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2012/10/29

シリーズ記事 【旅行記 : ラ・モット・ティイー城のイベント】
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その1 ノージャン・シュール・セーヌ町


今年の秋は暖かいと喜んでいたのに、もう終わりのようです。冬のように寒くなりました。外に出していた植木鉢を家の中にとりこみました。ニュースでは、大雪に見舞われた山岳地方の映像が流れています。

少し前の週末、友人の車に乗せてもらって出かけられる2つの選択肢がありました。

1つは、エッフェル塔を見たことがないという人をパリに連れて行って観光させてあげるのに同行する、というプラン。

もう1つは、シャルル・モーラスの講演会に行くというもの。

パリで普通の観光をするのはつまらないので、講演会の方に行くことにしました。シャルル・モーラスのことは何も知らないのですが、彼がよく参加したサロンが開かれた城が会場というのに興味をひかれたので。

シャルル・モーラス(Charles Maurras: 1868年~1952年)は、フランスの文芸評論家、作家、詩人。でも、王党派右翼の活動をしたために、晩年は牢獄で過ごしたという人です。

イタリアの詩人・作家ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(Gabriele D'Annunzio: 1863~1938年)を想起させる人物。でも、シャルル・モーラスの過激な思想に比べたら、ガブリエーレ・ダンヌンツィオなどは可愛いものなのだそう。

とすると、怖い人たちが講演会を聞きにやってくるのではないか?...


ノジャン原子力発電所

目的の城はもうすぐ、というところに到着したら、こんなものが見えてきました。



ノジャン原子力発電所Centrale nucléaire de Nogent)です。

あがっているのは冷却でできた水蒸気なのですが、すごい量なので不気味に感じます。日本の原発は、陰険にも(?)煙を出さないので、安全というのを信じられてしまったのではないかとも思ってしまう...。

福島原発のあと、この原発が大きな問題になったので、ここだったか... と、車を降りて眺めました。

このノジャン原発は、パリから110キロくらいしか離れていない所にあるのに、パリでは、原発事故がおきたときに避難路などの対策をしていなかったことが明るみに出たのです。


大きな地図で見る


パリは、フランスの中では飛びぬけて大きな都市で、フランス人の5人に1人はパリ首都圏に住んでいます。でも、ノジャン原発がある県とパリ首都圏は行政区分が異なるので、パリでは原発事故対策を施していなかったのでした。

でも、東京も東海第二発電所からは同じくらいの距離だし、東京周辺の人口はパリなどと比較にならないほど多いですけど、何もない...。

それどころか、私が帰国したときに住むところは路地ばかりで、火事が発生しても消防車が入り込めないから、燃え尽きるのを待つだけ、と言われている地域です。


どこにいても安全な場所はない

フランスで原発がある位置を示した地図です。

Nuclear power plants map France-fr
原発の場所、処理施設、貯槽施設

もっと詳しい地図:
日本語版フランス核・原発関連施設地図


今の時代、どこにいれば原発事故の被害にあわなくてすむ、などとは言えないのですよね。

チェルノブイリ事故のときは、コルシカ島などは一番安全そうに見えるのですが(チェルノブイリから2,500Km)、風向きの関係なのか、内部被ばく者が異常に多かったのでした。福島原発事故のあと、それが大きく取り上げられました。

シャンパーニュ地方の知り合いの内科医も、早くからカルテをコンピュータ化していたので簡単にデータを分析できるので、チェルノブイリ以降は甲状腺疾患の患者がとてつもなく激増したのが如実に見える、と言っていました。

フランスはチェルノブイリ事故を過小評価したため被害を大きくしてしまったという反省があり、情報公開などもある程度は改善されたのですが、日本でも御用学者が裁判にかけられるなどという時代が来るのだろうか?...

日本で原発の是非が問われるとき、経済発展のために必要だと主張する人がいますが、日本だけで決められるということではないと思ってしまいます。

こんなに地震や津波がある国で、こんなにたくさん原発を作ってしまうということに国際批判が集まらないのも不思議。鯨の捕獲を非難するより大きな問題だと思いますから。日本は国際的な舞台での政治的戦略が下手だと思っていたのですが、やはり日本は経済大国だから力があるのだろうか?...


