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2012/11/07

シリーズ記事 【フランス人にとっての米】 目次へ
その5


フランス人が集まっておしゃべりをしているとき、最も多いのは食べ物の話題だと感じています。特に、それほど親しくない人たちがいる席では、その傾向が強い。

食べ物の話しは、政治談義などとは違って当たり障りがないし、誰でも興味を持っているはずだし、和気あいあいの雰囲気になるからでしょう。

食道楽の地方としてフランスの中でも特異な存在のブルゴーニュでは、食べ物にはかなりシビアーです。

人を食事に招待していながら、まずい料理を出したりすると、後あとまで友人仲間の間で笑い話として語り継がれてしまうのです!


大勢が集まるときの料理をどうするか?

フランス人に食べさせるときには、まず第一にお腹いっぱいにさせる必要があります。その点、ライスサラダはボリュームがあるので便利。しかも、大量につくれる。

ところが、ライスサラダを作っても、誰も喜ばないというデメリットがあるのでした。日常の食卓で食べるのならともかく、ご馳走にはならない。


フランスでは、大人数で食事する機会がたくさんあります。 人づきあいの基本は、家に食事に招待することだからです。食事に呼ばれたら、その次は私のところで、となります。何かもらってお返しをするという習慣はないのですが、食事に招待ばかりされていて、自分は食事会を開かないと非常に肩身が狭くなります。

従って、ねんじゅう誰かの家で一緒に食事する日常生活になる...。

それから、日本でも同じだろうと思いますが、私が住んでいるような田舎では、近所の人たちが集まって食事する機会がたくさんあります。

家に10人か20人を招待するくらいなら、普通にご馳走を作れば良いので問題はありません。

でも、30人以上になると、何を作れば良いかの問題が発生します。最低限、みんなのお腹をいっぱいにする必要があるので、膨大な量の料理を作る必要があるからです。


大人数で食べるのに適した料理の定番

集まった人がいくら多くても、チーズとデザートは問題ありません。

大勢で食べる料理としては、フランスには次のような定番があります。
※ 写真をクリックすると、その写真を入れた過去の日記が開きます。


夏なら、バーベキュー

これは本当に夏の定番。

シーズンになると、あちこちで食べさせられるので、うんざりするのですが、でも、みなさん、やりますね。

バーベキューにはメリットがあるのです:

・庭がある家に住んでいる人は、たいていバーベキューの道具を持っています。焼けば良いのだから、簡単。

・男性が担当するので、普段は料理を担当している奥さんは楽ができるので好ましい。

・大量に肉やソーセージなどを用意すれば、みんなが食べきれないくらい出せる。

それでも、50人以上集まるような食事会だと、普通のバーベキューの道具では間に合わない。それで、家畜の丸焼きもよくやります。

デメリットは、外で食事ができるようなシーズンでないとできないこと。


冬なら、シュークルート

アルザスの郷土料理なのですが(ドイツにもありますが)、フランスでは非常に普及しています。

本格的に作ったりする人もいるのでしょうが、たいてい肉屋さんで材料を調達します。

人数を言えば、必要な量を用意してくれます。

自分でするのはジャガイモの皮をむいて茹でるくらい。あとは、煮れば良いだけ。

それで、公民館に100人くらい集まるときでも問題なくできてしまいます。楽をしようと思えば、普通の肉屋さんでも、シュークルーとを大鍋に入れて、温めれば良いだけの状態にまでしてくれますので。

シュークルートはボリュームがある料理です。キャベツは添え物という感じで、どっさりと肉やソーセージ類が入っています。


ボリュームで勝負のクスクス

シュークルートと並んで、お腹いっぱい食べられる料理の定番はクスクス。

北アフリカのアラブ料理なのですが、日本でカレーライスを食べるのに近いような雰囲気で普及しています。

スムールと呼ぶ小麦粉があるのも、カレーライスに似ています。

でも、 クスクスは肉やソーセージなどもごってりあって、非常にボリュームのある料理なところが違います。

大勢を家に招待する機会が多い家庭では、クスクス料理を作ることを覚えておくと便利ということがあるのでしょう。特殊な料理なのに、作れるフランス人はけっこういます。


大勢で食べるのが楽しい料理

パエーリャ

上に書いた3つの定番料理は、ごくありふれています。

ご馳走を作ってくれたというインパクトを与えることができるのは、パエーリャだと感じます。

巨大な鍋で作れるので、大勢集まる席のご馳走にはふさわしい料理です。

ひところは、大人数で食べるときにはパエーリャを出すのが目立ったのですが、ブームにはならなかったようです。

スペイン系の人がいるなど、作り手がいないとできないからでしょう。下手に作ったり、材料費をけちると不味いので、文句を言われるだけに終わってしまいます!


