| Login |
2012/06/10

シリーズ記事 【わらぶき屋根のアイリスの花を見て】 目次へ
その1


少し前の日記で、シャンティイ城の庭園の中に作られたアモーに行ったことを書きました。そこにある田舎家の屋根の上に生えていた植物を「ショウブ」と書いたのですが、コメントをいただいて、花が咲いているのだからショウブではなかったと気がつきました。

ショウブといったら、5月の節句にする菖蒲湯に使う葉ですよね?

実は、いただいたコメントで、茅葺屋根のてっぺんに植えるのはイチハツ(矮性アヤメ)という植物なのだと教えていただきました。

「イチハツ」と訂正しようかと思ったのですが、中国産だそうなのでフランスで普通に使われたとは思い難い。

だとしたら、「アヤメ」と訂正すべきか? あるいは「ハナショウブ」と書くか?... とりあえずブログの文字は「アヤメ」と訂正して、少し調べてました。

フランスにも、アヤメやハナショウブに似た植物は色々あるのですが、みんな「iris(イリス)」と呼んでしまっています。英語で「アイリス」として逃げる?...


どう違うの?

アヤメに似た植物は、もっと他にも色々あったことを思い出しました。

アヤメ、ショウブ、ハナショウブ、カキツバタ、イチハツ...。
どう違うのか? 頭が混乱してきます。

紛らわしい6種類の植物を一覧表にまとめてくださっているサイトを発見♪
いずれがアヤメ?カキツバタ?

結局のところ、端午の節句にする菖蒲湯に使うショウブはサトイモ科ショウブ属。それ以外は、たとえ「ショウブ」という文字が名前に入っていても、すべてアヤメ科アヤメ属の植物のようです。

私の場合、フランス語と学名が知りたいので(フランス語になっていなかったら学名を使うでしょうから)、表にしてみました。

日本語名学名(上) / 仏語名(下)画像
アヤメIris sanguinea
アヤメ科アヤメ属

Iris sanguinea / Iris de Sibérie / Iiris du Japon
※シベリアや日本を持ち出した名前にしているところ、フランスのとは違うらしい。
カキツバタIris laevigata
アヤメ科アヤメ属

Iris laevigata / Iris d'eau japonais
※水辺に生える日本のアイリスとしています。
ショウブAcorus calamus
ショウブ科(サトイモ科)ショウブ属

Acore odorant
※香りのあるショウブ。名称があるところを見ると、フランスにもあるのかな?...
ハナショウブIris ensata var. ensata
アヤメ科アヤメ属

Iris japonais
※こちらも日本のアイリスとしています。
キショウブIris pseudacorus
アヤメ科アヤメ属

Iris des marais
※沼のアイリスの意味。
イチハツIris tectorum / Iris tectorum Maxim.
アヤメ科アヤメ属

Iris tectorum
※学名のまま、珍しい植物として販売しているサイトがありました。


こういう植物の名前は、仏和大辞典をひいても出てこないので、Wikipediaやフランスの園芸店サイトなどの表記を使いました。「日本の」などとついているアイリスの場合は、一般化していなくて、名称も色々ある植物ではないと思います。

眺めてみると、フランス語の呼称は、ショウブが「acore」で、それ以外は「iris」と分かりやすいのでした。日本語は複雑すぎる!

でも気がつけば、ショウブもアヤメも、漢字で書くと「菖蒲」なのでした。ややっこしい..。 「菖蒲」と書いてあったら、どちらに読めば良いの? でも、どちらに読んでも問題はないということ?...


キショウブ

上の表で、フランスのと同じに見えたのはキショウブだけでした。irisは「アイリス」とするのが適当でしょうね。


キショウブと同じだと思われる「Iris des marais(沼のアイリス)」は、フランスでも沼や川のほとりでよく見かけます。



これはフランスで撮影したものなのでが、日本で「キショウブ」と呼ばれる植物と同じですよね?

