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2013/06/07
テレビチャンネルFrance 2の1年に一回の企画で、好きな村の人気投票をする番組「Le village préféré des français(フランス人がお気に入りの村)」が話題を呼んでいました。

2013年の人気投票結果発表前の映像:


2013年の投票結果を発表する番組を見ました。今回の2013年だけだと思って見始めたのですが、前回の2012年のものも続いて放映したので、かなり長い時間眺めてしまうことになりました。

前年に始まった企画なのですが、今年は知名度があがったのか、人口が日本の半分のフランスなのに、500万人近くの人々が投票結果を発表する番組を見たのだそう。 翌日にあった友達との会話でも話題になりましたから、視聴率が20%というのも本当だろうと思います。


地方ごとに1つ選んだ村の中で人気投票をする

http://www.france2.fr/emissions/le-village-prefere-des-francais/accueil
Voter pour élire votre village préféré | Un village Français | France2

フランスの住所を見ても、町だか村だかはわかりません。市町村は35,000余りあるのですが、人口が2,000人を超えていると町(ville)となり、それ以下だと農村(village)と区分されます。 その基準でも、約32,000の農村があります。

フランスでは昔のままの姿を残しているところが多く、「美しい村」と呼べるところは1,000くらいはあると思います。どの村が好きですか? と聞いたら収拾がつかない。それで、テレビ局側では、あらかじめ、地方ごとに1つの村を選んで、候補になった村の選択肢の中から好きな村をインターネットで投票させていました。

つまり、フランス本土の22の地方(コルシカ島を含む)にある、22の村が候補。つまり、一番好きな村を選ぶというだけではなくて、地方大会というので人気を呼んだのではないかと思います。

行ったことがない美しい村が紹介されることを期待したのですが、番組に出てくるのは知っているところばかり。それも、そのはず、なのでした。「フランスの最も美しい村Les plus beaux villages de France)」という非営利目的協会に加盟している村が選考された村の大半を占めていたのでした。

http://www.les-plus-beaux-villages-de-france.org/fr
Les plus beaux villages de France - Site officiel

この協会に入っているのは、現在157村。 加盟村が全くない地方は、本土には2つあります。 そういう地方があっても問題なし。テレビ局が人気がでそうな村を選んで入れていました。

「フランスの最も美しい村」というのは、この協会がそういう名前だからであって、最も美しい村に与えられるという称号というわけではありません。加盟するためには会費を払う必要があるので、最も美しい村と呼ぶのに相応しくたって入会しない村もあります。例えば、世界的に有名な世界遺産のモン・サン=ミシェルはLe Mont-Saint-Michelという名の村なのですが(人口は50人足らず!)、最も美しい村には入っていません。

ただし、最も美しいかどうかは別にして、フランスの最も美しい村協会に加盟している村が美しいことは確か。昨年も、今年も、フランス人の好きな村の人気投票で上位5位に入ったのは全て協会の加盟村でした。


人気投票第1位の村は、日本では無名では?

この番組の名前は「Le village préféré des français」。ちょっと奇妙なのです。「フランス人がお気に入りの村」とか「フランス人が好む村」と訳せば違和感がありません。でも、フランス語の番組タイトルになっている「村」には定冠詞がついているので、1つの村を選ぶコンテストらしい。

上位に入るような村は甲乙は付けられないと思うのですけど...。ミシュランがレストランに星の数(実際はマカロン)でランク付けしているのが正確ではないと批判されてから久しいのですけど、テレビ局はあえて、どの村が一番人気があるかを決めてしまっている。

2013年の人気投票で最高得点を獲得したのは、アルザス地方のEguisheim(エキザイム)村でした。



同じ県内にある村ならRiquewihr(リクヴィール)の方が私は好きだな、と思ったのですが、こちらは前年に選ばれていたので(第6位)、今年は候補に入っていなかったのでした。

2012年の優勝村は、ミディー・ピレネー地方のSaint-Cirq-Lapopie(サン・シール・ラポピー)村。川沿いの断崖にそびえる小さな村。フランスで「美しい村」と呼ばれる典型のタイプだと思います。




