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2012/10/04

シリーズ記事 【ブドウ畑の中にある城で開かれた書籍展とブドウ収穫】 目次へ
その5


先日の日記で、私がお気に入りにしていたジュヴレ・シャンベルタン城(Château de Gevrey-Chambertin)が売りに出せれ、中国人に買われたという話しを書きました。

ショック! ジュブレ・シャンベルタン城が中国人に売られてしまった 2012/08/23

今回の旅行で近くを通ったので、城になにか変ったところがあるかと立ち寄ってみました。


ジュヴレ・シャンベルタン城の前に人が集まっていた...

バリケードができていて、車を止められない。それに、いつもは誰もいない場所なのに、人だかりがある。

ただならぬ雰囲気…。



カメラを手にした人たちが十数人たむろしていました。

中国人が買ったと話題になった城なので、観光客が来るようになったのだろうか?...

カメラ同好会の人たちなのだろうと思いました。もう美しい秋も最後かもしれないという9月末なのに、晴天の日でしたから、カメラマンが映像に収めようと、ブルゴーニュワインが生産される地域に来ていたのは不思議ではありません。

でも、集まっているのはプロのカメラマンたちに見える。ひょっとして、城を買った中国人が来るという情報が流れて、報道関係の人たちが集まっていたのかもしれない。

そんなことは私にはどうでも良いこと。

ここには石畳の歩道なんかではなかったな... と思って眺めると、十字架の前に誰かが座っているのが見えました。


こんなところに僧侶が...



「スタチュー」というパフォーマンスをしている人なのだろうと思いました。
それを皆が写真をとっているのかな? ...

近寄ってみると、この人、全然動かない。
スタチューだったら動かないのは当然。
でも、こんな、普通では観光客なんかいないところでやっているの?...

腰をかがめて顔を覗き込んでみると...
顔がない!

本物の石像なのでした。

ディジョン市営美術館に、これによくにた僧侶の彫刻があります。 ブルゴーニュ公の棺のまわりで、死を悲しむ行列をしている僧侶たち。

それを見に行ったときの日記:
ブルゴーニュ公の棺の彫刻を見に行く 2011/10/25

中国人に買収されたことで騒がれている城の前で、僧侶がうなだれている...。

奇妙です。先祖代々住んでいた人が手放した城の前で悲しんでいる、というテーマの作品を作ったの?…

城を買った中国人が、自分は文化財を大切にする人物だ、ということを見せようとして石像を寄付したのだろうか?…

あるいは、城が売却される前に、石像はたてられていたのだろうか?...

気になったので、帰宅してからインターネットで調べてみました。


彫刻は城の買収前からあった

地元新聞に、城前の広場が整備されて、石像が置かれることになった、と書いてある記事がありました。昨年の2月と8月の記事。2月の記事でプロジェクトが紹介されていて、2011年8月22日の記事では「数カ月後に石像が設置される」と書いてありました。

中国人が城を買ったと報道されて騒がれたのは今年の夏。でも、購入していたのはもう少し前、といっても、せいぜい春ごろだったと思います。

だから、城を買った中国人がアピールでたてた石像ではないのは確か。ジュヴレ・シャンベルタン町が、城の前の小さな広場を町の美化としてしたことのようです。

この像はクリュニー会の僧侶を表現したもので、ジュヴレ・シャンベルタン町とクリュニー修道院の関係を象徴しているのだそうです。城はクリュニー修道院の修道僧がブドウ畑を築いたといういわれがあり、「クリュニー会ゆかりの地(Sites Clunisiens)」に指定されているのです。 城の前にある小さな広場の整備は、クリュニー修道院創設1100年祭にちなんで行われたもよう。

彫刻したのはLaëtitia de Bazelaireという女性でした。ヴェルサイユ宮殿の床にも使われたキメの細かいブルゴーニュ地方北部にあるシャティヨネ地方の石を使っているのだそう。

美しい彫刻作品なのですが、なんだか奇妙ではありませんか?...

城が外国人に買われ、ジュヴレ・シャンベルタンのワインのイメージが悪くなったと絶望している僧侶のように見えてしまいます。

あるいは、モデルにされた僧侶は、前年からジュヴレ・シャンベルタンの行方を見通していて、城の前のベンチで落胆した姿になったのか?...

ジュヴレ・シャンベルタン城のニュース

この日記を書きかけていたら、こんなニュースが目にとまりました。

フランスのワイン産地でチャイナマネーによる買収が波紋広げる
(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース 10月3日

日本のインターネット上のニュースはすぐに消えるので、画面をとっておきます。よく調べた取材でもなく見えるので、とっておくこともないとは思うのだけれど...。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121003-00000798-fnn-int


今頃になって報道? 日本では、城を買ったのはマカオのカジノ王というだけだったのが、最近になって呉志誠氏(Louis Ng Chi-sing)だったということが明るみに出たからなのかな? あるいは、最近の日本は領土問題で中国から叩かれているので、逆に中国を悪く言うための口実になるニュースを探したのか?...