この花を初めて見たときは、葉が細いので菖蒲湯に使えるかと喜んだのですが、香りなど全くないのでがっかりしました。日本語名に「ショウブ」とついているところ、やはり間違えてもおかしくない植物なんだ...。


フランスでもイチハツを植えるのだろうか?

ところで、イチハツという植物がフランスに存在しているのか、それを屋根の上に植えているのかどうかは分かりませんでした。

イチハツというのは、私には初めて聞いた言葉。アヤメ属の中では一番先に花が咲くから「一発」なのだそうです。

学名はIris tectorumで、「tectorum」は「屋根の」という意味があるのだそう。でも、中国原産だそうなので、むかしのフランスでイチハツを使っていたとは想像しにくい。

今回見た家の屋根の上を眺めたのですが、焦点が合っていないので、何の植物かは分かりませんでした。



いつだったか、高台から見た屋根に植わっている植物がよく見えたので写真をとった記憶があるのですが、見つかりません。フィルムで写真をとっていた時代だったかもしれない。

わらぶき屋根の上に植物を植えていることを書いているサイトで何と言っているかをチェックしてみました。

植物は「iris(アイリス)」としか書かれていません。ただし、屋根の上に植える植物として最も良いのは、アイリスとユリという記述がありました。根がよく張るからだそうです。

ウェブ検索ではノルマンディー地方の屋根が多くでてきました。

こちらは花が枯れた状態。

こちらも花なしの写真なのですが、葉はよく見えます。このページにモーパッサンの文章が引用されているのですが、彼も「青いアイリス」としか書いていません。

どれも、私にはフランスで普通に見るアイリスに見えます。こちらもノルマンディーの写真ですが、これは完全に普通のアイリスだと思えます。

イチハツの特徴に葉がアヤメなどより広いことがあげられていたのですが、上にリンクしたサイトのアイリスも広い葉です。でも、フランスで普通に見るアイリスは、こんな風に肉厚で幅が広いので、それではないかという気がします。

そもそも、アヤメ、カキツバタ... とフランス語訳を調べあげてみたけれど、よほど植物に詳しい人でもない限り、普通のフランス人は「イリス」としか言わないと思うのです...。

だから、同じように見える花に、そんなにたくさんの名前を作ってしまう日本が不思議になってしまいます。でも、日本人は花に思い入れがあるからでしょうね。

逆にフランスでは、動物の呼び名の方は色々作っています。オスかメスか、子どもか大人かの違いによって、似てもにつかない単語を使うのです。


ところで、フランスで最もよく見かける空色のアヤメで思い出したことがあったので、次の日記で書きます。

― 続く ―




内部リンク:
フランス王家の紋章はユリの花 2012/06/11
   ユリの紋章は実はアイリスだとする説がある

情報リンク:
☆ All About: 何れ菖蒲か杜若、見分けるポイントは?!
『菖蒲(あやめ)・菖蒲(しょうぶ)・かきつばたの違い』
フランスの植物販売サイトで売られているアイリス(iris)


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村



カテゴリー: 植物 | Comment (2) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
イチハツ
アヤメ科はたくさん種類があって困りますね。横浜ではイチハツは5月に咲いてもうとっくに散っています。関東では今週末から来週にかけて花菖蒲や杜若が満開になりますが、私はこの2つの区別をするのをとっくに諦めています。
2012/06/13 | URL | 豊栄のぼる  [ 編集 ]
Re: イチハツ
v-22豊栄のぼるさんへ

やはりイチハツは先に咲くのですね。今が菖蒲は杜若のシーズンでしたか。思い出せば、梅雨のシーズンの花でしたね。フランスでよく見るアイリスはカラカラの土に生えているので、それを忘れてしまっていました...。

豊栄さんはお花をたくさん見ていらっしゃるので、見分けがつくのだろうと思っていたのですが、区別するのは諦めていらっしゃると聞いて安心しました♪
2012/06/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する