もちろん、他にも大勢で食べるのを楽しめるものはあります。

例えば、ムール貝はフランスでは安く手に入るので、大勢で食べるには適しているかという気もします:
ムール貝のエクラッドという料理 2011/05/10

ブルゴーニュの郷土料理には、大量に作れる煮込み料理もあります(コッコ・ヴァン、ブッフ・ブルギニョン)。でも準備するのは大変なので、昔の人たちならともかく、20人を越すような集まりで出てきたことはないような気がします。

でも、作る人さえいれば、郷土料理も楽しいものです。


アルプス山脈があるオート・サヴォワ県の郷土料理タルティフェッド(Tartiflette)も、パエーリャを作るときに使うような大なべで作れるので、フランス各地でイベントの食事のメニューとしてよく選ばれるようです(大なべは、こんな感じ)。

ジャガイモ、玉ねぎ、ベーコン、チーズを入れた、カロリーが高い冬の料理。


他にも、色々あるでしょうね...。


大鍋で作ったピストゥーご馳走にはなりませんが、大なべで作るスープも作りやすいです。

昼から夜まで続く宴会だと、夕食は簡単にオニオンスープというのも定番の1つにあります。

玉ねぎのスープにパンやチーズを入れるのでボリュームがありますが、これは昼にたらふく食べた後だから許される料理。

オニオンスープは寒い冬の料理ですが、夏でも夜には寒くなることが多いので、作れるシーズは長いかも知れません。

また、工夫しだいでメニューは考えられます:
トリュフ祭りの巨大なオムレツ 2012/10/23


定番料理の特徴

上に料理を並べてみたのは、これらに共通点があることをお見せしたかったからです。

気がつかれましたか?

肉類の量が多いことが特徴なのです。パエーリャは別ですが、喜ばれるパエーリャなら、どっさり魚介類がのっているので同じだと感じます。

パエーリャはスペイン料理ですが、これほど便利な料理はないと思います。日本料理には、こういうのがないので羨ましいのです。

例えば、クスクスをフランス人が好きなら、ホームパーティーでカレーライスを作って食べさせてしまおうという気にはなりません。具が少ないスープを食べさせられた、と不満に思われてしまうでしょうから。

お煮しめなどというのも思い浮かびます。でも、野菜が多すぎる!

大量に肉じゃがなんかを作ってメイン料理として出したら、ケチの烙印を押されることは間違いと思う。小鉢に少しという程度なら1品になりますが、その他に何を作る?

ちらし寿司などは喜ばれるだろうけれど、私は作れない。それに、フランス人に満足してもらえるように、シュークルートやクスクスの肉と同じような具の比率にしたら、ちらし寿司ではなくなってしまうのではないでしょうか?...

それで、私がフランス人に日本料理を食べさせるときには、刺身を作ることが多いです。大勢が集まる食事会となると、魚はキロ単位で買います。刺身にしても大丈夫そうに新鮮な海産物はフランスでは非常に高価なので、貧しい私にはちょっと辛い...。

地域の親睦会などで出すパエーリャでは、参加者が払う食事代を抑えるために冷凍食品を使えるのです。上に写真を入れたパエーリャがそうで、確か食事代はワイン代を除いて1人10ユーロでした。

私は、間違ったって、公民館で寿司パーティーをオーガナイズすることなんかできません!


メイン料理で勝負できない場合は、どうするか?

