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2012/10/22

シリーズ記事 【山小屋に滞在したサヴォワ地方の旅行記】 目次へ
その12 山の中のレストラン (1)


前回の日記に書いたトラン城を訪れた後、そこから山道を登ったところにある高原でレストランを探すことになりました。


グリエール高原

グリエール高原(Plateau des Glières)と呼ぶところなのですが、Maquis des Glières(グリエールのマキ)があったために、フランス人にとっては歴史上で有名なところでした。

※ 日本語ではグリエールと呼ぶチーズがありますが、それは「Gruyère(グリュイエール)」と綴り、この高原とは関係ありません。

マキというのは、第2次世界大戦中にレジスタンスが抵抗運動をした拠点です。

1944年2月から3月にかけて、ヴィシー警察・フランス民兵団・フランス占領ドイツ軍が、このグリエール高原で壮絶なマキ掃討作戦を実施したのでしたい。 今では英雄になっているレジスタンスの人たちですが、当時のヴィッシー政権からはテロリストと呼ばれていたのです。

最近では、サルコジ前大統領が、ここをお参りする習慣を自分のものにしようとしたのに、まだ生きているレジスタンスの人たちから売名行為を批判されて断念せざるをえなかった、ということでも話題になった場所です。故ミッテラン大統領がブルゴーニュにある考古学で重要なソリュートレの岩山(Roche de Solutré)に登ることで有名になったのを真似しようとしたサルコジ氏の思惑だったのですが。

マキだからところなら、敵が攻めにくい場所にあるはず。そんなところに日が沈んでから行くのは危険ではないかと思ったのですが、一緒に旅行していたフランス人の仲間が、ここまで来たのだから見に行きたい、と言い張るので強行しました。

山道。距離的には大したことはないのですが、かなりの時間をかけて登りました。

でも、せっかく歴史的に有名な高原に登ったって、真っ暗で何も見えない!

どんな景色だったのかネットで検索してみると、おぞましい映像の記録映画がたくさん出てきて、とても見ていられない...(たとえば、こちら)。

当時を懐かしむイベントらしい動画が高原の様子を見せていたので、こちらの方を入れておきます。




こんなところにレストラン?

ここは観光地になっているはずだからレストランがあるはず、というので行ったのでした。

アスファルトの道でなくなったところに何軒かはあるとは聞いていました。でも、レストランの看板があるところに行くと、明りもついていない。土曜の夜でもなければ、こんな山奥でレストランを開いているはずはないよ...。

でも、こんな山の中のこと。もしも開いているレストランあったら、何もなくても、やってきた旅人に何かお腹に入るものを出してくれるのではないかな... という気もしてくる。

でも、明りがついているレストランは、ない...。

あきらめて山を降りようということになったとき、明りがついているレストランを発見♪  車が何台もとまっていました。

ドアを開けてみると、団体さんが食事していました。

でも、団体のためにだけオープンしていた可能性もある。それに、もう午後8時をまわっていました。遅く到着した場合、フランスではあっさりと「もうおしまいです」と断られることが多いのです。

ウエートレスさんに「夕食ができるでしょうか?」と恐るおそる聞いてみると、「シェフに聞いてみないと分からない」と答えが返ってきました。

祈るような気持ちで、シェフが台所から出てくるのを、しばし、待つ...。

出てきたのは、経営者兼調理人という感じの女性でした。

もうオーブンの火は消してしまったので、暖かい料理は出せない。これなら出せるけれど、どうかと言われたのは、アルパージュ(夏季牧場)と呼ばれる定食でした。

食べさせていただけるなら、何でも食べますよ~。山をおりてアヌシーの町まで行こうとしたら、何時になってしまうか分かりませんから!


アルパージュのチーズ

夏季牧場でつくったチーズ、ハム・ソーセージの盛り合わせ、ふかしたジャガイモ、サラダ、デザート、というメニューでした。

こうした高原では、夏の間は山の上の牧場で家畜を育て、その場でチーズを作ります。それがアルパージュAlpage)。 そのチーズがあるので、アルパージュ定食だったのでした。

できたてのチーズが2種類出てきました。



上に写っているチーズは、このまま熟成させれば良い状態になったサヴォワのトーム(Tomme de Savoie)。

特に美味しいと感激したのは、下に写っているチーズの方でした。


ルブルションのカイエ

気に入ったのは、AOCルブロション(Reblochon)チーズになるものなのですが、今朝絞ったというミルクが凝結したばかり状態。



フランス語で「caillé(カイエ)」と呼ばれる状態のチーズです。

カイエを作っているところの写真は、次の日記に入れています:
こんな暮らしがしたいと思ったヤギのチーズ農家  2010/10/08

水分を抜くための穴が開いた容器に入ったままの姿で、ハーブが味付けとして加えられていました。まだ塩を使っていない状態のチーズなので、少し塩を振りかけて食べました。

あえてハーブと一緒に塩コショウしていないところをみると、通の人はそれなしで食べるものなのかもしれません。その方がチーズの味がひきたちますから。

初めて食べたルブルションのカイエが、素晴らしくおいしい!

レストランを出る前、こういう地元でしか食べられないものが食べられるのが最高! とお礼を言いました。

「これほどローカルなメニューはないですよ♪」と、マダムが笑う。

「フォンデューなんかは、町のレストランでいくらでも食べられますからね」と、おっしゃる。

確かに、そうですね。このレストランで食べられるかどうかの返事を待ちながら、フォンデューが好きなのだけれどな... と私は思っていたのです。

もうアルパージュ(夏季牧場)は終わって、牛たちは山を降りる時期なのだそう。翌日からは、これは出せないメニューなのだと言われて、よけいに感激しました。

このサヴォア地方はよく旅行するわけでもないので、ルブルションのカイエを味わえることは2度とないかもしれない...。


ところで、ルブロションに似た小型のセミハードタイプのチーズとして、ブルゴーニュ地方にはシトー修道院が作っているシトー・チーズがあります。

ありふれたルブロションよりシトーの方が美味しいと思っていたのですが、このカイエを食べたら、地元には素晴らしくおいしいルブロションがあるのではないかという気がしてきました。

帰りに見つけて買いたいと思ったのだけれど、質の良いルブロションを作っているチーズ工房を探している時間がなくて、買いそこなってしまいました...。





チーズを世界中から集めたグルメMAP!フランス産チーズを検索
ルブロションを検索


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ブログ内の関連記事:
目次: 乳製品(チーズ、バター)に関して書いた日記
★ 目次: 戦争に触れて書いた日記

情報リンク:
☆ Wikipedia: マキ (抵抗運動)
☆ Wikipédia: Maquis des Glières
Le maquis des Glières (1944) Seconde Guerre Mondiale
☆ ルブルション・オフィシャルサイト: AOC Reblochon de Savoie


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