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2012/06/20

シリーズ記事 【ヴィシー政権下、1942年のユダヤ人一斉検挙】 目次へ
その7


私はフランス人たちとは違う文化の人間なのだな... と、一番初めに痛感したのはいつだったかな?...

時々、それを感じたのが断片的に記憶に残っています。例えば、フランスから行くエジプトのツアーに参加したときのこと。

ナイル川クルーズの後、シャルム・エル・シェイクに2泊というのがスケジュールに入っていました。そこから、シナイ山麓にある聖カタリナ修道院を見に行くオプショナルツアーがあったので、参加しました。

海岸のリゾート地でのんびりするのは趣味ではないので、観光を選んだくらいの気持ちの参加。その修道院は「出エジプト記」の舞台で、モーゼにまつわっている、という程度にしか捉えていませんでした。

ツアーの仲間のフランス人たちは、ほぼ全員が参加。しかも、えらく楽しみにしている様子なので驚きました。

クリスチャンでない人たちも、モーゼが神の言葉を授かったとされる「燃える柴(英語でもBurning bushですが、仏語だと意味ありげにBuisson ardent)」に感激している。

翌朝はシナイ山のご来光を見に行くというのもあったのですが、寒さと暑さで大変だと言われて私は尻込み。勇敢に夜中に出かけて帰ってきた人たちは、これまた感激していました。

クリスチャンかどうかは抜きにしても、フランス人にとっては、キリスト教は根強いものがあるのだろうな...。


ユダヤ人迫害はいつ始まったのか?

キリストを殺したのがユダだから、ユダヤ人が憎まれるのだ、と思っていたのですが、腑に落ちません。だって、キリスト自身もユダヤ人ではないですか?

日本語だと、ユダ(イスカリオテのユダ)とユダヤ人で結びつく単語になりますが、フランス語ではJudasとJuifsで、似ているといえば似ている程度。英語ではJudasとJewsで、全く無関係に見えてしまう...。

ユダヤ人迫害には、妙に根強いものがあると感じます。フランスにいると、いまだにユダヤ人を区別しているで奇妙です。人の名前を聞くと、彼らはユダヤ系かどうかを判断できるのです。それで、そんなことは判断できないであろう私に、「あの人はユダヤ人だ」とわざわざ教えてくれるのです。

その人がケチだったりすると、「ユダヤ人だから」となる。そんなことを言う人でも、またヴィシー政権のような政府ができたって、迫害なんかには加担しないだろうと確信は持てるのですが、なぜユダヤ人であると区別するのか不思議です。 

ユダヤ人迫害はいつ始まったかが気になってきたので、調べてみました。


中世に芽生えた?

まず、簡潔に書いてあるフランス語情報を読んでみたのですが、驚きました。ユダとユダヤ人の関係などには触れていないのです。

現代の反ユダヤ主義者たちの根拠とすることには、古代から中世初期にかけて正統信仰の基礎を築いた教父(ヨハネス・クリュソストモスやアウグスティヌスなど)の著述を持ち出すけれど、実際にキリスト教徒に反ユダヤの観念が広まったのは中世だ、とありました。

11世紀にはじまった「十字架のために聖地パレスチナを異教徒から奪回せよ」という十字軍。特に、12世紀から13世紀にかけての時代にユダヤ人迫害のルーツがあると書いてありました。十字軍はイスラム教徒をやっつける目的だったはずですが、ユダヤ人も殺害していたのでした。

中世に、ユダヤ人は悪者だとするデマが大きくなっていきました。世の中の分からないことは、みなユダヤ人のせいにしてしまう?...

ユダヤ人はキリスト教徒の子供たちを殺す、キリストを再び十字架にかけようとしている、血を飲んだり臓器を盗もうとしている、などの作り話が西ヨーロッパに広がった。さらに、中世からルネサンス期にかけて、魔女、悪魔、ペストなどが、ユダヤ人の仕業とされてしまう。