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121003-00000798-fnn-int


「ジュブレ・シャンベルタンのワインが、実は今、入手が困難になりつつあるという」と書いてあるのが気になりました。 日本ではそうなっているのかどうか知らないけれど、それと城を中国人が買ったこととは関係はないと思うのだけど...。

少なくとも、私はジュヴレ・シャンベルタンのワインが欲しいと思っても買えなくなる、なんて、ありえないと思う。グラン・クリュ(特級ランク)のシャンベルタンなら生産量が少ないから想像もできますが、「ジュヴレ・シャンベルタン」と地名がついただけのワインは、そんなに特別な時だけに飲むワインでもないです。


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ジュヴレ・シャンベルタンのブドウ畑

日本での報道が気になってしまうのは、ジュヴレ・シャンベルタンのシャトーを中国人が買収したと報道する仕方に興味があるからです。

ボルドーワインではシャトーが銘柄になっていますが、ブルゴーニュワインの銘柄はたいていは村の名前です。つまり、ワインの銘柄の名がついたシャトーが外国人に買収されたって、その銘柄で生産されるワインの全てが買収されたわけではないと説明する必要があると思うのです。

ジュヴレ・シャンベルタン城と一緒に売られたブドウ畑は、たった2ヘクタールでした。

それっぽっちが中国人の手に渡ってもどうということはないと言いたくなるのですが、そもそも、ジュヴレ・シャンベルタンのブドウ畑は全体でどのくらいの広さなの?...

調べてみたら、ジュブレ・シャンベルタンのカテゴリーに入るワインになるブドウ畑の総面積は、約410ヘクタールでした。

ジュヴレ・シャンベルタン町(Gevrey-Chambertin)とブロション村(Brochon)で生産されたブドウ。でも、グラン・クリュの畑はジュヴレ・シャンベルタンのみ。

ジュブレ・シャンベルタンのアペラシオン(呼称)のワインを醸造しているワイナリーのリストを見ると、ぞろ~っと並んでいます。



この看板、嫌い

今回立ち寄ってみたジュヴレ・シャンベルタンのブドウ畑を通り過ぎる時、こんな看板が目に入りました。



「grappillage禁止」と書いてあります。grappillageというのは、収穫が終わったブドウ畑で、摘み残したブドウをとることを指します。

それを禁止するとして、1963年にジュヴレ・シャンベルタン町が制定した法律だと書いてあります。

畑の持ち主が後でそれを摘むのだから、というのではなくて、それをやられると、ブドウの木を傷めるから止めて欲しい、ということです。その気持ちはわかりますけどね。

ジュブレ・シャンベルタンではこの看板を毎年見ますが、ブルゴーニュ地方の他のワイン村でも立てているところがあっただろうか?... ブドウ収穫中は道路にトラクターがたくさん出るので、「徐行運転でお願いします」というのはよく見るのですけれど。

こんなのを見ると、この地域のワイン醸造者は陰険な人が多いのではないかと思ってしまう。私が買い付けに行くジュヴレ・シャンベルタンの農家の人はとても感じが良いのだけれど、町のワイン業界にはなにか雰囲気があるのではないかな?...

この後にロマネ・コンティの畑に行ったのですが、こういう看板を立てる価値が一番高いはずなのに、何にもなかったです。

「こういう看板は嫌いだな」と言いながら写真を撮っていたら、一緒にいた友人が言いました。

ジュブレ・シャンベルタンのワイン農家はみんな金持ちなんだから、みんなでお金を出し合って城を買えば良かったんだよ。

城と一緒に売ったブドウ畑は2ヘクタールだから大したことはないけれど、城は村のシンボルだったはずですもの...。でも、中国人の買収価格は約8億円。地元の人たちが集めたのは約5億円だったそう。あと3億円は集められなかったのかな?...

経済活動が国際化した現代、いくらフランス文化の象徴であるブドウ畑でも、外国人には売らないという規則を作るわけにはいかないと思う。

少なくとも、日本人が何か言う権利はないですよ。日本経済が景気良かった少し前の時期には、日本企業がフランス各地で城を買いあさったり、ボルドーのブドウ畑などを買収するのがブームだったのだから...。

― 日記の続きへ -


ブログ内リンク:
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ

情報リンク:
【ジュヴレ・シャンベルタンのワインについて】
Fédération des Sites Clunisiens
Gevrey-Chambertin
ジュブレシャンベルタンの広報パンフレット(フランス語)
【僧侶の像についてのニュース】
La sculpture d’un moine sur la place du château 22/08/2011
La place du château bientôt aménagée 15/02/2011
【ジュヴレ・シャンベルタン城買収について】
Louis Ng Chi Sing veut réenchanter le château de Gevrey-Chambertin (Le Monde 31/08/2012)


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