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2013/07/06

シリーズ記事目次 【ヴェズレー8日間滞在記】 目次へ
その15


6月下旬のフランスには、幾つかの祭りがあります。

まず、夏至。今年は6月21日でした。それにちなんだサン・ジャンの火祭り(Feux de la Saint-Jean)があります。

サン・ジャンとは、キリストを洗礼した聖ヨハネ(フランス語ではJean le Baptiste)のこと。その聖人の祭日は6月24日なのですが、夏至に近いころサン・ジャンの火祭りが行われます。

ヴェズレーに行くときに期待したものの1つに、サン・ジャンの火祭りを見ることがありました。

ずっと前から夢に描いていたサン・ジャンの火祭りの風景がありました。丘陵が多いブルゴーニュ南部で育った友人が、子どもの頃の祭りを描写していた風景です。

夜になると、小高い丘の上で大きな火を燃やす。暗闇に火が燃え上がるとき、あちこちの丘の上でも大きな火を燃やしているのが見えるので、とても幻想的なのだそう。そして、火が燃えつきると、若者たちは、まだ消し炭が残っている火の上を渡る。

地方によって祭りの風習は多少違うようですが、高い所で火を燃すのがサン・ジャンのポイントなのだ、と友人は言っていました。

でも、フランスには平野しかないところも多い。あったとしても、田園のただなかだと現代では祭りなんかやりにくい。それで私が火祭りを見たことがあるのは、いつも平地でした。


ヴェズレー村には、本当の住民がほとんどいない?

このたび滞在したヴェズレー村は、集落が続く坂を上がっていくと行き当たるサント・マドレーヌ大聖堂の向こうに広大な公園があります。地球は丸いと実感することができる、素晴らしい見晴らし。

ここで聖ヨハネの火祭りをするのだと確信していました。世界遺産にも登録されている有名観光地ですから観光客も来る。となったら、見たこともないほど盛大なのをやるはずではないですか?

まして、サント・マドレーヌ大聖堂には夏至の日に聖堂の中心に光の環が点在する道ができるくらいなのですから、サン・ジャンの祭りと結びつけて当然。

村にはイベントの張り紙が出ていました。
夏至の当日、6月21日に行うとのこと。

期待は大きく膨らみました。すごい火祭りなのではないか?...

会場はPlace Borotという名の広場だと書いてある。

火を燃すのだから丘の上の広場が会場だとは思うのだけれど、念のために聞いてみる。

すると、集落がある丘の中腹、つまり役場があるところの近くの小さな広場のことらしい。嘘~!

当日、会場となる広場に行ってみると、祭りをしていました。



祭りには仮設レストランがつきものなので、ここで食べるつもりだったのですが、美味しそうにも見えないバーベキューくらいしかないみたい。

第一、ショックを受けたのは火を燃す装置が小さいこと。



これでは、ただの焚火ですよ。あるいは、子ども時代の林間学校で私も体験があるキャンプファイヤー。

生バンドはいました。下手な音楽を演奏しているけれど...。この日は、最近できた祭りですが、公共の場で音楽を演奏してしまって良いという音楽の日(Fête de la musique)でもありました。ヴェズレーの村では、そちらをメインにして、ちょっと火を燃してみた、というところなのでしょう。

村に住んでいる人に聞いたら、昔はヴェズレーでも丘の上で火祭りをしていたのだそうですけど...。

有名な観光村なので、本当の住民は少ないのではないでしょうか? お店を経営している人たちの多くは村の外に住んでいるようですし。つまり、こういうところだと村祭りには盛り上がりがない。

余りにもつまらない祭りなので、私たちはレストランに食事に行きました。


小さな村で行われたサン・ジャン火祭り

ヴェズレーから戻った日の夜は、サン・ジャンの火祭りに誘われていました。旅の疲れがあるので行かないつもりだったのですが、ヴェズレーの祭りが余りにも期待外れだったので、その穴埋めに行ってみることにしました。

家で簡単に夕食を済ませて会場に行くと、燃やす木が組み立てられていました。かなりの大きさ。このくらい木を組み立てていないとね...。



村の有志たちが毎年いろいろな形にするのですが、今年は音楽をテーマにしたようです。グランドピアノに大きなギターが立てかけられています。ご丁寧に楽譜なんかも作っている。

農家が祭りに協力していて、大きな納屋が食事会場になっていました。村のおもだった人たちは全員来ているのではないかと思うほどの賑わい。生バンドの演奏もディスコのように賑やかに演奏しています。みんな食事を終えたころで、これからダンスタイムが始まるよう。



友人たちを見つけて一緒の席を確保し、シャンパンを飲み始めました。

やがて、あたりは暗くなって、火がともされます。



せっかく組み立てたのに...、とは思うけど、燃える火を見るのは楽しい。



友人たちは、近所のお医者さんとおしゃべりをしていました。患者さんに痛烈に意地悪なことを言うし、医者としての能力もないので、行く人はほとんどいないのではないか、と悪評が高い人。

私も好感は持てないので、会話には加わらない。外国人というのは、こういう場合便利です。話していることが全く分らないふりができるので♪

でも、何を話しているのかが聞こえてきました。

お医者さんは、この火祭りのイベントでの安全対策が不十分だ、と文句を言っているのでした。明日、県庁に手紙を書いて報告する、なんて言っている。

なるほどね...。こういう人がいるから、フランスの伝統的な祭りはどんどん消えて行くのだ...。日本では、伝統的な祭りがたくさん残っていますよ...。危険を承知でやるのも伝統ではないですか?

