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2013/05/31
フランスにたくさんの和食レストランができて来たのは、いつの頃だったかな? そう思って、このブログで初めてフランスに和食レストランについて書いた日記を探してみたら、2003年末のものでした。

竹の子のように生えてくるパリの日本食レストラン 2003/12/12

「ここ数年、パリに行くと、日本食レストランが竹の子のように生まれてきているのに驚きます」と書いている。つまり、フランスで和食ブームがおきてから、もう10年以上たっていたらしい。

このときすでに、「8割は中国人が経営している」と書いています。


本物の和食であることを証明するマークができたのだけれど...

パリのJETROが本物のの日本食を出すと判定したレストランに与えるマーク上にリンクした日記を書いてから間もなく、おかしな和食がはびこっては困ると日本側が動き出し、日本食レストラン推奨制度というのができて、本物の和食レストランにはマークが付けられるようになりました。

そのことを書いた日記:
農林水産省が海外日本食レストラン認証に動き出した 2006/12/01

その後も、安く日本料理を食べられるレストランは増え続けました。現在では、中国系が経営している店は9割を占めているのではないか、とさえ感じています。

本物の日本料理だと示す推薦マークは、それほど長く続かなかったように思います。インターネットで推薦マークをもらった和食レストランの一覧を見れたので、レストラン選びには便利だったのですが、消え去りました。

推薦マークが無くなった経緯は知りません。でも、中国系の店も日本食の食材を大量に買ってくれるわけですから、日本の食品輸出企業からの反対もあったのではないか、という気もします。


フランスで和食が普及したのは中国系のおかげでもある

フランスで和食が流行ったのには、大きな2つの理由があると思います。

第一に、胃に負担がない日本食は健康に良い、という風潮。都市に住む人たちには特に人気があります。

第二に、それまでフランスにあった日本系の和食店は料金が高いのがネックだったのですが、中国系が経営する和食店は安いので気楽に利用できる。

中華料理は世界に誇る料理だと思っているのですが、フランスでの中国料理(ベトナム、タイもたいていごっちゃまぜにされている)は、ピザ屋さんと同じように、安く食べられるのが最大の特徴になっています。

日本では中華料理といったら、胃にもたれるというイメージが強いのではないかと思いますが、フランス人にとっては食べ終わった後もお腹がすいている、という料理だそうです。だから、中国系が日本料理をつくっていると分かっても、フランス人には大して抵抗はないのではないでしょうか?

最近は、第三の理由があるように思えてきました。つまり、フランス人のかたくなさが消えてきている。知らない食べ物に対しては抵抗があり、フランスが一番だと思う気持ちが薄れてきている。これは食べ物に限らず見られる傾向です。

例えば、昔はアメリカ文化なんか嫌いというのがフランス人の誇りだったのに、最近はかなりアメリカ的思考になってきている。異文化を認めるのは良いことですけれど、フランス人の批判精神旺盛な憎たらしさが面白くて好きな私としては、ちょっと残念。

食が乱れ、お金が全てを決めるみたいに思うフランス人が増えています。全世界がアメリカ的になってくるのかと思うと、ちょっと怖い...。


お気に入りにする和食レストランがない...

私は外国にいたら、その国の食べ物を食べたいと体が要求するという便利な体質をしています。それで、フランスにいても、全く和食が恋しくはなりません。でも、お世話になったフランス人をレストランに招待するとしたら、やはり和食レストランが一番かと思って、たまに利用しています。

パリのど真ん中に、安く日本食を食べられる店があったのですが、つぶれてしまったのか、そのあとには中華料理だか何だか分らない店ができました。 残念...。

それで、代わりをどの店にするかと、パリで探したことがありました。仕事の関係者を接待する必要があるのは、たいていパリなので。

パリはさすがに食材が豊富に手にはいるらしく、田舎にいる私が日本料理を作るときには手に入れられない食材を使っている「本物」と呼べる和食店があります。

でも、勘定するときには、かなりお高いのです...。事前に料金を探った段階で止めてしまうところも多々あり...。和食なら日本で食べられるのだし、刺身なんかは料理ではないので、自分がフランスで作れるのだから、それだけお金を出すならフランス料理を食べたい、と私は思ってしまう...。


真似されたら、真似返した日本人

数年前、「本物」マークの和食店リストから見つけて、お値段も手ごろそうなので、フランス人を招待したことがありました。 店の名前からして私たち日本人には中国系か日本系かが判断できるのですが、そこは日本系に見えるので合格。

お刺身は日本人が作っていて、申し分なし。



私が家でフランス人たちに刺身を食べさせるときには、この3倍の量を1人前として出すけれど、外食なんだから仕方ない。

私は、刺身は自分で作って食べているので、焼き鳥を注文しました。

これが、想像を絶するほど酷かった! 串に刺した冷凍の焼き鳥を焼いて、これまた出来合いのタレをたっぷりとかけたというもの。沼にはまっているような焼き鳥を皿の淵において汁けを抜いてから食べたのですが、とても食べられるものではありませんでした。

こんな料理を出す店に、本物だという推薦マークを日本人が付けるのか、と憤慨しました。

写真をとっておけば良かったな...。見るからにギョっとする焼き鳥だったのです。日本でも、焼き鳥には美味しいのと不味いのがありますが、あんなソースたっぷりの焼き鳥を出すところは見たことがありません。

でも、そんなに高くはないのがとりえのレストランでした。

つまり、本物の日本料理を出していたら料金の敷居が高くてやっていけないので、中国系がやっている和食を真似したのだろうな...。 本物の和食なんか知らないフランス人たちを相手にして、安く食べられる中国系の店に対抗していくためには、これしかないのだろうか?...

