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2009/04/03
フランスの法律には、どう考えても不合理なものもあります。

私有地は囲い込む必要があるの?

例えば、ハンティングに関するもの。狩猟をする人たちは森の所有者から狩猟権を買うのですが、ハンティングをしているときに、狩猟権はない一角が森にあった場合、どうするか?

その一角(といっても広い森のはずですが)に入り込んで狩猟できるのだそうです。そうしてもらいたくないなら、その土地を塀のようなもので囲う必要があるとのこと。でも、家の塀を作るのとは違います。森を塀で囲むにはお金がかかるので、たいていは作らない。となると、ハンターたちは入りこまれる。

ただし、フランスのハンティングには厳しさもあります。過剰になった野生動物を射止めることになっているので、ハンターたちには射止める動物の頭数制限があります。それで、ハンターの組織の人たちの話しを聞いていると、環境保護団体を演じているような感じも受けています。

森で野生動物に会うと感激します。美しいです! 黄昏時に車を走らせるときは、茂みから動物が飛び出してくるのではないかと期待して、ノロノロ運転をしています。

cerf

冬はジビエと呼ばれる野生動物の肉を食べるのが楽しみなのではありますが、動物の姿は想像しないからできることであります・・・。

この冬、友達が、ハンターの友達が特別にヌートリアを射止められる許可をもらったので、私が1匹欲しいなら回せると誘われました。パテにするとおいしのだとか。でも、そんな大きなネズミみたいな動物を食べたいとは思わないので断りました。ノロノロ歩くらしいので、道路でつぶされているのを時々見るのです…。
こんな動物を提案されることは、生きているうちにもう二度とないと思うのでメモしました。

悪夢のような光景が展開された家

先日、ショッキングな映像をテレビで見ました。「30 Millions d'Amis」という動物が好きな人たちのための番組にあった1コマです。

舞台は、森の中の1軒屋。そこに住んでいるのは、俗世間を離れて自然の中で生きたいために居を構えたらしい家族に見えました。

ところが、ある日、子どもたちと一緒に夫婦が食事を終えたころ、悲劇が発生!

騒々しい犬の鳴き声が聞こえるので庭を見ると、40頭の猟犬に追われた雄鹿がいたのです。

番組の1コマ

家族たちはパニック状態。それでも夫妻は、その前にも狩猟現場にされたことがあるので、ビデオカメラや写真機を持ち出して証拠写真を撮っていました。それが放映されたのです。

恐ろしい光景でした。うろたえる鹿。執拗に騒ぎ立てる猟犬たち...。

家族が「止めてくれ~!」と叫ぶのも聞かず、ハンターたちは猟犬に鹿を追うのをやめるようには命令しませんでした。

猟犬を訓練するところを見学したことがあるのですが、犬たちは想像を絶するほど忠実に命令に従うように訓練されていました。ハンターが「止め!」と一言叫んだら、犬たちはすぐにストップしたはずなのですけれど。

ここまででも驚いて見ていたのですが、なんと・・・

追い詰められた鹿は、家のガラス戸を破って、家の中に飛び込んだそうです。

鹿は血だらけという、おぞましい光景。そこに、猟犬たちやハンターも家の中になだれ込んだので、家の中は泥だらけだし、色々なものを壊されたとのこと。

鹿は、台所で追い詰められて、ハンターに殺されました・・・。

こんな森の中に住んでいた家族ですから、たぶん野生動物が庭にやって来るのを見て喜んだりするような人たちだったと思います。こんな場面に立ち会わされるのは、悪夢のような光景だったはず。

しかも、幼い子どもたちもいたのに、余りにも残酷ではないですか?…


法律違反にはならないらしい

この時のハンターたちは、猟犬を使って騎馬でするという、昔の貴族たちがしていた狩猟の方法でハンティングをしていました。猟銃は使いません。

つまり、鹿は追いこめられていただけなので、放置したら手負いの野生動物の危険性があったわけではなかったはずです。鹿が民家の敷地に入ってしまったら、諦めて、逃がしてあげても良かったのではないですか?…

