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2008/05/05
フランスではMai 68(68年5月)、日本語では5月革命と呼ばれる出来事から、今年は40年目。

五月革命とは何かを書かなければなりませんよね。1968年、学生運動から派生して、ゼネラル・ストライキを頂点とした学生の街頭占拠と、労働者のストライキが1カ月に渡って続発した時期、と言って良いでしょうか?

昼食を一緒にした友人と、そのことが話題になりました。友人は、当時は子どもで、学校が1カ月休みになって喜んだ、などという記憶しかないのだそうです。でも、日本では赤軍があった、などというのも知っていました。ここのところ、新聞でも大きく特集が組まれているのです。

インターネットでは、当時の映像がたくさん紹介されています。現在のフランスでも、デモやストは多いので、そういうのには慣れているのですが、1968年のときのは深刻さや迫力が全然違いますね・・・。死者も出たし、悲壮な事件だったのが伝わってきます。


フランス国立視聴覚研究所( INA): Video - Mai 68, la révolution en images


5月革命はフランス社会に変化をもたらした

日本でも、理想に燃えて学生運動をした多くの若者がいたわけですが、その後の社会に何をもたらしたのでしょうか?・・・

そう思ってしまうのは、フランスはこの5月革命を境にして、社会が大きく変わったからです。特に私が注目するのは、女性の解放とか、家族の在り方の変化。

フランスという国には、日本にもあるような、昔ながらのしがらみのようなものがあったのですが、この革命を境にして近代化しました。

カトリックの国ですから、中絶は許されなかったし、内縁関係というのも許されないものでした。それが、認められるようになったのでした。

法的に結婚するか否かは全く自由になりました。生まれてくる子どもの半分くらいは、両親が法的な結婚していません。日本人がそう聞くと、「子どもがかわいそう」と反応する人が多いので、何と説明したら良いのか困ってしまいます。フランスでは、社会の偏見も全くないし、社会保護の上でも平等になっているので、「可哀そう」という問題ではないのです。

学生運動を経験した若者たちの価値観が変わるというのは、十分ありえると思うのですが、それに合わせて、昔ながらの考えを持っていた親の世代の意識も変わってしまった、というのが、すごいな、と私は感心します。

親子の同居というのも、今では例外的になっています。

老人ホームに入っているフランスのお年寄りに、「子どもと同居したいとは思わないですか?」と聞いても、「本当は同居したいのだけれど・・・」などという反応は返ってきません。それぞれの生活があるのだから、別々に住んでいた方が気楽で良い、と、年老いた親の方も自然に考えるようです。

昼に5月革命の話しをした友人は歴史に詳しいので、色々教えてもらいました。

この時期、世界中で学生運動が荒れ狂ったわけですが、フランスほど社会に大きな変化をもたらした国はない、とのことでした。この時期のフランスは、社会を動かす優秀な哲学者も多かったことも影響があったのでしょうね。


68年世代

Soixante-huitard という表現があります。
「68年世代」と訳したら良いのでしょうか? 日本では、団塊の世代という年代ですね。

「68年世代」というのは、5月革命を経験した後にユートピアを求めた人たち。農村に行って、羊飼いになる、というようなイメージ、と聞きました。

それを絵に描いたような人に出会ったことがあります。

アルプス山脈に近い山の中。農家民宿ネットワークの会長さんを訪ねていったときです。

フランスの道路というのは、どんな僻地に行っても整備されていると思っていたのに、そこはアスファルトにもなっていない細道が続いていました。ここでもフランスなの? と思うところを延々と車を走らせて行きついた集落。

会長さんは、見るからに秀才だったと分かる聡明なお顔。それでいて、全く気取ったところがない、清々しい人でした。

彼は、ヒツジを飼っていて、チーズを作っていて、とても質素な民宿を経営していました。その集落に住んでいる目の見えない女性が、ツーリストに食事を作る係。

こんな辺鄙なところまでやって来るツーリストは少ないと思いましたが、ほとんど自給自足の生活なので、収入なんかを求めることは気にしていないという印象を受けました。

大自然の中にある数軒の集落。
この世にあるとは信じられないユートピアの世界・・・。

もう10年以上も前のことなのに、あのときの感動は今でも鮮明に残っています。

Wikipedia仏語版には、68年世代のスローガンというのが紹介されていました。下手に訳すのは避けますので、フランス語がお分かりの方はご覧ください。
Soixante-huitard
Mai 68

