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2012/08/24
数日前、売りに出された城のことが話題になっている、とブルゴーニュに住む友人がメールで伝えてきました。

シャトー・ド・ラ・ロッシュポChâteau de la Rochepot

ラ・ロシュポ城が売りに出たと聞いて、少なからず驚きました。ゴーニュワインのメッカであるボーヌに来たツーリストが、少し足をのばせば行ける場所にある観光スポットなのです。

観光パンフレットなどでもよく使われている城になっています。「ブルゴーニュの屋根」と呼ばれる、釉薬を塗ったカラフルな屋根の城が丘の上に建っている姿は、写真うつりが良いからでしょう。



この動画では13世紀の城とタイトルを入れていますが、現在みられる城が中世からあった姿というわけではありません。



知らせてきた友人は「買わない?」と言ってきましたが、この城は私の好みのタイプでないことを知っていると思う。どっちみち買えるお金がないけど、この城をタダであげる、と言われても考え込んでしまうな...。維持費がかかりますから。その費用は観光客が入場料くらいでは賄えないはずです。

お城に興味がない観光客だったら、この城を見学して「ブルゴーニュらしい立派な城だな」と喜ぶだろうけれど、私には本物の城ではないのです。「ディズニーランドの城」とまでは言わないけれど...。

歴史はある城です。でも、フランス革命の後に多くの城が共にした運命を、このラ・ロシュポーもたどりました。つまり、建物がバラバラにされて、石材として売られてしまった...。

ほとんど何も残っていなかった廃墟が19世紀に買われ、ネオ・ゴシック様式で城が築かれました。城の内部は20世紀全般に作られた部分もあります。だから、私から見るとニセモノ。遠くから見ると美しいですが、石の切り出し方が現在風で、私には味気ない。

でも、立派な中世の城に見えますよ~。こういう城が好きな方もいらっしゃると思う。19世紀の修復は、こういうのが流行りました。本物より本物らしい雰囲気を持たせてしまう!

売っているのはパリの不動産屋。お気に召した方は、こちらのページをご覧ください。写真も豊富に入っています。価格は書かれていませんが、300万ユーロだろうと言われています。


日本人が由緒ある城を破壊したスキャンダルを思い出してしまう

こういう風に村のシンボルになっている城が売りに出されると、どうなってしまうだろうかと最も心配するのは村人たちかも知れない。

現在のラ・ロシュポ城は個人の不動産で、入場料を払って見学できるのですが、村人たちはいつでも無料で入ることができるという配慮があるのだそう。買った人が自分が住む家として使って一般公開しなくなったら、村人たちは寂しいではないですか。

最も心配されるのは、城を今のまま保存してくれるかどうか、という点。
この城には重大な問題があるのです。

有名な城ではあるのですが、昔に建てられてはいないので、歴史的建造物(日本の国宝のようなもの)には指定されていないのです。リストアップには入っているそうですが。

つまり、買った人は、自分が好きなように改造してしまう権利があるわけです。それが怖い!

前回の日記で、同じくブルゴーニュのコート・ドール県にあるジュブレ・シャンベルタン城が中国人に買われて話題になっていることを書いたのですが、ラ・ロシュポ城も中国人が買うのだろうか?…

ラ・ロシュポー城の派手さは、かなり傷んでしまっているジュブレ・シャンベルタン城より中国人好みではないかとも思うのです。

城を買った人が郷土資産を守ってくれるのだろうか、と心配するフランス人たちの声を聞くと、日本人がおこしたスキャンダルを思い出して言っているのではないかと気が滅入ります。

1984年、バブル景気の走りの時代、ヨーロッパの城を買いまくった日本企業が、その中の1つで、歴史的に価値が高い城「Château de Rosny-sur-Seine」を破壊したという事件です。

城の中にあるものをバラバラにして売り、最後には火事までおきたのでした。こちらのページに、ありし日の美しい姿や、みじめな姿の写真が入っています。

コローが描いた、19世紀半ばの城の姿です。

Jean-Baptiste-Camille Corot - Château de Rosny
Le château de Rosny, par Jean-Baptiste Camille Corot, 1840


城を売値しようとすると、民家として使うには広すぎるし、修復維持にはお金がかかるので、買手がそういません。それで、たいていは実際の価値より安く取引させます。

普通の民家の百倍の大きさがあるとしても、価格が百倍になるということはありません。保存状態の良い城だったら、建物の壁を崩して石材として売ってしまわないにしても、家の中にある暖炉、壁面を覆っている彫刻のある板の壁、壁に取り付けられているアンティークの鏡などを取り外して売ったら、買ったときの値段は簡単に取り戻せてしまうはずです。

