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2013/07/12
この春、「Festival du mot」と名付けられた、言葉をテーマにしたフェスティバルに行ってみました。ブルゴーニュ地方にある本屋を町おこしにしたLa Charité-sur-Loireという美しい町で、5日間の開催でした。

フランス人が使うフランス語は乱れてきていて、今では正統派のフランス語を懸命に守ろうとしているのはケベックの人たちだろうと思っていました。でも、イベントに参加してみると、フランスにもフランス語にこだわる人たちがたくさんいるのだと知って、日本でフランス語を勉強した私としては非常に嬉しかったです。

このフェスティバルでは流行語大賞のような流行語が選ばれるのですが、言葉に関して色々な角度からの講演やアトラクションも行われました。

もう1ヵ月以上前のことなので、今さらイベントについて日記を書く気にならないのですが、1つの講演だけをメモしておきます。


色の言葉、言葉の色

以前から興味を持っていた色をテーマにした講演がありました。 色にはイメージがあって、それは時代によって変化する...。



講演者は、フランス最大の政府研究機関「フランス国立科学研究センター(CNRS: Centre national de la recherche scientifique)」の研究員、Annie Mollard-Desfourという名の女性。

色に関する研究していて、『Dictionnaire des mots et expressions de couleur』というシリーズの研究書を出版しています。

Annie Mollard-Desfourの著書を検索

彼女は観念やイメージから色を捉え、その基本色として11色を選んでいました。色によって本を出しているのですが、まだ半分くらいしか出版物になっていません。

フランス文化を中心にして、研究対象は20世紀から21世紀に限定。 色に対する観念というのは、時代によっても変化するし、国によっても全く違う。範疇を狭めないと、研究は収拾がつかなくなってしまうでしょう。

1時間余りの講演だったので、何か1つの色について掘り下げてもらったら面白かったと思う。でも、幾つもの色を例にとって、色に対するイメージがトレンドによって変わると言う発表でした。

昔は、黒といえば喪に服す暗いイメージだったのに、最近はおしゃれをする人たちが集まると、女性たちが黒の服を着ているのが圧倒的に多い。これはフランスでも日本でも同じで、私も気になっていました。

日本では、緑色のことを青と表現するのが私は気になっていました。山々が青々しているとか、青信号とか、考えてみるとどうして緑が青なのか不思議になります。でも、そういうのは日本のことなので、当然ながら講演では全く無視されていました。でも、昔は青色を出す彩色技術がなかったので、緑色が基本色だった、などという話しがでてきていたのは興味深かったです。

会場では書籍も売っていたので、何か好きな色の本を買って読もうかと思いました。でも、講演ではスライドも見せてくれます。上に入れた写真の左にいるのは俳優さんたちで、講演の合間にテーマに詩の朗読をしていました。でも、書籍の方は文字ばかり。フランスの研究書って、そうだった...。説明してくれないと分らないような人物や映画の話しもたくさん出てくる本でしょうから、買うのにはめげてしまいました。

フランスで行われる講演会では、聞いている人の頭がいっぱいになってきたころに、コメディアンなどが出てきて、面白いジョークを行ったりしてリラックスさせる工夫もあるのに、書いてあるものとなると、全くリラックスさせる工夫がないのです。

過去に書いた日記:
初心者向けの入門書でさえも、分かりやすく書かない! 2010/11/14


気になったことの1つには、なぜ彼女が11の色を選んだのか?

そもそも、基本的な色って、なんだったっけ?...


光の3原色

赤、緑、青の3色。
頭文字をとってRGBカラーと呼ばれる。
色を重ねるごとに明るくなり、3つを等量で混ぜ合わせると白色になる。

Additive color Substractive color


何色を基本色とするか?

日本にはJIS規格の基本色があって、それに影響を与えたのはアメリカのISCC-NBS色名法なのだそう。それで、日本のJIS規格の基本13色、アメリカのISCC-NBS色名法の基本13色、講演者が選んだ11色を比較してみました。

日本
JIS規格
(13色)
アメリカ
ISCC-NBS色名法
(13色)
フランス
Mollard-Desfour
(11色)
無彩色whiteBlanc
灰色grayGris
blackNoir
有彩色基本redRouge
yellowJaune
greenVert
blueBleu
purple
中間的青紫Violet
赤紫pinkRose
黄赤orangeOrange
brownBrun / Marron
黄緑yellow green
olive
青緑

眺めてみると、講演者が限定した11色というのは、それほど突拍子もないように思えました。灰色などというのは、黒と白を混ぜてつくる色なのに、基本色として存在しているのですね。

日本のJIS規格には茶色がないのが不思議に思えました...。

やはり私が興味を持つのは、日本人にとっての色に対する感覚。講演の内容だった、赤やピンクに関する認識の変化というのは非常に興味深かったけれど、それはフランスでのお話し。

色をどう感じるか、日本人が分析している書物があったら読んでみたい。 でも、日本の場合は、伝統的な色に対する感覚を覆すような欧米文化からの影響もあるでしょうから、途方もなく複雑だろうな...。


白い色が気になった

講演を聞いた人と、見えるものを色の名前で表現するのはいい加減だ、というのが話題になりました。

私たち日本人は黄色人種に分類されますが、肌の色は黄色ではありません。東洋系を余り見る機会がないフランス人からも、「黄色ではない」と感心されたりします。

白人というけど、真っ白なわけではないのですよね。本当に白紙のような色をした肌だったら気持ち悪い。インド人は日本人より肌の色が濃いのに、彼らは白人に分類されるのだそう。

フランス人が気にしたのは「白ワイン」という呼び方。フランス語でも「vin blanc」で、白いワインと呼ばれます。赤ワインは本当に赤いから、それで良い。でも、白ワインは白くはないです。

白い液体というのはミルクに与えられるべき色。白ワインがミルクのように白い色をしていたら、ちっともおいしそうには見えないと思う。

なぜ白ワインなのかな?...

呼ぶなら、薄黄色のワインとした方が自然でしょう?

でも、「黄色いワイン(Vin jaune)」という名前はジュラ地方のワインとして存在している呼び名なので困る。

黄色いワイン(ヴァン・ジョーヌ)は「金色ワイン」と呼んで、白ワインは黄色ワインでも良いではないですか? ...


イベントについて紹介するのを省略してしまったのですが、「Festival du mot」がどんなイベントであるかを紹介した動画(2010年)を入れておきます:




ブログ内の関連記事:
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
Les mots de couleur ― De la science et la technique au symbolique et à la poésie
☆ Wikipédia: Annie Mollard-Desfour
日本の伝統色 和色大辞典
絶対に覚えておきたいwebデザインの配色・カラー3つの基本と基礎
とってもまじめな色の基礎知識コーナー
デザイナーだから考える。赤色が与える27の効果と6つの活用例
☆ Wikipedia: 色名
☆ Wikipedia: 原色
JIS慣用色名一覧
Festival du mot
今年の単語大賞(Mots de l'année)は、透明と嘘
フランス国立科学研究センター


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