そもそも、こんな風にハンターたちが勝手に民家に入って猟を続けるということが許されるのでしょうか? 泥棒と同じではないですか? 所有している森で勝手にハンティングされるというだけで驚いていた私なのですが、家がある土地まで入り込んでくることがあるとは思ってもいませんでした。

時々おこってしまうことなのだそうです。

私が見た番組はインターネットで公開されていなかったのですが、似たような状況のビデオがみつかりました。こちらは、森の中の一軒家などではなくて、振興住宅地風の家が舞台です。


Massacre-cerf

家には誰もいなかったそう。
マダムが飛び出して、ハンターたちに「恥を知れ!」と叫んでいます。

狩猟関係者は、こういうのは法律にのっとって行動したにすぎない、と証言していました。

森の一軒家に住む夫妻は、もちろん裁判に訴えたのですが、勝訴にはこぎつけていません。家を破壊した損害くらいは支払っただろうとは思うのですが。報道した動物愛護の番組を作っている組織では、夫妻を支援していると言っていました。

ハンティングは、フランスではお金持ちの趣味となっています。もちろん、田舎では、豊かでもないのにハンティングしている人たちはいますが、全体から見れば少数のはず。狩猟に関する法律は、お金持ちのハンターたちが圧力をかけられる状態にあるのだと思います。


シャス・ア・クールという狩猟

この時のハンターたちの狩猟方法、つまり、猟犬を使って騎馬でする狩猟は、chasse à courre(シャス・ア・クール)あるいはvénerie(ヴェヌリー)と呼ばます。

猟銃を使わないところが凛々しい。美しい乗馬服を着た人たちが馬に乗って獲物を追い、狩猟ラッパもあって、華々しい昔ながらのハンティングです。

森でたまたま出くわしたこともあって、格好いいな~ などと眺めたこともありました。猟銃を使う狩りとは違うので、こちには危険がないので安心なのです。

このハンティグをする貴族と知り合ったとき、興味があるなら招待すると言ってもらったのですが遠慮しました。狩猟ラッパと乗馬服の人たちは美しいですが、動物を殺す場面も見るのは怖いと思ったからです。

シャス・ア・クールの醍醐味は雄鹿をしとめること。雄鹿はとても大きい体をしています。私が一番初めにフランスで見たのは、野原で花を探していたときでした。近くでゴソゴソしているので見たとき、牛だと思ってしまったのでしたが、雄鹿だったのでした。

シャス・ア・クールでは、猟犬で追って行くのですが、最後には疲れ果てた鹿が体を冷やすために川や沼に飛び込むそうです。そうすると、冷たい水で筋肉が硬直し、ほとんど動けない状態になります。それで人間が捕獲できてしまう、という狩猟なのだそうです。

ヨーロッパでは、この狩猟法は残酷だとして禁止している国もあるそうです。確かに、犬たちにキャンキャン叫ばれるのから逃れて走り回るより、遠くから銃殺された方が苦しみは少ないかも知れません…。

* ジャン・コクトーが言っていましたね。
「私は犬より猫の方が好きだ。なぜなら、警察猫というのはいないから。」


シャス・ア・クールの様子を見せるスライドショー ↓



ビデオを入れようと探してみたら、この狩猟方法に反対する人たちのビデオも出てきました。シャス・ア・クールは、私が考えていたように美しいものではないらしいのです。

この方法でしとめられた動物たちは、共通の症状があるそうで、目が飛び出していて恐ろしい姿になっているウサギもいました。1日中、猟犬たちにキャンキャンなかれて追いかけられるのですから、ストレスは大変なものだと思います。

強度のストレスを受けた動物の肉は、固くて食べられないのだそうです。つまり、ジビエを食べるために獲物を捕獲するのではなく、その名の通り獲物を追い詰めるスポーツなのだそうです。