上に挙げた定番料理はメイン料理で、それでお腹がいっぱいになれるほどのボリュームがあります。なので、前菜は手抜きにすることもできます。バーベキューだけは、普通に前菜やサラダも出さないと形になりませんが。

大勢の人を招待するとき、最も簡単なのはケータリングを使うことです。専門の店もあるし、レストランでも出前をやってくれるところがありますので。城などを借りきってパーティーを開ける国なので、このサービスは非常に発達していると感じます。

下は、友人が開いたパーティーの、前菜タイムのセルフサービス・テーブル。



業者に準備してもらうのは楽で良いのですが、お金がかかる...。

これと比較する写真を探しだしました。

ブルゴーニュの小さな村で、料理を持ち寄って開いた親善パーティーがあったのですが、そのときに前菜タイムの写真です。



夏だったので、家庭菜園でとれたらしいトマトが目立つものの、バラエティーに富んだ手作りの前菜が持ち込まれていました。パイ、パテ、ピザ、ローストビーフなど、サラダなんかよりは、ずっと手をかけた自慢料理らしいものが並んでいました。

料理が見えない?
実は、食事会に参加していたドイツから来たお婆さんを撮った写真なのです。
だって、松葉杖をついてヨロヨロと歩き、なんだかんだと周りの人たちにいたわりを要求していたのに、セルフサービスの料理をとりに行くときになったら、さっと松葉杖は壁にたてかけて、何度もお代りをしにトコトコと歩いていた!


そんなことは書かなかった、このときの食事会についての日記:
小さな村のドイツ人歓迎パーティー 2010/11/08


ライスサラダ

この連続記事では、大勢が集まる席にライスサラダを持っていくと喜ばれないのか、ということを検証するために書いています。

その疑問を持ったときのことについて書いた日記:
ライスサラダを作るのは反対されて、すり身サラダになった 2012/11/04

思い出してみると、美味しい料理が食べられたな... と思うパーティーには、ライスサラダはなかった。料理が上手な友人の家で食事に招待されたときにも、ライスサラダが出たことはなかった。

フランスのサイトにはライスサラダのレシピがたくさん紹介されているので、フランス人家庭では案外よく作られている料理なのかも知れない。

でも、特別な席で招待客に出したら喜ばれない、というのは分かる気がします。

野菜でお腹をいっぱいにさせよう、という魂胆が嫌われるのではないかな?... そう考えると、前回の日記で書いたように栗が嫌われるのも理解できます。

フランス人は肉食動物なのだ、と結論できませんか?

ライスサラダにいたると、野菜でお腹をいっぱいにさせようとしたという反感以上に、何かがあると感じます。その話しを次に書きます。

このシリーズ記事では、それだけを書こうと思って始めたのですけど、その事情を説明するために、5つも日記を書いてしまいました。

- 続く -


ブログ内リンク:
★ 目次: 郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ

【ライスサラダが出た食事会のことを書いた過去の記事】
森の狩猟小屋でイノシシを食べた日のこと 2012/01/22


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コメント
この記事へのコメント
去年招待をいただいた友人の披露宴が持ちよりパーティーでした。
新婦がフランス人ということで、フランスから親族の方が見え、フランスのお料理と日本のお料理が一緒に並べられた賑やかなパーティーになりました。
http://folli-2.at.webry.info/201404/article_6.html
やっぱりご飯ものが多いですね(^^ゞ
ケーキはフランスから来た新婦に従弟の方の手作りです。改めて見てみると、お料理の写真をもっと撮っておけば良かった、と思います。あの時は食べるのに忙しくて(;^ω^)

そうそう、「日本では飲めないだろう。」ってリカールの大びんをわざわざフランスから持ってこられていていましたが、実はリカール日本でも多分普通に買えます。だってこんな信州でも売ってるんですから。でももちろん、そんな野暮なことは言わず、おいしくいただきましたよ。
2015/07/03 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

楽しそうなパーティーへのリンク、ありがとうございます。

>やっぱりご飯ものが多いですね(^^ゞ
⇒ 大勢で食べるときに便利な料理として、日本にはチラシ寿司というのがありましたね。作れるようになりたいとは思いながら、やってみたことがありませんでした。

>実はリカール日本でも多分普通に買えます。
⇒ 日本ではフランスのものがほとんど買えてしまうのですよね。

それにしても、結婚披露宴でリカールを飲もうという発想が面白いと思いました。マルセイユでは、こういう場合にもパスティスを出すのかな?...
2015/07/04 | URL | Otium  [ 編集 ]
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