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2013/07/28
前回の日記「パン粉が気になる。ついでに、豚カツも気になった」で、私は硬くなったパンをパン粉にして使うという話しを書いたのですが、そのほかにも古いパンの使い道はあります。


クルトン

硬くなったパンをさいの目に切って、スープに浮かせる具にする。
これをフランスでは「croûton(クルトン)」と呼びます。

パンを切っただけでも良いのですが、凝ろうと思えば、ローストチキンを作ったときの脂で炒めるとか、ニンニクをこすり付けるとかします。

日本では残ったパンがないからクルトンなるものが売れるのかも知れない。

フランスでも小袋に入ったクルトンを売っています。食べ残したパンはいくらでもあるはずのフランスで売っているのは本当に不思議...。

料理に時間をかけたくない人が多い、あるいは廃物利用よりも、市販のものの方がステータスが高いから、ということなのでしょうか?...


「フレンチトースト」と呼べば聞こえが良いのだけれど

FrenchToastたくさん残ったパンを再利用するには、フレンチトーストが便利です。

フレンチトーストという呼び名は、しゃれたフランス風のトーストみたいで良いイメージがありませんか?

これをフランス人が「French toast 」と呼んでいるはずはなくて、フランスでは「Pain perduパン・ペルデュ)」と呼ばれています。

パン・ペルデュとは、「失われたパン」の意味。

つまり、捨てるはずだったパン、ということ?!

子どものときにおやつとして食べたということで懐かしむ人もいるのでしょうが、フランス人にとってのフレンチトーストは貧しい生活のイメージが付きまとっている感じがします。

10年余り前だったと思いますが、パン・ペルデュが見直されてきたという記事が雑誌に出ていたので切り抜いたのですが、見失ってしまいました。戦時中に食べざるをえなかった野菜(キクイモなど)がブームになってきた時期でした。

嫌われていた野菜が脚光を浴びてきたことを書いた過去の日記:
牛ほほ肉のボージョレー蒸し焼き、ルタバガのピューレ添え 2010/12/09

戦時中にフランス人たちが食べていた野菜を高級レストランのシェフが使いたがるのは実感しましたが、フレンチトースト、つまりパン・ペルデュがフランスで再び脚光を浴びるということはなかったと感じます。 

私が外でフレンチトーストを食べたのは、B&B民宿の朝食で1回あっただけ。

そのとき一緒にいたフランス人は、こんなものを客に出すなんて、と批判していたっけ。B&B民宿の朝食では自家製ケーキを出すことがよくあるので、ケーキを焼くのを横着して、残り物のパンなんかを食べさせた、と反感を持ったらしいです。

英語圏で、この古パン再利用を「フレンチ・トースト」などというしゃれた名前にしているのは賢いと思います。そうなると、硬くて食べられないパンを捨てないで食べるという貧相なイメージは消えますから。

カナダのフランス語圏では「pain doré(黄金色のパン)」と呼ぶのだそうです。この呼び名だったら、パン・ペルデュのように悪いイメージはなくて良いですよね。


日本では?

私はフレンチトーストが好きなので時々作ります。 フランスとは無関係のときから、日本で作っていました。

フランスで作るときは、牛乳は1本あけて残すともったいないので、常に冷蔵庫に入っている生クリームを使います。生クリームと卵を混ぜて、固くなったパンに浸してから、バターたっぷりのフライパンで焼く。焼きあがってからグラニュー糖をまぶすので、焦げることもない、という方法。

マダガスカル土産のバニラビーンズがたくさんあるので、それを入れるせいか、私のフレンチトーストはかなり美味しいです。でも、フランス人に作ってあげても喜ばないだろうと思って、自分が食べたいときだけ作っています。

日本で外食したときに、フレンチトーストなるものは出てきたことがなかったように思います。これが好きなのは私だけなのだろうか?...

調べてみたら、びっくりしました。できあがったものまでを売っているのです。しかも、こんなに簡単にできるオヤツなのに、フレンチトーストを作るためのパウダーなんていうものまで売っている!


フレンチトーストを楽天市場で検索

日本市場には、どうしてこんなにフレンチトーストが売られているの?... 自分で材料を混ぜて作らなくても良いので簡単というわけで、こういうのを出すレストランもあるのでしょうか?

フランスで、出来合いのフレンチトースト(つまり、パン・ペルデュ)を売っているのか、レストランで出すことがあるのだろうかと思って調べてみたのですが、検索するとレシピしか出てきませんでした。

フランス人が行くレストランで、パン・ペルデュを出すことなんて、絶対にありえないのではないかな?... あからさまに残り物料理ですから。


立派なデザートになるフレンチトーストとは?

調べているうちに出てきて驚いたのですが、フレンチトーストはホテルオークラの名物料理になっているらしいことでした。

ホテルオークラ特製 フレンチトースト

レシピが紹介されていました。食パンを、卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを混ぜ合わせたものに浸すのですが、まる1日もひたすのですって。グジャグジャになってしまわないのかな?...