憎らしくなりました。祭りを楽しまずに火に背をむけてシャンパンを飲みながら祭りの批判をしているのなら、さっさとお家に帰れば良いではないですか?

私は知らん顔してカメラのシャッターを切り続けました。露出を変えたり、シャッター速度を代えたり、フィルターをかけたりして実験。

でも、火をカメラに捉えるのって難しいものですね。肉眼で見ている炎の繊細な形状は全然とれない...。



火はすごい勢いです。危ないと言っているから観察したのですが、子どもたちだって、ちゃんと火の粉が飛んでこないところで見ています。

時々、傍で消防用のホースを持って待機していた人が水をかけていました。 でも、お医者さんはそれでは不十分で、消防車が待機していなければいけないとか、立ち入り禁止区域の範囲が狭すぎる、とか言っていたようです。

私は燃え上がる火に見惚れていました。本当に美しい。三島由紀夫の『金閣寺』を思い出してしまう...。

セッティングは、周りの部分は燃えやすいモミの木をつかい、中の方は古民家の梁などを使っているのだそう。かなり長いこと燃え続けていました。

夜もふけて寒くなってきたので、下火になってきた火に近づいて暖をとるのも嬉しい。



お医者さんは、まだ文句を言い続けていました。私が写真を撮り続けているので、「ちょうど良い証拠写真になる」なんて勝手なことを言っている。

写真なんかあげないですよ~。欲しいと直接言われたら、「撮影した写真は日本で売っているので、コピーライトがある写真を差し上げることはできません」と断ろう、などと考える。何か言われると「ノー」と答えるのが苦手な人間なので、言い訳まで考えたのでした。

ようやく、お医者さんは腰をあげて帰って行きました。本当に県庁に密告するつもりなのだろうか?

後で聞いたら、郡単位で一般医は彼しかいないので、そういう人は郡の消防署の責任医師になっているはず。だから、彼はイベントの安全性に口をはさむ権利があるのだそう。それなら、けが人が出たときのために往診箱を持ってきているべきだと思うけれど、何も彼は持ってきていませんでした。

彼の通報のおかげで火祭りができなくなったら、村人たちから総スカンをくうと思う。でも、もともと誰も行かなくて、1日に2人か患者が来なかったなどと聞いているので、本人は皆がどう思うかなんて気にしないだろうと思う。



火はかなり下火になってきたので、私たちも引き上げました。ダンスをする人たちは夜通し踊るのかな?...


大々的なサン・ジャンの火祭りもある

フランスのどこかでは、丘の上でサン・ジャンの火祭りをしているところがあるはずだと思って探してみたら、色々な動画が出てきました。

びっくりするほど大規模な祭りの動画がありました。スペインとの国境に近いピレネー山脈で行われる「Flamme du Canigou(カタルーニャ語で「カニグーの炎」の意味」と呼ばれるサン・ジャンの火祭りのようです。

火を絶やさずに燃やしているところから火をとって、それをPic du Canigou(カニグー山) という高い山に積んだ薪に火をつけるという祭り。世界大戦の後、フランス各地でサン・ジャンの火祭りが衰退していたので、20世紀半ばに復活させたのだそう。



フランスで伝統的な祭りが残っている地域は、国境のあたりだ、といつも感じます。

もう少しサン・ジャンの火祭り色々を見せる動画を拾ってみます。

こちらも国境近くにあるアルザス地方。木組みの色々を見せています:
☆ 動画: Les feux de la St Jean dans la vallée de St Amarin

コルシカ島のもありました。完全に宗教と結びついていた祭りになっています:
☆ 動画: Les feux de la Saint Jean

有名なシャンソンでテーマにされたサン・ジャン祭り:
☆ 動画: Mon amant de Saint Jean

ジュルジュ・サンド(George Sand: 1804~1876年)の小説『Les maîtres sonneurs(笛師の群れ)』にある18世紀のサン・ジャンを再現した映画の場面。火の回りで踊っています。これが伝統的な形だと聞いていました:
☆ 動画: Les feux de st jean

ブログ内リンク:
夏至の時期のフランスの祭り: 音楽の祭日、サン・ジャンの火 2008/06/21
夏至日にヴェズレーの大聖堂にできる光の道を見る 2013/06/22
★ 目次: フランスの祭日・年中行事について書いた日記
★ 目次: ロウソク、キャンドルスタンド、暖炉、燃える火

外部リンク:
☆ Wikipedia: 聖ヨハネの日
☆ Wikipédia: Fête de la Saint-Jean
Les feux de la Saint-Jean
FESTIVAL-Flamme du Canigou
サン・ジャンの私の恋人


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