| Login |
2013/03/10
人間の鎖、あるいはヒューマンチェーンなどと呼ばれる行動が普及してきているように感じます。

フランス語でも、そのまま「人間のチェーン」の意味で「chaîne humaine」と呼ばれます。それに初めて出会ったのは、ブルゴーニュ地方にあるクリュニー町(Cluny)でのイベントでした。



クリュニー修道院の創設1100年を祝うために、2年間にわたって様々なイベントが行われ、私も参加した幾つかの催しものの1つでした。

道路にテーブルを並べた席で持ち寄った料理を皆で楽しく食べてから、町から外に向かう道路で手をつなぎ、世界は1つという感覚を味わおうとする企画でした。

「人間の鎖」はデモ活動の一種とみられるのかも知れませんが、私が参加したのは極めて平和的なもの。もともと、これをデモでするにしても、参加者の人たちには「みんなの気持ちを1つにしよう」という静かな思いで行うのではないでしょうか?

いつの頃から行われるようになったのかな? ...

1989年、バルト三国の独立運動として行われた「バルトの道」とも呼ばれる「人間の鎖」が初めてだったのかも知れません。

ガンジー的な抵抗か、ハンガーストライキか、そんな行動に私は感じます。みんなで手をつなげば何とかなる、という明るい気持ちの現れとも思えるし、それでも何にもならなかったら、よけいに空しい行動だとも思ってしまう...。


パリで行われた反原発のための人間の鎖

福島原発事故から2年たち、この3月9日(土)に、パリでは脱原発を訴えるために人間の鎖が作られました。

約25の環境保護団体などが参加し、フランス電力や原子力大手アレバ、経済・財政省の建物前などを通る約40キロを人間の鎖でつないだのだそう。

ドイツなどは福島原発事故の後、すぐに脱原発に踏み切ったのですが、フランスはうやむやになっています。日本の場合は、原発がないと電力が足りないというより、原発が欲しいから原発を維持するのだろうと思っています。

でも、フランスの場合は原発依存は大きくて、頭の中では脱原発が当然だと思っても止められないのが現状なのだろうと感じます。フランスの友人たちは自嘲的にそう言っていますので。

でも、反対運動はある。

それは当然だと思うのですが、ちょっと奇妙に思うことがありました。

フランスにある日本の大使館が、この原発デモは危険だからという注意を、サイトや在仏日本人へのメルマガで流したのです。

在フランス日本国大使館サイト: 反原発デモ(人間の鎖)に対する注意喚起

確かにデモでは、壊し屋と呼ばれる人たちが便乗して荒れたりするので、気楽に見物などしていたら危険な場合もあります。

でも、フランスはデモの権利が守られている国なのです。大統領を始め、政治家がデモに参加するというのも珍しくはありません。パリなどでは、デモは日常茶飯事の出来事のはず。

だから、日本大使館がデモがあるたびに、どこどこに行ったら危ない、というメルマガを流しているとは思えません。なぜ福島に関するときにだけ注意喚起をしたの?...

本国から、パリで行われる反原発デモを盛り上げさせたりしないように、という指示でも来たのかな?... と勘ぐってしまいたくもなる。

というのも、福島原発事故の後、少し奇妙に感じたことがあったのです。


フランスはチェルノブイリ事故のときに真実を伝えなかったために、隣国の国々に比べて犠牲者が多く出してしまったという反省があります。もちろん、時の大統領サルコジ氏はフランスの原発は安全なのだと強調してはいましたが、専門家がテレビに出て、福島でおこった事故の重大さを語っていました。

そのときの日本は「大丈夫、だいじょうぶ」の方向。日本の報道を見ていると、外国では事を大げさに報じていて、そういうのは「風評だ」と批判していました。

本国に帰ってしまう外国人たちは、裏切り行為のように批判。実際、日本に働きにいっている娘さんを持っているフランス人は、フランスに逃げ帰ってしまった彼女の仲間のフランス人たちは、みんなクビになったと話していました。

フランスの学者は、鎮痛な面持ちで「福島原発の収拾は、少なくとも30年はかかる」と言っていたのですが、日本の報道では数カ月もすれば何とかなってしまうような口ぶり。

どちらの報道が正しいのか、私のような素人には判断できませんでした。でも、フランスでただちに言われたことは、日本では1年以上かけて、ボチボチ出してきたのですよね...。

3.11の後、日本のことが心配でパニック状態になっていた私。そんなことをフランスにいる私がブログで書くのは、問題が大きすぎるだけにすべきではないと思い、じっと耐えてブログの更新をひかえていました。

そんなころ、ブログのアクセス解析を見ていると、原発関係組織のドメインからのアクセスがやたらに多いことに気が付きました。

異常なことです。それまでも、そして今だって、そんな組織からのアクセスなんか皆無なのです。

フランスは原発大国なので、こういう事故がおきたときにどう対処しているのか調べているのかな、と思いました。私なんかがお役にたてることを書けるはすがないのに...。

でも、そのあと、熱心にヨーロッパで報道されているニュースを伝えていた日本人のサイトを見て、謎がとけた思いがしました。そういう根も葉もないことを書くのはけしからん、という辛辣なコメントが入り、アクセス解析をみたら原発関係組織からだと分かった、と書いてあったのです。

私のブログも、そういうチェックをされていたのでしょうね。怖いな...。


パリの人間の鎖を危険だからという在仏日本大使館の勧告を、フランスにいる日本人たちはどう受け取ったのだろうとインターネットで検索してみました。

やっぱり、なんだか変だと思ったのは私だけではないみたい。

そんなことをしていたら、回線がパタンと切れてしまいました。東京にいるときだったら、やっぱり私は危険人物としてマークされているのだ! と結論したかもしれない。でも、フランスのLAN回線はすぐに切れるので、まただ、と思いました。