2013年 フランス人が好きな村の人気投票結果
順位村名地方名
1Eguisheim Alsace
2Locronan Bretagne
3Sainte-Suzanne Pays de la Loire
4Pérouges Rhône-Alpes
5Conques Midi-Pyrénées
6Veules-les-RosesHaute-Normandie 
7Talmont-sur-Gironde Potou-Charentes
8Flavigny-sur-Ozerain Bourgogne
9Turenne Limousin
10Moustiers-Sainte-Marie  Provence-Alpes-Côte d'Azur
11Blesle Auvergne
12Parfondeval Picardie
13WissantNord-Pas de Calais
14EspeletteAquitaine
15Pesmes Franche-Comté
16Villefranche-de-Conflen Languedoc-Roussillon
17CorbaraCorse
18Lavardin Centre
19Saint-Amand-sur-FionChampagne-Ardenne
20La PerrièreBasse-Normandie
21Saint-Quirin Lorraine
22MaincyIle de France
フランスの最も美しい村(Les plus beaux villages de France)協会加盟村


人気村になった影響

順位を見ると、私には腑に落ちないところもある。アンケート調査も同じだけれど、完璧に正確な結果などは出ないのですよね。

人気投票をした人の数は、今年は昨年の倍もあり、約15万人が参加したのだそう。でも、そのくらいのサンプル数では不十分です。村ぐるみ、地方ぐるみで熱心に投票したところが高得点をあげただろうと思います。 第一、インターネットで投票したら、ちょっと細工すれば、一人が何度でも投票できてしまうのだし...。

人口が多いところは当然有利なはず。でも、人口が集中しているパリ首都圏が有利ということにはならないのが面白い。首都圏住民は、故郷、あるいは別荘を持っている地方の方に思い入れがあるのではないかという気もします。去年も今年も、パリがあるイル・ド・フランス地方の村は最下位になっています。

観光化している村も有利でしょうね。それだけ知名度があるわけですから。

ある程度はフランス人の好みを反映はしていることはありうる、とは思います。 フランス人が好きなのは、海辺や川辺の村、日常生活から離れた雰囲気を味わえる郷土色が強い村を好んでいる、という感じがしました。

フランスの最も美しい村協会は、村に歴史的建造物があることなど、美しさが選考基準になっています。でも、フランス人たちが好きな村を選ぶときには、当然別のファクターも入る。つまり、行ったときに良い思い出をつくれるような感じの良い雰囲気がある村か、美味しい食べ物があるかは重要なポイント! 番組でも、その点を強調していました。

この人気投票で優勝すると、観光客の数が激増するという効果があるそうです。昨年に優勝したサン・シール・ポピー村(人口223人)では、番組の放映によって60万人の観光客があったとか、87%も観光客が増えた、という報告がありました。

フランスの最も美しい村協会でも、PR効果によって観光客が増えるというのをメリットとして加盟村を募っていますが、観光客が倍増するほどのPR効果はありません。やはり、テレビの影響というのは大きいのでしょうね。

2013年に優勝したエキザイム村 では、観光客の急増に備えて駐車スペースを増やす、などと村長さんが張り切っていました。




番組を批判した村長もいた

急激に、しかも一時的に、小さな村の観光客が増えるのは、好ましいとだけは言ってもいられないのではないでしょうか?...

美しい村として知られているコンク村(Conques)の村長は、この番組を「bidon」と批判したことが話題になっていました。

テレビ局が、村には何の相談もなしに、人気投票の候補村にしたので取材チームが行くから、という簡単な手紙をいきなり送ってきたのだそう。

コンク村は、私がいるブルゴーニュからは遠いので、3回くらいしか行ったことがありません。でも、この村の魅力は抜きんでています。特に、観光客がいない冬に行ったときの印象は感動的でした。この村は、今さらテレビでPRしてもらう必要はない村であることは確か!