昔のフランスでは王様などが楽しんでいたスポーツ。貴族は、お金儲けのために働くことは禁止されていました。領土を守るために戦争するのが仕事。そういう人たちは、余暇にはハンティングで血を流すのは訓練みたいなもので意義があったと認めます。でも、今の時代にそういうことをするのは禁止した方が良いのではないかと思いました。


嬉しかったニュース

先日、同じように残酷な話しで、ブルゴーニュの食肉加工所(ストレートな単語もあるのですが、差別用語だと聞いたことがあるので避けます)に連れていかれた牛が逃げ出した騒動がありました。かなりの距離を走って逃げたのですが、結局つかまって、もとの場所に戻されたのだそう。

新聞のニュースではそうなっていたので、自分の身の危険を感じるほどの牛が逃げ切れなかったのは可哀そうに感じていました。

ところが、動物愛護のテレビ番組「30 Millions d'Amis」で、その後がどうなったかを知りました。

色々な種類の牛を趣味で飼っているお金持ちの男性が、このニュースを知って○○所に電話したそう。お金を出すから引き取りたいと申し出て、交渉成功。業者の方でも走りまわった牛にはストレスがあるので休ませる必要があると判断したでしょうから、猶予があったのでしょうね。

その牛は、「リベルテ(自由)」という名前を付けられていました。死ぬまで牧場でのんびり暮らさせるのだそう。茶色のフエルトのジャケットを着たオーナーは、同じような色の牛たちに溶け込んでいて、本当に牛が好きな人に見えました。

助かって良かった~♪


追記 (2014年9月):

自宅にハンターや犬たちがなだれ込んで、鹿を射止めたという映像が記憶から抜けないのですが、無謀なハンターたちの実態を告発する書籍が発行されました。

 Comment se promener dans les bois sans se faire tirer dessus

自然主義者・博物学者Marc Giraudの著書で、『どのように 撃たれないで森を散歩するか』と題されています(2014年9月発行)。

確かに、ハンティングシーズンの日曜日にはノンキに森を散歩してはいけないと言われています。入り込んでしまうと、「狩猟中なので注意」などと書かれた看板がたっているのですが、公有林なのだから入ってはいけないとなぜ言えるのか不思議。注意しろと言ったって、飛んでくる弾丸を避けるわけにはいきません。昨年だったかには、高速道路を走っていた車で、後部座席に座っていた人が撃ち殺されてしまったなどという事故もあったのですから、注意のしようもありません。

フランスで森を散歩する人たちには、200万人の乗馬をする人たち、1,500万人の散歩やトレッキングで歩く人たち、2,000万人のサイクリングを楽しむ人たち、さらに、ふらりと森に入る人たちもいる。それに対して、ハンターの数は100万人なのだそう。

フランスでのハンティングは、主にお金持ちの道楽になっています。社会的に地位が高い人たちなので、政治家を動かせる仕組みがあって、危険な猟銃を持つにも係わらず法律的に非常に甘くなっているとのこと。車の酒の飲み運転に対しては取り締まりが厳しくなってきていますが、ハンターにはアルコールテストが義務づけられていないとのこと。

確かに、ハンターたちの昼食に招待されたときは、ご馳走を食べて、当然ながらワインもたくさん飲んで楽しかったのですが、こんな状態で午後のハンティングに出かけて大丈夫なのかな、と彼らの後ろ姿を見送りながら思ったものでした...。

内部リンク:
★ 目次: ジビエ(料理、野生動物)に関して書いた日記

外部リンク:
Poursuivi par 40 chiens, le cerf finit dans le salon 04/11/2007
Un cerf encore abattu dans une propriété privée ? 11.01.2010
☆ Aspas Nature: Comment se promener dans les bois sans se faire tirer dessus
BIENVENUE CHEZ MARC GIRAUD


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