ユダヤ人はこれを商売にしたのがデマに信憑性を持たせてしまった。つまり、金をむさぼるということが、子どもを暗殺して血をむさぼることに結びついた。

利子をとって金を貸すのは、キリスト教では許されていなかったのだそうです。今の世の中もそうですが、汗水流して働くより、お金を転がす方が儲かる。

お金持ちにはやっかみを持つ、というところでしょうか? でも、今は逆に尊敬してしまうという傾向があるように感じますけど...。

1144年、ノリッチ(イギリス)で最初の血の中傷事件がおき、このデマがヨーロッパ中に広がった。

19世紀になると、ロシアなどで再び反ユダヤ主義が持ち上がってくる。

ユダヤ人世界征服陰謀の神話『シオン賢者の議定書』がロシアで出版され(反シオニズムを掲げたロシアの偽書といわれる)、20世紀に入ってから世界中で読まれる。

この書物は日本にも入ってきているし、ヒットラーにも影響を与えたらしい。

一方、ユダヤ陰謀論のテーマを扱った小説としては、ドイツのHermann Goedscheが書いた『Biarritz』が最初だったそうです(1868年)。


つまり、ユダヤ人迫害は、キリストの身を銀貨30枚なんか売ってしまったユダに対する憎しみ、などという単純なものではないのですね。

さらに、ヒットラーが突如としてユダヤ人の迫害をやった、というものでもないのだ...。

キリスト教とユダヤ教の対立が土台になっているとすると、理解できることがありました。ホロコーストは、ユダヤ教徒の迫害に止まるのではなく、ユダヤ民族に対する迫害なのですから。

 
ユダヤ人を標的にした話しをでっちあげて、てデマを飛ばす。

噂は噂を大きくし、しまいに人々に本当だと思い込ませてしまう...。

怖い構造ですね。昔読んだ本の重みが感じられました。


十字軍の先頭に立ったフランス大統領

十字軍で思い出したことがあります。
1年余り前、フランス内務大臣が失言したときのこと。

サルコジが先頭に立ってリビア攻撃を始めたことを、内務大臣がくすぐったいほど褒めあげて言いました。

幸いにも、サルコジ大統領は十字軍の先頭にたって、国際連合安全保障理事会に行動を起こさせました。


Claude Guéant:Sarkozy a pris la tête de la croisade!

さんざん悪口を言われているサルコジ大統領だけれど、今度は良いことをしたではないですか~! と、この機会を利用して言いたかったのでしょう。

こういう顔をして上司にへつらうお父さんって、日本にもいるな... と、私は面白がっていたのですが、フランス人たちの反応は違っていました。

「十字軍」を持ち出してきたのがいけなかった!
すぐに非難の声があがりました。

カダフィーはアラブ世界の人。それを欧米の手で制裁しようとしている、という図。つまり、イスラム教徒を制圧しようとするキリスト教徒の挑戦だから内務大臣は誇らしいの? ということになってしまう。

例えが良すぎるのです!

そういうイメージで見るのは勝手だけれど、大臣が人前で言うのは問題ですよ。特にフランスは、政教分離の国だと強調しているのですから!

それに、十字軍はだんだん本来の目的から逸れて、おかしなことになったのですから、フランス大統領がすることを十字軍に例えたら、本末転倒なことをしているようで滑稽だったかもしれない。

真面目に腹を立てた人たちもいたでしょうが、普通の人は政治家のヘマに大笑いしただけだったろうとは思います。サルコジ政権では、どうしてこういう人が大臣になっちゃったんだろう? というメンバーが揃っていて、よく笑わせてくれましたので♪

例えば、猛烈に寒くなった今年の冬に、厚生大臣が発したお言葉:
寒さが厳しいときには、外出を控えましょう。特に、高齢者とか、ホームレスの人たちとか...。

ところで、フランスの政治家の失言はYouTubeなどで何年たっても見れるのですが、日本の政治家の失言はすぐに消えてしまいますね。インターネットをチェックして削除する係りの人がいるのではないか、と思ってしまうほど。石原都知事の発言などは、文章としては残っていますが、ずっと遡って全部、実際に言葉を発しているのを聞いてみたいけど...。


ところで、サルコジが勇敢に立ち上げた21世紀の十字軍。このリビア攻撃がおこったら(2011年3月19日)、少し奇妙になりました。

直前に福島原発が爆発していたので、フランスのニュースでは放射能がどう動いてフランスまで到達するかという動画も見せながら、原発の恐ろしさを報道するようになっていました。

ところが、テレビのニュースでは、リビア攻撃が原発問題を飲み込んでしまったのです。

変だな... と感じたのは私だけではなかったらしく、同じような感想を書いているブログがありました:
5ヶ月も続く不思議なNATO軍のリビア空爆

原発反対運動が高まらないように、国民の目をリビアに向けさせようとした意図もあったかもしれないけれど、サルコジは、なにがなんでもカダフィーを殺さないとまずい、という動機があったはずなのです。

このころ、サルコジは前回の大統領選挙のためにカダフィーから膨大な選挙資金(50億円超)を貢いでもらっていたことが浮上してきていたのです。

1年後には、選挙法違反問題は、かなり明らかになりました:
☆ AFP(2012/04/30): 故カダフィ大佐がサルコジ氏に選挙資金約束か、2007年仏大統領選で

話しが脱線しすぎてしまいました...。

ー 続く ―


外部リンク:
十字軍の暗黒史: 第3章:十字軍によるユダヤ人迫害の実態
ユダヤ陰謀説のウソ
☆ Zorac歴史サイト: 西欧のユダヤ人
D'où viennent les préjugés et légendes qui fondent l’antisémitisme ?


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