コンク(人口300人弱)は世界的に有名な美しい村なので、夏は観光客で飽和状態。年間に200件くらいの取材に対応しなければならないので、住民の生活を守るための役場の仕事に支障を与えてしまっているのだそう。もともとサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼路の要地(そのために世界遺産にも指定されている)という、山間の静かな村なのが魅力なのに、番組で有名になって物見遊山的にセカセカと訪れる観光客が多くなってしまうと、村の魅力を味わうためにやって来てくれた観光客たちが嫌気をさして来なくなってしまう、と村長は番組には好意的ではありません。

もしもテレビ局が村長に候補にする村を相談していたら、同じ地域にあって、多くの人に知ってもらう価値がある村として、BelcastelやSaint-Cyprien-sur-Dourdouなどを紹介しただろう、と言っていました。

上に動画を入れた今年度の優勝村エキザイムの村長は、「フランス人が好む村 2013年」と書かれたプレートを嬉しげに磨いていました。でも、コンクの村長は、投票結果が出る前に、もしも1位の栄誉をもらっても、「ありがとう」とは言うけれど、番組の進行役のジャーナリストと一緒にプレートを取り付けるセレモニーなどはしない、と発言したのがニュースで流れて話題になっていました。

もちろんコンク村で観光客目当ての店を開いている人たちからは、村長が飛んでもないことを言ったと批判があがったようす。でも、コンク村では質の高いツーリズムをしてもらいたいから、マス・ツーリズムのツーリストに押しかけてもらいたくないという村長の発言は、かえって村を知らなかった人たちに行きたい気持ちにさせたのではないでしょうか?

コンクの村をご存じない方のために、別のテレビ番組の動画を入れておきます。




今年優勝したエキザイム。村としては大きな規模だし(人口1,662)、観光客でなりたっている店も多そうだし、ワインの産地でもあるし、アルザスは商売上手な地方なので、フランス人に最も好かれる村になったことによる経済効果はあるかもしれない。

コンクの村長は、この番組のスタイルは好きではなく、人気投票なんて、でっち上げだと貶していたのですが、これには私も全面的に賛成。お祭り騒ぎを盛りたてるバカバカしい番組だったのです。番組を進行するジャーナリストStéphane Bernの語り口が余りにも軽薄なので、見ている途中でテレビのスイッチを何度も切りたくなりました。でも、空からの撮影は興味深かったし、フランスで人気があるバカバカしいテレビ番組とはこんなものなのかと見るのも勉強になると思って、頑張って最後まで見ました。

コンクの村長がどんな人なのかは知らないので、何とも判断できません。でも、彼がマスコミが嫌いなわけではなくて、村の魅力を掘り下げるような番組、例えば「Des racines et des ailes」のようなテレビ番組の取材に来ると言うなら赤いカーペットを敷いてお迎えする気持ちになる、と言っているのには好感を持ちました。日本にもこんな番組があったら... と思うほどテーマを掘り下げた、格調高いルポルタージュ番組なのです。

ワイワイ騒いで人気投票をして大衆の興味をそそるような番組は、全国的には知られていなくて、観光でしか村おこしをできないような美しい村、あるいは観光客の受け入れ態勢がある規模の村を紹介するべきだと思う...。


同じような人気投票番組が他にもあった

ところで、同じテレビ局、同じ司会、同じシステムで家を選ぶ、「La maison préférée des français」という番組もあったのを知りました。

http://www.france2.fr/emissions/la-maison-preferee-des-francais/?page=accueil 
La maison préférée des français | France2

こちらは2011年からしているらしい。2013年の投票結果は3月の番組で行われていて、視聴者数は300万だったとのこと。村の人気投票は500万だったので、村の方が関心度が高かったことになりますね。

この2つの番組の人気に気を良くして、同テレビ局は庭園の人気投票番組「Le Jardin préféré des Français」も作ったそうです。

http://www.france2.fr/emissions/le-jardin-prefere-des-francais/accueil 
Voter pour élire votre jardin préféré | Jardin préféré des français | France2

家、村、庭園... その後には何がある?

当然村に対して町のコンクールがあっても良いのだけれど、大都市の人気投票はアンケート会社BVAが「Les grandes villes préférées des Français」として発表しているので、同じようなのをテレビ局が作れるのかな?

ただし、アンケート調査の方は10の大都市でしか順位を決めていないので、ブルゴーニュ地方なんかにはそんな大きな都市はありません。各地方に1つで、22の都市でやったら番組ができるかもしれない。




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