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2013/06/28

シリーズ記事目次 【ヴェズレー8日間滞在記】 目次へ
その7


前回の日記「ブルゴーニュ地方にあるヴァ―バンのゆかりの地を巡る」に書いたヴォーバンの博物館を出た後、博物館がある村(Saint-Léger-Vauban)にピエール・キ・ヴィール修道院があるので立ち寄ってみました。

この春に訪れたシャトゥリュ城で、昔の城主が土地を寄進した修道院だと聞いてから、この修道院に久しぶりに行ってみたいと思っていたのです。

シャトゥリュ城について書いた日記:
千年前から同じ家系が住むシャトーを、愉快な伯爵の案内で見学 2013/04/25


Abbaye Sainte-Marie de la Pierre-Qui-Vire (ピエール・キ・ヴィール聖マリア修道院)

ここはブルゴーニュ地方の中央、4県にまたがるモルヴァン(Morvan)と呼ばれる山岳地帯。独特の文化がある地域です。

この旅行の滞在先だったヴェズレーもモルヴァン地域に入るのですが、ブルゴーニュ地方でよく見かける風景。ところが、ピエール・キ・ヴィール修道院の方向に向かったら、全く自然の風景が異なってきたので驚きました。

正にモルヴァン! フランス北部にあるブルターニュ地方に来てしまったかと思う雰囲気なのでした。ブルゴーニュ地方では、石は石灰石が普通なのに、ここは花崗岩。生えている植物も少し違います。

ブルターニュのように雨が多い地域なのです。うっそうと木々が茂った森の中に、ピエール・キ・ヴィール修道院がありました。



修道院の敷地に入ったところの道路。僧侶が歩いていたので後ろから撮影しました。


ピエール・キ・ヴィールとは?

変わった大きな石がゴロゴロしています。



修道院の中にある見学自由な博物館に、修道院創設を説明するパネルがありました。1849年、ブルゴーニュ地方ヨーヌ県で生まれた僧侶Jean-Baptiste Muardがこの地を見出し、翌年に修道院を築いたのです。



修道院ができた場所は「Pierre-Qui-Vire(ピエール・キーヴィール)」 という名前が付いています。その名の謂れになった大きな石が、この修道院のシンボル。

パネルには重なった大きな岩が描かれていますが、これが「Pierre-Qui-Vire(ピエール・キーヴィール)」 。「回転する石」という意味です。

不安定に重なっているので、人の力で、臼のように石を回転させることができたのだそう。

でも、現在では石の上に聖母マリア像が乗せられているので、もう石を動かしてみることはできません。

 

銅像など無い方が神秘的で良かったのに、と私は思ってしまいます。 マリア像は美しいとは思わないので(Wikipediaの画像)、余計に残念に思ってしまう...。

でも、石のままだと、メンヒルか何かのようで、ケルト文化の名残りみたいに見えてので、キリスト教風にしたのでしょうね。

こういう例はフランスにはよくあって、そのことは過去の日記でも書いていました:
ブルゴーニュにあるメンヒル 2013/01/03


おどろおどろしい修道院に見えた...

かなり広大な土地を持っている修道院のようです。

修道院の建物を見せる写真が、この修道院の僧侶たちが歌ったアルバムの表紙に使われていました:

Le chant de l'Abbaye de la Pierre-qui-Vire, Aurore de la Joie

Googleマップで修道院の上空写真を見ると、こちら。森の中に埋もれている、という感じです。

ここはベネディクト会の修道院なのだそう。 労働と祈りを両立させる、というのが教えらしい。

回転石がある入口から教会の方にも入れるので、そこまで歩いていきました。

ぎょっとする外観...。



現在見られる建物は、19世紀半ばから20世紀半ばにかけて建築されたました。1871年に建築された教会は、1992年に大きく改築されたのだそう。

何年も前に行ったときは、石と売店しか見なかったかもしれない。あるいは教会も見ていたかな?... 建物を入ってから聖堂に入る前の空間ナルテックスは最近加えたそうなので、以前に見ていた姿とはすっかり変わっていたか可能性もあります。