雪が降ったり、強風が吹いたり、嫌なお天気なのです。こんなときにLAN回線のモデムが壊れない方がおかしいくらい。しばらくしたら、またインターネットにはつながりました。

それでも、平和で自由そうに見える日本だけれど、思想を統制しようとする力は働いているのだろう、という思いは拭きいれてきれません。書くと長くなるのでやめるけれど、他にも変に思うことがあるのです。

事実は小説より奇なり、なのだろうな...。


お医者さんの言葉

2年前、胃がキリキリ痛くてたまらないので、ホームドクターのところに行きました。

「胃が痛い原因で一番多いのはストレスです」と、おっしゃる。

「ストレスなら、いっぱいあります!」

冗談のつもりで言ったのですが、お医者さんはとても心配そうな顔をしました。小さな村で、朝から夜まで診療所を開いていて、休暇もとらないという、とても良いお医者さんなのです。

この医者について書いた過去の日記は、なぜかアクセスのトップにいます:
お医者さんに勧められた重曹歯磨き 2011/08/30

のんきそうな顔の私が「ストレスがある」と言ったので驚かれたらしい。答えねばと思って、話し出しました。

3.11以来インターネットで情報を拾う毎日を過ごしていて、原発問題には嘘がいっぱいあって、政府がすることは酷いので腹が立つ...。話したら、涙ぐんでしまうほど気分が高まってしまいました。

お医者さんは静かな表情で言いました。

「今は、地球上のどこにいても同じですよ。フランス政府だって情報は隠しています」

そこで、アフリカの砂漠から飛んでくる砂のことを話し始めました。

飛んできた砂が、車のボンネットを真っ白にしてしまうほど積もった時期があったそうです。フランス人たちは誰もが、サハラ砂漠の砂が飛んできたと思っていたけれど、あれは核実験によるものだったのは確かだ、とおっしゃる。

後で50代の友人に聞いてみたら、子どもの頃に、アフリカから飛んできたという砂がすさまじくて面白かったと答えました。お母さんは、砂が家に入らないように窓を閉めまくっていたとのこと。

私も車の上に薄ら砂が積もったのを見たことがあったのですが、そんな程度ではなかったようです。

「核実験の影響だった、とお医者さんが言っていた」と言うと、確かに異常な量だったので、自然現象だったわけではないのだろうな、と納得していました。

それから、お医者さんは、「私は県内で最も早くコンピュータを導入したのです」と切り出しました。患者のカルテを入れているので、過去のデータを分析できるのだそう。

「コンピュータを導入した当時、甲状腺障害の患者は、年に、せいぜい2件か3件でした。それが数十件に跳ね上がり、それから百数十件になりました」

「これはチェルノブイリの影響ですよ」、と静かにおっしゃる。

つまり、現代生きている私たちは放射能汚染にさらされている。もう逃げられない。つまり、それと一緒に生きるしかない。日本でなくても、どこか他の国の原発が大きな爆発をおこして放射能を撒き散らすかもしれないのだし、核戦争がおこるのかもしれない。

そういう時代に私たちは生きているのだろうな…。
私の祖国が地球を破壊するのだけは避けて欲しいけれど...。


絶望した時は、こんな風に考えることにしています。世界は破滅に向かっている、と。そうすると、不思議に気分が楽になるのです。
 - マルグリッド・デュラス

外部リンク:
☆ 新語時事用語辞典: ヒューマンチェーンとは
福島2周年(フクシマ・デー)パリのヒューマンチェーン
☆ Le Monde: Une chaîne humaine de milliers de personnes à Paris contre le nucléaire 09.03.2013
フランスねこのNews Watching (フランス語で発信される福島原発事故関連記事を読む)
北茨城市で3人の子どもに甲状腺がんの診断、千人に1人の有病率! それでも子どもの健康調査を拒む安倍政権の棄民 2015.08.27.
平均の20〜50倍!「福島の子供にがん急増」の客観的データが学会で報告されるも政府とメディアが完全黙殺 - LITERA 2015.10.18


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: 日本 | Comment (2) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
恐い国
日本は変な国だと思います。
日本に原発の被害が これから有るとすれば、、
中国か韓国の 原発事故による 被災だと確信しています。

隣にもっと恐い国があるのに
政府もマスコミも ダンマリですし。。。

福島第一の事故直後
放射性物質の飛散状況を天気予報のように
放送しないのはなぜなのか不思議でしたけど
政府が意図的に隠していたのですね。。。

変な国でもあり 恐い国でもあります
この国は。
2015/09/11 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 恐い国
v-22 たかゆきさんへ

今の時代、どこにも原発事故の危険がいっぱい。原爆も使わないように自粛しているけれど、使う国がでてくるでしょう。どの国が一番先に地球を破壊するか、の問題でしょうね…。

>放射性物質の飛散状況を天気予報のように 放送しないのはなぜなのか不思議でしたけど
⇒ 日本では、こういう事態のときのためにスーパーコンピューターを導入していたのに、3.11のときはデータを公表しなかったのだ、と情報機器メーカーの人が言っていました。関係者たちには、これがいかに大きすぎる事故かが分かっていたから隠したのでしょうね。このころ読んでいた日本のブログでは、安全を確保するために最も有効な方法は、近所に住む東電社員の家族の動きを観察することだと書いていたので、なるほどと感心しました。
2015/09/11 | URL | Otium  [ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する