フランス語情報でも、パン・ペルデュのレシピは色々と紹介されていました。中でも、パリの5つ星ホテルプラザ・アテネのシェフ・パティシエであるChristophe Michalak(クリストフ・ミシャラク)のレシピを紹介した動画が目に止まりました。


Christophe Michalak présente sa recette du Pain perdu
Un Pain Perdu "magique" (d'après une recette de Michalak)

パンを柔らかくするので、食パンよりはフランスパンの方がフレンチトーストに向いていると思っていたのですが、このシェフのレシピではブリオッシュを使っています。 さもなければ、ブリオッシュにしたパン・ド・ミーが良いのだそう。

ちなみに、パン・ド・ミーというのは、食パンに近くて、日本の食パンのようには甘味やモチモチ感がないパンです。フォアグラを食べるときのパンにするのが定番なのですが、私は普通の美味しいフランスパンでフォアグラを食べる方が好き。カナペにするときに使う人も多いです。私は美味しいとは思わないので敬遠しているパンなのですが、フレンチトーストには適しているかもしれない。

ホテルオークラのフレンチトーストのレシピも食パンを使っていました。しかも、このパリの有名シェフも、ホテルオークラと同じように、パンをミルクと卵を溶いた液に一晩つけています。

パンが極端に柔らかくなると、本物のケーキのようになるということ?...

ホテルオークラのレシピよりは、パリのシェフの方が贅沢な材料ではあります:
・ミルク 200グラム
・生クリーム(液体状) 800グラム
・卵の黄身 100グラム (約5個分に相当)
・グラニュー糖 150グラム

このレシピを試した人のブログのリンクを入れましたが、ベタベタに絶賛しています。ただし、母親がいつもしていたように、ラム酒とバニラを少し加えたそうですが。

この動画についていた説明が興味深かったです。

この世界コンクールでも優勝したパティシエが作るパン・ペルデュは、醜いヒキガエルをチャーミングな王子様に変えるようなレシピだ、と言っているのです。ちなみに、ここで使われているカエルを意味する単語はcrapaud で、フランス人が食用にするカエル(grenouille)ではありません。

マイナーなイメージが強いパン・ペルデュも、一流のシェフが作れば大変身しますよ、というレシピなのでしょう。 やはり、フレンチトーストなどとしゃれた名前をもらったパン・ペルデュは、フランスには残り物で作るオヤツのイメージしかないのが普通なのだろうと思いました。


【追記】

私が今もっている材料(庭でとれるフランボワーズ、バニラビーンズ、自家製バニラアイスクリーム)で、立派なデザートに仕上げているパン・ペルデュの動画があったので入れておきます。実演しているのは、パリの1つ星レストランのシェフ。


Pain perdu par Cyril Lignac par LOfficielMode

卵の白身を5個分残すレシピなどは試してみたくないですが、こちらはやってみたいと思いました。でも、こちらもブリオッシュで作っています。


追記

フレンチトーストが日本で流行っているという記事がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130910-OYT8T00688.htm?from=os2
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130910-OYT8T00688.htm?from=os2

ネットショップでフレンチトーストを売っているのが奇妙だったのですが、流行っているとなると納得。さらに、甘くしないとファーストフードのようになるわけですね。

ブログ内リンク:
★ 目次: パン、パン屋、昔のパン焼き窯など
★ 目次: レシピ、調理法、テーブルウエアについて書いた記事
★ 目次: 商品にフランスのイメージを持たせた命名

外部リンク:
☆ Wikipedia: フレンチトースト
Que faire avec du pain rassis ?  ⇒ Du pain perdu
La symbolique du pain

【フレンチトーストのバリエーションのレシピ】
Gâteau de pain Grand-Mère
Pain perdu au wasabi


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コメント
この記事へのコメント
フレンチ・トーストは私も好きで良く作ります。
食パンよりフランスパンのほうががグルテンが多い分腰があって、美味しいと思います。食パンだとただ柔らかいだけです。
朝は基本的に和食なのですが、のんびり起きた朝、熱々の紅茶で甘~いフレンチ・トーストを頂く幸せ(笑) 

硬くなったフランス・パン、私もパン粉にして使います。
最初はおろしがねでおろしてみたのですが、細かくなりすぎて使いにくい。
カチンカチンになる前でしたらおろしがねでも結構大きめに出来上がるのですが・・・
石臼は考えてもみませんでした。
あとは、お麩と同じようにゆっくりお出汁を含ませて、季節のお野菜でさっと煮て卵でとじる(笑)

食べられる物を捨てる、という感覚は私も理解できません。
そう言えば子どもの頃大好きだったおやつは食パンの耳をからりと揚げたものにお砂糖をまぶしたアレ!
熱々が美味しかった!
2013/08/06 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

やはり、食パンよりフランスパンの方がフレンチトーストに適していると思われますか。紅茶とフレンチトースト、良い組み合わせですよね。

おろし金でパン粉を作るのは、力がいって大変ではないですか? 石臼に入れて叩く方法は、パンがカチンカチンに固くなっていないといけないです。

野菜を入れた卵とじも、小さくお上品につくったら、ステーキの付け合せなどに面白そう。こんどやってみます。

私が子どもの頃に好きだったのは、炊きあがりのご飯に古くなった食パンをのせて蒸かし、それにバターと砂糖をのせて食べるというものでした。食パンの耳の揚げ物は作ってもらっていなかったような。給食の揚げパンが好きだったので、耳で作ってくれたら喜んだはずなのに...。
2013/08/07 | URL | Otium  [ 編集 ]
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