聖堂に通じる入口には変わったステンドガラス...。



入ってみると、みごとな石造建築物。



写真で見ると、昔に建てられた教会と同じように彫刻があるので違和感がないのですが、実際に見ると、そう古くはないので奇妙な感覚を覚えます。現代に、こんな風に労力を使って建築物ができてしまうのは凄い...。


ピエール・キ・ヴィール修道院を有名にしているのは、出版物とチーズ

キリスト教に関係ない人たちにも、ピエール・キ・ヴィール修道院の名は知られています。

まず有名なのは、ロマネスク建築・美術に関する素晴らしい「Éditions Zodiaque」のシリーズを出版した修道院であること。

僧侶によって1951 年に初めての出版物が出てから、執筆も印刷も修道院の中で行われました。

でも、創設50周年の翌年、2002年にPVC (Publications de La Vie catholique)に売却されてしまいました。実に素晴らしい内容の本ばかりだったのに残念。

現在でも中古本は手に入るようです:
フランスアマゾンでZodiaqueコレクションを検索


もう1つ有名なのは、「ピエール・キ・ヴィール」の名がついたチーズ。修道院の農場(170ヘクタール)で作られるBIO(無農薬、自然農法)のチーズです。

修道院の中にある売店で売っているので少し買ったのですが、写真を撮らないうちに食べ終わってしまいました。地元のレストランで出てきたブルゴーニュチーズの盛り合わせに入っていた写真があるので、それを入れます。



矢印を付けたと、その手前のがピエール・キ・ヴィール。皮が少し黄色くなっているのが特徴。

正直いって、美味しいという評判があるチーズではありません。ちょっと癖があるので好きな人もいるのでしょうが。

食べてみると、この近くにあるエポワス(Époisses)のチーズに少し似ていると感じます。でも、エポワスのようには美味しくない、と思ってしまうのがいけないのかもしれない。

エポワスAOCの方は、ブドウのブランデーを塗って熟成させているので、味が濃いのです。

修道院の売店では、tomme(トーム)というハードタイプのチーズを買いました。ヤギと牛の両方。こちらの方がずっと美味しかったです。

でも、普通にピエール・キ・ヴィールのチーズとして売っているのは、レストランで出たような、カマンベールのような形のチーズの方です(画像)。


一般の人も泊まれる宿泊施設もある

修道院には宿泊施設もあります。下の建物がその入口らしいと思いました。



こちらも、がっしりとした建築物。地元でとれる花崗岩を使っているから、やたらに威圧的に見えてしまうのでしょうけれど...。

宿泊施設の方は20世紀半ばに建てられたのですが、宿泊施設としての法律基準に合わせるため、数年前に大々的に工事されたとのこと。

修道院のサイトを見たら、宿泊施設の利用料金は、利用者の経済状態によって1泊26~40ユーロ(3食付き)とありました。学生は18~25ユーロ。それが払えないような貧しい人は修道僧にご相談ください、とあります。団体で自炊するなら、1人につき1泊8ユーロ。

クリスチャンの人たちって良いですね。病院に入院していたときにお世話になった看護士さんが、夏休みはシャルトル―ズの修道院で過ごしたという手紙を送ってきたことがあったのですが、こんな風に休暇を過ごせる施設があるのだ...。


ともかく、やたらに大きな修道院。後で行った地元のレストランで、森の中にあんなに大きな教会があるのは奇妙だと話したら、返事が返ってきました。

この周辺の教会の中で、冬のミサでも寒くない暖房があるのはここだけなのだそう。それで、かなりの数の信者が集まるのだと言われました。なるほど...。モルヴァンの冬の寒さは厳しいですからね...。

ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)に関して書いた日記

外部リンク:
☆ Wikipédia: Abbaye Sainte Marie de la Pierre-Qui-Vire
☆ オフィシャルサイト: Abbaye Sainte Marie de la Pierre-qui-Vire
☆ チーズ: Pierre-qui-Vire - Les produits laitiers
モルヴァン地域の市町村一覧
☆ romanes.com: Editions zodiaque


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