お昼に話しをしていた人が引用して、説明してくれた表現がありました。
少しだけ、私が気に行ったものの訳をメモしておきます。

  • 決して働くな
  • 石畳の下はビーチだ (説明: 学生運動では石畳をはがして投石に使っていた。石をはがすと砂である)
  • 禁止することは禁止
  • 選挙は愚か者に対する罠だ
  • 経営者は君が必要だ。君は経営者を必要としない
  • 物売りの見世物社会よ、くたばれ
  • 現実主義者であれ。不可能を求めよ


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コメント
この記事へのコメント
「親の世代の意識の変化」…今まさに私が求めているもの!ですね~。
「それぞれの生活がある」…う~、言ってやりたい~。

なんだかメインテーマでないところにひっかかってます…。

とはいえ、意識が先か、社会環境が先か…。フランスもやはり意識が先に変わったのだろうと思うけれど、日本ではまだまだ社会のシステムが「個」でなく、何かしらの「グループ」が基礎になってますよね。
田舎では特にそれを感じます。
グループは「家」だったり、「近所」だったり。
公共料金だって、近所の数軒でまとめて払うんですよ~。(一年間担当する当番がまわってきます)
管理しやすいようにそうなってるんだろうけど、どうしてよ!?と思います。



2008/05/08 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
意識の改革
v-22すぎちゃんへ

5月革命の後、若者の生き方が変わるのは普通だと思うのですが(日本では、嵐がすんだら元に戻ってしまったようですが)、どうして彼らの親たちまで意識が変わったのか、というのが不思議でなりません。

>日本ではまだまだ社会のシステムが「個」でなく、何かしらの「グループ」が基礎になってますよね。

⇒ そこが一番大きいのかな? もともとフランスは個を認めるから、子どもの意識が変わったら、それはそれとして尊重して、認めたのかも知れない・・・。

フランスの高齢者は気丈だな、と感じます。ろくに歩けないような人でも頑張って生きています。それを見ていると、日本の高齢者は甘えている、と感じてしまいます。
いよいよ一人暮らが無理になったら、ちゃんと施設やサービスがあって、子どもに負担をかけなくても大丈夫な体制がある。みんなの意識が変わったのに合わせて、社会の体制も整えているのですよね、フランスは。

>公共料金だって、近所の数軒でまとめて払うんですよ~。

⇒ へえ~! 農村の「道ぶしん」とか言うのは聞いていましたが、そんなのが、しかも、すぎちゃんが住んでいるような「町」にもあるとは、想像もしていませんでした。
私などには怖いですよ、そういう社会は・・・。

フランスでも、田舎は都会より近所付き合いが濃厚だし、ご近所の噂はみんな筒抜けますが、気の合った人としか付き合わなくても全然困らないようになっています。
農耕文化と牧畜文化の違いなのかな?・・・
2008/05/08 | URL | Otium  [ 編集 ]
団塊の世代、日本の「個人」、わたしにとってもずっと宿題になっているテーマですね。特に、フランスの話を聞くと、考えてしまうことが多いです。団塊の世代の女性は、フェミニズムや均等法や、女性運動も通過してきたはずの世代なんですけれども…。
2008/05/08 | URL | Saule  [ 編集 ]
v-22Sauleさんへ

>団塊の世代の女性は、フェミニズムや均等法や、女性運動も通過してきたはずの世代なんですけれども…。

⇒ 私は、日本は基本的には何も変わっていないという気がしてしまうのですけれど・・・。

日本の友達はみんな多かれ少なかれ親の問題を抱えていて大変だとか、独身で働かなければならないのに肩たたきにあう女友達の話しを、フランスの友達にすることがあります。

どうして先進国日本にそんな前時代的な社会が残っているのか、と驚かれます。フランスは見事に近代化してしまったのですよね・・・。

ただ、日本の場合、社会に逆らわないでいると(逆らわないでいられる立場にあるという条件を満たすことが必要ですが)、ひょっとしたら、ぬるま湯社会の日本の生活は、フランスより楽かも知れないという気がすることもあります。
2008/05/08 | URL | Otium  [ 編集 ]
多分そうです、まさに「農耕文化と牧畜文化の違い」だろうと思います。
田んぼをやっていると、どうしても水の管理などもあって単独ではやっていけないし、一度開墾したところを軽々しく手放せないから、ずっと同じ人たちとご近所づきあいを続けていくことになるし…。

今の70歳代世代とそれ以下の世代ではまただいぶ意識も違うような気がします。それでも今の田んぼを守っているのがほとんどが70歳代世代だと思えば、「個」より「グループ」を意識してしまうことも、仕方ないことなのかな…。

「個」を意識しはじめたら、田んぼからは遠のいてしまうのか…。ん? 逆に田んぼから遠のくから、「個」を意識できるようになるのかな。
2008/05/10 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
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