくなります...。

実際、こういうインスタントホイップクリームには「クレーム・シャンティイ」という名で売ることはできないのだそう。

フランス人たちは、生クリームをホイップして作ったものを「本物のクレーム・シャンティイ」と呼んで区別しています。

本物のホイップクリームを作るポイントとして、友人が挙げていた注意点は、次のようなものでした。

● 質の良い液体状の生クリームを使う。農家が小規模生産でつくる生クリームが最高。少なくとも、フレッシュなものを使うべき。スーパーで売っているような添加物入り、脂肪分を抜いた生クリームは不可。

● 生クリーム、泡たて用の丸いボール、泡たて器は冷蔵庫で十分冷やしておいてから作業を始める。ボールなどは冷凍庫で冷たくしてしまっても良いくらい。

● 泡たて用の丸いボールを使って、手で泡だてる。使う泡立て器は大きいものが良い。

● 粉砂糖を使う。グラニュー糖を入れたらホイップクリームの腰がなくなってしまうのでダメ。

こんな風に作ります:


できあがりを見定める基準を、「鳥のクチバシができた」状態と表現しています。この硬さにできたクレーム・シャンティイが最高なのです。


雌鶏のお尻は丸く膨らんでいる?


Bol Pâtissier Design
Cul de Poule + Fouet
ところで、ホイップクリームを作る丸いボールは、フランス語では「cul de poule(雌鶏の尻)」という変な呼び名をします。

右に入れたボールなのですが、ニワトリのお尻って、こんな形ですか?

ふくれっ面をしたときも「メンドリのお尻をしている」 と言われます。

卵を産むときに膨れたお尻のイメージなのだろうか? あるいは、普通の状態でも、メンドリのお尻は膨らんでいるのだろうか?... 私はしげしげと見たことがないので連想できません。

ついでに言うと、道路に窪んだ穴があるのは「nid de poule(雌鶏の巣)」と言います。こちらは確認済み。卵を産むときに、地面にお腹が入るような浅い穴を掘っていたのでした。

結局、フランス人って、田舎の生活になじみがあるから、そんな比喩を使うのでしょうね...。


アモーのレストランのレシピ

アモーのレストランの生クリーム入りコーヒーはとても美味しかったです。

ホイップクリームが本物だと、こんなに美味しいのですね...。フランスではウィンナ・コーヒーは余り飲まれないのですが、家でホイップクリームを作ったときにはコーヒーにも入れてみようと思いました。

このレストランでは「本物の」クレーム・シャンティイの作り方を印刷したレシピをもらったことがあるのですが、どこにしまったか忘れてしまいました。

アモーのレストランの支配人が、デモンストレーションしている動画がありました。作っているのは、ホイップクリームを使ったイチゴのタルト。このレストランでは一番の人気料理。



この支配人は世界のメディアの取材も受けていて、日本のテレビ番組でも4回放送されたそうです。ご覧になったことがありますか?


クレーム・シャンティイの材料:
・生クリーム 50cl
・粉砂糖 20グラム
・バニラ・シュガー 20グラム

作り方:
1) ボールに砂糖とバニラ・シュガーを入れる。
2) 生クリームを加え、泡立て器でかき混ぜ、泡立て器を持ち上げたときに波のような形が残るようになったら出来上がり。

かき混ぜすぎてしまったら、バターのようになってしまうので失敗。そうなる前に止めるのがポイントだそうです。

意外に簡単に作っているのですね...。

バニラの香りをつけるのはシュクル・ヴァニエ(バニラ・シュガー)というフランスでは簡単に使っているものを使用しているだけなんだ...。しかも、生クリームは、地元のホルシュタイン種の牛のミルクから作られたものだとのことなので、こだわりが感られない...。でも、かなり美味しいのです。

定番のイチゴのタルトは、ここに行ったときにはよく食べるので写真を入れておきます。





シャンティイ城の続きへ:
城の庭園に子どもたちが植えた花を見に行く

追記:
わらぶき屋根について調べたくなり、日記を書きました。
★ シリーズ記事目次: わらぶき屋根に咲いたアイリスの花を見て 2012/06/09

ブログ内の関連記事:
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター)に関して書いた日記

情報リンク:
La crème Chantilly
Tous les secrets de la vraie crème Chantilly
Aux Goûters Champêtres
フランソワ・ヴァテール


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コメント
この記事へのコメント
藁葺き屋根の菖蒲
生田緑地の川崎市立民家園で昔の藁葺き屋根の上にイチハツ(矮性アヤメ)が植えられていたことを思い出しました。調べてみると、昔は火事よけに普通に植えられていたそうです。

記事①
http://blog.goo.ne.jp/shunsuke-ayukawa/e/f2b96e37113fe5f1fc21c1344989bc5e

記事②仏蘭西のノルマンディにも同じ習慣があるそうです。
http://kbaba.asablo.jp/blog/2011/09/27/6115707
2012/06/11 | URL | 豊栄のぼる  [ 編集 ]
Re: 藁葺き屋根の菖蒲
v-22 豊栄のぼるさんへ

イチハツという植物があったのですね。興味深いことが書いてあるリンクもありがとうございます。

前々からフランスのchaumeと呼ばれる屋根に興味を持っていたので、この際、少し調べてブログに書き始めました:
http://otium.blog96.fc2.com/blog-entry-1675.html
2012/06/12 | URL | Otium  [ 編集 ]
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