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2013/01/01

毎年この時期になると、いつも同じことを思ってしまいます。日本語で言う年頭の挨拶は、なんだか変。というより、気に入らない…。


新年は、おめでたい?

「新年(明けまして)おめでとうございます」とか、「お慶び申し上げます」とか…。漢字で短くしても、賀、頌、寿の文字が入ってくる...。

どうして「おめでとう」と言わなければ新年の挨拶にならないのだろう?

一昨年の除夜の鐘をつくのを見ていたら、鐘を鳴らす紐に体を奪われてしまって、ずっこけてしまった人の映像がありました。「2012年は、ずっこけの年」なんて言う人があったけれど(映像はこちら)、12月になって私もずっこけました!

日本、大丈夫なの?… 本気で心配になります。
そんな年の幕あけなのに、「新年が明けてめでたい」なんて思う気にはなりません。

新年がおめでたいのは、生きて新年を迎えたことを喜ぶ、という挨拶なのだろうと思います。自分でそれを喜ぶのは勝手ですが、人にも押し付けてしまって良いものだろうか?

年賀状を出す相手には、もう年賀状しかやりとりしていない人もいるわけです。もしかしたら、そんなノンキな挨拶をしては悪い状況だってありうるではないですか?

年賀状を出した後に喪中のお知らせが届くとあせってしまいます。でも、不幸があった人には、よけいに新年が良い年になるように祈ってあげたいではないですか?…

「おめでたい」というニュアンスを持たない新年の挨拶には、どんなものがあるかと調べてみました。震災があった翌年の年賀状を書くにあたっては、これを気にする人が多かったらしくて、アドバイスをしているサイトが幾つもありました。

今年になったって、それを気にする人は多いと思います。相手がまだ仮設住宅に入っていたり、放射能の心配しなければならない事情を考えたら、「おめでとうございます」なんてはばかりたくなって悩むはずです。

こんな挨拶にすれば良いというのには、「(謹んで)新年のご挨拶を申し上げます」というのがありました。なるほどね…。でも、その後に何か心温まることを書かないと変でしょうね。

その点、フランス語で新年の挨拶をするときには、全く気がねは必要ないのです。だって、新年が相手にとって良い年になるように祈るだけなのですから。

「Happy New Year」よりも短く、「Bonne Année(良い年を)」でOK。さらに、あなたが幸せになるように、健康に恵まれるように、など等と付け加えて愛情表現をします。それを並べるのが面倒だったら、まとめて「Meilleurs voeux」と言ってしまえば良い。

そういうのに慣れると、新年がおめでたいかどうかは別にして、相手に良い年を祈りたくなるのですが、これが問題。年賀状では「今年も良い年になりますように」と書けるのですが、これは気に入らない。だって、それは昨年が良い年だったことを前提にして、「も」と言っているわけではないですか?

だからといって、「今年は良い年になりますように」と書いたら、「今年こそは」の意味になってしまって角がたつ。「2013年が良い年になりますように」と書くと良いのかな?...

でも、この表現も気に入らないのです。「Happy New Year」も「Bonne Année」も、相手にとって良い年であるように祈ってあげる挨拶だと思うのです。でも日本語でいうと、自分のことについても祈っているようで勝手な言い方だと思ってしまう。

「みなさま(あなた)のご多幸をお祈りします」という表現の方が好きだな...。

でも、お正月に出合った日本人には「おめでとうございます」しか言えないではないですか? さっき見つけた「新年のご挨拶を申し上げます」も、会話では使えません。

面と向かっている人に、あなたにとって良い年になりますようにとか、健康に恵まれるようにとか、付け加えたら不自然ではないですか?

フランス人だと、仕事がうまくいくように、とか、何でも言い添えるのですけど。

なぜか、日本でも、暮れの間は「良い年をお迎えください」と言えるのですよね。それで、暮れのうちに挨拶してしまう方が好きです。


「今年もよろしく」にも引っかかる

日本人は相手の気持ちを思う民族なのだけれど、変に押し付けがましいときもあるので奇妙に思います。

年賀状の定番文章に「昨年はお世話になり、どうもありがとうございました」があります。フランス人は、よほど何かでお世話になっていなければそんなことは書かないはず。日本の挨拶でそれが言えてしまえるのは便利だとは思います。色々あったけれど、ひっくるめてお礼が言えてしまうわけですから便利。

でも、それに続けて、「今年もどうぞよろしくお願い申し上げます」と書いてあるのにひっかります。考えようによっては、厚かましくないですか?

この「どうぞよろしく」という挨拶言葉が何なのか、よく分かりません。

ひっかかったのは、日本語を勉強し始めたフランス人から、初対面の人が「よろしく」と言うのはどういう意味なのか、と聞かれたときでした。

日本人が「はじめまして、どうぞよろしく」というのは、フランス語では「Enchanté !(アンシャンテ)」、お偉い人とお近づきになれたのなら「Très honoré !(トレゾノレ)」と言うのも良いのだと習います。ちょっと儀式ばった言葉なので、よく出くわす挨拶だとは感じませんが。

日本語が多少わかれば、「はじめまして」はフランス語のアンシャンテに対応するとわかるはず。でも、フランス語の挨拶のように、知り合えて嬉しいというニュアンスはないので、ちょっと奇妙なのではないでしょうか?

とすると、「どうぞよろしく」というのは何なのか気になるでしょうね。

フランス人に「よろしく」とは何なのか聞かれて困った私。「私のことを感じ良い人だと思ってください」とか、「困ったときには助けてください」とかいう気持ちをこめて言うのだと答えました。

ハハハ、と彼女は大笑いました。確かにね。初対面の人を相手にして、それは厚かましいですよ~!

年賀状で「昨年はお世話になりました」と低姿勢で言って、その後で、今年も同様にやってください、と言ってしまえるなんて、すごいではないですか?! 日本人の付き合いって、相手に甘える関係にあるのだろうな…。思えば、私も「よろしく」をよく使っているような気がします。

フランス人は個人主義で、自分のことしか考えないと言われるけれど、日本人以上に相手に対する気遣いがあると感じることがよくあります。

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記

外部リンク:
賀詞の選び方
一般年賀状の文例
それで大丈夫?年賀状の賀詞(決まり文句)
震災を考慮し、年賀状で悩んでいる方へ
震災を受け2012年の年賀状から年始状のススメ
Exemples de textes de vœux
SMS Bonne année 2013



カテゴリー: 季節の行事 | Comment (2) | Top
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コメント
この記事へのコメント
年賀状を書くときにいつも迷うので、今年はおめでとうとは書かずに出しました。考察とても興味深いです。確かに「よろしく」ってよく考えるとなかなかずうずうしいものですね。「お見知りおきください」「今度会ったときには無視しないでくださいね」という意味合いでしょうか。

今年も「よろしく」お願いいたします!?
Otiumさんにとって健やかな1年でありますよう、記事を楽しみにしています。
2013/01/03 | URL | chiaki@静岡  [ 編集 ]
Re:
v-22 chiaki@静岡さんへ

お正月早々へそ曲がりなことを書いてしまったと反省していたのですが、chiakiさんも気になさっていたと聞いて安心しました(笑)。

「よろしく」というのは、使う人によって思いが色々なのでしょうね。ともかく便利な表現なので、この記事を書いた後に年始の挨拶で使わないようと気をつけてみたら、言葉が見つからなくて困りました。

年頭にあたって、chiakiさんには特に、ご健康と、良い作品をたくさん作られることを祈っています!
2013/01/03 | URL | Otium  [ 編集 ]
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