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2013/01/27

シリーズ記事目次【2013年1月: 長野旅行記】 目次へ
その5


前回の日記(日本アルプスを望む美しい村)に書いた役場前広場では、郷土資料館を案内してくださる方の到着を待っていました。

北アルプスの山々が屏風のように広がっているので、いつまで待たされても構わない。

こういう見晴らしの良いところだと、フランスでは中世に城が建てられた城が残っていることが多いです。攻めてくる敵があったときには、遠くにいるうちに見えてしまうので。

ここでも、反射的に、どこかに城の廃墟が残っているのではないかと思ってしまいました。

日本では古城を残していないだけで、やはり、ここにも城はあったようです。役場前広場からもう少し上がったところに、 小松尾城という城があったらしい。


すごい名言?

役場前広場に立って風景に見とれていたら、地元の人に話しかけられました。

どこから来たのかと聞きます。フランスに住んでいるなどと言ったら混乱するので、ただ「東京から来ました」と答えました。

「こんな美しい景色を見て暮らしていらっしゃるのですか? いいですね...」、と言ってみる。

場所は違うのですけれど、北アルプスの風景を望む美しい映像があったので入れてみます。



こんな風景を毎日見ながら暮らしていたら、どんな気持ちだろうか、と思いますよね?

すると、この男性から返ってきた言葉に唖然としてしました。

こう答えられたのです。
「山が美しくたって、おかずにはならないからね」

年配の男性なので、日本人的謙遜かなと思いました。
でも、そうでもないみたい...。

「こんな景色を眺めて食事をしたら、どんなに不味いものを食べてもおいしいじゃないですか~!」、と私。

それでも相手は納得しない様子。

美しい山並みを毎日見ていると、どうということはないと思うようになるのでしょうか?

あるいは、よそから来た人たちから美しい景色だとばかり言われるのにうんざりしている? それで、厳しい気候の中で生活するのは大変なのだ、と反発したくなる?…

でも、その場にいたもう一人の男性は、山の風景は天気によって異なるので面白いのだと教えてくれました。

山は、天気が悪いと遠くに見えて、天気が良いと近くに見える。なるほど、その日は後者の例でした。


山の生活は厳しい...

泊めていただいた家に「姨捨」などという飛んでもない名前がついたお酒の瓶があるので驚いていたら、近くに姨捨山という名の山があるのだと教えられました。

ちょうだいできる画像を探したら、私のような人を意識したらしくて「オバステ」と書いてあるのしか見つからなかったのですが、右に入れました。

でも、私が見た日本酒は「姨捨」と漢字で書いてありました。

怖くなるような名前の日本酒。

そういう厳しさがあった土地なのでしょうね...。

ところで、この姨捨伝説は、フランス人によく知られているので気になっていました。書きながら調べてみたら、やはり映画があったのですね。古い日本映画が好きなフランス人は多いので、そこから広まったのだと思う。

さらに調べてみたら、その姨捨山が楢山節考の舞台とは言えないような...。少なくとも、その土地の人にとっては、結び付けられるのは嬉しくないでしょうね。

でも、長生きしすぎる人に早く旅立ってもらわなければならないような貧しい土地といったら、山岳地帯を思い浮かべます。

「山はおかずにならない」なんておっしゃるから、そんなことを思ってしまったのですよ~!

あちらは、観光客は山が美しいなんてノンキなことを言っていると思われたのでしょうが、こちらにしてみたら、毎日美しい山に見惚れないで暮らしているなんて... と思ってしまいます。

山に憧れる人は多くて、憑かれたように住みついてしまう人たちもたくさんいるのに...。フランスのアルプスでは、ご主人を捨ててシャモニーに近い山の中の村に引っ越してしまって、元気に一人暮らしをしている高齢の女性にも会っていました!


生まれ故郷を捨てるバカ

そうこうしているうちに、郷土資料館を案内してくださる先生が到着しました。私が地元の人とどんな話しをしたか分からないはずなのに、自己紹介した後、こんなことをおっしゃいました。

「こんなところで生まれながら、都会に出てしまう馬鹿がいるのですよね」

バカと言う言葉に力を入れて、2度くり返しました。

「本当に!」と、私は笑顔を見せました。

ご自分に言っているのが分かったからです。この先生は都会に出て働いていて、定年になってから故郷に戻ってきた方だと聞いていましたから。

「でも、いつでも帰ってこれるのだから良いではないですか?」と付け加えました。私が帰ってこれるのは東京しかありません...。


景色じゃ飯は食えねえ、と言う人もあったわけですが、長野県の人たちは故郷に対する思い入れが強いのではないかという気もします。

美しい山々がある郷土。自然の厳しさに耐えている故郷だから、よけいに愛おしくなる?...

この長野旅行シリーズを書きながら、そう思うことに東京で出くわしました。

- 続きへ: 郷土を賛美する歌 - 長野とブルゴーニュの比較 -


外部リンク:
小松尾城(長野市(旧大岡村)、大岡城と天宗寺館(長野市大岡)
☆ 千曲市: 姨捨山
「さらしなの里」に伝わる伝説
La Ballade de Narayama (film, 1983)
☆ Wikipédia: La Ballade de Narayama (film, 1958)

ブログ内リンク:
雲海? 霧の海? 2011/02/04



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