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2013/05/09
先日インターネットで色々調べていたら、世界各国の国花を一覧にしたページに行き当たりました。

日本は桜か菊かなという感覚があるのですが、フランスの国花は何なのだろう?

それで見てみたら、アイリスユリの花となっていました。


フランス共和国の国花が百合であるはずはない!

Meuble héraldique Fleur de lysアイリスというのは奇妙...。

でも、百合は思い当たる。百合の花をデザインしたFleur de lys(フルール・ド・リス)は、フランス王家の紋章でしたから。

だから、共和国になった現在のフランスが、国花として百合の花を掲げているということは絶対にありえないですよ~!

フランスは共和国であることを強調していて、国のシンボルは極端に王政時代のものを排除しています。なにしろ、ヨーロッパ諸国の国々には国旗の他に国の紋章(国章)があるのに、フランスには法律で定められている公式な紋章がないくらいなのですから。

それを書いた過去の日記:
ヨーロッパの紋章で、ライオンとヒョウを見分ける方法 2009/12/04

インターネットでフランスの国花をキーワードにして日本語の記事を探してみたら、ユリとアイリスだと書いている人が非常に多いのでした。

こういうときに便利なのはWikipediaなので、検索してみました。 国花のページがあって、フランスはアイリスとユリになっていました。

この2つの花は、フランス王室の紋章フルール・ド・リスから来ていると説明がありました。なるほど、情報源はここにありましたか?

このページからフランス語のページをクリックしてみたら、Emblème floralと題したページが開きました。

矢車菊マーガレットひなげし、この3つの合体、と書いてあります。

Flag of Franceこれは非常に自然。フランスのシンボルに例えられている3つの花なのです。

フランスの田園によく咲いている花で(農薬の使用により減ってはいますが)、この3つを並べるとフランス国旗の色になるからです。


畑の間に突然出現したお花畑 2006/07/22
★ 美しいフランスの6月 2006/06/08


でも、国でそれを認めているということまでにはならないと思う...。

フランス共和国では、青、白、赤の花で三色旗のイメージにして国家を表す風習があるのは明らかです。

下は、記念日によく見る戦没者慰霊碑の献花。




王家の百合がアイリスに例えられるのはなぜ?

Wikipediaの日本語ページで、フランスの国家はアイリスとユリになってしまったのはなぜなのだろう?

Wikipediaの「国花」からリンクされている外国語の中から、英語をクリックしてみました。

すると、フランス王政のシンボルだったフルール・ド・リスを象徴するアイリスが、フランスの国花であると、ずばり書いてある!

 

日本の情報は、やはり英語から入ることが最も多いのでしょうね。

でも、ここで、さらに疑問がわいてくる...。

Fleur de lys(フルール・ド・リス)」というフランス語は、そのまま読めば「百合の花」です。

でも、王家の紋章の意味で使われる単語。それを知らないで、普通の白い百合の花だと受け取るフランス人もいます。ましてや、そのデザインが、アイリスの花から来ていると言われることを知っているフランス人はごく限られると思う。

それを英語圏や日本人が通説のように知っているのは余りにも不思議...。

フルール・ド・リスは実はアイリスの花から来ていると聞いたときの日記:
フランス王家の紋章はユリの花 2012/06/11

この日記に登場させた友人は「18世紀に生まれたかった」と言っている人で、アンシャンレジーム期の歴史について書かれている本をたくさん読んでいる人です。それが、最近になって百合の紋章とアイリスの関係について知ったと語っていたのですから、フランスではほとんど言われていなかったことだろうと想像します。

ひょっとして、フランス王家の紋章はユリの花から来ているのではない、というのは英語圏の人が考えていることなのかな?...

ユリの花はキリスト教では受胎告知のシンボルなので、それを使ったフランス王家はキリスト教でも認められることになる。とすると、他の国は面白くないでしょう?

Royal Coat of Arms of the United Kingdomフランス以外の国でも、フランス王家のシンボルだったフルール・ド・リスを国旗や貴族の紋章に入れている国があります。

イギリスはどうだったっけ?

イギリスの国章であり、イギリス国王の紋章は右のものでした。

王冠にはフルール・ド・リスがありますが、目立つ部分にはないのですね。

あれは実はアイリスの花なんだ、と言うと、フランスとキリスト教の結びつきを否定もできる。

とすると、フルール・ド・リス = アイリスにしてしまえば、フランスを否定できることになる。誰かが意図的に広めた説ではなかったのか、という気もしてくる...。

でも、そこまで調べるときりがないので諦めます。


「国花」と呼ばれていても、国が定めているとは限らない

フランス政府のサイトでは、あちこちでフランスのシンボルは何かと明確に書いています。三色旗、マリアンヌ、雄鶏などがシンボルとして存在しているからです。

フランスが国が定めた公式の花は存在しないことは確かなようです。

そもそも、私は大きな勘違いしていたことが分かりました!

国が公式に定めた花でなくても「国花」と呼ばれるのでした。
国が定めたわけでもないのに勝手に「国花」としてしまう。しかも、その国の人でないのに決めてしまうというのは、余りにもいい加減ではないですか?...

そもそも、国の花とか県の花とかが好きなのは日本人の特徴の1つではないでしょうか? Wikipediaの「国花」の各国語のページへのリンクは12しかありませんでした。


フランス人が国花を選ぶとしたら、矢車菊かもしれない

矢車菊、マーガレット、ひなげしは、3つ並べればフランス国旗になるけれど、それをフランス政府が国花と定めることがありえるのだろうか?...

フランス人に聞いてみたら、矢車菊ではないか、と言われました。矢車菊の花がフランスを表していることがあるし、スポーツでも国を代表する選手たちは矢車菊のマークを付けているからとのこと。

でも、私にいい加減なことを教えてはいけない、と調べてくれました。

Timbre publicitaire Bleuet de FranceBleuet de France(フランスの矢車菊)」というの存在するから矢車菊がフランスの国花だと思ったけれど、違っていた、と報告してくれました。

「フランスの矢車菊」というのは、大量に犠牲者がでた第一次世界大戦の後にできたシンボルで、退役軍人、戦争の犠牲者や孤児を象徴するものだったのだそう。

CPA Bleuet de France 1914-1918

昨日、2月8日は、第2次大戦戦勝記念日の祭日だったのですが、フランス語版Googleのトップページには矢車菊の花がついていました。

ところで、今の時期はライラックの花がたくさん咲いています。

庭がある家に住むフランス人は、例外なくライラックの木を植えているのではないかと思ってしまうほど。


でも、もしもフランスが国を代表する花を1つ選ぶとしたら、矢車菊だろうな、と思いました。でも、もうすでに祖国のために戦地に赴いた人たち、その犠牲になった人たちのシンボルとして使われてしまったいるのだから、国花として公認することはできないだろうとは思います。


情報リンク:
☆ コトバンク: 国花 とは
☆ Le Bleuet de France: Histoire de l'oeuvre et de la fleur
☆ Wikipédia: Bleuet de France
Les symboles de la République française
☆ L'Express: 1 Le bleu - La couleur qui ne fait pas de vagues


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