我がブルゴーニュ地方には原発はないのですが、コート・ドール県にフランスで最大規模の核兵器研究所(CEA de Valduc)があります。

原発の施設は水蒸気があがっているので遠くからも見えるのですが、この研究所は森の中に囲まれているので何も見えません。敷地は588ヘクタールで、その面積の7割が森になっているのだそう。

そのあたりを車で走っていると異常な雰囲気が漂っています。車を停車してはいけない、写真撮影禁止、などと書いた看板が立っているからです。

知らない人が通ったら、深い森の向こうに怖い研究所があるなんて分からないでしょうから、そんな標識を異様に感じるでしょうね。それで、なんだろう? と車を止めたりすると、たちまち、どこかからパトロールカーが現れるのだそう。人影などは全く見えないので、本当にパトロールしているのだろうか思うものの、怖いので、どういう風になるのか試してみたことはありません。

実際には、一度だけ中に入ったことがありました。研究所に勤めている人の家族と、敷地内にある従業員家族のためのプールに行ったのです。昔のことなので、ものものしい警戒の中を入っていったこと、立派なプールだったことくらいしか覚えていません。

研究所は軍事施設なので、警戒が厳しいのは当然。原発の方はそれほどでもないようです。福島原発事故のあと、グリーンピースが原子力発電所に難なく侵入してしまって、テロリストだって簡単に入れるのだという危険を訴えていました。


ノージャン・シュール・セーヌ町(Nogent-sur-Seine)

今回、ノジャン原発のあたりに差しかかったとき、車のナビゲーターが止まってしまいました。

原発を守るために電波障害をおこしているのかとも思ったのですが、フランスのナビゲーターはかなりいい加減なので、単なる機能不全だった可能性も強いのです。

目的の城はすぐそこのはずなのに、曲がるところが分からなない。かなり行ったところでナビゲーターは働きだし、Uターンするように指示がでました。

また原発が見えるところに出たのですが、そこに近づく前になると、やっぱりナビゲーターは止まる。

おかげでノージャン・シュール・セーヌ町(Nogent-sur-Seine)の外れを走っている道でウロウロしたわけですが、すさまじいところだな... と感心しました。

原発だけではなくて、大きな工場が幾つもあるのです。
美しいフランスにも、こんなところがあるのだ...。

フランスの地名に「sur」が入っているときは、その後に河川の名前が続いて、その河川が流れている市町村ということになります。なので、この町はセーヌ河(Seine)のほとりにあるノジャン町という魅力的な名前になっているのですけど、とんでもない!

昔のパリっ子たちが田舎を求めて遊びに行ったガンゲットがあった町だと勘違いしていたのですが、それはNogent-sur-Marne町で、もっとパリに近いところにあったのでした。

ノジャン・シュール・セーヌ町の観光はどうしているのだろうと思ったら、人が住む町なかには歴史的建造物もあるようです:
☆ 町と近郊の観光パンフレット: Nogent-sur-Seine et ses alentours

原発は見学もできるので、ノジャン原発を観光スポットにしちゃっていますね...。

気になったのでGoogle Mapで調べてみたら、私たちは町外れの工場地帯を突っ切る道路を走っていたのでした(青い線を入れた道路)。


大きな地図で見る

とはいえ、原発と市街地はとても近いですね...。

パリの住民の心配をしたけれど、ノージャン・シュール・セーヌ町(人口は約6,000人ですが、フランスの過疎地域だったら副県庁所在地になれるような規模)の住民の方が危険ですよ...。

この日行った講演会のテーマとなっていたシャルル・モーラスは、人数が多いということが世界を牛耳るデモクラシーを否定した人でした。その点では彼に同意します。


講演会に行ったときの話しを続けます


ブログ内リンク:
ガブリエーレ・ダンヌンツィオの家 2010/01/03
フランスの原子力発電所は簡単に攻撃できる? 2012/05/04
パリ首都圏の町にある田舎風景とは? 2010/12/27 Croissy-sur-Seine町

外部リンク:
東京から原発までの距離
パリ近郊ノジャン原発基地を選び、グリーンピースが侵入、 原子炉の屋根で「旗を振り」警告
Nogent, Joinville, Bry, Champigny, la douceur de vivre sur les bords de Marne
フランスでのチェルノブイリ原発事故の影響
☆ IRSN: Mesures de radioactivité dans l'environnement


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