「本物」 という推薦マークは信頼するのは止めました。このときから、フランスで和食を食べさせる店には行っていませんでした。


久しぶりに和食店に行ったら...

友達の友達のフランス人が、「とても美味しい」と言っていた日本人が経営する店に行ってみました。招待したのは、私の日本料理を時々食べさせる友達。その人の反応でテストしようと思ったのです。

お品書きを見たところで、相手はがっかりしていました。メイン料理としては、寿司、天ぷら、トンカツしかなかったのです。

中国系の和食レストランで定番料理を出すなら納得します。でも、なぜ日本人がそれをするの?... 中国系に差をつけたいと思わないの?...

前菜は揚げ出し豆腐でした。私も作れる料理だけれど、久しくフランスでは作っていなかった。飛行機に乗るときには豆腐が危険物扱いになってしまってから、豆腐を持ち込むのが面倒になってしまったからです。



森のアスパラガスがのっていました。私はアレルギーがおきるので、食べない。それにしても、本来は野生植物なのに、やたらに太いので驚きました。栽培して売っているのがあるのかな?...

食客の友達は、豆腐が好きなので喜んでいました。

私は、美味しくないと思いました。豆腐は柔らかくて本物風。でも、出汁が、パックに入ったものを使っているようなのが堪らない。オーガニックとか自然食品とかには全くこだわらない私なのですが、添加物のソースには敏感に反応してしまうのです。

この後の料理は写真を撮る気にもなりませんでした。

致命的だったのは米! むかし日本から米を持ってこなかったころ、フランスで買っていた「サムライ」と書かれた、どこの国で生産されたのかも分らない米の味を思い出しました。

まずい米でも、酒かワインを少し入れ、コンブを入れて炊き、サラダオイルかバターを少し混ぜたりすると、まずい米もごまかせるのに、そんなことはしないらしい。

もろに、まずい!

寿司は形だけのもの。具も極端に小さい。 握り方も悪い。米が悪いから、ひどく不味い。

天ぷらは、衣を作るときに卵を入れないと、かなりの節約になるのかな?... と、思いながら食べました。 ボリュームが多いのは、フランス人の胃袋を考えていたのだろうと思いました。私は、ほんの少しでも、こういう天ぷらは私にはできないな... と思うものを食べたかったのだけれど...。

デザートは、フランスで作る中で、最高に簡単にできる料理。フランスで作るときの1人前を、4分の1くらいの量にしたところが日本的アレンジ!

ここも、安いのが取り柄のレストランなのでした。小さなレストランなので、完全に満席。フランス人たちには気に入られているらしい。

先ほど書いたパリで不味い焼き鳥を食べさせられた店も、今インターネットで確認してみると、なかなか評判が良いようです。リーズナブルプライスで日本料理が食べられる、などと褒められていました。

連れて行ったフランス人の友達は、豆腐を喜んで食べた後は不満顔。お給仕の日本女性も「感じ悪かった」と貶す。不愉快な人ではなかったのですが、客がユーモアを言っても、それに答えるような語学力がないのだから責めないで、と反論しました。それでいてフランスに馴染んでしまっている人らしく、わけもなく笑顔を見せたりする東洋系ではないので、気に入らなかったのだろうとも思う。


本物の日本食は作ると繁盛しない

結局のところ、フランスで和食レストランをやっていけるには、中国系がやっている方法を真似するしかないのだろうか? もちろん、高く評価されるほどの腕がある板前さんが、お金持ちが来る地域で開店したら、本物の和食を出す高級レストランとしてやっていけるはずだけれど。

中国系がいい加減な日本料理を作っているときは、そんなの日本料理じゃないよ、と批判できます。でも、それを日本人が真似しちゃったら、寂しくなってしまうではないですか?...

でも、フランスで本格的な日本料理を作ろうと思ったら、原価が高くつきすぎてしまうのです。だから、日本人が中国系がしているような料理を出しても責められません。

私が家で日本料理を食べさせた友人たちは、誰もが日本食レストランを開いたら繁盛するとのに、と言います。料理は下手なので、材料選びと飾りつけには凝ります。日本から食材もたくさん持ってきているし。 それと、和食器もたくさん使います。はりきって料理したとき、皿の数を数えている人がいて、一人あたり25枚と言っていました。

フランスで和食料理屋をやるなんて、間違っても考えません。私は料理の腕がない、というのは問題外。家に招待するフランス人たちは私の料理を褒めちぎって食べてくれますが、私が材料費と手間賃から計算した金額で料理を出すと告げたら、誰ひとり来ないのは試してみるまでもなく明らかですよ~!

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム


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