日本人が買った城は歴史的建造物に指定されていた城だったので、立派な犯罪となり、大きなニュースとなって騒がれました。

歴史的建造物に指定されていると、持ち主がしっかりと保存しないときには国が売却するように要求する権利があります。この城は1999年にフランス人に買われ、デラックスホテルをつくると聞きました。ごく最近の報告がありましたが、まだホテルは開業していないようです。

日本人がおこした事件をフランス語サイトで検索すると、いまだに多くの記事がヒットしてきました。早く忘れてくれないかな...。

内部リンク:
ヴィオレ・ル・デュクが修復したピエールフォン城 2010/05/12
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

情報リンク:
【ラ・ロシュポ城について】
オフィシャルサイト
【ラ・ロシュポ城の売却に関するニュース】
La Rochepot : château à vendre!
Château à vendre : tout le village de la Rochepot en émoi
Coup de frein sur le marché des vieilles pierres

【日本人の城スキャンダルについて】
☆ Wikipedia: Château de Rosny-sur-Seine
Ces Japonais promoteurs de chefs-d'oeuvre en péril. La Nippon Sangyoo a acquis des châteaux dans les Yvelines avant de les abandonner.
Travaux et propriété du château de Sully, à Rosny-sur-Seine
バブル、海外資産の買い漁り
☆ Wikipedia: 横井英樹


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カテゴリー: 建築物 | Comment (4) | Top
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コメント
この記事へのコメント
野蛮人なんですね…何処の会社だったのでしょう♪
 情け無い事実があるのですね…中国人が買ったので心配なんて思っていたのですが♪

 私達の同胞が既に罪な文化財破壊を犯していたのですね…きっとフランスの人達からは冷たい目で「野蛮な人種」と見られてしまうのでしょうね…恥ずかしい事です♪
2012/08/26 | URL | ひでわく  [ 編集 ]
Re: 野蛮人なんですね…何処の会社だったのでしょう♪
v-22 ひでわくさんへ

日本の経済進出がフランスを脅かしているのだ、というのがフランスのステレオタイプの発言だった時期だけに、エコノミックアニマル的なことをされたのは非常にショックで、肩身の狭い思いをしました。好き勝手に改造してしまったというのなら、「野蛮人」程度で済まされるのですが。

最近は中国がフランス経済を脅かすようになったため(衣料や靴などのフランス企業が倒産している)、日本のことを悪くいう人がいなくなったので、私は喜んでおりました...。

どこの会社? フランスの記述だと、この城を買ったのはNippon Sangyoo Kabushiki Kaishaとあります。会社がしたというよりは、個人の行為だったと私は感じました。火災をおこして大勢の死者がでたあと、いつまでもその建物が残っていた東京のホテルを覚えていらっしゃいますか? もう何か建っていると思いますが。刑務所に入れられたのは、あの社長さんのご令嬢でした。ずいぶん前、どうしてそんなことをしたのかと調べてみたことがあるのですが、そういう方だったと分かったら、なあんだ普通の日本人ではないぞ、と安心しました♪
2012/08/26 | URL | Otium  [ 編集 ]
ラ・ロシュポ城
 このお城、子どものころに写真で観て、すごく印象に残ってたんです。いつか行ってみたいと思ってたのに、城の名前を忘れてしまい、場所もブルゴーニュでなく、ロワール河流域だと勘違いしてました。
 今回、ラ・ロシュポ城という名前がわかり、うれしいです。個人が買えるんですねー、すごい。
 ぜひ、一般公開は続けてほしいです。
2012/09/16 | URL | ARI  [ 編集 ]
Re: ラ・ロシュポ城
v-22 ARIさんへ

お役にたてたと聞いて嬉しいです。ラ・ロシュポ城は、ブルゴーニュを観光したら出会う程度の知名度だろうと思っていたので、子どもの頃に写真を見られたとは驚きでした。廃墟になっていても昔の姿が残っているのが好きなので、この城は私の趣味の城ではないと書きながら、この城の見学が気に入った方々には悪いな... と気が咎めていました。でも、子どものときに見た写真が印象に残っていた方もあったとは、想像もしていませんでした。

確かに、空想をそそらせるような建物ですね...。中世に建てられた城より、中世らしい雰囲気があるかもしれない。いつか見にいらしてくださいね。そのためにも、城を買った人が自分の住居のためだけに使わないように祈ります!
2012/09/17 | URL | Otium  [ 編集 ]
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